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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】安全教育システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250527BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20250527BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022103732
(22)【出願日】2022-06-28
(65)【公開番号】P2024004197
(43)【公開日】2024-01-16
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫村 貴士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】横田 和幸
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151711(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026155(WO,A1)
【文献】特開2006-293539(JP,A)
【文献】特開2007-323598(JP,A)
【文献】特開2007-122142(JP,A)
【文献】特開2017-173973(JP,A)
【文献】国際公開第2019/240062(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小学校低学年の子どもであるユーザが背負うランドセルの肩紐に装着され、前記ユーザが携帯するユーザ装置と、
サーバと、
前記ユーザの親が保有する監督者装置とを備える安全教育システムであって、
前記ユーザ装置のCPUは、
前記ユーザに安全行動を促す通学路上の範囲において、前記ユーザ装置の移動による角速度に基づいて、前記ユーザ装置が回転した回転角を検出し、前記回転角が所定角度以上である場合、安全行動として左右確認を実施したと判定し、前記回転角が所定角度未満である場合、安全行動として左右確認を実施していないと判定し、
前記ユーザの安全行動の実施結果を示す情報を記憶部に格納し、
前記記憶部に格納された、前記ユーザの現在位置、当該現在位置の測定日時、及び前記範囲における前記ユーザの安全行動の実施結果を前記サーバに送信し、
前記サーバのCPUは、前記範囲における安全行動の実施結果を踏まえた前記ユーザの移動軌跡を前記監督者装置に送信する、
安全教育システム。
【請求項2】
前記サーバのCPUは、
車両が備えるDCMのDCMデータから得られる車両走行データを取得し、
取得した前記車両走行データから、過去に交通事故が発生した確認範囲及び過去に危険運転が発生した確認範囲を示す位置情報を抽出し、抽出した位置情報を範囲情報として前記ユーザ装置に送信し、
前記ユーザ装置のCPUは、前記サーバから取得した前記範囲情報に応じた前記範囲を設定する、
請求項1に記載の安全教育システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全教育システに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動者の所定動作を確認することが可能な動作確認システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2019/240070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、危険箇所と携帯者の現在位置との間の距離が所定値未満であると判定した場合に、携帯者に対して危険を通知するものである。しかし、特許文献1の技術は、各危険箇所についての情報を考慮して携帯者に対する通知タイミングを調整する思想はなく、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる全教育システを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示1に係るユーザ装置は、路上に設定された所定範囲における、前記路上を移動するユーザの安全に対する懸念の格付を示す格付情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記格付情報に基づいて、前記所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整する制御部と、を備える。
【0007】
本開示1に係るユーザ装置では、取得部は、路上に設定された所定範囲における格付を示す格付情報を取得する。そして、制御部は、取得した格付情報に基づいて、所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整する。これにより、当該ユーザ装置では、路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【0008】
本開示2に係るユーザ装置は、本開示1において、前記制御部は、前記格付情報が示す前記所定範囲における前記格付が所定基準より高い場合、前記実行タイミングを基本タイミングより早くし、前記格付情報が示す前記所定範囲における前記格付が前記所定基準より低い場合、前記実行タイミングを前記基本タイミングより遅くする。
【0009】
本開示2に係るユーザ装置では、制御部は、格付情報が示す所定範囲における格付が所定基準より高い場合、実行タイミングを基本タイミングより早くする。また、制御部は、格付情報が示す所定範囲における格付が所定基準より低い場合、実行タイミングを基本タイミングより遅くする。これにより、当該ユーザ装置では、路上に設定された所定範囲のうち、格付が高い範囲については早い段階でユーザに注意力を高めさせることができる。また、当該ユーザ装置では、路上に設定された所定範囲のうち、格付が低い範囲については直前までユーザに注意力を温存させておくことができる。
【0010】
本開示3に係るユーザ装置は、本開示2において、前記格付情報が示す前記所定範囲における前記格付が前記所定基準より高い場合に、前記所定範囲を拡大する拡大部を備え、前記制御部は、前記路上を移動中の前記ユーザの現在位置が前記所定範囲に含まれた場合に、前記所定範囲に応じた報知を前記報知部に実行させる。
【0011】
本開示3に係るユーザ装置では、拡大部は、格付情報が示す所定範囲における格付が所定基準より高い場合に当該所定範囲を拡大する。そして、制御部は、路上を移動中のユーザの現在位置が所定範囲に含まれた場合に、所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる。これにより、当該ユーザ装置では、路上に設定された所定範囲のうち、格付が高い範囲については広範囲においてユーザに注意を促すことができる。
【0012】
本開示4に係るユーザ装置は、本開示3において、前記拡大部は、前記格付が前記所定基準より高い前記所定範囲を、他の前記所定範囲と重複しないように拡大する。
【0013】
本開示4に係るユーザ装置では、拡大部は、格付が所定基準より高い所定範囲を、他の所定範囲と重複しないように拡大する。これにより、当該ユーザ装置では、路上を移動中のユーザの現在位置が複数の所定範囲に含まれ、報知部から複数の報知が実行されることでユーザが混乱することを防止できる。
【0014】
本開示5に係るユーザ装置は、本開示2から4の何れか1項において、前記格付情報が示す前記所定範囲における前記格付が前記所定基準より低い場合に、前記所定範囲を縮小する縮小部を備え、前記制御部は、前記路上を移動中の前記ユーザの現在位置が前記所定範囲に含まれた場合に、前記所定範囲に応じた報知を前記報知部に実行させる。
【0015】
本開示5に係るユーザ装置では、縮小部は、格付情報が示す所定範囲における格付が所定基準より低い場合に、所定範囲を縮小する。そして、制御部は、路上を移動中のユーザの現在位置が所定範囲に含まれた場合に、所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる。これにより、当該ユーザ装置では、路上に設定された所定範囲のうち、格付が低い範囲については狭い範囲に絞ってユーザに注意を促すことができる。
【0016】
本開示6に係るユーザ装置は、本開示2において、前記格付情報が示す前記所定範囲における前記格付が前記所定基準より高い場合に、前記所定範囲を同心円状に設定する設定部を備え、前記制御部は、前記路上を移動中の前記ユーザの現在位置が前記所定範囲に含まれた場合に、前記所定範囲に応じた報知を前記報知部に実行させる。
【0017】
本開示6に係るユーザ装置では、設定部は、格付情報が示す所定範囲における格付が所定基準より高い場合に、所定範囲を同心円状に設定する。そして、制御部は、路上を移動中のユーザの現在位置が所定範囲に含まれた場合に、所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる。これにより、当該ユーザ装置では、路上に設定された所定範囲のうち、格付が高い範囲については広範囲においてユーザに注意を促すことができる。
【0018】
本開示7に係るユーザ装置は、本開示6において、前記制御部は、前記設定部が同心円状に設定した前記所定範囲の中心に近付くにつれて、前記報知部に実行させる前記所定範囲に応じた報知の内容を変化させる。
【0019】
本開示7に係るユーザ装置では、制御部は、設定部が同心円状に設定した所定範囲の中心に近付くにつれて、報知部に実行させる所定範囲に応じた報知の内容を変化させる。これにより、当該ユーザ装置では、所定範囲に応じた報知の内容が変化しない場合に比べて
、当該報知に対するユーザの注目度を高めることができる。
【0020】
本開示8に係るユーザ装置は、本開示1、2、3、5、6、又は7において、前記制御部は、前記路上を移動中の前記ユーザの現在位置が複数の前記所定範囲に含まれる場合、複数の前記所定範囲のうち、前記格付情報が示す前記格付が最も高い前記所定範囲に応じた報知を前記報知部に実行させる。
