(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】バーチャルリアリティーを用いたリストアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20250527BHJP
【FI】
A61B17/29
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023024550
(22)【出願日】2023-02-20
(62)【分割の表示】P 2020526238の分割
【原出願日】2018-11-13
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522440603
【氏名又は名称】ヴィカリアス・サージカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェントワース,マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】クライン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】エイレンベルグ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カリファ,サミー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0058516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303743(US,A1)
【文献】特表2017-514608(JP,A)
【文献】特許第7233427(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/28-17/295
A61B 34/30-34-37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.顎部アセンブリ(101)であって、
i.顎部の軸(189)まわりを回転するように構成された第1の顎部(103)であって、前記第1の顎部(103)は、第1の動作セグメント(183)、第1の作動ハブ(184)、第1のケーブル終端部位(110)、および前記第1の作動ハブ(184)に動作可能につながれたケーブル再配向ハブ(106)を備え、前記第1の作動ハブ(184)はケーブル通路を具備し、かつ外周を有し、前記ケーブル再配向ハブ(106)は、前記第1の作動ハブ(184)の前記外周に隣接する再配向ハブケーブル管路を具備する、第1の顎部(103)と、
ii.前記顎部の軸(189)まわりを回転するように構成され、かつ前記第1の顎部(103)に移動可能に対向している、第2の顎部(104)であって、前記第2の顎部(104)は、第2の動作セグメント(179)、第2のケーブル終端部位(105a)、および第2の作動ハブ(108)を備え、前記第2の作動ハブ(108)は、前記第2の作動ハブ(108)の外周に沿って配置された第1のケーブル管路(111)を具備する、第2の顎部(104)と、
iii.前記第1の顎部(103)および前記第2の顎部(104)のためのハウジングと、
を含む、顎部アセンブリ(101)と、
b.前記第1のケーブル管路(111)の少なくとも一部に配置され、かつ前記第2の顎部(104)につながれた、第1のケーブル(182)であって、前記第1のケーブル終端部位(110)において終端する、第1のケーブル(182)と、
c.前記ケーブル通路に配置され、かつ前記第2の顎部(104)につながれた、第2のケーブルであって、前記第2のケーブル終端部位(105a)において終端する、第2のケーブルと、
d.前記再配向ハブケーブル管路の少なくとも一部に配置され、かつ前記第1の顎部(103)につながれた、第3のケーブル(185)と、
を具備するリストアセンブリ(100)。
【請求項2】
ヒンジ回転アクチュエータアセンブリ(102)であって、前記顎部アセンブリ(101)につながれ、ピッチ軸(188)まわりの前記顎部アセンブリ(101)の回転を生じさせるように構成され、かつ
前記ヒンジ回転アクチュエータアセンブリ(102)のロール軸(192)まわり
で回転
するように構成された、ヒンジ回転アクチュエータアセンブリをさらに具備する、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記ヒンジ回転アクチュエータアセンブリ(102)は、
i.空洞を規定する雌回転体(141)と、
ii.少なくとも部分的に前記雌回転体(141)の前記空洞内に配置されたヒンジ回転体(139)であって、前記ヒンジ回転体(139)はケーブル管路(142)を具備し、前記ケーブル管路(142)は、前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の1つまたは複数の少なくとも一部を収容する、ヒンジ回転体(139)と、
iii.ヒンジカバー(134)と、
を具備する、請求項2に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記ヒンジ回転アクチュエータアセンブリ(102)はさらに、前記ヒンジカバー(134)または前記ヒンジ回転体(139)の少なくとも1つに位置する分離面を具備し、前記分離面は、前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の1つまたは複数が、前記分離面の少なくとも一部に沿って移動し、前記分離面のない前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の1つまたは複数の長さの変化に対して前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の1つまたは複数の長さの変化を減らす一方で、前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の1つまたは複数がピッチ軸まわりを枢動するのを可能にするように構成される、請求項3に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記ヒンジ回転アクチュエータアセンブリ(102)はさらに、前記ヒンジ回転体(139)の近位端に動作可能につながれた回転プーリ体を具備し、前記ヒンジ回転体(139)は、前記雌回転体(141)に対して前記回転プーリ体と共に回転することで前記ロール軸(192)まわりでの回転運動を生じさせる、請求項4に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記顎部アセンブリ(101)の前記ハウジングは、第1の本体および第2の本体を含み、かつ前記第1の顎部(103)と前記第2の顎部(104)が顎部の軸(189)まわりを回転できるように構成される、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記ハウジングの前記第1の本体は第1の顎部停止部を具備し、前記ハウジングの前記第2の本体は第2の顎部停止部を具備し、前記第1の顎部停止部および前記第2の顎部停止部は、前記第1の顎部(103)または第2の顎部(104)が前記顎部の軸(189)まわりの回転の限界を超えて回転するのを防ぐように構成される、請求項6に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記ヒンジ回転アクチュエータアセンブリ(102)はさらに、前記ヒンジ回転体とヒンジカバー(134)との間に配置された少なくとも1つの従動プーリ(137)を具備し、前記少なくとも1つの従動プーリ(137)は前記ピッチ軸(188)まわりに配置され、かつ前記少なくとも1つの従動プーリ(137)の外周に沿って配置された従動管路(178)を備え、前記第2のケーブルは前記従動管路(178)の少なくとも一部に配置される、請求項
3に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項9】
複数のベアリングをさらに具備し、前記複数のベアリングは、
a.前記ヒンジ回転体(139)と前記ハウジング
の第1の本体、
b.前記ヒンジ回転体(139)と雄ベアリングレース(138)、
c.前記少なくとも1つの従動プーリ(137)と前記ハウジングの前記第1の本体、
d.前記ヒンジカバー(134)と前記ハウジング
の第2の本体(108)、または
e.前記ヒンジカバー(134)と前記雄ベアリングレース(138)
との間の1つまたは複数に位置している、請求項8に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記分離面はさらに、前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の1つまたは複数が、前記分離面の少なくとも前記一部に沿って移動することで前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の前記1つまたは複数における長さの変化を減らす一方で、前記分離面がない状態で前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、または前記第3のケーブル(185)の前記1つまたは複数における長さの変化に対して前記ピッチ軸(188)の中心まわりを枢動するように構成される、請求項4に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記顎部の軸(189)に近接して配置された複数の第1の回転位置センサーをさらに具備する、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記顎部の軸(189)に近接して配置され、かつ前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)または前記第2の顎部(104)の1つまたは複数の回転を検出するように構成された、少なくとも1つの第1の回転位置センサーをさらに具備する、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項13】
前記顎部アセンブリ(101)のピッチ軸(188)に近接して配置され、かつ前記ピッチ軸(188)まわりの前記顎部アセンブリ(101)の回転を検出するように構成された、少なくとも1つの第2の回転位置センサーをさらに具備する、請求項12に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項14】
前記顎部アセンブリ(101)のピッチ軸(188)に位置する複数の第2の回転位置センサーを具備する、請求項12に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1の回転位置センサーまたは少なくとも1つの第2の回転位置センサーによってキャプチャされた情報を送信するように構成された、少なくとも1つの電気通信コンポーネントをさらに具備する、請求項13に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電気通信コンポーネントはフレキシブルプリント回路基板(FPCB)またはプリント回路基板(PCB)の少なくとも1つを具備する、請求項15に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項17】
前記リストアセンブリ(100)は、第1の張力が前記第1のケーブル(182)に付与され、第2の張力が前記第2のケーブルに付与され、かつ第3の張力が前記第3のケーブル(185)に付与されると、
前記第1の張力が前記第2の張力より大きい場合、前記第2の顎部(104)を前記顎部の軸(189)まわりで前記第1の顎部(103)の方へと回転させる、前記顎部の軸(189)に沿う第1のトルクが生成され、
前記第2の張力が前記第1の張力より大きい場合、前記第2の顎部(104)を前記顎部の軸(189)まわりで前記第1の顎部(103)から離れて回転させる、前記顎部の軸(189)に沿う第2のトルクが生成され、
前記第3の張力が前記第2の張力より大きい場合、前記第1の顎部(103)を前記顎部の軸(189)まわりで前記第2の顎部(104)の方へと回転させる、前記顎部の軸(189)に沿う第3のトルクが生成され、
前記第2の張力が前記第3の張力より大きい場合、前記第1の顎部(103)を前記顎部の軸(189)まわりで前記第2の顎部(104)から離れて回転させる、前記顎部の軸(189)に沿う第4のトルクが生成される
ように構成される、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項18】
前記顎部アセンブリ(101)の前記ハウジングの第1の本体に、または前記顎部アセンブリ(101)の前記ハウジングの第2の本体(108)につながれた第4のケーブルをさらに具備し、
前記リストアセンブリ(100)は、第4の張力が前記第4のケーブルに付与され、かつ対向張力が対向ケーブルに付与されると、
前記第4の張力が前記対向張力より大きい場合、前記顎部アセンブリ(101)を
前記顎部アセンブリ(101)のピッチ軸(188)まわりで第1のピッチ方向に回転させる、前記ピッチ軸(188)に沿う第5のトルクが生成され、
前記対向張力が前記第4の張力より大きい場合、前記顎部アセンブリ(101)を前記ピッチ軸(188)まわりで第2のピッチ方向に回転させる、前記ピッチ軸(188)に沿う対向トルクが生成され、前記第2のピッチ方向は、前記第1のピッチ方向の反対方向での前記ピッチ軸(188)まわりの回転である、
ように構成される、請求項17に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項19】
(a)前記対向ケーブルは前記第1のケーブル(182)を具備し、前記対
向張力は前記第1
の張力を含む、または
(b)前記対向ケーブルは前記第2のケーブルを具備し、前記対
向張力は前記第2
の張力を含む、または
(c)前記対向ケーブルは前記第3のケーブル(185)を具備し、前記対
向張力は前記第3
の張力を含む、または
(d)(a)~(c)の任意の組み合わせ
である、請求項18に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項20】
前記対向ケーブルは前記第1のケーブル(182)であるか、前記対向ケーブルは前記第2のケーブルであるか、または前記対向ケーブルは前記第3のケーブル(185)である、請求項18に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項21】
前記顎部の軸(189)まわりで前記第1の顎部(103)、前記第2の顎部(104)、または両方を回転させるように構成された制御システムをさらに具備し、前記制御システムはさらに、
少なくとも1つの第1の回転位置センサー、少なくとも1つの第2の回転位置センサー、または両方からデータを受け取り、かつ、
前記第1の張力、前記第2の張力、前記第3の張力、前記第4の張力、または前記対向張力の1つまたは複数が、前記ピッチ軸(188)、前記顎部の軸(189)、または両方のまわりで前記顎部アセンブリ(101)を回転させると判定する
ように構成される、請求項18に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項22】
前記制御システムはさらに、前記第1のケーブル(182)、前記第2のケーブル、前記第3のケーブル(185)、または前記第4のケーブルのうち1つに張力を付与するように構成された少なくとも1つのアクチュエーターを含み、
前記少なくとも1つのアクチュエーターは、ステッパーモーター、サーボモーター、油圧アクチュエーター、空気圧式アクチュエーター、圧電性モーター、または超音波変換器の1つまたは複数を具備する、請求項21に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項23】
前記ケーブル再配向ハブ(106)と前記第1の作動ハブ(184)は一体式構造である、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項24】
前記ケーブル再配向ハブ(106)は再配向ピンを具備し、
前記第2のケーブルは少なくとも前記ケーブル通路内の前記再配向ピンの一部の周囲を通る、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項25】
前記第1の作動ハブ(184)はさらに第1のケーブル配索突起部を具備し、
前記第1のケーブル配索突起部は、前記第2のケーブルが第1の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中に移動するための表面を設けるように構成される、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項26】
前記第1のケーブル配索突起部は、前記第1のケーブル配索突起部が存在しない場合に前記第1の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記顎部の軸(189)に沿ったトルクに比べて、前記第1の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記顎部の軸(189)に沿ったトルクを減少させるように構成される、請求項25に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項27】
前記第1のケーブル配索突起部は、前記第1のケーブル配索突起部が存在しない場合に前記第1の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記第2のケーブルの第2の長さの変化に比べて、前記第1の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記第2のケーブルの第1の長さの変化を減少させるように構成される、請求項25に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項28】
前記第1の作動ハブ(184)はさらに第2のケーブル配索突起部を具備し、
前記第2のケーブル配索突起部は、前記第2のケーブルが第2の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中に移動するための表面を設けるように構成され、前記第2の方向は前記第1の方向とは反対の回転方向である、請求項25に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項29】
前記第2のケーブル配索突起部は、前記第2のケーブル配索突起部が存在しない場合に前記第2の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記顎部の軸(189)に沿ったトルクに比べて、前記第2の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記顎部の軸(189)に沿ったトルクを減少させるように構成される、請求項28に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項30】
前記第2のケーブル配索突起部は、前記第2のケーブル配索突起部が存在しない場合に前記第2の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記第2のケーブルの第2の長さの変化に比べて、前記第2の方向における前記顎部の軸(189)まわりでの前記第1の顎部(103)の回転中の前記第2のケーブルの第1の長さの変化を減少させるように構成される、請求項28に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項31】
前記第1の作動ハブ(184)はさらに、第1の支点、および前記第1の支点まわりに配置された第1のケーブルプーリを含む、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項32】
前記第1の作動ハブ(184)はさらに、第2の支点、および前記第2の支点まわりに配置された第2のケーブルプーリを含む、請求項31に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項33】
前記第2のケーブルは、前記第1のケーブルプーリと前記第2のケーブルプーリの周囲を通る、請求項32に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項34】
前記第2のケーブルは、約240~300度の前記第1のケーブルプーリまわりのラップ角度を有し、かつ、前記第2のケーブルは、約110度未満の前記第2のケーブルプーリまわりのラップ角度を有している、請求項32に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項35】
前記第1の動作セグメント(183)と第2の動作セグメント(179)は、前記顎部アセンブリ(101)の残部から電気的に単離されるように構成される、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項36】
前記第1の動作セグメント(183)と第2の動作セグメント(179)は焼灼ツールとして構成される、請求項35に記載のリストアセンブリ(100)。
【請求項37】
前記第1の顎部(103)と第2の顎部(104)は独立して移動可能である、請求項1に記載のリストアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2017年11月13日出願の米国仮特許出願第62/585277号、表題「Virtual Reality Wrist Assembly」の利益を主張するものであり、前記出願は、その全体を引用することによって本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本出願は概して、低侵襲手術、低侵襲手術用ツールとエンドエフェクター、およびバーチャルリアリティーを用いた低侵襲手術システムに関連する。
【0003】
関連技術の詳細
低侵襲手術の分野は、1900年代初期以降、大きな進歩と成長を経験し、これにより患者に対する結果の改善がもたらされた。低侵襲手術分野における大きな進歩の1つは、手術用ロボットデバイスの実装であった。低侵襲手術分野における手術用ロボットデバイスの実装と利用は、前記デバイスを用いて実行可能な手術の数と種類を増加させた。加えて、手術用ロボットデバイスは近年、バーチャルリアリティーを用いた手術において実施かつ利用されている。
【0004】
バーチャルリアリティーを用いた手術において、外科医は、手術部位において患者の身体の内部に配置されているという意識を持つ。バーチャルリアリティーゴーグルにより設けられる三次元視覚化と合わせて、外科医は、あたかも自分の腕や手がロボットアームの形態を呈しているかのように、操作を確認し、患者の身体に挿入されたロボットアームと相互に作用する。バーチャルリアリティーを用いた手術により、外科医は、自然で没入型のバーチャル・リアリティー・ユーザー・インターフェースに没頭できる。
【0005】
多くの場合、低侵襲手術やバーチャルリアリティーを用いた手術中、ロボット制御された機器を利用して、処置中に様々なタスクや機能が実行される。前記機器の構成は、鉗子、捕捉機器、焼灼ツール、切断ツールなどのツールを備えたエンドエフェクターアセンブリを具備しており、前記ツールは、細長いシャフトまたはチューブの遠位端に位置するリストアセンブリに付けられている。典型的に、外科手術中、エンドエフェクターアセンブリ、リストアセンブリ、および細長いシャフトの一部は、自然孔(natural office)、または患者の身体に作られる小さな切開部を介して患者の身体に挿入され、その結果、エンドエフェクターアセンブリは所望の手術場所に位置する。リストアセンブリを使用して、手術場所内にて、処置中にツールを位置決めして作動させ、所望の手術タスクの実行を可能にすることができる。
【0006】
