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特許7687777多重ローラーシステム、電池缶の成形装置および成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】多重ローラーシステム、電池缶の成形装置および成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/02 20060101AFI20250527BHJP
   H01M 50/167 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/107 20210101ALN20250527BHJP
【FI】
B21D39/02 F
H01M50/167
H01M50/107
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023536080
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 KR2022003052
(87)【国際公開番号】W WO2022191508
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030312
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】パク、キェオン ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハク キュン
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-110628(JP,A)
【文献】特開2011-189406(JP,A)
【文献】米国特許第4656736(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148683(US,A1)
【文献】特開2016-120505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/02
H01M 50/167
H01M 50/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2対以上のローラーを含む多重ローラーシステムであって、
前記2対以上のローラーは、互いに独立した回転軸を基準として回転し、それぞれ高さの変化が制御され、
前記2対以上のローラーの少なくとも1つの断面がそれぞれ異なる形状を有し、
各対のローラーと電池缶との間隔はそれぞれ異なっており、
前記2対以上のローラーは、
前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間を形成するように前記電池缶の開放部の端部を加圧する一対の第1のローラー;
前記電池缶の側部に垂直な密閉区間を形成するように前記傾斜区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧する一対の第2のローラー;および
前記電池缶の下面に対して平行な平坦区間を形成するように、前記傾斜区間および前記密閉区間が形成された前記電池缶の開放部の側部を加圧する一対の第3のローラー
のうち少なくとも2つの対を含む、
多重ローラーシステム。
【請求項2】
前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準として0度を超え90度未満の角度を成す、請求項1に記載の多重ローラーシステム。
【請求項3】
前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として5%以上30%以下である、請求項1または請求項2に記載の多重ローラーシステム。
【請求項4】
前記第2のローラーによって加圧される圧力は、前記第1のローラーによって加圧される圧力に対して101%以上300%以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多重ローラーシステム。
【請求項5】
二次電池用電池缶の成形装置であって、
前記二次電池用電池缶を固定するように備えられた固定ユニット;および
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の多重ローラーシステムを含む二次電池用電池缶の成形装置。
【請求項6】
電池缶の成形方法であって、
前記電池缶に第1の電極、分離膜および第2の電極が順次に積層されて巻き取られた構造を有する電極組立体を配置させて電解液を注入した後、前記電池缶の開放部に隣接した側端部に形成され、内側に向かって圧入されたビーディング部を有するように成形し、前記ビーディング部にガスケットとキャップアセンブリを積層する第1の段階;
前記電池缶を固定する第2の段階;
前記ビーディング部よりも上方の開放部の端部を加圧して、前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間を形成する第3の段階;
