(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-23
(45)【発行日】2025-06-02
(54)【発明の名称】膜袋複合体
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20250526BHJP
【FI】
B25J15/08 S
(21)【出願番号】P 2021187042
(22)【出願日】2021-11-17
【審査請求日】2024-08-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)ウェブサイトの掲載アドレス https://www.sice-si.org/conf/si2020/index.html 掲載日 令和2年12月15日 (2)ウェブサイトの掲載アドレス https://www.sice-si.org/conf/si2020/online_pass/proceedings.html 掲載日 令和2年12月15日 (3)集会名 ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2021 in Osaka 開催日 令和3年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 侑
(72)【発明者】
【氏名】西谷 誠治
(72)【発明者】
【氏名】戸島 亮
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】釼持 優人
(72)【発明者】
【氏名】恩田 一生
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将広
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼根 英里
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106113068(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102794774(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102019211269(DE,A1)
【文献】特開2018-149639(JP,A)
【文献】特開2020-40134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する可撓性の袋体であって、流体または粉体により構成された硬化性媒体が内部に充填された前記袋体と、
前記袋体の前記開口を塞ぐように配置されたベース部材であって、前記袋体の内部と外部とを連通する連通孔を有する前記ベース部材と、
前記連通孔の中心軸方向に移動可能なように、前記連通孔に挿通された硬化部と、を有し、
前記硬化部は、前記硬化性媒体を硬化させることにより、前記袋体を任意の形状に保持する、
膜袋複合体。
【請求項2】
前記袋体は、ワークを前記袋体に押し付ける押付力によって前記ワークの形状に倣う、
請求項1に記載の膜袋複合体。
【請求項3】
前記硬化性媒体は、磁性または誘電性を有し、
前記硬化部は、磁性または誘電性を用いて、前記硬化性媒体を硬化させる、
請求項1または2に記載の膜袋複合体。
【請求項4】
前記硬化性媒体は、磁性を有し、
前記硬化部は、磁石を備える、
請求項3に記載の膜袋複合体。
【請求項5】
前記硬化性媒体は、磁性流体であり、
前記ベース部材は、前記袋体の水密性または気密性が保たれた状態で、前記硬化部が移動可能なように構成された、
請求項4に記載の膜袋複合体。
【請求項6】
前記硬化性媒体は、磁性粉体である、
請求項4に記載の膜袋複合体。
【請求項7】
前記硬化性媒体は、誘電性を有し、
前記硬化部は、電極を備える、
請求項3に記載の膜袋複合体。
【請求項8】
前記硬化性媒体は、電気粘性流体であり、
前記ベース部材は、前記袋体の水密性または気密性が保たれた状態で、前記硬化部が移動可能なように構成された、
請求項7に記載の膜袋複合体。
【請求項9】
前記硬化性媒体は、誘電性粉体である、
請求項7に記載の膜袋複合体。
【請求項10】
前記硬化性媒体は、温度の低下に伴い硬化する流体であり、
前記ベース部材は、前記袋体の水密性または気密性が保たれた状態で、前記硬化部が移動可能なように構成され、
前記硬化部は、前記硬化性媒体の温度を下げることにより、前記硬化性媒体を硬化させる、
請求項2に記載の膜袋複合体。
【請求項11】
前記硬化部は、過冷却状態の前記硬化性媒体に衝撃を加えることにより、前記硬化性媒体を硬化させる、
請求項10に記載の膜袋複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膜袋複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の工場を取り巻く環境は、人口減少による労働不足の影響で、非常に厳しい状況にある。そのため、製造工程の自動化が進められているが、近年の多品種少量生産により多様化した部品を共通のツールで組み立てることは、挑戦的な課題である。組立ツールにおいて、部品を把持または操作する装置は、例えばエンドエフェクタである。多様なワークを同一のエンドエフェクタで把持するために、剛性を変化させることができる機構を、エンドエフェクタに搭載する方法が提案されている。
【0003】
剛性可変機構の一例として、ソフトグリッパ機構の一種である袋グリッパ装置を例示することができる。袋グリッパ装置は、袋体の内部空間に、剛性の切替えが可能な内容物が封入された構成を有する。袋グリッパ装置は、袋体を柔らかい状態のままワークに押し付けることで、ワークの形状に馴染ませ、袋体の内部を硬い状態に切替えて袋体の形状を保持することにより、ワークを把持する。袋体の剛性の切替えを実現する方法として、磁気粘性流体または電気粘性流体を袋体に封入し、磁場または電場を印加して袋体内の流体の粘度を高くするものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に記載された袋グリッパ装置は、磁気粘性流体を用いた袋グリッパ装置である。この袋クリッパ装置では、磁場の増減手段として永久磁石と袋体の距離を可変できる機構を用いることで、磁場の増減手段として電磁石を用いる場合よりも、小型な機構で高磁場を発生させている。
【0005】
特許文献2に記載された袋グリッパ装置は、磁気粘性流体または電気粘性流体が袋体内に封入され、電磁石または高圧電極を用いて袋体内の流体の粘度を制御できる構成を有する。この袋クリッパ装置では、袋体内に圧力センサが設けられ、流体の供給排出機構によって袋体の内圧を調整し、袋体の機械的コンプライアンスを変化させることにより、把持能力を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6385014号公報
