(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】塩基性アミン及びイオン対化剤を含む経口製品
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20250527BHJP
A24B 15/32 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/32
(21)【出願番号】P 2022515858
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2020050219
(87)【国際公開番号】W WO2021050741
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-01
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プール,トーマス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,ブライアン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】モルドベアヌ,セルバン・シー
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/005889(WO,A1)
【文献】特表2014-526278(JP,A)
【文献】特表2017-523133(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063423(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 13/00
A24B 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口使用のために構成された組成物であって、
少なくとも1つの充填剤、
塩基性アミン、
水、及び
有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はそれらの組み合わせ、ただし前記有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する、
を含み、
前記塩基性アミンの少なくとも一部は、前記有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合し、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、前記塩基性アミンと前記有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態である
、組成物。
【請求項2】
有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解度増強剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
溶解度増強剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミンに対して約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5~約10、約15、又は約20モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミンに対して約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、又はそれらのいずれかの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
有機酸がオクタン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
有機酸及び前記有機酸のナトリウム塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
有機酸のナトリウム塩に対する前記有機酸の比が約0.1~約10である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
組成物のpHが約4.0~約9.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
組成物のpHが約4.5~約7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
組成物のpHが約5.5~約7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
組成物のpHが約4.0~約5.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
組成物のpHが約7.0~約9.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
塩基性アミンがニコチンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ニコチンが、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に基づいて、前記組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項
20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの充填剤がセルロース材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
セルロース材料が微結晶セルロースを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの充填剤が、組成物の総重量に基づいて、重量で約1%~約3%の量のセルロース誘導体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
約10~約50%の少なくとも1つの充填剤、及び
組成物の総重量に基づき、約5~約60重量%の水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
1つ以上の有効成分、1つ以上の香味剤、1つ以上の塩、1つ以上の甘味料、1つ以上の結合剤、1つ以上の保湿剤、1つ以上のガム、タバコ用材料、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
栄養補助食品、植物由来薬、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、及びカンナビノイドからなる群から選択される1つ以上の有効成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
組成物の総重量に基づいて、存在するいずれのニコチン成分をも除いて、約10重量%以下のタバコ用材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
組成物がタバコ用材料を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
パウチに封入されてパウチ製品を形成し、組成物が任意選択に粒状形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
経口使用のために構成された組成物の安定性を高める方法であって、前
記組成物は、
少なくとも1つの充填剤、
塩基性アミン、
水、及び
有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ、ただし前記有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する、
を含み、前記方法は、
前記少なくとも1つの充填剤を、前記水、前記塩基性アミン、及び前記有機酸、前記有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して、前記組成物を形成することであって、前記塩基性アミンの少なくとも一部が、前記有機酸又はその前記アルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、前記塩基性アミンと前記有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態であり、前記組成物のpHが約8未満である、前記組成物を形成することを含む、方法。
【請求項33】
有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有し、方法が溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
組成物のpHを約7.0未満のpHに調整することをさらに含み、前記pHを調整することが、有機酸、鉱酸、又はその両方を前記組成物に添加し、約7.0未満の前記pHをもたらすことを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
安定性を高めることが、約8を超えるpHを有する経口使用のために構成された組成物と比較して、保存期間にわたって組成物からの塩基性アミンの蒸発での損失を減少させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
保存期間が、調製後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月又は1年のうちの1つ以上である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
塩基性アミンの損失が、6ヶ月の保存期間後に約5%未満である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
塩基性アミンがニコチンである、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
経口使用のために構成された組成物からの塩基性アミンの予測される経口粘膜吸収を増強する方法であって、前記組成物は、
少なくとも1つの充填剤、
塩基性アミン、
水、及び
有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ、ただし前記有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する、
を含み、前記方法は、
前記少なくとも1つの充填剤を、前記水、前記塩基性アミン、及び前記有機酸、前記有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して、前記組成物を形成することであって、前記塩基性アミンの少なくとも一部が、前記有機酸又はその前記アルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、前記会合が、塩基性アミン-有機酸塩の形態であり、前記塩基性アミンと前記有機酸の共役塩基との間のイオン対であるか、又はその両方の形態である、前記組成物を形成することを含む、方法。
【請求項42】
有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有し、方法が溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
組成物のpHを約4.0~約7.0のpHに調整することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
pHを調整することが、組成物に鉱酸を添加することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
塩基性アミンがニコチンである、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
予測される経口粘膜吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む組成物に対して透過した全ニコチンの割合を増加させることを含み、前記有機酸のlogP値は約1.4未満である、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトでの使用を意図した組成物に関する。組成物は、経口使用に適合し、使用中にニコチン、香味料、及び/又は有効成分などの物質を送達する。そのような組成物は、タバコ又はタバコ由来の生成物を含んでもよく、又はタバコを含まない代替物であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」の形態で堪能することができる。特に一般的な無煙タバコ製品は、何らかの形態の加工タバコ又はタバコ含有配合物を使用者の口に挿入することによって使用される。そのような無煙タバコ製品の従来の形式には、湿った嗅ぎタバコ、スヌース、及び噛みタバコが含まれ、これらは通常、ほぼ完全な微粒子状、粒状、又は刻みタバコから形成され、使用者によって分割されるか、又は1回分のパウチ又はサシェなどの個別の分割量で使用者に提示される。無煙製品の他の従来型の形態には、プラグ、錠剤又はペレットなどの圧縮又は凝集形態が含まれる。タバコ含有ガム及びタバコと他の植物材料との混合物などの代替的な製品の形態も知られている。例えば、Schwartzに対する米国特許第1,376,586号明細書、Pittmanらに対する第4,513,756号明細書、Sensabaugh,Jr.らに対する第4,528,993号明細書、Storyらに対する第4,624,269号明細書、Tibbettsに対する第4,991,599号明細書、Townsendに対する第4,987,907号明細書、Sprinkle,IIIらに対する第5,092,352号明細書、Whiteらに対する第5,387,416号明細書、Williamsに対する第6,668,839号明細書、Williamsに対する第6,834,654号明細書、Atchleyらに対する第6,953,040号明細書、Atchleyらに対する第7,032,601号明細書、Atchleyらに対する第7,694,686号明細書、Williamsに対する米国特許出願公開第2004/0020503号明細書、Quinterらに対する第2005/0115580号明細書、Stricklandらに対する第2006/0191548号明細書、Holton,Jr.らに対する第2007/0062549号明細書、Holton,Jr.らに対する第2007/0186941号明細書、Stricklandらに対する第2007/0186942号明細書、Dubeらに対する第2008/0029110号明細書、Robinsonらに対する第2008/0029116号明細書、Robinsonらに対する第2008/0173317号明細書、Neilsenらに対する第2008/0209586号明細書、Essenらに対する第2009/0065013号明細書及びAtchleyに対する第2010/0282267号明細書並びにArnarpらに対する国際公開第2004/095959号パンフレットに記載されている無煙タバコ配合物、成分、及び加工方法の種類を参照されたい。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
タバコ用材料を様々な結合剤及び充填剤と組み合わせる無煙タバコ製品の構成が、より最近になって提案されており、ロゼンジ、トローチ、ゲル、押出形物などを含む例示的な製品の形態を有する。例えば、Engstromらに対する米国特許出願公開第2008/0196730号明細書、Crawfordらに対する第2008/0305216号明細書、Kumarらに対する第2009/0293889号明細書、Gaoらに対する第2010/0291245号明細書、Muaらに対する第2011/0139164号明細書、Cantrellらに対する第2012/0037175号明細書、Huntらに対する第2012/0055494号明細書、Cantrellらに対する第2012/0138073号明細書、Cantrellらに対する第2012/0138074号明細書、Holton,Jr.に対する第2013/0074855号明細書、Holton,Jr.に対する第2013/0074856号明細書、Muaらに対する第2013/0152953号明細書、Jacksonらに対する第2013/0274296号明細書、Moldoveanuらに対する第2015/0068545号明細書、Marshallらに対する第2015/0101627号明細書及びLampeらに対する第2015/0230515号明細書に記載されている製品の種類を参照されたい。これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第1,376,586号明細書
【文献】米国特許第4,513,756号明細書
【文献】米国特許第4,528,993号明細書
【文献】米国特許第4,624,269号明細書
【文献】米国特許第4,991,599号明細書
【文献】米国特許第4,987,907号明細書
【文献】米国特許第5,092,352号明細書
【文献】米国特許第5,387,416号明細書
【文献】米国特許第6,668,839号明細書
【文献】米国特許第6,834,654号明細書
【文献】米国特許第6,953,040号明細書
【文献】米国特許第7,032,601号明細書
【文献】米国特許第7,694,686号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0282267号明細書
【文献】国際公開第2004/095959号
【文献】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一般に、経口使用のために構成された組成物を提供する。組成物は、1つ以上の充填剤、水、有機酸又はその塩及び塩基性アミンを含む。有機酸は、約0~約8のlogP値を有し、塩基性アミン及び有機酸又はその塩の少なくとも一部は塩の形態で存在する。
【0006】
経口ニコチン製品は、頬と歯肉との間にニコチン含有母材を配置することによって使用される。次いで、ニコチンは製品から放出され、口腔粘膜を通して吸収され、それによって血流に入り、そこで全身に循環させる。香味安定性及び肯定的な感覚属性は、消費者が受け入れることのできる経口ニコチン製品にとって、重要な要素である。香味の感覚刺激的影響は、製品のpHに対して特に敏感であることが示されている。製品のpHが約7.0を超える場合は、いくつかの香味料の視覚、香り、及び味の影響は時間と共に劣化し、ニコチンは製品から蒸発する可能性がある。この不安定性は、エチルバニリン、石灰及びシナモンなどの特定の香味料について特に顕著であり、これはまた、時間と共に他の場合には白色の製品の暗色化を引き起こす。しかし、pHの低下は、プロトン化の形態で存在するニコチンの程度を増加させる。二塩基性アルカロイドとして、ニコチンは2つのプロトン(ピリジン環窒素、logKa1=3.41、ピロリジン環窒素、logKa2=8.02)を受容することができ、極性を著しく変化させる。ニコチンの全体的な極性は、log(P)=1.09(非プロトン化ニコチン)から-2.07(ピロリジン環窒素でプロトン化されたニコチンの場合)に増加する。膜(例えば、粘膜)を越えるニコチンなどの物質の受動的拡散は、分子極性及び膜の特性、並びに分子サイズ及びイオン化の関数である(Kokate et al.,PharmSciTech 2008,9,501-504)。
【0007】
理論に束縛されることを望むものではないが、プロトン化の状態の結果としてのlog(P)の下方シフトが、pHの低下によるニコチン吸収の減少の背後にある主な推進力であると考えられる。(Nair et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences 1997,86,257-262;Chen et al.,International Journal of Pharmaceutics 1999,184,63-72;Adrian et al.,International Journal of Pharmaceutics 2006,311,196-202).具体的には、Adrianらに報告されているように、pH=6のニコチン溶液(ニコチンが主にモノプロトン化されている場合)では、灌流セルにおいてヒトの頬側の組織を越えるいくらかの拡散が依然として存在したが、pH8.1のニコチン溶液と比較して比率が大幅に低下した(約7倍)。
【0008】
驚くべきことに、本開示によれば、特定の非極性又は親油性有機酸又はその塩の存在は、極性有機酸を含む経口使用のために構成された組成物と比較して、組成物の安定性を高め、経口使用のために構成された組成物における経口吸収に関するニコチンの利用可能性を高めることが見出された。したがって、一態様では、本開示は、経口使用のために構成された組成物であって、少なくとも1つの充填剤、塩基性アミン、水、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はそれらの組み合わせを含み、ここで、有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合し、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態である組成物を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、有機酸は、約1.4~約4.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、有機酸は、約2.5~約3.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解度増強剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶解度増強剤がグリセロール又はプロピレングリコールである。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物は、アミン遊離塩基として計算した、塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5~約10、約15、又は約20モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算した、ニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5~約10、約15、又は約20モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算した、ニコチン成分に対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はそれらのいずれかの組み合わせである。
【0013】
いくつかの実施形態では、有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、有機酸はオクタン酸である。いくつかの実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態では、有機酸のナトリウム塩に対する有機酸の比が約0.1~約10である。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム又はそれらの組み合わせを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物のpHは、約4.0~約9.0である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、約4.5~約7である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、約5.5~約7である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、約4.0~約5.5である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、約7.0~約9.0である。
【0017】
