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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】サーバ、システム、および、方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20250527BHJP
【FI】
G06Q30/0241
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022134847
(22)【出願日】2022-08-26
(65)【公開番号】P2024031346
(43)【公開日】2024-03-07
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓田 修
(72)【発明者】
【氏名】大西 陽一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 郁真
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/009977(WO,A1)
【文献】特開2003-263573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0205230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両から電力系統への給電および前記電力系統から前記電動車両への充電の少なくとも一方を含む電力制御に関する情報を取得する取得部と、
前記電動車両のユーザが所有する端末におけるネットサービスの利用時の表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電動車両が前記電力制御の実行要求に応じた場合に、前記電動車両が前記実行要求に応じていない場合と比べて、前記端末への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成し、
前記制御部は、前記電動車両による前記電力制御の貢献度が高い程、前記広告の配信を抑制する度合いを大きくし、
前記電力制御が行われる時間帯および地域の少なくとも一方における電力の需給調整要求が大きい程、前記貢献度が高い、サーバ。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力制御を行う前記電動車両に蓄えられている電力における再生エネルギーの比率が高い程、前記広告の配信を抑制する度合いを大きくする、請求項に記載のサーバ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザにより設定された時間帯または期間中に前記広告の配信を抑制する、請求項1または2に記載のサーバ。
【請求項4】
電動車両から電力系統への給電および前記電力系統から前記電動車両への充電の少なくとも一方を含む電力制御を管理する第1のサーバと、
前記電動車両のユーザが所有する端末におけるネットサービスの利用時の広告の配信を管理する第2のサーバとを備え、
前記第1のサーバは、前記電動車両が前記電力制御の実行要求に応じた場合に、前記電動車両が前記実行要求に応じていない場合と比べて、前記端末への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成し、
前記第2のサーバは、前記プログラム指令に基づき、前記端末への前記広告の配信を抑制し、
前記第1のサーバは、前記電動車両による前記電力制御の貢献度が高い程、前記広告の配信を抑制する度合いを大きくし、
前記電力制御が行われる時間帯および地域の少なくとも一方における電力の需給調整要求が大きい程、前記貢献度が高い、システム。
【請求項5】
電動車両から電力系統への給電および前記電力系統から前記電動車両への充電の少なくとも一方を含む電力制御に関する情報を取得するステップと、
前記電動車両のユーザが所有する端末におけるネットサービスの利用時の広告の配信を管理するステップとを備え、
前記管理するステップは、前記電動車両が前記電力制御の実行要求に応じた場合に、前記電動車両が前記実行要求に応じなかった場合と比べて、前記端末への前記広告の配信を抑制するステップを含み、
前記広告の配信を抑制するステップは、前記電動車両による前記電力制御の貢献度が高い程、前記広告の配信を抑制する度合いを大きくする抑制度合い調整工程を含み、
前記抑制度合い調整工程は、前記電力制御が行われる時間帯および地域の少なくとも一方における電力の需給調整要求が大きい程、前記広告の配信を抑制する度合いを大きくする工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ、システム、および、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-129441号公報(特許文献1)には、互いに接続される電動車両と充放電スタンドとの間の電力の充放電を制御するサーバが開示されている。上記充放電により、電力網における電力需要の平準化が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-129441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、電力網における電力需要の平準化等を目的に、電動車両による充放電(電力制御)を促進させることが望まれている。上記特許文献1のサーバは、電動車両による充放電を促進させることが考慮されていない点において改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電動車両による電力制御(充放電)を促進させることが可能なサーバ、システム、および、方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に係るサーバは、電動車両から電力系統への給電および電力系統から電動車両への充電の少なくとも一方を含む電力制御に関する情報を取得する取得部と、電動車両のユーザが所有する端末におけるネットサービスの利用時の表示を制御する制御部と、を備える。制御部は、電動車両が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両が実行要求に応じていない場合と比べて、端末への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成する。
