(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】コンピュータ回路カードのハイブリッド冷却のためのカードケージシステム
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20250527BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H05K7/20 A
H05K7/20 H
G06F1/20 C
G06F1/20 B
(21)【出願番号】P 2024522614
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2022049701
(87)【国際公開番号】W WO2023136882
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-04-16
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
【住所又は居所原語表記】1100 Wilson Blvd Arlington, Virginia 22209 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】リード,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ジェイムズ
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0318703(US,A1)
【文献】特開2007-165764(JP,A)
【文献】特開2009-071006(JP,A)
【文献】特開平07-131173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0070601(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0124953(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0087814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のコンピュータ回路カードを収容するように構成されたコンピュータ回路カードケージシステムであって、
その中に形成された1つまたは複数の開口部を有す
る複数の壁を含むハウジングと、
1つまたは複数の
前記壁に支持され、コンピュータ回路カードを支持するように構成され
た複数の支持レールであって、
前記複数の支持レールは、前
記支持レールを通る流体の流れを促進するためにその中に形成された1つまたは複数の開口部を有
し、
前記流体の流路が、前記ハウジングの前記壁の前記1つまたは複数の開口部と、前記支持レールの前記1つまたは複数の開口部とを通
り、
前記複数の支持レールのうちの第1の支持レールが、前記ハウジングの前記複数の壁のうちの第1の壁に支持され、前記第1の支持レールに対応する第2の支持レールが、前記ハウジングの前記複数の壁のうちの第2の壁に支持され、前記第2の壁が、前記第1の壁の反対側に配置され、前記第1及び第2の支持レールが、前記コンピュータ回路カードを支持するように動作可能であり、
前記第1の支持レールを貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部と、前記第1の壁を貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部とが、前記第2の支持レールを貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部と、前記第2の壁を貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部と流体連通して、前記第1の壁と前記第2の壁との間の前記コンピュータ回路カードケージシステムを通る流体の流れを促進する、前記複数の支持レールと、
前記コンピュータ回路カードケージシステムを通り且つ前記第1の壁及び前記第2の壁を通る前記流体の流れを周囲環境に押し流すように構成され、前記第2の壁に支持された強制空気システムと、を備える、
コンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項2】
前
記支持レールが、熱伝導性材料で作られている、請求項1に記載のコンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項3】
前記ハウジングの前
記複数の壁に形成された前記1つまたは複数の開口部に隣接する前
記複数の壁によって支持された1つまたは複数のフィンをさらに備える、請求項1に記載のコンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項4】
前記第1の壁及び前記第2の壁が、少なくとも部分的に、前記第1の壁と前記第2の壁との間にコンピュータ回路カード格納キャビティを画定し、前記
コンピュータ回路カード格納キャビティが、1つまたは複数のコンピュータ回路カードを格納するように構成されている、請求項1に記載のコンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項5】
前記支持レールが、前記
