IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特許7688086再生可能資源由来のスキンケア組成物及びそれを含む吸収性物品
<>
  • 特許-再生可能資源由来のスキンケア組成物及びそれを含む吸収性物品 図1
  • 特許-再生可能資源由来のスキンケア組成物及びそれを含む吸収性物品 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】再生可能資源由来のスキンケア組成物及びそれを含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20250527BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20250527BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250527BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20250527BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250527BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20250527BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20250527BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/92
A61Q19/00
A61K8/9794
A61F13/15 144
A61F13/511 200
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171645
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2021571628の分割
【原出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2024009854
(43)【公開日】2024-01-23
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】62/857,965
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド、キャロル、ロー
(72)【発明者】
【氏名】ランドル、グレン、マーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル、ニコラス、ベガ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-172130(JP,A)
【文献】特表2005-532837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0018343(US,A1)
【文献】豪国特許出願公開第2018201971(AU,A1)
【文献】特開2019-065048(JP,A)
【文献】特開平10-251132(JP,A)
【文献】Ultra-Nourishing and Repairing Honey Lip Balm,MintelGNPD,2019年02月,http://www.gnpd.com,ID: 6358551
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品用のスキンケア組成物であって、
a.50%~80%の、再生可能資源由来の少なくとも1種の皮膚軟化剤と、
b.20%~50%の、再生可能資源由来の少なくとも1つの固定化剤と、を含み(ただし、前記皮膚軟化剤と前記固定化剤との合計が100%を超える態様を除く)
前記スキンケア組成物が、30%~45%の50℃でのDSCに基づく溶融率を有し、
前記皮膚軟化剤が、アボカド油、ココナッツワックス、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ココナッツ油、オリーブ油、植物油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記固定化剤が、蜜ろう、米ぬかワックス、ステアリルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、スキンケア組成物。
【請求項2】
前記皮膚軟化剤及び前記固定化剤の一方又は両方が植物由来である、請求項1に記載のスキンケア組成物。
【請求項3】
前記固定化剤がステアリルアルコールである、請求項1又は2に記載のスキンケア組成物。
【請求項4】
前記皮膚軟化剤が、ASTM D6866-10、方法Bを使用して測定したとき、10%~100%のバイオベース含有量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項5】
前記スキンケア組成物が、ASTM方法D1321を使用して測定したとき、5~365ミリメートルの針入硬度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項6】
前記スキンケア組成物が、少なくとも1種の界面活性剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項7】
前記スキンケア組成物が、酸化亜鉛、ビタミン及びこれらの誘導体;日焼け止め剤;保存剤;抗ニキビ薬剤;酸化防止剤;皮膚鎮静剤及び治癒剤;キレート剤及び金属イオン封鎖剤;精油、皮膚感覚剤、プロトン供与剤;プロテアーゼ及び他の酵素阻害剤;抗菌剤;湿潤剤;多機能性剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるスキンケア活性物質を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項8】
前記スキンケア組成物が、石油由来組成物を実質的に含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項9】
吸収性物品であって、
トップシートと、
バックシートと、
少なくとも部分的に前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアと、
請求項1~8のいずれか一項に記載のスキンケア組成物と、を含み、
前記スキンケア組成物が、前記トップシートの少なくとも一部の上に配置されている、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、再生可能資源由来のスキンケア組成物及びそれを含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつなどのいくつかの現在市販されている吸収性物品は、着用者に接触する表面上にスキンケア組成物を含む。スキンケア組成物の一部は、物品が着用されている間に着用者の皮膚に移動する。スキンケア組成物は、過剰な水分及及び/又は刺激剤に対するバリアを提供し、かつ/又はスキンケア活性物質を着用者の皮膚に送達する。吸収性物品と共に使用される現在の市販のスキンケア組成物の大部分は、石油などの再生不能資源に由来する材料を含んでいる。典型的には、スキンケア組成物(例えば、皮膚軟化剤)の成分は、鉱油又はペトロラタムから作製され、これらの両方は石油系資源に由来する。多くの消費者は、石油系資源に由来する製品を購入することに対する嫌悪感を示している。
【0003】
