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特許7687784二次電池用ベントシールキャップおよびそれを含む二次電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】二次電池用ベントシールキャップおよびそれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/317 20210101AFI20250527BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 50/358 20210101ALI20250527BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M50/35 101
H01M50/358
H01M10/04 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023568716
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 KR2022008536
(87)【国際公開番号】W WO2022265423
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079632
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0072951
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン・スン・オー
(72)【発明者】
【氏名】ソン・チョル・イム
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-018907(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0156533(US,A1)
【文献】特開2015-156322(JP,A)
【文献】特開2017-033886(JP,A)
【文献】特開2006-004779(JP,A)
【文献】特開2019-207801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 10/04
F16K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空が形成された本体と、
前記本体に備えられる吸気口と、
前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、
前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口の圧力変化によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含
前記開閉部材は、
前記吸気口を介してガスが流入される方向に向かって開放され、前記開閉部材の中心部に向かって湾入した形態の昇降補助溝が形成されることを特徴とする、二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項2】
前記吸気口は、
前記本体の側面に備えられることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項3】
前記排気口は、
前記本体の側面に備えられ、
前記本体の横方向断面を基準として前記吸気口が備えられた軸と互いに異なる軸上に備えられることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項4】
前記開閉部材は、
前記吸気口の圧力が既設定値よりも大きい場合は、前記吸気口と前記排気口の連結を開放し、
前記吸気口の圧力が既設定値よりも小さい場合は、前記吸気口と前記排気口の連結を閉鎖することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項5】
前記昇降補助溝は、
ガスが流入する流入部と、前記流入部の幅より直径が大きい球状を有するヘッド部とを含むヘアピン構造で形成されることを特徴とする、請求項に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項6】
前記本体は、
横方向断面が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項7】
内部に中空が形成された本体と、
前記本体に備えられる吸気口と、
前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、
前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口の圧力変化によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含み、
前記本体は、
横方向断面が円形であり、
前記本体は、
内周面に螺旋状のガイド溝が形成されることを特徴とする、二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項8】
前記開閉部材は、
外周面に螺旋状のガイド突起が形成され、
前記ガイド突起が前記本体の前記ガイド溝に挿入されて昇降することを特徴とする、請求項に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項9】