コンピュータ回路カードケージシステム内の離間した位置で支持される、請求項1に記載のコンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項6】
前
記支持レールの少なくとも一部が、そこを通る流体の流れを促進するために、その中に形成され
た複数の開口部を備える、請求項5に記載のコンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項7】
前記強制空気システムが、
ファンと、
前記ファンと共に動作可能なファンマニホールドであって、前記支持レールの前記1つまたは複数の開口部を通して前記流体を導くように動作可能な、1つまたは複数の空気チャネルを備える前記ファンマニホールドと、
前記ファンマニホールドの前記
1つまたは複数の空気チャネルを覆うように動作可能であるカバーと、を含む、請求項
1に記載のコンピュータ回路カードケージシステム。
【請求項8】
1つまたは複数のコンピュータ回路カードを収容するように構成されたコンピュータ回路カードケージシステムを構成する方法であって、
その中に形成された1つまたは複数の開口部を有す
る複数の壁を含むハウジングを含むように前記
コンピュータ回路カードケージシステムを構成することと、
1つまたは複数の
前記壁に支持され、コンピュータ回路カードを支持するように構成され
た複数の支持レールであって、前
記支持レールを通る流体の流れを促進するためにその中に形成された1つまたは複数の開口部を有する、前
記複数の支持レールを含むように前記
コンピュータ回路カードケージシステムを構成
し、
前記流体の流路が、前記ハウジングの前記壁の前記1つまたは複数の開口部と、前記支持レールの前記1つまたは複数の開口部とを通る、
ことと、
前記複数の支持レールのうちの第1の支持レールを、前記ハウジングの前記複数の壁のうちの第1の壁に支持されるように構成することと、
前記第1の支持レールに対応する第2の支持レールを、前記ハウジングの前記複数の壁のうちの第2の壁に支持されるように構成することであって、前記第2の壁が、前記第1の壁の反対側に配置され、前記第1及び第2の支持レールが、前記コンピュータ回路カードを支持するように動作可能であるように構成し、
前記第1の支持レールを貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部と、前記第1の壁を貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部とが、前記第2の支持レールを貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部と、前記第2の壁を貫通して形成された前記1つまたは複数の開口部と流体連通して、前記第1の壁と前記第2の壁との間の前記コンピュータ回路カードケージシステムを通る流体の流れを促進する、ことと、
前記コンピュータ回路カードケージシステムが、前記第2の壁に支持され、前記コンピュータ回路カードケージシステムを通り且つ前記第1の壁及び前記第2の壁を通る前記流体の流れを周囲環境に押し流すように構成された、強制空気システムを含むように構成することを含むように構成することと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記支持レールは前記
コンピュータ回路カードケージシステム内の離間した位置で支持され
る、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前
記支持レールの少なくとも一部が、その中を通る
前記流体の流れを促進するために、その中に形成された
複数の開口部を含むように構成することをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記強制空気システムを構成することであって、
ファンと、
前記ファンと共に動作可能なファンマニホールドであって、前記支持レールの前記1つまたは複数の開口部を通して前記流体を導くように動作可能な、1つまたは複数の空気チャネルを備える前記ファンマニホールドと、
前記ファンマニホールドの前記
1つまたは複数の空気チャネルを覆うように動作可能であるカバーと、を含む、前記強制空気システムを構成することをさらに含む、
請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記
コンピュータ回路カードケージシステムが
、前記1つまたは複数の開口部に隣接する前
記壁によって支持された1つまたは複数のフィンを含むように構成すること、をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータ回路カード及び拡張カードは、現代社会において広く普及しており、多種多様な計算応用におけるコンピュータシステムの操作に使用される。高い電力密度を有するコンピュータ回路カードは、高温で動作する傾向があり、冷却が困難である。嵩高で大型の液体冷却システムは、コンピュータ回路カードに適切な冷却を提供するために、カードを保持するカードケージに実装されることが多い。しかしながら、コンピュータ回路カード及びカードケージは、コンピュータ回路カード及びカードケージの取り付けに小さなスペースしか使用できないシステムにおいてしばしば使用される。したがって、空間的制約があるシステム内では液体冷却システムを収容するのに十分な余地がないため、大きな液体冷却システムを使用してコンピュータ回路カードを冷却することができない。多くの場合、1つのモードだけの熱伝達/冷却(例えば、伝導支持レールまたは強制空冷)をカードケージ内で利用して、空間的制約があるコンピュータシステム内のコンピュータ回路カードを冷却することができる。コンピュータカードを適切に冷却するために、追加の熱伝達及び/または冷却運転またはシステムが必要であることが多い。したがって、コンピュータ回路カードの適切な動作温度及び予測可能な所望の動作を確実にするために、空間に限りがあるシステムにおけるコンピュータカードを冷却するための冷却システムの改良及び革新が展開され続けている。
