(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】表示灯及びそれが設けられた非常警報装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20250527BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20250527BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20250527BHJP
F21V 31/03 20060101ALI20250527BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20250527BHJP
G09F 13/20 20060101ALI20250527BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250527BHJP
【FI】
F21S2/00 663
G08B17/00 H
F21S9/02 200
F21V31/03 400
F21V15/01 300
G09F13/20 Z
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020163966
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昭雄
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084023(JP,A)
【文献】特開2015-018445(JP,A)
【文献】特開2007-257107(JP,A)
【文献】特開2014-228999(JP,A)
【文献】実開昭57-090481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G08B 17/00
F21S 9/02
F21V 31/03
F21V 15/01
G09F 13/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略環状に発光する発光表示部と、
該発光表示部を発光させるための4個以下の発光素子と、
該発光表示部が取付可能に設けられた基体部と、を備え、
該発光表示部は、該発光素子の直接光によって、略環状に発光する様に構成されており、
該基体部は、略環状の周壁と、該周壁の内方に位置する略弧状の谷状部と、を有し、
該谷状部は、底部と、該底部と連続する一対の傾斜部と、を有すると共に該発光表示部と対向する様に設けられ、
該傾斜部は、該周壁に沿って設けられ
ると共に該底部から該周壁の周方向に沿って該発光表示部に近づく様に傾斜して設けられており、
該底部には、該発光素子又は該発光素子からの光を該基体部内に導入するための穴部が設けられ、
該発光素子は、該発光表示部と直接対向する様に設けられていることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記谷状部は、一対で設けられ、該谷状部の各々が略半周に亘って設けられており、
前記底部は、該谷状部の中央部に位置する様に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示灯。
【請求項3】
少なくとも前記底部の径方向内方に遮光壁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示灯。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の表示灯が設けられた非常警報装置であって、
電池と、該電池を収容するための電池収容部と、を備えており、
該電池収容部は、鉛直方向下方に水受部を有していることを特徴とする非常警報装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の表示灯が設けられた非常警報装置であって、
ヒューズと、該ヒューズを収容するヒューズ収容部と、を備えており、
該ヒューズ収容部は、水抜部を有していることを特徴とする非常警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示灯及びそれが設けられた非常警報装置に関し、より詳細には、略環状の発光表示部を備える表示灯及びそれが設けられた非常警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、略環状に発光する発光表示部を備えた表示灯(以下、リング型表示灯という)がある。この様なリング型表示灯は、LED等の発光素子が光源として用いられているが、使用可能な電力量の制限等の事情によって、取付可能な該発光素子の数に制限がある場合がある。少ない数、例えば、2個乃至は4個、の該発光素子では、該発光素子の指向角等の問題で、該発光表示部を、略環状に発光させることが困難であると考えられていたため、別途、略環状の導光部材を設け、該発光素子の発光を該導光部材に導入して、該発光を該導光部材の周方向に沿って反射させることにより、該発光表示部を略環状に発光させている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、リング型表示灯は、発光表示部が、表示の対象、例えば発信機等、の周囲を取り囲む様に取り付けられるものである。そのため、他の部品(例えば、該表示灯が取り付けられる装置の部品)と干渉しない様に配置する必要がある関係上、該リング型表示灯には、容積や形状等に制限がある場合が多く、それ故に部品点数がより少ないことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明では、導光部材を用いなくとも、発光表示部を略環状に発光可能な表示灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、略環状に発光する発光表示部と、該発光表示部を発光させるための4個以下の発光素子と、該発光表示部が取付可能に設けられた基体部と、を備え、該発光表示部は、該発光素子の直接光によって、略環状に発光する様に構成されており、該基体部は、略環状の周壁と、該周壁の内方に位置する略弧状の谷状部と、を有し、該谷状部は、底部と、該底部と連続する一対の傾斜部と、を有すると共に該発光表示部と対向する様に設けられ、該傾斜部は、該周壁に沿って設けられると共に該底部から該周壁の周方向に沿って該発光表示部に近づく様に傾斜して設けられており、該底部には、該発光素子又は該発光素子からの光を該基体部内に導入するための穴部が設けられ、該発光素子は、該発光表示部と直接対向する様に設けられていることを特徴とする表示灯である。又、本発明は、前記表示灯が設けられた非常用警報装置である。