内部に中空が形成された本体と、
前記本体に備えられる吸気口と、
前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、
前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口の圧力変化によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含み、
前記吸気口は、
熱を吸収して収縮する部材を含むことを特徴とする、二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項10】
内部に中空が形成された本体と、
前記本体に備えられる吸気口と、
前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、
前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口の圧力変化によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含み、
前記排気口は、
ガスの流れを検知して信号を発生させるアラーム生成装置を含むことを特徴とする、記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項11】
内部に中空が形成された本体と、
前記本体に備えられる吸気口と、
前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、
前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口の圧力変化によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含み、
前記本体は、
前記中空の断面積が前記開閉部材の横方向断面積と等しいように形成され、前記開閉部材が前記中空を密閉した状態で移動が可能な移動部と、
前記移動部の下部に備えられ、前記中空の断面積が前記開閉部材の横方向断面よりも断面積が小さいように形成され、前記開閉部材の移動を阻止する止め部と、を含むことを特徴とする、二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項12】
前記排気口は、
前記移動部の側面に形成され、
前記吸気口は、
前記止め部の側面に形成されることを特徴とする、請求項11に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項13】
前記排気口は、
前記移動部の側面に形成され、
前記吸気口は、
前記止め部の下面に形成されることを特徴とする、請求項11に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項14】
前記本体、前記吸気口、前記排気口、および前記開閉部材の少なくとも何れか1つの材質は、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、PI(Poly Imide)、Al(Aluminium)、SUS(Stainless steel)の少なくとも何れか1つを含む、請求項1に記載の二次電池用ベントシールキャップ。
【請求項15】
正極、セパレータ、負極、セパレータが積層される電極組立体と、
前記電極組立体が内部に収納される電池ケースと、
前記電池ケースに備えられるベントシールキャップと、を含み、
前記ベントシールキャップは、
内部に中空が形成された本体と、
前記本体に備えられる吸気口と、
前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、
前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口と前記排気口との圧力差によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含
前記開閉部材は、
前記吸気口を介してガスが流入される方向に向かって開放され、前記開閉部材の中心部に向かって湾入した形態の昇降補助溝が形成されることを特徴とする、二次電池。
【請求項16】
前記昇降補助溝は、
ガスが流入される流入部と、前記流入部の幅より直径が大きい球状を有するヘッド部と、を含むヘアピン構造で形成されることを特徴とする、請求項15に記載の二次電池。
【請求項17】
前記本体、前記吸気口、前記排気口、および前記開閉部材の少なくとも何れか1つの材質は、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、PI(Poly Imide)、Al(Aluminium)、SUS(Stainless steel)の少なくとも何れか1つを含む、請求項15に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月18日付けの韓国特許出願第10-2021-0079632号および2022年6月15日付けの韓国特許出願第10-2022-0072951号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、二次電池用ベントシールキャップおよびそれを含む二次電池に関し、二次電池の内部で生成されたガスを外部へ排出した後、酸素が逆に流入することを防止することで、二次電池の発火を予防し、安全性を向上させることができる二次電池用ベントシールキャップおよびそれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、充填が不可能な一次電池とは異なり、充放電が可能な電池を意味し、携帯電話、ノート型パソコン、カムコーダなどの電子機器、または電気自動車などの電源に広く用いられている。
