(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】板ばね装置および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20250527BHJP
F16F 1/22 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
F16F1/22
(21)【出願番号】P 2022043798
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2024-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/033802(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/107070(WO,A1)
【文献】特開平05-172170(JP,A)
【文献】特開昭59-147129(JP,A)
【文献】特開昭60-229812(JP,A)
【文献】特開2007-166819(JP,A)
【文献】特開昭58-133906(JP,A)
【文献】実開平6-53843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
F16F 1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向で互いに対向する第1被押圧体と第2被押圧体との間に、前記第1方向に重ねられて設けられる第1板ばね部および第2板ばね部を備え、
前記第1被押圧体に支持される前記第1板ばね部、および前記第2被押圧体に支持される前記第2板ばね部は、前記第1方向に突となる頂部を有するように湾曲し、
前記第1板ばね部は、前記第2板ばね部より前記第1方向のばね定数が低く、
前記第1板ばね部を前記第1方向に押込み変形させるのに要する、この板ばね装置に加える前記第1方向の押込み荷重が、
前記第2板ばね部を前記第1方向に押込み変形させるのに要する、この板ばね装置に加える前記第1方向の押込み荷重より大きくなっている、板ばね装置。
【請求項2】
前記第1板ばね部を、前記第1方向に押込む押込み荷重を加えた状態に保持する保持部材を備えている、請求項1に記載の板ばね装置。
【請求項3】
前記第2板ばね部が前記第1方向に押込まれたときに、これ以上の前記第2板ばね部の前記第1方向の押込み変形を規制する規制部を備えている、請求項2に記載の板ばね装置。
【請求項4】
前記規制部が、前記第2板ばね部のこれ以上の前記第1方向の押込み変形を規制するときの、この板ばね装置に加えた前記第1方向の押込み荷重が、
前記第1板ばね部が、前記第1方向に押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置に加えた前記第1方向の押込み荷重以上となっている、請求項3に記載の板ばね装置。
【請求項5】
前記第1板ばね部および前記第2板ばね部は、前記第1方向に互いに逆向きに湾曲し、かつ前記頂部同士が前記第1方向に重なり合うように設けられ、
前記第2板ばね部の前記頂部と前記第2被押圧体との間に、前記規制部が設けられている、請求項3または4に記載の板ばね装置。
【請求項6】
前記保持部材は、
前記第1板ばね部と前記第1被押圧体との間に設けられた座板と、
前記規制部と前記座板とを前記第1方向に連結した連結部と、を備えている、請求項3から5のいずれか1項に記載の板ばね装置。
【請求項7】
前記第1板ばね部および前記第2板ばね部を、前記第1方向に互いに連結する連結部材を備えている、請求項1から6のいずれか1項に記載の板ばね装置。
【請求項8】
半導体積層ユニットと、請求項1から7のいずれか1項に記載の板ばね装置と、が、前記第1方向に並べられた状態で筐体に収容された電力変換装置であって、
前記半導体積層ユニットは、前記第1方向に交互に並べられた半導体モジュールおよび冷却管を少なくとも1つずつ備え、
前記第1被押圧体および前記第2被押圧体のうちのいずれか一方は、前記筐体となるとともに、いずれか他方は、前記半導体積層ユニットとなっている、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ばね装置および電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、第1方向で互いに対向する第1被押圧体と第2被押圧体との間に、第1被押圧体および第2被押圧体を、互いが第1方向に離反する向きに押圧可能に設けられ、第1方向に突となるように湾曲した板ばねが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の板ばねでは、加えられた第1方向の押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることが困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、加えられた第1方向の押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることができる板ばね装置および電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の板ばね装置は、第1方向で互いに対向する第1被押圧体と第2被押圧体との間に、前記第1方向に重ねられて設けられる第1板ばね部および第2板ばね部を備え、前記第1被押圧体に支持される前記第1板ばね部、および前記第2被押圧体に支持される前記第2板ばね部は、前記第1方向に突となる頂部を有するように湾曲し、前記第1板ばね部は、前記第2板ばね部より前記第1方向のばね定数が低く、前記第1板ばね部を前記第1方向に押込み変形させるのに要する、この板ばね装置に加える前記第1方向の押込み荷重が、前記第2板ばね部を前記第1方向に押込み変形させるのに要する、この板ばね装置に加える前記第1方向の押込み荷重より大きくなっている。