典型的に、ケーブルやワイヤーなどは、細長いシャフトから伸びて、リストアセンブリを駆動アセンブリに接続でき、前記駆動アセンブリは、機器のエンドエフェクターアセンブリとリストアセンブリを作動および/または操作するべく前記ケーブルに作動力を付与するために使用される。駆動アセンブリは、ロボット手術アームへの取り付け、または外科医により制御される別の手術用ロボットシステムへの接続が可能であり、前記アームまたはシステムに、外科医が機器を制御かつ操作できるようなユーザーインターフェースシステムを具備している。一般的に、機器のリストアセンブリは、エンドエフェクターの動きにある種の自由度を設け、様々な術タスクや処置を実行可能とするように構成される。リストアセンブリは概して、ヨー、ピッチ、ロール、および/またはエンドエフェクターの把持/グリップを含む、様々な自由度をエンドエフェクターに実装できる。
【0007】
典型的に、機器のリストアセンブリまたは機構は、エンドエフェクターに様々な自由度を実装するために様々な構成要素や部品を具備している。一般的に、リストアセンブリまたは機構は、キャプスタンやプーリなどを具備しており、ケーブルが前記キャプスタンやプーリに接続されると、キャプスタンやプーリに繋げられたリストアセンブリの一部が回転する。通常、その最も単純な形態において、1つのプーリまたはキャプスタンは、リストアセンブリの各自由度ごとに利用され、2本のケーブルまたはワイヤーを使用して、自由度に対して各方向にキャプスタンまたはプーリが回転し、その結果、1本のケーブルを引っ張り放つことで一方向に回転が生じ、対向ケーブルを引っ張り放つことで対向方向に回転が生じる。これらの構成により、リストアセンブリが3つの自由度を持つには、合計6本のケーブルが必要となる。代替的に、他のリストアセンブリは、各自由度ごとに複数のプーリとケーブルを利用するので、制限された動作範囲を持つ複雑で扱いにくいアセンブリとなる。
【0008】
3つの自由度に必要なケーブルの量は、前記リストアセンブリの移動を制限するとともに、リストアセンブリの効率に影響を及ぼす場合がある。1つの自由度ごとに複数本のケーブルの使用により、手術用ロボットシステムのリストアセンブリに特有の複雑さがもたらされる。典型的に、手術ロボットシステムは、患者の身体に挿入されるロボットアームを具備しており、ケーブルやワイヤーなどの作動構成要素は、患者の身体の外側から駆動アセンブリへと配索されている。
【0009】
一般的に、ロボットアームは複数の自由度を備えているが、自由度の数はアームのサイズにより制限されてしまうとともに、患者内部の作業スペースの境界により移動が制限されてしまう。手術用ロボットシステムのロボットアームのサイズの制約は、駆動アセンブリからアームを通ってリストアセンブリに配索可能なケーブルの数に影響を及ぼし、ゆえに、システムにより達成可能な自由度の数が制限されてしまう。
【0010】
ロボットアームを備えた手術用ロボットシステムが直面する制約と制限は、密に凝縮された作業スペースでの簡素な移動を可能にするべく複数の自由度を持つリストアセンブリを備えることの重要性を示している。このことは特に、ヒトの腕の自由度を再現するよう設計されたインビボの手術用ロボットを利用する、バーチャルリアリティー手術に当てはまるものである。
【0011】
結果として、窮屈な作業スペースでの簡素な移動を有効にするべく最小量のケーブルにより作動可能な自由度を持ちつつ、所望のタスクと機能を実行し、かつ、外科医の腕と手の動作に基づいて外科医がリストアセンブリを作動かつ制御するのを可能にするような直観的動作を行えるのに十分な力が設けられている、リストアセンブリが望まれている。
【0012】
ヒトのようなロボットシステムでは、優れたシステムは、自然で直観的なヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)の維持に起因する。そのため、ヒトのようなロボットの機能を維持できる一方で、制限された作業スペースでの所望の手術タスクや機能を依然として実行できるリストアセンブリを備えることが、バーチャルリアリティーを用いた手術を行う外科医にとって有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、低侵襲手術(MIS)のための手術装置システムおよび方法に関連する。
【0014】
本発明は、顎部アセンブリを備えたリストアセンブリを具備する。顎部アセンブリは、第1の動作セグメント、第1の作動ハブ、および第1の作動ハブに動作可能につながれたケーブル再配向ハブを備えた第1の顎部を具備し、第1の作動ハブはケーブル通路を具備し、かつ外周を規定し、ケーブル再配向ハブは、第1の作動ハブの外周に隣接する再配向ハブケーブル管路を具備する。顎部アセンブリはさらに、第2の動作セグメントおよび第2の作動ハブを備えた第2の顎部を具備し、第2の作動ハブは、第2の作動ハブの外周に沿って配置された第1のケーブル管路を具備する。顎部アセンブリはさらに、第1および第2の顎部のためのハウジングを具備し、該ハウジングは、第1の本体および第2の本体を含み、かつ第1の顎部と第2の顎部が顎部の軸まわりを回転できるように構成され、第1の顎部と第2の顎部は移動可能に対向している。顎部アセンブリはさらに、第1のケーブル管路の少なくとも一部に配置されるとともに第2の顎部につながれた第1のケーブル、前記ケーブル通路に配置されるとともに第2の顎部につながれた第2のケーブル、再配向ハブケーブル管路の少なくとも一部に配置されるとともに第1の顎部につながれた第3のケーブル、顎部の軸に近接して配置されるとともに顎部の軸まわりでの第1または第2の顎部の回転を検出するように構成された少なくとも1つの第1の回転位置センサー、および顎部の軸まわりで第1または第2の顎部のうち1つ以上を回転させるように構成された制御システムを具備する。
【0015】
本発明は、第2のケーブルに付与された第2の張力を超える第1の張力を第1のケーブルに付与することで、第2の顎部を顎部の軸まわりで第1の顎部の方へと回転させる、顎部の軸に沿う第1のトルクが生成されるように構成される。本発明はさらに、第1のケーブルに付与された第1の張力を超える第2の張力を第2のケーブルに付与することで、第2の顎部を顎部の軸まわりで第1の顎部から離れて回転させる、顎部の軸に沿う第2のトルクが生成されるように構成される。本発明はさらに、第2のケーブルに付与された第2の張力を超える第3の張力を第3のケーブルに付与することで、第1の顎部を顎部の軸まわりで第2の顎部の方へと回転させる、顎部の軸に沿う第3のトルクが生成されるように構成される。本発明はさらに、第3のケーブルに付与された第3の張力を超える第2の張力を第2のケーブルに付与することで、第1の顎部を顎部の軸まわりで第2の顎部から離れて回転させる、顎部の軸に沿う第4のトルクが生成されるように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態において、リストアセンブリはさらにヒンジ回転アセンブリを含み、該ヒンジ回転アセンブリは、ピッチ軸まわりで顎部アセンブリの回転を生じさせ、かつロール軸まわりでヒンジ回転アセンブリの回転を生じさせるように構成される。ヒンジ回転アセンブリは、空洞を規定する雌回転体、ヒンジ回転体、ヒンジカバー、および、ヒンジ回転体とヒンジカバーとの間に配置された少なくとも1つの従動プーリを具備し得る。ヒンジ回転体は、ケーブル管路を備えた近位端を具備し、該ケーブル管路は、第1のケーブル、第2のケーブル、または第3のケーブルの1つ以上を収容し、ヒンジ回転体の少なくとも一部は雌回転体の空洞内に配置される。従動プーリは、従動プーリの外周に沿って配置された従動管路を備え、かつ、ピッチ軸まわりに配置され得る。第2のケーブルは、従動管路の少なくとも一部に配置され得る。
【0017】
本発明の実施形態の一態様は、リストアセンブリのヒンジ回転アセンブリがさらに、ヒンジ回転体の近位端に動作可能につながれた回転プーリ体を具備し、前記ヒンジ回転体は、雌回転体に対して回転プーリ体と共に回転することでロール軸まわりでの回転運動を生じさせるという、態様である。
【0018】
本発明の実施形態の別の態様は、リストアセンブリがさらに複数のベアリングを具備し、複数のベアリングが、ヒンジ回転体と顎部アセンブリの第1の本体との間;ヒンジ回転体と雄ベアリングレースとの間;少なくとも1つの従動プーリと顎部アセンブリの第1の本体との間;ヒンジカバーと顎部アセンブリの第2の本体との間;またはヒンジカバーと雄ベアリングレースとの間の、1つ以上に位置している、態様である。
【0019】
本発明の実施形態の別の態様は、ヒンジ回転アセンブリがさらに分離面を具備し、該分離面は、第1のケーブル、第2のケーブル、または第3のケーブルの1つ以上が、分離面の少なくとも一部を乗り通ることで第1のケーブル、第2のケーブル、または第3のケーブルの1つ以上における長さの変化を減らす一方で、分離面がない状態で第1のケーブル、第2のケーブル、または第3のケーブルの1つ以上における長さの変化に対してピッチ軸の中心まわりを枢動するのを可能にするように構成される、態様である。分離面はさらに、ヒンジカバーまたはヒンジ回転体のうち少なくとも1つの上に位置し得る。リストアセンブリは、ピッチ軸に近接して配置され、かつピッチ軸まわりの顎部アセンブリの回転を検出するように構成された、少なくとも1つの第2の回転位置センサーをさらに具備し得る。リストアセンブリは、ピッチ軸に位置する複数の第2の回転位置センサーをさらに具備し得る。リストアセンブリは、少なくとも1つの第1の回転位置センサーまたは少なくとも1つの第2の回転位置センサーによってキャプチャされた情報を送信するように構成された、少なくとも1つの電気通信コンポーネントをさらに具備し得る。少なくとも1つの電気通信コンポーネントはフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を具備する。少なくとも1つの電気通信コンポーネントはプリント回路基板(PCB)を具備する。リストアセンブリの第1のハウジング本体はさらに、顎部アセンブリがピッチ軸まわりの回転の限界を超えて回転するのを防ぐように構成されたヒンジ停止部を具備し得る。
【0020】
本発明の実施形態の別の態様において、リストアセンブリはさらに、顎部アセンブリの第1の本体および第2の本体のうち1つにつながれた第4のケーブルを具備し得る。リストアセンブリは、対向ケーブルに付与された対向張力を超える第4の張力を第4のケーブルに付与することで、顎部アセンブリを顎部の軸まわりで第1のピッチ方向に回転させる、ピッチ軸に沿う第5のトルクが生成されるように構成され得る。リストアセンブリはさらに、第4のケーブルに付与された第4の張力を超える対向張力を対向ケーブルに付与することで、顎部アセンブリをピッチ軸まわりで第2のピッチ方向に回転させる、ピッチ軸に沿う対向トルクが生成されるように構成され、第2のピッチ方向は、第1のピッチ方向の反対方向でのピッチ軸まわりの回転である。対向ケーブルと対向張力は、第1のケーブルと第1のケーブル張力;第2のケーブルと第2のケーブル張力;または第3のケーブルと第3のケーブル張力の1つ以上であり得る。対向ケーブルは、第1のケーブル、第2のケーブル、または第3のケーブルのうち1つだけであり得る。対向ケーブルは第1のケーブルであり、第4の張力を超える対向張力を対向ケーブルに付与することで、ピッチ軸に沿う対向トルクが生成され、かつ顎部アセンブリをピッチ軸まわりで第2のピッチ方向に回転させる場合がある。対向ケーブルは第2のケーブルであり、第4の張力を超える対向張力を対向ケーブルに付与することで、ピッチ軸に沿う対向トルクが生成され、かつ顎部アセンブリをピッチ軸まわりで第2のピッチ方向に回転させる場合がある。対向ケーブルは第3のケーブルであり、第4の張力を超える対向張力を対向ケーブルに付与することで、ピッチ軸に沿う対向トルクが生成され、かつ顎部アセンブリをピッチ軸まわりで第2のピッチ方向に回転させる場合がある。
【0021】
本発明の実施形態の別の実施形態において、前記制御システムはさらに、少なくとも1つの第1の回転位置センサーまたは少なくとも1つの第の回転位置センサーのうち1つ以上からデータを受け取り、かつ、第1の張力、第2の張力、第3の張力、第4の張力、または対向張力がピッチ軸または顎部の軸のうち1つ以上のまわりで顎部アセンブリを回転させると判定するように構成され得る。前記制御システムはさらに、第1のケーブル、第2のケーブル、第3のケーブル、または第4のケーブルのうち1つに張力を付与するように構成された少なくとも1つのアクチュエーターを具備し、該アクチュエーターは、ステッパーモーター、サーボモーター、油圧アクチュエーター、空気圧式アクチュエーター、圧電性モーター、または超音波変換器のうち1つであり得る。
【0022】
本発明の別の実施形態において、ケーブル再配向ハブと第1の作動ハブは一体式構造であり得る。
【0023】
本発明の別の実施形態において、ケーブル再配向ハブは再配向ピンを具備し、第2のケーブルは、ケーブル通路内の再配向ピンの少なくとも一部の周囲を通り得る。
【0024】
本発明の別の実施形態において、前記第1の作動ハブはさらに第1のケーブル配索突起部を具備し、該第1のケーブル配索突起部は、第2のケーブルが第1の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中に乗り通るための表面を設けるように構成され得る。
【0025】
本発明の別の実施形態において、前記第1のケーブル配索突起部は、第1のケーブル配索突起部が存在しない場合に第1の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の顎部の軸に沿ったトルクに比べて、第1の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の顎部の軸に沿ったトルクを減少させるように構成され得る。
【0026】
本発明の別の実施形態において、前記第1のケーブル配索突起部は、第1のケーブル配索突起部が存在しない場合に第1の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の第2のケーブルの長さの変化に比べて、第1の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の第2のケーブルの長さの変化を減少させるように構成され得る。
【0027】
本発明の別の実施形態において、前記第1の作動ハブはさらに第2のケーブル配索突起部を具備し、該第2のケーブル配索突起部は、第2のケーブルが第2の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中に乗り通るための表面を設けるように構成され得、第2の方向は第1の方向とは反対の回転方向である。前記第2のケーブル配索突起部はさらに、第2のケーブル配索突起部が存在しない場合に第2の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の顎部の軸に沿ったトルクに比べて、第2の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の顎部の軸に沿ったトルクを減少させるように構成され得る。前記第2のケーブル配索突起部はさらに、第2のケーブル配索突起部が存在しない場合に第2の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の第2のケーブルの長さの変化に比べて、第2の方向への顎部の軸まわりの第1の顎部の回転中の第2のケーブルの長さの変化を減少させるようにも構成され得る。
【0028】
本発明の別の実施形態において、第1の作動ハブはさらに、第1の支点、および第1の支点まわりに配置された第1のケーブルプーリを具備し得る。
【0029】
本発明の実施形態の一態様において、第1の作動ハブはさらに、第2の支点、および第2の支点まわりに配置された第2のケーブルプーリを具備し得る。第2のケーブルは、第1のケーブルプーリおよび第2のケーブルプーリを回転し得る。前記第2のケーブルは、約240~300度の第1のケーブルプーリまわりのラップ角度を有し、かつ、約110度未満の第2のケーブルプーリまわりのラップ角度を有し得る。
【0030】
本発明の別の実施形態において、リストアセンブリはさらに、顎部の軸に近接して配置された複数の第1の回転位置センサーを具備し得る。
【0031】
本発明の別の実施形態において、第1の動作セグメントと第2の動作セグメントは、顎部アセンブリの残部から電気的に単離されるように構成され得る。
【0032】
本発明の別の実施形態において、第1の動作セグメントと第2の動作セグメントは焼灼ツールとして構成され得る。
【0033】
本発明の別の実施形態において、制御システムはさらに、第1のケーブル、第2のケーブル、または第3のケーブルのうち1つに張力を付与するように構成された少なくとも1つのアクチュエーターを具備し得る。アクチュエーターは、ステッパーモーター、サーボモーター、油圧アクチュエーター、空気圧式アクチュエーター、圧電性モーター、または超音波変換器のうち1つであり得る。
【0034】
本発明の別の実施形態において、第1の顎部と第2の顎部は、独立して移動可能であり得る。
【0035】
本発明の別の実施形態において、ハウジングの第1の本体はさらに第1の顎部停止部を具備し、ハウジングの第2の本体はさらに第2の顎部停止部を具備し得る。第1の顎部停止部と第2の顎部停止部は、第1の顎部または第2の顎部のうち1つ以上が顎部の軸まわりの回転の限界を超えて回転するのを防ぐように構成され得る。
番号を付けた項目は全図面にわたり一貫していることに留意されたい。同じ番号が付けられた項目は、同じ項目、または該項目の同一コピーのいずれかである。異なる番号が付けられた項目は、異なる設計部分、または時折、異なる目的を果たす同一部分のいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】一実施形態に係るリストアセンブリの等角図である。
【
図1B】一実施形態に係るリストアセンブリの付加的な等角図である。
【
図1C】一実施形態に係るリストアセンブリの分解等角図である。
【
図1D】一実施形態に係るリストアセンブリの付加的な分解等角図である。
【
図1E】一実施形態に係るリストアセンブリの分解側面図である。
【
図1F】一実施形態に係るリストアセンブリの分解平面図である。
【
図2A】一実施形態に係る顎部アセンブリの等角図である。
【
図2B】一実施形態に係る顎部アセンブリの分解等角図である。
【
図2C】一実施形態に係る顎部アセンブリの付加的な等角図である。
【
図2D】一実施形態に係る顎部アセンブリの付加的な分解等角図である。
【
図3A】一実施形態に係る第2の顎部アセンブリの等角図である。
【
図3B】一実施形態に係る第2の顎部アセンブリの側面等角図である。
【
図3C】一実施形態に係る第2のアセンブリの付加的な等角図である。
【
図3D】一実施形態に係る第2のアセンブリの付加的な側面等角図である。
【
図4A】一実施形態に係る第1の顎部アセンブリの側面等角図である。
【
図4B】一実施形態に係る第1のアセンブリの付加的な等角図である。
【
図4C】一実施形態に係る第1のアセンブリの付加的な等角図である。
【
図4D】一実施形態に係る第1のアセンブリの付加的な等角図である。
【
図5A】一実施形態に係るケーブル再配向ハブの側面等角図である。
【
図5B】一実施形態に係るケーブル再配向ハブの付加的な側面等角図である。
【
図5C】一実施形態に係るケーブル再配向ハブの正面等角図である。
【
図6A】一実施形態に係るヒンジ湾曲体の背面斜視図である。
【
図6B】一実施形態に係るヒンジ湾曲体の正面斜視図である。
【
図6C】一実施形態に係るヒンジ湾曲体の側面斜視図である。
【
図6D】一実施形態に係るヒンジ湾曲体の付加的な側面斜視図である。
【
図7A】一実施形態に係るヒンジ非湾曲体の等角図である。
【
図7B】一実施形態に係るヒンジ非湾曲体の側面斜視図である。
【
図7C】一実施形態に係るヒンジ非湾曲体の側面等角図である。
【
図7D】一実施形態に係るヒンジ非湾曲体の側面斜視図である。
【
図8A】一実施形態に係るヒンジ回転アセンブリの平面等角図である。
【
図8B】一実施形態に係るヒンジ回転アセンブリの分解平面図である。
【
図9A】一実施形態に係る雄回転ヒンジ体の等角図である。
【
図9B】一実施形態に係る雄回転ヒンジ体の付加的な等角図である。
【
図10A】一実施形態に係る雌ヒンジ体の側面図である。
【
図10B】一実施形態に係る雌ヒンジ体部の等角図である。
【
図11A】一実施形態に係る下部湾曲カバー部の等角図である。
【
図11B】一実施形態に係る下部湾曲カバーの付加的な等角図である。
【
図12A】一実施形態に係る下部湾曲カバーと嵌合する前の上部湾曲カバーの等角図である。
【
図12B】一実施形態に係る下部湾曲カバーと嵌合する前の上部湾曲カバーの付加的な等角図である。
【
図13A】一実施形態に係る回転プーリ体の等角図である。
【
図13B】一実施形態に係る回転プーリ体の正面斜視図である。
【
図13C】一実施形態に係る回転プーリ体の付加的な等角図である。
【
図13D】一実施形態に係る回転プーリ体の付加的な等角図である。
【
図14A】一実施形態に係る雌回転体の等角図である。
【
図14B】一実施形態に係る雌回転体の背面等角図である。
【
図14C】一実施形態に係る雌回転体の正面対角方向の等角図である。
【
図14D】一実施形態に係る雌回転体の側面図である。
【
図15A】一実施形態に係る雄ベアリングレースの平面等角図である。
【
図15B】一実施形態に係る雄ベアリングレースの底面等角図である。
【
図16A】一実施形態に係る従動プーリの斜視図である。
【
図16B】一実施形態に係る従動プーリの等角図である。
【
図17A】一実施形態に係るヒンジ湾曲体およびヒンジ非湾曲体を嵌合させることで形成される枢軸を例示する斜視図である。
【
図17B】一実施形態に係る
図1A-1Eのリストアセンブリの枢軸を例示するヒンジ非湾曲体の側面図である。
【
図17C】一実施形態に係る
図1A-1Eのリストアセンブリの枢軸を例示する、ヒンジ湾曲体とヒンジ非湾曲体との結合の平面図である。
【
図18】一実施形態に係るリストアセンブリの枢軸の斜視図を示す。
【
図19A】一実施形態に係る前記アセンブリのケーブル配線を例示するリストアセンブリの平面図である。
【
図19B】一実施形態に係る前記アセンブリのケーブル配線を例示するリストアセンブリの断面図である。
【
図19C】一実施形態に係る前記アセンブリのケーブル配線を例示するリストアセンブリの平面図である。
【
図19D】一実施形態に係る前記アセンブリのケーブル配線を例示するリストアセンブリの断面図である。
【
図20A】一実施形態に係るケーブルの配線を例示する、ケーブルを取り付けた第1の顎部と第2の顎部を示す。
【
図20B】一実施形態に係るケーブルの配線を例示する、ケーブルを取り付けた第1の顎部と第2の顎部を示す付加的な図である。
【
図21A】一実施形態に係る前記顎部へのケーブルの配線を例示する第1の顎部を示す。
【
図21B】一実施形態に係る前記顎部へのケーブルの配線を例示する第2の顎部を示す。
【
図21C】一実施形態に係る前記顎部へのケーブルの配線を例示する第1の顎部を示す。
【
図22A】第1の顎部の代替的な実施形態の斜視図を示す。
【
図22B】第1の顎部の代替的な実施形態の斜視図を示す。
【
図23A】一実施形態に係る前記顎部のケーブルプーリを例示する第1の顎部の斜視図を示す。
【
図23B】一実施形態に係る前記顎部のケーブルプーリを例示する第1の顎部の付加的な斜視図を示す。
【
図24】一実施形態に係る第1の顎部のケーブルプーリへと配索されたケーブルの斜視図を示す。
【
図25A】一実施形態に係る再配向ケーブルハブの斜視図である。
【
図25B】一実施形態に係る再配向ケーブルハブの付加的な斜視図である。
【
図26A】一実施形態に係るリストアセンブリの等角図を示す。
【
図26B】一実施形態に係るリストアセンブリの付加的な等角図を示す。
【
図26C】一実施形態に係るリストアセンブリの分解平面図を示す。
【
図27A】一実施形態に係るヒンジ回転アセンブリの等角図を示す。
【
図27B】一実施形態に係るヒンジ回転アセンブリの付加的な等角図を示す。
【
図28A】一実施形態に係るヒンジ回転体の正面等角図を示す。
【
図28B】一実施形態に係るヒンジ回転体の背面図を示す。
【
図29A】一実施形態に係るヒンジカバーの背面図を示す。
【
図29B】一実施形態に係るヒンジカバーの正面等角図を示す。
【
図29C】一実施形態に係るヒンジカバーの正面図を示す。
【
図30A】一実施形態に係る顎部アセンブリの等角図を示す。
【
図30B】一実施形態に係る顎部アセンブリの分解平面図を示す。
【
図31A】一実施形態に係る第1の顎部の側面図を示す。
【
