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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】センサ情報集約装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20250527BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20250527BHJP
   F24F 11/88 20180101ALI20250527BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20250527BHJP
   F24F 11/38 20180101ALI20250527BHJP
   F24F 120/00 20180101ALN20250527BHJP
   F24F 120/12 20180101ALN20250527BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20250527BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F11/64
F24F11/88
F24F11/89
F24F11/38
F24F120:00
F24F120:12
F24F140:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021139897
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023033926
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】青山 章一郎
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 聖
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240729(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157311(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0041446(KR,A)
【文献】特開2008-249172(JP,A)
【文献】特開2009-204213(JP,A)
【文献】特開2013-093103(JP,A)
【文献】特開平06-241526(JP,A)
【文献】米国特許第05495887(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110986258(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102004058049(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/32
F24F 11/64
F24F 11/88
F24F 11/89
F24F 11/38
F24F 120/00
F24F 120/12
F24F 140/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する各センサの計測範囲と前記対象空間を区分けするエリアとの対応関係の情報を予め記憶するように構成されたセンサ情報記憶部と、
複数の前記センサによって得られた対象空間の情報に基づいて人の位置を検出し、人検知情報をエリア毎に生成するように構成された人検出部と、
各センサの異常を検出するように構成されたセンサ異常検出部と、
前記センサ異常検出部による検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力するように構成された状態情報出力部と、
前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施すように構成された情報処理部とを備え
前記情報処理部は、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、事前に設定された情報処理種別が補正出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、エリア中の異常が発生していないセンサのみによる人検知情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が固定出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として予め定められた情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が非出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報を出力無しとし、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が前回値保持に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、直前に出力した人検知情報を出力することを特徴とするセンサ情報集約装置。
【請求項2】
対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する各センサの計測範囲と前記対象空間を区分けするエリアとの対応関係の情報を予め記憶するように構成されたセンサ情報記憶部と、
複数の前記センサによって得られた対象空間の情報に基づいて人の位置を検出し、人検知情報をエリア毎に生成するように構成された人検出部と、
各センサの異常を検出するように構成されたセンサ異常検出部と、
前記センサ異常検出部による検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力するように構成された状態情報出力部と、
