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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】方法、情報処理装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20250527BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J7/00 302D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021085519
(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公開番号】P2022178597
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】柏井 忠大
(72)【発明者】
【氏名】松谷 慎太郎
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0337394(US,A1)
【文献】特開2008-043040(JP,A)
【文献】特開2013-051772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00
B60L 50/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が実行する方法であって、
エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備え、前記オルタネータ又は前記バッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有する車両の車両情報を取得すること、
前記給電機能のモードとして、前記オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又は前記オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、前記車両情報に基づいて選択すること、及び
選択されたモードで前記給電機能を有効化する指示を前記車両へ送信すること
を含み、
災害が発生したエリアを示す情報を取得すること、
前記車両情報に示される前記車両の駐車位置が前記エリアに含まれるか否かを判定すること、及び
前記指示の送信後、前記エリアの災害復旧を示す情報を取得すると、前記給電機能を無効化する指示を前記車両へ送信すること
を更に含み、
前記情報処理装置は、前記駐車位置が前記エリアに含まれると判定された場合、前記給電機能のモードの選択及び前記指示の送信を実行する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記情報処理装置は、前記車両情報に示される前記バッテリの残存容量が閾値未満である場合、前記第1モードを選択し、前記残存容量が前記閾値以上である場合、前記第2モードを選択する、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記第1モードが選択された場合、前記指示は、前記エンジンの始動を許可する第1指示を含む、方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の方法であって、
前記第2モードが選択された場合、前記指示は、前記エンジンの始動を禁止する第2指示を含む、方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の方法であって、
前記第2モードが選択された場合、前記指示は、前記車両のシフトポジションをパーキングに固定する第3指示を含む、方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法であって、
前記第2モードが選択された場合、前記指示は、前記バッテリの残存容量が閾値未満になると前記給電機能のモードを前記第2モードから前記第1モードに切り替える第4指示を含む、方法。
【請求項7】
通信部及び制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備え、前記オルタネータ又は前記バッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有する車両の車両情報を、前記通信部を介して取得し、
前記給電機能のモードとして、前記オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又は前記オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、前記車両情報に基づいて選択し、
選択されたモードで前記給電機能を有効化する指示を、前記通信部を介して前記車両へ送信し、
前記制御部は、
災害が発生したエリアを示す情報を取得し、
前記車両情報に示される前記車両の駐車位置が前記エリアに含まれるか否かを判定し、
前記駐車位置が前記エリアに含まれると判定された場合、前記給電機能のモードの選択及び前記指示の送信を実行し、
前記指示の送信後、前記エリアの災害復旧を示す情報を取得すると、前記給電機能を無効化する指示を、前記通信部を介して前記車両へ送信する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記車両情報に示される前記バッテリの残存容量が閾値未満である場合、前記第1モードを選択し、前記残存容量が前記閾値以上である場合、前記第2モードを選択する、情報処理装置。
【請求項9】
請求項7又はに記載の情報処理装置であって、
前記第1モードが選択された場合、前記指示は、前記エンジンの始動を許可する第1指示を含む、情報処理装置。
