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特許7688146通信制御方法、中継ノード、セルラ通信システム、チップセット、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】通信制御方法、中継ノード、セルラ通信システム、チップセット、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/02 20090101AFI20250527BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20250527BHJP
   H04W 80/04 20090101ALI20250527BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20250527BHJP
【FI】
H04W40/02
H04W24/04
H04W80/04
H04W88/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023554696
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2022038727
(87)【国際公開番号】W WO2023068257
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】63/257,238
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヘンリー
【審査官】玉田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】Fujitsu,Open issues on (re-)routing [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #115-e R2-2107648,Internet<https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_115-e/Docs/R2-2107648.zip>,2021年08月06日,pages 1-9,[検索日 2024-06-10]
【文献】vivo,On Inter-CU routing, Inter-donor-DU rerouting and local re-routing [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #115-e R2-2107861,Internet<https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_115-e/Docs/R2-2107861.zip>,2021年08月06日,pages 1-11,[検索日 2024-06-10]
【文献】3GPP TS 38.340 V16.4.0 (2021-03)[online],Internet<https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/38_series/38.340/38340-g40.zip>,2021年03月30日,pages 1-22,[検索日 2024-06-10]
【文献】FUTUREWEI,Solutions for Inter-Donor Routing and Bearer Mapping [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #115-e R2-2108482,Internet<https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_115-e/Docs/R2-2108482.zip>,2021年08月06日,pages 1-7,[検索日 2024-06-10]
【文献】Kyocera,BH RLF Indications and local rerouting for eIAB[online],3GPP TSG RAN WG2 #115-e R2-2107997,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_115-e/Docs/R2-2107997.zip>,2021年08月06日,[検索日 2025-04-09]
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,discussion on Inter-CU topology redundancy[online],3GPP TSG RAN WG3 #113-e R3-213532,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_113-e/Docs/R3-213532.zip>,2021年08月06日,[検索日 2025-04-09]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ通信システムで用いる通信制御方法であって、
中継ノードが、アップストリーム方向のパケットを受信することと、
前記中継ノードが、前記パケットに対して、複数のルーティングIDを有するルーティング設定情報に基づいてルーティング処理を行うことと、を有し、
前記ルーティング処理を行うことは、
前記パケットのBAPヘッダに含まれる宛先情報と一致するルーティングIDに対応する流出バックホールリンクが利用不能であり、且つ、ドナーDU間リルーティングが可能である旨がドナーノードにより前記中継ノードに指示されている場合、前記パケットに対して前記ドナーDU間リルーティングを行うことと、を含む、
通信制御方法。
【請求項2】
更に、前記中継ノードが、前記ドナーDU間リルーティングを行うパケットに対して、当該パケットの宛先を書き替えるBAPヘッダ書き替え処理を実行することを有する
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記BAPヘッダ書き替え処理を実行することは、
前記ルーティング設定情報に含まれる所定ルーティングIDに対応する流出バックホールリンクが利用可能である場合、前記所定ルーティングIDを前記パケットのヘッダに書き込むことを含む
請求項2に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記中継ノードが、トポロジ内ルーティング及びトポロジ間ルーティングの両方に適用可能な前記ルーティング設定情報をドナーノードから受信することをさらに有し、
前記ルーティング設定情報において、前記トポロジ間ルーティングに適用するエントリは、前記トポロジ間ルーティングであることを示す情報を含む
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項5】
前記中継ノードは、異なるドナーCUに属するトポロジ間で前記ドナーDU間リルーティングを行う
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項6】
前記中継ノードが、各トポロジにおける当該中継ノードのBAPアドレスが設定されることと、
前記中継ノードのBAPレイヤが、前記パケットを受信することと、
前記BAPレイヤが、前記パケットの流入バックホールRLCチャネルと対応付けられる前記トポロジにおける前記中継ノードのBAPアドレスが、前記パケットのヘッダに含まれる宛先BAPアドレスと一致する場合、前記パケットを上位レイヤへ出力することと、を、有する
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項7】
前記中継ノードは、第1ドナーノードの第1トポロジとの接続と、第2ドナーノードの第2トポロジとの接続との2つの接続を有する境界中継ノードである
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記中継ノードは、前記第1ドナーノード及び前記第2ドナーノードのうち一方のドナーノードとのRRC接続を有し、前記第1ドナーノード及び前記第2ドナーノードのうち他方のドナーノードとのF1接続を有する
請求項7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記中継ノードは、
前記第1ドナーノードが管理する前記第1トポロジにおける第1BAPアドレスが設定され、
前記第2ドナーノードが管理する前記第2トポロジにおける第2BAPアドレスが設定される
請求項7に記載の通信制御方法。
【請求項10】
前記第1BAPアドレス及び前記第2BAPアドレスのそれぞれは、F1APメッセージ又はRRCメッセージにより前記中継ノードに設定される
請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項11】
前記パケットを前記上位レイヤへ出力することは、
前記パケットのBAPヘッダを取り除くことと、
前記BAPヘッダが取り除かれた前記パケットを前記上位レイヤに出力することと、を含む
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項12】
前記パケットを前記上位レイヤへ出力することは、
前記BAPレイヤの受信部分が前記パケットを前記上位レイヤへ出力することを含む
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項13】
前記BAPレイヤの受信部分が、前記パケットの前記流入バックホールRLCチャネルと対応付けられる前記トポロジにおける前記中継ノードの前記BAPアドレスが、前記パケットの前記ヘッダに含まれる前記宛先BAPアドレスと一致しない場合、前記パケットを前記BAPレイヤの送信部分へ出力することをさらに有する
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項14】
セルラ通信システムで用いる中継ノードであって、
アップストリーム方向のパケットを受信する受信部と、
前記パケットに対して、複数のルーティングIDを有するルーティング設定情報に基づいてルーティング処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ルーティング処理において、前記パケットのBAPヘッダに含まれる宛先情報と一致するルーティングIDに対応する流出バックホールリンクが利用不能であり、且つ、ドナーDU間リルーティングが可能である旨がドナーノードにより前記中継ノードに指示されている場合、前記パケットに対して前記ドナーDU間リルーティングを行う
中継ノード。
【請求項15】
請求項14に記載の中継ノードを備えるセルラ通信システム。
【請求項16】
請求項1に記載の通信制御方法を実行するチップセット。
【請求項17】
請求項1に記載の通信制御方法を中継ノードに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルラ通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)において、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノードと呼ばれる新たな中継ノードの導入が検討されている(例えば、「3GPP TS 38.300 V16.7.0(2021-09)」参照)。1又は複数の中継ノードが、基地局とユーザ装置との間の通信に介在し、この通信に対する中継を行う。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様に係る通信制御方法は、中継ノードが、アップストリーム方向のパケットを受信することと、前記中継ノードが、前記パケットに対して、複数のルーティングIDを有するルーティング設定情報に基づいてルーティング処理を行うことと、を有する。前記ルーティング処理を行うことは、前記パケットのBAPヘッダに含まれる宛先情報と一致するルーティングIDに対応する流出バックホールリンクが利用不能である場合、前記パケットに対してドナーDU間リルーティングを行うこととを含む。
【0004】
第2の態様に係る中継ノードは、セルラ通信システムで用いる中継ノードである。前記中継ノードは、アップストリーム方向のパケットを受信する受信部と、前記パケットに対して、複数のルーティングIDを有するルーティング設定情報に基づいてルーティング処理を行う制御部と、を備える。前記制御部は、前記ルーティング処理において、前記パケットのBAPヘッダに含まれる宛先情報と一致するルーティングIDに対応する流出バックホールリンクが利用不能である場合、前記パケットに対してドナーDU間リルーティングを行う。
【0005】
第3の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、ドナーノードが、中継ノードに対して、第1ドナーノードの第1宛先アドレスと、第2ドナーノードの第2宛先アドレスとを設定するステッを有する。また、前記通信制御方法は、中継ノードが、アップストリーム方向のパケットを受信するステップを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、ルーティング処理を行い、パケットを次ホップ中継ノードへ送信できないことを判別するステップを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、判別したパケットに対して、当該パケットの第1宛先アドレスと一致するBAPアドレスを含む第1ルーティングIDがルーティングテーブルに存在しない場合、第2宛先アドレスと一致するBAPアドレスを含む第2ルーティングIDをルーティングテーブルから選択するステップを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、第2ルーティングIDをパケットのヘッダに書き込むステップを有する。ここで、第2宛先アドレスは第1宛先アドレスに紐づけられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例を示す図である。
図2図2は、IABノードと親ノード(Parent nodes)と子ノード(Child nodes)との関係を示す図である。
図3図3は、一実施形態に係るgNB(基地局)の構成例を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係るIABノード(中継ノード)の構成例を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
図6図6は、IAB-MTのRRC接続及びNAS接続に関するプロトコルスタックの例を示す図である。
図7図7は、F1-Uプロトコルに関するプロトコルスタックの例を示す図である。
図8図8は、F1-Cプロトコルに関するプロトコルスタックの例を示す図である。
図9図9(A)は「CU内/ドナーDU内」シナリオ、図9(B)は「CU内/ドナーDU間」シナリオ、図9(C)は「CU間」シナリオにおけるトポロジの構成例を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る第1動作例を表す図である。
図11図11は、第1実施形態に係る第1動作例をまとめた図面である。
図12図12は、第1実施形態の変形例4に係る動作例を表す図である。
図13図13は、第1実施形態に係る第2動作例を表す図である。
図14図14は、第1実施形態に係るBAP Data PDUパケットの構成例を表す図である。
図15図15は、第1実施形態に係る第3動作例を表す図である。
図16図16は、第1実施形態に係る第4動作例を表す図である。
図17図17は、第1実施形態に係る第5動作例を表す図である。
図18図18は、第1実施形態に係る第6動作例を表す図である。
図19図19(A)と図19(B)は、第2実施形態に係るトポロジの構成例を表す図である。
図20図20は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
図21図21は、第2実施形態に係る変形例を表す図である。
図22図22は、第3実施形態に係る第1動作例を表す図である。
図23図23は、第3実施形態に係る第1動作例をまとめた図である。
図24図24は、第3実施形態に係る第2動作例を表す図である。
図25図25は、第3実施形態に係る第3動作例を表す図である。
図26図26は、第3実施形態に係る第3動作例をまとめたものである。
図27図27は、第4実施形態に係るIABノードの構成例を表している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照しながら、実施形態に係るセルラ通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0008】
(セルラ通信システムの構成)
一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例について説明する。一実施形態に係るセルラ通信システム1は3GPPの5Gシステムである。具体的には、セルラ通信システム1における無線アクセス方式は、5Gの無線アクセス方式であるNR(New Radio)である。但し、セルラ通信システム1には、LTE(Long Term Evolution)が少なくとも部分的に適用されてもよい。また、セルラ通信システム1は、6Gなど、将来のセルラ通信システムも適用されてよい。
【0009】
図1は、一実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、セルラ通信システム1は、5Gコアネットワーク(5GC)10と、ユーザ装置(UE:User Equipment)100、基地局装置(以下、「基地局」と称する場合がある。)200-1,200-2、及びIABノード300-1,300-2を有する。基地局200は、gNBと呼ばれる場合がある。
【0011】
以下において、基地局200がNR基地局である一例について主として説明するが、基地局200がLTE基地局(すなわち、eNB)であってもよい。
【0012】
なお、以下において、基地局200-1,200-2をgNB200(又は基地局200)、IABノード300-1,300-2をIABノード300とそれぞれ称する場合がある。
【0013】
5GC10は、AMF(Access and Mobility Management Function)11及びUPF(User Plane Function)12を有する。AMF11は、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う装置である。AMF11は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPF12は、ユーザデータの転送制御等を行う装置である。
【0014】
各gNB200は、固定の無線通信ノードであって、1又は複数のセルを管理する。セルは、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。セルは、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語として用いられることがある。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。以下では、セルと基地局とを区別しないで用いる場合がある。
【0015】
各gNB200は、NGインターフェイスと呼ばれるインターフェイスを介して5GC10と相互に接続される。図1において、5GC10に接続された2つのgNB200-1及びgNB200-2を例示している。
【0016】
各gNB200は、集約ユニット(CU:Central Unit)と分散ユニット(DU:Distributed Unit)とに分割されていてもよい。CU及びDUは、F1インターフェイスと呼ばれるインターフェイスを介して相互に接続される。F1プロトコルは、CUとDUとの間の通信プロトコルであって、制御プレーンのプロトコルであるF1-CプロトコルとユーザプレーンのプロトコルであるF1-Uプロトコルとがある。
【0017】
セルラ通信システム1は、バックホールにNRを用いてNRアクセスの無線中継を可能とするIABをサポートする。ドナーgNB200-1(又はドナーノード。以下、「ドナーノード」と称する場合がある。)は、ネットワーク側のNRバックホールの終端ノードであり、IABをサポートする追加機能を備えたドナー基地局である。バックホールは、複数のホップ(すなわち、複数のIABノード300)を介するマルチホップが可能である。
【0018】
図1において、IABノード300-1がドナーノード200-1と無線で接続し、IABノード300-2がIABノード300-1と無線で接続し、F1プロトコルが2つのバックホールホップで伝送される一例を示している。
【0019】
UE100は、セルとの無線通信を行う移動可能な無線通信装置である。UE100は、gNB200又はIABノード300との無線通信を行う装置であればどのような装置であってもよい。例えば、UE100は、携帯電話端末やタブレット端末、ノートPC、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置である。UE100は、アクセスリンクを介してIABノード300又はgNB200に無線で接続する。図1において、UE100がIABノード300-2と無線で接続される一例を示している。UE100は、IABノード300-2及びIABノード300-1を介してドナーノード200-1と間接的に通信する。
【0020】
図2は、IABノード300と親ノード(Parent nodes)と子ノード(Child nodes)との関係例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、各IABノード300は、基地局機能部に相当するIAB-DUとユーザ装置機能部に相当するIAB-MT(Mobile Termination)とを有する。
【0022】
IAB-MTのNR Uu無線インターフェイス上の隣接ノード(すなわち、上位ノード)は、親ノードと呼ばれる。親ノードは、親IABノード又はドナーノード200のDUである。IAB-MTと親ノードとの間の無線リンクは、バックホールリンク(BHリンク)と呼ばれる。図2において、IABノード300の親ノードがIABノード300-P1及び300-P2である一例を示している。なお、親ノードへ向かう方向は、アップストリーム(upstream)と呼ばれる。UE100から見て、UE100の上位ノードは親ノードに該当し得る。
【0023】
IAB-DUのNRアクセスインターフェイス上の隣接ノード(すなわち、下位ノード)は、子ノードと呼ばれる。IAB-DUは、gNB200と同様に、セルを管理する。IAB-DUは、UE100及び下位のIABノードへのNR Uu無線インターフェイスを終端する。IAB-DUは、ドナーノード200-1のCUへのF1プロトコルをサポートする。図2において、IABノード300の子ノードがIABノード300-C1~300-C3である一例を示しているが、IABノード300の子ノードにUE100が含まれてもよい。なお、子ノードへ向かう方向は、ダウンストリーム(downstream)と呼ばれる。