【0002】
本発明の特徴及び利点は、本発明の特徴を一例として共に例示する添付図面と併せて、以下の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本開示の一例に係るカードケージシステムの等角図を示す。
【
図2a】
図1のカードケージシステムの内部構成を第1の側面から見た等角図を示す。
【
図2b】
図1のカードケージシステムの内部構成を第2の側面から見た等角図を示す。
【
図3】
図1のカードケージシステムの正面図を示す。
【
図4a】
図1のカードケージシステムの第1の側面の側面図を示す。
【
図4b】
図3に示すカードケージシステムの線AAに沿った、
図1のカードケージシステムの断面図を示す。
【
図5a】
図1のカードケージシステムの第2の側面の側面図を示す。
【
図5b】ファン及びカバーが取り外された
図5aのカードケージシステムの第2の側面の側面図を示す。
【
図6】
図3に示すカードケージシステムの線BBに沿った、
図1のカードケージシステムの断面図を示す。
【
図7】
図1のカードケージシステムの正面図を示す。
【
図9】
図1のカードケージシステムの正面図を示し、カードケージシステム内の空気流を示す。
【0004】
次に、例示した典型的な実施形態を参照して、本明細書ではこれらを説明するために特定の言語を用いる。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲の限定が意図されることはないことを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で用いる場合、用語「実質的に」は、作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全またはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれている物体は、その物体が完全に囲まれているか、またはほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性からのずれの正確な許容される程度は、場合によっては、特定の状況に依存し得る。しかし、一般的に言って、完成に近づくと、絶対で完全な完成が得られたかのように、同じ全体的な結果が得られるようになる。「実質的に」を用いることは、作用、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全またはほぼ完全な欠如を指す否定的な意味で用いる場合にも、等しく適用される。
【0006】
本明細書で用いる場合、「隣接する」は、2つの構造または要素が近接していることを指す。特に、「隣接している」と特定される要素は、当接しているかまたは接続されている場合がある。このような要素は、必ずしも互いに接触することなく、互いに接近または近接していてもよい。近接の正確な程度は、場合によっては、特定の状況に依存し得る。
【0007】
本発明の考え方の最初の概略を以下に示し、その後、特定の例についてより詳細に説明する。この最初の概要は、読み手が例をより迅速に理解することを助けることを目的としているが、例の重要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求の範囲に記載された対象の範囲を限定することも意図していない。
【0008】
本明細書では、1つまたは複数のコンピュータ回路カードを収容するように構成されたコンピュータ回路カードケージシステムが開示される。本コンピュータ回路カードケージシステムは、その中に形成された1つまたは複数の開口部を有する1つまたは複数の壁を含むハウジングを含むことができる。カードケージシステムは、1つまたは複数の壁のうちの1つまたは複数に支持された1つまたは複数の支持レールをさらに含むことができる。支持レールは、コンピュータ回路カードを支持するようにそれぞれ構成され得る。1つまたは複数の支持レールは、1つまたは複数の支持レールを通る流体の流れを促進するために、その中に形成された1つまたは複数の開口部を有し得る。流体の流路は、ハウジングの壁の1つまたは複数の開口部と、支持レールの1つまたは複数の開口部とを通り得る。
【0009】
本明細書では、さらに、1つまたは複数のコンピュータ回路カードを収容するように構成されたコンピュータ回路カードケージシステムを構成する方法が開示される。本方法は、その中に形成された1つまたは複数の開口部を有する、1つまたは複数の壁を含むハウジングを含むようにカードケージシステムを構成することを含むことができる。本方法は、1つまたは複数の壁に支持され、コンピュータ回路カードを支持するように構成された1つまたは複数の支持レールを含むようにカードケージシステムを構成することをさらに含むことができる。本方法は、さらに、1つまたは複数の支持レールを通る流体の流れを促進するために、その中に形成された1つまたは複数の開口部を有するように、1つまたは複数の支持レールを構成することを含むことができる。この流体の流路は、ハウジングの壁の1つまたは複数の開口部と、支持レールの1つまたは複数の開口部とを通ることができる。