【0021】
本開示8に係るユーザ装置では、制御部は、路上を移動中のユーザの現在位置が複数の所定範囲に含まれる場合、複数の所定範囲のうち、格付情報が示す格付が最も高い所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる。これにより、当該ユーザ装置では、路上を移動中のユーザに安全行動を促す複数の報知を実行可能な場合に、格付が高い信頼性の高い範囲に応じた報知を他の報知に優先して実行させることができる。
【0022】
本開示9に係るサーバは、ユーザが携帯するユーザ装置が、前記ユーザが移動する路上に設定された所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整するための前記所定範囲における前記ユーザの安全に対する懸念の格付を示す格付情報を生成する生成部と、前記生成部が生成した前記格付情報を前記ユーザ装置に送信する送信部と、を備える。
【0023】
本開示9に係るサーバでは、生成部は、格付情報を生成する。そして、送信部は、生成部が生成した格付情報をユーザ装置に送信する。これにより、当該サーバでは、ユーザ装置が路上に設定された所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整するための当該所定範囲における格付情報を生成することで、路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【0024】
本開示10に係るサーバは、本開示9において、前記生成部は、前記所定範囲における前記懸念として、前記懸念の発生時刻、前記懸念が発生したときの天候、前記懸念の被害者の年齢、及び前記懸念の被害者の被害状況の少なくとも1つを含む懸念情報に基づいて、前記格付情報を生成する。
【0025】
本開示10に係るサーバでは、生成部は、懸念の発生時刻、懸念が発生したときの天候、懸念の被害者の年齢、及び懸念の被害者の被害状況の少なくとも1つを含む懸念情報に基づいて、所定範囲における格付情報を生成する。これにより、当該サーバでは、懸念の発生時刻、懸念が発生したときの天候、懸念の被害者の年齢、及び懸念の被害者の被害状況の少なくとも1つを踏まえて、路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【0026】
本開示11に係るサーバは、本開示10において、前記生成部は、前記懸念の被害者の年齢と前記ユーザの年齢との差分が所定値未満である場合、前記格付情報が示す前記格付が高くなるよう重み付けを行う。
【0027】
本開示11に係るサーバでは、生成部は、懸念の被害者の年齢とユーザの年齢との差分が所定値未満である場合、格付情報が示す格付が高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバでは、懸念の被害者の年齢とユーザの年齢とが近い場合、当該懸念が過去に発生した所定範囲における格付を高める調整が行える。
【0028】
本開示12に係るサーバは、本開示10又は11において、前記生成部は、前記懸念の発生時刻が予め設定された前記ユーザの移動時間帯と共通する場合、前記格付情報が示す前記格付が高くなるよう重み付けを行う。
【0029】
本開示12に係るサーバでは、生成部は、懸念の発生時刻が予め設定されたユーザの移動時間帯と共通する場合、格付情報が示す格付が高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバでは、懸念の発生時刻がユーザの移動時間帯と共通する場合、当該懸念が過去に発生した所定範囲における格付を高める調整が行える。
【0030】
本開示13に係るサーバは、本開示10から12の何れか1項において、前記生成部は、前記懸念が発生したときの天候が、前記ユーザが前記路上を移動する日の天候と共通する場合、前記格付情報が示す前記格付が高くなるよう重み付けを行う。
【0031】
本開示13に係るサーバでは、生成部は、懸念が発生したときの天候が、ユーザが路上を移動する日の天候と共通する場合、格付情報が示す格付が高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバでは、懸念が発生したときの天候が、ユーザが路上を移動する日の天候と共通する場合、当該懸念が過去に発生した所定範囲における格付を高める調整が行える。
【0032】
本開示14に係るサーバは、本開示10から13の何れか1項において、前記生成部は、前記懸念の被害者の被害状況が悪い場合、前記格付情報が示す前記格付が高くなるよう重み付けを行う。
【0033】
本開示14に係るサーバでは、生成部は、懸念の被害者の被害状況が悪い場合、格付情報が示す格付が高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバでは、懸念の被害者の被害状況が悪い場合、当該懸念が過去に発生した所定範囲における格付を高める調整が行える。
【0034】
請求項1係る安全教育システムは、小学校低学年の子どもであるユーザが背負うランドセルの肩紐に装着され、前記ユーザが携帯するユーザ装置と、サーバと、前記ユーザの親が保有する監督者装置とを備える安全教育システムであって、前記ユーザ装置のCPUは、前記ユーザに安全行動を促す通学路上の範囲において、前記ユーザ装置の移動による角速度に基づいて、前記ユーザ装置が回転した回転角を検出し、前記回転角が所定角度以上である場合、安全行動として左右確認を実施したと判定し、前記回転角が所定角度未満である場合、安全行動として左右確認を実施していないと判定し、前記ユーザの安全行動の実施結果を示す情報を記憶部に格納し、前記記憶部に格納された、前記ユーザの現在位置、当該現在位置の測定日時、及び前記範囲における前記ユーザの安全行動の実施結果を前記サーバに送信し、前記サーバのCPUは、前記範囲における安全行動の実施結果を踏まえた前記ユーザの移動軌跡を前記監督者装置に送信する
請求項2に係る安全教育システムは、請求項1において、前記サーバのCPUは、車両が備えるDCMのDCMデータから得られる車両走行データを取得し、取得した前記車両走行データから、過去に交通事故が発生した確認範囲及び過去に危険運転が発生した確認範囲を示す位置情報を抽出し、抽出した位置情報を範囲情報として前記ユーザ装置に送信し、前記ユーザ装置のCPUは、前記サーバから取得した前記範囲情報に応じた前記範囲を設定する。
【0035】
本開示16に係る制御方法は、路上に設定された所定範囲における、前記路上を移動するユーザの安全に対する懸念の格付を示す格付情報を取得し、取得した前記格付情報に基づいて、前記所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整する、処理をコンピュータが実行する。
【0036】
本開示17に係る制御プログラムは、コンピュータに、路上に設定された所定範囲における、前記路上を移動するユーザの安全に対する懸念の格付を示す格付情報を取得し、取得した前記格付情報に基づいて、前記所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整する、処理を実行させる。
【0037】
本開示18に係る生成方法は、ユーザが携帯するユーザ装置が、前記ユーザが移動する路上に設定された所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整するための前記所定範囲における前記ユーザの安全に対する懸念の格付を示す格付情報を生成し、生成した前記格付情報を前記ユーザ装置に送信する、処理をコンピュータが実行する。
【0038】
本開示19に係る生成プログラムは、コンピュータに、ユーザが携帯するユーザ装置が、前記ユーザが移動する路上に設定された所定範囲に応じた報知を報知部に実行させる実行タイミングを調整するための前記所定範囲における前記ユーザの安全に対する懸念の格付を示す格付情報を生成し、生成した前記格付情報を前記ユーザ装置に送信する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本開示に係る全教育システでは、路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施形態に係る安全教育システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係るユーザ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るユーザ装置の機能構成の例を示す第1のブロック図である。
図4】本実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態に係るサーバの機能構成の例を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る監督者装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】本実施形態に係る調整処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る実行処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図9】本実施形態に係る生成処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係るユーザ装置が実行タイミングを調整する具体例について説明する説明図である。
図11】本実施形態に係るユーザ装置の機能構成の例を示す第2のブロック図である。
図12】本実施形態に係る調整処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図13】本実施形態に係る実行処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図14】本実施形態に係る安全行動を促す通学路上の範囲を説明する第1の説明図である。
