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特許7686296マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-23
(45)【発行日】2025-06-02
(54)【発明の名称】マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/00 20060101AFI20250526BHJP
   B22D 11/124 20060101ALI20250526BHJP
   B22D 11/22 20060101ALI20250526BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20250526BHJP
【FI】
B22D11/00 A
B22D11/124 L
B22D11/124 N
B22D11/22 B
B22D46/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023055755
(22)【出願日】2023-03-30
(65)【公開番号】P2023153039
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202210328664.5
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510000839
【氏名又は名称】東北大学
【氏名又は名称原語表記】Northeastern University
【住所又は居所原語表記】NO.11, LANE3, WENHUA ROAD, HEPING DISTRICT, SHENYANG, LIAONING, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 苗勇
(72)【発明者】
【氏名】蔡 兆鎮
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102861890(CN,A)
【文献】特開2011-224649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
B22D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法であって、
マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅狭面フットロールのゾーン内でオーステナイトからフェライトへ転移させて、マイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させるために、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールの強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定するステップと、
マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅広面の4ゾーンの出口までに完全に再度オーステナイト化するために、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面の3ゾーン及び幅広面の4ゾーンでの平均温度回復速度及び幅広面の4ゾーン末端での温度回復温度を決定するステップと、
前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面の3ゾーン及び幅広面の4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面の4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面の1~4ゾーンの冷却水量を決定するステップと、
決定した前記幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4のゾーンの冷却水量で、二次冷却する1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却するステップと、を含み、
前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの連続鋳造プロセスのパラメータを取得するステップと、
前記連続鋳造プロセスのパラメータに基づいて、商用有限要素ソフトウェア又は自己プログラミングを利用して、鋳型と二次冷却する1~4ゾーン段階を含む連続鋳造スラブの三次元非定常温度場計算モデルを作成し、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布を算出するステップと、
前記算出したマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布から、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールのゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度と、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面の3ゾーン及び幅広面の4ゾーンでの平均温度回復速度及び幅広面4のゾーン末端での温度回復温度とを決定するステップと、をさらに含み、
前記連続鋳造プロセスのパラメータは、鋳片断面寸法、鋳造速度、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの溶鋼過熱度、鋳型の幅広面冷却水量と冷却水の入口と出口の水温差、及び鋳型の幅狭面冷却水量と冷却水の入口と出口の水温差を含み、
前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織は、幅狭面フットロールの強冷却ゾーンでは、平均冷却速度が5℃/s以上であり、最低冷却温度が550~600℃であり、幅広面3のゾーン及び幅広面の4ゾーンでは、平均温度回復速度が3.5℃/s以上であり、幅広面の4ゾーン末端では、温度回復温度が900℃以上である、
ことを特徴とする冷却方法。
【請求項2】
前記鋳片断面寸法は2100mm×250mmであり、鋳造速度は0.8~1.3m/minであり、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼板の溶鋼過熱度は25℃であり、前記鋳型の幅広面冷却水量は3250L/min、水温差は7.5℃であり、前記鋳型の幅狭面の冷却水量は390L/min、水温差は8.2℃であることを特徴とする請求項1に記載の冷却方法。
【請求項3】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサで運行可能なコンピュータプログラムと、を含む産業用コンピュータデバイスであって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~2のいずれかに記載のマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法のステップを実現することを特徴とする産業用コンピュータデバイス。
【請求項4】
コンピュータプログラムを記憶した産業用コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、請求項1~2のいずれかに記載のマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法のステップを実現することを特徴とする産業用コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製鋼-連続鋳造の分野に属し、具体的には、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
微量のNb、Al、B、Vなどの合金元素を鋼に添加することは、鋼完成品の組織の結晶粒を著しく微細化し、鋼の強度や靭性などの機械的特性を向上させることができ、マイクロアロイ鋼の生産に広く使用されている。しかし、実際にNb、Al、B、Vなどの元素を含むマイクロアロイ鋼鋳片の母材の連続鋳造生産過程において、その角部に微横割れ欠陥がよく発生し、マイクロアロイ鋼の高品質化と高効率化を制限してしまう。
【0003】
中国の国内外において、マイクロアロイ鋼スラブの角部の横割れを制御する方法が多い。例えば、出願番号202110259907.Xの特許出願は、鋼種のマイクロアロイ組成、モールドパウダー物性パラメータ、鋳型と二次冷却プロセス、鋳型振動やテーパパラメータなどを最適化することにより、厚いスラブの角部割れを制御するプロセスを開示している。出願番号201510976823.2の特許出願は、鋼中の窒素含有量を低減し、Ti合金を添加することにより、鋳片凝固過程におけるNb(C、N)及びAlNの析出を低減し、冷間圧延における低合金高強度鋼の縁部の反り疵を防止する方法を開示している。出願番号201510928837.7の特許出願は、同様に、鋼にTi合金を添加することにより、鋳片凝固過程におけるNb(C、N)析出量を減少させ、二次冷却比水量を全体的に制御することによりマイクロアロイ化鋼連続鋳造スラブの角部横割れを防止する方法を開示している。特許番号201510158824.6の発明特許は、幅狭面デュアルテーパ面取り鋳型に基づき、鋼中の窒素含有量、鋳型水流速度と温度、モールドパウダー物性パラメータ及び二次冷却ゾーンの比水量を制御することにより、Nb含有鋼スラブの角部横割れを低減する方法を開示している。このようなマイクロアロイ鋼スラブの角部割れ制御方法は、鋼中の窒素含有量の制御、合金の種類と含有量の調整、鋳型モールドパウダーの最適化、二次冷却の配水プロセスなどにより、鋳片の角部組織の高温塑性を向上させ、割れ発生を低減することが多い。しかし、実際の生産では、鋼の合金の種類と含有量は機械的性質によって決定され、大きく変えることはできない。鋼中の窒素含有量は製錬技術に制限され、大幅に低減することも難しい。また、モールドパウダーの物性を最適化し、連続鋳造の配水比を全体的に向上又は減少させるだけでは、直角鋳片の角部組織の構造と結晶粒の寸法を変えることができず、そのため、鋳片の角部組織の熱可塑性を大幅に改善することもできない。
