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  • 特許-ロータおよびモータ 図1
  • 特許-ロータおよびモータ 図2
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  • 特許-ロータおよびモータ 図4A
  • 特許-ロータおよびモータ 図4B
  • 特許-ロータおよびモータ 図5
  • 特許-ロータおよびモータ 図6
  • 特許-ロータおよびモータ 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】ロータおよびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20250527BHJP
【FI】
H02K1/276
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023550932
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036211
(87)【国際公開番号】W WO2023053371
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 佑輔
【審査官】加藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-181254(JP,A)
【文献】特開2011-101504(JP,A)
【文献】特開2007-159196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコアと、
該ロータコアに形成された複数の第一貫通孔のそれぞれに挿入された複数の磁石と、
前記ロータコアに形成された複数の第二貫通孔にそれぞれ挿入された複数のロッドとを備え、
前記複数の第一貫通孔のそれぞれと前記ロータコアの周方向に対して垂直な前記複数の磁石のそれぞれの側面との間の第一隙間は、前記複数の第二貫通孔と前記複数のロッドのそれぞれとの間の第二隙間よりも大きいようにしにしており、
前記ロータコアの周方向に対して垂直な前記複数の磁石の任意の側面は、該側面に対面する前記複数の第一貫通孔の任意の内壁全体に対して平行かつ移動可能であるようにした、ロータ。
【請求項2】
前記第一隙間は前記ロータコアの周方向に形成された隙間であり、
前記第二隙間は前記ロータコアの周方向に形成された隙間であり、
前記ロータコアの中心から前記複数の磁石のそれぞれまでの距離に対する前記第一隙間の比は、前記ロータコアの中心から前記複数のロッドのそれぞれまでの距離に対する前記第二隙間の比よりも大きいようにした、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記第一隙間および前記第二隙間のそれぞれはゼロより大きいようにした、請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記複数の磁石と前記複数のロッドとは互いに同数であり、
前記複数の磁石のうちのそれぞれは、前記複数のロッドのそれぞれよりも前記ロータコアの半径方向外側に位置しており、
前記ロータコアの中心から前記複数の磁石のそれぞれまでの距離は、前記ロータコアの中心から前記複数のロッドのそれぞれまでの距離よりも大きいようにした、請求項1に記載のロータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の前記ロータと、該ロータ周りに配置されたステータとを具備するモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、およびロータを含むモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「永久磁石回転子1は、柱状に積層されたロータヨーク2と、二対の板状の界磁用永久磁石3(3a,3b,3c,3d)とを有している。前記ロータヨーク2は、多数のけい素鋼板4を金型で抜きかつ一体に積層して形成されている。ロータヨーク2は、外周面に放射方向に突出した4つの磁極5(5a,5b,5c,5d)を有している。これら磁極の基部には、界磁用永久磁石を挿着させるスロット6(6a,6b,6c,6d)が設けられている。更に、ロータヨーク2の中心部には、回転軸を貫通させる回転軸孔が設けられている。また、スロットと回転軸孔との最短距離の間に、界磁用永久磁石の軸方向の固定用リベット貫通孔13aが設けられている。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-061261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータは、ロータ周りに配置されたステータと共にモータに組み込まれる。そのようなモータは、産業用機械、例えば工作機械等に設置される。そして、モータが機械からの外力やねじれ共振を受けると、想定以上のトルクがモータのロータにかかる場合がある。一般に、ロータコアは複数の磁性板を積層することにより形成されている。このため、ロータがねじれると、ロータの周方向に対して略垂直な磁石の側面が複数の磁性板のうちの一部の磁性板に接触して損傷し、その結果、モータのトルクが低下する可能性がある。
