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特許7687441光伝送システム、および光伝送システムの制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】光伝送システム、および光伝送システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/293 20130101AFI20250527BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H04B10/293
H04J14/02 121
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023565729
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2021044904
(87)【国際公開番号】W WO2023105625
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】松本 恵一
(72)【発明者】
【氏名】細川 晃平
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-53686(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170008(WO,A1)
【文献】特開2002-9707(JP,A)
【文献】特開2006-66862(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137820(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長多重(WDM)信号光を互いに送受信する一対の端局と、前記一対の端局が送受信する前記波長多重信号光を伝搬する光ファイバと、前記光ファイバを中継する少なくとも1つの中継器とを含む光伝送システムであり、
前記中継器は、前記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分し、この区分された前記複数のサブバンドを対応する複数の光増幅部で増幅した後に、増幅された前記複数のサブバンドを合波する光増幅器を含み、
前記区分された前記複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含み、
前記一対の端局のうち受信側の端局が受信した前記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記一対の端局のうち受信側の端局が受信した前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタするモニタ部と、
前記モニタ部がモニタした前記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記モニタ部がモニタした前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、前記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する制御部とを、含む
光伝送システム。
【請求項2】
前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、ローディング量を変化させるように指示するものである、
請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量を減らすように指示するものである、
請求項2に記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記制御信号は、さらに前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドよりも短い波長のローディング量を増やすように指示するものである、
請求項3に記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のダミー光のパワーを減らすように指示するものである、
請求項2に記載の光伝送システム。
【請求項6】
前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドに区分された波長帯域の信号光のパワーを減らすように指示するものである、
請求項5に記載の光伝送システム。
【請求項7】
前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドよりも短い波長のローディング量を増やすように指示するものである、
請求項2に記載の光伝送システム。
【請求項8】
前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドと、前記第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量を変化させるように指示するものである、
請求項2に記載の光伝送システム。
【請求項9】
前記送信側の端局は、信号光とダミー光とを波長多重することによって前記波長多重信号光を生成し、
前記ローディング量の制御は、前記送信側の端局において前記ダミー光のチャネルを増減することによって行われる、
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の光伝送システム。
【請求項10】
波長多重(WDM)信号光をお互いに送受信する一対の端局と、前記一対の端局が送受信する前記波長多重信号光を伝搬する光ファイバと、前記光ファイバに挿入された少なくとも1つの中継器とを含む光伝送システムの制御方法であり、
前記中継器は、前記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分し、この区分された前記複数のサブバンドを対応する複数の光増幅部で増幅した後に、増幅された前記複数のサブバンドを合波し、
前記区分された前記複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含み、
前記一対の端局のうち受信側の端局が受信した、
前記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタし、
前記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、前記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する、
光伝送システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム等に関し、特に伝送路として光ファイバを用いた光伝送システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送路として光ファイバを用いた光伝送システムが、知られている。この光伝送システムでは、光ファイバの伝送損失などを考慮して、特にC-band(Conventional Band)やL-band(Long Wave Band)といった波長帯域が光通信波長帯として用いられる。ここで、C-bandの波長帯域は1530nm~1565nmであり、L-bandの波長帯域は1565nm~1625nmである。C-bandの波長帯域は、光ファイバの光透過率が高い。これを言い換えると、C-bandの波長帯域は、光ファイバの伝送損失が低い。このため、C-bandの波長帯域は長距離伝送に適している。
【0003】
このような光伝送システムは例えば、送受信を行う一対の端局と、この一対の端局間を結ぶ伝送路としての光ファイバと、この光ファイバを中継する複数の中継器と、を含んで構成される。複数の中継器のそれぞれは、長距離の光ファイバを伝播するうちに減衰していく信号光を増幅する光増幅部を含む。この光増幅部としては、信号光そのものを増幅する不純物添加光ファイバ増幅器が用いられている。この不純物添加光ファイバ増幅器としては、不純物として希土類イオンの一例としてのエルビウム(Er)イオンが光ファイバに添加されたEDFA(Erbium-Doped optical Fiber Amplifier)などがある。
【0004】
不純物添加光ファイバ増幅器は、増幅特性の傾向として、一般的に、増幅される信号光の波長帯域において長い波長の信号光の利得が大きく、短い波長の信号光の利得が小さい。光ファイバに挿入される中継器では、この増幅特性の傾向を考慮して、入力され増幅される信号光の波長帯域のうち短い波長の信号光の出力レベルが所定レベルを越えるように不純物添加光ファイバ増幅器の利得が調整される。そして不純物添加光ファイバ増幅器の次段に接続される等化器によって上記所定レベルを越えた部分をカットすることにより、一つの不純物添加光ファイバ増幅器で増幅される信号光の波長帯域の各チャネルにおいて、出力レベルを揃える等化処理が行われる。この等化器の等化処理によってカットされる部分は、光ファイバによる光伝送に寄与しないため、エネルギー損失となる。このエネルギー損失を低減することができる光伝送システムが望まれる。
【0005】