【0004】
鋼の第3脆性温度帯を効果的に回避し、鋳片の角部割れの発生を減少させるために、特許番号201610004640.9の発明特許は、コイルにより鋳片の角部の温度を上昇させ、鋳片の角部の高温を鋼の第3脆性温度帯から避けることにより、マイクロアロイ化スラブの角部割れを減少させる装置及び方法を開示している。しかし、実際のスラブ連続鋳造機の二次冷却ゾーンはロール列が密に配列された扇形セグメントで構成され、加熱コイルを設置する位置がなく、しかもストランド内は高温、高湿環境であり、実施難度が高い。実際のスラブ連続鋳造過程では二次冷却の配水プロセスを最適化することによって直角鋳片の矯正領域に入る角部の温度を大幅に高めることが困難であるという難題を鑑みて、特許番号201510846986.9及び201120136707.7などの特許は、大面取り鋳型を利用すること、すなわち、このような鋳型により、従来の直角鋳型で生産した4つの直角スラブを8つの鈍角構造スラブに変更することにより、鋳片の矯正領域に入る角部温度を大幅に上昇させ、鋼の第3脆性温度帯を回避するマイクロアロイ鋼連続鋳造鋳片の角部割れ制御方法により、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れの発生を効果的に制御する。
【0005】
研究によると、Nb、Al、B、Vなどの元素を含むマイクロアロイ鋼スラブの連続鋳造過程で角部横割れが多発する主な原因は次のとおりである。既存のスラブ連続鋳造プロセスの条件では、鋳片の角部凝固過程で粗大なオーステナイト結晶粒が極めて形成されやすく、その後の冷却過程で、鋼中のNb、Al、B、Vなどのマイクロアロイ元素とC、Nなどの元素とが結合して炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成し、これらが鋼組織粒界に鎖状に集中して析出し、粒界が脆化する。また、鋳片の角部温度がフェライト転移温度までさらに低下すると、粗大なオーステナイト粒界は網状の初析フェライト膜を生成し、鋼組織の塑性と強度を大幅に弱める。鋳片が矯正ゾーンに入ると、矯正などの作用により、鋳片の角部が塑性不足により粒界に沿って割れて横割れ欠陥を形成しやすくなる。このように、Nb、Al、B、Vなどを含む鋼連続鋳造鋳片の角部組織の結晶粒を微細化し、そのマイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させて、鋼組織全体の塑性を向上させることが、マイクロアロイ鋼連続鋳造鋳片の角部における横割れの発生を根本的に制御する鍵となる。
【0006】
研究により、高温鋼組織に対してオーステナイトからフェライトへ、フェライトからオーステナイトへの急速な転移を行う循環相変態制御冷却プロセスを実施することにより、高温鋼組織の結晶粒を著しく微細化でき、粗大なオーステナイト組織結晶粒及び後続の結晶粒界に初析フェライト膜が形成され、その高温塑性を大幅に低下させるという難題を解消できることが明らかになった。また、Nb、Al、B、Vなどを含むマイクロアロイ炭窒化物の析出温度帯で鋼組織を急速に冷却することができれば、マイクロアロイ炭窒化物を組織結晶内に分散、析出させることにより、Nb、Al、B、Vなどを含むマイクロアロイ鋼の凝固過程で組織粒界に炭窒化物が鎖状に集中して析出することにより粒界が脆化するという難題を解決し、鋳片の角部割れの発生を根本的に解消することができる。
【0007】
理論と実測により、現在主流となっているNb、Al成分を含むマイクロアロイ鋼の炭窒化物粒界に「鼻点」が析出する温度は900~970℃であることが分かった。鋳片の連続鋳造過程の角部温度のストランド方向に沿った変化を対照して、この温度帯に対するストランド位置は主に連続鋳造機の幅狭面フートロールの領域に集中していることがわかった。そのため、N、b、Alを含む炭窒化物が「鼻点」として析出する温度をその組織が速やかに通過するように、幅狭面フットロール内の鋳片の角部に対して強いスプレーによる冷却を実施する必要がある。
【0008】
また、鋳型から出た鋳片の角部温度が950~1000℃であることが多い。この温度での鋼組織はオーステナイトであり、オーステナイトからフェライトへ、フェライトからオーステナイトへの急速な変態の循環相変態プロセスを実施する前に組織構造が元オーステナイトで無ければならないという要件を満たし、また強いスプレー冷却で鋳片の角部を制御し、その組織のオーステナイトからフェライトへの急速な変態を促進する必要がある。また、鋳型出口から垂直曲げ部出口までのストランド領域内の鋳片凝固シェルが薄いため、鋳型出口から垂直曲げ部出口までのストランド領域内の鋳片凝固シェルが薄いため、幅狭面フットロール領域を経て強冷却された鋳片の角部は、二次冷却4ゾーンを出る前に組織の完全オーステナイト化温度まで急速に温度を回復することができ、それによって、鋳片の角部組織のオーステナイトからフェライトへ、フェライトからオーステナイトへの急速な変態の循環相変態を実現し、結晶粒を微細化することができる。
【0009】
しかし、実際のスラブの連続鋳造生産では、従来の幅狭面フットロールゾーンのスプレーは、中央に3~6本の単列ノズルを配置するだけの構造であったが、ノズルの噴射角度及び水量分布特性の制限により、噴射された扇面縁部にある冷却水は鋳片の角部を効率的に冷却することができないため、高温の鋳片角部の急冷を実現することが困難であり、その結果、組織にオーステナイトからフェライトへの急変と炭窒化物の分散析出が生じる。
【0010】
現在、連続鋳造鋳片の角部を強冷却して組織粒を微細化したり、そのマイクロアロイ炭窒化物を分散、析出したりする方法が開発されており、主に鋳片の幅広面又は幅狭面の水量を全体的に増加させることである。例えば、特許番号201010259985.1の発明特許は、連続鋳造機の垂直区間において、鋳片の幅広面と幅狭面の水量を全体として2~5倍増加させ、鋳片表面を3~10℃/sの冷却速度で冷却する方法を開示している。しかし、宝鉄集団社と攀枝花鉄鋼集団などの実践により、連続鋳造鋳片の幅広面と幅狭面の冷却水量を全体的に大幅に増加することは、鋳片の幅広面の縦割れ欠陥を引き起こしやすく、しかも鋳片の角部の局部に対する強冷却作用の効果には限りがあることが明らかになった。また、垂直区間内の強化鋳片の幅広面と幅狭面を冷却することにより、鋳片の凝固を促進し、鋳片凝固終点位置を進行させ、鋳片凝固終点の圧下などのプロセスを変更する。
【0011】
特許番号201210348907.8の発明特許、鋳型を出た後の鋳片の冷却強度を全体的に増加させ、3~8℃/sの冷却速度で鋳片表面を冷却し、鋳片表層の炭窒化物を分散、析出させ、組織にオーステナイトからフェライトへの変態を生じさせ、その後、弱冷温度回復により組織のフェライトからオーステナイトへの変態を実現することにより、鋼組織の結晶粒を微細化する、マイクロアロイ鋼スラブの角部横割れを低減するための二次冷却制御方法を開示する。同様に、特許番号201810964557.5の発明特許は、冷間圧延素材鋳片の角部横割れを解消する方法を開示しており、幅広面フットロールゾーン間内の鋳片を全体的に強冷却することにより、鋳片表層析出物をマトリックス中に固溶させ、曲げ区間内で鋳片を緩冷却することにより、その表層組織粒界における初析フェライト膜の生成を回避する。出願番号201210348907.8及び201810964557.5の発明特許は、出願番号201010259985.1の特許と思想が類似しており、いずれも二次冷却高温ゾーン内の鋳片の冷却水量を全体的に増加させることにより、その角部を強冷却する。実際の実施過程においても、鋳片の幅広面の表面縦割れが発生しやすく、鋳片の凝固末端位置が変化し、鋳片の角部の局部的な強冷却効果が良くないという欠点がある。
【0012】
特許番号201510005720.1の発明特許は、連続鋳造機の幅狭面フットロールゾーンの下の垂直曲げ部の両側に、鋳片幅の変化に適応し、かつ水量を独立に制御する、鋳片角部強スプレー冷却システムを取り付け、鋳片の角部組織の結晶粒を強冷却して微細化することを開示している。鋳片角部を強冷却してスプレーするスプレースタンドは水平駆動装置であり、ノズルを異なる幅の鋳片の角部に合わせて強くスプレーして冷却することができる。しかし、実際のスラブ連続鋳造では、垂直曲げ部の空間は狭く、その内部に伸縮制御駆動装置を追加してスプレースタンドを全体として水平に移動させることは困難である。また、垂直曲げ部は高温蒸気環境であるので、駆動構造の長時間の利用が困難である。また、幅狭面フットロールの下の鋳片角部の温度はすでに900℃以下に下がり、Nb、Al、Bなどを含む炭窒化物の析出「鼻」温度より低く、この種の炭窒化物の分散析出を効果的に制御できない。
【0013】
特許番号201510005720.1においてスプレースタンドが駆動されにくいという欠点に対して、特許番号201510534316.3の発明特許は、連続鋳造機の幅狭面フットロールゾーンの端部に、鋳片の内側アークと外側アークの角部を強くスプレーして冷却するノズルを3~7組追加して、鋳片の角部を強冷却することにより、鋳片の角部組織の結晶粒を微細化する制御システム及び方法を開示している。この特許では、強冷却スプレースタンドは幅狭面フットロールの下に固定して接続されている。しかし、実際の生産では、鋳型及びその幅狭面フットロール延長スプレースタンドは天車で吊り上げて連続鋳造機のストランド内に入れなければならず、投入する時、天車の揺れにより、この延長強冷却スプレースタンドに衝突しやすい。また、延長強冷却スプレースタンドを備えた鋳型を載置するには、専用の鋳型保管台を新設する必要がある。また、この特許のスプレー構造は幅狭面フットロールの下に設置しやすく、すなわち、鋳片の角部の温度も900℃以下に低下しており、Nb、Al、Bなどを含む炭窒化物の析出の「鼻点」の温度より低くなっており、同様にこの種の炭窒化物の分散析出を効果的に制御できないという問題がある。
【0014】