【0010】
本技術をさらに説明するために、次に図を参照しながら例を示す。
図1を参照すると、本開示の一例によるカードケージシステム100が示されている。カードケージシステム100は、1つまたは複数のコンピュータ回路カードを収容するように構成され得る。図示のように、カードケージは、複数の壁を含むハウジング101を含むことができる。例えば、カードケージシステム100のハウジング101は、第1の側壁102と、第1の側壁102に平行に対向して配置された第2の側壁104とを含むことができる。後壁106は、カードケージシステム100の後部で第1の側壁102及び第2の側壁104に当接することができる。さらに、上壁108は、カードケージシステム100の上部において、第1の側壁102、第2の側壁104及び後壁106に当接することができる。底壁110は、カードケージシステム100の底部において、第1の側壁102、第2の側壁104及び後壁106に当接することができる。
【0011】
カードケージシステム100の第1の側壁102、第2の側壁104、後壁106、上壁108及び底壁110は、1つまたは複数のコンピュータ回路カード(例えば、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114d参照)を受け入れて保持するように構成された回路カード格納キャビティ112を共に形成し、画定することができる。カードケージシステム100は、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dの1つまたは複数に各々接触し、支持する複数の支持レールを含むことができる。
【0012】
加えて、
図1に示すように、カードケージシステム100は、カードケージシステム100の側壁の1つ(例えば、図示の第2の側壁104)を覆う開口部カバー116をさらに含むことができる。ファン118は、開口部カバー116に取り付けられ、支持され得る。以下でより詳細に説明するように、ファン118は、カードケージシステム100を通る冷却流体(例えば、周囲空気または他の気体)を押し流すように動作することができる。「空気」という用語は、本開示内で使用されるが、本開示は、この特定のタイプの流体に任意の方法で限定されることを意図しない。実際に、冷却流体は、カードケージシステム100内で使用することができる冷却または加熱のための任意の既知の流体を含むことができる。
【0013】
カードケージシステム100の更なる詳細を、
図2a及び
図2bを参照して示し説明する。
図2a及び2bは、カードケージシステム100の内部構成をより明確に示すために、上壁108及び回路カード114a、114b、114c及び114dが取り外されたカードケージシステム100を示す。
【0014】
図2aは、第2の側壁104が観察者に最も近い状態で見られるようなカードケージシステム100の等角図を示す。
図2aに示されるように、第1の側壁102は、第1の側壁102の内側103a上に支持される複数の支持レール120a、120b、120c及び120dを備えることができる。支持レール120a、120b、120c及び120dのそれぞれは、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dのうちの1つのための支持面121a、121b、121c及び121dを備えることができる。コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dは、支持レール120a、120b、120c及び120dのそれぞれの支持面121a、121b、121c及び121dと接触し、インタフェースするように構成され得る。
【0015】
支持レール120a、120b、120c及び120dの各々は、全体的にもしくは部分的に熱伝導性材料で作られ得るか、または熱伝導性材料でコーティングされ得る。熱伝導性材料は、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dによって生成された熱が熱伝導性支持レールを通ってコンピュータ回路カードから離れる熱伝導を促進し、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dを冷却するために熱が周囲環境に放散されることを可能にすることができる。
【0016】
図2bは、第1の側壁102が観察者に最も近い状態で見られるようなカードケージシステム100の等角図を示す。
図1及び
図2aに示すように、第2の側壁104は、第2の側壁104の内側105a上に支持される複数の支持レール122a、122b、122c及び122dを含むことができる。支持レール122a、122b、122c及び122dのそれぞれは、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dのうちの1つのための支持面123a、123b、123c及び123dを含むことができる。コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dは、支持レール122a、122b、122c及び122dのそれぞれの支持面123a、123b、123c及び123dと接触し、インタフェースするように構成され得る。
