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特許7686915光ネットワークのパス制御装置、光ネットワークシステム、パス制御方法、およびパス制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】光ネットワークのパス制御装置、光ネットワークシステム、パス制御方法、およびパス制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20250527BHJP
   H04J 14/00 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H04B10/27
H04J14/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023518627
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2022011477
(87)【国際公開番号】W WO2022234722
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2021079303
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柳町 成行
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/171103(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109905173(CN,A)
【文献】Masahiko Jinno et al.,Feasibility Demonstration of Spatial Channel Networking Using SDM/WDM Hierarchical Approach for Peta-b/s Optical Transport,JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY [online],2020年,VOL. 38, NO. 9,pp. 2577 - 2586,[検索日 2024.11.19], インターネット <https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8986847>,DOI: 10.1109/JLT.2020.2972367
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04J 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置であって、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、
前記パス制御装置は、
同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備え
前記制御部は、異なるノードで挿入された同じ受信ノードあてのパスを、ノードを通過するたびに同じコアに集約する、
ことを特徴とするパス制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信ノードにおいて、同一前記受信ノード向けのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパス制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記送信ノードと前記受信ノードとを中継する中継ノードにおいて、前記波長選択スイッチ部を経由して、同一前記受信ノードあてのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパス制御装置。
【請求項4】
前記光スイッチ部は、前記マルチコア光伝送路を直接収容する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のパス制御装置。
【請求項5】
前記ノードは、
前記マルチコア光伝送路をシングルコア単位に分離する分離部を備え、
前記光スイッチ部は、前記マルチコア光伝送路を前記分離部によってシングルコア単位に分離した後に収容する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のパス制御装置。
【請求項6】
パス情報データベースを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記パス情報データベースを参照して、パス計算を行う、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のパス制御装置。
【請求項7】
複数のコアを有するマルチコア光伝送路によって接続された複数のノードと、
前記マルチコア光伝送路および前記複数のノードを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置と、
を備え、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、
前記パス制御装置は、
同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備え
前記制御部は、異なるノードで挿入された同じ受信ノードあてのパスを、ノードを通過するたびに同じコアに集約する、
ことを特徴とする光ネットワークシステム。
【請求項8】
複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御方法であって、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、
前記パス制御方法は、
同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約すること、
を含み、
前記同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約することは、