いくつかの実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。いくつかの実施形態では、ニコチンが、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの充填剤がセルロース材料を含む。いくつかの実施形態では、セルロース材料が微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの充填剤が、組成物の総重量に基づいて、重量で約1%~約3%の量のセルロース誘導体をさらに含む。いくつかの実施形態では、セルロース誘導体はヒドロキシプロピルセルロースである。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は、約10~約50%の少なくとも1つの充填剤、及び組成物の総重量に基づき、約5~約60重量%の水を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つ以上の有効成分、1つ以上の香味剤、1つ以上の塩、1つ以上の甘味料、1つ以上の結合剤、1つ以上の保湿剤、1つ以上のガム、タバコ用材料、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、栄養補助食品、植物由来薬、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、及びカンナビノイドからなる群から選択される1つ以上の有効成分をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、存在するいずれのニコチン成分をも除いて、約10重量%以下のタバコ用材料を含む。いくつかの実施形態では、組成物はタバコ用材料を含まない。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物は、パウチに封入されてパウチ製品を形成し、組成物が任意選択に粒状形態である。
【0024】
別の態様では、経口使用のために構成された組成物の安定性を高める方法であって、安定化された組成物は、少なくとも1つの充填剤、塩基性アミン、水、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ(この有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する)を含み、方法は、少なくとも1つの充填剤を、水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して、組成物を形成することであって、塩基性アミンの少なくとも一部が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、会合が、塩基性アミン-有機酸塩の形態であり、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対であるか、又はその両方の形態であり、組成物のpHが約8未満である、組成物を形成することを含む方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、有機酸は、約1.4~約4.5のlogP値を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、有機酸は、約2.5~約3.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有し、方法が溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は組成物のpHを約7.0未満のpHに調整することをさらに含み、pHを調整することが、有機酸、鉱酸、又はその両方を組成物に添加し、約7.0未満のpHをもたらすことをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、安定性を高めることは、約8を超えるpHを有する経口使用のために構成された組成物と比較して、保存期間にわたって組成物からの塩基性アミンの蒸発での損失を減少させることを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、保存期間は、調製後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月又は1年のうちの1つ以上である。
【0030】
いくつかの実施形態では、塩基性アミンの損失は、6ヶ月の保存期間後に約5%未満である。いくつかの実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。
【0031】
さらに別の実施形態では、経口使用のために構成された組成物からの塩基性アミンの予測される経口粘膜吸収を増強する方法であって、組成物は、少なくとも1つの充填剤、塩基性アミン、水、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ(この有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する)を含み、方法は、少なくとも1つの充填剤を、水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して、組成物を形成することであって、塩基性アミンの少なくとも一部が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、会合が、塩基性アミン-有機酸塩の形態であり、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対であるか、又はその両方の形態である、組成物を形成することを含む方法が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、有機酸は、約1.4~約4.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、有機酸は、約2.5~約3.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有し、方法が溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本方法は、組成物のpHを約4.0~約7.0のpHに調整することをさらに含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、組成物に鉱酸を添加することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。いくつかの実施形態では、予測される経口粘膜吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む組成物に対して透過した全ニコチンの割合を増加させることを含み、有機酸のlogP値は約1.4未満である。
【0035】
本開示は、限定することなく、以下の実施形態を含む。
【0036】
実施形態1 経口使用のために構成された組成物であって、少なくとも1つの充填剤、塩基性アミン、水、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はそれらの組み合わせを含み、ここで、有機酸は、約1.4~約4.5、又は約4.5~約8.0のlogP値を有する、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合し、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態である、組成物。
【0037】
実施形態2 有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、実施形態1に記載の組成物。
【0038】
実施形態3 有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0039】
実施形態4 有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有し、組成物が溶解度増強剤をさらに含む、実施形態1に記載の組成物。
【0040】
実施形態5 溶解度増強剤がグリセロール又はプロピレングリコールである、実施形態4に記載の組成物。
【0041】
実施形態6 遊離塩基ニコチンとして計算した、ニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5~約10、約15、又は約20モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0042】
実施形態7 遊離塩基ニコチンとして計算した、ニコチン成分に対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0043】
実施形態8 有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、又はそれらのいずれかの組み合わせである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0044】
実施形態9 有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、又はそれらの組み合わせである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0045】
実施形態10 有機酸がオクタン酸である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0046】
実施形態11 アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0047】
実施形態12 有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0048】
実施形態13 有機酸のナトリウム塩に対する有機酸の比が約0.1~約10である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0049】
実施形態14 安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0050】
実施形態15 組成物のpHが約4.0~約9.0である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組成物。
【0051】
実施形態16 組成物のpHが約4.5~約7である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組成物。
【0052】
実施形態17 組成物のpHが約5.5~約7である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0053】
実施形態18 組成物のpHが約4.0~約5.5である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の組成物。
【0054】
実施形態19 組成物のpHが約7.0~約9.0である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組成物。
【0055】
実施形態20 塩基性アミンがニコチンである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の組成物。
【0056】
実施形態21 ニコチンが、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の組成物。
【0057】
実施形態22 少なくとも1つの充填剤がセルロース材料を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の組成物。
【0058】
実施形態23 セルロース材料が微結晶セルロースを含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の組成物。
【0059】
実施形態24 少なくとも1つの充填剤が、組成物の総重量に基づいて、重量で約1%~約3%の量のセルロース誘導体をさらに含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の組成物。
【0060】
実施形態25 セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、実施形態1~24のいずれか1つに記載の組成物。
【0061】
実施形態26 約10~約50%の少なくとも1つの充填剤、及び組成物の総重量に基づき、約5~約60重量%の水を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の組成物。
【0062】
実施形態27 1つ以上の有効成分、1つ以上の香味剤、1つ以上の塩、1つ以上の甘味料、1つ以上の結合剤、1つ以上の保湿剤、1つ以上のガム、タバコ用材料、又はそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0063】
実施形態28 栄養補助食品、植物由来薬、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、及びカンナビノイドからなる群から選択される1つ以上の有効成分をさらに含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の組成物。
【0064】
実施形態29 組成物の総重量に基づいて、存在するいずれのニコチン成分をも除いて、約10重量%以下のタバコ用材料を含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の組成物。
【0065】
実施形態30 組成物がタバコ用材料を含まない、実施形態1~29のいずれか1つに記載の組成物。
【0066】
実施形態31 パウチに封入されてパウチ製品を形成し、組成物が任意選択に粒状形態である、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物。
【0067】
実施形態32 経口使用のために構成された組成物の安定性を高める方法であって、安定化された組成物は、少なくとも1つの充填剤、塩基性アミン、水、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ(この有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する)を含み、方法は、少なくとも1つの充填剤を、水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して、組成物を形成することであって、塩基性アミンの少なくとも一部が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態であり、組成物のpHが約8未満である、組成物を形成することを含む、方法。
【0068】
実施形態33 有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、実施形態32に記載の方法。
【0069】
実施形態34 有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態32に記載の方法。
【0070】
実施形態35 有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有し、方法が溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0071】
実施形態36 組成物のpHを約7.0未満のpHに調整することをさらに含み、pHを調整することが、有機酸、鉱酸、又はその両方を組成物に添加し、約7.0未満のpHをもたらすことを含む、実施形態32~35のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態37 安定性を高めることは、約8を超えるpHを有する経口使用のために構成された組成物と比較して、保存期間にわたって組成物からの塩基性アミンの蒸発での損失を減少させることを含む、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態38 保存期間は、調製後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月又は1年のうちの1つ以上である、実施形態32~37のいずれか1つ記載の方法。
【0074】
実施形態39 塩基性アミンがニコチンである、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態40 ニコチンの損失が、6ヶ月の保存期間後に約5%未満である、実施形態39に記載の方法。
【0076】
実施形態42 経口使用のために構成された組成物からの塩基性アミンの予測される経口粘膜吸収を増強する方法であって、組成物は、少なくとも1つの充填剤、塩基性アミン、水、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ(この有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する)を含み、方法は、少なくとも1つの充填剤を、水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して、組成物を形成することであって、塩基性アミンの少なくとも一部が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、会合が、塩基性アミン-有機酸塩の形態であり、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対であるか、又はその両方の形態である、組成物を形成することを含む、方法。
【0077】
実施形態43 有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、実施形態42に記載の方法。
【0078】
実施形態44 有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態43に記載の方法。
【0079】
実施形態45 有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有し、方法が溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む、実施形態44に記載の方法。
【0080】
実施形態46 組成物のpHを約4.0~約7.0のpHに調整することをさらに含む、実施形態42~45のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態47 pHを調整することが、組成物に鉱酸を添加することを含む、実施形態46に記載の方法。
【0082】
実施形態48 塩基性アミンがニコチンである、実施形態42~47のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態49 予測される頬側吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む組成物に対して透過した全ニコチンの割合を増加させることを含み、有機酸のlogP値は約1.4未満である、実施形態42~48のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下に簡潔に説明される添付の図面と共に以下の詳細な説明を読むことから明白になる。本発明は、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の任意の組み合わせ、さらに本開示に記載のいずれか2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特徴又は要素の組み合わせを、そのような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているかどうかにかかわらず、含んでいる。本開示は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素が、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り組み合わせ可能であることが意図されているとみなされるべきであるように、全体的に読まれることが意図されている。
【0085】
先行の一般的な条件で本開示の態様をこのように説明してきたが、これより、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照する。図面は例示にすぎず、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】経口使用のために構成された組成物で少なくとも部分的に充填されたパウチ又はフリースを含む、本開示の例示的な実施形態によるパウチ製品の実施形態の斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態のニコチンのオクタノール/水分配を示す棒グラフである。
【
図3】本開示の実施形態のニコチンのオクタノール/水分配を示す棒グラフである。
【
図4】本開示の実施形態のニコチンのオクタノール/水分配を示す棒グラフである。
【
図5】対照及び参照組成物のニコチンのオクタノール/水分配を示す棒グラフである。
【
図6】異なる有機酸塩及び濃度である、本開示の実施形態のニコチンのオクタノール/水分配を示す棒グラフである。
【
図7】本開示の実施形態の総ニコチン膜透過率の棒グラフである。
【
図8】本開示の実施形態のニコチン膜透過の棒グラフである。
【
図9】本開示の実施形態についてのニコチンの回収率を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本開示は、これより、その例示的実施形態を参照しながら、以下でさらに十分に説明される。本開示が徹底的で完全であり、また本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように、これらの例示的実施形態を説明する。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。「乾燥重量%」又は「乾燥重量基準」への言及は、乾燥成分(すなわち、水を除く全ての成分)に基づく重量を指す。「湿潤重量」について言及することは、水を含む混合物の重量を指している。別段示されない限り、混合物の「重量%」について言及することは、混合物の総湿潤重量を反映している(すなわち、水を含む)。
【0088】
顧客の満足のために、貯蔵している間に初期塩基性アミン含有量を保持し、組成物に最初に存在する塩基性アミンの実質的に全ての量を送達する、経口使用のために構成された塩基性アミン含有組成物を生成することが望ましい。本開示は、貯蔵中の初期塩基性アミン含有量の向上した保持を示す酸性母材中の塩基性アミンと非極性又は親油性有機酸塩とを組み合わせ、酸性母材(例えば、クエン酸又はクエン酸ナトリウム)中に極性有機酸塩を含有する組成物に対して、組成物の使用時により多くの塩基性アミンを使用者に送達すると予測される組成物を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。驚くべきことに、本開示によれば、特定の実施形態では、非極性又は親油性有機酸塩の存在は、極性有機酸塩を含む経口で使用するために構成された組成物に対して、組成物の安定性を高め、酸性のpHにおける経口吸収のモデルの系でのニコチンの膜透過性を高めることが見出された。ニコチン透過の増強は、酸性条件下でのニコチンプロトン化に関連する透過性の予測される減少を考慮すると、特に驚くべきことである。
【0090】
組成物
本明細書に開示される組成物は、少なくとも1つの充填剤、ニコチン又はニコチン成分などの塩基性アミン、水及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせ、ただし有機酸は約1.4~約8.0のlogP値を有する、を含む。塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合している。会合は、塩基性アミン-有機酸塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はその両方の形態である。組成物中の様々な成分の相対的な量は様々であってよく、典型的には、組成物に所望の感覚特性及び性能特性を付与するように選択される。組成物の例示的な個々の成分は、本明細書において以下にさらに記載される。
【0091】
イオン対化
本明細書に開示されるように、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合している。複数の変数(濃度、pH、有機酸の性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミンは、イオン対、溶液中(すなわち、完全に溶媒和している)、遊離塩基として、カチオンとして、塩として、又はそれらの任意の組み合わせを含む、複数の形態で存在し得る。いくつかの実施形態では、塩基性アミンと有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部との会合は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態である。