【0004】
一般に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などがある。このような二次電池は、デジタルカメラ、ノート型パソコン、携帯電話、PDAおよびE-bikeなどの小型製品だけではなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が要求される大型製品、余剰発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置、並びにバックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0005】
このような二次電池は、電極組立体を収容する電池ケースの材質によって、パウチ型(Pouch Type)およびカン型(Can Type)などに分類される。パウチ型(Pouch Type)は、形態が一定でない柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。そして、カン型(Can Type)は、形態が一定な金属またはプラスチックなどの材質で製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0006】
このように、電池ケースの内部には電極組立体が収容され、電解液が注入された後、密封されることで電池として作動するようになるが、二次電池は、充放電過程でガスが発生し、特に、電池の過充填または内部短絡などが発生する場合には、電池ケースの内部でガスが過度に発生して電池ケースの内部の圧力が上昇するようになり、これは電池の性能低下に繋がる。
【0007】
したがって、二次電池には、内部のガスを外部へ排出するベント(vent)を行う過程または装置が必須的に要求される。ただし、二次電池のベント過程で逆に外部の空気が電池の内部へ流入する場合があり、この場合、電池の性能が低下するだけでなく、内部で酸素が反応して電池の発火または爆発に繋がるようになり、ユーザの安全に対して深刻な脅威となる。
【0008】
よって、電池の内部で発生したガスを外部へ排出するとともに、外気の流入を適宜防止し、電池の内部圧力を調節する手段の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、本発明の課題は、二次電池の内部で生成されたガスを外部へ排出した後、酸素が逆に流入することを防止して二次電池の発火を予防し、安全性を向上させることができる二次電池用ベントシールキャップ、およびそれを含む二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る二次電池用ベントシールキャップは、内部に中空が形成された本体、上記本体に備えられる吸気口と、前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、前記本体の内部中空に備えられ、前記吸気口の圧力変化によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含む。
【0011】
吸気口は、前記本体の側面に備えられることができる。
【0012】
排気口は、前記本体の側面に備えられ、且つ前記本体の横方向断面を基準として前記吸気口が備えられた軸と互いに異なる軸上に備えられることができる。
【0013】
前記開閉部材は、前記吸気口の圧力が既設定値よりも大きい場合は、前記吸気口と前記排気口の連結を開放し、前記吸気口の圧力が既設定値よりも小さい場合は、前記吸気口と前記排気口の連結を閉鎖することができる。
【0014】
開閉部材は、前記吸気口を介してガスが流入される方向に向かって開放され、前記開閉部材の中心部に向かって湾入した形態の昇降補助溝が形成されることができる。
【0015】
昇降補助溝は、ガスが流入される流入部と、前記流入部の幅より直径が大きい球状を有するヘッド部と、を含むヘアピン構造で形成されることができる。
【0016】
本体は、横方向断面が円形であることができる。
【0017】
本体は、内周面に螺旋状のガイド溝が形成されることができる。
【0018】
開閉部材は、外周面に螺旋状のガイド突起が形成されており、前記ガイド突起が前記本体の前記ガイド溝に挿入されて昇降することができる。
【0019】
吸気口は、熱を吸収して収縮する部材を含むことができる。
【0020】
排気口は、ガスの流れを検知して信号を発生させるアラーム生成装置を含むことができる。
【0021】
本体は、前記中空の断面積が前記開閉部材の横方向断面積と等しいように形成され、前記開閉部材が前記中空を密閉した状態で移動が可能な移動部と、前記移動部の下部に備えられ、前記中空の断面積が前記開閉部材の横方向断面よりも断面積が小さいように形成され、前記開閉部材の移動を阻止する止め部と、を含むことができる。
【0022】
排気口は、前記移動部の側面に形成され、吸気口は、前記止め部の側面に形成されることができる。
【0023】
排気口は、前記移動部の側面に形成され、前記吸気口は、前記止め部の下面に形成されることができる。
【0024】