前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施すように構成された情報処理部とを備え、
前記状態情報出力部は、前記人検知情報に対する、異常が発生したセンサの影響度の総和をエリア毎に算出し、算出した値が所定の閾値を超える場合にセンサ異常を示す前記センサ状態情報を出力することを特徴とするセンサ情報集約装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のセンサ情報集約装置において、
前記複数のセンサは、それぞれ前記対象空間の温度を検出するように構成された赤外線アレイセンサであることを特徴とするセンサ情報集約装置。
【請求項4】
対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する複数のセンサによって得られた情報に基づいて人の位置を検出し、前記対象空間を区分けするエリア毎に人検知情報を生成する第1のステップと、
各センサの異常を検出する第2のステップと、
前記第2のステップの検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力する第3のステップと、
前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施す第4のステップとを含み、
前記第4のステップは、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、事前に設定された情報処理種別が補正出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、エリア中の異常が発生していないセンサのみによる人検知情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が固定出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として予め定められた情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が非出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報を出力無しとし、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が前回値保持に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、直前に出力した人検知情報を出力するステップを含むことを特徴とするセンサ情報集約方法。
【請求項5】
対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する複数のセンサによって得られた情報に基づいて人の位置を検出し、前記対象空間を区分けするエリア毎に人検知情報を生成する第1のステップと、
各センサの異常を検出する第2のステップと、
前記第2のステップの検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力する第3のステップと、
前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施す第4のステップとを含み、
前記第3のステップは、前記人検知情報に対する、異常が発生したセンサの影響度の総和をエリア毎に算出し、算出した値が所定の閾値を超える場合にセンサ異常を示す前記センサ状態情報を出力するステップを含むことを特徴とするセンサ情報集約方法。
【請求項6】
請求項4または5記載のセンサ情報集約方法において、
前記複数のセンサは、それぞれ前記対象空間の温度を検出するように構成された赤外線アレイセンサであることを特徴とするセンサ情報集約方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサによって得られた情報を集約するセンサ情報集約装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、在室者の位置や人数を推定する赤外線アレイセンサシステムが実用化されている(非特許文献1参照)。この赤外線アレイセンサシステムでは、複数の赤外線アレイセンサで取得した床面の表面温度の情報から、人の位置を特定し、位置情報を制御エリア毎にまとめた人数もしくは在/不在の情報にして、空調や照明の制御機器へ提供している。
【0003】
赤外線アレイセンサシステムでは、複数の赤外線アレイセンサのうちの少なくとも1つに不具合が発生した場合、その赤外線アレイセンサが計測しているエリアの人の位置情報は信頼性が低い。そのため、制御エリアに所属するセンサ毎の異常を検知できるようにし、制御機器側で位置情報の信頼性を判断できるようにする必要がある。また、赤外線アレイセンサに異常がある場合には、赤外線アレイセンサの計測結果から推定した在室者人数や在/不在の情報を、現場の運用方針に合わせて処理することが望ましい。
【0004】
従来の赤外線アレイセンサシステムでは、各センサからの情報をセンサ情報集約装置で統合しているが、従来のセンサ情報集約装置には、上記のような赤外線アレイセンサの異常検知結果に応じた信頼性判断機能や情報処理機能は実現されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】“赤外線アレイセンサシステム”,アズビル株式会社,2020年,<https://www.azbil.com/jp/product/building/document/catalog/AC-984-R0.0.