(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】電極アセンブリーおよびこれを含む電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20250527BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2023553622
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 KR2022014176
(87)【国際公開番号】W WO2023058955
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0133372
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0117985
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、セオクフーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ヒェオク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ス タエク
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スーン クワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビェオン キュ
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極および分離膜シートが交互に積層されている電極アセンブリーであって、
前記電極は、第1電極および第2電極を含み、
前記分離膜シートは、少なくとも2回折り畳まれることで形成されたジグザグ形態を有し、
前記第2電極の長さは、前記第1電極の長さより小さく、
前記電極アセンブリーの両側面のいずれか一つの側面と前記第2電極との間に接着部材が位置し、
前記接着部材は、前記第2電極の上面と接する分離膜シートと前記第2電極の下面と接する分離膜シートとの間に位置し、
前記接着部材と、前記第2電極の片側面を包む前記分離膜シートとの間に前記第2電極が位置する、
電極アセンブリー。
【請求項2】
前記接着部材は、前記第2電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面と前記電極アセンブリーの外側面との間に位置する、請求項1に記載の電極アセンブリー。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面と前記第2電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面が、前記電極アセンブリーの外側面のうち一側面に偏るように整列している、請求項2に記載の電極アセンブリー。
【請求項4】
前記接着部材の両側面のうち前記第2電極の一端部と向かい合う一側面は、前記第2電極と離隔している、請求項3に記載の電極アセンブリー。
【請求項5】
前記接着部材の両側面のうち前記第2電極の一端部と向かい合う一側面の反対側面は、前記電極アセンブリーの外側面と並んで配列される、請求項4に記載の電極アセンブリー。
【請求項6】
前記第2電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面は、前記分離膜シートと接し、
前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面は、前記分離膜シートと接する、請求項3に記載の電極アセンブリー。
【請求項7】
前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面は、前記電極アセンブリーの外側面と同じ垂直線上に位置する、請求項6に記載の電極アセンブリー。
【請求項8】
前記電極と前記分離膜シートとの間の接着力は、0gf/mm以上0.05gf/mm以下である、請求項1に記載の電極アセンブリー。
【請求項9】
前記分離膜シートの一端部は、前記電極アセンブリーの外面に沿って延びている、請求項1に記載の電極アセンブリー。
【請求項10】
前記分離膜シートの一端部は、前記電極アセンブリーの外面全体を包む、請求項9に記載の電極アセンブリー。
【請求項11】
前記電極アセンブリーの外面を包むラッピング(Wrapping)部材をさらに含む、請求項1に記載の電極アセンブリー。
【請求項12】
電極および分離膜シートが交互に積層されている電極アセンブリーであって、
前記電極は、第1電極および第2電極を含み、
前記分離膜シートは、少なくとも2回折り畳まれることで形成されたジグザグ形態を有し、
前記第2電極の長さは、前記第1電極の長さより小さく、
前記電極アセンブリーの両側面のいずれか一つの側面と前記第2電極との間に接着部材が位置し、
前記電極アセンブリーの外面を包むラッピング(Wrapping)部材をさらに含み、
前記ラッピング部材は、第1ラッピング部材および第2ラッピング部材を含み、
前記第1ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの外面で前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面が位置する部分を包み、
前記第2ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの外面で前記接着部材の両側面のうち前記第2電極の一端部と向かい合う一側面の反対側面が位置する部分を包む
、電極アセンブリー。
【請求項13】
前記第1ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの上面および下面のうち一方に沿って延びており、
前記第2ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの上面および下面のうち残りの一方に沿って延びている、請求項12に記載の電極アセンブリー。
