(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】圧力調整弁
(51)【国際特許分類】
H01M 50/317 20210101AFI20250527BHJP
H01M 50/325 20210101ALI20250527BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20250527BHJP
H01M 50/59 20210101ALI20250527BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M50/325
H01M50/588
H01M50/59
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2023575077
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2022040926
(87)【国際公開番号】W WO2023139887
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2024-07-17
(31)【優先権主張番号】P 2022007823
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004358
【氏名又は名称】弁理士法人NYTパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】長澤 基弘
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 勝好
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077553(JP,A)
【文献】特開2020-102346(JP,A)
【文献】特開2022-063655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30
H01M 50/50
H01M 10/04
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正の電極と負の電極との間に、集電体と、前記集電体の一方面に設けられた正極と、前記集電体の他方面に設けられた負極とを有するバイポーラ電極が複数積層され、互いに対向する前記電極間の各々にシール部材で画成された内部空間が形成され、前記内部空間の各々に電解液が封入され、互いに対向する前記電極間の各々にセパレータが介在する蓄電モジュールを複数備え、前記複数の蓄電モジュールが積層される蓄電装置において、前記蓄電モジュールの各々の前記内部空間を夫々開放可能にする圧力調整弁であって、
前記蓄電モジュールから外部に出た前記電解液によって、前記蓄電モジュール間が短絡することを防止するための短絡防止構造を有
しており、
前記短絡防止構造は、上方から前記圧力調整弁に落ちた前記電解液の流れの一部を堰き止めるようになっていることを特徴とする圧力調整弁。
【請求項2】
前記短絡防止構造は、
前記蓄電モジュールから外部に出た前記電解液を下方に落とすようになっていることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整弁。
【請求項3】
前記電解液の流れの一部は、前記圧力調整弁の端から離れる方向の流れであることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力調整弁。
【請求項4】
開口部と、前記内部空間の各々を前記開口部に連通させる連通路とを有する、前記蓄電モジュールに取り付けられる筐体と、
各前記連通路を開放可能に閉塞する弁体と、
前記筐体の前記開口部に取り付けられる蓋体とを備え、
前記筐体は、前記蓄電モジュールの積層方向で互いに対向し、前記開口部を形成する部分である上壁部と下壁部とを有しており、
前記下壁部には、該下壁部を貫通する部分である排出口が形成されており、
前記上壁部の上側に面する面である上面には、前記上側に突出して段差を形成する段差部が設けられており、
前記段差部は
、上下方向において、前記排出口と対向しない位置に位置していることを特徴とする請求項1
から3のいずれか1項に記載の圧力調整弁。
【請求項5】
前記排出口は、前記下壁部の延び方向における端部の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項
4に記載の圧力調整弁。
【請求項6】
前記下壁部は、前記上側に面する面である内面を有しており、
前記内面には、前記排出口に向かう液体の流れを形成する流路が形成されていることを特徴とする請求項