特許文献1は、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)信号光の増幅方法に関するものである。この特許文献1では、波長多重信号光を分波器で複数の波長帯域の信号光に分割し、この分割された各波長帯域の信号光を各々に対応した光増幅部で増幅した後に、増幅された各波長帯域の信号光を合波器で合波する増幅方法が提案されている。また、特許文献1では、光増幅部で増幅された各波長帯域の信号光の一部を分岐し、この分岐された光のパワーを測定し、この測定結果をもとに光増幅部の利得を個々に調整すること、これによって光増幅部でそれぞれ発生する光出力レベルの波長間偏差が予め設定した範囲内となるように設計することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-066862号公報
【文献】国際公開第2020/209170号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、光伝送システムの中継器に含まれる光増幅部と、等化器の等化処理によるエネルギー損失とについて考える。例えば、特許文献1が提案するような、波長多重信号光を分波デバイスで複数の波長帯域の信号光に分割し、この分割された各波長帯域の信号光を各々に対応した光増幅部で増幅した後に、増幅された各波長帯域の信号光を合波デバイスで合波する構成を適用した場合の等化器の等化処理によるエネルギー損失を考える(図13B)。
【0008】
このような構成を採用した場合、図13Aに示されるような一つの光増幅部で波長多重信号光をそのまま増幅する場合と比べて、各々の光増幅部が増幅する波長帯域の信号光の波長帯域の幅が狭くなる。これにより、各々の光増幅部で増幅される信号光の波長帯域において、長い波長の信号光の利得と短い波長の信号光の利得との差が小さくなる。その結果、各々の光増幅部で入力され増幅される信号光の波長帯域のうち短い波長の信号光の出力レベルが所定レベルを越えるように光増幅部の利得を調整しても、上記所定レベルを越えた部分が小さくなる。これにより、上記所定レベルを越えた部分をカットし、光増幅部で増幅される信号光の波長帯域の各チャネルの出力レベルを揃える等化処理を行ったときでも、カットする部分が小さくなり、等化器の等化処理によるエネルギー損失が小さくなることが期待される。
【0009】
ところで、特許文献1が提案するような、波長多重信号光を分波デバイスで複数の波長帯域の信号光に分割し、この分割された各波長帯域の信号光を各々に対応した光増幅部で増幅した後に、増幅された各波長帯域の信号光を合波デバイスで合波する構成の新たな課題について検討する。
【0010】
広帯域の波長多重信号光の光増幅にて生じる利得ばらつきに起因するエネルギー損失は、特許文献1が提案するような、波長多重信号光を分波デバイスで複数の波長帯域の信号光に分割し、この分割された各波長帯域の信号光を各々に対応した光増幅部で増幅した後に、増幅された各波長帯域の信号光を合波デバイスで合波する構成を採用することによって小さくなることが期待される。
【0011】
分割された各波長帯域の信号光を各々に対応した光増幅部で増幅する構成の場合、光増幅部の励起光源の経年劣化で励起光出力が低下してくると、受信信号のサブバンド間の境界に出力強度のギャップが生ずる(図14)。
【0012】
経年劣化による出力強度の標準偏差変動は増幅器1台あたり約0.03dBが許容範囲であることから、ギャップは0.03dB以内に抑える必要がある。よって、経年劣化で生じた出力強度のギャップを埋めることが課題となる。
【0013】
本発明の目的は、上述した課題に鑑み、広帯域で利得ばらつきが小さい光伝送システム、及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明に係る光伝送システムは、波長多重(WDM)信号光をお互いに送受信する一対の端局と、上記一対の端局が送受信する上記波長多重信号光を伝搬する光ファイバと、上記光ファイバに挿入された少なくとも1つの中継器とを含む光伝送システムであり、
上記中継器は、上記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分し、この区分された上記複数のサブバンドを対応する複数の光増幅部で増幅した後に、増幅された上記複数のサブバンドを合波する光増幅器を含み、
上記区分された複数の複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含み、
上記一対の端局のうち受信側の端局が受信した、
上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタするモニタ部と、
上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する制御部とを、含む。
【0015】
光伝送システムの制御方法は、波長多重(WDM)信号光をお互いに送受信する一対の端局と、上記一対の端局が送受信する上記波長多重信号光を伝搬する光ファイバと、上記光ファイバに挿入された少なくとも1つの中継器とを含む光伝送システムの制御方法であり、
上記中継器は、上記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分し、この区分された上記複数のサブバンドを対応する複数の光増幅部で増幅した後に、増幅された上記複数のサブバンドを合波し、
上記区分された複数の複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含み、
上記一対の端局のうち受信側の端局が受信した、
上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタし、
上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、広帯域で利得ばらつきが小さい光伝送システム、及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の上位概念の実施形態による光伝送システムを説明するブロック図である。
図1B図1Aの中継器の構成を説明するためのブロック図である。
図2A】本発明の第1実施形態による光伝送システムを説明するブロック図である。
図2B図2Aの中継器の構成、及び増幅特性を説明するためのブロック図である。
図2C】光増幅器の増幅特性に関する基本原理を説明するためのグラフである。
図3図2Aの光伝送システムの、より具体的な構成を説明するためのブロック図である。
図4図2Bに含まれる光増幅部の増幅特性を説明するためのグラフである。
図5A】本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図5B】本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法の変形例を説明するためのグラフである。
図6】本発明の実施形態による効果を説明するためのグラフである。
図7A】本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図7B】本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図7C】本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図8】本発明の第3実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図9】本発明の第4実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図10】本発明の第5実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図11A】本発明の第5実施形態による光伝送システムによる光増幅器の増幅特性を説明するためのグラフである。
図11B】本発明の第5実施形態による光伝送システムによる光増幅器の増幅特性を説明するためのグラフである。
図12】本発明の第6実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
図13A】背景技術の光増幅器の増幅特性と、等化処理によるエネルギー損失を説明するための概念図である。
図13B】特許文献1が提案する構成を適用した場合を想定した、背景技術の光増幅器の増幅特性と、等化処理によるエネルギー損失を説明するための概念図である。
図14図13Bの光増幅器に経時変化が生じたことを想定したときの、増幅特性を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の具体的な実施形態を説明する前に、本発明の上位概念による実施形態について説明する。図1Aは、本発明の上位概念の実施形態による光伝送システムを説明するブロック図である。図1Bは、図1Aの中継器の構成を説明するためのブロック図である。図1Aの光伝送システムは、例えば、陸上の端局と、この端局間を結び波長多重信号光を伝搬する光ファイバとを含むシステムである。この光ファイバとして海底ケーブルを用いるような海底ケーブルシステムなどが想定される。
【0019】
図1Aの光伝送システムは、波長多重(WDM)信号光をお互いに送受信する一対の端局の一例としての端局102A、102Bと、この端局102A、102Bが送受信する波長多重信号光を伝搬する光ファイバ101と、この光ファイバ101に挿入された少なくとも1つの中継器103と、を含む。図1Aの中継器103は、図1Bに示すように、分波器104と、複数の光増幅部105~105(ここで、mは2以上の整数)と、合波器106と、を含む。
