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特許7687408間接転写プリンタおよび間接転写フィルム搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】間接転写プリンタおよび間接転写フィルム搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20250527BHJP
   B65H 23/188 20060101ALI20250527BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B65H23/188
B41J11/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023542342
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2022030161
(87)【国際公開番号】W WO2023022031
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021133318
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 正博
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-089979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315 - 2/345
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
B41J 17/00 - 17/42
B41J 27/00 - 27/22
B41J 31/00 - 35/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接転写プリンタは、
インクリボンから間接転写フィルムに画像を一次転写する一次転写部と、
前記間接転写フィルムから記録媒体に前記画像を二次転写する二次転写部と、
一次転写位置合わせ用センサと、
プロセッサとを備え、
前記間接転写プリンタのイニシャライズ動作は、順に、
前記間接転写フィルムが、供給スプールから巻取スプールに搬送される過程で、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークを前記一次転写位置合わせ用センサで検出する工程と、
前記転写されたセンサマークを検出することで前記イニシャライズ動作の前に前記間接転写フィルムが交換されていないと前記プロセッサで判定する工程と、
前記間接転写フィルムが交換されていないと判定した場合、前記搬送の開始から終了までのロータリーエンコーダにより測定された前記供給スプールと前記巻取スプールとの回転角度との比に基づいて、前記間接転写フィルムの残量をプロセッサで推計する工程と、
未使用量が残量警戒閾値以上と推計された場合、前記センサマークのうちの最後のセンサマークに基づいて前記一次転写の位置出しを行う工程と、
前記未使用量が前記残量警戒閾値未満と推計された場合、前記最後のセンサマークからリードとしての画面分と1巻取り回転数誤差マージン分、前記間接転写フィルムが搬送する工程と、
前記搬送する工程の間に、前記間接転写フィルムの使用可能領域の最終端を示すエンドマークが前記一次転写位置合わせ用センサで検出されない場合、前記未使用量が、次の記録媒体の記録のために必要な量よりも多いと前記プロセッサで判定する工程とを有する
ことを特徴とする、間接転写プリンタ。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記間接転写フィルムが、前記供給スプールから前記巻取スプールに、所定画面分が搬送される過程で、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークが検出されない場合、電源投入の前に前記間接転写フィルムが交換されていたと判定することを特徴とする、請求項1に記載の間接転写プリンタ。
【請求項3】
前記過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークを検出する第1のセンサをさらに備え、
前記一次転写位置合わせ用センサは、前記最後のセンサマークを検出する、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の間接転写プリンタ。
【請求項4】
前記所定画面分は、画面分であることを特徴とする、請求項2に記載の間接転写プリンタ。
【請求項5】
インクリボンから間接転写フィルムに画像を一次転写し、前記間接転写フィルムから記録媒体に前記画像を二次転写する間接転写プリンタの電源投入時になされるイニシャライズ動作時における前記間接転写フィルムの搬送方法であって、
前記間接転写フィルムが、供給スプールから巻取スプールに、所定画面分が搬送される過程で、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークが検出された場合、電源投入の前に前記間接転写フィルムが交換されていないと判定する工程と、
