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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/16 20060101AFI20250527BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
E03D11/16
E03D11/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021123350
(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公開番号】P2023018949
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 雄大
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博
(72)【発明者】
【氏名】吉坂 慶太
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-034078(JP,U)
【文献】実開平07-008474(JP,U)
【文献】特開2002-322720(JP,A)
【文献】特開2016-041879(JP,A)
【文献】特開2010-275807(JP,A)
【文献】特開2010-270469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0340156(US,A1)
【文献】実開昭62-099687(JP,U)
【文献】特開平05-302351(JP,A)
【文献】特表2015-518097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を受けるボウル部と、前記ボウル部の前方領域を覆うスカート部と、前記スカート部から連続するように設けられ床面に対して固定可能な台座部とを有する便器本体と、
前記ボウル部の汚物を排出可能なように前記ボウル部から後方へ延設され、前記ボウル部の底部と連通するとともに上方へ向かう上昇管と、前記上昇管と連通するとともに下方へ向かう下降管とを有するトラップ管路と
を備え、
前記便器本体は、
前記台座部の上面の前端縁部と前記スカート部の後面の下端縁部とを接続し、側面視において水平方向に延在する前記台座部の上面の前端縁部から鉛直方向に延在する前記スカート部の後面の下端縁部にかけて所定の曲率で連続的に変化している接続部を有し、
前記下降管は、前記台座部の前端縁部よりも後方に位置し、
前記接続部は、前記便器本体における外側から前記下降管の前方まで延在するように形成され、
前記接続部は、
前記便器本体における外側から内側にかけて、前記台座部の上面の前端縁部から前記スカート部の後面の下端縁部までの上下方向の寸法が小さくなること
を特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
前記所定の曲率は、
前記接続部が前記台座部の上面の前端縁部から前記スカート部の後面の下端縁部へ向かうにつれて曲率が変化するような複数の曲率を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
前記所定の曲率は、
前記便器本体における外側から内側にかけて、大きくなること
を特徴とする請求項1に記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ室の床面に設置される、いわゆる床置き式の水洗大便器には、便器本体において、汚物を受けるボウル部の前方領域を覆い、ボウル部の後方領域を開放している(ボウル部の後方領域を覆わない)スカート部を備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-134993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の水洗大便器において、便器本体を床面に固定するための台座部とスカート部との接続箇所には、便器の設置時(床面との当接時)や持ち上げ時、またはパブリック現場での乱雑な使用時などに大きな応力がかかってしまう。これにより、台座部とスカート部との接続箇所が破損することがあった。このように、従来の水洗大便器には、台座部とスカート部との接続箇所の強度を向上させる点について改善の余地があった。
【0005】