前記傾斜区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧して、前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の側部に対して垂直な密閉区間を形成する第4の段階;および
前記傾斜区間および前記密閉区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧して前記電池缶の下面に対して平行な平坦区間を形成する第5の段階
を含み、
前記第3の段階から前記第5の段階のうち少なくとも2つの段階は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の多重ローラーシステムを用いる電池缶の成形方法。
【請求項7】
前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準として0度を超え90度未満の角度を成す、請求項6に記載の電池缶の成形方法。
【請求項8】
前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として5%以上30%以下である、請求項6または請求項7に記載の電池缶の成形方法。
【請求項9】
前記密閉区間を形成するように加圧される圧力は、前記傾斜区間を形成するように加圧される圧力に対して101%以上300%以下である、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の電池缶の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月8日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0030312号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、多重ローラーシステム、電池缶の成形装置および成形方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のモデル(1865/2170)と比較するとき、近年開発された円筒型二次電池モデルの電池缶は、より大きな内径を有し、これはより厚い厚さを有する材質から作られる。従って、このような円筒型二次電池の電池缶を成形するにおいて、より大きな荷重が加わり、さらに長い工程時間を必要とする。
【0004】
円筒型二次電池の電池缶は、通常、CBD(Cylindrical beading、ビーディング工程)、CCR 1-2-3(Cylindrical crimping 1-2-3、クリンピング工程)、CSZ(Cylindrical sizing、サイジング工程)等の様々な工程を通して順次成形され、これによって工程時間がかなり所要される。従って、電池缶に対して目標生産量を達成するためには、多数の成形設備を並列に設置されるしかない。
【0005】
現在、多数の成形設備を並列に設置して電池缶を成形することで、定められた時間内に最大に電池缶を大量生産できるようにするが、並列設置された設備に対して設備の移送時間がかかる。また、設備の移動に応じて電池缶の再固定が必要であり、再固定の際にセッティング値のバラつきが生じる可能性があるという問題がある。これは成形品質のバラつきにつながるという問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題を解決するために、本発明のひとつの目的は、本発明の一実施形態による多重ローラーシステム、電池缶の成形装置および成形方法を提供し、これにより設備の移送に必要とされる時間を短縮し、設備の移送による再固定の時に発生するセッティング値のばらつきを防止しようとする。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は、上述の課題に制限されず、本明細書に言及されない他の課題は、後述する発明の説明から通常の技術者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、下記の側面による多重ローラーシステム、電池缶の成形装置および成形方法を提供する。
【0009】
本発明の一側面によると、2対以上のローラーを含む多重ローラーシステムであって、
前記2対以上のローラーは、互いに独立した回転軸を基準として回転し、それぞれ高さの変化が制御され、
前記2対以上のローラーの少なくとも1つの断面がそれぞれ異なる形状を有し、
各対のローラーと電池缶との間の間隔は、それぞれ異なるものである多重ローラーシステムを提供する。
【0010】
本発明の一側面によると、電池缶の成形装置であって、
電池缶を固定するように備えられた固定ユニット;および
上述の多重ローラーシステムを含む電池缶の成形装置を提供する。
【0011】
本発明の一側面によると、電池缶の成形方法であって、
電池缶に第1の電極、分離膜および第2の電極が順次積層されて巻き取られた構造を有する電極組立体を配置させて電解液を注入した後、前記電池缶の開放部に隣接した側端部に形成され、内側に向かって圧入されたビーディング部を有するように成形し、前記ビーディング部にガスケットとキャップアセンブリを積層する第1の段階;
前記電池缶を固定する第2の段階;
