(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】電池セル積層体、その製造方法及び前記電池セル積層体に整列マークを表示する整列マーク表示装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20250527BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20250527BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20250527BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/105
H01M50/289
(21)【出願番号】P 2023572227
(86)(22)【出願日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2023007081
(87)【国際公開番号】W WO2023229372
(87)【国際公開日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0063601
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0066513
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロー、タエ ホアン
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-283342(JP,A)
【文献】特開2008-140757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパウチ型電池セルが積層された電池セル積層体であって、
前記複数のパウチ型電池セルは、電極組立体を収納するための収容部の底に整列マークが表示されており、
前記整列マークは、第1整列マーク及び第2整列マークを含み、
前記複数のパウチ型電池セルの同じ地点に前記第1整列マーク及び前記第2整列マークが表示され、
前記複数のパウチ型電池セルは、個別のパウチ型電池セルに表示された前記整列マークが積層方向に完全に重畳するように積層されている、電池セル積層体。
【請求項2】
前記第1整列マーク及び前記第2整列マークを連結した仮想の連結線はパウチ型電池ケースの全長方向に平行である、請求項1に記載の電池セル積層体。
【請求項3】
前記整列マークは、インクマーク、レーザー刻印、及びステッカーからなる群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項1に記載の電池セル積層体。
【請求項4】
複数のパウチ型電池セルが積層された電池セル積層体であって、
前記複数のパウチ型電池セルは、電極組立体を収納するための収容部の底に整列マークが表示されており、
前記複数のパウチ型電池セルは、個別のパウチ型電池セルに表示された前記整列マークが積層方向に完全に重畳するように積層されている、電池セル積層体の製造方法であって、
(a)ラミネートシートをダイ上に配置する段階と、
(b)前記ラミネートシートをパンチで押圧して電池ケースを成形する段階と、
(c)
前記パンチで前記ラミネートシートを押圧した状態で、前記電池ケースの底に整列マークを表示する段階と、
(d)前記電池ケースに電極組立体を収納した後、密封することによってパウチ型電池セルを製造する段階と、
(e)前記パウチ型電池セルの前記整列マークが積層方向に重畳するように、前記パウチ型電池セルを積層する段階と、
を含み、
前記段階(c)は、前記電池ケースの底の一定の位置に押印、インクプリンティング、レーザービーム照射またはステッカー付着の過程で実施する、電池セル積層体の製造方法。
【請求項5】
複数のパウチ型電池セルが積層された電池セル積層体であって、
前記複数のパウチ型電池セルは、電極組立体を収納するための収容部の底に整列マークが表示されており、
前記複数のパウチ型電池セルは、個別のパウチ型電池セルに表示された前記整列マークが積層方向に完全に重畳するように積層されている、電池セル積層体に整列マークを表示する装置であって、
電極組立体を収容する収容部を成形するための溝が形成されているダイと、
前記ダイの上に位置し、ラミネートシートを押圧するパンチと、
前記パンチで前記ラミネートシートを押圧した状態で、前記ラミネートシートにおいて前記収容部の底の外面に前記整列マークを表示するためのマーキング部材と、
を含む、整列マーク表示装置。
【請求項6】
前記ダイは、前記溝の底に対して垂直な方向に貫設される開口が少なくとも2個以上形成されている、請求項
5に記載の整列マーク表示装置。
【請求項7】
前記開口は、前記ダイの全幅の中心ラインを通るとともに前記ダイの全長に平行な直線上に形成される、請求項
6に記載の整列マーク表示装置。
【請求項8】
前記マーキング部材は前記開口に挿入されて前記整列マークを表示する、請求項
6に記載の整列マーク表示装置。
【請求項9】
前記マーキング部材は、押印装置、インクプリンティング装置、レーザー刻印装置またはステッカー付着装置である、請求項
5に記載の整列マーク表示装置。