4又は
5に記載の圧力調整弁。
【請求項7】
前記蓋体は、前記上壁部よりも前記上側に突出するようになっていることを特徴とする請求項
4から
6のいずれか1項に記載の圧力調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整弁に関し、特に、蓄電モジュールに用いられる圧力調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池(蓄電モジュール)が知られている。このような蓄電モジュールにおいては、バイポーラ電極が積層されており、互いに対向するバイポーラ電極の集電体間にシール部材で画成された内部空間が形成され、この内部空間に電解液が封入されている。また、互いに対向するバイポーラ電極間にはセパレータが介在しており、このセパレータは電解液を含浸して電解質層を形成している。
【0003】
このような蓄電モジュールにおいては、使用中に、例えば、過放電等によって水素等のガスが発生し、これに起因して、蓄電モジュールの内部空間の圧力が上昇することがある。このような内部空間の圧力の上昇を避けるために、従来の蓄電モジュールには、内部空間の圧力が上昇して所定の圧力となった際に内部空間を開放する圧力調整弁を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような圧力調整弁を有する従来の蓄電モジュールは、内部空間の圧力の上昇の防止を図ることができるが、圧力調整弁の開弁の際に内部空間に発生したガスと共に電解液が外部に出てしまう場合がある。蓄電モジュールが上下方向(鉛直方向)に積層された蓄電装置においては、上方の蓄電モジュールの圧力調整弁から出た電解液が下方に落ち、下方に落ちた電解液が、下方に位置する蓄電モジュールの圧力調整弁に付着することがある。このような蓄電モジュールの外に出た電解液によって、隣接する蓄電モジュールが短絡する虞がある。このため、従来の蓄電モジュールが上下方向に積層された蓄電装置においては、圧力調整弁から出た電解液によって蓄電モジュール間に短絡が発生することを防止することができる構成が求められている。
【0006】
本発明の課題は、圧力調整弁から出た電解液による蓄電モジュール間の短絡の発生を抑制することができる圧力調整弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る圧力調整弁は、正の電極と負の電極との間に、集電体と、前記集電体の一方面に設けられた正極と、前記集電体の他方面に設けられた負極とを有するバイポーラ電極が複数積層され、互いに対向する前記電極間の各々にシール部材で画成された内部空間が形成され、前記内部空間の各々に電解液が封入され、互いに対向する前記電極間の各々にセパレータが介在する蓄電モジュールを複数備え、前記複数の蓄電モジュールが積層される蓄電装置において、前記蓄電モジュールの各々の前記内部空間を夫々開放可能にする圧力調整弁であって、前記蓄電モジュールから外部に出た前記電解液によって、前記蓄電モジュール間が短絡することを防止するための短絡防止構造を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る圧力調整弁において、前記短絡防止構造は、前記蓄電モジュールから外部に出た前記電解液によって、前記電解液が出た前記蓄電モジュールよりも下方に位置する前記蓄電モジュールが短絡することを防止するようになっている。
【0009】
本発明の一態様に係る圧力調整弁は、開口部と、前記内部空間の各々を前記開口部に連通させる連通路とを有する、前記蓄電モジュールに取り付けられる筐体と、各前記連通路を開放可能に閉塞する弁体と、前記筐体の前記開口部に取り付けられる蓋体とを備え、前記筐体は、前記蓄電モジュールの積層方向で互いに対向し、前記開口部を形成する部分である上壁部と下壁部とを有しており、前記下壁部には、該下壁部を貫通する部分である排出口が形成されており、前記上壁部の上側に面する面である上面には、前記上側に突出して段差を形成する段差部が設けられており、前記段差部は、前記上下方向において、前記排出口と対向しない位置に位置している。
【0010】
本発明の一態様に係る圧力調整弁において、前記排出口は、前記下壁部の延び方向における端部の少なくとも一方に設けられている。
【0011】
本発明の一態様に係る圧力調整弁において、前記下壁部は、前記上側に面する面である内面を有しており、前記内面には、前記排出口に向かう液体の流れを形成する流路が形成されている。
【0012】