【請求項10】
請求項からの何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記第2モードが選択された場合、前記指示は、前記エンジンの始動を禁止する第2指示を含む、情報処理装置。
【請求項11】
請求項から10の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記第2モードが選択された場合、前記指示は、前記車両のシフトポジションをパーキングに固定する第3指示を含む、情報処理装置。
【請求項12】
請求項から11の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記第2モードが選択された場合、前記指示は、前記バッテリの残存容量が閾値未満になると前記給電機能のモードを前記第2モードから前記第1モードに切り替える第4指示を含む、情報処理装置。
【請求項13】
車両と、前記車両と通信する情報処理装置と、を備えるシステムであって、
前記車両は、エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備え、前記オルタネータ又は前記バッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有し、
前記情報処理装置は、
前記車両の車両情報を取得し、
前記給電機能のモードとして、前記オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又は前記オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、前記車両情報に基づいて選択し、
選択されたモードで前記給電機能を有効化する指示を前記車両へ送信し、
前記車両は、前記指示を受信すると、前記選択されたモードで前記給電機能を有効化し、
前記情報処理装置は、
災害が発生したエリアを示す情報を取得し、
前記車両情報に示される前記車両の駐車位置が前記エリアに含まれるか否かを判定し、
前記駐車位置が前記エリアに含まれると判定された場合、前記給電機能のモードの選択及び前記指示の送信を実行し、
前記指示の送信後、前記エリアの災害復旧を示す情報を取得すると、前記給電機能を無効化する指示を、前記車両へ送信する、
システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記情報処理装置は、前記車両情報に示される前記バッテリの残存容量が閾値未満である場合、前記第1モードを選択し、前記残存容量が前記閾値以上である場合、前記第2モードを選択する、システム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のシステムであって、
前記車両は、前記第1モードが選択された場合、前記指示を受信すると前記エンジンの始動を許可する、システム。
【請求項16】
請求項13から15の何れか一項に記載のシステムであって、
前記車両は、前記第2モードが選択された場合、前記指示を受信すると前記エンジンの始動を禁止する、システム。
【請求項17】
請求項13から16の何れか一項に記載のシステムであって、
前記車両は、前記第2モードが選択された場合、前記指示を受信すると前記車両のシフトポジションをパーキングに固定する、システム。
【請求項18】
請求項13から17の何れか一項に記載のシステムであって、
前記車両は、前記第2モードが選択された場合、前記指示を受信し、且つ前記バッテリの残存容量が閾値未満になると、前記給電機能のモードを前記第2モードから前記第1モードに切り替える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法、情報処理装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両から外部機器に給電する技術が知られている。例えば特許文献1には、車両側から給電される電力を外部負荷へ給電する外部給電コネクタが係合可能なインレットを有する給電ポートが設けられた車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-211146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両から外部機器に給電する技術には改善の余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、車両から外部機器に給電する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る方法は、
情報処理装置が実行する方法であって、
エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備え、前記オルタネータ又は前記バッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有する車両の車両情報を取得すること、
前記給電機能のモードとして、前記オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又は前記オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、前記車両情報に基づいて選択すること、及び
選択されたモードで前記給電機能を有効化する指示を前記車両へ送信することを含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
通信部及び制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備え、前記オルタネータ又は前記バッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有する車両の車両情報を、前記通信部を介して取得し、