前記間接転写フィルムが交換されていないと判定した場合、前記搬送の過程における前記供給スプールの回転角度と前記巻取スプールの回転角度との比に基づいて、前記間接転写フィルムの未使用量を推計する工程と、
前記未使用量が残量警戒閾値である2%以上と推計した場合、前記センサマークのうち最後のセンサマークに基づいて前記一次転写の位置出する工程と、
前記未使用量が残量警戒閾値である2%未満と推計した場合、前記最後のセンサマークからリードとして3画面分、前記間接転写フィルムが搬送される間に、前記間接転写フィルムの使用可能領域の最終端を示すエンドマークが検出されない場合、前記未使用量が、次の記録媒体の記録のために必要な量よりも多いと判定する工程とを有する、搬送方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接転写プリンタおよび間接転写フィルム搬送方法に関し、特に、無駄なフィルム搬送を省略して発行処理を効率化でき、かつフィルムの搬送ずれを抑制できる間接転写プリンタおよび間接転写フィルム搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
間接転写方式プリンタは、インクリボンの巻回体から巻き出されたインクリボンのインキ層を、サーマルヘッドを用いて間接転写フィルムに一次転写部において一次転写した後、二次転写部において被転写体に二次転写するプリンタである。この種の間接転写方式は、最終的に画像を設ける被転写体の基材が紙やプラスチックというように異なる場合でも、一次転写時は間接転写フィルムに対して印画を行うため、印画対象が一定であり、安定した画像形成が可能であることから、様々な被転写体向けに実用化され、利用されている。
【0003】
一方で、間接転写プリンタの間接転写フィルムは、一次転写時に未使用部分を検出するイニシャライズの際や、各色のインクの転写開始位置を検出する(「位置出し」または「頭出し」とも称される)際、被転写体への二次転写のために間接転写フィルムを搬送する際などに、プリンタ内で何度も往復搬送されるが、このときに搬送ズレなどにより巻ズレや巻ジワが発生しやすい。巻ズレや巻ジワを防ぐためにはプリンタには非常に高い組み立て精度が要求され、その結果、プリンタの製造の難易度が非常に高く、コストアップの原因の一つにもなっている。
【0004】
フィルム搬送時の巻ズレを防ぐ方法としては、写真用感剤フィルムの搬送などにおいて、図6に示すように、フィルム200に規則的な穿孔部201を設け、スプロケット202によって搬送する手法などが、古くから用いられている。このような手法を感熱転写プリンタに応用した例としては、特許文献1などを挙げることができる。
【0005】
しかしながら、間接転写プリンタの高速化や印字感度の向上などの観点から、インクリボンや間接転写フィルムなどに使用される基材は、できるだけ薄くすることが求められ、実際は数μmから数十μm程度とする必要がある。そのため基材に穿孔部201を設け、スプロケット202で搬送する手法では、基材の破断やシワが発生するため採用は困難であった。
【0006】
そのため従来の間接転写プリンタでは、図7に例示したようなイニシャライズ動作が行われている。
【0007】
図7において、1は間接転写フィルム100のための供給スプール、4は間接転写フィルム100のための巻取スプール、52は、一次転写部におけるプラテンローラ、91は、二次転写部におけるヒートローラである。
【0008】
図7(a)は、使用途中の間接転写フィルム100が装着された間接転写プリンタの電源を投入し、イニシャライズ動作に入るときの状態を示したものである。使用途中の間接転写フィルム100には、一次転写部でインクリボンから画像を転写する際の位置出しマークとなるセンサマークm0、m1、m2・・が、製造時に印刷などにより画面ごとに設けられており、また使用済みの画面には、使用済みであることを示すマークc0、c1、c2、c3、c4が一次転写時に記録されている。
【0009】
イニシャライズ動作に入ると、図7(b)に示す様に、間接転写フィルム100を順方向に、最後のマークc4が記録されている画面のセンサマークm4をセンサsn1で検出してからさらに4.5~5画面分引き出して、次の記録に十分な量の間接転写フィルム100が残っているか確認してから、間接転写フィルム100を巻き戻して一次転写の頭出しを行う必要があった。
【0010】
上記の様なプリンタのイニシャライズ動作では、間接転写フィルムの未使用部分の長さの確認のために間接転写フィルムを長尺にわたって往復搬送する動作を行うため、間接転写フィルムの巻ズレ、巻ジワが発生しやすく、またその間は実際にはプリンタが使用できない。そのため、この動作を短縮して巻ズレ、巻ジワの発生を抑制し、作業効率の向上にもつなげることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】日本国特開平8-188307号公報
【発明の概要】
【0012】