図31B】一実施形態に係る第1の顎部の付加的な側面図を示す。
【
図31C】一実施形態に係る第1の顎部の等角図を示す。
【
図31D】一実施形態に係る第1の顎部の平面図を示す。
【
図32A】一実施形態に係るヒンジ湾曲体の等角図を示す。
【
図32B】一実施形態に係るヒンジ湾曲体の正面図を示す。
【
図33A】一実施形態に係るヒンジ非湾曲体の等角図を示す。
【
図33B】一実施形態に係るヒンジ非湾曲体の付加的な等角図を示す。
【
図34A】一実施形態に係る第1と第2の顎部へのケーブル配線を例示する側面断面図を示す。
【
図34B】一実施形態に係るケーブル配線の平面断面図を示す。
【
図34C】一実施形態に係る第1と第2の顎部へのケーブル配線の等角図を示す。
【
図34D】一実施形態に係る第1と第2の顎部へのケーブル配線の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本システムは、外科医による腹腔内での使用のために設計されているが、多くの代替的なデバイスの使用も可能である。例えば、ユーザーは、医師の補助員、看護師、外科医の助手、または他のあらゆる手術人員であり得る。加えて、当該デバイスは、患者の体の任意の部分の中に配置可能であり、さらなる実施形態として、患者の身体のさらに小さな領域内での使用を可能にするほど十分に小さくなるように設計可能である。小さいデバイスも大きいデバイスも、副鼻腔、結腸、胃といった領域や、腹部、頭蓋、および頸部を含むがこれらに限定されない人体中の他のあらゆる領域での使用のために、製造可能である。MEMSまたは他の手段を用いる微細加工により、ヒト血管などの限りなく小さな領域内に位置決め可能なデバイスも可能となり得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、デバイスは、外科用または医療用以外の目的、例えば、爆弾の散布、軍事査察、検査サービス、または、制限された作業スペースでの簡素な動作を要する他の目的などに使用され得る。加えて、いくつかの実施形態は、人員の訓練などの教育目的のために使用され得る。前記デバイスのいくつかの実施形態は、ヒトと同じくらいの大きさ、またはそれよりも大きなサイズとなるよう製造可能であり、これによりヒトは、ヒトにより達成または観察できない窮屈な作業スペースでの簡潔な動作を実行できる。明らかとなるように、このような実施形態において、ユーザーは必ずしも外科医でなくてもよい。
【0039】
概要
特定の実施形態において、本明細書に開示される手術装置システムは、国際特許出願PCT/US2015/029247に開示される「Virtual Reality Surgical Device」(国際特許公開WO2015171614A1として公開)と共に組み込まれ、かつ利用されるように設計され、前記国際特許出願は、その全体を引用することで本明細書に組み込まれる。上述の文にもかかわらず、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される手術装置は、他の既存かつ将来のロボット手術システムおよび/またはデバイスにより実装かつ利用可能である。
【0040】
本装置の目的は、自然で直観的なHMIを維持するようにヒトの手首の回転を模倣するとともに、バーチャルリアリティーを用いた手術デバイスの利用中に外科医がバーチャルリアリティーに没頭できる、インビボのロボットアームを備えたリストアセンブリを外科医に提供することである。本明細書に開示される装置は、4つの(4)自由度(DOF)を持つリストアセンブリを外科医に提供するとともに、ヨー、ピッチ、およびロールのアクチュエーターを介してヒトの腕の手首回転を模倣可能であり、自然で直観的なHMIを維持する間に外科医がバーチャルリアリティーに没頭できる装置を、外科医に提供する。
【0041】
開示された装置は、インビボのロボットデバイスが外科医の腕や手であるかのように外科医が前記デバイスと相互作用できることから、外科医に多数の利点をもたらす。これにより外科医は、狭い場所で非常に難しく繊細な処置を実行できるとともに、処置を行う際に自身が慣れている自然な動きの維持を可能にする。開示された装置により外科医は、自身が慣れている様式や形態での操作を実行し、他のロボットデバイスを用いてアクセスできない身体の領域にアクセスできるようになる。さらに、開示された装置により、外科医が自然で直観的なHMIを維持しつつバーチャルリアリティーに没頭できることから、処置中に手術の効率が増す。このおかげで手術時間が減り、患者の回復時期をさらに早められる。同様に、効率が増したことにより、外科医は処置の実行に専念でき、ゆえに外科医のワークフローが増大し、外科医の生産性が改善される。
【0042】
特に明記されない限り、用語「遠位」は、本明細書で使用されるように、基準点から比較的遠いことを意味し、一方で「近い」は、基準点まで比較的近いことを意味する。一般的に、基準点は、記載されているオブジェクトのオペレーターである。
【0043】
図1A-1Fは、リストアセンブリ(100)の一実施形態の複数の図を示す。特に、
図1Eと
図1Fは、リストアセンブリ(100)の一実施形態の分解立体図を示す。
図1Eと
図1Fに示される例示的実施形態に描かれるように、リストアセンブリ(100)は、2つのサブアセンブリ、顎部アセンブリ(101)、およびヒンジ回転アクチュエーターアセンブリ(102)で構成される。前記サブアセンブリの両方が、以下に詳述されるように、互いに協働する両方サブアセンブリがユーザーに4つの自由度を設けるように構成されるため、リストアセンブリ(100)全体に必須とされる。
【0044】
図2A-2Dは、顎部アセンブリ(101)の一実施形態の複数の図を示す。顎部アセンブリ(101)は、重要な機能を実行することからリストアセンブリ(100)全体に必須の部品である。顎部アセンブリ(101)は、バーチャルリアリティーを用いた手術装置のためのエンドエフェクターとして機能し、かつ、手術環境と相互に作用して操作作業スペース内で外科手術を実行するように構成される。加えて、顎部アセンブリ(101)は、外科医に2つのDOFを提供するように構成されるとともに、外科医にさらに2つのDOFを提供するべくヒンジ回転アクチュエーターアセンブリ(102)に嵌合かつ結合するようにも構成される。
【0045】
図2Bは、顎部アセンブリ(101)の例示的実施形態の平面分解等角図を示し、
図2Dは、顎部アセンブリ(101)の例示的な実施形態の底面分解等角図を示す。
図2Bと
図2Dに見られるように、一実施形態において、顎部アセンブリ(101)は、第1の顎部(103)と第2の顎部(104)、ケーブル再配向ハブ(106)、複数のボールベアリングセット(109)、および2つの本体としてヒンジ湾曲体(107)とヒンジ非湾曲体(108)を具備している。
【0046】
上述のように、顎部アセンブリ(101)は、リストアセンブリ(100)に2つのDOFを提供するように構成される。顎部アセンブリ(101)は、以下に詳述されるように、第1の顎部(103)と第2の顎部(104)とを互いに独立して動かすことにより、2つのDOFを提供する。
図3A-3Dは、第2の顎部(104)の例示的実施形態の複数の図を示す。
図3A-3Dに示されるように、一実施形態において、第2の顎部(104)は、動作セグメント(179)を備えた遠位端、および作動ハブ(180)を備えた近位端を有するように製造される。いくつかの実施形態において、動作セグメント(179)および作動ハブ(180)は、1つの固形片として製造され、一方で他の実施形態において、動作セグメント(179)および作動ハブ(180)は、溶接接続、接着接続、および/または当該技術分野で既知の他のあらゆる接続方法または技術を介して互いに付けられている。
【0047】
第2の顎部(104)の動作セグメント(179)により、外科医は組織を把持して手で扱いながら、手術道具を把持できる。異なる実施形態において、動作セグメント(179)は無数の構成を呈することができ、これにより外科医は様々な処置やタスクを実行できる。いくつかの実施形態において、第2の顎部(104)の動作セグメント(179)は、組織や器官を保持して手で扱うために外科医に把持表面を提供するように、前記セグメントの片側に剛性歯部を具備している。他の実施形態において、動作セグメント(179)は、前記セグメントの片側にテクスチャード加工面、平滑面、きざみ付き面、および/または保護コーティングを具備するように構成される。さらに、いくつかの実施形態において、第2の顎部(104)の動作セグメント(179)、およびその下に導入された第1の顎部(103)の動作セグメント(183)は、同じ構成を具備する一方、他の実施形態において、第2の顎部(104)の動作セグメント(179)および第1の顎部(103)の動作セグメント(183)は、異なる構成を具備している。
【0048】
加えて、いくつかの実施形態において、動作セグメント(179)は導電性となるように構成される。これら実施形態において、第1の顎部(103)と第2の顎部(104)は焼灼ツールとして構成されることで、外科医は焼灼機能を実行できる。これら実施形態において、電気焼灼ワイヤーが、リストアセンブリ(100)を通って第1および第2の顎部へと配索され、第1および第2の顎部は電気絶縁体を具備しており、これにより、リストアセンブリ(100)の残部から第1および第2の顎部または動作セグメント(183)と(179)を電気的に絶縁する。これら実施形態において、第1および第2の顎部の動作セグメント(183)と(179)は、単極焼灼方法のほか、両極焼灼方法も利用して、電気焼灼機能を実行するように構成される。異なる実施形態において、第1の顎部(103)の動作セグメント(183)および第2の顎部(104)の動作セグメント(179)は、様々な手術道具として構成され、限定されないが、鉗子、ベッセルシーラー(vessel sealers)、持針器、手術用はさみ、開創器、および/または当該既知の他のあらゆる手術道具が挙げられる。
【0049】
上述のように、いくつかの実施形態において、第2の顎部(104)は作動ハブ(180)を具備する。一実施形態において、第2の顎部(104)の作動ハブ(180)は、ケーブル配索管路(111)を具備する。ケーブル配索管路(111)は、ケーブル(181)(
図3A-3Dには示さず)が前記管路内に位置するとともに、第2の顎部(104)の動作セグメント(179)上に位置するケーブル開口部(115)にケーブル(181)を配索するのを可能とするように、構成される。ケーブル配索管路(111)は、前記ケーブル(181)が作動中に管路から滑り落ちるのを防ぐべくケーブル(181)を抑えるように構成される。ケーブル配索管路(111)は、作動ハブ(180)の周囲を伸長し、これにより、ケーブル(181)が作動中に位置して乗り通るための面が設けられる。
【0050】
加えて、いくつかの実施形態において、作動ハブ(180)の片側にはベアリングレース(113)があり、これは、多数のボールベアリングセット(109)(
図2B)のうち1つが進入するのを可能にするように構成されている。同様に、いくつかの実施形態において、作動ハブ(180)の反対側には他のベアリングレース(116a)が位置付けられており、これは、複数のボールベアリングセット(109)のうち1つが乗り通るのを可能にするように構成されている。他の実施形態において、本技術のある実施形態においてはボールベアリングが必要とされないため、複数の複数のボールベアリングセット(109)が除去されることに、留意されたい。ある実施形態は、スリーブ軸受け、ブッシング、軸、および/または当該技術分野で既知の他の転がり軸受を具備している。加えて、いくつかの実施形態において、作動ハブ(180)の片側には磁石ハウジング(112a)が位置付けられており、前記ハウジングは磁石が位置する開口部を具備している。以下に詳述されるように、磁石は、第2の顎部(104)の位置データ、いくつかの実施形態においては配向データを得るために利用される。
【0051】
いくつかの実施形態において、第2の顎部(104)の動作セグメント(179)は、ケーブル配索開口部(114)を具備している。ケーブル配索開口部(114)は、ケーブル(182)(
図3A-3Dには示されず)が前記開口部に入り、前記ケーブルをケーブル終端部位(110)に配索するのを可能にするように構成され、ケーブル終端部位ではケーブル(182)が終端に達する。上述のように、第2の顎部の動作セグメント(179)上にはケーブル開口部(115)が位置付けられる。ケーブル開口部(115)は、ケーブル(181)をケーブル終端部位(105a)に配索するように構成され、ケーブル終端部位では前記ケーブルが終端に達する。
【0052】
一実施形態において、ケーブル(182)とケーブル(181)は、止めねじを介して各終端部位にて各ケーブルを留めることにより、終端に達する。代替的に、ケーブル(182)とケーブル(181)は、当該技術分野で既知のあらゆる適切な手段または技術を用いて終端に達する場合がある。例えば、ポリマーファイバーケーブルは、ケーブルに設けられた結び目により終端に達するが、金属繊維ケーブルは、クリンプ接続および/またはくい込み式接続により終端に達し得る。
【0053】
図4A-4Dは、第1の顎部(103)の例示的実施形態の複数の図を示す。
図4A-4Dに示されるように、一実施形態において、第1の顎部(103)は、動作セグメント(183)を備えた遠位端、および作動ハブ(184)を備えた近位端を有するように製造される。第2の顎部(104)と同様に、いくつかの実施形態において、第1の顎部の動作セグメント(183)および作動ハブ(184)は、1つの固形片として製造され、一方で他の実施形態において、動作セグメント(183)および作動ハブ(184)は、溶接接続、接着接続、および/または当該技術分野で既知のあらゆる接続方法または技術を介して互いに付けられている。
【0054】
加えて、いくつかの実施形態において、第1の顎部(103)の動作セグメント(183)は、ケーブル配索開口部(115)を具備している(
図4D)。第1の顎部(103)のケーブル配索開口部(115)は、第1の顎部(103)の動作セグメント(183)上に位置するケーブル終端部位(105b)にケーブル(185)を配索するように構成され、ケーブル終端部位では前記ケーブル(185)が終端に達する。異なる実施形態において、当該技術分野で既知の方法および/または技術は、ケーブル終端部位(105b)内でケーブル(185)を終端に導くために利用される。一実施形態において、ケーブル(185)は、止めねじを介して終端部位(105b)内で前記ケーブル(185)を留めることにより終端に達する。異なる実施形態において、当該技術分野で既知の方法および/または技術は、ケーブル終端部位(105b)内でケーブル(185)を終端に導くために利用される。例えば、ポリマーファイバーケーブルは、ケーブルに設けられた結び目により終端に達するが、金属繊維ケーブルは、クリンプ接続および/またはくい込み式接続により終端に達し得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)は環状となるように製造され、2つの側部を具備している。第2の顎部(104)の作動ハブ(180)と同様に、一実施形態において、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)の片側にはベアリングレース(116b)が具備されており、これは、複数のボールベアリングセット(109)のうち1つが乗るのを可能にするように構成される。上述のように、いくつかの実施形態において、この技術のある種の実施形態がボールベアリングを必要としないため、ボールベアリングセット(109)は排除される。ある実施形態は、スリーブ軸受け、ブッシング、軸、および/または当該技術分野で既知の他の転がり軸受を具備している。いくつかの実施形態において、作動ハブ(184)のベアリングレース(116b)と同じ側部には磁石ハウジング(112b)が位置付けられており、前記ハウジングは、磁石が位置する開口部を具備している。以下に詳述されるように、磁石は、第1の顎部(103)の位置データ、いくつかの実施形態においては配向データを得るために利用される。
【0056】
一実施形態において、作動ハブ(184)の片側は、再配向ケーブルハブ(106)と嵌合および結合するように構成される(
図5A-5C)。本実施形態において、作動ハブ(184)は、複数の再配向ケーブルハブの接続開口部(117)を具備しており、再配向ケーブルハブ(106)に位置する接続ピン(122a)と(122b)(
図5A-5C)が進入して、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)を再配向ケーブルハブ(106)につなげることを可能にするように構成される。
【0057】
加えて、いくつかの実施形態において、作動ハブ(184)はケーブル配索ピン(118)を具備し、これは、それぞれの終端部位(110)にケーブル(182)を配索するように構成される。いくつかの実施形態において、ケーブル配索ピン(118)はケーブル配索突起部(119a)につながれる。ケーブル配索突起部(119a)は、第1の顎部(103)が第1の方向に作動する場合にケーブル(182)が乗り通るための表面を設ける。さらに、ケーブル配索突起部(119a)は、ケーブル(182)が前記突起部(119a)に巻き付き、第1の顎部(103)が第1の方向に顎部の軸まわりで作動される場合にケーブル(182)の長さの変化の減少を達成するのを可能にするように構成されるとともに、回転中に顎部の軸まわりのトルクを減らすようにも構成される。加えて、いくつかの実施形態において、作動ハブ(184)は、別のケーブル配索突起部(119b)を具備しており、これは、ケーブル(182)が第2の方向での第1の顎部(103)の作動中に乗り通るための表面を提供する。ケーブル配索突起部(119a)と同様に、ケーブル配索突起部(119b)は、ケーブル(182)が前記突起部(119b)に巻き付くのを可能にするように構成され、かつ、第1の顎部(103)が第2の方向に顎部の軸まわりで作動される場合にケーブル(182)の長さの変化の減少を達成するとともに回転中に顎部の軸まわりのトルクを減らすように構成される。第1の顎部(103)と第2の顎部(104)の作動は、以下に詳述される。
【0058】
上述のように、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)は、再配向ケーブルハブ(106)から伸長し、かつ作動ハブ(184)に位置する接続開口部(117)へと進入する接続ピン(122a)と(122b)を介して、再配向ケーブルハブ(106)と嵌合および結合する。第1の顎部(103)の作動ハブ(184)を再配向ケーブルハブ(106)と嵌合および結合することに加えて、いくつかの実施形態において、接続ピン(122a)はまた、ケーブル(182)がその終端部位(110)に前記ケーブル(182)をガイドするためのルーティング面を設ける。
【0059】
代替的な実施形態において、第1の顎部の作動ハブは様々な構成を呈することができる。
図22A-22Bは、代替的な構成を持つ作動ハブの例示的な実施形態を示す。
図22A-22Bに見られるように、一実施形態において、第1の顎部(203)は作動ハブ(284)と動作セグメント(283)を具備している。本実施形態において、作動ハブ(283)は複数のプーリポケット(204)を具備している。プーリポケット(204)は、ケーブルプーリ(202)(
図23A-23B)が中に位置するのを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、プーリポケット(204)からの突出は支点(201)であり、これは、ケーブルプーリ(202)が周囲で回転するのを可能にするように構成される。
図23A-23Bに見られるように、ケーブルプーリ(202)は、支点(201)が通過するための開口部を具備している。加えて、支点(201)は、再配向ケーブルハブ(206)(
図25A)上に位置する接続開口部(221)に嵌合および結合するように構成される。再配向ケーブルハブ(206)は、以下に詳述される再配向ケーブルハブ(106)と同じ機能を実行するように構成される。
図25Bに見られるように、再配向ケーブルハブ(206)は、再配向ケーブルハブ(206)の周囲を伸長するケーブル管路(220)を具備している。再配向ケーブル管路(220)は、ケーブル(185)が顎部アセンブリ(101)の作動中に乗り通るための表面を設ける。加えて、再配向ケーブル管路(220)は、ケーブル(185)が前記管路から飛び出ない、および/または滑り落ちないように、顎部アセンブリ(101)の作動間に前記管路(220)内にケーブル(185)を保持するように構成される。加えて、再配向ケーブルハブ(206)はまた、片側にベアリングレース(223)を具備しており、これは、ボールベアリングセットが中に位置するのを可能にし、かつ前記セットを収容するように構成される。ベアリングレース(223)は、再配向ケーブルハブ(206)が回転するために表面を設ける。加えて、ベアリングレース(223)は、再配向ケーブルハブの軸まわりでの回転運動を可能にする一方で、以下に詳述される再配向ケーブルハブ(106)のベアリングレース(123)と同様にほかの軸すべてにおける軸方向運動を妨げるように構成される。
【0060】
第1の顎部(203)の作動ハブ(284)はケーブル配索突起部(218)をさらに備え、それは、ケーブルプーリ(202)の周りに配索されるケーブルが、顎部アセンブリの作動中に前記ケーブルプーリとの接触を維持することを確実にするように構成される。作動中にケーブル上の摩耗量を制限し、ならびに第1の顎部(203)が加えることができる力を増大するように、ケーブルプーリ(202)は、その周りに配索されるケーブル上に与えられる摩擦を低減するように構成される。加えて、ケーブルプーリ(202)は、ぎくしゃくした動きを引き起こすスティックスリップを低減し、したがって、作動中の第1の顎部(203)の動作を改善する。
図24で見られるように、ケーブル(182)は、第1のケーブルプーリ(202a)の周りに、その後、第2のケーブルプーリ(202b)の周りに配索され、ケーブル配索突起部(218)は、上記ケーブルが第1のケーブルプーリ(202a)との接触を維持するように、ケーブル(182)を固定する。本実施形態において、ケーブル(182)は、上に詳述されるように第2の顎部(104)上で終端し、ケーブル(182)を引っ張ると、第2の顎部(104)が第1の顎部(203)に対して開く。加えて、上に詳述された第1の顎部(103)と同様に、第1の顎部(203)は、第1の顎部(203)の動作セグメント(283)上にケーブル配索開口部(215)およびケーブル終端部位(205)を備える。同様に、いくつかの実施形態では、作動ハブ(284)は2つの側面を有し、一方の側面は、上に詳述されるようなケーブルプーリ(202)を含むように構成され、他方の側面は、上に詳述される作動ハブ(184)と同様に、ボールベアリングセットが位置し載っているベアリングレースを含むように構成される。さらに、
図24に示されるように、ケーブル(182)はケーブルプーリ(202)に巻き付いている。ケーブルの巻き付け角度は、作動ハブ(284)上のケーブルプーリ(202)の配置、ならびにその回転軸に沿った第1の顎部(203)の位置に応じて変動する。いくつかの実施形態において、ケーブルプーリ(202a)の周りの巻き付け角度は、約240~300度の間で変動する。他の実施形態では、ケーブルプーリ(202a)の周りの巻き付け角度は、約180~360度の間で変動する。別の実施形態では、ケーブルプーリ(202a)の周りの巻き付け角度は、約220~320度の間で変動する。別の実施形態では、ケーブルプーリ(202a)の周りの巻き付け角度は、約200~340度の間で変動する。別の実施形態では、ケーブルプーリ(202a)の周りの巻き付け角度は、約260~300度との間で変動する。一方、いくつかの実施形態では、ケーブルプーリ(202b)の周りの巻き付け角度は、0~110度の間で変動する。他の実施形態では、ケーブルプーリ(202b)の周りの巻き付け角度は、0~180度の間で変動する。別の実施形態では、ケーブルプーリ(202b)の周りの巻き付け角度は、0~130度の間で変動する。さらなる実施形態では、ケーブルプーリ(202b)の周りの巻き付け角度は、0~150度の間で変動する。さらなる実施形態では、ケーブルプーリ(202b)の周りの巻き付け角度は、0~150度の間で変動する。
【0061】
