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特許7687142発光装置、半導体構造体、薄膜層製造方法及び発光装置製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】発光装置、半導体構造体、薄膜層製造方法及び発光装置製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20250527BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 338
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021138382
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032326
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】小酒 達
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】十文字 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】松尾 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲橋▼ 千優
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】篠▲原▼ 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】飯野 皓宏
【審査官】武田 知晋
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108780826(CN,A)
【文献】特表2021-504753(JP,A)
【文献】国際公開第2020/263183(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/257680(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0118946(US,A1)
【文献】特許第4555880(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/33
H10H 20/857
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光素子が配置された第1の層と、
前記第1の層に積層され、前記第1の発光素子の発光面に直交する発光方向から見たとき、第1の発光素子の少なくとも一部に重なる第2の発光素子を含む第2の層と、
前記第1の層が積層され、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との発光を制御する制御基板と
を有し、
前記第1の層は、前記発光方向において前記第2の層と対向する第1の面から前記制御基板と対向する第2の面にかけて第1の開口が形成され、
前記第2の発光素子と前記制御基板とは、前記第1の開口を介して電気的に導通し、
前記第1の層に設けられ、前記第1の発光素子から第1の方向へ延び、前記第1の発光素子と前記制御基板とを電気的に導通させる第1の引出線と、
前記第2の層に設けられ、前記第2の発光素子から前記第1の開口へ向かって前記第1の方向とは異なる第2の方向へ延び、前記第1の開口を介し前記第2の発光素子と前記制御基板とを電気的に導通させる第2の引出線と
を有する発光装置。
【請求項2】
第1の発光素子が配置された第1の層と、
前記第1の層に積層され、前記第1の発光素子の発光面に直交する発光方向から見たとき、第1の発光素子の少なくとも一部に重なる第2の発光素子を含む第2の層と、
前記第2の層に積層され、前記発光方向から見たとき、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子の少なくとも一部に重なる第3の発光素子を含む第3の層と
前記第1の層が積層され、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子と前記第3の発光素子との発光を制御する制御基板と
を有し、
前記第1の層は、前記発光方向において前記第2の層と対向する第1の面から前記制御基板と対向する第2の面にかけて第1の開口が形成され、
前記第2の発光素子と前記制御基板とは、前記第1の開口を介して電気的に導通し、
前記制御基板は、
1つのピクセルに対して、前記第1の発光素子と導通する第1の接続パッドと、前記第2の発光素子と導通する第2の接続パッドと、前記第3の発光素子と導通する第3の接続パッドとが少なくとも配置されており、
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子及び前記第3の発光素子は、少なくとも前記第1の接続パッド、前記第2の接続パッド及び前記第3の接続パッドの外接矩形よりも内側に中心が配置されている
ことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記第2の層に積層され、前記発光方向から見たとき、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子の少なくとも一部に重なる第3の発光素子を含む第3の層をさらに有し、
前記制御基板は、
1つのピクセルに対して、前記第1の発光素子と導通する第1の接続パッドと、前記第2の発光素子と導通する第2の接続パッドと、前記第3の発光素子と導通する第3の接続パッドとが少なくとも配置されており、
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子及び前記第の発光素子は、少なくとも前記第1の接続パッド、前記第2の接続パッド及び前記第3の接続パッドの外接矩形よりも内側に中心が配置されている
請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の引出線は、前記第1の発光素子における一方の極性の端子と前記制御基板とを電気的に導通させ、
前記第2の引出線は、前記第2の発光素子における一方の極性の端子と前記制御基板とを電気的に導通させ、
前記第1の層に設けられ、前記第1の発光素子における他方の極性の端子から前記第1の方向及び前記第2の方向とは異なる第3の方向へ延びる第3の引出線と、
前記第2の層に設けられ、前記第2の発光素子における他方の極性の端子から前記第3の方向へ延び、前記第3の引出線と電気的に導通される第4の引出線と
をさらに有する請求項1又は請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の開口に、前記第2の発光素子と前記制御基板との導通を取る電極が配置され、
前記第1の面は、少なくとも、前記第1の発光素子を覆う第1の絶縁材料と、前記電極とで構成されており、
前記第2の面は、少なくとも、前記第1の発光素子が実装された第2の絶縁材料と前記電極とで構成されている
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1の面において、前記第1の絶縁材料と前記電極とは面一であり、
前記第2の面において、前記第2の絶縁材料と前記電極とは面一である
請求項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1の面及び前記第2の面における表面粗さは10[nm]以下である
請求項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記電極は、
第1の導通部材と第2の導通部材とが電気的に接続されることで構成されており、
前記第1の導通部材は、前記第1の面から露出する第1の露出面を有し、
前記第2の導通部材は、前記第2の面から露出する第2の露出面を有する
請求項5乃至請求項7の何れかに記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1の層は、
前記発光方向から見たときに前記第1の開口と異なる位置において、前記第1の発光素子と前記制御基板とを導通する導通部材
をさらに有する請求項1乃至請求項8の何れかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記制御基板は、
前記第1の発光素子と導通する第1の接続パッドと、
前記第2の発光素子と導通する第2の接続パッドと、
前記第1の接続パッド及び前記第2の接続パッドと接続されるトランジスタと
を少なくとも有する請求項1乃至請求項9の何れかに記載の発光装置。
【請求項11】
前記第2の層に積層され、前記発光方向から見たとき、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子の少なくとも一部に重なる第3の発光素子を含む第3の層
をさらに有し、
前記第1の層は、
前記発光方向から見て前記第1の開口と重ならない領域において、前記第1の面から前記第2の面にかけて第2の開口が形成され、
前記第2の層は
前記発光方向から見て前記第2の開口と重なる領域において、前記第1の層と対向する第3の面から前記第3の層と対向する第4の面にかけて第3の開口が形成され、
前記第3の発光素子と前記制御基板とは、前記第2の開口及び前記第3の開口を介して電気的に導通する
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、互いに異なる材料により形成されている
請求項1乃至請求項11の何れかに記載の発光装置。
【請求項13】
前記第1の発光素子又は前記第2の発光素子のうちの一方は、III-V族化合物半導体材料により形成されており、前記第1の発光素子又は前記第2の発光素子のうちの他方は、GaN系材料により形成されている
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、前記発光方向の厚さが3[μm]以下である
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の発光装置。
【請求項15】
基材と、
前記基材上に設けられ、第1の発光素子を含む第1の層と、
前記第1の層に積層され、積層方向から見たとき、前記第1の発光素子の少なくとも一部に重なる第2の発光素子を含む第2の層と
を有し、
前記第1の層は、
前記積層方向において前記第2の層と対向する第1の面から前記基材と対向する第2の面にかけて形成される開口と、
前記開口に設けられる第1の電極と
を有し、
前記第2の層は、
前記積層方向から見たときに前記第1の電極と重なる第2の電極
を有し、
前記第1の層に設けられ、前記第1の発光素子から第1の方向へ延びる第1の引出線と、
前記第2の層に設けられ、前記第2の発光素子から前記開口へ向かって前記第1の方向とは異なる第2の方向へ延びる第2の引出線と
を有する半導体構造体。
【請求項16】
基板上に第1の絶縁層を形成し、前記第1の絶縁層上に分子間力を利用して発光素子を形成し、前記第1の絶縁層に該第1の絶縁層を貫通する第1の絶縁層開口を形成し、前記第1の絶縁層と前記発光素子とを覆う第2の絶縁層を形成し、前記第2の絶縁層に前記第1の絶縁層開口に連通する第2の絶縁層開口を形成し、前記第1の絶縁層開口と前記第2の絶縁層開口とを導電材料で覆い、前記第2の絶縁層の表面を平坦化することで、第1の薄膜層と第2の薄膜層とを形成する薄膜層形成工程と、
前記薄膜層形成工程で形成した前記第1の薄膜層の前記第2の絶縁層の表面上に、前記薄膜層形成工程で形成した前記第2の薄膜層を、前記第1の薄膜層と前記第2の薄膜層とに形成された前記発光素子が重なるように配置し、前記第2の薄膜層の前記導電材料と前記第1の薄膜層の前記導電材料とを分子間力を利用して接合する接合工程と
を含む薄膜層製造方法。
【請求項17】
前記発光素子を形成する工程は、
前記第1の絶縁層上に発光層を有する半導体薄膜を分子間力で接合する工程と、
前記半導体薄膜をエッチングして前記発光素子にパターニングする工程と
を含む請求項16に記載の薄膜層製造方法。
【請求項18】
前記発光素子を形成する工程は、
前記第1の絶縁層上にパターニングされた前記発光素子を分子間力で接合する工程
を含む請求項16に記載の薄膜層製造方法。
【請求項19】
請求項1に記載の前記制御基板と前記第1の層とを分子間力により接合するステップと、
請求項1に記載の前記第1の層と前記第2の層とを分子間力により接合するステップと
を有する発光装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置、半導体構造体、薄膜層製造方法及び発光装置製造方法に関し、例えば半導体素子が回路基板に実装された発光装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板にマトリクス状に実装された複数の半導体素子を選択的に駆動して発光させることにより、画像を表示する発光装置が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4474441号公報
【文献】特許第4555880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光装置においては、より一層の高画質化が望まれている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、高画質化し得る発光装置、半導体構造体、薄膜層製造方法及び発光装置製造方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の発光装置においては、第1の発光素子が配置された第1の層と、第1の層に積層され、第1の発光素子の発光面に直交する発光方向から見たとき、第1の発光素子の少なくとも一部に重なる第2の発光素子を含む第2の層と、第1の層が積層され、第1の発光素子と第2の発光素子との発光を制御する制御基板とを設け、第1の層は、発光方向において第2の層と対向する第1の面から制御基板と対向する第2の面にかけて第1の開口が形成され、第2の発光素子と制御基板とは、第1の開口を介して電気的に導通し、第1の層に設けられ、第1の発光素子から第1の方向へ延び、第1の発光素子と制御基板とを電気的に導通させる第1の引出線と、第2の層に設けられ、第2の発光素子から第1の開口へ向かって第1の方向とは異なる第2の方向へ延び、第1の開口を介し第2の発光素子と制御基板とを電気的に導通させる第2の引出線とを設けるようにした。
【0007】
また本発明の半導体構造体においては、基材と、基材上に設けられ、第1の発光素子を含む第1の層と、第1の層に積層され、積層方向から見たとき、第1の発光素子の少なくとも一部に重なる第2の発光素子を含む第2の層とを設け、第1の層は、積層方向において第2の層と対向する第1の面から基材と対向する第2の面にかけて形成される開口と、開口に設けられる第1の電極とを有し、第2の層は、積層方向から見たときに第1の電極と重なる第2の電極を有し、第1の層に設けられ、第1の発光素子から第1の方向へ延びる第1の引出線と、第2の層に設けられ、第2の発光素子から開口へ向かって第1の方向とは異なる第2の方向へ延びる第2の引出線とを設けるようにした。
【0008】
さらに本発明の薄膜層製造方法においては、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に分子間力を利用して発光素子を形成し、第1の絶縁層に該第1の絶縁層を貫通する第1の絶縁層開口を形成し、第1の絶縁層と発光素子とを覆う第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層に第1の絶縁層開口に連通する第2の絶縁層開口を形成し、第1の絶縁層開口と第2の絶縁層開口とを導電材料で覆い、第2の絶縁層の表面を平坦化することで、第1の薄膜層と第2の薄膜層とを形成する薄膜層形成工程と、薄膜層形成工程で形成した第1の薄膜層の第2の絶縁層の表面上に、薄膜層形成工程で形成した第2の薄膜層を、第1の薄膜層と第2の薄膜層とに形成された発光素子が重なるように配置し、第2の薄膜層の導電材料と第1の薄膜層の導電材料とを分子間力を利用して接合する接合工程とを含むようにした。