【請求項14】
前記ラッピング部材は、ホットメルト(Hot-melt)フィルムおよび接着テープのうち少なくとも一方からなる、請求項11に記載の電極アセンブリー。
【請求項15】
前記ラッピング部材は、ホットメルト(Hot-melt)フィルムおよび接着テープのうち少なくとも一方からなる、請求項12に記載の電極アセンブリー。
【請求項16】
請求項1から1
5のいずれか一項に記載の電極アセンブリーを含む電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年10月7日付の韓国特許出願第10-2021-0133372号および2022年9月19日付の韓国特許出願第10-2022-0117985号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルに関し、より具体的にはZ-折り畳み型で電極と分離膜シートが交互に積層された電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルであって、電極が定位置から離脱するのを防止すると共に、分離膜シート自体の接着力が低くても電極アセンブリーの剛性(Stiffness)が向上した電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などがある。これらの二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA(登録商標)、Portable Game Device、Power Tool、およびE-bikeなどの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が要求される大型製品と余剰発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置とバックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて使用されている。
【0004】
このような二次電池を製造するために、まず電極活物質スラリーを正極集電体および負極集電体に塗布して正極と負極を製造し、これを分離膜(Separator)の両側に積層することで所定形状の電極アセンブリーを形成する。そして、電池ケースに電極アセンブリーを収納し、液注入後シールする。
【0005】
電極アセンブリーは、様々な種類に分類される。例えば、単位セルを製造せずに単に正極、分離膜、負極を交差して積層し続ける単純スタック型(Simple Stack Type)、正極、分離膜、負極を利用して単位セルを先に製造した後、これらの単位セルを積層するラミネーション&スタック型(L&S、Lamination & Stack Type)、長さが一側に長い分離膜シートの一面に複数の単位セルを離隔して付着し、分離膜シートを一端から同じ方向に繰り返し折り畳んでいくスタック&フォールディング型(S&F,Stack & Folding Type)、長さが一側に長い分離膜シートの一面と他面に複数の電極または単位セルをそれぞれ交互に付着し、分離膜シートを一端から特定方向に折り畳んだ後、反対方向に折り畳む方式を交互に繰り返すZ-折り畳み型(Z-Folding Type)などがある。これらのうち、Z-折り畳み型は、整列度および液の含浸度が高いため、近年よく使用されている。
【0006】
ところが、従来は、このようなZ-折り畳み型で電極と分離膜シートを積層した後、別途のラミネーティング工程を行わないため、電極と分離膜シートが互いに接着されず電極が定位置から離脱して、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)が低下する問題があった。これを解決するために、電極と分離膜シートを積層した後、別途のラミネーティング工程を行ったが、電極と分離膜シートが積層された積層体の全体の厚さが厚くなった状態であるため、熱が積層体の内部にまで伝達されず、接着力が低下する問題があった。このような問題は、分離膜シートの素材により深刻化される傾向があった。例えば、分離膜シート自体の接着力が低い場合には、上述した問題点がより深刻化された。
【0007】
そこで、電極が定位置から離脱するのを防止すると共に、分離膜シート自体の接着力が低くても、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)が向上したZ-折り畳み型電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、Z-折り畳み型で電極と分離膜シートが交互に積層された電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルであって、電極が定位置から離脱するのを防止すると共に、分離膜シート自体の接着力が低くても電極アセンブリーの剛性(Stiffness)が向上した電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルを提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるものではなく、言及されていない課題は、本明細書および添付された図面から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る電極アセンブリーは、電極および分離膜シートが交互に積層されている電極アセンブリーであって、前記電極は、第1電極および第2電極を含み、前記分離膜シートは、少なくとも2回折り畳まれることで形成されたジグザグ形態を有し、前記第2電極の長さは、前記第1電極の長さより小さく、前記電極アセンブリーの両側面のいずれか一つの側面と前記第2電極との間に接着部材が位置する。
【0011】
