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  • 特許-電池モジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20250527BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250527BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20250527BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250527BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20250527BHJP
   H01M 10/655 20140101ALI20250527BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20250527BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20250527BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/48 301
H01M10/617
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/655
H01M10/6555
H01M50/209
H01M50/291
H01M50/293
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021002725
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022107981
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】副島 崇礼
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/151037(WO,A1)
【文献】特開2017-139099(JP,A)
【文献】特開2021-002487(JP,A)
【文献】特開2017-206624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/617
H01M 10/625
H01M 10/653
H01M 10/655
H01M 10/6555
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接するように配置された一対の二次電池と、
前記一対の二次電池間に配置されたスペーサと、を備え、
前記一対の二次電池の各二次電池は、
電極及び前記電極を収容するケースと、
前記ケースの上面に設けられた一対の外部端子と、を含み、
前記一対の外部端子は、前記一対の二次電池が互いに対向する方向及び上下方向の双方と直交する幅方向に互いに離隔しており、
前記スペーサは、
各ケースの中央部間に配置された中央スペーサ部と、
各ケース間でかつ前記中央スペーサ部の周囲に配置された外側スペーサ部と、を有し、
前記幅方向における前記中央スペーサ部の寸法は、前記幅方向における前記一対の外部端子の外側面間の長さよりも大きく、
前記外側スペーサ部は、前記中央スペーサ部を包囲するように環状に連続的につながっており、
前記中央スペーサ部は、前記ケースの温度が規定温度未満であるときに各ケースに接しており、かつ、前記ケースの温度が前記規定温度以上であるときに溶融する材料からなり、
前記外側スペーサ部は、前記ケースの温度が前記規定温度未満であるときに各ケースに接しており、かつ、前記ケースの温度が前記規定温度以上であるときに各ケースと前記中央スペーサ部との間に空間が形成されるように膨張する、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の二次電池を備える電池モジュールが知られている。例えば、国際公開第2019/155713号には、複数の電池セルを積層してなる電池積層体と、各電池セル同士の間に配置されたセパレータと、を備える電源装置が開示されている。セパレータは、樹脂枠と、樹脂枠内に設けられた断熱基材と、を有している。断熱基材は、電池セルの膨張する積層面に加圧されて変形する可撓性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/155713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際公開第2019/155713号に記載される電池モジュールでは、一の二次電池が発熱した場合に、この二次電池の熱が当該二次電池に隣接する二次電池に伝達すること(いわゆる熱連鎖)の抑制に改善の余地がある。
【0005】
本開示の目的は、二次電池間の熱伝達を抑制可能な電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従った電池モジュールは、互いに隣接するように配置された一対の二次電池と、前記一対の二次電池間に配置されたスペーサと、を備え、前記一対の二次電池の各二次電池は、電極及び前記電極を収容するケースを含み、前記スペーサは、各ケースの中央部間に配置された中央スペーサ部と、各ケース間でかつ前記中央スペーサ部の周囲に配置された外側スペーサ部と、を有し、前記中央スペーサ部は、前記ケースの温度が規定温度未満であるときに各ケースに接しており、前記外側スペーサ部は、前記ケースの温度が前記規定温度未満であるときに各ケースに接しており、かつ、前記ケースの温度が前記規定温度以上であるときに各ケースと前記中央スペーサ部との間に空間が形成されるように膨張する。
【0007】