図15】本実施形態に係る安全行動を促す通学路上の範囲を説明する第2の説明図である。
図16】本実施形態に係る実行処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図17】本実施形態に係る優先制御の具体例を説明する説明図である。
図18】本実施形態に係るユーザ装置の機能構成の例を示す第3のブロック図である。
図19】本実施形態に係る調整処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図20】本実施形態に係る実行処理の流れを示す第4のフローチャートである。
図21】本実施形態に係る安全行動を促す通学路上の範囲を説明する第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本実施形態に係る安全教育システム10について説明する。
本実施形態に係る安全教育システム10は、路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整するシステムである。
【0042】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る安全教育システム10の第1の実施形態について説明する。
図1は、安全教育システム10の概略構成を示す図である。
【0043】
図1に示すように、安全教育システム10は、ユーザ装置20、サーバ40、及び監督者装置60を含む。ユーザ装置20、サーバ40、及び監督者装置60は、ネットワークNを介して接続され、互いに通信可能となっている。
【0044】
ユーザ装置20は、ユーザが携帯する装置である。第1の実施形態では、ユーザは「小学校低学年の子ども」とする。また、一例として、ユーザ装置20は、ユーザが背負うランドセルの肩紐に装着されている。
サーバ40は、所定の事業者が保有するサーバコンピュータである。
【0045】
監督者装置60は、ユーザの監督者である親が保有する装置である。監督者装置60には、一例として、パーソナルコンピュータ(PC)等の汎用的なコンピュータ装置、又は携帯可能なノートPC、スマートフォン、若しくはタブレット端末等の携帯装置が適用される。第1の実施形態では、一例として、監督者装置60はスマートフォンとする。
【0046】
次に、ユーザ装置20のハードウェア構成を説明する。図2は、ユーザ装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0047】
図2に示すように、ユーザ装置20は、マイコン30と、通信部35と、GPS装置36と、センサ37と、報知部38とを含む。
【0048】
マイコン30は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、及び記憶部34を含んで構成されている。
【0049】
CPU31は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU31は、ROM32又は記憶部34からプログラムを読み出し、RAM33を作業領域としてプログラムを実行する。CPU31は、ROM32又は記憶部34に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0050】
ROM32は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM33は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0051】
記憶部34は、eMMC(embedded Multi Media Card)又はUFS(Universal Flash Storage)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。各種プログラムの一例として、記憶部34には、CPU31に後述する調整処理および実行処理を実行させるための制御プログラム34Aが格納されている。各種データの一例として、記憶部34には、サーバ40から送信された、ユーザに安全行動を促す通学路上の範囲を示す範囲情報及び通学路上の各範囲におけるユーザの安全に対する懸念のリスクランクを示すリスクランク情報が格納されている。ユーザの安全に対する懸念とは、一例として、交通事故、不審者の目撃、及び自然災害等であり、インシデント及びアクシデントの双方が含まれる。範囲情報及びリスクランク情報の詳細については後述する。なお、通学路上は「路上」の一例、リスクランクは「格付」の一例、リスクランク情報は「格付情報」の一例である。
【0052】
通信部35は、サーバ40及び監督者装置60と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。通信部35は、ネットワークNに対して接続されている。
【0053】
GPS装置36は、ユーザの現在位置を測定する装置である。GPS装置36は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを含んでいる。GPS装置36が測定したユーザの現在位置は、当該現在位置を測定した測定日時と紐付けられて記憶部34に記憶されるとともにサーバ40に送信される。
【0054】
センサ37は、角速度センサ、加速度センサ、及び地磁気センサ等を含むモーションセンサである。一例として、センサ37は、角速度センサを用いてユーザ装置20の移動による角速度を測定する。センサ37が測定した角速度は、記憶部34に記憶される。
【0055】
報知部38は、通学路上を移動中のユーザに安全行動を促す複数の報知を実行する装置である。一例として、報知部38は、振動及び音声を用いて上記の報知を実行する。また、報知部38による振動及び音声の報知パターンは複数種類設けられており、報知部38は、CPU31の指示に応じた報知パターンで報知を実行する。安全教育システム10では、報知部38が報知を実行することで、通学路上を移動中のユーザに対して安全行動を促す通学路上の範囲に接近又は進入したことを認識させることができる。
【0056】
次に、ユーザ装置20の機能構成について説明する。
図3は、ユーザ装置20の機能構成の例を示す第1のブロック図である。
【0057】
図3に示すように、ユーザ装置20のCPU31は、機能構成として、取得部31A及び制御部31Bを有する。各機能構成は、CPU31が記憶部34に記憶された制御プログラム34Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0058】
取得部31Aは、ユーザに安全行動を促す通学路上の範囲を示す範囲情報をサーバ40から取得する。安全行動には、一例として、交通安全を確認するための確認行動及び現在位置から退避するための退避行動が含まれる。また、安全行動を促す通学路上の範囲には、一例として、確認行動を促す確認範囲及び退避行動を促す退避範囲が含まれる。安全行動を促す通学路上の範囲は「路上に設定された所定範囲」の一例である。
【0059】
ここで、取得部31Aは、範囲情報として、上記の確認範囲及び退避範囲の何れかを示す位置情報を取得する。当該位置情報は、通学路上における所定の範囲であり、範囲情報の種類に応じて範囲の広狭が異なる。一例として、取得部31Aは、過去に交通事故が発生した確認範囲を示す位置情報、過去に不審者が目撃された退避範囲を示す位置情報、土砂崩れ又は津波等の自然災害リスクが高い退避範囲を示す位置情報、及びユーザの監督者が指定した確認範囲又は退避範囲を示す位置情報等を、範囲情報として取得する。
【0060】
また、取得部31Aは、安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクを示すリスクランク情報をサーバ40から取得する。一例として、取得部31Aは、リスクランク情報として、リスクランク低、リスクランク低よりもリスクランクが高いリスクランク中、又はリスクランク中よりもリスクランクが高いリスクランク高の何れかを取得する。
【0061】
制御部31Bは、取得部31Aが取得したリスクランク情報に基づいて、安全行動を促す通学路上の範囲に応じた報知を報知部38に実行させる実行タイミングを調整する。具体的には、制御部31Bは、リスクランク情報が示す当該範囲におけるリスクランクがリスクランク中より高い、すなわち、リスクランク高である場合、実行タイミングを基本タイミングより早くする。また、制御部31Bは、リスクランク情報が示す当該範囲におけるリスクランクがリスクランク中より低い、すなわち、リスクランク低である場合、実行タイミングを基本タイミングより遅くする。なお、制御部31Bは、リスクランク情報が示す当該範囲におけるリスクランクがリスクランク中である場合、実行タイミングを基本タイミングとする。リスクランク中は「所定基準」の一例である。
【0062】
また、制御部31Bは、記憶部34に格納された各種データを、通信部35を介してサーバ40に送信する。各種データの一例として、制御部31Bは、ユーザの現在位置、当該現在位置の測定日時、及び安全行動を促す通学路上の範囲におけるユーザの安全行動の実施結果をサーバ40に送信する。
【0063】
次に、サーバ40のハードウェア構成を説明する。図4は、サーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0064】
図4に示すように、サーバ40は、CPU41、ROM42、RAM43、記憶部44、入力部45、表示部46、及び通信部47を備えている。各構成は、バス48を介して相互に通信可能に接続されている。
【0065】
CPU41は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU41は、ROM42又は記憶部44からプログラムを読み出し、RAM43を作業領域としてプログラムを実行する。CPU41は、ROM42又は記憶部44に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0066】