【0007】
本開示の第1の局面に係るサーバでは、上記のように、電動車両が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両が実行要求に応じていない場合と比べて、端末への広告の表示を抑制するためのプログラム指令が生成される。ここで、端末において広告の表示が抑制されることにより、ユーザが端末においてネットサービスを利用する際に、広告に起因するユーザのストレスを軽減することができる。これにより、電動車両のユーザに、積極的に電力制御を行わせることができる。その結果、電動車両による電力制御を促進させることができる。
【0008】
上記第1の局面に係るサーバにおいて、好ましくは、制御部は、電動車両による電力制御の貢献度が高い程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。このように構成すれば、電動車両のユーザがより積極的に電力制御を行うので、電動車両による電力制御をより促進させることができる。
【0009】
この場合、好ましくは、制御部は、電力制御が行われる時間帯および地域の少なくとも一方における電力の需給調整要求が大きい程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。このように構成すれば、電力の需給調整要求が大きい時間帯および地域の少なくとも一方における電力制御が促進されるので、電力の需給調整要求を容易に満たすことができる。
【0010】
上記電力制御の貢献度が高い程広告の配信を抑制する度合いを大きくするサーバにおいて、好ましくは、制御部は、電力制御を行う電動車両に蓄えられている電力における再生エネルギーの比率が高い程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。このように構成すれば、再生エネルギーを用いた電力制御を促進させることができる。
【0011】
上記第1の局面に係るサーバにおいて、好ましくは、制御部は、ユーザにより設定された時間帯または期間中に広告の配信を抑制する。このように構成すれば、ユーザが任意のタイミングで広告を抑制させることができる。その結果、ユーザにとって、広告を抑制させる上記制御の利便性を向上させることができる。
【0012】
本開示の第2の局面に係るシステムは、電動車両から電力系統への給電および電力系統から電動車両への充電の少なくとも一方を含む電力制御を管理する第1のサーバと、電動車両のユーザが所有する端末におけるネットサービスの利用時の広告の配信を管理する第2のサーバとを備える。第1のサーバは、電動車両が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両が実行要求に応じていない場合と比べて、端末への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成する。第2のサーバは、上記プログラム指令に基づき、端末への広告の配信を抑制する。
【0013】
本開示の第2の局面に係るシステムでは、上記のように、電動車両が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両が実行要求に応じていない場合と比べて、端末への広告の表示を抑制するためのプログラム指令が生成される。これにより、電動車両による電力制御を促進させることが可能なシステムを提供することができる。
【0014】
本開示の第3の局面に係る方法は、電動車両から電力系統への給電および電力系統から電動車両への充電の少なくとも一方を含む電力制御に関する情報を取得するステップと、電動車両のユーザが所有する端末におけるネットサービスの利用時の広告の配信を管理するステップと、を備える。上記管理するステップは、電動車両が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両が実行要求に応じなかった場合と比べて、端末への広告の配信を抑制するステップを含む。
【0015】
本開示の第3の局面に係る方法では、上記のように、電動車両が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両が実行要求に応じていない場合と比べて、端末への広告の表示が抑制される。これにより、電動車両による電力制御を促進させることが可能な方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、電動車両による電力制御(充放電)を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態によるシステムの構成を示す図である。
図2】電力制御の実行要求に応じた場合および電力制御の実行要求に応じていない場合(比較例)において配信されるデータを示した図である。
図3】電力の需給調整要求に応じて配信されるデータが変化することを示した図である。
図4】電力制御における充電/放電量等に応じて配信されるデータが変化することを示した図である。
図5】電動車両の再生エネルギー比率に応じて配信されるデータが変化することを示した図である。