【0017】
支持レール122a、122b、122c及び122dのそれぞれは、全体的にまたは部分的に熱伝導性材料で作られ得るか、または熱伝導性材料でコーティングされ得る。実施例の材料は、アルミニウム、銅、グラファイト、熱伝導性セラミックス及び当業者に明らかな他のものを含むが、これらに限定されない。実施例のコーティングは、サーマルグリース、ペースト、ゲル、グラファイト、グラファイトパッド、相変化材料及び当業者に明らかな他のものを含むことができるが、これらに限定されない。熱伝導性材料は、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dによって生成された熱がコンピュータ回路カードから離れる熱伝導を促進し、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dを冷却するために熱が周囲環境に放散されることを可能にすることができる。
【0018】
図3は、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dが取り外されたカードケージシステム100の正面図を示す。第2の側壁104と第1の側壁102とは、互いに対向する位置にある。第1の側壁102及び第2の側壁104は、少なくとも部分的に、第1の側壁102と第2の側壁104との間に回路カード格納キャビティ112を画定する。回路カード格納キャビティ112は、支持レールの支持面上に1つまたは複数のコンピュータ回路カードを格納するように構成される。
【0019】
図示のように、第1の側壁102は、互いに離間した位置にそれぞれ配置された第1の支持レール120a、120b、120c及び120dを備える。第2の側壁104は、第1の支持レールと実質的に同じである互いに離間した位置にそれぞれ配置された第2の支持レール122a、122b、122c及び122dを備える。言い換えれば、支持レール120aは、支持面121aと支持面123aとがコンピュータ回路カードを支持するために同一平面上にあるように、支持レール122aと実質的に同一平面上に位置する。
【0020】
第1の側壁102上の支持レール120aの支持面121a及び123a、ならびにそれに対応して第2の側壁104上に配置された支持レール122aは、カードケージシステム100の回路カード格納キャビティ112内に第1の回路カードスロット124aを少なくとも部分的に画定する。同様に、支持レール120bの支持面121b及び123b、ならびに対応して配置された支持レール122bは、第2の回路カードスロット124bを少なくとも部分的に画定する。支持レール120cの支持面121c及び123c、ならびに対応して配置された支持レール122cは、少なくとも部分的に第3の回路カードスロット124cを画定する。同様に、支持レール120dの支持面121d及び123d、ならびに対応して配置された支持レール122dは、第4の回路カードスロット124dを少なくとも部分的に画定する。カードスロット124a、124b、124c及び124dのそれぞれは、コンピュータ回路カードをその中に受け入れ、コンピュータ回路カードを各カードスロットの支持面に支持するように構成される(例えば、
図1参照)。
【0021】
図4aは、カードケージシステム100の第1の側壁102の側面図を示し、第1の側壁102の外側103bを示す。複数の開口部125(例えば、開口部125a、125b及び125cを含む)は、第1の側壁102に形成され得る。一例に従って示されるように、3列の開口部125が、第1の開口部125a、第2の開口部125b及び第3の開口部125cを含んで第1の側壁102内に形成され得る。
【0022】
加えて、フィン119が、第1の側壁102上に形成または支持され得、各フィン122は、第1の側壁102を通して形成される開口部125の間に配置され得る。フィン119は、熱伝達を助けることができる。フィン119は、カードケージシステム100の第1の側壁102の外面上の延長部である。フィン119などのフィンは、周囲環境と第1の側壁102との間の対流を増大させることによって、カードケージシステム100への、またはそこからの熱伝導率を上げる。対流は、第1の側壁102の表面積を増加させることによって増大し、次に、熱伝達率を増大させ、カードケージシステム100内に収容されたコンピュータ回路カード114を冷却するのを助ける。
【0023】
図4bは、
図3に示す線AAに沿ったカードケージシステム100の断面図を示す。支持レール120a、120b、120c及び120dは、第1の側壁102の内側103a上に支持されて示されている。第1の側壁102上に「支持される」支持レール120a、120b、120c及び120dは、第1の側壁102と一体的に形成される支持レール120a、120b、120c及び120dを含むことができ、第1の側壁102とは別個に形成され、それに取り付けられる支持レール120a、120b、120c及び120dをさらに含むことができる。
【0024】