そこで本発明は、搬送ズレの原因となる間接転写フィルムの搬送量そのものを削減することで、搬送ズレを発生しにくくすると共に、イニシャライズ動作を短縮でき、作業効率の向上を図ることができる間接転写プリンタおよび間接転写フィルム搬送方法を提供することを課題とする。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の1つの側面は、間接転写プリンタは、インクリボンから間接転写フィルムに画像を一次転写する一次転写部と、間接転写フィルムから記録媒体に画像を二次転写する二次転写部と、一次転写位置合わせ用センサと、プロセッサとを備える。間接転写プリンタのイニシャライズ動作は、順に、間接転写フィルムが、供給スプールから巻取スプールに搬送される過程で、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークを一次転写位置合わせ用センサで検出する工程と、転写されたセンサマークを検出することでイニシャライズ動作の前に間接転写フィルムが交換されていないとプロセッサで判定する工程と、間接転写フィルムが交換されていないと判定した場合、搬送の開始から終了までのロータリーエンコーダにより測定された供給スプールと巻取スプールとの回転角度との比に基づいて、間接転写フィルムの残量をプロセッサで推計する工程と、未使用量が残量警戒閾値以上と推計された場合、センサマークのうちの最後のセンサマークに基づいて一次転写の位置出しを行う工程と、未使用量が残量警戒閾値未満と推計された場合、最後のセンサマークからリードとしての画面分(印刷画面分(両面なら2画面、片面なら1画面)と1巻取り回転数誤差マージン分(0.5画面以上、2.5画面以下)との合計)、間接転写フィルムが搬送する工程と、搬送する工程の間に、間接転写フィルムの使用可能領域の最終端を示すエンドマークが一次転写位置合わせ用センサで検出されない場合、未使用量が、次の記録媒体の記録のために必要な量よりも多いとプロセッサで判定する工程とを有する。
【0014】
プロセッサは、特に、間接転写フィルムが、供給スプールから巻取スプールに、所定画面分が搬送される過程で、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークが検出されない場合、電源投入の前に間接転写フィルムが交換されていたと判定することもできる。
【0015】
また、間接転写プリンタはさらに、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークを検出する第1のセンサを備え、一次転写位置合わせ用センサは、最後のセンサマークを検出する。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の別の側面は、インクリボンから間接転写フィルムに画像を一次転写し、間接転写フィルムから記録媒体に画像を二次転写する間接転写プリンタの電源投入時になされるイニシャライズ動作時における間接転写フィルムの搬送方法である。この搬送方法では、間接転写フィルムが、供給スプールから巻取スプールに、所定画面分が搬送される過程で、過去の一次転写時に画像と共に転写されたセンサマークが検出された場合、電源投入の前に間接転写フィルムが交換されていないと判定する。そして、間接転写フィルムが交換されていないと判定すると、搬送の過程における供給スプールの回転角度と巻取スプールの回転角度との比に基づいて、間接転写フィルムの未使用量を推計する一方、未使用量が残量警戒閾値である2%以上と推計した場合、センサマークのうち最後のセンサマークに基づいて一次転写の位置出しを行い、未使用量が残量警戒閾値である2%未満と推計した場合、最後のセンサマークからリードとして3画面分、間接転写フィルムが搬送される間に、間接転写フィルムの使用可能領域の最終端を示すエンドマークが検出されない場合、未使用量が、次の記録媒体の記録のために必要な量よりも多いと判定する。
【0017】
なお残量警戒閾値は、未使用量を巻き出して確認する必要がある未使用量の閾値である。残量警戒閾値は、1%以上5%以下の範囲で設定することができる。特に残量警戒閾値は、2%が好ましい。残量警戒閾値は、搬送のパスの長さ間接転写フィルムの厚さに応じて設定することができる。リードとしての画面は、0.5画面以上、4.5画面とできる。また、このリードの画面分は、転写までのパスの長さより長くなるように設定するのが好ましい。リードの画面分は、未使用量が残量警戒閾値以上である場合は、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)から0.5画面分とできる。未使用量が残量警戒閾値以上である場合は、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)から 印刷画面分(両面なら2画面、片面なら1画面)と1巻取り回転数誤差マージン分との合計とできる。この巻取り回転数誤差マージン分は、0.5画面より大きく2.5画面分以下とできる。
【0018】
本発明によれば、製造段階で一次転写時に使用するセンサマークが入っていない間接転写フィルムであっても、間接転写プリンタの電源投入時に、印刷開始に先立って行われるイニシャライズ動作において、間接転写フィルムの引き出し量が少なくてもセンサマークの有無を確認でき、センサマークを検出した場合、電源投入の前に間接転写フィルムが交換されていないと判定し、かつ未使用量が残量警戒閾値である2%以上であれば、最後のセンサマークであるエンドマークの検出のために間接転写フィルムを搬送することも省略できるので、フィルムの巻きズレによる不具合の発生のリスクを低減させることが可能になる。一方、間接転写フィルムの未使用量が残量警戒閾値である2%未満の場合には、次の記録媒体の記録のために必要な量よりも多いか否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の間接転写プリンタの一態様を示す機能ブロック図である。
