(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/00 20220101AFI20250527BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20250527BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20250527BHJP
H05B 45/14 20200101ALI20250527BHJP
H05B 45/395 20200101ALI20250527BHJP
H05B 45/34 20200101ALI20250527BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20250527BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20250527BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20250527BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H05B45/00
H05B45/385
H05B45/38
H05B45/14
H05B45/395
H05B45/34
H05B45/345
H02J9/06 110
H02J7/34 G
H02J7/04 A
(21)【出願番号】P 2020168852
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029171(JP,A)
【文献】特表2020-525976(JP,A)
【文献】特開2015-062156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 45/385
H05B 45/38
H05B 45/14
H05B 45/395
H05B 45/34
H05B 45/345
H02J 9/06
H02J 7/34
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部に電力を供給する電池を外部電源により充電する常用電源回路と、
前記外部電源の停電時に動作し、前記電池により前記光源部を点灯させる非常用電源回路と、
前記常用電源回路を制御する制御部と、
前記常用電源回路の出力側から前記制御部を動作させる動作電源電圧を供給する動作電源供給部と、
前記電池の電池電圧を検出し前記制御部に当該電池電圧を入力する電池電圧検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電池電圧の値が、前記動作電源電圧以上の値を示す第1閾値未満の場合は前記常用電源回路の出力電圧を前記動作電源電圧以上として定電圧制御し、
前記電池電圧の値が、満充電の前記電池電圧の状態を示す第2閾値以上の場合は前記常用電源回路を定電圧制御し、
前記電池電圧の値が、前記第1閾値以上であり前記第2閾値未満の場合は前記常用電源回路を定電流制御する非常用照明装置。
【請求項2】
前記常用電源回路から前記制御部に電源を供給する線路上に設けられ、アノードが前記常用電源回路の出力側に接続され、カソードが前記制御部側に接続されたダイオードを備える請求項
1に記載の非常用照明装置。
【請求項3】
前記ダイオードと前記制御部との間に設けられたレギュレータを備える請求項
2に記載の非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非常用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不特定多数の人が集まる場所での火災、地震等の災害または事故の際に生じる停電時には、その場にいる人々が安全に避難できるように、室内を照明する非常用照明装置が用いられることがある。非常用照明装置は、常用時は外部電源から電力が供給され、当該電力で電池を充電し、外部電源から電力が供給されない非常時は、充電した電池からの電力を供給して光源を点灯させる。
【0003】
このような、非常用照明装置において、電池の充電を実現する回路構成として一般に用いられるものにスイッチング回路と定電流制御用のリニアレギュレータ回路を組み合わせるものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載された回路では、定電流制御用のリニアレギュレータを構成するため回路が複雑化しコストアップに繋がる恐れがある。一方で、定電流制御用のリニアレギュレータを使用せずに、スイッチング回路の出力を定電流制御し、制限抵抗のみを用いて電池を定電流で充電する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スイッチング回路の二次側から制御用マイクロコンピュータの動作電源電圧を得る回路において、制限抵抗を用いて電池を定電流で充電する場合、スイッチング回路の二次側の出力電圧を低下させると制御用マイクロコンピュータの動作電源電圧を得ることができないという問題が生じる。そこで、スイッチング回路の二次側から制御用マイクロコンピュータの動作電源電圧を得るために出力電圧を十分に大きくすることが考えられるが、その場合制限抵抗の値を大きくする必要があるため回路損失が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