本発明の一態様に係る圧力調整弁において、前記蓋体は、前記上壁部よりも前記上側に突出するようになっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る圧力調整弁によれば、圧力調整弁から出た電解液による蓄電モジュール間の短絡の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る圧力調整弁が取り付けられる蓄電モジュールの概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る圧力調整弁が取り付けられた蓄電モジュールの斜視図である。
【
図3】蓄電モジュールを用いて作られる蓄電装置の一例を示す蓄電装置の概略斜視図である。
【
図6】
図2に示す圧力調整弁の筐体の平面図である。
【
図7】
図2に示す圧力調整弁の筐体の下面図である。
【
図8】
図2に示す圧力調整弁の蓋体の背面図である。
【
図9】
図2に示す圧力調整弁の蓋体の上面図である。
【
図10】
図2に示す圧力調整弁の筐体の排出口の近傍を拡大して示す部分拡大図である。
【
図11】
図2に示す圧力調整弁の筐体の段差部の近傍を拡大して示す部分拡大図である。
【
図13】蓄電装置において上下に並ぶ圧力調整弁を前側から見た図である。
【
図14】
図13の下方の圧力調整弁を側面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る圧力調整弁1が取り付けられる蓄電モジュール2の概略構成を示す断面図であり、
図2は、圧力調整弁1が取り付けられた蓄電モジュール2の斜視図である。蓄電モジュール2は、複数のバイポーラ電極101を有しており、蓄電モジュール2において、複数のバイポーラ電極101は、隣接するバイポーラ電極101同士が対向するように積層されている。各バイポーラ電極101は、集電体102と、集電体102の一方の面に設けられた正極103と、集電体102の他方の面に設けられた負極104とを有している。隣り合って互いに対向する一対のバイポーラ電極101の間にはセパレータ105が配置されており、互いに対向する一対のバイポーラ電極101の間の各々にセパレータ105が介在している。一のバイポーラ電極101の正極103は、この一のバイポーラ電極101にセパレータ105を挟んで対向する他のバイポーラ電極101の負極104と対向し、一のバイポーラ電極101の負極104は、この一のバイポーラ電極101にセパレータ105を挟んで対向する他のバイポーラ電極101の正極103と対向している。積層されたバイポーラ電極101の正極103が外側に向く一端には、内側面に負極104が設けられた負極側の終端電極としての集電体102が配置され、また、積層されたバイポーラ電極101の負極104が外側を向く他端には、内側面に正極103が設けられた正極側の終端電極としての集電体102が配置されている。負極側の終端電極としての集電体102の負極104は、セパレータ105を介して一端のバイポーラ電極101の正極103に対向し、正極側の終端電極としての集電体102の正極103は、セパレータ105を介して他端のバイポーラ電極101の負極104に対向している。
【0017】
互いに対向する一対のバイポーラ電極101の間には、シール部材106で画成された内部空間Vが形成されており、内部空間Vの各々には電解液(不図示)が封入されている。負極側の終端電極としての集電体102とこれに対向するバイポーラ電極101の間には、シール部材106で画成された内部空間Vが形成されており、内部空間Vには電解液(不図示)が封入されている。また、正極側の終端電極としての集電体102とこれに対向するバイポーラ電極101の間には、シール部材106で画成された内部空間Vが形成されており、内部空間Vには電解液(不図示)が封入されている。内部空間Vは、集電体102とシール部材106とによって気密に仕切られた空間となっている。電解液は、例えば、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液である。
【0018】
このように、互いに対向する電極(バイポーラ電極101、正極側の終端電極としての集電体102、及び負極側の終端電極としての集電体102)の間の各々に内部空間Vを形成するように積層された電極は、シール部材106の側面を覆うように設けられた枠体107によって支持されている。
【0019】
図3は、蓄電モジュール2を用いて作られる蓄電装置の一例を示す蓄電装置3の概略斜視図である。複数の蓄電モジュール2が、導電板4を介して対向するように積層されて、蓄電装置3が形成される。互いに対向する一対の蓄電モジュール2において、一方の蓄電モジュール2の負極側の終端電極としての集電体102と、他方の蓄電モジュール2の正極側の終端電極としての集電体102とが、導電板4を介して対向するように、蓄電装置3において複数の蓄電モジュール2は積層されている。蓄電装置3は、例えば、車両等に用いられ、具体的には例えば、電気自動車やハイブリッド車に用いられる。なお、蓄電装置3の適用対象は車両に限られない。