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、センサの異常検知結果に応じた信頼性判断機能および情報処理機能を実現することができるセンサ情報集約装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセンサ情報集約装置は、対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する各センサの計測範囲と前記対象空間を区分けするエリアとの対応関係の情報を予め記憶するように構成されたセンサ情報記憶部と、複数の前記センサによって得られた対象空間の情報に基づいて人の位置を検出し、人検知情報をエリア毎に生成するように構成された人検出部と、各センサの異常を検出するように構成されたセンサ異常検出部と、前記センサ異常検出部による検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力するように構成された状態情報出力部と、前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施すように構成された情報処理部とを備え、前記情報処理部は、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、事前に設定された情報処理種別が補正出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、エリア中の異常が発生していないセンサのみによる人検知情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が固定出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として予め定められた情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が非出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報を出力無しとし、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が前回値保持に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、直前に出力した人検知情報を出力することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のセンサ情報集約装置は、対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する各センサの計測範囲と前記対象空間を区分けするエリアとの対応関係の情報を予め記憶するように構成されたセンサ情報記憶部と、複数の前記センサによって得られた対象空間の情報に基づいて人の位置を検出し、人検知情報をエリア毎に生成するように構成された人検出部と、各センサの異常を検出するように構成されたセンサ異常検出部と、前記センサ異常検出部による検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力するように構成された状態情報出力部と、前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施すように構成された情報処理部とを備え、前記状態情報出力部は、前記人検知情報に対する、異常が発生したセンサの影響度の総和をエリア毎に算出し、算出した値が所定の閾値を超える場合にセンサ異常を示す前記センサ状態情報を出力することを特徴とするものである。
また、本発明のセンサ情報集約装置の1構成例において、前記複数のセンサは、それぞれ前記対象空間の温度を検出するように構成された赤外線アレイセンサである。
【0009】
また、本発明のセンサ情報集約方法は、対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する複数のセンサによって得られた情報に基づいて人の位置を検出し、前記対象空間を区分けするエリア毎に人検知情報を生成する第1のステップと、各センサの異常を検出する第2のステップと、前記第2のステップの検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力する第3のステップと、前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施す第4のステップとを含み、前記第4のステップは、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、事前に設定された情報処理種別が補正出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、エリア中の異常が発生していないセンサのみによる人検知情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が固定出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として予め定められた情報を出力し、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が非出力に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報を出力無しとし、前記センサ状態情報が前記センサの異常を示し、前記情報処理種別が前回値保持に設定されている場合、異常が発生したセンサが属するエリアの人検知情報として、直前に出力した人検知情報を出力するステップを含むことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のセンサ情報集約方法は、対象空間の人の在/不在に関わる情報を取得する複数のセンサによって得られた情報に基づいて人の位置を検出し、前記対象空間を区分けするエリア毎に人検知情報を生成する第1のステップと、各センサの異常を検出する第2のステップと、前記第2のステップの検出結果に基づいて、センサ状態情報をエリア毎およびセンサ毎に出力する第3のステップと、前記センサ状態情報に応じて予め定められた処理を前記人検知情報に対して施す第4のステップとを含み、前記第3のステップは、前記人検知情報に対する、異常が発生したセンサの影響度の総和をエリア毎に算出し、算出した値が所定の閾値を超える場合にセンサ異常を示す前記センサ状態情報を出力するステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサの異常を検出し、センサ状態情報を出力するので、センサ状態情報を基に人検知情報の信頼性を判断することができる。