前記接着部材は、前記第2電極の上面と接する分離膜シートと前記第2電極の下面と接する分離膜シートとの間に位置し、前記接着部材は、前記第2電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面と前記電極アセンブリーの外側面との間に位置することができる。
【0012】
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面と前記第2電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面が、前記電極アセンブリーの外側面のうち一側面に偏るように整列している。
【0013】
前記接着部材の両側面のうち前記第2電極の一端部と向かい合う一側面は、前記第2電極と離隔していてもよい。
【0014】
前記接着部材の両側面のうち前記第2電極の一端部と向かい合う一側面の反対側面は、前記電極アセンブリーの外側面と並んで配列することができる。
【0015】
前記第2電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面は、前記分離膜シートと接し、前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面は、前記分離膜シートと接することができる。
【0016】
前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面は、前記電極アセンブリーの外側面と同じ垂直線上に位置することができる。
【0017】
前記電極と前記分離膜シートとの間の接着力は、0gf/mm以上0.05gf/mm以下であってもよい。
【0018】
前記分離膜シートの一端部は、前記電極アセンブリーの外面に沿って延びることができる。
【0019】
前記分離膜シートの一端部は、前記電極アセンブリーの外面全体を包むことができる。
【0020】
前記電極アセンブリーの外面を包むラッピング部材をさらに含むことができる。
【0021】
前記ラッピング部材は、第1ラッピング部材および第2ラッピング部材を含み、前記第1ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの外面で前記第1電極の両側面のうち前記分離膜シートによって包まれる側面の反対側面が位置する部分を包み、前記第2ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの外面で前記接着部材の両側面のうち前記第2電極の一端部と向かい合う一側面の反対側面が位置する部分を包むことができる。
【0022】
前記第1ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの上面および下面のうち一方に沿って延びており、前記第2ラッピング部材は、前記電極アセンブリーの上面および下面のうち残りの一方に沿って延びている。
【0023】
前記ラッピング部材は、ホットメルト(Hot-melt)フィルムおよび接着テープのうち少なくとも一方からなってもよい。
【0024】
本発明の他の一実施例に係る電池セルは、前記で説明した電極アセンブリーを含む。
【発明の効果】
【0025】
実施例によると、本発明は、Z-折り畳み型で電極と分離膜シートが交互に積層されており、分離膜シートの間に位置する電極と電極アセンブリーの外側面との間に接着部材が位置する電極アセンブリーおよびこれを含む電池セルであって、電極が定位置から離脱するのを防止すると共に、分離膜シート自体の接着力が低くても電極アセンブリーの剛性(Stiffness)が向上することができる。
【0026】
本発明の効果が上述した効果に制限されるものではなく、言及されていない効果は、本明細書および添付された図面から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施例に係る最終電極アセンブリーを示す図面である。
【
図2】
図1のA-A'軸に沿って切断した電極アセンブリーの断面図である。
【
図3】本発明の他の一実施例に係る電極アセンブリーの断面図である。
【
図4】本発明の他の一実施例に係る電極アセンブリーの断面図である。
【
図5】比較例に係る電極アセンブリーの断面図である。
【
図6】電極アセンブリーの剛性(Stiffness)を測定する実験例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参考して、本発明の様々な実施例について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は様々な異なる形態で実施することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似の構成要素については同じ参照符号を付ける。
【0030】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたものに限定されない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。また、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0031】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0032】
また、明細書全体において、「平面上」とは、対象部分を上から見た時のことを意味し、「断面上」とは、対象部分を垂直で切った断面を横からみた時のことを意味する。
【0033】
以下、本発明の実施例に係る電極アセンブリーについて説明する。但し、ここでは、電極アセンブリーの一部断面を基準に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他の断面であっても同じまたは類似の内容で説明することができる。
【0034】
図1は、本発明の一実施例に係る最終電極アセンブリーを示す図面である。
図2は、
図1のA-A'軸に沿って切断した電極アセンブリーの断面図である。
【0035】
図1および
