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特許7687757ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料及びそれから製造されたナトリウムイオン電池又はナトリウム電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料及びそれから製造されたナトリウムイオン電池又はナトリウム電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20250527BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20250527BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20250527BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20250527BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/437 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20250527BHJP
   H01M 4/1397 20100101ALI20250527BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20250527BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20250527BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20250527BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20250527BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20250527BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 C
H01M4/36 A
H01M10/054
H01M4/38 Z
H01M50/429
H01M50/417
H01M50/437
H01M50/44
H01M50/446
H01M10/0568
H01M4/1397
H01M4/66 A
H01M4/136
H01M4/62 Z
H01M10/0569
C01B32/194
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024529880
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2021140464
(87)【国際公開番号】W WO2023087485
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】202111356573.4
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524188952
【氏名又は名称】鄭州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】陳 衛華
(72)【発明者】
【氏名】張 継雨
(72)【発明者】
【氏名】顔 永亮
(72)【発明者】
【氏名】楊 明睿
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110336021(CN,A)
【文献】国際公開第2017/119171(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/58
H01M 4/36
H01M 10/054
H01M 4/38
H01M 50/429
H01M 50/417
H01M 50/437
H01M 50/44
H01M 50/446
H01M 10/0568
H01M 4/1397
H01M 4/66
H01M 4/136
H01M 4/62
H01M 10/0569
C01B 32/194
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法であって、その粒子の粒径は、2~30μmであり、前記粒子は多孔質構造を持ち、80~200nmの一次粒子が密に集積してから成り、前記一次粒子はアモルファスカーボンで密に被覆され、粒子表面は還元型グラフェンの薄層で覆われ、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料において、グラフェン/炭素の総質量は硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の質量の4%~18.5%であり、
前記硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の中にCo、Ni、Mn、Cu又はAlなどの金属元素をドープし、
(1)共沈法による前駆体の調製:一定の割合のエチレングリコール、酸化グラフェン粉末を脱イオン水の中に分散させ、15~120分間超音波をかけ、次に一定の割合の無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、酸化防止剤及び有機炭素源を加え、30~120分間撹拌した後、有機アルコールを一滴ずつ添加し、10~120分間撹拌した後、得られた混濁液を遠心分離し、凍結乾燥して前駆体を得、又は一定の割合のエチレングリコール、酸化グラフェン粉末を脱イオン水の中に分散させ、15~120分間超音波をかけ、次に一定の割合の無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、酸化防止剤、有機炭素源及び金属ドーパントを加え、30~120分間撹拌した後、有機アルコールを一滴ずつ添加し、10~120分間撹拌した後、得られた混濁液を遠心分離し、凍結乾燥して前駆体を得る工程と、
(2)固相焼成法による複合正極材料の調製:前記工程(1)で得られた前駆体を均一に粉砕した後、不活性雰囲気の管状炉に入れて予備焼結し、その後温度を300~450℃に上げ、8~48時間焼成してミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得る工程と
を含むことを特徴とする、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法。
【請求項2】