【0007】
第1方向に重ねられた第1板ばね部および第2板ばね部を備え、第1板ばね部の第1方向のばね定数が、第2板ばね部の第1方向のばね定数より低く、第1板ばね部を第1方向に押込み変形させるのに要する、この板ばね装置に加える第1方向の押込み荷重が、第2板ばね部を第1方向に押込み変形させるのに要する、この板ばね装置に加える第1方向の押込み荷重より大きくなっている。
したがって、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向のばね定数の高い第2板ばね部が押込み変形し、その後、第1方向のばね定数の低い第1板ばね部が押込み変形しはじめる。これにより、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることができる。
以上より、板ばね装置を、第1被押圧体と第2被押圧体との間に組み付けるときに板ばね装置に加える押込み荷重および押込み量を双方ともに低く抑えても、第1被押圧体および第2被押圧体に、第1方向に互いに離反させる向きの必要十分な大きさの荷重を容易に加えることができる。
すなわち、第1方向のばね定数の低い第1板ばね部を単体で用いる場合、第1被押圧体および第2被押圧体に必要十分な大きさの前述した荷重を加えようとすると、板ばね装置の組み付け時に、第1板ばね部を大きく押込み変形させて第1板ばね部に高い反力を生じさせる必要があり、この組み付けが困難になる。
また、例えば、第1方向のばね定数の高い第2板ばね部を、第1方向にこれ以上は押込み変形しない程度まで押込んだ状態で、板ばね装置を使用する場合、第1被押圧体および第2被押圧体が第1方向に相対的に接近移動したときに、第1板ばね部の低いばね定数が発現することとなり、第1被押圧体および第2被押圧体に加えられる第1方向の荷重変動を緩やかにすることができる。
【0008】
前記第1板ばね部を、前記第1方向に押込む押込み荷重を加えた状態に保持する保持部材を備えてもよい。
【0009】
第1板ばね部を押込み荷重を加えた状態に保持する保持部材を備えているので、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向のばね定数の高い第2板ばね部が押込み変形し、その後、第1板ばね部に、保持部材によって予め加えられている押込み荷重以上の押込み荷重が加えられると、第1方向のばね定数の低い第1板ばね部が押込み変形しはじめる。これにより、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることを確実に実現することができる。
【0010】
前記第2板ばね部が前記第1方向に押込まれたときに、これ以上の前記第2板ばね部の前記第1方向の押込み変形を規制する規制部を備えてもよい。
【0011】
第2板ばね部が第1方向に押込み変形したときに、これ以上の第2板ばね部の第1方向の押込み変形を規制する規制部を備えているので、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向のばね定数の高い第2板ばね部が押込み変形し、その後、これ以上の第2板ばね部の押込み変形が規制部により規制された状態で、第1方向のばね定数の低い第1板ばね部が押込み変形しはじめる。これにより、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることを確実に実現することができる。
【0012】
前記規制部が、前記第2板ばね部のこれ以上の前記第1方向の押込み変形を規制するときの、この板ばね装置に加えた前記第1方向の押込み荷重が、前記第1板ばね部が、前記第1方向に押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置に加えた前記第1方向の押込み荷重以上となってもよい。
【0013】
これにより、板ばね装置に加えた第1方向の押込み荷重を増大させる過程において、板ばね装置の第1方向の押込み変形が規制されることなく、板ばね装置が発現する第1方向のばね定数を円滑に切替えることができる。
【0014】
前記第1板ばね部および前記第2板ばね部は、前記第1方向に互いに逆向きに湾曲し、かつ前記頂部同士が前記第1方向に重なり合うように設けられ、前記第2板ばね部の前記頂部と前記第2被押圧体との間に、前記規制部が設けられてもよい。
【0015】
第1板ばね部および第2板ばね部が、第1方向に互いに逆向きに湾曲し、それぞれの前記頂部同士が第1方向に重なり合うように設けられているので、第2板ばね部の前記頂部と第2被押圧体との間に、広いスペースを容易に確保することが可能になり、この部分に設ける規制部の大きさに制約を生じさせにくくすることができる。したがって、規制部が、第2板ばね部のこれ以上の第1方向の押込み変形を規制するときの、この板ばね装置に加える第1方向の押込み荷重を容易に設定することができる。