また、前記外側スペーサ部は、前記中央スペーサ部を包囲するように環状に形成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態の電池モジュールの構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1におけるII-II線での断面図である。
図3図1及び図2におけるIII-III線での断面図である。
図4】二次電池のケースの温度が規定温度以上である状態を概略的に示す断面図である。
図5】外側スペーサ部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態の電池モジュールの構成を概略的に示す斜視図である。この電池モジュール1は、例えば、車両に搭載される。なお、この電池モジュール1の車両への搭載姿勢は問われない。
【0011】
図1に示されるように、電池モジュール1は、一対の二次電池10と、スペーサ20と、を備えている。なお、二次電池10及びスペーサ20の数は、特に限定されない。
【0012】
一対の二次電池10は、互いに対向するように配置されている。各二次電池10として、例えば、リチウムイオン電池が挙げられる。各二次電池10は、ケース12と、一対の外部端子14と、を有している。
【0013】
ケース12は、電極等(図示略)を収容している。ケース12は、直方体形状に形成されている。ケース12は、扁平に形成されている。つまり、ケース12は、相対的に大きな面積を有する2つの第1側面と、第1側面の面積よりも小さな面積を有する2つの第2側面と、を有している。一対の二次電池10は、各ケース12の第1側面同士が互いに対向するように配置されている。以下、互いに対向する第1側面を「対向面12a」と表記する。各対向面12aは、平坦に形成されている。
【0014】
各外部端子14は、ケース12の外側面(本実施形態では上面)から突出している。一対の外部端子14の一方は、正極端子であり、他方は、負極端子である。
【0015】
スペーサ20は、一対の二次電池10間に配置されている。より詳細には、スペーサ20は、各ケース12の対向面12a間に配置されている。図2及び図3に示されるように、スペーサ20は、中央スペーサ部22と、外側スペーサ部24と、を有している。
【0016】
中央スペーサ部22は、各ケース12の対向面12aの中央部間に配置されている。中央スペーサ部22は、矩形状に形成されている。ただし、中央スペーサ部22の形状は、矩形状に限られない。中央スペーサ部22は、ポリプロピレンやゴム等からなる。図2に示されるように、中央スペーサ部22は、ケース12の温度が規定温度未満であるときに各ケース12の対向面12aに接している。中央スペーサ部22は、ケース12の温度が規定温度以上であるときに溶解する材料で形成されてもよい。
【0017】
外側スペーサ部24は、各ケース12間でかつ中央スペーサ部22の周囲に配置されている。本実施形態では、外側スペーサ部24は、中央スペーサ部22を包囲する環状に形成されている。図2に示されるように、外側スペーサ部24は、ケース12の温度が前記規定温度未満であるときに各ケース12の対向面12aに接している。外側スペーサ部24は、規定温度以上において膨張する材料(膨張黒鉛等)からなる。外側スペーサ部24は、規定温度以上における熱膨張係数が中央スペーサ部22のそれよりも大きな材料からなる。
【0018】
図4は、二次電池10のケース12の温度が規定温度以上である状態を概略的に示す断面図である。この図4に示されるように、外側スペーサ部24は、ケース12の温度が規定温度以上であるときに各ケース12の対向面12aと中央スペーサ部22との間に空間Sが形成されるように膨張する。なお、このとき、中央スペーサ部22は、溶解してもよい。
【0019】
以上のように、本実施形態の電池モジュール1では、特定の二次電池10のケース12の温度が規定温度以上となるように当該特定の二次電池10が発熱した際に、対向面12a間に空間Sが形成されるため、特定の二次電池10から当該特定の二次電池10に隣接する二次電池10への熱伝達が抑制される。
【0020】
また、この電池モジュール1では、ケース12の温度が規定温度未満であるとき、中央スペーサ部22及び外側スペーサ部24が一対の二次電池10の双方のケース12に接しているため、二次電池10の充放電時における各ケース12の膨張が有効に抑制される。
【0021】
なお、上記実施形態において、図5に示されるように、外側スペーサ部24は、中央スペーサ部22の周囲のうちの四隅に配置されていてもよい。
【0022】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0023】
上記実施形態における電池モジュールは、互いに隣接するように配置された一対の二次電池と、前記一対の二次電池間に配置されたスペーサと、を備え、前記一対の二次電池の各二次電池は、電極及び前記電極を収容するケースを含み、前記スペーサは、各ケースの中央部間に配置された中央スペーサ部と、各ケース間でかつ前記中央スペーサ部の周囲に配置された外側スペーサ部と、を有し、前記中央スペーサ部は、前記ケースの温度が規定温度未満であるときに各ケースに接しており、前記外側スペーサ部は、前記ケースの温度が前記規定温度未満であるときに各ケースに接しており、かつ、前記ケースの温度が前記規定温度以上であるときに各ケースと前記中央スペーサ部との間に空間が形成されるように膨張する。
【0024】
また、前記外側スペーサ部は、前記中央スペーサ部を包囲するように環状に形成されていることが好ましい。
【0025】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1 電池モジュール、10 二次電池、12 ケース、12a 対向面、14 外部端子、20 スペーサ、22 中央スペーサ部、24 外側スペーサ部、S 空間。
図1
図2
図3
図4
図5