【0009】
また本発明の発光装置製造方法においては、上述した制御基板と第1の層とを分子間力により接合するステップと、上述した第1の層と第2の層とを分子間力により接合するステップとを有するようにした。
【0010】
本発明は、制御基板との間に第1の層を挟んだ状態で、第1の発光素子と重複するように発光方向に積層された第2の発光素子が配置された第2の層における第2の発光素子の発光を、制御基板により制御できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高画質化し得る発光装置、半導体構造体、薄膜層製造方法及び発光装置製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】LEDディスプレイ装置の構成を示す斜視図である。
図2】LEDディスプレイ表示部の構成を示し、図1における数画素分のエリアであるA部の拡大平面図である。
図3】回路基板の構成を示し、図2から薄膜層群を除いた状態の拡大平面図である。
図4】画素部の構成を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図5】画素部の構成を示し、図2におけるB-B矢視断面図である。
図6】第1の薄膜層の構成を示す平面図である。
図7】第2の薄膜層の構成を示す平面図である。
図8】第3の薄膜層の構成を示す平面図である。
図9】第1の薄膜層の製造工程を示し、図6におけるC-C矢視断面図である。
図10】第2の薄膜層の製造工程を示し、図7におけるD-D矢視断面図である。
図11】第3の薄膜層の製造工程を示し、図8におけるE-E矢視断面図である。
図12】第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の製造工程を示す断面図である。
図13】第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の製造工程を示す断面図である。
図14】第3の実施の形態による半導体構造体の構成(1)を示す断面図である。
図15】第3の実施の形態による半導体構造体の構成(2)を示す断面図である。
図16】第3の実施の形態による半導体構造体の製造工程を示す断面図である。
図17】第4の実施の形態による半導体構造体の製造工程を示す断面図である。
図18】他の実施の形態による画素部の構成(1)を示す断面図である。
図19】他の実施の形態による画素部の構成(2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1及び図2に示すように、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2、放熱部材3、接続ケーブル4、接続端子部5及び駆動ドライバ6等を有している。LEDディスプレイ装置1は、マイクロLEDディスプレイとも呼ばれており、赤色、緑色及び青色でなる1組のLED素子を1つの画素と対応させたディスプレイデバイスとなっている。すなわち、LEDディスプレイ表示部2は、回路基板10上にマトリクス状に無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む素子をピクセル(1画素)として配列した表示装置である。回路基板10は、ピクセル内のLEDを選択的に駆動するために、配線層と、配線層に接続される駆動素子や駆動回路が配置されており、LEDとの電気的接続を行う基板である。以下では図1において紙面上で左から右へ向かう方向を+X方向とし、紙面上で右上から左下へ向かう方向を+Y方向とし、紙面上で下から上へ向かう方向を+Z方向とする。
【0015】
[1-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
LEDディスプレイ表示部2は、図4及び図5に示すように、平板状の回路基板10における+Z方向側の表面(以下ではこれを基板表面10Sとも呼ぶ)に設定された表示領域内に、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3つの薄膜層からなる薄膜層群18が積層された構成となっている。以下では、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bをまとめて、薄膜層20とも呼ぶ。それぞれの薄膜層20は、発光素子が格子状に並んだフィルム形状であり、そのフィルムサイズは、LEDディスプレイ表示部2のディスプレイサイズと同等となっている。このためLEDディスプレイ表示部2は、各薄膜層20のフィルムが、1画素毎に独立している訳ではなく、ディスプレイ全面のサイズとなっており、各薄膜層20の1枚のフィルムの範囲がディスプレイ全面の範囲を占めている。
【0016】
放熱部材3(図1)は、例えばアルミニウムのように比較的高い熱伝導性を有する金属材料により、全体として扁平な直方体状に構成されている。この放熱部材3は、LEDディスプレイ表示部2の-Z方向側、すなわち画像等を表示する面の反対側において、該LEDディスプレイ表示部2に当接するように設置されている。接続ケーブル4は、接続端子部5を介して所定の制御装置(図示せず)と電気的に接続されることにより、該制御装置から供給される画像信号を伝送して駆動ドライバ6に供給する。
【0017】
駆動ドライバ6は、例えば回路基板10の表面に実装されており、接続ケーブル4及びLEDディスプレイ表示部2とそれぞれ電気的に接続されている。この駆動ドライバ6は、例えば接続ケーブル4を介して供給される画像信号を基に赤色、緑色及び青色それぞれの駆動信号を生成し、これらの駆動信号に基づいた駆動電流をLEDディスプレイ表示部2に供給する。この結果、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2の表示領域に、制御装置(図示せず)等から供給される画像信号に基づいた画像を表示する。
【0018】
以下では、LEDディスプレイ表示部2における回路基板10及び薄膜層群18のうち、1画素分の領域である画素部8について説明する。また以下では、カソード端子に関わる部材の符号の末尾には「K」を付し、第1の薄膜層20Rの薄膜LED30Rに関わる部材の符号の末尾には「R」を付し、第2の薄膜層20Gの薄膜LED30Gに関わる部材の符号の末尾には「G」を付し、第3の薄膜層20Bの薄膜LED30Bに関わる部材の符号の末尾には「B」を付す。さらに以下では、薄膜LED30R、30G及び30Bの+Z方向側の面である上面(発光面)に直交する方向(すなわちZ方向)を、発光方向Deとも呼ぶ。さらに以下では、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bが積層される方向(すなわちZ方向)を、積層方向とも呼ぶ。さらに以下では、図4において紙面上で左右に沿う方向、すなわち、図2におけるA-A矢視断面に沿う方向をAA断面方向Daとも呼ぶ。また以下では、図5において紙面上で左右に沿う方向、すなわち、図2におけるB-B矢視断面に沿う方向をBB断面方向Dbとも呼ぶ。
【0019】
[1-3.回路基板の構成]
図3図4及び図5に示すように、回路基板10は、シリコンプロセスにより製造されたCMOS(Complementary MOS)バックプレーン回路基板である。回路基板10は、基材部10M、絶縁層11、接続パッド12(接続パッド12R、12G、12B及び12NC)、アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G、14B及び14NC)並びに配線層16を有している。
【0020】
基材部10Mは、シリコンウェハである。絶縁層11は、十分な絶縁性を備えており、配線層16を+Z方向側から覆うように配設されている。
【0021】
接続パッド12(接続パッド12R、12G、12B及び12NC)は、基板表面10Sにおいてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、接続パッド12R、12G、12B及び12NCをまとめて接続パッド12とも呼ぶ。この接続パッド12は、1画素に対応して、4個の接続パッド12R、12G、12B及び12NCにより、接続パッド組12Tが構成されている。接続パッド組12Tは、その中央部(すなわち画素エリアの中央)に、発光部24(図2)の中心である発光部中心24Cが位置するように配置されている。このため発光部中心24Cは、接続パッド12R、12G、12B及び12NCの外接矩形ERよりも内側に位置している。
【0022】
第1の接続パッドとしての接続パッド12Rは、導電性を有する材料でなり、+Z方向側から見た際に例えば正方形状であり、接続パッド組12Tのうちの-X+Y方向側に位置している。また接続パッド12Rは、垂直方向配線22R(すなわちアノードパッド44R)の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12RSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Rは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Rと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12RSが第1の薄膜層20Rにおけるアノードパッド44Rの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードパッド表面44RSとも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0023】
第2の接続パッドとしての接続パッド12Gは、接続パッド12Rと同様に構成されており、接続パッド組12Tのうちの+X+Y方向側に位置している。また接続パッド12Gは、垂直方向配線22Gにおけるアノードピラー42aGの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12GSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Gは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Gと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12GSが第1の薄膜層20Rにおけるアノードピラー42aGの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを第2の露出面としてのアノードピラー下面42aGS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0024】
第3の接続パッドとしての接続パッド12Bは、接続パッド12Rと同様に構成されており、接続パッド組12Tのうちの+X-Y方向側に位置している。また接続パッド12Bは、垂直方向配線22Bにおけるアノードピラー42aB1の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12BSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Bは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Bと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12BSが第1の薄膜層20Rにおけるアノードピラー42aB1の-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードピラー下面42aB1S2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0025】
接続パッド12NCは、接続パッド12Rと同様に構成されており、接続パッド組12Tのうちの-X-Y方向側に位置している。また接続パッド12NCは、垂直方向配線22Kにおけるカソードピラー40kRの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12NCの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12NCSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12NCは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14NCと電気的に接続されている。しかしながら接続パッド12NCは、接続パッド表面12NCSが第1の薄膜層20Rにおけるカソードピラー40kRの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをカソードピラー下面40kRS2とも呼ぶ)には接触しておらず、電気的に接続されていない。このように本実施の形態においては、接続パッド12R、12G及び12Bは使用されるものの、接続パッド12NCは使用されない。
【0026】
アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G、14B及び14NC)は、回路基板10内部においてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、アクティブ素子14R、14G、14B及び14NCをまとめてアクティブ素子14とも呼ぶ。
【0027】
アクティブ素子14Rは、2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとにより構成されており、接続パッド12Rの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。アクティブ素子14G、14B及び14NCは、アクティブ素子14Rと同様に構成されており、それぞれ接続パッド12G、12B及び12NCの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。
【0028】
配線層16内部の配線は、詳細には図示されないが、マトリクス状(すなわち格子状)に配置されており、アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G、14B及び14NC)並びに接続パッド12(12R、12G、12B及び12NC)と適宜電気的に接続されていると共に、駆動ドライバ6と電気的に接続されている。
【0029】
回路基板10は、基板表面10Sが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板10では、絶縁層11の上面である絶縁層表面11S、接続パッド表面12RS、接続パッド表面12GS、接続パッド表面12BS及び接続パッド表面12NCSが何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面12RS、接続パッド表面12GS、接続パッド表面12BS及び接続パッド表面12NCSは、それぞれ同一平面上に位置している。
【0030】
具体的に回路基板10では、基板表面10Sの表面粗さ、すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面12RS、接続パッド表面12GS、接続パッド表面12BS及び接続パッド表面12NCSにおける表面粗さ(ラフネス、表面最大段差とも呼ぶ)Rpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0031】
[1-4.薄膜層群の構成]