特許番号201810329636.9の発明特許は、マイクロアロイ鋼薄スラブの角部割れ制御装置及び制御方法を開示しており、この制御装置は、鋳型幅狭面の下口における強スプレーシステムを増設しており、薄スラブの角部を20℃/秒~35℃/秒の平均冷却速度で強冷却し、薄スラブの角部にマイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させ、薄スラブの角部組織の結晶粒を微細化する。しかし、薄スラブ連続鋳造機は、通常スラブ、幅厚スラブ、及び極厚スラブ連続鋳造機とは構造上の違いが大きく、薄スラブ連続鋳造機の鋳型の幅狭面の下にはフットロール構造がなく、この特許は、薄スラブ鋳型の幅狭面の下に鋳片の内側アークと外側アークの角部を対象とした強冷却スプレー用の千鳥式スプレースタンドを1組追加すればよい。一方、通常スラブ、幅厚スラブ、極厚スラブ連続鋳造機の幅狭面の下には、サイドガイドローラ、幅狭面ノズル等の複雑な構造を有する幅狭面フットロールが配置されている。特許番号201820702023.0の実用新案特許は、同様に特許番号201810329636.9と類似した、薄スラブ鋳型の幅狭面の下に、薄スラブの内側アークと外側アーク角部を対象とした千鳥式強冷却スプレー構造を1組追加したものを開示しており、これも薄スラブ連続鋳造機にのみ適用できる。
【0015】
特許番号201911192737.7の発明特許は、連続鋳造スラブの角部におけるオーステナイト結晶粒寸法を制御する方法及び装置を開示している。この装置は、鋳型の幅狭面銅板を短くし、その下方のフットロールゾーンに複数列の強冷却スプレーノズルを設置するものでる。上部ノズルが鋳片表面に対して30~80の角度で下方に傾斜し、下部ノズルが鋳片表面に対して垂直にスプレーすることにより、鋳型を出た鋳片の幅狭面の冷却強度を向上させ、連続鋳造鋳片の角部のオーステナイト結晶粒を微細化する。しかし、このフットロール型強スプレー装置も鋳片の幅狭面全体を強冷却するものである。また、その延長されたスプレー構造も特許番号201510534316.3の発明特許と類似しており、鋳型の生産ラインへの装着に不利である。
【0016】
また、「マイクロアロイ鋼連続鋳造鋳片の角部割れ制御技術の研究開発と応用」と「ニオブ含有マイクロアロイ鋼連続鋳造鋳片の角部割れ制御のための新しい二次冷却プロセス」をタイトルとする学術論文では、鋳型の幅狭面フットロールに基づく鋳片角部強冷却構造を開発した。これは鋳片の角部を局所的に強冷却し、独立した回路で制御しているが、図からわかるように、この冷却制御構造は依然として、幅狭面フットロールの下に取り付けられた、鋳片の内側アーク角部又は内側アークと外側アーク角部をスプレーする1対のスプレースタンドであり、その本質は特許番号201510534316.3の特許技術の実用化である。
【0017】
そのため、実際の通常スラブ、幅広スラブ及び極厚スラブの連続鋳造機の構造及びマイクロアロイ鋼の連続鋳造生産技術の特徴、連続鋳造機のオンライン幅調整などの実際の生産要求と合わせて、連続鋳造鋳型の出口下方に、現場設置が容易で、鋳片の角部組織を強くスプレートして冷却することを安定的に実施する冷却制御装置及びその自動配水制御システムを開発する。本発明は、鋳片角部の皮下0~10mmの範囲で組織のオーステナイトからフェライトへ、フェライトからオーステナイトへの循環相変態による結晶粒の微細化及びマイクロアロイ炭窒化物の分散析出を満足し、鋳片角部組織を高可塑化する割れ制御冷却プロセスを開発した。これにより、従来のマイクロアロイ鋼スラブ、幅厚スラブ及び極厚スラブの角部を欠陥なく連続鋳造して生産することができ、重要な意義があり、普及や応用の将来性が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上記の従来のマイクロアロイ鋼スラブの角部割れ制御技術の欠点に対して、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様は、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法であって、
マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅狭面フットロールのゾーン内でオーステナイトからフェライトへ転移させて、マイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させるために、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールの強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定するステップと、
マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅広面4ゾーンの出口までに完全に再度オーステナイト化するために、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定するステップと、
前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、鋳型の下に位置する幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を決定するステップと、
決定した前記幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4ゾーンの冷却水量で、二次冷却1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却するステップと、を含むマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法を提供する。
【0020】
さらに、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの連続鋳造プロセスのパラメータを取得するステップと、
前記連続鋳造プロセスのパラメータに基づいて、商用有限要素ソフトウェア又は自己プログラミングを利用して、晶析器と二次冷却1~4ゾーン段階を含む連続鋳造スラブの三次元非定常温度場計算モデルを作成し、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布を算出するステップと、
前記算出したマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布から、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールのゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度と、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度とを決定するステップと、をさらに含み、
前記連続鋳造プロセスのパラメータは、鋳片断面寸法、鋳造速度、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの溶鋼過熱度、晶析器の幅広面冷却水量と水温差、及び晶析器の幅狭面冷却水量と水温差を含むことを特徴とする。
【0021】
さらに、前記鋳片断面寸法は2100mm×250mmであり、鋳造速度は0.8~1.3m/minであり、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼板の溶鋼過熱度は25℃であり、前記晶析器の幅広面冷却水量は3250L/min、水温差は7.5℃であり、前記晶析器の幅狭面の冷却水量は390L/min、水温差は8.2℃であることを特徴とする。
【0022】
さらに、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織は、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでは、平均冷却速度が5℃/s以上であり、最低冷却温度が550~600℃であり、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでは、平均温度回復速度が3.5℃/s以上であり、幅広面4ゾーン末端では、温度回復温度が900℃以上であることを特徴とする。
【0023】
本発明の別の態様は、また、
マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅狭面フットロールゾーン内でオーステナイトからフェライトへ転移させて、マイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させるために、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定する第1パラメータ決定モジュールと、
マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅広面4ゾーンの出口までに完全に再度オーステナイト化するために、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定する第2パラメータ決定モジュールと、
前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を決定する第3パラメータ決定モジュールと、
決定した前記幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4ゾーンの冷却水量で、二次冷却1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却する冷却モジュールと、を含むマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却システムを提供する。
【0024】
さらに、前記幅狭面フットロール型冷却装置は、
前記幅狭面フットロールの表面側のフレーム縁部に設けられ、水チャンネルに連通する第1ノイズ群と、
前記幅狭面フットロールの表面側におけるフレームの他方の側の縁部に設けられ、前記第1ノイズ群の前記幅狭面フットロールの表面側でのフレームとは幅が対称的である第2ノイズ群と、