異なるノードで挿入された同じ受信ノードあてのパスを、ノードを通過するたびに同じコアに集約すること
を含む、
ことを特徴とするパス制御方法。
【請求項9】
複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置としてコンピュータを機能させるためのパス制御プログラムであって、前記コンピュータを、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部として機能させ、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え
前記制御部は、異なるノードで挿入された同じ受信ノードあてのパスを、ノードを通過するたびに同じコアに集約する、
ことを特徴とするパス制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワークのパス制御装置、光ネットワークシステム、パス制御方法、およびパス制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される携帯端末の急速な普及と、端末の高度化による高精細画像等の大容量データ通信により、ネットワークに流れるトラフィックは急速な伸びを続けている。ある調査によると、国内の2020年度のブロードバンド契約者の総ダウンロードトラフィックは約19Tbpsで年率約57%の割合で増大を続けており、今後もトラフィックの増大が見込まれている。これに対し、大容量通信を支えるコアネットワークでは、複数の異なる波長の光信号を1本の光ファイバに多重して伝送する波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing:WDM)、DP-QPSK(Dual Polarization Differential Quadrature Phase Shift Keying)、16-QAM(16-Quadrature Amplitude Modulation)等の高度変調方式など、大容量化技術の開発が進められてきた。しかしながら、WDMで利用できる波長数は限られているため、近い将来、WDMによる通信容量の増大は頭打ちとなることが予想されている。また、高度変調方式でも、信号のS/N要求が厳しいため、到達距離が制限される等、限界が近づきつつある。これに対し、近年、光ファイバ1本当たりの伝送容量拡大を目的として、従来のシングルモード光ファイバ(Single Mode Optical Fiber:SMF)に代わり、1つのクラッド内に複数のコアを充填するマルチコア光ファイバ(Multi Core Optical Fiber:MCF)の研究開発も進められている。
【0003】
このように、大容量化の技術開発は着実に進められているが、一方、限られた周波数資源を有効活用する技術開発も進められている。例えば、エラステック収容技術においては、従来のWDM波長間隔を短縮して、周波数利用効率を高めている。さらに、ネットワーク制御の観点では、例えば、光伝送路の信号品質、通信信号の帯域、通信距離に応じてパスを割り当てることにより、パスのブロッキングを低減して、周波数利用効率を高める取り組みもある。
【0004】
近年では、先に述べたMCFを用い、従来のSMFと混在させたヘテロ環境ネットワークの検討がなされている。
【0005】
次に、MCFを用いたネットワーク構成を図17に示す。ネットワークはトラフィックの経路を切り替える複数のノードで構成され、その接続形態は、ポイント-ポイント、リング、メッシュ等がある。次に、ノードの構成の一例を図18に示す。ノードは、入力MCFをシングルコア単位(SMF)に分離するファンアウト、伝送損失を補償する光アンプ、SMFを入力とし、波長単位の経路切り替えを行うスイッチ素子(Wavelength Selectable Switch:WSS)、WSSからのSMF出力を再度MCFに束ねるファンイン、当該ノードにおいて、WSSからのトラフィックを受信、あるいは、WSSへ送信する複数の送受信器(Transponder:TRPD)、SMFを通る光信号を一部分岐してパワー等を測定するモニタ、および、ノードの各コンポーネントを制御する制御系で構成される。
【0006】
また、ファイバ断線等の障害が発生した場合に迅速に障害を復旧させるために、現用系と予備系の2つの経路が用意されたネットワークがある。障害箇所手前のノードにおいて、現用系から予備系に折り返すようにネットワークマネージメントシステム(Network Management System:NMS)がノードのスイッチを切り替えるように指示することで障害箇所を迂回し、通信を継続する。例えば、4コアMCFを4本現用系とするネットワーク構成の場合、ノードに入力されるSMF換算のファイバ数は4(コア数)×4(ファイバ数)×2(現用系、予備系)=32本となり、従来のSMFを用いたネットワーク構成に比較して、飛躍的に増大する。
【0007】
次に、上記試算で用いた4コアMCFを4本現用系とするネットワークの場合では、ノードは、コア内のすべて波長がすべてのコア、すべての方路にスイッチング可能なノンブロッキング、かつ、TRPDへのAdd(挿入)/Drop(分岐)ポートをそれぞれ1ポートずつ用意すると、現用系だけで1×18WSSが32台、シングルコアの光アンプが32台、プロテクションスイッチが16台必要となる。さらに、予備系を考慮するとさらにその2倍のコンポーネントが必要となり、ノードの肥大化、コスト高が非常に問題となる。
【0008】
先行事例においては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3にMCFを用いたネットワークにおける装置規模を低減したクロスコネクト装置の開示がある。しかしながら、これらの先行事例においては、MCFの各コアのスイッチングは可能であるが、各コア内の波長単位のスイッチングはできない構成である。
【0009】
また、特許文献4には、MCFネットワークにおいてパスの属性(送信ノード、受信ノード、中継ノード、距離、帯域等)を考慮することでパスの収容効率を高める方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】日本国特開2017-157983号公報
【文献】日本国特開2017-157982号公報