図6】一実施形態による広告が抑制される方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本開示の実施の形態に係るシステム1の構成を示す図である。システム1は、サーバ100と、系統管理サーバ200と、配信管理サーバ300と、電力系統PGと、電動車両10と、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)20とを備える。なお、サーバ100は、本開示の「サーバ」および「第1のサーバ」の一例である。また、配信管理サーバ300は、本開示の「第2のサーバ」の一例である。
【0020】
電力系統PGは、図示しない発電所および送配電設備によって構築される電力網である。この実施の形態では、電力会社が発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PGを保守および管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。
【0021】
系統管理サーバ200は、電力系統PG(電力網)における電力需給を管理する。また、系統管理サーバ200は、電力会社に帰属する。系統管理サーバ200は、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる発電電力および消費電力に基づいて、電力系統PGの電力需要量を調整するための要求(需給調整要求)をサーバ100に送信する。具体的には、系統管理サーバ200は、上記電力調整リソースの発電電力または消費電力が通常時よりも大きくなると見込まれる場合(または現時点で大きい場合)に、それぞれ、通常時よりも電力需要量を増加または減少させるための要求をサーバ100に送信する。
【0022】
サーバ100は、アグリゲータが管理するサーバである。アグリゲータとは、地域や所定の施設等の複数の電力調整リソースを束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。サーバ100は、後述の電力制御を管理している。
【0023】
サーバ100は、電力系統PGの電力需要量を増加または減少させるための1つの手段として、電動車両10に「電力制御」を行うように要求(要請)する。電力制御とは、電力系統PGへの給電(外部給電)および電力系統PGからの充電(外部充電)を含む制御である。サーバ100は、電動車両10に上記要求をするための要求信号を、電動車両10または電動車両10のユーザ11が所有する携帯端末11a等に送信する。
【0024】
電力制御は、電動車両10と電力系統PGとの間においてEVSE20を介して行われる。電動車両10は、たとえば、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)、および、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)を含む。電動車両10は、カーナビゲーションシステム10aなどの車載端末を含む。なお、電動車両10は、外部給電および外部充電の一方のみが可能に構成されていてもよい。また、電動車両10は、DCM(Data Communication Module)を含んでいてもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。
【0025】
なお、携帯端末11aは、本開示の「端末」の一例である。カーナビゲーションシステム10aは、本開示の「端末」の他の一例である。以下、携帯端末11aとカーナビゲーションシステム10aとを区別しない場合、端末12と記載する。
【0026】
EVSE20は、車両用給電設備を意味する。電動車両10は、EVSE20に電気的に接続可能に構成される。たとえば、EVSE20につながる充電ケーブル21が電動車両10のインレットに接続されることによって、EVSE20と電動車両10との間で電力の授受を行うことが可能になる。
【0027】
また、サーバ100は、登録された複数の電動車両10の情報(以下、「車両情報」とも称する)と、登録された各ユーザの情報(以下、「ユーザ情報」とも称する)と、登録されたEVSE20の情報(以下、「EVSE情報」とも称する)と、を管理するように構成される。ユーザ情報、車両情報、および、EVSE情報は、識別情報(ID)で区別されて後述のメモリ102に記憶されている。
【0028】
ユーザIDは、ユーザを識別するための識別情報であり、ユーザに携帯される携帯端末11aを識別する情報(端末ID)としても機能する。サーバ100は、携帯端末11aから受信した情報をユーザIDごとに区別して保存するように構成される。ユーザ情報には、ユーザが携帯する携帯端末11aの通信アドレスと、ユーザに帰属する電動車両10の車両IDとが含まれる。
【0029】
車両IDは、電動車両10を識別するための識別情報である。車両IDは、ナンバープレートであってもよいし、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよい。車両情報には、各電動車両10の行動予定が含まれる。
【0030】
EVSE-IDは、EVSE20を識別するための識別情報である。EVSE情報には、各EVSE20の通信アドレスと、各EVSE20に接続された電動車両10の状態とが含まれる。また、EVSE情報には、互いに接続されている電動車両10とEVSE20との組合せを示す情報(たとえば、EVSE-IDと車両IDとの組合せ)も含まれる。
【0031】
配信管理サーバ300は、電動車両10のユーザ11の端末12において視聴可能な動画を配信するサービスを管理している。また、配信管理サーバ300は、上記動画における広告の配信を管理している。なお、動画配信サービスは、本開示の「ネットサービス」一例である。
【0032】
サーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信部103とを含む。なお、プロセッサ101および通信部103は、それぞれ、本開示の「制御部」および「取得部」の一例である。
【0033】