前記給電機能のモードとして、前記オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又は前記オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、前記車両情報に基づいて選択し、
選択されたモードで前記給電機能を有効化する指示を、前記通信部を介して前記車両へ送信する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るシステムは、
車両と、前記車両と通信する情報処理装置と、を備えるシステムであって、
前記車両は、エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備え、前記オルタネータ又は前記バッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有し、
前記情報処理装置は、
前記車両の車両情報を取得し、
前記給電機能のモードとして、前記オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又は前記オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、前記車両情報に基づいて選択し、
選択されたモードで前記給電機能を有効化する指示を前記車両へ送信し、
前記車両は、前記指示を受信すると、前記選択されたモードで前記給電機能を有効化する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、車両から外部機器に給電する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】車両の概略構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、車両10と、情報処理装置20と、を備える。車両10及び情報処理装置20は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク30と通信可能に接続される。システム1が備える車両10及び情報処理装置20それぞれの数は、任意に定められてもよい。
【0013】
車両10は、エンジン、オルタネータ、及びバッテリを備える自動車である。例えばガソリン自動車、ハイブリッド自動車(HV;Hybrid Vehicle)、又はプラグインハイブリッド自動車(PHV;Plug-in Hybrid Vehicle)等の自動車が車両10として採用可能であるが、車両10はこれらに限られない。
【0014】
本実施形態において車両10は、オルタネータ又はバッテリからの電力を家庭用電力に変換して外部機器に供給する機能(以下、「給電機能」ともいう。)を有する。家庭用電力は、例えば日本では、電圧が100Vであり、周波数が50Hz又は60Hzの交流電力である。しかしながら、家庭用電力の電圧及び周波数はこれに限られない。或いは、家庭用電力は直流電力であってもよい。
【0015】
情報処理装置20は、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、又はサーバ装置等のコンピュータである。情報処理装置20は、ネットワーク30を介して車両10と通信可能である。情報処理装置20は、例えば車両10の製造者又は販売者等の事業者によって使用されるコンピュータであってもよく、車両10の所有者によって使用されるコンピュータであってもよい。車両10は、例えば不特定の被災者に給電機能を提供するという災害支援目的での利用を所有者が承認した自動車として、情報処理装置20に予め登録されてもよい。
【0016】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置20は、オルタネータ又はバッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有する車両10の車両情報を取得する。情報処理装置20は、車両10の給電機能のモードとして、オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又はオルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、車両情報に基づいて選択する。そして情報処理装置20は、選択されたモードで給電機能を有効化する指示を車両10へ送信する。
【0017】
このように、本実施形態によれば、車両10の給電機能が、情報処理装置20によって選択された第1モード又は第2モードで有効化される。オルタネータからの電力の供給が許可される第1モードで給電機能が有効化される場合、車両10のエンジンの始動を許容する必要がある。一方、オルタネータからの電力の供給が禁止される第2モードで給電機能が有効化される場合、車両10のエンジンの始動を許容する必要が無い。したがって、例えば災害支援として車両10の給電機能を遠隔地から有効化し不特定の被災者に利用させることを想定した場合、第1モードで給電機能が有効化されると、バッテリに加えてオルタネータからの電力も外部機器に供給可能であるため、第2モードと比較して災害支援効果が向上し得る。一方、第2モードで給電機能が有効化されると、例えば車両10のエンジンの始動を禁止することにより、悪意を持った人物による車両10の盗難が発生する可能性が低減し得る。したがって、給電機能を有効化するに際し、災害支援効果を向上させ得る第1モードと、車両10の盗難が発生する可能性を低減し得る第2モードとを選択可能となる点で、車両10から外部機器に給電する技術が改善される。
【0018】
次に、システム1の各構成について詳細に説明する。
【0019】
(車両の構成)
