(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料、およびそれを含有するポリオレフィン触媒
(51)【国際特許分類】
C01B 37/00 20060101AFI20250527BHJP
C01B 37/02 20060101ALI20250527BHJP
C08F 4/02 20060101ALI20250527BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20250527BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
C01B37/00
C01B37/02
C08F4/02
C08F10/00
C08F4/654
(21)【出願番号】P 2022574794
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2020125296
(87)【国際公開番号】W WO2021243936
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】202010507083.9
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】亢宇
(72)【発明者】
【氏名】呂新平
(72)【発明者】
【氏名】劉東兵
(72)【発明者】
【氏名】郭子芳
(72)【発明者】
【氏名】劉紅梅
(72)【発明者】
【氏名】李秉毅
(72)【発明者】
【氏名】王如恩
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102952217(CN,A)
【文献】国際公開第2020/083386(WO,A1)
【文献】特表2008-524344(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103586078(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1657571(CN,A)
【文献】国際公開第2005/075068(WO,A1)
【文献】特開平07-172814(JP,A)
【文献】特開2014-095888(JP,A)
【文献】XU, Lixin et al.,Surface-initiated catalytic ethylene polymerization within nano-channels of ordered mesoporous silicas for synthesis of hybrid silica composites containing coavalently tethered polyethylene,Polymer,ELSEVIER,2011年,52,5961-5974
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20 -39/54
C08F 4/02
C08F 10/00
C08F 4/654
C01B 33/00 -33/193
B01J 21/00 -37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソ多孔質材料であって、前記メソ多孔質材料が2次元の六方晶規則チャネル構造を有し、前記メソ多孔質材料が10nm~15nmの平均細孔直径、300m
2/g~400m/gの比表面積、および1μm~3μmの平均粒径を有し;前記メソ多孔質材料の全質量に基づき、前記メソ多孔質材料中の水の質量含有量が1ppm未
満であり、
および前記メソ多孔質材料中の酸素ガスの質量含有量が1ppm未
満であり、
ならびに
前記メソ多孔質材料は、塩素含有シランで処理されていることを特徴とする、メソ多孔質材料。
【請求項2】
前記メソ多孔質材料の全質量に基づき、前記メソ多孔質材料中の水の質量含有量が0.5ppm未満であり、および/または、前記メソ多孔質材料中の酸素ガスの質量含有量が0.5ppm未満である、請求項1に記載のメソ多孔質材料。
【請求項3】
前記メソ多孔質材料の全質量に基づき、前記メソ多孔質材料中の水の質量含有量が0.1ppm未満であり、および/または、前記メソ多孔質材料中の酸素ガスの質量含有量が0.1ppm未満である、請求項1に記載のメソ多孔質材料。
【請求項4】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項1に記載のメソ多孔質材料:
-前記メソ多孔質材料は、101°~130
°の水接触角を有する;
-前記メソ多孔質材料は、0.001N/cm~0.6N/c
mの破砕強度を有する;
-前記メソ多孔質材料は、1mL/g~2mL/
gの細孔容積を有する;および
-前記メソ多孔質材料は、0.01~
3の粒度分布を有
し、前記粒度分布は、レーザー式粒度分布分析装置を用いて測定されるSPAN値である。
【請求項5】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項1に記載のメソ多孔質材料:
-前記メソ多孔質材料は、115°~125°の水接触角を有する;
-前記メソ多孔質材料は、0.01N/cm~0.55N/cmの破砕強度を有する;
-前記メソ多孔質材料は、1.5mL/g~1.9mL/gの細孔容積を有する;および
-前記メソ多孔質材料は、0.1~2.8の粒度分布を有し、前記粒度分布は、レーザー式粒度分布分析装置を用いて測定されるSPAN値である。
【請求項6】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項1に記載のメソ多孔質材料:
-前記メソ多孔質材料は、118°~124°の水接触角を有する;
-前記メソ多孔質材料は、0.1N/cm~0.45N/cmの破砕強度を有する。
【請求項7】
前記塩素含有シランは、ジクロロジメトキシシラン、モノクロロトリメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、およびモノクロロトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1
~6のいずれか1項に記載のメソ多孔質材料。
【請求項8】
前記メソ多孔質材料が、11nm~13nmの平均細孔直径、310m
2/g~380m
2/gの比表面積、および1.1μm~2.9μmの平均粒径を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載のメソ多孔質材料。
【請求項9】
請求項1に記載のメソ多孔質材料
を製造するための方法であって、以下を含む方法:
(1)ケイ素源、酸剤、フッ化アンモニウム、およびヘプタンをテンプレート剤および水の存在のもとで混合および接触させ、前記混合および接触から得られる混合物を結晶化、濾過および乾燥の順に供して、前記メソ多孔質材料の原料粉末を得る;
および
(2)前記メソ多孔質材料の前記原料粉末を、テンプレート剤除去処理、一次熱活性化処理
、二次熱活性化処理
および塩素含有シラン処理の順に供することにより、前記メソ多孔質材料を得る。
【請求項10】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項
9に記載の方法:
-工程(2)において、前記一次熱活性化処理の条件が以下を含む:不活性雰囲気中で、250℃~900
℃の処理温度、および1~48時
間の処理時間;
-工程(2)において、前記二次熱活性化処理の条件が以下を含む:不活性雰囲気下で、250℃~900
℃の処理温度、および1~48時
間の処理時間;ならびに
-工程(2)において、前記一次熱活性化処理の条件が前記二次熱活性化処理の条件と同じである。
【請求項11】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項9に記載の方法:
-工程(2)において、前記一次熱活性化処理の条件が以下を含む:不活性雰囲気中で、250℃~700℃の処理温度、および4~48時間の処理時間;
-工程(2)において、前記二次熱活性化処理の条件が以下を含む:不活性雰囲気下で、250℃~700℃の処理温度、および4~48時間の処理時間。
【請求項12】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項9に記載の方法:
-工程(2)において、前記一次熱活性化処理の条件が以下を含む:不活性雰囲気中で、250℃~650℃の処理温度、および6~24時間の処理時間;
-工程(2)において、前記二次熱活性化処理の条件が以下を含む:不活性雰囲気下で、250℃~650℃の処理温度、および6~24時間の処理時間。
【請求項13】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項
9~
12のいずれか1項に記載の方法:
-工程(1)において、前記混合および接触は以下によって実施される:前記ケイ素源、前記酸剤、前記フッ化アンモニウム、および前記ヘプタンを、前記テンプレート剤および水の存在のもと、25℃~60℃の温度で4分以上混合した後、1時間以上静置する;
-工程(1)において、前記酸剤は、塩酸、硫酸、硝酸および臭化水素酸の少なくとも1
つである;
-工程(1)において、前記ケイ素源はオルトケイ酸エチル、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸プロピル、オルトケイ酸ナトリウム、およびシリカゾルのうちの少なくとも1
つである;
-前記テンプレート剤:前記ケイ素源:前記酸剤:前記フッ化アンモニウム:前記ヘプタンのモル比は、1:2~500:100~2000:0.7~200:20~1650である;
-前記テンプレート剤は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンのトリブロックコポリマー、EO
20PO
70EO
20である;
-前記結晶化の条件が、90℃~180℃の結晶化温度、10時間~40時間の結晶化時間を含む;
工程(2)において、前記テンプレート剤除去処理は、前記メソ多孔質材料の原料粉末を90~120℃のアルコールで10~40時間洗浄することを含む。
【請求項14】
前記塩素含有シランは、ジクロロジメトキシシラン、モノクロロトリメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、およびモノクロロトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項
9~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記熱活性化処理の後に粉砕工程を含まない、請求項
9~
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
担体、ならびに前記担体上に担持されたマグネシウム成分、チタン成分、および任意の電子供与体成分、を含むポリオレフィン触媒であって、前記担体が請求項1~
8のいずれか1項に記載のメソ多孔質材料である、ポリオレフィン触媒。
【請求項17】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項
16に記載のポリオレフィン触媒:
-前記担体の含有量は、前記ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、20重量%~90重量
%である;
-マグネシウム元素に換算した前記マグネシウム成分の含有量は、前記ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、1重量%~50重量
%である;
-チタン元素に換算した前記チタン成分の含有量は、前記ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、1重量%~50重量
%である;
-前記ポリオレフィン触媒は、0.5mL/g~1mL/gの細孔容積を有する;
-前記ポリオレフィン触媒は、120m
2/g~300m
2/gの比表面積を有する;
-前記ポリオレフィン触媒は、7nm~12nmの最確細孔直径を有する;
-前記ポリオレフィン触媒は、3μm~25μmの平均粒径を有する;および
-前記ポリオレフィン触媒は、0.85~0.95の粒度分布値を有
し、前記粒度分布値は、レーザー式粒度分布分析装置を用いて測定されるSPANである。
【請求項18】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項16に記載のポリオレフィン触媒:
-前記担体の含有量は、前記ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、30重量%~70重量%である;
-マグネシウム元素に換算した前記マグネシウム成分の含有量は、前記ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、1重量%~30重量%である;
-チタン元素に換算した前記チタン成分の含有量は、前記ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、1重量%~30重量%である。