前記ビーディング部よりも上方の開放部の端部を加圧して、前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間を形成する第3の段階;
前記傾斜区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧して、前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の側部に対して平行な密閉区間を形成する第4の段階;および
前記傾斜区間および前記密閉区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧して前記電池缶の下面に対して平行な平坦区間を形成する第5の段階;
を含み、
前記第3の段階から第5の段階のうち少なくとも2つの段階は、上述の多重ローラーシステムを利用するものである電池缶の成形方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によると、並列に並べられた従来の電池缶の成形工程を一元化することができる。
【0013】
または、本発明の一側面によると、電池缶の様々な加圧地点に圧力を加えるため、力の伝達の面で有利であり、これによってローラーにそれぞれ与えられる負荷を最小化することができる。
【0014】
または、本発明の一側面によると、工程が一元化されながらも複合的な成形工程を効率的に達成することができる。
【0015】
または、本発明の一側面によると、連続作業を通じて比較的に少ない力で成形を迅速に行うことができるため、工程時間を大幅に短縮することができる。
【0016】
または、本発明の一側面によると、設備を移送しないため、移送に要される時間を短縮することができる。さらに、設備の移送によって生じる再固定の際のセッティング値のバラつきも最小化することができる。従って、迅速性および工程間のバラつきを最小化する相乗効果が期待できる。
【0017】
または、本発明の一側面によると、電池缶の成形の品質が向上する。
【0018】
ただし、本発明によって得られる効果は、上述の効果に制限されるものではなく、本明細書で言及されないまた他の技術的な効果は、後述する発明の説明から通常の技術者によって明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来のローラーシステムの斜視図が図示されている。
図2】本発明の一実施形態による多重ローラーシステムの斜視図が図示されている。
図3】A'ローラーによって傾斜区間を形成する正面図が図示されている。
図4】B'ローラーによって密閉区間を形成する正面図が図示されている。
図5】C'ローラーによって平坦区間を形成する正面図が図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は様々な変更を加えることができ、いくつかの具現例を含むことができるが、特定の具現例を図面に例示し、それに基づいて詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとする意図ではなく、本発明の技術的思想および技術的範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。
【0021】
本明細書において、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用され得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と称されてもよく、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と称されてもよい。
【0022】
本明細書において、「および/または」という用語は、複数の関連項目の組み合わせまたは複数の関連項目の一部を含む。
【0023】
本明細書において、ある構成要素が単数で表される場合、本明細書に別段の指定がない限り、複数を含む。
【0024】
本明細書において、「含む」、「有する」などの用語は、本明細書に別段の定めがない限り、本明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、工程、構成要素、部材など、またはそれらの組み合わせが存在そのものを意味するものであり、他の特徴、数字などを排除することを意味しない。
【0025】
他に定義されない限り、技術用語または科学用語を含めて、本明細書で使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0026】
以下、従来技術および本発明による好ましい実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、従来技術によるローラーシステムの斜視図であり、電池缶1の開放部の端部を加圧(または成形)する一対の第1のローラーAが示されている。ここで、第1のローラーは1つの工程にのみ適用され、例えば、1つの工程は、第1のクリンピング工程であり得る。後続の工程が進行するためには、第1のローラーによって加圧された電池缶を別のローラーシステムに移送しなければならない。例えば、別のローラーシステムは、第2のローラーが取り付けられたものであり得る。ここでは、移送に伴う工程のバラツキが発生する。