本開示は、回路損失が大きくなるのを抑制して電池の充電を行うことができる非常用照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る非常用照明装置は、光源部と、光源部に電力を供給する電池を外部電源により充電する常用電源回路と、外部電源の停電時に動作し、電池により光源部を点灯させる非常用電源回路と、常用電源回路を制御する制御部と、常用電源回路の出力側から制御部を動作させる動作電源電圧を供給する動作電源供給部と、電池の電池電圧を検出し制御部に当該電池電圧を入力する電池電圧検出部と、を備え、制御部は、電池電圧の値が、動作電源電圧以上の値を示す第1閾値未満の場合は常用電源回路の出力電圧を動作電源電圧以上として定電圧制御し、電池電圧の値が、満充電の電池電圧の状態を示す第2閾値以上の場合は常用電源回路を定電圧制御し、電池電圧の値が、第1閾値以上であり第2閾値未満の場合は常用電源回路を定電流制御する非常用照明装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る非常用照明装置によれば、スイッチング回路の二次側から制御用マイクロコンピュータの動作電源電圧を得る回路における損失が大きくなるのを抑制して電池の充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る非常用照明装置の回路ブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る常用電源回路の出力を説明する図である。
【
図3】実施の形態1に係る常用電源回路の出力を説明する図である。
【
図4】実施の形態2に係る常用電源回路の出力を説明する図である。
【
図5】実施の形態2に係る常用電源回路の出力を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。なお、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1に係る非常用照明装置について以下説明する。
【0013】
図1は、実施の形態1の非常用照明装置100の回路ブロック図である。非常用照明装置100は、点灯ユニット10と、光源部30を備える。光源部30は、非常時に明るさを確保するための光源である。光源部30は、例えばLEDである。光源部30をLEDとすることで非常用照明装置100の消費エネルギーを抑制できる。非常用照明装置100は、光源部30を点灯するために電池50を搭載する。点灯ユニット10は、外部電源ACから電力を供給され、電池50を充電する。外部電源ACは、交流電源である。電池50は、停電等の非常時に光源部30に電力を供給し、光源部30を点灯する。電池50は、充電可能な電池あればよく、例えばニカド電池、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの2次電池である。
【0014】
点灯ユニット10は、ダイオードブリッジ1と、常用電源回路2と、電池電圧検出部4と、停電検出回路5と、非常用電源回路6と、制御部7と、報知部8を備える。
【0015】
ダイオードブリッジ1は、交流を直流に変換する。ダイオードブリッジ1の出力は、常用電源回路2に接続される。ダイオードブリッジ1の出力の低電位側は、接地用端子に接続される。
【0016】
常用電源回路2は、絶縁形フライバック回路で構成される。常用電源回路2は、常用時に外部電源ACから電力を供給され、電池50を充電する。常用電源回路2は、コンデンサ11、コンデンサ13、コンデンサ24、抵抗12、抵抗17、抵抗22、抵抗23、トランス14、スイッチング素子15、制御IC(Integrated Circuit)16、フォトカプラ18、疑似停電発生回路19、ダイオード20、電解コンデンサ21、を備える。
【0017】
常用電源回路2において、外部電源ACの全波とスイッチングによるリップルを低減するために、ダイオードブリッジ1の出力と並列にコンデンサ11が接続される。コンデンサ11の正極には、抵抗12の一端およびトランス14の一次側の一端が接続される。
【0018】
トランス14の一次側の他端には、スイッチング素子15の第1端子が直列に接続される。スイッチング素子15の第2端子はコンデンサ11の負極に接続される。スイッチング素子15の制御端子は、制御IC16に接続される。制御端子は、第1端子、第2端子間をスイッチングするための端子である。制御IC16は、常用電源回路2を制御する。ここで常用時とは、外部電源ACが停電状態または疑似停電状態では無い状態を示す。なお、以下の説明において特に断りが無い限り、停電状態または疑似停電状態をまとめて停電状態と称する。
【0019】
