(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】稼働状況表示装置、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20250527BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20250527BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
B23Q17/00 D
B23Q17/09 A
B23Q17/24 A
(21)【出願番号】P 2023522018
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2021018639
(87)【国際公開番号】W WO2022244070
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】相澤 誠彰
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-202449(JP,A)
【文献】特開2019-219725(JP,A)
【文献】特開2018-092428(JP,A)
【文献】特開2020-149531(JP,A)
【文献】特開2019-117477(JP,A)
【文献】国際公開第2020/175308(WO,A1)
【文献】特開2020-121369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
B23Q 17/09
B23Q 17/24
G05B 19/18 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機で発生する現象を指定する現象指定情報と、前記加工機の稼働データを特定する
ための稼働データ特定情報と、前記稼働データから前記現象の発生を示す
前記稼働データの特徴を示す特徴データを抽出するための抽出条件とを関連付けて記憶する現象設定テーブルと、
前記現象指定情報に基づいて、前記現象設定テーブルから前記現象指定情報に関連付けられた前記稼働データ特定情報と、前記抽出条件とを取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部によって取得された前記稼働データ特定情報、および前記抽出条件に基づいて、前記稼働データから前記特徴データを取得する第2の取得部と、
前記第2の取得部によって取得された前記特徴データを表示画面に表示させる表示部と、
を備える稼働状況表示装置。
【請求項2】
前記加工機を撮像した画像を取得する画像取得部をさらに備え、
前記表示部は、前記特徴データと、前記特徴データに対応する前記画像とを前記表示画面に表示させる請求項1に記載の稼働状況表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記画像の再生状況を示す再生状況表示領域を前記表示画面に表示させるとともに、前記特徴データに対応する前記画像の再生位置を前記再生状況表示領域において強調表示する請求項2に記載の稼働状況表示装置。
【請求項4】
前記表示画面に表示された前記画像と前記稼働データの表示履歴を取得する表示履歴取得部と、
前記表示履歴取得部によって取得された前記表示履歴に基づいて前記現象設定テーブルに前記抽出条件を設定する現象設定部と、をさらに備える請求項2または3に記載の稼働状況表示装置。
【請求項5】
前記表示画面に表示された前記稼働データに対する操作に基づいて、前記現象設定テーブルに前記抽出条件を設定する現象設定部と、をさらに備える請求項2または3に記載の稼働状況表示装置。
【請求項6】
前記現象の発生箇所の指定を受け付ける発生箇所受付部をさらに備え、
前記現象設定テーブルは、さらに、前記発生箇所を示す発生箇所情報を、前記現象指定情報、前記稼働データ特定情報、および前記抽出条件に関連付けて記憶し、
前記第1の取得部は、前記発生箇所受付部が受け付けた前記発生箇所の指定に基づいて、前記現象設定テーブルから前記発生箇所情報に関連付けられた前記稼働データ特定情報と、前記抽出条件とを取得する請求項2~5のいずれか1項に記載の稼働状況表示装置。
【請求項7】
前記発生箇所受付部は、前記表示画面に表示された前記画像の複数の領域のうち一の領域が選択された場合に前記発生箇所の指定を受け付ける請求項6に記載の稼働状況表示装置。
【請求項8】
前記現象指定情報の入力を受け付ける受付部をさらに備え、
前記第1の取得部は、前記受付部が受け付けた前記現象指定情報に基づいて、前記現象設定テーブルから前記現象指定情報に関連付けられた前記稼働データ特定情報と、前記抽出条件とを取得する請求項1~7のいずれか1項に記載の稼働状況表示装置。
【請求項9】
前記抽出条件は、数値データ、および、時系列パターンの少なくともいずれかを含む請求項1~8のいずれか1項に記載の稼働状況表示装置。
【請求項10】
加工機で発生する現象を指定する現象指定情報と、前記加工機の稼働データを特定する
ための稼働データ特定情報と、前記稼働データから前記現象の発生を示す
前記稼働データの特徴を示す特徴データを抽出するための抽出条件とが関連付けて記憶された現象設定テーブルから、前記現象指定情報に基づいて、前記現象指定情報に関連付けられた前記稼働データ特定情報と、前記抽出条件とを取得することと、