【0024】
また、1つ又は複数のホップを介して、ドナーノード200に接続されている全てのIABノード300は、ドナーノード200をルートとする有向非巡回グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph)トポロジ(以下、「トポロジ」と称する場合がある。)を形成する。このトポロジにおいて、図2に示すように、IAB-DUのインターフェイス上の隣り合うノードが子ノード、IAB-MTのインターフェイス上の隣り合うノードが親ノードとなる。ドナーノード200は、例えば、IABトポロジのリソース、トポロジ、ルート管理などを集中的に行う。ドナーノード200は、バックホールリンクとアクセスリンクのネットワークを介して、UE100に対して、ネットワークアクセスを提供するgNBである。
【0025】
(基地局の構成)
次に、実施形態に係る基地局であるgNB200の構成について説明する。図3は、gNB200の構成例を示す図である。図3に示すように、gNB200は、無線通信部210と、ネットワーク通信部220と、制御部230とを有する。
【0026】
無線通信部210は、UE100との無線通信及びIABノード300との無線通信を行う。無線通信部210は、受信部211及び送信部212を有する。受信部211は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部211はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部230に出力する。送信部212は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部212はアンテナを含み、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0027】
ネットワーク通信部220は、5GC10との有線通信(又は無線通信)及び隣接する他のgNB200との有線通信(又は無線通信)を行う。ネットワーク通信部220は、受信部221及び送信部222を有する。受信部221は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部221は、外部から信号を受信して受信信号を制御部230に出力する。送信部222は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部222は、制御部230が出力する送信信号を外部に送信する。
【0028】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部230は、以下に示す各実施形態において、gNB200における各処理又は各動作を行ってもよい。
【0029】
(中継ノードの構成)
次に、実施形態に係る中継ノード(又は中継ノード装置。以下、「中継ノード」と称する場合がある。)であるIABノード300の構成について説明する。図4は、IABノード300の構成例を示す図である。図4に示すように、IABノード300は、無線通信部310と、制御部320とを有する。IABノード300は、無線通信部310を複数有していてもよい。
【0030】
無線通信部310は、gNB200との無線通信(BHリンク)及びUE100との無線通信(アクセスリンク)を行う。BHリンク通信用の無線通信部310とアクセスリンク通信用の無線通信部310とが別々に設けられていてもよい。
【0031】
無線通信部310は、受信部311及び送信部312を有する。受信部311は、制御部320の制御下で各種の受信を行う。受信部311はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部320に出力する。送信部312は、制御部320の制御下で各種の送信を行う。送信部312はアンテナを含み、制御部320が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0032】
制御部320は、IABノード300における各種の制御を行う。制御部320は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサ及びCPUを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部320は、以下に示す各実施形態において、IABノード300における各処理又は各動作を行ってもよい。
【0033】
(ユーザ装置の構成)
次に、実施形態に係るユーザ装置であるUE100の構成について説明する。図5は、UE100の構成例を示す図である。図5に示すように、UE100は、無線通信部110と、制御部120とを有する。
【0034】
無線通信部110は、アクセスリンクにおける無線通信、すなわち、gNB200との無線通信及びIABノード300との無線通信を行う。また、無線通信部110は、サイドリンクにおける無線通信、すなわち、他のUE100との無線通信を行ってもよい。無線通信部110は、受信部111及び送信部112を有する。受信部111は、制御部120の制御下で各種の受信を行う。受信部111はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部120に出力する。送信部112は、制御部120の制御下で各種の送信を行う。送信部112はアンテナを含み、制御部120が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0035】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサ及びCPUを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部130は、以下に示す各実施形態において、UE100における各処理を行うようにしてもよい。
【0036】
(プロトコルスタックの構成)
次に、実施形態に係るプロトコルスタックの構成について説明する。図6は、IAB-MTのRRC接続及びNAS接続に関するプロトコルスタックの例を示す図である。
【0037】
図6に示すように、IABノード300-2のIAB-MTは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤと、NAS(Non-Access Stratum)レイヤとを有する。
【0038】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。IABノード300-2のIAB-MTのPHYレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0039】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。IABノード300-2のIAB-MTのMACレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。IAB-DUのMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme))及び割当リソースブロックを決定する。
【0040】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。IABノード300-2のIAB-MTのRLCレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0041】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。IABノード300-2のIAB-MTのPDCPレイヤとドナーノード200のPDCPレイヤとの間では、無線ベアラを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0042】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。IABノード300-2のIAB-MTのRRCレイヤとドナーノード200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。ドナーノード200とのRRC接続がある場合、IAB-MTはRRCコネクティッド状態である。ドナーノード200とのRRC接続がない場合、IAB-MTはRRCアイドル状態である。
【0043】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。IABノード300-2のIAB-MTのNASレイヤとAMF11との間では、NASシグナリングが伝送される。
【0044】
図7は、F1-Uプロトコルに関するプロトコルスタックを示す図である。図8は、F1-Cプロトコルに関するプロトコルスタックを示す図である。ここでは、ドナーノード200がCU及びDUに分割されている一例を示す。
【0045】
図7に示すように、IABノード300-2のIAB-MT、IABノード300-1のIAB-DU、IABノード300-1のIAB-MT、及びドナーノード200のDUの各々は、RLCレイヤの上位レイヤとしてBAP(Backhaul Adaptation Protocol)レイヤを有する。BAPレイヤは、ルーティング処理及びベアラマッピング・デマッピング処理を行うレイヤである。バックホールでは、IPレイヤがBAPレイヤを介して伝送されることにより、複数のホップでのルーティングが可能になる。
【0046】
各バックホールリンクにおいて、BAPレイヤのPDU(Protocol Data Unit)は、バックホールRLCチャネル(BH NR RLCチャネル)によって伝送される。各BHリンクで複数のバックホールRLCチャネルを構成することにより、トラフィックの優先順位付け及びQoS(Quality of Service)制御が可能である。BAP PDUとバックホールRLCチャネルとの対応付けは、各IABノード300のBAPレイヤ及びドナーノード200のBAPレイヤによって実行される。
【0047】
図8に示すように、F1-Cプロトコルのプロトコルスタックは、図7に示すGTP-Uレイヤ及びUDPレイヤに代えて、F1APレイヤ及びSCTPレイヤを有する。
【0048】
なお、以下においては、IABのIAB-DUとIAB-MTで行われる処理又は動作について、単に「IAB」の処理又は動作として説明する場合がある。例えば、IABノード300-1のIAB-DUが、IABノード300-2のIAB-MTへBAPレイヤのメッセージを送信することを、IABノード300-1がIABノード300-2へ、当該メッセージを送信するものとして説明する。また、ドナーノード200のDU又はCUの処理又は動作についても、単に「ドナーノード」の処理又は動作として説明する場合がある。
【0049】
また、アップストリーム方向とアップリンク(UL)方向とを区別しないで用いる場合がある。更に、ダウンストリーム方向とダウンリンク(DL)方向とを区別しないで用いる場合がある。
【0050】
(ルーティング及びリルーティングのシナリオ)
BAPレイヤの機能の1つに、ルーティング(routing)とリルーティング(re-routing)がある。ルーティングは、例えば、受信したパケットをどのIABノード300へ転送するかを制御することである。また、リルーティングは、例えば、受信したパケットを、代替パス(alternative path)を介して宛先ノード(アクセスIABノード又はドナーノード)へ転送するように制御することである。
【0051】
3GPPでは、複数のIABノード300によって形成されたネットワーク(又はトポロジ)において、どのようにルーティング又はリルーティングを行うのかについての検討が行われている。
【0052】
ルーティング及びリルーティングに関して、以下のシナリオがある。
【0053】
(S1)CU内/ドナーDU内(Intra-CU/Intra-donor-DU)
(S1-1)ルーティング
(S1-2)リルーティング
(S2)CU内/ドナーDU間(Intra-CU/Inter-donor-DU)
(S2-1)ルーティング
(S2-2)リルーティング
(S3)CU間(Inter-CU)
(S3-1)ルーティング
(S3-2)リルーティング
このようなシナリオを考慮した上で、各シナリオに共通の手順又は処理を検討したり、各シナリオ個別の手順又は処理を検討したりすることで、トポロジにおける、パケット転送の信頼性、柔軟性、及び低遅延性を向上させることが期待される。
【0054】
ここで、各シナリオについて説明する。
【0055】
(S1)「CU内/ドナーDU内」シナリオについて
図9(A)は、「CU内/ドナーDU内」シナリオにおけるトポロジの構成例を表している。
【0056】
図9(A)に示すように、当該シナリオにおいては、同一のドナーDU(200D)と同一のドナーCU(200C)において、ルーティングとリルーティングが行われる。
【0057】
図9(A)に示すように、IABノード300-1とドナーDU(200D)との間には、IABノード300-2を介した経路と、IABノード300-3を介した経路の2つの経路が存在する。IABノード300-1は、アップリンク方向のパケットについては、いずれかの経路に転送させることが可能である。IABノード300-1は、ダウンリンク方向のパケットについても、前記いずれかの経路で転送されてきたパケットを、IABノード300-4又はIABノード300-5へ転送させることも可能である。ルーティング(S1-1)に際しては、このような2つの経路が存在することで、経路について冗長性を確保することができる。
【0058】
また、リルーティング(S1-2)は、所謂、ローカルリルーティングである。例えば、IABノード300-1が、IABノード300-2に対するバックホールリンクにおける無線リンク障害(BH RLF(Radio Link Failure))(以下、「BH RLF」と称する場合がある。)を検出したとき、アップリンク方向のパケットについて、代替パスであるIABノード300-3を介した経路に切り替えて、リルーティングを行うことも可能である。
【0059】
(S2)「CU内/ドナーDU間」シナリオについて
図9(B)は、「CU内/ドナーDU間」シナリオにおけるトポロジの構成例を表す図である。
【0060】
図9(B)に示すように、当該シナリオでは、1つのドナーノードのCU(200C)に、ドナーDU#1(200D1)とドナーDU#2(200D2)の2つの異なるDUが接続される。当該シナリオでは、ドナーノードのCU(200C)は同一であるものの、異なるドナーDUを介して、ルーティングとリルーティングが行われるシナリオとなっている。
【0061】
図9(B)に示すように、IABノード300-1とドナーノードのCU(200C)との間には、IABノード300-2とドナーDU#1(200D1)とを介した経路と、IABノード300-3とドナーDU#2(200-D2)とを介した経路の2つの経路がある。
【0062】
IABノード300-1におけるアップリンク方向のルーティングでは、IABノード300-1は、IABノード300-2又はIABノード300-3へ、パケットを転送できる。ダウンリンク方向についても、前記いずれかの経路で転送されてきたパケットを、IABノード300-1は、IABノード300-4又はIABノード300-5へパケットを転送できる。
【0063】
当該シナリオにおいては、ドナーノードのDUは異なるが、ドナーノードのCUは同じであるため、同一トポロジ内でのルーティングとなる。このようなルーティングを、トポロジ内ルーティングと称する場合がある。
【0064】
IABノード300-1におけるリルーティングに関しては、例えば、IABノード300-2経由の経路から、IABノード300-3経由の経路(代替パス)に切り替えた場合を考える。この場合、当該パケットの宛先となるドナーDUが、ドナーDU#1(200D1)からドナーDU#2(200D2)へ変更される。すなわち、パケットの宛先BAPアドレスが変更される。そのため、3GPPでは、当該シナリオで、BAPヘッダの書き替えを行うことが合意された。BAPヘッダの書き替えは、直前のルーティングID(previous routing ID)から新たなルーティングID(new routing ID)へのBAPヘッダを書き替えることである。なお、ルーティングIDは、宛先BAPアドレス(Destination)と経路識別子(Path ID)とから構成される。
【0065】
(S3)「CU間」シナリオについて
図9(C)は「CU間」シナリオにおけるトポロジの構成例を表す図である。
【0066】
図9(C)に示すように、当該シナリオでは、ドナーCU#1(200C1)とドナーCU#2(200C2)の2つの異なるCUが設けられる。そして、ドナーCU#1(200C1)にはドナーDU#1(200D1)が接続され、ドナーCU#2(200C2)にはドナーDU#2(200D2)が接続される構成となっている。
【0067】
一般的に、異なるドナーCUにより、異なるトポロジが形成される。すなわち、ドナーCU#1(200C1)からIABノード300-1へ至る経路で形成されたトポロジ(第1トポロジ)と、ドナーCU#2(200C2)からIABノード300-1へ至る経路で形成されたトポロジ(第2トポロジ)とは異なるトポロジとなり得る。IABノード300-1は、2つの異なるトポロジの境界に位置する。このようなIABノード300-1を境界IABノード(boundary node)と称する場合がある。
【0068】
当該シナリオのルーティング(S3-1)に関しては、境界IABノード300-1では、ドナーDU#1(200D1)宛てのパケットを、異なるトポロジのドナーDU#2(200D1)へ転送することが可能である。また、IABノード300-4宛のパケットを、異なるトポロジを介して転送することができる。例えばドナーCU#1(200C1)から送信されたパケットが、ドナーCU#2(200C2)、ドナーDU#2(200D2)、IABノード300-3及び300-1を介して、IABノード300-4に転送できる。これら場合も宛先となるドナーノードのDUが変更されるため、3GPPにおいては、BAPヘッダの書き替えを行うことが合意された。
【0069】
このように異なるトポロジ間でルーティングが行われることを、トポロジ間ルーティングと称する場合がある。
【0070】
当該シナリオのリルーティングに関しては、例えば、境界IABノード300-1は、ドナーCU#2(200C2)におけるトポロジ上の代替パスを介して、ドナーDU#1(200D1)宛てのパケットを転送することができる。
【0071】
ただし、当該シナリオのリルーティングに関して、3GPPでは、境界IABノード300-1において、ソースドナーノードであるドナーCU#1(200C1)とはF1接続を残したまま、ターゲットのドナーノードであるドナーCU#2(200C2)に対してRRC再確立(RRC Reestablishment)状態で適用されてもよい、ことが合意された。
【0072】
以上、3つのシナリオについて説明した。これら3つのシナリオについては、できるだけ、各シナリオ固有の手続を少なくして、全てのシナリオに共通な手順又は処理を特定することが望ましい。共通の手順又は処理とすることにより、シナリオ毎に個別の処理を行う場合よりも、処理を簡略化できるからである。
【0073】
実施形態では、以下の順番で各シナリオについて説明する。
[第1実施形態]CU間ルーティング
(第1動作例)
(第2動作例)
(第3動作例)
(第4動作例)
(第5動作例)
(第6動作例)
[第2実施形態]CU間リルーティング
[第3実施形態]CU内/ドナーDU間リルーティング
(第1動作例)
(第2動作例)
(第3動作例)
なお、以下の説明において、「BH Routing Configuration」を「ルーティングテーブル」と称する場合がある。また、「BH RLC Channel Mapping Configuration」を「マッピングテーブル」と称する場合がある。更に、「Header Rewriting Configuration」を「ヘッダ書き替えテーブル」と称する場合がある。
【0074】
更に、「CU間ルーティング」を「トポロジ間ルーティング」、「CU間リルーティング」を「トポロジ間リルーティング」とそれぞれ称する場合がある。
【0075】
更に、「CU内/ドナーDU間リルーティング」を「ドナーDU間リルーティング」と称する場合がある。
【0076】
更に、レイヤとエンティティとを区別しないで用いる場合がある。
【0077】
[第1実施形態]
第1実施形態では、トポロジ間ルーティングについての実施形態である。
【0078】
トポロジ間ルーティングに関して、3GPPでは、以下の4つのOpen Issue(課題)が議論されている。
【0079】
(課題1)「What’s the BAP address added in BAP header in the first topology (i.e. the BAP address of ingress data at the boundary node).」
【0080】
(課題2)「How to differentiate the concatenated traffic and non-concatenated traffic.」
【0081】
(課題3)「How to determine whether a data should be delivered to upper layer (for downstream).」
【0082】
(課題4)「How to determine whether the BAP header of a data should be rewritten (i.e. whether being routed to another topology or its own topology).」
【0083】
(課題1)は、例えば、アクセスIABノード又はドナーノードのDUが、トポロジ間ルーティング対象のBAPパケット(BAP PDU)のヘッダに、どのようなBAPアドレスをセットすればよいかについての課題である。例えば、境界IABノード300-1は、セットされたBAPアドレスに基づいて、トポロジ間ルーティング対象のBAPパケットとそうでないパケットとを判別できれば、トポロジ間ルーティングを行ったり、通常のルーティング処理を行ったり、適切に処理することができる。
【0084】
(課題2)は、例えば、境界IABノード300-1が、トポロジ間ルーティング(non-cocatenated traffic)とトポロジ内ルーティング(concatenated traffic)とをどのように判別するかについての課題である。境界IABノードが係る判別を適切に行うことができれば、トポロジ間ルーティングとトポロジ内ルーティングとを適切に行うことが可能となる。
【0085】
(課題3)は、例えば、境界IABノードが、自身の上位レイヤに渡すべきパケットをどのように判別するかについての課題である。例えば、境界IABノードでは、アップストリーム方向からのパケットとダウンストリーム方向からのパケットの2つのパケットを受信できる。境界IABノードは、ダウンストリーム方向における自身宛てのパケットであれば、自身がアクセスIABノードであると判別して、上位レイヤへ渡すことが可能である。
【0086】