図4及び図5に示すように、薄膜層群18は、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3つの薄膜層20が、-Z方向から+Z方向へ向かって積層されている。薄膜層群18は、回路基板10上に分子間力により物理的に接合されると共に、該回路基板10と電気的にも接続されている。
【0032】
薄膜層群18には、LEDディスプレイ表示部2の領域内においてマトリクス状に配列された複数の画素(画素部8)が配置されている。画素部8は、主に、Z方向から見た際に、四隅に配置されアノードやカソードに対応した4つの垂直方向配線22(垂直方向配線22K、22R、22G及び22B)と、垂直方向配線22に囲まれ画素部8の中心に配置される1つの発光部24とにより構成されている。以下では、垂直方向配線22K、22R、22G及び22Bをまとめて、垂直方向配線22とも呼ぶ。
【0033】
垂直方向配線22Kは、導電性を有する材料でなり、カソードピラー40kB、40kG及び40kRにより構成されており、カソード共通配線17の-Z方向側においてZ方向に沿って延設されている。この垂直方向配線22Kは、+Z方向側の表面がカソード共通配線17の-Z方向側の表面に接続されている。
【0034】
垂直方向配線22Rは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド44Rにより構成されている。垂直方向配線22Gは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド44G及びアノードピラー42aGにより構成されている。垂直方向配線22Bは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド44B、アノードピラー42aB2及びアノードピラー42aB1により構成されている。
【0035】
発光部24は、薄膜LED30R、30G及び30BがZ方向(発光方向De)から見た際に重複することにより構成されている。本実施の形態においては、薄膜LED30R、30G及び30Bは、互いの中心が一致すると共に、外形の位置におけるX方向及びY方向の位置が一致するように、Z方向に重なっている。また、薄膜LED30R、30G及び30Bが、互いの中心が一致するようにZ方向に重なっていなくとも、Z方向から見た際に少なくとも一部分が重なっている場合、薄膜LED30R、30G及び30Bが重複しているとする。以下では、薄膜LED30R、30G及び30Bをまとめて、薄膜LED30とも呼ぶ。
【0036】
薄膜層群18における+Z方向側の面(すなわち第3の薄膜層20Bにおける+Z方向側の面)には、カソード共通配線17が設けられている。カソード共通配線17(図2図3)は、LEDディスプレイ表示部2の領域外においてX方向及びY方向に沿って直線状に配置されていると共に、X方向に並ぶ複数の発光部24からなる1列の発光部列と、該発光部列に対しY方向に隣接する発光部列との間において、X方向に沿って直線状に配置されている。またこのカソード共通配線17は、基板表面10Sまで延びていると共に、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子に終端している。
【0037】
[1-4-1.第1の薄膜層の構成]
図4図5及び図6に示すように、第1の薄膜層20Rは、下地透明絶縁材料26R、透明絶縁材料28R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36kR、層間絶縁膜38aR及び38kR、アノードピラー42aG及び42aB1、アノードパッド44R並びにカソードピラー40kRにより構成されている。
【0038】
第2の絶縁材料としての下地透明絶縁材料26Rは、例えば、SiO、SiNや透明ポリイミド等により構成されており、十分な絶縁性を備えている。この下地透明絶縁材料26Rは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板10における接続パッド12GとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料26Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面26RS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面26RS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料26RをZ方向(発光方向De)に貫通する第1の絶縁層開口としての下地透明絶縁材料開口48aGが形成されている。
【0039】
また下地透明絶縁材料26Rは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板10におけるそれぞれ接続パッド12B及び12RとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面26RS1から下地透明絶縁材料下面26RS2までに亘って下地透明絶縁材料26RをZ方向(発光方向De)に貫通する第1の絶縁層開口としての下地透明絶縁材料開口48aB1及び48Rがそれぞれ形成されている。
【0040】
薄膜LED30Rは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料28R内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Rの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Rは、例えばIII-V族化合物半導体材料により形成された、赤色の光を発する四元LEDである。アノード電極32Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0041】
引出配線36aR(図5)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Rにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド44Rとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aRは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aRは、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0042】
引出配線36kR(図4)は、引出配線36aR(図5)と同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Rにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー40kRとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38kRは、層間絶縁膜38aR(図5)と同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36kRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36kRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38kRは、引出配線36kRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0043】
上述したアノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36kR並びに層間絶縁膜38aR及び38kRは、薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0044】
アノードピラー42aG(図4)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12GとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Gの一部分を構成している。具体的にアノードピラー42aGは、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属46aPL1R上(+Z方向側)に該コンタクト金属46aPL1Rと一体化して形成されている。またアノードピラー42aGは、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属46aPL1R上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するアノードピラー42aB1及びカソードピラー40kRにおいても同様であり、アノードピラー42aB1(図5)は、コンタクト金属46aPL2R上(+Z方向側)に該コンタクト金属46aPL2Rと一体化して形成されている。カソードピラー40kR(図4)は、コンタクト金属46kR上(+Z方向側)に該コンタクト金属46kRと一体化して形成されている。このアノードピラー42aGは、+Z方向側の面(以下ではこれを第1の露出面としてのアノードピラー上面42aGS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Rから露出させている。またアノードピラー42aGは、-Z方向側の面(アノードピラー下面42aGS2)を、下地透明絶縁材料26Rから露出させている。
【0045】
アノードピラー42aB1(図5)は、アノードピラー42aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12BとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。このアノードピラー42aB1は、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面42aB1S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Rから露出させている。またアノードピラー42aB1は、-Z方向側の面(アノードピラー下面42aB1S2)を、下地透明絶縁材料26Rから露出させている。
【0046】
導通部材としてのアノードパッド44R(図5)は、アノードピラー42aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12RとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rを構成している。このアノードパッド44Rは、-Z方向側の面(アノードパッド表面44RS)を、下地透明絶縁材料26Rから露出させている。
【0047】
カソードピラー40kR(図4)は、アノードピラー42aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、下地透明絶縁材料26Rを間に挟んで回路基板10の接続パッド12NCとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Kの一部分を構成している。このカソードピラー40kRは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面40kRS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Rから露出させている。
【0048】
第1の絶縁材料としての透明絶縁材料28Rは、例えば、下地透明絶縁材料26Rと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料28Rは、アノードピラー42aG及び42aB1並びにカソードピラー40kRを除いた、下地透明絶縁材料26R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36kR、層間絶縁膜38aR及び38kR並びにアノードパッド44Rを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36kR、層間絶縁膜38aR及び38kR並びにアノードパッド44Rを、下地透明絶縁材料26Rとの間において内部に埋め込んでいる。
【0049】
この透明絶縁材料28R(図4)は、下地透明絶縁材料開口48aGの+Z方向側において、透明絶縁材料28Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面28RSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48aGの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28RをZ方向(発光方向De)に貫通する第2の絶縁層開口としての透明絶縁材料開口50aGが形成されている。
【0050】
また透明絶縁材料28R(図5)は、下地透明絶縁材料開口48aB1の+Z方向側において、透明絶縁材料表面28RSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48aB1の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28RをZ方向(発光方向De)に貫通する絶縁材料開口として透明絶縁材料開口50aB1が形成されている。
【0051】
さらに透明絶縁材料28R(図4)は、下地透明絶縁材料26Rを間に挟んで回路基板10における接続パッド12NCとZ方向に対向する箇所において、透明絶縁材料表面28RSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料上面26RS1)までに亘って透明絶縁材料28RをZ方向(発光方向De)に貫通する第2の絶縁層開口としての透明絶縁材料開口50kRが形成されている。
【0052】
このような下地透明絶縁材料開口48aGと透明絶縁材料開口50aGとにより第1の薄膜層開口52aGが形成されている。第1の薄膜層開口52aGは、第1の薄膜層20Rの+Z方向側の上面(以下ではこれを第1の薄膜層上面20RS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(第1の薄膜層下面20RS2)にかけて形成されており、内部にアノードピラー42aGが形成されている。また下地透明絶縁材料開口48aB1と透明絶縁材料開口50aB1とにより第1の薄膜層開口52aB1が形成されている。第1の薄膜層開口52aB1は、第1の薄膜層上面20RS1から第1の薄膜層下面20RS2にかけて形成されており、内部にアノードピラー42aB1が形成されている。
【0053】
また第1の薄膜層20Rは、第1の薄膜層上面20RS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層20Rでは、透明絶縁材料表面28RS、アノードピラー上面42aGS1及び42aB1S1並びにカソードピラー上面40kRS1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面28RS、アノードピラー上面42aGS1、アノードピラー上面42aB1S1及びカソードピラー上面40kRS1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0054】
具体的に第1の薄膜層20Rでは、第1の薄膜層上面20RS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面28RS、アノードピラー上面42aGS1、アノードピラー上面42aB1S1及びカソードピラー上面40kRS1における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0055】