ROM42は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM43は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0067】
記憶部44は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。各種プログラムの一例として、記憶部44には、CPU41に後述する生成処理を実行させるための生成プログラム44Aが格納されている。各種データの一例として、記憶部44には、ユーザ装置20又は監督者装置60から送信された、ユーザの年齢、ユーザの登下校の時間帯、及びユーザの登校日が格納されている。
【0068】
入力部45は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、マイク、及びカメラ等を含み、各種の入力を行うために使用される。
【0069】
表示部46は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示する。表示部46は、タッチパネル方式を採用して、入力部45として機能してもよい。
【0070】
通信部47は、ユーザ装置20及び監督者装置60と通信するためのインターフェースである。当該通信には、例えば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、Bluetooth(登録商標)、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。通信部47は、ネットワークNに対して接続されている。
【0071】
次に、サーバ40の機能構成について説明する。
図5は、サーバ40の機能構成の例を示すブロック図である。
【0072】
図5に示すように、サーバ40のCPU41は、機能構成として、取得部41A、生成部41B、及び送信部41Cを有する。各機能構成は、CPU41が記憶部44に記憶された生成プログラム44Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0073】
取得部41Aは、通学路上において、過去に交通事故が発生した確認範囲、過去に不審者が目撃された退避範囲、及び自然災害リスクが高い退避範囲の各範囲を示す位置情報を、図示しない外部装置から定期的に取得する。また、取得部41Aは、通学路上において、ユーザの監督者が指定した確認範囲及び退避範囲の各範囲を示す位置情報を、監督者装置60から取得する。取得部41Aは、取得した位置情報を範囲情報として記憶部44に格納する。
【0074】
また、取得部41Aは、ユーザの現在位置、当該現在位置の測定日時、及び安全行動を促す通学路上の範囲におけるユーザの安全行動の実施結果を、ユーザ装置20から取得する。取得部41Aは、取得したユーザの現在位置、当該現在位置の測定日時、及び安全行動を促す通学路上の範囲におけるユーザの安全行動の実施結果を記憶部44に格納する。
【0075】
さらに、取得部41Aは、安全行動を促す通学路上の範囲における懸念として、各範囲における懸念の発生頻度、懸念の発生時刻、懸念が発生したときの天候、懸念の被害者の年齢、及び懸念の被害者の被害状況を含むリスク情報を、図示しない外部装置から定期的に取得する。取得部41Aは、取得したリスク情報を記憶部44に格納する。
【0076】
生成部41Bは、取得部41Aが取得したリスク情報に基づいて、リスクランク情報を生成する。一例として、生成部41Bは、安全行動を促す通学路上の範囲における各懸念の個別評価値を算出し、算出した各懸念の個別評価値を合計して当該範囲におけるリスクランクを示すリスクランク情報を生成する。このとき、生成部41Bは、算出した各懸念の個別評価値を合計した合計評価値が第1閾値以上である場合、当該範囲におけるリスクランクをリスクランク高としたリスクランク情報を生成する。また、生成部41Bは、算出した各懸念の個別評価値を合計した合計評価値が第1閾値より低い第2閾値未満である場合、当該範囲におけるリスクランクをリスクランク低としたリスクランク情報を生成する。また、生成部41Bは、算出した各懸念の個別評価値を合計した合計評価値が第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合、当該範囲におけるリスクランクをリスクランク中としたリスクランク情報を生成する。
【0077】
ここで、生成部41Bは、懸念の被害者の年齢とユーザの年齢との差分が所定値未満である場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。一例として、生成部41Bは、リスク情報として取得した懸念(例:交通事故)の被害者の年齢と記憶部44に格納されているユーザの年齢との差分が所定値、例えば、3未満である場合、当該懸念の個別評価値に1.1を乗算する。
【0078】
また、生成部41Bは、懸念の発生時刻が予め設定されたユーザの登下校の時間帯と共通する場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。一例として、生成部41Bは、リスク情報として取得した懸念(例:交通事故)の発生時刻が記憶部44に格納されているユーザの登下校の時間帯と共通する場合、当該懸念の個別評価値に1.1を乗算する。ユーザの登下校の時間帯は「ユーザの移動時間帯」の一例である。
【0079】
また、生成部41Bは、懸念が発生したときの天候がユーザの登校日の天候と共通する場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。一例として、生成部41Bは、リスク情報として取得した過去に懸念(例:交通事故)が発生したときの天候が記憶部44に格納されているユーザの登校日の天候と雨で共通する場合、当該懸念の個別評価値に1.1を乗算する。ユーザの登校日は「ユーザが路上を移動する日」の一例である。
【0080】
また、生成部41Bは、懸念の被害者の被害状況が悪い場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。一例として、生成部41Bは、交通事故の被害者の被害状況が重傷又は死亡である場合に被害者の被害状況が悪いと判定する。そして、生成部41Bは、リスク情報として取得した懸念(例:交通事故)の被害状況が悪い場合、当該懸念の個別評価値に1.1を乗算する。
【0081】
また、生成部41Bは、記憶部44に格納されたユーザの現在位置、当該現在位置の測定日時、及び安全行動を促す通学路上の範囲におけるユーザの安全行動の実施結果を用いて、当該安全行動の実施結果を踏まえたユーザの移動軌跡を生成する。生成部41Bは、生成したユーザの移動軌跡を記憶部44に格納する。
【0082】
送信部41Cは、生成部41Bが生成したリスクランク情報をユーザ装置20に送信する。また、送信部41Cは、記憶部44に格納されている範囲情報を定期的にユーザ装置20に送信する。さらに、送信部41Cは、記憶部44に格納されている通学路上の範囲における安全行動の実施結果を踏まえたユーザの移動軌跡を定期的に監督者装置60に送信する。
【0083】
次に、監督者装置60のハードウェア構成を説明する。図6は、監督者装置60のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0084】
図6に示すように、監督者装置60は、CPU61、ROM62、RAM63、記憶部64、入力部65、表示部66、及び通信部67を備えている。各構成は、バス68を介して相互に通信可能に接続されている。
【0085】
CPU61は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU61は、ROM62又は記憶部64からプログラムを読み出し、RAM63を作業領域としてプログラムを実行する。CPU61は、ROM62又は記憶部64に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0086】
ROM62は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM63は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0087】
記憶部64は、eMMC又はUFS等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。
【0088】
入力部65は、各種ボタン、マイク、及びカメラ等を含み、各種の入力を行うために使用される。
【0089】
表示部66は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示する。表示部66は、タッチパネル方式を採用しており、入力部65としても機能する。
【0090】
通信部67は、ユーザ装置20及びサーバ40と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。通信部67は、ネットワークNに対して接続されている。
【0091】
ここで、監督者装置60のCPU61は、通学路上におけるユーザの移動軌跡をサーバ40に対して要求する。そして、CPU61は、取得した通学路上の範囲における安全行動の実施結果を踏まえたユーザの移動軌跡を表示部66に表示させる。
【0092】
また、CPU61は、監督者による通学路上における確認範囲及び退避範囲の指定を受付ける。そして、CPU61は、指定を受付けた確認範囲及び退避範囲を示す位置情報をサーバ40に送信する。
【0093】
次に、ユーザ装置20により実行される処理の流れについて説明する。
図7は、ユーザ装置20による報知部38に報知を実行させる実行タイミングを調整する調整処理の流れを示す第1のフローチャートである。CPU31が記憶部34から制御プログラム34Aを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、調整処理が行われる。
【0094】
図7に示すステップS10において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS11に進む。