図2を参照すると、本実施例に係る最終電極アセンブリー100は、電極アセンブリー200の外面に固定テープ(固定部材300)が付着している構造を意味することができる。これにより、最終電極アセンブリー100は、電極アセンブリー200に含まれた第1電極210、第2電極220、および分離膜シート230の間の積層整列状態を維持させることができる。但し、これに限定されるものではなく、固定テープ(固定部材300)は、最終電極アセンブリー100で省略されていたり、他の部材で置き換えられて第1電極210、第2電極220、および分離膜シート230の間の積層整列状態を維持させることができる。
【0036】
また、最終電極アセンブリー100は、電極アセンブリー200に含まれた複数の第1電極210および複数の第2電極220から延びた電極タブが接合されている電極リード400を含むことができる。例えば、
図1のように、電極リード400は、電極アセンブリー200の両端部にそれぞれ延びていてもよく、電極リード400は、第1電極210および第2電極220の極性に応じて正極リードあるいは負極リードに区分することができる。但し、電極リード400の位置はこれに限定されるものではなく、
図1とは異なり、電極アセンブリー200の一端部に共に延びていてもよい。
【0037】
また、最終電極アセンブリー100は、電極リード400の上下部に位置するリードフィルム500を含むことができる。ここで、最終電極アセンブリー100が、電池ケース(図示せず)に装着されると、リードフィルム500は、電池ケース(図示せず)の外周辺と共にシール部(図示せず)にて密封することができる。
【0038】
図1および
図2を参照すると、本発明の一実施例に係る電極アセンブリー200は、電極(第1電極210、第2電極220)および分離膜シート230が交互に積層されている電極アセンブリーであってもよい。
【0039】
電極210、220は、第1電極210および第2電極220を含むことができる。ここで、第1電極210および第2電極220は、互いに異なる極性を有する電極活物質を含むことができる。即ち、第1電極210および第2電極220は、互いに異なる極性を有する電極であってもよい。一例として、第1電極210が正極であれば、第2電極220は負極であってもよい。他の例として、第1電極210が負極であれば、第2電極220は正極であってもよい。
【0040】
また、第2電極220の長さは、第1電極210の長さより小さくてもよい。言い換えれば、第1電極210の長さは、第2電極220の長さより大きくてもよい。
図2に示すように、第1長さ方向L1に沿って第1電極210と第2電極220は互いに異なる長さを有し、第1電極210と第2電極220との間の長さの差があってもよい。これにより、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に公差(d)が形成されてもよい。ここで、第1長さ方向L1は、電極アセンブリー200の高さ方向または長さ方向であってもよい。
【0041】
分離膜シート230は、少なくとも2回折り畳まれる(Folding)ことにより形成されたジグザグ形態を有することができる。より具体的に、
図2のように、分離膜シート230は、第1電極210が積層されている状態で第1電極210をカバーする方向に折り畳まれてもよい。また、第1電極210をカバーしている分離膜シート230上に第2電極220が積層されている状態で第2電極220をカバーする方向に折り畳まれてもよい。以後、第2電極220をカバーしている分離膜シート230上に第1電極210が積層されている状態で第1電極210をカバーする方向に折り畳まれてもよい。即ち、電極アセンブリー200は、第1電極210または第2電極220の積層および分離膜シート230の折り畳みが繰り返し行われることにより形成することができる。
【0042】
図2を参照すると、第1電極210および第2電極220は、第1電極210の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面の反対側面と第2電極220の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面が、電極アセンブリー200の外側面のうち一側面に偏るように整列していてもよい。言い換えれば、分離膜シート230が折り畳まれて形成されたジグザグ形態の構造内で、第1電極210の一端部と第2電極220の一端部は、電極アセンブリー200の一側面に偏るように整列していることができる。即ち、本実施例に係る電極アセンブリー200は、第1電極210と第2電極220が電極アセンブリー200の中心を基準に整列しているのではなく、電極アセンブリー200の一側面を基準に整列していてもよい。
【0043】
これにより、本実施例において、第2電極220が分離膜シート230内で歪むことを防止すると共に、後述する第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に位置する接着部材250の面積がより大きくなり得る。
【0044】
また、第2電極220の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面は、分離膜シート230と接し、第1電極210の両側面のうち分離膜シートによって包まれる側面は、分離膜シート230と接することができる。ここで、第1電極210または第2電極220の側面と分離膜シート230が接するとの意味は、分離膜シート230が、第1電極210または第2電極220の側面に沿って延びているか、分離膜シート230が、第1電極210または第2電極220の側面を包むのを意味することができる。
【0045】
これにより、本実施例において、第1電極210および第2電極220が、分離膜シート230内で歪むことをより効果的に防止することができる。
【0046】
また、第1電極210の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面の反対側面は、電極アセンブリー200の外側面と同じ垂直線上に位置することができる。言い換えれば、第1電極210の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面の反対側面は、電極アセンブリー200の外側面に向けて突出しているか、または陥没していない。