図4bに示すように、開口部126a、126b及び126cは、支持レール120a、120b及び120cのそれぞれを貫通して形成され得る。第1の側壁102内の開口部125a、125b、125cは、第1の側壁102の外側103bから厚さ全体を通り、内側103aを通って外に延びることができる。開口部126a、126b及び126cは、支持レール120a、120b及び120cの厚さ全体を通って延びることができる。第1の側壁102の開口部125a、125b及び125cは、第1の側壁102及び支持レール120a、120b及び120cを通る冷却流体(例えば、周囲空気または他のガス状流体)のための流体流路を提供するために、支持レール120a、120b及び120cの開口部126a、126b及び126cと実質的に整列することができる。
【0025】
図5a、
図5b及び
図6は、第2の側壁104の様々な図を示す。
図5aは、カードケージシステム100の側面図を示し、カードケージシステム100の外側から見た第2の側壁104を示す。
図5aは、第2の側壁104の外側105bを示す。第2の側壁104は、第1の側壁102及び第2の側壁104の開口部125及び126の1つまたは複数を通って冷却流体(例えば、空気)を押し流すように構成された強制空気システム115を支持することができる。強制空気システム115は、第2の側壁104内に形成された複数の開口部128(
図5b参照)を取り囲んで覆う位置で第2の側壁104上に支持された開口部カバー116を含むことができる。強制空気システム115は、開口部128を通る流体の吹き付けまたは吸引のいずれかを通して開口部128のそれぞれを通る流体を押し流すように動作するように構成された、カバー116上に支持されたファン118をさらに備えることができる。カバー116及び開口部128は、共に、ファンによって押し流された流体が流れる1つまたは複数の空気チャネルを画定するファンマニホールドとして機能することができる。マニホールドの空気チャネルは、開口部128の空気チャネルと、カバー116によって画定され、ファン118の動作によって流体が流される空気チャンバ130とを含むことができる。加えて、ファンマニホールドは、カバー116内に形成された個々のチャネル、または開口部128からファン118への管及び通路を含むように修正されてもよい。
【0026】
図5bは、カードケージシステム100の第2の側壁104の側面図を示し、カバー116及びファン118が取り外された状態の第2の側壁104の外側105bを示す。複数の開口部127(開口部127a、127b及び127cを含む)は、第2の側壁104内に形成され得る。一例に従って示されるように、3列の開口部127が、第1の開口部127a、第2の開口部127b及び第3の開口部127cを含む第2の側壁104内に形成され得る。
【0027】
図6は、
図3に示す線BBに沿ったカードケージシステム100の断面図を示す。支持レール122a、122b、122c及び122dは、第2の側壁104の内側105a上に支持されて示されている。第2の側壁104上に「支持される」支持レール122a、122b、122c及び122dは、第2の側壁104と一体的に形成される支持レール122a、122b、122c及び122dを含むことができ、第2の側壁104とは別個に形成され、それに取り付けられる支持レール122a、122b、122c及び122dをさらに含むことができる。
【0028】
図6に示すように、開口部128a、128b及び128cは、支持レール122a、122b及び122cのそれぞれを貫通して形成され得る。第2の側壁104内の開口部127a、127b、127cは、第2の側壁104の外側105bから厚さ全体を通り、内側105aを通って外に延びることができる。支持レールの開口部128a、128b及び128cは、支持レール122a、122b及び122cの厚さ全体を通って延びることができる。第2の側壁104の開口部127a、127b及び127cは、第1の側壁102及び支持レール120a、120b及び120cを通る冷却流体(例えば、周囲空気または他のガス状流体)のための流体流路を提供するために、支持レール120a、120b及び120cの開口部128a、128b及び128cと実質的に整列することができる。
【0029】
図4b及び
図6に示すように、開口部は、必ずしも全ての支持レールに形成される必要はない。開口部は、カードケージシステム100内の1つまたは複数の支持レール、最大で全ての支持レールに形成され得る。さらに、本明細書に記載の支持レールは、側壁と一体的に形成されるか、または側壁とは別個に作成され、次いで側壁に取り付けられるかのどちらかであればよいことを理解されたい。支持レールが側壁と一体的に形成される構成では、各開口部は、側壁及び支持レールの両方を通って形成される単一の開口部であってもよい。別の構成では、支持レールが側壁とは別個に形成され、次いで側壁に取り付けられる場合、側壁及び支持レール内に別個の開口部が形成され得る。支持レールは、側壁内の開口部が支持レールの開口部と実質的に整列して側壁及び支持レールを通る流体流路を形成するように、側壁に取り付けられ得る。
【0030】
明確にするために、
図4a、
図4b、
図5b及び
図6では、全ての開口部が個々に識別されているわけではなく、図示のように、開口部125及び126は、支持レール120a、120b、120c、122a、122b及び122cの長さの大部分にわたって配置されている。開口部125及び126は、第1の側壁102及び第2の側壁104の両側から開口部にアクセス可能であるように、第1の側壁102及び第2の側壁104の厚さ全体をそれぞれ通して形成され得る。したがって、任意の気体または周囲空気などの流体は、第1の側壁102の開口部125を通る流体流路に沿って第1の側壁102を通過することができる。任意の気体または周囲空気などの流体は、第2の側壁104の開口部126を通る流体流路に沿って第2の側壁104をさらに通過することができる。さらに、