【文献】特開2004-154909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、磁性または誘電性を有する流体または粉体の硬化は、磁界または電界が届く範囲でしか発生しない。このため、特許文献1,2のような構成では、グリッパ(袋体)のサイズが大きくなるにつれて、グリッパ先端部での流体または粉体の硬化が不十分になる、あるいは、流体または粉体が硬化しないおそれがある。
【0008】
本開示は、多様なワークを把持することができる膜袋複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の膜袋複合体は、開口を有する可撓性の袋体であって、流体または粉体により構成された硬化性媒体が内部に充填された前記袋体と、前記袋体の前記開口を塞ぐように配置されたベース部材であって、前記袋体の内部と外部とを連通する連通孔を有する前記ベース部材と、前記連通孔の中心軸方向に移動可能なように、前記連通孔に挿通された硬化部と、を有し、前記硬化部は、前記硬化性媒体を硬化させることにより、前記袋体を任意の形状に保持する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の膜袋複合体によれば、多様なワークを把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における袋グリッパの側面概略図
【
図2】第1実施形態における袋グリッパがワークを把持した状態を示す側面概略図
【
図3】第1実施形態における袋グリッパの縦断面概略図
【
図4】第1実施形態における袋グリッパがワークを把持した状態を示す縦断面概略図
【
図5】第1実施形態における袋グリッパの
図4のA-A線に沿う断面概略図
【
図6】第1実施形態における把持システムの側面概略図
【
図7】第1実施形態における把持システムの他の例における側面概略図
【
図8】第1実施形態における治具システムの側面概略図
【
図9】第1実施形態における脚ロボットシステムにおける側面概略図
【
図10】第2実施形態における袋グリッパの縦断面概略図
【
図11】第3実施形態における袋グリッパの縦断面概略図
【
図12】第3実施形態における袋グリッパの
図11のB-B線に沿う断面概略図
【
図13】第4実施形態における袋グリッパの縦断面概略図
【
図14】第5実施形態における袋グリッパの縦断面概略図
【
図15】第6実施形態における袋グリッパの縦断面概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
本開示の実施形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態では、本開示における膜袋複合体の一例として、袋グリッパを例示して説明する。しかし、本開示の膜袋複合体は、袋グリッパに限られず、把持装置や治具、ロボットのアームなどに広く活用することができる。
【0014】
図1は、第1実施形態における袋グリッパ1の側面概略図である。
図1に示されるように、袋グリッパ1は、袋体2と、筐体3とを備える。
【0015】
袋体2は、可撓性を有する材料、例えばシリコーンゴムにより1個の開口を有する半楕円球状に形成されている。なお、袋体2の形状は、半楕円球状に限定されず、例えば、半球状や円柱状であっても良い。袋体2は、ワークに対して柔軟に倣うことができる。袋体2の内部には、磁気粘性流体が充填されている。磁気粘性流体は、本開示の硬化性媒体の一例である。
【0016】
袋グリッパ1は、接続部材5を介して制御装置4に接続されている。接続部材5は、電線により構成されている。
【0017】
制御装置4は、袋体2がワークに押し付けられ、ワークに倣って包み込むように密着した後、接続部材5を介して、袋グリッパ1に第1電気信号を印加する。この第1電気信号の印加により、磁気粘性流体の粘度が増加し、袋体2がワークを包み込んだ状態で硬化し、その結果、袋グリッパ1はワークを把持することができる。第1実施形態において、制御装置4が袋グリッパ1の外部に設置されているが、袋グリッパ1の内部に制御装置4が設置される場合、接続部材5は設置されなくても良い。
【0018】
図2は、第1実施形態における袋グリッパ1がワークを把持した状態を示す側面概略図である。
【0019】
袋グリッパ1は、制御装置4により第1電気信号が印加されることで、ワーク6の把持を行い、第2電気信号が印加されることで、ワーク6の把持を解除する。袋グリッパ1の把持対象のワーク6の形状は、特に限定されない。また、ワーク6としては、袋体2を傷害しないものが望ましい。袋体2を傷害するワーク6とは、例えば、袋体2を溶解する薬品が塗布された物体、または、袋体2を刺突または摩耗することにより袋体2に穴を開け、袋体2の密閉性を失わせ得る物体である。
【0020】
図3は、第1実施形態における袋グリッパ1の縦断面概略図である。袋グリッパ1は、ベース部材7と、磁気粘性流体8と、筒状部材9と、シール部材10と、磁石11と、磁石固定部材12と、直動アクチュエータ13と、筒状部材側弾性要素14と、磁石側弾性要素15と、ガイド機構16とをさらに備える。
【0021】
筐体3内の他端側(
図3における上端側)には、1個の直動アクチュエータ13が固定されている。直動アクチュエータ13は、筐体3に固定された本体13Aと、本体13Aに対して移動する移動子13Bとを備える。直動アクチュエータ13は、制御装置4により第1電気信号が印加されると、移動子13Bが本体13Aから離れる方向へ移動し、第2電気信号が印加されると、移動子13Bが本体13Aへ近づく方向へ移動するように、構成されている。
【0022】
筐体3の一端(
図3における下端)には、ベース部材7が固定されている。筐体3内におけるベース部材7より他端側には、ガイド機構16が固定されている。
【0023】
ベース部材7には、袋体2が例えば接着剤などにより固定されている。袋体2は、水密状態となるように、ベース部材7により開口が塞がれている。袋体2の内部には、磁気粘性流体8が充填されている。ベース部材7には、筒状部材9の本数(12本)と同じ数の連通孔が形成されている。ベース部材7の各連通孔は、袋体2の内部と外部とを連通するように形成されている。ベース部材7の各連通孔には、それぞれ筒状部材9が挿通されている。ベース部材7の連通孔と筒状部材9との間は、連通孔が水密状態になるようにシール部材10によって密封されている。シール部材10の弾性により、水密性を保ったまま筒状部材9の若干の傾きが許容される。このように、ベース部材7は、袋体2の水密性が保たれた状態で、筒状部材9が連通孔内を移動可能なように構成されている。
【0024】
筒状部材9は、袋体2側の端部(以下、「先端部」と言う場合がある)が閉塞した筒状構造を有する。筒状部材9は、ベース部材7の連通孔の中心軸に沿う方向に移動可能なように、ガイド機構16によってガイドされている。筒状部材9の直動アクチュエータ13側の端部(以下、「基端部」と言う場合がある)には、突起が形成されている。この突起によって、筒状部材9がベース部材7から袋体2側へ抜け落ちないように規制されている。筒状部材9は、筒状部材側弾性要素14を介してガイド機構16に固定されている。筒状部材9には、筒状部材側弾性要素14により、袋体2側への弾性力が付与されている。ガイド機構16は、筒状部材9が直動アクチュエータ13側へ抜け落ちることを防ぐ機能を有する。
