(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-23
(45)【発行日】2025-06-02
(54)【発明の名称】歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
A01B 63/16 20060101AFI20250526BHJP
A01B 33/08 20060101ALI20250526BHJP
【FI】
A01B63/16 B
A01B33/08 Z
(21)【出願番号】P 2022060299
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】平田 智也
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129770(JP,A)
【文献】特開2020-130066(JP,A)
【文献】特開2022-007149(JP,A)
【文献】特開2021-000039(JP,A)
【文献】実開平05-055804(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0144830(US,A1)
【文献】特開平10-225205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/00 - 67/00
A01B 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尾輪と、
耕耘爪を覆う耕耘カバーに設けられ、前記尾輪を上下に昇降させることで、前記尾輪を使用可能な使用位置と、前記尾輪を使用不能な非使用位置と、に切り替えることが可能な可変機構と、
を具備
し、
前記可変機構は、
前記尾輪を支持する支持部、及び、前記支持部を前記耕耘カバーに対して昇降可能に連結する2つの連結部を節とする、4節リンク機構を具備する、
歩行型管理機。
【請求項2】
前記2つの連結部のうち一方は、
抵抗棒を支持する抵抗棒支持部の左右一側に設けられ、
前記2つの連結部のうち他方は、
前記抵抗棒支持部の左右他側に設けられる、
請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記可変機構は、
前記使用位置及び前記非使用位置に位置している前記尾輪を、当該位置に保持する保持機構を具備する、
請求項1又は請求項2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記保持機構は、
前記使用位置に位置する前記尾輪を前記使用位置に保持するように付勢すると共に、前記非使用位置に位置する前記尾輪を前記非使用位置に保持するように付勢する付勢部を具備する、
請求項3に記載の歩行型管理機。
【請求項5】
前記可変機構は、
前記使用位置において、前記尾輪の位置を調節可能な調節機構を具備する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尾輪の取付位置を切り替えることが可能な歩行型管理機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、尾輪の取付位置を変更することが可能な取付機構の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、尾輪を支持する回転フレームを、歩行型管理機の本体(支持部)に対して回転可能に取り付けることで、尾輪の取付位置を変更可能とする技術が開示されている。具体的には、回転フレームは、支持部に挿通されることによって、当該支持部に回転可能に支持される。回転フレームを回転させることで、尾輪の取付位置を変更することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、回転フレームの回転に伴って、尾輪が車体の左右方向に大きく張り出すように回転する。このため、尾輪の取付位置を変更する際には広いスペースが必要であり、また、回転フレームを回転させる作業が煩雑であるなど、作業性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業性を向上させることが可能な歩行型管理機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様に係る歩行型管理機は、尾輪と、耕耘爪を覆う耕耘カバーに設けられ、前記尾輪を上下に昇降させることで、前記尾輪を使用可能な使用位置と、前記尾輪を使用不能な非使用位置と、に切り替えることが可能な可変機構と、を具備し、前記可変機構は、前記尾輪を支持する支持部、及び、前記支持部を前記耕耘カバーに対して昇降可能に連結する2つの連結部を節とする、4節リンク機構を具備するものである。
本開示の一態様によれば、尾輪の取付位置を変更する際の作業性を向上させることができる。また、本開示の一態様によれば、簡素な構成によって尾輪の位置を切り替えることができる。
【0010】
また、本開示の一態様に係る歩行型管理機において、前記2つの連結部のうち一方は、抵抗棒を支持する抵抗棒支持部の左右一側に設けられ、前記2つの連結部のうち他方は、前記抵抗棒支持部の左右他側に設けられるものである。
本開示の一態様によれば、連結部の左右位置を異ならせることで、省スペース化や他の部材との干渉を避け易くすることができる。
【0011】