前記幅狭面フットロールのフレーム内に設けられ、前記第1ノイズ群及び第2ノイズ群にそれぞれ連通する前記水チャンネルと、
前記水チャンネルに連通しており、流量計、空気圧調整弁及び遮断弁が設けられ、前記流量計、空気圧調整弁及び遮断弁がそれぞれ前記冷却モジュールに電気的に接続され、前記冷却モジュールが決定した前記幅狭面フットロール型冷却装置の水量に応じて前記遮断弁をオンにし、前記流量計により検出された給水配管の流量に応じて前記空気圧調整弁の開度の大きさを制御する前記給水配管と、を含。
【0025】
さらに、前記幅狭面フットロール型冷却装置は、産業用コンピュータと、ヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースと、PLC制御システムと、をさらに含み、前記産業用コンピュータ、流量計及び空気圧調整弁はケーブルを介して前記PLC制御システムに接続され、前記産業用コンピュータは前記PLC制御システムに通信可能に接続され、前記ヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースは前記産業用コンピュータに取り付けられ、システムメンテナンスバックエンドとリアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースと、を含み、前記システムメンテナンスバックエンドはデータ通信モジュール、データリアルタイム収集モジュール、水量計設定モジュール、流量校正モジュール、水量リアルタイム配信モジュール、データ記憶モジュール及び履歴データクエリモジュールを含み、
データ通信モジュールは、前記産業用コンピュータと前記PLC制御システムとをリアルタイムで通信可能に接続し、前記産業用コンピュータと前記PLC制御システムとの間の現在通信状況を表示し、
データリアルタイム収集モジュールは、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの鋼種、炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、流量計流量データをリアルタイムで収集し、
水量計設定モジュールは、水量計を作成、変更及び保存する機能を有し、
水量リアルタイム配信モジュールは、リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースによって選択された水量計及び水量配信モードに従って、現在の鋳造速度に合わせる冷却水量を配信し、
データ記憶モジュールは、データ収集周期に対応する鋼種、炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、流量計流量及びシステムの現在時間リアルタイムデータを所定のデータベースに記憶し、
前記履歴データクエリモジュールは、リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースによって選択されたデータクエリ方式、データクエリ範囲に基づいて、データ記憶データベースを呼び出し、クエリ対象のデータを抽出。
【0026】
さらに、前記第1ノイズ群及び第2ノイズ群は、幅狭面フットロールの既存の中間列のノイズ群の両側に設けられ、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの鋳造速度の方向に沿って4~6個のノイズが均等に設けられ、前記第1ノイズ群の4~6個のノイズの中心が同一直線上にあり、この4~6個の前記第1ノイズ群のノイズの中心が位置する直線が、前記既存の中間列のノイズ群のノイズの中心が位置する直線に平行し、前記第2ノイズ群は前記既存の中間列のノイズ群の他方の側に位置し、その4~6個のノイズの中心が同一直線上にあり、この4~6個の前記第2ノイズ群のノイズの中心が位置する直線が、前記既存の中間列のノイズ群のノイズの中心が位置する直線に平行であり、4~6個の前記第1ノイズ群のノイズと4~6個の前記第2ノイズ群のノイズは2つずつ高さが同じであり、最高位置にある第1ノイズ群のノイズ及び第2ノイズ群のノイズは既存の中間列のノイズ群の最上方又は2番目のノイズから始まり、各ノイズの取り付け高さは、対応する高さにおける既存の中間列のノイズ群のノイズの高さと同じであり、前記第1ノイズ群の隣接する2つのノイズ間の距離と前記第2ノイズ群の隣接する2つのノイズ間の距離とが同じであり、
前記第1ノイズ群のノイズの噴射角が45°~90°であり、ノイズ末端から鋳片の幅狭面の表面までの垂直方向の高さが40~100mmであり、ノイズ群の各ノイズの軸方向延長線が、対応する鋳片の幅狭面の角部と交差し、前記第2ノイズ群のノイズの噴射角が-45°~-90°であり、ノイズ末端から鋳片の幅狭面の表面までの垂直方向の高さが40~100mmであり、ノイズ群の各ノイズの軸方向延長線が、対応する鋳片の幅狭面の角部と交差し、前記第1ノイズ群のノイズ及び第2ノイズ群のノイズから噴射された冷却水の、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの幅狭面の角部に対する作用幅が、角部から幅狭面の中心方向に向かって30~60mm。
【0027】
本発明の更なる態様は、また、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサで運行可能なコンピュータプログラムと、を含む産業用コンピュータデバイスであって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、上記のいずれかのマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法のステップを実現することを特徴とする産業用コンピュータデバイスを提供する。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、また、
コンピュータプログラムを記憶した産業用コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記のいずれかに記載のマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを抑制するための冷却方法のステップを実現することを特徴とする産業用コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法及びシステムでは、従来技術と比べ、本発明に係る幅狭面フットロール型冷却装置及び鋳片の幅広面1ゾーンや2ゾーンにおける強冷却制御によって、マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅狭面フットロールのゾーン内でオーステナイトからフェライトへの相変態を迅速に行い、そのマイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させ、次に、緩冷却により幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンの水量を制御し、鋳片の角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅広面4ゾーンの出口までに完全に再度オーステナイト化することにより、スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織についてオーステナイトからフェライトへ、次にフェライトからオーステナイトへの2回の相変態を行って、結晶粒を大幅に微細化し、Nb、Alを含むマイクロアロイ鋼スラブの角部組織を高可塑化することにより、そこでの割れの発生を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の以下の図面はここでは本発明の実施例の一部として本発明を説明することに用いられる。図面には本発明の実施例及びこれらの説明が示されており、これらは本発明の原理を解釈するものである。
図1】本発明の実施例に係るマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法の流れ概略図である。
図2】本発明の別の実施例に係るマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法の流れ概略図である。
図3】本発明を受けたNb含有マイクロアロイ鋼の鋳片の角部組織析出物の透過型電子顕微鏡像である。
図4】本発明を受けた鋳片の角部組織の金属組織学的外観である。
図5】本発明の1つの好適実施例に係るマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却システムのモジュールの接続概略図である。
図6】本発明の実施例に係るスラブ幅狭面フットロール型冷却装置の構造概略図である。
図7】本発明の実施例に係る給水配管の構造概略図である。
図8】本発明の実施例に係るスラブ幅狭面フットロール型冷却装置の部分構造概略図である。
図9】本発明の実施例に係る鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部を強冷却するスラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び中間ノイズの横方向配置の図である。
図10】本発明の実施例に係るスラブ幅狭面フットロール型冷却装置の運行原理及び論理のブロック図である。
図11】本発明の一実施例における産業用コンピュータデバイスの構造概略図である。
図12】本発明の一実施例における産業用コンピュータデバイスの別の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明では、本発明のより完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が与えられる。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本発明は、これらの詳細の1つ又は複数を必要とせずに実施することができる。他の例では、本発明との混同を避けるために、当業者に知られている技術的特徴の一部については説明されていない。