【0025】
第1実施形態の硬化部は、筒状部材9と磁石11とを含む。磁石11は、棒状に形成されている。磁石11は、筒状部材9とともにガイド機構16の孔およびベース部材7の連通孔を通って袋体2側へ移動することで、磁力を磁気粘性流体8に作用させて磁気粘性流体8を硬化させる。
【0026】
磁石11における袋体2側と反対側の端は、例えば接着剤により磁石固定部材12に固定されている。磁石固定部材12は、磁石側弾性要素15を介して直動アクチュエータ13の移動子13Bに固定されている。磁石11は、ガイド機構16の孔の中心軸に沿う方向に移動可能である。筒状部材側弾性要素14とガイド機構16は、磁石11の直動のガイドとして機能する。磁石固定部材12の材質は、例えば、硬質樹脂である。磁石11は、その直径が筒状部材9の内径より小さくなっており、筒状部材9の内部に挿入可能に構成されている。
【0027】
筒状部材側弾性要素14は、ばねにより構成されている。筒状部材側弾性要素14の初期荷重およびばね定数は、袋グリッパ1が重力方向に対してどのような姿勢になっても、筒状部材9が自重で直動アクチュエータ13側に動かないように設定されることが望ましい。
【0028】
磁石側弾性要素15は、ばねにより構成されている。磁石側弾性要素15のばね定数は、袋グリッパ1が重力方向に対してどのような姿勢になっても、磁石11が自重で大きく動かないように設定されることが望ましい。磁石側弾性要素15のばね定数が大きい方が、磁石11の復帰速度が速くなる。しかし、磁石側弾性要素15のばね定数が大きい場合、袋体2の変形に必要なワーク6からの反力が大きくなり、柔軟なワークや脆弱なワークの把持に不利となる。
【0029】
袋体2を先端まで硬化できるようにするため、ワークを把持しない状態で直動アクチュエータ13を最も伸ばした際に(移動子13Bを本体13Aから最も離した際に)、磁石11の先端が、筒状部材9の先端部に到達することが望ましい。ワークを把持しない状態で直動アクチュエータ13を最も縮めた際に(移動子13Bを本体13Aに最も近づけた際に)、磁石11の全体が筒状部材9から完全に抜けて、磁石11の磁力が磁気粘性流体8に極力作用しないように、袋グリッパ1を設計することが望ましい。
【0030】
筒状部材9の形状は、円筒状に限定されず、例えば、六角筒状でも良い。隣り合う筒状部材9の間隔が小さい方が、磁気粘性流体8をより高粘度化することができる。筒状部材9の先端部の形状は、直胴の円筒に限られず、基端部に近づくほど内径が大きくなる筒形状にすることで、磁石11がより進入しやすくなるが、筒状部材9に許容される傾きの大きさがより制限され得る。
【0031】
筒状部材9の材質は、低保磁力かつ高透磁率の物質が望ましい。低保磁力かつ高透磁率の物質は、例えば、軟鉄である。ただし、磁石11の磁力が大きく、磁石11が筒状部材9を吸着することによる摩擦力が原因で、直動アクチュエータ13を伸ばしても磁石11が動かなくなる場合は、筒状部材9の材質は、非磁性体が望ましい。例えば、筒状部材9は、樹脂材料で形成されていることが望ましい。この場合、磁力線が通り抜け易いようにするため、筒状部材9の厚みは薄い方が良い。
【0032】
筒状部材9の本数は、12本に限定されず、磁力線が磁気粘性流体8を十分貫通する配置であれば、何本であっても良い。
【0033】
筒状部材9を、1本の円筒部材で構成したが、テレスコピック構造にしても良い。本開示におけるテレスコピック構造は、無負荷状態で最大長になり、かつ外力を加えて縮めると伸びる方向に弾性力が働くような弾性を有する構造である。筒状部材9をテレスコピック構造にすることで、ガイド機構16の袋グリッパ1の軸方向(直動アクチュエータ13が伸びる方向)の長さを短くすることができる。その結果、袋グリッパ1の軸方向の長さを短くすることができる。ただし、筒状部材9のテレスコピック構造が伸縮することで、筒状部材9におけるシール部材10と接する部分の直径が変化する構造の場合、テレスコピック構造の伸縮によらず、シール部材10による袋体2内部の水密性または気密性が失われないことが求められる。
【0034】
直動アクチュエータ13は、1個に限定されず、複数個設けられても良く、例えば、磁石11と同じ数だけ設けられ、各直動アクチュエータ13により各磁石11をそれぞれ独立的に移動させても良い。
【0035】
図3の例では、直動アクチュエータ13として、電動シリンダを例示したが、空圧シリンダでも良く、空圧シリンダを用いる場合は、例えば、以下の構成を適用しても良い。すなわち、制御装置4として空圧制御機器を、接続部材5としてエアチューブをそれぞれ用いる。また、磁石固定部材12としてピストンロッドを、ガイド機構16としてシリンダチューブをそれぞれ用いるとともに、前記ピストンロッドに前記シリンダチューブとの間を気密するピストンパッキンを設けた空圧シリンダ構造を配置する。さらに、空圧シリンダ構造のピストンロッドを直動させる空圧直動アクチュエータを配置する。この場合、各空圧直動アクチュエータは、独立して駆動せず一斉に伸展側あるいは収縮側に空圧を加えても良く、磁石側弾性要素15は空圧シリンダが空気ばねとして機能するため省略できる。
【0036】
図3の例では、直動アクチュエータ13の移動子13Bが磁石側弾性要素15の一端に直接固定されているが、これに限定されず、直動アクチュエータ13の移動子13Bが、ワイヤ機構、リンク機構または流体圧チューブなどの動力伝達機構を介して、磁石側弾性要素15の一端に接続されていても良い。例えば、直動アクチュエータ13を筐体3の外部に配置し、前記動力伝達機構により直動アクチュエータ13の動力を磁石側弾性要素15へ伝達することで、袋グリッパ1の軸方向の大きさを小さくすることができる。前記動力伝達機構が弾性を有し、磁石側弾性要素15と同等の機能を実現できるのであれば、磁石側弾性要素15を設けずに、前記動力伝達機構の一端を直接磁石固定部材12の一端に固定しても良い。直動アクチュエータ13は、前記動力伝達機構を介して磁石側弾性要素15を直動させる機構であれば、直動アクチュエータに限定されず、例えば、回転アクチュエータであっても良い。
【0037】
図4は、第1実施形態における袋グリッパ1がワーク6を把持した状態を示す縦断面概略図である。ワーク6が袋体2に押し込まれることによって、袋体2が変形し、筒状部材9が直動アクチュエータ13側に押し上げられる。その後、制御装置4による第1電気信号の印加により直動アクチュエータ13を伸展させ、磁石11が筒状部材9の内部の先端部まで移動すると、磁気粘性流体8に磁力線が通る。磁気粘性流体8に磁力線が通ると、磁気粘性流体8の粘度が増加し、袋グリッパ1によりワーク6が把持される。
【0038】
磁石11同士は、磁力線によって互いに引き合う。ベース部材7と筒状部材9の間に配置されたシール部材10は弾性を有するため、筒状部材9には、磁石11が互いに引き合う力によって、袋体2の中心軸に向かう方向に力が作用する。この袋体2の中心軸に向かう方向に作用する力は、袋体2の中心軸付近で把持されたワーク6の近傍の磁気粘性流体8を優先的に硬化する効果を奏するとともに、ワーク6に対する把持力としても作用する。また、ベース部材7より直動アクチュエータ13側では、各磁石11の間にはガイド機構16が存在するため、磁力線によって磁石11同士が吸着し、磁力によって発生する摩擦力が原因で直動アクチュエータ13を伸展させても磁石11が動かなくなることはない。