【0047】
これにより、本実施例において、第1電極210の上部に位置する分離膜シート230および第1電極210の下部に位置する分離膜シート230が、工程上で折り畳まれることを防止することができる。
【0048】
図2を参照すると、接着部材250は、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に位置する。言い換えれば、接着部材250は、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間の公差(d)内に位置することができる。より具体的に、接着部材250は、第2電極220の上面と接する分離膜シート230と第2電極220の下面と接する分離膜シート230との間に位置することができる。また、接着部材250は、第2電極220の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面の反対側面と電極アセンブリー200の外側面との間に位置することができる。
【0049】
これにより、本実施例において、接着部材250は、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に形成された空間に位置し、空間効率性を向上させる構造を有すると共に、電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜(分離膜シート230)との間の接着力を補完して電極アセンブリー200の剛性(Stiffness)を向上させることができる。
【0050】
また、接着部材250の両側面のうち第2電極220と一端部と向かい合う一側面は、第2電極220と離隔していることができる。言い換えれば、接着部材250の両側面のうち第2電極220と隣接した側面は、第2電極220と互いに接しないことがある。
【0051】
これにより、本実施例において、接着部材250は、第2電極220と互いに接しないため、接着部材250に含まれた接着物質が、第1電極210と第2電極220との間に形成されたリチウムイオンの移動経路を妨害するのを防止することができる。この時、第2電極220は正極であってもよく、リチウムイオンの移動は、負極よりも一般的に大きさが小さい正極の位置に応じて決定することができる。ここで、互いに向かい合う第2電極220の一端部と接着部材250の一側面との間の離隔距離(s)は、少なくとも0.5mm以上、好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは1mm以上である。その理由は、接着部材250を形成する一つの方法として、ディスペンサーによって塗布される接着剤の線幅が、0.4~0.6mmレベルであるためである。このような条件を満たす場合、接着部材250が正極の側に干渉を起こすことなく接着剤塗布が可能になる。また、接着剤は異物になる可能性があるため、過度に多く塗るのは避ける必要がある。
【0052】
また、接着部材250の両側面のうち第2電極220の一端部と向かい合う一側面の反対側面は、電極アセンブリー200の外側面と並んで配列することができる。言い換えれば、接着部材250の両側面のうち第2電極220の一端部と向かい合う一側面の反対側面は、電極アセンブリー200の外側面を基準に突出しているか、陥没していない。
【0053】
これにより、本実施例において、接着部材250の面積を最大化すると共に、第2電極220の上部に位置する分離膜シート230および第2電極220の下部に位置する分離膜シート230が工程上で折り畳まれるのをより効果的に防止することができる。
【0054】
例えば、接着部材250は、オレフィン、アクリレート、ウレタン、エステル、アミド、ビニルアセテート、およびゴム系の高分子からなる群から選択された1種以上の成分を含む接着物質からなってもよい。但し、これに限定されるものではなく、電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間を接着させることができる物質であれば、本実施例に含まれることができる。
【0055】
また、接着部材250は、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に形成された公差(d)に均一に塗布されることが好ましい。但し、接着部材250が第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に形成された公差(d)の全面に全て接着剤が塗布されると、接着剤の塗布量が多すぎることがある。このような場合、接着剤が分離膜シート230の外側に流動して他の部分を汚染させることがあって、二次電池が製造された時に電力を生産する機能が円滑でないことがある。
【0056】
これとは異なり、接着剤の塗布量が少なすぎると、セルが移動しながら電極(第1電極210、第2電極220)が分離膜シート230に固定されず、定位置から離脱することがある。即ち、接着剤が塗布される領域の間隔が過度に広くないのが好ましい。
【0057】
これにより、本実施例において、接着部材250は、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に形成された公差(d)に点形態で塗布するスポット塗布方式または線形態で塗布するライン塗布方式で塗布されることが好ましい。例えば、スポット塗布方式の点(Dot)の直径やライン塗布方式の線(line)の幅は、100um以上800um以下であってもよい。但し、スポット塗布方式の点(Dot)の直径やライン塗布方式の線(line)の幅が、上述した範囲に限定されるものではなく、必要に応じて適切な大きさの直径または幅を有するように調節することができる。
【0058】