本発明に係る二次電池は、正極、セパレータ、負極、セパレータが積層される電極組立体と、前記電極組立体が内部に収納される電池ケースと、前記電池ケースに備えられるベントシールキャップと、を含み、前記ベントシールキャップは、内部に中空が形成された本体と、前記本体に備えられる吸気口と、前記本体において前記吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、前記本体の内部中空に備えられており、前記吸気口と前記排気口との圧力差によって移動しながら、前記吸気口と前記排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含む。
【0025】
開閉部材は、前記吸気口を介してガスが流入される方向に向かって開放され、前記開閉部材の中心部に向かって湾入した形態の昇降補助溝が形成されることができる。
【0026】
昇降補助溝は、ガスが流入される流入部と、前記流入部の幅より直径が大きい球状を有するヘッド部と、を含むヘアピン構造で形成されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る二次電池用ベントシールキャップおよびそれを含む二次電池は、内部に中空が形成された本体と、本体に備えられる吸気口と、本体において吸気口が備えられた位置よりも上部に備えられる排気口と、本体の内部中空に備えられており、吸気口の圧力変化によって移動しながら、吸気口と排気口の連結を開放または閉鎖する開閉部材と、を含み、これにより、二次電池の内部で生成されたガスを外部へ排出した後、酸素が逆に流入されることを防止して二次電池の発火を予防し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップを図示した側断面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップでベントが発生する過程を図示した図である。
図3図1の二次電池用ベントシールキャップにおいてAA’断面を切断して図示した断面図である。
図4】本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップを図示した側断面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップでベントが発生する過程を図示した図である。
図6】本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップにおいて、吸気口が止め部の下面に形成された構成を図示した側断面図である。
図7】本発明の実施形態3に係る二次電池を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下においては、添付の図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現されることができ、以下の実施形態によって制限されるか、または限定されるものではない。
【0030】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分または本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある関連公知技術に対する詳細な説明は省略しており、本明細書において各図面の構成要素に参照符号を付加するに当たっては、明細書全体を通じて同一または類似した構成要素に対しては同一または類似した参照符号を付けるようにする。
【0031】
また、本明細書および特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0032】
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップを図示した側断面図である。図2は、本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップでベントが発生する過程を図示した図である。図3は、図1の二次電池用ベントシールキャップにおいてAA’断面を切断して図示した断面図である。
【0033】
図1を参照すると、本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップ1は、本体110と、吸気口120と、排気口130と、開閉部材140と、を含む。本発明に係る二次電池用ベントシールキャップ1は、二次電池の電池ケースに備えられることができ(図7を参照)、この場合、電池ケースの内部のガスを外部へ排出する役割を果たすことができる。
【0034】
二次電池用ベントシールキャップ1の本体110は、内部に中空が形成されている。本体110には吸気口120と排気口130が備えられ、排気口130は、本体110において吸気口120が備えられた位置よりも上部に備えられる。吸気口120は、電池ケースの内部と連結され、二次電池の電池ケースにおいて本体110の内部へ空気が流入するようにし、排気口130は、吸気口120へ流入した空気が本体110を経て排気口130を介して流出されるようにする。
【0035】
図2を参照すると、本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップ1の開閉部材140は、本体110の内部中空に備えられており、吸気口120の圧力変化によって中空の内部を移動しながら、吸気口120と排気口130の連結を開放または閉鎖する。ここで、吸気口120と排気口130の連結を開放するということは、開閉部材140が本体110の上部に移動し、吸気口120と排気口130との間の空気の流れが開放されること(図2(c)を参照)を意味し、吸気口120と排気口130の連結を閉鎖するということは、開閉部材140が本体110の内部の中空で吸気口120と排気口130との間の位置に備えられ、吸気口120と排気口130との間の空気の流れが遮断されるようにすること(図2(a)、図2(b)を参照)を意味する。