前記稼働データ特定情報、および前記抽出条件に基づいて、前記稼働データから前記特徴データを取得することと、
取得された前記特徴データを表示画面に表示させることと、
をコンピュータに実行させる命令を記憶するコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、稼働状況表示装置、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工機から稼働データを取得し、取得した稼働データに基づいて加工機で発生した現象を解析する技術が知られている。このような技術を用いることによって、例えば、工作機械で加工されたワークにびびりマークが生じたときに、主軸にどのような負荷の変動が起こっているかを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、加工機からは多くの種類の稼働データが取得され、かつ各稼働データの量も膨大となる。そのため、稼働データから、加工機において発生した現象を表す特徴的な部分を見つけ出すことが作業者にとって大きな負担となる。
【0005】
本開示は、加工機で取得された稼働データから、加工機で発生した現象を表す特徴的な部分を容易に見つけ出すことが可能な稼働状況表示装置、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
稼働状況表示装置が、加工機で発生する現象を指定する現象指定情報と、加工機の稼働データを特定するための稼働データ特定情報と、稼働データから現象の発生を示す前記稼働データの特徴を示す特徴データを抽出するための抽出条件とを関連付けて記憶する現象設定テーブルと、現象指定情報に基づいて、現象設定テーブルから現象指定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得する第1の取得部と、第1の取得部によって取得された稼働データ特定情報、および抽出条件に基づいて、稼働データから特徴データを取得する第2の取得部と、第2の取得部によって取得された特徴データを表示画面に表示させる表示部と、を備える。
【0007】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が、加工機で発生する現象を指定する現象指定情報と、加工機の稼働データを特定するための稼働データ特定情報と、稼働データから現象の発生を示す前記稼働データの特徴を示す特徴データを抽出するための抽出条件とが関連付けて記憶された現象設定テーブルから、現象指定情報に基づいて、現象指定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得することと、稼働データ特定情報、および抽出条件に基づいて、稼働データから特徴データを取得することと、取得された特徴データを表示画面に表示させることと、をコンピュータに実行させる命令を記憶する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様により、加工機で取得された稼働データから、加工機で発生した現象を表す特徴的な部分を容易に見つけ出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】加工機のハードウェア構成図の一例を示す図である。
【
図2】稼働状況表示装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図4】現象指定情報の入力画面の一例を示す図である。
【
図6】稼働状況表示装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】稼働状況表示装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図10】抽出条件の設定について説明する図である。
【
図11】稼働状況表示装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図12】加工機の一部を撮像した画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態で説明する特徴のすべての組み合わせが課題解決に必ずしも必要であるとは限らない。また、必要以上の詳細な説明を省略する場合がある。また、以下の実施形態の説明、および図面は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0011】
図1は、加工機のハードウェア構成の一例を示す図である。加工機1は、例えば、工作機械、ワイヤ放電加工機、射出成形機である。工作機械には、旋盤、マシニングセンタおよび複合加工機が含まれる。
【0012】
加工機1は、数値制御装置2と、入出力装置3と、サーボアンプ4およびサーボモータ5と、スピンドルアンプ6およびスピンドルモータ7と、補助機器8と、撮像装置9とを備える。
【0013】
数値制御装置2は、本開示の稼働状況表示装置の機能を備える。つまり、稼働状況表示装置は、数値制御装置2に実装されている。以下では、稼働状況表示装置が数値制御装置2に実装されている実施形態について説明する。ただし、稼働状況表示装置は、PC(Personal Computer)、サーバに実装されてもよい。
【0014】