【0016】
前記保持部材は、前記第1板ばね部と前記第1被押圧体との間に設けられた座板と、前記規制部と前記座板とを前記第1方向に連結した連結部と、を備えてもよい。
【0017】
保持部材が、規制部と座板とを連結する連結部を備えているので、部品点数を抑えることができるとともに、例えば、第1被押圧体に保持部材の係止部を設ける必要が無く、第1被押圧体は設計変更せずそのまま流用することができる。
連結部が、第1板ばね部と第1被押圧体との間に設けられた座板と、第2板ばね部の前記頂部と第2被押圧体との間に設けられた規制部と、を連結しているので、保持部材および規制部が、第1板ばね部および第2板ばね部を、第1方向に互いに連結する連結部材を兼ねることとなり、第1板ばね部および第2板ばね部の、第1方向に交差する方向への相対変位が抑えられ、板ばね装置に加えられた第1方向の押込み荷重に対して板ばね装置が発揮する特性を安定させることができる。
【0018】
前記第1板ばね部および前記第2板ばね部を、前記第1方向に互いに連結する連結部材を備えてもよい。
【0019】
第1板ばね部および第2板ばね部を、第1方向に互いに連結する連結部材を備えているので、第1板ばね部および第2板ばね部の、第1方向に交差する方向への相対変位を抑えることが可能になり、板ばね装置に加えられた第1方向の押込み荷重に対して板ばね装置が発揮する特性を安定させることができる。
【0020】
本発明の電力変換装置は、半導体積層ユニットと、本発明の板ばね装置と、が、前記第1方向に並べられた状態で筐体に収容された電力変換装置であって、前記半導体積層ユニットは、前記第1方向に交互に並べられた半導体モジュールおよび冷却管を少なくとも1つずつ備え、前記第1被押圧体および前記第2被押圧体のうちのいずれか一方は、前記筐体となるとともに、いずれか他方は、前記半導体積層ユニットとなっている。
【0021】
板ばね装置を、筐体と半導体積層ユニットとの間に組み付けるときに板ばね装置に加える押込み荷重および押込み量を双方ともに、第1方向のばね定数の低い第1板ばね部を単体で用いる場合と比べて低く抑えても、筐体および半導体積層ユニットに、第1方向に互いに離反させる向きの必要十分な大きさの荷重を容易に加えることができる。
また、例えば、第1方向のばね定数の高い第2板ばね部を、第1方向にこれ以上は押込み変形しない程度まで押込んだ状態で、板ばね装置を使用する場合、筐体および半導体積層ユニットが第1方向に相対的に接近移動したときに、第1板ばね部の低いばね定数が発現することとなり、筐体および半導体積層ユニットに生ずる第1方向の荷重変動を緩やかにすることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、板ばね装置に加えられた第1方向の押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態の電力変換装置の縦断面図である。
【
図2A】第1実施形態の板ばね装置の縦断面図である。
【
図2C】
図2Aにおいて、規制部がこれ以上の第2板ばね部の第1方向の押込み変形を規制している状態を示す図である。
【
図2D】
図2Aにおいて、第1板ばね部が第1方向に押込み変形している状態を示す図である。
【
図3】第2実施形態の板ばね装置の縦断面図である。
【
図4A】第3実施形態の板ばね装置の縦断面図である。
【
図5A】第4実施形態の板ばね装置の縦断面図である。
【
図6】第5実施形態の板ばね装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、板ばね装置1および電力変換装置10の一実施形態を、
図1および
図2A~
図2Dを参照しながら説明する。
電力変換装置10は、半導体積層ユニット101と、板ばね装置1と、が、第1方向Zに並べられた状態で筐体102に収容されて構成され、例えば、電気自動車用の走行モータに供給する駆動電流を生成する。図示の例では、半導体積層ユニット101と板ばね装置1との間に、平板状の当接板106が設けられている。
【0025】
半導体積層ユニット101は、第1方向Zに交互に並べられた半導体モジュール103および冷却管104を複数ずつ備えている。なお、半導体モジュール103および冷却管104は、1つずつ設けられてもよいし、互いの数量を異ならせて設けられてもよい。
【0026】
半導体モジュール103は、第1方向Zに間隔をあけて設けられた一対の放熱板と、電力供給用のIGBT素子と、走行モータを円滑に駆動させるためのフライホイールダイオード素子と、封止材と、を備えている。なお、半導体モジュール103は、適宜変更してもよい。
IGBT素子およびフライホイールダイオード素子は、一対の放熱板間に設けられている。封止材は、樹脂材料で形成され、放熱板を露出させた状態で、一対の放熱板同士を連結し、かつIGBT素子およびフライホイールダイオード素子を封止している。
図示の例では、半導体モジュール103は、第1方向Zで互いに隣り合う冷却管104同士の間に、第1方向Zに直交する第2方向Xに間隔をあけて複数設けられている。
【0027】
冷却管104は、第1方向Zに潰れた扁平形状に形成されている。冷却管104内に冷媒が流通する。複数の冷却管104内は、第1方向Zに延びる連結管105を通して互いに連通している。連結管105は、第2方向Xに間隔をあけて複数設けられている。複数の連結管105のうちの1つに、供給部から冷媒が供給され、他の1つから冷媒が供給部に向けて排出される。冷却管104は、板ばね装置1からの第1方向Zの押付荷重により、半導体モジュール103の放熱板に押し当てられている。
