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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20250527BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20250527BHJP
【FI】
B25J9/16
B23K26/00 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023548081
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2021034418
(87)【国際公開番号】W WO2023042399
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】畑田 将伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆博
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-030031(JP,A)
【文献】特開2010-117982(JP,A)
【文献】特開2014-205172(JP,A)
【文献】特開2001-062580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器を備えるロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記レーザ発振器を未処理状態から処理完了状態にする処理を実行させるための処理プログラムを、前記レーザ発振器の機種毎に記憶している記憶部と、
前記機種を選択可能に構成されている選択部と、
前記選択部により選択された機種に対応する前記処理プログラムを、前記記憶部から読み出して実行する処理部と、を有し、
前記処理部は、
前記選択部によって所定の第1機種が選択されると、前記第1機種に対応する前記処理プログラムを前記記憶部から読み出して実行することによって、前記第1機種の前記レーザ発振器を前記未処理状態から前記処理完了状態にする処理を完了させ、
前記選択部によって前記第1機種とは別の第2機種が選択されると、前記第2機種に対応する前記処理プログラムを前記記憶部から読み出して実行することによって、前記第2機種の前記レーザ発振器を前記未処理状態から前記処理完了状態にする処理を完了させる、
ロボット制御装置。
【請求項2】
前記未処理状態は、レーザ出力不能な初期状態であり、前記処理完了状態は、レーザ出力可能な準備完了状態であり、
前記処理プログラムは、前記レーザ発振器を前記初期状態から前記準備完了状態にする立上げ処理を実行させるための立上げプログラムである、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記未処理状態は、レーザ出力可能な準備完了状態であり、前記処理完了状態は、レーザ出力不能な初期状態であり、
前記処理プログラムは、前記レーザ発振器を前記準備完了状態から前記初期状態にする立下げ処理を実行させるための立下げプログラムである、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
レーザ発振器を備えるロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記レーザ発振器をレーザ出力不能な初期状態からレーザ出力可能な準備完了状態にする処理を実行させるための立上げ用の処理プログラムと、前記レーザ発振器を前記準備完了状態から前記初期状態に戻す処理を実行させるための立下げ用の処理プログラムとを、それぞれ前記レーザ発振器の機種毎に記憶している記憶部と、
前記機種を選択可能に構成されている選択部と、
前記選択部により選択された選択機種に対応する前記立上げ用の処理プログラムと、前記選択機種に対応する前記立下げ用の処理プログラムとを、前記記憶部から読み出して実行する処理部と、を有し、
前記処理部は、
前記選択部によって所定の第1機種が選択されると、前記第1機種に対応する前記立上げ用の処理プログラムを前記記憶部から読み出して実行することによって、前記第1機種の前記レーザ発振器を前記準備完了状態にする処理を完了させると共に、前記第1機種に対応する前記立下げ用の処理プログラムを前記記憶部から読み出して実行することによって、前記第1機種の前記レーザ発振器を前記初期状態に戻す処理を完了させ、
前記選択部によって所定の第2機種が選択されると、前記第2機種に対応する前記立上げ用の処理プログラムを前記記憶部から読み出して実行することによって、前記第2機種の前記レーザ発振器を前記準備完了状態にする処理を完了させると共に、前記第2機種に対応する前記立下げ用の処理プログラムを前記記憶部から読み出して実行することによって、前記第2機種の前記レーザ発振器を前記初期状態に戻す処理を完了させる、
ロボット制御装置。
【請求項5】