さらに第1の薄膜層20Rは、第1の薄膜層下面20RS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層20Rでは、下地透明絶縁材料下面26RS2、アノードピラー下面42aGS2及び42aB1S2、アノードパッド表面44RS、及び引出配線36aRの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面26RS2、アノードピラー下面42aGS2、アノードピラー下面42aB1S2、アノードパッド表面44RS、及び引出配線36aRの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0056】
具体的に第1の薄膜層20Rでは、第1の薄膜層下面20RS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面26RS2、アノードピラー下面42aGS2、アノードピラー下面42aB1S2、アノードパッド表面44RS、及び引出配線36aRの下面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0057】
[1-4-2.第2の薄膜層の構成]
図4図5及び図7に示すように、第2の薄膜層20Gは、下地透明絶縁材料26G、透明絶縁材料28G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36kG、層間絶縁膜38aG及び38kG、アノードピラー42aB2、アノードパッド44G並びにカソードピラー40kGにより構成されている。
【0058】
下地透明絶縁材料26Gは、下地透明絶縁材料26Rと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料26Gは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層20Rにおけるそれぞれ第1の薄膜層開口52aG及び50kRとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料26Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面26GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面26GS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料26GをZ方向(発光方向De)に貫通する第1の絶縁層開口としての下地透明絶縁材料開口48G及び48kGがそれぞれ形成されている。
【0059】
また下地透明絶縁材料26Gは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層20Rにおける第1の薄膜層開口52aB1とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面26GS1から下地透明絶縁材料下面26GS2までに亘って下地透明絶縁材料26GをZ方向(発光方向De)に貫通する第1の絶縁層開口としての下地透明絶縁材料開口48aB2が形成されている。
【0060】
薄膜LED30Gは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料28G内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Gの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Gは、例えばGaN系材料により形成された、緑色の光を発するLEDである。アノード電極32Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側における+X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0061】
引出配線36aG(図4)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Gにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド44Gとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aGは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aGは、引出配線36aGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0062】
引出配線36kG(図4)は、引出配線36aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Gにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー40kGとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38kGは、層間絶縁膜38aGと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36kGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36kGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38kGは、引出配線36kGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0063】
上述したアノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36kG並びに層間絶縁膜38aG及び38kGは、薄膜LED30R及び30Gが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0064】
アノードピラー42aB2(図5)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層20Rのアノードピラー42aB1とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。具体的にアノードピラー42aB2は、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属46aPLG上(+Z方向側)に該コンタクト金属46aPLGと一体化して形成されている。またアノードピラー42aB2は、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属46aPLG上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するカソードピラー40kGにおいても同様であり、カソードピラー40kG(図4)は、コンタクト金属46kG上(+Z方向側)に該コンタクト金属46kGと一体化して形成されている。このアノードピラー42aB2は、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面42aB2S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Gから露出させている。またアノードピラー42aB2は、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー下面42aB2S2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0065】
アノードパッド44G(図4)は、アノードピラー42aB2と同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層20Rのアノードピラー42aGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Gの一部分を構成している。このアノードパッド44Gは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面44GSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0066】
カソードピラー40kG(図4)は、アノードピラー42aB2と同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層20Rのカソードピラー40kRとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Kの一部分を構成している。このカソードピラー40kGは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面40kGS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Gから露出させている。またカソードピラー40kGは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面40kGS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0067】
透明絶縁材料28Gは、例えば、下地透明絶縁材料26Gと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R及び30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料28Gは、アノードピラー42aB2及びカソードピラー40kGを除いた、下地透明絶縁材料26G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36kG、層間絶縁膜38aG及び38kG並びにアノードパッド44Gを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36kG、層間絶縁膜38aG及び38kG並びにアノードパッド44Gを、下地透明絶縁材料26Gとの間において内部に埋め込んでいる。
【0068】
この透明絶縁材料28G(図5)は、下地透明絶縁材料開口48aB2の+Z方向側において、透明絶縁材料28Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面28GSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48aB2の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28GをZ方向(発光方向De)に貫通する第2の絶縁層開口としての透明絶縁材料開口50aB2が形成されている。
【0069】
また透明絶縁材料28G(図4)は、下地透明絶縁材料開口48kGの+Z方向側において、透明絶縁材料表面28GSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48kGの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28GをZ方向(発光方向De)に貫通する第2の絶縁層開口としての透明絶縁材料開口50kGが形成されている。
【0070】
このような下地透明絶縁材料開口48aB2と透明絶縁材料開口50aB2とにより第2の薄膜層開口52aB2が形成されている。第2の薄膜層開口52aB2は、第2の薄膜層20Gの+Z方向側の上面(以下ではこれを第2の薄膜層上面20GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(以下ではこれを第2の薄膜層下面20GS2とも呼ぶ)にかけて形成されており、内部にアノードピラー42aB2が形成されている。また下地透明絶縁材料開口48kGと透明絶縁材料開口50kGとにより第2の薄膜層開口52kGが形成されている。第2の薄膜層開口52kGは、第2の薄膜層上面20GS1から第2の薄膜層下面20GS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー40kGが形成されている。
【0071】
また第2の薄膜層20Gは、第2の薄膜層上面20GS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層20Gでは、透明絶縁材料表面28GS、アノードピラー上面42aB2S1及びカソードピラー上面40kGS1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面28GS、アノードピラー上面42aB2S1及びカソードピラー上面40kGS1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0072】
具体的に第2の薄膜層20Gでは、第2の薄膜層上面20GS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面28GS、アノードピラー上面42aB2S1及びカソードピラー上面40kGS1における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0073】
さらに第2の薄膜層20Gは、第2の薄膜層下面20GS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層20Gでは、下地透明絶縁材料下面26GS2、アノードピラー下面42aB2S2、アノードパッド表面44GS、カソードピラー下面40kGS2、並びに、引出配線36aG及び36kGの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面26GS2、アノードピラー下面42aB2S2、アノードパッド表面44GS、カソードピラー下面40kGS2、並びに、引出配線36aG及び36kGの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0074】
具体的に第2の薄膜層20Gでは、第2の薄膜層下面20GS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面26GS2、アノードピラー下面42aB2S2、アノードパッド表面44GS、カソードピラー下面40kGS2、並びに、引出配線36aG及び36kGの下面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0075】
[1-4-3.第3の薄膜層の構成]
図4図5及び図8に示すように、第3の薄膜層20Bは、下地透明絶縁材料26B、透明絶縁材料28B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36kB、層間絶縁膜38aB及び38kB、アノードパッド44B並びにカソードピラー40kBにより構成されている。
【0076】
下地透明絶縁材料26Bは、下地透明絶縁材料26Rと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R及び30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料26Bは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層20Gにおける第2の薄膜層開口52kGとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料26Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面26BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面26BS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料26BをZ方向(発光方向De)に貫通する第1の絶縁層開口としての下地透明絶縁材料開口48kBが形成されている。