【0028】
本発明の一実施形態によると、2対以上のローラーを含む多重ローラーシステムであって、
前記2対以上のローラーは、互いに独立した回転軸を基準として回転し、それぞれ高さの変化が制御され、
前記2対以上のローラーの少なくとも1つの断面がそれぞれ異なる形状を有し、
各対のローラーと電池缶との間隔はそれぞれ異なるものである
多重ローラーシステムを提供する。
【0029】
具体的には、図2を参照すると、電池缶1に適用される2対以上のローラーであって、例えば、第1のローラーA、第2のローラーBおよび第3のローラーCがあり、電池缶1を固定する固定ユニット2がある。このような第1~第3のローラーA~Cは、互いに独立または互いに異なる回転軸を基準にして回転し、高さの変化がそれぞれ制御される。また、前記2対以上のローラーの少なくとも1つの断面がそれぞれ異なる形状を有する。ここで、ローラーの少なくとも1つの断面が異なる形状を有することは、電池缶に接近する領域が異なるか、ローラーを幅方向に切断するときにその断面の形状が異なることを意味する。
【0030】
また、このような第1~第3のローラーは、電池缶1に時間差を置いて接近して加圧しても良い。
【0031】
また、このような第1~第3のローラーは、電池缶1に印加される圧力が互いに同じか、または異なってもよい。
【0032】
前記実施形態によると、電池缶を一度固定し、第1~第3のローラーの各対のローラーと電池缶との間隔がそれぞれ異なることを利用して、電池缶に先に近づいたローラーによって1つの工程が進められた後、後続の工程が順次進行する。従って、従来技術とは異なり、第1のローラーによって加圧された電池缶を別のローラーシステムに移送する必要がない。これにより、移送に伴う工程のバラツキは発生しない。
【0033】
本発明の一実施形態によると、前記2対以上のローラーは、
前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間を形成するように前記電池缶の開放部の端部を加圧する一対の第1のローラー;
前記電池缶の側部に垂直な密閉区間を形成するように前記傾斜区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧する一対の第2のローラー;および
前記電池缶の下面に対して平行な平坦区間を形成するように、前記傾斜区間および密閉区間が形成された前記電池缶の開放部の側部を加圧する一対の第3のローラー
のうち少なくとも2つの対を含む多重ローラーシステムを提供する。
【0034】
具体的に、図2および図3を参照すると、円筒型二次電池3において、電池缶1の開放部の端部10が第1のローラーAによって(図3では第1のローラーの断面A'が示されている)加圧され、電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間14が示されている。場合によっては、ガスケット11も第1のローラーAによって電池缶の中心軸に向かって傾斜する。
【0035】
また、図2および図4を参照すると、傾斜区間14が形成された電池缶の開放部の端部10が第2のローラーB(図4では第2のローラーの断面B'が示されている)によって加圧され、電池缶の側部12に垂直な密閉区間15が示されている。この密閉区間15は、後続の第3のローラーによって電池缶1を密閉する役割を果たすことができる。
【0036】
なお、図2および図5を参照すると、傾斜区間14および密閉区間15が形成された電池缶がビーディング部100と開放部の端部10との間で第3のローラーC(図5では、第3のローラーの断面C'が示されている)によって加圧され、平坦区間16が形成される。これにより、クリンピング部200が形成される。
【0037】
先に説明した傾斜区間14、密閉区間15および平坦区間16が形成される工程は、クリンピング工程と呼ばれ、電池缶に電解液の注入後、上端キャップを結合して封止する工程である。また、第1のローラー~第3のローラーの断面の形状はそれぞれ異なる。また、必要に応じて、当業者が、前記第1のローラーから第3のローラーが印加する圧力、加圧位置、加圧面積などを変更しても良い。また、必要に応じて、当業者が前記第1のローラーから第3のローラーの高さの変化、回転方向、rpm、移動速度等をそれぞれ制御して、目的とする加圧成形(例えば、クリンピング工程)が可能になるように変更しても良い。
【0038】
円筒型二次電池3は、電池缶1、電池缶1の内部に収容されるゼリーロール型の電極組立体(第1の電極、分離膜および第2の電極が積層されて巻き取られた構造)(図示せず)、電池缶1の上部に結合されるキャップアセンブリ13を取り付けるためのビーディング部100、および電池を封止するためのクリンピング部200を含む。
【0039】