実施形態の一態様は、台座部とスカート部との接続箇所の強度を向上させることができる水洗大便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る水洗大便器は、汚物を受けるボウル部と、前記ボウル部の前方領域を覆うスカート部と、前記スカート部から連続するように設けられ床面に対して固定可能な台座部とを有する便器本体と、前記ボウル部の汚物を排出可能なように前記ボウル部から後方へ延設され、前記ボウル部の底部と連通するとともに上方へ向かう上昇管と、前記上昇管と連通するとともに下方へ向かう下降管とを有するトラップ管路とを備え、前記便器本体は、前記台座部と前記スカート部とを接続し、前記台座部から前記スカート部にかけて所定の曲率で連続的に変化している接続部を有する。
【0007】
このような構成によれば、台座部とスカート部とを接続する接続部が台座部からスカート部にかけて所定の曲率で連続的に変化しているため、床置き式の水洗大便器において、便器の設置時(床面との当接時)や持ち上げ時、またはパブリック現場での乱雑な使用時などにおいて大きな力となる台座部とスカート部との接続箇所(接続部)にかかる応力を分散させることができる。これにより、台座部とスカート部との接続箇所(接続部)の破損を抑制することができ、接続箇所(接続部)の強度を向上させることができる。
【0008】
また、上記した水洗大便器では、前記所定の曲率は、前記接続部が前記台座部から前記スカート部へ向かうにつれて曲率が変化するような複数の曲率を含む。
【0009】
このような構成によれば、接続部において、たとえば、応力が集中する箇所の曲率を小さくするなどすれば、より効果的に応力を分散させることができる。
【0010】
また、上記した水洗大便器では、前記下降管は、前記スカート部へ向かうように設けられ、前記接続部は、前記便器本体における外側から内側にかけて上下方向の寸法が小さくなる。
【0011】
このような構成によれば、上昇管から下方へ向かう下降管がスカート部へ向けて戻るような形状の場合において、ボウル部から後方へ延びているトラップ管路とスカート部との間を狭めることができるとともに、便器本体の外側部においては接続部を大きくすることができるため、水洗大便器の大型化を抑制することができる。これにより、水洗大便器の大型化を抑制しつつ、台座部とスカート部との接続箇所(接続部)の破損を抑制することができる。
【0012】
また、上記した水洗大便器では、前記下降管は、前記スカート部へ向かうように設けられ、前記接続部は、前記下降管へ近付くにつれて前記スカート部との間に入り込むように前記下降管の前方に位置する。
【0013】
このような構成によれば、上昇管から下方へ向かう下降管がスカート部へ向けて戻るような形状の場合において、下降管とスカート部との間を狭めることができるとともに、便器本体の外側部においては接続部を大きくすることができるため、水洗大便器の大型化を抑制することができる。これにより、水洗大便器の大型化を抑制しつつ、台座部とスカート部との接続箇所(接続部)の破損を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
実施形態の一態様によれば、台座部とスカート部との接続箇所の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る水洗大便器を示す斜視図(その1)である。
図2図2は、実施形態に係る水洗大便器を示す斜視図(その2)である。
図3図3は、実施形態に係る水洗大便器を示す側断面図である。
図4図4は、接続部を示す拡大斜視図である。
図5図5は、接続部の上下方向の寸法を示す図である。
図6図6は、接続部の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水洗大便器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
<水洗大便器の全体構成>
まず、図1~3を参照して実施形態に係る水洗大便器1の全体構成について説明する。図1および2はそれぞれ、実施形態に係る水洗大便器1を示す斜視図である。なお、図1には、実施形態に係る水洗大便器1を斜め前方から見た図を示し、図2には、実施形態に係る水洗大便器1を斜め後方から見た図を示している。図3は、実施形態に係る水洗大便器1を示す側断面図である。なお、図3は、図1におけるA-A線断面(左右方向の中央断面)図である。
【0018】
また、図1~3を含む各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を右方、X軸の負方向を左方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定している。このため、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
【0019】
図1および2に示すように、水洗大便器1は、トイレ室TRの床面FSに設置される床置き式のものである。なお、水洗大便器1は、たとえば、洗い落とし(ウォッシュダウン)式のものでもよいし、サイホン式のものでもよい。水洗大便器1は、たとえば、洗い落とし式の場合、給水源である貯水タンク(図示せず)に接続された給水配管(図示せず)から後述する便器本体2へと洗浄水が供給される。