【0077】
また下地透明絶縁材料26Bは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層20Gにおける第2の薄膜層開口52aB2とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面26BS1から下地透明絶縁材料下面26BS2までに亘って下地透明絶縁材料26BをZ方向(発光方向De)に貫通する第1の絶縁層開口としての下地透明絶縁材料開口48Bが形成されている。
【0078】
第3の発光素子としての薄膜LED30Bは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料28B内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Bの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Bは、例えばGaN系材料により形成された、青色の光を発するLEDである。アノード電極32Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側における+X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0079】
引出配線36aB(図5)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Bにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド44Bとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aBは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aBは、引出配線36aBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0080】
引出配線36kB(図4)は、引出配線36aB(図5)と同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Bにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー40kBとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38kBは、層間絶縁膜38aBと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36kBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36kBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38kBは、引出配線36kBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0081】
上述したアノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36kB並びに層間絶縁膜38aB及び38kBは、薄膜LED30R、30G及び30Bが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0082】
アノードパッド44B(図5)は、金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第2の薄膜層20Gのアノードピラー42aB2とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。このアノードパッド44Bは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面44BSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Bから露出させている。
【0083】
カソードピラー40kB(図4)は、アノードパッド44Bと同様に導電性を有する材料により構成されており、第2の薄膜層20Gのカソードピラー40kGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Kの一部分を構成している。具体的にカソードピラー40kBは、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属46kB上(+Z方向側)に該コンタクト金属46kBと一体化して形成されている。またカソードピラー40kBは、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属46kB上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。このカソードピラー40kBは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面40kBS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Bから露出させている。またカソードピラー40kBは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面40kBS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Bから露出させている。
【0084】
透明絶縁材料28Bは、例えば、下地透明絶縁材料26Bと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R、30G及び30Bが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料28Bは、カソードピラー40kBを除いた、下地透明絶縁材料26B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36kB、層間絶縁膜38aB及び38kB並びにアノードパッド44Bを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36kB、層間絶縁膜38aB及び38kB並びにアノードパッド44Bを、下地透明絶縁材料26Bとの間において内部に埋め込んでいる。
【0085】
この透明絶縁材料28Bは、下地透明絶縁材料開口48kBの+Z方向側において、透明絶縁材料28Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面28BSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48kBの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28BをZ方向(発光方向De)に貫通する第2の絶縁層開口としての透明絶縁材料開口50kBが形成されている。
【0086】
このような下地透明絶縁材料開口48kBと透明絶縁材料開口50kBとにより第3の薄膜層開口52kBが形成されている。第3の薄膜層開口52kBは、第3の薄膜層20Bの+Z方向側の上面(以下ではこれを第3の薄膜層上面20BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(以下ではこれを第3の薄膜層下面20BS2とも呼ぶ)にかけて形成されており、内部にカソードピラー42kBが形成されている。このカソードピラー40kBは、+Z方向側端部が透明絶縁材料表面28BSよりも+Z方向側へ僅かに突出している。
【0087】
また第3の薄膜層20Bは、第3の薄膜層下面20BS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第3の薄膜層20Bでは、下地透明絶縁材料下面26BS2、アノードパッド表面44BS、カソードピラー下面40kBS2、並びに、引出配線36aB及び36kBの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面26BS2、アノードパッド表面44BS、カソードピラー下面40kBS2、並びに、引出配線36aB及び36kBの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0088】
具体的に第3の薄膜層20Bでは、第3の薄膜層下面20BS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面26BS2、アノードパッド表面44BS、カソードピラー下面40kBS2、並びに、引出配線36aB及び36kBの下面における表面粗さPpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0089】
ところで光は、一般的に自身より短い波長の光を発するLED材料の透過時に減衰しやすい。光は、赤色、緑色、青色の順に波長が短くなるため、LEDディスプレイ装置1は、画像を表示させる+Z方向側から見て奥側に減衰しにくい赤色の波長を発する薄膜LED30Rを配置し、-Z方向側から+Z方向側に向かって、順次、薄膜LED30G及び30Bを配置するようにした。また以下では、引出配線36kR、36aR、36kG、36aG、36kB及び36aBをまとめて、引出配線36とも呼ぶ。
【0090】
[1-5.薄膜層及び回路基板の接続関係]
[1-5-1.回路基板及び薄膜層の物理的接続関係]
回路基板10の基板表面10Sと、第1の薄膜層20Rの第1の薄膜層下面20RS2とは、分子間力により物理的に接合されている。また、第1の薄膜層20Rの第1の薄膜層上面20RS1と、第2の薄膜層20Gの第2の薄膜層下面20GS2とは、分子間力により物理的に接合されている。さらに、第2の薄膜層20Gの第2の薄膜層上面20GS1と、第3の薄膜層20Bの第3の薄膜層下面20BS2とは、分子間力により物理的に接合されている。
【0091】
このようにLEDディスプレイ表示部2においては、それぞれ、基板表面10Sと第1の薄膜層下面20RS2と、第1の薄膜層上面20RS1と第2の薄膜層下面20GS2と、第2の薄膜層上面20GS1と第3の薄膜層下面20BS2とが、金属接合ではなく、分子間力接合されている。
【0092】
[1-5-2.回路基板及び薄膜層の電気的接続関係]
接続パッド12R(図5)は、接続パッド表面12RSが第1の薄膜層20Rのアノードパッド44Rのアノードパッド表面44RSに分子間力により物理的に接合されており、導電経路Rraのように、アノードパッド44R及び引出配線36aRを介し薄膜LED30Rのアノード電極32Rに電気的に接続されている。
【0093】
接続パッド12G(図4)は、接続パッド表面12GSが第1の薄膜層20Rのアノードピラー42aGのアノードピラー下面42aGS2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aGは、アノードピラー上面42aGS1が第2の薄膜層20Gのアノードパッド44Gのアノードパッド表面44GSに分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド44Gは、引出配線36aGと物理的に接触している。このため接続パッド12Gは、導電経路Rgaのように、アノードピラー42aG、アノードパッド44G及び引出配線36aGを介し薄膜LED30Gのアノード電極32Gに電気的に接続されている。
【0094】
接続パッド12B(図5)は、接続パッド表面12BSが第1の薄膜層20Rのアノードピラー42aB1のアノードピラー下面42aB1S2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aB1は、アノードピラー上面42aB1S1が第2の薄膜層20Gのアノードピラー42aB2のアノードピラー下面42aB2S2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aB2は、アノードピラー上面42aB2S1が第3の薄膜層20Bのアノードパッド44Bのアノードパッド表面44BSに分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド44Bは、引出配線36aBと物理的に接触している。このため接続パッド12Gは、導電経路Rbaのように、アノードピラー42aB1、アノードピラー42aB2、アノードパッド44B及び引出配線36aBを介し薄膜LED30Bのアノード電極32Bに電気的に接続されている。
【0095】
カソードピラー40kR(図4)は、カソードピラー上面40kRS1が第2の薄膜層20Gのカソードピラー40kGのカソードピラー下面40kGS2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー40kGは、カソードピラー上面40kGS1が第3の薄膜層20Bのカソードピラー40kBのカソードピラー下面40kBS2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー40kBは、カソードピラー上面40kBS1がカソード共通配線17と物理的に接触している。
【0096】
またカソードピラー40kRは、引出配線36kRと物理的に接触している。このため、カソード電極34Rは、導電経路Rkのように、引出配線36kR、カソードピラー40kR、カソードピラー40kG及びカソードピラー40kBを介しカソード共通配線17と電気的に接続されている。
【0097】
さらにカソードピラー40kGは、引出配線36kGと物理的に接触している。このため、カソード電極34Gは、導電経路Rkのように、引出配線36kG、カソードピラー40kG及びカソードピラー40kBを介しカソード共通配線17と電気的に接続されている。
【0098】
さらにカソードピラー40kBは、引出配線36kBと物理的に接触している。このため、カソード電極34Bは、導電経路Rkのように、引出配線36kB及びカソードピラー40kBを介しカソード共通配線17と電気的に接続されている。カソード共通配線17は、他の画素部8のカソードピラー40kBにも電気的に接続されており、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子(コモン端子)にも接続されている。
【0099】
[1-6.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
次に、LEDディスプレイ装置1におけるLEDディスプレイ表示部2の製造方法の一例を、図9図10図11及び図12を用いて説明する。因みに、図9図10図11及び図12は、何れも+Z方向を上方向に向けた状態を表す模式的な断面図となっている。説明の都合上、ここでは、+Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0100】
[1-6-1.第1の薄膜層の製造方法]
まず、第1の薄膜層20Rの製造方法について、図9を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図9(A)に示すように、所定のLED成長基板62Rの上側、すなわち+Z方向側に、格子整合がされた犠牲層64Rを形成し、さらにその上側に薄膜LED層66Rを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板62RとしてGaAsが、犠牲層64RとしてAlを含むGaAs等の材料が一例として使用される。
【0101】