【請求項19】
請求項
16~18のいずれか1項に記載のポリオレフィン触媒の調製方法であって、以下を含む方法:
(i)不活性雰囲気下で、(ia)マグネシウム成分含有溶液で、次いでチタン成分含有溶液で、請求項1~
8のいずれか1項に記載のメソ多孔質材料を含浸処理すること、(ib)チタン成分含有溶液で、次いでマグネシウム成分含有溶液で、請求項1~
8のいずれか1項に記載のメソ多孔質材料を含浸処理すること、または(ic)チタン成分およびマグネシウム成分の両方を含有する溶液で、請求項1~
8のいずれか1項に記載のメソ多孔質材料を共含浸処理することにより、スラリーを得る;および
(ii)工程(i)由来のスラリーを噴霧乾燥して、前記ポリオレフィン触媒を得る。
【請求項20】
a)重合反応条件下で、請求項1
6~18のいずれか1項に記載のポリオレフィン触媒および共触媒の存在のもと、オレフィンモノマーを重合して、ポリオレフィンを得ること;およびb)前記ポリオレフィンを回収すること、を含むオレフィン重合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は不均一系触媒オレフィン重合反応の技術分野に関し、具体的には、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料およびその調製方法、前述の球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を含むポリオレフィン触媒およびその調製方法、ならびに上記ポリオレフィン触媒を用いたオレフィン重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
担体の調製技術は、ポリオレフィン触媒の生成における中核技術の1つである。また、現在の様々な生成プロセスの調製技術を見ると、使用される担体は主にシリカゲルである。通常のシリカゲルは、ポリオレフィン触媒の担体として使用することができない。ポリオレフィン触媒のための担体シリカゲルには、一定のかさ密度、比表面積、細孔構造(細孔容積、細孔径、細孔分布)、研磨強度などの高度な技術的要求があり、そのため、このような担体シリカゲルの開発は困難である。
【0003】
WO2020083386A1は、メソ多孔質材料含有ポリオレフィン触媒成分ならびにその調製方法および使用を開示している。メソ多孔質材料は熱活性化処理されたものであり、メソ多孔質材料は以下:a)二次元六方晶チャネル構造を有するメソ多孔質材料;b)二次元六方晶チャネル構造を有する卵殻状メソ多孔質材料;c)体心立方構造を有する球状メソ多孔質シリカ;およびd)立方晶ケージ状チャネル構造を有する六方晶メソ多孔質材料、からなる群から選択される。当該文献は、上記のメソ多孔質材料をポリオレフィン触媒に使用し、ポリオレフィン触媒をオレフィン重合反応に使用する場合、より高い触媒効率を有し、より狭い分子量分布およびより良好なメルトインデックスを有するポリオレフィン生成物を得ることができることを開示する。しかしながら、ポリオレフィン触媒の触媒効率は、さらに改善される必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、鋭意研究を通じて、新規な球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料がポリオレフィン触媒の担体としての使用に特に適しており、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を容易に調製することができることを見出した。この球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を担体として使用することによって調製されたポリオレフィン触媒は、著しく高い触媒効率を有する。
【0005】
したがって、本開示の目的は二次元六方晶規則チャネル構造を有し、平均細孔直径が10nm~15nm、比表面積が300m2/g~400m2/g、平均粒径が1μm~3μmのメソ多孔質材料を提供することにある;
メソ多孔質材料の全質量に基づき、メソ多孔質材料中の水の質量含有量は1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満であり、メソ多孔質材料中の酸素の質量含有量は、1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満である。
【0006】
本開示の他の目的は、メソ多孔質材料を調製する方法であって、以下を含む方法を提供することにある:
(1)ケイ素源、酸剤、フッ化アンモニウム、およびヘプタンを、テンプレート剤および水の存在のもとで混合して接触させ、混合および接触から得られる混合物を、結晶化、濾過、および乾燥の順に供し、メソ多孔質材料の原料粉末を得ること;
(2)メソ多孔質材料の原料粉末を、テンプレート剤除去処理、一次熱活性化処理、二次熱活性化処理の順に供し、メソ多孔質材料を得ること。
【0007】
本開示の別の目的は、担体、ならびに担体上に担持されたマグネシウム成分、チタン成分、および任意の電子供与成分を含むポリオレフィン触媒であって、担体が前述のメソ多孔質材料であるポリオレフィン触媒を提供することにある。
【0008】
本開示のさらに他の目的は、上記ポリオレフィン触媒を調製する方法であって、以下を含む方法を提供することにある:
(i)不活性雰囲気下で、(ia)マグネシウム成分含有溶液で、次いでチタン成分含有溶液で、上記メソ多孔質材料を含浸処理すること、(ib)チタン成分含有溶液で、次いでマグネシウム成分含有溶液で、上記メソ多孔質材料を含浸処理すること、または(ic)チタン成分およびマグネシウム成分の両方を含有する溶液で、上記メソ多孔質材料を共含浸処理することにより、スラリーを得る;および
(ii)工程(i)由来のスラリーを噴霧乾燥して、ポリオレフィン触媒を得る。
【0009】
本開示のさらに他の目的は、a)重合反応条件下で、上記ポリオレフィン触媒および共触媒の存在のもと、オレフィンモノマーを重合して、ポリオレフィンを得ること;およびb)ポリオレフィンを回収すること、を含むオレフィン重合方法を提供することにある。
【0010】
本開示のメソ多孔質材料は、二次元六方晶規則チャネル構造および球状様形態を有する。その超大型でかつ規則チャネル構造のために、それは粉末の凝集を低減し、流動性を改善することにおいて意義のある利点を有する。この球状様メソ多孔質材料をポリオレフィン触媒の担体として使用することにより、微小球とメソ多孔質材料の長所を組み合わせることができ、すなわち、メソ多孔質材料の高い比表面積、大きい細孔容積、大きい細孔径、および狭い細孔径分布という特性を保持することができるだけでなく、メソ多孔質材料の凝集を減少させることができ、それによってそれらの流動性を増加させることができる。得られるポリオレフィン触媒粒子は、安定な構造および高い強度を有し、容易に破壊されず、小さい粒径、均一な粒径分布および狭い粒径分布曲線を有し、効果的に粒子の含水量を制御し、担体粒子が潮解および結合するのを防止し、使用中の触媒の凝集を回避し、ならびにそれらの流動性を改善することができる。これらの利点は、得られるポリオレフィン触媒の貯蔵、輸送、後プロセス、および利用に利便性をもたらす。
【0011】
また、メソ多孔質材料の平均細孔直径が大きいことにより、ポリオレフィン触媒の有効成分が、ただメソ多孔質材料の外面に担持されるだけでなく、豊富な内孔に進入することができる。特に、メソ多孔質材料が有する六方晶直結チャネルおよび球状様構造も、触媒の有効成分の進入に好適であり、得られる触媒は優れた触媒性能を有する。
【0012】
さらに、本開示の球状様メソ多孔質材料の調製方法を用いることにより、粒径が小さく、粒度分布が狭く、比表面積が中程度で、細孔容積が大きく、細孔径が大きく、細孔径分布が狭い球状様メソ多孔質材料を、粉砕することなく得ることができる。加えて、当該メソ多孔質材料は、良好な流動性を有する。それゆえ、粉砕プロセスが省略されるだけでなく、メソ多孔質材料から調製される触媒の触媒効率を向上させることができる。
【0013】
加えて、本開示の方法を使用してポリオレフィン触媒を調製する場合、噴霧乾燥技術を使用して、球状様ポリオレフィン触媒を直接得ることができる。操作は簡単であり、得られるスラリーをより繊細にすることができ、有効成分の充填量を効果的に増加させることができる。得られるポリオレフィン触媒粒子は安定な構造および高い強度を有し、容易に破壊されず、小さい粒径、均一な粒径分布および狭い粒径分布曲線を有し、優れた触媒活性を有する。ポリオレフィン触媒をオレフィン重合に使用する場合、著しく改善された原料の転化率を得ることができる。
【0014】
加えて、本開示に係るポリオレフィン触媒をオレフィン重合に用いる場合、得られるポリオレフィン生成物の分子量分布およびメルトインデックスを向上させることができ、得られるポリオレフィン生成物は、球状様で均一な粒径を有する。
【0015】
本開示の他の特徴および利点は、以下に詳細に説明される。
【0016】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成する。以下の特定の実施形態と共に、それらは本開示を説明するために使用されるが、本開示に対する限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1によって提供された球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料のX線回折パターンである。
【
図2】実施例1によって提供された球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【
図3】比較例6によって提供されたメソ多孔質材料の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【
図4】比較例6によって提供されるメソ多孔性物質の、ボールミリング後の異なる視点における走査電子顕微鏡像である。
【
図5】比較例6によって提供されるメソ多孔性物質の、ボールミリング後の異なる視点における走査電子顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に開示される範囲内の端点および任意の値は正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲または値は、これらの範囲または値に近い値を含むものとして理解されるべきである。数値範囲について、個体範囲の端値、個体範囲の端値およびそれらの間の個体点値、および個体点値は、1つまたは複数の新しい数値範囲を得るために互いに組み合わせることができ、これは、本明細書に具体的に開示されていると見なされるべきである。
【0019】
国際純正・応用化学連合(IUPAC)の規定によれば、メソ多孔質材料は、2nm~50nmの間の細孔直径を有する多孔質材料の階級を指す。本明細書で使用される「メソ多孔質材料」という用語は、上記と同じ意味を有する。
【0020】
本明細書で使用される際、用語「触媒」は主触媒成分または触媒前駆体を指し、当該主触媒成分または触媒前駆体は、アルキルアルミニウムおよび任意の外部電子供与体などの従来の共触媒と共に、オレフィン重合のための触媒系を構成する。
【0021】
本明細書で使用される際、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0022】
本文脈において、特に断りのない限り、材料の粒度分布の平均粒径およびSPAN値は、レーザー式粒度分布分析装置を用いて測定され、比表面積、細孔容積および平均細孔径は、窒素吸着法を通じて測定する。本文脈において、特に断りのない限り、粒径は粒状材料の粒径を指し、粒径は、粒状材料が球形であるときには球の直径によって、粒状材料が立方体またはおおよその立方体の形状であるときには立方体の側長によって、または粒状材料が不規則形状であるときには粒状材料をちょうどふるい分けることができる篩のメッシュサイズによって表される。
【0023】
本開示において、室温とは、23℃±2℃を意味する。
【0024】
第1の態様において、本開示は二次元六方晶規則チャネル構造を有し、平均細孔直径が10nm~15nmであり、比表面積が300m2/g~400m2/gであり、平均粒径が1μm~3μmであり;メソ多孔質材料の全質量に基づき、メソ多孔質材料中の水の質量含有量が1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満であり、メソ多孔質材料中の酸素の質量含有量が1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満である、メソ多孔質材料を提供する。
【0025】
本開示では、メソ多孔質材料はメソ多孔質シリカ粒子材料である。
【0026】
「二次元六方晶規則チャネル構造」は、触媒および触媒担持の分野における正確な意味を有する用語である。本開示において、用語「二次元六方晶規則チャネル構造」は先行技術において知られている通常の意味と同様の意味を有し、すなわち、チャネルが均整をもって規則的に分布し、チャネルが六方晶チャネル形状であることを意味する。