【0020】
また、水洗大便器1は、全体として陶器製である。なお、水洗大便器1は、陶器製の他、樹脂製のものでもよいし、陶器と樹脂とを組み合わせて製造されたものでもよい。
【0021】
図1~3に示すように、水洗大便器1は、便器本体2と、トラップ管路3とを備える。便器本体2は、ボウル部21と、リム部22と、棚部23と、導水路24と、スカート部25と、台座部26と、接続部27とを備える。
【0022】
ボウル部21は、汚物を受ける部位であり、ボウル形状に形成される。ボウル部21の底部は、溜水部211となり、所定量の溜水を貯留している。溜水部211の下端部には、後述するトラップ管路3が接続される。
【0023】
リム部22は、ボウル部21の上縁部に配設され、ボウル部21の上縁部として全周にわたり環状に形成される。図3に示すように、リム部22の下部には棚部23が配設される。棚部23は、リム部22内部においてボウル部21の上縁部から外側へ延びる略平坦な面として形成されるとともに、ボウル部21の略全周にわたり環状に形成される。
【0024】
導水路24は、洗浄水の供給口241から前方へと延びており、リム部22のリム通水路221に接続される。導水路24は、便器本体2後部における左右方向の略中央に配置された供給口241付近からボウル部21へと延びている。
【0025】
なお、導水路24では、たとえば、洗浄水が良好に整流されるとともに洗浄水の指向性が高められ、導水路24からリム通水路221を周回する向きに整流された流れ、かつ、比較的水勢の強い状態の流れとなって、洗浄水が吐出される。
【0026】
また、導水路24は、たとえば、その一部がリム通水路221の合流部分の一部と平行になるように形成される。この場合、導水路24の出口、すなわち、洗浄水の吐水口(図示せず)付近においては、リム通水路221を周回する洗浄水の流れの向きと略一致するため、導水路24の出口(吐水口)からの洗浄水を、リム通水路221を略同一の旋回方向へ向けて水勢を保持した状態(流量および流速を略維持した状態)でリム通水路221を周回する流れとすることができる。
【0027】
図1および2に示すように、スカート部25は、ボウル部21の前方領域を覆うように配設される。スカート部25は、ボウル部21の前方領域において縦壁を形成している。スカート部25は、ボウル部21の前方領域のみに設けられ、ボウル部21の後方領域には設けられない。このため、ボウル部21は、その後方領域が開放されている。
【0028】
なお、ボウル部21の後方領域とは、側面視において後述するトラップ管路3が後述するスカート部25の後面部252に接続される位置よりも後方をいい、一方で、トラップ管路3がスカート部25の後面部252に接続される位置から前方を前方領域という。
【0029】
スカート部25は、側周面部251と、後面部252とを備える。側周面部251は、ボウル部21の前方領域において、ボウル部21を、左右いずれか一方の側部から、前部を経て、左右いずれか他方の側部にかけて覆う。後面部252は、ボウル部21の前方領域における後部を覆う。
【0030】
台座部26は、スカート部25の後方において、スカート部25から連続するように設けられる。台座部26は、スカート部25の後面部252に対して、たとえば、略直交する面となる上面261を備える。台座部26の上面261には、トラップ管路3が配設される。
【0031】
また、台座部26は、台座部26を上方方向に貫通する取付孔262を備える。台座部26は、取付孔262に取付具(図示せず)が取り付けられることで、床面FSに対して固定される。このように、台座部26が床面FSに固定されることで、水洗大便器1が床面FSに固定される。
【0032】
接続部27は、台座部26とスカート部25との接続箇所である。接続部27は、台座部26における上面261の前端縁部261a(図4参照)およびスカート部25における後面部252の下端縁部252a(図4参照)に沿って、左右方向に延在している。なお、接続部27の詳細については、図4などを用いて後述する。
【0033】
図1~3に示すように、トラップ管路3は、ボウル部21の汚物を排出可能なように、ボウル部21から後方へと延設された管路である。トラップ管路3は、上昇管31と、下降管32とを備える。
【0034】
上昇管31は、上流側の端部(前端部)がボウル部21の底部(溜水部211)に接続される。上昇管31は、ボウル部21の底部(溜水部211)と連通するとともに、後方へと向かうにつれて、上方へ向かう、すなわち、上昇するように傾斜した管路である。
【0035】