ここでキャップアセンブリ13は、カソード端子を形成する上端キャップ、電池内部の温度上昇の時に電池の抵抗が大幅に増加して電流を遮断するPTC素子(Positive temperature coefficient element)、電池内部の圧力上昇の時に電流を遮断し、および/またはガスを排気する安全ベント、一定の部分で安全ベントをキャッププレートから電気的に分離する絶縁部材、カソードに接続されたタブが接続されているキャッププレートが順次に積層された構造を有しても良い。また、キャップアセンブリ13は、ガスケット11が装着された状態で、電池缶1の上端部をビーディング加工することにより、内側に圧入されたビーディング部100上に装着される。
【0040】
先に説明した、前記多重ローラーシステムは、第1のローラーA~第3のローラーCのうちの少なくとも2つの対を含んでも良い。
【0041】
上述した、前記第1のローラーA~第3のローラーCによるクリンピング工程は、詳細には1~3段階で行われるもので、第1~第3のローラーによって順次にクリンピング工程が行われても良い。
【0042】
また、図3~5を参照すると、第1~第3のローラーの断面は、目的とする成形によって互いに形状が異なり、それぞれ高さの制御が行われ、回転軸も独立している。
【0043】
本発明の一実施形態によると、前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準に0度を超え90度未満の角度を成すものである多重ローラーシステムを提供する。
【0044】
他の実施形態によると、前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準に0度超、10度超、20度超、30度超、または40度超の角度をなしても良い。
【0045】
他の実施形態によると、前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準に90度未満、80度未満、70度未満、60度未満、または50度未満の角度をなしても良い。
【0046】
具体的には、図3を参照すると、前記電池缶1の開放部の端部10の傾斜区間14は、前記電池缶の中心軸を基準にして約30度の角度を成す。
【0047】
本発明の一実施形態によると、前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として5%以上30%以下である多重ローラーシステムを提供する。
【0048】
他の実施形態によると、前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として5%以上、10%以上、または15%以上であっても良い。
【0049】
さらに他の実施形態によると、前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として30%以下、25%以下、または20%以下であっても良い。
【0050】
具体的に、図5を参照すると、平坦区間16の長さが前記範囲を満たす場合、平坦区間16の長さが後続の溶接工程を行うことのできる空間を十分に提供し、不良率を減らし、構造的な安定性を保障することができる。ただし、平坦区間16の長さが5%未満の場合、前記平坦区間の長さが小さすぎて、後続の溶接工程が行われる空間を十分に提供できないことがあり、これにより、前記溶接を行う過程で発生し得る不良率を増加させたり、前記溶接が行われた部位で、安定した結合力を発揮できず、構造的な安定性を低下させることがある。また、平坦区間16の長さが30%を超える場合、前記電池缶の開放部の端部10がキャップアセンブリ13の上端の中央部に形成される電極端子と接触することがあり、これにより、短絡が発生することで、二次電池の性能を低下させる可能性があるという問題がある。
【0051】
本発明の一実施形態によると、前記第2のローラーによって加圧される圧力は、前記第1のローラーによって加圧される圧力に対して101%以上300%以下である多重ローラーシステムを提供する。
【0052】
他の実施形態によると、前記第2のローラーによって加圧される圧力は、前記第1のローラーによって加圧される圧力に対して101%以上、110%以上、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、または190%以上であっても良い。
【0053】
他の実施形態によると、前記第2のローラーによって加圧される圧力は、前記第1のローラーによって加圧される圧力に対して300%以下、290%以下、280%以下、270%以下、260%以下、250%以下、240%以下、230%以下、220%以下、または210%以下であっても良い。
【0054】
具体的には、図5を参照すると、前記第2のローラーによって加圧される圧力が第1のローラーによって加圧される圧力に対して101%未満の場合には、前記クリンピング部200に平坦区間16を形成するように、電池缶の開放部の端部10をさらに曲げることが容易ではない場合がある。また、前記第2のローラーによって加圧される圧力が第1のローラーによって加圧される圧力に対して300%を超える場合には、圧力の大きさが大きくなり過ぎて、電池缶の開放部の端部10に対する変形を調整することが困難であり得、これにより、前記クリンピング部に平坦区間を形成する過程で過度な変形によって発生する製品の不良率が増加する恐れがある。
【0055】
本発明の一実施形態によると、電池缶の成形装置であって、
電池缶を固定するように備えられた固定ユニット;および