【文献】日本国特開2017-156444号公報
【文献】日本国特開2018-174417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のことから、ノード規模の肥大化を抑えつつ、波長単位の切り替えが可能で、且つパスの収容効率を高めた技術の開発が求められる。
【0012】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、マルチコアファイバを含む光ネットワークにおいて、ノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面に係るパス制御装置は、複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置であって、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、を備え、前記パス制御装置は、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備える。
【0014】
本発明の一側面に係る光ネットワークシステムは、複数のコアを有するマルチコア光伝送路によって接続された複数のノードと、前記マルチコア光伝送路および前記複数のノードを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置と、を備え、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、を備え、前記パス制御装置は、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備える。
【0015】
本発明の一側面に係るパス制御方法は、複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御方法であって、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、前記パス制御方法は、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約すること、を含む。
【0016】
本発明の一側面に係るパス制御方法は、複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置としてコンピュータを機能させるためのパス制御プログラムであって、前記コンピュータを、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部として機能させ、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、ノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めるための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る光ネットワークシステムの構成の一例を概略的に示す図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る光ネットワークシステムに具備されるパス制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の例示的実施形態1に係る光ネットワークシステムに具備されるノードの構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の例示的実施形態1に係るパス制御方法の流れの一例を示すフロー図である。
図5】本発明の例示的実施形態2に係る光ネットワークシステムの構成の一例を概略的に示す図である。
図6】7コアのマルチコア光ファイバの構造図である。
図7】4コアの非結合型マルチコアファイバの構造図である。
図8】4コアの結合型マルチコアファイバの構造図である。
図9】本発明の例示的実施形態2におけるノードの構成図である。
図10】本発明の例示的実施形態2におけるパス制御装置の構成を示すブロック図である。
図11】本発明の例示的実施形態2における波長割り当ての概念図である。
図12】本発明の例示的実施形態2の動作を示すフローチャートである。
図13】本発明の例示的実施形態3における波長割り当ての概念図である。
図14】本発明の例示的実施形態3の動作を示すフローチャートである。
図15】本発明の例示的実施形態4のノード構成図である。
図16】本発明の各例示的実施形態におけるパス制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図17】MCFを用いたネットワークの構成図である。
図18】MCFネットワークのノードの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔例示的実施形態1〕
<システムおよび装置の構成>
本例示的実施形態に係る光ネットワークシステム1、パス制御装置100、およびノード101の構成について、図1から図3を参照して説明する。図1は、光ネットワークシステム1の構成の一例を概略的に示す図である。図2は、パス制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。図3は、ノード101の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
光ネットワークシステム1は、マルチコア光ファイバを含む光ネットワークシステムである。一態様において、光ネットワークシステム1は、マルチコア光ファイバとシングルコア光ファイバとが混在するヘテロ光ネットワークシステムであってよい。
【0021】
図1に示すように、光ネットワークシステム1は、パス制御装置100、ノード101、光伝送路102を備えている。
【0022】
パス制御装置100は、NMS(Network Management System)とも称され、光ネットワークシステム1を制御する。一態様において、パス制御装置100は、各ノード101を制御して、送信ノードから受信ノードまでのパスを割り当てる。
【0023】