【0007】
そして、本発明は、前記谷状部を、一対で設け、該谷状部の各々を略半周に亘って設け、前記底部を、該谷状部の中央部に位置する様に設けることが可能である。又、本発明は、少なくとも前記底部の径方向内方に遮光壁を設けることが可能である。又、本発明は、前記非常警報装置において、電池と、該電池を収容するための電池収容部と、を備えるものとし、該電池収容部を、鉛直方向下方に水受部を有しているものとすることが可能である。又、本発明は、前記非常警報装置において、ヒューズと、該ヒューズを収容するヒューズ収容部と、を備えるものとし、該ヒューズ収容部を、水抜部を有しているものとすることが可能である。
【0008】
尚、本発明において、「環状」には、略円環状のみならず、略楕円環状や略多角環状等の様々な環状のものが含まれるものとし、又、全周が一体となっているもののみならず、例えば、左右や上下に、分割されたもの、所謂、分割リングも含まれるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、略弧状の谷状部を設け、該谷状部の底部に、発光素子又は該発光素子からの光を導入するための穴部を設けたので、導光部材を用いなくとも、発光表示部を略環状に発光させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の実施形態の内部構造を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態における発光表示部の発光の様子を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を
図1乃至
図8に基づき、非常警報装置の表示灯を例として、説明する。表示灯1は、発光表示部10と、発光素子11と、基体部12と、を備えているおり、本実施形態において、表示灯1は、非常警報装置2に設けられている。非常警報装置2は、停電時等の外部電力が遮断された際に、内蔵の蓄電池Cによって、少なくともある一定時間稼働できる様になっている必要があり、それに伴って、表示灯1に設けられる発光素子11の数も制限される。
【0012】
非常警報装置2は、本体部20と、本体部20の前面に取り付けられた機器カバー21と、を備えている。本体部20には、発信部22と、リセットボタン23と、電池収容部24と、ヒューズ収容部25と、音響装置26と、基板27と、が設けられている。本実施形態において、非常用警報装置4は、防雨型として構成されている。
【0013】
発信部22は、非常時に押下されることで、音響装置26に非常信号を発信する発信装置の一種であり、発信部22による非常信号を受信した音響装置26が周囲に非常事態を知らせる音声等を鳴動する。リセットボタン23は、発信部22が押下された後、リセットする際に使用されるリセットボタンである。
【0014】
電池収容部24には、停電等の電源遮断時に非常警報装置2の電源を確保するための蓄電池Cが収容されている。電池収容部24には、非常警報装置2の防雨性を高めるために鉛直方向下方に水受部24aが設けられている。水受部24aは、非常警報装置2の内部に侵入した水(以下、浸水という)、例えば、雨水等、が電池収容部24に入り込んだ際に、該浸水を収容し、蓄電池Cや、蓄電池Cと基板27との接点(図示せず)等に該浸水が掛かり、短絡するのを防止するために設けられている。本実施形態では、電池収容部24を区画する隔壁24bの下面24cを斜面と形成し、側面24d(
図3参照)と共に略三角柱状の空間を設けることで水受部24aを設けている。
【0015】
ヒューズ収容部25には、ヒューズFが収容されており、非常警報装置2の防雨性を高めために水抜部25aが設けられている。水抜部25aは、前記浸水がヒューズ収容部25内に入り込むことを防止すると共に入り込んでしまった該浸水をヒューズ収容部25外へと排水し、ヒューズFや端子25bに該浸水が掛かり短絡することを防止するために設けられている。本実施形態において、水抜部25aは、防浸部25cと、排水部25dと、を有している。
【0016】
防浸部25cは、ヒューズ収容部25の鉛直方向上方に設けられ、先端部25eが、鉛直方向下方に突出していることで、前記浸水がヒューズ収容部25内に入り込むことを防止している。排水部25dは、ヒューズ収容部25の鉛直方向下方に設けられ、基端部25fが、鉛直方向上方に突出していると共に天面25gが、浸水をヒューズ収容部25外へと排出される様に、機器カバー21側に向かって下方に傾斜している。
【0017】
発光素子11は、発光ダイオード(LED)であり、発光表示部10を発光させるための光源として設けられる(以下、発光素子11の光を発光Lと表記する)。発光素子11は、発光表示部10と直接、即ち、従来の表示灯の様な導光部材を介することなしに、対向する様に設けられている。又、発光素子11は、使用可能な電力量、例えば、電池Cの容量、等に応じて、好ましくは、4個以下、より好ましくは、2個以下で設けられる。
【0018】
