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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】シート種類判別装置及びシート種類判別方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250527BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 386
B65H7/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021121321
(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公開番号】P2023017222
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄治
(72)【発明者】
【氏名】玉田 武司
(72)【発明者】
【氏名】江口 博
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-011997(JP,A)
【文献】特開2021-033214(JP,A)
【文献】特開2021-079659(JP,A)
【文献】特開2018-158791(JP,A)
【文献】特開2013-175851(JP,A)
【文献】特開2019-163118(JP,A)
【文献】特開2016-142806(JP,A)
【文献】特開2020-001353(JP,A)
【文献】特開2004-178093(JP,A)
【文献】特開2007-093896(JP,A)
【文献】特開2010-276854(JP,A)
【文献】特開2018-092114(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0269090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの物性値を検知する物性値検知部と、
前記物性値検知部が検知した前記シートの物性値と、前記物性値によって示される所定の条件とに基づいて、前記シートの種類を判別するシート種類判別部と、
前記シートの種類の情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記シートの種類と、前記シート種類判別部により判別された前記シートの種類とが異なる場合に、前記物性値検知部が検知した前記シートの第1の物性値と、前記入力部に入力された前記シートに対応付けられた第2の物性値との差分を算出し、該差分をシフト量として前記条件を補正する条件変更部と、を備え
前記条件は、前記シートの種類を区分する閾値であり、
前記物性値検知部は、検知した前記物性値を坪量に換算して出力し、
前記閾値は、前記シートの坪量の上限値及び下限値によって示され、
前記条件変更部は、前記第1の物性値を前記第2の物性値に一致させる方向に、前記シフト量の分だけ前記閾値を増減させることにより、前記閾値の補正を行い、
前記シート種類判別部が判別した前記シートの種類の情報を含む、複数のシートの種類の情報が、選択可能な形態で表示されたシート種類設定画面を表示部に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記入力部には、前記シート種類設定画面において選択された前記シートの種類が入力され、
前記閾値の上限値及び下限値は、前記シートのばらつき、又は、前記物性値検知部のばらつきを許容する値に設定され、
前記条件変更部は、前記閾値の上限値及び下限値により示される範囲を所定数に分割して得られる各ステップを変更の単位として、前記閾値を補正する
シート種類判別装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記シート種類設定画面において、前記シート種類判別部が判別した前記シートの種類を強調表示させる
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記シート種類設定画面に、前記物性値検知部で検知された前記シートの坪量、及び/又は、前記シフト量を表示させる
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記物性値検知部のばらつきを解消可能なキャリブレーションの実行後に前記物性値検知部によって検知された物性値に基づいて設定される
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項5】
前記条件変更部は、前記物性値検知部によって所定の複数回検知された前記シートの物性値の平均値、又は、複数回検知された前記シートの物性値に基づいて算出された標準偏差の情報に基づいて選択した物性値を用いて、前記閾値の補正を行う
請求項又はに記載のシート種類判別装置。
【請求項6】
前記条件変更部は、複数回検知された前記シートの物性値に基づいて算出された標準偏差の大きさに応じて、前記物性値検知部による前記シートの検知回数を増減させる制御を行う
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項7】
前記条件変更部による前記閾値の補正処理の実行中に印刷ジョブが入力された場合、前記シート種類判別部に対して、前記印刷ジョブに基づく前記シートの種類の判別を、前記条件変更部による補正が行われた後の閾値を用いて行うよう指示する制御部をさらに備える
請求項又はに記載のシート種類判別装置。
【請求項8】
前記条件変更部による前記閾値の補正処理の実行中に印刷ジョブが入力された場合であって、前記閾値の補正の対象となっている前記シートと同種類のシートであり、前記条件変更部による補正が完了している前記シートを格納した給紙トレイが存在する場合、前記シート種類判別部に対して、該給紙トレイから給紙した前記シートを対象としてシートの種類の判別を行うよう指示する制御部をさらに備える
請求項又はに記載のシート種類判別装置。
【請求項9】
前記シート種類設定画面に対する操作を行うユーザーの属性情報を検知する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記制御部によって検知された前記ユーザーの属性がオペレーターであった場合、前記ユーザーの操作に基づいて前記閾値が補正された旨を、保守担当者又はユーザー管理者に通知する制御を行う