図5A-5Cは、再配向ケーブルハブ(106)の例示的な実施形態の複数の図を示す。再配向ケーブルハブ(106)は、ケーブル(182)およびケーブル(185)をそれぞれの終端部位(110)および(105b)に配索するように構成される。一実施形態では、再配向ケーブルハブ(106)は、2つの側面および再配向ケーブル管路(120)を含む、円形のハブとして構成される。
図5A-5Cに示されるように、一実施形態において、再配向ケーブル管路(120)は再配向ケーブルハブ(106)の周囲に延びる。再配向ケーブル管路(120)は、顎部アセンブリ(101)の作動中にケーブル(185)が載るための表面を提供する。加えて、再配向ケーブル管路(120)は、ケーブル(185)が前記再配向ケーブル管路から飛び出たり、および/または滑り落ちたりしないように、顎部アセンブリ(101)の作動中に、前記再配向ケーブル管路(120)内にケーブル(185)を保持するように構成される。
【0062】
上に詳述されるように、いくつかの実施形態では、再配向ケーブルハブ(106)の片側上に位置するのは、接続ピン(122a)および(122b)であり、これは、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)を再配向ケーブルハブ(106)と嵌合および連結させるために利用される。代替的な実施形態において、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)および再配向ケーブルハブ(106)は、1つのピースになるように作られる。いくつかの実施形態において、接続ピン(122a)および(122b)は、ケーブルを前記接続ピンの周りに配索することができるように平滑面を有する円柱形状に構成され、一方、他の実施形態では、接続ピン(122a)および(122b)は、平滑面ならびに端部を有する任意の形状として構成できることができ、限定されないが、卵形、丸みを帯びた端部を有する三角形、および/または、ケーブルを配索することができるより複雑な形状あるいはチャネルを含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、1つの接続ピンのみが再配向ケーブルハブ(106)上に見られるが、他の実施形態では、複数の接続ピンが再配向ケーブルハブ(106)上に配置されてもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、接続ピン(122a)は、ケーブル(182)が、前記ケーブルを第2の顎部(104)上に位置するケーブル配索開口部(114)に向けるための配索表面を提供する。これらの実施形態において、接続ピン(122a)は、ケーブル(182)がケーブル配索ピン(118)との接触を維持するように構成され、これにより、第1の方向に顎部アセンブリ(101)を作動させる場合、前記ケーブルはケーブル配索突起部(119a)に巻き付き、第2の方向に顎部アセンブリ(101)を作動させる場合、前記ケーブルはケーブル配索突起部(119b)に巻き付く。加えて、いくつかの実施形態では、再配向ケーブルハブ(106)の片側上に位置するのは、ケーブル配索ピン開口部(121)である。これらの実施形態において、ケーブル配索ピン開口部(121)は、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)上に位置するケーブル配索ピン(118)が前記配索ピン開口部に入り、したがって、作動ハブ(184)および再配向ケーブルハブ(106)を嵌合し連結するのを可能にするように構成される。加えて、ケーブル配索ピン(118)のケーブル配索ピン開口部(121)との連結および嵌合は、ケーブル(182)が顎部アセンブリ(101)の作動中にケーブル配索ピン(118)との接触を維持し、ならびに前記ケーブルの押し込みおよび/またはふさがりを防ぐような接続を作る。
【0064】
図5Bおよび
図5Cに見られるように、いくつかの実施形態では、再配向ケーブルハブ(106)の片側上に位置するのは、ベアリングレース(123)である。これらの実施形態において、ベアリングレース(123)は、複数のボールベアリングセット(109)(
図2B)の1つがその中に位置し、上記セットを収容することができるように構成される。ベアリングレース(123)は、再配向ケーブルハブ(106)が回転するための表面を提供する。加えて、ベアリングレース(123)は、再配向ケーブルハブ軸の周りの回転運動を可能にするが、全ての他の軸の軸方向運動は防ぐように構成される。この技術の特定の実施形態は、ボールベアリングを必要としない。特定の実施形態は、ブッシング、スリーブベアリング、軸および/または、当該技術分野で既知の他の転動体ベアリングを含む。
【0065】
図2Bおよび
図2Dに示されるように、再配向ケーブルハブ(106)は、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)と第2の顎部(104)の作動ハブ(180)との間に位置する。上に詳述されるように、再配向ケーブルハブ(106)の一方の側面は第1の顎部(103)の作動ハブ(184)と連結および嵌合し、作動ハブ(184)の他方の側面はベアリングレース(123)(
図5B)を備える。再配向ケーブルハブ(106)のベアリングレース(123)は、第2の顎部(104)の作動ハブ(180)上に位置するベアリングレース(113)と同じ寸法を有するように構成され、それにより、第2の顎部(104)の作動ハブ(180)が再配向ケーブルハブ(106)と接触すると、ボールベアリングセットがベアリングレース(113)とベアリングレース(123)の両方に位置し、それらに沿って載るように、上記接触は複数のボールベアリングセット(109)の1つのためのハウジングを作る。代替的な実施形態において、ベアリングレース(123)およびベアリングレース(113)は、対称的ではないか、あるいは同じサイズではなく、他の実施形態では、ベアリングレース(123)およびベアリングレース(113)が軸の代わりに使用される。
【0066】
上に詳述されるように、いくつかの実施形態では、第1の顎部(103)の作動ハブ(184)の片側上、ならびに第2の顎部(104)の作動ハブ(180)の片側上には、ベアリングレース(116a)および(116b)がそれぞれ位置する。ベアリングレース(116a)および(116b)の両方は、複数のボールベアリングセット(109)の1つが載ることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、ベアリングレース(116a)および(116b)の両方は、ヒンジベアリングレース(127)と嵌合するように構成され、ベアリングレース(116a)は、ヒンジ非湾曲体(108)(
図7B)上に位置するヒンジベアリングレース(127)と嵌合し、ベアリングレース(116b)は、ヒンジ湾曲体(107)(
図6B)上に位置するヒンジベアリングレース(127)と嵌合する。ベアリングレース(116a)とヒンジ非湾曲体(108)のヒンジベアリングレース(127)との嵌合は、複数のボールベアリングセット(109)の1つのためのハウジングを形成し、ベアリングレース(116a)は内側ベアリングレースとして機能し、ヒンジ非湾曲体(108)のヒンジベアリングレース(127)は外側ベアリングレースとして機能する。同様に、ベアリングレース(116b)とヒンジ湾曲体(107)のヒンジベアリングレース(127)との嵌合は、複数のボールベアリングセット(109)の他の1つのためのハウジングを形成する。前述のベアリングレースの嵌合は、以下に詳述されるように、顎部アセンブリ(101)がピッチ軸(189)(
図18)の周りを回転することを可能にする。
【0067】
一実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)は、第1の顎部(103)、第2の顎部(104)、再配向ケーブルハブ(106)、ならびに複数のボールベアリングセット(109)のためのハウジングとして機能する。
図6A-6Dは、ヒンジ湾曲体(107)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
図7A-7Dは、ヒンジ非湾曲体(108)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
【0068】
一実施形態において、
図6A-6Dに示されるように、ヒンジ湾曲体(107)は近位端および遠位端を備え、前記端部は内面ならびに外面を備える。一実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の遠位端の内面上に位置するのは、ヒンジベアリングレース(127)であり、それは、上に詳述される第1の顎部(103)のベアリングレース(116b)と嵌合および連結するように構成される。上に詳述される複数のボールベアリングセット(109)の1つのためのハウジングとしての機能に加えて、第1の顎部(103)のベアリングレース(116b)とヒンジ湾曲体(107)のヒンジベアリングレース(127)との嵌合はさらに、第1の顎部(103)が前記第1の顎部の作動中にいかなる移行運動も経験するのを防ぐ。さらに、前述の嵌合は、第1の顎部(103)が周りを回転する顎部の軸(189)(
図17Aおよび
図17C)を規定する。加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の遠位端は、第1の顎部(103)の磁石ハウジング(112b)が進入し、嵌合するのを可能にするように構成される磁石ハウジング開口部(190)を備える。
【0069】
いくつかの実施形態において、ヒンジ湾曲体(107)の遠位端の外面上に、湾曲ポケット(126)がある。湾曲ポケット(126)は、電気通信コンポーネントがその中に位置することを可能にするように構成され、顎部アセンブリ(101)の作動中に前記電気通信コンポーネントへのいかなる破損も防ぐ。様々な実施形態では、異なる電気通信コンポーネントが利用され、それは、限定されないが、リジッドフレキシブルプリント回路基板(RFPCB)、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)、および/または当該技術分野で既知の他のタイプの電気通信コンポーネントを含む。ヒンジ湾曲体(107)の湾曲ポケット(126)内に位置する電気通信コンポーネントは、第1の顎部(103)の位置および/または配向データを中央コンピューターに送信するために利用され、上記中央コンピューターは、上記データを処理して、制御コマンドおよび/またはプロンプトを、第1の顎部(103)を作動させて操作するアクチュエーターに送信する。第1の顎部(103)の位置および/または配向データは、磁石ハウジング(112b)に位置する磁石、ならびにヒンジ湾曲体(107)の湾曲ポケット(126)に位置するセンサーから得られる。これらの実施形態において、電気通信コンポーネントの収容に加えて、ヒンジ湾曲体(107)の湾曲ポケット(126)は、第1の顎部(103)が顎部の軸(189)の周りを回転する際に、磁石ハウジング(112b)の磁石の磁場における変化を感知するためのセンサーを備える。いくつかの実施形態において、磁場における変化を感知するために、2つの回転位置センサーがヒンジ湾曲体(107)の湾曲ポケット(126)に見られるが、他の実施形態では、4つの回転位置センサーが見られる。磁石感知は以下にさらに詳述される。
【0070】
上記されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)は近位端を備える。ヒンジ湾曲体(107)の近位端は、顎部アセンブリ(101)をヒンジ回転アセンブリ(102)と連結および嵌合するために利用され、ならびに、ピッチ軸(188)(
図17Aおよび
図17B)を規定する。
図6Aに示されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の近位端は、2つの側面(内側および外側)を有するように構築される。一実施形態では、外面は湾曲スロット(124)を備え、それは、電気通信コンポーネントを、ヒンジ湾曲体(107)の遠位端の外面上に位置する湾曲ポケット(126)に配索するように構成される。湾曲スロット(124)は、電気通信コンポーネントがリストアセンブリ(100)の作動中に過度に曲がったり、および/または損傷したりしないように、前記電気通信コンポーネントが上記スロット内に位置することを可能にするよう構成される。いくつかの実施形態において、湾曲スロット(124)は、上に詳述されるように、ヒンジ湾曲体の近位端の内側上に位置し、電気通信コンポーネントは湾曲ポケット(126)に配索される。これらの実施形態において、ヒンジ湾曲体の近位端の外側はベアリング面を備え、したがって、以下に詳述されるような雄部ベアリングレース(138)を排除する。加えて、これらの実施形態において、支点(128)は、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端の内側に再配置される。
【0071】
加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の近位端の外側は、ヒンジハードストップ(186)を備える。これらの実施形態において、ヒンジハードストップ(186)は、顎部アセンブリ(101)が、接合部の許容限界を超えてピッチ軸(188)(
図17A)周りを回転するのを抑制するように構成される。いくつかの実施形態において、接合部の許容限界は120度であり、いずれの方向に60度の運動を有するが、他の実施形態では、接合部の許容限界は増加および/または減少する。
図6Aおよび
図6Cで見られるように、ヒンジハードストップ(186)は、ヒンジ回転アセンブリ(102)の遠位端と接触して、顎部アセンブリ(101)が許容可能な程度の回転を超えて作動することを防ぐ、押し出された表面として構成される。ヒンジ湾曲体(107)の近位端は、ヒンジ回転アセンブリ(102)が、作動中にピッチ軸(188)周りを回転することを可能にするように円形に構成される。
【0072】
図6Aおよび6Dに示されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の近位端の外側は、接続開口部(125)を備える。接続開口部(125)は、ヒンジ回転アセンブリ(102)からの雄ベアリングレース(138)(
図15A-15D)が嵌合および連結するのを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、接続開口部(125)は、電気通信コンポーネントが、雄ベアリングレース(138)からの干渉なく、前記湾曲スロットを通って配索されるように、湾曲スロット(124)より高く突出した表面上に位置する。いくつかの実施形態において、接続開口部(125)は排除され、雄ベアリングレース(138)がヒンジ湾曲体(107)の近位端の一部であるように作られる。
【0073】
いくつかの実施形態において、ヒンジ湾曲体(107)の近位端の内側上には支点(128)があり、それはヒンジ湾曲体(107)から突出している。
図6Bに示される例示的な実施形態において示されるように、支点(128)は円筒形に構成され、支点(128)が従動プーリ(137)(
図16A)上の開口部を通過するのを可能にする外径を有する。いくつかの実施形態において、支点(128)は、ベアリングあるいは当該技術分野で既知の任意の軸の代わりに使用される。加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の近位端は、顎部ハードストップ(187)を備える。これらの実施形態において、顎部ハードストップ(187)は、第1の顎部(103)および第2の顎部(104)が、接合部の許容限界を超えて、顎部の軸(189)(
図17Aおよび
図17C)の周りを回転するのを抑制するように構成される。
図6Bにおいて見られるように、顎部ハードストップ(187)は、第1および第2の顎部の近位端と接触して、前記顎部が許容可能な程度の回転を超えて作動することを防ぐ、押し出された表面として構成される。いくつかの実施形態において、回転の許容可能な程度は、いずれかの方向に93度であるが、他の実施形態では、回転の許容可能な程度は、いずれかの方向に93度未満であるか、あるいは93度を超える。
【0074】
上述されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)は、顎部アセンブリ(101)の他の構成部分と共に、第1の顎部(103)および第2の顎部(104)のためのハウジングとして機能する。
図7A-7Dは、ヒンジ非湾曲体(108)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
図7A-7Dに示されるように、一実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)は、近位端および遠位端を備えるように作られる。ヒンジ非湾曲体(108)の近位端および遠位端は、ヒンジ湾曲体(107)の遠位端および近位端とほぼ同じ構造を有するように構成され、ヒンジ湾曲体(107)とヒンジ非湾曲体(108)との間の接続は継ぎ目がなく、両方の体の外側プロファイルは互いに同一平面上にある(
図17A-17C)。
【0075】
図7Aに示されるように、一実施形態において、ヒンジ非湾曲体(108)の遠位端は、内面および外面を有するように構成される。一実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の遠位端の内面上に位置するのは、上に詳述される第2の顎部(104)のベアリングレース(116a)と嵌合および連結するように構成されるヒンジベアリングレース(127)である。複数のボールベアリングセット(109)の1つのためのハウジングとして機能することに加えて、第2の顎部(104)のベアリングレース(116a)とヒンジ非湾曲体(108)のヒンジベアリングレース(127)との嵌合は、第2の顎部(104)が前記第2の顎部の作動中にいかなる移行運動も経験するのを防ぐ。さらに、前述の嵌合は、第2の顎部(104)が周りを回転する顎部の軸(189)(
図17Aおよび
図17C)を規定する。加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の遠位端は、第2の顎部(104)の磁石ハウジング(112a)が進入し嵌合するのを可能にするように構成される、磁石ハウジング開口部(190)を備える。
【0076】
いくつかの実施形態において、ヒンジ非湾曲体(108)の遠位端の外面上には、湾曲ポケット(126)がある。湾曲ポケット(126)は、電気通信コンポーネントがその中に入ることを可能にするように構成され、顎部アセンブリ(101)の作動中に前記電気通信コンポーネントへのいかなる破損も防ぐ。様々な実施形態では、異なる電気通信コンポーネントが利用され、限定されないが、リジッドフレキシブルプリント回路基板(RFPCB)、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)、および/または当該技術分野で既知の他のタイプの電気通信コンポーネントを含む。ヒンジ非湾曲体(108)の湾曲ポケット(126)に位置する電気通信コンポーネントは、第2の顎部(104)の位置および/または配向データを中央コンピューターに送信するために利用され、上記中央コンピューターは、前記データを処理して、制御コマンドおよび/またはプロンプトを、第2の顎部(104)を作動させて操作するアクチュエーターに送信する。第2の顎部(104)の位置および/または配向データは、磁石ハウジング(112a)内にある磁石、ならびにヒンジ非湾曲体(108)の湾曲ポケット(126)および顎部アセンブリ(101)に含まれるセンサーから得られる。これらの実施形態において、電気通信コンポーネントの収容に加えて、ヒンジ非湾曲体(108)の湾曲ポケット(126)は、第2の顎部(104)が顎部の軸(189)の周りを回転する際に、磁石ハウジング(112b)の磁石の磁場における変化を感知するためのセンサーを備える。いくつかの実施形態において、磁場における変化を感知するために、2つの回転位置センサーがヒンジ非湾曲体(108)の湾曲ポケット(126)に見られるが、他の実施形態では、4つの回転位置センサーが見られる。磁石感知は以下にさらに詳述される。
【0077】
上述されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)は近位端を備える。ヒンジ非湾曲体(108)の近位端は、ヒンジ湾曲体(107)の近位端と合わせて利用され、顎部アセンブリ(101)(
図1D)をヒンジ回転アセンブリ(102)(
図1D)に連結および嵌合し、上記嵌合および連結は、ピッチ軸(188)(
図17Aおよび
図17B)を規定する。
図7A-7Dに示されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端は、2つの側面を有するように構築され、片側がヒンジベアリングレース(129)を備える。ヒンジベアリングレース(129)は、顎部アセンブリ(101)の作動中に、複数のボールベアリングセット(109)の1つが前記ヒンジベアリングレース内に位置し、それに沿って載ることを可能にするように構成される。ヒンジ非湾曲体(108)のヒンジベアリングレース(129)内に位置するボールベアリングセット(109)は、雌ヒンジ体(134)(
図10A)のベアリングレース(147)(
図10B)内にも位置する。加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端は磁石ポケット(152)を備える。これらの実施形態において、磁石ポケット(152)は、1つの磁石および/または複数の磁石が入るのを可能にするように構成される。さらに以下に詳述されるように、顎部アセンブリがピッチ軸(188)の周りを回転する際に、前記顎部アセンブリ(101)の位置データ、いくつかの実施形態では配向データを得るために、磁石は、ヒンジ回転アセンブリ(102)上に位置するセンサーと共に利用される。
【0078】
加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端の外面は、ケーブル管路(130)を備えるように作られる。ケーブル管路(130)は、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端の片側上に位置するケーブル終端チャネル(132)を通って、ケーブル(191)に配索されるように構成される。ケーブル終端チャネル(132)は、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端上に位置するケーブル終端部位(131)に、ケーブル(191)を配索するように構成される。異なる実施形態では、上に詳述される様々な方法および/または技術が、ケーブル(191)をケーブル終端部位(131)で終端するために利用される。
【0079】
加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端の片側は、支点開口部(133)(
図7C)を備える。これらの実施形態において、支点開口部(133)は、ヒンジ湾曲体(107)の支点(128)が上記開口部内に進入し、位置するように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端は顎部ハードストップ(187)を備える。これらの実施形態において、顎部ハードストップ(187)は、第1の顎部(103)および/または第2の顎部(104)が、接合部の許容限界を超えて顎部の軸(189)(
図17Aおよび
図17C)の周りを回転するのを抑制するように構成される。
図7Dにおいて見られるように、顎部ハードストップ(187)は、第1および/または第2の顎部の近位端と接触して、前記顎部が許容可能な程度の回転を超えて作動することを防ぐ、押し出された表面として構成される。いくつかの実施形態において、回転の許容可能な程度は、いずれかの方向に93度であるが、他の実施形態では、回転の許容可能な程度は、いずれかの方向に93度未満であるか、あるいは93度を超える。
【0080】
上記のように、ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)の両方の近位端は、顎部アセンブリ(101)をヒンジ回転アセンブリ(102)に連結する。