また、本開示の一態様に係る歩行型管理機において、前記可変機構は、前記使用位置及び前記非使用位置に位置している前記尾輪を、当該位置に保持する保持機構を具備するものである。
本開示の一態様によれば、意図せず尾輪の位置が切り替わるのを防止することができる。
【0012】
また、本開示の一態様に係る歩行型管理機において、前記保持機構は、前記使用位置に位置する前記尾輪を前記使用位置に保持するように付勢すると共に、前記非使用位置に位置する前記尾輪を前記非使用位置に保持するように付勢する付勢部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、簡素な構成によって尾輪を所定の位置に保持することができる。
【0013】
また、本開示の一態様に係る歩行型管理機において、前記可変機構は、前記使用位置において、前記尾輪の位置を調節可能な調節機構を具備するものである。
本開示の一態様によれば、作業内容等に応じて尾輪の位置を調節することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、尾輪の取付位置を変更する際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一態様に係る歩行型管理機を示した左側面図。
【
図2】可変機構及び非使用位置に切り替えられた尾輪を示した左側面図。
【
図9】(a)支持アームと支持部の連結部分を示した背面図。(b)同じく、左側面図。(c)支持アームを左方に移動させる様子を示した背面図。(d)支持アームを回動させる様子を示した左側面図。
【
図10】使用位置に切り替えられた尾輪を示した左側面図。
【
図11】使用位置において位置が調節された尾輪を示した左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0017】
以下では、
図1を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
歩行型管理機1は、機体フレーム2、車輪3、エンジン4、燃料タンク5、ボンネット6、ミッションケース7、ロータリ耕耘装置8、クラッチ機構9、ハンドルフレーム10、ハンドル連結部11、操縦ハンドル12、抵抗棒13、支持部14及び尾輪15を具備する。
【0019】
機体フレーム2は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。機体フレーム2は、左右一対の車輪3に支持される。エンジン4は、機体フレーム2に載置される。燃料タンク5は、エンジン4の後方に配置される。当該エンジン4及び燃料タンク5は、ボンネット6によって覆われる。
【0020】
ミッションケース7は、エンジン4からの動力を、車輪3やロータリ耕耘装置8に伝達する動力伝達機構(不図示)を収容するケースである。ミッションケース7の後部には、ロータリ耕耘装置8が設けられる。ロータリ耕耘装置8は、回転軸に固定される耕耘爪8aが固定される。耕耘爪8aの上部は、耕耘カバー8bで覆われる。クラッチ機構9は、車輪3や耕耘爪8aの回転及び回転の停止を切り替えるためのものである。
【0021】
耕耘カバー8bの上方には、ハンドルフレーム10が配置される。ハンドルフレーム10は、操縦ハンドル12を支持するためのフレームである。ハンドルフレーム10は、後上方へ延びるように形成される。ハンドルフレーム10の後上端部には、ハンドル連結部11を介して操縦ハンドル12が取り付けられる。操縦ハンドル12には、作業者が歩行型管理機1を操縦するためのスイッチやレバー等が設けられる。
【0022】
また、ミッションケース7や耕耘爪8aの後方には、歩行型管理機1の走行に抵抗を付与する抵抗棒13が配置される。抵抗棒13は、耕耘カバー8bに設けられた筒状の支持部14により支持される。支持部14は長手方向を上下に向けて耕耘カバー8bに固定される。抵抗棒13は、支持部14に挿通された状態で固定される。支持部14に対する抵抗棒13の上下位置は、任意に調節可能である。
【0023】
耕耘カバー8bには、可変機構200を介して尾輪15を取り付けることができる。可変機構200は、尾輪15を上下に昇降させることで、尾輪15の取付位置を、使用位置と非使用位置とに切り替えることができる。使用位置は、尾輪15を接地させて使用することが可能な位置である。また、非使用位置は、使用しない尾輪15が配置される位置である。具体的には、尾輪15を下降させる(使用位置に切り替える)ことで、歩行型管理機1を走行させる際等に当該尾輪15を接地させて使用することができる(
図10及び
図11参照)。また、尾輪15を使用しない場合には、尾輪15を上昇させる(非使用位置に切り替える)ことで、接地しない位置に尾輪15を配置することができる(
図1及び
図2参照)。
【0024】
以下では、可変機構200の具体的な構成について説明する。
【0025】
図2から
図5までに示す可変機構200は、主としてブラケット210、支持部220、第一連結部230、第二連結部240、支持アーム250、第一付勢部260及び第二付勢部270を具備する。
【0026】
図5から
図7までに示すブラケット210は、後述する支持部220等を耕耘カバー8bに固定するための部材である。ブラケット210は、前方に向かって開口する平面視略U字状に形成される。ブラケット210は、平板の両端部をそれぞれ前方に屈曲させることで形成されている。ブラケット210は、当該ブラケット210の両端で支持部14を左右から挟むように配置され、支持部14に固定される。ブラケット210には、使用位置規制部211及び係止部212が設けられる。