スイッチング素子15は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子15がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。スイッチング素子15において、第1端子がトランス14と接続され、第2端子が接地用端子と接続され、制御端子が制御IC16と接続される。
【0020】
制御IC16は、例えばPFC(Power Factor Correction)ドライバである。制御IC16は、スイッチング素子15を駆動させる。コンデンサ11と並列に抵抗12、コンデンサ13の順で接続された回路は、制御IC16の電源を供給する。
【0021】
制御IC16には抵抗17を介してフォトカプラ18が接続される。抵抗17およびフォトカプラ18は、トランス14の二次側の情報を制御IC16に入力するために設けられる。
【0022】
常用電源回路2は、疑似停電発生回路19を備える。疑似停電発生回路19は、疑似停電状態を発生させることができる回路である。疑似停電発生回路19は、疑似停電点検スイッチ、リモコン点検ボタンなどを備える。疑似停電発生回路19は、例えば疑似停電点検スイッチを入れることをトリガとして制御IC16の動作させることができる。これにより疑似停電発生回路19は、疑似的に停電状態を作り出すことができる。したがって、外部電源ACの停電時に非常用照明装置100が正常に動作するか否かを確認できる。
【0023】
トランス14の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオード20のアノードが接続される。ダイオード20は、トランス14の二次側に直列に接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオード20のカソードには、電解コンデンサ21の正極が接続される。電解コンデンサ21の負極は、接地用端子に接続される。
【0024】
常用電源回路2の接地用の経路において、トランス14の一次側と二次側は、コンデンサ24によって絶縁されている。
【0025】
常用電源回路2は、常用電源出力電圧検出部を備える。常用電源出力電圧検出部は、直列に接続された抵抗22と抵抗23から構成される。常用電源出力電圧検出部は、電解コンデンサ21と並列に接続される。抵抗22と抵抗23の分圧値は、制御部7であるマイクロコンピュータに入力される。これにより、制御部7は、常用電源回路2の出力電圧を検出する。
【0026】
充電回路である常用電源回路2は、電池50を充電する。抵抗31はトランス14のフライバック巻きと電池50の間に接続されている。抵抗31の他端には電池50の正極が接続される。抵抗31は、電池50と直列に接続され、電池50の電流を制限するために設けられる。電池50の負極は、接地用端子に接続される。すなわち、常用電源回路2の出力端には、抵抗31、電池50が直列に接続される。
【0027】
電池電圧検出部4は、直列に接続された抵抗51と抵抗52から構成される。電池50と並列に抵抗51と抵抗52の直列回路が接続される。また、電池電圧検出部4は、コンデンサ32と並列に接続される。抵抗51、抵抗52で電池電圧を分圧した電圧は、制御部7に入力される。制御部7は、常用電源出力電圧検出部で検出した常用電源回路2の出力電圧と、抵抗51、抵抗52で電池電圧を分圧した電圧との電位差を算出する。制御部7は、算出した電位差に基づいて演算を行い、スイッチング素子15をオンオフする信号の目標値を算出する。
【0028】
制御部7は、スイッチング素子15をオンオフする信号の目標値を出力端子から出力する。制御部7の出力端子には、フォトカプラ25が接続される。制御部7から出力される信号は、フォトカプラ25を介してトランス14の一次側に設けられたフォトカプラ18に伝達される。
【0029】
制御部7の出力信号は、フォトカプラ18、抵抗17を介して制御IC16へ伝達される。制御IC16は、制御部7から受ける出力信号により出力電圧の目標値と常用電源回路2の出力電圧が一致するようにスイッチング素子15をオンオフ制御する。すなわち、制御部7は、制御IC16を介して常用電源回路2を制御する。以上から、絶縁型フライバック回路である常用電源回路2によるフィードバック制御が実現する。
【0030】
非常用電源回路6は、昇圧型スイッチング回路で構成されている。非常用電源回路6は、外部電源ACの停電時等の非常時に動作し、電池50の出力電圧を昇圧して光源部30を点灯させる。すなわち、非常用電源回路6は、直流電源である電池50から電力の供給を受け、光源部30を点灯させる。
【0031】
非常用電源回路6の入力端にはコンデンサ32が並列に接続される。コンデンサ32の正極には、電池50の正極とコイル53の一端が接続される。コンデンサ32の負極は、接地用端子に接続される。コイル53の他端は、ダイオード54のアノードに接続される。ダイオード54のカソードは、コンデンサ58の正極に接続される。コンデンサ58の負極はコンデンサ32の負極に接続される。すなわち、コンデンサ32と並列にコイル53、ダイオード54、コンデンサ58の順で接続された直列回路が接続されている。
【0032】