【0020】
分波器104は、中継器103に入力される波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに分ける。複数の光増幅部105~105は、複数のサブバンドに分けられた波長多重信号光を各々に増幅する。この複数の光増幅部105~105は、EDFA(エルビウム添加光ファイバ増幅器)に代表される光増幅器であり、励起光によって光信号を増幅して出力する光増幅器である。合波器106は、各光増幅部105~105で増幅された波長多重信号光を合波して出力する。
【0021】
図1Aの光伝送システムでは、上記複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドと、を少なくとも含む。
【0022】
図1Aの光伝送システムはさらに、前記一対の端局のうち受信側の端局が受信した、上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタするモニタ部108を含む。
【0023】
図1Aの光伝送システムはさらに、上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する制御部109を含む。
【0024】
図1Aの光伝送システムでは、モニタ部108が、相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルの出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする。
【0025】
さらに制御部109が、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。このギャップが小さくなるような制御信号は、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して送信される。
【0026】
この制御信号によって、送信側の端局は波長多重(WDM)信号光の送信に関して状態を変化させる。その結果、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなる。区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0027】
図1Aの光伝送システムでは、運用を開始した後に中継器103に含まれる光増幅器などに経時変化が生じた場合でも、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップを小さくするような制御により、中継器103に含まれる光増幅器の増幅特性のばらつきを低減し、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。以下、より具体的な光伝送システム、及びその制御方法について説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による光伝送システム、及びその制御方法について、説明する。図2Aは、本発明の第1実施形態による光伝送システムを説明するブロック図である。図2Bは、図2Aの中継器の構成、及び増幅特性を説明するためのブロック図である。図2Cは、光増幅器の増幅特性に関する基本原理を説明するためのグラフである。図4は、図2Bに含まれる光増幅部の増幅特性を説明するためのグラフである。
【0029】
図2Aの光伝送システムは、波長多重(WDM)信号光を送信する端局12A(送信側の端局Tx)と、波長多重信号光を受信する端局12B(送信側の端局Rx)と、端局12A、12Bが送受信する波長多重信号光を伝搬する光ファイバ11と、を含む。さらに図2Aの光伝送システムは、この光ファイバ11に挿入された少なくとも1つの中継器13と、を含む。なお図2Aでは、光ファイバ11に7つの中継器13が挿入された場合を一例として示している。
【0030】
図2Aの中継器13は、図2Bに示すように、分波器14と、複数の光増幅部15~15(ここで、mは2以上の整数)と、合波器16と、を含む。分波器14は、中継器13に入力される波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに分ける。複数の光増幅部15~15は、複数のサブバンドに分けられた波長多重信号光を各々に増幅する。この複数の光増幅部15~15は、EDFA(エルビウム添加光ファイバ増幅器)に代表される光増幅器であり、励起光によって光信号を増幅して出力する光増幅器である。合波器16は、各光増幅部15~15で増幅された波長多重信号光を合波して出力する。
【0031】
図2Aの光伝送システムでは、上記複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドと、を少なくとも含む。
【0032】
図2Aの光伝送システムはさらに、受信側の端局Rxが受信した、上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする出力ギャップモニタ21を含む。
【0033】
図2Aの光伝送システムはさらに、上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、送信側の端局Txに対して、制御信号を送信するローディング制御装置22を含む。
【0034】
図2Aの光伝送システムでは、出力ギャップモニタ21が、相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルの出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする。
【0035】
さらにローディング制御装置22が、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。このギャップが小さくなるような制御信号は、送信側の端局Txに対して送信される。
【0036】
この制御信号によって、送信側の端局Txは波長多重信号光の送信に関して状態を変化させる。その結果、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなる。こうして、区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0037】
図3は、図2Aの光伝送システムの、より具体的な構成を説明するためのブロック図である。図3の光伝送システムは、図2Aに示す端局12A(送信側の端局Tx)、端局12B(送信側の端局Rx)と、波長多重信号光を伝搬する光ファイバ11とを含み、さらにネットワークマネジメントシステム30と、を含む。ネットワークマネジメントシステム30は、図2Aの光伝送システムの全体を統括しており、特に本実施形態では出力ギャップモニタ21の出力に基づいてローディング制御装置22を制御する構成を示している。なお図3では、光ファイバ11に挿入される中継器13については図示を省略している。
【0038】
図3の光伝送システムでは、送信側の端局Txは、送信される信号光、ローディングに関わるダミー光を波長多重する構成と、ローディング制御装置22とを含んで、構成されている。送信側の端局Txは、チャネル#1~チャネル#K-1の信号光(Sig.1~Sig.K-1)を波長多重する合波部121と、チャネル#K~チャネル#Nの信号光(Sig.K~Sig.N)を波長多重する合波部122と、を含む。なおここでN及びKは例えば、N>K≧2を満たすような整数である。またここで説明の便宜上、チャネル#1~チャネル#Nのチャネル番号は、波長が短い側から波長が長い側への順に付与されているものとする。送信側の端局Txはさらに、#1~#nのダミー光(Rod.1~Rod.n)を波長多重する合波部123と、合波部121、122、123の出力を合波する合波手段124と、入力される制御信号に応じて合波部123を制御するローディング制御装置22と、を含む。ローディング制御装置22は、入力される制御信号に応じて、#1~#nのダミー光の出力又は停止、或いは#1~#nのダミー光の光パワーの減衰などを合波部123に対して指示する。
【0039】
図3の光伝送システムでは、受信側の端局Rxは、受信した信号光、ローディングに関わるダミー光を分波する構成と、出力ギャップモニタ21とを含んで、構成されている。受信側の端局Rxは、光ファイバ11を伝搬した波長多重信号光を分波する分波手段125と、チャネル#1~チャネル#K-1の信号光(Sig.1~Sig.K-1)に分波する分波部126と、チャネル#K~チャネル#Nの信号光(Sig.K~Sig.N)に分波する分波部127と、を含む。さらに受信側の端局Rxは、#1~#nのダミー光に分波する分波部128と、出力ギャップモニタ21と、を含む。
【0040】
出力ギャップモニタ21は、分波部126が出力する、チャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、分波部127が出力する、チャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーとをモニタする。出力ギャップモニタ21は例えば、チャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、チャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーとのギャップ量を監視する。なおここで、チャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)は第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルに相当し、チャネル#Kの信号光(Sig.K)は第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルに相当する。