【請求項10】
前記開口は、第1開口及び第2開口を含み、
前記第1開口は前記ダイの溝の底の中心に形成され、
前記第2開口は前記第1開口を通るとともに前記溝の全長に平行な直線上に形成される、請求項
6に記載の整列マーク表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年5月24日付韓国特許出願第10-2022-0063601号及び2023年5月23日付韓国特許出願第10-2023-0066513号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池セル積層体、その製造方法及び前記電池セル積層体に整列マークを表示する整列マーク表示装置に関する。具体的には、パウチ型電池セルを容易で正確に整列することができるように整列マークが付加されたパウチ型電池セルを含む電池セル積層体、その製造方法及び前記電池セル積層体に整列マークを表示する整列マーク表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
再充電が可能であり、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減らすことができるだけでなく、エネルギー使用による副産物が発生しないので、環境に優しい特性を有する新エネルギー源として注目されている。
【0004】
リチウム二次電池は形態によって区分することができ、詳細には、金属からなる缶に電極組立体を挿入することによって製造される円筒型電池セル及び角型電池セルと、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートを成形した電池ケースに電極組立体を挿入することによって製造されるパウチ型電池セルとに区分することができる。
【0005】
これらのうち、前記パウチ型電池セルは形態変形が容易であり、エネルギー密度が高い利点がある。
【0006】
図1は一般的なパウチ型電池セルの正面図及び平面図である。
【0007】
図1を参照すると、一般的に、パウチ型電池セルにおいて、長方形の大面的を有する外面を見るとき、中心に位置し、内部に電極組立体を収納している収容部110と、収容部110の周辺部に位置し、パウチ型電池セルのシーリング領域である密封部120とを含む。
【0008】
一般的に、パウチ型電池セルの電池ケースを製造するために、収容部用溝を有する金型にラミネートシートを配置し、前記ラミネートシートをパンチで押圧することで、収容部及び密封部が形成された電池ケースを製造することができる。
【0009】
このように製造された電池ケースは、金型で成形してから除去するための勾配角Rが収容部の側面111に必ず存在する。また、成形の際、ラミネートシートの引き裂かれを防止するために、収容部110のコーナーは曲面に加工する。よって、収容部の側面111は収容部の底面に対して傾いた形態を有し、コーナーは曲面になるので、パウチ型電池セルの長方形の大面的の外面を見る方向に、パウチ型電池セルの正確なサイズを測定するための基準を決定しにくい。
【0010】
図1で、W1はパウチ型電池セルの全幅Wの最大値であり、W2はパウチ型電池セルの全幅Wにおいて収容部110の最大値であり、W3はパウチ型電池セルの全幅Wにおいて収容部110の最小値を示す。
【0011】
パウチ型電池セルの密封部120はその自体の剛性が高くないから、電池セルの製作過程中または寸法測定中に撓みなどの形態変化が容易に発生することができる。よって、密封部120の形態を基準に寸法測定を行うか整列の位置を決定すれば、誤差が大きくなる場合が頻繁であるから、公差を精密に管理することが容易でない。
【0012】
また、収容部の側面111が曲面または傾斜面である点を考慮すると、W2及びW3の基準を決定することも容易でない状況である。
【0013】
したがって、複数のパウチ型電池セルを整列して収容する電池モジュール及び電池パックを製造するために、パウチ型電池セルの外周を基準に積層する場合、複数のパウチ型電池セルの積層方向の位置整列を精密に実施しにくい。
【0014】
図2は特許文献1による二次電池ディメンション測定装置の概念を示す斜視図である。
【0015】
図2を参照すると、二次電池のディメンション(Dimension)を測定する装置は、中心部に蛍光基準標識部20が表示されたパウチ型電池セル100の蛍光基準標識部20に紫外線を照射する紫外線照射部30と、レーザー測定部40とを含む。レーザー測定部40は、レーザー照射部41、受光部42、及び演算部43を含む。
【0016】
受光部42はパウチ型電池セル100に照射されたレーザー光の反射光を受光し、紫外線照射部30から照射された紫外線によって蛍光される蛍光基準標識部20の蛍光を受光し、演算部43は受光部42のデータを分析して蛍光基準標識部20を基準にパウチ型電池セル100のディメンションを演算することができる。
【0017】
特許文献1は、一つのパウチ型電池セルの全幅、全長及び厚さを演算する技術を提示しているが、複数のパウチ型電池セルを積層して整列するときの位置公差を最小化するための技術を提示してはいない。
【0018】