図2図2は、本発明の間接転写プリンタの一態様を示す概略構成図である。
図3図3は、中間転写媒体の一態様である間接転写フィルムの残量が、残量警戒閾値である2%以上である場合の、搬送状態を示す説明図である。
図4図4は、間接転写フィルムの残量が残量警戒閾値である2%未満である場合の搬送の状態を示す説明図である。
図5図5は、本発明の間接転写プリンタにおけるイニシャライズ動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、従来のスプロケットによる搬送方法の例を示す図である。
図7図7は、従来の間接転写プリンタにおけるイニシャライズ動作の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0021】
図1は、本発明の間接転写プリンタの一態様を示す機能ブロック図である。
【0022】
本発明の間接転写プリンタ20は、図1に示すように、制御基板(プロセッサ)21、一次転写部50、二次転写部90、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1、および第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2を備えている。制御基板(プロセッサ)21は、プリント基板に、処理チップや制御チップを備えてなる演算回路、揮発性メモリや不揮発性メモリ等のメモリ、IOインターフェース、バスが実装されている。
【0023】
第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1は、光電センサとできる。第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2は、光電センサとできる。光電センサは、透過型とできる。光電センサは、反射型でもよい。光電センサは、光源と一体でもよい。光電センサ用の光源はLEDとできる。光電センサ用の光源はレーザーダイオードとできる。光電センサは、フォトダイオードを備えてもよい。
【0024】
図2は、本発明の間接転写プリンタの一態様を示す概略構成図である。
【0025】
間接転写プリンタ20では、ロール状に巻回された中間転写媒体60が、巻出しロール70から巻き出され、一次転写部50、二次転写部90を経由して巻取りロール80に巻き取られる。一方、ロール状に巻回された感熱転写媒体11が、巻出しロール30から巻き出され、一次転写部50を経由して巻取りロール40に巻き取られる。
【0026】
一次転写部50では、中間転写媒体60の転写層と、感熱転写媒体11の熱転写インク層とが、対向する様に、サーマルヘッド51およびプラテンローラ52に挟持される。サーマルヘッド51とプラテンローラ52とは、中間転写媒体60と感熱転写媒体11とが単に搬送される際には離間しており、感熱転写媒体11から中間転写媒体60への転写記録が行われる際は互いに圧着され、所定の画像情報が中間転写媒体60の転写層に転写される。
【0027】
続いて二次転写部90では、中間転写媒体60の転写層と、記録媒体120とが対向する様に配置され、ヒータHにより加熱されたヒートローラ91により、中間転写媒体60を、プラテンローラ92により押圧された記録媒体120に熱圧着することで、中間転写媒体60の転写層が一次転写部50で記録された画像と共に記録媒体120に転写される。
【0028】
なお、記録媒体120は、図示しないスタックに収納されており、このスタックから、搬送装置によって、二次転写部90へ搬送される。
【0029】
制御基板(プロセッサ)21は、センサSN1、SN2等のセンサからの出力に基づいて、供給スプール1、巻取スプール4、一次転写部50、二次転写部90、並びに搬送装置の動作を制御できる。
【0030】
図3は、中間転写媒体の一態様である間接転写フィルムの残量が、残量警戒閾値である2%以上である場合の、搬送状態を示す説明図である。
【0031】
図3に例示されるように、中間転写媒体60の一態様である間接転写フィルム10は、供給スプール1から巻取スプール4に搬送される。
【0032】
供給スプール1には、ロール状に巻回された間接転写フィルム10が設置されている。供給スプール1は、間接転写フィルム10からなるロールを回転可能に支持するシャフト(図示せず)を含んでいる。供給スプール1は、巻き出された感熱転写媒体11に加わる張力を調整するブレーキを更に備えることもできる。
【0033】
巻取スプール4は、供給スプール1から巻き出された間接転写フィルム10を巻き取る。巻取スプール4は、巻き取りのためのモータ(図示せず)を備えている。
【0034】
巻取スプール4には、ロール状に巻回された間接転写フィルム10が設置されている。間接転写フィルム10は、基材と、その一方の主面に設けられたオーバーレイ層とを含むことができる。間接転写フィルム10は、オーバーレイ層を含んでいなくてもよい。巻取スプール4は、間接転写フィルム10からなるロールを回転可能に支持するシャフト(図示せず)と、シャフトを順/逆回転するモータ(図示せず)とを備えている。巻取スプール4は、間接転写フィルム10の巻き出しと巻き戻しとを可能とする。
【0035】