【0032】
なお、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するためにのみ使用されるものであり、本発明による例示的な実施例を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形はまた、文脈で特に明示的に指摘されない限り、複数形も含むことを意図する。さらに、用語「含む」及び/又は「備える」が本明細書において使用される場合、前記特徴、全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を示すが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除しないことを理解されたい。
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係る例示的な実施例についてより詳細に説明する。しかしながら、これらの例示的な実施例は様々な異なる形態で実施することができ、本明細書に記載された実施例に限定されるものと解釈すべきではない。これらの実施例は、本発明の開示を完全かつ徹底的なものとし、これらの例示的な実施例の構想を当業者に十分に伝えるために提供されていることが理解されるべきである。
【0034】
本発明によるマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法は、図1に示すように、ステップS101~S104を含む。
【0035】
S101、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定する。
【0036】
S102、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定する。
【0037】
S103、前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を決定する。
【0038】
S104、決定した前記スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4ゾーンの冷却水量で、二次冷却1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却する。
【0039】
以下、鋳片の厚さが250mm、幅が2100mmのAH36 Nb含有マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法の実施例についてさらに説明し、その鋼種組成を表1に示す。
【0040】
表1 AH36 Nb含有高強度船板鋼の主要な成分(wt%)
【0041】
本実施例では、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法は、幅狭面フットロールをもって、連続鋳造生産対象となる厚さ250mmのスラブの内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部を強冷却し、連続鋳造現場での鋳造速度の変化に応じて、スラブの角部の皮下0~10mm範囲の組織がオーステナイトからフェライト、次にフェライトからオーステナイトへの循環相変態を迅速に行って、結晶粒を微細化し、Nb(C、N)を分散、析出させるスラブ幅狭面フットロール型冷却装置、及び幅広面1~4ゾーンのそれぞれに対応する冷却水量をオンラインでリアルタイムに配信することにより、AH36 Nb含有鋼スラブの連続鋳造において、鋳片の4つの隅の皮下0~10mm深さの範囲内の室温フェライト結晶粒を35μm以下まで微細化し、Nb(C、N)を分散、析出させ、高可塑化することで、鋳片の角部割れの発生を制御する。
【0042】
本発明で決定した、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置、及び幅広面1~4ゾーンのそれぞれに対応する冷却水量に基づいて、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブを強冷却して制御することにより、マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅狭面フットロールゾーン内で迅速にオーステナイトからフェライトへ転移させ、そのマイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させ、次に、緩冷却により幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンの水量を制御し、鋳片の角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅広面4ゾーンの出口までに完全に再度オーステナイト化することにより、スラブの角部の組織をオーステナイトからフェライトへ、次にフェライトからオーステナイトへの循環相変態を行って、結晶粒を大幅に微細化し、AH36 Nb含有マイクロアロイ鋼スラブの角部組織を高可塑化することによって、そこでの割れの発生を制御する。
【0043】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、冷却方法は、ステップS201~S203をさらに含む。
【0044】
S201、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの連続鋳造プロセスのパラメータを取得する。
【0045】
ここでは、前記連続鋳造プロセスのパラメータは、鋳片断面寸法、鋳造速度、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの溶鋼過熱度、晶析器の幅広面冷却水量と水温差、及び晶析器の幅狭面冷却水量と水温差を含む。
【0046】
前記鋳片断面寸法は2100mm×250mmであり、鋳造速度は0.8~1.3m/minであり、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼板を鋳造する溶鋼過熱度は25℃であり、前記晶析器の
幅広面冷却水量は3250L/min、水温差は7.5℃であり、前記晶析器幅の狭面冷却水量は390L/min、水温差は8.2℃である。
【0047】
S202、前記連続鋳造プロセスのパラメータに基づいて、商用有限要素ソフトウェア又は自己プログラミングを利用して、晶析器と二次冷却1~4ゾーン段階を含む連続鋳造スラブの三次元非定常温度場計算モデルを作成し、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布を算出する。
【0048】
S203、前記算出したマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布から、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度、及び決定連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定する。
【0049】
さらに、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織は、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでは、平均冷却速度が5℃/s以上であり、最低冷却温度が550~600℃であり、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでは、平均温度回復速度が3.5℃/s以上であり、幅広面4ゾーン末端での温度回復温度が900℃以上である。
【0050】
ここで、表2に基づくAH36鋼連続鋳造スラブについて、さまざまな鋳造速度で、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールゾーンでの平均冷却速度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定し、表2に示すスラブ幅狭面フットロールの既存の中間列のノイズ群10、第1ノイズ群11、第2ノイズ群12、及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を配信して、断面2100mm×250mmの連続鋳造片の試作を行う。試作により得られたマイクロアロイ鋼スラブの内側アーチ及び外側アーチの角部の皮下0~10mm範囲内の組織について透過顕微鏡と金属顕微鏡により検出し、図3及び図4に示すスラブの角部の皮下10mmでのNb(C、N)の分散状分布及び結晶粒の微細化組織を取得する。表2に示す各鋳造速度での「冷却方法」に対応するスラブ幅狭面フットロール型冷却装置、及び前記幅広面1~4ゾーンのそれぞれに対応する冷却水量をAH36 Nb含有鋼の断面2100mm×250mmのスラブの連続鋳造における角部割れを制御する冷却方法に用いる。
【0051】
表2 断面2100mm×250mmのAH36鋼の連続鋳造部分における鋳造速度と水量との関係(水量単位:l/min)
注:表2におけるAは特定の水量の値である。
【0052】
本発明によるマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法は、スラブ連続鋳造機の幅狭面フットロールゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼連続鋳造片の角部を効果的に強冷却することができ、鋳片の角部組織の循環相変態による結晶粒微細化、及びマイクロアロイ炭窒化物の分散析出プロセスによる強冷却の要件を満たす。
【0053】
本発明によるマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却システムは、図5に示すように、第1パラメータ決定モジュールと、第2パラメータ決定モジュールと、第3パラメータ決定モジュールと、冷却モジュールと、を含む。以下、各機能モジュールについて詳細に説明する。
【0054】
第1パラメータ決定モジュール51は、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定する。