一方、複数のパウチ型電池セルを面対面で密着するように配置して押圧するとき、すべての電極を均一に押圧する場合にのみ電池モジュールの性能及び安全性の低下を防止することができる。しかし、パウチ型電池セルが精密に整列されていない状態で押圧すれば、位置がずれたパウチ型電池セルの電極は押圧されなかった領域が生ずる。
【0019】
このように電極間の接触が完全にならなければ、抵抗増加及びリチウム析出などの問題が発生することがあるから、パウチ型電池セルの性能及び安全性が問題となることがある。
【0020】
したがって、パウチ型電池セルの位置整列を容易で正確に実施することにより、電池セルの性能低下を防止し、安全性を向上させるための技術が必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0051831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、複数のパウチ型電池セルを容易で精密に積層して整列することができるように整列マークが形成された電池セル積層体、その製造方法及び前記電池セル積層体に整列マークを表示する整列マーク表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するために、本発明は、複数のパウチ型電池セルが積層された電池セル積層体であって、前記複数のパウチ型電池セルは、電極組立体を収納するための収容部の底に整列マークが表示されており、前記複数のパウチ型電池セルは、個別のパウチ型電池セルに表示された前記整列マークが積層方向に完全に重畳するように積層されることができる。
【0024】
前記整列マークは、第1整列マーク及び第2整列マークを含み、前記第1整列マーク及び前記第2整列マークを連結した仮想の連結線は前記パウチ型電池ケースの全長方向に平行であり得る。
【0025】
前記整列マークは、インクマーク、レーザー刻印、及びステッカーからなる群から選択されるいずれか一つ以上であり得る。
【0026】
また、本発明は、前記電池セル積層体の製造方法を提供する。この方法は、(a)ラミネートシートをダイ上に配置する段階と、(b)前記ラミネートシートをパンチで押圧して電池ケースを成形する段階と、(c)前記電池ケースの底に整列マークを表示する段階と、(d)前記電池ケースに電極組立体を収納した後、密封することによってパウチ型電池セルを製造する段階と、(e)前記パウチ型電池セルの整列マークが積層方向に重畳するように、前記パウチ型電池セルを積層する段階とを含み、前記段階(c)は、電池ケースの底の一定の位置に押印、インクプリンティング、レーザービーム照射またはステッカー付着の過程で実施することができる。
【0027】
前記整列マークを表示する段階は、前記パンチでラミネートシートを押圧した状態で実施することができる。
【0028】
また、本発明は、前記電池セル積層体に整列マークを表示する装置を提供する。具体的には、この装置は、電極組立体を収容する収容部を成形するための溝が形成されているダイと、前記ダイの上に位置し、ラミネートシートを押圧するパンチと、前記ラミネートシートにおいて前記収容部の底の外面に整列マークを表示するためのマーキング部材とを含むことができる。
【0029】
前記ダイは、地面に対して垂直な方向に貫設される開口が少なくとも2個以上形成されることができる。
【0030】
前記開口は、前記ダイの全幅の中心ラインを通るとともに前記ダイの全長に平行な直線上に形成されることができる。
【0031】
前記マーキング部材は前記開口に挿入されて整列マークを表示することができる。
【0032】
前記マーキング部材は、押印装置、インクプリンティング装置、レーザー刻印装置またはステッカー付着装置であり得る。
【0033】
前記開口は、第1開口及び第2開口を含み、前記第1開口は前記ダイの溝の底の中心に形成され、前記第2開口は前記第1開口を通るとともに前記溝の全長に平行な直線上に形成されることができる。
【0034】
また、本発明は、前記構成を多様に組合せた形態としても提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上で説明したように、本発明による電池セル積層体は、外面に整列マークが表示されたパウチ型電池セルを含むので、複数のパウチ型電池セルの積層方向の整列を正確で容易に実施することができる。
【0036】
また、本発明による整列マーク表示装置は、パウチ型電池セルの外面の一定の位置に整列マークが表示され、前記整列マークがパウチ型電池セルの寸法測定の基準になることができる。
【0037】
パウチ型電池セルに備えられた整列マークを基準に積層方向の整列を正確に実施することができるので、電池セル積層体の製造の際、積層方向による位置整列の公差を小さく管理することができる。
【0038】
また、パウチ型電池セルを密着して配置するとき、押圧面を均一にすることで、抵抗増加の防止及び寿命向上の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】一般的なパウチ型電池セルの正面図及び平面図である。
【
図2】特許文献1による二次電池ディメンション測定装置の概念を示す斜視図である。
【
図3】整列マークが表示されたパウチ型電池セルの平面図である。
【
図4】整列マークが表示されたパウチ型電池セルが積層された電池セル積層体の側面図である。
【