メモリ102には、プロセッサ101に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部103は、各種通信I/Fを含む。プロセッサ101は、通信部103を制御する。具体的には、プロセッサ101は、通信部103を通じて、系統管理サーバ200、電動車両10のDCM(または携帯端末11a)、EVSE20、および、配信管理サーバ300と通信する。
【0034】
通信部103は、電動車両10による電力制御に関する情報を取得する。具体的には、通信部103は、電力制御が行われた電動車両10とEVSE20との間における、充電/放電量、充電/放電時間、および、充電/放電が行われた時間帯等の情報を取得する。
【0035】
プロセッサ101は、ユーザ11の端末12における動画配信サービスの利用時の表示を制御する。
【0036】
ここで、従来のシステムに対して、電動車両による電力制御を促進させることが望まれている。そこで、本実施形態では、プロセッサ101は、電動車両10が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両10が上記実行要求に応じていない場合と比べて、端末12への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成する。上記プログラム指令は、サーバ100から配信管理サーバ300に送信される。
【0037】
これにより、図2に示すように、電力制御の実行要求に応じたユーザ11の端末12において広告が表示される頻度は、電力制御の実行要求に応じていないユーザ11の端末12において広告が表示される頻度(図2の比較例参照)よりも低く設定される。また、広告を抑制する具体例としては、各広告の長さが短くされてもよいし、スキップすることが可能な広告の割合を増加させてもよい。なお、図2に示す例では、電力制御の実行要求に応じたユーザ11の端末12において、通常時(比較例)に動画(本編)の冒頭に表示される広告、および、通常時に動画(本編)の途中で表示される広告の各々が省略(表示されないように制御)されている。
【0038】
また、プロセッサ101は、電動車両10による電力制御の貢献度が高い程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。上記貢献度は、後述の、電力の需給調整要求の高さ、電力制御における充電/放電量(または充電/放電時間)、および、電動車両10における再生エネルギー比率等に基いて、プロセッサ101により決定される。
【0039】
図3に示すように、プロセッサ101は、電動車両10による電力制御が行われた時間帯および地域における電力の需給調整要求が高い程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。なお、電力の需給調整要求が高い状態とは、電力系統PGの電力が逼迫している状態や、電力系統PGにおける電力の余剰が大きい状態等を示す。プロセッサ101は、系統管理サーバ200から送信される情報に基づいて、電力の需給調整要求の高さを判断する。
【0040】
また、図4に示すように、プロセッサ101は、電動車両10による電力制御における充電/放電量が大きい(または充電/放電時間が長い)程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。具体的には、プロセッサ101は、電力系統PGにおける電力に余剰がある場合に、電力制御における充電量が大きい(または充電時間が長い)程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。また、プロセッサ101は、電力系統PGにおける電力が不足している場合に、電力制御における放電量が大きい(または放電時間が長い)程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。
【0041】
また、図5に示すように、プロセッサ101は、電力制御を行う電動車両10に蓄えられている電力における再生エネルギーの比率が高い程、広告の配信を抑制する度合いを大きくする。なお、プロセッサ101は、電動車両10とEVSE20との間の電力制御において授受される電力のうちの再生エネルギー量の情報を取得している。サーバ100(プロセッサ101)は、上記再生エネルギー量の情報に基づいて、電動車両10における再生エネルギーの比率を算出している。なお、サーバ100は、算出された再生エネルギーの比率をメモリ102に記憶している。
【0042】
また、プロセッサ101は、再生エネルギーの種類によって、上記度合いを変化させてもよい。たとえば、太陽発電により生成されたエネルギーの方が、風力発電により生成されたエネルギーよりも、広告の配信を抑制する度合いへの寄与率が高くてもよい。
【0043】
また、広告の配信が抑制される度合いは、電力の需給調整要求の高さ、電動車両10による充電/放電量の大きさ(または充電/放電時間の長さ)、および、電動車両10における再生エネルギーの比率の高さの少なくとも1つに基づいて、3段階以上に変化されてもよい。
【0044】
また、プロセッサ101は、ユーザにより設定された時間帯または期間中に広告の配信を抑制する。言い換えると、電動車両10のユーザは、配信管理サーバ300に送信されたプログラム指令に基づくプログラムを適用させる時間帯または期間を決定することが可能である。なお、上記プログラムを適用させる時間帯または期間は、複数に分割可能であってもよい。
【0045】
また、サーバ100(プロセッサ101)は、上記プログラムにより広告が抑制される時間(以下、抑制可能時間とする)を管理している。具体的には、プロセッサ101は、電力制御における上記貢献度に基づいて抑制可能時間を決定する。なお、抑制可能時間は、上記貢献度によらず一定値であってもよい。
【0046】
また、プロセッサ101は、広告の抑制が適用された時間の長さ(以下、抑制実行時間とする)の情報を取得している。プロセッサ101は、抑制実行時間が抑制可能時間と等しくなった場合に、上記プログラムによる広告抑制の効果を消失させる。