【0092】
イオン対化は、イオン対と呼ばれる別個の化学種を形成するための、比較的濃縮された溶液中の反対に荷電したイオンの部分的な会合を表す。会合(すなわち、イオン対化)の強さは、陽イオンと陰イオンとの間の静電引力(すなわち、ニコチンなどのプロトン化塩基性アミン、及び有機酸の共役塩基)に依存する。「共役塩基」とは、対応する酸(例えば、ベンゾエートは、安息香酸の共役塩基である)の脱プロトン化から生じる塩基を意味する。平均して、これらのイオン対の特定の集団が任意の所与の時間に存在するが、イオン対の形成及び解離は継続的である。本明細書に開示される組成物において、及び/又は前記組成物の経口使用時(例えば、唾液と接触したとたん)に、塩基性アミン、例えばニコチン及び有機酸の共役塩基は、少なくとも部分的に、イオン対の形態で存在する。理論に束縛されることを望むものではないが、そのようなイオン対化は、塩基性アミン(例えば、ニコチン)の化学的分解を最小限に抑え、及び/又は塩基性アミンの口腔利用可能性を高めることができると考えられる。アルカリ性のpHの値(例えば、約7.5~約9など)では、特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、遊離塩基の形態で大部分が存在し、比較的低い水溶性、及び蒸発及び酸化分解に関して低い安定性を有するが、粘膜の可用性は高い。逆に、酸性のpHの値(約6.5~約4など)では、特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、プロトン化の形態で主に存在し、比較的高い水溶性、蒸発及び酸化分解に関するより高い安定性を有するが、粘膜の可用性は低い。驚くべきことに、本開示によれば、経口で使用するために構成された組成物中のニコチンの安定性、溶解性、及び利用可能性の特性は、ニコチンと適切な有機酸及び/又はそれらの共役塩基とのイオン対化又は塩形成によって、相互に増強され得ることが見出された。具体的には、適度な親油性のニコチンと有機酸のイオン対は、良好な安定性及び吸収特性をもたらす。親油性は、logPに関して好都合に測定される。これは、通常はそれぞれオクタノール及び水である親油性相と水相との間の分子の分配係数である。オクタノールへの塩基性アミンと有機酸のイオン対の分布を促進するオクタノール/水分配は、口腔粘膜を介した組成物中に存在する塩基性アミンの良好な吸収を予測する。
【0093】
上記のように、アルカリ性のpHの値(例えば、約7.5~約9など)では、ニコチンは遊離塩基の形態(したがって、オクタノールへの高い分配)で主に存在するが、酸性のpHの値(約6.5~約4など)では、ニコチンはプロトン化形態(したがって、オクタノールへの低い分配)で主に存在する。驚くべきことに、本開示によれば、特定の有機酸(例えば、約1.4~約8.0、例えば約1.4~約4.5というlogP値を有する)間のイオン対が、pH8.4でのオクタノールへのニコチン分配について予測されたものと一致するオクタノールへのニコチン分配を可能にすることが見出された。
【0094】
当業者は、消費者が使用する前及び使用中の両方で、開示された組成物中のイオン対化の程度が、例えばpH、有機酸の性質、塩基性アミンの濃度、組成物に存在する有機酸又は有機酸の共役塩基の濃度、組成物の水分含有量、組成物のイオン強度などに基づいて変動し得ることを認識するであろう。当業者はまた、イオン対化が前述の変数によって影響される平衡プロセスであることを認識する。したがって、計算又は直接観察することによってイオン対化の程度を定量することは、困難又は不可能である。しかし、本明細書に開示されるように、イオン対化の存在は、オクタノールと水との間の塩基性アミンの分配、又は塩基性アミンと有機酸及び/又はそれらの共役塩基の水溶液の膜透過などの代用手段によって、実証され得る。
【0095】
有機酸
本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸性の特性を特徴とする有機(すなわち、炭素系)化合物を指す。典型的には、有機酸は、カルボン酸(-CO2H)又はスルホン酸(-SO2OH)などの比較的弱性の酸(すなわち、それらは水の存在下で完全には解離しない)である。本明細書で使用される場合、有機酸への言及は、意図的に添加される有機酸を意味する。これに関して、有機酸は、単に別の組成物成分(例えば、タバコ用材料などの組成物成分中に本質的に存在し得る少量の有機酸)の成分として本質的に存在しているのと反対に、特定の組成物成分として意図的に添加されてもよい。
【0096】
適切な有機酸は、典型的には、ある範囲の親油性(すなわち、水及び有機溶解度の適切なバランスをもたらす極性)を有する。典型的には、logPによって示されるように、適切な有機酸の親油性は、約1.4~約4.5の間で可変である(水中よりもオクタノール中で可溶性である)。いくつかの実施形態では、有機酸は、約1.5~約4.0、例えば、約1.5、約2.0、約2.5又は約3.0から約3.5、約4.0、約4.5又は約5.0のlogP値を有する。特に適切な有機酸は、約1.7~約4、例えば約2.0、約2.5、又は約3.0から約3.5、又は約4.0のlogP値を有する。特定の実施形態において、有機酸は、約2.5~約3.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、この範囲外の有機酸もまた、本明細書で以下にさらに説明するように、様々な目的及び様々な量で利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、有機酸は、約4.5を超える、例えば約4.5~約8.0というlogP値を有し得る。特に、特定の溶媒又は可溶化剤の存在(例えば、グリセリン又はプロピレングリコールの組成物への包含)は、親油性(すなわち、約4.5~約8.0など、4.5を超えるlogPの値)の範囲を拡大し得る。
【0097】
理論に束縛されることを望むものではないが、中程度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、イオン対の良好なオクタノール/水分配、したがってニコチンのオクタノール対水への分配をもたらす極性のニコチンとイオン対を生成すると考えられる。上述のように、オクタノールへのこのような分配は、好ましい口腔利用可能性を予測する。いくつかの実施形態では、有機酸は、約1.4~約4.5、例えば、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4又は約4.5のlogP値を有する。いくつかの実施形態では、有機酸は、約2.5~約3.5のlogP値を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、有機酸は、カルボン酸又はスルホン酸である。カルボン酸又はスルホン酸の官能基は、例えば、1から20個の炭素原子(C1~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール基に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、有機酸は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールカルボン酸又はスルホン酸である。
【0099】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐鎖の炭化水素を指す。アルキル基は、飽和(すなわち、全てのsp3炭素原子を有する)であってもよく、不飽和(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)であってもよい。本明細書で使用される場合、「不飽和」という用語は、アルキル基の中の1つ以上の位置に炭素-炭素、sp2二重結合が存在することを指す。不飽和アルキル基は、一価不飽和又は多価不飽和であり得る。代表的な直鎖アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。分枝鎖アルキル基には、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが含まれるが、これらに限定されない。代表的な不飽和アルキル基には、エチレン又はビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。アルキル基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0100】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は、単環式又は二環式であり得る炭素環式基を指す。シクロアルキル基は、単環として3~7個の炭素原子を有する環、又は二環として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は、非置換であっても置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)を含んでいてもよい。
【0101】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0102】
本明細書で使用される場合の「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は、それぞれ、1個以上の環原子がヘテロ原子、例えば窒素、酸素及び硫黄である芳香族又は非芳香族環系を指す。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は、20個までの炭素原子と、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とを含む。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、3~7個の環員を有する単環(例えば、2~6個の炭素原子及びN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)又は7~10個の環員を有する二環(例えば、4~9個の炭素原子並びにN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]系であり得る。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル及びイソチノイルを例として含めるが、限定するものではない。ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル及びモルホリニルを例として含めるが、限定するものではない。ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0103】
本明細書で使用され、上記のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される「置換」は、1以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置き換えられていることを意味する。典型的な置換基には、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH3、NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-CN、-NC(=O)CH3、-C(=O)-、-C(=O)NH2及び-C(=O)N(CH3)2が含まれるが、これらに限定されない。ある基が「任意選択で置換される」と記載されている場合はいつでも、その基を、各々の場合に独立して選択される、上記置換基の1つ以上で、置換することができる。いくつかの実施形態では、置換基は、1つ以上のメチル基又は1つ以上のヒドロキシル基であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、有機酸は、アルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的な例としては、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸及びオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0106】
いくつかの実施形態では、アルキルカルボン酸又はスルホン酸は、1以上のヒドロキシル基で置換される。非限定的な例としては、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸及び乳酸が挙げられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、有機酸は、1つを超えるカルボン酸基又は1つを超えるスルホン酸基(例えば、2個、3個又は4個以上のカルボン酸基)を含み得る。非限定的な例としては、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸及びグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸を含有する有機酸(例えば、2~4個のカルボン酸基)では、カルボン酸基の1つ以上がエステル化されていてもよい。非限定的な例としては、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチル又はクエン酸ジメチルなどが挙げられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、有機酸は、1つを超えるカルボン酸基及び1つ以上のヒドロキシル基を含み得る。そのような酸の非限定的な例としては、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0109】
いくつかの実施形態では、有機酸は、アリールカルボン酸又はアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸及びスルホン酸の非限定的な例としては、安息香酸、トルエン酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0110】
特定の実施形態において有用であり得る有機酸のさらなる非限定的な例としては、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、アルファ-メチル酪酸、カンフル酸(+)、カンフル-10-スルホン酸(+)、桂皮酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトバリン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸、ステアリン酸、ウンデシレン酸を含む。
【0111】
適切な酸の例には、表1の有機酸のリストが含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
【0113】
いくつかの実施形態では、有機酸は、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどの二酸又はポリ酸のモノエステルである。
【0114】
有機酸の選択は、logP値を考慮することに加えて、又は考慮せずに、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、人間が消費するには安全であると認識され、許容し得る風味、臭気、揮発性、安定性などを有するものであるべきである。適切な有機酸の判定は、当業者の理解の範囲内である。
【0115】
いくつかの実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルエン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸又はオクタン酸である。いくつかの実施形態では、有機酸は、安息香酸、オクタン酸又はデカン酸である。いくつかの実施形態では、有機酸はオクタン酸である。
【0116】
いくつかの実施形態では、1つを超える有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2つ、又は3つ、又は4つ、又はそれ以上の有機酸を含み得る。したがって、本明細書における「有機酸」への言及は、2つ以上の有機酸の混合物を意図する。複数の有機酸の相対的な量は変化し得る。例えば、組成物は、等量の2つ、又は3つ、又はそれ以上の有機酸を含んでもよく、又は異なる相対的な量を含んでもよい。このようにして、他の有機酸と組み合わせて、組み合わせに対して所望の平均logPの範囲をもたらす場合、所望の範囲外のlogP値を有する特定の有機酸(例えば、クエン酸又はミリスチン酸)を含めることが可能である。いくつかの実施形態では、所望の感覚刺激特性、安定性、香味成分などを付与することなどがあるが、それらに限定されない目的のために、logP値が所望の範囲外である有機酸を組成物に含めることが望ましい場合がある。さらに、特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸(例えば、ニコチンに対して等モル又はそれを超える量で)としてのそれらの存在を妨げる望ましくない風味及び/又は芳香特性を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、異なる有機酸の組み合わせが所望のイオン対化をもたらし得る一方で、組成物における任意の単一の有機酸の濃度は、感覚の観点から好ましくないと思われる閾値より低いままであると考えられる。
【0117】
例えば、いくつかの実施形態では、有機酸は、例えば約0.2モル当量のオクタン酸又はその塩、及び0.2モル当量のデカン酸又はその塩と組み合わせて、ニコチンに対して約1~約5モル当量以上の安息香酸を含んでもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルエン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸からなる群から選択される任意の2つの有機酸の組み合わせである。いくつかの実施形態では、有機酸は、安息香酸、オクタン酸、及びデカン酸の組み合わせ、又は安息香酸及びオクタン酸である。いくつかの実施形態では、組成物は、安息香酸、トルエン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸の1つ以上に加えて、クエン酸を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、組成物は、有機酸のアルカリ金属塩を含む。例えば、有機酸の少なくとも一部は、アルカリ金属塩の形態で組成物中に存在し得る。適切なアルカリ金属塩には、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが含まれる。いくつかの実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。いくつかの実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム又はそれらの組み合わせを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、有機酸のナトリウム塩に対する有機酸の比は、約0.1~約10、例えば、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75又は約1~約2、約5又は約10である。例えば、いくつかの実施形態では、有機酸とそのナトリウム塩の両方が組成物の他の成分に添加され、有機酸は過剰のナトリウム塩で、ナトリウム塩と等モル量で、又はナトリウム塩の一部として添加される。当業者は、相対的な量が組成物の所望のpH並びに所望のイオン強度によって決定されることを認識するであろう。例えば、有機酸は、組成物の所望のpHレベルをもたらす量で添加されてもよく、一方、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は、所望の程度のイオン対化をもたらす量で添加される。当業者が理解するように、組成物中に存在するアルカリ金属塩又は共役塩基の形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化の形態)の量は、組成物のpH及び有機酸のpKaに応じて、並びに組成物に最初に添加される実際の相対的な量に応じて可変である。
【0122】
ニコチンに対する、組成物中に存在する有機酸又はそのアルカリ金属塩の量は、変化し得る。一般に、有機酸(又はその共役塩基)の濃度が増加するにつれて、有機酸と対になったイオンであるニコチンの割合が増加する。これは、典型的には、logP(分配係数のlog10)によって測定されるものとしての、水に対するオクタノールへの、イオン対の形態であるニコチンの分配を増加させる。いくつかの実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算した、ニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5~約10、約15、又は約20モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチン基準で、約2~約10、又は約2から約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせをニコチンに含む。いくつかの実施形態では、有機酸、そのアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせは、約2、約3、約4、又は約5から約6、約7、約8、約9、又は約10のニコチンとのモル比で存在する。2つ以上の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はその両方が存在する実施形態では、そのようなモル比は、存在する有機酸の全体を反映しているものと理解されるべきである。
【0124】
特定の実施形態では、有機酸含有物は、約4.0~約9.0、例えば約4.5~約7.0、又は約5.5~約7.0、約4.0~約5.5、又は約7.0~約9.0という組成物のpHをもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、有機酸含有物は、約4.5~約6.5、例えば、約4.5、約5.0、又は約5.5から約6.0、又は約6.5という組成物のpHをもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0から約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、又は約6.5という組成物のpHをもたらすのに十分な量で与えられる。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)を添加して、組成物のpHを所望の値に調整する。
【0125】
いくつかの実施形態では、有機酸は、遊離酸として、ニート(すなわち、天然の固体又は液体の形態)又は溶液、例えば水の溶液として、他の組成物成分に添加される。いくつかの実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、ニートで、又は溶液、例えば水の溶液として、他の組成物成分に添加される。いくつかの実施形態では、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)が組成物に添加する前に合わせられて塩を形成するか、又は塩が組成物内で形成されてそのまま組成物中に存在する。他の実施形態では、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は、組成物中の個々の成分として存在し、水分(例えば、消費者の口内の唾液)と接するとイオン対を形成する。
【0126】
塩基性アミン
本明細書に開示される組成物は、塩基性アミンを含む。「塩基性アミン」とは、少なくとも1つの塩基性アミン官能基を含む分子を意味する。塩基性アミンの例には、アルカロイドが含まれるが、これらに限定されない。「塩基性アミン官能基」とは、孤立電子対を有する窒素原子を含む基を意味する。塩基性アミン官能基は、前記窒素原子への1つ以上の共有結合を介して分子に結合又は組み込まれる。塩基性アミンは、第一級、第二級又は第三級アミンであってもよく、窒素が炭素原子に1、2又は3個の共有結合を有することを意味する。窒素原子の孤立電子対に起因して、そのようなアミンは「塩基」と呼ばれており、孤立電子対が水素結合に利用可能であることを意味している。塩基性アミンの塩基性度(すなわち、窒素原子の電子密度、したがって窒素原子に結合する水素の利用可能性及び強度)は、隣接している原子の性質、分子の立体的なかさなどによって影響され得る。