【0027】
図6及び
図7に示す使用位置規制部211は、板状の部材により形成される。使用位置規制部211は、ブラケット210の左側面に固定される。
【0028】
係止部212は、略円柱状に形成される。係止部212は、軸線方向を左右に向けた状態で、ブラケット210の左側面から左方に突出するように固定される。
【0029】
図3から
図5、
図8に示す支持部220は、尾輪15を支持するための部材である。支持部220は、略円筒状に形成される。支持部220は、軸線方向を略上下方向に向けて配置される。支持部220には、連結軸部221、筒状部222及び係合軸223が設けられる。
【0030】
図8に示す連結軸部221は、略円柱状に形成される。連結軸部221は、軸線方向を略左右方向に向けて配置される。連結軸部221は、支持部220の中途部を左右に貫通した状態で、当該支持部220に固定される。
【0031】
図8及び
図9に示す筒状部222は、略円筒状に形成される。筒状部222は、軸線方向を略左右方向に向けて配置される。筒状部222は、支持部220の下端に固定される。
【0032】
係合軸223は、略円柱状に形成される。係合軸223は、軸線方向を筒状部222の軸線方向と同じ方向(略左右方向)に向けて配置される。係合軸223は、筒状部222の外周面に固定される。係合軸223は、筒状部222の周方向に適宜の間隔をあけて2つ設けられる。係合軸223は、筒状部222から左方に突出するように設けられる。
【0033】
図3、
図5及び
図7に示す第一連結部230は、支持部220を耕耘カバー8bに対して連結するための部材である。第一連結部230は、長手状の板材によって形成される。第一連結部230は、厚さ方向を左右に向けて配置される。第一連結部230の一端部(下端部)は、軸線方向を左右に向けた車体側連結軸231を介して、ブラケット210の左側面に回動可能に連結される。このようにして、第一連結部230は、抵抗棒13を支持する支持部14の左側に配置される。第一連結部230の他端部(上端部)は、軸線方向を左右に向けた支持部側連結軸232を介して支持部220の上端部に回動可能に連結される。
【0034】
図4から
図6までに示す第二連結部240は、支持部220を耕耘カバー8bに対して連結するための部材である。第二連結部240は、長手状の板材によって形成される。第二連結部240は、厚さ方向を左右に向けて配置される。第二連結部240の一端部(下端部)は、軸線方向を左右に向けた連結軸241を介して、ブラケット210の右側面に回動可能に連結される。このようにして、第二連結部240は、抵抗棒13を支持する支持部14の右側に配置される。連結軸241は、車体側連結軸231の下方に配置される。第二連結部240の他端部(上端部)は、支持部220に設けられた連結軸部221の右端部(支持部220より右側の部分)に回動可能に連結される。
【0035】
本実施形態では、ブラケット210、支持部220、第一連結部230及び第二連結部240を節とする、4節リンク機構が構成されている。これによって支持部220は、耕耘カバー8bに設けられたブラケット210に対して昇降可能に連結される。
【0036】
図8及び
図9に示す支持アーム250は、支持部220に対して尾輪15を取り付けるための部材である。支持アーム250は、円柱状の部材を適宜屈曲させて形成される。具体的には、支持アーム250は、円柱状の部材の両端部をそれぞれ右方に向けて屈曲させることで、正面視(背面視)略U字状に形成される。以降、支持アーム250の両端の屈曲された部分をそれぞれ第一屈曲部250a及び第二屈曲部250bと称する。
【0037】
第一屈曲部250aの中途部(左端部近傍)には、係合板251が設けられる。係合板251は、厚さ方向を左右に向けた板状に形成される。係合板251は、第一屈曲部250aに挿通された状態で固定される。係合板251には、第一屈曲部250aを中心とする同一円周上に複数(3つ)の貫通孔251aが形成される。貫通孔251aは、側面視において係合軸223と同一円周上に形成される。隣接する貫通孔251aの間隔は、係合軸223の間隔と同一となるように形成される。
【0038】
支持アーム250の第一屈曲部250aは、支持部220の筒状部222に挿入されることで、支持部220に対して回動可能に支持される。また、係合板251に形成された3つの貫通孔251aのうち、2つの貫通孔251aに支持部220の係合軸223が挿入されることで、支持アーム250の回動が規制される。
【0039】
第二屈曲部250bには、尾輪15が回転可能となるように設けられる。
【0040】
第一付勢部260は、支持アーム250を付勢するための部材である。第一付勢部260は、圧縮コイルばねにより形成される。第一付勢部260は、筒状部222の右方において、支持アーム250の第一屈曲部250aに挿通された状態で配置される。第一付勢部260は、第一屈曲部250aに固定された適宜の係止部材(止め輪等)によって、第一屈曲部250aから脱落しないように保持される。
【0041】
第一付勢部260によって、支持アーム250を常時右方に向かって付勢することができる。これによって、係合軸223を係合板251の貫通孔251aに挿通された状態に保持することができる。
【0042】
図2及び