【0055】
第2パラメータ決定モジュール52は、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定する。
【0056】
第3パラメータ決定モジュール53は、前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を決定する。
【0057】
冷却モジュール54は、決定した前記スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4ゾーンの冷却水量で、二次冷却1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却する。
【0058】
本発明によるマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却システムでは、従来技術と比べて、本発明に係る幅狭面フットロール型冷却装置及び鋳片の幅広面1ゾーンや2ゾーンにおける強冷却制御によって、マイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅狭面フットロールゾーン内でオーステナイトからフェライトへの相変態を迅速に行い、そのマイクロアロイ炭窒化物を分散、析出させ、次に、緩冷却により幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンの水量を制御し、鋳片の角部の皮下0~10mm範囲内の組織を幅広面4ゾーンの出口までに完全に再度オーステナイト化することにより、スラブの角部の組織についてオーステナイトからフェライトへ、次にフェライトからオーステナイトへの循環相変態を行って、結晶粒を大幅に微細化し、マイクロアロイ鋼スラブの角部組織を高可塑化することにより、そこでの割れの発生を抑制する。
【0059】
一実施例では、冷却システムは、
前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの連続鋳造プロセスのパラメータを取得するパラメータ取得モジュールと、
前記連続鋳造プロセスのパラメータに基づいて、商用有限要素ソフトウェア又は自己プログラミングを利用して、晶析器と二次冷却1~4ゾーン段階を含む連続鋳造スラブの三次元非定常温度場計算モデルを作成し、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布を算出する温度場分布範囲取得モジュールと、
前記算出したマイクロアロイ鋼スラブの温度場分布から、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロールゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度、及び決定連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定するパラメータ決定モジュールと、をさらに含む。
【0060】
一実施例では、図6~9に示すように、前記スラブ幅狭面フットロール型冷却装置は、第1ノイズ群と、第2ノイズ群と、水チャンネル1と、給水配管2と、を含み、第1ノイズ群は幅狭面フットロール表面側のフレーム3の縁部に設けられ、水チャンネル1に連通し、第2ノイズ群は、幅狭面フットロール表面側におけるフレーム3の他方の側の縁部に設けられ、第1ノイズ群の幅狭面フットロール表面側でのフレーム3とは幅が対称的であり、水チャンネル1は幅狭面フットロールフレーム3内に設けられ、第1ノイズ群及び第2ノイズ群にそれぞれ連通し、給水配管2は水チャンネル1に連通しており、流量計4、空気圧調整弁5及び遮断弁6が設けられ、流量計4、空気圧調整弁5及び遮断弁6がそれぞれ冷却モジュールに電気的に接続され、冷却モジュールは決定したスラブ幅狭面フットロール型冷却装置の水量に応じて、遮断弁6をオンにし、流量計4により検出された給水配管の流量に応じて、空気圧調整弁5の開度の大きさを制御する。
【0061】
本発明によるスラブ幅狭面フットロール型冷却装置は、連続鋳造機の幅狭面フットロールに基づいて、幅狭面フットロールに外付け給水配管2を増設し、幅狭面フットロール表面側のフレーム3内に水チャンネル1を設け、マイクロアロイ鋼スラブの内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部を強冷却するフットロール縁部に第1ノイズ群及び第2ノイズ群を設けたものである。ここでは、給水配管2は幅狭面フットロールの側部のノイズ群部材から独立しており、寸法DN50又はDN65のステンレス鋼管を介して二次冷却ハイドロバルブステーション内の二次冷却用主給水配管2に連結してから、遮断弁6、空気圧調整弁5、流量計4の水路制御及び検出素子に順に接続され、晶析器の振動フレーム3付近まで敷設されると2つに分けられ、金属ホースを介してそれぞれ晶析器の両側までの幅狭面フットロール表面側のフレーム3に増設された給水口7に接続される。幅狭面フットロール表面側のフレーム3に増設された外付け給水配管2の給水能力を設計する原則は以下のとおりである。連続鋳造の最大鋳造速度での鋳片の4つの隅の皮下0~10mm深さの範囲におけるマイクロアロイ炭窒化物の分散析出及びオーステナイトからフェライトへの効率的な転移を満たす水量を基準にして、20%向上させる。幅狭面フットロール表面側のフレーム3に増設された外付け給水配管2の各制御及び検出素子の流量パラメータは給水配管2の給水能力に合わせる。晶析器の両側にある幅狭面フットロール表面側のフレーム3に増設された水受け部に接続された金属ホース7の呼び径はDN40又はDN50とし、ここでは、幅狭面フットロール表面側のフレーム3は晶析器の下に設けられる。
【0062】
一実施例では、図6に示すように、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置は、産業用コンピュータ8と、ヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースと、PLC制御システム9と、をさらに含み、産業用コンピュータ8、PLC制御システム9、流量計4及び空気圧調整弁5はケーブルを介してPLC制御システム9に接続され、産業用コンピュータ8はPLC制御システム9に通信可能に接続され、ヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースは産業用コンピュータ8内に取り付けられ、ヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースは、システムメンテナンスバックエンドとリアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースとを含み、システムメンテナンスバックエンドはデータ通信モジュール、データリアルタイム収集モジュール、水量計設定モジュール、流量校正モジュール、水量リアルタイム配信モジュール、データ記憶モジュール及び履歴データクエリモジュールを含む。データ通信モジュールは、産業用コンピュータ8とPLC制御システム9とをリアルタイムで通信可能に接続し、産業用コンピュータ8と前記PLC制御システム9との間の現在通信状況を表示する。データリアルタイム収集モジュールは、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼の鋼種、炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、流量計4流量データをリアルタイムで収集する。水量計設定モジュールは、水量計を作成、変更及び保存する機能を有する。水量リアルタイム配信モジュールは、リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェース中の水量計及び水量配信モードに従って、現在の鋳造速度に合わせる冷却水量を配信する。データ記憶モジュールは、データ収集周期に対応する鋼種、炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、流量計4流量及びシステムの現在時間リアルタイムデータを所定のデータベースに記憶する。履歴データクエリモジュールは、リアルタイム作動状況情報/表示操作フロントエンドインターフェースによって選択されたデータクエリ方式、データクエリ範囲に基づいて、データ記憶データベースを呼び出し、クエリ対象のデータを抽出する。
【0063】
ここで、データリアルタイム収集モジュールのデータ収集周期は一般には0.5~3sとする。流量校正モジュールは空気圧調整弁開度と流量との関係を校正し、リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースが空気圧調整弁の開度水量配信モード又は流量水量配信モードのいずれかを選択しても、必要な水量を正確に配信することができる。リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースは、リアルタイム作動状況表示領域と操作領域との2つの部分を含む。前記実施作動状況表示領域は、連続鋳造鋼種、炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、実際の配信水量、及び設定配信水量の情報を数字や曲線の形でリアルタイムに表示する。操作領域は水量配信モード選択ドロップダウンリスト、安全水量設定キー、水量計選択ドロップダウンリスト、履歴データクエリキー、バックエンドメンテナンスキー、システム終了キーからなる。これらのうち、水量配信モード選択ドロップダウンリストには空気圧調整弁開度水量配信モード、流量水量配信モード、安全水量モードが含まれている。空気圧調整弁開度水量配信モード及び流量水量配信モードのいずれが選択されても、システムは流量校正モジュールによって校正された空気圧調整弁開度と水量との間の関係に従って、水量リアルタイム配信モジュールを利用して、リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースによって選択された水量計に基づいて、水量計における現在鋳造速度に合わせる水量を正確に配信する。安全水量モードは、鋳造速度に関わらず、水量リアルタイム配信モジュールが配信する一定の水量値であって、一般には40~80L/minに設定されてもよく、この値は安全水量設定キーによって設定、変更される。水量計選択ドロップダウンリストはメンテナンスバックエンドにより作成された水量計に自動的に関連付けられる機能を有する。水量計選択ドロップダウンリストを通じて水量計が選択されると、水量リアルタイム配信モジュールは、対応する名称を有する水量計をマッチングさせ、現在の鋳造速度に応じて水量配信モードでリストを通じて選択されるモードを選択し、水量を正確に配信する。履歴データクエリキーは、操作者が時間帯や単一炉番号や多炉番号に従ってクエリできるように、曲線やデータ表の形式でクエリ対象の炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、実際の配信水量のうちの情報の一部又は全部を提供する機能を備える。バックエンドメンテナンスキーはシステムメンテナンスバックエンドに入るチャネルとして機能する。システム終了キーはシステムを終了してシャットダウンするものである。