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項10】
前記条件変更部による前記閾値の補正後に、前記補正後の前記閾値を用いた前記シートの種類の判別結果の是非の確認を目的とした、新たな前記シートの通紙を促す通知を行う制御部をさらに備える
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項11】
前記条件変更部が変更する前記条件は、前記物性値検知部による前記シートの検知条件である
請求項1に記載のシート種類判別装置。
【請求項12】
前記条件変更部が変更する前記条件は、前記物性値検知部が検知した前記物性値を前記坪量に換算する場合に用いられる第2の閾値である
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項13】
前記入力部は、音声を収音する音声入力部であり、前記シートの種類は音声によって入力される
請求項に記載のシート種類判別装置。
【請求項14】
シートの物性値を物性値検知部が検知する手順と、
検知した前記シートの物性値と、前記物性値によって示される所定の条件とに基づいて、前記シートの種類をシート種類判別部が判別する手順と、
前記シートの種類の情報が入力部に入力される手順と、
入力された前記シートの種類と、判別された前記シートの種類とが異なる場合に、検知した前記シートの第1の物性値と、入力された前記シートに対応付けられた第2の物性値との差分を算出し、該差分をシフト量として前記条件を条件変更部が補正する手順と、を含み、
前記条件は、前記シートの種類を区分する閾値であり、
前記物性値検知部は、検知した前記物性値を坪量に換算して出力し、
前記閾値は、前記シートの坪量の上限値及び下限値によって示され、
前記条件変更部は、前記第1の物性値を前記第2の物性値に一致させる方向に、前記シフト量の分だけ前記閾値を増減させることにより、前記閾値の補正を行い、
前記シート種類判別部が判別した前記シートの種類の情報を含む、複数のシートの種類の情報が、選択可能な形態で表示されたシート種類設定画面を表示部に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記入力部には、前記シート種類設定画面において選択された前記シートの種類が入力され、
前記閾値の上限値及び下限値は、前記シートのばらつき、又は、前記物性値検知部のばらつきを許容する値に設定され、
前記条件変更部は、前記閾値の上限値及び下限値により示される範囲を所定数に分割して得られる各ステップを変更の単位として、前記閾値を補正する
シート種類判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート種類判別装置及びシート種類判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートの坪量や紙種などを検出するメディアセンサーを備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、メディアセンサーによる検出結果と、予め設けられた紙種のデータベースとに基づいて、画像形成条件の調整(画像形成プロセスの制御)を行う。
【0003】
しかしながら、画像形成装置の製品開発段階において把握可能な紙種には限りがあるため、紙種のデータベースは、ユーザーによる画像形成装置の使用時において世界に流通しているすべての紙種の情報を網羅したものとはならない。よって、把握出来ない紙種データがある状態で行われる紙種判別の性能には限界があった。
【0004】
特許文献1には、用紙の搬送路に予め設けられたメディアセンサーの検出結果と、予め設けられた紙種検出テーブルとに基づいて、搬送される用紙の紙種を検出する紙種検出部と、検出された用紙の検出紙種が、設定条件で設定された用紙の設定紙種と一致するか否かを判定する紙種判定部と、ユーザーに対して用紙の紙種を選択可能な紙種選択画面を表示して、ユーザーから所定の紙種の選択を問い合わせる問い合わせ部と、選択された用紙の選択紙種が検出紙種と異なる場合に、紙種検出テーブルを検出紙種が選択紙種になるように補正するテーブル補正部と、を備える紙種検出装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-11997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術では、用紙の紙種を示す領域を区画する閾値の補正は、検出紙種に対応する反射率及び透過率の逆数の測定点(メディアセンサーの検出結果)を基準とする、例えば円等の一定範囲の領域を対象として行われる。
【0007】
そして、閾値の補正方法として、測定点を中心とした円の半径の変更や、測定点と最も近接した既存の閾値に対して下ろした垂線と交わる交点を中心とし、当該測定点と当該交点との距離に所定倍率を乗算した値を半径とした場合における、当該半径の半円の大きさの変更等の、様々な手法が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1には、これらの半円の大きさや、半円の半径を変更する場合における変更の倍率の適正値は示されておらず、「例えば、1.2倍、1.5倍等」のように、根拠が不明である値が例示されているのみである。したがって、半円の大きさが適正に設定されなかった場合には、紙種の判別精度が低下してしまう恐れがある。
【0009】