前記工程(1)において、脱イオン水、エチレングリコール及び酸化グラフェンの質量比は、1000:(200~750):(0.1~1)で、無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、有機炭素源及び酸化防止剤のモル比は1:1:(0~0.4):(0.01~0.05)であり、前記有機炭素源はクエン酸一水和物、グルコース、ポリエチレングリコールのうちの1種以上であり、前記金属ドーパントは金属イオンを含有する硫酸塩(硫酸マンガン、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸銅、硫酸アルミニウム及びこれらの水和物のうちの1種以上を含む)であり、又は前記工程(1)において、脱イオン水、エチレングリコール及び酸化グラフェンの質量比は、1000:(200~750):(0.1~1)で、無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、有機炭素源、酸化防止剤及び金属ドーパントのモル比は1:(0.9~1):(0~0.4):(0.01~0.05):(0~0.1)であり、前記有機炭素源はクエン酸一水和物、グルコース、ポリエチレングリコールのうちの1種以上であり、前記金属ドーパントは金属イオンを含有する硫酸塩(硫酸マンガン、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸銅、硫酸アルミニウム及びこれらの水和物のうちの1種以上を含む)であることを特徴とする、請求項に記載のミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法。
【請求項3】
前記工程(1)において、前記酸化防止剤は、アスコルビン酸、ピロール、ヒドロキノンのうちの1種以上であり、前記有機アルコールと脱イオン水との体積比は(1.5-5.0):1であり、前記有機アルコールはイソプロピルアルコール、無水エタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、グリセロール、トリエチレングリコールのうちの1種以上であり、遠心分離速度は6000~9500r/分、遠心分離時間は1~10分、凍結乾燥時間は12~36時間であることを特徴とする、請求項に記載のミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法。
【請求項4】
前記工程(2)において、不活性雰囲気は窒素ガス、アルゴンガス又はアルゴン水素混合ガスであり、予備焼結プロセスは1~5℃/分の昇温速度で温度を100~300℃に上げ、0.5~3時間保持し、焼成プロセスは1~3℃/分の昇温速度で温度を350~400℃に上げ、8~48時間保持することを特徴とする、請求項に記載のミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載する調整方法で製造されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料から製造されたナトリウムイオン電池又はナトリウム電池であって、正極片、負極片、電解液、セパレータ及びケースから構成され、前記ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極とし、ナトリウムイオンを挿入/脱離できる活物質をナトリウムイオン電池負極とするか、金属ナトリウムをナトリウム電池負極とし、セパレータは、改質酢酸セルロースセパレータ、ポリエチレン、ポリプロピレン微多孔膜、ガラス繊維セパレータ或いはこれらの複合セパレータで、電解液は可溶性ナトリウム塩有機溶液であることを特徴とする、ナトリウムイオン電池又はナトリウム電池。
【請求項6】
前記ナトリウム電池の正極片は、正極材料と導電剤、結着剤及び分散剤とを均一に混合した後で得られたスラリーを集電体に塗布することにより得られ、前記集電体はアルミニウム箔であり、前記ナトリウムイオン電池の正極片は正極材料と導電剤、結着剤及び分散剤とを均一に混合した後で得られたスラリーを集電体に塗布することにより得られ、前記負極片は負極材料と導電剤、結着剤及び分散剤とを均一に混合した後で得られたスラリーを前記集電体に塗布することにより得られ、前記集電体はアルミニウム箔又は銅箔であることを特徴とする、請求項に記載のナトリウムイオン電池又はナトリウム電池。
【請求項7】
前記導電剤は、アセチレンブラック、Super P又はグラファイトのうちの1種以上であり、前記結着剤はポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン或いはスチレンブタジエンゴムのうちの1種以上であり、前記分散剤は無水エタノール、イソプロピルアルコール或いは1-メチル-2-ピロリドンのうちの1種以上であることを特徴とする、請求項に記載のナトリウムイオン電池又はナトリウム電池。
【請求項8】
ナトリウムイオンを挿入/脱離できる活物質としては、炭素材料、金属硫化物、金属酸化物、合金化合物が挙げられ、前記可溶性ナトリウム塩有機溶液はナトリウム塩を有機溶媒に溶解することによって得られ、ナトリウム塩はヘキサフルオロリン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムンのうちの1種以上であり、前記有機溶媒はエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3-シクロペンタンジオール、エチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルのうちの1種以上であることを特徴とする、請求項に記載のナトリウムイオン電池又はナトリウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウムイオン電池の正極材料の技術分野に関し、特に、ナトリウムイオンの充放電可能なミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料及びそれを含む高電圧、高出力のナトリウムイオン電池又はナトリウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウムイオン電池は、再生可能エネルギーと大規模エネルギー貯蔵システムの間のエネルギー伝送媒体として、豊富な資源埋蔵量と低コストなどの利点により、最も有望な次世代エネルギー貯蔵システムの1つと見なされている。しかし大規模なエネルギー貯蔵発電所及びエコカーなどの分野のニーズに直面しているため、従来のナトリウムイオン電池技術は新技術の応用要件、特に正極コストとエネルギー密度を満たすことができない。したがって低コスト、高エネルギー密度、高出力密度、及び長いサイクル寿命を持つナトリウムイオン電池の開発が急務となっている。
【0003】
ナトリウムイオン電池システムでは、正極材料が電池デバイスのエネルギー密度やサイクル安定性を大きく決定する。リン酸鉄ナトリウム、プルシアンブルー類の正極、三元系層状酸化物の正極に比べて、Alluaudite型Na2+2xFe2-x(SO材料は、元素の埋蔵量が高く、コストが低く、動作電圧の高いプラットフォームを備え、高エネルギーを提供でき、大規模応用が期待できるナトリウムイオン電池正極材料の1つである。しかし力学的特性は、悪く、より大きなレートでは分極が激しく、放電比容量は低く、サイクル安定性も劣る。
【0004】