(課題4)は、例えば、BAPヘッダをどのように書き替えるのかについての課題である。上述したように、トポロジ間ルーティング(例えば、図9(C))では、アップリンク方向のパケットの場合、宛先ドナーDUは、トポロジが異なるドナーDUへと変更される。そのため、BAPヘッダを適切に書き替えることができれば、トポロジが異なるドナーDUへの転送が可能となり、適切にトポロジ間ルーティングを行うことが可能となる。
【0087】
以上の4つの課題に対して、3GPPでは、以下の2つのExample(案)が提案されている。
【0088】
(案1):Add the boundary node’s BAP address, in the BAP PDU header in the first topology;
【0089】
(案2):Add some proxy/pseudo BAP address of the real destination;
【0090】
(案1)は、BAPパケットのヘッダに、境界IABノード300-1のBAPアドレスを含ませる提案である。境界IABノード300-1のBAPアドレスを含むパケットは、トポロジ間ルーティングの対象パケットとする案である。IABノードでは、受信したパケットのヘッダに含まれる境界IABノードのBAPアドレスと自身のBAPアドレスとが一致すれば、自身が境界IABノード300-1として、当該パケットをトポロジ間ルーティング対象のパケットを判定することも可能である。
【0091】
(案2)は、BAPパケットのヘッダに、代理又は偽BAPアドレスを含ませる提案である。この場合も、IABノードでは、受信したBAPパケットのヘッダに偽BAPアドレスが含まれていれば、当該パケットをトポロジ間ルーティング対象のパケットと判定することも可能である。
【0092】
(案1)と(案2)についてはこのような案があることが示されているだけであり、これらの案を用いた具体的な手順又は処理などについては、3GPPには提案されていない。
【0093】
そこで、第1動作例として、上記した4つの課題を考慮した、トポロジ間ルーティングのBAP処理全体についての動作例を説明する。
【0094】
(第1動作例)
第1動作例は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-1)のBAPレイヤの送信部が、中継ノードのBAPレイヤの受信部から、パケットを受信する。第2に、送信部が、パケットのヘッダ情報に基づいて、パケットに対して、トポロジ間ルーティングを行うのか、トポロジ内ルーティングを行うのかを判定する。ここで、中継ノードは、トポロジ間の境界に位置する境界中継ノードである。
【0095】
このように第1動作例では、受信したパケットのヘッダ情報に基づいて、トポロジ間ルーティングを行うのか、トポロジ内ルーティングを行うのかを判定する。そのため、第1動作例では、トポロジ間ルーティングを行うのか、トポロジ内ルーティングを行うのかを適切に判定でき、例えば、(課題1)と(課題2)に対する解決策を与えることができる。
【0096】
また、第1動作例では、送信部は、トポロジ内ルーティングを行うと判定した場合、トポロジ内ルーティング用の第1ルーティングテーブルとトポロジ内ルーティング用の第1マッピングテーブルとを選択する。他方、送信部は、トポロジ間ルーティングを行うと判定した場合、トポロジ間ルーティング用の第2ルーティングテーブルとトポロジ間ルーティング用の第2マッピングテーブルとを選択する。
【0097】
これにより、第1動作例では、トポロジ間ルーティング用のルーティングテーブルとマッピングテーブルを適切に選択することができる。送信部では、これらのテーブルを用いてルーティング処理とマッピング処理とを行うことで、トポロジ間ルーティングを適正に行うことができ、例えば、(課題1)と(課題2)に対する解決策を与えることができる。
【0098】
更に、第1動作例では、送信部が、第2のルーティングテーブルと第2のマッピングテーブルとを選択した場合、BAPヘッダ書き替えテーブルに従って、BAPパケットのヘッダを、直前のルーティングIDから新たなルーティングIDへ書き替えるヘッダ書き替え処理を行う。
【0099】
これにより、第1動作例では、宛先BAPアドレスを適切に書き替えて、トポロジ間ルーティングを適切に行うことができ、例えば、(課題4)に対する解決策を与えることができる。
【0100】
以下、第1動作例について具体的に説明する。
【0101】
図10は、第1実施形態に係る第1動作例を表す図である。
【0102】
図10に示すように、ステップS10において、IABノード300は処理を開始する。
【0103】
ステップS11において、IABノード300(ここでは、境界IABノード300-1)は、ドナーノード200から所定の設定が行われる。所定の設定は、以下に示すテーブルを受信することである。すなわち、トポロジ内ルーティング用の第1ルーティングテーブル、トポロジ内ルーティング用の第2マッピングテーブル、トポロジ間ルーティング用の第2ルーティングテーブル、トポロジ間ルーティング用の第2マッピングテーブル、及びBAPヘッダ書き替えテーブルである。
【0104】
ステップS12において、IABノード300は、パケット(BAP PDUパケット)を受信する。
【0105】
ステップS13において、IABノード300のBAPレイヤの受信部は、受信したパケットについて、自身宛てのダウンストリーム方向又はアップストリーム方向のパケットを識別する。そして、受信部は、自身宛てのパケットを上位レイヤへ出力し、それ以外のパケットを、IABノード300のBAPレイヤの送信部へ出力する。
【0106】
受信部は、例えば、以下のようにして自身宛てのパケットを識別する。
【0107】
第1に、受信部は、受信したパケットのヘッダ内の宛先(Destination)が、自IABノード300-1のBAPアドレスと一致する場合に、当該パケットを候補パケットと判定する。
【0108】
第2に、候補パケットが(案1)の場合、受信部は、候補パケットのヘッダに含まれるパスIDを用いて、当該パケットが自身宛てのパケットであることを識別する。具体的には、受信部は、当該パケットのヘッダに含まれるパスIDが、所定のパスID(トポロジ間ルーティングパケット用のパスID)と異なる場合に、当該パケットは自身宛てのパケットであると識別する。なお、所定のパスIDは、例えば、ドナーノード200によって設定される。候補パケットが(案1)の場合、トポロジ間ルーティング対象のパケットであることを示す識別子を用いて、自身宛てのパケットであることを識別してもよい。具体的には、受信部は、当該パケットのBAPヘッダに含まれる当該識別子が“0”(トポロジ間ルーティング対象のパケットではない)の場合に、候補パケットは自身宛てのパケットであると識別する。
【0109】
第3に、候補パケットが(案2)の場合、受信部は、候補パケットを自身宛てのパケットと識別する。つまり、候補パケットの宛先は、自身のBAPアドレスと一致しており、偽BAPアドレスではないことが確認できるため、ヘッダの宛先が自IABノード300のBAPアドレスと一致する候補パケットは、(案2)の場合、自身宛てのパケットとなり得る。
【0110】
受信部は、候補パケットが自身宛てのパケットと識別した場合、BAPヘッダを取り除いて、上位レイヤへ出力する。自身宛てのパケットは、自IABノード300-1がアクセスIABノードとして、UE100へ送信するためのパケットである。そのため、上位レイヤでは、当該パケットがUE100へ送信されるよう処理が行われる。
【0111】
一方、受信部は、受信したパケットのうち、自身宛てのパケットではないと識別したパケットを、BAPレイヤの送信部へ出力する。
【0112】
ステップS14において、送信部は、受信部から受け取った当該パケットのルーティングモードを選択する。ルーティングモードは、トポロジ内ルーティングとトポロジ間ルーティングとがある。
【0113】
判定方法は、例えば、以下のように行われる。すなわち、送信部は、当該パケットのヘッダ情報について、少なくとも、以下のいずれかに該当する場合に、当該パケットがトポロジ間ルーティング対象パケットである(トポロジ間ルーティングモード)と判定し、そうでない場合、トポロジ内ルーティングモード(トポロジ内ルーティングモード)と判定する。
【0114】
M1:トポロジ間ルーティングであることを示す特定のルーティングIDと一致する場合、又は
M2:トポロジ間ルーティングであることを示す特定のパスIDと一致する場合、又は
M3:トポロジ間ルーティングであることを示す特定のBAPアドレス(例えば、提案(2))と一致する場合、又は
M4:トポロジ間転送か否かを示す識別子がトポロジ間転送を示す場合(例えば、“1”)、又は
M5:BAPパケットの宛先BAPアドレスが、特定したBAPアドレスとは異なるトポロジに紐づいたBAPアドレスと一致する場合、又は
M6:受信部からパケット毎にルーティングモード情報が提供され、当該情報がトポロジ間ルーティング(又はトポロジ内ルーティング)を示している場合。受信部において、上記M1~M5を用いてルーティングモードを判定してもよい。
【0115】
上記M5の詳細は第2動作例で説明する。
【0116】
送信部は、判定結果に応じて、異なるバッファに当該パケットを格納してもよい。例えば、送信部は、当該パケットがトポロジ間ルーティング対象のパケットと判定した場合、当該パケットをトポロジ間ルーティング用のバッファに格納する。また、例えば、送信部は、当該パケットがトポロジ内ルーティング対象のパケットと判定した場合、当該パケットをトポロジ内ルーティング用のバッファに格納する。
【0117】
ステップS15において、送信部は、ルーティングテーブルとマッピングテーブルとを選択する。送信部は、デフォルトとして、トポロジ内ルーティング用の第1ルーティングテーブルを選択するようにしてもよい。
【0118】
そして、送信部は、ステップS14において、トポロジ間ルーティング対象のパケットと判定した場合、トポロジ間ルーティング用の第2ルーティングテーブルが設定されていれば、当該第2ルーティングテーブルを選択する。更に、第2マッピングテーブルが設定されていれば、送信部は、当該第2マッピングテーブルを選択する。
【0119】
一方、送信部は、トポロジ間ルーティング対象のパケットと判定した場合において、第2ルーティングテーブルが設定されていない場合、当該IABノード300は、境界IABノード300-1ではなかったとして、トポロジ内ルーティング用の第1ルーティングテーブルを選択する。すなわち、送信部は、当該パケットを、特定のルーティングIDと一致する等により、トポロジ間ルーティング対象のパケットと判定したものの、IABノード300では、第2ルーティングテーブルが設定されていなかった場合である。例えば、ドナーDUと境界IABノード300-1との間の中間に位置するIABノード(IABノード300-2及びIABノード300-3)の場合がこれにあたる。このようなIABノードでは、当該パケットを、トポロジ間ルーティング対象のパケットであると認識するものの、第2ルーティングテーブルの設定を受けてないので、当該パケットに対してはトポロジ間ルーティングを実行しない。この場合は、送信部は、第1ルーティングテーブルを選択する。
【0120】
同様に、送信部は、第2マッピングテーブルが設定されていない場合、第1マッピングテーブルを選択する。
【0121】
一方、送信部は、ステップS15において、当該パケットがトポロジ内ルーティング対象のパケットと判定した場合、第1ルーティングテーブルを選択する。更に、送信部は、第2マッピングテーブルを選択する。
【0122】
なお、送信部は、当該パケットを、ルーティングテーブル毎に異なるバッファに格納してもよい。送信部は、第1ルーティングテーブルを選択した場合は、当該パケットを第1ルーティングテーブル用バッファに格納する。また、送信部は、第2ルーティングテーブルを選択した場合は、当該パケットを第2ルーティングテーブル用バッファに格納する。
【0123】
ステップS16において、送信部は、当該パケットに対して、BAPヘッダ書き替え処理を行う。すなわち、送信部は、当該パケットについてトポロジ間ルーティングを行う場合(又は、ステップS15において、第2ルーティングテーブルと第2マッピングテーブルとを選択した場合)、BAPヘッダ書き替え処理を行う。
【0124】
送信部は、ヘッダ書き替えテーブルを利用して、BAPヘッダ書き替え処理を行う。BAPヘッダ書き替えテーブルには、旧ルーティングID(直前のルーティングID)と新ルーティングID(新たなルーティングID)とを含むエントリが含まれる。具体的には、送信部は、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDと一致する、旧ルーティングIDを含むエントリがヘッダ書き替えテーブルに存在する場合、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDを、当該エントリの新ルーティングIDに書き替える。
【0125】
なお、送信部は、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDと一致する、旧ルーティングIDを含む当該エントリがヘッダ書き替えテーブルに存在しなかった場合、当該パケットはトポロジ間ルーティング対象のパケットではないと判定してもよい。この場合、送信部は、BAPヘッダ書き替え処理を行わない。又は、この場合、送信部は、リルーティング処理のような処理を行ってもよい。すなわち、送信部は、当該パケットの宛先(Destination)と一致する、旧ルーティングIDのBAPアドレス部を含むエントリがヘッダ書き替えテーブルに存在する場合、当該パケットのBAPヘッダのルーティングIDを、当該エントリの新ルーティングIDへ書き替えてもよい。
【0126】
ステップS17において、送信部は、当該パケットに対してルーティング処理とマッピング処理とを行う。
【0127】
第1に、送信部は、ステップS15で選択したルーティングテーブル(第1ルーティングテーブル又は第2ルーティングテーブル)を用いてルーティング処理を行う。具体的には、送信部は、当該パケットのヘッダに含まれる宛先(Destination)とパスID(Path ID)と一致するエントリが、選択したルーティングテーブルに存在し、当該エントリの次ホップBAP(Next Hop BAP)アドレスに対応する流出バックホールリンク(egress BH link)が利用可能な場合、当該流出バックホールリンクを選択する。
【0128】
ここで、第1ルーティングテーブルを用いる場合は、トポロジ内ルーティングの場合である。すなわち、ダウンリンク方向のパケットに対しても、アップリンク方向のパケットに対しても、トポロジ内ルーティングの場合は、第1ルーティングテーブルを用いてルーティング処理が行われる。
【0129】
他方、第2ルーティングテーブルを用いる場合は、トポロジ間ルーティングの場合である。IABノード300-1が境界IABノードとして、受信したパケットに対して、トポロジ間ルーティング処理を行う。例えば、IABノード300-1は、ドナーDU#1(200D1)宛てのパケットを、ドナーDU#1(200D2)へ向けたパケットとなるように、ルーティング処理を行う。
【0130】
第2に、送信部は、ステップS15で選択したマッピングテーブル(第1マッピングテーブル又は第2マッピングテーブル)を用いてマッピング処理を行う。具体的には、送信部は、当該パケットの流入バックホールRLCチャネル(ingress BH RLC channel)、当該パケットの流入バックホールリンク(ingress BH link)、及び上記マッピング処理で選択した流出バックホールリンクと一致するエントリが、選択したマッピングテーブルに存在する場合、当該エントリの流出バックホールRLCチャネル(egress BH RLC channel)を選択する。
【0131】
送信部は、選択した流出バックホールリンクの選択した流出バックホールRLCチャネルへ、当該パケットを出力する。
【0132】
ステップS18において、IABノード300は、当該パケットを次ホップのノードへ送信する。この場合、IABノード300(境界IABノード300-1)は、トポロジ間ルーティングにより、例えば、ドナーDU#2(200D2)へ向けて当該パケットを送信する。又は、IABノード300は、トポロジ内ルーティングにより、例えば、ドナーDU#1(200D1)へ向けて当該パケットを送信する。
【0133】
ステップS19において、IABノード300は、一連の処理を終了する。
【0134】
(第1動作例のまとめ)
図11は、第1実施形態に係る第1動作例をまとめた図面である。
【0135】
図11において、BAP受信処理(ステップS30)は、図10におけるステップS11からステップS13に対応する。また、図11において、ルーティングモード選択(ステップS31)は、図10におけるステップS14に対応する。更に、図11において、ルーティングテーブル/マッピングテーブル選択(ステップS32)は、図10におけるステップS15に対応する。更に、図11において、BAPヘッダ書き替え処理(ステップS33)は、図10におけるステップS16に対応する。更に、図11において、ルーティング処理/マッピング処理(ステップS34)は、図10におけるステップS17に対応する。
【0136】
(第1動作例の変形例)
【0137】
(変形例1)
第1動作例は、第2ルーティングテーブル、第2マッピングテーブル、及びヘッダ書き替えテーブルが設定されている場合に実行されてもよい。すなわち、第2ルーティングテーブル、第2マッピングテーブル、又はヘッダ書き替えテーブルが設定されていない場合、第1動作例が行われなくてもよい。
【0138】
(変形例2)
第1動作例では、「トポロジ間ルーティング」のシナリオ(S3-1)の例で説明した。BAPヘッダ書き替えについては、「CU内/ドナーCU間リルーティング」のシナリオ(S2-2)でも行われることが3GPPにおいて合意されている。
【0139】
従って、第1動作例の少なくとも一部については、「トポロジ間ルーティング」のシナリオ以外のシナリオに適用されてもよい。例えば、「CU内/ドナーDU間リルーティング」のシナリオ(S2-2)、又は「CU内/ドナーDU内リルーティング」のシナリオ(S1-2)に適用される場合、第1動作例における「トポロジ内又はトポロジ間」を「通常ルーティング又はドナーDU間リルーティング」等とそれぞれ読み替えて動作が行われてよい。
【0140】
(変形例3)
第1動作例では、ルーティングテーブルについて、トポロジ内ルーティング用の第1ルーティングテーブルと、トポロジ間ルーティング用の第2ルーティングテーブルの2つのテーブルを用いた例を説明した。例えば、ルーティングテーブルについては、3つ以上のルーティングテーブルが設定されてもよい。
【0141】
例えば、図9(C)において、IABノード300-1がドナーCU#1(200C1)(以下、「第1ドナー」と称する場合がある。)配下において、ドナーCU#1(200C2)(以下では「、第2ドナー」と称する場合がある。)に対するトポロジ間ルーティングを行う場合を仮定する。トポロジ間ルーティング後のトポロジは、ダウンストリーム方向では、第1ドナーがルーティングIDを管理し、アップストリーム方向では、第2ドナーがルーティングIDを管理する。この場合、第1ドナーと第2ドナーとでネゴシエーションがない場合、同一のルーティングIDが使用される可能性がある。
【0142】
例えば、IABノード300-1が、トポロジ間ルーティング後、下位ノードからパケットを受信し、ルーティング処理を行うと仮定する。この場合、IABノード300-1は、当該パケットのルーティングIDと一致するエントリをルーティングテーブルから選択する。しかし、第1ドナーが管理するダウンストリーム方向のルーティングテーブルと、第2ドナーが管理するアップストリーム方向のルーティングテーブルとで、同一のルーティングIDが存在する場合、IABノード300-1は、同一ルーティングIDのエントリを、ダウンストリーム方向のルーティングテーブルから検索する場合がある。この場合、IABノード300-1は、下位ノードから受信したパケットを再び下位ノードへ転送する場合がある。
【0143】
そこで、変形例3では、トポロジ間ルーティングテーブルについて、アップストリーム用のトポロジ間ルーティングテーブルと、ダウンストリーム用のトポロジ間ルーティングテーブルの2つのルーティングテーブルがIABノード300-1に設定される。また、トポロジ内ルーティングテーブルについて、アップストリーム用のトポロジ内ルーティングテーブルと、ダウンストリーム用のトポロジ内ルーティングテーブルとがIABノード300-1に設定される。
【0144】
例えば、IABノード300-1は、下位ノードから受信したパケットを、アップストリーム方向と判定して、アップストリーム方向と紐づいた、トポロジ間テーブル又はトポロジ内テーブルを用いてルーティング処理を行う。
【0145】
これにより、トポロジ間で同一ルーティングIDを用いた場合であっても、IABノード300-1は、パケットを適切に転送できる。
【0146】
(変形例4)
第1動作例では、BAPヘッダ書き替え処理は、ルーティングテーブル/マッピングテーブル選択(ステップS32)の後であって、ルーティング処理/マッピング処理(ステップS34)の前に行われた。
【0147】
変形例4は、BAPヘッダ書き替え処理が、BAP送信処理の最初に行われる例である。
【0148】
図12は、第1実施形態の変形例4に係る動作例を表す図である。
【0149】
図12に示すように、BAP送信処理は、以下の順で行われる。すなわち、BAPヘッダ書き替え処理(ステップS33)、ルーティングモード選択(ステップS31)、ルーティングテーブル/マッピングテーブル選択(ステップS32)、及びルーティング処理/マッピング処理(ステップS34)である。
【0150】
ステップS33において、送信部は、BAPヘッダ書き替え処理を行う。送信部は、例えば、以下の処理を行う。
【0151】
すなわち、IABノード300-1のBAPレイヤの送信部は、IABノード300-1のBAPレイヤの受信部から、BAPパケット(BAP PDU)を受信すると、ステップS33において、BAPヘッダ書き替え処理を行う。具体的には、送信部は、以下の処理を行う。
第1に、送信部は、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDと一致する、旧ルーティングIDを含むエントリがヘッダ書き替えテーブルに存在するか否かを判定する。
【0152】
送信部は、当該エントリがヘッダ書き替えテーブルに存在する場合、当該パケットの当該BAPヘッダに含まれるルーティングIDを、当該エントリ内の新たなルーティングIDへ書き替える。他方、送信部は、当該エントリがヘッダ書き替えテーブルに存在しない場合、BAPヘッダ書き替えを行わない。この場合、送信部は、当該パケットについて、トポロジ間ルーティングの対象ではなかったと判定してもよい。又は、この場合、送信部は、リルーティング的な処理を行ってもよい。すなわち、当該パケットのヘッダ内の宛先(Destination)と一致する、旧ルーティングIDのBAPアドレスを含むエントリが、ヘッダ書き替えテーブルに存在する場合、当該BAPヘッダのルーティングIDを、当該エントリに含まれる新たなルーティングIDへ書き替える。
【0153】
第2に、送信部は、BAPヘッダ書き替えを行った場合、BAPヘッダ書き替え実施済パケット用のバッファに、当該パケットを格納してもよい。他方、送信部は、BAPヘッダ書き替えを行わなかった場合、BAPヘッダ未書き替えパケット用のバッファに、当該パケットを格納してもよい。