また、特許文献1には、測定点を中心とした円の大きさ、半径の倍率等の、閾値の補正量を、ユーザーが指定してもよい、との記載がある。しかしながら、ユーザーが適正な補正量を判断できない場合、ユーザーによって指定された補正量に基づいて閾値が補正されることにより、紙種検出の精度はより低下してしまうことが想定される。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、シートの種類の判別に用いられる条件を、より適切に補正できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一側面を反映したシート種類判別装置は、シートの物性値を検知する物性値検知部と、物性値検知部が検知したシートの物性値と、物性値によって示される所定の条件とに基づいて、シートの種類を判別するシート種類判別部と、シートの種類の情報が入力される入力部と、入力部に入力されたシートの種類と、シート種類判別部により判別されたシートの種類とが異なる場合に、物性値検知部が検知したシートの第1の物性値と、入力部に入力されたシートに対応付けられた第2の物性値との差分を算出し、該差分をシフト量として条件を補正する条件変更部と、を備える。条件は、シートの種類を区分する閾値であり、物性値検知部は、検知した物性値を坪量に換算して出力し、閾値は、シートの坪量の上限値及び下限値によって示され、条件変更部は、第1の物性値を第2の物性値に一致させる方向に、シフト量の分だけ閾値を増減させることにより、閾値の補正を行い、シート種類判別部が判別したシートの種類の情報を含む、複数のシートの種類の情報が、選択可能な形態で表示されたシート種類設定画面を表示部に表示させる表示制御部をさらに備え、入力部には、シート種類設定画面において選択されたシートの種類が入力され、閾値の上限値及び下限値は、シートのばらつき、又は、物性値検知部のばらつきを許容する値に設定され、条件変更部は、閾値の上限値及び下限値により示される範囲を所定数に分割して得られる各ステップを変更の単位として、閾値を補正する。
【0012】
また、本発明の一側面を反映したシート種類判別方法は、シートの物性値を物性値検知部が検知する手順と、検知したシートの物性値と、物性値によって示される所定の条件とに基づいて、シートの種類をシート種類判別部が判別する手順と、シートの種類の情報が入力部に入力される手順と、入力されたシートの種類と、判別されたシートの種類とが異なる場合に、検知したシートの第1の物性値と、入力されたシートに対応付けられた第2の物性値との差分を算出し、該差分をシフト量として条件を条件変更部が補正する手順と、を含む。条件は、シートの種類を区分する閾値であり、物性値検知部は、検知した物性値を坪量に換算して出力し、閾値は、シートの坪量の上限値及び下限値によって示され、条件変更部は、第1の物性値を第2の物性値に一致させる方向に、シフト量の分だけ閾値を増減させることにより、閾値の補正を行い、シート種類判別部が判別したシートの種類の情報を含む、複数のシートの種類の情報が、選択可能な形態で表示されたシート種類設定画面を表示部に表示させる表示制御部をさらに備え、入力部には、シート種類設定画面において選択されたシートの種類が入力され、閾値の上限値及び下限値は、シートのばらつき、又は、物性値検知部のばらつきを許容する値に設定され、条件変更部は、閾値の上限値及び下限値により示される範囲を所定数に分割して得られる各ステップを変更の単位として、閾値を補正する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シートの種類の判別に用いられる条件を、より適切に補正できるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置本体の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る坪量検知センサーの構成例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る閾値の構成例を示すグラフである。
図5】本発明の一実施形態に係るプ閾値テーブルの設定例を示す表である。
図6】本発明の一実施形態に係る図5に示した閾値テーブルに規定された各閾値を示すグラフである。
図7】本発明の一実施形態に係るシート種類設定画面の構成例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置によるシート種類判別処理の手順の例を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係るシート種類設定画面のスタートボタンが押下された場合における画像形成装置による画像形成処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素は、同一の符号を付し、構成要素の重複説明は省略する。
【0016】
<画像形成装置の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成例を示す図である。画像形成装置100(シート種類判別装置の一例)は、電子写真方式で画像形成を行う複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)である。なお、画像形成装置の画像形成方式は電子写真方式に限定されず、インクジェット方式等の他の方式であってもよい。また、画像形成装置100は、複合機ではなく、画像形成のみを行う装置であってもよい。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置本体1と、給紙キャビネット部2と、操作表示部3と、カバー部4と、を備える。
【0018】
画像形成装置本体1は、電源10と、制御部11と、給紙トレイ12-1及び12-2と、画像形成部20と、レジストローラー25と、坪量検知センサー26と、排紙トレイ27と、を備える。
【0019】
電源10は、画像形成装置100を構成する各部に電力を供給する。制御部11は、画像形成装置100を構成する各部の動作を制御する。給紙トレイ12-1及び12-2は、シート(用紙)が収容されるトレイである。本実施形態では、画像形成装置本体1の下部に、給紙トレイ12-3及び12-4を備える給紙キャビネット部2も設けられる。給紙トレイ12-1~12-4には、それぞれ紙種やサイズ等の異なるシートが収容される。以下の説明において、給紙トレイ12-1~12-4をそれぞれ区別する必要がない場合には、これらを給紙トレイ12と総称する。
【0020】
画像形成部20は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色のトナー画像を形成するためのイメージングユニット21Y,21M,21C及び21Kと、中間転写ユニット22と、2次転写ローラー23と、定着部24と、を備える。
【0021】
イメージングユニット21Yは、感光体ドラム211Yと、感光体ドラム211Yを中心として配置される帯電チャージャ、現像器(それぞれ、図中に円形で表示)と、を備える。イメージングユニット21Yは、不図示のレーザー走査光学ユニットから照射される光によって感光体ドラム211Y上に描画される静電潜像を、マイナスに帯電したトナーを現像器から感光体ドラムに移動させることにより現像し、イエローのトナー画像を形成する。
【0022】