図8Aは、ヒンジ回転アセンブリ(102)の例示的な実施形態の等角図を示す。
図8Bは、ヒンジ回転アセンブリ(102)の例示的な実施形態の分解上面図を示す。ヒンジ回転アセンブリ(102)は、2つの追加のDOFをリストアセンブリ(100)に提供するように構成される。ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)と共にヒンジ回転アセンブリ(102)は、DOFに提供するように構成され、前記DOFは、ピッチ軸(188)(
図17A)の周りを回転する顎部アセンブリ(101)の回転である。加えて、ヒンジ回転アセンブリ(102)はまた、他のDOFを提供するように構成され、このDOFは、ロール軸(192)(
図18)の周りのリストアセンブリ(100)の回転である。さらに、2つの余分なDOFを提供することに加えて、ヒンジ回転アセンブリ(102)は、顎部アセンブリ(101)の電気通信コンポーネントをロボットアームの残りの電気通信コンポーネントに接続する手段として機能し、それにより、顎部アセンブリ(101)上のセンサーから得られたデータが、前記アセンブリからヒンジ回転アセンブリ(102)を通って中央コンピューターへと送信されるのを可能にし、ならびに、データを中央コンピューターから顎部アセンブリ(101)へと送信し戻すことを可能にする。
【0081】
図8Bで示される例示的な実施形態に示されるように、ヒンジ回転アセンブリ(102)は、ヒンジカバー(134)とも呼ばれる雌ヒンジ体と、ヒンジ式回転体(139)とも呼ばれる雄回転ヒンジ体とを備える。雄回転ヒンジ体(139)と共に雌ヒンジ体(134)は、ヒンジ回転式アセンブリ(102)の様々な構成部分のためのハウジングとして、ならびに、ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)の近位端の接続点および嵌合点として機能するように作られる。
図9Aおよび
図9Bは、雄回転ヒンジ体(139)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
図9A-9Bで見られるように、雄回転ヒンジ体(139)は、遠位および近位端、ならびに外面および内面を備える。
【0082】
図9A-9Bで示されるように、ヒンジ式回転体(139)とも呼ばれる雄回転ヒンジ体の近位端は、ケーブル管路(142)を備える。いくつかの実施形態において、ケーブル管路(142)は円筒軸として作られ、ケーブル(181)、(182)、(185)、および(191)(
図9Aに図示せず)が配索される開口部を有する。ケーブル管路(142)は、リストアセンブリ(100)がロール軸(192)の周りを回転する際に、ケーブルが互いにもつれないように、前記ケーブルが前記ケーブル管路を通って配索されることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、ケーブル管路(142)の外面上に位置するのは、ベアリング(図示せず)が置かれるベアリングインターフェース(193)であり、前記ベアリングは、様々な荷重条件を介してケーブル管路(142)の回転を可能にするように構成される。
【0083】
図9Bに示されるように、いくつかの実施形態では、ケーブル管路(142)の内面上に位置するのは、湾曲ガイド表面(145)である。これらの実施形態において、湾曲ガイド表面(145)は、電気通信コンポーネントが静止する平坦面であるように構成される。湾曲ガイド表面(145)は、ロボットアームからヒンジ回転アセンブリ(102)の近位端を通って電気通信コンポーネントを配索およびガイドするように構成され、ここで、前記電気通信コンポーネントは、顎部アセンブリ(101)から遠位端を通ってヒンジ回転アセンブリ(102)に配索される、他の電気通信コンポーネントに動作可能に接続する。リストアセンブリ(100)の作動中に、電気通信コンポーネントが前記表面に対して平坦に位置するように湾曲ガイド表面(145)は構成され、それにより、前記電気通信コンポーネントが曲がったり、および/または損傷したりしない。代替的な実施形態において、電気通信は、限定されないが、銅ケーブルおよび/または光ファイバケーブルを含む、当該技術分野で既知の標準電気通信ワイヤーおよび/またはケーブルを介して、ケーブル管路(142)を通って送信される。
【0084】
加えて、ケーブル管路(142)は回転プーリ体(140)が雄回転ヒンジ体(139)に接続および嵌合するのを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、回転プーリ体(140)は、その中心に、ケーブル管路(142)が通過できる開口部を有するように作られる。これらの実施形態において、回転プーリ体(140)は、ねじ接続を介して雄回転ヒンジ体(139)に接続および嵌合し、ねじは、回転プーリ体(140)上の貫通穴(149)を通過し、ねじ穴(168)(
図13B)に進入する。加えて、回転プーリ体(140)は、ピン接続を介して雄回転ヒンジ体(139)に連結され、ピンは、雄回転ヒンジ体(139)および回転プーリ体(140)の両方の上にあるピン接続開口部(144)に入ってその中に位置する。リストアセンブリ(100)の作動中に、回転プーリ体(140)がロール軸(192)の周りを回転しないように、ピン接続は、雄回転ヒンジ体(139)に回転プーリ体(140)を拘束するように構成される。代替的な実施形態において、回転プーリ体(140)は、雄回転ヒンジ体(139)の一部として作られ、したがって、上記接続を排除する。
【0085】
上述のように、雄回転ヒンジ体(139)は、内面および外面を有する遠位端を備えるように構成される。
図9Aに示されるように、いくつかの実施形態では、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の外部表面上に位置するのは、ケーブルガイドスロット(143)である。ケーブルガイドスロット(143)は、ヒンジ回転アセンブリ(102)から、顎部アセンブリ(101)の近位端を通って、第2の顎部(104)の作動ハブ(180)上に位置するケーブル配索管路(111)(
図3A)へと、ケーブル(181)を配索およびガイドするように構成される。これらの実施形態において、ケーブル(181)は、ケーブル管路(142)を通って雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の内面に配索され、ここで、前記ケーブルは、開口部を通過して、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の外面上のケーブルガイドスロット(143)に進入する。ケーブルがケーブルガイドスロット(143)の端部に到達すると、ケーブルは分離面(194)に沿って配索される。分離面は、ジョイント動作からケーブル動作を分離するか、ケーブル動作からジョイント動作を分離するか、あるいは、ジョイント動作からケーブル動作を分離し、かつケーブル動作からジョイント動作を分離するように構成されてもよい。第1および第2の顎部が回転するとき、顎部を閉じるケーブルが長さを変えずにピッチ軸(188)の中心周りを枢動するように、分離面は湾曲した形状に作られる。分離面(194)の湾曲は、ケーブルがそれに沿って巻き付くのを可能にし、それにより、ケーブルと表面との間の摺動運動がないため、ケーブルが張力を失ったり、過度に張力がかったりしない。加えて、分離面は、顎部の軸(189)の周りを回転する際に顎部の分離動作をもたらし、ピッチ軸の周りを回転する際に顎部アセンブリの分離動作をもたらす。
【0086】
いくつかの実施形態において、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の外部表面上に位置するのは、湾曲ポケット(126)である。上に詳述されるように、湾曲ポケット(126)は、リストアセンブリ(100)の作動中に前記電気通信コンポーネントのいかなる破損も防ぐように、電気通信コンポーネントが前記ポケット内に位置し、かつ取り付けられるのを可能にするように構成される。様々な実施形態では、異なる電気通信コンポーネントが利用され、それには、限定されないが、リジッドフレキシブルプリント回路基板(RFPCB)、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)、および/または従来技術で周知である他のタイプの電気通信コンポーネントが含まれる。
【0087】
図9Bに示されるように、いくつかの実施形態では、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の内面は、ケーブル配索突起部(146)を備える。ケーブル配索突起部(146)は、ヒンジ回転アセンブリ(102)の遠位端を通って配索されたケーブルを、所望の位置に向けるように構成される。一実施形態では、ケーブルが作動中に損傷しないように、ケーブル配索突起部(146)は平滑面であるように作られる。加えて、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端を通って配索されるケーブルが、互いにもつれたり、絡み合ったりしないように、ならびに、前記ケーブルが所望の位置へと配索される際に、前記ケーブルが、リストアセンブリ(100)の他の構成部分にひっかかるのを防ぐように、ケーブル配索突起部は、ディバイダーとして機能するように構成される。
【0088】
ケーブル配索突起部(146)は、2つの側面を有するように構成され、一方の側面は、1本のケーブルを所望の位置に配索し、および他方の側面は、異なるケーブルを所望の位置に配索する。一実施形態では、ケーブル配索突起部(146)はケーブル(191)(
図19B)およびケーブル(182)(
図19B)を配索するために利用され、ケーブル(191)は、ケーブル配索突起部(146)の一方の側面上に配索され、ケーブル(182)は、ケーブル配索突起部(146)の他方の側面上に配索される。本実施形態において、ケーブル(191)は、以下に詳述されるように、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端を通って、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端に位置するケーブル管路(130)に配索され、および、ケーブル(182)は、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端を通って、従動プーリ(137)(
図16A-16B)上に位置する従動ケーブル管路(178)に配索される。代替的な実施形態において、ケーブル配索突起部(146)は排除され、所望の位置にケーブルを向けるチャネルおよび/または管路に置き換えられる。
【0089】
いくつかの実施形態において、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の内面は、複数のねじ穴(148)を備える。これらの実施形態において、以下に詳述されるように、ねじ穴(148)は、ねじが雌ヒンジ体(134)に入ることを可能にし、したがって、雌ヒンジ体(134)を雄回転ヒンジ体(139)と嵌合および連結させることができる。加えて、これらの実施形態において、複数のねじ穴(148)の1つ以上は、下部湾曲カバー(136)(
図8Bおよび
図11A-11B)を雄回転ヒンジ体(139)に嵌合および連結するために利用される。
【0090】
加えて、いくつかの実施形態では、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端の内面は、ベアリングレース(147)(
図9B)を備える。ベアリングレース(147)は、リストアセンブリ(100)の接合中に、複数のボールベアリングセット(109)の一つがベアリングレース内に位置し、それに沿って載ることを可能にするように構成される。これらの実施形態において、雄回転ヒンジ体(139)のベアリングレース(147)内に位置するボールベアリングセット(109)(
図8B)の1つは、雄部ベアリングレース(138)(
図15A)上にあるベアリング管路(175)(
図15A)上にも位置する。これらの実施形態において、雄部ベアリングレース(138)は、ヒンジ湾曲体(107)の近位端とともに、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端のベアリングレース(147)に連結するように構成される。
【0091】
上記のように、いくつかの実施形態では、ヒンジ回転アセンブリは、上部湾曲カバー(135)および下部湾曲カバー(136)(
図11A-11Bおよび
図12A-12B)を有する。これらの実施形態において、下部湾曲カバーは、内面および外面を有するように作られる。
図11Bに示される例示的な実施形態に示されるように、下部湾曲カバー(136)の内面は、ヒンジ回転アセンブリの近位端からのケーブルが通過するのに利用されるケーブル配索通路(160)である。
図11Aに示されるように、いくつかの実施形態では、下部湾曲カバー(136)の外面は、顎部アセンブリからの、ならびにヒンジ回転アセンブリからの、電気通信コンポーネントが入る湾曲ポケット(157)を有する。湾曲ポケット(157)は、電気通信コンポーネントが前記ポケット内で平坦に位置するのを可能にするように構成される。加えて、いくつかの実施形態では、下部湾曲カバー(136)の外面は、ねじを雄回転ヒンジ体(139)上のねじ穴(148)(
図9B)が通過し、それに入ることができるように構成される貫通穴(158)を有する。加えて、下部湾曲カバー(136)の近位端上に位置するのは、ねじの頭部が収まるのを可能にするように構成されるねじ切り込み(161)である。これらの実施形態において、ねじ切り込み(161)内に位置するねじは、雄回転ヒンジ体(139)および回転プーリ体(140)(
図13A-13D)を嵌合するために使用される。さらに、いくつかの実施形態では、下部湾曲カバーの外面上に位置するのは、接続開口部(159)であり、それは、上部湾曲カバー(135)上の接続突起部(162)が接続開口部(159)に進入し、したがって、上部湾曲カバーと下部湾曲カバーを嵌合するのを可能にするように構成される。上部湾曲カバー(135)と下部湾曲カバー(136)との間の接続は、いくつかの実施形態にしたがって、
図12A-12Bに示される。これらの実施形態において、上部湾曲カバー(135)は、下部湾曲カバー(136)と嵌合し、したがって、下部湾曲カバー(136)の湾曲ポケット(157)内に位置する電気通信コンポーネントを保護するように構成される。代替的な実施形態において、上部湾曲カバーおよび下部湾曲カバーは、雌ヒンジ体あるいはヒンジカバー(134)の一部として作られる。
【0092】
図15A-15Bは、雄ベアリングレース(138)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
図15A-15Bに示されるように、一実施形態において、雄部ベアリングレース(138)は2つの側面を有するように作られ、一方の側面はベアリング管路(175)を備え、他方の側面は複数の雄ベアリング接続突起部(176)を備える。上に詳述されるように、ベアリング管路(175)は、複数のボールベアリングセット(109)の1つが、前記ベアリング管路内に位置し、それに沿って載り、ならびに、雄回転ヒンジ体(139)上にあるベアリングレース(147)内に位置し、それに沿って載ることを可能にするように構成される。これらの実施形態において、複数の雄ベアリングの接続突起部(176)は、ヒンジ湾曲体(107)の接続開口部(125)(
図6A)に入り、それと嵌合するように構成される。この接続は、ヒンジ非湾曲体(108)のヒンジベアリングレース(129)と、雌ヒンジ体(134)(
図10A)上に位置するベアリングレース(147)(
図10B)との接続と共に、顎部アセンブリ(101)がピッチ軸(188)の周りを回転するのを可能にする。代替的な実施形態において、雄ベアリングレース(138)は、ヒンジ湾曲体(107)の一部として作られる。
【0093】
上述のように、ヒンジ回転アセンブリ(102)は、雌ヒンジ体あるいはヒンジカバー(134)も備える。
図10A-10Bは、雌ヒンジ体あるいはヒンジカバー(134)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
図10A-10Bに示されるように、いくつかの実施形態では、雌ヒンジ体(134)は内面および外面を備える。一実施形態では、雌ヒンジ体(134)の外面は、複数の接続開口部(151)を備える。接続開口部(151)は、ねじが前記開口部に入って通過することを可能にするように構成され、前記ねじは、雄回転ヒンジ体(139)上に位置するねじ穴(148)に入って嵌合し、したがって、雌ヒンジ体(134)を雄回転ヒンジ体(139)と連結する。
【0094】
いくつかの実施形態において、外面上に位置するのは、ケーブル配索スロット(150)である。
図10Bに示されるように、ケーブル配索スロット(150)は、雌ヒンジ体(134)の内面から上記雌ヒンジ体の外面へと延びる。雄回転ヒンジ体(139)のケーブル配索スロット(143)と同様に、雌ヒンジ体(134)の配索スロット(150)は、ヒンジ回転アセンブリ(102)から、顎部アセンブリ(101)の近位端を通って、再配向ケーブル管路(120)(
図5A)へとケーブル(185)を配索およびガイドするように構成される。これらの実施形態において、ケーブル(185)は、雄回転ヒンジ体(139)のケーブル管路(142)を通って、雌ヒンジ体(134)の内面へと配索され、ここで、前記ケーブルは、ケーブル配索スロット(150)に入り、開口部を通過し、それにより、雌ヒンジ体(134)の外面上のケーブル配索スロット内に配置される。加えて、ケーブル配索スロット(150)の端部には分離面(195)がある。これらの分離面(195)は、湾曲形状であるように作られるという点において、ヒンジ式回転体(139)の分離面(194)と調和し、それにより、前記配索スロットを通って配索されるケーブルは、顎部アセンブリがピッチ軸周りで回転する時に長さが変化せず、したがって、分離動作をもたらすのを助ける。
【0095】
加えて、いくつかの実施形態では、雌ヒンジ体(134)の内面上に位置するのは、湾曲ポケット(156)および湾曲配索突起部(155)である。これらの実施形態において、湾曲ポケット(156)および湾曲配索突起部(155)は、複数のセンサーポケット(153)、ならびに雌ヒンジ体(134)の内面上に位置する電気通信ポケット(154)に、電気通信コンポーネントを調和して配索するように構成される。電気通信コンポーネントを配索することに加えて、湾曲ポケット(156)は、前記電気通信コンポーネントがリストアセンブリ(100)の作動中および接合中に損傷しないように、前記電気通信コンポーネントのためのハウジングとしても機能するように構成される。
【0096】
上記にように、いくつかの実施形態では、雌ヒンジ体(134)の内面上に位置するのは、通信コンポーネントポケット(154)およびセンサーポケット(153)である。センサーポケット(153)は、リストアセンブリ(100)の作動中に位置および/または配向センサーが損傷しないように、それらが前記ポケット内に位置することを可能にするように構成される。これらの実施形態において、センサーポケット(153)は、前記ポケットが、ヒンジ非湾曲体(108)(
図7B)上に位置する磁石ポケット(152)の中心点の周りで互いに直交になるように、雌ヒンジ体(134)の内面上に位置する。異なる実施形態において、限定されないが、ホール効果センサー、光学エンコーダー、抵抗位置センサー、および/またはそれらの位置を測定するための他の任意の標準的手段あるいはそれらの組み合わせを含む、様々な位置センサーが使用される。これらの実施形態において、センサーポケット(153)内に位置するセンサーは、前記アセンブリがピッチ軸(188)周りを回転する際に、顎部アセンブリ(100)の位置および/または配向データを取得するように構成される。
【0097】
一実施形態において、センサーポケット(153)と同様に、通信コンポーネントポケット(154)は、キャパシタを収容するように構成される。本実施形態において、キャパシタは、センサーおよび他の電気通信コンポーネントからの信号雑音を低減するために利用され、それにより、より正確なセンサー読み取り値を提供し、より正確な位置データをもたらす。いくつかの実施形態において、通信コンポーネントポケット(154)は2つ以上のキャパシタを収容するように構成されるが、他の実施形態では、1つのキャパシタのみが前記通信コンポーネントポケットに収容される。代替的な実施形態において、通信コンポーネントポケット(154)は、当該技術分野で既知のインダクター、抵抗器、および/またはプロセッサーなどの、測定および/または通信のために必要なコンポーネントを収容するように構成される。
【0098】
いくつかの実施形態において、雌ヒンジ体(134)の内面はベアリングレース(147)を備える。これらの実施形態において、ベアリングレース(147)は、リストアセンブリ(100)の作動中に、ボールベアリングセット(109)が前記ベアリングレース内に位置し、それに沿って載ることを可能にするように構成される。上に詳述されるように、雌ヒンジ体(134)のベアリングレース(147)内に位置するボールベアリングセット(109)はまた、ヒンジ非湾曲体(108)(
図7A)のヒンジベアリングレース(129)内に位置し、雌ヒンジ体(134)とヒンジ非湾曲体(108)との間の連結を作る。雌ヒンジ体(134)とヒンジ非湾曲体(108)との間の上記連結は、顎部アセンブリ(101)がピッチ軸(188)の周りを回転することを可能にする。
【0099】
上に詳述されるように、ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)の両方の近位端は、雄回転ヒンジ体(139)および雌ヒンジ体(134)の両方の遠位端の内面に連結し、したがって、顎部アセンブリ(101)をヒンジ回転アセンブリ(102)と連結させる。顎部アセンブリ(101)をヒンジ回転アセンブリ(102)に連結することに加えて、雄回転ヒンジ体(139)の遠位端のヒンジ湾曲体(107)の近位端への、および、雌ヒンジ体(134)の遠位端のヒンジ非湾曲体(108)の近位端への上記連結は、作動中に顎部アセンブリがピッチ軸(188)周りを回転できるように顎部アセンブリ(101)を拘束する。
【0100】
上に詳述されるように、いくつかの実施形態では、ヒンジ湾曲体(107)の近位端は、従動プーリ(137)が周りで回転する支点(128)を備える。
図16A-16Bは、従動プーリ(137)の例示的な実施形態の複数の図を示す。ヒンジ湾曲体(107)およびヒンジ非湾曲体(108)の両方の近位端と、雄回転ヒンジ体(139)および雌ヒンジ体(134)の両方の遠位端と組み合わせて、従動プーリ(137)は、ピッチ軸(188)周りの顎部アセンブリ(101)の回転運動を提供するように構成される。加えて、従動プーリ(137)は、ケーブル(182)を第1の顎部(103)の作動ハブ(184)に配索するように構成される。
【0101】
図16Aに示されるように、いくつかの実施形態では、従動プーリ(137)は、従動ケーブル管路(178)を備える。従動ケーブル管路(178)は、ケーブル(182)を第1の顎部(103)の作動ハブ(184)に配索するように構成される。従動プーリ(137)は、ヒンジ湾曲体(107)の支点(128)が通過する開口部を備える。
図16Aに示されるように、従動プーリ(137)の開口部の内面は、ベアリングレース(177)を備える。
図16Bに示されるように、従動プーリ(137)のベアリングレース(177)は、複数のボールベアリングセット(109)の1つが前記レース内に位置し、それに沿って載ることを可能にするように構成される。これらの実施形態において、ベアリングレース(177)内に位置するボールベアリングセット(109)は、従動プーリ(137)が、ピッチ軸(188)に沿った前記支点の周りで回転することを可能にするように、ヒンジ湾曲体(107)の支点(128)と接触する。代替的な実施形態において、ボールベアリングセット(109)は、スリーブベアリング、ブッシング、軸、および/または当該技術分野で既知の他の回転要素ベアリングと置き換えられる。
【0102】
いくつかの実施形態において、ヒンジ回転アセンブリ(102)は、回転プーリ体(140)も備える。上に詳述されるように、回転プーリ体(140)は、雄回転ヒンジ体(139)に嵌合および連結する。