【0095】
ステップS11において、CPU31は、サーバ40から取得した範囲情報が示す範囲のうち、ステップS10で取得したユーザの現在位置の付近の範囲についてのリスクランクを示すリスクランク情報をサーバ40から取得する。まず、CPU31は、現在位置の付近の範囲を示す位置情報を含んだリスクランク要求をサーバ40に送信する。そして、CPU31は、リスクランク要求に対する応答してサーバ40から送信されたリスクランク情報を取得する。そして、ステップS12に進む。なお、現在位置の付近の範囲とは、現在位置に最も近い範囲を含む一又は複数の範囲である。
【0096】
ステップS12において、CPU31は、ステップS11で取得したリスクランク情報が示すリスクランクがリスクランク高であるか否かを判定し、リスクランク高であると判定した場合(ステップS12:YES)はステップS13に進む。一方、CPU31によりリスクランクがリスクランク高でないと判定された場合(ステップS12:NO)はステップS14に進む。
【0097】
ステップS13において、CPU31は、図8に示す後述する実行処理で判定に用いる所定距離に第1距離を設定する。そして、調整処理を終了する。
【0098】
ステップS14において、CPU31は、ステップS11で取得したリスクランク情報が示すリスクランクがリスクランク低であるか否かを判定し、リスクランク低であると判定した場合(ステップS14:YES)はステップS15に進む。一方、CPU31によりリスクランクがリスクランク低でないと判定された場合(ステップS14:NO)はステップS16に進む。
【0099】
ステップS15において、CPU31は、図8に示す実行処理で判定に用いる所定距離に、第1距離より短い第2距離を設定する。そして、調整処理を終了する。
【0100】
ステップS16において、CPU31は、図8に示す実行処理で判定に用いる所定距離に、第1距離より短く第2距離より長い第3距離を設定する。そして、調整処理を終了する。
【0101】
なお、図7では図示を省略しているが、ステップS11で現在位置の付近の範囲として複数の範囲についてのリスクランクを示すリスクランク情報を取得した場合は、CPU31により、各範囲のリスクランクに対してステップS12以降の処理が実行される。
【0102】
図8は、ユーザ装置20による報知部38に報知を実行させる実行処理の流れを示す第1のフローチャートである。CPU31が記憶部34から制御プログラム34Aを読み出して、RAM33に展開して実行することにより、実行処理が行われる。また、CPU31は、図7に示す調整処理の実行後に図8に示す実行処理を開始する。
【0103】
図8に示すステップS20において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS21に進む。
【0104】
ステップS21において、CPU31は、ステップS20で取得したユーザの現在位置と、サーバ40から取得した範囲情報が示す範囲のうち、当該現在位置の付近の範囲の境界との間の距離Dを算出する。そして、ステップS22に進む。
【0105】
ステップS22において、CPU31は、ステップS21で算出した距離Dが所定距離以内であるか否かを判定し、所定距離以内であると判定した場合(ステップS22:YES)はステップS23に進む。一方、CPU31により距離Dが所定距離以内でないと判定された場合(ステップS22:NO)はステップS20に戻る。ここで、上記のように、当該ステップS22の所定距離には、図7に示す調整処理で決定された第1距離、第2距離、又は第3距離の何れかが設定される。
【0106】
ステップS23において、CPU31は、現在位置の付近の範囲に応じた報知を報知部38に指示する。その結果、報知部38は、現在位置の付近の範囲に応じた報知を実行する。そして、ステップS24に進む。
【0107】
ステップS24において、CPU31は、センサ37が測定したユーザ装置20の移動による角速度に基づいて、ユーザの動作を解析する。一例として、CPU31は、当該角速度に基づいてユーザ装置20が移動(回転)した回転角を検出し、当該回転角からユーザの動作として安全行動の実施の有無を解析する。そして、ステップS25に進む。
【0108】
ステップS25において、CPU31は、ユーザが安全行動を実施したか否かを判定し、実施したと判定した場合(ステップS25:YES)はステップS29に進む。一方、CPU31によりユーザが安全行動を実施していないと判定された場合(ステップS25:NO)はステップS26に進む。一例として、CPU31は、ステップS24で検出した回転角が所定角度以上である場合、安全行動として左右確認を実施したと判定し、所定角度未満である場合、安全行動として左右確認を実施していないと判定する。
【0109】
ステップS26において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS27に進む。
【0110】
ステップS27において、CPU31は、ステップS26で取得したユーザの現在位置と、サーバ40から取得した範囲情報が示す範囲のうち、当該現在位置の付近の範囲の境界との間の距離Dを算出する。そして、ステップS28に進む。
【0111】
ステップS28において、CPU31は、ステップS27で算出した距離Dが所定距離より長いか否かを判定し、所定距離より長いと判定した場合(ステップS28:YES)はステップS29に進む。一方、CPU31により距離Dが所定距離より長くないと判定された場合(ステップS28:NO)はステップS24に戻る。ここで、上記のように、当該ステップS28の所定距離には、図7に示す調整処理で決定された第1距離、第2距離、又は第3距離の何れかが設定される。
【0112】
ステップS29において、CPU31は、ユーザの安全行動の実施結果、具体的には、安全行動の実施の有無を示す情報を記憶部34に格納する。そして、実行処理を終了する。
【0113】
次に、サーバ40により実行される処理の流れについて説明する。
図9は、サーバ40によるリスクランク情報を生成する生成処理の流れを示すフローチャートである。CPU41が記憶部44から生成プログラム44Aを読み出して、RAM43に展開して実行することにより、生成処理が行われる。一例として、CPU41は、ユーザ装置20から送信されたリスクランク要求を取得した場合に生成処理を開始する。
【0114】
図9に示すステップS30において、CPU41は、ユーザ装置20から送信されたリスクランク要求に含まれる位置情報が示す範囲についてのリスク情報を記憶部44から取得する。そして、ステップS31に進む。
【0115】
ステップS31において、CPU41は、ステップS30で取得したリスク情報に基づいてリスクランク情報を生成する。そして、ステップS32に進む。
【0116】
ステップS32において、CPU41は、ステップS31で生成したリスクランク情報をユーザ装置20に送信する。そして、生成処理を終了する。
【0117】
次に、図10を用いて、第1の実施形態において、ユーザ装置20のCPU31が実行タイミングを調整する具体例について説明する。
【0118】
図10には、範囲情報が示す範囲として、過去に交通事故が発生した確認範囲である範囲Aが示されている。ここで、CPU31は、サーバ40から取得したリスクランク情報が示す範囲Aにおけるリスクランクがリスクランク高である場合、所定距離に第1距離を設定する。その結果、ユーザ装置20が範囲Aまで第1距離以内に近付くと、CPU31は、範囲Aに応じた報知を報知部38に実行させる制御を行う。また、CPU31は、範囲Aにおけるリスクランクがリスクランク低である場合、所定距離に第2距離を設定する。その結果、ユーザ装置20が範囲Aまで第2距離以内に近付くと、CPU31は、範囲Aに応じた報知を報知部38に実行させる制御を行う。さらに、CPU31は、範囲Aにおけるリスクランクがリスクランク中である場合、所定距離に第3距離を設定する。その結果、ユーザ装置20が範囲Aまで第3距離以内に近付くと、CPU31は、範囲Aに応じた報知を報知部38に実行させる制御を行う。
【0119】
以上説明したように、ユーザ装置20では、CPU31は、安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクを示すリスクランク情報を取得する。そして、CPU31は、取得したリスクランク情報に基づいて、安全行動を促す通学路上の範囲に応じた報知を報知部38に実行させる実行タイミングを調整する。これにより、当該ユーザ装置20では、通学路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【0120】
また、ユーザ装置20では、CPU31は、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク高である場合、実行タイミングを基本タイミングより早くする。また、CPU31は、リスクランク情報が示す当該範囲におけるリスクランクがリスクランク低である場合、実行タイミングを基本タイミングより遅くする。これにより、当該ユーザ装置20では、安全行動を促す通学路上の範囲のうち、リスクランクが高い範囲については早い段階でユーザに注意力を高めさせることができる。また、当該ユーザ装置20では、安全行動を促す通学路上の範囲のうち、リスクランクが低い範囲については直前までユーザに注意力を温存させておくことができる。
【0121】
また、サーバ40では、CPU41は、リスクランク情報を生成する。そして、CPU41は、生成したリスクランク情報をユーザ装置20に送信する。これにより、当該サーバ40では、ユーザ装置20が安全行動を促す通学路上の範囲に応じた報知を報知部38に実行させる実行タイミングを調整するための当該範囲におけるリスクランク情報を生成することで、通学路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【0122】