なお、イメージングユニット21M,21C,21Kの構成は、イメージングユニット21Yと同一であるため、ここではこれらの構成についての説明は省略する。また、以下の説明において、感光体ドラム211Y,211M,211C及び211Kのそれぞれを区別する必要がない場合には、これらを感光体ドラム211と総称する。
【0023】
中間転写ユニット22は、回転駆動される中間転写ベルト221と、1次転写ローラー222Y,222M,222C,222Kと、を備える。以下の説明において、1次転写ローラー222Y,222M,222C及び222Kのそれぞれを区別する必要がない場合には、これらを1次転写ローラー222と総称する。
【0024】
中間転写ユニット22は、イメージングユニット21の各感光体ドラム211と対向する位置に配置された1次転写ローラー222から付与される電界により、各感光体ドラム211上に形成されたトナー画像を、中間転写ベルト221上に1次転写して合成する。合成された画像は、2次転写ローラー23にてシート(記録材の一例)に転写される。
【0025】
定着部24は、加熱ローラー241及び加圧ローラー242を備える。加熱ローラー241及び加圧ローラー242は当接してニップを形成する。加熱ローラー241は、不図示のIH(Induction Heating)やハロゲンヒータ(図示略)等により加熱される。加熱ローラー241は、加圧ローラー242の回転に従動して回転する。シートがニップに送り込まれると、シートは加熱ローラー241により加熱される。その結果、シートにトナーが定着する。また、定着部24は、例えばサーミスタである不図示の温度検出部を含む。トナーが定着したシートは、排紙トレイ27に排出される。
【0026】
レジストローラー25は、シートの搬送路Tpを搬送されるシートの上部及び下部に設けられたローラーである。レジストローラー25は、シートの上部に設けられたローラーと下部に設けられたローラーとのニップにシートの端部を当接させることにより、搬送路Tp上を搬送されるシートの斜行や回転などを補正する。搬送路Tpのシート搬送方向におけるレジストローラー25の上流には、坪量検知センサー26が設けられる。坪量検知センサー26(物性値検知部の一例)は、搬送路Tp上を搬送されるシートの坪量を検知する。坪量検知センサー26については、後述の図3を参照して詳述する。
【0027】
操作表示部3は、例えば、操作入力部(入力部の一例)としてのタッチセンサと、表示部としての表示パネルとが一体に形成されたタッチパネルで構成される。なお、操作入力部と表示部とは、例えば、マウスやキーボードと、表示パネル等のように、別々に構成されてもよい。操作表示部3には、後述の表示制御部16による制御に基づいて、シート種類設定画面Sc1(図7参照)を表示させる。
【0028】
シート種類設定画面Sc1は、シート種類判別部17によって判別されたシートの種類と、坪量検知センサー26によって検知された坪量から推定されるシートの種類とが、選択可能な形態でボタンとして表示される画面である。シート種類設定画面Sc1は、画像形成装置100のサービスマン(保守員)やユーザー管理者などのユーザーによって、シートの種類を学習する学習モードへの移行が指示された場合に、操作表示部3(図1参照)の表示部(又は不図示の端末装置の表示部等)に表示される。
【0029】
学習モードによるシート種類の学習は、例えば、給紙トレイ12に新たな種類のシートがセットされ、表示部に表示された不図示の学習モード開始ボタン等がユーザー押下された場合に行われる。シート種類設定画面Sc1については、後述の図7を参照して詳述する。
【0030】
カバー部4は、ADF(Auto Document Feeder)部41と、IR(Image Reader)ユニット部42と、を備える。ADF部41は、不図示の給紙部にセットされた原稿を読み込んで、不図示の原稿台に送る。IRユニット部42は、原稿給紙台上の原稿から画像を光学的に読み取り、読み取った画像をA/D変換して画像データ(スキャンデータ)を生成する。
【0031】
<画像形成装置本体の制御系の構成>
次に、図2を参照して、画像形成装置本体1の制御系の構成について説明する。図2は、画像形成装置本体1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、画像形成装置本体1は、制御部11と、記憶部13と、通信I/F(Interface)部14と、画像処理部15と、画像形成部20と、表示制御部16と、シート種類判別部17と、閾値補正部18と、を備える。
【0033】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)111と、RAM(Random Access Memory)112と、ROM(Read Only Memory)113と、を含む。CPU111は、ROM113に記憶されているシステムプログラムや画像形成プログラム、シート種類判別プログラムなどの各種プログラムを読み出してRAM112に展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置100の各部の動作を制御する。
【0034】
RAM112は、CPU111により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0035】
ROM113は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、画像形成装置100に対応するシステムプログラム、該システムプログラム上で実行可能なシート画像形成プログラム、種類判別プログラム等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU111は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM113は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0036】
記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。記憶部13には、印刷ジョブに含まれる原稿画像データや、閾値テーブルTなどが記憶される。閾値テーブルTは、シートの種類と、該シートの坪量の上限値及び下限値とが対応付けられたテーブルである。閾値テーブルTについては、後述の図4図6を参照して詳述する。なお、ROM113に記憶される各種プログラムは、記憶部13に記憶されてもよい。すなわち、記憶部13も、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0037】