ここで、接着部材250のスポット塗布あるいはライン塗布は、空圧式または圧電(Piezoelectric)式で行うことができる。但し、これに限定されるものではなく、局所部位に接着剤を塗布できる方式であれば、本実施例に含まれる。
【0059】
また、本実施例の電極アセンブリー200は、分離膜シート230の素材によって電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間の接着力が異なっても、第2電極220と電極アセンブリー200の外面との間に接着部材250が形成されているため、電極(第1電極210、第2電極220)の定位置からの離脱を防止すると共に、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)を高く維持することができる。
【0060】
より具体的に、分離膜シート230は接着力が比較的低い安価な分離膜であり得る。例えば、分離膜シート230は、CCS(Ceramic Coated Seperator)分離膜であってもよい。但し、分離膜シート230がこれに限定されるものではなく、CCS分離膜と類似の接着力を有する分離膜であれば、本実施例に含まれる。
【0061】
ここで、このような分離膜シート230使用時、本実施例の電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間の接着力は、0gf/mm以上0.05gf/mm以下であってもよい。より具体的に、電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間の接着力は、0gf/mm以上0.045gf/mm以下であってもよい。例えば、電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間の接着力は、0gf/mm以上0.04gf/mm以下であってもよい。
【0062】
この時、本実施例の場合、電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間の接着力が上述した範囲に含まれても、第2電極220と電極アセンブリー200の外面との間に接着部材250が形成されており、電極(第1電極210、第2電極220)と分離膜シート230との間の接着力を補完すると共に、電極(第1電極210、第2電極220)の定位置からの離脱を防止し、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)を高く維持することができる。これと共に、本実施例は、接着力が比較的低い分離膜シート230を使用することができ、コストが削減されるため、経済的効率が向上する利点がある。
【0063】
また、本実施例は、接着部材250を介して従来のようにラミネーティング工程を行う必要がないため、高い熱と圧力によって発生する工程上の不良率を低くすることができる。尚、ラミネーターを取り除くことができるため、製造装置の体積が減少して製造工程を簡素化することができる。
【0064】
図3および
図4は、本発明の他の一実施例に係る電極アセンブリーの断面図である。
【0065】
図3および
図4を参照すると、本発明の他の一実施例に係る電極アセンブリー201、202は、先述した電極アセンブリー200と略同様に説明することができ、以下では、電極アセンブリー200と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図3を参照すると、本実施例に係る電極アセンブリー201は、分離膜シート230の一端部は、電極アセンブリー201の外面に沿って延びることができる。より具体的に、分離膜シート230の一端部は、電極アセンブリー201の外面全体を包むことができる。即ち、分離膜シート230の一端部は、電極アセンブリー201の両側面および上下面を包むことができる。
【0067】
一例として、
図3のように、電極アセンブリー201の外面を包む分離膜シート230の端部は、最も底面に隣接した分離膜シート230の端部であってもよい。他の一例として、
図3とは異なり、電極アセンブリー201の外面を包む分離膜シート230の端部は、電極アセンブリー201の上端に隣接した分離膜シート230の端部であってもよい。
【0068】
これにより、本実施例に係る電極アセンブリー201は、分離膜シート230が電極アセンブリー201の外面を包んで、第1電極210が外部に突出するのを防止することができる。これと共に、電極アセンブリー201の外面を包む分離膜シート230は、電極アセンブリー201の剛性(Stiffness)をより向上させ、分離膜シート230の折り畳みを効果的に防止することができる。また、本実施例は、別途の部材が要求されない点で、コスト削減および経済的効率性が向上することができる。
【0069】
図4を参照すると、本実施例に係る電極アセンブリー202は、電極アセンブリー202の外面を包むラッピング部材270をさらに含むことができる。より具体的に、ラッピング部材270は、第1ラッピング部材および第2ラッピング部材を含む。前記第1ラッピング部材は、電極アセンブリー202の外面で第1電極210の両側面のうち分離膜シート230によって包まれる側面の反対側面が位置する部分を包むことができる。前記第2ラッピング部材は、電極アセンブリー202の外面で接着部材250の両側面のうち第2電極220の一端部と向かい合う一側面の反対側面が位置する部分を包むことができる。即ち、前記第1ラッピング部材は、電極アセンブリー202の一側面を包むことができ、前記第2ラッピング部材は、電極アセンブリー202の他側面を包むことができる。
【0070】
また、前記第1ラッピング部材は、電極アセンブリー202の上面および下面のうち一方に沿って延びており、前記第2ラッピング部材は、電極アセンブリー202の上面および下面のうち残りの一方に沿って延びることができる。例えば、
図4のように、ラッピング部材270の一つは、電極アセンブリー202の一側面に沿って延びて、電極アセンブリー202の上面まで延びることができる。また、ラッピング部材270の他の一つは、電極アセンブリー202の他側面に沿って延びて、電極アセンブリー202の下面まで延びることができる。但し、これに限定されるものではなく、前記第1ラッピング部材と前記第2ラッピング部材は、互いに一体化していてもよい。