【0027】
本開示に係るメソ多孔質材料は、球状様(サブスフェロイダルとも言及される)粒子の形態を有する。「球状様メソ多孔質材料」は、メソ多孔質材料の粒子形状がほぼ球体に近い、すなわち、メソ多孔質材料が完全な球状様の外観を有さない(例えば、球体形状への要求が1つ以上の局所的な位置で満たされない)が、概して球体のような外観を有することを意味する。
【0028】
本開示に係るメソ多孔質材料は、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料である。本明細書で使用するとき、用語「超マクロ多孔質メソ多孔質材料」は10nm以上の平均細孔直径を有し、および10nm以上の細孔直径を有する細孔の数が細孔総数の50%超を占めるメソ多孔質材料を指す。
【0029】
本開示において、メソ多孔質材料中の水の含有量はKarl Fischer水分計によって測定され、メソ多孔質材料中の酸素の含有量は酸素および窒素分析器によって測定される。本開示において、メソ多孔質材料の含水量および酸素含有量は、それぞれ、メソ多孔質材料の内部細孔中およびメソ多孔質材料の外表面上の両方における含水量および酸素含有量を含む。本開示において、ppmは、メソ多孔質材料の全質量に対する酸素ガスまたは水の質量の比率を指す。
【0030】
本開示に係る球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料は、特定の二次元六方晶規則チャネル構造を有する。メソ多孔質材料のメソ多孔質チャネル構造は均一に分布し、好適な細孔径を有し、メソ多孔質材料は小さな粒径、低水分および低酸素含有量、良好な機械的強度、ならびに良好な構造的安定性を有し、担体の表面上へのマグネシウム系およびチタン系有効成分の良好な分散に特に寄与する。これにより、調製されたポリオレフィン触媒は、金属有効成分の良好な分散、高い充填量、少ない副反応、簡単な後処理などの担持触媒の長所を有するだけでなく、より高い触媒活性を有し、それによって、オレフィンモノマーの重合に使用された場合に、担体として球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を使用することによって作られる担持触媒が、より良好な触媒活性および著しく改善された原料の転化率を有することを確実にする。
【0031】
好ましくは、本開示に係るメソ多孔質材料は、10nm~15nmの平均細孔直径、300m2/g~400m2/gの比表面積、および1μm~3μmの平均粒径を有する。球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体が300m2/g未満の比表面積、1μm未満の粒径、および/または10nm未満の平均細孔直径を有する場合、担体としてそれを使用することによって作られる担持触媒は著しく低減された触媒活性を有し;球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体が400m/gを超える比表面積、3μmを超える粒径、および/または15nmを超える平均細孔径を有する場合、担体としてそれを使用することによって作られる担持触媒はオレフィン重合中に凝集する傾向があり、それによってオレフィン重合におけるオレフィンモノマーの転化に影響を及ぼす。
【0032】
さらに、二次元六方晶チャネル構造を有する球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料の構造パラメータを、平均細孔直径11nm~13nm、比表面積310m2/g~380m2/g、平均粒径1.1μm~2.9μm、の範囲に制御することにより、担体としてそれを使用することによって作られる担持触媒は、オレフィン重合時の反応原料の転化率をより高めることができる。
【0033】
本開示によれば、メソ多孔質材料中の水の含有量が0.1ppm未満に制御され、メソ多孔質材料中の酸素ガスの含有量が0.1ppm未満に制御される。このように、担体としてそれを使用することによって作られる触媒は、オレフィン重合中に凝集する傾向がなく、優れた触媒活性を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、メソ多孔質材料が101°~130°、好ましくは115°~125°、より好ましくは118°~124°の接触角を有する。メソ多孔質材料が101°~130°の接触角を有する場合、担持触媒を調製するための担体として使用される場合において、担体の表面上へのマグネシウム系およびチタン系有効成分の良好な分散に特に寄与し、これにより、調製されたポリオレフィン触媒は金属有効成分の良好な分散、高い充填量、少ない副反応、簡単な後処理などの担持触媒の長所を有するだけでなく、より高い触媒活性を有し、それによって、オレフィンモノマーの重合に使用される場合に、担体として球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を使用することによって作られる担持触媒が、より良好な触媒活性を有することを確実にすることが見出された。先行技術において知られているメソ多孔質材料は一般に、100°よりもはるかに小さい接触角を有する。例えば、市販のメソ多孔質材料製品SBA-15は、20°の接触角を有する。
【0035】
さらに、メソ多孔性材料の接触角が115°~125°、好ましくは118°~124°である場合、それから調製される触媒は、より優れた技術的効果を有する。
【0036】
本開示において、メソ多孔質材料の接触角は、RDAXによって測定される。
【0037】
本開示によれば、メソ多孔質材料は、熱活性化メソ多孔質材料を塩素含有シランで処理することによって得られる。好ましくは、塩素含有シランがジクロロジメトキシシラン、モノクロロトリメトキシシラン、ジクロロジエトキシシランおよびモノクロロトリエトキシシランから選択される少なくとも1種である。
【0038】
本開示において、塩素含有シラン処理は、熱活性化メソ多孔性物質を塩素含有シランと共に、不活性溶剤などの他の溶媒の存在下または非存在下で攪拌することにより達成されてもよく、処理温度は、20~150℃、好ましくは30~120℃、より好ましくは40~100℃であってもよい。
【0039】
塩素含有シランの使用量は、熱活性化メソ多孔質材料1グラム当たり0.2~1.5gであってもよい。
【0040】
以下、熱活性化処理について説明する。
【0041】
本開示の好ましい実施形態では、メソ多孔質材料が1mL/g~2mL/g、好ましくは1.5mL/g~1.9mL/gの細孔容積を有する。細孔容積が上記の範囲内であれば、調製された担持触媒は、オレフィン重合中に凝集しにくく、より優れた触媒活性を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示に係るメソ多孔質材料がGB3635-1983標準方法によって測定される、0.001N/cm~0.6N/cm、好ましくは0.01N/cm~0.55N/cm、より好ましくは0.1N/cm~0.45N/cmの破砕強度を有する。メソ多孔質材料が上記範囲内の破砕強度を有する場合、それから調製される触媒の粒子は安定な構造および高い強度を有し、容易に破砕されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示に係るメソ多孔質材料が0.01~3、好ましくは0.1~2.8の粒径分布を有する。メソ多孔質材料が0.01~3の粒度分布を有する場合、それを担体として使用することによって調製された担持触媒は、オレフィン重合中に凝集する傾向がなく、より高い触媒活性を有する。
【0044】
第2の態様において、本開示は、球状様メソ多孔質物質を調製するための方法であって、以下を含む方法を提供する:
(1)ケイ素源、酸剤、フッ化アンモニウム、およびヘプタンを、テンプレート剤および水の存在のもとで混合して接触させ、混合および接触から得られる混合物を、結晶化、濾過、および乾燥の順に供し、球状様メソ多孔質材料の原料粉末を得ること;
(2)球状様メソ多孔質材料の原料粉末を、テンプレート剤除去処理、一次熱活性化処理、二次熱活性化処理の順に供し、メソ多孔質材料を得ること。
【0045】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、混合および接触の操作は、25℃~60℃の温度で少なくとも4分間混合し、次いで少なくとも1時間静置することを含む。物質の均一な混合を容易にするために、混合および接触は、本開示の好ましい実施形態における撹拌条件下で実施される。好ましくは、混合および接触の操作は、25℃~60℃の温度で10分間~240分間撹拌し、次いで4時間~24時間静置することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、テンプレート剤:ケイ素源:酸剤:フッ化アンモニウム:ヘプタンのモル比は、1:2~500:100~2000:0.7~200:20~1650である。好ましくは、テンプレート剤:ケイ素源:酸剤:フッ化アンモニウム:ヘプタンのモル比は、1:10~250:200~500:1~180:50~1450である。
【0047】
本開示において、フッ化アンモニウムの添加、ヘプタンの使用、および二次熱活性化処理を併せて利用することは、本開示の球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を得るための重要な因子である。
【0048】
好ましくは、テンプレート剤はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンのトリブロックコポリマー(EO20PO70EO20)である。このテンプレート剤は市販されている(例えば、Aldrich社からP123の商品名で購入することができ、分子式はEO20PO70EO20である)か、または様々な既存の方法で調製することができる。テンプレート剤のモル数は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンの平均分子量に基づいて算出される。
【0049】
本開示において、ケイ素源の例としては、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸プロピル、オルトケイ酸ナトリウム、およびシリカゾルが挙げられるが、これらに限定されず、オルトケイ酸エチルがより好ましい。酸剤は、塩酸、硫酸などの酸性条件を提供することができる、当技術分野で公知の従来の物質であってもよく、塩酸が好ましい。本開示において、ヘプタンは、7個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルカン、好ましくはn-ヘプタンを指す。
【0050】
本開示によれば、結晶化条件は以下を含む:結晶化温度が90℃~180℃であり、結晶化時間が10時間~40時間である。好ましくは、結晶化温度は95℃~105℃であり、結晶化時間は20時間~36時間である。
【0051】
本開示において、テンプレート剤除去処理は、球状様メソ多孔質材料の原料粉末を300℃~600℃で8時間~20時間焼成することを含む。
【0052】
一次熱活性化処理を通じて、メソ多孔質材料中の水の質量含有量は100ppm以下に制御され、メソ多孔質材料中の酸素の質量含有量は100ppm以下に制御される。
【0053】
本開示では、不活性雰囲気下で熱活性化処理を行い、一次熱活性化処理の後、温度を周囲温度(例えば室温)まで下げた後、再び上昇させて二次熱活性化処理を行う。
【0054】
本開示においては、二次熱活性化処理を通じて、メソ多孔質材料中の水の含有量を1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下に制御することができ、メソ多孔質材料中の酸素の含有量を1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下に制御することができる。このようなメソ多孔質材料を担体として使用することによって調製された触媒は、取扱い時やオレフィン重合時に凝集しにくく、得られる触媒は優れた触媒活性を有する。
【0055】
本開示によれば、一次熱活性化処理の条件は、以下を含む:不活性雰囲気中において、処理温度が250℃~900℃、好ましくは250℃~700℃、より好ましくは250℃~650℃であり、処理時間が1~48時間、好ましくは4~48時間、より好ましくは6~24時間である。本開示において、特に断りのない限り、処理時間は、処理された材料が上記処理温度範囲内にある期間を指す。
【0056】
好ましくは、一次熱活性化処理の手法は、以下を含む:不活性雰囲気中において、温度を周囲温度から毎分0.5~10℃、好ましくは毎分0.5~1.5℃の速度で、200~300℃まで上昇させ、1~10時間維持し、さらに毎分0.5~10℃、好ましくは毎分0.5~1.5℃の速度で400~900℃、好ましくは500~700℃、より好ましくは550~650℃まで温度を上昇させ、2~10時間維持することを含む。
【0057】