【0039】
なお、シール部材10が弾性に富んでおり筒状部材9に対し若干の傾きを許容するが、シール部材10が筒状部材9に傾きを許容しない構成にしても、袋グリッパ1は把持性能を有する。
【0040】
一方、制御装置4による第2電気信号の印加により直動アクチュエータ13を縮退させると、磁石11が筒状部材9から抜けて磁気粘性流体8に磁力線が通らなくなる。磁気粘性流体8に磁力線が通らなくなると、磁気粘性流体8の粘度が減少し、袋グリッパ1によるワーク6の把持が解除される。このワーク6の把持の解除に伴い、筒状部材9が筒状部材側弾性要素14によって袋体2側に押し戻される。
【0041】
図5は、第1実施形態における袋グリッパ1の
図4のA-A線に沿う断面概略図である。
図5において、11aは磁石11のN極、11bは磁石11のS極、17は磁力線である。磁力線17が磁気粘性流体8を貫くことにより、磁気粘性流体8の粘度が増加する。
【0042】
図5の例の磁石11は、中心軸方向の全領域において、中心軸を含みかつ中心軸に平行な平面に対して一方側の領域がN極11a、他方側の領域がS極11bになっている。このような複数の磁石11が、袋体2の中心軸を中心にした同心円上にN極11aとS極11bとが交互に位置するように配されている。なお、例えば中心軸方向の一端側をN極11a、他端側をS極11bとした複数の磁石11を、袋体2の中心軸を中心にした同心円上に並ぶように、かつ同心円上にN極11aとS極11bとが交互に位置するように配しても良い。
【0043】
次に、第1実施形態に係る把持システムについて説明する。
図6は、把持システムの側面概略図である。把持システムにおいて、袋グリッパ1は、ロボットアーム18の手先部19に取り付けられている。ロボットアーム18は、所定の可動範囲内で3次元的に動き、かつ自由な姿勢をとることができる。
【0044】
図6の例では、ロボットアーム18は、ロボット支持台20の上面に固定されているが、床面に直接固定されても良い。
図6の例では、ロボットアーム18は、垂直多関節ロボットであるが、これに限定されず、例えば、水平多関節ロボットまたはパラレルリンクロボットであっても良い。
図6の例では、ワーク6は、床面上に直接置かれているが、これに限定されず、例えば、容器などに入っていても良い。
【0045】
袋グリッパ1は、ワーク6の向きが一定でなくても、袋体2がワーク6の形状に倣うことで安定してワーク6を把持できる。ワーク6同士が近接している場合には、把持対象のワーク6に隣り合う別のワーク6を、袋グリッパ1で同時に把持しないように、ロボットアーム18を制御することが望ましい。
【0046】
接続部材5は、例えば、シールド付き多芯電線である。接続部材5は、ロボットアーム18の動きを妨げない程度の可撓性があることが望ましい。
【0047】
制御装置4は、接続部材5によって袋グリッパ1と接続されており、袋グリッパ1をロボットアーム18でワーク6に押し付けた後、袋グリッパ1に第1電気信号を印加して、袋体2内の磁気粘性流体8の粘度を増加させることによって、袋体2を硬化させる。この袋体2の硬化によって、袋グリッパ1は、ワーク6を把持する。また、制御装置4が、袋グリッパ1に第2電気信号を印加して、袋体2内の磁気粘性流体8の粘度を減少させる(元に戻す)ことによって、袋体2を軟化させる。この袋体2の軟化によって、袋グリッパ1は、ワーク6の把持を解除する。
【0048】
図6の例では、制御装置4は、床面上に設置されているが、袋グリッパ1の上記の機能を損なわなければ他の場所に設置されても良い。例えば、制御装置4は、ロボットアーム18に固定されても良い。
【0049】
図7は、第1実施形態における把持システムの他の例における側面概略図である。本例の把持システムでは、2指グリッパ21の爪部22に、それぞれ前述の袋グリッパ1が配置されている。
【0050】
2指グリッパ21は、爪部22に各々具備された袋グリッパ1でワーク6を挟み込む。その後、制御装置4は、袋グリッパ1に第1電気信号を印加して袋体2を硬化させる。この袋体2の硬化によって、2つの袋グリッパ1がワーク6を把持する。また、制御装置4が袋グリッパ1に第2電気信号を印加して袋体2を軟化させた後、2指グリッパ21が爪部22を開く。この袋体2の軟化および爪部22の開き動作によって、2つの袋グリッパ1がワーク6の把持を解除する。
図7の例によれば、2指グリッパ21の把持力と袋グリッパ1の把持力を単純に合わせるだけでなく、袋体2がワーク6の形状に倣う構成にしているため、爪部22に袋グリッパ1が配置されておらず、爪部22が直接、ワーク6を把持する場合と比較して、より安定したワーク6の把持が可能になる。
【0051】
図7の例では、把持を解除する際、袋体2を軟化させてから爪部22を開くが、これに限定されず、袋グリッパ1単独の把持力でワーク6を把持できない場合には、爪部22を先に開いてから、袋体2を軟化させても良い。
図7の例では、2指グリッパ21に袋グリッパ1を取り付けているが、これに限定されず、3指以上の多指ハンドに袋グリッパ1を取り付けても良い。また、グリッパの指先に対応する位置以外にも、例えば掌に対応する位置にも袋グリッパ1を配置することで、グリッパ全体の形状をワーク6に倣わせることができる。
【0052】
次に、第1実施形態に係る治具システムについて説明する。
図8は、治具システムの側面概略図である。治具システムにおいて、袋グリッパ1は、ロボットアーム18の上下自在かつ回転自在な手先部19に取り付けられている。
図8の例では、ワーク6は、頭部にすり割りを具備するねじ部品であり、仕掛品23の雌ねじ穴に取り付けられている。
【0053】
制御装置4は、接続部材5によって袋グリッパ1に接続されている。ロボットアーム18の駆動によって袋グリッパ1がワーク6に押し付けられた後、制御装置4は、袋グリッパ1に第1電気信号を印加して、袋体2内の磁気粘性流体8の粘度を増加させることによって、袋体2を硬化させる。このことで、袋グリッパ1は、ワーク6の頭部形状に倣って硬化してワーク6を把持し、マイナスドライバの役割を担う。その後、手先部19をワーク6のねじピッチに合わせて回転上昇あるいは回転下降させることで、ワーク6を仕掛品23から挿抜することができる。また、制御装置4は、袋グリッパ1に第2電気信号を印加して、袋体2内の磁気粘性流体8の粘度を元に戻すことによって、袋体2を軟化させる。この袋体2の軟化によって、袋グリッパ1はワーク6の把持を解除する。
【0054】
次に、第1実施形態に係る脚ロボットシステムについて説明する。
図9は、脚ロボットシステムの側面概略図である。脚ロボットシステムにおいて、袋グリッパ1は、脚ロボット24の各脚先にそれぞれ配置され、地面25に脚力を伝達する。制御装置4は、脚ロボット24の胴体に取り付けられ、接続部材5を介して各袋グリッパ1を制御する。脚ロボットシステムの歩行に伴い、袋グリッパ1が地面25に押し付けられた後、制御装置4は、袋グリッパ1に第1電気信号を印加して袋体2を硬化させる。この袋体2の硬化によって、袋グリッパ1が地面25を掴む。脚ロボットシステムの歩行に伴い、袋グリッパ1が地面25から離れた後、制御装置4は、袋グリッパ1に第2電気信号を印加して袋体2を軟化させる。