図13A-13Dは、回転プーリ体(140)の例示的な実施形態の複数の図を示す。
図13A-13Dに示されるように、回転プーリ体(140)は、雄回転ヒンジ体(139)の近位端が前記開口部を通過することができるように、開口部を有する円柱形状であるように構成される。一実施形態では、回転プーリ体(140)は、遠位端および近位端を備え、上記遠位端は複数のねじ穴(168)を備え、ねじが雄回転ヒンジ体(139)の近位端から前記ねじ穴に入り、雄回転ヒンジ体(139)(
図9B)に回転プーリ体(140)を連結するように構成される。加えて、上に詳述されるように、いくつかの実施形態では、回転プーリ体(140)の遠位端は、複数のピン接続開口部(144)(
図13B)を備える。これらの実施形態において、複数のピン接続開口部(144)は、ピンが回転プーリ体(140)の上記開口部内に入って位置し、ならびに、雄回転ヒンジ体(139)(
図9B)の近位端上にあるピン接続開口部(144)内に位置するのを可能にするように構成される。これらの実施形態において、回転プーリ体(140)が雄回転ヒンジ体(140)に対して回転しないが、雌部回転体(141)(
図14A)に対して回転することができるように、ピン接続は、雄回転ヒンジ体(139)に回転プーリ体(140)を固定する。他の実施形態では、回転プーリ体(140)および雄回転ヒンジ体は、1つのピースになるように作られる。
【0103】
加えて、いくつかの実施形態では、回転プーリ体(140)の遠位端は終端ノット空洞(167)(
図13B)を備える。リストアセンブリ(100)の作動を妨げないように、終端ノット空洞(167)は、終端ケーブルのノットがその中に位置するのを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、回転ケーブル(図示せず)は、回転プーリ体(140)の外面上にあるケーブル入口穴(165)を通って配索される。これらの実施形態において、回転ケーブルは、リストアセンブリ(100)に回転作動を提供するために利用される。いくつかの実施形態において、ロール軸(192)周りのリストアセンブリ(100)の回転をもたらすために、2本の回転ケーブルが利用される。これらの実施形態において、1本の回転ケーブルを利用して、ロール軸(192)周りのリストアセンブリ(100)の一方向の回転をもたらし、第2の回転ケーブルを利用して、ロール軸(192)周りのリストアセンブリ(100)の反対方向の回転をもたらす。いくつかの実施形態において、回転ケーブルは、上記本体の左側の回転体(140)の近位端の外面上のケーブル入口穴(165)へと入り、回転プーリ体(140)の左側上の終端部位(166)で終端し、第2の回転ケーブルは、上記本体の右側の回転プーリ体(140)の遠位端の外面上のケーブル入口穴(165)に入り、回転プーリ体(140)の右側上にある終端ノット空洞(167)で終端する。上に詳述される終端技術を用いて回転ケーブルを終端する。
【0104】
いくつかの実施形態において、回転プーリ体(140)の近位端の内面は、磁石シート(164)を備え、磁石がそれに沿って位置し、静止することを可能にするように構成される(
図13A)。上に詳述されるように、いくつかの実施形態では、回転プーリ体(140)の外面は、回転ベアリングレース(163)を備え、それは、複数のボールベアリングセット(109)の1つが前記ベアリングレース内に位置し、それに沿って載ることができるように構成される。これらの実施形態において、回転ベアリングレース(163)内に位置するボールベアリングセット(109)は、雌回転体(141)の遠位端の内面上にある雌回転ベアリングレース(172)内に位置し、それに沿って載る(
図14C)。これらの実施形態において、回転プーリ体(140)は、雌回転体(141)の遠位端内に部分的に位置し、回転ベアリングレース(163)はボールベアリングセット(109)のための内レースとして機能するように構成され、雌回転ベアリングレース(172)は前記ボールベアリングセットのための外レースとして機能するように構成され、回転プーリ体(140)と雌回転体(141)との間の連結をもたらす。これらの実施形態において、回転ベアリングレース(163)(
図13A)および雌ベアリングレース(172)(
図14C)の両方は、リストアセンブリ(100)がロール軸(192)の周りを回転する際に、軸方向および非軸方向の荷重および/または力を支持するために作られ、ならびに構成され、それにより、上記本体の両方が雌部回転体(141)に対して回転できるように、回転プーリ体(140)および雄回転ヒンジ体(139)を拘束する。
【0105】
図14A-14Dは、雌回転体(141)の例示的な実施形態の複数の図を示す。上述のように、いくつかの実施形態では、雌回転体(141)は遠位端および近位端を備えるように作られ、その両端は外面ならびに内面を備える。上に詳述されるように、いくつかの実施形態では、雌回転体(141)の遠位端の内面は、雌回転ベアリングレース(172)を備える。加えて、いくつかの実施形態では、雌回転体(141)は、上に詳述されたベアリングレースの近位に位置するもう1つの雌回転ベアリングレースを備える(
図14B)。本実施形態において、ラジアルベアリング(図示せず)は、雌回転ベアリングレース(172)内に、および雄ヒンジ式回転体(139)の最近位端に位置する。
【0106】
さらに、いくつかの実施形態では、雌回転体(141)の遠位端は、複数のセンサーポケット(169)を備え、前記センサーポケットは、雌回転体(141)(
図14C)の内面に突出する。複数のセンサーポケット(169)は、上に詳述される雌ヒンジ体(134)のセンサーポケット(153)と同様に、ロール軸(192)の周りのリストアセンブリ(100)の位置および/または配向を決定するためのセンサーを収容するように構成される。これらの実施形態において、ピッチ軸(188)の顎部アセンブリ(101)の位置および/または配向の決定のために上に詳述したのと同様の方法で、磁石を用いてリストアセンブリ(100)の位置および/または配向を測定する。
【0107】
図14Dに示されるように、いくつかの実施形態では、雌回転体(141)の遠位端の外面上に位置するのは、輪郭形成ケーブル経路(173)である。いくつかの実施形態において、雌回転体(141)は2つの輪郭形成ケーブル経路(173)を備え、1つの輪郭形成ケーブル経路が前記雌回転体の遠位端の両側にある。これらの実施形態において、輪郭形成ケーブル経路(173)は、雌回転体(141)から回転プーリ体(141)に回転ケーブルを配索するように構成される。いくつかの実施形態において、2本の回転ケーブルがロール軸(192)周りのリストアセンブリ(100)の回転をもたらすために利用され、1本の回転ケーブルはロール軸(192)周りの一方向の回転をもたらすために使用され、もう1本の回転ケーブルはロール軸(192)周りの反対方向の回転をもたらすために使用される。
【0108】
上記のように、雌回転体(141)は近位端を有するように構成される。これらの実施形態において、近位端は、雌回転体(141)の遠位端から突出する複数の接続ボス(171)を備える。接続ボス(171)は、ロボットアームの残り部分にリストアセンブリ(100)を嵌合するように構成される。
図14Aに見られるように、いくつかの実施形態では、接続ボス(171)は複数の接続開口部(170)を備え、それは、ロボットアームの近位構造あるいはアクチュエーターにリストアセンブリを嵌合するように構成される。いくつかの実施形態において、ねじ接続は上記嵌合をもたらすために用いられるが、他の実施形態では、限定されないが、タップ接続、接着接合、溶接接続、および/または他のあらゆる方法または当該技術分野で既知の方法あるいは組み合わせを含む、固定および/または接続の様々な代替方法が利用される。
【0109】
図26A-26Cは、他のリストアセンブリ(400)の例示的な実施形態を示す。これらの実施形態において、アセンブリのベアリングレースおよびボールベアリングセットは排除され、プレーンベアリングセットアップは、顎部の軸周りの第1および第2の顎部の回転、ならびに、ピッチ軸周りの顎部アセンブリの回転を促進するために利用される。
図26Cは、リストアセンブリ(400)の例示的な実施形態の分解立体図を示す。上に詳述される実施形態と同様に、リストアセンブリ(400)は、顎部アセンブリ(401)(
図31)およびヒンジ回転アセンブリ(
図28A-28B)を有するように作られる。
【0110】
図30Aは、顎部アセンブリ(401)の例示的な実施形態を示す。
図30Bに示されるように、いくつかの実施形態では、顎部アセンブリ(401)は第1の顎部(403)、第2の顎部(404)、2つの本体(ヒンジ湾曲体(407)およびヒンジ非湾曲体(408))、4つの従動プーリ(437)、他の構成要素中の顎部ベアリングシャフト(410)、ならびにヒンジプーリシャフト(409)を備える。
【0111】
図31A-31Dは、第1の顎部(403)の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態において、第1の顎部(403)および第2の顎部(404)は対称的である。これらの実施形態において、第1の顎部および第2の顎部は両方とも、顎部の遠位端に動作セグメント(483)、ならびに、顎部の近位端に作動セグメント(またはハブ)(484)を備える。限定されないが、上に詳述される構成を含む、異なる実施形態において様々なタイプの表面を有するように構成されるという点で、第1の顎部および第2の顎部の動作セグメントは、第1の顎部の他の実施形態の動作セグメントに類似している。上述のように、いくつかの実施形態では、第1および第2の顎部の遠位端は、作動セグメント(484)を有するように構成される。これらの実施形態において、作動セグメントは、円筒形状であり、顎部ベアリングシャフト(410)が通過するための開口部を備える。これらの実施形態において、第1および第2の顎部は、顎部ベアリングシャフト(410)周りを回転し、それはプレーンベアリングとして構成される。顎部シャフトは、第1および第2の顎部を嵌合し、ならびに、顎部の軸を規定する。加えて、顎部シャフトはまた、ヒンジ湾曲体(407)およびヒンジ非湾曲体(408)を嵌合する。
【0112】
いくつかの実施形態において、第1および第2の顎部の両方の作動ハブの周囲上にあるのは、ケーブル管路(411)であり、これは、2本のケーブルを作動セグメント上の終端部位(405a)および(405b)に配索するように構成される。いくつかの実施形態において、ケーブル(482)および(491)は配索されて第1の顎部上で終端し、ケーブル(485)および(481)は、配索されて第2の顎部上で終端する。他の実施形態では、ケーブル(482)および(491)は配索されて第2の顎部上で終端し、およびケーブル(485)および(491)は配索されて第1の顎部上で終端する。それぞれのケーブルは、各々の作動セグメントの管路を介して配索され、ここで、第1のケーブル経路(420a)に入って通過し、その後、第2のケーブル経路(420b)を通って出て、前記ケーブルがその終端部位に配索される。これらの実施形態において、第1および第2の顎部の作動セグメントは、4つのケーブル経路(420a)、(420b)、(420c)、(420d)を有するように作られ、そのうちの2つは、作動セグメント上で終端する2本のケーブルの各々のためのものである。いくつかの実施形態において、ケーブルは、止めねじを介して、それぞれのケーブルをその終端部位でしっかりと締めることによって終端する。あるいは、いくつかの実施形態では、当該技術分野で既知の他の適切な手段または技術が用いられる。例えば、ポリマーファイバーケーブルは、ケーブルにおいて作られたノットを介して終端することができ、金属繊維ケーブルは、クリンプ接続またはスエージ接続によって終端することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では加えて、第1および第2の顎部の作動セグメントの両方は、磁石(421)が入ることができるように構成される磁石スロット(452)を備える。全体にわたって詳述されるように、軸周りでリストアセンブリを作動させる際に、前記リストアセンブリの構成要素の位置および配向データを得るために磁石が利用される。これらの実施形態において、第1および第2の顎部の磁石スロット(452)内に位置する磁石(421)は、前記顎部が顎部の軸の周りで回転する際に、第1および第2の顎部の位置および配向を得るために利用される。これらの実施形態において、磁石スロットは、顎部シャフトが通過することができるように貫通穴を有するように構成される。加えて、磁石スロット内に位置する磁石(421)はまた、顎部シャフトが通過することを可能にする貫通穴を有するように作られ、顎部シャフトの一方の端部はヒンジ湾曲体と嵌合し、顎部シャフトの他方の端部はヒンジ非湾曲体と嵌合する。
【0114】
上記のように、いくつかの実施形態では、顎部アセンブリ(401)は4つの従動プーリ(437)を含む。これらの実施形態では、従動プーリ(437)の各々は、それぞれの各ケーブルが終端する顎部のケーブル配索管路(411)に個々のケーブルを配索して方向づけるために利用される(
図31C-31D)。従動プーリ(437)は、通過する際に通るプレーンベアリングとして構成されたヒンジプーリシャフト(409)のための開口部を含有する。これらの実施形態では、従動プーリは、ピッチ軸を規定するヒンジプーリシャフトの周りを回転し、それにより、顎部アセンブリが上記ピッチ軸の周りを回転することを可能にする。加えて、ヒンジプーリシャフトは、顎部アセンブリとヒンジ回転アセンブリとの間の嵌合部として働く。
【0115】
加えて、顎部(アセンブリ401)はヒンジ湾曲体(407)とヒンジ非湾曲体(408)を含んでいる。これらの実施形態では、上に詳述された実施形態に似て、ヒンジ湾曲体(407)とヒンジ非湾曲体(408)は、顎部アセンブリの他のコンポーネントに沿って、第1と第2の顎部のためのハウジングとして機能する。同様に、これらの実施形態では、ヒンジ湾曲体とヒンジ非湾曲体は、遠位端と近位端を有するように構築され、上記遠位端と近位端は両方とも内面と外面を有する。さらに、ヒンジ湾曲体とヒンジ非湾曲体は、その間にある接続部がシームレスのなるようにほぼ同じ構造を有するように作られ、湾曲体と非湾曲体の両方の外部プロフィールは互いに同一平面にある。
図32A-32Bは、ヒンジ湾曲体(407)の例示的な実施形態を示す。ヒンジ湾曲体の近位端は、顎部アセンブリをヒンジ回転アセンブリと連結および嵌合させるように利用され、ピッチ軸も規定する。
【0116】
図32A-32Bで示される実施形態で見られるように、ヒンジ湾曲体の近位端の外側には、電気通信コンポーネントが入る湾曲ポケット(426)が位置している。加えて、湾曲ポケット(426)はプーリシャフトが通過する貫通穴を有するように構成される。ヒンジ湾曲体はさらに、ヒンジ湾曲体をヒンジ非湾曲体に接続するためのロックピン接続部(406)を有するように構成される。これらの実施形態では、ロックピンの1つの端部は、ヒンジ湾曲体上の接続スロットに入り、ロックピンのもう1つの端部はヒンジ非湾曲体状上の接続スロットに入り、こうして、ヒンジ湾曲体とヒンジ非湾曲体を嵌合させる。同様に、第2のロックピン接続部がヒンジ非湾曲体上で見られ、2つのロックピン接続部(406)は、ヒンジ湾曲体をヒンジ非湾曲体と嵌合させるだけでなく、ピッチ軸の周りの顎部アセンブリの回転を抑制する。加えて、ヒンジ湾曲体の近位端は、顎部アセンブリがその許容可能な可動域を超えて回転することのないように、ピッチ軸の周りの顎部アセンブリの回転を抑制するために、顎部ハードストップ面(487)を有するように構成される。
【0117】
上に言及されるように、ヒンジ湾曲体は内部と外面を有する遠位端をもつように作られる。1つの実施形態では、ヒンジ湾曲体の遠位端の内面は、円筒形状の作動セグメントポケット(422)を有するように作られ、第1の顎部の作動セグメントは上記ポケット内に収まるようになっている。作動セグメントポケット(422)は、作動セグメントのケーブル管路にケーブルをガイドするのを助けるためのケーブル配索面(423)を有するとともに、顎部ベアリングシャフトが通過する貫通穴を有するように作られているため、プレーンベアリングを効果的に作動させることができる。ヒンジ湾曲体の遠位端の外面には、追加の電気通信コンポーネントと、第1の顎部の位置と配向を得るためのセンサーとが入る第2の湾曲ポケットがある。いくつかの実施形態では、2つのセンサーが湾曲ポケット内で見られ、他の実施形態では、4つのセンサーが湾曲ポケット内で見られる。
【0118】
図33A-33Bは、ヒンジ非湾曲体(408)の例示的な実施形態を示す。これらの実施形態では、ヒンジ非湾曲体は、近位端と遠位端を有するように作られ、両端とも内面と外面を有する。
図33Bで描かれているように、ヒンジ非湾曲体の遠位端の内面は、円筒形状の作動セグメントポケット(422)を有するように作られ、第2の顎部の作動セグメントは上記ポケット内に収まるようになっている。作動セグメントポケットは、作動セグメントのケーブル配索管路にケーブルをガイドするためにケーブル配索面(423)を有するように作られる。加えて、作動セグメントポケット(422)は、顎部ベアリングシャフトが通過する貫通穴を有するように作られているため、プレーンベアリングを効果的に作動させることができる。ヒンジ非湾曲体の遠位端の外面には、電気通信コンポーネントと、第2の顎部の位置と配向を得るためのセンサーとが入る第2の湾曲ポケットがある。いくつかの実施形態では、2つのセンサーが湾曲ポケット内で見られ、他の実施形態では、4つのセンサーが湾曲ポケット(426)内で見られる。これらの実施形態では、ヒンジ非湾曲体の近位端は、顎部がその許容可能な可動域を顎部の軸の周りで作動することを防ぐために、顎部の軸ハードストップ(487)を含む。さらに、近位端はヒンジ湾曲体について上で詳述されたものと同一のロックピン接続部(406)を含む。さらに、ヒンジ非湾曲体の近位端の外面は、ピッチハードストップ(488)を含み、これは、顎部アセンブリ(401)がその許容可能な可動域を超えてピッチ軸の周りで作動することを防ぐように構成される。
【0119】
上述のように、リストアセンブリはさらにヒンジ回転アセンブリ(402)を含む。
図27A-27Bは、ヒンジ回転アセンブリ(402)の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ヒンジ回転アセンブリ(402)は、ヒンジカバー(434)、ヒンジ回転体(439)、および回転プーリ体(440)を有するように作られる。これらの実施形態では、ヒンジ回転体(439)は、上で詳述された雄ヒンジ回転体(13)と同じ機能を行う。
図28A-28Bは、ヒンジ回転体(439)の例示的な実施形態を示す。これらの実施形態では、上に詳述された雄ヒンジ回転体に似て、ヒンジ回転体(439)は、内面と外面と同様に、遠位端と近位端を有する。
図28Aで見られるように、いくつかの実施形態において、ヒンジ回転体の遠位端の内部には、磁石(490)(
図26C)が入る磁石ポケット(453)がある。これらの実施形態では、ヒンジ回転体の磁石ポケット(453)に置かれる磁石(490)は、顎部アセンブリがピッチ軸の周りを回転する際に、顎部アセンブリの位置と配向のデータを得るために利用される。これらの実施形態では、磁石ポケットは、ヒンジプーリシャフトが入る貫通穴を有するように構成されているため、プレーンベアリングを形成する。加えて、これらの実施形態において、ヒンジ回転体の遠位端の内部には貫通穴(449)が位置し、これらはすべて、ねじが入るように構成され、したがって、ヒンジカバー(434)をヒンジ回転体(439)に嵌合および連結させるように構成される。いくつかの実施形態では、遠位端の内部は、顎部アセンブリ上のそれぞれの位置へケーブルをガイドするための湾曲した表面を有するように作られる。いくつかの実施形態では、ヒンジ回転体の遠位端の外面には、電気通信コンポーネントが入る湾曲ポケット(426)が位置している。
【0120】
これらの実施形態では、ヒンジ回転体の近位端は、雄ヒンジ回転体について上で詳述されたものに似ているケーブル管路(442)を有するように構成される。上に詳述されるように、リストアセンブリがロール軸の周りを回転する際に、ケーブルが互いにもつれることのないように、ケーブル管路(442)は顎部アセンブリへケーブルを配索するように利用される。
図28Aで見られるように、いくつかの実施形態において、ケーブル管路(442)の内面には、湾曲ガイド面(445)が位置している。これらの実施形態では、湾曲ガイド面(445)は、電気通信コンポーネントがリストアセンブリの作動中に破損されることのないよう表面に対して水平に位置するように、水平に構成される。これらの実施形態では、電気通信コンポーネントは、ヒンジ回転体の遠位端の外部に位置する湾曲ポケットに対してフレックスガイド表面上で配索される。その後、電気通信コンポーネントはヒンジ回転体の内面に配索され、それはヒンジカバー(434)に配索される。
図29A-29Cは、ヒンジカバー(434)の例示的な実施形態を示す。ヒンジカバーは、ヒンジ回転アセンブリのコンポーネントのためのハウジングとして働き、同様に、ヒンジ回転アセンブリから顎部アセンブリまで電子通信コンポーネントを配索するために使用されるという点で、上に詳述された雌ヒンジ体(134)と類似している。
図29B-29Cで示されるように、ヒンジカバーの内部には、電気通信コンポーネントが顎部アセンブリに配索されるためのポケットを作成する配索突起部(455)がある。加えて、いくつかの実施形態では、ヒンジカバー(434)の内面は、ヒンジ回転体からのネジが入る接続開口部(444)を含み、それによって、ヒンジカバーをヒンジ回転体に連結する。加えて、ヒンジカバーの遠位端には、ヒンジプーリシャフトが入る貫通穴がある。
【0121】
上に言及されるように、ヒンジ回転アセンブリ(402)は回転プーリ体(440)も含む。これらの実施形態では、回転プーリ体(440)は上に詳述された回転プーリ体(140)と同一である。回転プーリ体(140)でのように、回転プーリ体(440)は、ロール軸の周りでのリストアセンブリの回転を与えるために利用される。
【0122】
リストアセンブリの作動、制御、および感知
以前に述べられたように、特定の実施形態では、リストアセンブリは、参照により本明細書に全体として組み込まれている国際特許出願PCT/US2015/029247(国際公開第WO2015171614A1として公開)で開示されたVirtual Reality Surgical Deviceとともに組み込まれて利用されるように製作および設計されている。これらの実施形態では、リストアセンブリは、国際特許出願第PCT/US2015/029247開示されたロボットデバイスを制御するユーザー(典型的には外科医)の動作に基づいて作動される。これらの実施形態では、外科医あるいはユーザーの腕の動きは、センサートラッキングシステムによって追跡される。1つの実施形態では、多くのセンサーが外科医の腕に取り付けられる。1つの実施形態では、利用されたセンサーはMPU-6050センサーであり、これは、センサーの配向を計算するために、MEMSジャイロスコープ、加速度計、およびデジタルモーションプロセッサーを含んでいる。いくつかの実施形態では、センサーは、ユーザーの右と左の人差し指、あるいは他の指、手の甲(hand dorsum)、および前腕に取り付けられる。さらなる実施形態では、追加のセンサーがユーザーの肘上の、上腕を含む異なる位置のユーザー/外科医の腕に取り付けられ、その一方で、他の実施形態では、センサーは、限定されないが、ユーザーの胸、胴体、あるいは頭を含む、ユーザーの身体に置かれる。いくつかの実施形態では、センサー筐体は、マイクロコントローラ、バッテリー、およびブルートゥース(登録商標)モジュールを含む。ユーザーの腕の遠位のセンサーからの位置と配向のデータは、ワイヤーに沿って12Cプロトコルを使用して集められ、コンピューターに送信される。ユーザーの腕に取り付けられたセンサーからのデータによって、コンピューターは、ユーザーの腕の各部分の位置と配向を計算することができる。他の実施形態において、それぞれの加速度計、ジャイロスコープ、およびモーションプロセッサーユニットを備える、MEMES磁力計の追加。MPU-9250などのMEMSチップは、単一のパッケージで上記のすべてを提供する。磁針路(magnetic heading)が垂直軸の周りでのセンサーのドリフトを減らすことを可能にすることから、磁力計の追加は当該分野では標準的な実践である。代替的な実施形態では、センサーは、外科医によって着用される手袋、手術着、あるいは手術衣などの外科的材料に置かれる。これらのセンサーは再使用可能なこともあれば、使い捨てであることもある。