【0036】
このように、本発明の実施形態1に係る二次電池用ベントシールキャップ1は、二次電池の内部でガスが発生して内圧が増加する場合には、内部で生成されたガスを外部へ排出し、ガスの排出により圧力が減少する場合には閉鎖されることで、空気が逆に流入することを防止することができ、これにより、電池の内部で酸素が反応して発火や爆発が発生することを予防し、電池の安全性を向上させることができる。
【0037】
以下、図1および図2を参照して、本体110、吸気口120、排気口130、および開閉部材140の各構成について詳細に説明する。
【0038】
図1に図示されたように、本体110は、高さを有する柱状に形成されることができ、内部で流体が移動可能となるように中空で形成されることができる。また、内部の中空には、後述する開閉部材140が挿入されることができる。
【0039】
本体110の横方向断面は、多角形に形成されることができ、または円形であってもよい。このように本体110の横方向断面が円形に形成されると、本体110の内周面には螺旋状のガイド溝が形成されることができ、後述の開閉部材140に形成されたガイド突起が本体110のガイド溝に挿入され、開閉部材140が回転しながら昇降することができる。このように、本体110の内周面に形成された螺旋状のガイド溝、および開閉部材140の外周面に形成された螺旋状のガイド突起により、開閉部材140の密閉力が向上した状態で吸気口120の圧力により昇降することができ、必要に応じて、ベント発生圧力を調節する手段としても活用することができる。
【0040】
吸気口120は、本体110に備えられるものであって、特に、本体110の側面に備えられることができる。本発明に係る二次電池用ベントシールキャップ1は、本体110の内部に備えられた開閉部材140の自重を利用する構造であるため、必ず本体110が重力の影響を受けるように立てられた状態で備えられなければならない。吸気口120が本体110の下面に備えられる場合、ベントシールキャップ1の本体110は、二次電池が置かれる形態、およびベントシールキャップ1が電池ケースに備えられる位置によっては、立てられた状態で備えられることができない場合がある。
【0041】
したがって、これを防止するために、本体110の側面に吸気口120が備えられることができ、その結果、二次電池が置かれる形態またはベントシールキャップ1が電池ケースに備えられる位置にかかわらず、ベントシールキャップ1の本体110が重力の影響を受けるように立てられた状態で備えられることができる。これにより、本発明の開閉部材140による開放および閉鎖機能を正常に果たすことができる。
【0042】
吸気口120は、本体110にホースが連結された形態であることができ、本体110の外部から内部へ流入するように形成された構成であることができる。したがって、吸気口120が本体110に連結された側の反対側で電池ケースと連結されることで、電池ケースの内部で発生した気体が吸気口120を介して本体110の内部へ流入し得る。
【0043】
一方、吸気口120は、熱を吸収して収縮する部材(以下、「熱収縮部材」)を含むことができる。詳細には、吸気口120において本体110に備えられる部位と隣接した部位に、熱収縮部材を含むことができ、これにより、電池ケースの内部で加熱されたガスが吸気口120を介して移動した後、吸気口120が熱により収縮してベントシールキャップ1の外部空気が内部へ流入することを防止することができる。
【0044】
排気口130は、本体110の側面に備えられ、吸気口120が備えられた位置よりも上部に備えられることができる。このように排気口130が本体110の側面に備えられることで、本体110の中空内部に備えられた開閉部材140が吸気口120の圧力により上昇しても、排気口130を閉鎖せずに開放させて排気をすることができる。また、排気口130は吸気口120が備えられた位置よりも上部に備えられることで、吸気口120の圧力が増加する場合、開閉部材140が上昇して排気口130を開放する構造を形成することができる。
【0045】
一方、図3を参照すると、本体110の横方向断面を基準として、排気口130は、吸気口120が備えられた軸と互いに異なる軸上に備えられることができる。このように、吸気口120と排気口130の軸がずれて形成された場合、ベントシールキャップ1の排気口130へガスが排気または流出された後、さらに逆に逆流入することを最小にすることができる。ただし、吸気口120と排気口130が必ずしも異なる軸上に備えられると制限されてはおらず、同一の軸上に備えられてもよい。
【0046】
一方、排気口130は、ガスの流れを検知して信号を発生させるアラーム生成装置を含むことができる。アラーム生成装置は、音信号、視覚信号などを生成する多様な装置を含み、当業界で通常に用いられる装置であることができる。例えば、音信号は、アラーム音を発生させるものであり、視覚信号は、ベントシールキャップ1、またはそれと連結された電池モジュール、パック、電池が設けられた自動車の計器盤にベントが発生したことを表す信号であることができる。
【0047】
次に、図1および図2を参照して、開閉部材140について詳細に説明する。
【0048】