先行文献は主に、ナノ粒子の構造及び炭素材料との複合を調整することにより上記の問題を解決していた。しかし、比表面積の大きいナノ材料は正極の圧縮密度を低下させると共に、ナトリウムイオンの脱挿入過程で構造的な凝集を起こしやすく、電池の長いサイクル安定性にダメージを与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術的課題に着目し、本発明は、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料及びそれから製造されたナトリウムイオン電池又はナトリウム電池を提案する。共沈及び固相焼成法を使用して、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合粒子を調製しました。これは、優れた構造安定性、イオン伝導率、及び正極圧縮密度の増加を備えている。前記硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合材料は、材料を改質するために金属元素をさらにドープすることができ、組み立てられた充電可能なナトリウムイオン電池又はナトリウム電池は、優れたレート特性及び長いサイクル安定性を示している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明を実現するための技術的手段は、次の通りである。
【0007】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料であって、前記ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の粒子の粒径は、2~30μmであり、前記粒子は多孔質構造を持ち、80~200nmの一次粒子が密に集積してから成り、前記一次ナノ粒子はアモルファスカーボンで密に被覆され、粒子表面は還元型グラフェンの薄層で覆われ、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料において、グラフェン/炭素の総質量は硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の質量の4%~18.5%である。
【0008】
また、硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料内には、Co、Ni、Mn、Cu又はAlなどの金属元素をドープすることができる。
【0009】
次の工程(1)及び工程(2)を含む、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法であって、
(1)共沈法による前駆体の調製工程:一定の割合のエチレングリコール、酸化グラフェン粉末を脱イオン水の中に分散させ、15~120分間超音波をかけ、次に一定の割合の無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、酸化防止剤及び有機炭素源を加え、30~120分間撹拌した後、有機アルコールを一滴ずつ添加し、10~120分間撹拌した後、得られた混濁液を遠心分離し、凍結乾燥して前駆体を得、又は一定の割合のエチレングリコール、酸化グラフェン粉末を脱イオン水の中に分散させ、15~120分間超音波をかけ、次に一定の割合の無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、酸化防止剤、有機炭素源及び金属ドーパントを加え、30~120分間撹拌した後、有機アルコールを一滴ずつ添加し、10~120分間撹拌した後、得られた混濁液を遠心分離し、凍結乾燥して前駆体を得、
(2)固相焼成法による複合正極材料の調製工程:工程(1)で得られた前駆体を均一に粉砕した後、不活性雰囲気の管状炉に入れて予備焼結し、その後温度を300~450℃に上げ、8~48時間焼成してミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得る。
【0010】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料は、共沈及び固相焼成法により調製され、滴下された有機アルコールは、前駆体混合物の共沈殿を促進する沈殿剤として機能し、エチレングリコールの高い粘度及び高い表面張力の作用は沈殿粒子の成長を抑制する。得られる複合正極材料の粒子の粒径は2~30μmで、多孔質構造を持ち、80~200nmの一次粒子が密に集積してから成り、添加された有機炭素源が共沈過程中に小分子構造で沈殿したナノ前駆体粒子の表面を被覆し、その後の固相焼成プロセス中に連続的な炭素被覆層を形成し、硫酸第一鉄ナトリウムの結晶粒子の成長を抑制する。同時に、有機炭素源の熱分解により発生されるガスは、ミクロン粒子内にその場で三次元多孔質構造を構築するのに役立ち、不溶性酸化グラフェンシートが豊富な沈殿部位を提供でき、連続撹拌過程中にミクロンサイズの前駆体粒子の表面に付着又は被覆され、その後熱的に還元される。複合正極材料粒子の表面は還元型グラフェンの薄層で均一に包まれ、内部の一次粒子はアモルファスカーボンで密に被覆され、グラフェン/炭素の総質量は、硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の質量の4%~18.5%である。
【0011】
また、工程(1)において、脱イオン水、エチレングリコール及び酸化グラフェンの質量比は、1000:(200~750):(0.1~1)で、無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、有機炭素源及び酸化防止剤のモル比は1:1:(0~0.4):(0.01~0.05)であり、前記有機炭素源はクエン酸一水和物、グルコース、ポリエチレングリコールのうちの1種以上であり、前記金属ドーパントは金属イオンを含有する硫酸塩(硫酸マンガン、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸銅、硫酸アルミニウム及びこれらの水和物のうちの1種以上を含む)であり、又は工程(1)において、脱イオン水、エチレングリコール及び酸化グラフェンの質量比は、1000:(200~750):(0.1~1)で、無水硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄七水和物、有機炭素源、酸化防止剤及び金属ドーパントのモル比は1:(0.9~1):(0~0.4):(0.01~0.05):(0~0.1)であり、前記有機炭素源はクエン酸一水和物、グルコース、ポリエチレングリコールのうちの1種以上であり、前記金属ドーパントは金属イオンを含有する硫酸塩(硫酸マンガン、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸銅、硫酸アルミニウム及びこれらの水和物のうちの1種以上を含む)である。
【0012】
また、工程(1)において、酸化防止剤は、アスコルビン酸、ピロール、ヒドロキノンのうちの1種以上であり、前記有機アルコールと脱イオン水との体積比は(1.5-5.0):1であり、有機アルコールはイソプロピルアルコール、無水エタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、グリセロール、トリエチレングリコールのうちの1種以上であり、遠心分離速度は6000~9500r/分、遠心分離時間は1~10分、凍結乾燥時間は12~36時間である。