前記実施形態のいずれか一つによる多重ローラーシステムを含む電池缶の成形装置を提供する。
【0056】
具体的に、図2を参照すると、固定ユニット2は、電池缶1が固定されるように電池缶1の中部または下部を包む。固定ユニット2の例としては、chuck、jawなどが用いられても良い。また、電池缶の成形状態や適用モデルの大きさなどによって、固定ユニットの数が変わっても良い。
【0057】
本発明の一実施形態によると、電池缶の成形方法であって、
前記電池缶に第1の電極、分離膜および第2の電極が順次積層されて巻き取られた構造を有する電極組立体を配置させて電解液を注入した後、前記電池缶の開放部に隣接した側端部に形成され、内側に向かって圧入されたビーディング部を有するように成形し、前記ビーディング部にガスケットとキャップアセンブリを積層する第1の段階;
前記電池缶を固定する第2の段階;
前記ビーディング部よりも上方の開放部の端部を加圧して、前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間を形成する第3の段階;
前記傾斜区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧して、前記電池缶の開放部の端部が前記電池缶の側部に対して平行な密閉区間を形成する第4の段階;
前記傾斜区間および前記密閉区間が形成された前記電池缶の開放部の端部を加圧して前記電池缶の下面に対して平行な平坦区間を形成する第5の段階
を含み、
前記第3の段階から第5の段階のうち少なくとも2つの段階は、上述の多重ローラーシステムのいずれか一つを利用するものである電池缶の成形方法を提供する。
【0058】
前記の実施形態において、用語「第1の電極」はアノードを指し、用語「第2の電極」はカソードを指すが、その逆であってもよい。
【0059】
前記カソードは、カソード集電体とカソード集電体の少なくとも一面に塗布されるカソード活物質を含む。カソード集電体の例としては、アルミニウムまたは合金などが挙げられるが、これに制限されない。カソード活物質の例としては、リチウム含有遷移金属酸化物などが挙げられるが、これに限定されない。
【0060】
前記アノードは、アノード集電体とアノード集電体の少なくとも一面に塗布されるアノード活物質を含む。アノード集電体の例には、銅または合金などがあり得るが、これらに限定されない。アノード活物質の例としては、炭素材料などが挙げられるが、これに制限されない。
【0061】
前記分離膜は、前記カソードおよび前記アノードの間に介在した膜であり、カソードとアノードを分離しながら、回路を遮断するのに求められるイオンの移動を容易にする役割をする。分離膜の例としては、ポリオレフィン系膜からなる微多孔性フィルムなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0062】
また、前記電池缶は、一側に開放部が形成された略円筒状の受容体であり、導電性を有する金属材料で構成される。前記電池缶の側面、そして前記開放部の反対面は一体的に形成されるのが一般である。すなわち、前記電池缶は、その高さ方向を基準として、上端が開放されており、下端は中央部を除く残りの領域が閉鎖された形態を有するのが一般的である。前記電池缶の下面はほぼフラットな形態を有しても良い。前記電池缶は、その高さ方向の一側に形成された開放部を介して電極組立体を収容する。前記電池缶は、前記開放部を介して電解質も一緒に収容することができる。
【0063】
まず、前記電池缶に第1の電極、分離膜および第2の電極が順次積層されて巻き取られた構造を有する電極組立体を配置させて電解液を注入し、次に前記電池缶の開放部に隣接した側端部に形成され、内側に向かって圧入されたビーディング部を有するように成形し、ビーディング部が形成された電池缶を用意してから、前記ビーディング部にガスケットとキャップアセンブリを積層する。ここまでが、クリンピング工程の前工程に対応する。
【0064】
次に、図2図5を参照すると、第1のローラーから第3のローラーによって行われるクリンピング工程が示されている。
【0065】
図2および図3を参照すると、第1のローラーA(図3では第1のローラーの断面A'が示されている)が電池缶1の開放部の端部10を加圧して、電池缶の中心軸に向かって傾斜した傾斜区間14を形成する。
【0066】
また、図2および図4を参照すると、第2のローラーB(図4では第2のローラーの断面B'が示されている)が傾斜区間14が形成された電池缶の開放部の端部10を加圧して、電池缶の側部12に垂直な密閉区間15を形成する。この密閉区間15は、後続の第3のローラーによって電池缶1を密閉する役割を果たしても良い。
【0067】
また、図2および図5を参照すると、第3のローラーC(図5では第3のローラーの断面C'が示されている)が傾斜区間14および密閉区間15が形成された電池缶がビーディング部100と開放部の端部10との間を加圧して、平坦区間16を形成する。先に説明した傾斜区間14、密閉区間15および平坦区間16が形成される工程は、クリンピング工程と呼ばれ、電池缶に電解液の注入後、上端キャップを結合して封止する工程である。
【0068】
前述の方法は、細分化したクリンピング工程であり、細分化された第1の段階から第3の段階に順次に行われてもよい。