開閉部材140は、本体110の内部中空に備えられるものであって、例えば、十分な重さを有する錘のように、金属から形成された部材であることができる。このように、開閉部材140は自重を有し、吸気口120の圧力変化によって本体110の内部中空を移動しながら、吸気口120と排気口130の連結を開放または閉鎖することができる。
【0049】
開閉部材140は、吸気口120の圧力が既設定値よりも大きい場合は、吸気口120と排気口130の連結を開放し、吸気口120の圧力が既設定値よりも小さい場合は、吸気口120と排気口130の連結を閉鎖することができる。
【0050】
ここで、既設定値とは、開閉部材140の重さを開閉部材140の単位面積で除した値と、開閉部材140が本体110の内部の中空で上昇して開閉部材140の下面の位置と排気口130の下面の位置とが一致した状態で、開閉部材140により密閉された本体110の中空の上部に位置した空間の体積に形成された圧力の大きさと、を加えた値である。
【0051】
本発明に係る二次電池用ベントシールキャップ1の開閉部材140には、吸気口120を介してガスが流入する方向に向かって開放され、開閉部材140の中心部に向かって湾入した形態の昇降補助溝141が形成されることができる。このように、開閉部材140の中心部に昇降補助溝141が形成される場合、上方に力を受ける面積が増加することで、開閉部材140が本体110の内部中空でより容易に上昇することができ、小さい内圧または吸気口120の圧力変化によっても開閉部材140が上昇してベントを発生させ得る。
【0052】
特に、昇降補助溝141は、ガスが流入される流入部と、流入部の幅より直径が大きい球状を有するヘッド部と、を含むヘアピン構造で形成され、ヘッド部により、上昇圧力を受ける面積の大きさを増加させることができる。
【0053】
その他にも、開閉部材140は、上述のように、外周面に螺旋状のガイド突起が形成されることができ、ガイド突起が本体110のガイド溝に挿入され、開閉部材140が回転しながら昇降することができる。このように、本体110の内周面に形成された螺旋状のガイド溝、および開閉部材140の外周面に形成された螺旋状のガイド突起により、開閉部材140の密閉力が向上した状態で吸気口120の圧力により昇降することができ、必要に応じて、ベント発生圧力を調節する手段としても活用することができる。
【0054】
一方、上述の二次電池用ベントシールキャップ1は、多様な材質からなることができる。具体的に、前記二次電池用ベントシールキャップ1の本体110、吸気口120、排気口130、または開閉部材140は、多様な材質からなることができる。
【0055】
その際、前記本体110、吸気口120、排気口130、または開閉部材140の少なくとも何れか1つは、二次電池の内部から高温のガスが放出される場合にも、機械的または化学的な変形が発生して物性が著しく低下しないように、高耐熱素材からなることが好ましい。
【0056】
また、前記本体110、吸気口120、排気口130、または開閉部材140の少なくとも何れか1つは、内部のガス圧力が所定圧力以上である場合に、破裂して変形するおそれがあるため、所定圧力に耐えられる材質からなることが好ましい。ここで、所定圧力は多様な圧力値であってもよく、例えば、7bar以上であってもよい。
【0057】
すなわち、前記本体110、吸気口120、排気口130または開閉部材140の材質は、上述の条件のうち何れか1つを満たす材質であれば、如何なる材質でも可能である。例えば、前記本体110、吸気口120、排気口130、および開閉部材140の少なくとも何れか1つの材質は、高耐熱性プラスチック類のPPS(Poly Phenylene Sulfide)、PI(Poly Imide)を含んでもよく、金属材質のAl(Aluminium)、SUS(Stainless steel)を含んでもよい。
【0058】
実施形態2
図4は、本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップを図示した側断面図である。図5は、本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップでベントが発生する過程を図示した図である。図6は、本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップにおいて、吸気口が止め部の下面に形成された構成を図示した側断面図である。
【0059】
本発明の実施形態2においては、本体210が移動部211と止め部212とを含む点で、実施形態1と異なる。
【0060】
実施形態1と共通する内容はなるべく省略し、相違点を中心に実施形態2について説明する。すなわち、実施形態2において説明していない内容が必要な場合、実施形態1の内容で対応できることは自明である。
【0061】
図4を参照すると、本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップの本体210は、移動部211および止め部212を含む。
【0062】
移動部211は、本体210の中空の断面積が開閉部材240の横方向断面積と等しいように形成され、開閉部材240が中空を密閉した状態で移動することができる。止め部212は移動部211の下部に繋がるように備えられており、中空の断面積が開閉部材240の横方向断面よりも小さいように形成され、開閉部材240が自重により下に移動することを阻止することができ、これにより、本体210の底面に載置されることを防止することができる。
【0063】