そのため、少量の石油由来材料を含むスキンケア組成物が存在し得るが、このようなスキンケア組成物の性能は、消費者が期待する及び/又は望むものではない場合がある。スキンケア組成物は、安定かつ有効でなければならず、再生可能資源を有するスキンケア組成物をただ単に調合することは、許容可能な性能を保証しない。具体的には、吸収性物品上のスキンケア組成物は、使用中に着用者に移動することができなければならないが、使用前にスキンケア組成物が吸収性物品内で移動するほど容易に移動可能であってはならない。例えば、吸収性物品は、包装中及び小売店への輸送中に極端な温度に曝される場合があるので、スキンケア組成物は、そのような極端な状況において安定である必要があり、使用前に吸収性物品全体に移動するほど流動性が高い必要はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、一部又はその全体が再生可能資源由来の吸収性物品に関連して使用するためのスキンケア組成物を提供することが望ましい。したがって、石油系材料の使用を低減又は排除する吸収性物品用の機能的スキンケア組成物を提供することが望ましい。植物由来などの再生可能資源(非石油系)由来の皮膚軟化剤を含有する多くのスキンケア組成物は、高温(例えば、約40℃超)における流動性が高すぎるため、物品内で移動して吸収特性を損なわせるか、又は、周囲温度(20℃)又は皮膚温度(35℃~37℃)において流動性が無さすぎて、着用者の皮膚への移動が不十分となり、皮膚に適切なバリア機能を提供することができないかのいずれかであり得る。したがって、物品の出荷及び保管に関連するより高い温度における物品内の移動を最小限に抑えながら、着用状態の間の皮膚への適切な移動を可能にする、吸収性物品のための再生可能な、例えば植物由来のスキンケア組成物を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
着用者に面する表面と、着用者に面する表面上に配置された実質的に水を含まないスキンケア組成物とを含む吸収性物品であって、当該スキンケア組成物は、約40重量%~約90重量%の、再生可能資源由来の少なくとも1種の皮膚軟化剤と、約10重量%~約60重量%の、再生可能資源由来の少なくとも1種の固定化剤とを含み、当該スキンケア組成物は、約10%~約50%の、50℃でのDSCに基づく溶融率を有する、吸収性物品。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一態様による吸収性物品の平面図である。
図2】スキンケア組成物が適用されている、トップシート、バックシート、及び吸収性コアを含む吸収性物品の上面図である。
【0007】
本明細書は、本発明としてみなされる主題を詳細に示しかつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって完結するが、本発明は、以下の説明文を添付の図面と併せて読むことで更に深い理解がなされるものと考えられる。図1は、より明確に他の要素を示す目的のために、選択された要素を省略することによって簡略化されている場合がある。一部の図中のそのような要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に叙述されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれかの中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。いずれの図面も必ずしも一定の縮尺に従っていない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
I.定義
本明細書で使用する場合、以下の用語は後に指定される意味を有するものとする。
【0009】
「吸収性物品」とは、液体を吸収する及及び/又は閉じ込める装置を意味する。着用可能な吸収性物品は、着用者の身体に接触して又は近接して配置されて、身体から排泄される様々な排出物を吸収して閉じ込める吸収性物品である。着用可能な吸収性物品の非限定的な例としては、おむつ、パンツ型又はプルオンおむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、タンポン、パンティライナー、失禁用具などが挙げられる。追加の吸収性物品としては、拭き取り用品及び洗浄製品が挙げられる。
【0010】
用語「バイオベース含有量」は、ASTM D6866-10、方法Bによって決定される、材料中の全有機炭素の質量の百分率としての材料中の再生可能資源由来の炭素の量を指す。
【0011】
「配置される」とは、要素が、ある特定の場所又は位置に置かれていることを指す。
【0012】
「使い捨て」は、洗濯される、若しくは別の方法で単回使用後に吸収性物品として復元又は再使用されることが意図されていない吸収性物品を指す。
【0013】
「皮膚軟化剤」は、皮膚を湿潤又は刺激から保護する、皮膚を軟化する、落ち着かせる、しなやかにする、コーティングする、スベスベにする、保湿する、保護する、及び/又は洗浄する材料を指す。
【0014】
「石油化学製品」は、石油、天然ガス、又は石炭由来の有機化合物を指す。
【0015】
「石油」は、原油、並びにその構成成分のパラフィン系、シクロパラフィン系、及び芳香族炭化水素を指す。原油は、タールサンド、ビチューメンフィールド、及びオイルシェールから得られてもよい。
【0016】
「植物由来」は、植物から直接得られるか、又は植物若しくはその一部に適用される1つ以上の加工操作に由来する、スキンケア組成物の成分を指す。これらの加工操作としては、精製、加熱、分画、加水分解、エステル化、濃縮、発酵、蒸留、抽出、及び浸出を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0017】
「関連環境メッセージ」は、再生可能資源から形成されたスキンケア組成物及び/又は吸収性物品の利益又は利点を伝達するメッセージを指す。このような利益としては、より環境に優しい、石油依存性が低減する、再生可能資源由来であるなどが挙げられる。
【0018】
「再生可能資源」とは、100年の時間枠内で再生することのできる天然資源を指す。この資源は、自然に、又は農業技術により再生することができる。再生可能資源としては、植物、動物、魚、細菌、真菌類、及び林産物が挙げられる。それらは、天然起源、交雑、又は遺伝子操作された有機体であり得る。生じるのに100年以上かかる原油、石炭、及び泥炭などの天然資源は、再生可能資源とは見なされない。
【0019】
II.スキンケア組成物組成物
スキンケア組成物組成物は、吸収性物品と接触する領域の皮膚の外観及び/又は状態を維持及び/又は改善することを目的とすることができる。特定の実施形態では、スキンケア組成物は、皮膚の水分過剰、身体排出物に含まれる物質への皮膚の曝露、又はそれらの浸透を回避するための保護、非閉塞機能(例えば、比較的液体不透過性であるが蒸気透過性バリア)、吸収性物品が着用者の皮膚と接触している領域において皮膚刺激を低減するための擦過最少化機能を提供することができるか、又はスキンケア効果を直接的又は間接的にもたらす成分を含有している。例えば、直接利益とは、発赤の減少又は抗炎症作用に関してもよい。間接利益とは、尿又は糞便中の皮膚刺激物の除去又は減少、あるいは皮膚の水分過剰の減少に関してもよい。スキンケア組成物は、擦傷、水分過剰又はかゆみから皮膚状態を保護又は改善する皮膚軟化剤又は他のスキンケア活性物質を含有することができる。更に、スキンケア組成物は、擦傷、乾燥、又は発疹のような慢性症状を有する敏感な又は傷のある皮膚の擦過を最少に抑えるために、滑らかで艶のある粗くない皮膚感を有することができる。
【0020】
本開示のスキンケア組成物は、皮膚軟化剤及び固定化剤を含む、実質的に無水の油性担体を含むことができる。
【0021】
A.皮膚軟化剤
皮膚の外観及び/又は皮膚保護効果を提供するように設計されたスキンケア組成物では、これらスキンケア組成物組成物中の有用な成分は、1種以上の皮膚軟化剤である。特定の実施形態では、これらの皮膚軟化剤は、室温、すなわち、20℃で、塑性粘稠性又は液体粘稠性のいずれかを有する。
【0022】
好適な皮膚軟化剤は、再生可能資源由来であり得る。例えば、好適な皮膚軟化剤は、栽培植物又は非栽培植物に由来する、植物由来の皮膚軟化剤であってもよい。好ましくは、これらの植物は、持続可能な方法で収穫され、管理される。あるいは、特定の実施形態では、皮膚軟化剤は、天然ガス源などの再生可能資源から形成されたペトロラタムを含み得る。再生可能資源から形成される好適なペトロラタムは、PCT国際公開第2008/128232号に記載されており、これにはその製造方法が含まれる。バイオマス由来の炭を使用して、エタン及びプロパンなどの炭化水素を調製することができる合成ガス(すなわち、CO+H)を生成することもできる(フィッシャー-トロプシュ法)。