前記ロボット制御装置は、教示操作盤を有し、前記処理部は、前記教示操作盤によりなされた操作に基づいて、前記処理プログラムの実行を開始する、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記選択部により選択された前記機種に対応する前記処理プログラムと、前記ロボットにレーザ加工を実行させるための加工プログラムとが組み込まれた制御プログラムを実行することにより、前記処理プログラムと前記加工プログラムとを実行する、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ発振器を備えるロボットを制御するロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用のロボットの中には、アームに加工ノズルを備えており、加工ノズルからレーザを鋼板等に照射して加工を施すものがある。加工ノズルには、レーザ発振器から出力されるレーザが入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-30031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ発振器は、電源を投入しただけの初期状態では、レーザを出力することはできない。そのため、所定の立上げ処理を実行して、レーザ発振器を初期状態からレーザ出力可能な準備完了状態にする必要がある。ただし、その立上げ処理は、レーザ発振器の機種によって異なる場合がある。また、レーザ発振器を、準備完了状態から初期状態に戻す立下げ処理についても、レーザ発振器の機種によって異なる場合がある。
【0005】
そのため、ロボットの制御装置にPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を導入しておき、システム設計者が、使用するレーザ発振器の機種に合わせて、都度、立上げプログラムや立下げプログラム等の処理プログラムを、ラダー等により組む必要があった。
【0006】
また、各生産現場の用途に応じて、一台のロボットが複数のレーザ発振器を使い分ける場合においても、システム設計者は、使用するレーザ発振器の機種分だけ、立上げプログラムや立下げプログラム等の処理プログラムを準備する必要があった。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、システム設計者等のオペレータが、使用するレーザ発振器の機種に合わせて、都度、立上げプログラムや立下げプログラム等の処理プログラムを組む必要性をなくして、オペレータの作業を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の開示は、レーザ発振器を備えるロボットを制御するロボット制御装置であって、前記レーザ発振器を未処理状態から処理完了状態にする処理を実行させるための処理プログラムを、前記レーザ発振器の機種毎に記憶している記憶部と、前記機種を選択可能に構成されている選択部と、前記選択部により選択された機種に対応する前記処理プログラムを、前記記憶部から読み出して実行する処理部と、を有する。
【0009】
第1の開示によれば、選択部により機種を選択すれば、後は処理部により、選択機種に対応する処理プログラムを実行できる。そのため、オペレータは、使用するレーザ発振器の機種に合わせて、都度、処理プログラムを組む必要がなく、作業が軽減される。
【0010】
第2の開示は、レーザ発振器を備えるロボットを制御するロボット制御装置であって、前記レーザ発振器をレーザ出力不能な初期状態からレーザ出力可能な準備完了状態にする処理を実行させるための立上げ用の処理プログラムと、前記レーザ発振器を前記準備完了状態から前記初期状態に戻す処理を実行させるための立下げ用の処理プログラムとを、それぞれ前記レーザ発振器の機種毎に記憶している記憶部と、前記機種を選択可能に構成されている選択部と、前記選択部により選択された選択機種に対応する前記立上げ用の処理プログラムと、前記選択機種に対応する前記立下げ用の処理プログラムとを、前記記憶部から読み出して実行する処理部と、を有する。
【0011】
第2の開示によれば、選択部により機種を選択すれば、後は処理部により、選択機種に対応する立上げ用及び立下げ用の処理プログラムを実行できる。そのため、オペレータは、使用するレーザ発振器の機種に合わせて、都度、立上げ用及び立下げ用の処理プログラムを組む必要がなく、作業が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態のロボット制御装置及びその周辺を示すブロック図である。
図2】機種Aのレーザ発振器の立上げ処理を示すブロック図である。
図3】機種Bのレーザ発振器の立上げ処理を示すブロック図である。
図4】機種Cのレーザ発振器の立上げ処理を示すブロック図である。
図5】第2実施形態のロボット制御装置及びその周辺を示すブロック図である。
図6】第3実施形態のロボット制御装置及びその周辺を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱ない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0014】
[第1実施形態]