【0069】
また、図3図5を参照すると、第1から第3のローラーの断面は、目的とする成形によって互いに形状が異なり、それぞれ高さの制御が可能であり、回転軸も独立している。
【0070】
本発明の一実施形態によると、前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準にして0度を超え90度未満の角度を成す電池缶の成形方法を提供する。
【0071】
他の実施形態によると、前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準に0度超、10度超、20度超、30度超、または40度超の角度を成しても良い。
【0072】
他の実施形態によると、前記電池缶の開放部の端部の前記傾斜区間は、前記電池缶の中心軸を基準に90度未満、80度未満、70度未満、60度未満、または50度未満の角度を成しても良い。
【0073】
具体的に、図3を参照すると、前記電池缶1の開放部の端部10の傾斜区間14は、前記電池缶の中心軸を基準として約30度の角度を成す。
【0074】
本発明の一実施形態によると、前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として5%以上30%以下である電池缶の成形方法を提供する。
【0075】
他の実施形態によると、前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として5%以上、10%以上、または15%以上であっても良い。
【0076】
他の実施形態によると、前記平坦区間の長さは、前記電池缶の直径を基準として30%以下、25%以下、または20%以下であっても良い。
【0077】
具体的に、図5を参照すると、平坦区間16の長さが前記範囲を満たす場合、平坦区間16の長さが後続の溶接工程が行われる空間を十分に提供し、不良率を減らし、構造的な安定性を確保することができる。ただし、平坦区間16の長さが5%未満の場合、前記平坦区間の長さが小さ過ぎて、後続の溶接工程を行う空間が十分に提供できないことがあり、これによって、前記溶接を行う過程で発生し得る不良率を増加させたり、前記溶接が行われた部位で、安定した結合力を発揮できず、構造的な安定性を低下させることがある。また、平坦区間16の長さが30%を超える場合、前記電池缶の開放部の端部10がキャップアセンブリ13の上端の中央部に形成される電極端子と接触することがあり、これにより、短絡が発生することで二次電池の性能を低下させる可能性があるという問題がある。
【0078】
本発明の一実施形態によると、前記密閉区間を形成するように加圧される圧力は、前記傾斜区間を形成するように加圧される圧力に対して、101%以上300%以下である、電池缶の成形方法を提供する。
【0079】
他の実施形態によると、前記第2のローラーによって加圧される圧力は、前記第1のローラーによって加圧される圧力に対して、101%以上、110%以上、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、または190%以上であっても良い。
【0080】
他の実施形態によると、前記第2のローラーによって加圧される圧力は、前記第1のローラーによって加圧される圧力に対して、300%以下、290%以下、280%以下、270%以下、260%以下、250%以下、240%以下、230%以下、220%以下、または210%以下であっても良い。
【0081】
具体的に、図5を参照すると、前記第2のローラーによって加圧される圧力が第1のローラーによって加圧される圧力に対して101%未満である場合、前記クリンピング部200に平坦区間16を形成するように、電池缶の開放部の端部10をさらに折り曲げることが容易ではない可能性がある。
【0082】
また、前記第2のローラーによって加圧される圧力が第1のローラーによって加圧される圧力に対して300%を超える場合には、圧力の大きさが大きくなり過ぎて、電池缶の開放部の端部10に対する変形を調節することが困難となり得て、これにより、前記クリンピング部200に平坦区間16を形成する過程で過度な変形によって生じる製品の不良率が増加することがある。
【0083】
以上、本発明の好ましい具現例について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で種々変形して実施することが可能であり、これも本発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0084】
1 ・・・電池缶
2 ・・・固定ユニット
3 ・・・円筒型二次電池
10 ・・・(電池缶の)開放部の端部
11 ・・・ガスケット
12 ・・・電池缶の側部
13 ・・・キャップアセンブリ
14 ・・・傾斜区間
15 ・・・密閉区間
16 ・・・平坦区間
100 ・・・ビーディング部
200 ・・・クリンピング部
A ・・・第1のローラー
B ・・・第2のローラー
C ・・・第3のローラー
A' ・・・第1のローラーの断面
B' ・・・第2のローラーの断面
C' ・・・第3のローラーの断面
図1
図2
図3
図4
図5