次に製造装置60は、図9(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層64Rをエッチングして除去することにより、薄膜LED層66RをLED成長基板62Rから分離する。分離した薄膜LED層66Rは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0102】
次に製造装置60は、図9(C)に示すように、第1の薄膜層20Rの形成基板68Rに、犠牲層70R及び下地透明絶縁材料26Rを順次製膜し、薄膜LED層66Rを分子間力により下地透明絶縁材料26Rに接合する。このとき、犠牲層70R及び下地透明絶縁材料26Rの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0103】
次に製造装置60は、図9(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層66Rをエッチングすることにより、薄膜LED30Rを形成すると共に、下地透明絶縁材料26Rの下地透明絶縁材料開口48aG、48aB1(図5)及び48R(図5)のパターニングを行う。
【0104】
次に製造装置60は、図9(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30R及び下地透明絶縁材料26Rの上に、アノード電極32R、カソード電極34R、層間絶縁膜38kR及び38aR(図5)、引出配線36kR及び36aR、コンタクト金属46aPL1R(第1の導通部材)、46kR、46aPL2R(図5)及び46aPDR(図5)を形成する。
【0105】
次に製造装置60は、図9(F)に示すように、透明絶縁材料28Rにより埋め込みを行い該透明絶縁材料28Rに透明絶縁材料開口50aG、50kR及び50aB1(図5)のパターニングを行った後に、スパッタリング、蒸着や無電解めっき等の手法により、透明絶縁材料開口50aG、50kR及び50aB1(図5)内のそれぞれに、バリア層54aPL1R、バリア層54kR及びバリア層(図示せず)を形成する。次に製造装置60は、スパッタリング、蒸着や無電解めっき等の手法により、透明絶縁材料開口50aG、50kR及び50aB1(図5)内のバリア層54aPL1R、バリア層54kR及びバリア層(図示せず)上のそれぞれに、シード金属56aPL1R、シード金属56kR及びシード金属(図示せず)を形成する。次に製造装置60は、めっき処理を行い、透明絶縁材料開口50aG、50kR及び50aB1(図5)内のシード金属56aPL1R、シード金属56kR及びシード金属(図示せず)上のそれぞれに、導電材料であるめっき部58aPL1R、めっき部58kR及びめっき部(図示せず)を成長させる。これにより製造装置60は、透明絶縁材料開口50aG、50kR及び50aB1(図5)から露出しているコンタクト金属46aPL1R、46kR及び46aPL2R(図5)上のそれぞれに、第2の導通部材としてのアノードピラー42aG、カソードピラー40kR及びアノードピラー42aB1(図5)を形成する。またコンタクト金属46aPDR(図5)は、アノードパッド44Rとなる。
【0106】
次に製造装置60は、図9(G)に示すように、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料28R、アノードピラー42aG、カソードピラー40kR及びアノードピラー42aB1(図5)の上面を平坦化することにより、アノードピラー42aG及び42aB1(図5)の上面にそれぞれアノードピラー上面42aGS1及び42aB1S1(図5)を、カソードピラー40kRの上面にカソードピラー上面40kRS1を、透明絶縁材料28Rの上面から露出するように形成する。
【0107】
[1-6-2.第2の薄膜層の製造方法]
次に、第2の薄膜層20Gの製造方法について、図10を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図10(A)に示すように、所定のLED成長基板62Gの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層66Gを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板62Gとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0108】
次に製造装置60は、図10(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層66GをLED成長基板62Gから分離する。分離した薄膜LED層66Gは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0109】
次に製造装置60は、図10(C)に示すように、第2の薄膜層20Gの形成基板68Gに、犠牲層70Gと第1の絶縁層としての下地透明絶縁材料26Gとを順次製膜し、薄膜LED層66Gを分子間力により下地透明絶縁材料26Gに接合する。このとき、犠牲層70G及び下地透明絶縁材料26Gの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0110】
次に製造装置60は、図10(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層66Gをエッチングすることにより、薄膜LED30Gを形成すると共に、下地透明絶縁材料26Gの下地透明絶縁材料開口48G、48kG及び48aB2(図5)のパターニングを行う。
【0111】
次に製造装置60は、図10(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30G及び下地透明絶縁材料26Gの上に、アノード電極32G、カソード電極34G、層間絶縁膜38kG及び38aG、引出配線36kG及び36aG、コンタクト金属46aPDG、導電材料としてのコンタクト金属46kG並びにコンタクト金属46aPLG(図5)を形成する。
【0112】
次に製造装置60は、図10(F)に示すように、第2の絶縁層としての透明絶縁材料28Gにより埋め込みを行い該透明絶縁材料28Gに透明絶縁材料開口50kG及び50aB2(図5)のパターニングを行った後に、スパッタリング、蒸着や無電解めっき等の手法により、透明絶縁材料開口50kG及び50aB2(図5)内のそれぞれに、バリア層54kG及びバリア層(図示せず)を形成する。次に製造装置60は、スパッタリング、蒸着や無電解めっき等の手法により、透明絶縁材料開口50kG及び50aB2(図5)内のバリア層54kG及びバリア層(図示せず)上のそれぞれに、シード金属56kG及びシード金属(図示せず)を形成する。次に製造装置60は、めっき処理を行い、透明絶縁材料開口50kG及び50aB2(図5)内のシード金属56kG及びシード金属(図示せず)上のそれぞれに、導電材料であるめっき部58kG及びめっき部(図示せず)を成長させる。これにより製造装置60は、透明絶縁材料開口50kG及び50aB2(図5)から露出しているコンタクト金属46kG及び46aPLG(図5)上のそれぞれに、カソードピラー40kG(導電材料)及びアノードピラー42aB2(図5)を形成する。またコンタクト金属46aPDG(図4)は、アノードパッド44Gとなる。
【0113】
次に製造装置60は、図10(G)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料28G、カソードピラー40kG及びアノードピラー42aB2(図5)の上面を平坦化することにより、カソードピラー40kGの上面にカソードピラー上面40kGS1を、アノードピラー42aB2の上面にアノードピラー上面42aB2S1(図5)を、透明絶縁材料28Gの上面から露出するように形成する。
【0114】
[1-6-3.第3の薄膜層の製造方法]
次に、第3の薄膜層20Bの製造方法について、図11を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図11(A)に示すように、所定のLED成長基板62Bの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層66Bを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板62Bとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0115】
次に製造装置60は、図11(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層66BをLED成長基板62Bから分離する。分離した薄膜LED層66Bは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0116】
次に製造装置60は、図11(C)に示すように、第3の薄膜層20Bの形成基板68Bに、犠牲層70G及び下地透明絶縁材料26Bを順次製膜し、薄膜LED層66Bを分子間力により下地透明絶縁材料26Bに接合する。このとき、犠牲層70B及び下地透明絶縁材料26Bの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0117】
次に製造装置60は、図11(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層66Bをエッチングすることにより、薄膜LED30Bを形成すると共に、下地透明絶縁材料26Bの下地透明絶縁材料開口48kB及び48B(図5)のパターニングを行う。
【0118】
次に製造装置60は、図11(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30B及び下地透明絶縁材料26Bの上に、アノード電極32B、カソード電極34B、層間絶縁膜38kB及び38aB(図5)、引出配線36kB及び36aB、コンタクト金属46kB並びに46aPDB(図5)を形成する。
【0119】
次に製造装置60は、図11(F)に示すように、透明絶縁材料28Bにより埋め込みを行い該透明絶縁材料28Bに透明絶縁材料開口50kBのパターニングを行った後に、スパッタリング、蒸着や無電解めっき等の手法により、透明絶縁材料開口50kB内にバリア層54kBを形成する。次に製造装置60は、スパッタリング、蒸着や無電解めっき等の手法により、透明絶縁材料開口50kB内のバリア層54kB上にシード金属56kBを形成する。次に製造装置60は、めっき処理を行い、透明絶縁材料開口50kB内のシード金属56kB上に導電材料であるめっき部58kBを成長させる。これにより製造装置60は、透明絶縁材料開口50kBから露出しているコンタクト金属46kB上にカソードピラー40kBを形成する。またコンタクト金属46aPDB(図5)は、アノードパッド44Bとなる。最後に製造装置60は、図11(G)に示すように、透明絶縁材料28Bの上面にカソード共通配線17を形成する。
【0120】
[1-6-4.積層接合の工程]
次に、上述した製造方法により製造された第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを、回路基板10に積層させる積層接合の工程について、図12を参照しながら説明する。
【0121】
まず製造装置60は、図12(A)に示すように、エッチング処理により犠牲層70R(図9)をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層20Rを形成基板68Rから分離する。これにより、アノードピラー下面42aGS2、アノードピラー下面42aB1S2(図5)及びアノードパッド表面44RS(図5)が、下地透明絶縁材料26Rの下面(-Z方向側の面)から露出する。これらアノードピラー下面42aGS2、アノードピラー下面42aB1S2(図5)及びアノードパッド表面44RSは、犠牲層70R(図9)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第1の薄膜層20Rを公知のボンディング方法により、回路基板10の上面に分子間力により接合する。
【0122】
次に製造装置60は、図12(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層70G(図10)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層20Gを形成基板68Gから分離する。これにより、カソードピラー下面40kGS2、アノードパッド表面44GS及びアノードピラー下面42aB2S2(図5)が、下地透明絶縁材料26Gの下面(-Z方向側の面)から露出する。これらカソードピラー下面40kGS2、アノードパッド表面44GS及びアノードピラー下面42aB2S2(図5)は、犠牲層70G(図10)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第2の薄膜層20Gを公知のボンディング方法により、図12(A)で回路基板10に接合させた第1の薄膜層20Rの上面に分子間力により接合する。
【0123】
次に製造装置60は、図12(C)に示すように、エッチング処理により犠牲層70B(図11)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層20Bを形成基板68Bから分離する。これにより、カソードピラー下面40kBS2及びアノードパッド表面44BS(図5)が、下地透明絶縁材料26Bの下面(-Z方向側の面)から露出する。これらカソードピラー下面40kBS2及びアノードパッド表面44BS(図5)は、犠牲層70B(図11)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第3の薄膜層20Bを公知のボンディング方法により、図12(B)で第1の薄膜層20Rに接合させた第2の薄膜層20Gの上面に分子間力により接合する。
【0124】
[1-7.動作]
かかる構成において、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2を駆動する際、図示しない外部回路から接続端子部5を介し駆動ドライバ6に電源、クロック信号及び画像データ等が入力される。続いてLEDディスプレイ装置1は、駆動ドライバ6から回路基板10の配線層16に、アクティブ素子14R、14G及び14Bのオンオフ信号及び駆動電流を選択的に供給する。供給された駆動電流は、接続パッド12を介し、垂直方向配線22R、22G及び22Bと、各薄膜層(第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20B)内の引出配線36とを通過し、薄膜LED30R、30G及び30Bに、アクティブ素子14R、14G及び14Bのオンオフに応じて供給される。これによりLEDディスプレイ表示部2が発光する。
【0125】
[1-8.パッシブマトリクス方式とアクティブマトリクス方式との違い]
LEDディスプレイ装置の駆動方式は、パッシブマトリクス方式とアクティブマトリクス方式との二つに大別される。
【0126】
パッシブマトリクス方式は、縦列配線(信号入力電極)と横列配線(走査電極)とのマトリクス配線の交点における画素のみを点灯させる方式である。パッシブマトリクス方式のLEDディスプレイ装置は、走査電極をスキャンすることで、時分割で1ラインずつ発光を制御する。
【0127】
一方、アクティブマトリクス方式は、LEDディスプレイ表示部の各画素にトランジスタとコンデンサとを含むスイッチング素子(アクティブ素子とも呼ぶ)を配置し、トランジスタのゲート電圧を印加することで画素をオン、オフ制御する方式である。オンになった画素は、アクティブ素子のコンデンサに蓄電されており、走査電極で選択されていない状態でも発光のオン状態を保つことができる。アクティブマトリクス方式はパッシブマトリクス方式に比べレスポンス時間が短く、発色が鮮明で素子が長寿命になるといったメリットがあり、日常に使われるディスプレイの多くに採用されている。アクティブマトリクス方式のLEDディスプレイ装置は、1つの副画素(サブピクセル)に対し1つのアクティブ素子を発光素子の端子に接続する。したがって、回路基板上にアクティブ素子をマトリクス状に配置し、それぞれのアクティブマトリクス素子上に発光素子を接合及び形成することが一般的である。