光伝送路102は、複数のノード101を接続するリング103と、複数のリング103を接続する接続リンク104とから構成される。光伝送路102は、マルチコア光伝送路を含む。光伝送路102は、一部がマルチコア光伝送路によって構成され、一部がシングルコア光伝送路によって構成されていてもよく、全てがマルチコア光ファイバによって構成されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、パス制御装置100は、制御部10を備えている。
【0025】
制御部10は、同一の受信ノード向けのパスを、同一マルチコア光伝送路の同一コアに集約する。
【0026】
ノード101は、図3に示すように、送受信部101A、波長選択スイッチ部101B、および光スイッチ部101Cを備えている。
【0027】
送受信部101Aは、光信号の送受信を行う。
【0028】
光スイッチ部101Cは、複数のマルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う。
【0029】
波長選択スイッチ部101Bは、送受信部101Aと光スイッチ部101Cとの間を波長選択的に接続する。
【0030】
<パス制御方法の流れ>
本例示的実施形態に係るパス制御方法の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、本例示的実施形態に係るパス制御方法の流れの一例を示すフロー図である。図4に示すとおり、本例示的実施形態に係るパス制御方法は、少なくとも、ステップS1を含む。
【0031】
ステップS1において、制御部10は、光ネットワークシステム1内の各光伝送路102が備えるコアから、送信ノードから受信ノードまでを連結するパスを制御し、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する。
【0032】
<本例示的実施形態が奏する効果>
以上のように、本例示的実施形態に係る光パス制御装置100は、複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置であって、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、を備え、前記パス制御装置は、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備える構成が採用されている。
【0033】
また、本例示的実施形態に係る光ネットワークシステムは、複数のコアを有するマルチコア光伝送路によって接続された複数のノードと、前記マルチコア光伝送路および前記複数のノードを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置と、を備え、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、を備え、前記パス制御装置は、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備える構成が採用されている。
【0034】
また、本例示的実施形態に係るパス制御方法は、複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御方法であって、前記ノードは、光信号の送受信を行う送受信部と、複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、を備え、前記パス制御方法は、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約すること、を含む構成を採用することができる。
【0035】
このため、本例示的実施形態に係るパス制御装置100、光ネットワークシステム1、およびパス制御方法によれば、同一の受信ノード向けのパスが、同一マルチコア光伝送路の同一コアに集約される。そのため、受信ノードにおいて光信号を受信するために分岐(Drop)が必要なコアの数を最小限にすることができる。したがって、例え受信ノードがノンブロッキングな構成であっても、ブロッキングを抑制することができる。これにより、ノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる。結果として、光ネットワークシステム全体のコストを削減することが可能となる。
【0036】
ここで、同一マルチコア光伝送路の同一コアに集約するとは、1つのコアに収まる場合は1つのコアに割り当てる一方で、集約すべきパスの数が多くて1つのコアに収まらない場合には複数のコアに割り当てることも可能である。
【0037】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上述の例示的実施形態にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0038】
<システムおよび装置の構成>
本例示的実施形態について、図5等を参照して詳細に説明する。図5は、MCFを用いたヘテロ光ネットワークの構成である。
【0039】
本例示的実施形態に係る光ネットワークシステム1およびパス制御装置100の構成は、上述の例示的実施形態1と同様であり、本例示的実施形態では詳細な構成について説明する。
【0040】
光ネットワークシステム1は、マルチコア光伝送路であるマルチコア光ファイバを含む光ネットワークシステムである。一態様において、光ネットワークシステム1は、マルチコア光伝送路であるマルチコア光ファイバとシングルコア光伝送路であるシングルコア光ファイバとが混在するヘテロ光ネットワークシステムであってよい。一例として、マルチコア光ファイバは、非結合型マルチコア光ファイバを用いてよい。
【0041】
光ネットワークシステム1は、図5に示すように、パス制御装置100および複数のノード101が、光伝送路102を介して接続されている。
【0042】
本例示的実施形態では、光伝送路102はリング形状である。しかし、これに限らず、マルチリング、メッシュ状等の別の形態であってもよい。また、光伝送路102は、現用系と、予備系との2つの経路が用意されている。
【0043】
なお、それぞれのリングには複数のノードと光の伝送損失を補償する光増幅器(図示せず)が接続されていてよい。
【0044】
(マルチコア光ファイバ)