図9の例によれば、袋グリッパ1の袋体2が地面25の形状に倣って硬化して地面25を掴むことで、脚ロボット24の脚先に袋グリッパ1が取り付けられておらず、脚ロボット24が直接地面25と接する場合と比較して、より安定した走行が可能になる。
【0055】
図9の例では、脚ロボット24は4本脚であるが、これに限定されず、2本脚や6本脚の脚ロボットの各脚先に袋グリッパ1が取り付けられても良い。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略にする。
図10は、第2実施形態における袋グリッパ26の縦断面概要図である。
【0057】
図10に示されるように、第2実施形態における袋グリッパ26は、第1実施形態と同様に、袋体2を備え、磁力によって袋体2の形状を保持する。第2実施形態における袋体2の内部の充填物は、第1実施形態と異なり、磁性粉体27である。磁性粉体27は、本開示の硬化性媒体の一例である。
【0058】
磁性粉体27は、袋体2の軟化後、筒状部材9が、筒状部材側弾性要素14の弾性力によって磁性粉体27を押しのけて袋体2の先端側に最大限移動できる程度に、高い流動性を有することが望ましい。このような流動性を有する磁性粉体27は、例えば、球状の粉体である。磁性粉体27は、低保磁力かつ高透磁率の物質が望ましく、例えば、直径1mmの軟鉄球であることが望ましい。
【0059】
筒状部材9の先端部の形状は、
図10の例では一定の直径になっているが、これに限らず、例えば先端に向かうにしたがって細くなるテーパ形状であっても良い。この場合、筒状部材9が磁性粉体27を押しのけやすくなるが、筒状部材9をテーパ形状にし、かつ磁石11をも同様のテーパ形状にする場合は、磁石11を筒状部材9の先端部まで挿入した場合の筒状部材9の先端部における磁力が低下し、袋体2の形状を保持する力が低下する。
【0060】
袋体2に充填されている磁性粉体27以外の充填媒体は、
図10の例では空気であるが、これに限定されず、袋体2、ベース部材7、筒状部材9、シール部材10または磁性粉体27を傷害しない流体であれば良く、例えば、窒素ガスやシリコーンオイルであっても良い。また、磁性粉体27以外の充填媒体として防錆油など防錆作用のある流体を用いることで、筒状部材9または磁性粉体27の酸化を抑制することができる。袋グリッパ26が動作する周囲環境と同じ流体を、磁性粉体27以外の充填媒体として用いる場合は、袋体2とベース部材7間の密封、および、ベース部材7と筒状部材9の間のシール部材10による密封は、第1実施形態と異なり、水密性または気密性までは求められず、磁性粉体27が漏れ出ないことが担保できれば十分である。一方で、袋グリッパ26が動作する周囲環境と異なる流体を、磁性粉体27以外の充填媒体として用いる場合は、袋体2とベース部材7間の密封、および、ベース部材7と筒状部材9の間のシール部材10による密封は、気密性または水密性が求められる。
【0061】
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略にする。
図11は、第3実施形態における袋グリッパ28の縦断面概要図である。
【0062】
第3実施形態における袋グリッパ28は、第1実施形態と同様に、袋体2の内部に流体が水密性を保って封入されているが、第3実施形態における袋体2の内部の封入物は、第1実施形態と異なり、電気粘性流体29である。電気粘性流体29は、本開示の硬化性媒体の一例である。また、第1実施形態における筒状部材9および磁石11に相当する構成は、第3実施形態においては16本の高圧電極31であり、第1実施形態における筒状部材側弾性要素14に相当する構成は、第3実施形態においては高圧電極側弾性要素32である。高圧電極31は、第3実施形態の硬化部を構成する。高圧電極31は、鉄により円柱状に構成されている。高圧電極31の表面には、絶縁膜が形成されていない。高圧電極側弾性要素32は、筒状部材側弾性要素14と同様に、ばねにより構成されている。
【0063】
高圧電極31の基端部(高圧電極側弾性要素32に接続された側の端部)には、第1実施形態における筒状部材9と同様に突起が付いており、高圧電極31がベース部材7から袋体2側へ抜け落ちないようになっている。高圧電極31同士の間隔は、絶縁距離を保てる範囲内で狭い方が、低い電圧により高い電界強度が得られる点で望ましい。高圧電極31は、第1実施形態と同様に、シール部材10の弾性によって若干の傾きが許容されている。ベース部材7は、シール部材10により袋体2の水密性が保たれた状態で、高圧電極31がベース部材7の連通孔内を移動可能なように構成されている。高圧電極31には、高圧電極31間に発生する静電気力によって、第1実施形態と同様に、袋体2の中心軸に向かう方向に力が作用する。この袋体2の中心軸に向かう方向に作用する力は、袋体2の中心軸付近で把持されたワークの近傍の電気粘性流体29を優先的に硬化する効果を奏するとともに、ワークに対する把持力としても作用する。しかし、第3実施形態では、高圧電極31が最大角度まで傾いたとしても、高圧電極31同士が絶縁距離以上の距離を保てることが求められる。
【0064】
シール部材10が高圧電極31に対し若干の傾きを許容するが、シール部材10が高圧電極31に傾きを許容しない構成にしても、袋グリッパ28は把持性能を有する。
【0065】
筐体3、ベース部材7、シール部材10、およびガイド機構16には、絶縁抵抗が高く、高圧電極31に印加される高電圧によって絶縁破壊されない絶縁耐力を有することが求められる。ベース部材7を挟んだ袋体2の反対側の領域では、ガイド機構16が絶縁板となって隣り合う高圧電極31の間を絶縁する。
【0066】
接続部材5は、制御装置4と高圧電極31とを電気的に接続する。接続部材5は、第1実施形態と同様に、電線であるが、高電圧に耐えられるものが望ましい。ただし、制御装置4のうち高電圧発生回路を袋グリッパ28内に設置する場合は、接続部材5は高電圧に耐えられるものでなくて良い。また、制御装置4が袋グリッパ28の内部に設置される場合は、接続部材5は設置されなくても良い。
【0067】
制御装置4は、第1実施形態と同様に、袋グリッパ28を制御する。しかし、第3実施形態における制御装置4は、第1実施形態と異なり、接続部材5を介して袋グリッパ28の高圧電極31に高電圧を印加して、袋体2内の電気粘性流体29の粘度を増加させることによって袋体2を硬化させる。このことで、袋体2はワークを包み込んだ状態で硬化し、その結果、袋グリッパ28はワークを把持することができる。また、制御装置4は、高圧電極31への高電圧の印加を停止して、袋体2内の電気粘性流体29の粘度を減少させることによって袋体2を軟化させる。この袋体2の軟化によって、袋グリッパ28によるワークの把持が解除される。
【0068】