本開示によれば、二次熱活性化処理の条件は、以下を含む:不活性雰囲気中において、処理温度が250~900℃、好ましくは250~700℃、より好ましくは250~650℃であり、処理時間が1~48時間、好ましくは4~48時間、より好ましくは6~24時間である。本開示において、特に断りのない限り、処理時間は、処理された材料が上記処理温度範囲内にある期間を指す。
【0058】
好ましくは、二次熱活性化処理の手法は、以下を含む:不活性雰囲気中において、温度を周囲温度から毎分0.5~10℃、好ましくは毎分0.5~1.5℃の速度で、200~300℃まで上昇させ、1~10時間維持し、さらに温度を毎分0.5~10℃、好ましくは毎分0.5~1.5℃の速度で400~900℃、好ましくは500~700℃、より好ましくは550~650℃まで上昇させ、2~10時間維持することを含む。
【0059】
好ましくは、一次熱活性化処理の処理条件が二次熱活性化処理の処理条件と同じである。
【0060】
本開示の好ましい実施形態において、熱活性化処理の操作は、以下を含む:
毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、周囲温度から200~300℃まで加熱すること;1~10時間維持すること;さらに毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、400~900℃まで、好ましくは500~700℃まで、より好ましくは550~650℃まで加熱すること;その温度で2~10時間維持することによる、窒素雰囲気中での一次熱活性化処理を行うこと;
次いで周囲温度(例えば室温)まで冷却すること;
毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、周囲温度から200~300℃まで加熱すること;1~10時間維持すること;さらに毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、400~900℃まで、好ましくは500~700℃まで、より好ましくは550~650℃まで加熱すること;その温度で2~10時間維持することによる、窒素雰囲気中での二次熱活性化処理を行うこと;および
室温まで冷却し、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を得ること。
【0061】
一次熱活性化処理および二次熱活性化処理の間、窒素雰囲気は常に維持される。
【0062】
本開示において、濾過プロセスは濾過後、脱イオン水による洗浄(洗浄は2~10回行ってもよい)を繰り返し、吸引濾過を行ってもよい。
【0063】
本開示において、乾燥は、乾燥箱内で行うことができる。乾燥条件は、温度は110℃~150℃、時間は3~6時間とすることができる。
【0064】
本開示の好ましい実施形態によれば、前記方法は、熱活性化処理によって得られる生成物を、塩素含有シランと共に撹拌することによって混合することをさらに含む。
【0065】
本開示において、メソ多孔質材料の塩素含有シランによる変性は、熱活性化処理により得られる生成物を塩素含有シランと共に撹拌することにより混合することで達成され、調製された球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が親油性の特性を有するようになり、それによってメソ多孔質材料が、長時間にわたって低含水率および低酸素含有量の状態にあることをさらに確実にする。
【0066】
本開示によれば、塩素含有シランは、酸素原子の有無にかかわらず炭素、塩素、およびケイ素を含み、またヒドロキシル基、アミノ基、およびカルボキシル基などの親水性基を含まない、様々な物質を指す。塩素含有シランは、1つ以上の塩素原子および1つ以上のケイ素原子を含んでいてもよい。複数の塩素原子が塩素含有シランに含まれる場合、複数の塩素原子は、1つのケイ素原子上または複数のケイ素原子上に位置することができる。塩素含有シランは、ジクロロジメトキシシラン、モノクロロトリメトキシシラン、ジクロロジエトキシシランおよびモノクロロトリエトキシシランから選択される少なくとも1つであってもよい。
【0067】
上記方法により得られるメソ多孔質材料は、粒径が小さく、粒径が均一であるという特性を有する。したがって、本発明の方法によって得られる熱活性化メソ多孔質材料は、先行技術で使用される粉砕工程を経る必要がない。このようにして、本発明の方法はプロセス工程を節約するだけでなく、粉砕によって生じるメソ多孔質材料の構造への損傷を低減し、メソ多孔質材料の損失を低減し、メソ多孔質材料の機械的強度を確保することができる。より重要なことには、先行技術で使用されるボールミリングは、メソ多孔質材料担体の細孔を直接損傷するか、またはメソ多孔質材料担体の細孔をスラグによってブロックすることさえも引き起こし、触媒活性の低下をもたらす。
【0068】
本開示の特定の実施形態では、メソ多孔質材料が以下の工程を含む方法によって調製することができる:
工程1:トリブロックコポリマーであるポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン(EO20PO70EO20、略称P123)、フッ化アンモニウム(NH4F)を、トリブロックコポリマー:フッ化アンモニウム:塩化水素=1:1~3:100~2000のモル比で塩酸溶液に添加し、固体が溶解するまで25~60℃で攪拌する;
工程2:工程1由来の溶液に、オルトケイ酸エチルおよびヘプタンを、トリブロックコポリマー:オルトケイ酸エチル:ヘプタン=1:20~500:20~500のモル比で添加し、25~60℃の温度で10分以上激しく撹拌した後、得られる混合物を25~60℃の温度で10時間以上静置する;
工程3:工程2由来の溶液を密閉反応容器に入れ、90~180℃の温度で10時間~40時間結晶化させる;
工程4:工程3由来の結晶化生成物を脱イオン水で希釈し、濾過し、洗浄し、乾燥することにより、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料の原料粉末を得る;
工程5:得られるメソ多孔質材料の原料粉末を、空気等の酸素含有雰囲気中において、300~600℃で8~20時間焼成し、テンプレート剤を除去する;
工程6:窒素ガス流下で、上記テンプレート剤除去済み材料を、毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、周囲温度から200~300℃まで加熱し;1時間~10時間維持し;さらに毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、400~900℃まで、好ましくは500~700℃まで、より好ましくは550~650℃まで加熱し;その温度を2時間~10時間維持する;
工程7:上記の一次熱活性化処理済み材料を室温まで冷却した後、窒素ガス流下で、毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、周囲温度から200~300℃まで加熱し;1~10時間維持し;さらに毎分0.5~10℃で、好ましくは毎分0.5~1.5℃で、400~900℃まで、好ましくは500~700℃まで、より好ましくは550~650℃まで加熱し;その温度で2~10時間維持する、ことにより二次熱活性化処理を行い、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を得る。
【0069】
第3の態様において、本開示は、上記の調製方法によって調製された球状様メソ多孔質物質を提供する。
【0070】
本開示では、球状様メソ多孔質材料が二次元六方晶規則チャネル構造を有する。メソ多孔質材料は10nm~15nmの平均細孔直径、300m2/g~400m2/gの比表面積、1μm~3μmの平均粒径を有し;メソ多孔質材料の全質量に基づき、メソ多孔質材料中の水の質量含有量は1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満であり、メソ多孔質材料中の酸素の質量含有量は、1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、より好ましくは0.1ppm未満である。
【0071】
第4の態様において、本開示は担体、ならびに担体上に担持されたマグネシウム成分、チタン成分、および任意の電子供与成分を含むポリオレフィン触媒であって、担体が前述の球状様メソ多孔質材料であるポリオレフィン触媒を提供する。
【0072】
本開示のポリオレフィン触媒は、担体として球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を含む。球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体は、特定の二次元六方晶構造を有する。メソ多孔質材料のメソ多孔質チャネル構造は均一に分布し、好適な細孔径を有し、メソ多孔質材料は小さな粒径、良好な機械的強度、および良好な構造的安定性を有し、担体の表面上へのマグネシウム系およびチタン系有効成分の良好な分散に特に寄与する。これにより、調製されたポリオレフィン触媒は金属有効成分の良好な分散、高い充填量、少ない副反応、簡単な後処理などの担持触媒の長所を有するだけでなく、より良好な触媒活性を有し、それによって、オレフィンモノマーの重合に使用された場合に、担体として球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料を使用することによって作られる担持触媒が、より良好な触媒活性および著しく改善された原料の転化率を有することを確実にする。
【0073】
本開示によれば、ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、担体の含有量は20重量%~90重量%、好ましくは30重量%~70重量%であり;マグネシウム元素に換算したマグネシウム成分の含有量は1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%であり;チタン元素に換算したチタン成分の含有量は1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%である。
【0074】
本開示によれば、ポリオレフィン触媒中の担体に担持された活性金属成分がマグネシウム成分のみを含む場合、ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、担体の含有量は20重量%~90重量%であってもよく、マグネシウム成分の含有量は1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%、より好ましくは1重量%~20重量%であってもよく;ポリオレフィン触媒中の担体に担持された活性金属成分がチタン成分のみを含む場合、ポリオレフィン触媒の全重量に基づき、担体の含有量は20重量%~90重量%であってもよく、チタン成分の含有量は1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~5重量%であってもよい。
【0075】
好ましくは、ポリオレフィン触媒中において、マグネシウム成分(マグネシウム元素換算)とチタン成分(チタン元素換算)とのモル比は0.5~50:1、好ましくは5~18:1である。
【0076】
本開示によれば、ポリオレフィン触媒は、0.5mL/g~1mL/gの細孔容積、120m2/g~300m2/gの比表面積、7nm~12nmの最確細孔直径、3μm~25μmの平均粒径、および0.85~0.95の粒度分布を有してもよい。
【0077】
本開示において、ポリオレフィン触媒の平均粒径および粒径分布、すなわちSPAN値はMalvernレーザー粒径分析装置により測定され、比表面積、細孔容積、平均細孔直径および最確細孔直径は、窒素吸着により測定される。
【0078】
本開示の一実施形態において、ポリオレフィン触媒成分は、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料、マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体を含む。本開示において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素のうちの少なくとも1つを指す。
【0079】
第5の態様において、本開示は、上記ポリオレフィン触媒を調製する方法であって、以下を含む方法を提供する:
(i)不活性雰囲気下で、(ia)マグネシウム成分含有溶液で、次いでチタン成分含有溶液で、上記球状様メソ多孔質材料を含浸処理すること、(ib)チタン成分含有溶液で、次いでマグネシウム成分含有溶液で、上記メソ多孔質材料を含浸処理すること、または(ic)チタン成分およびマグネシウム成分の両方を含有する溶液で、上記メソ多孔質材料を共含浸処理すること、によりスラリーを得る;
(ii)工程(i)由来のスラリーを噴霧乾燥させる。
【0080】