図1に示すように、ロボット40は、複数のレーザ発振器42とアーム45とを備える。なお、ここでは、複数のレーザ発振器42は、機種Aのレーザ発振器42aと、機種Bのレーザ発振器42bと、機種Cのレーザ発振器42cとの3つであるが、2つであっても、4つ以上であってもよい。また、ロボット40は、例えばこれら複数のレーザ発振器42a,42b,42cのうちのいずれか1つのみを、他のレーザ発振器と交換可能に備えていてもよい。
【0015】
各レーザ発振器42は、電源を投入しただけでは、レーザを出力することはできない。そのため、レーザ発振器42からレーザを出力するためには、所定の立上げ処理を実行して、レーザ出力不能な初期状態からレーザ出力可能な準備完了状態にする必要がある。
【0016】
アーム45は、加工ノズル452を備えている。加工ノズル452には、複数のレーザ発振器42a,42b,42cのうちのいずれか1つが択一的に接続される。加工ノズル452は、その接続されたレーザ発振器42から出力されるレーザを入力して照射する。
【0017】
ロボット制御装置30は、教示操作盤32と制御装置本体35とを有している。教示操作盤32は、選択部320と、立上げ指示部321と、加工指示部322と、立下げ指示部323とを有している。
【0018】
選択部320は、レーザ発振器42の機種A~Cを選択可能に構成されている。つまり、オペレータは、この選択部320を操作することにより、レーザ発振器42の機種A~Cを選択することができる。以下、この選択部320により選択されたレーザ発振器42の機種を「選択機種」という。
【0019】
立上げ指示部321は、レーザ発振器42の立上げ処理の開始を指示可能に構成されている。当該立上げ処理は、レーザ発振器42を、未処理状態としての初期状態から、処理完了状態としての準備完了状態にする処理である。加工指示部322は、ロボット40によるレーザ加工の開始を指示可能に構成されている。立下げ指示部323は、レーザ発振器42の立下げ処理の開始を指示可能に構成されている。当該立下げ処理は、レーザ発振器42を、未処理状態としての準備完了状態から、処理完了状態としての初期状態に戻す処理である。
【0020】
教示操作盤32は、これら選択部320、立上げ指示部321、加工指示部322及び立下げ指示部323を、例えばタッチパネル内に有していてもよいし、実物のボタン等として有していてもよい。
【0021】
制御装置本体35は、CPU、RAM、ROM等を有するコンピュータを主体に構成されており、記憶部355と処理部356とを有する。
【0022】
記憶部355は、ロボット制御装置30が対応を想定しているレーザ発振器42a~42cの機種A~C毎に、立上げ用の処理プログラムである立上げプログラムP1と、立下げ用の処理プログラムである立下げプログラムP3とを記憶している。つまり、記憶部355は、機種A用の立上げプログラムP1a及び立下げプログラムP3aと、機種B用の立上げプログラムP1b及び立下げプログラムP3bと、機種C用の立上げプログラムP1c及び立下げプログラムP3cと、を記憶している。また、記憶部355は、加工プログラムP2を記憶している。なお、この加工プログラムP2は、図では1つであるが、例えば用途別に複数有ってもよい。
【0023】
処理部356は、オペレータによる立上げ指示部321の操作により、レーザ発振器42の立上げが指示されると、選択機種の立上げプログラムP1を、記憶部355から読み込んで実行する。よって、例えば選択機種が機種Aの場合において、立上げが指示されると、処理部356は、機種Aの立上げプログラムP1aを実行する。他方、例えば選択機種が機種Bの場合において、立上げが指示されると、処理部356は、機種Bの立上げプログラムP1bを実行する。
【0024】
また、処理部356は、オペレータによる加工指示部322の操作により、レーザ加工が指示されると、加工プログラムP2を実行する。それにより、ロボット40を制御してレーザ加工を行う。
【0025】
また、処理部356は、オペレータによる立下げ指示部323の操作により、レーザ発振器42の立下げが指示されると、選択機種の立下げプログラムP3を、記憶部355から読み込んで実行する。よって、例えば選択機種が機種Aの場合において、立下げが指示されると、処理部356は、機種Aの立下げプログラムP3aを実行する。他方、例えば選択機種が機種Bの場合において、立下げが指示されると、処理部356は、機種Bの立下げプログラムP3bを実行する。
【0026】
次に、図2を参照しつつ、機種Aの立上げプログラムP1aに基づく立上げ処理について説明する。機種Aの立上げ処理では、まず、ロボット制御装置30が、自身による制御の許可を要求する「レーザ要求」をレーザ発振器42aに送信する。レーザ発振器42aは、これを受信すると、所定の要件を満たしていることを条件に制御を許可して「レーザ割当信号」をロボット制御装置30に送信する。ロボット制御装置30は、これを受信すると、「レーザON要求」をレーザ発振器42aに送信する。レーザ発振器42aは、これを受信すると、自身を初期状態から準備完了状態にして「レーザON信号」をレーザ発振器42aに送信する。ロボット制御装置30は、これを受信すると、自身によるアナログ制御の許可を要求する「アナログ制御ON要求」をレーザ発振器42aに送信する。レーザ発振器42aは、これを受信すると、所定の要件を満たしていることを条件にアナログ制御を許可して「アナログ制御ON信号」をロボット制御装置に送信すると共に、「レーザ準備完了信号」をロボット制御装置30に送信する。