【0041】
送信側の端局Txは、#1~#nのダミー光(Rod.1~Rod.n)を波長多重する合波部123と、合波部121、122、123の出力を合波する合波手段124と、入力される制御信号に応じて合波部123を制御するローディング制御装置22と、を含む。
【0042】
ローディング制御装置22は、入力される制御信号に応じて合波部123に対して、合波部123の#1~#nのダミー光(Rod.1~Rod.n)の出力又は停止、或いはダミー光の減衰を指示する。これによって、ローディング制御装置22は光伝送システムにおけるローディング量を制御する。
【0043】
(実施形態の動作)
次に、本実施形態の光伝送システムの動作について説明する。図2A図3に示す光伝送システムは、端局12Aが送信する波長多重(WDM)信号光が光ファイバ11を伝搬し、端局12Bで受信される。長距離の光ファイバ11を伝搬するうちに減衰する波長多重信号光は、光ファイバ11に挿入された中継器13によって増幅され、所定レベルの利得が維持される。中継器13では、上記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分される。図2Bの中継器13ではこの波長多重信号光を区分する手段として分波器14が設けられており、分波器14によって波長多重信号光は複数のサブバンドに分割される。複数のサブバンドは、例えば第1~第mのサブバンドである(なおここで、mは2以上の整数)。光増幅器では、波長多重信号光が励起光の導入を受けて光信号の形態で増幅される。光増幅器の特性として図2Cに示すように、導入される励起光を同一としても、狭帯域の入力信号に対して増幅量が多くなり、広帯域の入力信号では増幅量が少なくなるという傾向がある。
【0044】
中継器13では、区分された複数のサブバンドを各々に対応する光増幅部15~15で増幅した後に、増幅された前記複数のサブバンドを合波器16で合波する。光伝送システムは運用を開始した後、時間の経過と共に特性の変化(経時変化)が発生することが想定される。
【0045】
本実施形態の光伝送システムは、特に複数の光増幅部15~15の増幅特性に関わる経時変化へ対処するものであり、例えば複数の複数のサブバンドを相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含むように区分した場合を想定する。第1のサブバンドは例えば、チャネル#1~チャネル#K-1の信号光(Sig.1~Sig.K-1)を含むようなサブバンドであり、第2のサブバンドは例えば、チャネル#K~チャネル#Nの信号光(Sig.K~Sig.N)を含むようなサブバンドである。この場合、中継器13ではチャネル#1~チャネル#K-1の信号光(Sig.1~Sig.K-1)は光増幅部15で増幅され、チャネル#K~チャネル#Nの信号光(Sig.K~Sig.N)は光増幅部15で増幅され、合波器16で合波される。
【0046】
この波長多重信号光は光ファイバ11を伝搬し、端局12Bで受信される。端局12Bでは、分波手段125、分波部126、分波部127で波長多重信号光が分波される。出力ギャップモニタ21は、第1のサブバンドのうち中で最も波長が長いチャネルであるチャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、第2のサブバンドのうち中で最も波長が短いチャネルであるチャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーと、をモニタする。そしてチャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、第2のサブバンドのうち中で最も波長が短いチャネルであるチャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーとの間にギャップがある場合には、このギャップが小さくなるように制御を行う。図2Aでは、チャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、第2のサブバンドのうち中で最も波長が短いチャネルであるチャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーとにギャップがある場合には、波長多重信号光を送信する送信側の端局12Aに対して、制御信号を送信する。図2Aでは、出力ギャップモニタ21がローディング制御装置22に対して制御信号を送信し、図3では出力ギャップモニタ21がモニタ結果をネットワークマネジメントシステム30に送信し、ネットワークマネジメントシステム30がこのモニタ結果に基づいてローディング制御装置22に対して制御信号を送信する態様を示している。
【0047】
ローディング制御装置22では、#1~#nのダミー光(Rod.1~Rod.n)の出力又は停止、或いはダミー光の減衰を指示する。光増幅器では図2Cに示すような増幅特性があるので、ダミー光を出力から停止、停止から出力、出力から減衰といった変更をローディング制御装置22に対して指示することによって、中継器13の光増幅部15、15の利得を個別に端局12Aから変更することができる。
【0048】
(実施形態の効果)
図2A図3の光伝送システムでは、出力ギャップモニタ21が、相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルであるチャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルであるチャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーとをモニタする。さらに図2Aの出力ギャップモニタ21や図3のネットワークマネジメントシステム30が、チャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、チャネル#Kの信号光(Sig.K)の出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。このギャップが小さくなるような制御信号は、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局12A(送信側の端局Tx)に対して送信される。特にこの制御信号は、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局12Aのローディング制御装置22に対して送信される。
【0049】
この制御信号によって、送信側の端局は波長多重(WDM)信号光の送信に関して状態を変化させる。その結果、チャネル#K-1の信号光(Sig.K-1)の出力パワーと、チャネル#Kの信号光(Sig.K)の信号光(Sig.K)の出力パワーとのギャップが小さくなる。こうして、区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0050】
図2A図3の光伝送システムでは、運用を開始した後に中継器13に含まれる光増幅部15~15などに経時変化が生じた場合でも、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップを小さくするような制御により、中継器13に含まれる光増幅部15~15の増幅特性のばらつきを低減し、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0051】
以下、制御の具体的内容について順番に説明する。ここでは、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとの間のギャップを小さくする。
【0052】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による光伝送システム、及びその制御方法について、説明する。図5Aは、本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。図7A乃至図7Cは、本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。本実施形態は、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いた実施形態であり、光伝送システムの動作や、光伝送システムの制御方法に特徴がある。本実施形態では、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いるものとして、構成についての説明を省略することとする。
【0053】
本明細書では、実施形態の光伝送システムにおいて、「波長多重信号光の伝送に利用される周波数帯」を「使用バンド」と称し、「Cバンド全域」(波長帯域:1530nm~1565nm)を「Full Cバンド」と称する、こととする。Full Cバンドには、図4に示すように波長多重信号光の伝送に利用される複数のサブバンド(第1のサブバンド、第2のサブバンド)が含まれると共に、より短波長側の第1のサブバンドよりも波長が短い帯域や、より長波長側の第2のサブバンドよりも波長が長い帯域をも含まれる。