【0127】
一般に、塩基性アミンは、組成物から放出され、口腔粘膜を通して吸収され、それによって血流に入り、そこで全身に循環する。一般に、塩基性アミンは、本明細書で以下に記載されるように、組成物中に、又は組成物中の有効成分として、存在する。いくつかの実施形態では、塩基性アミンは、ニコチン又はニコチン成分である。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部の経口での吸収をもたらすための任意の適切な形態のニコチン(例えば、遊離塩基、塩又はイオン対)を意味する。ニコチンは組成物から放出され、口腔粘膜を通して吸収され、それによって血流に入り、そこで全身に循環する。
【0128】
典型的には、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、イオン対としてのニコチン及びニコチン塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ニコチンの少なくとも一部は遊離塩基の形態である。いくつかの実施形態では、本明細書で既に開示されているように、ニコチンの少なくとも一部がニコチン塩として存在するか、又はニコチンの少なくとも一部が有機酸又はその共役塩基の少なくとも一部とイオン対として存在する。
【0129】
典型的には、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば約0.001%~約10%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算し、組成物の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約10重量%、例えば約0.1%w/w、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、又は約0.9%から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%又は約10重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算し、組成物の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約3重量%、例えば約0.1%w/w~約2.5%、約0.1%~約2.0%、約0.1%~約1.5%、又は約0.1%~約1重量%の濃度で存在する。
【0130】
充填剤
本明細書に記載の組成物は、1つ以上の充填剤を含む。充填剤は、質感及び食感などの特定の感覚刺激特性の向上、製品の凝集性又は圧縮性の向上などの複数の機能を果たすことができる。
【0131】
一般に、充填剤は多孔質微粒子状材料であり、セルロース系である。例えば、適切な充填剤は、そのような供給源に由来するセルロース材料を含む、任意の非タバコ植物材料又はその誘導体である。セルロース系の非タバコ植物材料の例としては、穀類(例えば、トウモロコシ、エンバク、オオムギ、ライムギ、ソバなど)、サトウダイコン(例えば、International Fiber Corporationから入手可能なFIBREX(R)ブランドの充填剤)、ふすま繊維及びそれらの混合物が挙げられる。非タバコ植物材料の誘導体の非限定的な例としては、デンプン(例えば、ジャガイモ、コムギ、米、トウモロコシ由来)、天然セルロース、及び改質されたセルロース材料が挙げられる。
【0132】
本明細書で使用される「デンプン」は、任意の供給源由来の純粋なデンプン、改質されたデンプン、又はデンプン誘導体を示し得る。デンプンは、典型的には粒状形態で、ほとんど全ての緑色植物及び様々なタイプの植物の組織及び器官(例えば、種子、葉、根茎、根、塊茎、シュート、果実、穀粒及び茎)に存在する。デンプンは、組成、並びに粒状の形状及びサイズが異なり得る。多くの場合、異なる供給源からのデンプンは、異なる化学的及び物理的特性を有する。特定のデンプンは、デンプン材料が組成物に特定の感覚刺激特性を付与できることに基づいて、混合物に含めるために選択することができる。様々な供給源に由来するデンプンを使用することができる。例えば、デンプンの主要な供給源には、穀類(例えば、イネ、コムギ及びトウモロコシ)及び根菜類(例えば、ジャガイモ及びキャッサバ)が含まれる。デンプンの供給源の他の例としては、ドングリ、クズ、ラッカセイ、バナナ、オオムギ、豆(例えば、ファバス(favas)、レンズ豆、マングビーン(mung bean)、エンドウ豆、ヒヨコ豆)、ブレッドフルート(breadfruit)、ソバ、カンナ(canna)、クリ、カラカサス、カタクリー(katakuri)、クズ(kudzu)、マランガ(malanga)、キビ、オートムギ、オカ(oca)、ポリネシアンアロールート(Polynesian arrowroot)、サゴ(sago)、ソルガム(sorghum)、サツマイモ、キヌア、ライムギ、タピオカ、タロイモ(taro)、タバコ(tobacco)、ウォーターチェスナット(water chestnuts)、及びヤマノイモ(yams)が挙げられる。特定のデンプンは、改質されたデンプンである。改質されたデンプンは、頻繁にその高い熱特性を変更するように設計される、1つ以上の構造的改質を受けている。いくつかのデンプンが、遺伝子改変によって開発されており、「改質された」デンプンであると考えられる。他のデンプンが得られ、続いて改質される。例えば、改質されたデンプンは、エステル化、エーテル化、酸化、塩基の存在下での酸触媒作用又は酸化による解重合(薄化)、漂白、トランスグリコシル化及び解重合(例えば、触媒の存在下でのデキストリン化)、架橋、酵素処理、アセチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は部分的な加水分解などの化学反応に供されたデンプンであり得る。他のデンプンは、熱処理、例えば、アルファ化、デキストリン化及び/又は冷水膨潤プロセスによって改質される。特定の改質されたデンプンとしては、リン酸モノデンプン、ジデンプングリセロール、トリメタリン酸ナトリウムでエステル化されたリン酸ジデンプン、リン酸ジデンプンリン酸、アセチル化ジデンプンリン酸、無水酢酸でエステル化された酢酸デンプン、酢酸ビニルでエステル化された酢酸デンプン、アセチル化アジピン酸ジデンプン、アセチル化ジデンプングリセロール、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルジデンプングリセロール、デンプンナトリウムオクテニルスクシネートが挙げられる。
【0133】
可能性のある充填剤のさらなる例としては、マルトデキストリン、デキストロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース及び糖アルコールが挙げられる。充填剤を組み合わせて使用することもできる。いくつかの実施形態では、充填剤は、グルコース及びデンプン由来多糖類を含むか、又はそれらの混合物である。グルコース及びデンプン由来多糖類のそのような適切な混合物の1つは、JRS PHARMA LP,USA,2981 Route 22,Patterson,NY 12563-2359から入手可能なEMDEX(R)である。
【0134】
いくつかの実施形態では、微粒子状充填剤はセルロース材料又はセルロース誘導体である。本明細書に記載の組成物に使用するのに特に適した微粒子状充填剤の1つは、微結晶セルロース(「mcc」である。mccは、合成又は半合成であってもよく、又は完全に天然セルロースから得られてもよい。mccは、AVICEL(R)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(R)グレード101、102、12、20及びEMOCEL(R)グレード50M及び90Mなど、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態では、組成物は、微粒子状充填剤としてmccを含む。存在するmccの量は、所望の特性に応じて変化し得る。
【0135】
充填剤の量は様々であり得るが、典型的には、組成物の総重量に基づいて、組成物の重量の約75%までである。組成物中の充填剤(例えば、mcc)の典型的な範囲は、組成物の総重量の約10~約75%、例えば、約10、約15、約20、約25、又は約30から約35、約40、約45、又は約50重量%(例えば、約20~約50重量%又は約25~約45重量%)であり得る。特定の実施形態では、充填剤の量は、組成物の総重量に基づいて、重量で少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約35%、又は少なくとも約40%である。
【0136】
一実施形態では、充填剤は、セルロース誘導体又はそのような誘導体の組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、重量で約1~約10%のセルロース誘導体を含み、特定の実施形態は、約1~約5重量%のセルロース誘導体を含む。特定の実施形態では、セルロース誘導体は、セルロースエーテル(カルボキシアルキルエーテルを含む)であり、セルロース構造中の1つ以上のヒドロキシル基の水素がアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアリール基で置換されたセルロースポリマーを意味する。そのようなセルロース誘導体の非限定的な例には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(「CMC」)が含まれる。一実施形態では、セルロース誘導体は、メチルセルロース、HPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース及びCMCの1つ以上である。一実施形態では、セルロース誘導体はHPCである。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、重量で約1~約3%のHPCを含む。
【0137】
水
組成物の水含有量は、組成物の消費者による使用前に、所望の特性に従って変化し得る。典型的には、組成物は、水の約60重量%未満であり、一般に、水の約1~約60重量%、例えば、重量で水の約5~約55、約10~約50、約20~約45、又は約25~約40%であり、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、及び少なくとも約20重量%の水分量を含む。
【0138】
有効成分
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、有効成分を含む。本明細書で使用される場合、「有効成分」は、以下のカテゴリのいずれかに属する1つ以上の物質を指す。API(活性医薬物質)、食品添加物、天然医薬品、及びヒトに作用を及ぼすことができる天然に存在する物質である。例示的な有効成分には、疾患の診断、治癒、緩和、治療又は予防において薬理学的活性又は他の直接的な効果をもたらす、又はヒトの身体の構造又は任意の機能に影響を及ぼす成分(例えば、中枢神経系に対する刺激作用を与え、エネルギー供給効果、解熱若しくは鎮痛作用、又は他の有用な効果を身体に与える)など、体内の1つ以上の生物学的機能に影響を及ぼすことが知られている任意の成分が含まれる。いくつかの実施形態では、有効成分は、一般に食事性サプリメント、栄養補助食品、「植物化学物質」又は「機能性食品」と呼ばれる種類のものであり得る。これらの種類の添加剤は、1つ以上の有利な生物学的効果(例えば、健康促進、疾患の予防、又は他の医薬特性)をもたらすが、薬物として分類又は規制されない、天然に生じる供給源(例えば、植物性材料)から典型的に入手可能な物質を包含するものとして、時に当技術分野で定義される。
【0139】
有効成分の非限定的な例としては、植物性成分、刺激剤、アミノ酸及び/又は医薬、栄養補助食品及び薬用成分(例えば、ビタミン、例えばB6、B12及びC、並びに/又はカンナビノイド、例えばテトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD))のカテゴリに入るものが挙げられる。これらのカテゴリの各々は、本明細書において以下でさらに説明される。有効成分の特定の選択は、特定の製品の所望の風味、食感及び所望の特性に応じて変わる。
【0140】
存在する有効成分の特定の割合は、特定の製品の所望の特性に応じて変化する。典型的には、有効成分又はそれらの組み合わせは、総濃度の組成物の少なくとも約0.001重量%で、例えば約0.001%~約20%の範囲で存在する。いくつかの実施形態では、有効成分又は有効成分の組み合わせは、組成物の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約10重量%、例えば約0.5%w/w~約10%、約1%~約10%、約1%~約5重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、有効成分又は有効成分の組み合わせは、組成物の総重量に基づいて、約0.001%、約0.01%、約0.1%、又は約1%、最大約20重量%、例えば約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、又は約0.9%、から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、又は約20重量%の濃度で存在する。特定の有効成分のさらなる適切な範囲は、本明細書において以下に提示される。
【0141】
植物性
いくつかの実施形態では、有効成分は植物性成分を含む。本明細書で使用される場合、「植物性成分」又は「植物性」という用語は、任意の植物材料又は真菌由来の材料、例えばその自然の形態の植物材料及び天然植物材料に由来する植物材料、例えば植物材料又は処理された植物材料(例えば、熱処理、発酵、漂白、又は材料の物理的及び/若しくは化学的性質を変えることができる他の処理プロセスに供される植物材料)からの抽出物又は単離物を指す。本開示の目的のために、「植物由来薬」は、それだけに限らないが、「薬草の材料」を含み、これは、持続性木質組織を発達させず、多くの場合、その医学的又は感覚的特性(例えば、茶又はチサン)が評価される種子産生植物を指す。「非タバコ」として植物性材料に言及することは、タバコ用材料を除外すること(すなわち、いずれかのニコチアナ種を含まない)を意図している。
【0142】
存在する場合、植物由来薬は、典型的には、発泡性組成物の総重量に基づいて、約0.01%w/w~約10重量%、例えば約0.01%w/w、約0.05%、約0.1%又は約0.5%から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%又は約10%、約11%、約12%、約13%、約14%又は約15重量%の濃度である。
【0143】
本開示において有用な植物性材料は、限定されないが、本明細書に記載の化合物及び供給源のいずれかを、それらの混合物を包含して含み得る。この種の特定の植物性材料は、食事性サプリメント、栄養補助食品、「植物化学物質」又は「機能性食品」と呼ばれることがある。植物材料又はその抽出物としての特定の植物由来薬は、伝統的なハーブ医薬品に使用されており、本明細書にさらに記載されている。植物由来薬又は植物由来材料の非限定的な例としては、アシュワガンダ、バコパ・モンニエラ(Bacopa monniera)、バオバブ、バジル、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、チャイ-フ(Chai-hu)、カモミール、サクラ、クロロフィル、シナモン、柑橘類、クローブ、ココア、コルジセプ、クルクミン、ダミアナ、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラタ(Dorstenia odorata)、エッセンシャルオイル、ユーカリ、フェンネル、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、ショウガ、ギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)、人参(例えば、パナックス・ジンセン(Panax ginseng))、緑茶、グリフォニア・シンピフォリア(Griffonia simplicifolia)、ガラナ、麻、ホップ、ジャスミン、ケンペリア・パルビフローラ(Kaempferia parviflora、タイ人参)、カバ、ラベンダー、レモンバーム、レモングラス、甘草、ルテイン、マカ、抹茶、ナルドスタキー・チネンシス(Nardostachys chinensis)、ヴァイオラ・オドラタ(Viola odorata)の油性抽出物、ペパーミント、ケルセチン、レスベラトロール、リゾーマ・ガストロディエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ(Rhodiola)、ルイボス(rooibos)、ローズ精油、ローズマリー、ソリシアム・トーチュオサム(Sceletium tortuosum)、チョウセンゴミシ、タツナミソウ、スペアミント抽出物、カンショウ、テルペン、チサン、ウコン、ターネラ・アフロジシアカ(Turnera aphrodisiaca)、バレリアン、白クワ、及びヨーバメート(Yerba mate)が挙げられる。
【0144】
刺激剤
いくつかの実施形態では、有効成分は、1つ以上の刺激剤を含む。本明細書で使用される場合、「刺激剤」という用語は、中枢神経系及び/又は身体の活動を増加させる物質、例えば、集中力、認知、活力、気分、覚醒などを高める物質を指す。刺激剤の非限定的な例としては、カフェイン、テアクリン、テオブロミン及びテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)は、カフェインに構造的に関連し、刺激作用、鎮痛作用及び抗炎症作用を有するプリンアルカロイドである。本刺激剤は、天然、天然由来又は完全な合成であり得る。例えば、特定の植物性材料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えばカフェイン又は関連アルカロイドの存在によって刺激効果を有することができ、したがって「天然」刺激剤である。「天然由来」とは、刺激剤(例えば、カフェイン、テアクリン)が、その自然の(例えば、植物性)母材範囲外の、精製された形態であることを意味する。例えば、カフェインは、植物性源(例えば、茶)からの抽出及び精製によって得ることができる。「完全な合成」とは、刺激剤が化学合成によって得られたことを意味する。いくつかの実施形態では、有効成分はカフェインを含む。いくつかの実施形態では、有効成分はカフェインである。いくつかの実施形態では、カフェインはカプセル化された形態で存在する。カプセル化されたカフェインの例には、Balchem Corp.,52 Sunrise Park Road,New Hampton,NY,10958から入手可能なVitashure(R)がある。
【0145】
存在する場合、刺激剤又は刺激剤の組み合わせ(例えば、カフェイン、テアクリン、及びそれらの組み合わせ)は、典型的には、発泡性組成物の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約15重量%、例えば約0.1%w/w、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%約0.6%、約0.7%、約0.8%、又は約0.9%から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15重量%の濃度である。
【0146】
アミノ酸
いくつかの実施形態では、有効成分はアミノ酸を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH2)及びカルボキシル(-COOH)又はスルホン酸(SO3H)官能基を、各アミノ酸に特異的な側鎖(R基)と共に含む有機化合物を指す。アミノ酸は、タンパク質原性又は非タンパク質原性であり得る。「タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質に見られる20個の天然アミノ酸のうちの1つであることを意味する。タンパク質原性アミノ酸には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが含まれる。「非タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質に天然に見出されないか、又は細胞機構によって直接産生されない(例えば、翻訳後の修飾の生成物である)ことを意味する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的な例としては、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン及びβ-アラニンが挙げられる。
【0147】
存在する場合、アミノ酸又はアミノ酸の組み合わせ(例えば、タウリン、テアニン及びそれらの組み合わせ)は、典型的には、発泡性組成物の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約15重量%、例えば約0.1%w/w、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、又は約0.9%から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15重量%の濃度である。
【0148】
ビタミン
いくつかの実施形態では、有効成分は、ビタミン又はビタミンの組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、「ビタミン」という用語は、哺乳動物における代謝の適切な機能に必要な必須微量栄養素である有機分子(又は関連する分子のセット)を指す。ヒトの代謝に必要なビタミンは13種類あり、ビタミンA(全トランス型レチノール、全トランス型レチニル-エステル、並びに全トランス型β-カロテン及び他のプロビタミンAカロテノイドとして)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸又は葉酸塩)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)、ビタミンK(キノン)である。
【0149】
存在する場合、ビタミン又はビタミンの組み合わせ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC又はそれらの組み合わせ)は、典型的には、発泡性組成物の総重量に基づいて、約0.01%w/w~約1重量%、例えば約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、又は約0.1%w/wから約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、又は約1重量%の濃度である。
【0150】
カンナビノイド
いくつかの実施形態では、有効成分は、1つ以上のカンナビノイドを含む。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、脳内の神経伝達物質放出を変化させる細胞において、内在性カンナビノイド系としても知られるカンナビノイド受容体に作用する多様な化合物のクラスを指す。これらの受容体タンパク質のリガンドには、動物によって体内で天然に産生されるエンドカンナビノイド、大麻に見られる植物性カンナビノイド及び人工的に製造された合成カンナビノイドが含まれる。カンナビノイドの非限定的な例には、大麻の主要な精神賦活性化合物であるテトラヒドロカンナビノール(THC)、及び植物の別の主要成分であるが精神賦活性を欠くカンナビジオール(CBD)が含まれる。いくつかの実施形態では、有効成分はCBDを含む。
【0151】
存在する場合、カンナビノイド(例えば、CBD)は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも約0.1重量%、例えば約0.1%~約30%、例えば約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、又は約0.9%から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、又は約30重量%の範囲の濃度である。