下降管32は、上流側の端部(前端部)が上昇管31の下流側の端部(後端部)に接続される。下降管32は、上昇管31の後端部と連通するとともに、下方へ向かう管路である。下降管32は、下降後または下降しながら前方へと戻るように形成された管路である。このため、下降管32は、下降部321と、前方傾斜部322とを備える。
【0036】
下降部321は、下降管32の上流側となり、下方へと延びている部位である。前方傾斜部322は、下降管32の下流側となり、下降部321の下流側となる下端部に接続され、前方へ向けて傾斜しつつ下方へと延びている部位である。このように、下降管32は、下降後、前方のスカート部25へ向かうように形成される。なお、下降管32は、下降しながら前方のスカート部25へ向かうように形成されてもよい。
【0037】
また、このように、下降管32が、前方のスカート部25へ向かうように、すなわち、前方へと戻るように形成されることで、水洗大便器1の前後方向の寸法を短縮することができる。これにより、水洗大便器1の小型化を図ることができる。
【0038】
前方傾斜部322の最下端部、すなわち、下降管32の最下端部は、水洗大便器1から洗浄水や汚物を排出する排出口33に接続される。なお、排出口33は、水洗大便器1の外部配管となる設備配管10に接続される。
【0039】
また、トラップ管路3は、板状の補強部材である、第1幕板34aと、第2幕板34bとを備える。第1幕板34aは、上昇管31と、下降管32(下降部321および前方傾斜部322)と、スカート部25の後面部252と、台座部26の上面261と、接続部27との間に配設される。
【0040】
第2幕板34bは、トラップ管路3(上昇管31および下降管32)の上部と、便器本体2のボウル部21の後方における下部との間に配設される。また、第2幕板34bは、部材に囲まれていない(開放されている)後端縁部が曲率変化している。このように、第2幕板34bの後端縁部が曲率変化していることで、たとえば、上下方向の力が加わった場合でも後端縁部にかかる応力を分散させることができ、強度の向上を図ることができる。
【0041】
なお、水洗大便器1においては、トラップ管路3の前方に、トラップ管路3(上昇管31)へ向けて洗浄水を噴射するゼット吐水口4を備える。図3に示すように、ゼット吐水口4は、ゼット導水路41の出口に形成され、ゼット導水路41の洗浄水を強力な水勢で噴射することで、サイホン作用を発生させる。
【0042】
<接続部>
次に、図4~6を参照して接続部27について説明する。図4は、接続部27を示す拡大斜視図である。図5は、接続部27の上下方向の寸法を示す図(模式図)である。
【0043】
上記したように、接続部27は、台座部26とスカート部25との接続箇所であり、台座部26における上面261の前端縁部261aおよびスカート部25における後面部252の下端縁部252aに沿って、左右方向に延在している。
【0044】
ここで、スカート部25がボウル部21の前方領域のみを覆う床置き式の水洗大便器1の場合、台座部26とスカート部25との接続箇所には、水洗大便器1の設置時(床面FSとの当接時)や持ち上げ時、またはパブリック現場での乱雑な使用時などに大きな応力がかかってしまう。たとえば、台座部26とスカート部25との接続箇所が角を形成していると、接続箇所に応力が集中して、接続箇所が破損することがある。
【0045】
このため、本実施形態では、台座部26とスカート部25との接続箇所(接続部27)において応力が集中しない構造としている。
【0046】
図4に示すように、接続部27は、台座部26における上面261の前端縁部261aからスカート部25における後面部252の下端縁部252aにかけて所定の曲率で連続的に変化(曲率変化)している。すなわち、接続部27は、側面視において所定の曲率でカーブするように形成される。
【0047】
所定の曲率とは、台座部26における上面261の前端縁部261aからスカート部25における後面部252の下端縁部252aにかけて、一定の曲率であってもよいし、不定の曲率であってもよい。
【0048】
不定の曲率の場合には、所定の曲率として、接続部27が上面261の前端縁部261aから後面部252の下端縁部252aへ向かうにつれて曲率が変化するような複数の曲率を含むこととなる。このように、所定の曲率が複数の曲率を含む場合、接続部27において、たとえば、応力が集中する箇所の曲率を小さくすることで、応力の均平化を図ることができる。
【0049】
また、図4に示すように、接続部27は、下降管32の下流側である前方傾斜部322へ近付くにつれて、スカート部25の後面部252との間に入り込むように、前方傾斜部322の前方に位置するように形成される。このように、接続部27が前方傾斜部322と後面部252との間に入り込むことで、下降管32(前方傾斜部322)とスカート部25(後面部252)との間の最短距離Dを短縮することができる。
【0050】