図6に、マルチコア光ファイバの構造の一例として、7コアのマルチコア光ファイバの構造を示す。図6に示すマルチコア光ファイバ50では、7本のコア51が、1つのクラッド52内に含まれている。なお、マルチコア光ファイバには大別して、非結合型マルチコア光ファイバと結合型マルチコア光ファイバが開発されている。
【0045】
図7に、非結合型マルチコア光ファイバの構造の一例として、4コアの非結合型マルチコア光ファイバの構造を示す。非結合型マルチコア光ファイバ50はコア51間の間隔を離し、コア51間のクロストークを抑えた光ファイバである。非結合型マルチコア光ファイバ50では、それぞれのコア51を独立した光伝送路として用いることができるため、従来のシングルコア光ファイバ用に開発された光通信技術をそのまま活用することが可能である。
【0046】
図8に、結合型マルチコア光ファイバの構造の一例として、4コアの結合型マルチコア光ファイバの構造を示す。結合型マルチコア光ファイバはコア51間隔を詰めて、高いコア密度を実現した光ファイバである。結合型マルチコア光ファイバでは、それぞれのコア51間でクロストークが生じるため、光受信器においてDIP(Digital Signal Processor)等を用いたMIMO(Multi Input Multi Output)処理が必要である。
【0047】
本例示的実施形態では、光伝送路102を構成するマルチコア光ファイバとして、図7に示す4コアの非結合型マルチコア光ファイバを用いる。しかし、コア本数は4本(4コア)に限定されるものではない。
【0048】
(ノード)
図9は、本例示的実施形態において用いるノード101の構成の一例を示すブロック図である。個々のノード101は、一例において、入力MCF201、伝送損失補償マルチコア光アンプ202、マルチコア光スイッチ203、ノード損失補償マルチコア光アンプ204、ファンアウト205、TRPD206、WSS207、ファンイン208、出力MCF209、ノードコントローラ210を含む。
【0049】
ノード101は、光信号の流れの順に、
・入力MCF201の伝送損失をマルチコアファイバ単位で補償する伝送損失補償マルチコア光アンプ202、
・マルチコア光アンプ202からのMCFのコア間スイッチングを行うマルチコア光スイッチ203、
・マルチコア光スイッチ203のDrop(分岐)ポートからの光信号の損失を補償するノード損失補償マルチコア光アンプ204、
・ノード損失補償マルチコア光アンプ204からのMCF単位の光信号をSMF単位(シングルコア単位)に分離するファンアウト205、
・ファンアウト205からのSMF単位(シングルコア単位)の光信号を波長単位の切り替え、および、光信号の送受信を行うTRPD206へのAdd(挿入)/Drop(分岐)を行うWSS207、
・WSS207からのSMF単位(シングルコア単位)の光信号をMCFに束ねるファンイン208、
・ファンイン208からのMCF単位の光信号の損失を補償するノード損失補償マルチコア光アンプ204、
・ノード損失補償マルチコア光アンプ204の光信号をAddポートで受けコア間スイッチングを行うマルチコア光スイッチ203、
・マルチコア光スイッチ203からの光信号の損失を補償する伝送損失補償マルチコア光アンプ202、
・伝送損失補償マルチコア光アンプ202からの光信号を伝送する出力MCF209、
・ノード内の各デバイスを制御するノードコントローラ210
を含む。なお、TRPD206、マルチコア光スイッチ203、およびWSS207は、請求の範囲における送受信部、光スイッチ部、および波長選択スイッチ部の一具体例である。
【0050】
マルチコア光スイッチ203は、複数のマルチコア光ファイバに接続され、コア単位でパス切り替えを行う。一例として、マルチコア光スイッチ203は、マルチコア光ファイバを直接収容する構成である。
【0051】
WSS207は、TRPD206とマルチコア光スイッチ203との間を波長選択的に接続する。
【0052】
一例として、入力MCF201、出力MCF209のコア数を4、MCF数を4とすると、伝送損失補償マルチコア光アンプ202は19コアを補償する光アンプとなる。また、Add(挿入)/Drop(分岐)ポート数を各1ポート(Add/Drop率は25%に相当)、プロテクションポート数を1ポートとすると、マルチコア光スイッチ203は6×6となる。また、ノード損失補償マルチコア光アンプ204は、4コアの1つのMCFを補償すればよいため4コアを補償する光アンプとなる。
【0053】
SMFには、一部の光信号を分岐するタップカプラ(図示せず)が取り付けられており、タップカプラから分岐した光信号はモニタ(図示せず)に入力される。ノードコントローラ210は、当該モニタから受信したモニタ情報に応じて、マルチコア光スイッチ203およびWSS207を制御する。
【0054】
なお、本例示的実施形態においては、WSS207は、複数のマルチコア光ファイバが直接的に接続されたマルチコア光スイッチである。しかしこれに限定されるものではなく、WSS207は、マルチコア光ファイバと、間接的に(つまり、ファンアウトおよびシングルコアファイバを介して)接続される構成であってもよい。
【0055】
(パス制御装置)
図10は、本例示的実施形態におけるパス制御装置の構成の一例を示すブロック図である。パス制御装置は、先述の第1の例示的実施形態において説明している構成を基本構成としているが、制御部10がパス計算部11を更に備える。また、記憶部20が、パス情報データベース(パス情報DB)を記憶している。
【0056】
パス計算部11は、パス情報データベースを参照して、パス計算を行う。パス計算部11は、一例として、送信ノードから受信ノードまで使用可能な複数のMCFのうち、未使用のコアを抽出する。
【0057】
<パス制御方法の流れ>
本例示的実施形態のパス制御方法について説明する。本方法は、本例示的実施形態のパス制御装置100によって行う。本方法では、送信ノードから受信ノードまで直達パスがある場合について説明する。
【0058】
図11は、波長割り当ての概念図、図12は動作のフローチャートである。
【0059】
まず、パスリクエストが発行されると、パス制御装置100の制御部10にあるパス計算部11が、記憶部20に記憶したパス情報データベース(パス情報DB)を参照し、送信ノードから受信ノードまで使用可能な複数のMCFのうち、未使用のコアを抽出する(ステップS1)。