図2に示すように、車両10は、電力供給部11と、通信部12と、測位部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。
【0020】
電力供給部11は、例えば車両10に搭載されたオルタネータ又はバッテリからの電力を家庭用電力に変換する変換器と、専用又は汎用の電源プラグを挿入可能なコンセントと、を含む。車両10が電力供給部11を備えることにより、家庭用電力を供給する給電機能が実現される。給電機能は、例えば所有者が車両10に対して所定の操作を実施することにより有効化されてもよい。本実施形態では、給電機能は、例えば災害時に情報処理装置20から車両10に送信される指示に基づいて、遠隔から有効化される。
【0021】
通信部12は、ネットワーク30に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、車両10は、通信部12及びネットワーク30を介して情報処理装置20と通信する。
【0022】
測位部13は、車両10の位置情報を取得する1つ以上の装置を含む。具体的には、測位部13は、例えばGPS(Global Positioning System)に対応する受信機を含むが、これに限られず任意の衛星測位システムに対応する受信機を含んでもよい。
【0023】
記憶部14は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部14に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部14は、車両10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部14は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部14に記憶された情報は、例えば通信部12を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0024】
制御部15は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部15は、車両10に設けられたECU(Electronic Control Unit)を含んでもよい。制御部15は、車両10全体の動作を制御する。
【0025】
(情報処理装置の構成)
図3に示すように、情報処理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0026】
通信部21は、ネットワーク30に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、情報処理装置20は、通信部21及びネットワーク30を介して車両10と通信する。なお、情報処理装置20は、通信部21及びネットワーク30を介して、例えば給電機能を有していない自動車等、本実施形態に係る車両10以外の車両と通信してもよい。
【0027】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含む。記憶部22に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、情報処理装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、及び地図情報等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0028】
制御部23は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部23は、情報処理装置20全体の動作を制御する。
【0029】
(情報処理装置の動作フロー)
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の動作について説明する。なお、システム1が複数の車両10を備える場合、ステップS101~S107の動作は車両10ごとに実行される。
【0030】
ステップS100:情報処理装置20の制御部23は、災害が発生したエリア(以下、「災害エリア」ともいう。)を示す災害情報を取得する。
【0031】
災害情報の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部23は、通信部21及びネットワーク30を介して外部サーバから災害情報を直接受信してもよく、或いは通信部21及びネットワーク30を介して取得される情報に基づいて災害エリアを推定することにより災害情報を取得してもよい。例えば、ネットワーク30に接続された災害検知センサからの信号、又はネットワーク30を介して提供されるSNS(Social Networking Service)の投稿メッセージ等の情報に基づいて災害エリアが推定され得るが、災害エリアの推定には任意の手法が採用可能である。
【0032】
ステップS101:制御部23は、車両10の車両情報を取得する。
【0033】
具体的には、制御部23は、通信部21及びネットワーク30を介して車両10から車両情報を取得する。車両情報は、車両10のバッテリの残存容量を示す情報を含む。バッテリの残存容量は、例えば車両10の制御部15によって推定されてもよい。バッテリの残存容量の推定には、例えばクーロンカウント法等、任意の手法が採用可能である。バッテリの残存容量の単位は、例えば百分率であってもよく、電力量であってもよい。また車両情報は、車両10の現在の駐車位置を示す位置情報を含み得る。しかしながら車両情報は、これらに限られず車両10に関する任意の情報を含んでもよい。
【0034】
ステップS102:制御部23は、車両情報に示される車両10の駐車位置が災害エリアに含まれるか否かを判定する。駐車位置が災害エリアに含まれると判定された場合(ステップS102-Yes)、プロセスはステップS103に進む。一方、駐車位置が災害エリアに含まれないと判定された場合(ステップS102-No)、プロセスは終了する。