【0013】
また、工程(2)において、不活性雰囲気は窒素ガス、アルゴンガス又はアルゴン水素混合ガスであり、予備焼結プロセスは1~5℃/分の昇温速度で温度を100~300℃に上げ、0.5~3時間保持し、焼成プロセスは1~3℃/分の昇温速度で温度を350~400℃に上げ、8~48時間保持する。
【0014】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料から製造されたナトリウムイオン電池又はナトリウム電池であって、正極片、負極片、電解液、セパレータ及びケースから構成され、前記ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極とし、ナトリウムイオンを挿入/脱離できる活物質をナトリウムイオン電池負極とするか、金属ナトリウムをナトリウム電池負極とし、セパレータは、改質酢酸セルロースセパレータ、ポリエチレン、ポリプロピレン微多孔膜、ガラス繊維セパレータ或いはこれらの複合セパレータで、電解液は可溶性ナトリウム塩有機溶液である。
【0015】
また、ナトリウム電池用正極片は、正極材料と導電剤、結着剤及び分散剤とを均一に混合した後で得られたスラリーを集電体に塗布することにより得られ、集電体はアルミニウム箔であり、前記ナトリウムイオン電池用正極片は正極材料と導電剤、結着剤及び分散剤とを均一に混合した後で得られたスラリーを集電体に塗布することにより得られ、負極片は負極材料と導電剤、結着剤及び分散剤とを均一に混合した後で得られたスラリーを集電体に塗布することにより得られ、集電体はアルミニウム箔又は銅箔である。
【0016】
また、ナトリウムイオン電池又はナトリウム電池の導電剤は、アセチレンブラック、Super P又はグラファイトのうちの1種以上であり、ナトリウムイオン電池又はナトリウム電池の結着剤はポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン或いはスチレンブタジエンゴムのうちの1種以上であり、ナトリウムイオン電池又はナトリウム電池の分散剤は無水エタノール、イソプロピルアルコール或いは1-メチル-2-ピロリドンのうちの1種以上である。
【0017】
また、ナトリウムイオン電池の負極は、炭素材料、金属硫化物、金属酸化物、合金化合物などのナトリウムイオンを挿入/脱離できる活物質であり、前記可溶性ナトリウム塩有機溶液はナトリウム塩を有機溶媒に溶解することによって得られ、ナトリウム塩はヘキサフルオロリン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムンのうちの1種以上であり、有機溶媒はエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3-シクロペンタンジオール、エチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルのうちの1種以上である。
【0018】
好ましくは、ナトリウムイオン電池又はナトリウム電池のケースは、有機プラスチック、アルミニウムシェル、アルミラミネートフィルム、ステンレス鋼或いはこれらの複合材料で作られる。
【0019】
好ましくは、ナトリウムイオン電池又はナトリウム電池の形状は、ボタン形、円筒形或いは角形である。
【発明の効果】
【0020】
本発の有利な効果としては、
1.本発明のミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料は、新規かつ独特の形態学的特徴を有する:ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料は、金属ドーピング元素を含有する、及び/又は含有しない硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合材料を含み、ミクロンサイズ、多孔質の粒子構造を持ち、安定したミクロンサイズのブロック及び効果的な炭素被覆構造により、複合材料の構造安定性が向上する。硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合材料のミクロンサイズの粒子は、ナノスケール硫酸第一鉄ナトリウム一次ナノ粒子が秩序を持って集合してからなり、ナノスケール粒子はNa+の透過経路を短縮し、濃度分極を低減し、材料のイオン拡散率を高めることに成功した。アモルファスカーボンの均一な被覆及びグラフェンの高分散により構築された多層導電ネットワークは、複合材料の電子伝導性を高める。正極材料に適切な金属カチオンをドーピングすることで、正極材料表面の安定性の改善に役立つ。したがって、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料は、電極コストが低く、原材料の埋蔵量が豊富で、動作電圧が高く、レート特性及びサイクル安定性が良好であるという利点を有し、該材料を含む充放電可能なナトリウムイオン電池又はナトリウム電池は高いエネルギー密度及び高い出力密度を持っている。
【0021】
2.本発明は、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料をナトリウムイオン電池又はナトリウム電池正極として採用するため、正極のタップ密度及び電池の体積エネルギー密度の増加に役立つ。該硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の粒子の粒径が2~30μmで、多孔質構造を持ち、80~200nmの一次粒子が集積してから成り、アモルファスカーボンが内部の一次ナノ粒子を密に被覆し、グラフェンの薄層がミクロン粒子の表面を覆い、三次元の導電ネットワークにより、複合材料の電子及びイオンの拡散速度が大幅に向上し、電気化学的安定性が向上する。得られた複合正極材料は、低コスト、豊富な原料、高い動作電圧、良好なレート性能および良好なサイクル安定性を有し、調製プロセスが単純でスケールアップが容易であり、グリーンで環境に優しい。該材料を含む充放電可能なナトリウムイオン電池又はナトリウム電池は、低コスト、高いエネルギー密度及び出力密度、長いサイクル安定性を有し、幅広い市場応用の見通しを示している。
【0022】
以下、本発明の実施例又は従来技術内の技術的手段を明確に説明するため、実施例又は従来技術の描写に使用する必要がある図面を簡単に説明する。以下に描写する図面は、本発明のいくつかの実施例というのみであり、当業者にとって創造性の活動をしない前提で、これら図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料のX線回折(XRD)パターンである。
図2】実施例1で調製された前駆体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図3】実施例1で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料のSEM写真である。
図4】実施例1で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の高解像度SEM写真である。