【0023】
他の好適な皮膚軟化剤としては、脂肪酸エステル型皮膚軟化剤、アルキルエトキシレート型皮膚軟化剤、脂肪族アルコール型皮膚軟化剤、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの種類の皮膚軟化剤(並びにその他)のそれぞれの例は、米国特許第6,570,054号に記載されている。
【0024】
他の好適な皮膚軟化剤としては、特に植物若しくは動物起源の天然油若しくは天然脂肪、又は天然油誘導体若しくは天然脂肪誘導体が挙げられる。非限定的な例としては、シアバター、アルガン油、オレイン酸キャノーラ油(70%超のオレイン酸含有量を有することを特徴とする、ブラシカ・カンペストリス(Brassica campestris)、ブラシカ・ナプス(B.napus)、ブラッシカ・ラパ(B.rapa)、例えば、高オレイン酸キャノーラ油、超高オレイン酸キャノーラ油、又は部分的に硬化されたキャノーラ油)、マルラカーネル油(スクレロカリア・ビレア(Sclerocarya birre))、パーム油(ギニヤアブラヤシ油)、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、ペカン油、パンプキン種子油、オレインサフラワ油(約30%超のオレイン酸含有量、及び約50%未満のω-6脂肪酸含有量を有することを特徴とする、例えば、高オレインベニバナ油)、ゴマ油(ゴマ(Sesamum indicum、S.oreintale))、大豆油(大豆(Glycine max)、例えば、部分的に硬化された高オレイン酸大豆、低リノレン酸大豆油)、オレイン酸ヒマワリ油(約40%超のオレイン酸含有量を有することを特徴とする、ヘリアンサス・アナス(Helianthus annus)、例えば中オレイン酸ヒマワリ油又は高オレイン酸ヒマワリ油)、杏油、ババス油、ヒマシ油、ヤシ油、肝油、硬化コーン油、硬化綿実油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、マカダミア油、メドウフォーム種子油、ミンク油、モリンガ油(maringa oil)、マルーラ油、モルティエレラ油、パーム核油、硬化ピーナッツ油、硬化菜種油、ローズヒップ油、硬化ベニバナ油、硬化大豆油、硬化ヒマワリ油、硬化くるみ油、硬化小麦胚芽油、又はこれらの硬化誘導体が挙げられる。本明細書における脂肪及び油の好適なスキンケア活性物質の選択肢の他の非限定的な例としては、バター、C12~C18酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カカオバター、C10~C18トリグリセリド、卵油、エポキシ化大豆油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノエート、グリコスフィンゴリピド、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油ラウレート、硬化ヤシ油、硬化C12~C18トリグリセリド、硬化魚油、硬化ラード、硬化メンヘーデン油、硬化ミンク油、硬化オレンジ粗油、硬化サメ肝油、硬化タロー、硬化植物油、ラノリン及びラノリン誘導体、ラノリンアルコール、ラード、ラウリン酸/パルミチン酸/オレイン酸トリグリセリド、レスケレーラ油、マレエート化大豆油、牛脚油、オレイン酸/リノール酸トリグリセリド、オレイン酸/パルミチン酸/ラウリン酸/ミリスチン酸/リノール酸トリグリセリド、オレオステアリン、オリーブ外皮油、大網脂質、ペンガワージャンビ油(pengawar djambi oil)、ペンタデスマバター(pentadesma butter)、リン脂質、シアバター、タロー、トリベヘニン、トリカプリン、トリカプリリン、トリヘプタノイン、トリヒドロキシメトキシステアリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソノナノイン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリリノレニン、トリミリスチン、トリオクタノイン、トリオレイン、トリパルミチン、トリセバシン、トリステアリン、トリウンデカノイン等、並びにこれらの混合物が挙げられる。オレイン酸キャノーラ油、パーム油、ゴマ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸大豆油、中オレイン酸ヒマワリ油、及び高オレイン酸ヒマワリ油は、一般的な植物育種由来の油であり、非遺伝子組み換え生物(非GMO)由来でもあり得る。追加のこのような皮膚軟化剤については、米国特許出願第12/974,674号において更に説明されている。
【0025】
特定の実施形態では、皮膚軟化剤は、上記のもの、並びに追加の油材料を含む油のブレンドを更に含むことができる。好適な追加の皮膚軟化剤としては、アサイーベリー油、アーモンド油、アボカド油、ブナノキ油、ブラジルナッツ油、ナガミノアマナズナ油(アブラナ科、例えば、ナガミノアマナズナ、ニセ亜麻(Gold of Pleasure)、亜麻ナズナ等)、ツバキ種子油、キャノーラ油、キャロット種子油、カシューナッツ油、ひまし油、チェリーカーネル油、チア油、コーン油、綿実油、硬化綿実油、月見草油、ハシバミ(ヘーゼルナッツ)油、グレープシード油、大麻油、ヒッコリーナッツ油、ホホバ油、ククイ油、ラノリン、オリーブ油(オリーブ(Olea europaea))、マカダミア油、モリンガ油(maringa oil)、メドウフォーム油、ニーム油、パーム核油、オリーブ油、パッションフラワー油(トケイソウ科、チャボトケイソウ)、ピーナッツ油、ピーチカーネル油、ピスタチオナッツ油、菜種油、米糠油、ローズヒップ油、ベニバナ油、サトウモロコシ油、大豆油、ヒマワリ種子油、トール油、植物油、植物油、植物性スクワラン、クルミ油、小麦粉芽油、及びこれらの混合物を挙げることができる。本発明の油材料は、ナガミノアマナズナ種子油、オレイン酸キャノーラ油、月見草油、マルラカーネル油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、チャボトケイソウ種子油、ペカン油、パンプキンシードオイル、オレイン酸ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、オレイン酸ヒマワリ油、植物油、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0026】
特定の実施形態では、皮膚軟化剤の安定性を更に高めるために、特定の抗酸化剤を特定の皮膚軟化剤又はスキンケア組成物に添加することができる。一実施形態では、皮膚軟化剤は、皮膚軟化の約0.005重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.02重量%~約0.2重量%の抗酸化剤を含む。一実施形態では、スキンケア組成物は、スキンケア組成物の約0.0005重量%~約1重量%、約0.001重量%~約0.75重量%、又は約0.002重量%~約0.5重量%の抗酸化剤を含む。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、トコトリエノール、ローズマリー、セサモール、セサモリン、セサミン、カテキン、混合トコフェロール、クエン酸、リンゴ酸、ブドウ種子、緑茶、キノコ抽出物、松樹皮抽出物、甘草根、フィチン酸、クランベリー、カボチャ種子、小麦胚芽油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
特定の皮膚軟化剤は、吸収性物品の着用者に接触する表面から皮膚へのスキンケア組成物の移動に有利に働く場合がある。これは、皮膚軟化剤と固定化剤との特定の組み合わせから生じる結晶構造の形状のサイズの結果であり得る。それらの炭素鎖構造における類似性を有する皮膚軟化剤及び固定化剤は、密に固まってより微細な結晶となり得る一方、それらの炭素鎖構造における類似性がより少ない皮膚軟化剤及び固定化剤、例えば、直鎖及び分枝鎖炭素鎖の混合物、並びに/又は直鎖及び芳香族鎖の混合物は、緩く固まってより非晶質の結晶となり得る。理論に束縛されるものではないが、結晶により多くの縁部又は形状を与えるより微細な結晶は、非晶質結晶に比べて、摩擦力によって皮膚とより容易に相互作用することによって、着用者の皮膚により容易に移動することができる。