【0035】
ステップS103:ステップS102で駐車位置が災害エリアに含まれると判定された場合(ステップS102-Yes)、制御部23は、車両10のバッテリの残存容量が閾値未満であるか否かを判定する。残存容量が閾値未満であると判定された場合(ステップS103-Yes)、プロセスはステップS104に進む。一方、残存容量が閾値以上であると判定された場合(ステップS103-No)、プロセスはステップS106に進む。
【0036】
具体的には、制御部23は、受信した車両情報に示される残存容量と閾値とを比較する。閾値は、予め定められた値(例えば、50%)であってもよく、或いはバッテリの状態(例えば、劣化度)に基づいて決定された値であってもよい。典型的には、バッテリの劣化度が高いほど(すなわち、バッテリが劣化しているほど)閾値が大きくなるように決定されるが、閾値の決定には当該例に限られず任意の手法が採用可能である。
【0037】
ステップS104:ステップS103で残存容量が閾値未満であると判定された場合(ステップS103-Yes)、制御部23は、車両10の給電機能のモードとして、オルタネータからの電力の供給を許可する第1モードを選択する。
【0038】
ステップS105:制御部23は、ステップS104で選択された第1モードで給電機能を有効化する指示を、通信部21及びネットワーク30を介して車両10へ送信する。その後、情報処理装置20側のプロセスは終了する。
【0039】
車両10の制御部15は、通信部12及びネットワーク30を介して当該指示を受信すると、給電機能を有効化する。具体的には、制御部15は、不特定のユーザ(例えば、被災者)が電力供給部11のコンセントにアクセス可能となるようにドア又はカバー等の施錠機構を解錠するとともに、給電機能が利用可能な状態となるように車両10を制御する。したがって、不特定のユーザは、車両10のドア又はカバーを開いて、所望の外部機器の電源プラグをコンセントに挿入することにより、車両10から電力の供給を受けることができる。
【0040】
ここでは第1モードで給電機能が有効化される。「第1モードで給電機能が有効化される」とは、車両10のオルタネータ及びバッテリの両方からの電力が外部機器に供給され得るように車両10が制御されることを指す。例えば制御部15は、バッテリの残存容量が所定の基準値になるまではバッテリからの電力を供給し、残存容量が当該基準値まで減少するとエンジンを始動してオルタネータからの電力を供給するように、車両10を制御してもよい。
【0041】
詳細には、「第1モードで給電機能を有効化する指示」は、エンジンの始動を許可する第1指示を含んでもよい。換言すると、情報処理装置20の制御部23は、給電機能を有効化する指示を送信する際に、車両10に対してエンジンの始動を明示的に許可してもよい。具体的には、車両10の制御部15は、情報処理装置20から受信した指示に第1指示が含まれる場合(すなわち、エンジンの始動の許可が明示されている場合)、受信した指示が第1モードで給電機能を有効化する指示であると判定して、第1モードで給電機能を有効化する。
【0042】
ステップS106:ステップS103で残存容量が閾値以上であると判定された場合(ステップS103-No)、制御部23は、車両10の給電機能のモードとして、オルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを選択する。
【0043】
ステップS107:制御部23は、ステップS106で選択された第2モードで給電機能を有効化する指示を、通信部21及びネットワーク30を介して車両10へ送信する。その後、情報処理装置20側のプロセスは終了する。
【0044】
車両10の制御部15は、通信部12及びネットワーク30を介して当該指示を受信すると、給電機能を有効化する。具体的には、制御部15は、不特定のユーザ(例えば、被災者)が電力供給部11のコンセントにアクセス可能となるようにドア又はカバー等の施錠機構を解錠するとともに、給電機能が利用可能な状態となるように車両10を制御する。したがって、不特定のユーザは、上述したステップS105と同様に、車両10のドア又はカバーを開いて、所望の外部機器の電源プラグをコンセントに挿入することにより、車両10から電力の供給を受けることができる。
【0045】
ここでは第2モードで給電機能が有効化される。「第2モードで給電機能が有効化される」とは、車両10のバッテリからの電力が外部機器に供給され得る一方、車両10のオルタネータからの電力は外部機器に供給されないように、車両10が制御されることを指す。具体的には、制御部15は、バッテリからの電力のみを供給可能となるように車両10を制御する。一方、制御部15は、上述したステップS105とは異なり、オルタネータからの電力を供給しないように車両10を制御する。例えば、制御部15は、例えばエンジンの回転力が車輪及びオルタネータに伝達しないように車両10を制御することによって、第2モードで給電機能を有効化してもよい。かかる場合、例えば不特定のユーザによってエンジンを始動する操作が行われても、車両10は移動せず、オルタネータによる発電も行われない。
【0046】
詳細には、「第2モードで給電機能を有効化する指示」は、エンジンの始動を禁止する第2指示を含んでもよい。換言すると、情報処理装置20の制御部23は、給電機能を有効化する指示を送信する際に、車両10に対してエンジンの始動を明示的に禁止してもよい。具体的には、車両10の制御部15は、情報処理装置20から受信した指示に第2指示が含まれる場合(すなわち、エンジンの始動の禁止が明示されている場合)、受信した指示が第2モードで給電機能を有効化する指示であると判定する。そして制御部15は、エンジンの始動を能動的に禁止するように車両10を制御したうえで、第2モードで給電機能を有効化する。かかる場合、制御部15は、例えば不特定のユーザによってエンジンを始動させる操作が行われてもエンジンを始動させない。