【0123】
上で示唆されるように、追加の実施形態では、追加のセンサーは外科医の腕および身体の位置を追跡するために使用される。これらの実施形態では、Xbox Kinect(登録商標)のセンサーに似ているセンサーは、ユーザーの腕の絶対的な位置のトラッキングと、互いに対する腕の位置のトラッキングを可能にする。いくつかの実施形態では、これらの追加のセンサーは外科医の身体で着用され、その一方で他の実施形態では、センサーは部屋の固定された位置に配置される。
【0124】
またさらなる実施形態では、センサーはユーザーによって保持されたハンドコントローラーで見られる。これらの実施形態では、センサーは、ユーザーの手の動きでロボットデバイスを制御するために使用される。これらの実施形態では、センサートラッキングシステムは、センサーからのデータを、モニタリングし、記録し、および、制御ループを含むコンピューターに送信し、上記制御ループは、リストアセンブリを含むロボットデバイスを制御するアクチュエーターを駆動する。1つの実施形態において、磁気トラッキングは、ユーザーの位置と配向のデータを得るために使用される。いくつかの実施形態において、Polhemus(登録商標)および/またはNorthern Digital Inc.(登録商標)などの会社からの既知の磁気トラッキングおよびセンサーシステムが利用されており、その一方で、他の実施形態において、市販されている、および、当該分野で知られている他の既知の磁気トラッキングおよびセンサーが使用される。加えて、いくつかの実施形態では、前述の磁気トラッキングおよびセンサーシステムは、ユーザーの腕および身体を追跡するために利用される。
【0125】
1つの実施形態では、磁気トランスミッターまたはソースは手術室内にあり、電磁双極子場を送信する基底基準(ground reference)として作用する。磁気トランスミッターは、磁界を生成してセンサーからの位置と配向のデータを計算する電子制御装置に接続される。ユーザーはセンサーを着用しており、胸または頭などのユーザーの身体の任意の部分に置かれ得る。ユーザーによって着用されたセンサーは、トランスミッターから電子磁界を受け取り、電子制御装置へ電流を送り、トランスミッターに対するセンサーの位置と配向に関するデータを提供する。その後、電子制御装置から得られた生の位置と配向のデータは、電子制御装置に接続された中央のコンピューターに送信され、そこで、データはユーザーの身体の位置と配向を計算するソフトウェアによって処理される。加えて、ハンドコントローラーに位置するセンサーはさらに、電子制御装置に動作可能に連結され、上記センサーはトランスミッターから電磁場を受け取り、センサーから電子制御装置へ電流を送り、トランスミッターに対してコントローラーの位置と配向に関するデータを提供する。コントローラーのセンサーからのデータは、ユーザーによって着用されたセンサーについて上に記述された同じプロセスを経る。ユーザーによって着用されたセンサーからのデータとコントローラーのセンサーからのデータによって、中央のコンピューターは、ユーザーの身体に関してコントローラーの位置と配向を推測することができ、ゆえに、ユーザーの手の位置と配向を与える。コンピューターによって推測された位置と配向のデータは、ロボットアームのアクチュエーターを駆動する制御ループに送られ、ユーザーが自分の腕を動かす際に、ロボットアームはその動きに従ってそれを模倣して、ユーザーがロボットアームを制御および操作することができるようにする。
【0126】
さらに他の実施形態では、ユーザーの腕と身体および/またはコントローラーは、光トラッキングシステムを利用して追跡される。いくつかの実施形態では、多くのカメラが様々な位置で手術室/劇場に戦略的に置かれ、その一方で、他の実施形態では、1つのカメラが使用される。カメラの各々は、レンズの前の赤外線(IR)パスフィルタと、IR光で測定空間を規則的に照らすレンズのまわりの複数とIR LEDを含む。コントローラーおよび/またはユーザーの腕および身体には、入って来るIR光をカメラに反射し戻す逆反射マーカーが置かれる。カメラは、マーカーからのIR反射を検知し、光トラッキングシステムによって内部で処理される。これらの実施形態では、アウトサイドインのトラッキング(outside-in tracking)は、ユーザーとコントローラーの位置と配向を決定するために使用される。光トラッキングシステムは、画像座標中のマーカーの2次元の位置を決定し、複数のカメラを利用することによって、各マーカーの3次元位置を導き出すことができる。3次元の位置は、測定空間で1つのマーカーを使用して測定可能である。加えて、コントローラーおよび/またはユーザーの腕と身体の配向は、複数のカメラを利用することによって、および、複数の物体を同時に追跡することを可能にすることによって、測定され得る。これを達成するために、多くのカメラが手術室の周囲に配置され、多くのマーカーが、他のアイテムの中でもコントローラー、ユーザーの腕と身体などの追跡される各物体に配置される。他の実施形態では、インサイドアウトのトラッキングが使用され、逆反射マーカーあるいは灯標(lighthouse)が手術室および/または、手術室で見られる機器を含む他の物体の周囲の静止した位置に配置される。これらの実施形態では、カメラはユーザーの腕と身体および/またはハンドコントローラーに取り付けられ、上記カメラはIR光を放ち、逆反射マーカーはユーザーの腕と身体および/またはハンドコントローラーに位置するカメラに光を反射し戻し、こうして、ユーザーの腕の位置と配向を導き出すために使用することができる位置と配向の座標を提供する。
【0127】
代替的な実施形態では、限定されないが、音響トラッキングおよびマーカーのない光トラッキングを含む、位置および配向トラッキングの他の手段と方法が企図される。さらに、いくつかの実施形態では、上記の詳細なトラッキングシステムおよび方法の組み合わせは、ユーザーの身体と腕と同様に、ハンドコントローラーの位置と配向を得るために使用される。これらの実施形態では、センサーフュージョンは、各種データは様々なセンサーとトラッキングシステムから得られ、上記データは、正確な位置と配向の情報を算出するために、個々のセンサーのいずれかのいかなる血管も修正するためにコンピューター上のソフトウェアによって処理される。
【0128】
上で詳述されるように、リストアセンブリは、リストアセンブリが連結されるロボットデバイスを駆動させるユーザーの手首の動作と運動に従うように作られる。リストアセンブリの様々な実施形態において、リストアセンブリを作動させるために様々な制御方法およびシステムが使用される。これは、異なるコンポーネントを有するリストアセンブリと異なるように配索されるケーブルの様々な実施形態によるものである。
【0129】
ユーザーの腕、身体、および/またはコントローラーを追跡する性能によって、コンピューター内の制御ループは、リストアセンブリを含むロボットデバイスを制御するアクチュエーターを駆動する。これらの実施形態では、ユーザーの手首の平行移動は、リストアセンブリが人間の手首および/またはユーザーによって保持されたコントローラーの位置に従うように、スケールダウンされる。手首の移動は、ユーザーの手首とリストアセンブリとの間のサイズの差によってスケールダウンされる。加えて、例えば、ユーザーが手首を90度回転させるときに、リストアセンブリは適切な軸の周りで90度を回転するように、リストアセンブリは、作動中にユーザーの手首の配向に従うように構成される。リストアセンブリの制御スキームがさらに以下に詳述される。
【0130】
リストアセンブリは4自由度(DOF)を有する集合体を外科医に提供するように構成され、それにより、外科医は人間の腕の手首運動をエミュレートすることができる。さらに、上で詳述されるように、いくつかの実施形態では、リストアセンブリはケーブル駆動である。いくつかの実施形態において、3DOFを得るために4つのケーブルが利用され、4DOFを得るために追加の2つのケーブルが利用される。代替的な実施形態では、2DOFを得るために3つのケーブルが利用され、残りの2DOFは2つのケーブル各々によって制御される。
【0131】
いくつかの実施形態において、3DOFは、4つのケーブルの長さを調節することによって、特定のケーブルを引き込み、そのケーブルの長さを減らすか、特定のケーブルを引き出し、そのケーブルの長さを増やすことによって得られる。特定のケーブルを引き込み、あるいは、引き出すことは、所望の動きに依存して、他のケーブルの1以上で引き込まれたあるいは引き出された量を補正し、相殺し、および/または平衡させる。さらに以下に詳述されるように、様々な制御方法が様々な実施形態で使用される。
【0132】
上記のように、1つの実施形態において、リストアセンブリ(100)の回転および/または作動は、ケーブル(181、182、185、および191)の各々を引き込むこと、および、引き出すことによって達成される。前述のケーブルの引き込みおよび/または引き出し、ゆえに、ケーブルの長さの変化あるいは未変化は、顎部の軸(189)の周りの第1の顎部(103)および第2の顎部(104)の回転と、ピッチ軸(188)の周りの顎部アセンブリ(101)の回転を制御する。
【0133】
上記のように、リストアセンブリ(100)は、2つの独立して動く顎部の形態で2DOF、つまり、軸の周りでピッチングする顎部アセンブリの形態の1DOFと、軸の周りで回転するアセンブリの形態のさらなるDOFとを提供するように、構成される。加えて、第1と第2の顎部が互いに独立して動くように構成されているため、リストアセンブリ(100)は、所望の量まで増加および/または減少可能な把持力をかけることができる顎部を提供し、そうすることで、外科医は繊細な作業だけでなく骨の折れる作業をこなすことができる。さらに、第1と第2の顎部が互いに独立して動くように構成されているため、上記顎部は同時に同じ方向に作動可能であり、上記作動により顎部のヨー回転が達成される。
【0134】
図19A-19Dは、リストアセンブリ(100)の例示的な実施形態についての複数の図を示し、リストアセンブリ(100)を介するケーブル(181、182、185、および191)の配索を強調している。
図19Aは、雌ヒンジ体またはヒンジカバー134のケーブル配索スロットを通るケーブル(181)の配索を強調している、例示的なリストアセンブリ(100)の平面プロフィール図を示す。
図19Bは、ケーブル(182)とケーブル(191)の配索を強調するために、雌ヒンジ体を取り除いた、リストアセンブリ(100)の切断図を示す。
図19Bで見られるように、ケーブル(182と191)は、雄回転ヒンジ体あるいはヒンジ回転体(139)の内側表面を介して配索される。
図19Cは、雄回転ヒンジ体または回転体(139)のケーブル配索スロットを通るケーブル(185)の配索を強調している、リストアセンブリ(100)のさらなる平面プロフィール図を示す。
図19Dは、ケーブル(182)と(191)の配索を強調するために、雄回転ヒンジ体を取り除いた、リストアセンブリ(100)の切断図を示す。
【0135】
いくつかの実施形態において、第2の顎部(104)は、第1と第2の方向に顎部の軸(189)(
図18)の周りを回転するように構成され、上記回転は第1の顎部(103)から独立している。これらの実施形態では、第2の顎部(104)は、第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成され、上記位置は、限定されないが、開位置と閉位置を含む。一実施形態では、第2の顎部(104)は第1の方向に作動され、上記方法は、限定されないが、第1の顎部(103)へ向かう第2の顎部(104)の回転を含む。
図21Bは、一実施形態にしたがって第2の顎部(104)にケーブルがどのように配索されるのかを強調して、例示的なケーブル配索図である。上に詳述されるように、および、
図19Bで図示されるように、一実施形態では、ケーブル(181)は、ヒンジ回転アセンブリと顎部アセンブリを介して、ケーブル(181)が終端する第2の顎部(104)に位置するケーブル終端部位(105a)へと配索される。第1の方向に第2の顎部(104)を作動させるために、ケーブル(181)は、アクチュエーターによって引き込められ、第2の顎部(104)を第1の方向に顎部の軸(189)の周りに回転させる。第2の顎部(104)が回転し始めるにつれ、ケーブル(182)の緩みが引き出され、それにより、ケーブル(182)の操作長さが増大する。ケーブルの操作長さは、ケーブル(182)の経路によって画定されるような、接続ピン(122a)と第2の顎部(104)との間の距離である。ケーブル(182)の操作長さの増加および/または減少は、他の顎部に対する第1および第2の方向のいずれかへのある顎部の移動を生じさせる。第2の顎部(104)の作動ハブ(180)のベアリングレース(116a)に位置し、かつ、ヒンジ湾曲体(107)のベアリングレース(127)上にもあるボールベアリングセット(109)は、第2の顎部(104)が顎部の軸(189)の周りを回転することを可能にする。ケーブル(181)が第2の顎部(104)に位置する終端部位(105a)で終端するため、アクチュエーターによるケーブル(181)の引き込みは、第2の顎部(104)に伝達され、その結果、前記顎部は顎部の軸(189)の周りに第1の方向に回転することになる。上記のシナリオにおいて、第1の顎部(103)の位置を固定することが望ましい場合、第1の顎部(103)が移動するのを防ぐために、ケーブル(185と191)の長さは一定に保たれる。しかしながら、他のシナリオでは、ケーブル(185と191)の長さは長くされるか短くされ、そうすることで、第1の顎部(103)を第1または第2の方向に回転させ、その間、第2の顎部(104)も回転する。
【0136】
上記のように、第2の顎部(104)は、同様に第2の方向に作動するように構成され、第2の方向は第1の方向の反対側である。第2の方向に第2の顎部(104)を作動させるために、ケーブル(182)は引き込まれ、その結果、ケーブル(182)の操作長さは減少する。
図21Cで見られるように、ケーブル(182)は接続ピン(122a)の周りに配索され、第2の顎部(104)で終端する。このシナリオでは、ケーブル(182)が引き込まれると、上記ケーブルの操作長さは減少し、したがって、第2の顎部(104)は、接続ピン(122a)に対して、ゆえに、第1の顎部(103)に対して第2の方向に回転する。ケーブル(182)が引き込まれると、ケーブル(181)からの緩みが解放され、それにより、第2の顎部(104)は接続ピン(122a)に対して、したがって第1の顎部(103)に対して、第2の方向に回転することができる。さらに、ケーブル(191)の長さは、ピッチ軸(188)の周りのいかなる望ましくない動きも防ぐために一定に保持される。加えて、ケーブル(185)の長さは、第1の顎部(103)を固定された位置に抑制するために一定に保持され、それにより、第2の顎部(104)は第1の顎部(103)とは無関係に第2の方向に動くことができる。
【0137】
同様に、第1の顎部(103)は、顎部の軸(189)の周りで第1と第2の方向に独立して動くようにも構成される。上記顎部が第1の方角に顎部の軸(189)の周りで回転するように第1の顎部(103)を作動させるために、ケーブル(185)はアクチュエーターによって引き込まれ、その結果、第1の顎部(103)を回転させ始める。第1の顎部(103)が第1の方向に回転し始めると、ケーブル(182)からの緩みが解放され、それにより、ケーブル(182)の操作長さが増大する。ケーブル(182)がリストアセンブリ(100)を通過すると、それは、他のジョイントおよび/またはケーブルのケーブル(182)の動作の適切な分離を可能にするように構成された分離面(195および194)を超えて配索される。さらに、この動作の分離は、ケーブル(182)がリストアセンブリ(100)の残りに対して力を与えることを防ぐ。ケーブル(182)がその周囲におよび/またはその中を通って配索される表面は、上記ケーブルの長さの変化を減少させるように構成されるが、長さの変化を完全には取り除くことはできない。どんな望まれない長さの変化も、センサーおよび制御アルゴリズムによって修正される。第1の顎部(103)の作動ハブ(184)のベアリングレース(116b)だけでなく、ヒンジ非湾曲体(108)のベアリングレース(127)上にもあるボールベアリングセット(109)は、第1の顎部(103)が顎部の軸(189)の周りを回転することを可能にする。ケーブル(185)が第1の顎部(103)に位置する終端部位(105b)で終端するため、アクチュエーターによるケーブル(185)の引き込みは、第1の方向への前記顎部の顎部の軸(189)の周りの回転を引き起こすことになる。第1の顎部(103)を独立して移動させるために、ケーブル(191と181)は一定に保持される。
【0138】
第1の顎部(103)も第2の顎部(104)とは無関係に、第2の方向に顎部の軸(189)の周りを回転するように構成され、上記第2の方向は第1の方向の反対側である。第2の方向に顎部の軸(189)の周りで第1の顎部(103)を回転させるために、ケーブル(182)は、それが連結されているアクチュエーターによって引き込まれる。ケーブル(182)の操作長さは減少し、その結果、第1の顎部(103)は第2の顎部(104)に対して第2の方向に回転する。加えて、第2の方向に第1の顎部(103)を回転させるために、ケーブル(181)は、上記ケーブルの伸長を防ぐべく一定に保持される。ケーブル(181)の伸長を防ぐことにより、第2の顎部(104)が第2の方向に顎部の軸(189)の周りで回転するのを防ぐ。さらに、第1の顎部(103)が第2の方向に顎部の軸(189)の周りで回転すると、緩みがケーブル(185)から解放され、第1の顎部(103)が第2の方向を回転することが可能となり、ケーブル(191)は、ピッチ軸(188)の周りでの顎部アセンブリ(101)のいかなる望ましくない動作も防ぐために一定に保持される。
【0139】
それに相応して、第1と第2の顎部は独立して動くように構成されているため、上記構成は、顎部が第1および/または第2の方向に一緒に顎部の軸(189)の周りを回転するように、同時に作動され得る。この作動は、顎部のヨー動作を有効にする。第1と第2の顎部を顎部の軸(189)周りで回転させつつ、その間、両方の顎部を互いに対して一定の位置に維持するために、ケーブル(182)は一定に保持され、ゆえに、長さには変化がない。ケーブル(182)が一定の長さであるため、ケーブル(181)は引っ張られ、ケーブル(185)からの緩みは同じ量引き出され、ケーブルの長さの変化は、互いに相殺され、したがって、第1の方向に顎部を回転させる。第2の方向に顎部を回転させるために、ケーブル(185)は引き込まれ、ケーブル(181)からの緩みは引き出され、ケーブルの長さの変化は互いに相殺される。例えば、顎部が
図18で示される同じ位置に置かれると、外科医が顎部を第1の方向に顎部の軸(189)の周りで回転させたい場合(上記第1の方向はこのページの上部に向かう顎部の回転である)、ケーブル(181)は引き込まれることになり、ケーブル(181)上で引き込まれた同じ量がケーブル(185)上で引き出されることになる。同様に、上記の例を取ると、外科医が第2の方向に顎部を回転させたい場合(上記第2の方向はこのページの下部に向かう顎部の回転である)、ケーブル(185)は引き込まれることになり、ケーブル(185)上で引き込まれた同じ量がケーブル(181)上で引き出されることになる。
【0140】
さらに、第1と第2の顎部が互いに独立して動くように構成されているため、上記構成により、外科医は顎部で力をかけることができ、上記力は可変であり、したがって、外科医は顎部によって加えられた力の量を制御することができる。顎部によってかけられている力の量を制御する能力によって、外科医は、外科用器具またはツールを把持するのと同様に、組織の操作などの無数の作業を終えることができる。顎部によってかけられている力の量は、ケーブル(181と185)で引き込まれたあるいは引き出された長さ量によって決定される。顎部で力を加えるために、ケーブル(182)の緩みは解放され、ケーブル(182)はピン接続部(122a)のまわりに巻き付けられる。ケーブル(181)は第2の顎部(104)を第1の顎部(103)に近づかせる際に引かれ、その間、ケーブル(185)で同時に引き込まれ、第1の顎部を第2の顎部(104)に近づかせる。第1と第2の顎部が物体を把持している状態では、ケーブル(181)および/または(185)でさらに被極まれることにより、追加の力が顎部によって加えられ得る。同様に、顎部によってかけられている力を減少させるために、ケーブル(181)および/または(185)で緩みが引き出される。
【0141】
上記のように、リストアセンブリ(100)は、顎部アセンブリ(101)を、第1と第2の方向にピッチ軸(188)の周りで回転させるように構成される。ピッチ軸(188)の周りで顎部アセンブリ(101)を回転させるために、ケーブルの組み合わせが引き込まれ、および/または、引き出され、各々のケーブルで引き込まれるおよび/または引き出される量は、異なるケーブルで引き込まれるまたは引き出される量を相殺するために変動する。一実施形態では、第1の方向にピッチ軸(188)周りに顎部アセンブリ(101)を回転させるために、ケーブル(185)とケーブル(181)の長さは一定に保持される。前述のケーブルの長さを一定に保持することで、顎部を一定の位置に維持し、センサーは上記の顎部のあらゆる望ましくない動きを相殺するために使用される。加えて、ケーブル(191)は引き込まれるため、ケーブル(191)の長さを短くする。上に詳述されるように、ケーブル(191)はヒンジ回転アセンブリ(102)を通って配索され、ヒンジ非湾曲体(108)の近位端に位置するケーブル終端部位(131)で終端する。ケーブル(191)の長さの減少は、ケーブル終端部位(131)で、ヒンジ非湾曲体(108)に力を与え、上記力が第1の方向にピッチ軸(188)周りに顎部アセンブリ(101)を回転させる。ケーブル(191)の長さが減少するにつれ、ケーブル(182)の長さは長くなり、従動プーリ(137)のまわりに巻き付く。したがって、ケーブル(191と182)は、外科医の選択時に、顎部アセンブリ(101)を第1の方向にピッチ軸(188)の周りで回転させるように一緒に作用する。第2の方向へのピッチ軸(188)の周りの顎部アセンブリ(101)の回転(第2の方向は第1の方向の反対側である)は、ケーブルの組み合わせで引き込まれ、および/または引き出されることにより達成され、ケーブルでの上記引き込みおよび/または引き出しは、他のケーブルでの引き込みおよび/または引き出しを相殺する。一実施形態では、ケーブル(191)の緩みは解放され、ケーブル(191)の長さが増える。ケーブル(191)の長さが増えると、ケーブル(182)は引っ張られ、ケーブル(182)の長さは短くなる。ケーブル(182)の長さが減ると、従動プーリ(137)から巻き出され、その結果、第2の方向へ顎部アセンブリを回転させる。
【0142】
他の実施形態では、ケーブル(181、182、および185)はヒンジ回転体を通り、追加のケーブルはヒンジ湾曲体で終端する。これらの実施形態では、追加のケーブルは、第1と第2のピッチ方向にピッチ軸の周りの顎部アセンブリの回転を制御するために、ケーブル(191)と協働して機能する。代替的な実施形態では、ケーブル(181、182、および185)は、第1と第2のピッチ方向にピッチ軸の周りの顎部アセンブリの回転を制御するために、ケーブル(191)に対向して使用される。これらの実施形態では、ケーブル(191)に対向して使用されない残りのケーブルは、ジョイント周りの追加のトルクを与えることなくヒンジ回転アセンブリを通過する非対向ケーブルである。これらの実施形態では、第1のピッチ方向は1つの方向のピッチ軸周りの回転であり、第2のピッチ方向は第1の方向の反対方向におけるピッチ軸周りの回転である。
【0143】