数値制御装置2は、加工機1全体を制御する装置である。数値制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)201と、バス202と、ROM(Read Only Memory)203と、RAM(Random Access Memory)204と、不揮発性メモリ205とを備えている。
【0015】
CPU201は、システムプログラムに従って数値制御装置2全体を制御するプロセッサである。CPU201は、バス202を介してROM203に格納されたシステムプログラムなどを読み出し、システムプログラムに基づいて、各種処理を行う。また、CPU201は、加工プログラムに基づいて、サーボモータ5およびスピンドルモータ7を制御する。
【0016】
CPU201は、制御周期ごとに、例えば、加工プログラムの解析、ならびに、サーボモータ5、およびスピンドルモータ7に対する制御指令の出力を行う。
【0017】
バス202は、数値制御装置2内の各ハードウェアを互いに接続する通信路である。数値制御装置2内の各ハードウェアはバス202を介してデータをやり取りする。
【0018】
ROM203は、数値制御装置2全体を制御するためのシステムプログラムなどを記憶する記憶装置である。ROM203は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0019】
RAM204は、各種データを一時的に格納する記憶装置である。RAM204は、CPU201が各種データを処理するための作業領域として機能する。
【0020】
不揮発性メモリ205は、加工機1の電源が切られ、数値制御装置2に電力が供給されていない状態でもデータを保持する記憶装置である。不揮発性メモリ205は、例えば、加工プログラム、および入出力装置3から入力される各種パラメータを記憶する。不揮発性メモリ205は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。不揮発性メモリ205は、例えば、SSD(Solid State Drive)で構成される。
【0021】
数値制御装置2は、さらに、インタフェース206と、軸制御回路207と、スピンドル制御回路208と、PLC(Programmable Logic Controller)209と、I/Oユニット210とを備えている。
【0022】
インタフェース206は、バス202と入出力装置3とを接続する。インタフェース206は、例えば、CPU201が処理した各種データを入出力装置3に送る。
【0023】
入出力装置3は、インタフェース206を介して各種データを受け、各種データを表示する装置である。また、入出力装置3は、各種データの入力を受け付けてインタフェース206を介して各種データをCPU201に送る。入出力装置3は、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ、キーボード、およびマウスなどを含む。入出力装置3は、タッチパネルであってもよい。
【0024】
軸制御回路207は、サーボモータ5を制御する回路である。軸制御回路207は、CPU201からの制御指令を受けてサーボモータ5を駆動させるための指令をサーボアンプ4に出力する。軸制御回路207は、例えば、サーボモータ5のトルクを制御するトルクコマンドをサーボアンプ4に送る。
【0025】
サーボアンプ4は、軸制御回路207からの指令を受けて、サーボモータ5に電流を供給する。サーボアンプ4はサーボモータ5に供給される電流の電流値を測定する電流計41を内蔵している。
【0026】
電流計41は、サーボモータ5に供給される電流の電流値を検出する。電流計41は、検出した電流値を示すデータをCPU201に送る。
【0027】
サーボモータ5は、サーボアンプ4から電流の供給を受けて駆動する。サーボモータ5は、例えば、刃物台を駆動させるボールねじに連結される。サーボモータ5が駆動することにより、刃物台などの加工機1の構造物は、例えば、X軸方向、Y軸方向、またはZ軸方向に移動する。なお、サーボモータ5は、各制御軸の送り速度を検出する速度検出器(不図示)を内蔵していてもよい。
【0028】
スピンドル制御回路208は、スピンドルモータ7を制御するための回路である。スピンドル制御回路208は、CPU201からの制御指令を受けてスピンドルモータ7を駆動させるための指令をスピンドルアンプ6に出力する。スピンドル制御回路208は、例えば、スピンドルモータ7のトルクを制御するトルクコマンドをスピンドルアンプ6に送る。
【0029】
スピンドルアンプ6は、スピンドル制御回路208からの指令を受けて、スピンドルモータ7に電流を供給する。スピンドルアンプ6はスピンドルモータ7に供給される電流の電流値を測定する電流計61を内蔵している。
【0030】
電流計61は、スピンドルモータ7に供給される電流の電流値を検出する。電流計61は、検出した電流値を示すデータをCPU201に送る。
【0031】
スピンドルモータ7は、スピンドルアンプ6から電流の供給を受けて駆動する。スピンドルモータ7は、主軸に連結され、主軸を回転させる。
【0032】
PLC209は、ラダープログラムを実行して補助機器8を制御する装置である。PLC209は、I/Oユニット210を介して補助機器8に対して指令を送る。
【0033】
I/Oユニット210は、PLC209と補助機器8とを接続するインタフェースである。I/Oユニット210は、PLC209から受けた指令を補助機器8に送る。
【0034】