【0028】
スキンケア組成物中の1種以上の皮膚軟化剤の量は、スキンケア組成物の約30重量%~約90重量%であり得る。いくつかの実施形態では、スキンケア組成物は、約40重量%~約90重量%、約40重量%~約80重量%、約50重量%~約80重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約70重量%、又は約70重量%~約85重量%の1種以上の皮膚軟化剤を含み得る。
【0029】
B.固定化剤
スキンケア組成物の別の構成成分は、処理された物品内又はその上の所望の位置に組成物を固定化することができる1種以上の剤である。組成物のいくつかの実施形態は、20℃において塑性粘稠性又は液体粘稠性を有するため、適度な剪断力又は表面エネルギー力(例えば、毛管力)を受けた場合であっても、流動又は移動する傾向がある。吸収性物品の着用者に接触する表面又は他の場所に適用される場合、スキンケア組成物は、特に溶融状態では、本来処理領域内又はその上に留まることはない。その代わりに、スキンケア組成物は、物品の望ましくない領域に移動して流れる傾向があり、物品の吸収性に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0030】
具体的には、スキンケア組成物が吸収性物品の内部に移動する場合、吸収性物品の吸収性に望ましくない影響を与える原因となり得る。また、所望の皮膚保護及びコンディショニング効果を得るために、より多くのスキンケア組成物が物品に適用されなければならないことも意味する。スキンケア組成物の追加レベルを増加させることは、コストを増加させるだけでなく、物品のコアの吸収性に与える望ましくない効果、及び処理された物品の加工/変換中のスキンケア組成物の望ましくない移動を悪化させる。
【0031】
1種以上の固定化剤は、スキンケア組成物が塗布される物品の表面又は領域に主に局在化した組成物を維持することによって、(固定化剤を含まない)スキンケア組成物のこの傾向を弱める。これは、一部には、固定化剤がスキンケア組成物の融点及び/又は粘度を上昇させるという事実に起因すると考えられる。固定化剤は、皮膚軟化剤と混和性である(又は適切な乳化剤を用いて皮膚軟化剤中で可溶化されるか、又はその中に分散される)ことができるので、吸収性物品の着用者に接触する表面の表面上又はスキンケア組成物が適用される領域内の表面上にスキンケア組成物を捕捉する。
【0032】
皮膚軟化剤と混和性である(又はその中で可溶化される)ことに加えて、固定化剤は、室温で固体又は半固体であるスキンケア組成物を提供する溶融プロファイルを有することができる。この点に関して、固定化剤の特定の実施形態は、少なくとも約35℃の融点を有し得る。これは、固定化剤自体が移動又は流動する傾向を有さないためである。他の特定の実施形態では、固定化剤は、少なくとも約40℃の融点を有し得る。他の特定の実施形態では、固定化剤は、少なくとも約60℃の融点を有し得る。更に他の特定の実施形態では、固定化剤は、約50°~約150℃の範囲の融点を有し得る。
【0033】
好適な固定化剤は、再生可能資源由来であり得る。好適な固定化剤は、C14~C60脂肪族アルコール、C14~C60脂肪酸、約2~約110の範囲の平均エトキシル化度を有するC14~C60脂肪族アルコールエトキシレート、ワックス及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。「平均エトキシル化度」は、エトキシレートの単位の数を指す。特定の実施形態では、かかる固定化剤は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるC16~C22脂肪族アルコールを含むことができる。他の好適な固定化剤としては、単独で、又は上述の固定化剤と組み合わせて、カルナバ、オゾケライト、蜜ろう、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、ウリクリ(ouricuri)、レゾワックス(rezowax)、イソパラフィン、並びに他の既知の採掘(mined)ワックス及びミネラルワックス等のワックスが挙げられる。これらの材料の高い融点は、物品上の所望の表面又は位置に組成物を固定化するのに役立ち得る。加えて、微結晶ワックスは、有効な固定化剤である。これら及び他の固定化剤の例は、米国特許第6,570,054号に記載されている。
【0034】
追加の好適な固定化剤は、蜜ろう、米ぬかろう、ヒマワリろう、ステアリルアルコール、ホホバエステル、硬化ヒマシ油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、好適な固定化剤は、再生可能資源由来であり、いくつかの実施形態では、植物由来の材料である。
【0035】
スキンケア組成物中の固定化剤の量は、スキンケア組成物の約10重量%~約60重量%であり得る。いくつかの実施形態では、スキンケア組成物は、スキンケア組成物の約10重量%~約50重量%、約15重量%~約50重量%、約15重量%~約40重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、約25重量%~約50重量%、約25重量%~約45重量%、約30重量%~約45重量%、又は約30重量%~約40重量%の1種以上の固定化剤を含んでもよい。
【0036】
C.界面活性剤
特定の実施形態では、界面活性剤は、本明細書に記載されるようなこのようなスキンケア組成物に添加されてもよい。このような界面活性剤は、ブレンドされた混合物(例えば、親水性界面活性剤)を形成するように、スキンケア組成物の他の成分と混和することができる。組成物が適用される使い捨て吸収性製品を使用する人の皮膚が過敏性であることが考えられるため、これらの界面活性剤はまた、皮膚に対して比較的穏やかかつ非刺激性であるべきである。典型的には、これらの親水性界面活性剤は、皮膚に対して非刺激性であるためだけでなく、処理された物品内の任意の他の構造に対する他の望ましくない効果を回避するために、非イオン性である。例えば、組織積層体の引張強度、接着結合強度などの低減。
【0037】
好適な非イオン性界面活性剤は、スキンケア組成物が吸収性物品に適用された後、実質的に非移動性であり得、典型的には、約4~約20、及び約7~約20の範囲のHLB値を有する。非移動性となるように、このような非イオン性界面活性剤は、典型的には、使い捨て吸収性製品の貯蔵、輸送、販売、及び使用中に一般的に遭遇する温度よりも高い溶融温度(例えば、少なくとも約30℃)を有し得る。この点に関して、これらの非イオン性界面活性剤は、好ましくは、前述の固定化剤と同様の融点を有する。そのような好適な界面活性剤の例は、米国特許第6,570,054号に記載されている。
【0038】
D.レオロジー剤
レオロジー剤をスキンケア組成物に添加して、スキンケア組成物の成分を懸濁させ、安定した懸濁液を維持することができる。レオロジー剤を含まない担体(例えば、皮膚軟化剤及び固定化剤)は、典型的なニュートン流体特性を示す。すなわち、分散した散粒子は、静置時に、高い頻度で凝集し、担体から分離する。この欠点により、処理中に沈殿及び架橋効果が生じ、スキンケア組成物を基材表面に一貫して塗布することができない場合がある。溶融相中の組成物のレオロジーは、有効量のレオロジー剤(複数可)によって、塑性流体又は擬塑性流体のように挙動するように変更することができる。得られるスキンケア組成物は、その中に微細分散したスキンケア成分を有する安定した溶液又は懸濁液である。安定化組成物は、凝集、層状化、及び/又は沈降を実質的に含まない。したがって、溶融組成物は、処理装置を通って容易に流れ、基材表面に一貫して適用され得る。組成物の弾性率及び見かけ粘度の両方が、スキンケア組成物の加工性に影響を及ぼす要因であることが認められている。
【0039】
具体的には、レオロジー剤の添加は、10rad/秒の振動周波数及び0.2%の剪断ひずみ下で77℃で測定したときに、特定の実施形態ではスキンケア組成物の弾性率を少なくとも約5ダイン/cmに増加させることができる(本明細書に開示される試験方法を参照されたい)。他の特定の実施形態では、スキンケア組成物は、約5~約25,000ダイン/cm、約10~約10,000ダイン/cm、及び約100~約5,000ダイン/cmの範囲の弾性率を有することができる。このようなレオロジー剤の例は、米国特許第6,570,054号に記載されている。