本開示によれば、マグネシウム成分および/またはチタン成分を含む溶液は、有機溶媒中にマグネシウム塩および/またはチタン塩を含む溶液であってもよく、有機溶媒は電子供与溶媒であってもよい。例えば、有機溶媒は、脂肪族または芳香族カルボン酸のアルキルエステル、脂肪族エーテル、および環状エーテルからなる群から選択されてもよく、好ましくはC1-C4飽和脂肪族カルボン酸のC1-C4アルキルエステル、C7-C8芳香族カルボン酸のC1-C4アルキルエステル、C2-C6脂肪族エーテル、およびC3-C4環状エーテルの少なくとも1つ、より好ましくはギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルエーテル、ジヘキシルエーテルおよびテトラヒドロフラン(THF)の少なくとも1つ、さらにより好ましくはテトラヒドロフランである。
【0081】
本開示によれば、メソ多孔質材料上のマグネシウム成分および/またはチタン成分の担持は含浸を通じて達成することができ、ここで、マグネシウム成分および/またはチタン成分は担体のチャネル構造の毛細管圧によってメソ多孔質材料のチャネルに進入し、同時に、マグネシウム成分および/またはチタン成分は、マグネシウム成分および/またはチタン成分がメソ多孔質材料の表面上の吸着平衡に達するまで、メソ多孔質材料の表面上に吸着もされる。メソ多孔質材料がマグネシウム成分およびチタン成分の両方を担持する場合、含浸処理は、共含浸処理または段階的含浸処理であってもよい。調製コストを節約し、実験プロセスを単純化するために、含浸処理は、好ましくは共含浸処理である。さらに好ましくは、共含浸処理の条件が以下を含んでもよい:含浸温度が25~100℃、好ましくは40~80℃であり、含浸時間が0.1~5時間、好ましくは1~4時間である。
【0082】
本開示によれば、使用されるメソ多孔質材料、マグネシウム成分およびチタン成分の量は好ましくは、調製されたポリオレフィン触媒成分において、ポリオレフィン触媒成分の全重量に基づき、メソ多孔質材料の含有量が20重量%~90重量%、好ましくは30重量%~70重量%の範囲であり、マグネシウム元素に換算したマグネシウム成分の含有量が1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%、より好ましくは10重量%~30重量%の範囲であり、チタン元素に換算したチタン成分の含有量が1~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%、より好ましくは10重量%~30重量%の範囲であるような量である。
【0083】
本開示において、メソ多孔質材料をマグネシウム成分のみを含む溶液に含浸させるとき、メソ多孔質材料およびマグネシウム成分の使用量は好ましくは、調製されたポリオレフィン触媒成分において、ポリオレフィン触媒成分の全重量に基づき、メソ多孔質材料の含有量が20重量%~90重量%の範囲であり、マグネシウム成分の含有量(マグネシウム元素換算)が1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%、より好ましくは1重量%~20重量%の範囲であるような量である。
【0084】
本開示の具体的な実施形態において、調製されたポリオレフィン触媒成分は、ポリオレフィン触媒成分の全重量に基づき、メソ多孔質材料の含有量が20重量%~90重量%の範囲であり、マグネシウム元素に換算したマグネシウム成分の含有量とチタン元素に換算したチタン成分の含有量との合計が10重量%~30重量%の範囲である。
【0085】
好ましくは、工程(i)において、マグネシウム成分および/またはチタン成分を含有溶液に対するメソ多孔質材料の重量比率は、1:50~150、好ましくは1:75~120であってもよい。
【0086】
好ましくは、工程(i)において、マグネシウム成分およびチタン成分の使用量は、調製されたポリオレフィン触媒成分において、マグネシウム元素に換算したマグネシウム成分とチタン元素に換算したチタン成分のモル比が0.5~50:1、好ましくは5~18:1の範囲であるような量である。
【0087】
本開示において、マグネシウム成分は化学式Mg(OR1)mX2-mのマグネシウム化合物であってもよく、ここでR1は2~20個の炭素原子を有する炭化水素基、例えばC2-C10アルキルであり、Xはハロゲン原子であり、0≦m≦2である。例えば、マグネシウム成分は、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジオクトキシマグネシウム、および二塩化マグネシウムのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0088】
本開示において、チタン成分は化学式Ti(OR2)nX4-nのチタン化合物であって、ここでR2は1~20個の炭素原子を有する炭化水素基、例えばC1-C10アルキルであり、Xはハロゲン原子であり、0≦n≦4であるチタン化合物、および/または三塩化チタンであってもよい。例えば、チタン成分は、テトラエチルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、三塩化チタン、四塩化チタンのうち少なくとも1つであってもよい。好ましくは、チタン成分は四塩化チタンおよび/または三塩化チタンであり、より好ましくは四塩化チタンである。
【0089】
本開示の方法では、触媒成分の調製中に上記マグネシウム成分に変換することができるマグネシウム成分前駆体を、マグネシウム成分の代わりに使用することができ、および/または触媒成分の調製中に上記チタン成分に変換することができるチタン成分前駆体をチタン成分の代わりに使用することができる。
【0090】
本開示では、マグネシウム成分および/またはチタン成分を含む溶液中のマグネシウム成分およびチタン成分の濃度に特に制限はない。例えば、マグネシウム成分およびチタン成分は、当技術分野で従来から選択されているものであってもよい。例えば、マグネシウム成分の濃度は0.1~1mol/Lの範囲であってもよく、チタン成分の濃度は0.01~0.2mol/Lの範囲であってもよい。
【0091】
本開示によれば、含浸処理に用いられる不活性ガスは、原料や生成物と反応しないガスである。例えばそれは、当技術分野で従来使用されている、窒素および元素周期表の第0族のガスのうちの少なくとも1つ、好ましくは窒素であり得る。本開示において、含浸状態は含浸温度が25℃~100℃であり、含浸時間が0.1時間~5時間である。
【0092】
本開示によれば、噴霧乾燥は、従来のプロセスに従って実施することができる。例えば噴霧乾燥法は、加圧噴霧乾燥法、遠心噴霧乾燥法、ガスフロー噴霧乾燥法から選択される少なくとも1つであってもよい。本開示の好ましい実施形態によれば、噴霧乾燥は、ガスフロー噴霧乾燥法を通じて達成される。噴霧乾燥は、噴霧器中で行うことができる。噴霧乾燥条件は、以下を含んでもよい:窒素またはアルゴンの保護雰囲気下で、100~150℃のガス導入温度、100~120℃のガス排出温度、および10~50L/sの搬送ガス流量。上記の条件は噴霧されるスラリーに比較的高い粘度を付与して、それを噴霧成形操作に適したものにし、噴霧によって得られる粒子に良好な機械的強度を付与することができる。好ましくは噴霧乾燥条件が、調製されたポリオレフィン触媒が3~25μmの平均粒径、および0.85~0.95の粒度分布値を有するような条件である。
【0093】
本開示の好ましい実施形態によれば、工程(i)~(ii)は以下のように行われる:不活性雰囲気下、撹拌器が備えられた反応器中で、電子供与溶媒テトラヒドロフラン(THF)を加え、反応器温度を25℃~40℃に制御する。攪拌をオンにした後、二塩化マグネシウムおよび四塩化チタンを迅速に加える。系の温度を60~75℃に調整し、混合物を一定温度で1~5時間、二塩化マグネシウムおよび四塩化チタンが完全に溶解するまで反応させ、二塩化マグネシウムおよび四塩化チタンを含有する有機溶液を得る。二塩化マグネシウムおよび四塩化チタンを含む有機溶液を球状様メソ多孔質材料と混合し、個々の成分の量が以下に示すものとなるように制御する:チタン元素1molに対して、マグネシウム元素が0.5~50mol、好ましくは1~10mol、電子供与溶媒テトラヒドロフラン(THF)が0.5~200mol、好ましくは20~200mol。得られる混合物を、60~75℃に制御された反応器温度で0.1~5時間撹拌し、噴霧用の均一なスラリーを得る。球状様メソ多孔質材料は噴霧成形に適したスラリーを形成するのに充分な量で加えられるべきであり、マグネシウム元素およびチタン元素に換算した二塩化マグネシウムおよび四塩化チタンの含有量の合計はそれぞれ、1~50重量%、好ましくは1~30重量%である。次に、得られる噴霧用スラリーをN2雰囲気下で操作する噴霧乾燥機に導入し、ガス導入温度を100~150℃、ガス排出温度を100~120℃、搬送ガス流量を10~50L/sに制御して、平均粒径3~25μm、好ましくは3~20μmの球状様ポリオレフィン触媒粒子を得る。
【0094】
上記の方法により調製されたポリオレフィン触媒は、球状様の形態学的特徴を有するので、便宜上、球状様触媒成分と称されることがある。本明細書で使用される「球状様触媒成分」という用語は、触媒成分が球に近い粒子形態を有することを意味する。本開示の触媒は、マグネシウム成分およびチタン成分の高い充填量、ならびに妥当なチャネル構造を有する。本開示の触媒をオレフィンモノマーの重合に使用する場合、重合活性はより高く、得られるポリマーは、良好な粒子形態、狭い分子量分布、および優れた流動性を有する。
【0095】
本開示において、触媒をエチレン重合に用いる場合、触媒効率(gPE/gcat・h)は25,000を超えることができ、好ましくは28,000~29,000である。対照的に、先行技術の触媒の触媒効率は22,000を超えず、また通常は20,000を超えない。
【0096】
本開示では、ポリオレフィン触媒に使用される担体としてのメソ多孔質材料が、従来のメソ多孔質材料よりもはるかに大きい平均細孔直径を有し、これはポリエチレン触媒が単に外面上に担持するのではなく、担持プロセス中にその豊富な内部細孔に進入するのを助け、六角形の直線チャネルもまた、触媒の進入をより促進し、その結果、得られる触媒は優れた触媒効率を有する。
【0097】
第6の態様において、本開示は、a)重合条件下で、上記ポリオレフィン触媒および共触媒の存在のもと、オレフィンモノマーを重合し、ポリオレフィンを得る方法;およびb)ポリオレフィンを回収する方法、を含む、オレフィン重合方法を提供する。
【0098】
本明細書で使用するとき、用語「重合」は、単独重合および共重合を含む。本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーを含む。
【0099】
本開示のポリオレフィン触媒成分が使用される、ポリオレフィンを調製するためのオレフィンモノマーの重合反応は、エチレンの単独重合およびエチレンと他のα-オレフィンとの共重合を含み、ここでα-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ペンテン、および4-メチル-1-ペンテンから選択される少なくとも1つであり得る。
【0100】
本開示によれば、重合の反応条件は、特に限定されず、当技術分野におけるオレフィン重合のための従来の反応条件であってもよい。例えば、反応は不活性雰囲気下で行われてもよく、重合のための条件は以下を含んでもよい:10~100℃の温度、0.5~5時間の時間、および0.1~2MPaの圧力;好ましくは、重合のための条件は以下を含んでもよい:20~95℃の温度、1~4時間の時間、および0.5~1.5MPaの圧力;さらに好ましくは、70~85℃の温度、1~2時間の時間、および1~1.5MPaの圧力。
【0101】
本開示に係るオレフィン重合法により得られるポリエチレン粒子は、良好な形態および優れた流動性を有し、ポリマー粉末のメルトインデックスが比較的大きく、ポリマー粉末の分子量分布が狭い。好ましくは、ポリエチレン粉末のメルトインデックスMI2.16(g/10分)は1.6g/10分より大きく、好ましくは1.7g/10分~3g/10分であり;ポリエチレン粉末の分子量分布インデックス(Mw/Mn)は3.5未満、好ましくは2.8~3である。
【0102】
本明細書で言及される圧力は、ゲージ圧力を指す。
【0103】
本開示において、重合は、溶媒の存在のもとで行ってもよい。重合に用いることができる溶媒としては、特に限定されず、例えばヘキサンであってもよい。
【0104】
本開示の特定の実施形態では、担持ポリオレフィン触媒成分が担持ポリエチレン触媒成分であってもよく、重合はエチレン重合である。エチレンの重合方法は、エチレン重合条件下で、触媒および共触媒の存在のもと、エチレンを重合することを含み、共触媒は、好ましくはアルキルアルミニウム化合物である。
【0105】
本開示の方法において使用することができる共触媒は、当技術分野において一般的に使用される任意の共触媒であってよい。例えば、共触媒は、次式Iで表されるアルキルアルミニウム化合物であってもよい:
AlRnX(3-n) (式I)
(式中、Rはそれぞれ、C1-C8アルキル、好ましくはC1-C5アルキルであってもよく;Xはそれぞれ、ハロゲン原子の1つ、好ましくは塩素原子であってもよく;nは0、1、2または3である)。