図5に示すように、接続部27は、便器本体2(図3など参照)における外側から内側にかけて上下方向の寸法が小さくなるように形成される。すなわち、接続部27は、便器本体2における外側から内側へ向かうにつれて、台座部26における上面261(図4参照)の前端縁部261aからスカート部25の後面部252の下端縁部252a(図4参照)までの距離が短くなるように形成される。
【0051】
なお、便器本体2の外側とは、平面視において便器本体2の中心から離れる方向(遠心方向)の側をいい、便器本体2の内側とは、平面視において便器本体2の中心へと向かう方向(求心方向)の側をいう。
【0052】
ここで、接続部27は、台座部26の上面261の前端縁部261aからスカート部25の後面部252の下端縁部252aにかけて、側面視において、たとえば、真円の円弧のように、一定の曲率で変化しているものであるが、上記したように、不定の曲率で変化してもよい。
【0053】
すなわち、接続部27は、台座部26における上面261の前端縁部261aからスカート部25における後面部252の下端縁部252aにかけて、側面視において、複数の任意の曲率で変化してもよい。この場合、接続部27は、台座部26における上面261の前端縁部261aから所定の第1位置までを第1曲率、第1位置から所定の第2位置までを第2曲率、第2位置から所定の第3位置までを第3曲率・・・のように、スカート部25における後面部252の下端縁部252aまで複数の曲率で変化している。
【0054】
以上説明したように、上記した実施形態によれば、台座部26とスカート部25とを接続する接続部27が台座部26からスカート部25にかけて所定の曲率で連続的に変化しているため、床置き式の水洗大便器1において、水洗大便器1の設置時(床面FSとの当接時)や持ち上げ時、またはパブリック現場での乱雑な使用時などにおいて大きな力となる台座部26とスカート部25との接続箇所(接続部27)にかかる応力を分散させることができる。これにより、台座部26とスカート部25との接続箇所(接続部27)の破損を抑制することができ、接続箇所(接続部27)の強度を向上させることができる。
【0055】
また、所定の曲率が複数の曲率を含むことで、接続部27において、たとえば、応力が集中する箇所の曲率を小さくするなどすれば、より効果的に応力を分散させることができる。
【0056】
また、接続部27が便器本体2における外側から内側にかけて上下方向の寸法が小さくなるように形成されることで、トラップ管路3の下降管32がスカート部25へ向けて戻るような形状の場合において、下降管32とスカート部25との間を狭めることができるとともに、便器本体2の外側部においては接続部27を大きくすることができるため、水洗大便器1の大型化を抑制することができる。これにより、水洗大便器1の大型化を抑制しつつ、台座部26とスカート部25との接続箇所(接続部27)の破損を抑制することができる。
【0057】
また、接続部27が下降管32(前方傾斜部322)へ近付くにつれてスカート部25との間に入り込むように下降管32(前方傾斜部322)の前方に位置するように形成されることで、トラップ管路3の下降管32がスカート部25へ向けて戻るような形状の場合において、下降管32とスカート部25との間を狭めることができるとともに、便器本体2の外側部においては接続部27を大きくすることができるため、水洗大便器1の大型化を抑制することができる。これにより、水洗大便器1の大型化を抑制しつつ、台座部26とスカート部25との接続箇所(接続部27)の破損を抑制することができる。
【0058】
なお、上記した実施形態では、接続部27が台座部26における上面261の前端縁部261aからスカート部25における後面部252の下端縁部252aにかけて、側面視において、一定または不定の曲率で変化しているが、接続部27が不定の曲率で変化している場合、図6に示すように、側面視において、たとえば、楕円の1/4円弧のように、曲率の最大値から最小値までを推移するように変化してもよい。
【0059】
また、この場合、図6に示すように、楕円の長軸が上下方向に沿った円弧のような曲率変化とすることで、下降管32(図4参照)とスカート部25の後面部252(図4参照)との間の最短距離D(図4参照)をさらに短縮することができる。これにより、水洗大便器1(図3など参照)のさらなる小型化を図ることができる。
【0060】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 水洗大便器
2 便器本体
3 トラップ管路
21 ボウル部
25 スカート部
26 台座部
27 接続部
31 上昇管
32 下降管
211 底部(溜水部)
FS 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6