【0154】
その後、ステップS31において、送信部は、ルーティングモード選択(ステップS31)を行う。送信部は、例えば、以下の処理を行う。すなわち、送信部は、BAPヘッダ書き替えを行った場合、当該パケットを、トポロジ間ルーティング対象のパケットであると判定してもよい。また、送信部は、BAPヘッダ書き替えを行わなかった場合、当該パケットを、トポロジ内ルーティング対象のパケットであると判定してもよい。ステップS31は省略されてもよい。
【0155】
その後、ステップS32において、送信部は、ルーティングテーブル/マッピングテーブルを選択する。送信部は、例えば、以下のような処理を行う。すなわち、送信部は、BAPヘッダ書き替え時において選択した新たなルーティングIDと紐づいた第2ルーティングテーブルと第2マッピングテーブルとを選択してもよい。この場合、新たなルーティングIDと各テーブルとの紐付け情報が、ドナーノード200からIABノード300-1に設定される。
その後、ステップS34において、送信部は、ルーティング処理とマッピング処理とを行う。2つの処理は、第1動作例と同様である。
【0156】
第1動作例では、トポロジ内シナリオとトポロジ間シナリオに適用する2つのルーティングテーブル(及び2つのマッピングテーブル)を用いる例を説明したが、これに限らない。トポロジ内シナリオとトポロジ間シナリオの両方で使用する1つのルーティングテーブル(及び1つのマッピングテーブル)を定義してもよい。この場合、テーブル内の各エントリには、トポロジ内シナリオに適用するエントリであるのか、トポロジ間シナリオに適用するエントリであるのかを示す情報が含まれていてもよい。当該情報は、BAPヘッダ書き替えを行ったパケットに適用するのか、BAPヘッダ書き替えを行わなかったパケットに適用するのかを示す情報であってもよい。或いは、当該情報はパケットの送出先のトポロジ(または当該トポロジを管理するドナー)を示す識別子であってもよい。或いは、当該情報はアップストリームのパケットに適用すべきか、ダウンストリームのパケットに適用すべきかを示す情報であってもよい。IABノード300-1は、特定したルーティングモード(もしくはシナリオ)に合致するエントリのみをルーティング処理(及びマッピング処理)の対象(候補)とする。
【0157】
(第2動作例)
次に、第1実施形態に係る第2動作例について説明する。
【0158】
第2動作例も、IABノード300-1が受信したパケットについて、トポロジ間ルーティング対象のパケットか否かを識別する動作例である。
【0159】
図9(C)に示すように、境界IABノード300-1は、2つのトポロジと接続される。各トポロジは、各ドナーノード(ドナーCU#1(200C1)とドナーCU#2(200C2))で管理されることが想定される。そのため、境界IABノード300-1のBAPアドレスは、ドナーCU#(200C1)が管理するBAPアドレスと、ドナーCU#2(200C)が管理するBAPアドレスの2つのBAPアドレスを有することになる。なお、BAPアドレスはトポロジ内で一意であることが原則である。
【0160】
上記(案2)で示されるように、トポロジ間ルーティング対象のパケットを識別する方法として、偽BAPアドレス(proxy/pseudo BAP Address)を境界IABノード300-1に割り当てる案が提案されている。この場合、境界IABノード300-1には、ドナーCU#1(200C1)によって割り当てられる偽BAPアドレスと、ドナーCU#2(200C2)によって割り当てられる偽BAPアドレスの2つの偽BAPアドレスが割り当てられる場合がある。更に、上述したように、境界IABノード300-1は、自BAPアドレスとして、これら2つのドナーによって、2つの自BAPアドレスが割り当てられる。
【0161】
従って、境界IABノード300-1には、4つのBAPアドレスが割り当てられる場合がある。この4つのBAPアドレスを用いて、トポロジ間ルーティング対象のパケットを識別するには、複雑な処理となる場合がある。
【0162】
また、BAPレイヤは、BAPアドレスを選択するために、どのトポロジから当該パケットが流入してきたのかを判定する可能性もある。
【0163】
そこで、第2動作例では、IABノード300-1は、流入したパケットのトポロジを特定し、当該トポロジと紐づけられたBAPアドレスを自身のBAPアドレスとして特定し、特定したBAPアドレスを用いて、第1動作例と同様に、BAP受信処理とBAP送信処理を行う。
【0164】
すなわち、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-1)が、ドナーノード(例えば、ドナーノード200)から、各トポロジにおける当該中継ノードのBAPアドレスが設定される。第2に、中継ノードが、ドナーノードから、トポロジと流入バックホールリンクとを紐づける紐付け情報、及び/又は、トポロジと流入バックホールRLCチャネルとを紐付ける紐付け情報、が設定される。第3に、中継ノードのBAPレイヤが、パケットを受信する。第4に、BAPレイヤが、パケットの流入バックホールリンク及び/又は流入バックホールRLCチャネルに基づいて、パケットが属するトポロジを特定し、特定したトポロジに紐づいたBAPアドレスを中継ノードのBAPアドレスとして特定する。ここで、中継ノードは、トポロジ間の境界に位置する境界中継ノード(例えば、境界IABノード300-1)である。
【0165】
これにより、例えば、4つのBAPアドレスを用いることなく、各トポロジに紐づけられた2つのBAPアドレスを用いるだけでよいため、4つのBAPアドレスを用いる場合と比較して、処理を簡略化することが可能である。
【0166】
図13は、第1実施形態に係る第2動作例を表す図である。
【0167】
ここで、IABノード(ここでは、境界IABノード)300-1は、2つのトポロジとの接続を有していると仮定する。例えば、図9(C)に示すように、境界IABノード300-1は、ドナーCU#1(200C1)とドナーCU#2(200C2)との接続を有する。この場合、境界IABノード300-1と2つのドナーノードとの関係は、境界IABノード300-1とF1AP接続を有するドナーノードと、境界IABノード300-1とF1AP接続を有しないドナーノードとの関係であってもよい。また、当該関係は、境界IABノード300-1と第1(メイン又はマスタ)F1AP接続を有するドナーノードと、境界IABノード300-1と第2(セカンダリ)F1AP接続を有するドナーノードとの関係でもよい。更に、当該関係は、境界IABノード300-1とRRC接続を有するドナーノードと、境界IABノード300-1とRRC接続を有しないドナーノードとの関係であってもよい。更に、当該関係は、境界IABノード300-1とMCG(Master Cell Group)接続を有するドナーノードと、境界IABノード300-1とSCG(Secondary Cell Group)接続を有するドナーノードとの関係であってもよい。
【0168】
図13に示すように、ステップS40において、IABノード300-1は、処理を開始する。
【0169】
ステップS41において、IABノード300-1は、ドナーノードから、各トポロジのBAPアドレスが設定される。当該BAPアドレスは、F1AP又はRRCを利用して設定される。
【0170】
例えば、図9(C)のIABノード300-1は、F1AP接続又はRRC接続がドナーCU#1(200C1)との接続しかない場合、ドナーCU#2(200C2)におけるBAPアドレスは、ドナーCU#2(200C2)からドナーCU#1(200C1)へ通知される。そして、ドナーCU#1(200C1)からIABノード300-1へ、当該BAPアドレスが設定される。このような経路により、ドナーCU#2(200C2)側のトポロジにおける当該BAPアドレス設定されてもよい。
【0171】
F1AP接続とRRC接続がともにドナーノード毎に存在する場合、ドナーCU#1(200C1)は、自身が管理するトポロジにおけるBAPアドレスを、F1APメッセージ又はRRCメッセージを利用して、IABノード300-1に設定する。また、ドナーCU#2(200C2)も、自身が管理するトポロジにおけるBAPアドレスを、F1APメッセージ又はRRCメッセージを利用して、IABノード300-1に設定する。
【0172】
当該BAPアドレスは、トポロジ(又はドナーノード)との対応を紐づけて設定されてもよい。例えば、第1BAPアドレスは第1トポロジ(例えば、ドナーCU#1(200C1)が管理するトポロジ)と紐づけられて設定され、第2BAPアドレスは第2トポロジ(例えば、ドナーCU#2(200C2)が管理するトポロジ)と紐づけられて設定されてもよい。
【0173】
IABノード300-1は、当該BAPアドレスをトポロジ(又はドナーノード)毎に紐づけて、バッファに記憶する。
【0174】
ステップS42において、IABノード300-1は、ドナーノードから、トポロジと流入バックホールリンク(ingress BH link)(及び/又は流入バックホールRLCチャネル(ingress BH RLC channel))との紐付け情報が設定される。
【0175】
例えば、第1トポロジは第1流入バックホールリンク(及び/又は第1流入バックホールRLCチャネル)と紐づけられ、第2トポロジは第2流入バックホール(及び/又は第2流入バックホールRLCチャネル)と紐づけられていることを示す紐付け情報が設定される。又は、第2トポロジに紐づいた第2流入バックホールリンク(及び/又は第2流入バックホールRLCチャネル)についてのみ紐付け情報が設定されてもよい。Rel-16では、全ての流入バックホールリンク(及び/又は流入バックホールRLCチャネル)が第1トポロジに属するため、IABノード300-1では、紐づけ情報がなければ、第1トポロジと判定し、紐付け情報があれば第2トポロジと判定可能である。
【0176】
このように、ステップS42による紐付け情報により、IABノード300-1は、パケットの流入元から、当該パケットが属するトポロジを特定することが可能となる。
【0177】
ステップS43において、IABノード300-1のBAPレイヤは、パケットを受信する。そして、BAPレイヤは、当該パケットの流入バックホールリンク(及び/又は流入バックホールRLCチャネル)を確認する。すなわち、BAPレイヤは、当該パケットの流入バックホールリンク(及び/又は流入バックホールRLCチャネル)に基づいて、当該流入バックホールリンク(及び/又は流入バックホールRLCチャネル)に紐づけられたトポロジを確認する。
【0178】
第1に、BAPレイヤは、当該流入バックホールリンク(及び/又は流入バックホールRLCチャネル)が第1トポロジに紐づけられていた場合、第1トポロジに紐づけられたBAPアドレスを自身のBAPアドレス(例えば、第1BAPアドレス)と特定する。各トポロジに紐づけられたBAPアドレスは、ステップS41において設定されている。
【0179】
第2に、BAPレイヤは、当該流入バックホールリンク(及び/又は流入バックホールRLCチャネル)が第2トポロジに紐づけられていた場合、第2トポロジに紐づけられたBAPアドレスを自身のBAPアドレス(例えば、第2BAPアドレス)と特定する。
【0180】
ステップS43により、BAPレイヤは、受信したパケットの流入元から、当該パケットの属するトポロジを特定し、特定したトポロジに紐づけられた(又は対応する)BAPアドレスを特定している。
【0181】
ステップS44において、BAPレイヤは、当該パケットのヘッダに含まれる宛先(Destination)を確認する。
【0182】
第1に、BAPレイヤは、当該宛先が、ステップS43で特定した自身のBAPアドレスと一致する場合、自身宛てのパケットと判定し、当該パケットを上位レイヤへ出力する。すなわち、当該宛先が、ステップS43で特定した自身のBAPアドレス(例えば、第1BAPアドレス)と一致する場合は、第1動作例と同様に、当該パケットが第1トポロジにおけるダウンストリーム方向のパケットで、自IABノード300-1がアクセスIABノードとなっている場合である。このような場合は、IABノード300-1は、配下のUE100へ当該パケットを送信するため、BAPレイヤは、当該パケットを上位レイヤへ出力する。
【0183】
第2に、BAPレイヤは、当該宛先が、ステップS43で特定した自身のBAPアドレスと一致しない場合、ルーティング対象と判定する。BAPレイヤの受信部は、BAPレイヤの送信部へ、ルーティング対象と判定したパケットを出力する。
【0184】
BAPレイヤは、ルーティング対象のパケットに対して以下の処理を行う。
【0185】
第1に、BAPレイヤは、当該宛先が、ステップS43で特定した第2トポロジに紐づけられたBAPアドレス(又はトポロジ間ルーティング用のBAPアドレス)と一致する場合、当該パケットを、トポロジ間ルーティング対象のパケットと判定してもよい。すなわち、BAPレイヤは、当該パケットの宛先BAPアドレスが、特定したBAPアドレス(例えば第1BAPアドレス)とは異なるトポロジ(例えば、第2トポロジ)に紐づいたBAPアドレス(例えば、第2BAPアドレス)と一致する場合、当該パケットをトポロジ間ルーティング対象のパケットと判定する。BAPレイヤは、判定後、当該パケットに対して、第1動作例と同様にBAPヘッダ書き替え処理を行ってもよい。若しくは、ステップS44がBAPレイヤの受信部で行われる場合、受信部は、当該パケットを、トポロジ間ルーティング対象として(又は当該対象である情報を付加して)、BAPレイヤの送信部へ出力してもよい。
【0186】
第2に、BAPレイヤは、当該宛先が、ステップS43で特定した第2トポロジに紐づけられたBAPアドレス(又はトポロジ間ルーティング用のBAPアドレス)と一致しない場合、当該パケットをトポロジ内ルーティング対象と判定してもよい。BAPレイヤは、当該パケットに対して、BAPヘッダ書き替え処理を行わない。若しくは、ステップS44がBAPレイヤの受信部で行われる場合、受信部は、当該パケットを、トポロジ内ルーティング対象として(又は当該対象である情報を付加して)、BAPレイヤの送信部へ出力してもよい。
【0187】
ステップS45において、BAPレイヤは、第1動作例と同様に、ルーティング処理とマッピング処理とを行う。BAPレイヤは、トポロジ間ルーティング対象と判定したパケットに対して、第2ルーティングテーブルと第2マッピングテーブルとを用いて、ルーティング処理とマッピング処理とを行ってもよい。また、BAPレイヤは、トポロジ間ルーティング対象と判定したパケットに対して、第1ルーティングテーブルと第1マッピングテーブルとを用いて、ルーティング処理とマッピング処理とを行ってもよい。
【0188】
ステップS46において、IABノード300-1は、一連の処理を終了する。
【0189】
(第3動作例)
次に、第1実施形態の第3動作例について説明する。
【0190】
3GPPにおいて、BAPパケットのヘッダに、当該パケットがトポロジ間ルーティング対象のBAPパケットか否かを示す識別子を含めることが提案されている。
【0191】
例えば、図9(C)において、境界IABノード300-1は、当該パケットを下位ノードから受信した場合、当該パケットのヘッダに含まれる当該識別子に基づいて、当該パケットはトポロジ間ルーティング対象のパケットであることを識別することができる。
【0192】
他方、当該パケットを受信したIABノード300-3は、当該識別子に基づいて、当該パケットをトポロジ間ルーティング対象のパケットであると判定することも可能である。そのため、IABノード300-3では、誤った動作を行う可能性がある。
【0193】
そこで、第3動作例では、IABノード(境界IABノード)300-1は、トポロジ間ルーティングを行うと、当該識別子を、トポロジ間ルーティング対象のパケットではないことを示す値(例えば、“0”)に書き替える。
【0194】
具体的には、ヘッダ書き替え処理において、BAPパケットのヘッダ情報に含まれる、トポロジ間ルーティングを示す識別子を“1”から“0”に書き替える。
【0195】
これにより、トポロジ間ルーティングが行われたパケットを受信したIABノード300-3は、更に、当該パケットに対してトポロジ間ルーティングを行うことがなくなり、誤った動作を抑制できる。
【0196】
図14は、第1実施形態に係るBAP Data PDUパケットの構成例を表す図である。トポロジ間ルーティング対象のパケットであることを示す識別子は、3つのリザーブ領域(“R”)のうち、少なくともいずれかに含まれてよい。
【0197】
図15は、第1実施形態に係る第3動作例を表す図である。
【0198】
ステップS50において、境界IABノード300-1は、処理を開始する。
【0199】
ステップS51において、境界IABノード300-1は、BAPパケットを受信する。
【0200】
ステップS52において、境界IABノード300-1のBAPレイヤは、当該パケットのヘッダに含まれる当該識別子を確認する。BAPレイヤは、当該識別子がトポロジ間ルーティングを行うことを示す“1”の場合、受信したパケットを、トポロジ間ルーティング対象のパケットであると判定する。なお、BAPレイヤは、当該識別子が“0”の場合、当該パケットを、トポロジ間ルーティング対象のパケットではないと判定する。以下では、当該パケットは、トポロジ間ルーティング対象のパケットであるとして説明を続ける。
【0201】
ステップS53において、BAPレイヤは、当該パケットにBAPヘッダ書き替え処理を行う。第1動作例等と同様に、BAPレイヤは、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDと一致する、旧ルーティングIDを含むエントリがヘッダ書き替えテーブルに存在する場合、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDを、当該エントリに含まれる新ルーティングIDに書き替える。そして、BAPレイヤは、当該識別子を、トポロジ間ルーティングを行うことを示す値“1”から、トポロジ間ルーティングを行わないことを示す値“0”に書き替える。又は、BAPレイヤは、当該識別子が含まれるBAPヘッダの領域に“0”を書き込む。
【0202】
ステップS54において、BAPレイヤは、第1動作例と同様に、ルーティング処理とマッピング処理とを行い、当該パケットを下位レイヤへ出力する。
【0203】
ステップS55において、境界IABノード300-1は、当該パケットを次ホップノードへ送信する。
【0204】
ステップS56において、境界IABノード300-1は、一連の処理を終了する。
【0205】
(第4動作例)
次に、第1実施形態の第4動作例について説明する。
【0206】
第1動作例では、BAPレイヤが、ルーティングテーブルを選択する際に、第1ルーティングテーブル又は第2ルーティングテーブルを選択するようにした。
【0207】
しかし、BAPレイヤは、いずれのルーティングテーブルが第1ルーティングテーブルであるのか、又は第2ルーティングテーブルであるのか識別できない場合がある。
【0208】
そこで、第4動作例では、2つのルーティングテーブルを識別する識別子を各ルーティングテーブルに含ませるようにする例である。マッピングテーブルについても、同様に、第1マッピングテーブルと第2マッピングテーブルとを識別する識別子を各マッピングテーブルに含ませる例である。
【0209】
具体的には、第1ルーティングテーブルと第2ルーティングテーブルには、第1ルーティングテーブルと第2ルーティングテーブルとを識別する第1識別情報が含まれ、第1マッピングテーブルと第2マッピングテーブルには、第1マッピングテーブルと第2マッピングテーブルとを識別する第2識別情報が含まれる。
【0210】
ここで、第1動作例において、当該パケットがトポロジ間ルーティング対象のパケットであることを識別する識別方法として、M1からM6を説明した。
【0211】
また、パケットの方向により、当該パケットがトポロジ間ルーティング対象のパケットであることを識別することも可能である。例えば、図9(C)において、ドナーノード間でネゴシエーションが行われないため、ドナーCU#1(200C1)のトポロジで使用するダウンストリーム方向のルーティングIDと、ドナーCU#2(200C2)のトポロジで使用するアップストリーム方向のルーティングIDとが同じになる場合がある。そこで、方向を示す識別子を各テーブルに含めるようにする。そして、IABノード300-2において、受信したパケットの方向がアップストリーム方向であることを確認できれば、トポロジ間ルーティング対象であることを把握して、当該識別子に基づいて、アップストリーム方向で使用する第2ルーティングテーブルと第2マッピングテーブルとを使用することができる。
【0212】
そこで、以下の5つの識別子を判別対象とする。
【0213】
T1:ルーティングID
T2:パスID
T3:BAPアドレス
T4:トポロジ間転送か否かを示す識別子がトポロジ間転送を示すフラグ値(例えば、“1”)
T5:アップストリーム又はダウンストリーム
例えば、IABノード300-1では、ルーティングIDに関し、トポロジ間ルーティングを示す特定のルーティングIDが当該テーブルに含まれていれば、当該テーブルを第2ルーティングテーブルと判定できる。
【0214】
他方、例えば、IABノード300-1では、トポロジ間ルーティングを示す特定のルーティングIDが当該テーブルに含まれていなければ(或いは、トポロジ内ルーティングを示すルーティングIDが当該テーブルに含まれていれば)、当該テーブルを第1ルーティングテーブルと判定できる。
【0215】
T2からT4についても同様である。
【0216】
なお、T5に関しては、例えば、IABノード300-1は、当該パケットがアップストリーム方向のパケットである場合、アップストリーム方向であることを示す識別子を含むテーブルを、第2ルーティングテーブルと判定してもよい。また、例えば、IABノード300-1は、当該パケットがダウンストリーム方向のパケットである場合、ダウンストリーム方向であることを示す識別子を含むテーブルを、第1ルーティングテーブルと判定してもよい。
【0217】
図16は、第1実施形態に係る第4動作例を表す図である。
【0218】
図16に示すように、ステップS60において、ドナーノードは、処理を開始する。
【0219】
ステップS61において、ドナーノードは、IABノード300-1に対して、トポロジ間ルーティング用の第1ルーティングテーブルと、トポロジ内ルーティング用の第2ルーティングテーブルとを設定する。
【0220】
2つのテーブルには、各々、第1ルーティングテーブルと第2ルーティングテーブルとを識別する識別子が含まれる。
【0221】
ステップS62において、IABノード300-1は、パケットを受信する。
【0222】
ステップS63において、IABノード300-1のBAPレイヤは、当該パケットのヘッダを確認し、適用するルーティングテーブルを判定する。例えば、BAPレイヤは、ヘッダに含まれる情報がトポロジ間ルーティングを示す特定の識別子と一致する場合、当該識別子を含むルーティングテーブルを第2ルーティングテーブルと判定する。他方、BAPレイヤは、ヘッダに含まれる情報がトポロジ間ルーティングを示す特定の識別子に該当しない場合(或いは、当該情報がトポロジ内ルーティングを示す特定の識別子に該当する場合)、当該識別子を含まないルーティングテーブルを第1ルーティングテーブルと判定する。BAPレイヤは、判定したルーティングテーブルを用いて、ルーティング処理を行う。