【0027】
次に、図3を参照しつつ、機種Bの立上げプログラムP1bに基づく立上げ処理について説明する。機種Bの立上げ処理では、まず、ロボット制御装置30が、「インタロック解除要求」をレーザ発振器42bに送信する。レーザ発振器42bは、これを受信すると、所定の要件を満たしていることを条件に、自身のインタロックを解除して、「インタロック解除信号」をロボット制御装置30に送信する。ロボット制御装置30は、これを受信すると、自身によるアナログ制御の許可を要求する「アナログ制御要求」をレーザ発振器42bに送信する。レーザ発振器42bは、これを受信すると、所定の要件を満たしていることを条件にアナログ制御を許可して、「アナログ制御信号」をロボット制御装置30に送信する。ロボット制御装置30は、これを受信すると、「レーザ起動要求」をレーザ発振器42bに送信する。レーザ発振器42bは、これを受信すると、自身を初期状態から準備完了状態にして「レーザ準備完了信号」をレーザ発振器42bに送信する。
【0028】
次に、図4を参照しつつ、機種Cの立上げプログラムP1cに基づく立上げ処理について説明する。機種Cの立上げ処理では、まず、レーザ発振器42cが、パワーオンであることを示す「パワーオン信号」をロボット制御装置30に送信する。ロボット制御装置30は、これを受信すると、「スタート要求」をレーザ発振器42cに送信する。レーザ発振器42cは、これを受信すると、自身を初期状態から準備完了状態にして「アクティブ信号」をロボット制御装置30に送信する。ロボット制御装置30は、これを受信すると、自身による制御の許可を要求する「放射可能要求」をレーザ発振器42cに送信する。レーザ発振器42cは、これを受信すると、所定の要件を満たすことを条件に制御を許可して、「レーザ準備完了信号」をロボット制御装置30に送信する。
【0029】
以上の通り、これら機種A~Cのレーザ発振器42a~42cは、立上げ処理が互いに異なる。そのため、記憶部355は、このように機種A~C毎に、互いに異なる立上げプログラムP1a~P1cを有している。このことは、立下げプログラムP3a~P3cの場合においても同様である。つまり、記憶部355は、機種A~C毎に、互いに異なる立下げプログラムP3a~P3cを有している。
【0030】
次に、再び図1を参照しつつ、ロボット制御装置30を用いて、実際にロボット40を制御する手順について説明する。まず、オペレータが、加工ノズル452に所望のレーザ発振器42を接続する。ここでは、図1に実線で示すように、機種Aのレーザ発振器42aを、加工ノズル452に接続したものとする。次に、オペレータが、加工ノズル452に接続したレーザ発振器42の機種(つまりここでは、機種A)を、選択部320の操作により選択する。
【0031】
次に、オペレータが、立上げ指示部321の操作により、レーザ発振器42aの立上げを指示する。それにより、機種Aの立上げプログラムP1aが実行されて、レーザ発振器42aが初期状態から準備完了状態となる。
【0032】
次に、オペレータが、加工指示部322の操作により、レーザ加工を指示する。それにより、加工プログラムP2が実行されて、鋼板等の加工目的物にレーザ加工が施される。
【0033】
次に、オペレータが、立下げ指示部323の操作により、レーザ発振器42aの立下げを指示する。それにより、機種Aの立下げプログラムP3aが実行されて、レーザ発振器42aが準備完了状態から初期状態に戻る。
【0034】
以上の通り、本実施形態によれば、例えば機種Aを選択しておけば、レーザ発振器42の立上げを指示するだけで、機種Aの立上げ処理を実行でき、立下げを指示するだけで、機種Aの立下げ処理を実行できる。他方、例えば機種Bを選択しておけば、レーザ発振器42の立上げを指示するだけで、機種Bの立上げ処理を実行でき、立下げを指示するだけで、機種Bの立下げ処理を実行できる。そのため、オペレータは、使用するレーザ発振器42の機種に合わせて、都度、立上げプログラムP1や立下げプログラムP3を組む必要はない。そのため、オペレータの作業を軽減できる。
【0035】
[第2実施形態]
次に図5を参照しつつ第2実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0036】
本実施形態では、教示操作盤32が、第1実施形態でいう立上げ指示部321と立下げ指示部323とを有していない。代わりに、オペレータによる選択部320の操作により機種が選択されると、選択機種の立上げプログラムP1と、加工プログラムP2と、選択機種の立下げプログラムP3と、を含む制御プログラムPが組まれる。
【0037】
つまり、例えば機種Aが選択されると、図5に実施で示すように、機種Aの立上げプログラムP1aと、加工プログラムP2と、機種Aの立下げプログラムP3aと、を含む制御プログラムPが組まれる。他方、例えば機種Bが選択されると、図5に破線で示すように、機種Bの立上げプログラムP1bと、加工プログラムP2と、機種Bの立下げプログラムP3bと、を含む制御プログラムPが組まれる。