上記のように、様々な実施形態では、リストアセンブリは、それが軸の周りを回転する際に上記アセンブリの位置と配向のデータを得るために使用される磁石を備える。これらの実施形態では、磁石は、磁石がその円筒軸の周りを回転する際にその磁場が変化するように、径方向に磁化される。これらの実施形態では、磁場の変化はセンサーによって測定され、上記センサーは、磁場の変化を回転位置データに変換するプロセッサーに、データを送信する。この変換は、磁石とセンサーの物理的な構成についての知識によってなされる。いくつかの実施形態において、複数のセンサーは、径方向に磁化された磁石のまわりで互いに直角に置かれる。径方向に磁化された磁石が磁場を回転させると、それはセンサーに対する変化を生じさせる。磁場の変化はPCBまたはFPCBSなどの電気通信コンポーネントによってコンピューターに送信される。コンピューターは、磁場の変化に関する磁石から得られたデータを取り、それを回転度に変換する。簡易な三角法を使用すると、2つの直角に置かれたセンサーの組み合わせは、センサー間の相対的な強度を比較することによって磁場の方向を決定することができる。この計算により、径方向に磁化された磁石の配向と、さらに言えば、リストアセンブリが軸の周りで作動する際のリストアセンブリの配向が得られる。本実施形態では、追加のセンサーが余剰に置かれるが、絶対配向計算に必要とされるセンサーの総数は、磁石とセンサーの選ばれた構成に依存する。
【0144】
いくつかの実施形態において、磁石は円筒形の磁石として構成され、その一方で、他の実施形態では、馬蹄形磁石、円盤磁石、球体磁石、および/または、当技術分野において知られている他の磁石形状として構成される。様々な実施形態では、限定されないが、ホール効果センサーおよび/または磁気抵抗器を含む、磁場を感知することができる当該技術分野で既知の様々なセンサーが使用可能である。
【0145】
上に詳述されたセンサーは、中央のコンピューターに、位置と配向のデータを連続的に送信し、このコンピューターは、リストアセンブリの任意の望ましくない動作を修正するために、加えられている力、あるいは、ケーブルの位置を調節するべく、リストアセンブリのアクチュエーターにコマンドプロンプトを送る。リストアセンブリの作動制御
【0146】
上記のように、センサーはピッチ軸、顎部の軸、およびロール軸の周りでの作動中にリストアセンブリの配向を決定するために使用される。これらの実施形態では、第1の顎部と第2の顎部はそれぞれ、顎部の軸の周りでの個々の顎部の角度回転を読み取る独立したセンサーを有する。いくつかの実施形態において、第1の顎部のセンサーはヒンジ非湾曲体に位置し、第2の顎部のセンサーはヒンジ湾曲体に位置する。第1と第2の顎部について上に詳述されたセンサーは、本明細書ではリストジョイントの角度と呼ばれる顎部の軸回りでの第1と第2の顎部の平均角度だけでなく、顎部のジョイントの角度と呼ばれる、顎部の軸周りでの第1と第2の顎部の間の角度を決定するために、互いに対して協働して使用される。
【0147】
ジョイントの前述の角度を決定するために、リストアセンブリの各々独立したジョイントのセンサーは、個々の角度をゼロにするために較正され、物理的な動きと感知された動きとの間で一対一のマッピングを保証する。いくつかの実施形態において、各々独立したジョイントはその範囲内で移動し、すでに較正された外部センサーは、センサーが自分の感知した角度を同時に収集する際に、実際のジョイントの角度を記録するために使用される。当該技術分野において既知の標準的な較正手順は、外部センサーによって感知された角度に最良に一致するセンサーを較正するために使用され得る。較正の例としては、他のセンサーの位置に基づく所定のセンサーに対して、一定のオフセット、一定のスケール因子、および可変のオフセットまたはスケール因子を設定することを含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、センサーが独自のセンサー読み取りで全範囲のそのジョイントを感知することができない場合、マルチターンアルゴリズムはジョイントの絶対的な位置の跡を追跡するために使用されてもよく、インクリメンタルエンコーダーがほんのわずかな可能性のあるセンサー読み取りを用いて任意の大きな範囲をどのように追跡することができるかに似ている。任意のマルチターンアルゴリズムあるいは当該技術分野で知られている類似のアルゴリズムがこの目的に使用されてもよい。1つの可能性のあるアルゴリズムの一例がここに記載されており:アルゴリズムのそれぞれの時間-工程では、感知されたジョイントの角度は、あらかじめ測定されたジョイントの角度と比較される。(アルゴリズムの最初の反復について、あらかじめ測定されたジョイント角度は、感知されたジョイント角度に設定される。)これらの2つの角度がセンサー範囲の半分以上で異なる場合、角度のこの大きなジャンプは実際には、センサーの不連続性(例えば、-180度~180度を感知する間には不連続性があり得る)を通過した感知角度の結果であると仮定される。この例では、感知されたジョイント角度は、任意の時間-工程では-175度から+178度に変化し得る。この大きな角度変化が検出されると、アルゴリズムは感知された角度と以前の角度との間の差がセンサー範囲の半分未満となるまで、感知されたジョイント角度からセンサーの全範囲を適切に加算または減算する。(上記の例において、感知されたジョイント角度は178-360=-182度となるように修正され、以前のジョイント角度と新しく計算された感知されたジョイント角度との間の差を-175-(-182)=7度とする。その後、あらかじめ感知されたジョイント角度は、アルゴリズムの次の反復のために新しく計算された感知されたジョイント角度を用いて更新される。いくつかの実施形態において、ローパスフィルターは、センサーノイズあるいは感知された角度の他の迅速な変化がセンサーの不連続性を通過すると誤解されないように、あらかじめ感知されたジョイント角度をフィルタリングするために使用されてもよい。
【0149】
いったんリストアセンブリのジョイントが適切に較正されて、ジョイントの配向の正確な読み取りを提供すると、リストアセンブリは作動する準備ができている。上記のように、顎部とリストアセンブリを作動させるケーブルは、アクチュエーターに動作可能に連結され、アクチュエーターはケーブルを動かして、リストアセンブリを作動させる。様々な実施形態では、限定されないが、サーボモーター、ロータリーアクチュエーター、リニアアクチュエーター、および/またはステッピングモーターを含む、様々なアクチュエーターが使用され得る。
【0150】
上記のように、電気通信コンポーネントは位置と配向のデータをコンピューターに送信するために利用され、コンピューターは上記データを処理して、制御コマンドおよび/またはプロンプトをアクチュエーターに送信し、アクチュエーターは所望のやり方で顎部とリストアセンブリを作動させるために、位置の変化をケーブルに適用する。一実施形態では、アクチュエーターは、顎部関節、リストジョイント、および本明細書ではピッチジョイントとも呼ばれるピッチ軸周りのリストアセンブリの回転を制御するために、様々な量によってケーブルを引くために、位置-制御モードで制御される。代替的な実施形態では、アクチュエーターはアクチュエータートルク、巻線電流、電圧、および/または角速度を使用して制御される。当該技術分野で既知の任意の作動方法が代替的に使用され得る。さらに他の実施形態では、制御モダリティのいくつかの組み合わせも様々なアクチュエーターに使用されてもよい。例えば、アゴニストアクチュエーターは、力制御でケーブルを引っ張ってもよく、同じジョイントのアンタゴニストアクチュエーターは、位置制御でそのケーブルを駆動してもよい。
【0151】
アクチュエーターの位置制御を用いるいくつかの実施形態において、リストアセンブリのケーブルの全動作は、3つのジョイント(リストジョイント、顎部ジョイント、およびピッチジョイント)の各々に対するそれぞれのケーブル動作の重ね合わせである。各々のジョイントのケーブル位置は、ケーブルの正味の所望の位置を決定するために、他のジョイントからケーブルの位置に加えられる。
【0152】
リストアセンブリ(100)の実施形態について、すべてのジョイントですべてのケーブルの一定のモーメントアームを仮定すると、以下の表1中の数は、所定のジョイント角度に所定の量だけ影響を与えるために、適切なアクチュエーターによって強化されるケーブル位置の単位を示している。
【0153】
一実施形態では、表1中の様々な値は、所定のジョイント角度あるいはジョイント角度の変化(ラジアン)を達成するために、適切なアクチュエーターによって引かれるような、各ケーブルに適用される位置または位置の変化を示す。負の値は、所定のケーブルが所定のアクチュエーターによって引き込まれるよりもむしろ、引き出されるはずであることを示している。したがって、表中の値の単位は1ラジアン当たりのミリメートル(mm/rad)である。ロボットの様々な実施形態は、表の値の様々な組み合わせを持っていることもあり、利用される制御モードおよび/またはアセンブリのコンポーネントのサイズに基づいて調節されることがある。
【0154】
【0155】
任意のジョイントを制御するために、限定されないが、PID、リードラグ、LQR、H-無限大、モデル予測、スライディングモード、モデル規範形適応制御、ニューラルネットワークベース制御を含む、標準的なフィードバックおよびフィードフォワード制御技術の任意の組み合わせを利用する標準制御システムが使用される。この制御システムは、ジョイント角度(ヒト入力あるいは他の入力からの)と感知されたジョイント角度の設定値に基づいてエラー信号を生成する。コントローラーは現在の位置から所望の位置に向かってジョイントがどれだけ懸命に駆動しようとするかを表す制御努力を生成する。いくつかの実施形態において、制御努力はジョイント角度の変化として表わされる。いくつかの実施形態において、ロボット状態に関する他の情報は制御システム中で使用されてもよい。その後、この制御努力に上記の表の値を掛けることによって、個々のアクチュエーターによって駆動される所望のケーブル長さあるいはケーブル長さ変化を計算し、したがって、ジョイントは所望の位置に到達する。いくつかの実施形態において、これらの長さ変化は、初期化中に記録される当初のケーブル位置(あるいはアクチュエーター角度)に対して参照される。
【0156】
一例として、第1と第2のそれぞれの顎部が顎部の軸(189)の周りを回転することで、顎部を1ラジアン開くように、第1の顎部および第2の顎部を開くために、ケーブル(182)は5mm引かれ、その一方で、2.5mmの長さのケーブル(185)とケーブル(181)が引き出される。表でケーブルについて「0」が示されている場合、それはケーブルが任意のジョイントについて一定で保持されることを意味する。ケーブル(185と181)は両方とも、ケーブル(182)に対向して作用するため、ケーブル(185と181)は、顎部ジョイントの所定の動作角度について、ケーブル(182)によって取り込まれるケーブルの半分しか引き出す必要はない。ジョイント上のケーブルのモーメントアームが他のモーメントアームと等しくない場合、上記の表中のスケーリングは適切に調節される。一例として、ケーブル(182)のためのモーメントアームがケーブル(185と181)の2倍のモーメントアームであった場合、ケーブル(182)は10mm/ラジアンで引かれることになり、その一方で、ケーブル(181と185)はそれぞれ、依然として2.5mm/ラジアン引き出されることになる。上記の表で示される方向とは反対方向にジョイントを移動させるためには、表に示されている数字の符号が逆にされることになる。様々な実施形態では、トルク、速度、あるいは他の制御モードなどの様々なアクチュエーター制御モードが使用可能である。これらの様々な実施形態では、上記の表で示される値は、使用されるアクチュエーター制御モードに基づいて調節される。
【0157】
いくつかの実施形態において、リストアセンブリ(100)のケーブルは、その位置、力、あるいは他の制御された量の複数のコンポーネントが、対向するケーブルあるいは複数のケーブルから独立するように、制御される。この種の制御戦略は、限定されないが、方向を変更する際に対向するケーブルが引き出され始める前後に1つのケーブルを引っ張り始めることと、特定の状況中に所定のジョイントを制御するケーブルのすべてに加えられる事前の負荷の増減を含む。リストアセンブリ(100)のいくつかの実施形態において、ケーブルは、その位置、力、あるいは他の制御された量のいくつかのコンポーネントが独立した対向するケーブルあるいは複数のケーブルとなるように、制御され得る。この種の制御戦略は、限定されないが、方向を変更する際に対向するケーブルあるいは対のケーブルが引き出され始める前後に1つのケーブルあるいは対のケーブルを引っ張り始めることと、特定の状況中に所定のジョイントを制御するケーブルのすべてに加えられる与圧の増減を含む。一定または可変のスケーリングを上記の表と組み合わせることで、いくつかのケーブルを対向するケーブルよりも速く引っ張ったり、引き出したりすることで、ジョイントのきつい制御または緩い制御を提供することができるようにしてもよい。制御された量の緩みを与えるために、オフセットがケーブルあるいはケーブル対に加えられてもよい。
【0158】
リストアセンブリ(100)に似て、位置制御は、様々な軸の周りでの作動を制御するために、リストアセンブリ(400)のいくつかの実施形態で使用される。これらの実施形態では、第1と第2の顎部に配索されるケーブルはすべて、ヒンジ回転アセンブリと顎部アセンブリを通じて内部に配索される。
図34Bは、一実施形態にかかるヒンジ回転体を介するケーブル(482と485)の配索を示す。加えて、これらの実施形態では、リストアセンブリの制御の作動は、アセンブリを介するケーブルの様々な配索により異なる。上述のように、2つのケーブルが顎部の各々で終端する。これらの実施形態では、第1の顎部で終端するケーブルの対は、ピッチ軸(188)の同じ側に位置しており、第2の顎部で終端するケーブルの対は、
図34Cで見られるようなピッチ軸の対向する側に位置している。これらの実施形態では、各顎部で終端する2つのケーブルのうちの1つは顎部を開くために利用され、第2のケーブルは顎部を閉じるために利用される。
図34Aで示される例示的な実施形態では、ケーブル(482と491)は第1の顎部(403)を開閉するために用いられるケーブルの対であり、ケーブル(482)は第1の顎部を開くために利用され(つまり、第2の顎部から離れて動く)、ケーブル(491)は第1の顎部を閉じるために利用される(つまり、第2の顎部へ向かって動く)。
図34A-34Dで示される実施形態では、第2の顎部(404)の第1の顎部(403)を開くために、ケーブル(482)はアクチュエーターによって引き込まれ、その一方で、ケーブル(491)上で同じ量が引き出される。加えて、第2の顎部ためのケーブルは一定に保持される。別の顎部とは無関係に1つの顎部を開くための上に詳述される同じ技術は、第2の顎部とは無関係に1つの顎部を閉じるために使用される。例えば、
図34A-34Dで示される実施形態では、第1の顎部を閉じるために、ケーブル(491)が引き込まれ、その一方で、ケーブル(482)の同じ長さが引き出され、ケーブル(481と485)は一定に保持される。
【0159】
リストアセンブリ(400)のこれらの実施形態において、すべてのジョイント上ですべてのケーブルの一定のモーメントアームを仮定すると、各ジョイントは、ケーブルの対で引かれ、その一方で、同じ量だけケーブルの残りの対を引き出すことによって制御される。以下の表2は、リストアセンブリ(400)のいくつかの実施形態について、所定のジョイントで所望の動作を与えるためにケーブルを引っ張る量を示している。符号は、正の方向に出力ジョイント動作を引き起こすために、ケーブルがどの方向に移動しなければならないかを示している。正はケーブルを引っ張ることを指し、負はケーブルを引き出すことを指している。以下の表では、単位は1ラジアン(rad)当たりのミリメートル(mm)である。表において、「a」はピッチ軸と同心のプーリの半径であり、「b」は顎部の軸と同心のプーリの半径であり、および、「b/2」は顎部の軸と同心のプーリの半径の半分である。
【0160】
【0161】
いくつかの実施形態において、ケーブルは、その位置、力、あるいは他の制御された量のいくつかのコンポーネントが独立した対向するケーブルあるいは複数のケーブルとなるように、制御され得る。この種の制御戦略は、限定されないが、方向を変更する際に対向するケーブルあるいは対のケーブルが引き出され始める前後に1つのケーブルあるいは対のケーブルを引っ張り始めることと、特定の状況中に所定のジョイントを制御するケーブルのすべてに加えられる与圧の増減を含む。一定または可変のスケーリングを上記の表と組み合わせることで、いくつかのケーブルを対向するケーブルよりも速く引っ張ったり、引き出したりすることで、ジョイントのきつい制御または緩い制御を提供することができるようにしてもよい。制御された量の緩みを与えるために、オフセットがケーブルあるいはケーブル対に加えられてもよい。
【0162】
本明細書に記載された主題は、デジタル電子回路で、あるいは本明細書で開示される構造的な手段およびその構造的な同等物を含むコンピューターソフトウェア、ファームウェア、あるいはハードウェアで、あるいは、これらの組み合わせで実行され得る。本明細書に記載される主題は、情報担体で(例えば、機械可読記憶装置で)明確に具現化された、あるいは、データ処理装置(例えば、プログラム可能なプロセッサー、コンピューター、あるいは複数のコンピューター)によって実行するための、または上記データ処理装置を制御するための伝播信号で具現化された、1つ以上のコンピュータプログラムなどの1つ以上のコンピュータプログラムプロダクトとして実行され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、あるいはコードとしても知られている)は、コンパイラ型言語あるいはインタープリタ型言語を含むプログラミング言語の任意の形態で書かれており、スタンドアロンプログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいは計算環境で使用するのに適した他のユニットとしての形態を含む、任意の形態で展開可能である。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応するわけではない。プログラムは、他のプログラムあるいはデータを保持するファイルの一部に、問題となっているプログラム専用の単一のファイルに、あるいは複数の統合されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、あるいはコードの一部を格納するファイル)に格納され得る。コンピュータプログラムは、1つの場所に位置するか、あるいは、複数の場所に分布し、かつ、通信ネットワークにより相互接続される、1つのコンピューターまたは複数のコンピューター上で実行されるように、展開され得る。
【0163】
本明細書に記載される主題の方法の工程を含む本明細書に記載されたプロセスおよびロジックフローは、入力データ上で動作し、出力を生成することにより、本明細書に記載される主題の機能を実行するための1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プロセスとロジックフローは、特殊用途ロジック回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)あるいはASIC(特定用途向け集積回路)によっても行うことができ、本明細書に記載される主題の装置は、上記特殊用途ロジック回路として実装され得る。
【0164】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサーとしては、一例として、汎用マイクロプロセッサと特殊用途マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサーが挙げられる。一般に、プロセッサーは読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリあるいはその両方からの命令とデータを受け取る。コンピューターの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサーと、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリ装置である。一般に、コンピューターはさらに、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置(例えば、光磁気ディスクあるいは光ディスク)を含み、あるいは、上記大容量記憶装置からデータを受け取るか、あるいは該大容量記憶装置へデータを転送するか、またはその両方のために動作可能に連結される、コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報担体は、一例として、半導体記憶装置(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置);磁気ディスク(例えば、内部ハードディスクあるいはリムーバブルディスク);磁気発電気光ディスク;および光ディスク(例えば、CDおよびDVDディスク)を含む不揮発性メモリーのすべての形態を含む。プロセッサーとメモリは、特殊用途ロジック回路によって補足されるか、あるいは特殊用途ロジック回路に組み込まれ得る。
【0165】
ユーザーとの相互作用を提供するために、本明細書に記載された主題は、ユーザーに情報を表示するための表示装置、例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザーがコンピューターに入力を提供することができるキーボードおよびポインティング装置(例えば、マウスまたはトラックボール)とを有するコンピューター上で実施され得る。他の種類の装置も同様にユーザーとの対話を提供するために使用され得る。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)の任意の形態であり得、ユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形態で受け取られ得る。
【0166】
本明細書に記載される主題は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)、またはフロントエンドコンポーネント(例えば、グラフィカルユーザインタフェース、またはユーザーが本明細書に記載される主題の実装と対話することができるウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、またはそのようなバックエンド、ミドルウェア、およびフロントエンドのコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムに実装され得る。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態あるいは媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(例えば、インターネット)(「WAN」)が挙げられる。
【0167】
開示された主題は、本出願では、構造の詳細、および、以下の説明に記載されたまたは図面に図示されたコンポーネントの配置に限定されないことが理解される。開示された主題は、他の実施形態が実行可能であり、および、様々な方法で実施かつ実行可能である。さらに、本明細書で使用される表現や用語は記載目的のためのものであり、限定的であるとみなされてはならないことも理解される。
【0168】
このように、当業者は、本開示の基礎となる概念が、開示された主題のいくつかの目的を遂行するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用できることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、開示された主題の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、そのような等しい構成を含むものとみなされることが重要である。
【0169】
開示された主題は、前述の例示的な実施形態において説明および図示されてきたが、本開示は、例示のためだけに行われたものであり、開示された主題の実施の詳細における多くの変更は、開示された主題の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解され、それは、後に続く特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。