なお、高圧電極31の本数は、16本に限定されず、電気力線が電気粘性流体29を十分貫通する配置であれば、何本であっても良い。高圧電極31間に発生させる電界強度は、高いほど電気粘性流体29の粘度を増加させることができ、例えば、2kV/mmである。
【0069】
図12は、第3実施形態における袋グリッパ28の
図11のB-B線に沿う断面概略図である。
図12において、31aは高圧電極31の
陰極、31bは高圧電極31の
陽極、33は高圧電極31によって発生する電気力線である。高圧電極31に高電圧が印加され、電気力線33が電気粘性流体29を貫くことにより、電気粘性流体29の粘度が増加する。
【0070】
高圧電極31の
陰極31aと
陽極31bの配置は、
図12の例に限定されず、例えば、
図12における
陽極31aの位置と
陰極31bの位置を入れ替えた配置でも良い。高圧電極31は、
図12の例では鉄の棒であるが、これに限定されず、例えば、樹脂の棒の表面に金属を蒸着させることにより通電膜を成膜したものでも良い。また、1本の高圧電極31に複数個の前記通電膜を互いに離間させて成膜し、いくつかの通電膜を陽極とし、残りの通電膜を陰極としても良い。高圧電極31の形状は、
図12の例では円柱であるが、これに限定されず、例えば、六角柱や十字柱でも良いが、高圧電極31間の隙間ができるだけ小さい方が、電気粘性流体29をより高粘度化することができる。高圧電極31は、
図12の例では表面に被膜が無い鉄の棒であるが、これに限定されず、表面に絶縁膜を塗布しても良く、絶縁膜を形成することで高圧電極31同士が接触してもショートすることを防ぐことができる。
【0071】
<第4実施形態>
次に、本開示の第4実施形態について説明する。なお、第3実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略にする。
図13は、第4実施形態における袋グリッパ34の縦断面概要図である。
【0072】
図13に示されるように、第4実施形態における袋グリッパ34は、第3実施形態と同様に、袋体2を備え、静電気力によって袋体2の形状を保持する。第4実施形態における袋体2の内部の充填物は、第3実施形態と異なり、誘電性粉体35である。誘電性粉体35は、本開示の硬化性媒体の一例である。
【0073】
誘電性粉体35は、袋体2の軟化後、高圧電極31が、高圧電極側弾性要素32の弾性力によって誘電性粉体35を押しのけて、袋体2の先端側に最大限移動できる程度に、高い流動性を有することが望ましい。このような流動性を有する誘電性粉体35は、例えば、球状の粉体である。誘電性粉体35は、高誘電率の物質が望ましく、例えば、直径1mmのアルミナ球であることが望ましい。
【0074】
第3実施形態の袋体2の内部は電気粘性流体29が満たされているため、電気粘性流体29は、袋体2の内部において高圧電極31に対する絶縁油として機能する。しかし、第4実施形態では、第3実施形態とは異なり、袋体2に充填されている誘電性粉体35以外の充填媒体は空気であるため、袋体2の内部において高圧電極31に対して空気絶縁となり、第3実施形態よりも絶縁性が低下する傾向がある。そのため、高圧電極31間に印加できる電界強度の最大許容値は、第3実施形態よりも制限される傾向がある。高圧電極31に印加する電圧が特に高い場合は、コロナ放電の発生を防止するため、高圧電極31の表面に突起が存在しないことが望ましい。高圧電極31における先端部(基端部の反対側の端部)の形状は、
図13の例では一定の直径になっているが、これに限らず、例えば先端に向かうにしたがって細くなるテーパ形状であっても良い。この場合、高圧電極31が誘電性粉体35を押しのけやすくなるが、高圧電極31に高電圧を印加したときの先端部における静電気力が低下し、袋体2の形状を保持する力が低下する。
【0075】
第3実施形態と同様に、ベース部材7を挟んだ袋体2の反対側の領域では、ガイド機構16が絶縁板となって隣り合う高圧電極31の間を絶縁する。
【0076】
袋体2に充填されている誘電性粉体35以外の充填媒体は、
図13の例では空気であるが、これに限定されず、袋体2、ベース部材7、シール部材10、高圧電極31または誘電性粉体35を傷害しない絶縁性の流体であれば良く、例えば、窒素ガスやシリコーンオイルであっても良い。袋グリッパ34が動作する周囲環境と同じ流体を、誘電性粉体35以外の充填媒体として用いる場合は、袋体2とベース部材7間の密封、および、ベース部材7と高圧電極31の間のシール部材10による密封は、第3実施形態と異なり、水密性または気密性までは求められず、誘電性粉体35が漏れ出ないことが担保できれば十分である。ただし、埃が多い環境や湿度が高い環境、塩分や有害ガスを含んだ周囲環境中では、絶縁性が低下する恐れがあるため、十分な水密性または気密性が求められる。また、誘電性粉体35が吸湿性の物質である場合においても、十分な水密性または気密性が必要である。一方で、袋グリッパ34が動作する周囲環境と異なる流体を、誘電性粉体35以外の充填媒体として用いる場合は、袋体2とベース部材7間の密封、および、ベース部材7と高圧電極31の間のシール部材10による密封は、気密性または水密性が求められる。誘電性粉体35以外の充填媒体として絶縁性が高い流体を用いることで、高圧電極31により高い電圧を印加することができる。また、誘電性粉体35以外の充填媒体として防錆油など防錆作用のある流体を用いることで、高圧電極31または誘電性粉体35の酸化を抑制することができる。
【0077】
<第5実施形態>
次に、本開示の第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略にする。
図14は、第5実施形態における袋グリッパ36の縦断面概要図である。
【0078】
図14に示されるように、第5実施形態における袋グリッパ36は、第1実施形態と同様に、袋体2の内部に磁気粘性流体8が密封されているが、第1実施形態と異なり、磁石11を移動させるアクチュエータは1個の直動アクチュエータ13ではなく、複数の回転アクチュエータ37である。回転アクチュエータ37は、各磁石11に対して各々設けられ、筐体3に固定されている。
【0079】
袋グリッパ36には、磁石固定部材12および磁石側弾性要素15が配置されておらず、磁石11は、回転アクチュエータ37のワイヤ38に、例えば接着剤あるいは熱収縮チューブによって直接固定されている。なお、磁石固定部材12を磁石11とワイヤ38の間に配置しても良いが、この場合、磁石11が筒状部材9の先端部側に最大限移動した際に、磁石固定部材12の長さ分だけ、磁石11の先端が筒状部材9の先端から遠ざかり、袋体2の先端側まで磁力線を通しにくくなる傾向がある。
【0080】
ワイヤ38は、線状に形成されている。ワイヤ38は、回転アクチュエータ37の駆動軸に固定された駆動プーリ39と、筒状部材9の閉塞側先端の内側に固定された従動プーリ40とに、ループ状に掛け回されている。筒状部材9がワークによって押し込まれることによって、駆動プーリ39と従動プーリ40の軸間距離
が変化したとき、ワイヤ38は弛むことで前記変化を吸収する。ワイヤ38の長さは、磁石11が回転アクチュエータ37側に最大限移動したとき、筒状部材9がワークによって回転アクチュエータ37側に最大限押し込まれても、筒状部材9に磁力を極力与えないように設計することが望ましい。