【0005】
それゆえ、ロータがねじれる場合であっても、モータのトルクを低下させないロータ、およびそのようなロータを備えたモータが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1番目の態様によれば、ロータコアと、該ロータコアに形成された複数の第一貫通孔のそれぞれに挿入された複数の磁石と、前記ロータコアに形成された複数の第二貫通孔にそれぞれ挿入された複数のロッドとを備え、前記複数の第一貫通孔のそれぞれと前記ロータコアの周方向に対して垂直な前記複数の磁石のそれぞれの側面との間の第一隙間は、前記複数の第二貫通孔と前記複数のロッドのそれぞれとの間の第二隙間よりも大きいようにしにしており、前記ロータコアの周方向に対して垂直な前記複数の磁石の任意の側面は、該側面に対面する前記複数の第一貫通孔の任意の内壁全体に対して平行かつ移動可能であるようにした、ロータ。
が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1番目の態様においては、磁石が配置された第一貫通孔の第一隙間は、ロッドが配置された第二貫通孔の第二隙間よりも大きいので、磁石は、ロッドよりも長距離にわたって隙間内を移動しうる。つまり、ロッドが第二隙間内で移動するのに比較すると、磁石が第一隙間内で移動するのに余裕代がある。このため、ロータがねじれるときには、ロータの周方向に対して垂直な磁石の側面が第一貫通孔の内壁に接触するよりも早く、ロッドが第二貫通孔の内壁に接触し、その結果、ロータがそれ以上ねじれないようになる。このため、磁石の側面が第一貫通孔の内壁に接触して破損するのを抑えることができる。従って、ロータがねじれる場合であっても、磁石は破損せず、それゆえ、モータのトルクが低下するのを防止できる。
【0008】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連した以下の実施形態の説明により一層明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に基づくロータを備えたモータの軸線方向断面図である。
図2】第一実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
図3】第二実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
図4A】第三実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
図4B】別の実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
図5】第四実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
図6】第五実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
図7】第六実施形態におけるロータの半径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は本開示に基づくロータを備えたモータの軸線方向断面図である。図2は第一実施形態におけるロータの半径方向断面図である。図1に示されるモータ1は、環状のステータ10と、ステータ10の内部に配置されたロータ20とを備えている。公知であるように、ステータ10の内周面には複数のスロット(図示しない)が等間隔で形成されており、これらスロットには、コイル11が配置されている。
【0011】
ロータ20は、ステータ10と同軸の回転軸線Oを有する円筒形状であり、回転軸線O回りで回転可能になるように軸受(図示しない)により支持されている。ロータ20のロータコア29は、複数の磁性板28、例えば電磁鋼板を積層することにより形成されている。複数の磁性板28のそれぞれには、複数の第一開口部および複数の第二開口部が形成されている。従って、複数の磁性板28を積層すると、ロータ20の軸線方向に対して平行に延びる複数の第一貫通孔21aおよび複数の第二貫通孔21bが形成される。
【0012】
図1および図2から分かるように、第一貫通孔21aのそれぞれには、一つの平板状の永久磁石が挿入されるか、または互いに並置された複数の平板状の永久磁石が挿入されている。以下においては、一つの平板状の永久磁石および複数の永久磁石を単に磁石31と呼ぶ。そして、第二貫通孔21bのそれぞれには、磁性体または非磁性体からなる硬質のロッド32が挿入される。
【0013】