【0028】
板ばね装置1は、第1方向Zで互いに対向する半導体積層ユニット101と筐体102の内面との間に1つ設けられている。なお、板ばね装置1は、第2方向Xに間隔をあけて複数設けられてもよい。
板ばね装置1は、第1方向Zに重ねられて設けられた第1板ばね部11および第2板ばね部12を備えている。第1板ばね部11および第2板ばね部12は、第1方向Zに突となる頂部を有するように湾曲している。
【0029】
図示の例では、第1板ばね部11および第2板ばね部12は、第1方向Zから見て、第2方向Xに直交する第3方向Yに延びる短辺を有し、かつ第2方向Xに延びる長辺を有する長方形状を呈する板体となっている。前記頂部は、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれにおける第2方向Xの中央部に形成されている。
【0030】
なお、前記頂部は、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれにおける第2方向Xの中央部から第2方向Xに離れた位置に形成されてもよい。第1方向Zから見て、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの長辺が延びる各向きを互いに異ならせてもよい。
【0031】
第1板ばね部11および第2板ばね部12は、第1方向Zに互いに逆向きに湾曲し、かつ前記頂部同士が第1方向Zに重なり合うように設けられている。
【0032】
なお、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの前記頂部同士は、溶接、若しくは接着等されて固定されてもよい。
また、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの前記頂部同士は、第1板ばね部11および第2板ばね部12のうち、いずれか一方の前記頂部における第3方向Yの両端部が、いずれか他方の前記頂部における第3方向Yの両端部に巻締られて固定されてもよい。
また、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの前記頂部の、互いに当接する表面を平坦に形成してもよい。
【0033】
図示の例では、第1板ばね部11が、後述する座板14を介して筐体(第1被押圧体)102に支持され、第2板ばね部12が、当接板106を介して半導体積層ユニット(第2被押圧体)101に支持されている。第1板ばね部11の前記頂部は、第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側に向けて膨出し、第2板ばね部12の前記頂部は、第1方向Zに沿う筐体102側に向けて膨出している。第1板ばね部11における第2方向Xの両端部は、後述する座板14に摺動可能に当接している。第2板ばね部12における第2方向Xの両端部は、当接板106に摺動可能に当接している。
【0034】
第1板ばね部11の第1方向Zのばね定数は、第2板ばね部12の第1方向Zのばね定数より低くなっている。
図2Aおよび
図2Bに示されるような、電力変換装置10に組み付けられる前では、第1板ばね部11を第1方向Zに押込み変形させるのに要する、この板ばね装置1に加える第1方向Zの押込み荷重が、第2板ばね部12を第1方向Zに押込み変形させるのに要する、この板ばね装置1に加える第1方向Zの押込み荷重より大きくなっている。
第1板ばね部11および第2板ばね部12は、第1方向Zに押込み変形すると、第2方向Xに延び、かつ第1方向Zに縮小する向き、つまり平坦になる向きに弾性変形する。
【0035】
本実施形態では、第2板ばね部12が第1方向Zに押込まれたときに、これ以上の第2板ばね部12の第1方向Zの押込み変形を規制する規制部13を備えている。
【0036】
規制部13は、第2板ばね部12の前記頂部と、当接板106(半導体積層ユニット101)と、の間に設けられている。規制部13は、第2板ばね部12の前記頂部に取付けられている。規制部13は、
図1および
図2Cに示されるように、当接板106に当接若しくは近接している。規制部13は、板ばね装置1が電力変換装置10に組み付けられる前は、
図2Aおよび
図2Bに示されるように、第2板ばね部12における第2方向Xの両端部よりも第1方向Zに沿う筐体102側、つまり当接板106から第1方向Zに離れる位置に位置している。規制部13は、表裏面が第1方向Zを向く板状に形成されている。規制部13が、第2板ばね部12の前記頂部、および当接板106に第1方向Zに挟まれて当接することで、これ以上の第2板ばね部12の第1方向Zの押込み変形が規制される。
【0037】
規制部13が、
図2Cに示されるように、第2板ばね部12のこれ以上の第1方向Zの押込み変形を規制するときの、この板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重が、第1板ばね部11が、第1方向Zに押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重以上となっている。
本実施形態では、前者の押込み荷重が、後者の押込み荷重と同じになっている。
【0038】