本実施形態においては、発光素子11は、赤色のチップ型LEDとして、非常警報装置2の基板27に実装されており、その関係上、後述する穴部16cより離間して設けられている。又、発光素子11は、左右に1個ずつ合計2個設けられており、各々の指向角が、約120°となっている。尚、発光素子11は、必要に応じて様々な色・形状のものを適宜選択することが可能であり、白色であっても、砲弾型であってよい。又、発光素子11の指向角、数、配置等についても必要に応じて適宜変更可能である。
【0019】
発光表示部10は、発光Lによって、略環状に発光する様に構成されており、透明又は透光性のある部材により成型されており、法令や規格等に合わせて、通常赤色となっている。本実施形態において、表示灯1には、更に、リング灯プレート13が設けられており、発光表示部10は、リング灯プレート13に設けられている。
【0020】
リング灯プレート13は、周縁部に発光表示部10を、中央部に不透光部14を有しており、非常警報装置2の本体部20に螺着されている。不透光部14には、非常警報装置2の発信部22及びリセットボタン23を操作可能に開口が形成されている。即ち、発信部22は、不透光部14に位置する様になっており、発光表示部10は、発信部22を囲う様に設けられていることとなる。本実施形態において、リング灯プレート13は、全体が透明又は透光性のある部材により成型されており、中央部に不透光性の部材から成るシールを貼付することにより不透光部14を形成し、その余が発光表示部10となっている。
【0021】
基体部12は、略環状の周壁15と、周壁15の内方に位置する略弧状の谷状部16と、を有している。本実施形態において、周壁15及び谷状部16は、基体部12の周縁部に位置しており、谷状部16よりも内方、つまり、基体部12の中央部に非常警報装置2の発信部22及びリセットボタン23が設けられている。又、非常警報装置2の本体部20と一体的に設けられており、略擂鉢状を為している。
【0022】
谷状部16は、底部16aと、底部16aと連続する一対の傾斜部16bと、を有しており、発光表示部10と対向する様に設けられている。本実施形態において、谷状部16は、左右一対として設けられており、各々が略半周に亘って設けられていると共に基体部12の底面を構成している。尚、谷状部16は、発光素子11の位置に応じて、上下一対として設けることも可能である。
【0023】
底部16aには、発光素子11又は発光素子11の光を基体部12内に導入するための穴部16cが設けられている。本実施形態において、、底部16aは谷状部16の中央部に設けられており、穴部16cは、発光素子11の発光Lを基体部12内に導入可能に設けられている。又、底部16aの径方向内方には遮光壁17が設けられており、遮光壁17は、発光Lにより直接発信部22を照らされない様になっている。
【0024】
傾斜部16bは、周壁15に沿って設けられており、傾斜部16bの勾配θは、発光素子11の指向角に応じて定められ、発光Lが、発光Lを必要とする箇所まで届く様に形成されている。本実施形態において、傾斜部16bは、発光Lが発光表示部10の上端部若しくは下端部に届く勾配θに形成されている。尚、本実施形態において、勾配θは、約45°となっている。
【0025】
本実施形態の表示灯1においては、谷状部16を設け、谷状部16の底部16aより発光Lを基体部12内に導入することによって、発光素子11を中心として発光Lを広範囲に広げることが可能となり、導光部材を用いなくとも発光表示部10を略環状且つ略均一に、即ち、表示灯1の観測者が発光表示部3を略環状に発光していると認識可能に、発光させることが可能となる。
【0026】
又、谷状部16を設け、谷状部16の底部16aより発光Lを基体部12内に導入する副次的な効果として、導光部材を用いる必要がなくなることで、表示灯1の部品点数を減らすことが可能であり、表示灯1の製造コストを削減することも可能になっている。又、谷状部16は、傾斜部16bを有しているためその裏側に空間が形成することが可能であり、比較的大きな部品を該空間に配置することが可能となり、導光部材を用いる必要が無くなったことに相俟って従来の表示灯のより自由な設計が可能となる。
【0027】
本発明を上記実施形態に基づき説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0028】
(1)例えば、上記実施形態においては、非常警報装置2は防雨型であったが、表示灯1を非防雨型の非常警報装置に適用することも可能である。
【0029】
(2)上記実施形態は、本発明の表示灯を非常警報装置1に適用した例であるが、本発明の表示灯を、別の発信装置、例えば、消火機器の発信機、の表示灯として適用することも可能である。この場合、発光表示部3は発信機を囲む様に取り付けられ、発信機は、不透光部14が位置するあたりに位置することとなる。
【0030】
(3)上記実施形態においては、発光素子11を穴部16cから離間させて設けたが、発光素子11の一部若しくは全部を基体部12内に位置する様に設けることも可能である。
【0031】
(4)表示灯1は、発光表示部10が、略環状に発光していると観測者に認識可能であればよく、発光表示部10の鉛直方向上方及び下方よりも観測者から視認し易い側方が態と明るくなる様にすることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 表示灯 10 発光表示部 11 発光素子
12 基体部 13 リング灯プレート 14 不透光部
15 周壁 16 谷状部 16a 底部
16b 傾斜部 16c 穴部 17 遮光壁
2 非常警報装置 20 本体部 21 機器カバー
22 発信部 23 リセットボタン 24 電池収容部
24a 水受部 24b 隔壁 24c 下面
24d 側面 25 ヒューズ収容部 25a 水抜部
25b 端子 25c 防浸部 25d 排水部
25e 先端部 25f 基端部 25g 天面
26 音響装置 27 基板 C 蓄電池
F ヒューズ L 発光 θ 勾配