さらに、ロータコア29の両端面は、第二貫通孔21bに対応した位置に形成された複数の貫通孔を備えた端板27により閉鎖される。そして、留具33、例えばボルト単体またはボルトとワッシャとの組合わせにより、ロッド32の端部を端板27に固定する。これにより、複数の磁性板からなるロータコア29が軸線方向に締付けられるようになる。この目的のために、ロッド32の端部には、留具33としてのボルトに係合するネジ山を備えた凹部が形成されるのが好ましい。
【0014】
ところで、図2を参照すると、複数の第一貫通孔21aはロータ20の周方向において等間隔に形成されている。さらに、複数の第二貫通孔21bもロータ20の周方向において等間隔に形成されている。ロータ20の半径方向における第一貫通孔21aの断面は矩形であり、第二貫通孔21bの断面は円形である。
【0015】
図2に示される例では、四つの第一貫通孔21aが互いに90°の角度をなすように形成されている。また、図2に示される例においては、四つの第一貫通孔21aは四つの第二貫通孔21bよりもロータ20の半径方向外側に形成されている。
【0016】
公知であるように、ロータ20は、ステータ10のコイル11に流れる電流により形成される回転磁界に従って、回転する。
【0017】
ところで、図2を参照すると、磁石31は、ロータ20の周方向に対して垂直な側面31a、31bを有する。言い換えれば、磁石31の側面31a、31bは、ロータ20の半径方向に対して垂直な磁石31の側面に隣接する側面である。そして、側面31aと、該側面31aに対面する第一貫通孔21aの内壁との間には、第一隙間C1が形成されている。なお、側面31bと、該側面31bに対面する第一貫通孔21aの内壁との間にも、同様な寸法の第一隙間C1が形成されていてもよい。
【0018】
また、ロータ20の半径方向に対して垂直な磁石31の側面と第一貫通孔21aの内壁との間の隙間は、第一隙間C1よりも小さいのが好ましい。このような第一隙間C1は、複数の磁石31のそれぞれと複数の第一貫通孔21aのそれぞれとの間に前述したように形成される。
【0019】
さらに、ロッド32の外周面と第二貫通孔21bの内周面との間には、環状の第二隙間C2が形成されている。前述した第一隙間C1は、第二隙間C2よりも大きいものとする。
【0020】
なお、第二隙間C2はロータ20の回転方向とは反対方向に向かうロッド32の外周面の一部分に形成されていてもよい。従って、第二貫通孔21bは、ロッド32の中心と同心またはロッド32の中心から偏心した楕円であってもよい。また、図示されるように、第二隙間C2は、ロッド32の外周面全体と第二貫通孔21bの内周面全体との間に形成されていてもよい。このような第二隙間C2は、複数のロッド32のそれぞれと複数の第二貫通孔21bのそれぞれとの間に前述したように形成される。第一隙間C1および第二隙間C2の寸法はゼロより大きいのが好ましい。これにより、磁石31およびロッド32をそれぞれ第一貫通孔21a、第二貫通孔21bに容易に挿入でき、ロータ20を容易に組み立てられる。
【0021】
ロータ20がステータ10内に配置されたモータ1を駆動すると、ロータ20がステータ10に対して相対的に回転する。そして、モータ1が設置された機械(図示しない)から外力やねじれ共振がモータ1に作用すると、ロータ20に想定以上のトルクがかかる場合がある。これにより、ロータ20がねじれ、磁石31の側面31a(および/または31b)が第一貫通孔21aの内壁に向かってロータ20の周方向に移動しうると共に、ロッド32が第二貫通孔21bの内壁に向かってロータ20の周方向に移動しうる。
【0022】
前述したように、磁石31が配置された第一貫通孔21aの第一隙間C1は、ロッド32が配置された第二貫通孔21bの第二隙間C2よりも大きい。従って、磁石31は、ロッド32よりも長距離にわたって移動しうる。つまり、ロッド32が第二隙間C2内で移動するのに比較すると、磁石31が第一隙間C1内で移動するのに余裕代が大きい。
【0023】
このため、ロータ20がねじれるときには、ロータ20の周方向に対して垂直な磁石31の側面31a(および/または31b)が第一貫通孔第一貫通孔21aの内壁に接触するよりも早く、ロッド32が第二貫通孔21bの内壁に接触し、その結果、ロータ20がそれ以上ねじれないようになる。このため、磁石31の側面31a(および/または31b)が第一貫通孔21aの内壁に接触して破損するのを抑えることができる。従って、本開示においてはロータ20がねじれる場合であっても、磁石31は破損せず、それゆえ、モータ1のトルクが低下するのを防止できる。このため、本開示は、ロータ20がロッド32を有しているモータ1に特に有利である。
【0024】
図2に示されるように、複数の磁石31が複数のロッド32よりも半径方向外側に位置する場合には、ロータ20の回転時に、磁石31が対応する第一貫通孔21aの内壁に向かって移動しやすい。このような場合の第一隙間C1は、第二隙間C2より大きく且つ、磁石31の想定される移動距離よりも大きく寸法決めすることで、磁石31が破損するのを同様に避けることができる。つまり、本開示は、複数の磁石31が複数のロッド32よりも半径方向外側に位置する場合に特に有利である。