図5に示す第二付勢部270は、尾輪15の取付位置を使用位置及び非使用位置に保持するための部材である。なお、本実施形態では説明の便宜上、
図3及び
図4等において第二付勢部270の図示を省略している。また本実施形態では、
図2等において第二付勢部270を二点鎖線で簡略化して図示している。第二付勢部270は、引張りコイルばねにより形成される。第二付勢部270の一端は、ブラケット210の係止部212に係止される。第二付勢部270の他端は、支持部220の連結軸部221に係止される。
【0043】
上述のように構成された可変機構200を用いることによって、尾輪15の取付位置を使用位置と非使用位置とに切り替えることができる。以下、具体的に説明する。
【0044】
図2には、尾輪15の取付位置を非使用位置に切り替えた状態を示している。この状態では、第一連結部230及び第二連結部240がブラケット210から上方に向かって延びるように配置されている。これによって、尾輪15が比較的高い位置(接地しない位置)に配置される。
【0045】
この状態では、側面視において第二付勢部270が第二連結部240の回動支点(連結軸241)よりも上方に位置しているため、第二付勢部270の付勢力によって第二連結部240が上方(側面視反時計回り)に付勢される。上方に付勢された第二連結部240は、ブラケット210の右側において、車体側連結軸231に当接することで、上方への回動が規制される(
図4参照)。このように、第二付勢部270の付勢力によって、尾輪15を非使用位置に保持することができる。
【0046】
尾輪15を非使用位置から使用位置に切り替える場合、作業者は、尾輪15や支持部220等を下方へと押し下げる。これによって、第二付勢部270の付勢力に抗して第一連結部230及び第二連結部240が下方へと回動する。
【0047】
図10に示すように、第一連結部230等がある程度下方に回動すると、側面視において第二付勢部270が第二連結部240の回動支点(連結軸241)よりも下方に位置することになる。この状態では、第二付勢部270の付勢力によって第一連結部230及び第二連結部240が下方(側面視時計回り)に付勢される。下方に付勢された第一連結部230は、ブラケット210の左側において、使用位置規制部211に当接することで、下方への回動が規制される。このようにして、第二付勢部270の付勢力によって、尾輪15を使用位置に保持することができる。
【0048】
図10に示すように、尾輪15が使用位置に切り替えられた状態では、尾輪15が比較的低い位置(接地可能な位置)に配置されることになる。この状態では、歩行型管理機1を走行させる際に尾輪15を接地させるなどして使用することができる。なお、作業者は、尾輪15を上方へと押し上げることで、尾輪15の位置を再び非使用位置に切り替えることができる。
【0049】
このように本実施形態では、可変機構200によって尾輪15を上下に昇降させることで、尾輪15の取付位置を容易に切り替えることができる。また、尾輪15の取付位置を切り替える際には、尾輪15の姿勢(尾輪15の回動軸(第二屈曲部250b)の向き)が変わるような動作を伴わず、尾輪15は単に上下に昇降するため、尾輪15の取付位置を変更するために広い作業スペースを確保する必要がない。このように本実施形態では、尾輪15の取付位置を変更する際の作業性を向上させることができる。
【0050】
また本実施形態では、支持部220、支持アーム250及び第一付勢部260によって、尾輪15の位置を調節可能な調節機構が構成されている。当該調節機構を用いることで、使用位置に切り替えられた尾輪15の位置をさらに調節することができる。
【0051】
具体的には、
図9(c)に示すように、作業者は支持アーム250を左方にスライドさせる。これによって、係合板251と係合軸223の係合が解除され、支持アーム250が回動できる状態になる。この状態で、
図9(d)に示すように、支持アーム250(係合板251)を側面視時計回りに回動させ、係合軸223を元々係合されていた貫通孔251a(
図9(b)参照)とは異なる貫通孔251aに係合させる。これによって、支持アーム250の回動を再び規制することができる。
【0052】
このように支持アーム250を側面視時計回りに回動させることで、
図11に示すように、使用位置に切り替えられた尾輪15の位置を、さらに下方に調節することができる。このように作業者は、作業内容に応じて使用位置に切り替えられた尾輪15の位置をさらに調節することができる。
【0053】
以上の如く、本実施形態に係る歩行型管理機1は、
尾輪15と、
耕耘爪8aを覆う耕耘カバー8bに設けられ、前記尾輪15を上下に昇降させることで、前記尾輪15を使用可能な使用位置と、前記尾輪を使用不能な非使用位置と、に切り替えることが可能な可変機構200と、
を具備するものである。
このように構成することにより、尾輪15の取付位置を変更する際の作業性を向上させることができる。具体的には、尾輪15を上下に昇降させるという単純な動作で、尾輪15の取付位置を切り替えることができる。また、尾輪15の取付位置を変更する際に、広い作業スペースを確保する必要がない。
【0054】
また、前記可変機構200は、
前記尾輪15を支持する支持部220、及び、前記支持部220を前記耕耘カバー8bに対して昇降可能に連結する2つの連結部(第一連結部230及び第二連結部240)を節とする、4節リンク機構を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成によって尾輪15の位置を切り替えることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1において、