通信I/F部14は、不図示のネットワークを介して接続される不図示の端末装置との間で行われる印刷ジョブ等の各種データの送受信動作を制御する。
【0038】
画像処理部15は、不図示の端末装置から送信された印刷ジョブに含まれる原稿画像データにRIP(Raster Image Processor)処理を施して印刷用画像データに変換する。そして、画像処理部15は、印刷ジョブに含まれる印刷設定の内容に基づいて、印刷用画像データに各種画像処理を施す。画像形成部20については、図1を参照して説明済みであるため、ここではその説明は省略する。
【0039】
表示制御部16は、操作表示部3(図1参照)の表示部に、シート種類設定画面Sc1(図7図8参照)等の各種画面を表示させる制御を行う。
【0040】
シート種類判別部17は、不図示のケーブル等を介して坪量検知センサー26と接続されており、坪量検知センサー26から送信されるシートの坪量に基づいて、閾値テーブルTを参照して、シートの種類を判別する。
【0041】
閾値補正部(条件変更部の一例)18は、シート種類設定画面Sc1(図7参照)を介してユーザー(サービスマン、ユーザー管理者等)によって選択されたボタンに対応付けられたシート種類が、シート種類判別部17によって判別されたシート種類と異なっていた場合、閾値の補正処理を行う。
【0042】
具体的には、閾値補正部18は、シート種類判別部17がシート種類の判別に用いた、坪量検知センサー26によって検知された坪量(第1の物性値の一例)と、ユーザーによって選択されたボタンに対応付けられたシート種類の坪量(第2の物性値の一例)との差分を算出する。そして、閾値補正部18は、算出した差分をシフト量として、坪量検知センサー26によって検知された坪量を、ユーザーによって選択されたボタンに対応付けられたシート種類の坪量に一致させる方向に、閾値テーブルT(図1参照)内の閾値を増減させることによって、閾値を補正する。
【0043】
なお、閾値補正部18は、閾値ではなく、坪量検知センサー26によるシートの検知(センシング)条件を変更してもよい。もしくは、閾値補正部18は、坪量検知センサー26が検知した透過光L3又は反射光L2(図3参照)を坪量に換算する場合に用いられる閾値(第2の閾値の一例)を変更してもよい。
【0044】
<坪量検知センサーの構成>
次に、図3を参照して、坪量検知センサー26の構成について説明する。図3は、坪量検知センサー26の構成例を示す図である。
【0045】
図3に示すように、坪量検知センサー26は、透過用光源261a及び261bと、反射光源用基準板262と、反射用光源263と、受光部264と、を備える。透過用光源261aは、例えば近赤外線を照射するLED(Light Emitting Diode)で構成され、透過用光源261bは、青色光を照射するLED等により構成される。受光部264は、受光素子としてのフォトダイオード264aを備える。
【0046】
反射光源用基準板262は、受光部264による測定値の補正を行う際に使用される板である。反射用光源263は、緑色光を照射するLED等により構成される。フォトダイオード264aは、透過用光源261a、261bから照射されて、搬送路Tp上を搬送されるシートを透過した透過光L3と、反射用光源263から照射された照射光L1がシート上で反射された反射光L2と、を受光する。そして、フォトダイオード264aは、受光した透過光L3の透過率(物性値の一例)、及び、受光した反射光L2の反射率(物性値の一例)を測定し、測定値をシート種類判別部17(図1参照)に出力する。
【0047】
なお、図3においては、透過用光源261a及び261bが下側、反射用光源263が上側に配置されているが、実際には、図1に示すように、縦方向に通紙するシートに対して透過用光源261a及び261bが右側、反射用光源263が左側に配置される。
【0048】
図1に示すように、坪量検知センサー26がレジストローラー25の上流側に配置されることにより、レジストローラー25のニップにシートの先端部が当接してシートの搬送が停止した状態で、坪量検知センサー26がシートの坪量を検出することができる。
【0049】
<閾値の構成>
次に、図4を参照して、閾値テーブルTに記載された閾値の構成について説明する。図4は、閾値の構成例を示すグラフである。
【0050】
図4に示すグラフの横軸は公称坪量(g/m)であり、縦軸は坪量検知センサー26によって検知される検知坪量(g/m)である。グラフに示される2本の太字実線の縦線のうち、左側の縦線は公称坪量下限値Thl1を示し、右側の縦線は公称坪量上限値Thu1を示す。一方、グラフに示される2本の太字実線の横線のうち、上側の縦線は検知坪量上限値Thu2を示し、下側の縦線は検知坪量下限値Thl2を示す。そして、公称坪量下限値Thl1、公称坪量上限値Thu1、検知坪量上限値Thu2及び検知坪量下限値Thl2の4つの実線に囲まれた矩形の領域が、この種類の用紙の判別に使用される閾値の範囲を示す。
【0051】
また、グラフに示される2本の破線の横線のうち、上側の破線は検知坪量可変上限値Thvuを示し、下側の破線は検知坪量可変下限値Thvlを示す。検知坪量上限値Thu2を補正する場合には、検知坪量可変上限値Thvuを最大値として増加させることが可能であり、検知坪量下限値Thl2を補正する場合には、検知坪量可変下限値Thvlを最小値として減少させることが可能である。
【0052】
なお、本実施形態では、検知坪量下限値Thl2及び検知坪量上限値Thu2は、それぞれ、シートの種類に応じた画像形成条件の切り替えが行われる際の、各種類のシートに対応する坪量区分の上限値及び下限値に対応した値に設定される。しかしながら、検知坪量下限値Thl2及び/又は検知坪量上限値Thu2は、ユーザーの業務形態等に合わせてユーザーが任意の値に設定してもよい。
【0053】
また、検知坪量下限値Thl2及び/又は検知坪量上限値Thu2には、画像形成装置100にシートを複数枚通紙させた場合における、坪量検知センサー26によるシートの坪量の検知結果の平均値が設定されてもよい。もしくは、坪量検知センサー26による複数回の検知結果を用いて標準偏差を算出した場合における、該標準偏差を考慮した値に設定されてもよい。例えば、坪量検知センサー26によって得られた複数個の検知結果のうち、標準偏差が低い検出結果を用いて、検知坪量下限値Thl2及び/又は検知坪量上限値Thu2が設定されてもよい。