図14の例では、線状のワイヤ38を用いたが、ワイヤ38の代わりにベルトを用いても良い。
【0081】
駆動プーリ39は、回転アクチュエータ37の駆動によって回転する。従動プーリ40は、駆動プーリ39の回転に伴うワイヤ38の動きによって、受動的に回転する。回転アクチュエータ37が駆動すると、ワイヤ38を介して磁石11が直動する。従動プーリ40の径が小さい方が、袋体2のより先端側まで磁石11を直動させることができるが、従動プーリ40の径が小さいと、ワイヤ38が動く際の摩擦力が大きくなる傾向がある。なお、
図14の例では、空転する従動プーリ40を用いているが、これに限定されず、従動プーリ40の代わりに例えばフック機構を用いても良い。
【0082】
回転アクチュエータ配線41は、接続部材5と回転アクチュエータ37を電気的に接続する。制御装置4は、接続部材5および回転アクチュエータ配線41を介して、各回転アクチュエータ37を駆動する。なお、制御装置4が袋グリッパ36の内部に設置される場合、接続部材5は設置されなくても良い。
【0083】
磁気粘性流体8を高粘度化させて袋グリッパ36によりワークを把持するときは、制御装置4は、回転アクチュエータ37に第1電気信号を印加して、駆動プーリ39を第1方向に回転させることによりワイヤ38を動かす。制御装置4は、磁石11が筒状部材9内部の先端閉塞部に到達したら、駆動プーリ39を停止させる。磁石11が筒状部材9内部の先端閉塞部に到達すると、磁気粘性流体8の粘度が増加し、袋グリッパ36によりワーク6が把持される。
【0084】
一方、磁気粘性流体8の粘度を減少させてワークを開放するときは、制御装置4は、回転アクチュエータ37に第2電気信号を印加して、駆動プーリ39を第1方向と反対の第2方向に回転させることによりワイヤ38を動かす。制御装置4は、磁石11が筒状部材9から完全に抜けたら、駆動プーリ39を停止させる。磁石11が筒状部材9から抜けると、磁気粘性流体8の粘度が減少し、ワーク6の把持が解除される。
【0085】
<第6実施形態>
次に、本開示の第6実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略にする。
図15は、第6実施形態における袋グリッパ42の縦断面概要図である。
【0086】
第6実施形態における袋グリッパ42は、第1実施形態と同様に、袋体2の内部に流体が水密性を保って封入されているが、第6実施形態における袋体2の内部の封入物は、第1実施形態と異なり、酢酸ナトリウム水溶液43である。酢酸ナトリウム水溶液43は、本開示の硬化性媒体の一例である。また、第1実施形態における筒状部材9および磁石11に相当する構成は、第6実施形態においては16本のヒートパイプ44であり、第1実施形態における筒状部材側弾性要素14に相当する構成は、第6実施形態においてはヒートパイプ側弾性要素45である。ヒートパイプ側弾性要素45は、筒状部材側弾性要素14と同様にばねにより構成されており、ガイド機構16とヒートパイプ44とを接続する。
【0087】
ヒートパイプ44は、鉄により円柱状に構成されている。ヒートパイプ44は、ベース部材7の連通孔に挿通されている。ベース部材7とヒートパイプ44との間は、連通孔が水密状態になるようにシール部材10によって密封されている。ヒートパイプ44の内部には、温流体46が流れる温流体流路48と、冷流体47が流れる冷流体流路49とが配置されている。温流体流路48および冷流体流路49は、それぞれU字状に形成されている。
【0088】
温流体流路48の流入側端部には、温流体供給パイプ50の一端が接続され、流出側端部には、温流体排出パイプ51の一端が接続されている。冷流体流路49の流入側端部には、冷流体供給パイプ52の一端が接続され、流出側端部には、冷流体排出パイプ53の一端が接続されている。温流体46は、温流体タンク54に蓄えられ、温流体タンク54に取り付けられた加温器56によって加温される。温流体46は、酢酸ナトリウム水溶液43の融点以上の温度、例えば90℃に維持されている。冷流体47は、冷流体タンク55に蓄えられ、冷流体タンク55に取り付けられた冷却器57によって冷却される。冷流体47は、酢酸ナトリウム水溶液43の融点以下の温度、例えば20℃に維持されている。加温器56は、例えば、電熱線ヒータである。冷却器57は、例えば、冷水チラーである。
【0089】
温流体供給パイプ50の他端は、温流体弁58と温流体ポンプ60を介して、温流体タンク54の下部に接続されている。冷流体供給パイプ52の他端は、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を介して、冷流体タンク55の下部に接続されている。温流体排出パイプ51の他端は、温流体タンク54の上部に接続されている。冷流体排出パイプ53の他端は、冷流体タンク55の上部に接続されている。温流体弁58を開く一方で冷流体弁59を閉じ、温流体ポンプ60を駆動すると、温流体46が循環してヒートパイプ44が加温される。温流体弁58を閉じる一方で冷流体弁59を開き、冷流体ポンプ61を駆動すると、冷流体47が循環してヒートパイプ44が冷却される。
【0090】
硬化トリガ機構65は、硬化トリガ駆動器62と、硬化トリガ板63とで構成される。硬化トリガ駆動器62は、筐体3に取り付けられている。硬化トリガ駆動器62は、例えば、ソレノイドや、電気式または空圧式の直動アクチュエータ、出力軸にカム機構を有する回転アクチュエータである。硬化トリガ板63は、ベース部材7に取り付けられた硬化トリガ板支持部材64によって支持されている。硬化トリガ板63は、撓んだ状態で硬化トリガ板支持部材64により支持された金属板である。硬化トリガ板63は、制御装置4の制御により接続部材5を介して硬化トリガ駆動器62が駆動すると、飛び移り座屈を起こす。
【0091】
制御装置4の制御により、接続部材5を介して温流体弁58と温流体ポンプ60を駆動し、温流体46を温流体流路48に流すことによって、酢酸ナトリウム水溶液43は、融点以上の温度になり液体となる。その後、制御装置4の制御により、温流体弁58と温流体ポンプ60を停止して温流体46の流れを止める一方で、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を駆動し、冷流体47を冷流体流路49に流すことによって、酢酸ナトリウム水溶液43を凝固点以下まで冷却した後、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を停止して冷流体47の流れを止める。このとき、過冷却現象により酢酸ナトリウム水溶液43は液体のままである。この状態で袋体2をワークに押し付け、ワークが袋体2に包まれた状態にする。
【0092】
次に、制御装置4の制御により、接続部材5を介して硬化トリガ駆動器62を駆動し、硬化トリガ板63に飛び移り座屈を起こさせることで、酢酸ナトリウム水溶液43に衝撃を加える。この衝撃に伴うホットアイス現象によって、酢酸ナトリウム水溶液43を急速に硬化させ、袋体2を硬化させる。このことで、袋体2は、ワークを包み込んだ状態で硬化し、その結果、袋グリッパ42はワークを把持することができる。つまり、ヒートパイプ44および硬化トリガ機構65は、第6実施形態の硬化部を構成する。なお、袋体2をワークに押し付ける際に加わる衝撃は、酢酸ナトリウム水溶液43がホットアイス現象を起こさない程度に抑える。