また、本発明では、センサに異常がある場合に、人検知情報を現場の運用方針に合わせて処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施例に係る赤外線アレイセンサシステムのセンサ情報集約装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例に係る赤外線アレイセンサの計測範囲の例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施例に係るセンサ情報集約装置の動作を説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施例に係るセンサ情報集約装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係る赤外線アレイセンサシステムのセンサ情報集約装置の構成を示すブロック図である。センサ情報集約装置1は、温度取得部10と、人検出部11と、センサ異常検出部12と、状態情報出力部13と、情報処理部14と、センサ情報記憶部15とを備えている。
【0014】
センサ情報集約装置1は、通信回線3を介して複数の赤外線アレイセンサ2-1~2-N(Nは2以上の整数)と接続されている。
【0015】
赤外線アレイセンサ2-1~2-Nは、それぞれ対象空間4の天井や壁に配置され、対象空間4の人の在/不在に関わる情報として、対象空間4の床面の温度を検出する。赤外線アレイセンサ2-1~2-Nは、それぞれ複数の赤外線センサチップが平面状に敷き詰められた構造を有する。各赤外線センサチップは、物体から放出されている赤外線を離れた点で計り、それにより温度を求めることができる。
【0016】
図2は赤外線アレイセンサ2-1~2-Nの計測範囲の例を示す図である。ここでは、対象空間4の天井40に赤外線アレイセンサ2-1~2-8が、格子状に等間隔で設置されているものとする。各赤外線アレイセンサ2-1~2-8は、それぞれ対象空間4の床41の面内において正方形状の計測範囲20-1~20-8を有している。
【0017】
対象空間4は、複数のエリアに区分けされている。例えば図2の例では、対象空間4はエリア5-1とエリア5-2に区分けされている。
エリア5-1,5-2は、本実施例のセンサ情報集約装置と接続される空調の制御機器や照明の制御機器が空調や照明の個別制御を行う対象として設定された空間の単位である。
【0018】
各赤外線アレイセンサ2-1~2-8は、少なくとも1つのエリアに所属し、所属するエリアの床面の温度を計測する。例えば赤外線アレイセンサ2-1~2-3,2-5~2-7は、エリア5-1に所属している(計測範囲20-1~20-3,20-5~20-7の少なくとも一部がエリア5-1内)。また、赤外線アレイセンサ2-3,2-4,2-7,2-8は、エリア5-2に所属している(計測範囲20-3,20-4,20-7,20-8の少なくとも一部がエリア5-2内)。
センサ情報記憶部15は、以上のような各赤外線アレイセンサ2-1~2-8の計測範囲20-1~20-8とエリア5-1,5-2との対応関係の情報を予め記憶している。
【0019】
図3は本実施例のセンサ情報集約装置1の動作を説明するフローチャートである。センサ情報集約装置1の温度取得部10は、赤外線アレイセンサ2-1~2-8によって計測された温度を、赤外線アレイセンサ2-1~2-8毎および赤外線アレイセンサ2-1~2-8のセンサチップ毎に取得する(図3ステップS100)。
【0020】
センサ情報集約装置1の人検出部11は、赤外線アレイセンサ2-1~2-8によって計測された対象空間4の床面の温度分布に基づいて人の位置を検出し、人の在/不在の情報と人数の情報のうち少なくとも一方を含む人検知情報をエリア5-1,5-2毎に生成する(図3ステップS101)。
【0021】
上記のとおり、各赤外線アレイセンサ2-1~2-8の計測範囲20-1~20-8とエリア5-1,5-2との対応関係の情報は、センサ情報記憶部15に記憶されている。したがって、センサ情報記憶部15に記憶された情報に基づいて、人検知情報をエリア5-1,5-2毎に生成することが可能である。人の在/不在や人数を推定する方法は、例えば特開2016-80619号公報、特開2018-204922号公報、特開2019-8692号公報などに開示されている。
【0022】
一方、センサ情報集約装置1のセンサ異常検出部12は、各赤外線アレイセンサ2-1~2-8の異常を検出する(図3ステップS102)。センサ異常検出部12は、例えば赤外線アレイセンサ2-1~2-8によって検出された温度が所定の上限値よりも高いとき、または所定の下限値よりも低いときに、その赤外線アレイセンサが異常であると判定する。
【0023】
次に、センサ情報集約装置1の状態情報出力部13は、センサ異常検出部12による検出結果に基づいて、各赤外線アレイセンサ2-1~2-8のセンサ状態情報をエリア5-1,5-2毎および赤外線アレイセンサ2-1~2-8毎に出力する(図3ステップS103)。
【0024】
例えば状態情報出力部13は、異常が発生した赤外線アレイセンサの識別番号をセンサ状態情報としてエリア5-1,5-2毎に出力したり、異常が発生した赤外線アレイセンサの個数をセンサ状態情報としてエリア5-1,5-2毎に出力したり、エリア内の全赤外線アレイセンサの個数に対する異常が発生した赤外線アレイセンサの個数の割合をセンサ状態情報としてエリア5-1,5-2毎に出力したりする。
【0025】
また、状態情報出力部13は、エリア毎の人検知情報に対する、異常が発生した赤外線アレイセンサの影響度の総和Σxijをエリア毎に算出してもよい。エリア毎の人検知情報に対する、赤外線アレイセンサの影響度xij(iはエリアに属するセンサの番号、jはエリアの番号)が事前に定められている。この影響度xijは、例えばエリアに属する赤外線アレイセンサの計測範囲の面積に基づいて定められ、センサ情報記憶部15に記憶されている。
【0026】