【0054】
<閾値テーブルの設定例>
次に、図5を参照して、閾値テーブルTの設定例について説明する。図5は、閾値テーブルTの設定例を示す表である。
【0055】
図5の表の左側には、閾値可変範囲の下限値及び上限値と、シート種類とを示し、右側には、検知坪量の閾値範囲の下限値及び上限値を示す。図5には、国内(日本)仕向、米国(インチ)仕向、欧州仕向の各画像形成装置100に設定される閾値の例を示している。なお、図5には、日本、米国、欧州における閾値が閾値テーブルTにすべて表示されている例を示すが、実際には、画像形成装置100が出荷される国における閾値のみが表示されるものとする。
【0056】
例えば、図5に示す閾値テーブルTには、シート種類の「薄紙」に区分される検知坪量の下限値は、日本、米国、欧州のいずれにおいても“58.7(g/m)”であり、閾値可変範囲の下限値は“52(g/m)”、上限値は“59(g/m)”であることが示されている。
【0057】
また、シート種類の「普通紙」に区分される検知坪量の下限値は、日本、米国、欧州のいずれにおいても“58.8(g/m)”であることが示されている。閾値可変範囲の上限値は、日本及び欧州においては“96.2(g/m)”であり、米国においては“98.3(g/m)”であることが示されている。
【0058】
図6は、図5に示した閾値テーブルTに規定された各閾値を示すグラフである。図6Aは、日本仕向の画像形成装置100に適用される閾値の例を示すグラフであり、図6Bは、米国仕向の画像形成装置100に適用される閾値の例を示すグラフである。図6Cは、欧州仕向の画像形成装置100に適用される閾値の例を示すグラフである。
【0059】
図5の示した閾値テーブルTに示されていたように、検知坪量の閾値範囲は、日本仕向、米国仕向、欧州仕向のそれぞれにおいて異なるため、図6に示す、閾値範囲を示す矩形の幅や高さも、日本仕向、米国仕向、欧州仕向のそれぞれにおいて異なっていることが分かる。
【0060】
図5に戻って説明を続ける。図5に示す閾値テーブルTの検知坪量の下限値は、図4に示すグラフにおける検知坪量下限値Thl2であり、検知坪量の上限値は、図4に示すグラフにおける検知坪量上限値Thu2である。また、図5に示す閾値テーブルTにおける閾値可変範囲の下限値は、図4に示すグラフにおける検知坪量下限値Thl2であり、閾値可変範囲の上限値は、図4に示すグラフにおける検知坪量上限値Thu2である。
【0061】
例えば、日本仕向の画像形成装置100に通紙されたシートの種類が“普通紙”である場合、坪量検知センサー26によって検知される坪量は、検知坪量下限値Thl2の“58.8(g)”から、検知坪量上限値Thu2の“96.2(g/m)”までの範囲に収まることが想定される。しかしながら、坪量検知センサー26の検知結果が、“薄紙”に区分される閾値範囲内の値である“52(g/m)”であったとする。この場合、シート種類判別部17は、シートの種類は“薄紙”であると誤判定する。
【0062】
本実施形態では、このような場合、シート種類設定画面Sc1(図7参照)に、シート種類の判別結果は“薄紙”であったこと、及び、他のシート種類の選択肢を、ボタンによって示す。そして、ユーザーに対して、正しいシートの種類の入力を促す。
【0063】
<シート種類設定画面の構成>
次に、図7を参照して、シート種類設定画面Sc1の構成について説明する。図7は、シート種類設定画面Sc1の構成例を示す図である。図7Aは、シート種類判別部17によって判別されたシート種類を示すボタンが強調表示された、シート種類設定画面Sc1の構成例を示す図である。図7Bは、ユーザーによって選択されたシート種類のボタンが強調表示された、シート種類設定画面Sc1の構成例を示す図である。
【0064】
図7A及びBに示すように、シート種類設定画面Sc1は、紙種設定ボタン表示領域Ar1と、坪量検知結果表示領域Ar2と、坪量シフト量表示領域Ar3と、学習モードボタンBn1と、スタートボタンBn2と、ストップボタンBn3と、を有する。
【0065】
紙種設定ボタン表示領域Ar1には、種類の異なる様々な紙種(シート種類)の名称が示された複数のボタンが表示される。図7Aに示す例では、“Thin Paper”のボタンが強調表示されている。これは、シート種類判別部17によって判別されたシートの種類が薄紙(Thin Paper)であったことを示す。
【0066】
シートの種類の学習モードを実行しているユーザー(サービスマン、ユーザー管理者等)は、強調表示されたシート種類が、実際のシートの種類と異なっている場合、正しいシート種類が表示されたボタンを選択することができる。図7Bには、ユーザーによって “Plain Paper”のボタンが押下された状態が示されている。強調表示されたシート種類が、実際のシートの種類と一致している場合、ユーザーは、ボタンを選択し直さなくてもよい。
【0067】
坪量検知結果表示領域Ar2には、坪量検知センサー26(図3参照)によって検知された坪量(g/m)が表示される。ユーザーは、坪量検知センサー26に表示された坪量を判断材料として、シート種類判別部17による判別結果が正しいか否かを判断することができる。
【0068】
坪量シフト量表示領域Ar3には、判別結果のシート種類のシートの坪量と、ユーザーによって選択されたシート種類のシートの坪量との差分が、坪量シフト量として表示される。坪量シフト量表示領域Ar3への坪量シフト量は、学習モードボタンBn1の押下後に、閾値補正部18によって、シート種類判別部17による判別結果と、ユーザーによって選択されたボタンに対応するシート種類とが異なっていると判定された場合に表示される。
【0069】
なお、図7A及びBには、シート種類設定画面Sc1に坪量検知結果表示領域Ar2及び坪量シフト量表示領域Ar3が両方とも表示される表示される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。坪量検知結果表示領域Ar2及び坪量シフト量表示領域Ar3のいずれか一つが表示されてもよく、いずれも表示されなくてもよい。
【0070】
学習モードボタンBn1は、ユーザーによって押下された場合に、閾値補正部18による差分(シフト量)の算出及び補正処理を開始させるボタンである。
【0071】