【0064】
PLC制御システム9は産業用コンピュータ8、調整弁及び流量計4に接続される。PLC制御システム9は調整弁及び流量計4の信号を変換してから、産業用コンピュータ8に送信し、これらの信号はヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースシステムメンテナンスバックエンドによって受信、記憶され、リアルタイム作動状況情報表示/操作フロントエンドインターフェースによって表示され、PLC制御システム9はヒューマン・マシン・インタラクション・インターフェースによって配信される水量(流量校正モジュールにより校正されて、空気圧調整弁開度に変換)又は空気圧調整弁開度信号に基づいて、調整弁の開度をリアルタイムで調整することで、前記スラブの角部割れを制御するための冷却システムの水量を制御してリアルタイムかつ正確に配信させる。
【0065】
図7図10に示すように、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置の運行原理及び論理は以下のとおりである。
【0066】
制御システムが起動すると、バックエンドメンテナンスインターフェースはPLC制御システム9との通信モジュールを通じて、産業用コンピュータ8とPLC制御システム9との通信が良好か否かを判定する。通信が失敗すれば、通信失敗を通知し、そうでなければ、システムが前回に閉じられる前に保存した空気圧調整弁開度と流量との関係及び安全水量を読み取る。空気圧調整弁開度と流量との関係の再校正が必要である場合、バックエンドメンテナンスキーをクリックして、流量校正モジュールを起動し、データリアルタイム収集モジュールによって、無負荷条件での空気圧調整弁開度と流量計4流量データをリアルタイムで収集し、流量を再校正して保存する。同様に、安全水量の修正が必要である場合、安全水量設定キーをクリックして、新しい安全水量を設定する。上記の工程のいずれも不要である場合、現在の連続鋳造鋼種に応じて、水量計の作成又は修正が必要か否かを判断し、必要であれば、バックエンドメンテナンスキーをクリックして、水量計設定モジュールを起動し、水量計を作成又は修正する。必要でなければ、水量計選択ドロップダウンリスト及び水量配信モードドロップダウンリストを開き、対応する水量計及び水量配信モードを選択し、水量リアルタイム配信モジュールは選択された水量計及び水量配信モードに従って、PLC制御システム9によって各鋳造速度水量での空気圧調整弁開度をリアルタイムで配信し、前記スラブの角部割れを制御するための冷却システムに冷却水量を正確に配信し、対応する各データ収集周期の鋼種、炉番号、鋳造速度、空気圧調整弁開度、流量計4流量及びシステムの現在時間のリアルタイムデータを所定のデータベースに記憶する。
【0067】
上記のスラブ幅狭面フットロール型冷却装置によれば、生産対象のマイクロアロイ種及びその鋳片断面寸法、鋳造速度、溶鋼過熱度などのパラメータを併せて、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置の自動配水制御システム及び連続鋳造機に既存の2段制御システムを利用して、連続鋳造の鋳造速度に基づいて、下記の方法で決定されたスラブの角部割れを制御するための冷却システムの第1ノイズ群と第2ノイズ群の水量、幅狭面フットロールの既存の中間列のノイズ10回路の水量、及び二次冷却幅広面1~4ゾーンの水量をオンラインでリアルタイムに配信する。連続鋳造機の円弧状ゾーンの各段、矯正ゾーンの各段及び水平段における各二次冷却ゾーンの水量は元の各二次冷却ゾーンの水量と同じに維持される。
【0068】
前記の各マイクロアロイ種及びその連続鋳造断面と鋳造速度では、鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部をスプレーして強冷却する、スラブの角部割れを制御するための冷却システムにおいて、第1ノイズ群と第2ノイズ群の水量、幅狭面フットロールの既存の中間列のノイズ10回路の水量、及び二次冷却幅広面1~4ゾーンの水量を決定する方法は以下に示される。連続鋳造スラブの二次冷却温度場のコンピュータによる数値シミュレーション計算と、現場で試作された鋳片の内側アーチ及び外側アーチの角部の皮下0~10mm範囲の組織結晶粒に対する微細化効果との両方により決定する。
【0069】
さらに、既存の中間列のノイズ群は、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの長手方向に分布して配置された4~6個の中間ノイズ10を含み、4~6個の中間ノイズ10の中心が同一直線上にある。幅狭面フットロール型冷却装置は第1ノイズ群と第2ノイズ群を含み、第1ノイズ群及び第2ノイズ群は幅狭面フットロールの既存の中間列のノイズ群の両側に設けられ、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの鋳造速度の方向に沿って4~6個の第1ノイズ11が均等に設けられる。第1ノイズ群の4~6個の第1ノイズ11の中心が同一直線上にあり、この4~6個の第1ノイズ群の第1ノイズ11の中心が位置する直線は既存の中間列のノイズ群の中間ノイズ10の中心が位置する直線に平行する。第2ノイズ群は既存の中間列のノイズ群の他方の側に位置し、その4~6個の第2ノイズ12の中心が同一直線上にあり、この4~6個の第2ノイズ群の第2ノイズ12の中心が位置する直線が、既存の中間列のノイズ群の中間ノイズ10の中心が位置する直線に平行である。4~6個の第1ノイズ群の第1ノイズ11と4~6個の第2ノイズ群の第2ノイズ12は2つずつ高さが同じであり、最高位置にある第1ノイズ群の第1ノイズ11及び第2ノイズ群の第2ノイズ12は既存の中間列のノイズ群の最上方又は2番目の中間ノイズ10から始まり、各ノイズの取り付け高さは、対応する高さにおける既存の中間列のノイズ群の中間ノイズ10の高さと同じであり、第1ノイズ群の隣接する2つの第1ノイズ11間の距離と第2ノイズ群の隣接する2つの第2ノイズ12間の距離とが同じである。第1ノイズ群の第1ノイズ11の噴射角が45°~90°であり、第1ノイズ11の末端から鋳片の幅狭面の表面までの垂直方向の高さが40~100mmであり、第1ノイズ群の各ノイズの延長線が、対応する鋳片の幅狭面の角部と交差し、第2ノイズ群の第2ノイズ12の噴射角が-45°~90°であり、第2ノイズ12の末端から鋳片の幅狭面の表面までの垂直方向の高さが40~100mmであり、第2ノイズ群の各ノイズの延長線が、対応する鋳片の幅狭面の角部と交差し、第1ノイズ群の第1ノイズ11及び第2ノイズ群の第2ノイズ12から噴射された冷却水の、前記連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの幅狭面の角部に対する作用幅が、30~60mmである。
【0070】
幅狭面フットロール表面側のフレーム3内に増設された給水配管2は、幅狭面フットロールの既存の中間列のノイズ群部材の給水配管から独立しており、幅狭面フットロール表面側のフレーム3内の縁部の両側には、互いに連通しかつ相側部ノイズ群部材に平行する2本の水チャンネル1が別に増設されている。2本の水チャンネル1の直径は一般には25~40mmとし、各水チャンネル1の最大水通過量は一般には100L/minとし、各水チャンネル1は幅狭面フットロール表面側のフレーム3の底部から、側部ノイズ群部材の最上方又は最後から2番目の側部ノイズの高さと面一になるまで続ける。2本の水チャンネル1の鋳片の厚さ方向における位置は、幅狭面フットロール表面側のフレーム3の幅と連続鋳造片の厚さにより決定され、幅狭面フットロール表面側のフレーム3の2本の水チャンネル1が鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部を強冷却する第1ノイズ群及び第2ノイズ群に連通するように接続され、第1ノイズ群及び第2ノイズ群への安定的な給水を確保するように設計される。フレーム3内の縁部に増設された2本の水チャンネル1の、フットロール表面側に対する位置については、フットロール表面側に近い水チャンネル1の壁面からフットロール表面側のフレーム3の縁部までの距離が5~30mmである。幅狭面フットロール表面側のフレーム3内の縁部に増設された2本の水チャンネル1の連通については、従来の幅狭面フットロール表面側のフレーム3の下部に、長さ40~80mm、横断面が従来の幅狭面フットロール表面側のフレーム3の底部構造と同じ延長フレーム3を密封して溶接し、延長フレーム3内に孔を横方向に開け、幅狭面フットロール表面側のフレーム3内の縁部に増設された2本の水チャンネル1に縦方向に連通させる。また、各縁部に増設された水チャンネル1に対応する幅狭面フットロール表面側のフレーム3に水受け部を単独して増設し、金属ホース7を介して増設された2つの水受け部を接合して連通するようにしてもよい。幅狭面フットロール表面側のフレーム3に増設された水受け部と幅狭面フットロール表面側のフレーム3内に増設された縁部水チャンネル1とが接続され、これらのコネクタは寸法がDN40又はDN50であり、晶析器の振動フレーム3から晶析器の両側まで敷設された幅狭面フットロール表面側のフレーム3に増設された水受け部付近の金属ホース7に接続される。