補助機器8は、加工機1に設置され、加工機1において補助的な動作を行う機器である。補助機器8は、加工機1の周辺に設置される機器であってもよい。補助機器8は、I/Oユニット210から受けた指令に基づいて動作する。補助機器8は、例えば、工具交換装置、切削液噴射装置、または開閉ドア駆動装置である。
【0035】
撮像装置9は、加工機1の全体、または一部を撮像する装置である。撮像装置9は、動画、および静止画を撮像するカメラである。撮像装置9は、例えば、加工プログラムの実行が開始されたタイミングで動画の撮像を開始する。撮像装置9は、例えば、加工機1における加工領域を撮像する。
【0036】
撮像装置9によって取得された画像は、例えば、バス202を介して不揮発性メモリ205に記憶される。また、撮像装置9は、画像とともに時間情報を取得する。時間情報は、例えば、撮像が行われている時刻、撮像開始からの経過時間である。
【0037】
次に、数値制御装置2に実装された稼働状況表示装置の機能の一例について説明する。
【0038】
図2は、稼働状況表示装置の機能の一例を示すブロック図である。稼働状況表示装置20は、現象設定テーブル211と、受付部212と、第1の取得部213と、稼働データ取得部214と、稼働データ記憶部215と、第2の取得部216と、画像取得部217と、画像記憶部218と、表示部219とを備える。
【0039】
現象設定テーブル211、および稼働データ記憶部215は、例えば、入出力装置3、および加工機1に設置された各種センサ(不図示)から入力されたデータ、およびパラメータが、RAM204、または不揮発性メモリ205に記憶されることにより実現される。画像記憶部218は、撮像装置9から取得された画像が不揮発性メモリ205に記憶されることにより実現される。
【0040】
受付部212、第1の取得部213、稼働データ取得部214、第2の取得部216、画像取得部217、および表示部219は、CPU201が、ROM203に記憶されているシステムプログラムならびに不揮発性メモリ205に記憶されている各種データを用いて演算処理することにより実現される。
【0041】
現象設定テーブル211は、加工機1で発生する現象を指定する現象指定情報と、加工機1の稼働データを特定する稼働データ特定情報と、稼働データから現象の発生を示す特徴データを抽出するための抽出条件とを関連付けて記憶するテーブルである。
【0042】
加工機1で発生する現象とは、例えば、加工機1の稼働中に発生する異常を示す現象である。加工機1で発生する現象には、主軸の負荷異常アラーム、異常振動アラーム、びびり現象、開閉扉の開閉異常アラームが含まれる。
【0043】
現象指定情報とは、加工機1で発生する現象の名称である。現象指定情報は、稼働データ特定情報と抽出条件とを取得するときのインデックスとして機能する。
【0044】
稼働データとは、加工機1の稼働中に、加工機1に設置されたセンサなどから取得される時系列データである。稼働データは、所定の周期ごとに取得される。稼働データには、主軸のトルクデータ、各制御軸のトルクデータ、各制御軸の位置偏差、音響データ、振動データ、開閉扉の開閉確認信号データが含まれる。
【0045】
稼働データ特定情報とは、例えば、稼働データの名称である。稼働データ特定情報は、稼働データを取得するときのインデックスとして機能する。
【0046】
特徴データとは、加工機1で現象が発生したときに稼働データに表れる特徴的なデータである。特徴データは、例えば、所定のしきい値以上の値を示す稼働データである。また、特徴データは、所定の時系列パターンを示す稼働データである。特徴データの具体例については、後に詳しく説明する。
【0047】
抽出条件とは、稼働データから特徴データを抽出するための条件である。抽出条件は、数値データ、または時系列パターンを含む。抽出条件が数値データである場合、例えば、数値データ以上の値を示す稼働データが特徴データとなる。また、抽出条件が時系列パターンである場合、抽出条件として設定された時系列パターンに一致するまたは類似する稼働データが特徴データとなる。抽出条件は、例えば、あらかじめ稼働状況表示装置20の製造メーカ、または作業者によって設定される。また、後述するように、抽出条件は、稼働状況表示装置20が自動的に設定するようにしてもよい。
【0048】
図3は、現象設定テーブル211の一例を示す図である。現象設定テーブル211には、現象指定情報として、「主軸の負荷異常アラーム」と、「びびりマーク」とが記憶されている。
【0049】
主軸の負荷異常アラームは、工具の損傷などにより主軸のトルク値が上昇したときに発生するアラームである。びびりマークとは、切削時における工具、またはワークの異常振動によりワークの表面に現れる波状のマークである。
【0050】
現象設定テーブル211には、稼働データ特定情報として、「主軸トルク」および「Z軸位置偏差」が「主軸の負荷異常アラーム」に関連付けて記憶されている。また、現象設定テーブル211には、稼働データ特定情報として、「主軸トルク」および「音響」が「びびりマーク」に関連付けて記憶されている。なお、位置偏差とは、制御軸の位置を指令する指令値と制御軸の位置を示す検出値との差である。
【0051】
また、現象設定テーブル211には、「主軸トルク」および「Z軸位置偏差」に対応する抽出条件として、それぞれ、「3A」および「1mm」が記憶されている。また、現象設定テーブル211には、「主軸トルク」および「音響」に対応する抽出条件として、それぞれ、「2A」および「20dB」が記憶されている。なお、主軸トルクはスピンドルモータに供給される電流値に比例するため、ここでは主軸トルクを電流値で示す。