【0040】
溶融形態のスキンケア組成物のレオロジー特性(弾性率、粘度など)は、粘度計(TA Instruments(New Castle,Del.)からモデル番号CSL 100として入手可能)を振動モードで使用して測定される。測定は、40mmの直径及び60マイクロメートルの間隙を有する、円錐プレート測定システムを使用して実施される。測定は、約100秒の待機時間後に開始する。また、測定は、77℃及び40℃の2つの温度で実施される。10rad/秒の周波数及び0.2%のひずみで測定した弾性率を使用して、組成物を特徴付ける。すなわち、本明細書において開示及び/又は特許請求される全ての弾性率は、上記の動作条件で測定される。
【0041】
スキンケア組成物組成物の特定の実施形態は、室温、すなわち、20℃で固体、又はより多くの場合半固体であり得る。室温で固体又は半固体であると、スキンケア組成物は、物品の望ましくない位置へと著しい程度に流動及び移動する傾向を有さず、したがって物品の吸収性への著しい干渉を回避する。これは、望ましい外観、保護又はコンディショニング効果を付与するために必要なスキンケア組成物がより少なくて済むことを意味する。特定の実施形態では、本開示のスキンケア組成物は、約20℃で約1.0×10センチポアズ~約1.0×10センチポアズ、特定の実施形態では、約5.0×10センチポアズ~約5.0×10センチポアズ、特定の実施形態では約7.0×10センチポアズ~約1.0×10センチポアズのゼロ剪断粘度を有し得る。一般に、「ゼロ剪断粘度」の値は、粘度対剪断速度のプロットをゼロの剪断速度に外挿することによって得ることができる。しかしながら、低剪断速度で降伏挙動を示す塑性流体又は擬塑性流体については、外挿法は、多くの場合、材料を完全かつ正確に説明しない。あるいは、「ゼロずり粘度」は、非常に低い剪断速度で測定される粘度によって近似することができる。本明細書で使用するとき、用語「ゼロ剪断粘度」は、非常に低い剪断速度(例えば、1.0秒-1以下)及び約20℃の温度で、コーンプレート粘度計(TA Instruments(New Castle,Del.)からモデル番号CSL100として入手可能)によって測定される値である。
【0042】
E.任意のスキンケア活性物質
特定の実施形態では、スキンケア組成物は、少なくとも1つのスキンケア活性物質を含有してもよい。このようなスキンケア活性物質は、実質的に無水の油性担体中で不溶性又は部分的に可溶性の固体であってもよい。スキンケア活性物質は、直接、又は予備分散体として、撹拌しながらスキンケア組成物に組み込まれてもよい。
【0043】
このようなスキンケア活性物質としては、限定するものではないが、プロトン供与剤、プロテアーゼ及び/又は酵素阻害剤、抗菌剤、保湿剤(グリセリン、ルビトール)、ビタミン及びこれらの誘導体(例えば、ビタミンA、D、E及びK)、皮膚鎮静剤及び治癒剤、例えば、アロエベラ、又はハーブ源、植物源、又は鉱物源からの他の成分、日焼け止め剤、防腐剤、抗ニキビ薬剤、抗酸化剤、キレート剤及び金属イオン封鎖剤、精油、皮膚感覚剤、酸化亜鉛などの多機能性剤、並びにこれらの混合物を挙げることができる。このようなスキンケア活性物質の例は、米国特許第6,570,054号及び米国特許出願第12/974,674号に記載されている。
【0044】
III.溶融率
再生可能資源及び/又は植物由来の好適なスキンケア組成物の1つの重要な特性は、本明細書に記載のDSC分析(示差走査熱量測定)を介して測定することができる、特定の高温において溶融(すなわち、液体)状態にある組成物の割合である。吸収性物品は、使用前に、例えば、物品がパッケージ化、移送、及び/又は保管されるときなどに、極端な温度に曝される場合がある。物品が50℃であるときに液体であるスキンケア組成物の割合は、例えば、その挙動の重大な側面の重要な指標であり得る。液体の割合が高すぎる場合、スキンケア組成物の構成成分は、流動性が高いので吸収性物品全体に移動し、そのことが尿管理指標に悪影響を及ぼす可能性がある。液体の割合が低すぎる場合、スキンケア組成物が着用者の皮膚に十分に移動しない場合があり、スキンケア組成物を有する目的が損なわれることになる。したがって、本発明者らは、50℃でのDSCに溶融率の値が約10%~約50%である場合にのみ、本明細書に記載される潜在的な関連する否定的側面を伴わずに、天然スキンケア組成物の機能的利益が利用可能となることを発見した。いくつかの実施形態では、50℃におけるDSCに基づく溶融率の値は、約20%~約45%、約30%~約45%、約40%~約45%、又は約35%~約50%であってもよい。いくつかの実施形態では、50℃でのDSCに基づく溶融率の値は、約10%~15%、約10%~20%、約15%~25%、約20%~約25%又は約20%~約35%であってもよい。
【0045】
更に、どの再生可能資源由来の皮膚軟化剤及び固定化剤を使用するのかに応じて、DSCによる有効な溶融率は変化し得る。例えば、約80℃超の融点を有する固定化剤の使用は、所望の特性を達成するために、60~70℃の範囲といった低い融点の固定化剤よりも低い割合の固定化剤を、スキンケア組成物調合物において必要とする場合がある。例えば、約80~85℃の融点を有する米ぬかワックスを固定化剤として含むスキンケア組成物が調合物中で必要とする米ぬかワックスは、たったの約10~20%であることが見出されている。あるいは、融点が約60℃のステアリルアルコールを固定化剤として使用すると、約40~50%のステアリルアルコールが調合物中で必要である。得られるスキンケア組成物調合物は、選択された固定化剤にかかわらず、本明細書で定義される範囲内の50℃でのDSCに基づく溶融率を有することが重要である。
【0046】
これは、液体(20℃で)植物油(ヒマシ油、硬化ヒマシ油、及びシアバター)(Sonneborn RR-81)を植物由来の皮膚軟化剤として含む様々なスキンケア組成物に関して下記表1に示される。上記のように、より低い融点を有する固定化剤では、所望の範囲内の50℃でのDSCに基づく溶融率を達成するために、スキンケア組成物調合物のより高い割合が、固定化剤を含まなければならない。その逆も同様に正しい。すなわち、より高い融点を有する固定化剤を含むスキンケア組成物では、組成物の相対的に小さい割合が固定化剤を含む必要がある。例えば、(下記の表1から)、実施例1のような蜜ろう(約60~65℃の範囲の融点を有する)のみを含む組成物は、50℃でのDSCに基づく溶融率50%未満を達成するために、米ぬかワックス(約79~85℃の融点範囲を有する)のみを固定化剤として含む調合物が必要とするよりも高い割合の固定化剤を必要とする。異なる融点を有する様々な固定化剤の混合物を作製して、50℃でのDSCに基づく溶融の望ましい割合を達成することも可能である。また、実施例4は、最低融点の固定化剤を含む組成物もまた、標的範囲の50℃でのDSCに基づく溶融率を達成するために、最も高い割合の固定化剤を必要とすることを示していることにも留意されたい。この関係に基づいて、当業者は、本開示の固定化剤及び皮膚軟化剤のいずれかの組み合わせを使用して、50℃でのDSCに基づく溶融の望ましい割合を有する代替的なスキンケア組成物を、過度の実験をせずに定義することができる。
【0047】
【表1】
【0048】
IV.スキンケア組成物の硬度特性
本開示のスキンケア組成物の硬度は、少なくとも2つの理由で重要であり得る。最初に、調合物が柔軟であるほど、調合物が移動する可能性がより高くなり、これは望ましくない。第2に、より軟らかいスキンケア組成物は、手触りがより脂状/油状である傾向があり、これもまたあまり望ましくない。一般に、約200~約365ミリメートルの針入硬度を有するスキンケア組成物は、クリーミーな肌触り乃至はわずかにグリース状の肌触りであり、滑らかさが少ない(添加剤に依存する)。約5~約200ミリメートルの針入硬度値を有するスキンケア組成物は、絹のような肌触り乃至はクリーミーな肌触りであり、非常に滑らかである(添加剤に依存する)。スキンケア組成物の針入硬度の特定の実施形態は、約5~約365ミリメートル、約10~約300ミリメートル、約20~約200ミリメートル、又は約40~約120ミリメートルであり得る。約5及び365ミリメートルの針入硬度を有するスキンケア組成物組成物は、ASTM法D 1321を使用して測定することができる。