図4aから
図6は、開口部125及び126が、支持レール及び側壁に形成されるような楕円形の形状を有することを示す。しかしながら、開口部の形状は、本開示による任意の方法での限定を意図されない。任意の形状の開口部が使用され得る。
【0031】
図7は、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dがカードケージシステム100内に支持されているカードケージシステム100の正面図を示す。コンピュータ回路カード114aは、少なくとも支持レール120aの支持面121aに支持され、コンピュータ回路カード114bは、少なくとも支持レール120bの支持面121bに支持され、コンピュータ回路カード114cは、少なくとも支持レール120cの支持面121cに支持され、コンピュータ回路カード114dは、少なくとも支持レール120dの支持面121dに支持されている。
【0032】
コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dのそれぞれは、それらのそれぞれの支持面121a、121b、121c及び121dと物理的に接触することができる。各コンピュータ回路カードが熱伝導性支持レールと接触した状態で、動作中に各コンピュータ回路カードによって発生した熱をコンピュータ回路カードから離れるように伝導させて、コンピュータ回路カードの冷却を促進することができる。
【0033】
図8は、
図7の断面Cの拡大図を示す。
図8は、コンピュータ回路カード114aを通って熱伝導性支持レール120aに、第1の側壁102に、そして最終的に周囲環境に出る、伝導による熱Hの流れを示す。他のコンピュータ回路カード114b、114c及び114dは、
図8に示されるものと同様の方法で冷却される。
【0034】
伝導において、熱Hは、第1の温度位置から第2の温度位置に伝達される。伝導を行うためには、2つの位置の間に温度差が存在しなければならない。熱Hの伝達は、2つの場所の間に温度における差異(すなわち、温度差)がある限り継続するが、2つの場所が同じ温度に達すると、熱平衡が確立され、熱伝達が停止する。当業者に知られているように、伝導は、熱Hをより高い温度の位置からより低い温度の位置へ流す。
図8に示す例では、コンピュータ回路カード114aはT1の温度を有し、第1の側壁102の支持レール120aはT2の温度を有し、周囲環境はT3の温度を有する。熱Hがコンピュータ回路カード114aから周囲環境に流れるためには、T1がT2より高く、T2はT3より高いと仮定する。
【0035】
温度における差異により、コンピュータ回路カード114aの動作によって発生した熱Hは、支持レール120a及び第1の側壁102を介して環境に流れる。温度T1、T2及び/またはT3間の差が大きいほど、熱Hの流れがコンピュータ回路カード114aからより多く離れる。すなわち、温度差が大きいほど、熱伝導率が高くなる。支持レール120aがコンピュータ回路カード114aよりも低い温度T2にある限り、熱伝達は継続する。
【0036】
カードケージシステム100は、本開示の一例に従って、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dのハイブリッド冷却を提供するように構成される。
図8に示すコンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dの伝導冷却に加えて、カードケージシステム100は、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dの対流冷却、ならびに開口部125a、125b、125c、125d、126a、126b、126c、126d、127a、127b、127c、127d、128a、128b、128c及び128dを通る冷却空気の流れによる側壁102、104及び支持レール120a、120b、120c、120d、122a、122b、122c及び122dの対流冷却を提供する。
【0037】
図9は、カードケージシステム100のコンピュータ回路カード、側壁及び支持レールの対流冷却を示す。
図9に示すように、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dは、側壁及び支持レールの1つまたは複数に形成された開口部を通ってカードケージシステム100に入る流体流Fによって冷却され得る。流体流Fが第1の側壁102及び支持レール120a、120b、120c及び120dの開口部を通って入ると、流体流Fは、第1の側壁102(第1の側壁102上に支持された支持レール120a、120b、120c及び120dを含む)から熱H1を引き込み、第1の側壁102ならびに支持レール120a、120b、120c及び120dを対流冷却する。ファン118は、少なくとも1つの例によれば、ファン118の作動によって第1の側壁102の開口部を通ってカードケージシステム100に入るように流体流Fを押し流すことができる。
【0038】