【0060】
次に、ステップS1において抽出した未使用なコアから、制御部10が、送信ノードから、受信ノードまでに接続可能なコアを抽出する(ステップS2)。
【0061】
次に、ステップS2で抽出した接続可能なコアにおいて、制御部10が、送信ノードから受信ノードまで同一波長の空き波長を抽出する(ステップS3)。
【0062】
次に、制御部10が、ステップS3において抽出した空き波長にパスを割り当てる(ステップS4)。このとき、例えば、図11に示すように、同一受信ノード(パスNo.1とパスNo.2、および、パスNo.3とパスNo.4)は、同一ファイバの同一コアに割り当てる。
【0063】
次に、制御部10による制御を受けて、ノード101(送信ノード)においてノードコントローラ210が、トランスポンダ206を制御し、選択した波長に合わせる(ステップS5)。
【0064】
次に、ノードコントローラ210が、WSS207を制御し、所望のシングルモード光ファイバに設定パスを収容する(ステップS6)。
【0065】
次に、ファンイン208により所望のSDMファイバに収容する(ステップS7)。
【0066】
次に、ノードコントローラ210が、マルチコア光スイッチ203を制御し、上述のステップS4の割り当てとなるようにパスを切り替える(ステップS8)。
【0067】
次に、当該パスの導通確認のため、シグナリングを行う(ステップS9)。信号疎通が不可能な場合は、他の波長を割り当て(ステップS4)から再度行う。信号疎通が確認されれば動作を完了する(END)。
【0068】
<本例示的実施形態が奏する効果>
このように、同じ受信ノードあてのパスが1つのファイバの1つのコアに集約されるため、受信ノードにおいて光信号を受信するために分岐(Drop)が必要なコアの数を最小限にすることができる。したがって、少ないDropポートを持つノード101においても、ブロッキングを起こす確率を下げることが可能であり、パスの収容効率向上を図ることができる。結果として、光ネットワークシステム全体のコストを削減することが可能となる。
【0069】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上述の例示的実施形態にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0070】
システムおよび装置の構成は、上述の例示的実施形態2と基本的に同一である。但し、本実施形態におけるトランスポンダ206としては、選択的に異なった波長を出力することができる波長可変トランスポンダを用いる。
【0071】
<パス制御方法の流れ>
本例示的実施形態のパス制御方法について説明する。本方法では、送信ノードから受信ノードまで直達パスがない場合について説明する。
【0072】
図13は、波長割り当ての概念図、図14は動作のフローチャートである。
【0073】
まず、パスリクエストが発行されると、パス制御装置100の制御部10にあるパス計算部11が、記憶部20に記憶したパス情報データベース(パス情報DB)を参照し、送信ノードから受信ノードまで使用可能な複数のMCFのうち、未使用のコアを抽出する(図14のステップS1)。
【0074】
次に、ステップS1において抽出した未使用なコアから、制御部10が、送信ノードから、受信ノードまでに接続可能なコアを抽出する(ステップS2)。
【0075】
次に、ステップS2で抽出した接続可能なコアにおいて、制御部10が、送信ノードから受信ノードまで、なるべく長いホップ数、同一波長の空きがある波長を抽出する(ステップS3)。
【0076】
次に、制御部10が、ステップS3において抽出した空き波長にパスを割り当てる(ステップS4)。このとき、制御部10は、中継ノードにおける波長切り替えを含むパスを割り当ててもよい。
【0077】
次に、制御部10による制御を受けて、ノード101(送信ノード)においてノードコントローラ210が、トランスポンダ206を制御し、選択した波長に合わせる(ステップS5)。
【0078】
次に、ノードコントローラ210が、WSS207を制御し、所望のシングルモード光ファイバに設定パスを収容する(ステップS6)。
【0079】
次に、ファンイン208により所望のSDMファイバに収容する(ステップS7)。
【0080】
次に、ノードコントローラ210が、マルチコア光スイッチ203を制御し、上述のステップS4の割り当てとなるようにパスを切り替える(ステップS8)。
【0081】
次に、中継ノードでの動作(同一ファイバに同一受信ノードあてのパスを集約:ステップS9)について、図13を用いて説明する。図13は、各ノード101においてDrop(分岐)およびAdd(挿入)するSMFファイバ(シングルコア)の番号(SMFファイバNo.)と、当該各ノード101においてAdd(挿入)する各SMFファイバ(シングルコア)に割り当てられる各パスの受信ノードの番号(受信ノードNo.)とを示している。
【0082】
まず、ノードNo.1(送信ノード)においては、4つのSMF単位(シングルコア単位)のリンクが収容可能なため、SMF(シングルコア)No.1に受信ノードNo.2、6、10、14、SMF(シングルコア)No.2に受信ノードNo.3、7、11、15、SMF(シングルコア)No.3に受信ノードNo.4、8、12、16、SMF(シングルコア)No.4に受信ノード4、9、12のパスを割り当てる。なお、同一のSMF(シングルコア)に割り当てられた各パスは、互いに異なる波長に割り当てられている。
【0083】
同様に、ノードNo.2(中継ノード)においては、SMF(シングルコア)No.1には、ノードNo.2あてのパスが含まれているため、ノードNo.2にてDrop(分岐)され、ノードNo.2あてのパスに代わり他のパス(ここでは受信ノード1あてのパス)を挿入して、受信ノードNo.1、6、10、14、SMF(シングルコア)No.5に受信ノードNo.3、7、11、15、SMF(シングルコア)No.6に受信ノードNo.4、8、12、16、SMF(シングルコア)No.7に受信ノード4、9、12のパスを割り当てる。上記では、SMFNo.2とSMFイバNo.5に受信ノードNo.7向けのパスが分離している。
【0084】