スタートボタンBn2は、印刷ジョブを開始させるボタンである。ストップボタンBn3は、学習モードを終了させたり、スタートボタンBn2の押下に基づいて開始した印刷ジョブを停止させたりするボタンである。
【0072】
例えば、坪量検知センサー26によって坪量が“52(g/m)”と検知され、シート種類判別部17によって、シートの種類は“薄紙”であると判定されたとする。この場合、図7Aに示すように、薄紙を示す“Thin Paper”のボタンが強調表示される。しかしながら、実際のシートの種類は普通紙である場合、ユーザーは、図7Bに示すように、普通紙を示す“Plain Paper”のボタンを選択した上で、学習モードボタンBn1を押下する。
【0073】
これにより、閾値補正部18は、普通紙の検知坪量の下限値である“58.8(g/m)”(図5の国内仕向の閾値の下限値)と、検知閾値である“52(g/m)”との差分である“6.8(g/m)”を算出する。そして、閾値補正部18は、差分の“6.8(g/m)”をシフト量として“58.8(g/m)”から減算し、普通紙の検知坪量の下限値を、減算の結果得られた“52(g/m)”に補正する。この補正に基づき、薄紙の検知閾値の上限値は、“51.9(g/m)”に補正される。
【0074】
なお、本実施形態では、閾値補正部18が、坪量検知センサー26による検知坪量と、ユーザーによって選択されたシート種類に対応付けられた坪量との差分を用いて閾値を補正する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、閾値補正部18は、閾値の上限値及び下限値により示される範囲を所定数に分割して得られる各ステップを変更の単位として、閾値を補正してもよい。これにより、閾値補正部18による閾値補正処理をより簡易なものとすることができる。
【0075】
<シート種類判別方法>
次に、画像形成装置100によるシート種類判別方法について、図8を参照して説明する。図8は、画像形成装置100によるシート種類判別処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0076】
画像形成装置100によるシート判別処理は、新たに使用するシートを給紙トレイ12(図1参照)にセットしたユーザーによって、操作表示部3の画面に表示された不図示の学習モード開始ボタンが押下されたことを契機として開始する。
【0077】
まず、画像形成装置100の制御部11(図2参照)は、学習モード開始ボタンの押下を検知する(ステップS1)。次いで、表示制御部16は、操作表示部3にシート種類設定画面Sc1(図7参照)を表示させる(ステップS2)。次いで、制御部11は、給紙トレイ12からシートを給紙して、レジストローラー25の方向にシートの搬送を開始する制御を行う(ステップS3)。
【0078】
次いで、シートを検知した坪量検知センサー26は、シートの坪量を検知する(ステップS4)。次いで、シート種類判別部17は、坪量検知センサー26による検知坪量に基づいて、シートの種類を判別する(ステップS5)。次いで、表示制御部16は、シート種類設定画面Sc1の紙種設定ボタンにおいて、ステップS5でシート種類判別部17が判別した種類のボタンを強調表示する(ステップS6)。
【0079】
次いで、表示制御部16は、ステップS4で坪量検知センサー26が検知した坪量を、シート種類設定画面Sc1の坪量検知結果表示領域Ar2(図7参照)に表示させる(ステップS7)。次いで、制御部11は、ユーザーによって、シート種類設定画面Sc1の学習モードボタンBn1が押下されたか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8で学習モードボタンBn1は押下されていないと判定された場合(ステップS8がNO判定の場合)、制御部11は、ステップS8の判定を続ける。
【0080】
一方、ステップS8で、学習モードボタンBn1は押下されたと判定された場合(ステップS8がYES判定の場合)、閾値補正部18は、ユーザーによって選択されたシート種類と、シート種類判別部17が判別したシート種類とは一致しているか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9で、シート種類は一致していると判定された場合(ステップS9がYES判定の場合)、画像形成装置100によるシート種類判別処理は終了する。つまり、ユーザーによって選択されたシート種類と、シート種類判別部17が判別したシート種類とが一致していた場合、閾値補正部18による閾値補正処理は行われない。
【0081】
一方、ステップS9で、シート種類は一致していないと判定された場合(ステップS9がNO判定の場合)、閾値補正部18は、坪量検知センサー26による検知坪量と、ユーザーによって選択されたシート種類のシートの坪量との差分を算出する(ステップS10)。次いで、閾値補正部18は、算出した差分をシフト量としてシート種類判別用の閾値の補正を行い、補正後の閾値を記憶部13内の閾値テーブルT(図5参照)に保存する(ステップS11)。
【0082】
次いで、制御部11は、閾値が補正されたシート種類を、印刷(画像形成)対象のシートの種類として設定する(ステップS12)。ステップS12の処理後、画像形成装置100によるシート種類判別処理は終了する。
【0083】
図9は、シート種類設定画面Sc1のスタートボタンBn2が押下された場合における画像形成装置100による画像形成処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、画像形成装置100の制御部11(図2参照)は、図8に示したシート種類判別処理の判別結果に基づいて、プロセス制御(画像形成条件)の設定値を設定する(ステップS21)。つまり、“薄紙”、“普通紙”等のシート種類に応じた各種設定値が設定される。
【0085】
次いで、画像形成装置100の制御部11は、プロセス制御に基づく画像形成処動作を開始する(ステップS22)。次いで、画像が形成されたシートが排紙トレイ27(図1参照)から排出される(ステップS23)。ステップS23の処理後、画像形成装置100による画像形成処理は終了する。
【0086】
上述した実施形態では、閾値補正部18は、シート種類設定画面Sc1を介して入力されたシートの種類と、シート種類判別部17により判別されたシートの種類とが異なる場合に、坪量検知センサー26が検知した物性値と、入力されたシートに対応付けられた物性値との差分を算出し、該差分をシフト量として条件を補正する。したがって、本実施形態によれば、補正量をユーザーに指定させたりすることなく、シートの種類の判別に用いられる条件をより適切に補正できるようになる。