例えば図2の例のように計測範囲20-1,20-2,20-5,20-6の全てがエリア5-1内にある赤外線アレイセンサ2-1,2-2,2-5,2-6の、エリア5-1の人検知情報に対する影響度x11,x21,x51,x61を1とする。また、計測範囲20-3,20-7のうちそれぞれ25%がエリア5-1内にある赤外線アレイセンサ2-3,2-7の、エリア5-1の人検知情報に対する影響度x31,x71を0.25とする。また、計測範囲20-4,20-8の全てがエリア5-2内にある赤外線アレイセンサ2-4,2-8の、エリア5-2の人検知情報に対する影響度x42,x82を1とする。また、計測範囲20-3,20-7のうちそれぞれ75%がエリア5-2内にある赤外線アレイセンサ2-3,2-7の、エリア5-2の人検知情報に対する影響度x32,x72を0.75とする。
【0027】
状態情報出力部13は、異常が発生した赤外線アレイセンサの影響度xijをエリア毎に加算する。そして、状態情報出力部13は、影響度xijのエリア毎の総和Σxijが所定の閾値yを超えた場合、異常と判定する。状態情報出力部13は、この判定結果をセンサ状態情報としてエリア5-1,5-2毎に出力する。
【0028】
次に、センサ情報集約装置1の情報処理部14は、状態情報出力部13から出力されたセンサ状態情報に応じて予め定められた処理を人検知情報に対して施す(図3ステップS104)。
【0029】
情報処理部14は、センサ状態情報が赤外線アレイセンサの異常を示している場合、事前の情報処理種別設定に基づいた情報処理を行う。ここでは、エリア内の異常が発生した赤外線アレイセンサの個数が個数の閾値を超える場合に情報処理を行ってもよいし、異常が発生した赤外線アレイセンサの個数の割合が割合の閾値を超える場合に情報処理を行ってもよいし、影響度xijのエリア毎の総和Σxijによって異常と判定された場合に情報処理を行ってもよいし、エリア内の異常が発生した赤外線アレイセンサの個数が1個でもあれば、情報処理を行ってもよい。
【0030】
情報処理種別としては、例えば補正出力、固定出力、非出力、前回値保持の4種類がある。情報処理種別は、対象空間4の空調や照明の運用方針に合わせて事前に設定される。
【0031】
情報処理部14は、情報処理種別が補正出力に設定されている場合、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアの人検知情報として、エリア中の異常が発生していない赤外線アレイセンサのみによる人検知情報を空調や照明等の設備機器の制御機器へ出力する。この場合には、異常が発生していない赤外線アレイセンサによって計測された対象空間4の床面の温度分布に基づいて人検知情報をエリア5-1,5-2毎に生成すればよい。
【0032】
情報処理部14は、情報処理種別が固定出力に設定されている場合、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアの人検知情報として、予め定められた情報を空調や照明等の設備機器の制御機器へ出力する。具体的には、情報処理部14は、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアについて固定値の人数を出力したり、人の在室を示す在/不在情報を出力したり、不在を示す在/不在情報を出力したりする。これにより、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアの空調や照明を予め定められた状態に制御することができる。
【0033】
情報処理部14は、情報処理種別が非出力に設定されている場合、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアの人検知情報を出力しない。人検知情報を出力しないことにより、例えば空調や照明等の設備機器の制御機器が異常を検知することが可能となる。
【0034】
情報処理部14は、情報処理種別が前回値保持に設定されている場合、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアの人検知情報として、直前に出力した人検知情報を空調や照明等の設備機器の制御機器へ出力する。これにより、異常が発生した赤外線アレイセンサが属するエリアの空調や照明が直前の状態のまま維持される。
【0035】
センサ情報集約装置1は、例えば空調や照明の制御が終了するまで(図3ステップS105においてYES)、ステップS100~S104の処理を一定時間毎に行う。
以上のように、本実施例では、エリアに所属する赤外線アレイセンサの異常を検知し、センサ状態情報を出力するので、センサ状態情報を基に人検知情報の信頼性を判断することができる。また、本実施例では、赤外線アレイセンサに異常がある場合に、人検知情報を現場の運用方針に合わせて処理することができる。
【0036】
本実施例では、赤外線アレイセンサシステムを例に挙げて説明したが、本発明は赤外線アレイセンサシステムに限るものではなく、他のセンサによって人の在/不在を検出するセンサシステムに適用可能である。
【0037】
本実施例で説明したセンサ情報集約装置1は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図4に示す。コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インタフェース装置(I/F)202とを備えている。
【0038】
I/F202には、例えば赤外線アレイセンサや制御機器等が接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明のセンサ情報集約方法を実現させるためのプログラムは、記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、複数のセンサの情報を統合する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…センサ情報集約装置、2-1~2-N…赤外線アレイセンサ、3…通信回線、10…温度取得部、11…人検出部、12…センサ異常検出部、13…状態情報出力部、14…情報処理部、15…センサ情報記憶部。
図1
図2
図3
図4