【0020】
圧力調整弁1は、各蓄電モジュール2に取り付けられており、蓄電モジュール2の内部空間Vを夫々開放可能にする圧力調整弁であり、蓄電モジュール2から外部に出た電解液によって、他の蓄電モジュール2と短絡すること又は他の蓄電モジュール2間が短絡することを防止するための短絡防止構造を有している。以下、圧力調整弁1について具体的に説明する。
【0021】
図2に示すように、圧力調整弁1は、蓄電モジュール2に取り付けられている。蓄電モジュール2の枠体107には、各内部空間Vを蓄電モジュール2の枠体107の外部に開放する開口(不図示)が形成されており、圧力調整弁1は、これらの開口夫々を開放可能に閉鎖するようになっている。
【0022】
図4,5は、圧力調整弁1の分解斜視図である。
図4と
図5は、互いに異なる方向から見た圧力調整弁1の図である。
図4,5に示すように、圧力調整弁1は、具体的には、蓄電モジュール2に取り付けられる筐体10と、弁体20と、筐体10に取り付けられる蓋体30とを備えている。筐体10は、開口部11と、蓄電モジュール2の対応する内部空間Vを開口部11に連通させる連通路12とを有している。弁体20は、筐体10の対応する連通路12を開放可能に閉塞するようになっている。蓋体30は、筐体10の開口部11に取り付けられるようになっている。開口部11は、筐体10の前側の部分に形成されており、前側の端(開口11a)が開放されている空間を形成している。なお、説明の便宜上、蓄電装置3における蓄電モジュール2の積層方向を上下方向とする。
【0023】
筐体10は、例えば
図4~7に示すように、上下方向で互いに対向し、開口部11を形成する部分である上壁部13と下壁部14とを有しており、下壁部14には、下壁部14を貫通する部分である排出口15が形成されている。上壁部13の上側に面する面である上面13aには、上側に突出して段差を形成する段差部16が設けられており、段差部16は、上下方向において、貫通孔15と対向しない位置に位置している。
【0024】
筐体10の開口部11は、凹部を形成するようになっており、筐体10は、例えば
図4~7に示すように、箱状の外形を有しており、側壁部17,18を有している。上壁部13,下壁部14、及び側壁部17,18は、筐体10の外形を形成する部分である。側壁部17と側壁部18とは互いに背向又は対向しており、側壁部17,18は、上壁部13と下壁部14との間に延びている。側壁部17は、例えば、上壁部13の端(端13b)と下壁部14の端(端14b)とにつながっており、側壁部18は、例えば、上壁部13の端(端13c)と下壁部14の端(端14c)とにつながっている。上壁部13において、端13bと端13cとは上壁部13の延び方向において互いに背向しており、下壁部14において、端14bと端14cとは下壁部14の延び方向において互いに背向している。
【0025】
上壁部13及び下壁部14は、例えば、平面に沿って延びており、四角形又は略四角形の板状の形状を有している。上壁部13及び下壁部14は、例えば、蓄電モジュール2において、バイポーラ電極101の広がる方向に沿って延びるようになっている。また、側壁部17,18は、例えば、平面に沿って延びており、四角形又は略四角形の板状の形状を有している。上壁部13、下壁部14、及び側壁部17,18は、上下方向及び上壁部13又は下壁部14の延び方向に直交する方向である前後方向の一方の側(前側)に、開口部11を形成している。上壁部13、下壁部14、及び側壁部17,18の内部の、開口部11よりも後側(前後方向の他方の側)は、埋められており、中実部19となっている。但し、中実部19には複数の連通路12が貫通している。
【0026】
連通路12は、
図4~6に示すように、弁体20を収容する空間を形成する部分である弁体収容部12aと、弁体収容部12aの形成する空間に連通し、中実部19を貫通する孔である貫通孔12bとを有している。弁体収容部12aは、例えば
図4,6に示すように、中実部19の前方に面する面である前面19aから前方に突出する筒状の部分である。なお、
図7には、前面19a及び連通路12の一部が破線で示されている。弁体収容部12aは、例えば、前後方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である。貫通孔12bは、例えば、前後方向に延びる貫通孔であり、弁体収容部12aが囲む中実部19の前面19aの部分と、中実部19の後方に面する面である後面19bとの間を延びている。筐体10には、蓄電モジュール2の内部空間Vの数に対応した数の連通路12が設けられており、