コイル53とダイオード54の接続点と接地用端子との間には、スイッチング素子55が接続されている。スイッチング素子55の第1端子は、ダイオード54のアノードに接続される。スイッチング素子55の第2端子はコンデンサ58の負極に接続される。スイッチング素子の制御端子は制御部7に接続される。スイッチング素子55は、例えばMOSFETである。
【0033】
コンデンサ58の正極には、光源部30のアノード側が接続される。光源部30のカソード側に抵抗59の一端が接続される。抵抗59の他端は、コンデンサ58の負極に接続される。
図1では、光源部30はLEDが2つ示されているが、非常用照明装置100が備える光源の数は1つ以上であればよい。
【0034】
停電検出回路5は、外部電源ACの停電状態を検出する回路である。停電検出回路5は、トランス14の二次側のフライバック巻き線の一端から出力電圧の信号によって外部電源ACが停電状態であるか否かを監視し、外部電源ACの停電状態を検出する。停電検出回路5は、制御部7に接続される。停電検出回路5は、外部電源ACの停電を検出すると、外部電源ACが停電状態であることを示す信号を制御部7に伝達する。制御部7は、停電検出回路から当該信号を受けると非常用電源回路6を動作する。すなわち、制御部7は、非常用電源回路6を制御する。
【0035】
非常用電源回路6は、非常用電源出力電圧検出部を備える。非常用電源出力電圧検出部は、直列に接続された抵抗56と抵抗57から構成される。非常用電源出力電圧検出部は、コンデンサ58と並列に接続される。抵抗56と抵抗57の分圧値は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は非常用電源回路6の出力電圧を検出する。
【0036】
非常用電源回路6は、出力電流検出部を備える。出力電流検出部は、LEDのカソード側に接続された抵抗59から構成される。非常用電源回路6が動作すると、コンデンサ58には電池50の出力電圧が昇圧された電圧が印加される。コンデンサ58に印加される電圧は、非常用電源回路6の出力電圧である。抵抗59には、光源部30を流れる電流に対応する電圧が印加される。抵抗59に印加される電圧は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は、非常用電源回路6の出力電流を検出する。非常用電源出力電圧検出部で検出した出力電圧で出力電流の目標値を設定することにより、定電力フィードバック制御される。このように、光源部30の電力を一定に制御する。
【0037】
続いて制御部7について説明する。制御部7はマイクロコンピュータで構成される。マイクロコンピュータは各種の演算を行うCPUと、メモリと、タイマを備える、メモリは、例えば不揮発性メモリから構成される。
【0038】
制御部7は接続されている電池50の状態を示す信号を報知部8へ伝達する。報知部8は、制御部7から信号を受けると、非常用照明装置100の外部に電池50の状態を報知する。報知部8は、例えば報知用LEDであり、当該LEDを点滅状態にして、電池50の状態が異常であることを外部へ報知する。また、報知部8は、報知用LEDを点灯状態にして、電池50の状態が正常であることを外部へ報知する。また、報知部8は、報知用LEDを消灯状態にして、電池50が未接続であることを外部へ報知する。
【0039】
なお、電池50の状態を外部に報知する際、常用電源回路2によって充電が行われているか否かを報知するための充電用LEDを使用してもよい。そうすることで報知部8として新たにLEDを追加する必要がない。なお、報知部8は、報知用LEDには限定されず、例えばスピーカーのような、音または音声を出力する音出力部であってもよく、以下説明する他の形態においても同様である。
【0040】
次に、動作電源供給部3について説明する。動作電源供給部3は、制御部7であるマイクロコンピュータに電源を供給する。動作電源供給部3は、常用電源回路2の出力側から制御部7を動作させる電源電圧を供給する。動作電源供給部3は、ダイオード33とレギュレータ34から構成される。ダイオード33は、常用電源回路2から制御部7に電源を供給する線路上に設けられている。ダイオード33のアノードは常用電源回路2の出力側に接続される。すなわちダイオード33のアノードはトランス14の二次側のフライバック巻き線の一端に接続される。ダイオード33はダイオード20に直列に接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。
【0041】
ダイオード33のカソードは、常用電源回路2から制御部7に電源を供給する線路上において制御部7側に接続される。具体的にはダイオード33のカソードはレギュレータ34に接続される。レギュレータ34はダイオード33と制御部7との間に設けられる。すなわち、レギュレータ34はダイオード33のカソードと制御部7との間に設けられる。レギュレータ34の出力は、制御部7の電源端子に接続される。レギュレータ34はダイオード33から出力される出力電圧を安定させる。すなわち、制御部7は動作電源供給部3により電源を得ることで動作する。ここで制御部7を動作させる動作電源電圧をVccとする。
【0042】