一方、止め部212は、中空の断面積が開閉部材240の横方向断面よりも小さいように形成され、移動部211と直角を成し、且つ段差を形成したまま備えられるか、移動部211と繋がる上部側の面積は移動部211と同一であり、下部側に行くに従って面積が減少する形態で備えられることができる。
【0064】
本発明の実施形態2に係る排気口230は移動部211の側面に形成され、吸気口220は止め部212の側面に形成されることができる。また、図6に図示されているように、排気口230は移動部211の側面に形成され、吸気口220は止め部212の下面に形成されることができる。このように、吸気口220が止め部212の下面に形成される場合、吸気口220からガスの流入時に、開閉部材240がさらに容易に上昇することができる。
【0065】
本発明の実施形態2に係る二次電池用ベントシールキャップにおいて開閉部材240の昇降により吸気口220と排気口230の連結が開放または閉鎖されることでベントが発生する過程は図5に図示されており、これは、実施形態1における動作と同一に理解されることができる。
【0066】
実施形態3
図7は、本発明の実施形態3に係る二次電池を図示した図である。
【0067】
本発明の実施形態3においては、実施形態1または実施形態2の二次電池用ベントシールキャップ1を含む二次電池2に関する発明である点で、実施形態1および2と異なる。
【0068】
実施形態1および2と共通する内容はなるべく省略し、相違点を中心に実施形態3について説明する。すなわち、実施形態3において説明しない内容が必要な場合、実施形態1および2の内容で対応できることは自明である。
【0069】
図7を参照すると、本発明の実施形態3に係る二次電池2は、電極組立体と、電池ケースと、ベントシールキャップと、を含む。
【0070】
電極組立体は、正極、セパレータ、負極、セパレータが積層されて形成されるものであって、長いシート状が巻き取られて形成されるゼリー・ロ-ル型、一定のサイズに切断された単位セルが積層されるスタック型、単位セルが積層され、セパレータがフォールディングされて形成されるスタックフォールディング型などの多様な形態の電極組立体であることができる。
【0071】
電池ケースは、電極組立体が内部に収納されるものであればよく、例えば、円筒形または角形を含むカン型とパウチ型のうち何れか1つが選択されることができる。
【0072】
ベントシールキャップ1は、電池ケースに備えられるものであって、例えば、パウチ型の場合、シール部位に備えられてベントの役割を果たすことができる。ベントシールキャップの本体310は、内部に中空が形成されている。本体310には吸気口320と排気口330が備えられ、排気口330は、本体310において吸気口320が備えられた位置よりも上部に備えられる。吸気口320は、電池ケースの内部と連結され、電池ケースにおいて本体310の内部へガスが流入するようにし、排気口330は、吸気口320から流入したガスが本体310を経て排気口330を介して流出されるようにする。
【0073】
ベントシールキャップの開閉部材340は、本体310の内部中空に備えられており、吸気口320の圧力変化によって中空の内部を移動しながら、吸気口320と排気口330の連結を開放または閉鎖する。ここで、吸気口320と排気口330の連結を開放するということは、開閉部材340が本体310の上部に移動し、吸気口320と排気口330との間のガスの流れが開放され、電池ケースのガスが吸気口320を介してベントシールキャップの内部へ流入し、排気口330を介して流出されることで、ベントが発生することを意味する。また、吸気口320と排気口330の連結を閉鎖するということは、開閉部材340が本体310内部の中空において吸気口320と排気口330との間の位置に備えられ、吸気口320と排気口330との間のガスの流れが遮断されるようにすることを意味する。
【0074】
このように、本発明の実施形態3に係る二次電池は、ベントシールキャップを含むことで、電池ケースの内部でガスが発生して内圧が増加する場合、電池ケースの内部で生成されたガスを電池ケースの外部へ排出し、ガス排出により圧力が減少する際に閉鎖されることで、空気が逆に流入されることを防止することができる。これにより、電池ケースの内部で酸素が反応して二次電池の発火や爆発が発生することを予防し、二次電池の安全性を向上させることができる。
【0075】
本発明の実施形態3の他の構成である本体310、吸気口320、および排気口330は、実施形態1および2における説明と同一に理解されることができる。
【0076】
開閉部材には、吸気口を介してガスが流入される方向に向かって開放され、開閉部材の中心部に向かって湾入した形態の昇降補助溝が形成されることができる。また、昇降補助溝は、ガスが流入される流入部と、前記流入部の幅より直径が大きい球状を有するヘッド部と、を含むヘアピン構造で形成されることができる。
【0077】
以上において、本発明が限定された実施形態と図面により説明たが、本発明は、これに限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と下記に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1:二次電池用ベントシールキャップ
110:本体
120:吸気口
130:排気口
140:開閉部材
141:昇降補助溝
210:本体
211:移動部
212:止め部
220:吸気口
230:排気口
240:開閉部材
310:本体
320:吸気口
330:排気口
340:開閉部材
2:二次電池
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6
図7