図4,6に示すように、開口部11内に複数の弁体収容部12aが、省スペース化を図れるように工夫して配置されている。なお、圧力調整弁1に設けられる連通路12の数は1つであってもよい。
【0027】
図5,7に示すように、中実部19の後面19bには、蓄電モジュール2の内部空間Vを外部に開放する開口の夫々に貫通孔12bが気密に連通可能になるように、各貫通孔12bを囲むように後面19bから突出する突出部19cが形成されている。突出部19cは、蓄電モジュール2に圧力調整弁1が取り付けられる際に、蓄電モジュール2の枠体107に又は枠体107に取り付けられる部材に接着される。突出部19cは、例えば、蓄電モジュール2の枠体107に又は枠体107に取り付けられる部材に溶着によって接着される。
【0028】
筐体10は、同一の材料から一体に形成されており、弁体収容部12a、上壁部13、下壁部14、側壁部17,18、及び中実部19は、同一の材料から一体に形成された筐体10の各部分である。
【0029】
弁体20は、例えば、ゴム等の弾性材から形成された弾性体である。弁体20は、弁体収容部12a内に収容可能な形状となっており、また、弁体収容部12a内において前面19aに接触して貫通孔12bを閉塞可能な形状になっており、例えば
図4,5に示すように柱状の形状を有している。弁体20は、具体的には例えば、円柱状又は略円柱状の形状を有している。弁体20の形状は、円柱状又は略円柱状に限られず、他の形状であってもよく、弁体収容部12aの形状等の連通路12の構造に対応した形状となっている。
【0030】
蓋体30は、上述のように、筐体10の開口部11に取り付けられるようになっており、筐体10の開口部11を塞ぐと共に、蓄電モジュール2の内部空間Vの密閉を図る部材である。具体的には、蓋体30は、筐体10に取り付けられて、弁体収容部12a内の弁体20を後方に押して、貫通孔12bを閉鎖し、連通路12を閉塞するようになっている。蓋体30は、例えば
図8,9に示すように、平面に沿って延びる板状の部材であり、前側に面する面である前面31と、後側に面する面である後面32と、前面31の縁と後面32の縁との間に、前面31の縁と後面32の縁の全周に亘って延びる面である周面33とを形成している。
【0031】
蓋体30は、筐体10の開口部11の開口11aの形状に対応した形状となっており、例えば、前面31及び後面32は、矩形又は略矩形となっている。図示の例では、周面33が、上側に面する部分である上面部33aと、下側に面する部分である下面部33bと、上面部33aと下面部33bとの間に延びる、蓋体30の延び方向に面する部分である側面部33c,33dとを有するようになっている。上面部33a及び下面部33bは、平面に沿った面となっており、側面部33c,33dは、屈曲した面となっている。上面部33a及び下面部33bは、例えば、平面に平行又は略平行になっている。
【0032】
図5,8,9に示すように、後面32には、開口部11の開口11aに対応して環状に延びる段差を形成する段差部32aが設けられており、段差部32aは、開口部11に係合可能になっている。段差部32aは、例えば、開口部11の開口11a側の端部に圧入可能になっている。蓋体30は、段差部32aが開口部11に圧入されることにより、開口部11に取り付け可能になっており、開口11aを閉鎖可能になっている。また、後面32には、後方に突出する突起部34が、弁体収容部12aに対応した数設けられている。突起部34の各々は、蓋体30が筐体10に取り付けられた際に、対応する弁体収容部12aの凹部内に入るように夫々配置されている。
【0033】
圧力調整弁1において、蓋体30の各突起部34は、対応する弁体収容部12aの凹部内において弁体20を後方に押し、弁体20を貫通孔12bを含めて中実部19の前面19aに押し付ける。これにより、各弁体に20によって対応する貫通孔12bが閉鎖され、対応する連通路12が閉塞され、対応する蓄電モジュール2の内部空間Vが密閉される。一方。蓄電モジュール2の内部空間Vの圧力は、連通路12を介して弁体20に作用し、弁体20を前方に押す力を与えている。蓄電モジュール2の内部空間Vの圧力が上昇し、内部空間Vの圧力が所定の圧力を超えると、弁体20を前方に押す力が、弁体20を中実部19の前面19aに押し付ける力を上回り、弁体20が中実部19の前面19aを離れ、貫通孔12bが開放されて連通路12が開口部11に連通する。これにより、圧力が所定の値を超えた蓄電モジュール2の内部空間Vが、対応する連通路12を介して開放され、この内部空間Vの圧力を解放する。この圧力の解放により、内部空間Vの圧力が所定の値を下回ると、弁体20が中実部19の前面19aに押し付けられ、貫通孔12bが閉鎖されて連通路12が閉塞され、蓄電モジュール2の内部空間Vが密閉される。このように、蓄電モジュール2の内部空間Vが過度に高い圧力になることの防止が図られている。