次に、ノードNo.3(中継ノード)においては、ファイバNo.2とファイバNo.5をWSS207にDrop(分岐)し、WSS207にてノード1およびノード2でAddされた受信ノードNo.7あてのパスをファイバNo.5に集約する。例えば、ファイバNo.5に割り当てられていたノードNo.3あてのパスは、ノードNo.3においてDrop(分岐)され、替りにファイバNo.2に割り当てられていたノードNo.7あてのパスが、TRPD206において波長が切り替えられた後、ファイバNo.5にAdd(挿入)される。以上の動作は、パス制御装置100の制御部10によって制御された各ノード101のノードコントローラ210が、マルチコア光スイッチ203、TRPD206およびWSS207を制御することにより実行される。
【0085】
このように、別のノードでAddされた同じ受信ノードあてのパスを、ノードを通過するたびに選択的に集約する(同じ受信ノードあてのパスを同じコアに割り当てる)。その結果、同じ受信ノードあてのパスが1つのファイバに集約されるため、受信ノードにおいて光信号を受信するために分岐(Drop)が必要なコアの数を最小限にすることができる。したがって、少ないDropポートを持つノード構成においても、ブロッキングを起こす確率を下げることが可能であり、パスの収容効率向上を図ることができる。結果として、光ネットワークシステム全体のコストを削減することが可能となる。
【0086】
次に、当該パスの導通確認のため、シグナリングを行う(ステップS10)。信号疎通が不可能な場合は、他の波長を割り当て(ステップS4)から再度行う。信号疎通が確認されれば動作を完了する(END)。
【0087】
〔例示的実施形態4〕
本発明の第4の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上述の例示的実施形態にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0088】
本例示的実施形態では、ノードの構成が他の例示的実施形態と異なる。そのため、ノードの構成のみを説明することとする。なお、パス制御装置100の構成、およびパス制御方法については、上述の例示的実施形態2または例示的実施形態3において説明した動作フローと同一である。
【0089】
図15は、本例示的実施形態において用いるノード101の一例を示すブロック図である。個々のノード101は、一例において、
・入力MCF201、
・入力MCF201の伝送損失をマルチコアファイバ単位で補償する伝送損失補償マルチコア光アンプ202、
・伝送損失補償マルチコア光アンプ202からのMCF単位の光信号をSMF単位に分離するファンアウト205、
・ファンアウト205からのSMF単位の光信号のスイッチングを行うファイバスイッチ301、
・ファイバスイッチ301のDrop(分岐)ポートからの光信号の損失を補償するノード損失補償シングルコア光アンプ302、
・ノード損失補償シングルコア光アンプ302からのSMF単位の光信号の波長単位の切り替え、および、TRPD206へのAdd(挿入)/Drop(分岐)を行うWSS207、
・WSS207からのSMF単位の光信号の損失を補償するノード損失補償シングルコア光アンプ302、
・ファイバスイッチ301からのSMF単位の光信号をMCFに束ねるファンイン208、
・ファンイン208からのMCF単位の光信号の損失を補償する伝送損失補償マルチコア光アンプ202、
・伝送損失補償マルチコア光アンプ202からの光信号を伝送する出力MCF209、
・TRPD206、
・ノード内の各デバイスを制御するノードコントローラ210
を含む。
【0090】
なお、ファンアウト205は、請求の範囲における分離部の一具体例である。ファイバスイッチ301は、入力MCF201をファンアウト205によってシングルコア単位に分離した後に収容する。
【0091】
本例示的実施形態のように、マルチコア光スイッチ203をファイバスイッチ301に置き換えたノード構成を具備する光ネットワークシステムにおいても、パス制御装置によって同じ受信ノードあてのパスが1つのコアに集約されることで、ブロッキングを起こす確率を下げることが可能であり、パスの収容効率向上を図ることができる。但し、マルチコア光スイッチ203を用いたノード構成の方が、ファイバスイッチ301を用いたノード構成よりも、光アンプや、ファンイン、ファンアウト等の台数を削減可能である。
【0092】
〔ソフトウェアによる実現例〕
パス制御装置100の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0093】
後者の場合、パス制御装置100は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図16に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCをパス制御装置100として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、パス制御装置100の各機能が実現される。
【0094】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0095】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0096】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0097】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0098】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0099】
(付記1)
複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置であって、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、
前記パス制御装置は、
同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備える、
ことを特徴とするパス制御装置。
【0100】