前記2つの連結部のうち一方(第一連結部230)は、
抵抗棒13を支持する支持部14(抵抗棒支持部)の左側(左右一側)に設けられ、
前記2つの連結部のうち他方(第二連結部240)は、
前記支持部14の右側(左右他側)に設けられるものである。
このように構成することにより、連結部の左右位置を異ならせることで、省スペース化や他の部材との干渉を避け易くすることができる。
【0056】
また、前記可変機構200は、
前記使用位置及び前記非使用位置に位置している前記尾輪15を、当該位置に保持する保持機構(第二付勢部270)を具備するものである。
このように構成することにより、意図せず尾輪15の位置が切り替わるのを防止することができる。
【0057】
また、前記保持機構は、
前記使用位置に位置する前記尾輪15を前記使用位置に保持するように付勢すると共に、前記非使用位置に位置する前記尾輪15を前記非使用位置に保持するように付勢する第二付勢部270(付勢部)を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成によって尾輪15を所定の位置に保持することができる。
【0058】
また、前記可変機構200は、
前記使用位置において、前記尾輪15の位置を調節可能な調節機構(支持部220、支持アーム250及び第一付勢部260)を具備するものである。
このように構成することにより、作業内容等に応じて尾輪15の位置を調節することができる。
【0059】
なお、本実施形態に係る第一連結部230及び第二連結部240は、連結部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る支持部14は、抵抗棒支持部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二付勢部270は、保持機構及び付勢部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る支持部220、支持アーム250及び第一付勢部260は、調節機構の実施の一形態である。
【0060】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、可変機構200は、尾輪15を上下に昇降させることが可能なものであればよく、その具体的な構成は特に限定するものではない。
【0062】
また、本実施形態では、可変機構200がブラケット210を介して支持部14に固定される例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ブラケット210を用いることなく、支持部14に直接可変機構200(第一連結部230及び第二連結部240)を取り付けることも可能である。また、支持部14ではなく、耕耘カバー8bのその他の部位に可変機構200を取り付けてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、4節リンク機構を用いて尾輪15を上下に昇降させる構成を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の構成によって尾輪15を上下に昇降させることも可能である。例えば、スライド機構、伸縮機構等を用いて尾輪15を上下に昇降させることも可能である。
【0064】
また、本実施形態では、尾輪15を使用位置及び非使用位置に保持する保持機構として第二付勢部270を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の構成によって尾輪15を保持することが可能である。例えば、係合部材を尾輪15と係合させることで尾輪15の位置を保持することや、磁力を用いて尾輪15の位置を保持することも可能である。
【0065】
また、本実施形態では、使用位置に切り替えられた尾輪15の位置が、調節機構によって調節される例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば非使用位置における尾輪15の位置を調節することも可能である。
【0066】
また、本実施形態では、調節機構によって尾輪15の位置を2段階(
図10及び
図11参照)に調節する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、調節可能な尾輪15の位置は任意に設定することが可能である。例えば、尾輪15の位置を3段階以上に調節可能としてもよい。この場合、係合板251の貫通孔251aや、当該貫通孔251aと係合する係合軸223の個数を任意に変更することも可能である。また、尾輪15の位置を無段階に調節可能としてもよい。
【0067】
また、本実施形態で例示した調節機構(支持部220、支持アーム250及び第一付勢部260)は一例であり、調節機構の構成は任意に変更することが可能である。例えば、スライド機構、伸縮機構等を用いて尾輪15の位置を調節することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 歩行型管理機
8a 耕耘爪
8b 耕耘カバー
14 支持部
15 尾輪
200 可変機構
220 支持部
230 第一連結部
240 第二連結部
250 支持アーム
260 第一付勢部
270 第二付勢部