図5】実施例1におけるナトリウム電池の充放電曲線図である。
図6】実施例1におけるナトリウム電池のレート特性グラフである。
図7】実施例1におけるナトリウム電池サイクル特性グラフである。
図8】実施例2におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図9】実施例3におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図10】実施例4におけるナトリウム電池の充放電曲線図である。
図11】実施例5で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料のSEM写真である。
図12】実施例5におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図13】実施例6におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図14】実施例7におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図15】実施例8におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図16】実施例9におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図17】実施例12におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
図18】実施例13におけるナトリウムイオン電池の充放電曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例中の図面を参照して、本発明の実施例中の技術的手段を詳細に説明するが、説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例でないことは言うまでもない。本発明中の実施例に基づいて、当業者は創造性の活動をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【実施例1】
【0025】
本発明で使用されるミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の合成工程は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて1時間撹拌し、15分間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのクエン酸一水和物、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度8500r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0026】
図1は、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料のX線回折(XRD)パターンであり、Alluaudite型Na2+2xFe2-x(SOの標準カード(PDF#21-1360)に相当し、結晶性も良好である。回折ピーク(2theta=32°)は最も高い強度を示し、(240)結晶面が硫酸第一鉄ナトリウム結晶のファセットであることを示している。図2は、前駆体のSEM写真で、比較的規則的な多面体の形状を示している。図3は、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料のSEM写真で、複合材料粒子塊が分散し、凝集していないことを示している。該硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合材料の粒子の辺長は5~7μm程度で、中の小さな粒子が集積して細孔を豊富に包含するブロック構造を形成している。グラフェンは、硫酸第一鉄ナトリウム二次粒子の表面を覆う長さ1~8μmの薄層である。図4は、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の高解像度SEM写真で、硫酸第一鉄ナトリウム一次粒子の粒度分布が均一で、サイズは80~200nmであり、アモルファスカーボンは硫酸第一鉄ナトリウム一次粒子を被覆することを示している。グラフェン/炭素の総質量は、硫酸第一鉄ナトリウム複合材料の質量の12.3%である。
【0027】
調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極活物質とし、正極材料とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンとを70:20:10の質量比で混合し、1-メチル-2-ピロリドンを分散剤として使用し、上記混合物を均一に混合してスラリーに調製してアルミニウム箔上に塗布した。120℃で真空乾燥させ、切断した後、直径13mmの正極片を得た。ナトリウム金属片を負極(直径16mm)とし、ガラス繊維膜(Whatman GF/D)をセパレータとし、1M NaClOをEC:PC(体積比1:1)(5wt.% FEC添加剤)に溶かして電解液とした。ステンレス鋼製ケースをケースとしてCR2025式ボタン電池に組み立てられた。上記プロセスで組み立てられたナトリウム電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線、レート特性及びサイクル特性を図5図6及び図7に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度、比容量は89mAh/gに達し、電池放電エネルギー密度は320Wh/kg(正極活物質の質量に基づく)に達した。10Cレートにおける放電比容量は64mAh/gに達することができ、0.5Cレートで正極は200サイクル後も70mAh/gの比容量(1C=120mA/g)を維持している。
【実施例2】
【0028】
本実施例におけるミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製は、実施例1と同じである。
【0029】
調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極活物質とし、市販のハードカーボンを負極活物質とし、正極活物質とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンとを70:20:10の質量比で混合し、1-メチル-2-ピロリドンを分散剤として使用した。負極活物質とアセチレンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)とを80:10:10の質量比で混合し、脱イオン水を分散剤として使用し、上記混合物を均一に混合してスラリーに調製してそれぞれアルミニウム箔及び銅箔上に塗布し、120℃で真空乾燥させ、切断した後、対応する正極片及び負極片を得た。正極と負極をガラス繊維膜(Whatman GF/D)で分離し、1M NaClOをEC:PC(体積比1:1)(5wt.% FEC添加剤)に溶かして電解液とし、アルミラミネートフィルムをケースとして角形ソフトパック電池に組み立てられた。上記プロセスで組み立てたナトリウムイオン電池を室温で1.0~4.0Vの電位範囲で電流充放電試験を行った結果の充放電曲線を図8に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは2.8V程度で、放電比容量は65mAh/gに達することができる。