【0087】
<各種変形例>
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0088】
例えば、シート種類判別部17がシートの判別に用いる閾値は、シートのばらつき、及び/又は、坪量検知センサー26のばらつきを許容する値に設定されてもよい。このような処理が行われることにより、給紙トレイ12にセットされたシートのばらつきが大きい場合や、坪量検知センサー26のばらつきが大きい場合にも、シート種類判別部17がシート種類を適切に判別できるようになる。
【0089】
もしくは、閾値は、坪量検知センサー26のばらつきを解消可能なキャリブレーションの実行後に坪量検知センサー26が検知した検知坪量に基づいて設定してもよい。このような処理が行われることにより、坪量検知センサー26のばらつきが大きかった場合にも、シート種類判別部17がシート種類を適切に判別できるようになる。
【0090】
また、閾値補正部18は、坪量検知センサー26によって所定の複数回検知されたシートの坪量の平均値、及び/又は、複数回検知されたシートの物性値に基づいて算出された標準偏差の情報に基づいて選択した坪量を用いて、閾値の補正を行ってもよい。このような処理が行われることにより、給紙トレイ12にセットされたシートのばらつきが大きい場合や、坪量検知センサー26のばらつきが大きい場合にも、シート種類判別部17がシート種類を適切に判別できるようになる。
【0091】
標準偏差の情報を用いた閾値の補正を行う場合、閾値補正部18は、標準偏差の大きさに応じて坪量検知センサー26によるシートの坪量の検知回数を増減させる制御を行ってもよい。複数回検知されたシートの物性値に基づいて算出される標準偏差は、坪量検知センサー26によるシートの坪量の検知回数が多くなるほど小さくなる傾向にある。したがって、坪量検知センサー26によるシートの坪量の検知回数を増加させることにより、標準偏差を小さくすることができる。また、標準偏差が小さい場合には、坪量検知センサー26によるシートの坪量の検知回数を少なくする制御を行うことにより、シート種類の学習に要する時間や資源などを節減することが可能となる。
【0092】
また、閾値補正部18は、坪量検知センサー26による検知坪量が、標準偏差のはずれ値であった場合、はずれ値の坪量を用いた閾値の補正を行わなくてもよい。坪量検知センサー26による検知坪量が標準偏差のはずれ値となる場合、坪量検知センサー26の故障等も想定される。したがって、このような場合に、閾値を補正しない制御が行われてもよい。このとき、表示制御部16が、坪量検知センサー26による検知坪量が標準偏差のはずれ値となっていることや、学習モードの実行を中止すること、坪量検知センサー26の点検を促す通知などを、操作表示部3の画面や、不図示のスピーカー等を介してユーザーに通知してもよい。
【0093】
また、例えば、学習モードの実行中(閾値補正部18による閾値補正処理の実行中)に、印刷ジョブが入力された場合、制御部11は、シート種類判別部17に対して、印刷ジョブに基づくシートの種類の判別を、閾値補正部18による補正が行われた後の閾値を用いて行うように指示してもよい。このような制御が行われることにより、補正後の適正な閾値を用いたシートの判別結果に基づく、適切な画像形成を実現可能となる。
【0094】
また、制御部11は、学習モードの実行中(閾値補正部18による閾値補正処理の実行中)に、印刷ジョブが入力された場合であって、閾値の補正の対象となっているシートと同種類のシートであり、閾値補正部18による補正が完了しているシートを格納した給紙トレイ12が存在する場合、該給紙トレイ12から給紙したシートを対象として、シートの種類の判別を行ってもよい。このような制御が行われることにより、学習モードの実行中に印刷ジョブが入力された場合であっても、印刷ジョブを止めることなく印刷が実施されるため、ユーザーを待たせずに済む。
【0095】
また、制御部11は、シート種類設定画面Sc1に対する操作を行うユーザーの属性情報を検知し、検知したユーザーの属性がオペレーターであった場合に、オペレーターの操作に基づいて閾値の補正が実行された旨を、サービスマン又はユーザー管理者に通知する制御を行ってもよい。このような制御が行われることにより、例えば、オペレーターによって適切な処理が行われたか否かを、サービスマンやユーザー管理者などが判断できるようになる。
【0096】
また、制御部11は、閾値補正部18による閾値の補正後に、補正後の閾値を用いたシートの種類の判別結果の是非の確認を目的とした、新たなシートの通紙を促す通知を、操作表示部3の画面又は不図示のスピーカー等を介して、ユーザーに報知する制御を行ってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、シート種類設定画面Sc1に対するユーザーによる操作によって、正しいシートの種類が入力される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。正しいシートの種類は、ユーザーによって、不図示のマイクロフォンに対して音声で入力されてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態では、給紙トレイ12に終了されるシートが紙(用紙)である例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。シートは、紙以外の素材であってもよい。
【0099】
さらに、上述した実施形態では、シート種類判別装置を画像形成装置100に適用した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。本発明のシート種類判別装置は、画像形成を行わない端末装置やサーバーなどに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…画像形成装置本体、2…給紙キャビネット部、3…操作表示部、11…制御部、12…給紙トレイ、13…記憶部、16…表示制御部、17…シート種類判別部、18…閾値補正部、20…画像形成部、25…レジストローラー、26…坪量検知センサー、100…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9