【0152】
酸化防止剤
いくつかの実施形態では、有効成分は、1つ以上の酸化防止剤を含む。本明細書で使用されるとき、「酸化防止剤」という用語は、フリーラジカル反応を終結させることによって酸化を防止又は抑制し、ある種の細胞の損傷を遅らせる又は防止することができる物質のことを指す。酸化防止剤は、天然に存在しているものでも、又は合成のものであってもよい。天然に存在する酸化防止剤には、食品及び植物性材料に見出せるものが含まれる。酸化防止剤の非限定的な例としては、特定の植物性材料、ビタミン、ポリフェノール及びフェノール誘導体が挙げられる。
【0153】
酸化防止の特性に関連する植物性材料の例としては、限定されないが、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトシード、アンズ油、バジル、ビーバーム、ワイルドベルガモット、ブラックペッパー、ブルーベリー、ボラージシードオイル、バグルウィード、カカオ、カラシの根、キャニップ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ポテトピール、グレープシード、人参、ギンコ・ビロバ、セントジョンズワート、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホース、カイエンヌ、カモミール、クローブ、ココアパウダー、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、マツバソウ、ショウガ、ジンジャー、ヒドラスチス、サンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、リコリス、マジョラム、ミルクシスル、ミント(メンテ)、ウーロン茶、ビートルート、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、レッドクローバー、ルイボス(赤又は緑)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、セイボリ、スペアミント、スピルリナ、アカニレ樹皮、ソルガムふすまハイタンニン、ソルガムグレインハイタンニン、ウルシふすま、コンフリーの葉と根、ゴジベリー、グツコラ、タイム、ターメリック、ウワウルシ、バレリアン、山芋の根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、ヨーバメート(yerba mate)、イエルバ・サンタ、バコパモニエラ、アシュワガンダ(Withania somnifera)、ライオンのたてがみ(Lion’s mane)及びマリアアザミを含む。そのような植物性材料は、新鮮な形態又は乾燥させた形態、精油で提供されてもよく、又は抽出物の形態であってもよい。植物性材料(及びそれらの抽出物)は、多くの場合、酸化防止効果を付与することが知られている様々なクラスの化合物、例えばミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール、アリルスルフィド、ジチオールチオン、イソチオシアネート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール及びカロテノイドを含む。植物性抽出物又は油に見られる化合物の例としては、アスコルビン酸、ピーナッツの内果皮、レスベラトロール、スルホラファン、β-カロテン、リコペン、ルテイン、補酵素Q、カルニチン、ケルセチン、ケンペロールなどが挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Santhosh et al.,Phytomedicine,12(2005)216-220を参照されたい。
【0154】
他の適切な酸化防止剤の非限定的な例としては、クエン酸、ビタミンE又はその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、没食子酸エピガロカテコール、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、4-ヘキシルレゾルシノール、テアフラビン、テアフラビンモノガレートA又はB、テアフラビンジガレート、フェノール酸、グリコシド、ケルシトリン、イソケルシトリン、ヒポシド、ポリフェノール、カテコール、レスベラトロール、オレウロペイン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0155】
存在する場合、酸化防止剤は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.001%、約0.005%、約0.01%w/w、約0.05%、約0.1%、又は約0.5%から約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%又は約10%の濃度である。
【0156】
医薬成分
いくつかの実施形態では、有効成分は、活性医薬成分(API)を含む。APIは、治療的、予防的又は診断的使用に適合した任意の公知の薬剤であり得る。これらには、例えば、合成有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖類及び他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質又はその前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)、並びに治療活性、予防活性又は診断活性を有する核酸配列が含まれ得る。APIの非限定的な例としては、鎮痛薬及び解熱薬(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-ジホスフェート-コリン)及びコチニンが挙げられる。
【0157】
存在する場合、APIの量は変化し得る。例えば、存在する場合、APIは、典型的には、組成物の総重量に基づいて、約0.001%w/w~約10重量%、例えば約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%w/w、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、又は約1%から約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10重量%の濃度である。
【0158】
本明細書で上記したように、組成物中に存在する塩基性アミンは、ニコチン又はニコチン成分であってもよく、又は有効成分又は有効成分の構成要素であってもよい。当業者は、本明細書で定義される多くの有効成分が、塩基性アミンとして分類され得る分子から構成されることを認識するであろう。したがって、このような塩基性アミン含有有効成分と本明細書に記載の親油性有機酸とのイオン対化が企図される。そのような実施形態では、有効成分と有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせとのイオン対は、イオン対を含む組成物の安定性を向上させるか、又は有効成分のイオン対化している形態の存在により有効成分の予測される経口粘膜吸収を向上させることができる。
【0159】
香味剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の発泡性組成物は、香味剤を含む。本明細書で使用される場合、「香味剤」又は「香味料」は、経口製品に関連する感覚特性を変化させることができる任意の風味のある又は芳香性の物質である。香味剤によって変更できる感覚特性の例の例には、味、口当たり、湿り気、清涼感/熱、及び/又は香り/芳香を挙げることができる。香味剤は、天然又は合成であってもよく、それによって付与される風味の特徴は、限定されないが、フレッシュ、甘味、ハーブ、菓子、フローラル、フルーティー、又はスパイシーとして記載され得る。具体的な種類の香味としては、限定されないが、バニラ、コーヒー、チョコレート/ココア、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ユーカリ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、サンダルウッド、ハチミツ、ジャスミン、ジンジャー、アニス、セージ、甘草、レモン、オレンジ、リンゴ、モモ、ライム、チェリー、イチゴ、パイナップル、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。また、Leffingwell et al.,Tobacco Flavoring for Smoking Products,R.J.Reynolds Tobacco Company(1972)を参照されたい。その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれている。香味料はまた、ユーカリなどの湿潤剤、冷却剤又は平滑剤と考えられる成分を含み得る。これらの香味剤は、ニート(すなわち、単独で)又は複合体で提供されてもよく、濃縮物又は香味剤パッケージ(例えば、スペアミント及びメントール、オレンジ及びシナモン、ライム、パイナップルなど)として使用されてもよい。代表的な種類の構成要素はまた、Whiteらに対する米国特許第5,387,416号明細書、Stricklandらに対する米国特許出願公開第2005/0244521号明細書及びQuinterらに対するPCT出願の国際公開第05/041699号パンフレットに記載されている。それぞれが、参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、香味剤は、噴霧乾燥形態又は液体の形態で提供され得る。
【0160】
香味剤は、一般に、少なくとも1つの揮発性香味成分を含む。本明細書で使用される場合、「揮発性」は、周囲温度で容易に蒸気を形成する化学物質(すなわち、不揮発性物質と比較して所定の温度において蒸気圧が高い化学物質)を指す。典型的には、揮発性香味成分は、約400Da未満の分子量を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合、炭素-酸素二重結合、又はその両方を含むことが多い。一実施形態では、少なくとも1つの揮発性香味成分は、1つ以上のアルコール、アルデヒド、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、テルペン、テルペノイド、又はそれらの組み合わせを含む。アルデヒドの非限定的な例としては、バニリン、エチルバニリン、p-アニスアルデヒド、ヘキサナール、フルフラール、イソバレルアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びシトロネラールが挙げられる。ケトンの非限定的な例としては、1-ヒドロキシ-2-プロパノン及び2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン-1-オンが挙げられる。エステルの非限定的な例としては、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、酢酸イソアミル及び3-メチルブチルアセテートが挙げられる。テルペンの非限定的な例としては、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、ネロリドール、ツジョン、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール及びユーカリプトールが挙げられる。一実施形態では、少なくとも1つの揮発性香味成分は、エチルバニリン、シンナムアルデヒド、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、又はシトラールの1つ以上を含む。
【0161】
組成物中で利用される香味剤の量は様々であり得るが、典型的には最大約10重量%であり、特定の実施形態は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約0.1重量%、例えば約0.5~約10重量%、約1~約6重量%、又は約2~約5重量%の香味剤含有量を特徴とする。組成物内に存在する香味剤の量は、ある期間(例えば、組成物の調製後の保存期間)にわたって変化し得る。例えば、組成物に存在する特定の揮発性成分は、蒸発するか又は化学変換を受け、1つ以上の揮発性香味成分の濃度の低下をもたらし得る。
【0162】
味調整剤
本明細書に開示される組成物の感覚刺激特性を改善するために、組成物は、例えば、本明細書に記載される組成物の香味をマスキング、変化、遮断又は改善するのに役立ち得る1つ以上の味改変剤(「味調整剤」を含み得る。そのような味調整剤の非限定的な例には、知覚される冷感(例えば、メントール、ユーカリ、ミント)、加温感(例えば、シナモン)、又は有痛感(例えば、カプサイシン)を生じる鎮痛性又は麻酔性のハーブ、スパイス、及びフレーバーが含まれる。特定の味調整剤は、2つ以上の重複するカテゴリに分類される。
【0163】
いくつかの実施形態では、味調整剤は、苦味、甘味、塩味又は酸味のうちの1つ以上を改質する。いくつかの実施形態では、味調整剤は疼痛受容体を標的とする。いくつかの実施形態では、組成物は、苦味を有する有効成分と、苦味の知覚を隠す又は遮断する味調整剤とを含む。いくつかの実施形態では、味調整剤は、例えば、別の成分(例えば、有効成分)の苦味を隠すために、使用者の口腔の痛覚受容器(例えば、バニロイド受容体)を標的とする物質である。適切な味調整剤には、カプサイシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、アデノシンモノホスフェート(AMP)、ラクチソール、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0164】
存在する場合、味調整剤の代表的な量は、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上、又は約1.0重量%以上であるが、典型的には、組成物の総重量の約10重量%未満(例えば、組成物の総重量の約0.01%、約0.05%、約0.1%又は約0.5%から約1%、約5%、又は約10重量%)を構成する。
【0165】
塩
いくつかの実施形態では、組成物は、典型的には、所望の感覚特性を組成物に付与するのに十分な量で使用される塩(例えば、アルカリ金属塩)をさらに含んでもよい。適切な塩の非限定的な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、小麦粉の塩などが挙げられる。
【0166】
存在する場合、塩の代表的な量は、約0.5重量%以上、約1.0重量%以上又は約1.5重量%以上であるが、典型的には、組成物の総重量の約10%以下、又は約7.5%以下、又は約5%以下(例えば、約0.5~約5重量%)を構成する。
【0167】
甘味料
本開示による組成物の感覚特性を改善するために、1つ以上の甘味料を添加してもよい。甘味料は、天然若しくは人工の形態で、又は天然甘味料及び人工甘味料の組み合わせとして、任意の甘味料又は甘味料の組み合わせであり得る。天然甘味料の例としては、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、ステビア、ハチミツなどが挙げられる。人工甘味料の例としては、スクラロース、イソマルツロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、甘味料は、1つ以上の糖アルコールを含む。糖アルコールは、部分的又は完全に水素化された形態を有する単糖又は二糖から誘導されるポリオールである。糖アルコールは、例えば、約4~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール、及びそれらの組み合わせ(例えば、水素化デンプン加水分解物)を含む。いくつかの実施形態では、甘味料は、スクラロース、アセスルファムK、又はそれらの組み合わせである。
【0168】
存在する場合、甘味料又は甘味料の組み合わせは、組成物の総重量に基づいて、重量で組成物の約0.01~約20%又はそれ以上、例えば約0.01~約0.1、約0.1~約1%、約1~約5%、約5~約10%、又は約10~約20重量%を構成し得る。いくつかの実施形態では、甘味料の組み合わせは、組成物の約0.01%~約0.1重量%、例えば組成物の約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09又は約0.1重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、甘味料の組み合わせは、組成物の約0.1%~約0.5重量%、例えば組成物の約0.1、約0.2、約0.3、約0.4又は約0.5重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、甘味料の組み合わせは、組成物の約1%~約3重量%の濃度で存在する。
【0169】
結合剤
特定の実施形態では、結合剤(又は結合剤の組み合わせ)を使用することができる。典型的な結合剤は、有機若しくは無機、又はそれらの組み合わせであり得る。代表的な結合剤には、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプン系結合剤、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼインなど、及びそれらの組み合わせが含まれる。結合剤は、所望の物理的属性及び物理的完全性を組成物に与えるのに十分な量で使用され得る。組成物中で利用される結合剤の量は様々であり得るが、典型的には最大約30重量%であり、特定の実施形態は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約0.1重量%、例えば約1~約30重量%、又は約5~約10重量%の結合剤の含有量を特徴とする。
【0170】
他の適切な結合剤としては、ガム、例えば天然ガムが挙げられる。本明細書で使用される場合、天然ガムは、結合特性を有し、増粘剤又はゲル化剤としても有用な天然起源の多糖材料を指す。典型的にはある程度水溶性である植物由来の代表的な天然ガムとしては、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、トラガカントゴム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。存在する場合、天然ゴム結合材料は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、最大約5重量%、例えば約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、又は約1%から約2、約3、約4、又は約5重量%の量で存在する。
【0171】
保湿剤
特定の実施形態では、1つ以上の保湿剤を組成物に使用することができる。保湿剤の例としては、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。含まれる場合、湿潤剤は、典型的には、所望の水分属性を組成物に与えるのに十分な量で提供される。さらに、いくつかの例では、保湿剤は、鋳型に堆積するため組成物に望ましい流れの特性を付与し得る。
【0172】
存在する場合、湿潤剤は、典型的には、組成物の重量の約5%以下を構成する(例えば、約0.5~約5重量%で)。存在する場合、湿潤剤の代表的な量は、組成物の総重量に基づいて、約0.1%~約1重量%で、又は約1%~約5重量%である。
【0173】
緩衝剤
特定の実施形態では、本開示の組成物は、pH調整剤又は緩衝剤を含むことができる。使用することができるpH調整剤及び緩衝剤の例としては、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物)、及び金属カルバメート(例えば、カリウムカルバメート又はナトリウムカルバメート)などの他のアルカリ金属緩衝剤、又はナトリウムバイカルバメートなどの金属バイカルバメートなどが挙げられるが、これらに限定されない。適切な緩衝剤の非限定的な例としては、アルカリ金属アセテート、グリシンアセテート、ホスフェート、グリセロホスフェート、クエン酸塩、カルバメート、炭酸カルバメート、ホウカルバメート、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0174】
存在する場合、緩衝剤は、典型的には、組成物の重量に基づいて約5%未満、例えば、組成物の総重量に基づいて約0.5%~約5%、例えば、約0.75%~約4%、約0.75%~約3%、又は約1%~約2重量%の量で存在する。
【0175】
着色剤
着色剤は、組成物に所望の物理的属性を付与するのに十分な量で使用され得る。着色剤の例としては、カラメル着色剤や二酸化チタンなどの各種染料や顔料が挙げられる。クルクミン、ビートジュース抽出物、スピルリナなどの天然着色剤、また、様々な合成顔料を使用してもよい。組成物中で利用される着色剤の量は様々であり得るが、存在する場合、組成物の総重量に基づいて、典型的には最大約3重量%で、例えば約0.1%、約0.5%、又は約1%~約3重量%である。
【0176】
タバコ用材料
いくつかの実施形態では、組成物はタバコ用材料を含み得る。タバコ用材料は、種、種類、及び形態が異なり得る。一般に、タバコ用材料は、ニコチアナ種の収穫された植物から得られる。ニコチアナ種の例としては、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスティカ(N.rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレンツイイ(N.arentsii)、N.エクセルシオル(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルティノサ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.クニグティアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルッフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトチェリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントーサ(N.tomentosa)、N.トメントシフォルミス(N.tomentosiformis)、N.ウンドゥラータ(N.undulata)、N.×サンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種ヘスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフロラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)、及びN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ種由来の様々な代表的な他のタイプの植物は、Goodspeed,The Genus Nicotiana,(Chonica Botanica)(1954)、Sensabaugh,Jr.らに対する米国特許第4,660,577号明細書、Whiteらに対する第5,387,416号明細書、Lawsonらに対する第7,025,066号明細書、Lawrence,Jr.らに対する第7,798,153号明細書及びMarshallらに対する第8,186,360号明細書に記載されている。これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。様々なタイプのタバコ、栽培の実際及び収穫の実際の説明は、参照により本明細書に組み込まれるTobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)に記載されている。
【0177】
適切なタバコ用材料を得ることができるニコチアナ種は、遺伝子改変又は交配技術を使用して誘導することができる(例えば、タバコ植物は、成分、特徴又は特質の産生を増加又は減少させるように遺伝子操作又は交配することができる)。例えば、Fitzmauriceらに対する米国特許第5,539,093号明細書、Wahabらに対する第5,668,295号明細書、Fitzmauriceらに対する第5,705,624号明細書、Weiglらに対する第5,844,119号明細書、Dominguezらに対する第6,730,832号明細書、Liuらに対する第7,173,170号明細書、Colliverらに対する第7,208,659号明細書、Benningらに対する第7,230,160号明細書、Conklingらに対する米国特許出願公開第2006/0236434号明細書、及びNielsenらに対する国際公開第2008/103935号パンフレットに記載されている植物の遺伝子改変のタイプを参照されたい。また、Sensabaugh,Jr.らに対する米国特許第4,660,577号、Whiteらに対する第5,387,416号明細書、及びDominguezらに対する第6,730,832号明細書に記載されている植物の遺伝子改変のタイプを参照されたい。それぞれが、参照により本明細書に組み込まれる。