【0223】
そして、ステップS64において、IABノード300-1は、一連の処理を終了する。
【0224】
(第4動作例の変形例)
第4動作例では、ルーティングテーブルについて、第1ルーティングテーブルと第2ルーティングテーブルの2つのルーティングテーブルが利用される例について説明した。例えば、3つ以上のルーティングテーブルが利用されてもよい。例えば、境界IABノード300-1について、3つ以上のマルチ接続(multi-connectivity)が想定されるため、各接続に1つのルーティングテーブルが利用されてもよい。
【0225】
(第5動作例)
次に、第1実施形態における第5動作例について説明する。
【0226】
上述した第4動作例では、パケットの方向に基づいて、適用するテーブルを特定する例について説明した。
【0227】
しかし、3GPPでは、パケットの方向をどのように特定するかについては議論されていない。
【0228】
そこで、第5動作例では、受信したパケットがダウンストリーム方向であるのか、受信したパケットがアップストリーム方向であるのか、その方向を特定する動作例について説明する。
【0229】
具体的には、第1に、受信部(例えば、BAPレイヤの受信部)が、受信したBAPパケットの方向についてダウンストリーム方向かアップストリーム方向かを特定する。第2に、BAPパケットの方向毎に第1ルーティングテーブル及び第2ルーティングテーブルが存在する場合、送信部が、特定した方向に対応する第1ルーティングテーブル又は第2ルーティングテーブルを選択する。
【0230】
これにより、例えば、IABノード300-1では、特定した方向に対応するルーティングテーブルを用いて、受信したパケットを適切に転送することが可能となる。
【0231】
図17は、第1実施形態に係る第5動作例を表す図である。
【0232】
図17に示すように、ステップS70において、IABノード300は、処理を開始する。
【0233】
ステップS71において、IABノード300は、パケットを受信する。
【0234】
ステップS72において、IABノード300のBAPレイヤは、当該パケットの方向を特定する。例えば、BAPレイヤは、以下のようにして当該パケットの方向を特定してもよい。
【0235】
すなわち、BAPレイヤは、IABノード300の子ノード(に対応するバックホールリンク)から当該パケットを受信した場合は、アップストリーム方向であると特定する。また、BAPレイヤは、UE100(に対応するアクセスリンク)から当該パケットを受信した場合も、アップストリーム方向であると特定する。他方、BAPレイヤは、IABノード300の親ノード(に対応するバックホールリンク)から当該パケットを受信した場合、ダウンストリーム方向であると特定する。また、BAPレイヤは、IABノード300のIAB-DUにおいて当該パケットを受信した場合、アップストリーム方向であると特定する。また、BAPレイヤは、IABノード300のIAB-MTにおいて当該パケットを受信した場合、ダウンストリーム方向であると特定する。
【0236】
ステップS73において、BAPレイヤは、特定したパケットの方向を用いて、所定の処理を行う。当該所定の処理は、以下のいずれかの処理である。
【0237】
第1に、ルーティングテーブルがパケットの方向毎に2つ存在する場合、BAPレイヤは、特定した方向に対応するルーティングテーブルを選択する。すなわち、特定したパケットの方向がアップストリーム方向の場合は、BAPレイヤは、アップストリーム方向に対応する、第1ルーティングテーブル又は第2ルーティングテーブルを選択する。他方、特定したパケットの方向がダウンストリーム方向の場合は、BAPレイヤは、ダウンストリーム方向に対応する、第1ルーティングテーブル又は第2ルーティングテーブルを選択する。そして、BAPレイヤは、選択したルーティングテーブルを用いて、ルーティング処理を行う。
【0238】
第2に、ルーティングテーブルがパケットの方向毎に存在せずに、ルーティングテーブル内のエントリの中でパケットの方向が指定されている場合、BAPレイヤは、特定した方向に対応するエントリを対象としてルーティング処理を行う。例えば、第1ルーティングテーブルと第2ルーティングテーブルが存在し、第1ルーティングテーブル内のエントリでパケットの方向が指定され、第2ルーティングテーブル内のエントリでパケットの方向が指定されていると仮定する。この場合、BAPレイヤは、第1ルーティングテーブル又は第2ルーティングテーブル内における、特定した方向(アップストリーム方向又はダウンストリーム方向)に対応するエントリを用いて、ルーティング処理を行う。
【0239】
ステップS74において、IABノード300は、当該パケットを、次ホップノードへ送信する。
【0240】
そして、ステップS75において、IABノード300は、一連の処理を終了する。
【0241】
(第5動作例の変形例)
第5動作例では、ルーティング処理を行う例について説明した。第5動作例は、マッピング処理に適用してもよい。
【0242】
すなわち、BAPレイヤは、第5動作例と同様に、受信したパケットの方向を特定する。そして、マッピングテーブルがパケットの方向毎に2つ存在する場合は、BAPレイヤは、特定した方向に対応する、第1マッピングテーブル又は第2マッピングテーブルを選択し、選択したマッピングテーブルを用いてマッピング処理を行う。また、マッピングテーブルがパケット毎に存在しないで、マッピングテーブル内のエントリの中でパケットの方向が指定されている場合は、BAPレイヤは、第1マッピングテーブル又は第2マッピングテーブルにおける、当該方向に対応するエントリを用いてマッピング処理を行う。
【0243】
(第6動作例)
第3動作例では、トポロジ間ルーティング対象であることを示す識別子について説明した。
【0244】
第6動作例では、ドナーDU又はアクセスIABノードがどのようにして当該識別子をパケットのヘッダに書き込むのかについて説明する。
【0245】
具体的には、第1に、ドナーノード(例えば、ドナー200)のCUが、ドナーノードのDU又はアクセスIABノードに対して、ルーティングIDと紐づけて、トポロジ間ルーティングを示す識別子への書き込みを行うか否かの設定を行う。第2に、ドナーノードのDU又はアクセスIABノードが、設定に従って、ルーティングIDと識別子とを含むBAPヘッダを付与したBAPパケットを、次ホップノードへ送信する。
【0246】
これにより、例えば、ドナーノード200のDUとアクセスIABノードは、BAPヘッダに当該識別子を適切に書き込みことが可能となる。
【0247】
図18は、第1実施形態に係る第6動作例を表す図である。
【0248】
図18に示すように、ステップS80において、ドナーノード200は、処理を開始する。
【0249】
ステップS81において、ドナーノード200のCUは、ドナーノード200のDU又はアクセスIABノードに対して、ルーティングIDと紐づいて、トポロジ間ルーティングを示す識別子への書き込みを行うか否かの設定を行う。
【0250】
第1に、アクセスIABノードへの設定については、F1APを利用して設定される。すなわち、ドナーノード200は、アクセスIABノードに対して、「Uplink Traffic to Routing ID Mapping Configuration」を、送信することで設定を行う。当該マッピング設定には、以下のIEが含まれる。
【0251】
U1:トラフィックタイプ指定子(Traffic type specifier)
U2:ルーティングID
U3:トポロジ間ルーティングを示す識別子を書き込みか否かの情報
ここで、上記U3に関し、当該IEが当該マッピング設定に含まれる場合に、当該識別子をBAPヘッダに書き込むとし、当該IEが当該マッピング設定に含まれてない場合に、当該識別子をBAPヘッダに書き込まない、としてもよい。また、上記U3に関し、当該情報が“1”の場合に当該識別子をBAPヘッダに書き込むとし、当該情報が“0”の場合に当該識別子をBAPヘッダに書き込まない、としてもよい。“1”と“0”は逆でもよい。更に、当該情報が“True”又は“False”により示されてもよい。また、当該情報が、“Yes”又は“No”で示されてもよい。
【0252】
第2に、ドナーノード200のDUへの設定については、所定のIE(「IP-to-layer-2 traffic mapping Information List IE」)を利用して、設定される。すなわち、ドナーノード200のCUは、ドナーノード200のDUに対して、「Downlink Traffic to Routing ID Mapping Configuration」を出力することで設定を行う。当該マッピング設定には、以下のIEが含まれる。
【0253】
D1:宛先IPアドレス(Destination IP Address)
D2:IPv6フローレベル(IPv6 flow label)
D3:DSCP(Differentiated Services Code Point)
D4:ルーティングID
D5:トポロジ間ルーティングを示す識別子を書き込みか否かの情報
当該マッピング設定においても、アクセスIABノードへの設定と同様に、D5が含まれる。D5は、U3と同様に、当該IEが当該マッピング設定に含まれる場合に、当該識別子をBAPヘッダに書き込むとし(又は書き込みが指定されているとし)、当該IEが当該マッピング設定に含まれない場合に、当該識別子をBAPヘッダに書き込まない(又は書き込みが指定されていない)、としてもよい。当該情報が“1”の場合に当該識別子をBAPヘッダに書き込むとし、当該情報が“0”の場合に当該識別子をBAPヘッダに書き込まない、としてもよい。“1”と“0”は逆でもよい。当該情報が“True”又は“False”により示されてもよい。また、当該情報が、“Yes”又は“No”で示されてもよい。
【0254】
なお、以下では、アクセスIABノードにおける動作例について説明する。
【0255】
ステップS82において、アクセスIABノードのBAPレイヤは、上位レイヤから、BAPパケット(BAP SDU)を受信する。
【0256】
第1に、BAPレイヤは、当該パケットに対応するトラフィック指定子を含むエントリを、当該マッピング設定(「Uplink Traffic to Routing ID Mapping Configuration」)から選択する。
【0257】
第2に、BAPレイヤは、選択したエントリ内のルーティングIDを、BAPヘッダへ書き込むルーティングIDとする。
【0258】
そして、第3に、BAPレイヤは、選択したエントリ内において、トポロジ間ルーティングを示す識別子への書き込みが指定されていた場合、BAPヘッダにおける当該識別子を“1”とする。他方、選択したエントリ内において、当該識別子への書き込みが指定されていなかった場合、BAPレイヤは、当該識別子を“0”とする。
【0259】
第4に、BAPレイヤは、ルーティングIDと当該識別子とを含むBAPヘッダを、当該パケット(BAP SDU)に付加して、BAP PDUを生成する。
【0260】
ステップS83において、アクセスIABノードのBAPレイヤは、当該BAP PDUに対して、ルーティング処理とマッピング処理とを行い、次ホップのノードへ送信する。
【0261】
そして、ステップS84において、アクセスIABノードのBAPレイヤは、一連の処理を終了する。
【0262】
ここで、ステップS82とステップS83について、ドナーノード200のDUが処理を行う場合、ステップS82とステップS83における「アクセスIABノード」を「ドナーノード200のDU」と置き換え、マッピング設定を「Downlink Traffic to Routing ID Mapping Configuration」とすればよい。
【0263】
以上、トポロジ間ルーティングのシナリオ(S3-1)に関する第1実施形態について説明した。次に、トポロジ間リルーティングのシナリオ(S3-2)について説明する。
【0264】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0265】
第2実施形態では、トポロジ間リルーティングについて説明する。
【0266】
3GPPにおいては、トポロジ間リルーティングをサポートすることが合意されている。トポロジ間リルーティングは、IABノードが、ターゲットドナーノードのCUのトポロジ上の代替パスを介して、オリジナルドナーノード(又はソースドナーノード)のCUへパケットをリルーティングすることである。
【0267】
トポロジ間リルーティングに関し、3GPPでは、IABノードが、新たなドナーCUでのRRC再確立(RRC Reestablishment)を介して、BH RLFからの回復を実行する場合、元のドナーノードとの進行中のF1接続を維持し、回復されたパスを介してリルーティングが行われてもよい、ことが合意されている。
【0268】
つまり、IABノードにおけるトポロジ間リルーティングは、ソースドナーノードとのF1接続を残したまま、ターゲットドナーノードに対してはRRC再確立の状態で適用される可能性がある。言い換えると、IABノードでは、2つのドナーノードとの二重接続(DC:Dual Connectivity)の状態ではなく、ターゲットドナーノードとのF1接続が未確立である過渡状態で、トポロジ間リルーティングが適用される可能性がある。
【0269】
このような過渡状態において、IABノードがRel-16のローカルリルーティングの手順を用いてトポロジ間リルーティングを実行しても、実行できない場合がある。
【0270】
すなわち、Rel-16のローカルリルーティングの手順では、BAPパケットのBAPヘッダに含まれる宛先(Destination)と一致するルーティングIDをルーティングテーブルから選択して、当該パケットを転送する。
【0271】
しかし、ソースドナーノードのルーティングテーブルには、ターゲットドナーノードへのルーティングID(或いは、宛先(Destination)がターゲットドナーノードのDUのBAPアドレス)は存在しない。2つのドナーノードは、トポロジが異なり、各ドナーノードのCUで各トポロジのBAPアドレスなどを管理するからである。
【0272】
そのため、ソースドナーノードのCUが、IABノードへ当該ルーティングテーブルを設定しても、IABノードは、ターゲットドナーノードへ当該パケットを転送できない。
【0273】
仮に、IABノードがターゲットドナーノードへ当該パケットを転送できても、ターゲットドナーノードは、当該パケットが自身宛てなのか、ソースドナーノード宛てなのか、把握できない場合がある。
【0274】
そこで、第2実施形態では、ターゲットドナーノードがトポロジ間リルーティング用の通信路をIABノードに設定し、IABノード300は、当該通信路を介して、パケットを転送する。
【0275】
具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300)が、第1ドナーノード(例えば、ソースドナーノード)との接続又は第1上位ノードとの接続において、バックホールの無線リンク障害を検出する。第2に、中継ノードが、第2ドナーノード(例えば、ターゲットドナーノード)又は第2上位ノードに対して、RRC再確立を実施した際に、第1ドナーノードとの通信を継続することを示す情報を通知する。ここで、第1上位ノードは、第1ドナーノードが管理するノードであって、中継ノードの上位ノードである。また、第2上位ノードは、第2ドナーノードが管理するノードであって、中継ノードの上位ノードである。
【0276】
これにより、例えば、ターゲットドナーノードでは、IABノードとソースドナーノードとの間で通信が継続されることを把握でき、この通知をトリガにして、トポロジ間リルーティング用の通信路の設定を、IABノードに対して行うことが可能となる。そして、上述した過渡状態においても、IABノードは、当該通信路を利用して、受信したパケットを適切に転送することが可能となる。
【0277】
図19(A)と図19(B)は、第2実施形態に係るトポロジの構成例を表す図である。
【0278】
図19(A)では、IABノード300とドナーノードA(200-A)との間のバックホールリンクでBH RLFが発生している例を表している。また、図19(B)では、IABノード300と上位ノード300-P1との間のバックホールリンクでBH RLFが発生している例を表している。図19(B)において、IABノード300-P1は、ドナーノードA(200-A)が管理するノードである。また、IABノード300-P2は、ドナーノードB(200-B)が管理するノードである。
【0279】
図20は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。図20に示す動作例は、図19(A)と図19(B)に示す構成例を適宜参照しながら説明する。
【0280】
図20に示すように、ステップS90において、IABノード300は、処理を開始する。
【0281】
ステップS91において、バックホールリンクにおいてBH RLFが発生する。例えば、図19(A)の例では、IABノード300のIAB-MTが、ドナーノードA(200-A)との間のバックホールリンクでのBH RLFを検出する。また、図19(B)の例では、IABノード300のIAB-MTが、IABノード300-P1との間のBH RLFを検出する。
【0282】
図20に戻り、ステップS92において、IABノード300は、セル選択により、ドナーノードB(200-B)を選択する。IABノード300は、セル選択により、ドナーノードB(200-B)が管理するIABノード300-P2を選択してもよい。
【0283】
ステップS93において、IABノード300は、ドナーノードB(200-B)に対して、RRC再確立(RRC Reestablishment)手順を実行する。例えば、以下の手順が実行される。
【0284】
第1に、IABノード300は、ドナーノードB(200-B)に対して、RRC再確立要求(RRC Reestablishment Request)メッセージを送信する。IABノード300は、IABノード300-P2を介してドナーノードB(200-B)に対して、当該メッセージを送信してもよい。
【0285】
この際、IABノード300は、当該メッセージにおいて、ドナーノードA(200-A)との通信を継続することを示す情報(又は要求)をドナーノードB(200-B)へ通知してもよい。若しくは、IABノード300は、当該メッセージにおいて、自IABノード300がトポロジ間リルーティングの能力を有していることを示す情報をドナーノードB(200-B)へ通知してもよい。若しくは、IABノード300は、当該メッセージにおいて、ドナーノードA(200-A)とのF1接続が残っていることを示す情報をドナーノードB(200-B)へ通知してもよい。或いは、IABノード300は、当該メッセージにおいてドナーノードA(200-A)との通信路の確立要求をドナーノードB(200-B)へ通知してもよい。
【0286】
なお、当該通知は、後のRRC再確立完了(RRC Reestablishment Complete)、又は、更に後のUEアシスタンス情報(UE Assistanve Information)の各メッセージにおいて行われてもよい。
【0287】
第2に、ドナーノードB(200-B)は、RRC再確立要求を受け入れ、IABノード300へ、RRC再確立(RRC Reestablishment)メッセージを送信する。
【0288】
第3に、IABノード300は、当該RRC再確立メッセージの受信に応じて、RRC再確立完了(RRC Reestablishment Complete)メッセージを、ドナーノードB(200-B)へ送信する。
【0289】
以上により、IABノード300とドナーノードB(200-B)との間でRRC接続が確立される。
【0290】
ステップS94において、ドナーノードB(200-B)は、ドナーノードA(200-A)との間で通信路(GTP(GPRS(General Packet Radio System) Tunnelling Protocol))を確立する。ドナーノードB(200-B)が当該通信路を利用して、IABノード300においてトポロジ間ルーティングされたアップストリーム方向のパケットをドナーノードA(200-A)へ送信するためである。加えて、ドナーノードA(200-A)も、ドナーノードB(200-B)との間で通信路(GTP)を確立する。ドナーノードA(200-A)が、ドナーノードB(200-B)へ、ダウンストリーム方向のパケットを送信するためである。
【0291】
例えば、ドナーノードB(200-B)が、通信路確立要求メッセージをドナーノードA(200-A)へ送信する。そして、ドナーノードA(200-A)が、当該メッセージの受信に応じて、肯定応答メッセージをドナーノードB(200-B)へ送信する。これにより、当該通信路が確立されてもよい。当該要求メッセージには、IABノード300の識別子、ダウンストリームパケット受信用のGTP TEID(Tunnel Endpoint Identifier)、及びIPアドレスが含まれてもよい。当該肯定応答メッセージには、アップストリームパケット受信用のGTP TEID、及びIPアドレスが含まれてもよい。
【0292】
なお、GTP通信路の確立は、ドナーノードB(200-B)がIABノード300へ、RRC再確立(RRC Reestablishment)メッセージを送信する前に行われてもよい。
【0293】
ステップS95において、ドナーノードB(200-B)は、IABノード300に対して、トポロジ間リルーティング用の通信路を設定する。すなわち、第2ドナーノード(例えば、ドナーノードB(200-B))が、中継ノード(例えば、IABノード300)に対して、トポロジ間リルーティング用の通信路を設定する。
【0294】
ドナーノードB(200-B)は、ステップS93で確立したRRC接続を利用して、IABノード300に対して通信路の設定を行う。具体的には、ドナーノードB(200-B)のCUは、IABノード300のIAB-MTへ、RRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを送信することで、通信路の設定を行う。当該メッセージには、トポロジ間リルーティング用の(テンポラリな)バックホールRLCチャネル(BH RLC channel)を確立するための設定を含む。
【0295】
第1に、当該設定には、トポロジ間リルーティング用の(テンポラリな)ルーティングテーブルが含まれてもよい。当該ルーティングテーブルには、ルーティングID、次ホップBAPアドレス(Next Hop BAP Address)が含まれてもよい。
【0296】
第2に、当該設定には、トポロジ間リルーティング用の(テンポラリな)マッピングテーブルが含まれてもよい。当該マッピングテーブルには、流入バックホールRLCチャネル(ingress BH RLC channel)、流出バックホールRLCチャネル(egress BH RLC channel)、流入バックホールリンク(ingress BH link)、及び流出バックホールリンク(egress BH link)が含まれてもよい。
【0297】
第3に、当該設定には、IABノード300のBAPアドレスが含まれてもよい。当該BAPアドレスは、ドナーノードB(200-B)が管理するIABノード300に対するBAPアドレスである。
【0298】