【0034】
上述のように、圧力調整弁1は、蓄電モジュール2の内部空間Vの圧力が所定の値を超えた際に、対応する連通路12を開放して、この内部空間Vの圧力を解放する。この内部空間Vの圧力の解放の際に、内部空間V内の電解液が連通路12を介して、筐体10の開口部11に出ることがある。また、この筐体10の開口部11に出た電解液は、蓋体30を越えて、圧力調整弁1の外部に出ることがある。上述したように、蓄電装置3において、複数の蓄電モジュール2は上下方向に積層されており、複数の圧力調整弁1が上下方向に並んでいる。このため、圧力調整弁1の外部に出た電解液によって、この圧力調整弁1が取り付けられた蓄電モジュール2に隣接する蓄電モジュール2において短絡が発生する可能性がある。例えば、圧力調整弁1の外部に出た電解液が落下し、下方に位置する圧力調整弁1に電解液が付着した場合、この下方に位置する圧力調整弁1が取り付けられた蓄電モジュール2の電解液と落下した電解液とが電気的に接続し、この2つの蓄電モジュール2間が短絡する可能性がある。また、下方に位置する圧力調整弁1に電解液が付着し、この落下してきた電解液が付着した圧力調整弁1が取り付けられた蓄電モジュール2間が短絡する可能性がある。
【0035】
上述したように、圧力調整弁1には、蓄電モジュール2から外部に出た電解液に基づく蓄電モジュール2間の短絡の防止を図るために、短絡防止構造が設けられている。具体的には、圧力調整弁1は、短絡防止構造として、筐体10の下壁部14に形成された排出口15、及び筐体10の上壁部13に形成された段差部16を有している。排出口15は、
図4,6,7に示すように、下壁部14の一方の端14bの近傍に又は端14bに接して設けられている。排出口15は、下壁部14を貫通する孔であってもよく、下壁部14の前方の縁(前縁14d)から下壁部14の一部が後方に凹んだ凹部であってもよい。また、この凹部によって形成される排出口15は、後方に中実部19の前面19aまで延びていてもよく、後方に中実部19の前面19aに達しない位置まで延びていてもよい。また、排出口15は、複数設けられていてもよい。また、排出口15は、同様に、下壁部14の他方の端14cの近傍に又は端14cに接して設けられていてもよい。また、排出口15は、下壁部14の端14b側又は端14c側のいずれかに設けられるものに限られず、端14b側及び端14c側の両方に同様に設けられていてもよい。
【0036】
段差部16は、
図4~6に示すように、上壁部13の上面13aの一部が上方に盛り上がって形成された部分である。段差部16は、排出口15に上下方向において対向する位置には設けられておらず、排出口15に上下方向において対向する上壁部13の位置よりも端13c側の位置に設けられている。段差部16は、上面13aの前後方向の幅全体に亘って形成されており、上壁部13の延び方向に端13cに達しない位置まで延びている。なお、段差部16は、上面13aの前後方向の幅全体に亘って形成されていなくてもよい。例えば、段差部16は、上壁部13の前方の縁(前縁13d)から、上壁部13の後方の縁(後縁13e)に達しない位置まで延びていてもよい。また、段差部16は、前縁13dよりも後ろ側の位置から後縁13eまで延びていてもよく、また、前縁13dよりも後ろ側の位置から後縁13eに達しない位置まで延びていてもよい。段差部16が上面13aの前後方向の幅全体に亘って形成されていない場合、上壁部13において段差部16と前縁13dとの間に溝状の通路が設けられていることが好ましく、また、上壁部13において段差部16と後縁13eとの間に溝状の通路が設けられていることが好ましい。これらの溝状の通路には、例えば、段差や傾斜、段差と傾斜の組み合わせ等が設けられて、これらの溝状の通路に電解液が入った場合に電解液の内側に向かう逆流が防止されるようになっていることが好ましい。具体的には例えば、これら溝状の通路には、端13b又は端13cに向かって、または、端13b及び端13cに向かって、通路の底面が下側に下がるように、段差や傾斜、段差と傾斜の組み合わせ等が設けられる。
【0037】
排出口15が下壁部14の端14c側に設けられている場合は、対応して、段差部16は同様に、排出口15に上下方向において対向する上壁部13の位置よりも端13b側の位置に設けられる。また、排出口15が、下壁部14の端14b側及び端14c側の両方に設けられている場合は、対応して、段差部16は同様に、端14b側の排出口15に上下方向において対向する上壁部13の位置よりも端13c側の位置と、端14c側の排出口15に上下方向において対向する上壁部13の位置よりも端13b側の位置とに設けられる。
【0038】