【0093】
制御装置4の制御により、温流体弁58と温流体ポンプ60を駆動し、温流体46を温流体流路48に流すことによって、酢酸ナトリウム水溶液43が融点以上の温度になり、袋体2が軟化することで、ワークを解放する。
【0094】
ここで、酢酸ナトリウム水溶液43の調製は、例えば、質量比で酢酸ナトリウム三水和物が10に対し純水が1の割合になるように行われる。袋体2の硬化に要する時間を短くするため、袋体2内部に封入する硬化性媒体として、過冷却現象を起こしやすい酢酸ナトリウム水溶液43を用いている。なお、硬化性媒体として、酢酸ナトリウム三水和物に限らず、過冷却現象を起こしやすい流体を用いることができる。過冷却現象を起こしやすい流体としては、チオ硫酸ナトリウム五水和物を例示することができる。温流体46と冷流体47の温度は、硬化性媒体の融点と、ワークの耐熱温度に合わせて設定する。袋体2の硬化に時間を要しても問題ない用途であれば、硬化性媒体は、過冷却現象を起こしにくい流体でも良く、例えば、純水又は液体金属であっても良い。この場合、硬化トリガ機構65は設けられなくても良い。
【0095】
常温で固体の硬化性媒体を袋体2に封入する場合、制御装置4の制御により、温流体弁58と温流体ポンプ60を駆動し、温流体46を温流体流路48に流すことによって、硬化性媒体は、融点以上の温度になり液体となる。その後、ワークを袋体2に押し付け、ワークが袋体2に包まれた状態にする。次に、制御装置4の制御により、温流体弁58と温流体ポンプ60を停止して温流体46の流れを止める一方で、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を駆動し、冷流体47を冷流体流路49に流すことによって、硬化性媒体を凝固点以下まで冷却し、袋体2が硬化したら、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を停止して冷流体47の流れを止めする。このことで、袋体2はワークを包み込んだ状態で硬化し、これによって、袋グリッパ42はワークを把持することができる。ワークを解放するには、制御装置4の制御により、温流体弁58と温流体ポンプ60を駆動し、温流体46を温流体流路48に流すことによって、硬化性媒体は、融点以上の温度になり液体となる。これによって袋グリッパ42はワークを解放する。
【0096】
常温で液体の硬化性媒体を袋体2に封入する場合、まずワークを袋体2に押し付け、ワークが袋体2に包まれた状態にする。その後、制御装置4の制御により、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を駆動し、冷流体47を冷流体流路49に流すことによって、硬化性媒体を凝固点以下まで冷却し、袋体2を硬化させる。このことで、袋体2はワークを包み込んだ状態で硬化し、その結果、袋グリッパ42はワークを把持することができる。ワークを解放するには、制御装置4の制御により、冷流体弁59と冷流体ポンプ61を停止して冷流体47の流れを止める一方で、温流体弁58と温流体ポンプ60を駆動し、温流体46を温流体流路48に流すことによって、硬化性媒体は、融点以上の温度になり液体となる。これによって、袋グリッパ42はワークを解放する。
【0097】
なお、ヒートパイプ44内の流路は、温流体46と冷流体47のそれぞれに対し1本ずつ配置されているが、これに限らず、温流体46と冷流体47で共用される1つの流路のみを配置し、ヒートパイプ44の上流側と下流側に設けた切替弁によって、流す流体を切り替えても良い。ヒートパイプ44は、鉄により形成されているが、これに限らず、例えば、アルミニウム又は銅により形成されても良い。熱伝導率が高い材料の方が、より早く硬化性媒体の温度を変化させることができるため望ましい。ヒートパイプ44は、円柱状であるが、これに限らず、例えば、六角柱状でも良い。温流体流路48および冷流体流路49は、それぞれU字状に形成されているが、これに限らず、例えば、U字状の管を螺旋状に巻いた形状に形成しても良い。温流体46及び冷流体47がヒートパイプ44に接触する表面積と、ヒートパイプ44と硬化性媒体が接触する表面積ができるだけ大きくなる方が、より早く硬化性媒体の温度を変化させることができるため望ましい。
【0098】
[実施形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施形態に示されたものに限られないことはいうまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。また、上記実施形態及び以下に示される変形例は、正常に機能する限り、どのように組み合わせても良い。
【0099】
例えば、第2実施形態における袋グリッパ26、第3実施形態における袋グリッパ28、第4実施形態における袋グリッパ34、第5実施形態における袋グリッパ36は、第1実施形態にて例示した把持システム、治具システム、脚ロボットシステムに適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示の膜袋複合体は、袋体の変形可能な容量を増大することで、より多種のワークを安定して把持または操作する効果を有し、多品種少量生産等のFAの用途の他、配達ロボットなどサービスロボットにも適用できる。また、本開示の膜袋複合体は、袋体の水密性または気密性を高めることで、水中や大気が薄い場所における探査ロボットにも適用できる。
【符号の説明】
【0101】
1,26,28,34,36,42 袋グリッパ
2 袋体
3 筐体
4 制御装置
5 接続部材
6 ワーク
7 ベース部材
8 磁気粘性流体
9 筒状部材
10 シール部材
11 磁石
11a N極
11b S極
12 磁石固定部材
13 直動アクチュエータ
13A 本体
13B 移動子
14 筒状部材側弾性要素
15 磁石側弾性要素
16 ガイド機構
17 磁力線
18 ロボットアーム
19 手先部
20 ロボット支持台
21 2指グリッパ
22 2指グリッパ爪部
23 仕掛品
24 脚ロボット
25 地面
27 磁性粉体
29 電気粘性流体
30 高圧電線
31 高圧電極
31a 陰極
31b 陽極
32 高圧電極側弾性要素
33 電気力線
35 誘電性粉体
37 回転アクチュエータ
38 ワイヤ
39 駆動プーリ
40 従動プーリ
41 回転アクチュエータ配線
43 酢酸ナトリウム水溶液
44 ヒートパイプ
45 ヒートパイプ側弾性要素
46 温流体
47 冷流体
48 温流体流路
49 冷流体流路
50 温流体供給パイプ
51 温流体排出パイプ
52 冷流体供給パイプ
53 冷流体排出パイプ
54 温流体タンク
55 冷流体タンク
56 加温器
57 冷却器
58 温流体弁
59 冷流体弁
60 温流体ポンプ
61 冷流体ポンプ
62 硬化トリガ駆動器
63 硬化トリガ板
64 硬化トリガ板支持部材
65 硬化トリガ機構