【0025】
図3は、第二実施形態におけるロータの半径方向断面図である。図3においては、複数の磁石31が複数のロッド32よりも半径方向内側に位置している。このような構成においても、第二隙間C2よりも大きい第一隙間C1を形成することにより、前述したのと概ね同様な効果が得られる。従って、図3に示される構成も本開示の範囲に含まれる。
【0026】
磁石31がロータ20の半径方向に対して垂直に移動することを考慮すると、磁石31の側面31a、31bと、これらに対面する第一貫通孔21aの内壁とは互いに平行であるのが好ましい。この場合には、磁石31の側面31a、31bと第一貫通孔21aの内壁との間に、磁石31が移動可能な距離を十分に確保できる。さらに、磁石31の側面31a(31b)が第一貫通孔21aの内壁に接触したとしても、磁石31の側面31a(31b)全体が第一貫通孔21aの内壁に接触する。つまり、側面31aの一部分のみが第一貫通孔21aの内壁に接触するわけではない。従って、磁石31の側面31a(31b)の一部分に接触の力が集中し、当該一部分が破損するのを避けられる。
【0027】
図4Aは、第三実施形態におけるロータの半径方向断面図である。図4Aにおいては、複数の磁石31が複数のロッド32よりもロータ20の半径方向外側に位置している。図4Aにおいては、ロータコア29の中心から磁石31の中心までの距離L1と、ロータコア29の中心からロッド32の中心までの距離L2とが設定されている。なお、距離L1は、複数の磁石31のそれぞれについて共通であり、距離L2は複数のロッド32のそれぞれについて共通である。
【0028】
第三実施形態においては、距離L1に対する第一隙間C1の比R1は、距離L2に対する第二隙間C2の比R2よりも大きいように寸法決めしている。ロータ20がねじれるときには、ロータ20の中心からの半径方向距離が大きいほど、周方向への移動距離が大きくなる。前述したように比R1、R2を設定することにより、第一隙間C1および第二隙間C2を形成できる第一貫通孔21aおよび第二貫通孔21bを容易に設定でき、また、磁石31の破損を確実に防止できる。
【0029】
言い換えれば、距離L1に対する第一隙間C1の比R1が距離L2に対する第二隙間C2の比R2よりも大きければ、複数の磁石31と複数のロッド32との位置関係は限定されず、図3に示されるように、複数の磁石31が複数のロッド32よりもロータ20の半径方向内側に位置している。
【0030】
図2等においては、複数の磁石31のそれぞれの中心と複数のロッド32のそれぞれの中心とは、ロータ20の同一の半径上に位置している。しかしながら、別の実施形態におけるロータの半径方向断面図である図4Bに示されるように、複数の磁石31のそれぞれの中心と複数のロッド32のそれぞれの中心とが、ロータ20の異なる半径上に位置していてもよい。
【0031】
図4Bおよび図3に示される構成において距離L1に対する第一隙間C1の比R1が距離L2に対する第二隙間C2の比R2よりも大きい場合には、前述したのと同様の効果が得られ、また、本開示の範囲に含まれる。なお、図4Bおよび図3に示される構成において第一隙間C1が第二隙間C2より大きい場合も同様である。
【0032】
図5は第四実施形態におけるロータの半径方向断面図である。図5においては複数の磁石31のうちのそれぞれと、該複数の磁石31のそれぞれに対応した位置にある複数のロッド32のうちのそれぞれとが同位相にある。そして、ロータコア29の中心から磁石31の中心までの距離L1は、ロータコア29の中心からロッド32の中心までの距離L2よりも大きい。このような場合には、図5に曲線で示されるように、磁束はロッド32上を通過しないようになる。このため、磁気飽和するのを抑えられるモータ1を提供することができる。
【0033】
さらに、図6は第五実施形態におけるロータの半径方向断面図である。図6においては、八つの第一貫通孔21aおよび八つの第二貫通孔21bがロータ20の周方向において等間隔に形成されている。そして、これら第一貫通孔21aおよび第二貫通孔21bには、磁石31およびロッド32がそれぞれ挿入されている。このような場合にも、前述したのと同様な第一隙間C1および第二隙間C2(いずれも図示しない)が形成されており、従って、前述したのと同様な効果を得ることができる。
【0034】
ただし、第五実施形態における第一隙間C1および第二隙間C2は、図2に示される第一隙間C1および第二隙間C2よりもそれぞれ小さいものとする。このように、八つの磁石31および八つのロッド32を備える構成であっても、本開示の範囲に含まれる。なお、磁石31およびロッド32の数が、4および8以外の場合であっても、第一隙間C1および第二隙間C2の前述した関係および/または比R1および比R2の前述した関係を満たす限り、本開示の範囲に含まれる。同様に、第一隙間C1および第二隙間C2の前述した関係および/または比R1および比R2の前述した関係を満たす限り、磁石31の数とロッド32との数が互いに異なっていてもよい。