【実施例3】
【0030】
本実施例におけるミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製は、実施例1と同じである。
【0031】
調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極活物質とし、硫化第一鉄/炭素複合材料を負極活物質とし、正極活物質とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンとを70:20:10の質量比で混合し、1-メチル-2-ピロリドンを分散剤として使用した。負極活物質とアセチレンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)とを80:10:10の質量比で混合し、脱イオン水を分散剤として使用し、上記混合物を均一に混合してスラリーに調製してそれぞれアルミニウム箔及び銅箔上に塗布し、120℃で真空乾燥させ、切断した後、対応する正極片及び負極片を得た。正極と負極をガラス繊維膜(Whatman GF/D)で分離し、1M NaCIOをEC:PC(体積比1:1)(5wt.% FEC添加剤)に溶かして電解液とし、アルミラミネートフィルムをケースとして角形ソフトパック電池に組み立てられた。上記プロセスで組み立てたナトリウムイオン電池を室温で1.0~4.0Vの電位範囲で電流充放電試験を行った結果の充放電曲線を図9に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは2.6V程度で、放電比容量は72mAh/gに達することができる。
【実施例4】
【0032】
本実施例におけるミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製は、実施例1と同じである。
【0033】
実施例1で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極活物質とし、正極活物質とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンとを70:20:10の質量比で混合し、1-メチル-2-ピロリドンを分散剤として使用し、上記混合物を均一に混合してスラリーに調製してそれぞれアルミニウム箔上に塗布し、120℃で真空乾燥させ、切断した後、直径13mmの正極片を得た。ナトリウム金属片を負極(直径16mm)とし、ガラス繊維膜(Whatman GF/D)をセパレータとし、1M NaClOをEC:PC(体積比1:1)に溶かして電解液とした。ステンレス鋼製ケースをケースとしてCR2025式ボタン電池に組み立てられた。上記プロセスで組み立てられたナトリウム電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線を図10に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度で、放電比容量は73mAh/gに達することができる。
【実施例5】
【0034】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.01gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(0.5mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて1時間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのクエン酸一水和物、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0035】
図11は、本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料のSEM写真で、複合材料粒子中に豊富な細孔があり、グラフェンの薄層が硫酸第一鉄ナトリウム二次粒子の表面を明らかに覆っていることを示している。本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線を図12に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度で、放電比容量は78mAh/gに達することができる。
【実施例6】
【0036】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで5mLのエチレングリコールを加えて30分間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのクエン酸一水和物、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度8500r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0037】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線を図13に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度で、放電比容量は70mAh/gに達することができる。
【実施例7】
【0038】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて15分間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.1gのクエン酸一水和物、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度8500r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0039】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線を図14に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度で、放電比容量は80mAh/gに達することができる。
【実施例8】
【0040】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて30分間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのクエン酸一水和物、0.02gのピロールを量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0041】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線を図15に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度で、放電比容量は82mAh/gに達することができる。