【0054】
光伝送システムでは、運用開始時に利用する複数のチャネルを含むと共に、将来の増強を想定して運用開始時には未使用状態にある複数のチャネル(ダークチャネル)をも含むように設計される。図2Cに示される、中継器の増幅部の増幅特性を考慮して、未使用状態にあるチャネルにはダミー光を出力するなど制御される。そして運用開始後に未使用状態にあるチャネルにおいて、信号光を供給すると共に、ダミー光を停止するといった変更が行われる。
【0055】
図5Aでは、Full Cバンドのうち、第1のサブバンドよりも波長が短い帯域にダミー光が出力されており、また第2のサブバンドよりも波長が短い帯域にダミー光が出力されている状態を示している。
【0056】
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法では、上述した実施形態と同様に、相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルの出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする。さらに、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。
【0057】
この制御信号として、本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法では、図7Aに二箇所の矢印で示すように、ローディング量を変更するような制御を想定する。より具体的には、例えば図7Aに示す状態から図7Bに示す状態への変更のように、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御である。この第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させる制御は、例えば図3のローディング制御装置22による制御であり、ローディング制御装置22が第2のサブバンドよりも長波長の1本以上のダミー光を停止することによって実現される。図2Cに示す増幅特性から理解されるように、入力信号の帯域が狭くなることによって光増幅部の増幅量は多くなり、光増幅部の利得は上昇する。これによって、第2のサブバンドの波長多重信号光の各信号光の出力パワーが上昇し、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップを小さくすることができる。
【0058】
ローディング制御装置22による制御によって、第2のサブバンドよりも長波長の1本以上のダミー光を停止することによって、上記出力パワーのギャップを小さくすることができる。この第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を停止することによって出力パワーのギャップを小さくする制御では、出力状態にあるダミー光を停止させる制御であり全てのダミー光を停止させるまで制御を行うことができる。
【0059】
第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を停止する制御でも出力パワーのギャップを小さくできないような場合には、例えば図7Bに示す状態から図7Cに示す状態への変更のように、第1のサブバンドよりも短波長のローディング量を増加させるような制御を行うことも考えられる。この第1のサブバンドよりも短波長のローディング量を増加させる制御は、例えば図3のローディング制御装置22による制御であり、ローディング制御装置22が第1のサブバンドよりも短波長の1本以上のダミー光を追加して出力させることによって実現される。
【0060】
(実施形態の効果)
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法によれば、上述した実施形態と同様に区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0061】
さらに本実施形態によれば、長波長側の第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させる制御によって、出力パワーのギャップを小さくしている。ダミー光を停止するといった手法によって、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させているので、ダミー光に関わる消費電力を減少させることができ、よりエネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0062】
また本実施形態では、長波長側の第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させる制御に加えて、短波長側の第1のサブバンドよりも短波長のローディング量を増加させる制御を併用することによって、出力パワーのギャップをより小さくすることができる。
【0063】
図6は、本発明の実施形態による効果を説明するためのグラフである。横軸に波長を示し、縦軸に相対スペクトル強度を示す。光増幅部の励起光源の出力が100%の場合に、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとにギャップ(GAP)が生まれないように、光伝送システムが設計される。光増幅部の励起光源の出力が100%から82%まで低下した場合、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとでは、等化器を通過した後の出力波形には、図6に示すように約0.4dBのギャップ(GAP)が生じる。
【0064】
これに対し、本実施形態のような、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御、図6の図示の場合にはローディング波長を4波減らすことでギャップ(GAP)を埋めることができている。言い換えると、第2のサブバンドよりも長波長側のダミー光L44、L43、L42、L41の計4波を停止することによって、ギャップ(GAP)を埋めることができる。また図6の図示の場合、長波長側のダミー光L40、L39、L38、L37、L36の停止によって、長波長側の第2のサブバンドの相対スペクトル強度が増加することが理解される。
【0065】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態による光伝送システム、及びその制御方法について、説明する。図8は、本発明の第3実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。本実施形態は、第2実施形態と同様に、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いた実施形態であり、光伝送システムの動作や、光伝送システムの制御方法に特徴がある。本実施形態では、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いるものとして、構成についての説明を省略することとする。
【0066】
光伝送システムでは、上述したように、運用開始時に利用する複数のチャネルを含むと共に、将来の増強を想定して運用開始時には未使用状態にある複数のチャネル(ダークチャネル)をも含むように設計される。運用開始後に未使用状態にあるチャネルにおいて、信号光を供給すると共に、ダミー光を停止するといった変更が行われる。このように未使用状態にあるチャネルを使用状態に転換していくと、上述した第2実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御によって、出力パワーとのギャップを小さくするような制御が困難になることが想定される。
【0067】
言い換えると、光伝送システムを長年運用するにつれて図8の使用バンドは次第にFull Cバンドに近づいて、ローディング量そのものが減少し、Full Cバンド内だけのローディング量の制御では出力パワーとのギャップを小さくするような制御が困難になることが想定される。
【0068】
本実施形態では、図8に示すように短波長側の第1のサブバンドよりも短波長のローディング量を増加させる制御によって、第1のサブバンドの光増幅に関し入力信号の帯域が広くなることによって光増幅部の増幅量が少なくなり、第1のサブバンドの光増幅部の利得は低下する。これによって出力パワーとのギャップを小さくすることができる。
【0069】
なお本実施形態では、短波長側の第1のサブバンドよりも短波長のローディング量を増加させる制御は、図8に示すようにFull Cバンドよりも短い波長帯にローディング量を追加するものを示している。このようなFull Cバンドよりも外側の帯域にローディングを追加することによっても、第1のサブバンドの光増幅に関し入力信号の帯域が広くなることによって光増幅部の増幅量を少なくすることができ、第1のサブバンドの光増幅部の利得を低下させることができる。
【0070】
(実施形態の効果)
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法によれば、上述した実施形態と同様に区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0071】