【0106】
好ましくは、C1-C5アルキルがメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-アミル、およびネオペンチルのうちの1つ以上であってもよい。
【0107】
アルキルアルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、塩化ジ-n-プロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-sec-ブチルアルミニウム、トリ-tert-ブチルアルミニウム、塩化ジ-n-ブチルアルミニウムおよび塩化ジイソブチルアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましくは、アルキルアルミニウム化合物はトリエチルアルミニウムである。
【0108】
使用されるアルキルアルミニウム化合物の量は、当技術分野における従来の選択であってもよい。一般に、触媒成分とアルキルアルミニウム化合物とのモル比は、1:20~300であってもよい。
【0109】
本開示において、オレフィン重合方法は、重合反応終了後に、最終反応混合物を単離して、ポリオレフィン粒子の粉末を得る段階を、さらに含んでもよい。
【0110】
以下、実施例により本開示を具体的に説明する。
【0111】
以下の実施例および比較例において:
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンのトリブロックコポリマー、P123は、Aldrichから購入し(P123と略称される)、EO20PO70EO20の分子式、および5800の平均分子量Mnを有し、これはAmerican Chemical Abstractsにおける登録番号9003-11-6を有する物質である。実施例および比較例に使用される他の原料は市販されている。
【0112】
以下の実施例および比較例において、X線回折分析を、Bruker AXS(ドイツ)から購入したX線回折装置モデルD8 Advanceで実施し;走査型電子顕微鏡分析を、FEI(米国)から購入した走査型電子顕微鏡モデルXL-30で実施し;細孔構造パラメータ分析を、Micromeritics Co.(米国)から購入した吸着装置モデルASAP 2020-M+Cで実施し;試料の比表面積および細孔容積を、BET法を用いて計算し;試料の粒径分布値(SPAN)を、Malvernレーザー粒径分析装置(英国、Malvinから入手可能)で取得し;使用したロータリーエバポレーターは、IKA社(ドイツ)製のモデルRV10 digitalであり;ポリオレフィン触媒成分の個々の成分の含有量を、Panaco(オランダ)から購入した波長分散X線蛍光分光計モデルAxios-Advancedで決定し;噴霧乾燥を、Buchi(スイス)製の噴霧乾燥機モデルB-290上で行った。メソ多孔質材料の含水量は、MA-30スマートKarl Fischer水分計によって測定した。メソ多孔質材料の酸素含有量は、ONH-3000酸素窒素水素分析器によって測定した。
【0113】
ポリオレフィン粉末の分子量分布(Mw/Mn)は、ASTM D6474-99に規定される方法に従って、Polymer Laboratories Ltd.(英国)製のPL-GPC220ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した。
【0114】
ポリオレフィンのメルトインデックスは、ASTM D1238-99に規定された方法によって決定された。
【0115】
粒子状物質の平均粒径は、走査型電子顕微鏡により測定した。
[実施例1]
この実施例は、ポリオレフィン触媒成分およびその調製を説明するために使用される。
【0116】
(I)担体調製
(1)P123(平均分子量Mn5800を有するCAS番号9003-11-6の物質)2.4gとフッ化アンモニウム0.028gを、濃度1.75mol/Lの塩酸80mLに加え、P123とフッ化アンモニウムが完全に溶解するまで20℃で攪拌した。
【0117】
(2)次いで、n-ヘプタン17mLおよびオルトケイ酸エチル5.5mLを上記溶液に加え、20℃で4分間激しく撹拌し、得られる反応混合物を1時間静置した。
【0118】
(3)得られる溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング反応器に移し、100℃で24時間結晶化させた。
【0119】
(4)濾過、洗浄、乾燥を通じて、メソ多孔質材料の原料粉末を得た。
【0120】
(5)メソ多孔質材料の原料粉末をマッフル炉内において500℃で24時間焼成し、テンプレート剤を除去した。次いで、流量1.3m3/sの窒素流下で、焼成されたメソ多孔質材料を、室温から250℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で2時間保持し、次いで550℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で8時間保持する、一次熱活性化処理に供した。温度を室温まで下げた。続いて、メソ多孔質材料を、流量13m3/sの窒素流下で、室温から250℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で2時間保持し、次いで550℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で8時間保持する、二次熱活性化処理に供した。次いで、温度を室温まで下げて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料B1を得た。窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔質材料をサンプリングし、次いでMA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料からは水分は検出されなかった。MA-30スマートKarl Fischer水分計は0.1ppm(質量基準)の検出限界を有するので、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料は0.1ppm未満の水分含有量を有する。さらに、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析装置による測定を通じて、メソ多孔質材料から酸素ガスは検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の酸素含有量を有することを示唆する。10gの上記熱活性化メソ多孔質材料B1を三口フラスコに入れ、10mLのトルエンおよび5mLのジクロロジメチルシランをそこに加えた。30℃で10時間撹拌した後、内容物を窒素流下で蒸発乾燥させて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C1(10g)を得た。
【0121】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
N2で浄化しN2雰囲気下に維持した、攪拌装置を備えた反応器に、電子供与溶媒としてテトラヒドロフラン130mLを加えた。30℃に制御された反応器温度で、二塩化マグネシウム5.3gおよび四塩化チタン1mLを反応器に加え、系の温度を70℃に調整し、その温度で4時間維持し、二塩化マグネシウムおよび四塩化チタンを含有する溶液を得た。この溶液を50℃に冷却し、ここに6gの球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C1を加え、得られる混合物を2時間撹拌して、噴霧用の均一なスラリーを得た。次に、得られる噴霧用スラリーを噴霧乾燥機に導入し、ガス導入温度140℃、ガス排出温度105℃、搬送ガス流量30L/sのN2雰囲気下で噴霧乾燥し、Cat-1と称するポリオレフィン触媒成分を得た。
【0122】
X線回折、走査型電子顕微鏡、粒度分析装置、および窒素吸着装置モデルASAP2020-M+Cを通じて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料A1、およびポリオレフィン触媒Cat-1の特性を調べた。
【0123】
X線蛍光分析を通じて、本実施例で得られる触媒成分Cat-1において、元素換算でマグネシウム含有量が11.17重量%、チタン含有量が2.55重量%であることが見出された。
【0124】
図1は、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料のXRDパターンである。XRDパターンから、メソ多孔質材料が高度に規則化されたチャネル構造を有することが分かる。
【0125】
図2は、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(倍率20000倍)である。SEM画像から、メソ多孔質材料が球状様の微細形態を有することが分かる。
【0126】
メソ多孔質材料の特性パラメータを表1に示す。
[比較例1]
この比較例は、比較ポリオレフィン触媒およびその調製を説明するために使用される。
【0127】
(I)担体調製
市販のシリカゲル(Cabot Corporationから入手可能なTS610級で、粒径0.02~0.1μmを有する)を担体D1として使用した。窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるMA-30スマートKarl Fischer水分計による測定を通じて、担体D1から水分は検出されなかった。これは、担体D1が0.1ppm未満の含水量を有することを示唆する。また、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析計による測定を通じて、担体D1から酸素ガスが検出されなかった。これは、担体D1が0.1ppm未満の酸素ガス含有量を有することを示唆する。
【0128】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
比較触媒Cat-D-1と称されるポリオレフィン触媒を、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C1の代わりに同じ重量の上記シリカゲル担体D1を使用したことを除いて、実施例1に記載の手順に従って調製した。
【0129】
触媒Cat-D-1において、元素換算でマグネシウムの含有量は15.3重量%であり、チタンの含有量は2.5重量%であることが見出された。
[比較例2]
この比較例は、比較ポリオレフィン触媒およびその調製を説明するために使用される。
【0130】
担体D2およびポリオレフィン触媒Cat-D-2を、球状様超マクロ多孔性メソ多孔性物質担体C1の代わりに同じ重量のアルミナ担体を使用したことを除いて、実施例1に記載の手順に従って調製した。
【0131】
X線蛍光分析を通じて、触媒Cat-D-2において、元素換算でマグネシウム含有量は14.6重量%、チタン含有量は1.8重量%であることが見出された。
[比較例3]
この比較例は、比較ポリオレフィン触媒およびその調製を説明するために使用される。
【0132】
ポリオレフィン触媒Cat-D-3を、ポリオレフィン触媒Cat-D-3の調製中に噴霧乾燥および有機変性処理を使用せず、しかし含浸処理後に混合物を直接濾過し、n-ヘキサンで4回洗浄し、75℃で乾燥させて、ポリオレフィン触媒Cat-D-3を得たこと除いて、実施例1に記載の手順に従って調製した。
【0133】
X線蛍光分析を通じて、触媒Cat-D-3中において、元素換算でマグネシウム含有量は11.13重量%、チタン含有量は1重量%であることが見出された。
[実施例2]
(I)担体調製
(1)P123(平均分子量Mn5800を有するCAS番号9003-11-6の物質)2.4gとフッ化アンモニウム0.01gを、濃度1.75mol/Lの塩酸80mLに加え、P123とフッ化アンモニウムが完全に溶解するまで20℃で攪拌した。
【0134】
(2)次いで、n-ヘプタン1mLおよびオルトケイ酸エチル5.5mLを上記溶液に加え、20℃で4分間激しく撹拌し、得られる反応混合物を1時間静置した。
【0135】
(3)得られる溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング反応器に移し、100℃で24時間結晶化させた。
【0136】
(4)濾過、洗浄、乾燥を通じて、メソ多孔質材料の原料粉末を得た。
【0137】