第4に、当該設定には、ドナーノードB(200-B)のDUのBAPアドレスが含まれてもよい。
【0299】
第5に、当該設定には、BAPヘッダ書き替えテーブルが含まれてもよい。
【0300】
IABノード300のRRCレイヤは、当該設定を受信すると、当該設定を、IABノード300のBAPレイヤへ出力する。BAPレイヤは、当該設定を、ルーティングテーブル及び/又はマッピングテーブルとして取り扱ってもよい。
【0301】
ステップS96において、IABノード300のBAPレイヤは、当該設定に従い、トポロジ間リルーティング処理を行う。例えば、IABノードのBAPレイヤは、以下の処理を行う。
【0302】
第1に、BAPレイヤは、滞留しているドナーノードA(200-A)宛てのパケットのBAPヘッダを、当該設定に従い、ドナーノードB(200-B)のDU向けのルーティングIDに書き替える。
【0303】
第2に、BAPレイヤは、当該設定に従い、当該ルーティングIDから次ホップBAPアドレス(又は次ホップBAPアドレスに対応する流出バックホールリンク)を特定する。この場合、BAPレイヤは、当該設定によるトポロジ間リルーティング用のルーティングテーブルを利用してもよい。例えば、BAPレイヤは、当該ルーティングIDと一致するエントリを、トポロジ間リルーティング用のルーティングテーブルから読み出し、当該エントリの次ホップBAPアドレスに対応する流出バックホールリンクを特定してもよい。
【0304】
第3に、BAPレイヤは、当該設定から流出バックホールRLCチャネルを特定する。この場合、BAPレイヤは、当該設定によるトポロジ間リルーティング用のマッピングテーブルを利用してもよい。例えば、BAPレイヤは、当該パケットの流入バックホールRLCチャネル、流入バックホール、特定した流出バックホールリンクと一致するエントリを読み出し、当該エントリに含まれる流出バックホールRLCチャネルを特定してもよい。
【0305】
第4に、BAPレイヤは、特定した流出バックホールリンクの特定した流出バックホールRLCチャネルへ、滞留している当該パケットを出力する。
【0306】
なお、上記流出バックホールリンクの特定と、上記流出バックホールRLCチャネルの特定とに関し、例えば、以下のように処理が行われてもよい。すなわち、BAPレイヤは、IABノード300に滞留する送信待ちのパケットについて、当該パケットのヘッダに含まれるルーティングIDと一致するエントリがルーティングテーブルに無く、かつ、当該パケットのヘッダに含まれる宛先と一致するエントリがルーティングテーブルに無い場合、当該設定で設定されたバックホールRLCチャネルを送信先として選択し、選択したバックホールRLCチャネルを介して、滞留パケットを送信する。つまり、BAPレイヤは、このような場合に、トポロジ間リルーティング用の通信路へ滞留パケットを送信する。
【0307】
また、IABノード300のBAPレイヤは、当該設定に従い、流入バックホールリンクと流入バックホールRLCチャネルから、ドナーノードA(200-A)が送信したダウンリンク方向のパケットを、ドナーノードB(200-B)を介して受信してもよい。
【0308】
ステップS97において、ドナーノードA(200-A)又はIABノード300は、ドナーノードA(200-A)とIABノード300との間のF1接続が解放された場合、F1通信が完了したことを示す情報(例えば、前記通信路の破棄要求)を、ドナーノードB(200-B)へ通知する。
【0309】
例えば、ドナーノードA(200-A)が、ドナーノードB(200-B)とIABノード300間のトポロジ間リルーティング用の通信の破棄要求を、ドナーノードB(200-B)へ送信する。そして、ドナーノードB(200-B)は、当該破棄要求に対する肯定応答をドナーノードA(200-A)へ返送することで、当該通知と当該通信の破棄とを同時に実行することも可能である。若しくは、IABノードのF1レイヤが、F1セットアップ要求をドナーノードB(200-B)へ送信することで、暗示的に、当該F1接続が解放されたことを通知してもよい。
【0310】
ステップS98において、ドナーノードB(200-B)は、IABノード300から、ステップS95で設定した、トポロジ間リルーティング用のバックホールRLCチャネル設定(又はトポロジ間リルーティング用の通信路の設定)を取り除く。すなわち、中継ノード(例えば、IABノード300)は、第1ドナーノード(例えば、ドナーノードA(200-A))とのF1接続又は第1上位ノード(例えば、IABノード300-P1)とのF1接続が解放された場合、トポロジ間リルーティング用の通信路の設定を破棄する。
【0311】
例えば、ドナーノードB(200-B)は、IABノード300に対して、当該設定を取り除くよう指示を行ってもよい。また、IABノード300が自動的に当該設定を取り除いてもよい。後者の場合、IABノード300は、ステップS97におけるF1通信完了の通知をトリガにして、当該設定を取り除いてもよい。
【0312】
ステップS99において、ドナーノードB(200-B)は、一連の処理を終了する。
【0313】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態では、IABノード300は、ドナーノードB(200-B)に対してRRC接続を再確立し、ドナーノードB(200-B)は、RRCメッセージを利用して、IABノード300に対して、トポロジ間リルーティング用の通信路の設定を行った。
【0314】
第2実施形態の変形例では、RRCに代えて、F1を利用して、当該通信路の設定を行う例である。具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300)が、第1ドナーノード(例えば、ドナーノードA(200-A))との接続又は第1上位ノード(例えば、IABノード300-P1)との接続において、BH RLFを検出する。第2に、中継ノードが、第2ドナーノード(例えば、ドナーノードB(200-B))又は第2上位ノード(例えば、IABノード300-P2)に対して、F1セットアップを実施した際に、第1ドナーノードとの通信を継続することを示す情報を通知する。ここで、第1上位ノードは、第1ドナーノードが管理するノードであって、中継ノードの上位ノードである。また、第2上位ノードは、第2ドナーノードが管理するノードであって、中継ノードの上位ノードである。
【0315】
これにより、例えば、ターゲットドナーノードでは、IABノードとソースドナーノードとの間で通信が継続されることを把握でき、この通知をトリガにして、トポロジ間リルーティング用の通信路の設定を、F1APメッセージを利用して、IABノードに対して行うことが可能となる。そして、当該通信路の設定により、IABノードは、トポロジ間リルーティングを適切に行うことが可能となる。
【0316】
図21は、第2実施形態に係る変形例を表す図である。
【0317】
図21に示すように、ステップS100において、IABノード300は処理を開始する。
【0318】
ステップS101とステップS102は、第2実施形態のステップS91とステップS92とそれぞれ同じである。
【0319】
ステップS103において、IABノード300は、ドナーノードB(200-B)との間で、RRC再確立手順を実行して、ドナーノードB(200-B)との間でRRC接続を再確立する。その後、IABノード300は、F1セットアップ手順を実行して、ドナーノードB(200-B)との間でF1接続を確立する。
【0320】
なお、F1セットアップ手順は、IABノード300のIAB-DUとドナーノードB(200-B)のCUとの間で行われる。F1セットアップ手順は、例えば、以下のようして行われる。
【0321】
第1に、IABノード300は、ドナーノードB(200-B)へ、F1セットアップ要求(F1 Setup Request)メッセージを送信する。この際に、IABノード300は、第2実施形態と同様に、当該メッセージにおいて、ドナーノードA(200-A)との通信を継続することを示す情報を通知する。又は、IABノード300は、第2実施形態と同様に、トポロジ間リルーティングの能力を有していることを示す情報を通知してもよい。また、IABノード300は、ドナーノードA(200-A)とのF1接続が残っていることを示す情報を通知してもよい。なお、当該通知は、後のF1セットアップ応答(F1 Setup Response)メッセージ、又は、更に後のUEアシスタンス情報メッセージにおいて行われてもよい。
【0322】
第2に、ドナーノードB(200-B)は、当該要求を受け入れて、IABノード300へ、F1セットアップ応答メッセージを送信する。
【0323】
これにより、IABノード300とドナーノードB(200-B)との間でF1接続が確立する。
【0324】
ステップS104は、第2実施形態のステップS94と同じである。
【0325】
ステップS105において、ドナーノードB(200-B)は、IABノード300に対して、トポロジ間リルーティング用の(テンポラリな)通信路を設定する。当該設定は、F1再設定更新(F1 Configuration Update)メッセージを用いて行われる。設定内容は、第2実施形態と同じである。当該設定には、第2実施形態と同様に、トポロジ間リルーティング用の(テンポラリな)バックホールRLCチャネルを確立するための設定が含まれる。IABノード300のF1APレイヤは、当該設定を受信すると、当該設定をIABノード300のBAPレイヤへ出力する。BAPレイヤは、第2実施形態と同様に、当該設定を、ルーティングテーブル及び/又はマッピングテーブルとして扱ってもよい。
【0326】
なお、当該設定は、F1セットアップ応答メッセージを用いて行われてもよい。
【0327】
ステップS106において、IABノード300のBAPレイヤは、当該設定に従い、トポロジ間リルーティング処理を行う。トポロジ間リルーティング処理自体は、第2実施形態と同様である。
【0328】
ステップS107とステップS108は、第2実施形態のステップS97とステップS98とそれぞれ同じである。
【0329】
そして、ステップS109において、ドナーノードB(200-B)は、一連の処理を終了する。
【0330】
以上、トポロジ間リルーティングのシナリオ(S3-2)に関する第2実施形態について説明した。次に、ドナーDU間リルーティングのシナリオ(S2-2)について説明する。
【0331】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0332】
第3実施形態は、ドナーDU間リルーティングについて説明する。
【0333】
例えば、図9(B)に示すトポロジ構成例の場合、ドナーノードのDUが複数存在する。そのため、ドナーノードのDUのBAPアドレスも複数存在する。図9(B)の例では、ドナーノードDU#1(200D1)のBAPアドレスと、ドナーノードDU#2(200D2)のBAPアドレスの2つが存在する。
【0334】
ここで、ダウンストリーム方向のパケットに関し、発信元(ドナーノードのDU)は、IABノード300-1におけるルーティング処理に関与しない。また、ダウンストリーム方向のパケットに関し、宛先(アクセスIABノード)は、ルーティング処理を行っても変わらない。そのため、ダウンストリーム方向のドナーDU間リルーティングは、とくに問題は生じないことが予想される。
【0335】
一方、アップストリーム方向に関し、ドナーDU間リルーティングを行うと、宛先(ドナーノードのDU)が変わる。つまり、各パケットについて、宛先BAPアドレスが変更となる。このため、IABノード300-1では、BAPヘッダ書き替え処理が行われる場合がある。3GPPでは、BAPヘッダ書き替え処理として、「“previous routing ID to new routing ID” BAP rewriting」が合意された。
【0336】
ここで、本シナリオでは、2つの課題がある。
【0337】
第1に、リルーティングは、ルーティングとは異なり、一旦、ルーティング処理を行い、行先のないパケットに対して、再度ルーティング処理を行うことが原則である。そのため、BAPヘッダ書き替え処理を行うタイミングを考慮する必要がある。
【0338】
第2に、IABノード300-1が受信したパケットの宛先(Destination)と一致するルートを適当に選択するのか、或いは、ドナーノードによって、代替パスが明示的に設定されるのかが明確ではない。そのため、設定が複雑になる場合も考えられる。
【0339】
(第1動作例)
次に、第3実施形態に係る第1動作例について説明する。
【0340】
第1動作例では、一旦、ルーティング処理を行い、送信できなかったパケットに対してBAPヘッダ書き替え処理を行い、その後、再度ルーティング処理を行う動作例である。
【0341】
具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-1)が、パケットを受信する。第2に、中継ノードが、当該パケットに対して、ルーティング処理を行い、次ホップBAPアドレスを選択できないこと、又は流出バックホールリンクを選択できないこと、を確認する。第3に、中継ノードが、確認を行った当該パケットをドナーDU間リルーティングの対象のパケットと判定する。第4に、中継ノードが、ドナーDU間リルーティングの対象のパケットと判定した当該パケットに対して、再度ルーティング処理を行う。
【0342】
これにより、例えば、ルーティング処理を行い、行先のないパケットに対して、再度ルーティング処理を行うという、リルーティングの原則に則った処理を行うことができる。
【0343】
そして、中継ノードが、ドナーDU間リルーティング対象のパケットと判定した当該パケットに対して、当該パケットの宛先を書き替えるBAPヘッダ書き替え処理を実行する。この場合、中継ノードは、パケットの宛先を書き替えたパケットに対して、再度ルーティング処理を行う。
【0344】
これにより、例えば、IABノード300-1では、BAPヘッダ書き替え処理、ルーティング処理、及び再度のルーティング処理を適切に行うことができる。
【0345】
図22は、第3実施形態に係る第1動作例を表す図である。例えば、図9(B)に示す構成例を適宜参照しながら、図22を説明する。
【0346】
図22に示すように、ステップS110において、IABノード300-1は、処理を開始する。
【0347】
ステップS111において、IABノード300-1は、ドナーノード200から、所定の設定を受ける。所定の設定は、例えば、以下である。
【0348】
第1に、ヘッダ書き替えテーブルの設定が行われる。この場合、ヘッダ書き替えテーブルには、第1実施形態で説明したトポロジ間ルーティング用のヘッダ書き替えテーブルと、第3実施形態に係るドナーDU間リルーティング用のヘッダ書き替えテーブルとが設定される。2つのテーブルには、各テーブルを識別する識別子が含まれてもよい。
【0349】
第2に、2つのドナーDUのBAPアドレスが設定される。図9(B)の例では、ドナーDU#1(200D1)とドナーDU#2(200D2)の2つのBAPアドレスが設定される。なお、設定されるBAPアドレスは、3つ以上あってもよい。
【0350】
ステップS112において、IABノード300-1のBAPレイヤの送信部は、IABノード300-1のBAPレイヤの受信部から、パケットを受信する。ここで、BAPレイヤの受信部は、第1実施形態と同様に、ダウンストリーム方向における自身宛てのパケットを、上位レイヤへ出力してもよい。例えば、自身がアクセスIABノードのため、ルーティング処理などを行わなくてもよいからである。従って、送信部は、受信部から、自身宛のパケット以外のパケットを受信する。
【0351】
ステップS113において、送信部は、当該パケットに対して、ルーティング処理を行う。ルーティング処理では、例えば、以下の処理が行われる。
【0352】
第1に、送信部は、当該パケットのBAPヘッダを確認し、宛先(Destination)とパスID(Path ID)が一致するエントリがルーティングテーブルに存在しない、又は、当該エントリが存在しても、当該エントリに対応する次ホップBAPアドレスが使用可能(available)ではないことを確認する(Rel-16のルーティング処理)。
【0353】
第2に、送信部は、当該パケットのBAPヘッダを確認し、宛先が一致するエントリがルーティングテーブルに存在しない、又は、当該エントリが存在しても、当該エントリに対応する次ホップBAPアドレスが使用可能(available)ではないことを確認する(Rel-16のリルーティング処理)。
【0354】
つまり、送信部は、上記2つを確認し、次ホップBAPアドレスが選択できない状態になっていることを確認する。
【0355】
送信部は、次ホップBAPアドレスが使用可能である場合、対応する流出バックホールリンクが使用可能(available)ではないことを確認する。つまり、送信部は、流出バックホールリンクが選択できない状態であることを確認する。
【0356】
第3に、送信部は、マッピング処理において、流出バックホールRLCチャネルが選択できないことを確認してもよい。すなわち、送信部は、当該パケットの流入バックホールRLCチャネルと流入バックホールリンク、及びルーティング処理で選択した流出バックホールリンクと一致するエントリが、マッピングテーブルに存在しないことを確認してもよい。
【0357】
第4に、送信部は、当該パケットのBAPヘッダを確認し、宛先がドナーノード200のDU(例えば、ドナーノードDU#1(200D1))のBAPアドレスであることを確認する。ドナーノードのDUのBAPアドレスは、例えば、ステップS111においてドナーノード200によってIABノード300-1に対して設定されている。そのため、送信部は、このBAPアドレスと当該パケットの宛先とを比較することで確認可能である。なお、当該確認によって、ダウンストリーム方向に対するBAPヘッダの書き替えを防止し、アップストリーム方向のパケットに対してヘッダ書き替えを行うようにすることが可能となる。
【0358】
第5に、送信部は、当該パケットがドナーノード200のDU宛てであることを確認すると、ドナーDU間リルーティング対象(又はアップストリーム方向)のパケットであるとして、マーキングをしてもよい。送信部は、マーキングの代わりに、特別な送信バッファ(すなわち、ドナーDU間リルーティング用バッファ)に当該パケットを格納してもよい。
【0359】
送信部は、当該パケットが、ドナーDU間リルーティング対象(又はアップストリーム方向)のパケットであり、かつ、ヘッダ書き替えテーブルが設定されている場合、次のヘッダ書き替え処理へ移行する。
【0360】
ステップS114において、送信部は、当該パケットに対して、ヘッダ書き替え処理を行う。ヘッダ書き替え処理は、第1実施形態における第1動作例のステップS16(図10)と同様である。
【0361】
ステップS115において、送信部は、ヘッダ書き替え処理が完了したパケットに対して、再度ルーティング処理と再度マッピング処理を行う。送信部は、2つの処理により、流出バックホールリンクと流出バックホールRLCチャネルとを選択する。
【0362】
ステップS116において、送信部は、選択した流出バックホールリンクの選択した流出バックホールRLCチャネルへ、当該パケットを出力する。そして、IABノード300-1は、当該パケットを、選択した次ホップのノードへ送信する。
【0363】
ステップS117において、IABノード300-1は、一連の処理を終了する。
【0364】
(第1動作例のまとめ)
図23は、第3実施形態に係る第1動作例をまとめた図である。
【0365】
図23において、ステップS120は、図22のステップS112に対応する。図23のステップS122は、図22のステップS113に対応する。図23のステップS123は、図22のステップS114に対応する。
【0366】
図23に示すように、送信部は、ルーティング処理とマッピング処理(ステップS122)を行って、ルーティング処理においてルーティングできなかったパケット、又はマッピング処理においてマッピングできなかったパケットに対して、BAPヘッダ書き替え処理を行う(ステップS123)。
【0367】
そして、送信部は、再度、ルーティング処理とマッピング処理を行って、処理済のパケットをドナーDU間リルーティング済のパケットとして、次ホップノードへ送信する。
【0368】
(第1動作例の変形例)
第3実施形態に係る第1動作例の少なくとも一部は、ドナーDU間リルーティング以外のシナリオにも適用可能である。
【0369】
(第2動作例)
次に、第3実施形態に係る第2動作例について説明する。
【0370】
3GPP TS38.340 V16.5.0(2016-06)の5.2.1.1「General」には、以下の記載がある。
「NOTE: Data buffering on the transmitting part of the BAP entity, e.g., until RLC-AM entity has received an acknowledgement, is up to implementation. In case of BH RLF, the transmitting part of the BAP entity may reroute the BAP Data PDUs, which has not been acknowledged by lower layer before the BH RLF, to an alternative path in accordance with clause 5.2.1.3.」
下線部に示すように、3GPPにおけるリルーティングは、送信済のパケットのうち、下位レイヤにおいてAckが確認されなかったパケットに対して行われる。
【0371】
そこで、第2動作例では、送信済のパケットに対して、ドナーDU間リルーティングを行う動作例について説明する。
【0372】
具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-1)が、パケット送信後、当該パケットの複製(又はコピー)をバッファに記憶する。第2に、中継ノードが、バッファに記憶したパケットから、ドナーDU間リルーティング対象のパケットを選択する。第3に、中継ノードが、選択したパケットに対して、当該パケットの宛先を書き替えるBAPヘッダ書き替え処理を行う。第4に、中継ノードが、BAPパケット書き替え処理を行ったパケットに対して、再度ルーティング処理を行う。
【0373】
これにより、例えば、IABノード300-1では、バッファに滞留しているパケットの中から、ドナーDU間リルーティング対象のパケットを選択することができ、適切にドナーDU間リルーティングを行うことが可能となる。
【0374】
図24は、第3実施形態に係る第2動作例を表す図である。
【0375】
図24に示すように、ステップS130において、IABノード300-1は、処理を開始する。
【0376】
ステップS131において、IABノード300-1のBAPレイヤは、パケットを送信後、当該パケットのコピーをバッファに格納する。BAPレイヤは、当該パケットの送信に用いた、ルーティングID、次ホップBAPアドレス、流出バックホールリンク、及び流出バックホールRLCチャネルの少なくも1つを、バッファに格納した当該パケットと紐づけて格納してもよい。若しくは、ルーティングID、次ホップBAPアドレス、流出バックホールリンク、及び流出バックホールRLCチャネルのいずれかに紐づいた複数のバッファを有してもよい。この場合、BAPレイヤは、当該パケットの送信先に応じて、該当するバッファに当該パケットのコピーを格納してもよい。なお、BAPレイヤは、下位レイヤ(RLC)より、当該パケットの送達確認の通知を受けた場合、バッファに格納した当該パケット(のコピー)をバッファから削除する。