【0071】
一例として、ラッピング部材270は、オレフィン、アクリレート、ウレタン、エステル、アミド、ビニルアセテート、およびゴム系の高分子からなる群から選択された1種以上の成分を含むホットメルト(Hot-melt)フィルムであってもよい。他の一例として、ラッピング部材270は接着テープであってもよい。但し、これに限定されるものではなく、電極アセンブリー202の外面を包む程度の弾性と接着力を有する高分子素材であれば、本実施例に含まれる。
【0072】
これにより、本実施例に係る電極アセンブリー202は、ラッピング部材270が電極アセンブリー201の外面を包んで、第1電極210が外部に突出するのを防止することができる。これと共に、電極アセンブリー201の外面を包むラッピング部材270は、電極アセンブリー201の剛性(Stiffness)をより向上させ、分離膜シート230の折り畳みを効果的に防止することができる。
【0073】
図5は、比較例に係る電極アセンブリーの断面図である。
【0074】
図5を参照すると、比較例に係る電極アセンブリー20は、分離膜23の間に第1電極21および第2電極22が交互に積層されている。比較例において、分離膜23と電極(第1電極21、第2電極22)との間の公差により、電極アセンブリー20の外側面を基準に分離膜23の端部が外部に突出している形態を有することができる。これにより、分離膜23の端部は、工程上で折り畳まれることがあり、分離膜23が高温で収縮時ショートが発生する問題がある。
【0075】
これに加えて、比較例の場合、分離膜23と電極(第1電極21、第2電極22)との間に別途の接着部材が形成されていないため、電極アセンブリー20内で電極(第1電極210、第2電極220)の定位置からの離脱を防止するために、高い接着力を有する分離膜23を使用しなければならない。但し、接着力が高い分離膜23の場合、先述したように相対的に高いコストが要求される点で、コストが増大するにつれて経済的効率性が低下する問題がある。
【0076】
これに対して、
図1~
図4を参照すると、本実施例に係る電極アセンブリー200、201、202は、第2電極220と電極アセンブリー200の外側面との間に接着部材250が形成されており、接着力が比較的低い分離膜シート230を使用できると共に、電極(第1電極210、第2電極220)の定位置からの離脱を防止し、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)を高く維持することができる利点がある。
【0077】
本発明の他の一実施例に係る電池セルは、前記で説明した電極アセンブリーを含む。前記電池セルは、電解液と共に上述した電極アセンブリー200、201、202を収容する電池ケース(図示せず)を含むことができる。この時、電極アセンブリー200、201、202は、上述した最終電極アセンブリー100で製造され、前記電池ケース(図示せず)内に受容することができる。
【0078】
ここで、電池ケース(図示せず)は、樹脂層と金属層を含むラミネートシートであってもよい。より具体的に、前記電池ケース(図示せず)は、ラミネートシートからなっており、最外角をなす外側樹脂層、物質の貫通を防止する遮断性金属層、および密封のための内側樹脂層で構成されることができる。
【0079】
以下では、より具休的な実施例を通じて本発明の内容を説明するが、下記の実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の権利範囲がこれに限定ものではない。
【0080】
<比較例>
正極、負極の順に分離膜シートの間に交互に積層するが、前記分離膜シートは少なくとも2回折り畳まれることで形成されたジグザグ形態を有する電極アセンブリーを製造した。ここで、分離膜シートは、CCS(Ceramic Coated Seperator)分離膜である。また、電極アセンブリーの大きさは、510mm×97mmである。
【0081】
<実施例>
前記比較例1において、正極の長さは負極の長さより小さく、前記正極と前記電極アセンブリーの外側面との間に接着剤が塗布されて接着部材が形成されている点を除いては、比較例1と同様に電極アセンブリーを製造した。
【0082】
<実験例-剛性(Stiffness)の比較>
図6は、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)を測定する実験例を示す図面である。
図6のように、電極アセンブリー200の中心部を50mmの厚さのバー(Bar)の上に置いた後、バー(Bar)の上端を基準に電極アセンブリー200の折曲度(L)を測定し、その結果は表1に示した。
【0083】
【0084】
<実験結果の分析>
表1を参照すると、比較例のように、別途の接着部材が形成されない場合、電極アセンブリー200の中心部を基準に電極アセンブリー200の両端部が比較的多く折り曲げられるのを確認することができる。これとは異なり、実施例のように、正極と電極アセンブリーの外側面との間に接着剤が塗布されている接着部材が形成された場合、電極アセンブリー200の中心部を基準に電極アセンブリー200の両端部が比較的少なく折り曲げられるのを確認することができる。
【0085】
これにより、実施例のように、比較的接着力が低い分離膜を含む電極アセンブリーである場合であっても、正極と電極アセンブリーの外側面との間に接着剤が塗布されている接着部材を介して、電極アセンブリーの剛性(Stiffness)が向上しているのを確認することができる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0087】
100:最終電極アセンブリー
200、201、202:電極アセンブリー
210:第1電極
220:第2電極
230:分離膜シート
250:接着部材
270:ラッピング部材
300:固定部材
400:電極リード
500:リードフィルム