(5)メソ多孔質材料の原料粉末をマッフル炉内において500℃で24時間焼成し、テンプレート剤を除去した。次いで、流量1.3m3/sの窒素流下で、焼成されたメソ多孔質材料を、室温から250℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で2時間保持し、次いで550℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で8時間保持する、一次熱活性化処理に供した。温度を室温まで下げた。続いて、メソ多孔質材料を、流量1.3m3/sの窒素流下で、室温から250℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で2時間保持し、次いで550℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で8時間保持する、二次熱活性化処理に供した。次いで、温度を室温まで下げて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料B2を得た。窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるMA-30スマートKarl Fischer水分計による測定を通じて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料から水分は検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の含水量を有することを示唆する。さらに、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析計による測定を通じて、メソ多孔質材料から酸素ガスは検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の酸素含有量を有することを示唆する。10gの上記熱活性化メソ多孔質材料B2を三口フラスコに入れ、10mLのトルエンおよび5mLのジクロロジメチルシランをそこに加えた。30℃で10時間撹拌した後、内容物を窒素流下で蒸発乾燥させて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C2(10g)を得た。
【0138】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
ポリオレフィン触媒Cat-2を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[実施例3]
(I)担体調製
(1)P123(平均分子量Mn5800を有するCAS番号9003-11-6の物質)2.4gとフッ化アンモニウム3gを1.75mol/Lの塩酸80mLに加え、P123とフッ化アンモニウムが完全に溶解するまで20℃で攪拌した。
【0139】
(2)次いで、n-ヘプタン100mLおよびオルトケイ酸エチル5.5mLを上記溶液に加え、20℃で4分間激しく撹拌し、得られる反応混合物を1時間静置した。
【0140】
(3)得られる溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング反応器に移し、100℃で24時間結晶化させた。
【0141】
(4)濾過、洗浄、乾燥を通じて、メソ多孔質材料の原料粉末を得た。
【0142】
(5)メソ多孔質材料の原料粉末をマッフル炉内において500℃で24時間焼成し、テンプレート剤を除去した。次いで、流量1.3m3/sの窒素流下で、焼成されたメソ多孔質材料を、室温から250℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で2時間保持し、次いで550℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で8時間保持する、一次熱活性化処理に供した。温度を室温まで下げた。続いて、メソ多孔質材料を、流量1.3m3/sの窒素流下で、室温から250℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で2時間保持し、次いで550℃まで毎分1℃の速度で加熱し、その温度で8時間保持する、二次熱活性化処理に供した。次いで、温度を室温まで下げて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料B3を得た。窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるMA-30スマートKarl Fischer水分計による測定を通じて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料から水分は検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の含水量を有することを示唆する。さらに、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析計による測定を通じて、メソ多孔質材料から酸素ガスは検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の酸素含有量を有することを示唆する。10gの上記熱活性化メソ多孔性材料B3を三口フラスコに入れ、10mLのトルエンおよび5mLのジクロロジメチルシランをそこに加えた。30℃で10時間撹拌した後、内容物を窒素流下で蒸発乾燥させて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C3(10g)を得た。
【0143】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
ポリオレフィン触媒Cat-3を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[実施例4]
(I)担体調製の工程(5)において、窒素を含まない条件下で、熱活性化処理後に得られるメソ多孔質材料をボールミリングしたことを除いて、実施例1に記載の手順に従ってポリオレフィン触媒成分を調製し、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C4を得た。窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるMA-30スマートKarl Fischer水分計による測定を通じて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料から水分は検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の含水量を有することを示唆する。さらに、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析計による測定を通じて、メソ多孔質材料から酸素ガスは検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の酸素含有量を有することを示唆する。
【0144】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
ポリオレフィン触媒Cat-4を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[実施例5]
(I)担体調製において、0.046gのフッ化アンモニウムを使用したことを除いて、実施例1に記載の手順に従ってポリオレフィン触媒成分を調製し、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C5を得た。窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるMA-30スマートKarl Fischer水分計による測定を通じて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料から水分は検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の含水量を有することを示唆する。さらに、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析計による測定を通じて、メソ多孔質材料から酸素ガスは検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の酸素含有量を有することを示唆する。
【0145】
ポリオレフィン触媒Cat-5を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[実施例6]
(I)担体調製において、28mLのヘプタンを使用したことを除いて、実施例1に記載の手順に従ってポリオレフィン触媒成分を調製し、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C6を得た。窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるMA-30スマートKarl Fischer水分計による測定を通じて、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料から水分は検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の含水量を有することを示唆する。さらに、窒素雰囲気下で行われた、0.1ppm(質量基準)の検出限界を有する分析装置であるONH-3000酸素窒素水素分析計による測定を通じて、メソ多孔質材料から酸素ガスは検出されなかった。これは、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料が0.1ppm未満の酸素含有量を有することを示唆する。
【0146】
ポリオレフィン触媒Cat-6を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[比較例4]
(I)担体調製
2gのテンプレート剤F127を、2.9gの37重量%塩酸を56gの水中に溶かした溶液に加え、得られる混合物を、F127が完全に溶解するまで40℃で撹拌した。次いで、8.2g(0.04mol)のオルトケイ酸エチルを上記溶液に加え、40℃で45分間撹拌し、得られる溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング反応器に移し、100℃で24時間結晶化させた。続いて、濾過、脱イオン水で4回洗浄、吸引濾過、乾燥を通じて、体心立方構造を有するメソ多孔質材料の原料粉末を得た。続いて、体心立方構造を有するメソ多孔質材料の原料粉末をマッフル炉内において400℃で10時間焼成してテンプレート剤を除去し、平均粒径3~9μmのテンプレート剤除去済み球状メソ多孔質シリカD4を得た。次いで、窒素雰囲気下で、テンプレート剤除去済み球状メソ多孔質シリカD4を400℃で10時間焼成することにより熱活性化し、球状メソ多孔質シリカD4から水酸基および残留水分を除去し、これにより熱活性化球状メソ多孔質シリカを得た。窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔質材料をサンプリングし、次いでMA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料は、500ppm(質量基準)の含水量を有することが見出された。さらに、ONH-3000酸素窒素水素分析計を通じて、メソ多孔質材料は、300ppm(質量基準)の酸素含有量を有することが見出された。
【0147】
10gの上記熱活性化球状メソ多孔質シリカD4および1gのジクロロジメチルシランを100mLボールミルジャーに入れ、ここでボールミルジャーの材料はポリテトラフルオロエチレンであり、ミリングボールの材料はアゲートであり、ミリングボールの直径は3~15mmの範囲であり、ミリングボールの数は30個であった。ボールミルジャーを閉じ、ボールミルジャー内の温度25℃、ボールミルジャーの回転速度400r/minで12時間、ボールミリングを行い、体心立方構造を有し平均粒径が3~8μmである球状メソ多孔質シリカ担体D4を得た。
【0148】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
ポリオレフィン触媒Cat-D-4を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[比較例5]
(I)担体調製
1gのポリエチレングリコール-ポリグリセロール-ポリエチレングリコールのトリブロックコポリマー、P123、および1.69gのエタノールを、pH4.4の酢酸および酢酸ナトリウムの緩衝剤液28mLに添加し、ポリエチレングリコール-ポリグリセロール-ポリエチレングリコールP123が完全に溶解するまで15℃で撹拌した。次いで、上記溶液にトリメチルペンタン6gを加え、15℃で8時間攪拌し、テトラメトキシシラン2.13gをそこに加えた。15℃で20時間撹拌した後、得られる溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング反応器に移し、60℃で24時間結晶化させ、濾過、純水洗浄、乾燥を通じて、卵殻状メソ多孔質材料の原料粉末を得た。卵殻状メソ多孔質材料の原料粉末をマッフル炉内において550℃で24時間焼成してテンプレート剤を除去し、粒度径3~22μmのテンプレート剤除去済み卵殻状メソ多孔質材料D5を得た。次いで、窒素雰囲気下で、テンプレート剤除去済み卵殻状メソ多孔質材料D5を400℃で10時間焼成することにより熱活性化し、卵殻状メソ多孔質材料D5から水酸基および残留水分を除去し、これにより熱活性化卵殻状メソ多孔質材料を得た。窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔質材料をサンプリングし、次いでMA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。メソ多孔質材料は、300ppm(質量基準)の含水量を有することが見出された。さらに、ONH-3000酸素窒素水素分析計を通じて、メソ多孔質材料は、280ppm(質量基準)の酸素含有量を有することが見出された。