【0049】
V.スキンケア組成物の酸化特性
不飽和脂肪酸は、不安定であり、容易に酸化する傾向がある。酸化は、温度、光、空気、酸素、水分、及び金属を含む複数の原因によって促進され得る。例えば、Belitz H-D,Grosch W,and Schieberle P,Lipids In Food Chemistry 3rd ed.Springer-Verlag,Heidelberg,2004 p.157-242を参照されたい。実際、製品製造の一般的な原因が、不安定性を進行させ得る。例えば、スキンケア組成物を形成するために成分を溶融及び混合することは、(スキンケア組成物の成分の融点を超える温度、例えば、70℃超までの)高温を必要とする場合がある。半固体スキンケア組成物を溶融し、かつその均一性を保持するために、スキンケア組成物を適用するタンクを、撹拌しながら高温(例えば、60℃超、好ましくは70℃超)に加熱することが一般的である。更に、スキンケア組成物は、かなりの時間(例えば、24時間を超えて)、タンク内に留まる場合がある。不安定性の別の原因は、最終製品の棚での保管であり得る。製品が、(店内で又は家で)棚の上に少なくとも1年留まったままであることは珍しいことではなく、地理的な位置によっては、保管温度が40℃を上回る場合がある。不安定性の別の原因は、水系又はグリコール系であるスキンケア組成物に起因する可能性がある。集合的に、これらの要因は、酸化、及び活性酸素フリーラジカル又は活性酸素の生成につながり得る。これは、変色(すなわち、黄変)及び/又酸敗臭等の、製品の劣化につながり得る。皮膚と接触する際、活性酸素は、皮膚バリア機能を損傷する可能性がある。
【0050】
酸化安定性を監視するための一般的な尺度は、経時的なヒドロペルオキシドの発生(過酸化物価又はPV(peroxide value))である。酸化安定性はまた、試料を高温で曝気する場合に、二次酸化生成物を得るのに必要な時間によって表すこともできる。酸化安定性の好適な尺度は、油安定性指数(本明細書では「OSI(Oil Stability Index)」と称される)と呼ばれる。油材料のOSIは、American Oil Chemical Society Oil Stability Index Method(AOCS Official Method Cd 12b-92)に従って測定できる。
【0051】
特定の実施形態では、本開示に記載のスキンケア組成物で使用する油材料は、少なくとも約10時間、特定の実施形態では少なくとも約14時間、特定の実施形態では少なくとも約18時間のOSIを有するように選択され得る。
【0052】
VI.再生可能資源由来のスキンケア組成物の検証
好適な検証技術は、14Cの分析によるものである。大気中の少量の二酸化炭素は、放射性である。この14C二酸化炭素は、紫外線光で生成された中性子が窒素にぶつかる際に生じ、これにより、窒素はプロトンを失って分子量14の炭素を形成し、これが直ちに二酸化炭素に酸化される。この放射性同位体は、大気中の炭素の少量であるが測定可能な部分である。大気中の二酸化炭素は、緑色植物によって循環されて、光合成中に有機分子を作る。このサイクルは、緑色植物又は他の生命体が有機分子を代謝し、それによって二酸化炭素を生成することで完了し、この二酸化炭素は再び大気中に放出される。地球上の実質的に全ての生命体の成長及び繁殖は、この緑色植物の有機分子生成に依存している。したがって、大気中に存在する14Cは、全ての生命体及びその生物学的生成物の一部となる。対照的に、化石燃料系炭素は、大気中二酸化炭素のシグネチャー放射性炭素比を有さない。
【0053】
標準的な試験方法によって、材料中の再生可能エネルギーに基づく炭素の評価を実施することができる。放射性炭素及びアイソトープ比の質量分析を用いて、材料のバイオベース含有量を決定することができる。米国材料試験協会として以前に知られていたASTM Internationalは、材料のバイオベース含有量を評価するための標準的な方法を確立した。このASTMの方法は、ASTM D6866-10と称される。
【0054】
「バイオベース含有量」を導き出すためのASTM D6866-10の適用は、放射性炭素年代測定法と同じ概念上に構築されるが、年齢方程式の使用を伴わない。分析は、現代の参照基準の量に対する未知のサンプル中の有機放射性炭素(14C)の量の比を導き出すことによって行われる。この比は、単位「pMC」(現代炭素パーセント)により百分率として報告される。
【0055】
放射性炭素年代測定法において使用される現代の参照基準は、およそAD1950年と同等の既知の放射性炭素含有量を用いるNIST(米国標準技術局)基準である。AD1950年は、この年が各爆発ごとに大量の過剰の放射性炭素(「核実験起源放射性炭素」と称される)を大気中に導入した熱核兵器実験前の時代を代表することから選択された。AD1950基準は、100pMCに相当する。
【0056】
実験のピークであり、かつ実験を停止させる条約の前の1963年に、大気中の「核実験起源放射性炭素」は、正常濃度のほぼ2倍に到達した。大気中のその分布は、その出現以来近似されており、AD1950年以降生存している植物及び動物に関しては100pMCを超える値が示されている。核実験起源放射性炭素の分布は、時間と共に徐々に減少してきており、今日の値は、107.5pMC付近である。これは、トウモロコシのような新鮮なバイオマス物質は、107.5pMC付近の放射性炭素シグネチャーを示すことを意味する。
【0057】
化石炭素が現代の炭素と物質中で組み合わされることで、現代のpMC含有量が希釈されるであろう。107.5pMCが現代のバイオマス物質を表し、0pMCが石油誘導体を表すと仮定すると、その物質について測定されるpMC値は、2つの構成成分タイプの割合を反映することになるであろう。現代のダイズに100%由来する物質は、107.5pMC付近の放射性炭素シグネチャーを示すであろう。例えば、その物質が50%石油誘導体で希釈された場合、それは、54pMC付近の放射性炭素シグネチャーを示すであろう(石油誘導体がダイズと同じ炭素パーセンテージを有すると仮定)。
【0058】
バイオマス含有量結果は、100%が107.5pMCに等しく、0%が0pMCに等しいように割り当てることによって導き出される。この点で、99pMCと測定されるサンプルは、92%の同等のバイオベース含有量値を示すであろう。
【0059】
本明細書に記載の物質の評価は、ASTM D6866に従って実施された。この報告で引用される中央値は、最終コンポーネント放射性炭素シグネチャーにおける変動を説明するために、6%の絶対範囲(バイオベース含有量値の両側±3%)を包含する。全ての物質が、現代の又は化石の起源であり、所望の結果は、製造プロセスにおいて「使用される」バイオベースの材料の量ではなく、物質中に「存在する」バイオベース成分の量であるものと推定される。
【0060】
再生可能資源由来の皮膚軟化剤は、ASTM D6866-10、方法Bを使用して、約10%~約100%のバイオベース含有量を有することができ、特定の実施形態では、皮膚軟化剤は、ASTM D6866-10、方法Bを使用して約30%~約90%のバイオベース含有量を有することができ、特定の実施形態では、皮膚軟化剤は、ASTM D6866-10、方法Bを使用して約45%~約85%のバイオベース含有量を有することができる。特定の実施形態では、スキンケア組成物は、ASTM D6866-10、方法Bを使用して約10%~約100%のバイオベース含有量を有することができ、特定の実施形態では、スキンケア組成物は、ASTM D6866-10、方法Bを使用して約30%~約90%のバイオベース含有量を有することができ、特定の実施形態では、スキンケア組成物は、ASTM D6866-10、方法Bを使用して約45%~約85%のバイオベース含有量を有することができる。
【0061】