図5】整列マーク表示装置を用いた電池セル積層体の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合はその詳細な説明を省略する。
【0041】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使用する。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0042】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0043】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0044】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、またはA及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0045】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0046】
図3は整列マークが表示されたパウチ型電池セルの平面図である。
【0047】
図3を参照すると、本発明による電池セル積層体を構成するパウチ型電池セル100は樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなったパウチ型電池ケースに電極組立体及び電解質を含み、前記パウチ型電池ケースは、前記電極組立体を収納するための収容部110及び熱融着シーリングのための密封部120を含み、前記収容部110の底の外面にはパウチ型電池セルの整列のための整列マーク130が表示される。
【0048】
好適な一例で、前記ラミネートシートは、外部樹脂層、空気及び水分遮断性金属層、及び熱融着性内部樹脂層の積層構造を有することができる。
【0049】
前記外部樹脂層は外部環境に対して優れた耐性を有しなければならないので、所定値以上の引張強度及び耐候性が必要である。このような側面で、外部樹脂層を構成する高分子樹脂は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び延伸ナイロンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0050】
前記金属層は、ガス、湿気などの異物の流入及び電解液の流出を防止する機能の他に、電池ケースの強度を向上させる機能を発揮することができるように、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金を使用することができる。
【0051】
前記内部樹脂層は、熱融着性を有し、電解液に対する吸湿性が低く、電解液によって膨張するか浸食されることがない高分子樹脂を使用することができ、例えば、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)からなることができる。
【0052】
前記整列マークは、複数のパウチ型電池セルの収容部の底が面対面で密着するように配置して電池セル積層体を構成するとき、配置位置の基準になる表示であり、x字形、+字形、円形、角形またはこれらの組合せの形態に構成することができる。
【0053】
図3では+字形と円形とが重畳した形態の整列マークを示しており、+字形の横軸と縦軸の交差点がパウチ型電池セルの積層時の配置位置の基準になることができ、または整列マーク全体が配置位置の基準になって整列マーク全体が一致するようにパウチ型電池セルを積層することができる。
【0054】
前記整列マークはパウチ型電池ケースの外面に特定の位置を表示することができる方法であれば、その種類が特に限定されないが、例えば、インクマーク、レーザー刻印及びステッカーなどからなる群から選択されるいずれか一つ以上で表示することができる。
【0055】
整列マーク130は、第1整列マーク131及び第2整列マーク132を含む。第1整列マーク131と第2整列マーク132とを連結した仮想の第1連結線112が前記パウチ型電池セル100の全長Lの方向に平行に形成されるので、仮想の第1連結線112が全長Lの基準線になる。仮想の第1連結線112に対する垂線である仮想の第2連結線113がパウチ型電池セル100の全幅Wの基準線になる。仮想の第1連結線112と仮想の第2連結線113の交差点を第1整列マーク131の中心点とし、第1整列マーク131はパウチ型電池セル100を積層するときに整列の基準になる基準原点になることができる。
【0056】
一般的に、整列マーク表示装置において、電極組立体を収容する収容部を成形するためのダイは精密に製作される。したがって、パウチ型電池セルの積層整列の基準原点になる整列マークを前記ダイの特定の位置に表示する場合、パウチ型電池セルの一定の位置に整列マークを表示することができる。
【0057】
仮に、これと違い、パウチ型電池ケースを成形した後、パウチ型電池ケースまたはパウチ型電池セルに整列マークを付け加えれば、電極組立体を収容する収容部とダイの相対位置及び方向の誤差が追加されてパウチ型電池セルの寸法測定に対する公差が大きくなる。よって、パウチ型電池セルの寸法測定に対する公差を減らすために、整列マーク表示装置からパウチ型電池ケースを除去しなかった状態でパウチ型電池セルに対する整列マークを表示することが好ましい。