第1の側壁102内の開口部は、第2の側壁104内の開口部と流体連通し、流体流Fは、カードケージシステム100を通って第1の側壁102から第2の側壁104まで、側壁間のキャビティ112の中を流れ続ける。流体流Fが第1の側壁102から第2の側壁114に移動すると、流体流Fは、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dのそれぞれから熱H2、H3、H4及びH5を引き込み、カードを対流冷却する。次いで、流体流Fは、支持レール122a、122b、122c及び122dならびに第2の側壁104に形成された開口部127a、127b、127c、127d、128a、128b、128c及び128dを通って第2の側壁104を通って出て、第2の側壁104及び支持レール122a、122b、122c及び122dから熱H6を引き込み、第2の側壁104及び支持レール122a、122b、122c及び122dを対流冷却する。次いで、流体流Fは、カバー116によって画定される空気チャンバ130(一点鎖線で示される)に入り、最終的に、ファン118によって周囲環境に排出される。
【0039】
本開示の実施例は、現在の技術水準を超える多くの利点及び有益な効果をもたらす。本開示の実施例は、付加的な大型で嵩高の液体冷却システムを必要とせずに、小さな制約された空間において、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dの対流及び伝導冷却の両方を提供する。伝導及び対流冷却の両方を使用すると、伝導または対流冷却の一方のみを使用する場合よりも、コンピュータ回路カード114a、114b、114c及び114dをより効率的かつより迅速に冷却する。
【0040】
さらに、支持レールのそれぞれに形成された開口部は、冷却流体が支持レールを通って流れることを可能にし、それによって支持レールを対流冷却する。支持レールを対流冷却することにより、支持レールの、コンピュータ回路カードから熱が離れるように伝導する能力が増大する。温度差が大きくなると、熱伝導率が高くなる。伝導熱伝達率は、異なる温度の2つの位置の間の温度差が大きくなるにつれて高まる。支持レールの対流冷却により、コンピュータ回路カードと比較して支持レールの温度が低下し、したがって、熱伝導率が高まり、コンピュータ回路カードから引き出される熱量が増大する。したがって、支持レールに対流冷却を提供することで、以下によるコンピュータ回路カードの冷却が改善される。1)コンピュータ回路カードを、支持レールを介して伝導冷却する。2)コンピュータ回路カードを対流冷却する。3)コンピュータ回路カードの伝導冷却を促進する支持レールを対流冷却することによって、コンピュータ回路カードの伝導冷却を改善する。これにより、コンピュータ回路カードの熱伝達及び全体的な冷却が、本明細書に記載の例によって改善される。
【0041】
本明細書に記載の例は、カードケージシステム内の要素の冷却を主に対象としているが、本明細書に記載の原理は、加熱される必要がある特定の要素を加熱するためのシステムにも適用することができる。さらに、本明細書に記載の例は、カードケージシステムの開口部に隣接する側壁にファンを配置している。しかしながら、ファン(または複数のファン)は、カードケージシステムの任意の他の壁及び上壁、底壁、前壁、もしくは後壁またはその他の壁に配置され得る。したがって、ファンは、開口部を有する壁に配置されることに限定されない。
【0042】
図面に例示した例を参照し、これらを説明するために本明細書では特定の言語を用いた。しかしながら、それによって本技術の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。本明細書で例示した特徴の修正及びさらなる変更、ならびに本明細書で例示した例のさらなる応用例は、説明の範囲内であると考えるべきである。
【0043】
本開示では、本明細書に記載のいくつかの実施形態または特徴が、本明細書に記載の他の実施形態または特徴と組み合わせられ得ることを明示的に開示していない場合があるが、本開示は、当業者によって実行可能な任意のそのような組み合わせを説明するために読まれるべきである。本開示において「または」を用いることは、本明細書において特に断りのない限り、非排他的または、すなわち「及び/または」を意味すると理解すべきである。
【0044】
さらに、記載した特徴、構造、または特性は、1つ以上の例において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。前述の説明では、記載した技術の例の十分な理解を得るために、種々の構成の例など、多くの特定の詳細が提供された。しかし本技術は、特定の詳細の1つまたは複数を用いずに、または他の方法、コンポーネント、デバイスなどを用いて、実施され得ることが理解される。他の場合では、本技術の態様が不明瞭になることを避けるために、良く知られた構造または動作は図示することも詳細に説明することもしていない。
【0045】
主題は、構造的特徴及び/または動作に固有の言語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲において規定される主題は、必ずしも前述した具体的な特徴及び動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、前述した具体的な特徴及び作用は、特許請求の範囲を実施する形態例として開示される。記載した技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び代替的な配置が考案され得る。