間接転写プリンタ20は、供給スプール1から巻取スプール4への間接転写フィルム10の搬送経路中に、一次転写部50および二次転写部90を備えている。さらに、一次転写部50には、サーマルヘッド51およびプラテンローラ52を備え、二次転写部90には、ヒートローラ91およびプラテンローラ92を備えている。
【0036】
図2を用いて説明したように、一次転写部50では、感熱転写媒体11から中間転写媒体60に画像を一次転写し、二次転写部90では、中間転写媒体60から記録媒体120に画像を二次転写する。したがって、中間転写媒体60が図3に示す間接転写フィルム10である場合、一次転写部50において、サーマルヘッド51とプラテンローラ52とは、感熱転写媒体11と、中間転写媒体60とを間に挟んで向き合うように配置される。サーマルヘッド51は、感熱転写媒体11へ熱圧を加えて、感熱転写媒体11から中間転写媒体60へのインクの転写を生じさせる。感熱転写媒体11を透過したレーザ光又は感熱転写媒体11によって反射されたレーザ光の強度は、図示しない光センサによって検出される。この光センサの出力は、サーマルヘッド51に対する感熱転写媒体11の位置合わせ等に利用できる。
【0037】
二次転写部90では、ヒートローラ91とプラテンローラ92とは、一次転写部50から送り出された中間転写媒体60と記録媒体120とを間に挟んで向き合うように配置される。ヒートローラ91は、中間転写媒体60へ熱圧を加えて、中間転写媒体60から記録媒体120へのインク層の転写を生じさせる。中間転写媒体60がオーバーレイ層を含んでいる場合、ヒートローラ91は、中間転写媒体60へ熱圧を加えることにより、インク層とオーバーレイ層との積層体を、中間転写媒体60から記録媒体120へ転写させる。
【0038】
図2には図示していないが、二次転写部90のヒートローラ91の近傍には、二次転写中の中間転写媒体60の位置検出のための第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1が配置されている。また、一次転写部50のプラテンローラ52の近傍には、一次転写中の中間転写媒体60の位置検出のための第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2が配置されている。
【0039】
さらに、間接転写プリンタ20には、間接転写プリンタ20の各部の制御、画像情報やセンサ情報のデータ処理や制御のための図示しない制御部もある。なお、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2は、例示した配置では第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1がプリンタ動作終了後の最後のセンサマークの標準的な待機位置から約1.5画面離れた位置に設けられているが、例示した以外にも、一次転写部50、二次転写部90の配置、記録される画面の大きさなどに合わせ、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2を配置する位置を設定して良い。なおプリンタ動作終了後の最後のセンサマークの、間接転写方式プリンタとして標準的な待機位置は後述する。
【0040】
中間転写媒体60は、一次転写時の色重ねや、一次転写部50、二次転写部90での位置合わせのため、巻出しロール70から巻取りロール80に向かう順方向へ搬送する機能と共に、その逆方向へも搬送が可能な機能を有する。すなわち順方向、逆方向の往復搬送が可能である。また、巻出しロール70および巻取りロール80には、順逆回転駆動のためのモーター(図示せず)を連結できる。モーターはステッピングモータとできる。またACモーターやDCモーターでもよい。その他の公知のモーターも連結することができる。またモータは巻出しロール70および巻取りロール80に直結しても良いし、ギアを介して連結してもよい。またモーターはモータードライバで電気的に駆動してもよい。モータードライバはインバーターでもよい。
【0041】
図3に戻って説明するように、通常、間接転写フィルム10のセンサマークは、全てのインクリボンが転写されていない未使用の状態では、使用可能な領域の先頭部を光学的に検出可能とするためのセンサマークである先頭マークと、使用可能な領域の終端部を検出可能とするためのセンサマークであるエンドマークのみである。言い換えればその間には他のセンサマークは設けられていない。
【0042】
一方、転写工程の途中の間接転写フィルム10には、一次転写部50でインクリボンから画像を転写する際の位置出しマークとなるセンサマークが、画面ごとに記録された状態となる。画像は二次転写部90で転写層などと共に記録媒体120に転写されるが、センサマークは転写されないため、間接転写フィルム10の使用済みの領域にはセンサマークのみが残る。図3(a)は、その様に使用途中の間接転写フィルム10が装着された状態でイニシャライズ動作に入るときを示してある。イニシャライズ動作は、転写を開始する前の動作とできる。イニシャライズ動作は、電源の投入時、待機状態からの復帰時、スリープ状態からの復帰時等に行われる。
【0043】
このとき、間接転写フィルム10には、使用済みの画面にセンサマークMが、M0、M1、M2、M3、M4・・の様に残されている。各センサマークMは各画面の順方向の先頭部分または後端部分のいずれか、二次転写される画像と重複しない、あらかじめ定められた部位に形成されている。本実施形態では、センサマークMは後端部分に形成されている例を示している。