板ばね装置1が電力変換装置10に組み付けられる前から、第1板ばね部11を、第1方向Zに押込む押込み荷重を加えた状態に保持する保持部材16を備えている。図示の例では、保持部材16は、座板14と連結部15とを備えている。
【0039】
座板14は、表裏面が第1方向Zを向く平板とされ、第1板ばね部11と筐体102との間に設けられている。座板14は、第1板ばね部11における第2方向Xの両端部を摺動可能に支持している。
連結部15は、規制部13と座板14とを第1方向Zに連結している。連結部15は、第1板ばね部11および第2板ばね部12を第1方向Zに一体に貫いている。第1板ばね部11および第2板ばね部12は、連結部15に第1方向Zに移動自在に設けられている。
【0040】
連結部15に、第1方向Zの引張力が加えられている。これにより、第1板ばね部11に第1方向Zの押込み荷重が加えられ、第1板ばね部11における第2方向Xの両端部が座板14に圧接した状態で、第1板ばね部11は、第2方向Xに延び、かつ第1方向Zに縮小する向きに弾性変形している。つまり、第1板ばね部11が第1方向Zに押込み変形した状態に保持される。連結部15に加える第1方向Zの引張力を変えることで、第1板ばね部11が、第1方向Zに押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置1に加える第1方向Zの押込み荷重を調整することができる。
【0041】
図示の例では、座板14のうち、第1方向Zに沿う筐体102側を向く表面に凹部が形成されている。凹部内に平板14aが収容されている。凹部内に、連結部15が座板14を第1方向Zに貫いて進入し、平板14aに連結されている。なお、平板14aは、座板14と一体に形成されてもよい。
連結部15は、第1板ばね部11に第1方向Zの押込み荷重を加えた状態に保持可能な引張強度を有し、かつ板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、第1板ばね部11および第2板ばね部12の押込み変形に影響しない、または影響の小さい変形しやすい、例えばワイヤ等で構成されている。
なお、連結部として変形しにくい剛体ピン等を採用し、筐体102に、連結部および平板14aが第1方向Zに進入可能な窪み部を設けてもよい。
【0042】
連結部15が、第1板ばね部11と筐体102との間に設けられた座板14と、第2板ばね部12の前記頂部と当接板106との間に設けられた規制部13と、を連結しているので、保持部材16および規制部13が、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの前記頂部同士を、第1方向Zに互いに連結する連結部材17を兼ねている。
なお、連結部材17(保持部材16および規制部13)を、例えば第3方向Yに間隔をあけて複数設けてもよい。
【0043】
板ばね装置1は、
図2Aおよび
図2Bに示されるような、電力変換装置10に組み付けられる前では、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向Zの押込み荷重が当初は加えられていない、第1方向Zのばね定数の高い第2板ばね部12が押込み変形し、その後、保持部材16により第1方向Zの押込み荷重が当初から加えられている、第1方向Zのばね定数の低い第1板ばね部11が押込み変形しはじめる。
【0044】
この際、本実施形態では、規制部13が、
図2Cに示されるように、第2板ばね部12のこれ以上の第1方向Zの押込み変形を規制するときの、この板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重が、第1板ばね部11が、第1方向Zに押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重と同じになっている。したがって、規制部13が、これ以上の第2板ばね部12の押込み変形を規制するのとほぼ同時に、第1板ばね部11には、保持部材16により予め加えられている押込み荷重以上の押込み荷重が加えられて、第1板ばね部11が押込み変形しはじめる。第1板ばね部11が押込み変形するのに伴い、
図2Dに示されるように、連結部15が変形する。
【0045】
図1および
図2Cに示されるように、板ばね装置1が電力変換装置10に組み付けられた状態では、第2板ばね部12が第1方向Zに押込まれていることにより、規制部13が当接板106に当接若しくは近接する一方、第1板ばね部11には、保持部材16により予め加えられている押込み荷重以外の荷重は加えられていない。
なお、板ばね装置1が電力変換装置10に組み付けられた状態で、規制部13は当接板106から第1方向Zに離れていてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態による板ばね装置1によれば、第1方向Zに重ねられた第1板ばね部11および第2板ばね部12を備え、第1板ばね部11の第1方向Zのばね定数が、第2板ばね部12の第1方向Zのばね定数より低く、第1板ばね部11を第1方向Zに押込み変形させるのに要する、この板ばね装置1に加える第1方向Zの押込み荷重が、第2板ばね部12を第1方向Zに押込み変形させるのに要する、この板ばね装置1に加える第1方向Zの押込み荷重より大きくなっている。
【0047】
したがって、板ばね装置1が、
図2Aおよび