また、サーバ40では、CPU41は、懸念の発生時刻、懸念が発生したときの天候、懸念の被害者の年齢、及び懸念の被害者の被害状況を含むリスク情報に基づいて、安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランク情報を生成する。これにより、当該サーバ40では、懸念の発生時刻、懸念が発生したときの天候、懸念の被害者の年齢、及び懸念の被害者の被害状況を踏まえて、通学路上を移動中のユーザに安全行動を促す報知を実行するタイミングを調整することができる。
【0123】
また、サーバ40では、CPU41は、懸念の被害者の年齢とユーザの年齢との差分が所定値未満である場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバ40では、懸念の被害者の年齢とユーザの年齢とが近い場合、当該懸念が過去に発生した安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクを高める調整が行える。
【0124】
また、サーバ40では、CPU41は、懸念の発生時刻が予め設定されたユーザの登下校の時間帯と共通する場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバ40では、懸念の発生時刻がユーザの登下校の時間帯と共通する場合、当該懸念が過去に発生した安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクを高める調整が行える。
【0125】
また、サーバ40では、CPU41は、懸念が発生したときの天候がユーザの登校日の天候と共通する場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバ40では、懸念が発生したときの天候がユーザの登校日の天候と共通する場合、当該懸念が過去に発生した安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクを高める調整が行える。
【0126】
また、サーバ40では、CPU41は、懸念の被害者の被害状況が悪い場合、リスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行う。これにより、当該サーバ40では、懸念の被害者の被害状況が悪い場合、当該懸念が過去に発生した安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクを高める調整が行える。
【0127】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る安全教育システム10の第2の実施形態について、他の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0128】
図11は、ユーザ装置20の機能構成の例を示す第2のブロック図である。
図11に示すように、ユーザ装置20のCPU31は、機能構成として、取得部31A、制御部31B、拡大部31C、及び縮小部31Dを有する。各機能構成は、CPU31が記憶部34に記憶された制御プログラム34Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0129】
拡大部31Cは、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク高である場合に当該範囲を拡大する。このとき、拡大部31Cは、リスクランクがリスクランク高である当該範囲を、他の安全行動を促す通学路上の範囲と重複しないように拡大する。
【0130】
縮小部31Dは、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク低である場合に当該範囲を縮小する。
【0131】
そして、第2の実施形態における制御部31Bは、通学路上を移動中のユーザの現在位置が安全行動を促す通学路上の範囲に含まれた場合に、当該範囲に応じた報知を報知部38に実行させる。
【0132】
次に、ユーザ装置20により実行される処理の流れについて説明する。
図12は、ユーザ装置20による調整処理の流れを示す第2のフローチャートである。なお、図12に示すフローチャートのうち、ステップS17及びステップS18以外の各ステップにおける処理は図7に示すフローチャートと同様のため、説明を省略又は簡略する。
【0133】
図12に示すステップS12において、CPU31は、ステップS11で取得したリスクランク情報が示すリスクランクがリスクランク高であるか否かを判定し、リスクランク高であると判定した場合(ステップS12:YES)はステップS17に進む。一方、CPU31によりリスクランクがリスクランク高でないと判定された場合(ステップS12:NO)はステップS14に進む。
【0134】
ステップS17において、CPU31は、サーバ40から取得した範囲情報が示す範囲のうち、ステップS10で取得したユーザの現在位置の付近の範囲を拡大する。そして、調整処理を終了する。
【0135】
ステップS14において、CPU31は、ステップS11で取得したリスクランク情報が示すリスクランクがリスクランク低であるか否かを判定し、リスクランク低であると判定した場合(ステップS14:YES)はステップS18に進む。一方、CPU31によりリスクランクがリスクランク低でないと判定された場合(ステップS14:NO)は調整処理を終了する。
【0136】
ステップS18において、CPU31は、サーバ40から取得した範囲情報が示す範囲のうち、ステップS10で取得したユーザの現在位置の付近の範囲を縮小する。そして、調整処理を終了する。
【0137】
図13は、ユーザ装置20による実行処理の流れを示す第2のフローチャートである。なお、図13に示すフローチャートのうち、ステップS35及びステップS36以外の各ステップにおける処理は図8に示すフローチャートと同様のため、説明を省略又は簡略する。また、CPU31は、図12に示す調整処理の実行後に図13に示す実行処理を開始する。
【0138】
図13に示すステップS20において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS35に進む。
【0139】
ステップS35において、CPU31は、ステップS20で取得したユーザの現在位置が、サーバ40から取得した範囲情報が示す何れかの範囲に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合(ステップS35:YES)はステップS23に進む。一方、CPU31によりユーザの現在位置が、当該範囲情報が示す何れかの範囲に含まれないと判定された場合(ステップS35:NO)はステップS20に戻る。ここで、当該ステップS35の範囲には、図12に示す調整処理で決定された範囲、又は予め定めた通常の範囲の何れかが設定される。
【0140】
ステップS26において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS36に進む。
【0141】
ステップS36において、CPU31は、ステップS26で取得したユーザの現在位置が、サーバ40から取得した範囲情報が示す何れかの範囲に含まれないか否かを判定し、含まれないと判定した場合(ステップS36:YES)はステップS29に進む。一方、CPU31によりユーザの現在位置が、当該範囲情報が示す何れかの範囲に含まれると判定された場合(ステップS36:NO)はステップS24に戻る。
【0142】
ここで、図14は、安全行動を促す通学路上の範囲を説明する第1の説明図である。図14には、範囲情報が示す範囲として、過去に交通事故が発生した確認範囲である範囲Aが示されている。そして、図14では、範囲Aとして、左から順に、通常の範囲、通常の範囲を縮小した縮小後の範囲、及び通常の範囲を拡大した拡大後の範囲を示している。
【0143】
また、図15は、安全行動を促す通学路上の範囲を説明する第2の説明図である。図15には、範囲情報が示す範囲として、過去に交通事故が発生した確認範囲である範囲Aと、過去に不審者が目撃された退避範囲である範囲Bとが示されている。また、安全行動を促す通学路上の範囲において、範囲A及び範囲Bは隣接しており、範囲Aのリスクランクはリスクランク高であり、範囲Bのリスクランクはリスクランク中であるものとする。そして、図15では、範囲Aとして、範囲Aの通常の範囲(拡大前の範囲)を仮想線で示し、範囲Aの拡大後の範囲を実線で示している。このとき、範囲Aの拡大後の範囲は、隣接する範囲Bと重複していない。
【0144】
以上説明したように、ユーザ装置20では、CPU31は、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク高である場合に当該範囲を拡大する。そして、CPU31は、通学路上を移動中のユーザの現在位置が当該範囲に含まれた場合に、当該範囲に応じた報知を報知部38に実行させる。これにより、当該ユーザ装置20では、安全行動を促す通学路上の範囲のうち、リスクランクが高い範囲については広範囲においてユーザに注意を促すことができる。
【0145】
また、ユーザ装置20では、CPU31は、リスクランクがリスクランク高である安全行動を促す通学路上の範囲を、他の安全行動を促す通学路上の範囲と重複しないように拡大する。これにより、当該ユーザ装置20では、通学路上を移動中のユーザの現在位置が安全行動を促す通学路上の複数の範囲に含まれ、報知部38から複数の報知が実行されることでユーザが混乱することを防止できる。
【0146】
また、ユーザ装置20では、CPU31は、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク低である場合に当該範囲を縮小する。そして、CPU31は、通学路上を移動中のユーザの現在位置が当該範囲に含まれた場合に、当該範囲に応じた報知を報知部38に実行させる。これにより、当該ユーザ装置20では、安全行動を促す通学路上の範囲のうち、リスクランクが低い範囲については狭い範囲に絞ってユーザに注意を促すことができる。
【0147】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態に係る安全教育システム10の第3の実施形態について、他の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0148】