【0377】
ステップS132において、BAPレイヤは、ドナーDU間リルーティングの実行を判断したとき、ドナーDU間リルーティングの対象となるパケットを、バッファに格納したパケットの中から選択する。当該ドナーDU間リルーティングの実行判断と当該ドナーDU間リルーティング対象パケットの選択は、例えば、以下のようにして行われる。
【0378】
第1に、IABノード300-1は、BH RLFを検出した場合に当該リルーティングを実行すると判断する。IABノード300-1は、当該BH RLFを検出した流出バックホールリンクを特定してもよい。若しくは、IABノード300-1は、当該流出バックホールリンクから影響を受ける、ルーティングID、次ホップBAPアドレス、及び流出バックホールRLCチャネルの少なくとも1つを特定してもよい。IABノード300-1は、特定した流出バックホールリンク(又は、ルーティングID、次ホップBAPアドレス、及び流出バックホールRLCチャネルの少なくとも1つ)と紐づいたパケットをバッファから選択する。当該パケットが当該リルーティング対象パケットとなり得る。
【0379】
第2に、IABノード300-1は、Type2 BH RLC Indicationを受信した場合に当該リルーティングを実行すると判断する。Type2 BH RLC Indicationは、BH RLFからの回復を施行中であることを示すIndicationである。IABノード300-1の上位ノードであるIABノード300-P1のIAB-DUが、IABノード300-1のIAB-MTへ当該Indicationを送信する。IABノード300-1は、当該Indicationを受信した流出バックホールリンクを特定してもよい。若しくは、IABノード300-1は、当該Indicationにルーティングできない(又は影響を受ける、若しくはリルーティングすべき)、ルーティングIDとバックホールRLCチャネルIDとが通知されている場合、これらのIDを特定してもよい。若しくは、IABノード300-1は、特定したこれらの情報から、影響を受ける次ホップBAPアドレスを特定してもよい。IABノード300-1は、特定した流出バックホールリンク(又は、ルーティングID、流出バックホールRLCチャネル、及び次ホップBAPアドレスの少なくとも1つ)に紐づいたパケットをバッファから選択する。当該パケットが当該リルーティング対象パケットとなり得る。
【0380】
第3に、IABノード300-1は、アップリンク方向のフロー制御フィードバック(Flow control feedback)を、IABノード300-1の上位ノードから受信した場合に当該リルーティングを実行すると判断する。当該フロー制御フィードバックを上位ノードから受信したIABノード300-1は、上位ノードへのデータ送信量などを少なくするなどの制御を行うことで、IABノード間の混雑を回避すること等が可能となる。IABノード300-1のIAB-MT(のBAPレイヤ)が、上位ノードのIAB-DUから送信された当該フィードバックを受信できる。IABノード300-1は、当該フィードバックを受信した流出バックホールリンクを特定してもよい。若しくは、IABノード300-1は、当該フィードバックにより、影響を受ける使用可能バッファサイズ(available buffer size)と紐づいたルーティングID又はバックホールRLCチャネルを特定してもよい。使用可能なバッファサイズが閾値(ドナーノード200により設定)を下回った場合に、当該バッファサイズと紐づいたルーティングID又はバックホールRLCチャネルを、当該リルーティング対象としてもよい。若しくは、IABノード300-1は、特定したこれらの情報から次ホップBAPアドレスを特定してもよい。IABノード300-1は、特定したルーティングID、流出バックホールリンク、流出バックホールRLCチャネル、及び次ホップBAPアドレスのうち少なくとも1つに紐づいたパケットをバッファから選択する。当該パケットが当該リルーティング対象パケットとなり得る。
【0381】
IABノード300-1は、他の何等かの基準で当該リルーティングを実行する場合も、同様にして、当該リルーティング対象のパケットを選択してもよい。
【0382】
ステップS133において、IABノード300-1は、選択したパケットに対して、BAPヘッダ書き替え処理を行う。BAPヘッダ書き替え処理は、第1実施形態の第1動作例(図10のステップS16)と同様である。
【0383】
ステップS134において、IABノード300-1は、BAPヘッダ書き替え処理を行ったパケットに対して、パケット送信前に行ったルーティング処理とマッピング処理とを再度行う。IABノード300-1は、処理済の当該パケットを次ホップノードへ送信する。
【0384】
そして、ステップS135において、IABノード300-1は、一連の処理を終了する。
【0385】
(第2動作例の変形例)
第2動作例の少なくとも一部は、ドナーDU間リルーティング以外のシナリオにも適用可能である。
【0386】
(第3動作例)
次に、第3実施形態に係る第3動作例について説明する。
【0387】
第1実施形態と第2実施形態では、IABノード300のBAPレイヤが、ドナーノード200から設定されたBAPヘッダ書き替えテーブルを参照して、BAPヘッダ書き替えを行う例を説明した。
【0388】
一方、Rel-16では、BAPレイヤが、通常のルーティングテーブルを参照して、BAPヘッダの宛先(Destination)と一致するルーティングIDの中から、リルーティング先のルーティングIDを適当に選択していた。これは、Rel-16では、CU内/ドナーDU内リルーティング(S1-2)が想定されていたため、同一トポロジ内にリルーティング先のルートがあることが前提であったため、問題は生じ得なかった。
【0389】
ここで、同様のコンセプト(つまり、BAPヘッダ書き替えテーブルが存在しない場合のコンセプト)がドナーDU間リルーティングに適用される場合の課題について検討する。
【0390】
第1に、ダウンストリーム方向については、宛先はアクセスIABノードであり、これは、Rel-16と変わらない。そのためダウンストリーム方向については、課題については検討しないことにする。
【0391】
第2に、アップストリーム方向については、ドナーノードのDUが複数存在する(=宛先BAPアドレスが複数存在する)。ただし、ドナーノードの複数のDUは、同一のドナーノードのCUに管理される。そのため、当該ドナーノードのCUが管理するルーティングテーブルには、例えば、ドナーDU#1(200D1)のBAPアドレスと、ドナーU#2(200D2)のBAPアドレスの2つのBAPアドレス(宛先)が存在するはずである。
【0392】
しかし、BAPヘッダに含まれる宛先(例えば、ドナーDU#1(200D1))だけを手掛かりにルーティングテーブルを参照しても、別のドナーノードのDU(例えば、ドナーDU#2(200D2))とはBAPアドレス自体が異なるため、当該別のドナーのDUへのルーティングIDを候補として選択できない場合がある。
【0393】
また、3GPPでは、ドナーDU間リルーティングについて、直前のルーティングIDから新たなルーティングIDへのBAPヘッダ書き替えを行うことが既に合意済である。
【0394】
そこで、第3動作例は、ドナーノード200が、宛先(例えば、ドナーDU#1(200D1))と紐づけられたalternative destination(代替宛先(例えば、ドナーDU#2(200D2)))をIABノード300-1に設定する。そして、IABノード300-1は、代替宛先を含むルーティングIDをルーティングテーブルから選択し、選択したルーティングIDをBAPヘッダに書き込むことで、BAPヘッダ書き替えを行う。
【0395】
具体的には、第1に、ドナーノード(例えば、ドナーノード200)が、中継ノード(例えば、IABノード300-1)に対して、第1ドナーノード(例えば、ドナーDU#1(200D1))の第1宛先アドレスと、第2ドナーノード(例えば、ドナーDU#2(200D2))の第2宛先アドレスとを設定する。第2に、中継ノードが、アップストリーム方向のパケットを受信する。第3に、中継ノードが、ルーティング処理を行い、パケットを次ホップ中継ノードへ送信できないことを判別する。第4に、中継ノードが、判別したパケットに対して、当該パケットの第1宛先アドレスと一致するBAPアドレスを含む第1ルーティングIDがルーティングテーブルに存在しない場合、第2宛先アドレスと一致するBAPアドレスを含む第2ルーティングIDをルーティングテーブルから選択する。第5に、中継ノードが、第2ルーティングIDを当該パケットのヘッダに書き込む。ここで、第2宛先アドレスは第1宛先アドレスに紐づけられている。
【0396】
これにより、IABノード300-1は、ドナーDU間リルーティングに際して、BAPヘッダ書き替えテーブルを使用することなく、BAPヘッダ書き替えを行うことが可能となる。
【0397】
図25は、第3実施形態に係る第3動作例を表す図である。
【0398】
図25に示すように、ステップS140において、IABノード300-1は、処理を開始する。
【0399】
ステップS141において、IABノード300-1は、ドナーノード200から所定の設定を受ける。所定の設定は、例えば、以下である。
【0400】
すなわち、所定の設定は、ドナーノード200の複数のDUについてのBAPアドレスである。若しくは、所定の設定は、ドナーDU間リルーティングに用いる代替宛先(alternative destination)である。例えば、ある宛先(例えば、ドナーDU#1(200D1))のBAPアドレスと、代替宛先(例えば、ドナーDU#2(200D2))のBAPアドレスと、が紐づけられて設定される。若しくは、ある宛先(例えば、ドナーDU#1(200D1)とドナーDU#2(200D2))が(アップストリーム方向の)代替宛先として使用可能であることを示す識別子が設定されてもよい。
【0401】
ステップS142において、IABノード300-1は、パケットを下位ノードから受信する。
【0402】
ステップS143において、IABノード300-1は、通常のルーティング処理を行い、次ホップノードが選択できない(又は送信できない)ことを確認する。ステップS143における処理は、例えば、第3実施形態に係る第1動作例(図22のステップS113)と同様でもよい。
【0403】
ステップS144において、IABノード300-1は、当該パケットのヘッダに含まれる宛先(Destination)と一致するBAPアドレスを有するルーティングIDをルーティングテーブルにおいて検索する。
【0404】
第1に、IABノード300-1は、当該ルーティングIDを含むエントリがルーティングテーブルに存在し、対応する次ホップBAPアドレス、流出バックホールリンク、及び流出バックホールRLCチャネルが使用可能(available)である場合、当該設定に従って、再度ルーティング処理を行う。
【0405】
第2に、当該エントリがルーティングテーブルに存在しない場合、対応する次ホップBAPアドレスが使用不可能(unavilable、又はcongested)である場合、又は対応する流出バックホールリンク及び/又は流出バックホールRLCチャネルが使用不可能(unavilable、又はcongested)である場合、以下の処理へ進む。
【0406】
すなわち、IABノード300-1は、当該パケットがアップストリーム方向であると判定したとき、当該パケットの宛先と紐づけられた代替宛先(当該宛先とは異なる別ドナーノードのDUのBAPアドレス)と一致するBAPアドレスを含むルーティングIDをルーティングテーブルにおいて検索する。
【0407】
ここで、アップストリーム方向であることの判定方法は、当該パケットのヘッダに含まれる宛先が、ステップS141で設定されたドナーノード200のDUのBAPアドレスと一致した場合、IABノードは当該パケットがアップストリーム方向であると判定できる。また、当該パケットのヘッダに含まれる宛先と一致する代替宛先がステップS141による設定で存在する場合に、IABノード300-1は、アップストリーム方向であると判定できる。
【0408】
IABノード300-1は、当該検索の結果、ルーティングテーブルに、別ドナーノード(又は代替宛先)のDUのBAPアドレスを含むルーティングIDが存在する場合、当該ルーティングIDを選択する。その後、IABノード300-1は、当該ルーティングIDと対応する次ホップBAPアドレスを選択し、対応する流出バックホールリンクと、流出バックホールRLCチャネルとを選択する。この際、IABノード300-1は、選択した次ホップBAPアドレス、流出バックホールリンク、及び流出バックホールRLCチャネルが送信可能(available)であることを確認する。
【0409】
ステップS145において、IABノード300-1は、当該選択したルーティングIDを当該パケットのヘッダに書き込む。つまり、IABノード300-1は、代替宛先を含むルーティングIDを選択した場合に、当該ルーティングIDをヘッダに書き込む。これにより、BAPヘッダ書き替えが行われる。ここで、IABノード300-1は、BAPヘッダ書き替えに関する情報をドナーへ報告してもよい。当該情報は、リルーティング処理に伴ってBAPヘッダ書き替えを行った場合の、書き替え前のルーティングID(すなわち、旧ルーティングID又はPrevious Routing ID)及び/又は書き替え後のルーティングID(すなわち、新たなルーティングID又はNew Routing ID)であってもよい。当該情報は更にリルーティングが実行された時間(時刻)情報、リルーティングが実行されたパケット数を含んでもよい。当該情報は、リルーティング処理が発生するたびにIABノード300-1の内部メモリに記録(ログ)されてもよい。当該報告は、リルーティング処理が行われる毎に(すなわち即座に)行われてもよく、ドナーからの要求に伴って(すなわち後で)行われてもよい。
【0410】
ステップS146において、IABノード300-1のBAPレイヤは、選択した流出バックホールリンクの選択した流出バックホールRLCチャネルへ、当該パケットを出力する。IABノード300-1は、当該パケットを次ホップのIABノードへ(又はドナーDU#2(200D2)へ向けて)送信する。
【0411】
そして、ステップS147において、IABノード300-1は、一連の処理を終了する。
【0412】
(第3動作例のまとめ)
図26は、第3実施形態に係る第3動作例をまとめたものである。
【0413】
図26において、ステップS150は、図25のステップS142に対応する。図26のステップS152は、図25のステップS143とステップS144に対応する。図26のステップS153は、図25のステップS145に対応する。
【0414】
ステップS150において、IABノード300-1はBAP受信処理を行う。この場合、IABノード300-1は、第1実施形態と同様に、アップストリーム方向だけではなく、ダウンストリーム方向のパケットも受信し、当該パケットが自身宛て(当該パケットがダウンストリーム方向で、IABノード300-1がアクセスIABノードとなり得る)の場合、上位ノードへ出力するようにしてもよい。この場合、IABノード300-1は、受信パケットのうち、自身宛てのパケット以外のパケットに対して、BAP送信処理(ステップS151)を行う。
【0415】
ステップS152において、IABノード300-1のBAPレイヤは、ルーティング処理とマッピング処理を行う。この場合、BAPレイヤは、受信パケットのヘッダに含まれる宛先と異なる宛先へルーティングするアップストリーム方向のパケットをBAPヘッダ書き替え対象のパケットと判定する(図25のステップS143とステップS144)。また、BAPレイヤは、当該ヘッダの宛先と紐づいた別のドナーノードのCUのBAPアドレスを含むルーティングIDをルーティングテーブルから検索する。
【0416】
そして、ステップS153において、BAPレイヤは、BAPヘッダ書き替え対象のパケットに対して、当該ルーティングIDを用いてBAPヘッダ書き替え処理を行う(図25のステップS144)。
【0417】
他方、ステップS152において、BAPレイヤは、当該ヘッダに含まれる宛先と同一の宛先へルーティング可能なアップストリーム方向のパケットを、次ホップのノードへ送信する。また、IABノード300-1は、BAP送信処理対象のダウンストリーム方向のパケットも、ルーティング処理とマッピング処理により、次ホップのノードへ送信する。
【0418】
(第3動作例の変形例)
第3実施形態に係る第3動作例の少なくとも一部は、ドナーDU間リルーティング以外のシナリオにも適用可能である。
【0419】
[第4実施形態]
第1実施形態から第3実施形態では、トポロジ間ルーティング(S3-1)、トポロジ間リルーティング(S3-1)、ドナーDU間リルーティング(S2-2)の各シナリオについてそれぞれ説明した。
【0420】
では、全てのシナリオにおいて、できるだけ共通の手順又は処理とするにはどのようにすればよいかが問題となる場合がある。
【0421】
図27は、手順又は処理を全てのシナリオで共通化した場合の一例を表す。図27は、第4実施形態に係るIABノード300の構成例を表している。
【0422】
図27に示すように、IABノード300は、送信部330-Tと、受信部330-Rとを有する。
【0423】
送信部330-Tは、BAPヘッダ書き替え決定部331、BAPヘッダ書き替え部332、ルーティング/マッピングテーブル選択部333、ルーティング/リルーティング処理部334、及びマッピング処理部335を有する。
【0424】
受信部330-Rは、上位レイヤ出力決定部336を有する。
【0425】
上位レイヤ出力決定部336は、受信パケットを上位レイヤへ出力するか、当該パケットを送信部330-Tへ出力するかを決定する。例えば、第1実施形態で説明したように、当該パケットのヘッダに含まれる、トポロジ間ルーティング対象であるか否かを示す識別子に基づいて決定してもよい。
【0426】
BAPヘッダ書き替え決定部331は、受信部330-Rから受け取った当該パケットについて、BAPヘッダ書き替えを行うか否かを決定する。BAPヘッダ書き替え決定部331は、例えば、第1実施形態で説明したように、当該パケットのヘッダが特定のルーティングIDにマッチするか否かにより、BAPヘッダ書き替え対象のパケット(=トポロジ間ルーティング対象のパケット)を決定してもよい。BAPヘッダ書き替え決定部331は、BABヘッダ書き替え対象のパケットをBAPヘッダ書き替え部332へ出力し、BAPヘッダ書き替え対象ではないパケットをルーティング/リルーティング処理部334へ出力する。
【0427】
BAPヘッダ書き替え部332は、当該パケットのBAPヘッダを書き替える。BAPヘッダ書き替え部332は、第1実施形態で説明したように、BAPヘッダ書き替えテーブルを用いて書き替えを行ってもよい。また、BAPヘッダ書き替え部332は、一度もルーティング処理を行っていないパケットに対してはBAPヘッダ書き替えを行わないようにし、ルーティング/リルーティング処理部334から出力されたパケットに対して、BAPヘッダ書き替えを行うようにしてもよい。
ルーティング/マッピングテーブル選択部333は、ルーティングテーブルとマッピングテーブルとを選択する。ルーティング/マッピングテーブル選択部333は、例えば、第1実施形態で説明したように、第2ルーティングテーブルと第2マッピングテーブルとを選択してもよい。
【0428】
ルーティング/リルーティング処理部334は、BAPヘッダ書き替えを行ったパケットに対してルーティング処理及び/又はリルーティング処理を行い、BAPヘッダ書き替えを行っていないパケットに対してルーティング処理及び/又はリルーティング処理を行ってもよい。ルーティング/リルーティング処理部334は、第3実施形態で説明したように、一旦、ルーティング処理(及び/又はリルーティング処理)を行い、行先の無いのパケットを、BAPヘッダ書き替え部332へ出力してもよい。
【0429】
マッピング処理部335は、ルーティング処理後のパケット、又はリルーティング処理後のパケットに対して、マッピングテーブルを用いてマッピング処理を行う。マッピング処理部335は、処理済のパケットを、流出バックホールRLCチャネルを介して、次ホップノードへ送信する。
【0430】
上述したように、図27に示すIABノード300の構成例は一例である。
【0431】
第1実施形態から第4実施形態で説明した各実施形態、各動作例、各処理、又は各ステップは、相互に組み合わせることが可能である。第1実施形態から第4実施形態の各実施形態の全部又は一部は矛盾しない範囲で組み合わせることが可能である。このような組み合わせにより、全てのシナリオにおいて手順又は処理の共通化を図ることができる場合もある。
【0432】
[その他の実施形態]
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0433】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC:System on a chip)として構成してもよい。
【0434】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0435】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0436】
本願は、米国仮出願第63/257238号(2021年10月19日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【0437】
(付記)
導入
RAN2#115Eにおいて、NR向け統合アクセス及びバックホールの強化(EIAB)の作業項目は、トポロジ適応の強化について以下の合意に達した。
【0438】
フロー制御フィードバックに基づく利用可能なバッファサイズの設定された閾値は、ローカルリルーティングの目的のために、輻輳を決定するために使用される。
【0439】
CU内の場合、少なくともドナーDU間のNR-DC、ドナーDU間回復、ドナーDU間移動のシナリオでは、ドナーDU間リルーティングをサポートすること。
【0440】
CU間リルーティングをサポートする。すなわち、IABノードはターゲットCUのトポロジ上の代替BAPパスを介して、元のドナーCUにデータをリルーティングする。
【0441】
ドナーDU間のリルーティングにおいて、「直前のルーティングIDから新たなルーティングIDへ」のBAPヘッダの書き替えをサポートする。
【0442】
RAN2でCU間ルーティングのOpen Issueをさらに議論する。
最初のトポロジのBAPヘッダに追加されるBAPアドレス(すなわち、境界ノードにおける流入データのBAPアドレス)とは何か。
トポロジ内ルーティング(concatenated traffic)とトポロジ間ルーティング(non-cocatenated traffic)とをどのように判別するか。
上位レイヤ(ダウンストリーム用)にデータを配信すべきかどうかの決定方法。
データのBAPヘッダを書き替えるべきかどうか(他のトポロジにルーティングされるか、自トポロジにルーティングされるか)の決定方法。
【0443】