排出口15は、連通路12を介して出てきた蓄電モジュール2の内部空間V内の電解液を排出口15に集めて、圧力調整弁1外に排出するようにできる。排出口15を介して排出された電解液は、この圧力調整弁1の下方に位置する圧力調整弁1の側壁部17,18側の端に落下するので、排出口15により、下方に位置する圧力調整弁1の広い範囲に電解液が付着することの防止を図ることができる。このため、圧力調整弁1外に出た電解液によって蓄電モジュール2間に短絡が発生することを抑制することができる。
【0039】
また、圧力調整弁1において、段差部16は、上下方向において排出口15に対向する位置に設けられておらず、上下方向において排出口15に対向する位置よりも、上壁部13の延び方向において内側に設けられている。蓄電装置3において、複数の蓄電モジュール2は、上下方向に正対するように又は略正対するように積層される。つまり、蓄電装置3において、複数の蓄電モジュール2各々の排出口15の水平方向の位置は、夫々同じ又は略同じ位置となり、また、複数の蓄電モジュール2各々の段差部16の水平方向の位置は、夫々同じ又は略同じ位置となる。このため、蓄電装置3において、互いに隣接す蓄電モジュール2のうちの下方の蓄電モジュール2の圧力調整弁1の段差部16は、互いに隣接す蓄電モジュール2のうちの上方の蓄電モジュール2の圧力調整弁1の排出口15に上下方向において対向しておらず、この上方の圧力調整弁1の排出口15に上下方向において対向する位置よりも内側に設けられている。このため、上方の蓄電モジュール2の圧力調整弁1の排出口15から排出された電解液は、下方の蓄電モジュール2の圧力調整弁1の上面13aの段差部16よりも、上壁部13の延び方向において外側に落ち、また、この上面13aに落ちた電解液は、段差部16に堰き止められるため、内側に流れることが防止され、外側に流される。このため、上方の排出口15から排出された電解液が、下方の圧力調整弁1の上面13aに落下しても、この電解液は、内側に流れることなく外側に流れる。これにより、上方の排出口15から落下した電解液が下方に位置する圧力調整弁1の広い範囲に付着することの防止を図ることができる。このため、圧力調整弁1外に出た電解液によって蓄電モジュール2間に短絡が発生することを抑制することができる。
【0040】
また、圧力調整弁1は、
図10に示すように、短絡防止構造として、下壁部14の上側に面する面である内面14aに、排出口15に向かう液体の流れを形成する流路14eを有している。流路14eは、例えば、排出口15側が下に位置するように、内面14aの一部又は全部が水平面に対して角度αで傾斜して形成されている。排出口15が端14c側に形成されている場合は、流路14eは、同様に、排出口15側が下に位置するように、内面14aの一部又は全部が水平面に対して傾斜して形成される。排出口15が端14b側及び端14c側の両方に形成されている場合は、例えば、端14b側が下となるように内面14aの端14b側の一部が水平面に対して傾斜し、また、端14cが下となるように内面14aの端14c側の一部が水平面に対して傾斜して形成される。また、流路14eは、内面14aに形成された下方に凹む溝であってもよい。この場合も流路14eにおいて底面は上述の内面14aのように傾斜する。この流路14eによって、連結部12から出た電解液を排出口15に集めることができ、排出口15の作用をより効果的にすることができる。なお、圧力調整弁1は、流路14eを有していなくてもよい。
【0041】
また、圧力調整弁1は、
図11に示すように、短絡防止構造として、上壁部13の上面13aの段差部16に外側(端13b側)において近接する部分に、外側の側壁部17に向かう液体の流れを形成する流路13fを有していてもよい。流路13fは、例えば、端13bが下となるように、上面13aの段差部16よりも外側の部分の一部又は全部が水平面に対して角度βで傾斜して形成される。段差部16が端13c側に形成されている場合は、流路13fは、同様に、端13cが下に位置するように、上面13aの段差部16に外側(端13c側)において近接する部分の一部又は全部が水平面に対して傾斜して形成される。段差部16が端13b側及び端13c側の両方に形成されている場合は、例えば、端13bが下となるように上面13aの段差部16に外側(端13b側)において近接する部分の一部又は全部が水平面に対して傾斜し、また、端13cが下となるように上面13aの段差部16に外側(端13c側)において近接する部分の一部又は全部が水平面に対して傾斜して形成されてる。また、流路13fは、上面13aに形成された溝であってもよい。この場合も流路13fにおいて底面は上述の上面13aのように傾斜する。この流路13fによって、上方の圧力調整弁1の排出口15から落下してきた電解液をより段差部16よりも外側に流すようにでき、排出口15及び段差部16の作用をより効果的にすることができる。