【実施例9】
【0042】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて15分間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのクエン酸一水和物、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度1℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、24時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0043】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例4と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った結果の充放電曲線を図16に示す。0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.8V程度で、放電比容量は79mAh/gに達することができる。
【実施例10】
【0044】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて1時間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのポリエチレングリコール、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間5分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0045】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行い、0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.7V程度で、放電比容量は74mAh/gに達することができる。
【実施例11】
【0046】
ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて1時間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.112gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのポリエチレングリコール、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。n-ブタノール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0047】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行い、0.05Cレートにおける放電プラットフォームは3.6V程度で、放電比容量は80mAh/gに達することができる。
【実施例12】
【0048】
ミクロンサイズの多孔質アルミニウムドープ硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて1時間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.0564gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.0889gの硫酸アルミニウム十八水和物、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのポリエチレングリコール、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。n-ブタノール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0049】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質アルミニウムドープ硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った。充放電曲線を図17に示し、0.1Cレートで30サイクル後、放電比容量は74mAh/gに達し、放電プラットフォームは3.5V程度であった。
【実施例13】
【0050】
ミクロンサイズの多孔質銅ドープ硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料の調製方法は、次の通りである。0.02gの酸化グラフェン乾燥粉末を量り取り、20mLの脱イオン水(1mg/mL)の中に分散させ、次いで10mLのエチレングリコールを加えて1時間撹拌し、1時間超音波処理して酸化グラフェン分散液を形成した。また、1.0564gの硫酸第一鉄七水和物(FeSO-7HO)、0.0499gの硫酸銅五水和物、0.5682gの無水硫酸ナトリウム(NaSO)、0.2gのポリエチレングリコール、0.02gのアスコルビン酸を量り取り、上記酸化グラフェン分散液に溶かし、室温(25℃)で1時間撹拌した。n-ブタノール40mLを上記溶液に滴下して濁った懸濁液を得た。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。上記濁った懸濁液を遠心分離(遠心分離速度9000r/分、遠心分離時間3分)し、得られた固体を液体窒素中で凍結させた後、さらに36時間凍結乾燥して前駆体を得た。該前駆体を均一に粉砕した後、陶磁器製容器に移し、酸素雰囲気管状炉に入れ、昇温速度3℃/分で温度を200℃に上げ、2時間予備焼結した後、さらに昇温速度を1℃/分に調整し、温度を350℃に上げ、12時間焼成し、ミクロンサイズの多孔質硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を得た。
【0051】
本実施例で調製されたミクロンサイズの多孔質銅ドープ硫酸第一鉄ナトリウム/炭素複合正極材料を正極材料とし、金属ナトリウムを負極として使用した。電池の調製は、実施例1と同じである。組み立てたナトリウムイオン電池を室温で2.0~4.5Vの電位範囲で充放電試験を行った。充放電曲線を図18に示し、0.1Cレートで30サイクル後、放電比容量は67mAh/gに達し、放電プラットフォームは3.6V程度であった。
【0052】
上記は、本発明を説明するためのみ好ましい実施例であり、本発明の実施範囲はこれに限定されることが無く、本発明の精神及び原則を逸脱しない範囲内において種々の修正、均等物の置換、改良をなし得ることは、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
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