前記の構成によれば、ノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる。結果として、光ネットワークシステム全体のコストを削減することが可能となる。
【0101】
(付記2)
前記制御部は、前記送信ノードにおいて、同一前記受信ノード向けのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する、
ことを特徴とする付記1に記載のパス制御装置。
【0102】
前記の構成によれば、送信ノードのノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる。結果として、光ネットワークシステム全体のコストを削減することが可能となる。
【0103】
(付記3)
前記制御部は、前記送信ノードと前記受信ノードとを中継する中継ノードにおいて、前記波長選択スイッチ部を経由して、同一前記受信ノードあてのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する、
ことを特徴とする付記1または2に記載のパス制御装置。
【0104】
前記の構成によれば、中継ノードのノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる。結果として、光ネットワークシステム全体のコストを削減することが可能となる。
【0105】
(付記4)
前記光スイッチ部は、前記マルチコア光伝送路を直接収容する、
ことを特徴とする付記1~3のいずれかに記載のパス制御装置。
【0106】
前記の構成によれば、光スイッチ部がマルチコア光伝送路を直接収容する態様であっても、制御部が同一前記受信ノードあてのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約するため、ノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる。
【0107】
(付記5)
前記ノードは、
前記マルチコア光伝送路をシングルコア単位に分離する分離部を備え、
前記光スイッチ部は、前記マルチコア光伝送路を前記分離部によってシングルコア単位に分離した後に収容する、
ことを特徴とする付記1~3のいずれかに記載のパス制御装置。
【0108】
前記の構成によれば、光スイッチ部が、前記マルチコア光伝送路を前記分離部によってシングルコア単位に分離した後に収容する態様であっても、制御部が同一前記受信ノードあてのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約するため、ノード規模を縮小しつつ、パスの収容効率をより高めることができる。
【0109】
(付記6)
パス情報データベースを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記パス情報データベースを参照して、パス計算を行う、
ことを特徴とする付記1~5のいずれかに記載のパス制御装置。
【0110】
前記の構成によれば、制御部が、パス情報データベースを参照して、同一前記受信ノードあてのパスを同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する。
【0111】
(付記7)
複数のコアを有するマルチコア光伝送路によって接続された複数のノードと、
前記マルチコア光伝送路および前記複数のノードを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置と、
を備え、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、
前記パス制御装置は、
同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部を備える、
ことを特徴とする光ネットワークシステム。
【0112】
上述の方法によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0113】
(付記8)
複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御方法であって、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備え、
前記パス制御方法は、
同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約すること、
を含む
ことを特徴とするパス制御方法。
【0114】
上述の方法によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0115】
(付記9)
複数のコアを有するマルチコア光伝送路と、当該マルチコア光伝送路によって接続された複数のノードとを含む光ネットワークにおいて送信ノードから受信ノードまでのパスを制御するパス制御装置としてコンピュータを機能させるためのパス制御プログラムであって、前記コンピュータを、同一の受信ノード向けのパスを、同一前記マルチコア光伝送路の同一前記コアに集約する制御部として機能させ、
前記ノードは、
光信号の送受信を行う送受信部と、
複数の前記マルチコア光伝送路に接続され、コア単位でパス切り替えを行う光スイッチ部と、
前記送受信部と前記光スイッチ部との間を波長選択的に接続する波長選択スイッチ部と、
を備える、
ことを特徴とするパス制御プログラム。
【0116】
上述のプログラムによれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0117】
〔付記事項3〕
この出願は、2021年5月7日に出願された日本出願特許2021-079303を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに盛り込む。
【符号の説明】
【0118】
1 光ネットワークシステム
10 制御部
20 記憶部
100 パス制御装置
101 ノード
203 マルチコア光スイッチ(光スイッチ部)
205 ファンアウト(分離部)
206 TRPD(送受信)
207 WSS(波長選択スイッチ部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18