【0052】
受付部212は、現象指定情報の入力を受け付ける。現象指定情報は、例えば、入出力装置3から作業者によって入力される。
【0053】
図4は、現象指定情報の入力画面の一例を示す図である。入力画面には、指定情報入力欄Fと、検索ボタンBが表示される。指定情報入力欄Fに現象指定情報が入力され、検索ボタンBが押されると、受付部212は、現象指定情報の入力を受け付ける。作業者は、指定情報入力欄Fに、例えば、「主軸の負荷異常アラーム」、「びびりマーク」などのワードを入力することができる。ここで、
図2の説明に戻る。
【0054】
第1の取得部213は、現象指定情報に基づいて、現象設定テーブル211から現象指定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得する。
【0055】
例えば、受付部212が現象指定情報として、「主軸の負荷異常アラーム」というワードを受け付けた場合、第1の取得部213は、「主軸の負荷異常アラーム」に関連付けられた稼働データ特定情報「主軸トルク」、「Z軸位置偏差」と、抽出条件「3A」、「1mm」を取得する。
【0056】
受付部212が現象指定情報として、「びびりマーク」というワードを受け付けた場合、第1の取得部213は、「びびりマーク」に関連付けられた稼働データ特定情報「主軸トルク」、「音響」と、抽出条件「2A」、「20dB」を取得する。
【0057】
なお、受付部212は、必ずしも現象設定テーブル211に記憶された現象指定情報と同じワードを受け付けなくてもよい。第1の取得部213は、受付部212が受け付けたワードと、現象設定テーブル211に記憶された現象指定情報とが一致しない場合、受付部212が受け付けたワードに類似する現象指定情報を特定し、特定した現象指定情報に関連付けて記憶された稼働データ特定情報と抽出条件とを取得する。
【0058】
稼働データ取得部214は、加工機1に設置されたセンサから稼働データを取得する。稼働データ取得部214は、所定周期ごとに稼働データを取得する。つまり、稼働データは、時系列データである。
【0059】
稼働データ取得部214は、稼働データとともに時間情報を取得する。時間情報は、例えば、稼働データが取得された時刻、または、加工機1の稼働の開始時からの経過時間である。加工機1の稼働の開始時とは、例えば、加工機1の電源の投入時、または、加工プログラムの実行の開始時である。
【0060】
稼働データ記憶部215は、稼働データ取得部214によって取得された加工機1の稼働データを記憶する。稼働データ記憶部215は、稼働データ取得部214によって取得された稼働データに時間情報を関連付けて記憶する。
【0061】
第2の取得部216は、第1の取得部213によって取得された稼働データ特定情報、および抽出条件に基づいて、稼働データから特徴データを取得する。
【0062】
第1の取得部213によって取得された稼働データ特定情報が「主軸トルク」および「Z軸位置偏差」であり、抽出条件が「3A」および「1mm」であるとする(
図3参照)。この場合、第2の取得部216は、まず、稼働データ記憶部215に記憶された主軸トルクを示す時系列データとZ軸位置偏差を示す時系列データとを取得する。
【0063】
次に、第2の取得部216は、主軸トルクを示す時系列データのうち、抽出条件を満たす特徴データを特定する。主軸トルクの抽出条件は「3A」である。したがって、第2の取得部216は、主軸トルクを示す時系列データのうち、3[A]以上を示す時系列データを特定する。つまり、主軸トルクを示す時系列データのうち、3[A]以上を示す時系列データが特徴データである。
【0064】
また、第2の取得部216は、Z軸位置偏差を示す時系列データのうち、抽出条件を満たす特徴データを特定する。Z軸位置偏差の抽出条件は「1mm」である。したがって、第2の取得部216は、Z軸位置偏差を示す時系列データのうち、1[mm]以上を示す時系列データを特定する。つまり、Z軸位置偏差を示す時系列データのうち、1[mm]以上を示す時系列データが特徴データである。
【0065】
第1の取得部213によって取得された稼働データ特定情報が「主軸トルク」および「音響」であり、抽出条件が「2A」および「20dB」であるとする(
図3参照)。この場合、第2の取得部216は、まず、稼働データ記憶部215に記憶された主軸トルクを示す時系列データと音響を示す時系列データを取得する。
【0066】
次に、第2の取得部216は、主軸トルクを示す時系列データのうち、抽出条件を満たす特徴データを特定する。主軸トルクの抽出条件は「2A」である。したがって、第2の取得部216は、主軸トルクを示す時系列データのうち、2[A]以上を示す時系列データを特定する。つまり、主軸トルクを示す時系列データのうち、2[A]以上を示す時系列データが特徴データである。
【0067】
また、第2の取得部216は、音響を示す時系列データのうち、抽出条件を満たす特徴データを特定する。音響の抽出条件は、「20dB」である。したがって、第2の取得部216は、音響を示す時系列データのうち、20[dB]以上を示す時系列データを特定する。つまり、音響を示す時系列データのうち、20[dB]以上を示す時系列データが特徴データである。
【0068】