【0047】
(広告抑制方法)
次に、図6のシーケンス図を参照して、サーバ100を備えるシステム1による広告抑制に関する方法を説明する。
【0048】
ステップS1では、系統管理サーバ200は、サーバ100(通信部103)に電力の需給調整要求を送信する。系統管理サーバ200は、上記のように、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる発電電力および消費電力に基づいて、上記需給調整要求をサーバ100に送信する。
【0049】
ステップS2では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS1において受信された需給調整要求に基づいて、電動車両10のユーザに電力制御(外部充電または外部給電)を要求する。なお、サーバ100は、電力制御を要求するための問い合わせ信号を、電動車両10に直接送信してもよいし、ユーザ11の携帯端末11aに送信してもよい。
【0050】
ステップS3では、ユーザ11は、ステップS2における電力制御の要求に対して、受認する旨(電力制御に参加する旨)をサーバ100に送信したとする。
【0051】
ステップS4において、電動車両10は、EVSE20と電気的に接続されることにより、ステップS2における電力制御の要求に対応する電力制御を開始する。
【0052】
ステップS5では、サーバ100は、ステップS4における電力制御の貢献度を評価する。電力制御の貢献度の評価方法については上述の通りであるので、詳細な説明は繰り返し行わない。
【0053】
ステップS6では、サーバ100は、端末12への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成する。
【0054】
ステップS7では、サーバ100は、ステップS6において生成されたプログラム指令に基づくプログラムの適用可能時間(上記の抑制可能時間)を決定する。プロセッサ101は、ステップS5において算出された電力制御の貢献度の高さに基づいて、抑制可能時間を決定する。プロセッサ101は、上記貢献度が高い程、抑制可能時間を長くしてもよい。なお、ステップS7の処理はステップS6の処理の前に行われてもよい。
【0055】
ステップS8では、サーバ100は、通信部103を通じて、ステップS6において生成されたプログラム指令を配信管理サーバ300に送信する。また、ステップS8において、プロセッサ101は、電動車両10(ユーザ11)に、プログラム指令が生成された旨および抑制可能時間に関する情報を通知してもよい。なお、プログラム指令が抑制可能時間に関する情報を含んでもよい。
【0056】
ステップS9では、電動車両10のユーザ11は、上記プログラムが適用される時間帯または期間を設定する。たとえば、ユーザは、端末12に表示される入力画面において、上記時間帯または期間を入力することにより、上記時間帯または期間を設定可能であってもよい。この場合、プロセッサ101は、端末12に上記入力画面を表示させる制御を行ってもよい。
【0057】
ステップS10では、配信管理サーバ300は、上記プログラムが適用された、広告が抑制された動画を端末12に配信する。
【0058】
ステップS11では、サーバ100は、上記プログラムが適用された時間(抑制実行時間)がステップS7において決定された抑制可能時間未満か否かを判定する。抑制実行時間が抑制可能時間未満の場合(S11においてYes)、ステップS11の処理が繰り返される。抑制実行時間が抑制可能時間と等しい場合(S11においてNo)、処理はステップS12に進む。
【0059】
ステップS12では、サーバ100は、上記プログラムによる広告の抑制を終了させる指令を配信管理サーバ300に送信する。
【0060】
ステップS13では、配信管理サーバ300は、広告が抑制されていない通常の動画を端末12に配信する。
【0061】
以上のように、本実施形態においては、プロセッサ101は、電動車両10が電力制御の実行要求に応じた場合に、電動車両10が実行要求に応じていない場合と比べて、端末12への広告の表示を抑制するためのプログラム指令を生成する。これにより、広告の表示を抑制させることを目的としたユーザ11による電力制御の実行を促進させることができる。
【0062】
上記実施形態では、電力制御の貢献度が高い程、広告の配信を抑制する度合いが大きくなる例を示したが、本開示はこれに限られない。電力制御の貢献度に拘わらず、電力制御を行った(電力制御の実行要求に応じた)ユーザに対する上記度合いは一定であってもよい。
【0063】
上記実施形態では、ユーザ11により設定された時間帯または期間中に広告の配信が抑制される例を示したが、本開示はこれに限られない。広告の配信が抑制される時間帯または期間がサーバ100により決定されてもよい。
【0064】
上記実施形態では、電力制御が行われる時間帯および地域における電力の需給調整要求が大きい程、広告の配信を抑制する度合いが大きくなる例を示したが、本開示はこれに限られない。電力制御が行われる時間帯および地域のいずれか一方における電力の需給調整要求が大きい程、広告の配信を抑制する度合いが大きくされてもよい。
【0065】
上記実施形態では、動画における広告を抑制する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、動画以外のウェブサイトに表示される広告(バナー広告等)の表示が抑制されてもよい。
【0066】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
10 電動車両,10a カーナビゲーションシステム(端末),11 ユーザ,11a 携帯端末(端末),12 端末,100 サーバ(第1のサーバ),101 プロセッサ(制御部),103 通信部(取得部),300 配信管理サーバ(第2のサーバ),PG 電力系統。
図1
図2
図3
図4
図5
図6