【0044】
イニシャライズ動作では、まず図3(b)に示す様に、間接転写フィルム10を順方向にあらかじめ定めた画面数分引き出して搬送しながら、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1でセンサマークMを検出する。二次転写部90のヒートローラ91とセンサSN1との配置では、2画面分引き出すことで判定できる。なお二次転写部90のヒートローラ91と、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1との配置に応じて、特に、これらの配置のスパンに応じて、異なった画面数をあらかじめ設定することもできる。この結果、センサマークM0、M1が検出されることになる。第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1が、センサマークMを検出することで、制御基板(プロセッサ)21は、間接転写フィルム10が、前回のプリンタ作動時から交換されていないと判定する。
【0045】
制御基板(プロセッサ)21は、このとき同時に、供給スプール1の回転速度と、巻取スプール4の回転角度とを検出して、その比から、供給スプール1に残されている未使用の間接転写フィルム10の量を推計する。間接転写フィルム10の使用済みの量が少ないうちは、供給スプール1側の間接転写フィルム10の直径が大きく、巻取スプール4側の直径は小さいため、所定長の間接転写フィルム10を搬送したときの供給スプール1の回転角度は巻取スプール4の回転角度よりも小さい。間接転写フィルム10の使用が進むにつれて、供給スプール1側の間接転写フィルム10の直径が徐々に小さくなるため、供給スプール1の回転角度は次第に大きくなり、間接転写フィルム10の終端近くまで使用されると、巻取スプール4側の間接転写フィルム10の直径が大きくなる。このため、供給スプール1の回転角度はさらに大きくなり、逆に巻取スプール4の回転角度はさらに小さくなる。従って、供給スプール1の回転速度と巻取スプール4の回転角度とを検出して、その比を求めることによって、供給スプール1に残されている未使用の間接転写フィルム10の量を推計することができる。スプールの回転角度を検出は、公知のロータリーエンコーダなどを適宜採用して行うことができる。ロータリーエンコーダは、インクリメンタル方式またはアブソリュート方式とできる。この回転角の検出は、例えば1画面分の搬送の際の移動の間の巻取スプールの回転角と供給スプールの回転角度の比率から検出することができる。
【0046】
そして、推計された供給スプール1の未使用の間接転写フィルム10の残量が、初期の、未使用の状態のスプールの量の残量警戒閾値である2%以上であると判定されたときは、推計の誤差を考慮しても、少なくとも次の画面の一次転写及び二次転写を行うのには十分な量の間接転写フィルム10が残っていると考えられる。このため、制御基板(プロセッサ)21は、残りの間接転写フィルム10の量を確認するための間接転写フィルム10の巻き出しを省略し、一次転写の頭出しを行うために、図3(c)に示す様に、間接転写フィルム10を、最後のセンサマークM0が第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2に達するまで搬送して頭出しを行うように制御する。頭出しの動作では、間接転写フィルム10の未使用エリアが、ヒートローラ91から発せられる余熱の影響を受けない位置にセンサマークM0を移動させる。このヒートローラ91から発せられる余熱の影響を受けない位置は、例えば、供給スプール1の出口近傍である。
【0047】
一般に、間接転写フィルム10は、1巻で300~500枚前後の記録媒体120を処理できるように巻かれていることが多いため、その2%は6~10枚に相当し、推計の誤差があったとしても、なお十分な量の間接転写フィルム10が未使用で残っていると判定できる。
【0048】
そして、図4(d)に示す様に、センサマークM0の次の画面Pに、画像の一次転写を行うと共に、その画面Pの終端に新たなセンサマークMxを転写する。その後、図4(e)に示す様に、二次転写のために間接転写フィルム10を二次転写部90側に搬送し、ヒートローラ91で記録媒体120に転写する。このとき第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1を二次転写の位置合わせの頭出しのために使用することもできる。
【0049】
二次転写終了後、制御基板(プロセッサ)21は、最後のセンサマークとなったセンサマークMxが、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1およびヒートローラ91よりも供給スプール1側となる位置で間接転写フィルム10を停止させる。こうすることで、間接転写フィルム10の未使用部分が、ヒートローラ91からの発熱でダメージを受けることを防ぐこともできる。またセンサマークMxは、次の画面の転写を行う際に最後のセンサマークとして用いられることになる。
【0050】
従って、この状態で間接転写プリンタ20の使用を終了すると、次のプリンタ使用時までに間接転写フィルム10の交換などが行われなければ、この位置が次のイニシャライズ動作開始時の間接転写フィルム10などの標準的な待機位置となる。このため、制御基板(プロセッサ)21は、次のプリンタ使用時にも間接転写フィルム10を順方向に2画面分搬送すれば、センサマークMxを検出でき、間接転写フィルム10が交換されていないと判定する。