【0149】
10gの上記熱活性化卵殻状メソ多孔質材料D5および1gのジクロロジメチルシランを100mLボールミルジャーに入れ、ここでボールミルジャーの材料はポリテトラフルオロエチレンであり、ミリングボールの材料はアゲートであり、ミリングボールの直径は3~15mmの範囲であり、ミリングボールの数は30個(大玉(10mmを超える直径を有する)、中玉(6~10mmの直径を有する)、小玉(6mm未満の直径を有する)を概ね1:2:3の個数比率で含む)であった。ボールミルジャーを閉じ、ボールミルジャー内の温度25℃、ボールミルジャーの回転速度400r/minで12時間、ボールミリングを行い、粉砕された卵殻状メソ多孔質材料担体D5(10g)を得た。
【0150】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
ポリオレフィン触媒Cat-D-5を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[比較例6]
(I)担体調製
4g(0.0007mol)のテンプレート剤P123を、16.4mLの37重量%塩酸を128mLの水中に溶かした溶液に加え、P123が完全に溶解するまで40℃で撹拌した。次いで、8.86g(0.042mol)のオルトケイ酸エチルを上記溶液に加え、40℃で24時間撹拌し、得られる溶液をポリテトラフルオロエチレンライニング反応器に移し、150℃で24時間結晶化させた。次いで、濾過、脱イオン水で4回洗浄、吸引濾過、乾燥を通じて、メソ多孔質材料の原料粉末を得た。メソ多孔質材料の原料粉末を還流条件下にて24時間エタノールで洗浄してテンプレート剤を除去し、メソ多孔質モレキュラーシーブD6を得た。次いで、窒素雰囲気下で、テンプレート剤除去済み生成物を、400℃で10時間焼成することにより熱活性化し、メソ多孔質材料から水酸基および残留水分を除去し、熱活性化メソ多孔質材料D6を得た。窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔質材料をサンプリングし、次いでMA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。メソ多孔質材料は、250ppm(質量基準)の含水量を有することが見出された。さらに、ONH-3000酸素窒素水素分析計を通じて、メソ多孔質材料は、390ppm(質量基準)の酸素ガス含有量を有することが見出された。
【0151】
10gの上記熱活性化メソ多孔質材料D6および1gのジクロロジメチルシランを100mLボールミルジャーに入れ、ここでボールミルジャーの材料はポリテトラフルオロエチレンであり、ミリングボールの材料はアゲートであり、ミリングボールの直径は3~15mmの範囲であり、ミリングボールの数は30個であった。ボールミルジャーを閉じ、ボールミルジャー内の温度25℃、ボールミルジャーの回転速度400r/minで12時間、ボールミリングを行い、平均粒径1μm~10μmのメソ多孔質材料担体D6(10g)を得た。
【0152】
図3は、比較例6で調製されたメソ多孔質材料D6の走査型電子顕微画像である。SEM画像から、メソ多孔質材料がロッド形状であることが分かる。
【0153】
図4~
図5は、ボールミリングを行った比較例6で調製されたメソ多孔質材料D6の、別視点における走査型電子顕微鏡(SEM)像である。SEM画像から、メソ多孔質材料D6が、ボールミリング後に完全に破壊されていることが分かる。
【0154】
(II)ポリオレフィン触媒の調製
ポリオレフィン触媒Cat-D-6を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[比較例7]
(I)担体調製において、ヘプタンの代わりに同じ重量のシクロヘキサンを使用し、それによりメソ多孔質材料D7を得たことを除いて、実施例1に記載の手順に従ってポリオレフィン触媒成分を調製した。
【0155】
窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔質材料をサンプリングし、次いで、MA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。メソ多孔質材料は、100ppm(質量基準)の含水量を有することが見出された。さらに、ONH-3000酸素窒素水素分析計を通じて、メソ多孔質材料は、130ppm(質量基準)の酸素ガス含有量を有することが見出された。
【0156】
ポリオレフィン触媒Cat-D-7を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
[比較例8]
(I)担体調製において、フッ化アンモニウムを使用せず、それによってメソ多孔質材料D8を得たことを除いて、実施例1に記載の手順に従ってポリオレフィン触媒成分を調製した。窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔性材料をサンプリングし、次いで、MA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。メソ多孔質材料は、112ppm(質量基準)の含水量を有することが見出された。さらに、ONH-3000酸素窒素水素分析計を通じて、メソ多孔質材料は、109ppm(質量基準)の酸素含有量を有することが見出された。ポリオレフィン触媒Cat-D-8を、実施例1に記載の方法に従って調製した。
[比較例9]
(I)担体調製において、一次熱活性化処理のみを使用し、それによって球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体D9を得たことを除いて、実施例1に記載の方法に従ってポリオレフィン触媒成分を調製した。窒素雰囲気下で、熱活性化メソ多孔質材料をサンプリングし、次いで、MA-30スマートKarl Fischer水分計で測定した。メソ多孔質材料は、60ppm(質量基準)の含水量を有することが見出された。さらに、ONH-3000酸素窒素水素分析計を通じて、メソ多孔質材料は、50ppm(質量基準)の酸素含有量を有することが見出された。ポリオレフィン触媒Cat-D-9を、実施例1に記載の手順に従って調製した。
【0157】
【0158】
【0159】
[実施例1]
この実施例は、本開示のポリオレフィン触媒Cat-1を用いてエチレンを重合することによりポリエチレンを調製する方法を説明するために使用される。
【0160】
2Lステンレス鋼重合オートクレーブ中の雰囲気を窒素で3回、次いでエチレンで3回置換した。撹拌した2Lステンレス鋼重合オートクレーブに、ヘキサンを1L、トリエチルアルミニウムを1mmol、触媒Cat-1を20mg~50mg加え、85℃に昇温し、0.28MPaまで水素を加え、次いでエチレンで系の全圧を1MPaに維持して重合させた。反応を2時間行った後、エチレンの添加を停止し、温度を下げ、圧力を解放した。ポリエチレン粉末を取り出して秤量し、触媒活性を算出した。分子量の分布およびメルトインデックスのMI2.16、ならびに触媒の生産性を表3に示す。
【0161】
比較例1~9および実施例2~6は、実施例1と同様の手法にて行った。
【0162】
【0163】
表1~表3から、本開示により提供される担体としての球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料C1は、最も中程度の粒度分布(1μm~3μm)および比表面積(350m2/g)を有し、ボールミリングなしに直接触媒担体として使用できることが分かる。球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料C1から調製された触媒は、高い触媒活性を有する。具体的には、球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体C1から調製された触媒が、エチレン重合プロセスにおいて28,000gPE/gcat・hの最高の触媒性能を有する。
【0164】
対照的に、比較D4は、3μm~9μmの平均粒度分布および800m
2/gの比表面積を有し;D5は3μm~22μmの平均粒度および261m
2/gの比表面積を有し;D6は1μm~10μmの平均粒度および598m
2/gの比表面積を有する。メソ多孔質材料D4~D5は広い粒径分布を有し、そのため、これらの3つの材料は、粉砕された後にのみポリオレフィン触媒担体として使用することができる。しかしながら、ボールミリングは、メソ多孔質材料担体の細孔を直接損傷するか、またはブロックさえし(
図3、
図4、および
図5)、触媒活性の低下をもたらす。メソ多孔質材料D4から作られた触媒は19,500gPE/gcat・hのエチレン重合プロセスにおいて触媒効率を示し、メソ多孔質材料D5から作られた触媒は19,000gPE/gcat・hのエチレン重合プロセスにおいて触媒効率を示し、メソ多孔質材料D6から作られた触媒は、17,000gPE/gcat・hのエチレン重合プロセスにおいて触媒効率を示す。
【0165】
このように、比表面積が大きすぎる(>500m2/g)または小さすぎる(<280m2/g)場合、高い触媒活性を有するポリエチレン触媒の合成には役立たないことが分かる。これは、比表面積が大きすぎる(>500m2/g)と、触媒合成時に充填量が多すぎて、エチレン重合時に爆発的重合が起こりやすくなり、触媒活性が低下するためである。一方、比表面積が小さすぎると(<280m2/g)、触媒合成時の充填量が少なくなり、エチレン重合時の触媒性能が不足し、直接的に触媒活性が低下する。
【0166】
この結果、これらの3つの材料はボールミリングに供された後にのみ、ポリオレフィン触媒担体として使用することができる。しかしながら、ボールミリングはメソ多孔質材料担体の細孔を直接損傷するか、またはメソ多孔質材料担体の細孔のブロックに帰着し、触媒活性の低下をもたらす。
【0167】
表1~3から、本開示により提供される球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料C1は、12nmの平均細孔直径を有することも分かる。このような材料の平均細孔直径は最も中程度であり、この材料は触媒担体として直接的に使用することができ、28,000gPE/gcat・hの最も高い触媒効率が得られる。比較例D4は3nmの平均細孔直径を有し、対応する触媒効率は19,500gPE/gcat・hであり、比較例D5は9.8nmの平均細孔直径を有し、対応する触媒効率は19,000gPE/gcat・hであり、比較例D6は4.8nmの平均細孔直径を有し、対応する触媒効率は17,000gPE/gcat・hである。3つの比較例の全てについての触媒効率は、球状様担体についての触媒効率よりも低い。したがって、10nm未満の平均細孔直径は、高い触媒活性を有するポリエチレン触媒の合成に寄与しないことが分かる。その理由は、平均細孔直径が10nm未満であると、触媒合成時に高分子触媒が細孔に入りにくくなり、エチレン重合時に触媒効率が不十分となり、触媒活性の低下を直接もたらすからである。したがって、球状様メソ多孔質材料C1の平均孔径は12nmであり、最も中程度である。このことは、エチレン重合プロセスにおいて28,000gPE/gcat・hという最も高い触媒活性を直接もたらす。
【0168】
また、表3から、本開示により調製された球状様超マクロ多孔質メソ多孔質材料担体にチタン成分およびマグネシウム成分を担持させて調製されたポリオレフィン触媒成分は、高い触媒活性を有し、ポリオレフィン触媒成分を用いてエチレン重合を触媒することにより得られるポリマー粒子は良好な形態および優れた流動性を有し、ポリマー粉末のメルトインデックスが比較的大きく、ポリマー粉末の分子量分布が狭いことが分かる。これらの特性は、得られるポリオレフィン触媒の貯蔵、輸送、後取扱い、および利用に利便性をもたらす。また、本開示の方法を用いて担持触媒を調製する場合、噴霧乾燥法を通じて球状様ポリオレフィン触媒を一工程で直接得ることができ、操作が簡単で便利である。
【0169】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。本開示の技術的概念の範囲内で、任意の他の適切な手法での様々な技術的特徴の組合せを含めて、本開示の技術的解決策に様々な単純な修正を行うことができる。これらの簡単な変更および組合せは本発明の開示とみなされるべきであり、それらの全ては実施本発明の適用範囲に属する。