第3の実施形態における拡大部31Cは、リスクランクがリスクランク高である安全行動を促す通学路上の範囲を、他の安全行動を促す通学路上の範囲に関わらず、予め定めた範囲まで拡大する。そのため、第3の実施形態では、第2の実施形態と異なり、通学路上を移動中のユーザの現在位置が安全行動を促す通学路上の複数の範囲に含まれる場合が存在する。
【0149】
次に、ユーザ装置20により実行される処理の流れについて説明する。
図16は、ユーザ装置20による実行処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、図16に示すフローチャートのうち、ステップS40及びステップS41以外の各ステップにおける処理は図13に示すフローチャートと同様のため、説明を省略又は簡略する。また、CPU31は、図12に示す調整処理の実行後に図16に示す実行処理を開始する。
【0150】
図16に示すステップS35において、CPU31は、ステップS20で取得したユーザの現在位置が、サーバ40から取得した範囲情報が示す何れかの範囲に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合(ステップS35:YES)はステップS40に進む。一方、CPU31によりユーザの現在位置が、当該範囲情報が示す何れかの範囲に含まれないと判定された場合(ステップS35:NO)はステップS20に戻る。ここで、当該ステップS35の範囲には、図12に示す調整処理で決定された範囲、又は予め定めた通常の範囲の何れかが設定される。
【0151】
ステップS40において、CPU31は、ステップS20で取得したユーザの現在位置が、サーバ40から取得した範囲情報が示す複数の範囲に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合(ステップS40:YES)はステップS41に進む。一方、CPU31によりユーザの現在位置が、当該範囲情報が示す複数の範囲に含まれないと判定された場合(ステップS40:NO)はステップS23に進む。
【0152】
ステップS41において、CPU31は、複数の範囲のうち、リスクランクが高い範囲に応じた報知を優先するよう報知部38に指示する。その結果、報知部38は、リスクランクが高い範囲に応じた報知を他の報知に優先して実行する。そして、ステップS24に進む。
【0153】
次に、図17を用いて、第3の実施形態における、通学路上を移動中のユーザの現在位置が、範囲情報が示す複数の範囲に含まれる場合に、CPU31が何れの範囲に応じた報知を報知部38に優先して実行させるかについての優先制御の具体例を説明する。
【0154】
図17には、範囲情報が示す範囲として、過去に交通事故が発生した確認範囲である範囲Aと、過去に不審者が目撃された退避範囲である範囲Bとが示されている。また、安全行動を促す通学路上の範囲において、範囲A及び範囲Bは隣接しており、範囲Aのリスクランクはリスクランク高であり、範囲Bのリスクランクはリスクランク中であるものとする。そして、図17では、範囲Aとして、範囲Aの通常の範囲(拡大前の範囲)を仮想線で示し、範囲Aの拡大後の範囲を実線で示している。このとき、範囲Aの拡大後の範囲は、隣接する範囲Bと重複している。この場合、図17に示す範囲Aかつ範囲Bの位置にユーザ装置20があると、ユーザ装置20のCPU31は、範囲A及び範囲Bのうち、リスクランクが高い範囲Aに応じた報知を範囲Bに応じた報知に優先して報知部38に実行させる。
【0155】
以上説明したように、ユーザ装置20では、CPU31は、制御部31Bの機能として、通学路上を移動中のユーザの現在位置が安全行動を促す通学路上の複数の範囲に含まれる場合、複数の範囲のうち、リスクランク情報が示すリスクランクが最も高い範囲に応じた報知を報知部38に実行させる。これにより、当該ユーザ装置20では、通学路上を移動中のユーザに安全行動を促す複数の報知を実行可能な場合に、リスクランクが高い信頼性の高い範囲に応じた報知を他の報知に優先して実行させることができる。
【0156】
(第4の実施形態)
次に、本実施形態に係る安全教育システム10の第4の実施形態について、他の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0157】
図18は、ユーザ装置20の機能構成の例を示す第3のブロック図である。
図18に示すように、ユーザ装置20のCPU31は、機能構成として、取得部31A制御部31B、及び設定部31Eを有する。各機能構成は、CPU31が記憶部34に記憶された制御プログラム34Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0158】
設定部31Eは、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク高である場合に当該範囲を同心円状に設定する。第4の実施形態では、当該範囲を同心円状に設定することで、同心円状に設定しない場合に比べて、当該範囲が拡大されている。一例として、設定部31Eは、当該範囲として、同心円状に3つの円エリアを設定する。以下、3つの円エリアのうち、円の半径が最大の円エリアを「エリア1」、円の半径が2番目に大きい円エリアを「エリア2」、円の半径が最小の円エリアを「エリア3」と記載する。
【0159】
第4の実施形態における制御部31Bは、通学路上を移動中のユーザの現在位置が安全行動を促す通学路上の範囲に含まれた場合に、当該範囲に応じた報知を報知部38に実行させる。
【0160】
また、制御部31Bは、設定部31Eが同心円状に設定した安全行動を促す通学路上の範囲の中心に近付くにつれて、報知部38に実行させる当該範囲に応じた報知の内容を変化させる。一例として、制御部31Bは、エリア1、エリア2、及びエリア3の各エリアにおいて、報知部38に実行させる当該範囲に応じた音声内容を変化させる。具体的には、制御部31Bは、エリア1、エリア2、及びエリア3の順に、報知部38から出力される音声の口調を厳しくさせる。
【0161】
なお、制御部31Bは、通学路上を移動中のユーザの現在位置が一のエリアから移動していなくとも、当該エリアに含まれてから所定時間が経過する都度、当該エリアに応じた報知を報知部38に実行させる。
【0162】
次に、ユーザ装置20により実行される処理の流れについて説明する。
図19は、ユーザ装置20による調整処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、図19に示すフローチャートのうち、ステップS19以外の各ステップにおける処理は図7に示すフローチャートと同様のため、説明を省略又は簡略する。
【0163】
図19に示すステップS12において、CPU31は、ステップS11で取得したリスクランク情報が示すリスクランクがリスクランク高であるか否かを判定し、リスクランク高であると判定した場合(ステップS12:YES)はステップS19に進む。一方、CPU31によりリスクランクがリスクランク高でないと判定された場合(ステップS12:NO)は調整処理を終了する。
【0164】
ステップS19において、CPU31は、サーバ40から取得した範囲情報が示す範囲のうち、ステップS10で取得したユーザの現在位置の付近の範囲を同心円状に設定する。そして、調整処理を終了する。
【0165】
図20は、ユーザ装置20による実行処理の流れを示す第4のフローチャートである。CPU31は、図19に示す調整処理で現在位置の付近の範囲を同心円状に設定した場合に図20に示す実行処理を開始する。
【0166】
図19に示すステップS50において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS51に進む。
【0167】
ステップS51において、CPU31は、ステップS50で取得したユーザの現在位置が、図19に示す調整処理で設定した円エリアのエリア1に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合(ステップS51:YES)はステップS52に進む。一方、CPU31によりユーザの現在位置がエリア1に含まれないと判定された場合(ステップS51:NO)はステップS50に戻る。
【0168】
ステップS52において、CPU31は、エリア1に応じた報知を報知部38に指示する。その結果、報知部38は、エリア1に応じた報知を実行する。そして、ステップS53に進む。
【0169】
ステップS53において、CPU31は、センサ37が測定したユーザ装置20の移動による角速度に基づいて、ユーザの動作を解析する。そして、ステップS54に進む。
【0170】
ステップS54において、CPU31は、ユーザが安全行動を実施したか否かを判定し、実施したと判定した場合(ステップS54:YES)はステップS59に進む。一方、CPU31によりユーザが安全行動を実施していないと判定された場合(ステップS54:NO)はステップS55に進む。
【0171】
ステップS55において、CPU31は、GPS装置36が測定したユーザの現在位置を取得する。そして、ステップS56に進む。
【0172】
ステップS56において、CPU31は、ステップS55で取得したユーザの現在位置が円エリアに含まれないか否かを判定し、含まれないと判定した場合(ステップS56:YES)はステップS59に進む。一方、CPU31によりユーザの現在位置が円エリアに含まれると判定された場合(ステップS56:NO)はステップS57に進む。
【0173】
ステップS57において、CPU31は、円エリアにおける報知タイミングが到来したか否かを判定し、到来したと判定した場合(ステップS57:YES)はステップS58に進む。一方、CPU31により報知タイミングが到来していないと判定された場合(ステップS57:NO)はステップS53に戻る。一例として、CPU31は、ステップS55で取得したユーザの現在位置が、一のエリアに含まれてから所定時間が経過した場合、又は異なるエリアに移動した場合に報知タイミングが到来したと判定する。