制御部7は、電池電圧検出部4から入力された電池電圧の分圧値と予めプログラムされた閾値とを比較し、常用電源回路2の出力電圧を制御する。なお、閾値はマイクロコンピュータのメモリに記憶しておき、制御部7はメモリから閾値を読み出し、電池電圧の分圧値と比較してもよい。以下では制御部7は、予めメモリに閾値を記憶しているとして説明する。
【0043】
図2および
図3は、実施の形態1に係る常用電源回路2の出力を説明する図である。
図2Aは電圧と時間の関係を示し、
図2Bは電流と時間の関係を示している。また、
図3Aは電圧と時間の関係を示し、
図3Bは電流と時間の関係を示している。ここで常用電源回路2の出力電圧をVoutとし、電池電圧検出部4で検出した電池電圧をVbatとし、制御部7に予め記憶している電圧に関する閾値を第1閾値Vth1とする。また、電池50を充電する電流を充電電流Ibatとする。
【0044】
常用電源回路2により電池50を充電する場合について説明する。以下の説明において、第1閾値Vth1は、制御部7を動作させる動作電源電圧Vcc以上となる値である。具体的には、第1閾値Vth1は、常用電源回路2の出力電圧Voutからダイオード33において降下する順方向電圧Vfとレギュレータ34において降下する電圧とを差し引いた電圧である。
【0045】
電池電圧Vbatが第1閾値Vth1未満の場合は、電池50を充電する必要があるため、制御部7は常用電源回路2の出力電圧Voutが一定となるようにフィードバックの目標電圧を設定し、制御を行う。このとき、
図2Bに示すように、常用電源回路2は定電圧制御を行うため、定電流制御を行う場合と比較して充電電流Ibatが高い状態となる。
【0046】
電池電圧Vbatが第1閾値Vth1未満の場合に定電流制御により電池50を充電する場合に、常用電源回路2の出力電圧Voutを低下させると動作電源電圧Vccを確保することができなくなってしまうが、上記の通り第1閾値Vth1が動作電源電圧Vcc以上となるように設定し、定電圧制御をすることで動作電源電圧Vccを確保することができる。言い換えれば、出力電圧Voutを動作電源電圧Vcc以上として定電圧制御をするため動作電源電圧Vccを確保することができる。したがって、常用電源回路2の出力電圧Voutから動作電源電圧Vccを確保するために、すなわち出力電圧Voutを大きくするために抵抗31の値を大きくする必要がなくなるため、回路における損失が大きくなるのを抑制することができる。すなわち、高効率に電池50の充電を行うことができる。
【0047】
電池50を充電することで電池電圧Vbatが上昇し、第1閾値Vth1以上になると、制御部7は抵抗31の両端電圧が一定になるようにフィードバックの目標電圧を設定し、制御を行う。このとき、常用電源回路2は定電流制御となるため、電池50に流れる充電電流Ibatは一定となる。このように、制御部7は充電電流Ibatが一定となるよう制御しているので、電池50が満充電付近の場合に充電電流Ibatが過大に流れることはなく、電池50が過充電状態になることを抑制することができる。なお、電池電圧Vbatが第1閾値Vth1以上の場合においては必ずしも常用電源回路2を定電流制御とする必要はない。
【0048】
続いて
図3について説明する。電池電圧Vbatが下降し、第1閾値Vth1を下回ると、制御部7は常用電源回路2の出力電圧Voutが一定になるようにフィードバックの目標電圧を設定し、制御を行う。このとき、
図3Bに示すように、常用電源回路2は定電圧制御となるため、定電流制御を行う場合と比較してIbatが高い状態となる。
【0049】
常用電源回路2は、第1閾値Vth1が動作電源電圧Vcc以上となるように設定し、定電圧制御をすることで動作電源電圧Vccを確保することができる。
【0050】
以上のように、常用電源回路2の出力電圧Voutを、電池電圧Vbatの値に応じて定電圧制御と定電流制御とで切り換えることにより、回路における損失が大きくなるのを抑制して高効率に電池50の充電を行うことができる非常用照明装置を得ることができる。
【0051】
以上説明した通り、実施の形態1に係る非常用照明装置100は、光源部30と、光源部30に電力を供給する電池50を外部電源ACにより充電する常用電源回路2と、外部電源ACの停電時に動作し、電池50により光源部30を点灯させる非常用電源回路6と、常用電源回路2を制御する制御部7と、常用電源回路2の出力側から制御部7を動作させる動作電源電圧を供給する動作電源供給部3と、電池50の電池電圧を検出し制御部7に当該電池電圧を入力する電池電圧検出部4と、を備え、制御部7は、電池電圧の値が、電源電圧以上の値である第1閾値未満の場合は常用電源回路2を定電圧制御する非常用照明装置100である。
【0052】
このような構成によれば、スイッチング回路の二次側から制御用マイクロコンピュータの動作電源電圧を得る回路における損失が大きくなるのを抑制することができ、高効率に電池50の充電を行うことができる。
【0053】
また、非常用照明装置100は、電池電圧の値が第1閾値以上の場合は常用電源回路2を定電流制御するようにしてもよい。
【0054】
このような構成によれば、電池50が満充電付近の場合において充電電流Ibatが過大に流れることはなく、電池50が過充電状態になることを抑制することができる。
【0055】
実施の形態2.