図2Bに示されるような、電力変換装置10に組み付けられる前(以下、板ばね装置1単体という)では、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向Zのばね定数の高い第2板ばね部12が押込み変形し、その後、第1方向Zのばね定数の低い第1板ばね部11が押込み変形しはじめる。これにより、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることができる。
【0048】
以上より、板ばね装置1を、筐体102と半導体積層ユニット101との間に組み付けるときに板ばね装置1に加える押込み荷重および押込み量を双方ともに、第1方向Zのばね定数の低い第1板ばね部11を単体で用いる場合と比べて低く抑えても、筐体102および半導体積層ユニット101に、第1方向Zに互いに離反させる向きの必要十分な大きさの荷重を容易に加えることができる。
すなわち、第1方向Zのばね定数の低い第1板ばね部11を単体で用いる場合、筐体102および半導体積層ユニット101に必要十分な大きさの前述した荷重を加えようとすると、板ばね装置1の組み付け時に、第1板ばね部11を大きく押込み変形させて第1板ばね部11に高い反力を生じさせる必要があり、この組み付けが困難になる。
【0049】
また、例えば、第1方向Zのばね定数の高い第2板ばね部12を、第1方向Zにこれ以上は押込み変形しない程度まで押込んだ状態で、板ばね装置1を使用する場合、筐体102および半導体積層ユニット101が、例えば半導体モジュール103の熱膨張等に起因して、第1方向Zに相対的に接近移動したときに、第1板ばね部11の低いばね定数が発現することとなり、筐体102および半導体積層ユニット101に生ずる第1方向Zの荷重変動を緩やかにすることができる。
【0050】
第1板ばね部11を押込み荷重を加えた状態に保持する保持部材16を備えているので、板ばね装置1単体では、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向Zのばね定数の高い第2板ばね部12が押込み変形し、その後、第1板ばね部11に、保持部材16によって予め加えられている押込み荷重以上の押込み荷重が加えられると、第1方向Zのばね定数の低い第1板ばね部11が押込み変形しはじめる。これにより、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることを確実に実現することができる。
【0051】
第2板ばね部12が第1方向Zに押込み変形したときに、これ以上の第2板ばね部12の第1方向Zの押込み変形を規制する規制部13を備えているので、板ばね装置1単体では、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、まず、第1方向Zのばね定数の高い第2板ばね部12が押込み変形し、その後、これ以上の第2板ばね部12の押込み変形が規制部13により規制された状態で、第1方向Zのばね定数の低い第1板ばね部11が押込み変形しはじめる。これにより、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすることを確実に実現することができる。
【0052】
規制部13が、第2板ばね部12のこれ以上の第1方向Zの押込み変形を規制するときの、この板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重が、第1板ばね部11が、第1方向Zに押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重以上となっている。
したがって、板ばね装置1単体で、板ばね装置1に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、板ばね装置1の第1方向Zの押込み変形が規制されることなく、板ばね装置1が発現する第1方向Zのばね定数を円滑に切替えることができる。
【0053】
第1板ばね部11および第2板ばね部12が、第1方向Zに互いに逆向きに湾曲し、それぞれの前記頂部同士が第1方向Zに重なり合うように設けられているので、第2板ばね部12の前記頂部と当接板106(半導体積層ユニット101)との間に、広いスペースを容易に確保することが可能になり、この部分に設ける規制部13の大きさに制約を生じさせにくくすることができる。したがって、規制部13が、第2板ばね部12のこれ以上の第1方向Zの押込み変形を規制するときの、この板ばね装置1に加える第1方向Zの押込み荷重を容易に設定することができる。
【0054】
保持部材16が、規制部13と座板14とを連結する連結部15を備えているので、部品点数を抑えることができるとともに、例えば、筐体102に保持部材16の係止部を設ける必要が無く、筐体102は設計変更せずそのまま流用することができる。
【0055】
連結部15が、第1板ばね部11と筐体102との間に設けられた座板14と、第2板ばね部12の前記頂部と当接板106との間に設けられた規制部13と、を連結しているので、保持部材16および規制部13が、第1板ばね部11および第2板ばね部12を、第1方向Zに互いに連結する連結部材17を兼ねることとなり、第1板ばね部11および第2板ばね部12の、第1方向Zに交差する方向への相対変位が抑えられ、板ばね装置1に加えられた第1方向Zの押込み荷重に対して板ばね装置1が発揮する特性を安定させることができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態に係る板ばね装置2を、