さらに本実施形態では、短波長側の第1のサブバンドよりも短波長のローディング量を増加させる制御によって、出力パワーのギャップをより小さくすることができる。その際に本実施形態では、Full Cバンド外に追加のローディングを行っている。具体的には、Full Cバンドよりも短い波長帯にローディング量を追加することによって、第1のサブバンドの光増幅に関し光増幅部の増幅量を少なくすることができ、第1のサブバンドの光増幅部の利得を低下させることができる。その結果、出力パワーのギャップをより小さくすることができる。
【0072】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態による光伝送システム、及びその制御方法について、説明する。図9は、本発明の第4実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。本実施形態は、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いた実施形態であり、光伝送システムの動作や、光伝送システムの制御方法に特徴がある。本実施形態では、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いるものとして、構成についての説明を省略することとする。
【0073】
上述した第2実施形態や第3実施形態では、区分された複数のサブバンドより長波長のローディング量を制御することや、短波長のローディング量を制御することによって、出力パワーのギャップをより小さくすることについて説明したが、本発明の実施形態によるローディング量の制御はこれらには限られない。例えば、第1のサブバンドと第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量を制御することによって、出力パワーのギャップを小さくすることも考えられる。
【0074】
本実施形態では、使用バンドをより短い波長帯の第1のサブバンドと、より長い波長帯の第2のサブバンドとに区分する。そして本実施形態では図9に示すような、第1のサブバンドと第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量を制御する。
【0075】
相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルの出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする。そして第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。
【0076】
例えば、第1のサブバンドと第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量のうち、第2のサブバンドに近い帯域のローディング量を減少させるといった制御によって、第2のサブバンドの波長多重信号光の各信号光の出力パワーを上昇させることができる。また第1のサブバンドと第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量のうち、第1のサブバンドに近い帯域のローディング量を増加させるといった制御によって、第1のサブバンドの波長多重信号光の各信号光の出力パワーを低下させることができる。このような第1のサブバンドと第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量の制御によって、出力パワーとのギャップを小さくすることができる。
【0077】
(実施形態の効果)
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法によれば、上述した実施形態と同様に区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0078】
さらに本実施形態では、第1のサブバンドと第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量を制御することによって、出力パワーのギャップをより小さくすることができる。
【0079】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態による光伝送システム、及びその制御方法について、説明する。本実施形態は、第2実施形態乃至第4実施形態と同様に、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いた実施形態であり、光伝送システムの動作や、光伝送システムの制御方法に特徴がある。本実施形態では、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いるものとして、構成についての説明を省略することとする。
【0080】
本実施形態では、上述した第2実施形態乃至第4実施形態のような特定の帯域のダミー光の出力、停止といったローディング量の制御に加えて、送信側の端局の送信波形の制御をも行うものである。図10は、本発明の第5実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
【0081】
本実施形態の光伝送システムでは、端局12A(送信側の端局Tx)においてFull Cバンドに対し波長多重信号光及びダミー光の出力パワーを増加させておく。図10では、Full Cバンドのうち、第1のサブバンドよりも波長が短い帯域にダミー光が出力されており、また第2のサブバンドよりも波長が短い帯域にダミー光が出力されている状態を示しており、図10ではダミー光についても出力パワーが増加した状態にある。
【0082】
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法では、上述した実施形態と同様に、相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルの出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする。さらに、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。
【0083】
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法では、図10の矢印で示すように、ローディング量を変更するような制御を想定する。より具体的には、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御であり、ローディング量を減少させる制御として、第2のサブバンドよりも長波長のダミー光の出力パワーを減衰させるような制御を行う。この制御によって、第2のサブバンドのための光増幅部の増幅量は多くなり、光増幅部の利得は上昇する。これによって、第2のサブバンドの波長多重信号光の各信号光の出力パワーが上昇し、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップを小さくすることができる。
【0084】
図11Aは、本発明の第5実施形態による光伝送システムによる光増幅器の増幅特性を説明するためのグラフである。横軸に波長を示し、縦軸に相対スペクトル強度を示す。光増幅部の励起光源の出力が100%の場合に、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとにギャップ(GAP)が生まれないように、光伝送システムが設計される。光増幅部の励起光源の出力が100%から82%まで低下した場合、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとでは、等化器を通過した後の出力波形には、図11Aに示すように約0.4dBのギャップ(GAP)が生じる。
【0085】
これに対し、本実施形態のような、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御、具体的には第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を減衰させるような制御によって、図11Aの図示の場合にはダミー光のうち8波を減衰させる制御によって、ギャップ(GAP)を埋めることができている。
【0086】
図11Bは、本発明の第5実施形態による光伝送システムによる光増幅器の増幅特性を説明するためのグラフである。端局12A(送信側の端局Tx)においてローディング波長に施した減衰はそのままの波長特性を維持して出力される。そのため、直列接続された複数の中継器13においては、後段の中継器13の光増幅部にも1段目の中継器13の光増幅部と同じ入力波形が入射される。これにより、端局12A(送信側の端局Tx)においてダミー光を減衰させる制御を行えば、直列接続された複数の中継器13への入力信号を一括して制御することができる。言い換えると、直列接続された複数の中継器13の一段一段がギャップを埋めつつ、光増幅することができる。
【0087】
(実施形態の効果)
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法によれば、上述した実施形態と同様に区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0088】