【0178】
ニコチアナ種は、いくつかの実施形態では、その中に存在する様々な化合物の含有量について選択することができる。例えば、植物は、それらの植物がそこから単離されることが望まれる化合物の1つ以上を比較的大量に産生することに基づいて選択することができる。特定の実施形態では、ニコチアナ種(例えば、ガルパオ・コムン(Galpao commun)タバコ)の植物は、それらの豊富な葉の表面の化合物のために特に栽培される。タバコ植物は、温室、育成室、又は屋外の圃場で栽培するか、又は水耕栽培することができる。
【0179】
ニコチアナ種の植物の様々な部分は、本明細書に開示される組成物内に含まれ得る。例えば、実質的に全ての植物(例えば、植物全体)を収穫し、そのまま使用することができる。あるいは、植物の様々な部分又は断片を収穫し、又は収穫後にさらに使用するために分離することができる。例えば、花、葉、茎、柄、根、種子、及びそれらの様々な組み合わせを、さらなる使用又は処理のために単離することができる。いくつかの実施形態では、タバコ用材料はタバコの葉(ラミナ)を含む。本明細書に開示される組成物は、加工タバコ部分又は断片、本質的に天然のラミナ及び/又は茎形態の硬化及び熟成タバコ、タバコ抽出物、抽出タバコパルプ(例えば、溶媒として水を使用)、又は前述の混合物(例えば、抽出されたタバコパルプを顆粒化された熟成された天然タバコラミナと組み合わせる混合物)を含むことができる。
【0180】
特定の実施形態では、タバコ用材料は、ラミナ及び茎からなる群から選択される固体タバコ用材料を含む。混合物に使用されるタバコは、最も好ましくは、タバコラミナ、又はタバコラミナと茎との混合物(少なくとも一部が煙処理されている)を含む。混合物内のタバコの部分は、加工されたタバコの茎(例えば、被切断の巻かれた茎、被切断の巻かれた拡張させた茎又は被切断の膨化された茎)又は体積膨張タバコ(例えば、ドライアイス拡張タバコ(DIET)などの膨化タバコ)などの加工形態を有してもよい。例えば、de la Burdeらに対する米国特許第4,340,073号明細書、Guyらに対する第5,259,403号明細書及びPoindexterらに対する第5,908,032号明細書及びPoindexterらの第7,556,047号明細書に記載されているタバコ増殖プロセスを参照されたい。これらは全て参照により組み込まれる。さらに、d混合物は、発酵されたタバコを任意選択に組み込んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、Atchleyらの国際公開第2005/063060号パンフレットに記載されているタバコ処理技術の種類も参照されたい。
【0181】
タバコ用材料は、典型的には、微粒子状として説明することができる形態(すなわち、断片化された形態、粉砕された形態、顆粒化された形態、又は粉末化された形態)で使用される。タバコ用材料が細かく分割された形態又は粉末形態で提供される方法は、様々であり得る。好ましくは、植物の部分又は断片は、微粒子化、ミリングなどのための装置及び技術を使用して細分、粉砕又は微粒子化される。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、エアコントロールミルなどの装置を使用した、粉砕又はミリング中に比較的乾燥している形態である。例えば、タバコの部分又は断片は、その水分含有量が約15重量%未満又は約5重量%未満である場合に粉砕又はミリングされてもよい。最も好ましくは、タバコ用材料は、1.4ミリメートル~250ミクロンの平均粒径を有する部分又は断片の形態で使用される。いくつかの例では、タバコの粒子は、必要な粒径範囲を得るためにスクリーンメッシュを通過するようなサイズにすることができる。所望であれば、空気分類装置を使用して、所望のサイズ又はサイズの範囲の小型タバコ粒子を確実に収集することができる。所望であれば、異なるサイズの粒状タバコ片を一緒に混合してもよい。
【0182】
タバコが細かく分割された形態又は粉末形態で提供される方法は、様々であり得る。好ましくは、タバコの部分又は断片は、微粒子化、ミリングなどのための装置及び技術を使用して粉末タイプの形態に細分、粉砕又は微粒子化される。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、エアコントロールミルなどの装置を使用した、粉砕又はミリング中に比較的乾燥している形態である。例えば、タバコの部分又は断片は、その水分含有量が約15重量%未満~約5重量%未満である場合に粉砕又はミリングされてもよい。例えば、タバコ植物又はその一部は、個々の部分又は断片(例えば、葉を茎から除去することができ、及び/又は茎及び葉を茎から除去することができる)に分離することができる。収穫された植物又は個々の部分若しくは断片は、部分又は断片にさらに細分することができる(例えば、葉は、断片化、切断、細分、微粒子化、ミリング又は粉砕して、充填剤のタイプの断片、顆粒、微粒子又は微粉として特徴付けることができる断片又は部分にすることができる)。植物又はその一部は、外力又は圧力を(例えば、プレス又はロール処理に供されることによって)受けることができる。このような処理条件を実行する場合、植物又はその一部は、その自然の含水量に近い含水量(例えば、収穫直後の水分含量)、植物又はその一部に水分を添加することによって達成される含水量、又は植物又はその一部の乾燥から生じる含水量を有することができる。例えば、植物又はその一部の粉末化、微粒子化、粉砕又はミリングされた断片は、約25重量%未満、しばしば約20重量%未満、頻繁に約15重量%未満の水分含有量を有することができる。
【0183】
経口組成物の調製のために、ニコチアナ種の収穫された植物が硬化プロセスに供されることが典型的である。本明細書に開示される組成物内に組み込まれるタバコ用材料は、適切に硬化及び/又は熟成されたものである。様々なタイプのタバコのための様々なタイプの硬化プロセスの説明は、Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)に記載されている。フルキュアドタバコを硬化させるための技術及び条件の例は、Nestor et al.,Beitrage Tabakforsch.Int.,20,467-475(2003)及びPeeleに対する米国特許第6,895,974号明細書に記載されている。これらは、参照により本明細書に組み込まれる。エアーキュアリングタバコの代表的な技術及び条件は、Grovesらによる米国特許第7,650,892号明細書、Roton et al.,Beitrage Tabakforsch.Int.,21,305-320(2005)及びStaaf et al.,Beitrage Tabakforsch.Int.,21,321-330(2005)に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。特定のタイプのタバコは、火力キュアリング又は日干しキュアリングなどの代替のタイプの硬化プロセスを受けることができる。
【0184】
特定の実施形態では、使用することができるタバコ用材料としては、フルキュアド又はVirginia(例えば、K326)、バーレー、日干しキュアド(例えば、Katerini、Prelip、Komotini、Xanthi及びYambolタバコを含む、Indian Kurnool及びOrientalタバコ)、Maryland、ダーク、ダーク火力、ダークエアキュアド(例えば、Madole、Passanda、Cubano、Jatin及びBezukiタバコ)、ライトエアキュアド(例えば、North WisconsinやGalpaoタバコ)、Indianエアキュアド、Red Russian及びRusticaのタバコ、並びに様々な他の希少な又は特殊なタバコ及び前述のタバコのいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0185】
タバコ用材料はまた、いわゆる「ブレンド」の形態を有してもよい。例えば、タバコ用材料は、フルキュアド、バーレー(例えば、マラウイのバーレー種タバコ)及びOrientalタバコ(例えば、タバコラミナから構成される、若しくはタバコラミナに由来するタバコ、又はタバコラミナとタバコの茎との混合物として)の部分又は断片の混合物を含むことができる。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量ベースで約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、ラミナ、又はラミナと茎)、及び約30~約70部のフルキュアドタバコ(例えば、茎、ラミナ、又はラミナと茎)を組み込むことができる。他の例のタバコブレンドは、約75部のフルキュアドタバコ、約15部のバーレー種タバコ及び約10部のOrientalタバコ、又は約65部のフルキュアドタバコ、約25部のバーレー種タバコ及び約10部のOrientalタバコ、又は約65部のフルキュアドタバコ、約10部のバーレー種タバコ及び約25部のOrientalタバコを乾燥重量を基準として、組み込んでいる。他の例のタバコのブレンドは、乾燥重量基準で約20~約30部のOrientalタバコ及び約70~約80部のフルキュアドタバコを組み込む。
【0186】
本開示で使用されるタバコ用材料は、例えば、発酵、漂白などに供することができる。所望であれば、タバコ用材料は、例えば、照射、低温殺菌、さもなければ制御された熱処理を受けることができる。そのような処理プロセスは、例えば、Muaらに対する米国特許第8,061,362号明細書に詳述されている。これは、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、タバコ用材料は、水、及びタバコ用材料の加熱時にアスパラギンの反応を阻害してアクリルアミドを形成することができる添加剤(例えば、リジン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価カチオンを組み込んだ組成物、アスパラギナーゼ、特定の非還元性糖類、特定の還元剤、フェノール化合物、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能基を有する特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤)で処理することができる。例えば、Chenらに対する米国特許第8,434,496号明細書、第8,944,072号明細書及び第8,991,403号明細書に記載されている処理プロセスの種類を参照されたい。これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、この種の処理は、元のタバコ用材料が前述のプロセスで熱にさらされる場合に有用である。
【0187】
いくつかの実施形態では、タバコ用材料の種類は、最初は他のタバコ用材料よりもある程度色が視覚的に明るくなる(例えば、白色化又は漂白)ように選択される。特定の実施形態では、当技術分野で公知の任意の手段に従って、タバコパルプを白色化することができる。例えば、種々の漂白剤や酸化剤、酸化触媒を用いた種々の漂白方法によって製造された白くされたタバコ用材料を用いることができる。酸化剤の例としては、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム及びそれらの組み合わせが挙げられる。酸化触媒の例は、二酸化チタン、二酸化マンガン及びそれらの組み合わせである。漂白剤でタバコを処理する方法は、例えば、Daniels,Jr.の米国特許第787,611号明細書、Oelenheinzに対する第1,086,306号明細書、Dellingに対する第1,437,095号明細書、Rosenhochに対する第1,757,477号明細書、Hawkinsonに対する第2,122,421号明細書、Baierに対する第2,148,147号明細書、Baierに対する第2,170,107号明細書、Baierに対する第2,274,649号明細書、Pratsらに対する第2,770,239号明細書、Rosenに対する第3,612,065号明細書、Rosenに対する第3,851,653号明細書、Rosenに対する第3,889,689号明細書、Minamiに対する第3,943,940号明細書、Rosenに対する第3,943,945号明細書、Rainerに対する第4,143,666号明細書、Campbellに対する第4,194,514号明細書、Rainerらに対する第4,366,823号明細書、第4,366,824号明細書及び第4,388,933号明細書、Schmekelらに対する第4,641,667号明細書、Bergerに対する第5,713,376号明細書、Byrd Jr.らに対する第9,339,058号明細書、Beesonらに対する第9,420,825号明細書及びByrd Jr.らに対する第9,950,858号明細書、並びにBjorkholmらに対する米国特許出願公開第2012/0067361号明細書、Crooksに対する第2016/0073686号明細書、Bjorkholmに対する第2017/0020183号明細書及びBjorkholmに対する第2017/0112183号明細書、及びGiolvasに対するPCT出願国際公開第1996/031255号パンフレット及びBjorkholmに対する国際公開第2018/083114号パンフレットに記載されている。これらは、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0188】
いくつかの実施形態では、白色化タバコ用材料は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%のISOの明度を有することができる。いくつかの実施形態では、白色化タバコ用材料は、約50%~約90%、約55%~約75%、又は約60%~約70%の範囲のISOの明度を有することができる。ISOの明度は、ISO3688:1999又はISO2470-1:2016に従って測定することができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、白色化タバコ用材料は、非処理のタバコ用材料と比較して色が薄くなっている(例えば、「白色化」)ことを特徴とすることができる。白色は、頻繁に国際照明委員会(CIE)の色度図を参照して定義される。白色化されたタバコ用材料は、特定の実施形態では、色度図において、非処理のタバコ用材料よりも純粋な白色に近いことを特徴とすることができる。
【0190】
様々な実施形態において、タバコ用材料は、そこからタバコ用材料の可溶性成分を抽出するように処理することができる。本明細書で使用される「タバコ抽出物」は、抽出プロセスにおいてタバコ用材料と接触させる溶媒によって固体のタバコパルプから抽出される、タバコ用材料の単離された成分を指す。タバコ用材料の様々な抽出技術を使用して、タバコ抽出物及びタバコ固体材料を提供することができる。例えば、Beesonらに対する米国特許出願公開第2011/0247640号明細書に記載されている抽出プロセスを参照されたい。これは、参照により本明細書に組み込まれる。タバコの成分を抽出するための他の例示的な技術は、Fioreに対する第4,144,895号明細書、Osborne,Jr.らに対する第4,150,677号明細書、Reidに対する第4,267,847号明細書、Wildmanらに対する第4,289,147号明細書、Brummerらに対する第4,351,346号明細書、Brummerらに対する第4,359,059号明細書、Mullerに対する第4,506,682号明細書、Keritsisに対する第4,589,428号明細書、Sogaらに対する第4,605,016号明細書、Pouloseらに対する第4,716,911号明細書、Niven,Jr.らに対する第4,727,889号明細書、Bernasekらに対する第4,887,618号明細書、Clappらに対する第4,941,484号明細書、Faggらに対する第4,967,771号明細書、Robertsらに対する第4,986,286号明細書、Faggらに対する第5,005,593号明細書、Grubbsらに対する第5,018,540号明細書、Whiteらに対する第5,060,669号明細書、Faggに対する第5,065,775号明細書、Whiteらに対する第5,074,319号明細書、Whiteらに対する第5,099,862号明細書、Whiteらに対する第5,121,757号明細書、Faggに対する第5,131,414号明細書、Munozらに対する第5,131,415号明細書、Faggに対する第5,148,819号明細書、Kramerに対する第5,197,494号明細書、Smithらに対する第5,230,354号明細書、Faggに対する第5,234,008号明細書、Smithに対する第5,243,999号明細書、Raymondらに対する第5,301,694号明細書、Gonzalez-Parraらに対する第5,318,050号明細書、Teagueに対する第5,343,879号明細書、Newtonに対する第5,360,022号明細書、Clappらに対する第5,435,325号明細書、Brinkleyらに対する第5,445,169号明細書、Lauterbachに対する第6,131,584号明細書、Kierulffらに対する第6,298,859号明細書、Muaらに対する第6,772,767号明細書及びThompsonに対する第7,337,782号明細書に記載されているものであり、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
タバコ用材料の典型的な包含範囲は、タバコ用材料の性質及び種類、並びに最終混合物に対する意図される効果に応じて異なり得、組成物の総重量(例えば、約0.1~約15重量%)に基づいて、最大約30重量%(又は最大約20重量%又は最大約10重量%、又は最大約5重量%)の範囲が例示される。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、(有効成分としての精製ニコチン以外)タバコ用材料を完全に含まないか、又は実質的に含まないと特徴付けることができる。例えば、特定の実施形態は、タバコ用材料の1重量%未満、又は0.5重量%未満又は0.1重量%未満、又はタバコ用材料の0重量%を有するものとして特徴付けることができる。
【0192】
口腔ケア用添加剤
いくつかの実施形態では、組成物は口腔ケア成分(又はそのような成分の混合物)を含む。口腔ケア成分は、齲歯又は歯の喪失を阻害する能力、歯肉疾患を阻害する能力、口痛を軽減する能力、歯を白くする能力、又はそうでなければ歯の着色を阻害する能力、唾液刺激を誘発する能力、口臭を阻害する能力、口臭を新鮮にする能力などを付与する。例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛(例えば、Discus DentalからZYTEX(R)として市販されている配合物の成分など)などの有効な量の成分を組成物に組み込むことができる。本組成物内に所望の有効な量で組み込むことができる成分の他の例としては、Takahashi et al.,Oral Microbiology and Immunology,19(1),61-64(2004)、Thistleに対する米国特許第6,083,527号明細書、Jakubowskiに対する米国特許第出願公開第2006/0210488号明細書、Cumminsらに対する第2006/02228308号明細書に記載されているタイプの口腔ケア組成物内に組み込まれるものを挙げることができる。タバコ含有配合物の他の例示的な成分としては、RoquetteによってMALTISORB(R)として販売されている配合物及びNatraRxによってDENTIZYME(R)として販売されている配合物に含まれるものが挙げられる。存在する場合、口腔ケア添加剤の代表的な量は、発泡性組成物の総乾燥重量の少なくとも約1%、しばしば少なくとも約3%、頻繁に少なくとも約5%である。発泡性組成物中の口腔ケア添加剤の量は、典型的には、発泡性組成物の総乾燥重量の約30%を超えず、多くの場合、約25%を超えず、頻繁に約20%を超えない。
【0193】
加工助剤
組成物の下流処理、例えば、造粒、混合、又は成形に必要な場合、組成物の流動性を高めるために流動助剤を組成物に添加することもできる。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、融解及び噛む形態)は、油、シリコーンなどの固着防止剤で表面処理されてもよい。例示的な流動助剤には、微結晶セルロース、シリカ、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、カナバワックス及びそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、流動助剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0194】
存在する場合、流動助剤の代表的な量は、組成物の総乾燥重量の少なくとも約0.5%又は少なくとも約1%を構成し得る。好ましくは、組成物中の流動助剤の量は、組成物の総乾燥重量の約5%を超えず、頻繁に約3%を超えない。
【0195】
その他の添加剤
他の添加剤を開示された組成物に含めることができる。例えば、組成物は、他の材料又は成分と加工、ブレンド、配合、組み合わせ及び/又は混合することができる。添加剤は、人工的であってもよく、又はハーブ若しくは生物学的供給源から得ることができるか若しくは誘導され得る。さらなる種類の添加剤の例としては、増粘剤又はゲル化剤(例えば、魚ゼラチン)、乳化剤、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、崩壊助剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、それらの代表的な成分、成分の組み合わせ、それらの成分の相対的な量、並びにそれらの成分を使用するための手法及び方法は、Muaらによる米国特許第9,237,769号明細書、Holton,Jr.らによる米国特許第7,861,728号明細書、Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号明細書及びHolton,Jr.らによる米国特許出願公開第2007/0062549号明細書を参照されたい。その各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0196】
そのような追加の添加剤の典型的な含有範囲は、添加剤の性質及び機能並びに最終組成物に対する意図された効果に応じて変化し得、組成物の総重量に基づいて、最大約10重量%の範囲が例示される(例えば、約0.1~約5重量%で)。
【0197】
前述の添加剤は、一緒に(例えば、添加剤配合物として)又は別々に(例えば、個々の添加剤成分は、最終混合物の調製に関与する異なる段階で添加することができる)使用することができる。さらに、前述の種類の添加剤は、最終製品又は組成物に供給されるようにカプセル化されてもよい。カプセル化された添加剤の例は、例えば、Atchleyに対する国際公開第2010/132444号パンフレットに記載されており、これは参照により本明細書に以前に組み込まれている。
【0198】
微粒子
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の充填剤、タバコ用材料、他の組成物成分、及び全体的な組成物のいずれか1つ以上は、微粒子状材料として記載することができる。本明細書で使用される場合、「微粒子」という用語は、複数の個々の粒子の形態の材料を指し、そのいくつかは、複数の粒子の凝集体の形態であってもよく、粒子は、2:1未満、例えば1.5:1未満、例えば約1:1の平均の長さ対幅の比を有する。様々な実施形態において、微粒子状材料の粒子は、実質的に球形又は粒状として説明することができる。
【0199】