【0058】
一具体例で、パウチ型電池セルの全長と全幅をそれぞれLとWで表示し、整列マーク表示装置のダイの全長とダイの全幅をそれぞれL'とW'(図示せず)で表示して第1整列マーク131及び第2整列マーク132の表示方法を説明することができる。
【0059】
ダイの全幅W'の中心ライン上に第1整列マーク131を表示するための第1マーキング位置を設定し、前記第1マーキング位置を通るとともにダイの全長L'に平行な仮想の直線上に第2整列マーク132を表示するための第2マーキング位置を設定する。もしくは、ダイの全幅W'の中心ラインを通るとともにダイの全長Lに平行な直線上に第1マーキング位置と第2マーキング位置とを設定することができる。
【0060】
前記第1マーキング位置及び第2マーキング位置でラミネートシートに整列マーキングを実施することによって第1整列マーク及び第2整列マークが表示されると、整列マーク表示装置のマーキング部材の位置誤差を考慮するとき、第1整列マークと第2整列マークとを連結した仮想の第1連結線112はダイの全長L'にほとんど平行に形成されることができる。
【0061】
パウチ型電池セルの寸法の均等な管理の容易性の側面で、整列マーク表示装置のダイの全長L'の中心ラインとダイの全幅W'の中心ラインとが交差する地点を第1マーキング位置に設定し、前記第1マーキング位置を通るとともにダイの全長L'に平行な直線上に第2マーキング位置を設定することができる。すなわち、第1整列マークが電極組立体収容部の底の中心に位置するように設定することができる。
【0062】
第1整列マーク131と第2整列マーク132との間の距離が遠くなるほど、第1整列マーク131である基準原点に対する仮想の第1連結線112の全長Lとダイの全長L'との間の回転角度誤差を最小化することができる。
【0063】
このように、整列マークを表示する場合、パウチ型電池セルの全幅Wまたはパウチ型電池セルの全長Lによって公差を管理することができる。また、第1整列マーク131である基準原点が収容部の中心にマーキングされる場合は、第1整列マーク131を中心とする仮想の第1連結線112及び仮想の第2連結線113に沿っていずれか一方向の末端までの個別半長または半幅によって公差を管理することができるので、より精密な公差管理が可能である。
【0064】
前記半長または半幅の寸法は、基準原点である第1整列マークが収容部の中心にマーキングされる場合、前記基準原点から仮想の第1連結線112または仮想の第2連結線113に沿って延びるパウチ型電池セルの末端までの長さと定義することができる。
【0065】
もしくは、第1整列マーク131及び第2整列マーク132を収容部110の任意の地点に表示しても、すべてのパウチ型電池セルに対して同じ地点に第1整列マーク131及び第2整列マーク132を表示するので、第1整列マーク131と第2整列マーク132とが一致するように複数のパウチ型電池セルを積層する場合、積層方向に位置整列公差が最小化した電池セル積層体を得ることができる。
【0066】
図3の(a)は第1整列マーク131と第2整列マーク132との間の距離がパウチ型電池セル100の全長Lの50%以上になるように表示しており、(b)はパウチ型電池セル100の収容部110の中心部に第1整列マーク131を表示している。
【0067】
図3の(a)のように、第1整列マーク131と第2整列マーク132とが遠く離れるように表示する場合は、これらを連結した全長方向軸の回転誤差を減らすことができる利点がある。
【0068】
図3の(b)のように、パウチ型電池セル100の収容部110の中心部に第1整列マーク131を表示する場合は、第1整列マーク131及び第2整列マーク132が一定の位置に置かれるようにパウチ型電池セルを積層するだけで複数のパウチ型電池セルが容易で正確に整列された電池セル積層体を製造することができる。
【0069】
図4は整列マークが表示されたパウチ型電池セルが積層された電池セル積層体の側面図である。
【0070】
図4を参照すると、電池セル積層体1000は、複数のパウチ型電池セル100が積層されており、複数のパウチ型電池セル100の収容部110が上向きに配置され、すべてのパウチ型電池セル100において電極組立体を収納するための収容部110の底に第1整列マーク131及び第2整列マーク132が表示されている。
【0071】
複数のパウチ型電池セルは、個別のパウチ型電池セルに表示された第1整列マーク131と第2整列マーク132とが積層方向Sに沿って正確に一致するように積層されているので、電池セル積層体1000をモジュールハウジングまたは電池パックケースに収容するときに位置公差を減らすことができる。
【0072】
図4では複数のパウチ型電池セル100の間に離隔間隔があるもののように示しているが、これは説明の便宜のためのものであり、パウチ型電池セル100は収容部110が積層方向に正確に一致するように密着して配置されることができる。
【0073】
したがって、すべてのパウチ型電池セルの収容部110の全面積を均一な力で押圧することができるので、不均一な押圧によって電池セルの寿命が低下するかまたは抵抗が増加する問題を防止することができる。
【0074】