ASTM D6866-10の方法論を適用して、スキンケア組成物のバイオベース含有量を決定するために、スキンケア組成物の代表的試料を、試験用に得る必要がある。例えば、スキンケア組成物又は皮膚軟化剤の試料は、吸収性物品に添加される前に得ることができる。代替実施形態では、スキンケア組成物又は皮膚軟化剤の代表的な量は、既知の分離技術を利用して吸収性物品から得ることができる。
【0062】
VII.吸収性物品
本明細書に記載されるように、本明細書に記載されるスキンケア組成物は、様々な吸収性物品に適用され得る。このような吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、失禁用衣類、生理用ナプキン、包帯、拭き取り用品、ティッシュタオル紙製品、及び任意の他の好適な吸収性物品を挙げることができる。吸収性物品はまた、再生可能資源に由来し得ることに留意することが重要である。このような吸収性物品の例は、米国特許出願公開第2007/0219521号に記載されている。
【0063】
図1は、平坦な非収縮状態にある本発明の吸収性物品、この場合はおむつ20、の平面図であり、おむつの構造をより明確に示すためにその構造の一部を切り欠いている。着用者に面するおむつ20の部分が観察者に向けて配置されている。図1に示すように、おむつ20は、トップシート24と、外側カバー26と、捕捉層(図示せず)と、トップシート24の少なくとも一部分とバックシート26との間に位置付けられた吸収性コア28とを含む。吸収性物品は、サイドパネル30と、伸縮性レッグカフ32と、弾性腰部機構34と、全体として40と指定される締着システムとを更に含む。おむつ20は、第1の腰部領域36と、第1の腰部領域36と対向する第2の腰部領域38と、第1の腰部領域36と第2の腰部領域38との間に位置する股部領域37とを有する。おむつ20の外周は、おむつ20の外縁部によって画定され、長手方向縁部50は、おむつ20の長手方向中心線100に概ね平行に延び、端縁部52は、おむつ20の横方向中心線110に概ね平行な長手方向縁部50の間に延びる。バックシート/外側カバー26の最外表面は、おむつ20の衣類と接触する表面(図示せず)を形成する一方で、トップシート24の最内表面は、おむつ20の身体と接触する表面(図示せず)を形成する。
【0064】
図2は、トップシート14を含む身体に面する表面12と、トップシート14に接合されたバックシート16と、吸収性コア18とを有する、生理用ナプキン又はパンティライナーであり得る例示的な吸収性物品10を示す。吸収性物品10は、長手方向軸「L」を有することができ、また、当該技術分野において既知である「ウィング」若しくは「フラップ」(図示せず)、及び/又は吸収性コア18への流体輸送を促進するための流体捕捉層など、ナプキンに一般的に見られる付加的な特徴部を備えていてもよい。同様に、吸収性物品のトップシートは、当該技術分野において既知の様々な任意の特徴部を有し得る。例えば、トップシート14は、流体の流れを方向付けるための、エンボス加工されたチャネルを有することができ、また、流体獲得を補助するための開口を有することができる。本開示の吸収性物品10のトップシート14は、トップシート14上に配置されたスキンケア組成物22を有することができる。
【0065】
特定の実施形態では、例えば、吸収性物品が生理用ナプキンである場合、トップシートは、柔軟でソフトな感触であり、着用者の皮膚及び毛髪に刺激を与えないように構成され得る。更に、トップシートは液体透過性であり得、液体(例えば、経血及び/又は尿)はその厚さを容易に貫通することができる。好適なトップシートは、織布材料及び不織布材料(繊維の不織布ウェブ);孔あき成形熱可塑性フィルム、有孔プラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどのポリマー材料;多孔質発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;及び熱可塑性スクリムなどの、広範囲の材料から製造されてもよい。好適な織布材料及び不織布材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維又は加工綿)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから構成され得る。トップシートが不織布ウェブを含む場合、ウェブは、多くの周知の手法によって製造してもよい。例えば、ウェブは、スパンボンド、カード、湿式堆積、メルトブロー、水流交絡、上記の組み合わせなどの処理を施されてもよい。
【0066】
そのような実施形態のバックシートは、液体(例えば、経血及び/又は尿)に対して不透過性であってもよく、薄いプラスチックフィルムから製造され得るが、他の可撓性遮水材料も使用することができる。バックシートは、吸収性コアに吸収及び保持された排出物が、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ及び下着などの吸収性物品に接触する物品を濡らすことを防止することができる。したがって、バックシートは、織布若しくは不織布材料、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルム、又はフィルムコーティングされた不織布材料などの複合材料を含んでもよい。一実施形態では、バックシートは、米国特許第6,623,464号に記載されているような通気性バックシートであり得る。
【0067】
トップシート及びバックシートは、吸収性コアがトップシートとバックシートとの間に配置されるように、吸収性コアの身体面及び衣類面に隣接して位置付けられ得る。吸収性コアは、当技術分野において周知の取り付け手段(図1に示されていない)などの任意の方法によってトップシート、バックシート、又は双方と接合することが可能である。しかしながら、全吸収性コアの一部が、トップシート、バックシートのいずれか、又は双方に取り付けられていない、本開示の実施形態が想定される。
【0068】
VII.スキンケア組成物による吸収性物品の処理
本明細書に記載される吸収性物品を調製する際、着用中にスキンケア組成物の少なくとも一部分が処理された物品から着用者の皮膚に移動するように、スキンケア組成物を適用することができる。すなわち、スキンケア組成物は、1つ以上の着用者に接触する表面に直接適用されてもよく、あるいは、使用中にユーザー/介護者が介入することなく1つ以上の着用者に接触する表面から容易に移動可能であるように、代替位置に又は代替手段で適用することができる。例えば、着用者に接触する表面の下に配置された材料、封入された組成物など。更に、スキンケア組成物は、着用者の臀部、腹部、背部、腰部、側部、大腿部などの1つ以上に送達するために、他の物品領域に適用されてもよい。好適な方法の非限定的な例としては、噴霧、印刷(例えば、フレキソ印刷)、コーティング(例えば、接触スロットコーティング、グラビアコーティング)、浸漬、押出、又はこれらの適用技術の組み合わせ、例えばカレンダーロールなどの回転表面上にスキンケア組成物を噴霧し、次いで組成物を物品の所望の部分に移動させることが挙げられる。あるいは、スキンケア組成物は、様々な方法を介して固体又は半固体材料として基材に適用されてもよい。特定の範囲内のレオロジー特性(例えば、剪断粘度、弾性率)を有する材料には、異なる適用技術/装置が適していることを理解されたい。吸収性物品をスキンケア組成物組成物で処理するための他の好適な技術は、米国特許第6,570,054号に記載されている。
【0069】
特定の実施形態では、吸収性物品は、吸収性物品当たり約2mg~約300mg、特定の実施形態では約5mg~約200mg、特定の実施形態では約10mg~約150mgのスキンケア組成物を含む。スキンケア組成物は、吸収性物品の一部分に、スキンケア組成物を含む面積において約2gsm~約100gsm、約5gsm~約70gsm、約1gsm~約40gsm、約5gsm~約25gsm、約10gsm~約20gsm、及び約10gsm~約60gsmで適用され得る。平方メートル当たりのGSM又はグラムは、スキンケア組成物の質量を、スキンケア組成物が適用される面積で除すことによって算出される。スキンケア組成物は、吸収性物品のトップシート(例えば、トップシートの着用者に面する表面)に適用され得る。スキンケア組成物は、ドット(複数可)、ストライプ(複数可)、正方形(複数可)、円(複数可)、又は楕円形(複数可)などの様々な定義されたパターンで吸収性物品に適用され得る。ストライプとして適用される場合、ストライプ長は、最長で吸収性物品の長さであってよく、幅は、約0.1mm~50mm、約0.5mm~約20mm、及び約1mm~約10mmであってよい。着用者にとって望ましい利益を達成するために、スキンケア組成物は、吸収性物品の長手方向外縁部に限定されない吸収性物品の特定の領域、膣口の反対側の領域、又は吸収性物品の一端若しくは両端に適用され得る。例えば、欧州特許出願第1455716号及びPCT国際公開第WO2003/051260号を参照されたい。