図3を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
本実施形態の板ばね装置2では、第2板ばね部12が第1方向Zに押込まれたときに、これ以上の第2板ばね部12の第1方向Zの押込み変形を規制する規制部23が、第1板ばね部11および第2板ばね部12を一体に第1方向Zに貫いている。規制部23は、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの前記頂部を第1方向Zに挟んでいる。規制部23は、第1板ばね部11および第2板ばね部12を、第1方向Zに互いに連結する連結部材17を兼ねている。規制部23はリベットとなっている。
【0058】
以上説明したように、本実施形態による板ばね装置2によれば、第1実施形態の板ばね装置1と同様に、加えられた第1方向Zの押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすること等ができる。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態に係る板ばね装置3を、
図4Aおよび
図4Bを参照しながら説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0060】
本実施形態の板ばね装置3では、第1板ばね部11を、第1方向Zに押込む押込み荷重を加えた状態に保持する保持部材36が、座板14と係止部36aとを備え、連結部15および平板14aが設けられていない。
【0061】
第1板ばね部11の第3方向Yの両端部は、第2板ばね部12の第3方向Yの両端部より第3方向Yの外側に張り出している。
係止部36aは、座板14において、第1板ばね部11および第2板ばね部12より第3方向Yの外側に位置する各部分から第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側に向けて突出し、第1板ばね部11の前記頂部における第3方向Yの両端部を各別に係止している。係止部36aは、座板14と一体に形成されている。係止部36aにおける第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側の先端部36bは、第3方向Yの内側に向けて突出し、第1板ばね部11の前記頂部における第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側を向く表面に当接している。第3方向Yで互いに対向する一対の係止部36aの先端部36b同士の間隔は、半導体積層ユニット101の第3方向Yの大きさより大きくなっている。半導体積層ユニット101は、第1方向Zに移動するのに伴い、一対の係止部36aにおける先端部36b同士の間に対して進退するように設けられている。
【0062】
なお、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの第3方向Yの大きさを互いに同じにし、第1板ばね部11および第2板ばね部12それぞれの第3方向Yの中央部の位置を一致させてもよい。
係止部36aの先端部36bを、第2板ばね部12の前記頂部における第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側を向く表面に当接させてもよい。
係止部36aは、座板14と別体であってもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態による板ばね装置3によれば、第1実施形態の板ばね装置1と同様に、加えられた第1方向Zの押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすること等ができる。
【0064】
次に、本発明の第4実施形態に係る板ばね装置4を、
図5Aおよび
図5Bを参照しながら説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0065】
本実施形態の板ばね装置4では、第2板ばね部42が、第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側に向けて膨出し、第1板ばね部11および第2板ばね部42が、第1方向Zの同じ向きに湾曲している。第3方向Yから見て、第1板ばね部11の曲率半径は、第2板ばね部42の曲率半径より大きくなっている。第1板ばね部11の前記頂部は、第2板ばね部12の前記頂部と第1方向Zで対向している。第2板ばね部42における第2方向Xの両端部は、第1板ばね部11のうちの第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側を向く表面に摺動可能に当接している。第2板ばね部42の前記頂部が、当接板106を介して半導体積層ユニット101に支持される。
【0066】
規制部13は、第1板ばね部11の前記頂部と、第2板ばね部42の前記頂部と、の間に設けられている。規制部13は、第1板ばね部11の前記頂部に取付けられている。規制部13は、板ばね装置1が電力変換装置10に組み付けられる前は、第2板ばね部12の前記頂部から第1方向Zに離れている。第2板ばね部42が第1方向Zに押込まれ、規制部13が第2板ばね部42の前記頂部に当接したときに、これ以上の第2板ばね部12の第1方向Zの押込み変形が規制される。