画像取得部217は、加工機1を撮像した画像を取得する。画像取得部217が取得する画像は、動画を含む。画像取得部217は、加工機1の一部、または全体を撮像する撮像装置9から画像を取得する。画像取得部217は、加工機1を撮像した画像とともに、時間情報を取得する。時間情報は、撮像が行われている時刻、または、撮像の開始からの経過時間である。
【0069】
画像記憶部218は、画像取得部217によって取得された画像を記憶する。画像記憶部218は、時間情報に関連付けて画像を記憶する。
【0070】
表示部219は、第2の取得部216によって取得された特徴データと、特徴データに対応する画像とを表示画面に表示させる。
【0071】
図5は、特徴データと画像の表示例を示す図である。
図5は、
受付部212が現象指定情報として、「びびりマーク」を受け付けた場合の例である。表示部219は、主軸トルクの時系列データおよび音響の時系列データを表示画面に表示させる。また、表示部219は、主軸トルクの時系列データ、および音響の時系列データのうち、第2の取得部216によって特定された特徴データを強調表示する。特徴データを強調表示するとは、例えば、特徴データを示す部分を特徴データ以外の部分よりも太い線で示したり、高輝度の線で示したりすることを意味する。
【0072】
また、表示部219は、主軸トルクの時系列データおよび音響の時系列データに対応する画像を表示画面に表示させる。表示部219は、主軸トルクの時系列データおよび音響の時系列データに関連付けて記憶された時間情報と、画像に関連付けて記憶された時間情報を利用して、主軸トルクの時系列データおよび音響の時系列データと画像とを関連付けて表示させる。
【0073】
例えば、画像の再生ボタンが押されると、表示部219は、画像を再生表示させるとともに、再生されている画像が撮像されているときに取得された各時系列データの位置を示す直線Lを右側に移動させる。これにより、表示部219は、再生されている画像と主軸トルクの時系列データ、および音響データの時系列データとを関連付けて表示させることができる。
【0074】
また、作業者の操作によって直線Lが表示画面上で左右に動かされた場合、表示部219は、直線が指し示す位置の時系列データが取得されたときに撮像されている画像を再生させる。すなわち、時系列データに対応する画像とは、時系列データが取得された時刻と同じ時刻に撮像された画像である。
【0075】
表示部219は、画像の再生状況を示す再生状況表示領域Aを表示画面に表示させてもよい。再生状況表示領域Aとは、画像が再生される場合に、画像の再生位置を示す表示領域である。再生状況表示領域Aには、例えば、シークバーが表示される。
【0076】
表示部219は、特徴データに対応する画像の再生位置を再生状況表示領域Aにおいて強調表示するようにしてもよい。再生状況表示領域Aにシークバーが表示される場合、表示部219は、シークバー上において特徴データに対応する位置を、他の部分とは異なる色、または他の部分とは異なる輝度で表示する。これにより、特徴データに対応する画像の再生位置を強調表示することができる。
【0077】
次に、稼働状況表示装置20が実行する処理の流れについて説明する。
【0078】
図6は、稼働状況表示装置20が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、加工機1においてワークの加工が行われる場合、現象設定テーブル211の設定が行われる(ステップS1)。つまり、現象設定テーブル211に、現象指定情報と、稼働データ特定情報と、抽出条件とが関連付けて記憶される。
【0079】
次に、加工機1の稼働時に、稼働データと画像が取得される(ステップS2)。取得された稼働データ、および画像は、それぞれ、稼働データ記憶部215、および画像記憶部218に記憶される。
【0080】
次に、受付部212が、指定情報入力欄Fに入力された現象指定情報を受け付ける(ステップS3)。
【0081】
次に、第1の取得部213が、現象設定テーブル211から現象指定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得する(ステップS4)。
【0082】
次に、第2の取得部216が、稼働データから特徴データを取得する(ステップS5)。
【0083】
次に、表示部219が、特徴データと加工機1の画像とを表示画面に表示させ(ステップS6)、処理を終了する。
【0084】
なお、上述した実施形態では、表示部219は、稼働データとともに加工機1の画像を表示画面に表示させたが、必ずしも加工機1の画像を表示させる必要はなく、稼働データのみ表示させてもよい。この場合、稼働状況表示装置20は、画像取得部217、および画像記憶部218を備えている必要はない。
【0085】
以上説明したように、稼働状況表示装置20は、加工機1で発生する現象を指定する現象指定情報と、加工機1の稼働データを特定する稼働データ特定情報と、稼働データから現象の発生を示す特徴データを抽出するための抽出条件とを関連付けて記憶する現象設定テーブル211と、現象指定情報に基づいて、現象設定テーブル211から現象指定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得する第1の取得部213と、第1の取得部213によって取得された稼働データ特定情報、および抽出条件に基づいて、稼働データから特徴データを取得する第2の取得部216と、第2の取得部216によって取得された特徴データを表示画面に表示させる表示部219と、を備える。
【0086】
したがって、作業者は、加工機1において現象が発生したときの稼働データを容易に確認することができる。