【0070】
VIII.消費者に対する関連環境メッセージの伝達
再生可能資源由来のスキンケア組成物を組み込む吸収性物品に関する本開示は、環境メッセージを消費者に伝達する手段を更に提供する。このようなメッセージは、吸収性物品(又は関連するパッケージ)上に表示され得る。関連環境メッセージは、吸収性物品及び/又はスキンケア組成物を、環境に優しい又は地球に優しいものであること、石油(又は油)依存又は含有量が低いものであること、外国産石油(又は油)依存又は含有量が低いものであること、石油化学製品含有量が低いか、又は石油化学製品を含まない成分を有するものであること、再生可能資源から製造されるか、又は再生可能資源から製造された構成成分を有している、及び/又は植物由来成分から製造されているものであること、として識別することができる。この伝達は、石油化学製品の使用に対して嫌悪を有し得る消費者(例えば、天然資源の枯渇について懸念している消費者、又は石油化学系製品は自然に反している又は環境に優しくないと感じている消費者)にとって、及び環境問題意識を持った消費者にとって重要である。このような伝達を伴わなければ、本開示の利益が一部の消費者に通じない場合がある。
【0071】
伝達は、様々な伝達形態で行われてもよい。好適な伝達形態としては、店舗ディスプレイ、ポスター、ビルボード、コンピュータプログラム、パンフレット、パッケージの文言、棚情報、ビデオ、広告、インターネットウェブサイト、ピクトグラム、図像、又は任意の他の好適な伝達形態が挙げられる。情報は、店舗、テレビ、コンピュータアクセス可能な形態、広告、又は任意の他の適切な現場で入手可能であり得る。理想的には、関連環境メッセージを広めるために、複数の通信形態が採用されてもよい。
【0072】
伝達は、書面であっても、音声であっても、1つ以上の写真、グラフィック、又はアイコンによって伝えられてもよい。例えば、テレビ又はインターネットベースの広告は、関連環境メッセージのナレーション、ボイスオーバー、又は他の可聴伝達を有し得る。同様に、関連環境メッセージは、上で列挙した好適な伝達形態のいずれかを使用して書面形式で伝えられてもよい。特定の実施形態では、本発明のスキンケア組成物組成物の石油化学製品の使用を、現在市販されているスキンケア組成物組成物と比較して定量化することが望ましい場合がある。
【0073】
関連環境メッセージはまた、石油化学製品等価物のメッセージを含んでもよい。多くの再生可能な、天然起源の、又は非石油由来の材料が既知であり得る。しかしながら、これらの材料は、スキンケア組成物組成物と共に使用されるとき、消費者が期待する性能特性を欠くことが多い。したがって、石油等価物のメッセージは、上述したように、再生可能資源由来のスキンケア組成物が石油由来のスキンケア組成物と比較して同等以上の性能特性を呈することを消費者に受け入れさせるために必要であり得る。好適な石油化学製品等価物のメッセージは、再生可能資源に由来しない吸収性物品及び/又はスキンケア組成物との比較を含むことができる。このメッセージは、関連環境メッセージ及び石油化学製品等価物のメッセージの両方を伝達する。
【0074】
IX.試験方法
DSCに基づく溶融率によるローションの熱分析
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)は、試験試料の熱特性を測定するために使用される分析技術である。相変化が生じる温度範囲を決定するために、示差走査熱量計で試験試料を分析する。具体的には、この実施では、3つの異なる温度(25℃、35℃、50℃)での溶融率が決定される。好適なDSCは、Triosソフトウェア(TA Instruments(New Castle,Delaware,19720,USA)から入手可能)、又は同等物とインターフェースされたTA Discoveryである。測定システムは、メーカーの指示に従って較正及び操作され、全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実行される。試験試料を、試験前に少なくとも2時間にわたって同じ環境条件下で調整する。
【0075】
ローションの試験試料は、未希釈試料として容易に入手できない場合、ローション組成物の全ての成分を溶媒和させる適切な溶媒(例えば、VWR Internationalから入手可能な試薬グレードの塩化メチレン、又は同等物)を使用して、吸収性物品から切除されたローションでコーティングされた基材からそれを抽出することによって得られる。吸収性物品から、広範な接着剤(例えば、カフ取り付け、端部シールなどの周囲のビーズ)を有する領域を回避しながら、ローションを含有する基材層(通常は衣類に面する表面)を切除する。除去プロセスにおいてローションでコーティングされた層にいかなる汚染も与えないように注意する。ローションでコーティングされた基材全体を過剰な選択された溶媒で抽出し、次いで、必要に応じて、最小限の熱で窒素下で溶媒を除去する。合計で約9ミリグラムのローション試験試料を収集し、DSC分析を完了させる。
【0076】
試験試料を分析するために、約3ミリグラムの試験試料を、風袋を測定したDSCサンプルパン及び蓋(例えば、TA Instrumentsから入手可能なTzeroパン(#901683.901)及び蓋(#90167.701))に入れる。試験試料の質量を0.001mg単位で記録し、装置にロードする。DSC装置は、以下のように2回の加熱サイクルを実行するようにプログラムされる。-30℃の出発温度で5分間平衡化する。10℃/分の速度で110℃まで昇温する。110℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で-30℃まで降温する。-30℃で5分間保持し、10℃/分の速度で昇温して110℃に戻す。熱流(W/g)及び温度(℃)データを試験全体にわたって収集する。
【0077】
データを分析するために、熱流(W/g)対第2の熱サイクルの温度(℃)をプロットする。相変化(すなわち溶融)の開始から開始して、相変化の終了まで直線的なベースラインを引く。熱流曲線下面積を時間に対して積分して、曲線の以下の部分について0.01J/g単位でのエンタルピーを決定する:曲線全体(面積全体)、開始点~25℃の温度(面積25C)、開始点~35℃の温度(面積35C)、開始点~50℃の温度(面積50C)。以下のように、25℃での溶融率を計算し:
25℃での溶融率=(面積25C/面積全体100 0.1パーセント単位で記録する。同様にして、35℃及び50℃で溶融率を計算し、それぞれを0.1パーセント単位で記録する。
【0078】
同様に、合計3つのローション試験試料について分析を繰り返す。25℃での溶融率の算術平均、35℃での溶融率の算術平均、及び50℃での溶融率の算術平均を計算し、それぞれを0.1パーセント単位で記録する。
【0079】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0080】
「発明を実施するための形態」の中で引用された全ての文献は、関連部分において、本明細書に参照により組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本開示に関する先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきでない。本文献における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文献においてその用語に割り当てられた意味又は定義が優先するものとする。
【0081】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2