【0035】
図7は第六実施形態におけるロータの半径方向断面図である。第六実施形態においては、ロータ20の半径方向における磁石31の断面は矩形ではない。図7に示される例においては、ロータ20の中心から遠方に位置する磁石31の側面は外方に向かって湾曲している。ロータ20の半径方向における磁石31の断面は弦と弧とで囲まれた、円の一部であってもよい。このように、第一隙間C1および第二隙間C2の前述した関係および/または比R1および比R2の前述した関係を満たす限り、ロータ20の半径方向における磁石31の断面が異なっていてもよい。
【0036】
なお、図7に示される実施形態においても、ロータ20の周方向に対して垂直な磁石31の側面と、該側面に対面した第一貫通孔21aの内壁とは互いに平行であるのが好ましい。その理由は、ロータ20がねじれて磁石31が周方向に移動する際に、磁石31の側面全体を第一貫通孔21aの内壁に接触させるようにするためである。これにより、磁石31の側面が移動する余裕代を確保することができる。
【0037】
これに対し、ロータ20の周方向に対して垂直な磁石31の側面と、該側面に対面した第一貫通孔21aの内壁とが互いに平行でない場合には、磁石31が周方向に移動する際に、磁石31の側面の一部分が、他の部分よりも先に、第一貫通孔21aの内壁に接触しうる。そして、その結果、磁石31の側面の上記一部分が破損する可能性がある。本開示においては、そのような事態を避けることが可能である。
【0038】
なお、前述した実施形態のいずれかにおけるロータ20を含むモータ1も本開示の範囲に含まれる。
【0039】
本開示の態様
1番目の態様によれば、ロータコア(29)と、該ロータコアに形成された複数の第一貫通孔(21a)のそれぞれに挿入された複数の磁石(31)と、前記ロータコアに形成された複数の第二貫通孔(21b)にそれぞれ挿入された複数のロッド(32)とを備え、前記複数の第一貫通孔のそれぞれと前記複数の磁石のそれぞれとの間の第一隙間(C1)は、前記複数の第二貫通孔と前記複数のロッドのそれぞれとの間の第二隙間(C2よりも大きいようにしたロータ20が提供される。
2番目の態様によれば、1番目の態様において、前記第一隙間は前記ロータコアの周方向に形成された隙間であり、前記第二隙間は前記ロータコアの周方向に形成された隙間であり、前記ロータコアの中心から前記複数の磁石のそれぞれまでの距離(L1に対する前記第一隙間の比(R1)は、前記ロータコアの中心から前記複数のロッドのそれぞれまでの距離(L2)に対する前記第二隙間の比(R2)よりも大きいようにした。
3番目の態様によれば、1番目または2番目の態様において、前記第一隙間および前記第二隙間のそれぞれはゼロより大きいようにした。
4番目の態様によれば、1番目の態様において、前記複数の磁石のうちのそれぞれと、該複数の磁石のそれぞれに対応した位置にある前記複数のロッドのうちのそれぞれとが同位相にある場合において、前記ロータコアの中心から前記複数の磁石のそれぞれでの距離は、前記ロータコアの中心から前記複数のロッドのそれぞれまでの距離よりも大きいようにした。
5番目の態様によれば、1番目から4番目のいずれかの態様におけるロータと、該ロータ周りに配置されたステータ(10)とを具備するモータ(1)が提供される。
【0040】
態様の効果
1番目および5番目の態様においては、ロータがねじれるときには、ロータの軸線方向に対して垂直な磁石の側面が第一貫通孔の内壁に接触するよりも早く、ロッドが第二貫通孔の内壁に接触し、その結果、ロータがそれ以上ねじれないようになる。このため、磁石の側面が第一貫通孔の内壁に接触して破損するのを抑えることができる。従って、ロータがねじれる場合であっても、磁石は破損せず、それゆえ、モータのトルクが低下するのを防止できる。
2番目の態様においては、磁石の破損を確実に防止できる。
3番目の態様においては、磁石およびロッドをそれぞれ第一貫通孔および第二貫通孔に容易に挿入でき、ロータを容易に組立れられる。
4番目の態様においては、磁気飽和するのを抑えられるモータを提供できる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、後述する請求の範囲の開示範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を為し得ることは、当業者に理解されよう。
【符号の説明】
【0042】
1 モータ
10 ステータ
20 ロータ
21a 第一貫通孔
21b 第二貫通孔
27 端板
28 磁性板
29 ロータコア
31 磁石
31a、31b 側面
32 ロッド
33 留具
C1 第一隙間
C2 第二隙間
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7