微粒子状物質の粒径は、ふるい分析によって測定することができる。当業者が容易に理解するように、ふるい分析(そうでなければグラデーション試験として知られている)は、微粒子状材料の粒径分布を測定するために使用される方法である。典型的には、ふるい分析は、好ましくはワイヤメッシュ布の形態のスクリーンを含むふるいの入れ子状カラムを含む。予め秤量したサンプルを、カラム内の最上部又は最上部のふるいに導入することができ、これは最大のふるい開口部又はメッシュサイズ(すなわち、ふるいの最大孔径)を有する。カラム内の下側の各ふるいは、上側のふるいよりも徐々に小さいスクリーン開口部又はメッシュサイズを有する。典型的には、ふるいのカラムの基部には、カラムの底部又は最下部のふるい(最小のスクリーン開口部又はメッシュサイズを有する)のふるい開口部サイズ又はメッシュサイズよりも小さい粒径を有する任意の粒子を回収するためのレシーバー部分がある。
【0200】
いくつかの実施形態では、ふるいのカラムを機械的撹拌機の上又は中に配置することができる。撹拌機は、カラム内の各ふるいの振動を引き起こす。機械的撹拌機は、全ての粒子が正しいふるいに集められることを確実にするために、所定の期間活性化されてもよい。いくつかの実施形態では、ふるいのカラムを0.5分~10分の期間、例えば1分~10分、例えば1分~5分、例えば約3分間撹拌する。カラム内のふるいの撹拌が完了したら、各ふるい上に集められた物質を秤量する。次いで、各ふるい上に保持された質量のパーセンテージを得るために、各ふるい上の各試料の重量を総重量で除算することができる。当業者であれば容易に理解するように、ふるい分析に使用されるカラムの各ふるいのふるい開口部サイズ又はメッシュサイズは、分析される試料の粒度又は既知の最大/最小粒径に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、ふるい分析にふるいのカラムを使用することができ、カラムは、2~20個のふるい、例えば5~15個のふるいを含む。いくつかの実施形態では、ふるい分析にふるいのカラムを使用することができ、カラムは10個のふるいを含む。いくつかの実施形態では、ふるい分析に使用されるふるいの最大ふるい開口部又はメッシュサイズは、1000μm、例えば500μm、例えば400μm、例えば300μmであり得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料(例えば、充填剤、タバコ用材料、及び組成物全体)は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下のふるい分析によって測定される粒径を有する粒子を少なくとも50重量%有すると特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の少なくとも60重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の少なくとも70重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の少なくとも80重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の少なくとも90重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の少なくとも95重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の少なくとも99重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の微粒子状材料の粒子の約100重量%では、ふるい分析によって測定した場合、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば約350μm以下、例えば約300μm以下の粒径を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の粒子状材料の粒子の少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%が、ふるい分析によって測定した場合、約0.01μm~約1000μm、例えば約0.05μm~約750μm、例えば約0.1μm~約500μm、例えば約0.25μm~約500μmの粒径を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で言及される任意の粒子状材料の粒子の少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%が、ふるい分析によって測定した場合、約10μm~約400μm、例えば約50μm~約350μm、例えば約100μm~約350μm、例えば約200μm~約300μmの粒径を有する。
【0203】
組成物の調製
混合物の様々な成分を組み合わせる方法は、様々であり得る。したがって、様々な成分と例えば粉末状混合物成分との全体的な混合物は、本質的に比較的均一であり得る。液体又は乾燥固体形態であってもよい上記の成分は、混合物の任意の残りの成分と混合する前の前処理工程で混合するか、又は他の全ての液体又は乾燥成分と単に混合することができる。混合物の様々な成分は、当技術分野で公知の任意の混合技術又は装置を使用して、一緒に接触させる、組み合わせる、又は混合することができる。インペラ又は撹拌可能な他の構造を特徴とする混合用装置など、混合物の成分を密に接触させる任意の混合方法を使用することができる。混合装置の例としては、ケーシングドラム、コンディショニングシリンダ又はドラム、液体噴霧装置、円錐型ブレンダー、リボンブレンダー、Littleford Day,Inc.からFKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000及びFKM3000として入手可能なミキサー、Plough Shareタイプのミキサーシリンダ、Hobartミキサーなどが挙げられる。例えば、Solomonらによる米国特許第4,148,325号明細書、Korteらに対する第6,510,855号明細書及びWilliamsらに対する第6,834,654号明細書に記載されている方法の種類も参照されたい。これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、混合物を形成する成分は、その混合物が混合物を形成するためのデンプン成形プロセスにおいて使用され得るように調製される。混合物を配合するための手法及び方法は、当業者には明らかであろう。例えば、Solomonらによる米国特許第4,148,325号明細書、Korteらによる米国特許第6,510,855号明細書及びWilliamsの米国特許第6,834,654号明細書、Ridgwayらの米国特許第4,725,440号明細書及びBolderらの米国特許第6,077,524号明細書に記載されている方法の種類を参照されたい。これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0204】
経口用構成
経口使用のために構成された組成物が本明細書で提供される。本明細書で使用される「経口使用のために構成される」という用語は、使用中に、使用者の口の中の唾液が、組成物の成分の1つ以上(例えば、塩基性アミン、香味剤及び/又は有効成分)を使用者の口の中に通過させるような形態で組成物が提供されることを意味する。特定の実施形態では、組成物は、使用者の口の粘膜、使用者の消化器系、又はその両方を通して使用者に成分を送達するように適合され、いくつかの例では、前記成分は、製品が使用されるときに口の粘膜を通して吸収され得る、又は消化管を通して吸収され得るニコチン成分又は有効成分(限定されないが、例えば、ニコチン、刺激剤、ビタミン、アミノ酸、植物、又はそれらの組み合わせを含む)である。
【0205】
本明細書に記載の経口使用のために構成された組成物は、ゲル、トローチ、ガム、咀嚼物、融解、錠剤、ロゼンジ、粉末、及びパウチを含む様々な形態をとることができる。ゲルは、軟質又は硬質であり得る。経口使用のために構成された特定の組成物は、トローチの形態である。本明細書で使用される場合、「トローチ」という用語は、最終組成物が幾分硬化した固体ゲルになるように液体又はゲル組成物を凝固させることによって作製された溶解性経口組成物を指す。ゲルの剛性は非常に可変的である。本開示の特定の組成物は、固体の形態である。特定の組成物は、例えば、クリスピー、顆粒状、噛み応えのある、シロップ状、ペースト状、ふわふわした、滑らかな、及び/又はクリーム状の特徴のうちの1つ以上を示すことができる。特定の実施形態では、所望の食感の特性は、接着性、凝集性、密度、乾燥、破砕性、粒状性、ゴム性、硬度、重さ、吸湿性、水分放出、口部のコーティング、粗さ、滑り、平滑性、粘度、湿潤性、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0206】
本明細書に開示される組成物は、丸剤、錠剤、球、ストリップ、フィルム、シート、コイン、立方体、ビーズ、卵形、横長形、円柱、豆形、スティック又はロッドを含む様々な形状に形成することができる。組成物の断面の形状は様々であり得、例示的な断面の形状には、円形、正方形、楕円形、長方形などが含まれる。そのような形状は、移動ベルト、ニップ、押出機、造粒装置、圧縮装置などの機器を使用して様々な方法で形成することができる。
【0207】
本開示の組成物は溶解可能であり得る。本明細書で使用される場合、「溶解する」、「溶解すること」及び「溶解可能」という用語は、口腔内の水分と相互作用して溶液に入り、それによって組成物の緩やかな消費を引き起こす水溶性成分を有する組成物を指す。一態様によれば、溶解性組成物は、完全に溶解するまで所与の期間、使用者の口の中で持続することができる。溶解速度は、約1分以下から約60分までの広範囲にわたって変化し得る。例えば、速放性組成物は、典型的には、約2分以下、しばしば約1分以下(例えば、約50秒以下、約40秒以下、約30秒以下、又は約20秒以下)で所望の成分(例えば、有効成分、風味など)を溶解及び/又は放出する。溶解は、融解、機械的破壊(例えば、咀嚼)、酵素的若しくは他の化学的分解などの任意の手段によって、又は組成物の成分間の相互作用の破壊によって起こり得る。他の実施形態では、製品は、製品が使用者の口の中に滞留している間は溶解しない。
【0208】
いくつかの実施形態では、組成物は咀嚼可能であり得、これは組成物が咀嚼時に穏やかな弾力性又は「跳ね返り」を有し、望ましい程度の展延性を有することを意味する。咀嚼可能な形態の組成物は、完全に溶解していてもよく、又は特定の成分(例えば、有効成分、香味、甘味料)のみが溶解して非溶解母材を残す非溶解ガムの形態であってもよい。咀嚼可能な実施形態は、一般に、結合剤、例えば天然ゴム又はペクチンを含む。いくつかの実施形態では、咀嚼可能な形態の組成物は、ペクチン及び有機酸を、組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量の1つ以上の糖アルコールと共に含む。一般に、ペクチンは、組成物の総重量に基づいて、約1~約3重量%の量で存在する。
【0209】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Cantrellらによる米国特許出願公開第2012/0037175号明細書にて論じられているように、融解可能にすることができる。本明細書で使用される場合、「融解」、「融解すること」、及び「融解可能」は、組成物が固体の状態から液体の状態に変化し得ることを指す。すなわち、融解することは、物質(例えば、本明細書に開示される組成物)が通常は熱を加えることによって固体から液体に変化するときに起こる。本明細書に開示される組成物に関する熱の適用は、使用者の口の内部温度によって成される。したがって、「融解可能」という用語は、組成物が固体から液体に相変化するときに使用者の口の中で液化することができる組成物を指し、組成物の水溶性成分が水分と相互作用するときに口腔内で単に溶解する組成物内の凝集性の喪失によって口腔内で単に崩壊する組成物を、区別することを意図する。一般に、融解可能な組成物は、本明細書において上述されたような脂質を含む。いくつかの実施形態では、融解可能な形態の組成物は、組成物の総重量に基づいて、約35~約50重量%の量の脂質と、組成物の総重量に基づいて、約35~約55重量%の量の糖アルコールとを含む。いくつかの実施形態では、糖アルコールは、イソマルト、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、リビトール、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、糖アルコールは、イソマルトである。
【0210】
特定の実施形態では、組成物は、圧縮又は成形ペレットの形態である。ペレット重量の例は、約250mg~約1500mg、例えば約250mg~約700mg、又は約700mg~約1500mgの範囲である。ペレットは、従来の丸薬又は錠剤の形状を含む様々な形状のいずれかを有することができる。一般に、錠剤の形態の組成物は、グルコース-多糖ブレンド及び糖アルコールを含む。いくつかの実施形態では、グルコース-多糖ブレンドは、組成物の総重量に基づいて、約35~約50重量%の量で存在する。糖アルコールは、組成物の総重量に基づいて、約30~約45重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、糖アルコールは、イソマルト、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、リビトール、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、糖アルコールは、イソマルトである。
【0211】
一実施形態では、本開示の組成物は、透湿性容器(例えば、透水性パウチ)内に配置される。透水性パウチ形式のこのような組成物は、典型的には、混合物を含む1つのパウチをヒトである対象/使用者の口の中に置くことによって使用される。一般に、パウチは、湿った嗅ぎタバコが一般に使用されるのと同様に、使用者の口腔のどこか、例えば唇の下に配置される。パウチは、好ましくは、咀嚼又は嚥下されない。次いで、唾液へ曝されることにより、その中の組成物の成分の一部(例えば、香味剤及び/又はニコチン)が、例えば透水性パウチを通過し、使用者に風味及び満足感をもたらし、使用者は混合物のいかなる部分も吐出さなくてよい。使用/堪能の約10分~約60分、典型的には約15分~約45分後、相当の量の混合物がヒトである対象によって摂取され、廃棄のためにパウチをヒト対象の口から取り外すことができる。
【0212】
したがって、特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物及び上記の任意の他の成分は、経口使用のために構成されたパウチ製品を提供するために、組成物の使用のための容器として機能する透湿性パケット又はパウチ内で組み合わされる。本開示の特定の実施形態は、添付の図面の
図1を参照して説明され、これらの説明された実施形態は、外側パウチを有し、本明細書に記載の混合物を含有する、スヌース型の製品を含む。以下により詳細に説明するように、そのような実施形態は、例としてのみ提供され、本開示のパウチ製品は、他の形態の組成物を含むことができる。
図1に示す実施形態における、容器パウチ102などのそのようなパケット又はパウチの混合物/構造は、様々であり得る。
図1を参照すると、パウチ製品100の第1の実施形態が示されている。パウチ製品100は、本明細書に記載の組成物を含む材料104を含むパウチ102の形態の透湿性容器を含む。
【0213】
無煙タバコ製品の製造に使用されるタイプの適切なパケット、パウチ又は容器は、商品名CatchDry、Ettan、General、Granit、Goteborgs Rape、Grovsnus White、Metropol Kaktus、Mocca Anis、Mocca Mint、Mocca Wintergreen、Kicks、Probe、Prince、Skruf及びTreAnkrareで入手可能である。混合物は、従来のスヌース型の製品の製造に使用される種類の構成要素の様式で、またそれを使用して、パウチに収容され包装されてもよい。パウチは、ティーバッグの構築に使用されるメッシュ状タイプの材料と特徴が類似していると考えられ得るタイプの液体透過性の容器を備える。混合物の成分は、パウチを通って使用者の口の中に容易に拡散する。
【0214】
適切なタイプのパウチの非限定的な例は、例えば、Kjerstadに対する米国特許第5,167,244号明細書及びSebastianらに対する第8,931,493号明細書、Sebastianらによる米国特許出願公開第2016/0000140号明細書、Sebastianらに対する第2016/0073689号明細書、Chapmanらに対する第2016/0157515号明細書及びSebastianらに対する第2016/0192703号明細書に記載されている。これらは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。パウチは、個々のパウチとして設けることができ、又は単一のパウチ又は個々の部分を、使用のために、パウチのワンピースのストランド又は母材から、容易に取り外すことができるように、複数のパウチ(例えば、2、4、5、10、12、15、20、25又は30個のパウチ)を互いに接続又は連結することができる(例えば、エンドツーエンドの方法で)。
【0215】
例示的なパウチは、使用者による使用中にパウチが制御された分配又は溶解を経るような方法で、材料から製造することができる。そのようなパウチ材料は、メッシュ、スクリーン、穿孔紙、浸透性の布などの形態を有し得る。例えば、メッシュ状の形態のライスペーパー又は穿孔のあるライスペーパーから製造されたパウチ材料は、使用者の口の中で溶解し得る。結果として、パウチ及び混合物はそれぞれ、通常の使用条件の間に使用者の口内で完全に分散することができ、したがって、パウチ及び混合物の両方が使用者によって摂取され得る。パウチ材料の他の例は、水分散性フィルム形成材料(例えば、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、プルランなどの結合剤)、並びに粉砕セルロース(例えば、微粒子サイズの木材パルプ)などの材料と組み合わせた材料を使用して製造することができる。好ましいパウチ材料は、水分散性又は溶解性であるが、通常の使用条件下で、パウチがその物理的完全性を失う前に、かなりの量の混合物内容物がパウチ材料を透過するように、設計及び製造されてもよい。所望であれば、香味成分、崩壊助剤、及び他の所望の成分は、パウチ材料の中に組み込まれてもよく、又はパウチ材料に適用されてもよい。
【0216】
各製品ユニット、例えばパウチ内に含まれる材料の量は異なり得る。いくつかの実施形態では、各パウチ内の混合物の重量は、少なくとも約50mg、例えば、約50mg~約1g、約100~800約mg、又は約200~約700mgである。いくつかのより小規模の実施形態では、各パウチ内の混合物の重量は、約100~約300mgであり得る。より大規模な実施形態では、各パウチ内の材料の重量は、約300mg~約700mgであってもよい。必要に応じて、各パウチ内に他の成分を収容することができる。例えば、少なくとも1つの香味付けされた水分散性又は水溶性材料(例えば、新鮮な食用フィルムタイプの材料)のストリップ、ピース又はシートは、少なくとも1つのカプセルと共に又はカプセルなしで、各パウチ内に配置されてもよい。そのようなストリップ又はシートは、パウチ内に容易に組み込ませるために、折り畳まれても、しわを寄らせてもよい。例えば、Scottらに対する米国特許第6,887,307号明細書、及びLeungらに対する米国特許第6,923,981号明細書及びThe EFSA Journal(2004)85,1-32に記載される材料及び技術の種類を参照されたい。これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0217】
本明細書に記載のパウチ製品は、任意の適切な内側包装材料及び/又は外側容器の内部に包装することができる。例えば、Hensonらに対する米国特許第7,014,039号明細書、Kutschらに対する第7,537,110号明細書、Kutschらに対する第7,584,843号明細書、Gelardiらに対する第8,397,945号明細書、Thiellierに対するD592,956、Patelらに対するD594,154及びBaileyらに対するD625,178、Robinsonらに対する米国特許出願公開第2008/0173317号明細書、Clarkらに対する第2009/0014343号明細書、Bjorkholmに対する第2009/0014450号明細書、Bellamahらに対する第2009/0250360号明細書、Gelardiらに対する第2009/0266837号明細書、Gelardiに対する第2009/0223989号明細書、Thiellierに対する2009/0230003号明細書、Gelardiに対する第2010/0084424号明細書及びBaileyらに対する第2010/0133140号明細書、Baileyらに対する第2010/0264157号明細書、及びBaileyらに対する第2011/0168712号明細書に記載されている無煙タイプの製品用の様々なタイプの容器も参照されたい。これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
保存期間
経口使用のために構成された本開示の組成物(例えば、パウチ状)は、従来のタイプの無煙タバコ製品が包装されて貯蔵されるのとほぼ同じ方法で、任意の適切な包装で包装されて貯蔵され得る。例えば、円筒状の容器に複数のパケット又はパウチが収容されてもよい。調製後の製品の保存期間は変化し得る。本明細書で使用される場合、「保存期間」は、開示される製品の調製後の期間を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製品の特性(例えば、色の変化の欠如、揮発性香味成分の保持、ニコチンの保持)の1つ以上は、保存期間の一部又は全部にわたって示される。いくつかの実施形態では、保存期間(すなわち、調製後の期間)は少なくとも1日である。いくつかの実施形態では、保存期間は、約1日、約2日、又は約3日、約1週間、又は約1週間~約2週間、約2週間~約1ヶ月、又は約1ヶ月~約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、又は約6ヶ月である。いくつかの実施形態では、保存期間は、約1~約180日間の任意の日数である。特定の実施形態では、保存期間は、6ヶ月より長くてもよく、例えば、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、又は約24ヶ月であってもよい。
【0219】
安定性向上方法
別の態様では、本明細書に開示される経口使用のために構成された組成物の安定性を高める方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1種の充填剤を水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して組成物を形成することを含み、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合し、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態であり、組成物は約8未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、塩基性アミンはニコチンである。
【0220】
いくつかの実施形態では、本方法は、溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本方法は、組成物のpHを約7.0未満のpHに調整することをさらに含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、有機酸を組成物に添加し、約7.0未満のpHをもたらすことを含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、組成物に鉱酸を添加して、約7.0未満のpHをもたらすことを含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、有機酸及び鉱酸の両方を組成物に添加し、約7.0未満のpHをもたらすことを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、安定性を高めることは、約8を超えるpHを有する経口使用のために構成された組成物と比較して、保存期間にわたって組成物からの塩基性アミン(例えば、ニコチン)の蒸発での損失を減少させることを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、保存期間は、調製後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月又は6ヶ月のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、塩基性アミン(例えば、ニコチン)の損失は、6ヶ月の保存期間後に約5%未満である。いくつかの実施形態では、保存期間は、6ヶ月超、12ヶ月超、18ヶ月超、又は24ヶ月超でさえある。