【0087】
また、稼働状況表示装置20は、加工機1を撮像した画像を取得する画像取得部217をさらに備え、表示部219は、特徴データと、特徴データに対応する画像とを表示画面に表示させる。したがって、作業者は、加工機1において現象が発生したときの稼働データと画像とを容易に確認することができる。
【0088】
また、表示部219は、画像の再生状況を示す再生状況表示領域Aを表示画面に表示させるとともに、特徴データに対応する画像の再生位置を再生状況表示領域Aにおいて強調表示する。したがって、作業者は、加工機1において現象が発生したときに撮像された画像を容易に見つけることができる。
【0089】
また、稼働状況表示装置20は、現象指定情報の入力を受け付ける受付部212をさらに備え、第1の取得部213は、受付部212が受け付けた現象指定情報に基づいて、現象設定テーブル211から現象指定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得する。したがって、稼働状況表示装置20は、加工機1において発生した現象に合わせて、作業者が確認すべき画像と特徴データを素早く表示させることができる。
【0090】
稼働状況表示装置20は、さらに、表示画面に表示された画像と稼働データの表示履歴を取得する表示履歴取得部と、表示履歴取得部によって取得された表示履歴に基づいて現象設定テーブル211に抽出条件を設定する現象設定部と、を備えていてもよい。
【0091】
図7は、稼働状況表示装置20の機能の一例を示すブロック図である。稼働状況表示装置20は、
図2に示す機能に加え、さらに、表示履歴取得部220と、現象設定部221とを備える。表示履歴取得部220と現象設定部221以外の機能については、
図2に示す稼働状況表示装置20と同じであるため、それらの説明を省略する。
【0092】
表示履歴取得部220は、表示画面に表示された加工機1の画像と稼働データの表示履歴を取得する。
【0093】
図8は、表示履歴の取得について説明する図である。加工機1において何らかの現象が発生して、作業者が現象を示す画像とともに特徴データをチェックする場合、現象が発生したと思われる時間帯の画像は繰り返し再生される。表示履歴取得部220は、繰り返し再生が行われた時間帯の時系列データを切り出す。
図8に示す例では、t=130~150[s]の時間帯の画像が繰り返し再生されている。したがって、表示履歴取得部220は、t=130~150[s]に対応する主軸トルクの時系列パターン、および音響の時系列パターンを取得する。
【0094】
現象設定部221は、表示履歴取得部220によって取得された表示履歴に基づいて現象設定テーブル211に抽出条件を設定する。
【0095】
現象設定部221は、表示画面に表示されている稼働データを特定する稼働データ特定情報を現象設定テーブル211に記憶させる。
図8に示す例では、「主軸トルク」と「音響」が稼働データ特定情報として現象設定テーブル211に記憶される。
【0096】
次に、現象設定部221は、表示履歴取得部220によって取得された時系列パターンを抽出条件に設定する。つまり、現象設定部221は、表示履歴取得部220によって切り出された時系列パターンを抽出条件として現象設定テーブル211に記憶させる。
【0097】
最後に、作業者によって現象指定情報が入力され、入力された現象指定情報が、稼働データ特定情報および抽出条件に関連付けて記憶される。これにより、現象設定テーブル211に抽出条件が自動的に設定される。
【0098】
なお、現象設定部221は、表示履歴取得部220によって取得された時系列パターンが示す平均値、または標準偏差を抽出条件として設定してもよい。
【0099】
また、現象設定部221は、表示画面に表示された稼働データに対する操作に基づいて、現象設定テーブル211に抽出条件を設定してもよい。
【0100】
図9は、稼働データに対する操作に基づいて抽出条件が設定される例について説明する図である。現象設定部221は、例えば、作業者による入出力装置3に対する所定の操作に基づいて、稼働データに重ね合わせて1つの横線を表示させる。
【0101】
表示画面に横線が表示されると、作業者は、抽出条件として設定する数値に対応する位置に横線を移動させる。作業者による横線の移動が完了すると、現象設定部221は、横線の位置が示す数値を抽出条件に設定する。
【0102】
図10は、稼働データに対する操作に基づいて抽出条件が設定される他の例について説明する図である。現象設定部221は、例えば、作業者による入出力装置3に対する所定の操作に基づいて、稼働データに重ね合わせて1つの矩形の枠を表示させる。
【0103】
表示画面に枠が表示されると、作業者は、抽出条件として設定する時系列パターンに重なる位置に枠を移動させる。枠の移動が完了すると、現象設定部221は、枠で囲われた時系列パターンを抽出条件に設定する。現象設定部221は、枠で囲われた時系列パターンが示す平均値、または標準偏差を抽出条件に設定してもよい。また、枠の大きさは、変更可能にしてもよい。
【0104】
上述した実施形態では、稼働状況表示装置20は、受付部212が受け付けた現象指定情報に基づいて、特徴データと画像とを表示画面に表示させる。しかし、稼働状況表示装置20が、現象の発生箇所の指定を受け付ける発生箇所受付部をさらに備え、発生箇所受付部が受け付けた現象の発生箇所に基づいて特徴データと加工機1の画像を表示画面に表示するようにしてよい。