【0128】
特許文献1に記載の表示装置は、赤、緑及び青の3色の副画素が垂直方向(発光方向)に重なり合ったフルカラー表示装置に適用すると、3つの回路基板を各層毎に有する。すなわち特許文献1の表示装置は、3つのアクティブマトリクス回路基板が必要となり、発光方向に大型化して自発光ディスプレイのメリットを損なうと共に、高価である。
【0129】
特許文献2に記載の積層型発光装置は、回路基板が1つである一方、アクティブマトリクス型とするのが製造上困難である。特許文献2の積層型発光装置は、1層目のLEDを回路基板との配線及び透明材料で覆った後、研磨等の平坦化処理が行われる。次に特許文献2の積層型発光装置は、2層目及び3層目となるLEDが平坦化処理された透明材料上に接合され配線されるが、この配線を回路基板のアクティブ素子に副画素毎に接続する手段がない。したがって、特許文献2の積層型発光装置は、配線をディスプレイの発光面外にある駆動ドライバに直接接続するパッシブマトリクス方式が前提となる発明である。また特許文献2の積層型発光装置は、透明材料にピクセル毎に下部へ接続可能なビアを設ける方法を取ろうとすれば、LEDを分子間力接合する際の平坦性を損ない、接合の歩留まりを著しく低下させることは明白である。
【0130】
このため、安価で高密度であり、且つ、パッシブマトリクス方式よりも高画質なアクティブマトリクス方式の、発光素子が発光方向に重なり合う積層型のLEDディスプレイ装置が求められている。
【0131】
[1-9.効果]
以上の構成においてLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおいて、発光方向Deに関し第2の薄膜層20Gと対向する第1の薄膜層上面20RS1から回路基板10と対向する第1の薄膜層下面20RS2にかけて第1の薄膜層開口52aGを形成し、第1の薄膜層開口52aGに導電部としてのアノードピラー42aGを配置し、薄膜LED30Gのアノード電極32Gと回路基板10の接続パッド12Gとを、アノードピラー42aGを介して電気的に導通させるようにした。
【0132】
またLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおいて、発光方向Deから見て第1の薄膜層開口52aGと重ならない領域において、第1の薄膜層上面20RS1から第1の薄膜層下面20RS2にかけて第2の開口としての第1の薄膜層開口52aB1を形成し、第1の薄膜層開口52aB1に導電部としてのアノードピラー42aB1を配置するようにした。LEDディスプレイ装置1は、第2の薄膜層20Gにおいて、発光方向Deから見て第1の薄膜層開口52aB1と重なる領域において、第4の面としての第2の薄膜層上面20GS1から第3の面としての第2の薄膜層下面20GS2にかけて第3の開口としての第2の薄膜層開口52aB2を形成し、第2の薄膜層開口52aB2に導電部としてのアノードピラー42aB2を配置するようにした。そしてLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30Bのアノード電極32Bと回路基板10の接続パッド12Bとを、アノードピラー42aB1及び42aB2を介して電気的に導通させるようにした。
【0133】
さらにLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおいて、発光方向Deから見て第1の薄膜層開口52aG、第1の薄膜層開口52aB1及び第2の薄膜層開口52aB2と重ならない領域において、アノードパッド44Rを配置し、薄膜LED30Rのアノード電極32Rと回路基板10の接続パッド12Rとを、アノードパッド44Rを介して電気的に導通させるようにした。
【0134】
これによりLEDディスプレイ装置1は、発光方向Deに積層された薄膜LED30R、30G及び30Bのアノード電極32R、32G及び32Bそれぞれに対し、回路基板10から電流を流すことができる。
【0135】
さらにLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bそれぞれにおいて、発光方向Deから見て第1の薄膜層開口52aG及び52aB1、第2の薄膜層開口52aB2並びにアノードパッド44Rと重ならない領域において、カソードピラー40kR、40kG及び40kBからなる垂直方向配線22Kを配置し、薄膜LED30Rのカソード電極34R、薄膜LED30Gのカソード電極34G、及び、薄膜LED30Bのカソード電極34Bと、カソード共通配線17とを、カソードピラー40aR、40aG及び40aBを介して電気的に導通させるようにした。これによりLEDディスプレイ装置1は、発光方向Deに積層された薄膜LED30R、30G及び30Bのカソード電極34R、34G及び34Bそれぞれからカソード共通配線17へ電流を流すことができる。
【0136】
さらにLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおいて、薄膜LED30Rの一方の極性の端子としてのアノード電極32Rから第1の方向としての-X+Y方向(図6)へ延び、薄膜LED30Rと回路基板10の接続パッド12Rとを電気的に導通させる第1の引出線としての引出配線36aRを設けるようにした。さらにLEDディスプレイ装置1は、第2の薄膜層20Gにおいて、薄膜LED30Gの一方の極性の端子としてのアノード電極32Gから第1の薄膜層開口52aGへ向かって-X+Y方向とは異なる第2の方向としての+X+Y方向(図7)へ延び、第1の薄膜層開口52aGのアノードピラー42aGを介し薄膜LED30Gと回路基板10の接続パッド12Gとを電気的に導通させる第2の引出線としての引出配線36aGを設けるようにした。すなわちLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に、引出配線36aRと引出配線36aGとが互いに異なる方向へ延び、互いに重ならない領域を有するようにした。
【0137】
さらにLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおいて、薄膜LED30Rの他方の極性の端子としてのカソード電極34Rから-X+Y方向及び+X+Y方向とは異なる第3の方向としての-X-Y方向(図6)へ延びる第3の引出線としての引出配線36kRを設けるようにした。さらにLEDディスプレイ装置1は、第2の薄膜層20Gにおいて、薄膜LED30Gの他方の極性の端子としてのカソード電極34Gから-X-Y方向(図7)へ延び、引出配線36kRと電気的に導通される第4の引出線としての引出配線36kGを設けるようにした。
【0138】
このようにLEDディスプレイ装置1は、それぞれの薄膜層20において発光方向Deから見た際に互いに異なる箇所に設けられた垂直方向配線22R、22G及び22Bを介してアノード電極32R、32G及び32Bと回路基板10とを導通し、それぞれの薄膜層20において発光方向Deから見た際に垂直方向配線22R、22G及び22Bと異なる箇所に設けられた垂直方向配線22Kを介してカソード電極34R、34G及び34Bとカソード共通配線17とを導通するようにした。
【0139】
これによりLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおける薄膜LED30Rの発光の制御と、回路基板10との間に第1の薄膜層20Rを挟んだ状態で、薄膜LED30Rと重複するように発光方向Deに積層された薄膜LED30Gが配置された第2の薄膜層20Gにおける薄膜LED30Gの発光の制御と、回路基板10との間に第1の薄膜層20R及び第2の薄膜層20Gを挟んだ状態で、薄膜LED30R及び30Gと重複するように発光方向Deに積層された薄膜LED30Bが配置された第3の薄膜層20Bにおける薄膜LED30Bの発光の制御とを、回路基板10により行うことができる。かくしてLEDディスプレイ装置1は、積層型の発光装置においてアクティブマトリクス駆動が可能となり、高密度な画素を有するLEDディスプレイ表示部2において、アクティブマトリクス駆動方式のメリットを得ることができる。
【0140】
以上の構成によればLEDディスプレイ装置1は、第1の発光素子としての薄膜LED30Rが配置された第1の薄膜層20Rと、第1の薄膜層20Rに積層され、薄膜LED30Rの発光面に直交する発光方向Deから見たとき、薄膜LED30Rの少なくとも一部に重なる第2の発光素子としての薄膜LED30Gを含む第2の薄膜層20Gと、第1の薄膜層20Rが積層され、薄膜LED30Rと薄膜LED30Gとの発光を制御する回路基板10とを設け、第1の薄膜層20Rは、発光方向Deにおいて第2の薄膜層20Gと対向する第1の面としての第1の薄膜層上面20RS1から回路基板10と対向する第2の面としての第1の薄膜層下面20RS2にかけて第1の開口としての第1の薄膜層開口52aGが形成され、薄膜LED30Gと回路基板10とは、第1の薄膜層開口52aGを介して電気的に導通するようにした。
【0141】
これによりLEDディスプレイ装置1は、回路基板10との間に第1の薄膜層20Rを挟んだ状態で、薄膜LED30Rと重複するように発光方向Deに積層された薄膜LED30Gが配置された第2の薄膜層20Gにおける薄膜LED30Gの発光を、回路基板10により制御できる。
【0142】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.積層接合の工程]
図12と対応する部材に同一符号を付した図13に示すように、第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と比較して、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを回路基板10に積層させる積層接合の工程が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0143】
まず製造装置60は、図13(A)に示すように、エッチング処理により犠牲層70G(図10)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層20Gを形成基板68Gから分離する。これにより、カソードピラー下面40kGS2、アノードパッド表面44GS及びアノードピラー下面42aB2S2(図5)が、下地透明絶縁材料26Gの下面(-Z方向側の面)から露出する。これらカソードピラー下面40kGS2、アノードパッド表面44GS及びアノードピラー下面42aB2S2(図5)は、犠牲層70G(図10)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第2の薄膜層20Gを公知のボンディング方法により、形成基板68R上の第1の薄膜層20Rの上面に分子間力により接合する。
【0144】
次に製造装置60は、図13(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層70B(図11)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層20Bを形成基板68Bから分離する。これにより、カソードピラー下面40kBS2及びアノードパッド表面44BS(図5)が、下地透明絶縁材料26Bの下面(-Z方向側の面)から露出する。これらカソードピラー下面40kBS2及びアノードパッド表面44BS(図5)は、犠牲層70B(図11)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第3の薄膜層20Bを公知のボンディング方法により、図13(A)で第1の薄膜層20Rに接合させた第2の薄膜層20Gの上面に分子間力により接合する。
【0145】
次に製造装置60は、図13(C)に示すように、エッチング処理により犠牲層70R(図9)をエッチングして除去することにより、図13(A)及び図13(B)で第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bが接合された第1の薄膜層20Rを形成基板68Rから分離する。これにより、アノードピラー下面42aGS2、アノードピラー下面42aB1S2(図5)及びアノードパッド表面44RS(図5)が、下地透明絶縁材料26Rの下面(-Z方向側の面)から露出する。これらアノードピラー下面42aGS2、アノードピラー下面42aB1S2(図5)及びアノードパッド表面44RSは、犠牲層70R(図9)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bが接合された第1の薄膜層20Rを公知のボンディング方法により、回路基板10に分子間力により接合する。
【0146】
第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0147】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.半導体構造体の構成]
図4及び図5と対応する部材に同一符号を付した図14及び図15に示すように、第3の実施の形態による半導体構造体72は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と比較して、回路基板10に代えて支持基板74が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。このように半導体構造体72は、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3つの薄膜層からなる薄膜層群18が、支持基板74に積層された構成となっている。
【0148】
[3-2.積層接合の工程]
図12と対応する部材に同一符号を付した図16に示すように、第3の実施の形態による半導体構造体72は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と比較して、回路基板10に代えて支持基板74が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。このため、第3の実施の形態による半導体構造体72の積層接合の工程については、説明を省略する。
【0149】
[3-3.効果等]
第3の実施の形態による半導体構造体72は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0150】
以上の構成によれば半導体構造体72は、基材としての支持基板74と、支持基板74上に設けられ、第1の発光素子としての薄膜LED30Rを含む第1の層としての第1の薄膜層20Rと、第1の薄膜層20Rに積層され、積層方向から見たとき、薄膜LED30Rの少なくとも一部に重なる第2の発光素子としての薄膜LED30Gを含む第2の層としての第2の薄膜層20Gとを設けるようにした。ここで、開口を第1の薄膜層開口52aG(図14)とした場合、第1の電極はアノードピラー42aGとなり、第2の電極はアノードパッド44Gとなる。一方、開口を第1の薄膜層開口52aB1(図15)とした場合、第1の電極はアノードピラー42aB1となり、第2の電極はアノードピラー42aB2となる。
【0151】
[4.第4の実施の形態]
[4-1.積層接合の工程]
図13及び図16と対応する部材に同一符号を付した図17に示すように、第4の実施の形態による半導体構造体72は、第3の実施の形態による半導体構造体72と比較して、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを支持基板74に積層させる積層接合の工程が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0152】