続いて実施の形態2に係る非常用照明装置100について説明する。
図4および
図5は、実施の形態2に係る常用電源回路2の出力を説明する図である。以下の説明では、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。実施の形態2に係る非常用照明装置100は、実施の形態1の非常用照明装置100と比較して、制御部7がメモリに第2閾値Vth2を記憶している点で異なり、その他の構成は実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0056】
制御部7は、予めメモリに第1閾値Vth1と、第2閾値Vth2を記憶している。第2閾値Vth2は、第1閾値Vth1よりも大きい値の閾値である。
図4および
図5には、第1閾値Vth1、第2閾値Vth2がそれぞれ示されている。
【0057】
図4は、実施の形態2に係る常用電源回路2の出力を説明する図である。
図4は、常用電源回路2により電池50の充電を行い、電池電圧Vbatが第2閾値Vth2を超えたところまでの推移を示している。
【0058】
第2閾値Vth2は、電池50が満充電の電池電圧の状態を示す値である。ここで満充電とは、電池50が完全に充電した状態に限られず、電池50が完全な充電の状態の電圧の80%以上の電圧の状態であることを含むものとする。
【0059】
電池電圧Vbatが第1閾値以上であり、かつ第2閾値未満の場合は、制御部7は抵抗31の両端電圧が一定になるようにフィードバックの目標電圧を設定し、制御を行う。このとき、常用電源回路2は定電流制御となるため、電池50に流れる充電電流Ibatは一定となる。なお、電池電圧Vbatが第1閾値Vth1未満の場合については、実施の形態1と同様であるため省略する。これは以下で説明する
図5においても同様である。
【0060】
電池電圧Vbatが上昇し、第2閾値以上になると、制御部7は常用電源回路2の出力電圧が一定になるようにフィードバックの目標電圧を設定し、制御を行う。このとき、常用電源回路2は定電圧制御となるため、充電電流Ibatが低下する。
【0061】
例えば電池50が未接続の状態になった場合は、電池電圧検出部4が検出する電池電圧Vbatが、常用電源回路2の出力電圧Voutと略同等かまたは近い値を示す現象が起こることとなるが、電池電圧が満充電の場合において常用電源回路2は、定電圧制御であるため、電池50が未接続となった場合でも過電圧状態となることはない。
【0062】
続いて
図5について説明する。電池電圧Vbatが下降し、第2閾値Vth2を下回ると、制御部7は抵抗31の両端電圧が一定になるようにフィードバックの目標電圧を設定し、制御を行う。このとき、
図5Bに示すように、常用電源回路2は定電流制御となるため、充電電流Ibatは一定となる。
【0063】
以上説明した通り、実施の形態2に係る非常用照明装置100は、電池電圧Vbatの値が、満充電の電池電圧Vbatの状態を示す値である第2閾値Vth2以上の場合は、制御部7は常用電源回路2を定電圧制御し、電池電圧Vbatの値が、第1閾値Vth1以上であり第2閾値Vth2未満の場合は、制御部7は常用電源回路2を定電流制御する非常用照明装置100である。
【0064】
このような構成によれば、電池電圧が満充電の場合において常用電源回路2は、定電圧制御であるため、電池50が未接続となった場合でも過電圧状態となることはない。
【0065】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示の非常用照明装置100は、実施の形態1および実施の形態2で説明した形態には限られず、本開示の内容の一部を示すものである。本開示の非常用照明装置は、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、適宜、組み合わせる等、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ダイオードブリッジ、2 常用電源回路、3 動作電源供給部、4 電池電圧検出部、5 停電検出回路、6 非常用電源回路、7 制御部、8 報知部、10 点灯ユニット、11 コンデンサ、12 抵抗、13 コンデンサ、14 トランス、15 スイッチング素子、16 制御IC、17 抵抗、18 フォトカプラ、19 疑似停電発生回路、20 ダイオード、21 電解コンデンサ、22 抵抗、23 抵抗、24 コンデンサ、25 フォトカプラ、30 光源部、31 抵抗、32 コンデンサ、33 ダイオード、34 レギュレータ、50 電池、51 抵抗、52 抵抗、53 コイル、54 ダイオード、55 スイッチング素子、56 抵抗、57 抵抗、58 コンデンサ、59 抵抗、100 非常用照明装置