【0051】
以上の様に、本発明の間接転写プリンタ20では、間接転写フィルム10として製造時にあらかじめ画面ごとのセンサマークを印刷しておく必要がないため、センサマークを印刷する製造工程が不要なため、またコスト的にも有利である。
【0052】
なお、間接転写フィルム10が前回のプリンタ動作時以降に交換されたと判定された場合の処理は、間接転写フィルム10の配置が上記の様な標準的な配置とは異なっているので、異なった処理とすることができる。例えば間接転写フィルム10を逆方向に搬送して巻き戻し、先頭マークか巻き取られていたセンサマークを検出する、などが考えられるが、特に限定するものではない。
【0053】
一方、推計された未使用の間接転写フィルム10の量が、当初の間接転写フィルム10の量の残量警戒閾値である2%未満であると制御基板(プロセッサ)21が判定したときは、推計の誤差があることを考慮すると、十分な量の間接転写フィルム10が残っていない可能性がある。このため、制御基板(プロセッサ)21は、以下のように、実際に残りの間接転写フィルム10を、記録に必要な分引き出して、残りの量を確認する。
【0054】
図4(a)、(b)は、前述の場合と同様に、イニシャライズ動作に入るときの状態を示したものである。制御基板(プロセッサ)21が、前述したように、供給スプール1の回転速度と巻取スプール4の回転角度との比に基づいて、供給スプール1に残されている未使用の間接転写フィルム10の量を推計して、推計された未使用の間接転写フィルム10の量が、当初の量の2%未満であると判定された場合、制御基板(プロセッサ)21は、図4(c)に示す様に、間接転写フィルム10をさらに3画面分引き出し、実際に使用される量の間接転写フィルム10が残っているかを確認するように制御する。3画面分とするのは、記録媒体120の表(おもて)面分、裏面分、マージンとして1画面分を考慮してのことである。
【0055】
制御基板(プロセッサ)21は、3画面分の残りがあることを確認すると、図4(d)に示す様にセンサマークM0が第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2に達するまで逆方向に搬送して一次転写の頭出しを行うように制御する。そして、図4(e)に示す様に、センサマークM0の次の画面Pに、画像の一次転写を行うと共に、その画面Pの終端に新たなセンサマークMxを転写する。以降の動作は前述の場合と同様であるので省略する。頭出しの動作では、間接転写フィルム10の未使用エリアが、ヒートローラ91が発する余熱の影響を受けない位置にセンサマークM0を移動させる。このヒートローラ91が発する余熱の影響を受けない位置は、例えば、供給スプール1の出口近傍である。
【0056】
間接転写フィルム10の残りの量が2%未満程度まで減った状態では、巻ズレ、巻ジワが発生しにくくなってくるうえ、仮に巻ズレや、巻ジワが発生しても、その影響は限定的となるため、上記の様なフィルムの引き出し動作を実施しても実質的な影響は少ない。
【0057】
以上説明したように、イニシャライズの時点での間接転写フィルム10の残量が2%以上である場合は、間接転写フィルム10の残量の確認のための間接転写フィルム10の引き出しや、巻き戻しを省略できるため、二次転写部90のヒートローラ91や、一次転写部50のプラテンローラ52による搬送時に発生しやすい巻ズレや、巻ジワの発生を抑制することができる。同時に、間接転写フィルム10の引き出しや、巻き戻しに要する時間も節約することができる。また、残量が2%未満である場合は、必要な量の間接転写フィルム10を巻き出して確認されるので、記録の途中で間接転写フィルム10が足りなくなってしまうことはない。
【0058】
図5は、本発明の間接転写プリンタにおけるイニシャライズ動作の一例を示すフローチャートである。
【0059】
先ず、主要なイニシャライズ動作であるステップS0からステップS7について説明する。
【0060】
主要なイニシャライズ動作では、間接転写プリンタ20の電源が投入されると、イニシャライズ動作が開始され(S0)、間接転写フィルム10が2画面分搬送される(S1)。
【0061】
これに応じて、第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)SN1によって、センサマークMが検出された場合(S2:Yes)、ステップS3へ進み、検出されなかった場合(S2:No)、ステップS13へ進む。
【0062】
ステップS3では、電源投入前に間接転写フィルム10が交換されていないと制御基板(プロセッサ)21によって判定される(S3)。その後、制御基板(プロセッサ)21によって、供給スプール1の回転角度と、巻取スプール4の回転角度との比から、供給スプール1に残されている未使用の間接転写フィルム10の量が推計される(S4)。
【0063】
この推計の結果、未使用の間接転写フィルム10の量が、残量警戒閾値である2%以上であれば(S4:Yes)、ステップS5へ進み、残量警戒閾値である2%未満であれば(S4:No)、ステップS8へ進む。
【0064】