第4の実施の形態による半導体構造体72の積層接合の工程は、第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1の積層接合の工程(図13)と比較して、回路基板10に代えて支持基板74が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。このため、第4の実施の形態による半導体構造体72の積層接合の工程については、説明を省略する。
【0153】
[4-2.効果等]
第4の実施の形態による半導体構造体72は、第3の実施の形態による半導体構造体72と同様の作用効果を奏し得る。
【0154】
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、第1の薄膜層20Rの第1の薄膜層開口52aG内部に形成したアノードピラー42aGを介して薄膜LED30Gのアノード電極32Gと回路基板10の接続パッド12Gとを導通させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、第1の薄膜層20Rの第1の薄膜層開口52aG内部に種々の配線を形成し該配線を介して薄膜LED30Gのアノード電極32Gと回路基板10の接続パッド12Gとを導通させても良い。要は、第1の薄膜層20Rに第1の薄膜層開口52aGが形成されており、該薄膜層開口52aG内部に設けた、導電性を有する種々の導通部(電極)を介し、薄膜LED30Gのアノード電極32Gと回路基板10の接続パッド12Gとを導通させれば良い。第1の薄膜層開口52aB1、第2の薄膜層開口52kG及び52aB2並びに第3の薄膜層開口52kBにおいても同様である。また第2の実施の形態においても同様である。
【0155】
また上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30R、30G及び30Bが、Z方向から見た際に互いの中心が一致するように重なって積層される場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30R、30G及び30Bは、Z方向から見た際に少なくとも一部分が重なるように積層されれば良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0156】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30R、30G及び30Bの大きさを平面視で互いに同じ大きさに形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、薄膜LED30Rを薄膜LED30Bよりも大きくしたり、逆に、薄膜LED30Bを薄膜LED30Rよりも大きくしたりする等、互いに異なる大きさとしても良い。要はZ方向から見た際に少なくとも一部分が重なっていれば良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0157】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30R、30G及び30Bは、-Z方向側から+Z方向側に向かって、発光する光の波長が短くなる場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、薄膜LED30R、30G及び30Bの各発光素子の発光効率に応じて、薄膜LED30R、30G及び30Bの配置を入れ替えても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0158】
さらに上述した第1の実施の形態においては、カソード共通配線17を第3の薄膜層上面20BS1に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カソード共通配線17を回路基板10の基板表面10S又は内部等に配線しても良い。回路基板10内部にカソード共通配線17を配線する場合、基板表面10Sにカソード用の接続パッドを設け、第1の薄膜層20Rのカソードピラー40kRの下面と接続する構造としても良い。またその場合、接続パッド12NCを、アクティブ素子と接続しないカソードパッドとして割り当てる構造としても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0159】
さらに上述した第1の実施の形態においては、接続パッド12NCは何れのアノードとも接続しない場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラーバランスにおいてネックになる薄膜LED30R、30G又は30Bのうちの何れかの薄膜LED30に接続パッド12NCを接続し、接続パッド12R、12G又は12Bのうちの何れか1つの接続パッド12と接続パッド12NCとの、2つの接続パッド12から電力供給を行い、最大発光強度を上げる等しても良い。さらに上述した実施の形態における接続パッド12NCを形成せず省略しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0160】
さらに上述した第1の実施の形態においては、それぞれの薄膜層20のフィルムサイズをLEDディスプレイ表示部2のディスプレイサイズと同等する場合について述べた。本発明はこれに限らず、各薄膜層20が含む画素自体はディスプレイ全体としては同数同ピッチを保ちつつ、例えば、第3の薄膜層20Bのフィルムをディスプレイサイズの半分ずつとなるように例えば2分割等に分割しても良い。例えば2分割した場合、第3の薄膜層20Bが含む画素の数は、第3の薄膜層20Bがディスプレイ全体のサイズであった場合の半分になる。その場合、各薄膜層20が含む画素の数は、ディスプレイ全体の画素数から1画素までの、任意の画素数であっても原理的には製造可能である。またその場合、第3の薄膜層20Bのフィルムサイズが小さくなるため、該薄膜層20のフィルムを他の薄膜層20のフィルムに重ねて接合させる際に、位置合わせがしやすくなる。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0161】
さらに上述した第1の実施の形態においては、第1の薄膜層20Rの製造方法(図9(C))において、薄膜LED層66Rを一括で下地透明絶縁材料26Rに接合した後に、エッチング処理(図9(D))により薄膜LED層66Rをエッチングする場合について述べた。本発明はこれに限らず、図9(A)におけるLED成長基板62Rの上側に薄膜LED層66Rが存在する状態において薄膜LED層66Rに加工及び配線を行ってから、該薄膜LED層66Rを下地透明絶縁材料26Rにボンディングしても良い。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの製造方法においても同様である。しかしながら、実際には画素が小さくなると、この方法は難易度が高くなる。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0162】
さらに上述した第1の実施の形態においては、2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとによりアクティブ素子14を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、アクティブ素子14は、基本構造である2個のMOSトランジスタ及び1個のコンデンサに対し、階調制御を行う回路、補償回路や冗長回路等、他の種々の機能を有する回路が加えられても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0163】
さらに上述した第1の実施の形態においては、駆動ドライバ6を回路基板10の表面に実装する場合について述べた。本発明はこれに限らず、駆動ドライバ6を接続ケーブル4の表面に実装しても良く、又は、駆動ドライバ6を回路基板10の内部に半導体プロセスによりCMOS回路で形成しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0164】
さらに上述した第1の実施の形態においては、回路基板10をCMOS回路基板により構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、回路基板10を薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)回路基板により構成しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0165】
さらに上述した第1の実施の形態において、図4及び図5と対応する部材に同一符号を付した図18及び図19に示す画素部108のように、コンタクト金属46kR、46aPL1R、46aPL2R、46aPDR、46kG、46aPLG、46aPDG、46kB、46aPDBを省略しても良い。その場合、カソードピラー40kR(図18)のバリア層の下面がカソードピラー下面40kRS2、アノードピラー42aG(図18)のバリア層の下面がアノードピラー下面42aGS2、アノードピラー42aB1(図19)のバリア層の下面がアノードピラー下面42aB1S2、引出配線36aR(図19)の下面がアノードパッド表面44RS、カソードピラー40kG(図18)のバリア層の下面がカソードピラー下面40kGS2、アノードピラー42aB2(図19)のバリア層の下面がアノードピラー下面42aB2S2、引出配線36aG(図18)の下面がアノードパッド表面44GS、カソードピラー40kB(図18)のバリア層の下面がカソードピラー下面40kBS2、引出配線36aB(図18)の下面がアノードパッド表面44BSとなる。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0166】
さらに上述した第1の実施の形態においては、例えばカソードピラー40kR(図9)を、コンタクト金属46kRの上にバリア層54kR、シード金属56kR及びめっき部58kRを設けることにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カソードピラー40kRを、コンタクト金属46kRをシード金属としためっき法、スパッタ法又は化学気相成長(CVD)等により単一金属で構成しても良い。アノードピラー42aG、アノードピラー42aB1、カソードピラー40kG、アノードピラー42aB2及びカソードピラー40kBにおいても同様である。また第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0167】
さらに上述した第1の実施の形態においては、LEDディスプレイ表示部2に第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3層の薄膜層を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、第4の薄膜層や第5の薄膜層を第3の薄膜層20Bに接合し、光出力や色域を拡張しても良い。又は、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3層の薄膜層20のうち、何れか2層のみを組み合わせ、2色のディスプレイとしても良い。すなわち、LEDディスプレイ表示部2は、3層の薄膜層20以外の、2層又は4層以上の任意の層数の薄膜層20を設けても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0168】
さらに上述した第1の実施の形態においては、直視型であるLEDディスプレイ装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、プロジェクタや光源として使用されるディスプレイに本発明を適用しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0169】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0170】
さらに上述した実施の形態においては、第1の層としての第1の薄膜層20Rと、第2の層としての第2の薄膜層20Gと、制御基板としての回路基板10とによって、発光装置としてのLEDディスプレイ装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1の層と、第2の層と、制御基板とによって、発光装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、例えば複数のLEDを配置してなるLEDディスプレイで利用できる。
【符号の説明】
【0172】
1……LEDディスプレイ装置、2……LEDディスプレイ表示部、3……放熱部材、4……接続ケーブル、5……接続端子部、6……駆動ドライバ、8、108……画素部、10……回路基板、10S……基板表面、10M……基材部、11……絶縁層、11S……絶縁層表面、12T……接続パッド組、12R、12G、12B、12NC……接続パッド、12RS、12GS、12BS、12NCS……接続パッド表面、14R、14G、14B、14NC……アクティブ素子、16……配線層、17……カソード共通配線、18……薄膜層群、20R……第1の薄膜層、20RS1……第1の薄膜層上面、20RS2……第1の薄膜層下面、20G……第2の薄膜層、20GS1……第2の薄膜層上面、20GS2……第2の薄膜層下面、20B……第3の薄膜層、20BS1……第3の薄膜層上面、20BS2……第3の薄膜層下面、22K、22R、22G、22B……垂直方向配線、24……発光部、24C……発光部中心、ER……外接矩形、26R、26G、26B……下地透明絶縁材料、26RS1、26GS1、26BS1……下地透明絶縁材料上面、26RS2、26GS2、26BS2……下地透明絶縁材料下面、28R、28G、28B……透明絶縁材料、28RS、28GS、28BS……透明絶縁材料表面、30R、30G、30B……薄膜LED、32R、32G、32B……アノード電極、34R、34G、34B……カソード電極、36kR、36aR、36kG、36aG、36kB、36aB……引出配線、38kR、38aR、38kG、38aG、38kB、38aB……層間絶縁膜、40kR、40kG、40kB……カソードピラー、40kRS1、40kGS1、40kBS1……カソードピラー上面、40kRS2、40kGS2、40kBS2……カソードピラー下面、42aG、42aB1、42aB2……アノードピラー、42aGS2、42aB1S2、42aB2S2…アノードピラー下面、42aGS1、42aB1S1、42aB2S1……アノードピラー上面、44R、44G、44B……アノードパッド、44RS、44GS、44BS……アノードパッド表面、46kR、46kG、46kB、46aPL1R、46aPL2R、46aPDR、46aPLG、46aPDG、46aPDB……コンタクト金属、48aG、48aB1、48R、48kG、48G、48aB2、48kB、48B……下地透明絶縁材料開口、50aG、50aB1、50kR、50kG、50aB2、50kB……透明絶縁材料開口、52aG、52aB1……第1の薄膜層開口、52kG、52aB2……第2の薄膜層開口、52kB……第3の薄膜層開口、54kR、54aPL1R、54kG、54kB……バリア層、56aPL1R、56kR、56kG、56kB……シード金属、58aPL1R、58kR、58kG、58kB……めっき部、60……製造装置、62R、62G、62B……LED成長基板、64R……犠牲層、66R、66G、66B……薄膜LED層、68R、68G、68B……形成基板、70R、70G、70B……犠牲層、72……半導体構造体、74……支持基板、De……発光方向、Da……AA断面方向、Db……BB断面方向、Rra、Rba、Rga、Rk……導電経路。

図1
図2
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