【0067】
第1板ばね部11および第2板ばね部42を、第1方向Zに互いに連結する連結部材47が、規制部13を第3方向Yに挟む両側に設けられている。
連結部材47は、第1板ばね部11のうち、第1方向Zに沿う筐体102側を向く表面に設けられた第1平板47aと、第2板ばね部42のうち、第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側を向く表面側に設けられた第2平板47bと、第1平板47aおよび第2平板47bを第1方向Zに互いに連結する連結部47cと、を備えている。
【0068】
第2板ばね部42のうち、第1方向Zに沿う半導体積層ユニット101側を向く表面に、第2平板47bが収容された凹部が形成されている。
連結部47cは、第1板ばね部11および第2板ばね部42それぞれの前記頂部を、第1方向Zに貫いている。連結部47cは、変形可能に形成された例えばワイヤ等で構成されている。連結部47cに、第1板ばね部11および第2板ばね部42が、第1方向Zに移動自在に設けられている。連結部47cには、第1方向Zの引張力が加えられておらず、連結部材47は、第2板ばね部42を第1方向Zに押込み変形させていない。
【0069】
なお、連結部材47として、板ばね装置4における第3方向Yの中央部に設けられ、第1平板47aを有さず、連結部47cが第2平板47bと規制部13とを第1方向Zに連結した構成を採用してもよい。
連結部材47は設けなくてもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施形態による板ばね装置4によれば、第1実施形態の板ばね装置1と同様に、加えられた第1方向Zの押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすること等ができる。
【0071】
次に、本発明の第5実施形態に係る板ばね装置5を、
図6を参照しながら説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0072】
本実施形態の板ばね装置5では、連結部材47が設けられておらず、第2板ばね部52の前記頂部に、第2板ばね部52が第1方向Zに押込まれたときに規制部13が進入する凹部52aが形成されている。凹部52aは、第2板ばね部52を第1方向Zに貫通している。なお、凹部52aは、第2板ばね部52を第1方向Zに貫通しなくてもよい。
第2板ばね部52が第1方向Zに押込まれたときに、規制部13が凹部52aに進入し、かつ第2板ばね部52が、当接板106、および第1板ばね部11の前記頂部の双方に当接することで、これ以上の第2板ばね部52の第1方向Zの押込み変形が規制される。
【0073】
なお、第2板ばね部52が第1方向Zに押込まれたときに、規制部13が、凹部52aに進入して当接板106に当接することで、これ以上の第2板ばね部52の第1方向Zの押込み変形が規制される構成を採用してもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態による板ばね装置5によれば、第1実施形態の板ばね装置1と同様に、加えられた第1方向Zの押込み荷重が増大する過程において、発現するばね定数を、小さい変位時に高くし、かつ大きい変位時に低くすること等ができる。
【0075】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0076】
例えば、板ばね装置1~5は、電力変換装置10に限らず他の装置に適用してもよい。
第1板ばね部11が、当接板106を介して半導体積層ユニット101に支持され、第2板ばね部12、42、52が、筐体102に支持されてもよい。
【0077】
規制部13、23が、第2板ばね部12、42、52のこれ以上の第1方向Zの押込み変形を規制するときと、第1板ばね部11が、第1方向Zに押込み変形しはじめるときと、でこの板ばね装置1~5に加える第1方向Zの押込み荷重を互いに異ならせてもよい。
すなわち、規制部13、23が、第2板ばね部12、42、52のこれ以上の第1方向Zの押込み変形を規制するときの、この板ばね装置1~5に加えた第1方向Zの押込み荷重を、第1板ばね部11が、第1方向Zに押込み変形しはじめるときの、この板ばね装置1~5に加える第1方向Zの押込み荷重より大きくしてもよいし、小さくしてもよい。
前者の前記押込み荷重が、後者の前記押込み荷重より大きい場合、組み付け前の単体の板ばね装置1~5に加えた第1方向Zの押込み荷重を増大させる過程において、板ばね装置1~5の第1方向Zの押込み変形が規制されることなく、第2板ばね部12、42、52のばね定数と、第1板ばね部11および第2板ばね部12、42、52それぞれのばね定数より低いばね定数と、第1板ばね部11のばね定数と、がこの順に発現する。
【0078】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態、および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、2、3、4、5 板ばね装置
10 電力変換装置
11 第1板ばね部
12、42、52 第2板ばね部
13、23 規制部
14 座板
15 連結部
16、36 保持部材
17、47 連結部材
101 半導体積層ユニット(第2被押圧体)
102 筐体(第1被押圧体)
103 半導体モジュール
104 冷却管
Z 第1方向