【0174】
ステップS58において、CPU31は、エリアに応じた報知を報知部38に指示する。その結果、報知部38は、当該エリアに応じた報知を実行する。そして、ステップS53に戻る。
【0175】
ステップS59において、CPU31は、ユーザの安全行動の実施結果、具体的には、安全行動の実施の有無を示す情報を記憶部34に格納する。そして、実行処理を終了する。
【0176】
ここで、図21は、安全行動を促す通学路上の範囲を説明する第3の説明図である。図21には、範囲情報が示す範囲として、過去に交通事故が発生した確認範囲である範囲Aが同心円状の3つの円エリアで示されている。この場合、図21に示すユーザ装置20の位置がエリア1に含まれると、ユーザ装置20のCPU31は、エリア1に応じた報知を報知部38に実行させる。また、当該ユーザ装置20の位置がエリア2に含まれると、CPU31は、エリア2に応じた報知を報知部38に実行させる。さらに、当該ユーザ装置20の位置がエリア3に含まれると、CPU31は、エリア3に応じた報知を報知部38に実行させる。
【0177】
以上説明したように、ユーザ装置20では、CPU31は、リスクランク情報が示す安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク高である場合に当該範囲を同心円状に設定する。そして、CPU31は、通学路上を移動中のユーザの現在位置が安全行動を促す通学路上の範囲に含まれた場合に、当該範囲に応じた報知を報知部38に実行させる。これにより、当該ユーザ装置20では、安全行動を促す通学路上の範囲のうち、リスクランクが高い範囲については広範囲においてユーザに注意を促すことができる。
【0178】
また、ユーザ装置20では、CPU31は、同心円状に設定した安全行動を促す通学路上の範囲の中心に近付くにつれて、報知部38に実行させる当該範囲に応じた報知の内容を変化させる。これにより、当該ユーザ装置20では、当該範囲に応じた報知の内容が変化しない場合に比べて、当該報知に対するユーザの注目度を高めることができる。
【0179】
(その他)
上記実施形態では、ユーザ装置20は、ユーザが背負うランドセルの肩紐に装着されているとしたが、ユーザ装置20の装着場所は限定されない。例えば、ユーザ装置20は、ユーザの衣服及び身体等に装着されていてもよい。また、ユーザ装置20をスマートフォンのような携帯装置とした場合は、ユーザの衣服のポケットに収納されていてもよい。
【0180】
上記実施形態では、親をユーザの監督者としたが、ユーザの監督者は限定されない。例えば、ユーザの監督者は、兄姉及び祖父母等の他の親族でもよいし、小学校の教員及び学童保育の指導員等の親族以外の者でもよい。
【0181】
上記実施形態では、ユーザを小学校低学年の子どもとしたが、ユーザの年齢は限定されない。例えば、ユーザは、未就学児、小学校高学年、中学生、及び高校生等の子どもであってもよいし、子どもに限らず高齢者であってもよい。
【0182】
上記実施形態では、通学路上を路上の一例としたが、当該通学路は、学校と自宅との間の通学路であってもよいし、運動及び塾等の習い事の施設と自宅との間の通学路であってもよい。
【0183】
上記実施形態では、報知部38は、振動及び音声を用いて報知を実行したが、これに限らず、振動又は音声の一方を用いて報知を実行してもよい。また、報知部38は、振動及び音声に加えて、ユーザ装置20にモニタを設けた場合にはモニタを用いて報知を実行してもよい。
【0184】
上記実施形態において、通学路上を移動中のユーザに安全行動を促す複数の報知を実行可能な場合に、所定の報知を他の報知に優先して実行させることは、ユーザ装置20のCPU31が、所定の報知を報知部38に実行させた後に、他の報知に応じた報知を報知部38に実行させることでもよい。また、所定の報知を他の報知に優先して実行させることは、CPU31が、所定の報知を報知部38に実行させ、他の報知を報知部38に実行させない制御を行うことであってもよい。
【0185】
上記実施形態では、ユーザ装置20は、サーバ40から範囲情報を取得したが、これに加えて、監督者装置60から範囲情報を取得してもよい。
【0186】
上記実施形態において、サーバ40は、外部装置から、通学路上において過去に交通事故が発生した確認範囲及び過去に不審者が目撃された退避範囲等を示す位置情報を取得した。このとき、当該外部装置は、所定の事業者が保有するサーバコンピュータ及び車両が備えるDCM(Data Communication Module)等が適用される。外部装置がDCMである場合、DCMは、DCMデータから得られる車両走行データをサーバ40に送信する。そして、サーバ40は、取得した車両走行データから、過去に交通事故が発生した確認範囲及び過去に危険運転(例:一時停止違反及び速度超過等)が発生した確認範囲等を示す位置情報を抽出し、抽出した位置情報を範囲情報として記憶部44に格納してもよい。
【0187】
上記実施形態では、ユーザ装置20は、サーバ40からリスクランク情報として、リスクランク低、リスクランク中、又はリスクランク高の何れかを取得したが、リスクランク情報はこれに限られない。例えば、ユーザ装置20は、サーバ40からリスクランク情報として、安全行動を促す通学路上の範囲における各懸念の個別評価値を合計した合計評価値を取得してもよい。この場合、ユーザ装置20は、リスクランク情報として取得した当該範囲における合計評価値に基づいて、当該範囲に応じた報知を報知部38に実行させる実行タイミングを調整する。
【0188】
上記実施形態では、サーバ40は、所定条件下でリスクランク情報が示すリスクランクが高くなるよう重み付けを行っていたが、これに加えて、所定条件下でリスクランク情報が示すリスクランクが低くなるよう重み付けを行ってもよい。例えば、サーバ40は、生成部41Bの機能として、懸念の被害者の年齢とユーザの年齢との差分が所定値以上である場合、リスクランク情報が示すリスクランクが低くなるよう重み付けを行ってもよい。また、サーバ40は、生成部41Bの機能として、懸念の発生時刻がユーザの登下校の時間帯と所定時間以上乖離する場合、リスクランク情報が示すリスクランクが低くなるよう重み付けを行ってもよい。また、サーバ40は、生成部41Bの機能として、懸念が発生したときの天候がユーザの登校日の天候と異なる場合、リスクランク情報が示すリスクランクが低くなるよう重み付けを行ってもよい。また、サーバ40は、生成部41Bの機能として、懸念の被害者の被害状況が軽い場合、リスクランク情報が示すリスクランクが低くなるよう重み付けを行ってもよい。
【0189】
上記実施形態では、サーバ40は、交通事故の被害者の被害状況が重傷又は死亡である場合に被害者の被害状況が悪いと判定したが、当該判定内容は懸念の種類に応じて異なる。例えば、サーバ40は、リスク情報として取得した懸念が不審者の目撃である場合、不審者による被害者の被害状況が声かけ又は誘拐未遂であるときに被害者の被害状況が悪いと判定する。
【0190】
上記実施形態では、ユーザ装置20は、同心円状に設定した安全行動を促す通学路上の範囲に応じた報知の内容を変化させることを、音声内容を変化させることとした。しかし、これに限らず、振動内容を変化させることでもよいし、音声内容及び振動内容を変化させることでもよい。
【0191】
上記実施形態では、ユーザ装置20は、ユーザが通学路上を移動している際にリアルタイムに調整処理を実行したが、これに限らず、調整処理をユーザが通学路上を移動していないときに実行してもよい。この場合、サーバ40は、ユーザが通学路上を移動していないとき、例えば、各日の深夜の時間帯に生成処理を実行して、通学路上の各範囲におけるリスクランク情報を生成(更新)する。そして、サーバ40は、生成したリスクランク情報をユーザ装置20に送信する。リスクランク情報を取得したユーザ装置20は、深夜の時間帯に調整処理を実行して、翌日における通学路上の各範囲に応じた報知を報知部38に実行させる実行タイミングを調整する。
【0192】
上記実施形態では、ユーザ装置20は、リスクランクがリスクランク高である場合に実行タイミングを基本タイミングより早くし、リスクランクがリスクランク低である場合に実行タイミングを基本タイミングより遅くした。しかし、これに限らず、ユーザ装置20は、安全行動を促す通学路上の範囲におけるリスクランクがリスクランク高である場合、報知部38に実行させる報知の頻度を多くし、リスクランクがリスクランク低である場合、報知部38に実行させる報知の頻度を少なくしてもよい。
【0193】
なお、上記実施形態でCPU31がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した調整処理及び実行処理、並びにCPU41がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した生成処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、調整処理、実行処理、及び生成処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0194】
また、上記実施形態では、制御プログラム34Aが記憶部34に生成プログラム44Aが記憶部44に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。制御プログラム34A及び生成プログラム44Aは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、制御プログラム34A及び生成プログラム44Aは、ネットワークNを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0195】
10 安全教育システム
20 ユーザ装置
31A 取得部
31B 制御部
31C 拡大部
31D 縮小部
31E 設定部
34A 制御プログラム
40 サーバ
41B 生成部
41C 送信部
44A 生成プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21