【0038】
その後、オペレータによる加工指示部322の操作により、レーザ加工が指示されると、処理部356により制御プログラムPが実行される。それにより、選択機種の立上げプログラムP1が実行されてから、加工プログラムP2が実行され、その後に選択機種の立下げプログラムP3が実行される。つまり、選択機種が機種Aの場合には、機種Aの立上げプログラムP1aが実行されてから、加工プログラムP2が実行され、その後に機種Aの立下げプログラムP3aが実行される。他方、選択機種が機種Bの場合には、機種Bの立上げプログラムP1bが実行されてから、加工プログラムP2が実行され、その後に機種Bの立下げプログラムP3bが実行される。
【0039】
以上の通り、本実施形態によれば、例えば機種Aを選択しておけば、レーザ加工を指示するだけで、機種Aの立上げ処理、レーザ加工処理、機種Aの立下げ処理を順に実行できる。他方、例えば機種Bを選択しておけば、レーザ加工の実行を指示するだけで、機種Bの立上げ処理、レーザ加工処理、機種Bの立下げ処理を順に実行できる。そのため、第1実施形態にも増して、オペレータの作業を軽減できる。
【0040】
しかも、本実施形態によれば、制御プログラムPに、立上げプログラムP1と加工プログラムP2と立下げプログラムP3とが組み込まれるため、立上げ処理と立下げ処理とをレーザ加工処理に同期させて無駄なく行うことができる。
【0041】
[第3実施形態]
次に図6を参照しつつ、第3実施形態について説明する。本実施形態については、第2実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同一又は類似の部分については、適宜説明を省略する。
【0042】
図6示すように、本実施形態では、教示操作盤32が選択部320を有しておらず、代わりに、制御装置本体35が選択部320を有している。選択部320は、加工ノズル452に接続されたレーザ発振器42の機種A~Cを、接続状況から自動で認識して、当該認識した機種A~Cを選択する。
【0043】
つまり、例えば図6に実線で示すように、加工ノズル452に機種Aのレーザ発振器42aが接続されると、選択部320が機種Aを自動で選択して、機種Aの立上げプログラムP1aと、加工プログラムP2と、機種Aの立下げプログラムP3aと、を含む制御プログラムPが組まれる。他方、図6に破線で示すように、加工ノズル452に機種Bのレーザ発振器42bが接続されると、選択部320が機種Bを自動で選択して、機種Bの立上げプログラムP1bと、加工プログラムP2と、機種Bの立下げプログラムP3bと、を含む制御プログラムPが組まれる。
【0044】
その後は、第2実施形態の場合と同様に、オペレータによる加工指示部322の操作により、レーザ加工が指示されると、処理部356により制御プログラムPが実行される。それにより、選択機種の立上げプログラムP1が実行されてから、加工プログラムP2が実行され、その後に選択機種の立下げプログラムP3が実行される。
【0045】
本実施形態によれば、オペレータが機種A~Cを選択する手間さえも軽減することができる。
【0046】
[他の実施形態]
以上の実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。
【0047】
記憶部355は、立上げプログラムP1と立下げプログラムP3とのうちの一方のみを、機種A~C毎に記憶しており、他方については機種A~C間で共通であってもよい。
【0048】
3種類以上のうちの一部の機種どうしの間で、立上げプログラムP1どうしが同じ又は共通であったり、立下げプログラムP3どうしが同じ又は共通であったりしてもよい。つまり、例えば、機種Aの立上げプログラムP1aと機種Bの立上げプログラムP1bとが同じ又は共通であって、機種Cの立上げプログラムP1cのみが、機種A,Bの立上げプログラムP1a,P1bと異なっていてもよい。
【0049】
加工プログラムP2の一部分についても、機種A~Cごとに異なっていてもよい。つまり、記憶部355は、加工プログラムP2の一部分についても、機種A~C毎に互いに異なる処理プログラムとして記憶しており、当該処理プログラムが選択機種に基づいて設定されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
30 ロボット制御装置
32 教示操作盤
320 選択部
321 立上げ指示部
322 加工指示部
323 立下げ指示部
35 制御装置本体
355 記憶部
356 処理部
40 ロボット
42 レーザ発振器
42a 機種Aのレーザ発振器
42b 機種Bのレーザ発振器
42c 機種Cのレーザ発振器
45 アーム
452 加工ノズル
P1 立上げプログラム
P1a 機種Aの立上げプログラム
P1b 機種Bの立上げプログラム
P1c 機種Cの立上げプログラム
P2 加工プログラム
P3 立下げプログラム
P3a 機種Aの立下げプログラム
P3b 機種Bの立下げプログラム
P3c 機種Cの立下げプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6