さらに本実施形態では、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御、具体的には第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を減衰させるような制御によって、出力パワーのギャップを小さくすることができる。
【0089】
上述した第2乃至第4実施形態によるローディング量の制御と、第5実施形態によるローディング量の制御とは、併用することができる。例えば、第2実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を停止する制御と、本実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を減衰させる制御とを、併用することができる。第2実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を停止する制御は、粗調整に対応する。言い換えると第2のサブバンドよりも長波長のローディング本数を削減する制御は、粗調整に対応する。本実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を減衰させる制御は、微調整に対応する。
【0090】
本実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を減衰させる制御を併用することによって、図6に示される飛び飛びのギャップ量の調整(粗調整)に対してその中間のギャップ量の調整(微調整)が可能になる。
【0091】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態による光伝送システム、及びその制御方法について、説明する。本実施形態は、第2実施形態乃至第4実施形態と同様に、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いた実施形態であり、光伝送システムの動作や、光伝送システムの制御方法に特徴がある。本実施形態では、上述した図2A図3に示す光伝送システムの構成を用いるものとして、構成についての説明を省略することとする。
【0092】
本実施形態では、上述した第5実施形態と同様に、送信側の端局の送信波形の制御をも行うものである。図12は、本発明の第6実施形態による光伝送システムの制御方法を説明するためのグラフである。
【0093】
本実施形態の光伝送システムでは、第5実施形態と同様に、端局12A(送信側の端局Tx)においてFull Cバンドに対し波長多重信号光及びダミー光の出力パワーを増加させておく。図12では、Full Cバンドのうち、第1のサブバンドよりも波長が短い帯域にダミー光が出力されており、また第2のサブバンドよりも波長が短い帯域にダミー光が出力されている状態を示しており、図12ではダミー光についても出力パワーが増加した状態にある。
【0094】
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法では、上述した実施形態と同様に、相対的に短波長側の第1のサブバンドのうち最も波長が長いチャネルの出力パワーをモニタすると共に、相対的に長波長側の第2のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタする。さらに、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、制御信号を送信する。
【0095】
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法では、図12の矢印で示すように、第2のサブバンドの波長多重信号光を減衰させると共に、ローディング量を変更するような制御を想定する。より具体的には、第5実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御に加えて、端局12A(送信側の端局Tx)が送信する波長多重信号光のうち、より長波長側の第2のサブバンドの波長多重信号光を全体的に減衰させるような制御を行う。この制御によって、第2のサブバンドのための光増幅部の増幅量は多くなり、光増幅部の利得は上昇する。これによって、第2のサブバンドの波長多重信号光の各信号光の出力パワーが上昇し、第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップを小さくすることができる。
【0096】
(実施形態の効果)
本実施形態の光伝送システム、及びその制御方法によれば、上述した実施形態と同様に区分されたサブバンドごとの光増幅に起因して、増幅特性のギャップが小さくなることによって、等化処理によるエネルギー損失を小さくすることができる。その結果、エネルギー利用効率を向上させた光伝送システムを実現すると共に、光伝送システムの性能を維持することができる。
【0097】
さらに本実施形態では、第5実施形態と同様に、第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を減少させるような制御、具体的には第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を減衰させるような制御によって、出力パワーのギャップを小さくすることができる。
【0098】
さらに本実施形態では、端局12A(送信側の端局Tx)が送信する波長多重信号光のうち、より長波長側の第2のサブバンドの波長多重信号光を全体的に減衰させるような制御を行っている。第2のサブバンドよりも長波長のローディング量を調整するだけでなく、第2のサブバンドの入力信号強度を全体的に調整する制御によって、第2のサブバンドのための光増幅部の増幅量は多くなり、光増幅部の利得は上昇する。その結果、出力パワーのギャップをより小さくすることができる。
【0099】
なお本実施形態においても、上述した第2乃至第4実施形態によるローディング量の制御と併用することができる。例えば、第2実施形態のような第2のサブバンドよりも長波長のダミー光を停止する制御と、本実施形態のような第2のサブバンドの波長多重信号光を全体的に減衰させるような制御とを、併用することができる。本実施形態のような第2のサブバンドの波長多重信号光を全体的に減衰させるような制御を併用することによって、図6に示される飛び飛びのギャップ量の調整(粗調整)に対してその中間のギャップ量の調整(微調整)が可能になる。
【0100】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図5Bは、本発明の第2実施形態による光伝送システムの制御方法の変形例を説明するためのグラフである。例えば、上述した第2実施形態において、複数のサブバンドのうち、より長波長側の第2のサブバンドについて経時変化が大きいことが確定していれば、光伝送システムの運用開始時から使用バンドをFull Cバンドの短波長側に寄せて、ローディングは長波長側に設けるような設計も考えられる。図5Aでは、第1のサブバンドの短波長側にローディングを設けると共に第2のサブバンドの長波長側にローディングを設けているのに対し、図5Bでは第2のサブバンドの長波長側にのみローディングを設けている点で相違している。第2のサブバンドについて経時変化が大きいことが確定しているときには、このように第2のサブバンドの長波長側にのみローディングを設けておき、徐々にローディング量を減らすような制御が考えられる。このように長波長側の第2のサブバンドについて経時変化が大きいことが確定していれば、使用バンドをFull Cバンドの短波長側に寄せて設計することにより、減らせるローディング量が枯渇してしまうといった課題を解決することができる。長期間の運用においても、出力パワーのギャップを小さくできる余力を維持することができる。
【0101】
上述した中継器13内の複数の光増幅部15~15には、2台以上のSC-EDFA(Single Core-Erbium doped Optical Fiber Amplifier)を用いることができる。また、上述した中継器13内の複数の光増幅部15~15には、1台以上のコア個別励起型のMC-EDFA(Multi-Core-Erbium doped Optical Fiber Amplifier)を用いることができる。また、上述した中継器13内の複数の光増幅部15~15には、1台以上のクラッド一括励起及びコア個別励起を併用したハイブリッド型のMC-EDFAを用いることができる。この2台以上のSC-EDFA、1台以上のコア個別励起型のMC-EDFA、1台以上のクラッド一括励起及びコア個別励起を併用したハイブリッド型のMC-EDFAとしては、既存の技術を本発明に適用することができる。例えば、特許文献2の図8などでは、複数のシングルコア光ファイバを用いた光増幅器が提案されている。この複数のシングルコア光ファイバのそれぞれは、希土類イオンが添加された単一のコアと、この単一のコアを囲むクラッドとを備える構成である。また特許文献2の図4図6などでは、マルチコア光ファイバを用いた光増幅器が提案されている。このマルチコア光ファイバは、希土類イオンが添加された複数のコアと、この複数のコアを囲むクラッドとを備える構成である。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0102】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)波長多重(WDM)信号光をお互いに送受信する一対の端局と、前記一対の端局が送受信する前記波長多重信号光を伝搬する光ファイバと、前記光ファイバに挿入された少なくとも1つの中継器とを含む光伝送システムであり、