ステップS5では、制御基板(プロセッサ)21によって、間接転写フィルム10を一次転写開始位置まで搬送するように制御される(S5)。その後、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2によって、間接転写フィルム10の最後のセンサマークMが検出される(S6:Yes)と、制御基板(プロセッサ)21によって、1次転写開始位置の位置合わせのための制御がなされ、一次転写部50による転写が開始される(S7)。
【0065】
次に、フィルム残量が2%未満と判定されたときの動作であるステップS8からステップS10について説明する。
【0066】
ステップS8では、制御基板(プロセッサ)21によって、間接転写フィルム10を3画面分引き出すように制御される(S8)。これに応じて、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2によって、エンドマークが検出された場合(S9:Yes)、制御基板(プロセッサ)21によって、間接転写フィルム10がすべて使用済みと判定され、動作が終了する(S10)。
【0067】
一方、ステップS9において、エンドマークが検出されなかった場合(S9:No)、ステップS5へ進む。
【0068】
次に、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2にエラーが発生したときの処理の動作であるステップS11からステップS12について説明する。
【0069】
ステップS11では、制御基板(プロセッサ)21によって、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2にエラーが発生したと判定され(S11)、動作が終了する(S12)。
【0070】
最後に、間接転写フィルム10が電源投入前に交換されていた場合の動作であるステップS13からステップS16について説明する。
【0071】
ステップS13では、制御基板(プロセッサ)21によって、間接転写フィルム10が電源投入前に交換されていたと判定される(S13)。その後、制御基板(プロセッサ)21によって、間接転写フィルム10を巻き戻すように制御され、これによって、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2によって、間接転写フィルム10の使用可能領域の先頭端を示す先頭マークまたはセンサマークが検出される(S14:Yes)と、ステップS5へ進む。
【0072】
一方、ステップS14において、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2によって、間接転写フィルム10の使用可能領域の先頭端を示す先頭マークまたはセンサマークが検出されない(S14:No)と、制御基板(プロセッサ)21によって、第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)SN2にエラーがあると判定され(S15)、動作が終了する(S16)。
【0073】
以上説明したように、本発明によれば、製造段階で一次転写時に使用するセンサマークが入っていない間接転写フィルム10であっても、間接転写プリンタ20の電源投入時に、印刷開始に先立って行われるイニシャライズ動作において、間接転写フィルム10の引き出し量が少なくてもセンサマークMの有無を確認できる。そして、センサマークMを検出した場合、電源投入の前に間接転写フィルム10が交換されていないと判定し、かつ未使用量が残量警戒閾値(例えば、2%)以上であれば、最後のセンサマークであるエンドマークの検出のための間接転写フィルム10の搬送も省略できるので、フィルムの巻きズレによる不具合発生のリスクを低減させることが可能になる。一方、間接転写フィルム10の未使用量が残量警戒閾値(例えば、2%)未満の場合には、次の記録媒体120の記録のために必要な量よりも多いか否かを確認することができる。
【0074】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0075】
1・・・供給スプール、
4・・・巻取スプール、
10・・・間接転写フィルム、
11・・・感熱転写媒体、
20・・・間接転写プリンタ、
21・・・制御基板(プロセッサ)、
30・・・巻出しロール、
40・・・巻取りロール、
50・・・一次転写部、
51・・・サーマルヘッド、
52・・・プラテンローラ、
60・・・中間転写媒体、
70・・・巻出しロール、
80・・・巻取りロール、
90・・・二次転写部、
91・・・ヒートローラ、
92・・・プラテンローラ、
100・・・間接転写フィルム、
120・・・記録媒体、
200・・・フィルム、
201・・・穿孔部、
202・・・スプロケット、
SN1・・・第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)、
SN2・・・第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)、
sn1・・・第1のセンサ(二次転写位置合わせ用)、
sn2・・・第2のセンサ(一次転写位置合わせ用)、
c(c0、c1、c2、c3、c4)・・・マーク、
H・・・ヒータ、
M(M0、M1、M2、M3、M4)・・・センサマーク、
m(m0、m1、m2、m3、m4、m5、m6、m7、m8、m9)・・・センサマーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7