【0105】
図11は、発生箇所受付部を備えた稼働状況表示装置20の機能の一例を示す図である。発生箇所受付部222以外の機能については、
図2に示す稼働状況表示装置20が備える機能と同じである。そのため、発生箇所受付部222以外の機能については説明を省略する。
【0106】
発生箇所受付部222は、現象の発生箇所の指定を受け付ける。発生箇所受付部222は、例えば、表示画面に表示された加工機1の画像上の位置の指定に基づいて、現象の発生箇所の指定を受け付ける。発生箇所受付部222によって現象の発生箇所の指定が受け付けられるようにするために、表示部219は、例えば、加工機1の一部または全体を撮像した画像を表示画面に表示させる。
【0107】
図12は、表示画面に表示された加工機1の一部を撮像した画像の一例を示す図である。表示部219は画像を複数の領域に分割して表示する。表示部219は、例えば、画像を9つの領域1~9に分割して表示する。
【0108】
発生箇所受付部222は、表示画面に表示された複数の領域のうち一の領域が選択されることによって発生箇所の指定を受け付ける。
【0109】
現象設定テーブル211には、現象の発生箇所を特定する発生箇所特定情報が、現象指定情報、稼働データ特定情報、および抽出条件に関連付けて記憶される。
【0110】
図13は、現象設定テーブル211の一例を示す図である。現象設定テーブル211には、発生箇所特定情報として1~9が設定される。現象設定テーブル211に設定された1~9は、それぞれ、領域1~9に対応する。
【0111】
図12に示す画像における領域5には主軸が映し出されている。したがって、発生箇所特定情報の5番には、主軸に関する現象指定情報が記憶される。主軸に関する現象指定情報は、例えば、「主軸振動」である。また、「主軸振動」には、稼働データ特定情報として、「主軸トルク」が関連付けて記憶される。また、「主軸トルク」には抽出条件として「3A」が関連付けて記憶される。
【0112】
図12に示す画像における領域9には開閉扉が映し出されている。したがって、発生箇所特定情報の9番には、開閉扉に関連する現象指定情報が記憶される。開閉扉に関連する現象指定情報は、例えば、「扉部における切粉の堆積」である。「扉部における切粉の堆積」には、稼働データ特定情報として、「確認信号」が関連付けて記憶される。「確認信号」には、抽出条件として、「1」が関連付けて記憶される。扉の開動作または閉動作を指令する開信号または閉信号が出力されてから所定時間が経過しても扉の開動作または閉動作が完了したことを示す信号が出力されない場合に、確認信号として「1」が出力される。
【0113】
表示部219が加工機1の画像を9つの領域1~9に分割して表示し、例えば、作業者によって領域9が指定されたものする。この場合、発生箇所受付部222は、発生箇所特定情報として9番を受け付ける。また、第1の取得部213は、発生箇所受付部222が受け付けた発生箇所特定情報に基づいて、現象設定テーブル211から、稼働データ特定情報として「確認信号」、抽出条件として「1」を取得する。
【0114】
次に、第2の取得部216は、確認信号を示す稼働データから抽出条件「1」を満たす特徴データを取得する。
【0115】
最後に、表示部219が特徴データを表示画面に表示させる。このとき、表示部219は、特徴データに対応する加工機1の画像を特徴データに並べて表示させる。これにより、作業者は、扉部に切粉が堆積することによって開閉扉の開閉動作が途中で中断された時点の稼働データおよび画像を確認することができる。
【0116】
以上説明したように、稼働状況表示装置20は、現象の発生箇所の指定を受け付ける発生箇所受付部222をさらに備え、現象設定テーブル211は、さらに、発生箇所を特定する発生箇所特定情報を、現象指定情報、稼働データ特定情報、および抽出条件に関連付けて記憶し、第1の取得部213は、発生箇所受付部222が受け付けた発生箇所特定情報に基づいて、現象設定テーブル211から発生箇所を特定する発生箇所特定情報に関連付けられた稼働データ特定情報と、抽出条件とを取得する。また、発生箇所受付部222は、表示画面に表示された画像上の複数の領域のうち一の領域が選択された場合に発生箇所の指定を受け付ける。
【0117】
したがって、作業者は、表示画面に表示された加工機1の画像の一の領域を選択するだけで、選択された画像に映し出された構造物の特徴データを表示させることができる。
【0118】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本開示では、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 加工機
2 数値制御装置
20 稼働状況表示装置
201 CPU
202 バス
203 ROM
204 RAM
205 不揮発性メモリ
206 インタフェース
207 軸制御回路
208 スピンドル制御回路
209 PLC
210 I/Oユニット
211 現象設定テーブル
212 受付部
213 第1の取得部
214 稼働データ取得部
215 稼働データ記憶部
216 第2の取得部
217 画像取得部
218 画像記憶部
219 表示部
220 表示履歴取得部
221 現象設定部
222 発生箇所受付部
3 入出力装置
4 サーボアンプ
41 電流計
5 サーボモータ
6 スピンドルアンプ
61 電流計
7 スピンドルモータ
8 補助機器
9 撮像装置