前記中継器は、前記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分し、この区分された前記複数のサブバンドを対応する複数の光増幅部で増幅した後に、増幅された前記複数のサブバンドを合波する光増幅器を含み、
前記区分された複数の複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含み、
前記一対の端局のうち受信側の端局が受信した前記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記一対の端局のうち受信側の端局が受信した前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタするモニタ部と、
前記モニタ部がモニタした前記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、前記モニタ部がモニタした前記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、前記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する制御部とを、含む
光伝送システム。
(付記2)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、ローディング量を変化させるように指示するものである、
付記1に記載の光伝送システム。
(付記3)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量を減らすように指示するものである、
付記2に記載の光伝送システム。
(付記4)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量を減らすように指示するものであり、
この長い波長のローディング量を減らすことによっても前記ギャップが十分に小さくならないときには、さらに前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドよりも短い波長のローディング量を増やすように指示するものである、
付記3に記載の光伝送システム。
(付記5)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のダミー光のパワーを減らすように指示するものである、
付記2に記載の光伝送システム。
(付記6)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドに区分された波長帯域の信号光のパワーを減らすように指示するものである、
付記5に記載の光伝送システム。
(付記7)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドよりも短い波長のローディング量を増やすように指示するものである、
付記2に記載の光伝送システム。
(付記8)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドと、前記第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量を変化させるように指示するものである、
付記2に記載の光伝送システム。
(付記9)前記送信側の端局は、信号光とダミー光とを波長多重することによって前記波長多重信号光を生成し、
前記ローディング量の制御は、前記送信側の端局において前記ダミー光のチャネルを増減することによって行われる、
付記2乃至8のいずれか一つに記載の光伝送システム。
(付記10)前記複数のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルを使用バンドの波長が短い側に寄せておくことによって、
前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量が多めに確保されている、
付記3に記載の光伝送システム。
(付記11)前記複数の光増幅部は、2台以上のシングルコア不純物添加光ファイバ増幅器である、
付記1乃至付記10のいずれか一つに記載の光伝送システム。
(付記12)前記複数の光増幅部は、1台以上のマルチコア不純物添加光ファイバ増幅器である、
付記1乃至付記10のいずれか一つに記載の光伝送システム。
(付記13)前記複数の光増幅部は、1台以上のクラッド一括励起及びコア個別励起を併用したハイブリッド型マルチコア不純物添加光ファイバ増幅器である、
付記1乃至付記10のいずれか一つに記載の光伝送システム。
(付記14)波長多重(WDM)信号光をお互いに送受信する一対の端局と、上記一対の端局が送受信する上記波長多重信号光を伝搬する光ファイバと、上記光ファイバに挿入された少なくとも1つの中継器とを含む光伝送システムの制御方法であり、
上記中継器は、上記波長多重信号光を複数の波長帯域の信号光を含む複数のサブバンドに区分し、この区分された上記複数のサブバンドを対応する複数の光増幅部で増幅した後に、増幅された上記複数のサブバンドを合波し、
上記区分された複数の複数のサブバンドは、相対的に短波長側の第1のサブバンドと、相対的に長波長側の第2のサブバンドとを含み、
上記一対の端局のうち受信側の端局が受信した、
上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとをモニタし、
上記第1のサブバンドの中で最も波長が長いチャネルの出力パワーと、上記第2のサブバンドの中で最も波長が短いチャネルの出力パワーとのギャップが小さくなるように、上記波長多重信号光を送信する送信側の端局に対して、制御信号を送信する、
光伝送システムの制御方法。
(付記15)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、ローディング量を変化させるように指示するものである、
付記14に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記16)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量を減らすように指示するものである、
付記15に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記17)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量を減らすように指示するものであり、
この長い波長のローディング量を減らすことによっても前記ギャップが十分に小さくならないときには、さらに前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドよりも短い波長のローディング量を増やすように指示するものである、
付記16に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記18)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドよりも長い波長のダミー光のパワーを減らすように指示するものである、
付記15に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記19)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第2のサブバンドに区分された波長帯域の信号光のパワーを減らすように指示するものである、
付記18に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記20)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドよりも短い波長のローディング量を増やすように指示するものである、
付記15に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記21)前記制御信号は、前記送信側の端局に対して、前記第1のサブバンドと、前記第2のサブバンドとの間の帯域のローディング量を変化させるように指示するものである、
付記15に記載の光伝送システムの制御方法。
(付記22)前記送信側の端局は、信号光とダミー光とを波長多重することによって前記波長多重信号光を生成し、
前記ローディング量の制御は、前記送信側の端局において前記ダミー光のチャネルを増減することによって行われる、
付記15乃至21のいずれか一つに記載の光伝送システムの制御方法。
(付記23)前記複数のサブバンドのうち最も波長が短いチャネルを使用バンドの波長が短い側に寄せておくことによって、
前記第2のサブバンドよりも長い波長のローディング量が多めに確保されている、
付記16に記載の光伝送システムの制御方法。
【符号の説明】
【0103】
11、光ファイバ
12A、12B、102A、102B 端局
13、103 中継器
14、104 分波器
15~15、105~105 光増幅部
16、106 合波器
121、121、123 合波部
124 合波手段
125 分波手段
126、127、128 分波部
21 出力ギャップモニタ
22 ローディング制御装置
30 ネットワークマネジメントシステム
108 モニタ部
109 制御部
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14