【0047】
また、「第2モードで給電機能を有効化する指示」は、車両10のシフトポジションをパーキングに固定する第3指示を含んでもよい。具体的には、車両10の制御部15は、情報処理装置20から受信した指示に第3指示が含まれる場合、受信した指示が第2モードで給電機能を有効化する指示であると判定する。そして制御部15は、シフトポジションをパーキングに固定するように車両10を制御したうえで、第2モードで給電機能を有効化する。シフトポジションの固定には、例えばシフトレバーをパーキング位置に物理的に固定する手法、又は、シフトレバーの実際の位置によらず、シフトポジションとしてパーキングを示す信号を出力する手法等が採用され得るが、これらに限られず任意の手法が採用可能である。かかる場合、例えば不特定のユーザによってエンジンを始動させる操作が行われても車両10が移動しない。
【0048】
また、「第2モードで給電機能を有効化する指示」は、車両10のバッテリの残存容量が閾値未満になると給電機能のモードを第2モードから第1モードに切り替える第4指示を含んでもよい。具体的には、車両10の制御部15は、情報処理装置20から受信した指示に第4指示が含まれる場合、受信した指示が第2モードで給電機能を有効化する指示であると判定する。制御部15は、第2モードで給電機能を有効化するとともに、バッテリの残存容量を監視する。そして制御部15は、バッテリの残存容量が閾値未満になると、給電機能のモードを第2モードから第1モードに切り替える。
【0049】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置20は、オルタネータ又はバッテリからの電力を外部機器に供給する給電機能を有する車両10の車両情報を取得する。情報処理装置20は、車両10の給電機能のモードとして、オルタネータからの電力の供給を許可する第1モード又はオルタネータからの電力の供給を禁止する第2モードを、車両情報に基づいて選択する。そして情報処理装置20は、選択されたモードで給電機能を有効化する指示を車両10へ送信する。
【0050】
かかる構成によれば、車両10の給電機能が、情報処理装置20によって選択された第1モード又は第2モードで有効化される。オルタネータからの電力の供給が許可される第1モードで給電機能が有効化される場合、車両10のエンジンの始動を許容する必要がある。一方、オルタネータからの電力の供給が禁止される第2モードで給電機能が有効化される場合、車両10のエンジンの始動を許容する必要が無い。したがって、例えば災害支援として車両10の給電機能を遠隔地から有効化し不特定の被災者に利用させることを想定した場合、第1モードで給電機能が有効化されると、バッテリに加えてオルタネータからの電力も外部機器に供給可能であるため、第2モードと比較して災害支援効果が向上し得る。一方、第2モードで給電機能が有効化されると、例えば車両10のエンジンの始動を禁止することにより、悪意を持った人物による車両10の盗難が発生する可能性が低減し得る。したがって、給電機能を有効化するに際し、災害支援効果を向上させ得る第1モードと、車両10の盗難が発生する可能性を低減し得る第2モードとを選択可能となる点で、車両10から外部機器に給電する技術が改善される。
【0051】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0052】
例えば、上述した実施形態において、情報処理装置20の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また例えば、情報処理装置20の一部又は全部の構成要素を車両10に設けた実施形態も可能である。
【0053】
また、上述した実施形態において、情報処理装置20の制御部23は、選択されたモードで給電機能を有効化する指示の送信後、災害エリアの災害復旧を示す情報を取得すると、給電機能を無効化する指示を車両10へ送信してもよい。
【0054】
具体的には、制御部23は、例えば通信部21及びネットワーク30を介して外部サーバから災害復旧を示す情報を直接受信してもよく、或いは通信部21及びネットワーク30を介して取得される情報に基づいて災害復旧を推定してもよい。例えば、ネットワーク30に接続された災害検知センサからの信号、又はネットワーク30を介して提供されるSNSの投稿メッセージ等の情報に基づいて災害復旧が推定され得るが、災害復旧の推定には任意の手法が採用可能である。そして制御部23は、災害復旧を示す情報を取得すると、通信部21及びネットワーク30を介して、給電機能を無効化する指示を車両10へ送信する。車両10の制御部15は、通信部12及びネットワーク30を介して当該指示を受信すると、給電機能を無効化する。具体的には、制御部15は、不特定のユーザが電力供給部11のコンセントにアクセスできないようにドア又はカバー等の施錠機構を施錠するとともに、給電機能の利用が禁止された状態となるように車両10を制御する。かかる構成によれば、例えば災害が復旧したにも関わらず、車両10の給電機能が不特定のユーザによって利用されてしまう等の不都合が発生する蓋然性が低減する。
【0055】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置20として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 システム
10 車両
11 電力供給部
12 通信部
13 測位部
14 記憶部
15 制御部
20 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 ネットワーク
図1
図2
図3
図4