電池セル積層体1000を形成するための積層方法として、(a)パウチ型電池セル100に表示された整列マークを確認する段階と、(b)パウチ型電池セルを積層部(図示せず)に移送する段階と、(c)前記積層部に積層されたパウチ型電池セルの位置を確認し、積層して整列する段階とを含む。前記整列マークを確認する段階は、ビジョンセンサー200を使用して整列マークの形態及び位置を確認する過程で実施することができる。
【0075】
前記段階(a)は、パウチ型電池セルの外面に整列マークが表示されているかの確認、パウチ型電池セルにおいて整列マークが表示された位置の確認、及び整列マークの形態及び色相の確認などを含むことができる。
【0076】
前記段階(b)は、移送ロールの回転によって駆動される移送装置を用いるか、またはグリッパーが装着されたロボットを用いてパウチ型電池セルを積層部に移送することができる。
【0077】
前記段階(c)は、パウチ型電池セルの上部に備えられたビジョンセンサー200によって第1整列マーク131及び第2整列マーク132の位置を確認する過程と、第1整列マーク131及び第2整列マーク132の位置が積層方向Sに対して一致するようにパウチ型電池セルの位置を調整する過程とを含むことができる。
【0078】
すなわち、前記段階(c)は、パウチ型電池セルの外周辺の位置が互いに一致するように配置せず、第1整列マーク131の位置と第2整列マーク132の位置とが一致するように配置する。
【0079】
図5は整列マーク表示装置を用いた電池セル積層体の製造過程を示す図である。
【0080】
図5を参照すると、電池セル積層体の製造方法は、(a)ラミネートシート10をダイ310上に配置する段階と、(b)ラミネートシート10をパンチ320で押圧して電池ケースを成形する段階と、(c)電池ケースの底に整列マークを表示する段階と、(d)電池ケースに電極組立体を収納した後、密封することによってパウチ型電池セルを製造する段階と、(e)前記パウチ型電池セルの整列マークが積層方向に重畳するように前記パウチ型電池セルを積層する段階とを含む。前記段階(c)は、電池ケースの底の一定の位置に押印、インクプリンティング、レーザービーム照射またはステッカーを付着する過程で実施することができる。
【0081】
前記整列マークを表示する段階はパンチ320でラミネートシート10を押圧した状態で実施することができるので、マーキング部材330がラミネートシート10に押印、インクプリンティング、レーザービーム照射またはステッカー付着を行うとき、ラミネートシート10が動くかまたは形態が変形されることを防止することができる。
【0082】
前記段階(d)は、電池ケースをダイ310から分離し、電極組立体を収納した後、密封する過程を含むことができ、または、整列マークが表示された電池ケースをダイから分離しなかった状態で電極組立体を収納して密封することによってパウチ型電池セルを製造した後、前記パウチ型電池セルをダイから分離する過程を含むことができる。
【0083】
本発明による整列マーク表示装置は、電極組立体を収容する収容部を成形するための溝312が形成されているダイ310と、ダイ310上に位置し、ラミネートシート10を押圧するパンチ320と、ラミネートシート10において収容部の底の外面に整列マークを表示するためのマーキング部材330とを含むことができる。
【0084】
ダイ310は、溝312の底に対して垂直な方向に貫設される開口311が少なくとも2個形成されている。したがって、マーキング部材330は開口311を通して挿入され、ラミネートシート10の外面に整列マークを表示する。マーキング部材330は、押印装置、インクプリンティング装置、レーザー刻印装置またはステッカー付着装置であり得る。
【0085】
開口311はダイ310の全幅の中心ラインを通るとともにダイ310の全長に平行な直線上に形成されることができる。
【0086】
開口311は、第1開口及び第2開口を含み、前記第1開口は前記ダイ310の溝312の底の中心に形成され、前記第2開口は前記第1開口を通るとともに前記溝312の全長に平行な直線上に形成されることができる。
【0087】
このような形態に構成された整列マーク表示装置を用いてパウチ型電池セルを製造すると、すべてのパウチ型電池セルの外面の一定の位置に整列マークを形成することができるので、前記整列マークを基準にパウチ型電池セルを積層すると、位置公差が生ずることを最小化することができ、パウチ型電池セルの寸法測定のための基準を確保することができる。
【0088】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0089】
10 ラミネートシート
20 蛍光基準標識部
30 紫外線照射部
40 レーザー測定部
41 レーザー照射部
42 受光部
43 演算部
100 パウチ型電池セル
110 収容部
111 収容部の側面
112 仮想の第1連結線
113 仮想の第2連結線
120 密封部
130 整列マーク
131 第1整列マーク
132 第2整列マーク
200 ビジョンセンサー
310 ダイ
311 開口
312 溝
320 パンチ
330 マーキング部材
1000 電池セル積層体
L パウチ型電池セルの全長
R 勾配角
S 積層方向
W パウチ型電池セルの全幅