【0071】
鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部を強冷却するフットロール縁部に増設されたスプレー構造は第1ノイズ群と第2ノイズ群からなる。第1ノイズ11及び第2ノイズ12はいずれも、既存の中間列のノイズ10の上部にある1列目又は2列目の水平方向の高さから、幅狭面フットロールの高さ方向に3~5列設けられ、各列は既存の中間列のノイズ10と面一にしてもよく、これにより、幅狭面フットロールのそれぞれの間におけるノイズの横方向における数は3つである。第1ノイズ11及び第2ノイズ12がそれぞれ接続するスプレー管13の内径はすべて12~20mmであり、幅狭面フットロール表面側のフレーム3との接続段は、ネジや溶接により幅狭面フットロール表面側のフレーム3内の2本の水チャンネル1に固定して接続される。各スプレー管13は幅狭面フットロール表面側のフレーム3から延びた後、生産対象の鋳片の厚さに応じて、第1ノイズ11と第2ノイズ12の接続端の軸方向延長線が鋳片の幅狭面の角部から幅狭面の中心へ0~20mm領域と交差するように、第1ノイズ11及び第2ノイズ12のスプレー管13は鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部側へ所定の角度で曲がるように設計し、これにより、曲げられた後に、第1ノイズ11及び第2ノイズ12の接続端の軸方向延長線が鋳片の幅狭面の角部から幅狭面の中心へ0~20mm領域と交差することが確保される。第1ノイズ11及び第2ノイズ12のそれぞれに対応するスプレー管13の長度は、曲がったスプレー管13がノイズに接続されると、第1ノイズ11及び第2ノイズ12のいずれの末端も鋳片の幅狭面との垂直方向の距離が40~100mmであるように決定される。第1ノイズ11と第2ノイズ12の接続端に対応するスプレー管13のネジ構造はそれぞれ第1ノイズ11及び第2ノイズ12のネジ構造に応じて設計される。
【0072】
前記の鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部を強くスプレーする構造の第1ノイズ11及び第2ノイズ12は純水で冷却する矩形又は円錐形のノイズである。円錐形ノイズの場合、その噴射角度は45~90°である。矩形ノイズの場合、引き抜き及び矩形ノイズに垂直な方向における噴射角度はすべて45~90°であり、鋳片の厚さ、スプレー管13の曲げ角度、ノイズ末端から鋳片の幅狭面の角部までの距離により、ノイズから噴射された冷却水の、鋳片の内側アーチ及び外側アーチの幅狭面の角部からその中心への作用幅が30~60mmに確保される。
【0073】
マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却システムに対する具体的な限定については、上記のマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法に対する限定を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。上記のマイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却システムの各モジュール部分はソフトウェア、ハードウェア及びこれらの組み合わせによって実装される。上記の各モジュールは、ハードウェアの形態で産業用コンピュータデバイスのプロセッサに埋め込まれるかプロセッサから独立してもよく、ソフトウェアとして産業用コンピュータデバイスのメモリに記憶され、プロセッサにより呼び出されて以上の各モジュールに対応する操作を実行してもよい。
【0074】
一実施例では、産業用コンピュータデバイスが提供され、この産業用コンピュータデバイスは内部構造図が図11に示されるようなサーバであってもよい。この産業用コンピュータデバイスは、システムバスを介して接続されるプロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェース及びデータベースを含む。これらのうち、該産業用コンピュータデバイスのプロセッサは計算及び制御の能力を提供するものである。該産業用コンピュータデバイスのメモリは、不揮発性及び/又は揮発性記憶媒体、内部メモリであってもよい。該不揮発性記憶媒体にはオペレーティングシステム、コンピュータプログラム及びデータベースが記憶されている。該内部メモリは不揮発性記憶媒体におけるオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムが運行するための環境を提供する。該産業用コンピュータデバイスのネットワークインターフェースはネットワークを通じて外部のクライアントに接続されて通信を行う。該コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されると、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法のサーバ側の機能又はステップを実現する。
【0075】
一実施例では、産業用コンピュータデバイスが提供され、該産業用コンピュータデバイスは、内部構造図が図12に示されるクライアントであってもよい。該産業用コンピュータデバイスは、システムバスを介して接続されるプロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェース、表示画面及び入力装置を含む。該産業用コンピュータデバイスのプロセッサは計算及び制御の能力を提供する。該産業用コンピュータデバイスのメモリは不揮発性記憶媒体、内部メモリを含む。該不揮発性記憶媒体にはオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムが記憶されている。該内部メモリは不揮発性記憶媒体におけるオペレーティングシステム及びンピュータプログラムが運行するための環境を提供する。該コンピュータデバイスのネットワークインターフェースはネットワークを介して外部サーバに接続されて通信を行う。該コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されると、マイクロアロイ鋼スラブの角部割れを制御するための冷却方法のクライアント側の機能又はステップを実現する。
【0076】
一実施例では、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで運行可能なコンピュータプログラムと、を含み、プロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定するステップと、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定するステップと、前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を決定するステップと、決定した前記スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4ゾーンの冷却水量で、二次冷却1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却するステップと、を実現する産業用コンピュータデバイスが提供される。
【0077】
一実施例では、コンピュータプログラムが記憶されており、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅狭面フットロール強冷却ゾーンでの平均冷却速度と最低冷却温度を決定するステップと、連続鋳造生産対象となるマイクロアロイ鋼スラブの角部の皮下0~10mm範囲内の組織の、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度を決定するステップと、前記平均冷却速度と最低冷却温度、幅広面3ゾーン及び幅広面4ゾーンでの平均温度回復速度、及び幅広面4ゾーン末端での温度回復温度に基づいて、スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び幅広面1~4ゾーンの冷却水量を決定するステップと、決定した前記スラブ幅狭面フットロール型冷却装置及び前記幅広面1~4ゾーンの冷却水量で、二次冷却1~4ゾーン内に位置するマイクロアロイ鋼スラブを冷却するステップと、を実現する産業用コンピュータ読み取り可能な記憶媒体がさらに提供される。
【0078】
当業者であれば、説明のしやすさと簡潔さのために、上述した各機能ユニット、モジュールの分割だけを例に挙げて説明したが、実際の応用では、上記の機能は必要に応じて異なる機能ユニット、モジュールによって行われてもよく、すなわち、前記装置の内部構造は異なる機能ユニット又はモジュールに分割されて、上記の機能の全部又は一部を行うことができる。
【0079】
なお上記の実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためにのみ使用され、これを限定するものではなく、前述の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、前述の実施例に記載された技術的解決手段を修正したり、その一部若しくは全部の技術的特徴を均等に置換したりすることができることを理解すべきである。これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の請求項に限定された範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0080】
1 水チャンネル
2 給水配管
3 幅狭面フットロールフレーム
4 流量計
5 空気圧調整弁
6 遮断弁
7 増設給水口
8 産業用コンピュータ
9 PLC制御システム
10 既存の中間列ノイズ
11 第1ノイズ
12 第2ノイズ
13 スプレー管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12