ベースラインとして、CU間ルーティングにおいて、境界ノードでのBAPヘッダの書き替えのための「直前のルーティングID」から「新たなルーティングIDへ」の1:1及びN:1マッピングをサポートすること。
【0444】
ベースラインとして、CU間ルーティングにおいて、境界ノードでのベアラマッピングの「流入BHリンク+流入BH RLC ID」から「流出BHリンク+流出BH RLC ID」への1:1及びN:1マッピングをサポートすること。
【0445】
この付記では、様々なシナリオのためのルーティングとリルーティングの拡張について議論している。
【0446】
議論
REL-17では、図9に示すように、ルーティング及びリルーティングは、CU内/ドナーDU内(REL-16と同様)、CU内/ドナーDU間及びCU間などのさまざまなシナリオをカバーする必要がある。これらの機能強化は、IABトポロジにおけるパケット転送の信頼性、柔軟性、又は低遅延化に貢献すると期待されるが、BAPルーティング/リルーティング動作にさらなる複雑さをもたらす可能性がある。したがって、すべてのシナリオに共通の手順を規定し、シナリオ固有の手順を可能な限り少なくすることが望ましい。この意味で、最も複雑なシナリオであるCPU間ルーティングを最初に検討し、その後、CPU間ルーティングの手順が他のシナリオに適用(再利用)可能かどうかについて検討する必要がある。
【0447】
CU間ルーティング
CU間ルーティングについては、4つのOpen Issueに合意している。Open Issueをどのように解決するかについて検討する良い出発点となる。
【0448】
Open Issue1:最初のトポロジのBAPヘッダに付加されるBAPアドレス(すなわち、境界ノードでの流入データのBAPアドレス)は何か。
【0449】
以下のようにいくつかの解決例が示されている。
例1:最初のトポロジのBAP PDUヘッダに、境界ノードのBAPアドレスを追加する。
例2:実際の宛先の代理/偽BAPアドレスを追加する。
【0450】
一方、RAN3では、トポロジの冗長性について以下のように合意している。
1A:RAN3は、境界ノードが各トポロジで1つのBAPアドレスのみを有すると仮定する。
1B:RAN3は、各トポロジにおいて、そのトポロジの境界ノードのBAPアドレスは、上位レイヤに渡されなければならないパケットを識別するためにのみ使用されると仮定している。
【0451】
両方の例が機能可能であるが、例1はRAN3の仮定(特に1A)とより一致すると考えられる。さらに、例1は、境界ノードがIAB-ドナーDUやアクセスIABノードのように、最初のトポロジのエンドポイントとして考えられるため、REL-16ルーティングメカニズムの観点から非常に単純であると言える。また、例1は、中間IABノードがローカルリルーティングを実行する場合、「誤ルーティング」のリスクが低くなる。この意味で、RAN2はさらなる議論のために例1に合意すべきである。
【0452】
提案1:RAN2は、最初のトポロジにおいて、境界ノードのBAPアドレスがBAPデータPDUヘッダ(すなわち、宛先フィールド)に追加されることに合意すべきである。
【0453】
Open Issue2:トポロジ内ルーティング(concatenated traffic)とトポロジ間ルーティング(non-cocatenated traffic)とを判別する方法
【0454】
提案1に合意する場合、トポロジ内ルーティング(concatenated traffic(異なるIABドナーCUに属する2つのトポロジ間のルーティング))は、BAPデータPDUヘッダの宛先フィールドに境界IABノードのBAPアドレスを持つ。一方、トポロジ間ルーティング(non-cocatenated traffic(1つのIABドナーCUに属するトポロジ内のルーティング))は、他のBAPアドレス、すなわち、IABドナーDU又はアクセスIABノードのBAPアドレスを持つ。つまり、宛先が境界IABノードのBAPアドレスと一致しない場合、BAPデータPDUは受信部からコロケーションBAPエンティティの送信部へ配送される。そのため、受信部では特別な処理は必要ない。ただし、以下のOpen Issue3がまだ存在することに留意する必要がある。
【0455】
提案2:RAN2は、BAPエンティティの受信部において、トポロジ間ルーティング(non-cocatenated traffic)を決定するために特別な処理を必要としないこと、つまりREL-16の動作が適用されることに合意すべきである。
【0456】
Open Issue3:上位レイヤー(ダウンストリーム)へのデータ配信の可否の決定方法
【0457】
提案1に合意する場合、トポロジ内ルーティング(concatenated traffic)と境界IABノード宛のトラフィックは、各BAPデータPDUヘッダにおいて同じ宛先、すなわち、境界IABノードのBAPアドレスを持つことになる。そこで、境界IABノードのBAPエンティティの受信部は、各BAPデータPDUヘッダのパスフィールド又は新しいフラグ(3つの「R」ビットのいずれかを使用)によりそれらを判別することができる。
【0458】
パスフィールドを使用する場合、境界IABノードとIABドナーDU/アクセスIABノード間に設定されるパスの数に応じて、ルーティングIDスペースが消費される。BAPヘッダの既存フィールドを再利用するため、データストリームに追加のオーバーヘッドはない。
【0459】
新しいフラグが使用される場合、それは「R」ビットを消費し、それによって、3つの予約ビットがあるだけである。BAPヘッダの「R」ビットを使用するため、追加のオーバーヘッドはない。また、このフラグは、BAPエンティティの送信部において、BAPヘッダを書き替えるか否かを決定する際にも有用であると想定される。
【0460】
上記の利点と欠点を考慮すると、ルーティングされるデータを判別するために、1つの「R」ビットを使用した新しいフラグを定義することが望ましい。言うまでもなく、この新しいフラグを「0」に設定すれば、REL-16のBAPヘッダ形式と完全に同じになるため、BAPエンティティの受信部はREL-16の動作に従ってデータを上位レイヤに送出することになる。
【0461】
提案3:CU間ルーティングのために、RAN2はBAPデータPDUヘッダの1つの「R」ビットを使用して、ルーティングされるデータと上位レイヤに配信されるデータを判別するための新しいフラグを定義することに合意すべきである。
【0462】
Open Issue4:データのBAPヘッダを書き替えるべきかどうか(別のトポロジにルーティングされるか、自トポロジにルーティングされるか)を決定する方法
【0463】
提案2及び提案3が合意される場合、BAPエンティティの送信部は、まず各BAPデータPDUヘッダの新しいフラグを確認することができる。新フラグが「0」であれば(すなわち、REL-16 BAPデータPDUを含むトポロジ間ルーティング((non-cocatenated traffic)又は「自身のトポロジにルーティングされる」)、REL-16ルーティング手順が実行される。(すなわち、トポロジ内ルーティング(concatenated traffic)又は「別のトポロジにルーティングされる」))の場合、ルーティング手順の前にBAPヘッダの書き替え動作が実行される。これは「リルーティング」ではないため、BAPヘッダの書き替え動作が事前に行われるのは当然である。
【0464】
提案4:提案3のBAPデータPDUヘッダの新フラグを使用して、CU間ルーティングのために、BAPヘッダの書き替えを行うかどうかを決定することにRAN2は合意すること。
【0465】
提案5:CU間ルーティングについて、RAN2は、ルーティング手順の前にBAPヘッダの書き替えが実行されることに合意すること。
【0466】
提案3及び提案5が合意された場合、境界IABノードで新しいフラグが使用される。そのため、BAPヘッダの書き替え動作後は無意味になるか、むしろ第2トポロジで不要なエラーを引き起こす可能性がある。そのため、境界IABノードでフラグを「0」に書き替えることが安全である。これは、BAPヘッダの書き替え動作の中で行うのが簡単であると考えられる。
【0467】
提案6:CU間ルーティングについて、提案3の新フラグもBAPヘッダの書き替え動作で書き替える、すなわち「0」にリセットするかどうかをRAN2で議論すべきである。
【0468】
その他考えられる問題
ルーティングテーブルの選択
提案5が合意される場合、ヘッダの書き替え設定に従ってヘッダが書き替えられたデータは、ルーティング手順に進むことになる。この場合、RAN2が「RAN2の優先順位は、BAPルーティングID選択肢4に基づくBAPヘッダの書き替えによるトポロジ間ルーティングをサポートすること」に合意した通り、既にデータのヘッダは新しいルーティングIDに書き替えられているため、最初のトポロジで設定したルーティングテーブル、すなわちBHルーティング設定は有効ではない。そうでなければ、各IABノードのBAPアドレスはトポロジ内で一意であり、CU間ルーティングシナリオでも2つのトポロジ(すなわち2つのCU)間では一意ではないため、混乱や「誤ルーティング」のリスクが生じる場合がある。そのため、ルーティングテーブルは2番目のトポロジによって構成されたものを使用する必要がある。
【0469】
提案7:CU間シナリオでは、RAN2は、境界ノードが最初のトポロジと2番目のトポロジにそれぞれルーティングするために使用される2つのルーティングテーブルで設定されることに合意すべきである。
【0470】
提案7が合意される場合、ルーティング手順の前に、各データのルーティングテーブル選択手順が必要となる場合がある。その仕組みは非常にシンプルに考えられており、あるデータについて、ヘッダが書き替えられた場合(又は新しいフラグが「1」に設定された場合)、2番目のルーティングテーブルが適用される。そうでなければ、最初のルーティングテーブル(すなわち、REL-16と同じもの)が適用される。
【0471】
提案8:CU間シナリオでは、RAN2は、トポロジ内ルーティング(concatenated traffic)に対して、第2のトポロジのルーティングテーブルを選択する手順が必要であるかどうかを議論すべきである。
【0472】
BH RLCチャネルマッピングテーブル選択
ルーティング手順でネクストホップBAPアドレスが決定されると、マッピングテーブル(=BH RLCチャネルマッピング設定)に用意されている、決定した流入BHリンク、流入BH RLCチャネル、流出BHリンクに基づいて、流出BH RLCチャネルへのマッピングが行われる。TS38.340の現在の実行CRでは、以下の注釈が収録されている。
【0473】
注:境界IABノードでのベアラマッピングをどのように収録するかについては更なる検討が必要である(現在の仕様が既にCU間ルーティングのための境界IABノードでのベアラマッピングをサポートしているかどうかについても更なる必要が検討である)。
【0474】
CU間シナリオの場合、流入BHリンクとRLCチャネルは第1トポロジに属し、流出BHリンクは第2トポロジに関連付けられる。BAPアドレスとRLCチャネルがCUによって(つまりトポロジごとに)管理されるため、2つのトポロジに接続するためには新しいマッピングテーブルが必要になる。具体的には、REL-16のマッピングテーブルの構造を再利用することができるが、REL-16とは異なるマッピングテーブルで構成される必要がある。そうでなければ、両方のトポロジで同じBAPアドレス(すなわち、流入/流出リンクID)及び/又は同じBH RLCチャネルIDが使用されている場合、「誤マッピング」のリスクがある。この場合、提案8と同様のマッピングテーブルの選択が必要となる場合がある。
【0475】
提案9:CU間シナリオでは、RAN2は、境界IABノードが(REL-16マッピングテーブルに加えて)別のマッピングテーブルで構成され、そのマッピングテーブルはトポロジ内ルーティング(concatenated traffic)に適用されることに合意するものとする。
【0476】
提案10:CU間シナリオにおいて、提案9の2つのトポロジを接続するための個別のマッピングテーブルを選択する手順が、トポロジ内ルーティング(concatenated traffic)に必要かどうかをRAN2で議論する。
【0477】
CU間リルート
BAPヘッダの書き替え動作の適用性
【0478】
RAN2は、「ICU間リルーティングのサポート、すなわちIABノードがターゲットCUのトポロジ上の代替BAPパスを介して元のドナーCUにデータをリルーティングする」ことに合意した。一般に、この合意はCU間ルーティングと同様と見なすことができる。しかし、詳細には、IABノードがターゲットドナーCUとのRRC接続を再確立し、ソースドナーCUとのF1接続がまだ保持されている場合(つまり、部分移行)、CU間リルーティングが適用される。RAN3は、このシナリオに適用される可能性が高い以下の記載に合意した。
【0479】
部分的なドナー間移行では、特定のトポロジのトラフィックのために境界ノードが使用するIPアドレス、BAPアドレス、BH RLC CH及びデフォルトマッピングは、そのトポロジのCUによって割り当てられ、それらはRRCを介して設定される。
【0480】
上記の構成に加えて、(ターゲットドナーCUの)RRCは、境界IABノードが使用する(単純な)ルーティングテーブル及び/又はヘッダの書き替え設定も提供する。なぜなら、元の第2のトポロジにリルートされたデータのBAPヘッダの元のルーティングIDはもはや有効ではなく、すなわち境界IABノードはターゲットドナーCUが管理する、新しい第2のトポロジで有効なルーティングIDを知る必要があるからである。この意味で、BAPヘッダの書き替え動作は、CU間リルーティングにも必要である。CU間ルーティングとは対照的に、BAPヘッダの書き替え動作は、BAP RUNNING CRで既に収録されているように、ルーティング手順が失敗した時点で、「リルーティング」であるため、実行される。また、提案7及び提案8が合意されれば、ルーティングテーブルの選択は、CU間リルーティングにも適用される可能性がある。また、提案9及び提案10が合意されれば、BH RLCチャネルマッピングテーブルの選択も適用される場合がある。
【0481】
その後、境界IABノードは、新しい第2トポロジのRRCによって設定されたBH RLCチャネル、つまりターゲットドナーCUによって、ネクストホップBAPアドレスにデータを送信することができる。
【0482】
提案11:CU間リルーティングのために、RAN2は、ターゲットドナーからのRRC信号を介して、境界IABノードがIPアドレス、BAPアドレス、BH RLCチャネル及びデフォルトマッピング(RAN3が合意したように)、及びデフォルトルーティングID(又は簡略化したヘッダの書き替えテーブル)などにより構成されることに合意すべきである。
【0483】
提案12:CU間リルーティングについては、ルーティング(REL-16ルーティング)が失敗した時点でBAPヘッダの書き替え動作を行うことにRAN2が合意すべきである。
【0484】
提案13:CU間リルーティングについて、ルーティングテーブル選択(提案8の導入された場合)、マッピングテーブル選択(提案10の導入された場合)が適用できるかどうかをRAN2は議論すべきである。
【0485】
CU内/DU内リルーティング
【0486】
RAN2は「ドナーDU間リルーティングでは、『直前のルーティングIDから新たなルーティングID』BAPヘッダの書き替えをサポートする」ことに合意した。一方、RAN3は、以下のように合意している。
【0487】
RAN3は、あるトポロジのBHリンクから隣接トポロジのBHリンクにBAPレイヤでルーティングされるトラフィックに対してのみ、UL及びDLトラフィックの両方について、境界ノードがBAPヘッダの書き替えを実行することを望む。
【0488】
トポロジはドナーCUによって管理され、ドナーCU内の2つのドナーDUはCU内トポロジ還元とみなされるため、ドナーDU間のリルーティングは依然として一つのトポロジ内で実行されていると考えられる。この場合、RAN2の合意はRAN3の優先順位と衝突する可能性がある。しかし、ドナーDU間リルーティングにより、アップストリームトラフィックの宛先が変更される、すなわち、ドナーDUのBAPアドレスから他のドナーDUのBAPアドレスに変更されるため、BAPヘッダの書き替え動作は当然に必要である。ダウンストリームトラフィックについては、宛先(アクセスIABノードのBAPアドレス)が変更されないため、BAPヘッダの書き替え動作は必要ない場合がある。実際、下りのトラフィックは、ドナーDU間リルーティングの対象にはならない(つまり、ローカルリルーティングに過ぎない)と想定される。したがって、RAN2は、RAN3の優先順位と異なっていても、その合意を確認すべきである。
【0489】
提案14:CU内/DU間リルーティングについて、少なくともアップストリームトラフィックについては、「『直前のルーティングIDから新たなルーティングID』のBAPヘッダの書き替えをサポートする」というRAN2のこれまでの合意を確認する。
【0490】
提案14において、これは「リルーティング」であるため、提案12のCU間リルーティングと同様に、REL-16ルーティングが失敗した時点で、BAPヘッダの書き替え動作を行う。これは、現在のTS 38.340のRUNNING CRに既に収録されており、単純に確認することが可能である。
【0491】
提案15:CU内/ドナー間DUリルーティングについて、RAN2は、TS38.340の現在の実行CRで収録されているように、ルーティング(すなわちREL-16ルーティング)が失敗した時点でBAPヘッダの書き替え動作が行われることを確認すべきである。
【0492】
CU内/ドナーDU内リルーティング(=ローカルリルーティング)
BAPヘッダの書き替え動作の適用可否
【0493】
CU内/ドナーDU内のリルーティングはローカルリルーティングと呼ばれ、以下のようにREL-16から既にサポートされている。
【0494】
注:RLC-AMエンティティが確認応答を受信するまでのBAPエンティティ送信部でのデータバッファリングは、実装次第である。BH RLFの場合、BAPエンティティの送信部は、BH RLF以前に下位レイヤから確認されなかったBAPデータPDUを5.2.1.3節に従って代替パスにリルーティングさせることができる。
【0495】
BAPアドレスが宛先フィールドと一致し、ネクストホップBAPアドレスに対応する流出リンクが利用可能なエントリがBHルーティング設定に少なくとも一つ存在する場合、
BHルーティング設定から、BAPアドレスが宛先フィールドと同じで、ネクストホップBAPアドレスに対応する流出リンクが利用できるエントリを選択する。
上記で選択したエントリのネクストホップBAPアドレスに対応する流出リンクを選択する。
【0496】
上記現行の仕様によれば、IABノードは、ローカルリルーティングの結果、宛先にはマッチするがデータのパスにはマッチしないルーティングIDを介してBAPデータPDUを送信することができる。
【0497】
一方、RAN2#112-Eでは、REL-17のローカルリルーティングは、以下のようにトポロジ全体の目標を考慮すべきであると合意した。
RAN2は、中央経路決定に対する利点を含むローカルリルーティングと、トポロジ全体の目標にどのように対処できるかを議論する。
【0498】
上記の合意を考えると、REL-16のローカルリルートでは、代替パスの選択がIABノードの実装に任されており、ドナーの観点からは管理しにくい場合があるという問題がある。REL-16 IABトポロジでは、IABノードがBH RLFを検出した場合のみ、つまり特定の異常状態でのみローカルリルートが許可されるため、大きな問題にはならない。しかし、REL-17では、他の条件(例えば、輻輳状態)でもローカルリルートが許可されるため、その限りではないが、上記の合意を満たす方法についてはまだ問題が残されている。トポロジ全体の目標を達成するためには、トポロジ全体を管理するドナーが最も適していることは、非常に理解しやすい。この意味で、ドナーはREL-16メカニズムと比較して、代替パス設定という点でローカルリルーティングの制御性をより高める必要がある。
【0499】
所見1:REL-16のローカルリルーティングでは、どの代替パスを選択するかはIABノードの実装次第であり、ドナーが管理することはできない。
【0500】
所見2:IABドナーは、ローカルリルーティングにより、トポロジ全体の目標に取り組むのに最も適したノードである。
【0501】
この問題を解決するために、BAPヘッダの書き替え動作が一つの解決策になると考えられる。RAN2は以下に合意している。
IABドナーが、ローカルリルーティング(少なくとも同じ宛先、同じルーティングIDの更なる検討が必要である)で使用できる(代替)流出リンクを設定すると仮定する。
【0502】
流出リンクはNネクストホップBAPアドレスに関連付けられ、ネクストホップBAPアドレスはルーティングIDで決定される。したがって、ドナー側がIABノードに新たなルーティングIDを設定してローカルリルーティングを行うことは当然であり、これは他の(リ)ルーティングシナリオのヘッダの書き替え設定と非常に似ている。
【0503】
RAN3は、BAPヘッダの書き込み動作をトポロジ間シナリオでのみ実行することを望んでいるが、RAN2は、前述したように、トポロジ内シナリオ、すなわちドナー間DUリルーティングでも実行することに既に合意している。
【0504】
そこで、BAPヘッダの書き替え動作が、CU内/DU内リルーティングにも適用され、それによって、ヘッダの書き替え設定が設定されている場合のみ実行されるかどうかを議論する価値があると思われる(選択肢)。
【0505】
提案16:RAN2は、BAPヘッダの書き替えがローカルリルーティング(すなわち、CU内/DU間リルーティング)にも適用され、IABノードが古いルーティングIDと新しいルーティングIDの間のマッピングで構成される場合(すなわち、現在のTS38.340の実行CRにおけるヘッダの書き替え設定に類似している場合)の選択肢について議論すべきである。
【0506】
ドナーによるローカルリルートコマンド
IABドナーの制御性のもう一つの側面として、IABドナーがローカルリルーティングを認識し、IABノードでローカルリルーティングを開始/停止することで、ローカルリルーティングとトポロジ全体の目標が共存可能であることを考慮する必要がある。例えば、IABドナーがトポロジ全体の目的を達成できないことに気付いた場合、IABドナーはIABノードにローカルリルーティングを開始/停止するように指示することができる。
【0507】
ローカルリルーティングによるトポロジ全体の目的をどのように扱うかは、完全にIABドナーの実装次第だが、IABドナーはIABノードのローカルな決定の情報と制御性を必要とする場合がある。
【0508】
提案17:RAN2は、ローカルリルーティングの開始/停止時にIABノードがIABドナーに通知する必要があるかどうかを議論すべきである。
【0509】
提案18:RAN2は、IABドナーがIABノードに対して、ルート間の負荷分散のためなどにローカルリルーティングの開始/停止を指示できるかどうかを議論するべきである。
【0510】
機能強化のまとめ
上記の提案が合意される場合、全てのシナリオを統一したソリューションの例を図27に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27