【0224】
予測される経口吸収を増強する方法
さらなる態様では、本明細書に開示される経口使用のために構成された組成物からの塩基性アミン(例えば、ニコチン)の予測される経口(例えば、頬側)吸収を増強する方法が提供される。実際の吸収データを得るには侵襲的な実験が必要であるが、インビトロで頬側膜透過性を使用することによって予測データを容易に得ることができる。例えば、そのような膜を通るニコチンの透過率、又は時間に対する透過率を、ニコチン含有経口組成物の様々な実施形態について評価及び比較することができる。例えば、本開示による経口組成物を対照組成物(例えば、有機酸の非存在下でのニコチン、1.4未満のlogPを有する有機酸の存在下でのニコチンなど)と比較して、実際の頬側吸収を予測する代用データを提供することができる。
【0225】
いくつかの実施形態では、予測される経口吸収を増強する方法は、少なくとも1種の充填剤を水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせと混合して組成物を形成することを含み、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合し、会合が塩基性アミン-有機酸塩か、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対か、又はその両方の形態である。
【0226】
いくつかの実施形態では、本方法は、溶解度増強剤を組成物に添加することをさらに含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、本方法は、組成物のpHを約4.0~約7.0のpHに調整することをさらに含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、有機酸を組成物に添加し、約4.0~約7.0のpHをもたらすことを含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、組成物に鉱酸を添加し、約4.0~約7.0のpHをもたらすことを含む。いくつかの実施形態では、pHを調整することは、有機酸及び鉱酸の両方を組成物に添加し、約4.0~約7.0のpHをもたらすことを含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、予測される経口吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む組成物に対して透過した全塩基性アミンの割合を増加させることを含み、有機酸のlogP値は約1.4未満である。
【0229】
いくつかの実施形態では、塩基性アミンはニコチンであり、いくつかの実施形態では、予測される経口吸収を増強することは、有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はそれらの組み合わせを含む組成物に対して透過した全ニコチンの割合を増加させることを含み、有機酸のlogP値は約1.4未満である。
【0230】
本発明の多くの修正及び他の実施形態は、前述の説明に提示された教示の恩恵を受けて、本発明が関係する当業者によって想到されるであろう。したがって、本発明は本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、修正形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは一般的及び説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的では使用されていない。
【実施例】
【0231】
本発明の態様は、本発明の特定の態様を説明するために記載され、その限定として解釈されるべきではない以下の実施例によってより完全に近く説明される。
【0232】
[実施例1]
pHの関数としての遊離ニコチンの計算
Henderson-Hasselbalchの式(pH=pKa+log10(A-/HA))を使用して、異なるpH値で溶液中に存在する遊離ニコチンの割合を計算した。表2に示すデータは、遊離ニコチンの割合が、ニコチンのpKa付近のpHが変化するにつれて劇的に変化することを実証している。
【0233】
【0234】
[実施例2]
pH8.4での計算されたニコチン分配
pH8.4のニコチン溶液の理論的なオクタノール/水分配を、Molinspirationソフトウェア(https://www.molinspiration.com/services/logp.html)から得られた分配係数に基づいて計算した。利用した値は、遊離ニコチンについてはlog(P)=1.09、プロトン化ニコチンについてはlog(P)=-2.07であった。プロトン化の%は、Henderson-Hasselbalchの式を計算した(表3)。計算は、pH8.4で、利用可能な全ニコチンの約65%がオクタノール層に存在すると予想されることを示す。
【0235】
【0236】
[実施例3]
100ppm及びpH5でのニコチンのオクタノール/水分配
遊離塩基ニコチン(0.2グラム)をメスフラスコ(200mL)に加え、逆浸透(RO)精製水で容積まで満たすことによって、ニコチンの溶液(1000ppm、6.17mM)を調製した。クエン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ヘプタンスルホン酸ナトリウム、酒石酸一ナトリウム及びレブリン酸ナトリウムの個々の6.17mM溶液を調製した。ニコチン溶液(10mL)、RO水(60mL)、及びそれぞれのクエン酸塩、安息香酸塩、ヘプタンスルホン酸塩、酒石酸塩、及びレブリン酸塩溶液(10mL)のアリコートを、対イオンを含まない対照と共に、重さを量られた三角三角フラスコ(125mL)に添加した。pHプローブを、得られた液体に浸し、HCl(0.05M)を撹拌下で添加して溶液をpH5にした。次いで、フラスコの重量をRO水で100グラムまで上げた。得られた溶液は、pH5で1モル当量のそれぞれのナトリウム塩で、1000ppmのニコチンを含有していた。各溶液のアリコート(10mL)を除去し、別々の20mlのシンチレーションバイアルに入れることによって、分配を行った。オクタノール(10ml)を各バイアルに添加した。次いで、バイアルをリストアクションシェーカーに20分間置いた。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を除去し、2mLのGC/MSバイアル中900μlのオクタノールで希釈した。各試料のニコチン濃度をGC/MSによって分析した。ニコチンのレベルを
図2に示すが、これは、対照及び極性クエン酸(logP=-1.7)、酒石酸(及びレブリン酸)からヘプタンスルホン酸(log(P)=0.88)及び安息香酸(log(P)=1.9)などのより親油性の酸に移動するオクタノール/水分配の増加を示した。理論に束縛されることを望むものではないが、この分配はイオン対の形成の結果であり、イオン対は、安息香酸及びヘプタンスルホン酸の試料についてオクタノールに効果的に分配するのに十分な親油性を示していると考えられる。特に、この酸性pH並びにニコチン及び対イオンの低濃度では、全ての試料の全体的な分配は非常に低かった(すなわち、1.2~8.5%)。やはり理論に束縛されることを望まないが、pH値及びニコチン/対イオン低濃度でのイオン対化の程度は、平衡を遊離イオンにシフトさせることによって潜在的なイオン対化の程度を減少させたと考えられる。
【0237】
[実施例4]
1000ppm及びpH6.5でのニコチンのオクタノール/水分配
遊離塩基ニコチン(2グラム)をメスフラスコ(200mL)に加え、逆浸透(RO)精製水で容積まで満たすことによって、ニコチンの溶液(10,000ppm、61.7mM)を調製した。クエン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム及びオクタン酸ナトリウムの個々の123.2mM溶液を調製した。ニコチン溶液(10mL)、RO水(60mL)、及びそれぞれのクエン酸ナトリウム、安息香酸、又はオクタノエート溶液(10mL)のアリコートを、重さを量った三角フラスコ(125mL)に加えた。pHプローブを、得られた液体に浸し、HCl(0.05M)を撹拌下で添加して溶液をpH6.5にした。次いで、フラスコの重量をRO水で100グラムまで上げた。得られた溶液は、pH6.5で2モル当量のそれぞれのナトリウム塩で1,000ppmのニコチンを含有していた。各溶液のアリコート(10mL)を除去し、別々の20mlのシンチレーションバイアルに入れることによって、分配を行った。オクタノール(10ml)を各バイアルに添加した。次いで、バイアルをリストアクションシェーカーに20分間置いた。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を除去し、2mLのGC/MSバイアル中900μlのオクタノールで希釈した。各試料のニコチン濃度をGC/MSによって分析した。ニコチンレベルを
図3に示すが、これは、極性クエン酸(log(P)=-1.7)から安息香酸(log(P)=1.9)及びオクタン酸(log(P)=3.0)などのより親油性の酸に移動する、pH6.5でのオクタノール/水分配の増加を示した。特に、2当量のオクタン酸が存在すると、ニコチンの大部分(約67%)がオクタノールに分配される。理論に束縛されることを望むものではないが、この分配はイオン対の形成の結果であり、イオン対はオクタノールに効果的に分配するのに十分な親油性を示すと考えられる。
【0238】
[実施例5]
非緩衝水でのニコチン及び安息香酸のオクタノール/水分配
1モル当量の安息香酸ナトリウムを含有する非緩衝水の1000ppmのニコチンの溶液を調製した。このニコチン濃度は、6mLの唾液に溶解する6mgのニコチンを含有するパウチ化組成物と同等として選択した。サンプルをオクタノール/水分配に供し、実施例2の方法を使用してニコチンについて分析した。サンプルは、オクタノールにおける安息香酸の濃度についても分析した(100μlのアリコートを900μlのオクタノールで希釈)。安息香酸濃度は、文献(Phenomenex、Application,I.D.14720)から適合させたHPLC-UV手順を用いて測定した。分離は、以下の組成、すなわちH2O75%、CH3CN25%含有KH2PO40.2mMの移動相を使用して、Luna 5m C18カラム(150×3mm、Phenomenex、米国カリフォルニア州トーランス)で実施した。移動相をH3PO4でpH2.5にした。移動相の流速は1mL/min、注入量は10μLとした。溶出液を254nmでモニターした。サンプルの定量のために、H2O中に260ppmの安息香酸を含有するストック溶液を最初に作製した。この溶液を希釈して、標準溶液をそれぞれ260、130、65、32.5及び16.25μg/mLにした。これらの試料から得られたピーク面積対濃度により、以下の較正の線、y=0.2573x+0.0372、R2=0.9999を得た。
【0239】
オクタノール中の濃度は、ニコチンについては28.3ppm、安息香酸については19.2ppmであることが分かった。ニコチン質量換算の安息香酸モル濃度は25.5ppmのニコチンと計算された。したがって、ニコチンの90%(25.5/28.3)が安息香酸に起因してオクタノールに分配され、全ニコチンの2.8%(28.3~25.5)が、遊離ニコチンがオクタノールに分配される傾向があるために、オクタノールに分配された(
図4)。理論的には、ニコチンと安息香酸がイオン対としてオクタノールに分配されると、提案されているイオン対の化学量論を反映して、オクタノール中に1:1のモル比でニコチンと安息香酸が存在することになる。しかし、この実験では、安息香酸に対するオクタノール中のニコチン濃度が理論値28.3対25.5ppmよりわずかに高いことが分かった)。理論に束縛されることを望むものではないが、オクタノール中のニコチンの濃度がより高いことは、pH6.5でのオクタノールへのニコチンの自然な分配によるものである(すなわち、pH6.5では、ニコチンの一部が遊離塩基として利用可能であり、イオン対化に依存せずに分配される)と考えられる。このデータは、オクタノール/水分配の変化がイオン対の存在によるものであり、単に系の特性の変化(溶液の極性の変化又はミセルの形成など)によるものではないという理論をさらに支持する。
【0240】
[実施例6]
参照(対照)組成物
6mgのニコチン、微結晶セルロース(mcc)、水、及び本明細書に開示される追加の成分(塩、結合剤、甘味料、湿潤剤、香味料)を含む組成物の参照サンプルを、有機酸なしで調製した(pH約9)。
【0241】
[実施例7]
参照組成物(クエン酸)
6mgのニコチン、微結晶セルロース(mcc)、水、及び本明細書に開示される追加の成分(塩、結合剤、甘味料、湿潤剤、香味料)を含む組成物の参照サンプルを、0.34%クエン酸(pH約6.5)を含有して調製した。クエン酸の存在を除いて、成分及び各成分の相対的な量は、実施例6について本質的に同じであった。
【0242】
[実施例8]
実施例6及び7のオクタノール/水分配
実施例6及び7のパウチ充填剤(合計697.6mg、ニコチン10mg)の各々のサンプルを、別々の20mLのシンチレーションバイアルに正確に秤量した。試料に水(10mL、逆浸透によって精製される)を添加し、続いてオクタノール(10mL)を添加することによって分配を行った。次いで、バイアルをリストアクションシェーカーに2時間置いた。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を除去し、2mLのGC/MSバイアル中オクタノール(900μl)で希釈した。各GC/MSバイアルに、50μLのキノリン標準(MeOH中1000ppm)を添加した。試料は、ニコチン標準物質と共に3連で実行した。ニコチン標準は、オクタノール中、100、50、25、12.5、6.25、及び3.125ppmで調製した。GC-MS分析を標準的な方法に従って実施した。結果を
図5に示すが、これは、クエン酸含有例ではニコチンの約80%がオクタノールに分配されたが、ニコチンの約10%のみがオクタノールに分配されたことを実証した。
【0243】
[実施例9]
様々なイオン対化剤及び量-ベンゾエート、オクタノエート及びデカノエート-によるニコチン分配の比較
遊離塩基ニコチン(2グラム)をメスフラスコ(200mL)に加え、逆浸透(RO)精製水で容積まで満たすことによって、ニコチンの溶液(10,000ppm、61.7mM)を調製した。安息香酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム及びデカン酸ナトリウムの個々の溶液を調製した(0.62、1.23、3.08、6.16、12.33mmol)。ニコチン溶液(10mL)、RO水(60mL)、及びそれぞれのベンゾエート、オクタノエート、又はデカノエート溶液(10mL)のアリコートを、重さを量った三角フラスコ(125mL)に加えた。pHプローブを、得られた液体に浸し、HCl(0.05M)を撹拌下で添加して溶液をpH6.5にした。次いで、フラスコの重量をRO水で100グラムまで上げた。得られた溶液は、pH6.5で1、2、5、10、又は20モル当量のそれぞれのナトリウム塩と共に、1,000ppmのニコチン(6mLの唾液に溶解する6mgのニコチンを含有するパウチ化組成物に相当)を含有していた。各溶液のアリコート(10mL)を除去し、別々の20mlのシンチレーションバイアルに入れることによって、分配を行った。オクタノール(10ml)を各バイアルに添加した。次いで、バイアルをリストアクションシェーカーに20分間置いた。撹拌後、バイアルを30分間分離させ、各オクタノール層のアリコート(100μl)を除去し、2mLのGC/MSバイアル中900μlのオクタノールで希釈した。各試料のニコチン濃度をGC/MSによって分析した。ニコチンレベルを
図6に示すが、これは、使用された酸の種類がそれぞれのイオン対のオクタノール/水分配に顕著に影響を及ぼしたことを実証した。具体的には、各濃度について、より親油性のオクタン酸は、より極性の安息香酸と比較して、オクタノールへのニコチンのより大きな分配をもたらした。デカン酸を含有する試料は、分配実験を行うのに必要な激しい混合中に石鹸質になりやすい。これはミセル形成に起因する可能性があり、信頼性の低い分配データをもたらした。さらに、水溶液の石鹸性で、正確なpH調整が不可能になった。したがって、2、10、及び20当量のデータポイントを
図6から除外した。
【0244】
図6のデータは、イオン対化、したがってオクタノール/水分配の程度が濃度に依存することをさらに実証した。安息香酸及びオクタン酸のそれぞれについて、分配は酸の濃度と共に増加し、理論と一致して、約20当量の安息香酸の見かけのプラトーに達した(最大の程度のイオン対化が達成されたことを示唆する)。理論によれば、酸の当量数が増加するにつれて、イオン対のニコチン+有機酸の非イオン対に対する平衡は、主にイオン対に移行する。データは、水性系において有用な酸の親油性に上限があり得ることをさらに実証した。例えば、デカン酸(log(P)=4.09)は、理論によって予想されるよりも少ない程度までオクタノールに分配されることが示された。これは、デカン酸含有溶液の「石鹸性」の性質と一致する、デカン酸の水への溶解度の限界、又はミセルの形成に起因している可能性がある。
【0245】
驚くべきことに、同じpHで、安息香酸組成物及びオクタン酸組成物のそれぞれは異なる分配挙動を示した。オクタノール分配のニコチンの割合は、非極性酸(オクタン酸、logP約3、10当量、オクタン酸で、オクタノール中ニコチン約75%)で最も高かった。同じ濃度の安息香酸の実施例(安息香酸logP約1.85)の分配はやや低かった(オクタノール中約52%のニコチン)。pH6.5の実施例の各々は、実施例6(79%、pH約9)よりもオクタノールへのニコチンの分配が低かったが、実施例7よりもはるかに高かった(10%、極性クエン酸、log(P)=-1.7、pH6.5)。しかし、2当量でのオクタン酸実施例のニコチン分配は、pH8.4でのニコチンについて予測されたものとほぼ同じであった(65%、Henderson-Haselbachの式とLogPによる理論的計算)。この結果は、驚くべきことに、オクタン酸を含む組成物が、pH8.4でのニコチン単独のものと、pH6.5で同等のニコチンの分配を達成することができたことを示している。理論に束縛されることを望むものではないが、ニコチンと相対的に非極性のオクタン酸との間のイオン対化が分配挙動を促進したと考えられる。したがって、ニコチンの蒸発及び分解に関して安定化され、またより高いpHでニコチンの分配と一致するオクタノール/水分配を有する酸性組成物を得ることが可能であることを、これのことが実証している。このようなデータは、相対的に非極性の有機酸を含む実施形態のニコチンの好ましい経口吸収を予測する。
【0246】
[実施例10]
参照パウチ製品(対照)
10mgのニコチン、微結晶セルロース(mcc)、水、及び本明細書に開示される追加の成分(塩、重炭酸ナトリウム、結合剤、甘味料、保湿剤、香味料)を含む参照(対照)組成物を、有機酸なし(pH約8.4)で調製し、パウチに入れた。パウチ製品を、側部シールを有する標準的なフレックス蓋キャニスタに包装し、室温(20~25℃)で保存した。
【0247】
[実施例11]
パウチ製品(参照)
10mgのニコチン、微結晶セルロース(mcc)、水、及び本明細書に開示される追加の成分(塩、結合剤、甘味料、湿潤剤、香味料)を含む参照組成物を、クエン酸(約0.6重量%、pH約6.7)を用いて調製し、パウチに入れた。パウチ製品を、側部シールを有する標準的なフレックス蓋キャニスタに包装し、室温(20~25℃)で保存した。
【0248】
[実施例12]
パウチ製品(本発明)
10mgのニコチン、微結晶セルロース(mcc)、水、及び本明細書に開示される追加の成分(塩、結合剤、甘味料、湿潤剤、香味料)を含む本発明の組成物を、重量で2.4%の安息香酸、0.11%のオクタン酸、及び0.13%のデカン酸の組み合わせを使用して調製し、約2.4%の安息香酸ナトリウム(pH約6.4)を調製し、パウチに入れた。パウチ製品を、側部シールを有する標準的なフレックス蓋キャニスタに包装し、室温(20~25℃)で保存した。酸成分が存在していることを除いて、成分及び各成分の相対的な量は、実施例10~12について本質的に同じであった。
【0249】
[実施例13]
ニコチンの安定性及び揮発試験
実施例10、11及び12の製品を、調製直後、調製から3ヶ月目及び6ヶ月目(それぞれT0、T3ヶ月及びT6)にニコチン、水分含有量及びpHについて分析した。これらの試料のpHの関数として揮発性を評価するために、水分の揮発を説明するために乾燥重量ベースでニコチンのデータを計算し、元のニコチンの濃度と比較した。表4に示された結果は、対照(実施例10)の保管時に最大13%のニコチンが失われたが、元のレベルのニコチンは両方の酸性組成物で実質的に保持されていることを証明した(実施例12及び参照例11)。
【0250】
【0251】
[実施例14]
頬側の透過
ヒトである対象における頬側吸収に対するイオン対化の真の影響を評価するために、いくつかのパウチ化させた実施形態を調製し、組織ベースの透過アッセイ(EpiOral(商標)、MatTekラボ)を使用して頬側吸収モデルで評価した。
【0252】
6mgのニコチン水及び本明細書に開示される追加の成分(塩、結合剤、甘味料、湿潤剤、香味料)を含有するマイクロセルロース(MCC)系のパウチの充填剤組成物を調製した。
【0253】
約9.25の出発pHをもたらすために組成物に重炭酸ナトリウムを添加することによって、対照組成物(実施例14A)を調製した。パウチに組成物を充填し、標準的な700mgのパウチ重量まで過剰に噴霧した。
【0254】
0.34%のクエン酸を組成物に添加して約6.5の出発pHをもたらすことによって、参照組成物(実施例14B)を調製した。パウチに組成物を充填し、標準的な700mgのパウチ重量まで過剰に噴霧した。
【0255】
0.63%の安息香酸及び1.08%の安息香酸ナトリウム(2.26当量の総安息香酸、0.925当量の安息香酸)を組成物に添加して約6.5の出発pHをもたらすことによって、本発明の組成物(実施例14C)を調製した。パウチに組成物を充填し、標準的な700mgのパウチ重量まで過剰に噴霧した。
【0256】
それぞれのパウチを、300mg/mLの濃度の完全人工唾液(CAS)で個別に抽出した。次いで、EpiOral(商標)(頬側)透過アッセイを使用して、CAS抽出物の吸収を評価した。分析は、陰性対照(EpiOral(商標)非曝露)、ビヒクル対照(CAS)、及び陽性対照(カフェイン、トリトンX100)からなっていた。組織(0.6cm2)をドナー溶液で根尖に曝露し、カルシウム、マグネシウム、及びグルコースを含有するPBS溶液からなるレシーバー溶液を、各試料について4つの時点(15、30、45、60分)で収集した。全ての分析は、6連(試験品)又は3連(対照)で行った。0分及び最終時点で組織の完全性を検証するために、経上皮電気抵抗を測定した。レシーバー溶液及びドナー溶液を分析物(ニコチン及び対照)について分析し、得られたデータを処理して累積透過、見かけの透過速度(Papp)及び回収率を得た。累積透過%は、透過した全体の質量を定量化し、組織面積で割ることによって判定した。見かけの透過速度(Papp)を式2を用いて判定した。
【0257】
Papp=(dQ/dt)*(1/AC0)(式2)
式中、(dQ/dt)は定常状態流束であり、Aは細胞の面積(0.6cm2)であり、C0は組織の頂端側に適用される初期濃度である。回収率は、最終ドナー溶液濃度、レシーバー溶液濃度及びリンス溶液濃度(レシーバー溶液除去後に組織をCASでリンスした)を初期ドナー溶液の濃度で割ることによって判定した。
【0258】
アッセイの結果を
図7~9に示す。
図7は、実施例14A、14B及び14Cの総透過ニコチン率を示す。実施例14A(対照)は25%で最高のニコチン透過を示したが、参照実施例14Bは約5%の透過しか示さなかった。本発明の実施例14Cは、参照実施例と対照実施例との間の透過を示し、オクタノール/水分配の実験と相関した。透過率と一致して、Pappのデータも同じ傾向に従った(
図8)。合わせて、これらのデータは、ニコチン含有組成物のpHを調整するために使用される酸の極性が、口腔組織を通る速度及びトータルな移動に顕著に影響を及ぼすことを実証した。
図9のデータは、存在するニコチンの全てが実験で回収されたことを確認した。