【0042】
また、圧力調整弁1の蓋部30は、短絡防止構造としての構造を有している。具体的には、圧力調整弁1において、蓋体30は、筐体10の上壁部13よりも上側に突出するようになっている。例えば、
図12に示すように、蓋体30の周面33の上面部33aが、全体に亘って、筐体10の上壁部13の上面13aよりも上側に位置するようになっている。これにより、蓋体30の上面部33aを含む上部35が、筐体10の上壁部13の上面13aよりも上側に突出している。このため、上方の圧力調整弁1の排出口15から下方の圧力調整弁1の上面13aに落下してきた電解液が、蓋体30の前面31側に流れることの防止を図ることができる。これにより、上方の排出口15から落下した電解液が下方に位置する圧力調整弁1の広い範囲に付着することの防止を図ることができる。このため、圧力調整弁1外に出た電解液によって蓄電モジュール2間に短絡が発生することを抑制することができる。なお、蓋体30の上面部33aの一部が、筐体10の上壁部13の上面13aよりも上側に位置するようになっていてもよい。例えば、上壁部13の段差部16及び段差部16よりも外側の部分(図示の例では端13b側の部分)に接する蓋体30の部分が、上壁部13の上面13aよりも上側に位置するようになっていてもよい。また、蓋体30は、筐体10の上壁部13よりも上側に突出するようになっていなくてもよい。
【0043】
次いで、使用状態の蓄電装置3における、上述の構成を有する圧力調整弁1の作用について説明する。
【0044】
蓄電装置3において、
図3に示すように、蓄電モジュール2は上下方向に積層され、各蓄電モジュール2に取り付けられた圧力調整弁1は、
図13に例示するように、上下方向に並んでいる。なお、
図13には、蓄電装置3において上下方向に隣接する2つの蓄電モジュール2の夫々の圧力調整弁1が、弁体20及び蓋体30が透過された状態で示されている。使用状態において蓄電装置3は、その上下方向が鉛直線方向に沿うような姿勢となっている。例えば、蓄電装置3は、車両等の蓄電装置3の取付対象に取り付けられており、蓄電モジュール3の上下方向が、取付対象の上下方向に沿うように取り付けられている。
【0045】
上述したように、蓄電モジュール2の内部空間Vの圧力が所定の圧力を超えると、この所定の圧力を超えた内部空間Vに対応する連通路12の弁体20が連通路12を開放し、圧力調整弁1は、この所定の圧力を超えた内部空間Vを連通路12を介して開口部11に開放する。この時、
図13に示すように、内部空間Vの開口部11への開放に伴って、内部空間V内の電解液が、連通路12を介して開口部11に出ることがある。圧力調整弁1は、上述の短絡防止構造を有しており、
図13において破線矢印Lで示すように、開口部11に出た電解液の流れを形成し、圧力調整弁1外に出た電解液Lによって蓄電モジュール2間に短絡が発生することが抑制される。
【0046】
具体的には、
図13に示すように、弁体20が動いて開放された連通路12の貫通孔12b及び弁体収容部12aを介して開口部11に出た電解液Lは、筐体10の下壁部14の内面14aに落ちる。下壁部14の内面14aには流路14eが形成されており、排出口15側が下になるように傾斜している。このため、下壁部14の内面14aに落ちた電解液Lは、流路14eによって排出口15に案内され、排出口15に向かって流れる。そして、排出口15に達した電解液Lは、排出口15から排出されて、下方に落ち、下方において隣接する蓄電モジュール2の圧力調整弁1上に落ちる。なお、下壁部14の内面14aに流路14eが形成されていない場合であっても、電解液Lは排出口15から排出されるが、流路14eが形成されている場合は、より確実に電解液Lを排出口15から排出させることができる。
【0047】
互いに隣接する圧力調整弁1において、上側の圧力調整弁1の排出口15と、下側の圧力調整弁1の段差部16とは、上下方向において互いに対向しておらず、上側の圧力調整弁1の排出口15と上下方向において対向する下側の圧力調整弁1の上面13aの部分は、段差部16よりも外側(側壁部17側)に位置する。このため、排出口15から排出されて下方に落ちた電解液Lは、下方の圧力調整弁1の段差部16よりも外側(側壁部17側)に位置する上壁部13の上面13aの部分に落ちる。この上面13a上に落ちた電解液Lが上面13aを内側(側壁部18側)に向かった場合、この電解液Lは段差部16に当たり、電解液Lの内側に向かう流れは段差部16によって堰き止められる。このように、上面13a上に落ちた電解液Lの流れは制御され、上面13a上に落ちた電解液Lが上面13aを内側(側壁部18側)に向かうことが抑制される。
【0048】
また、段差部16の堰き止めによって、上方の圧力調整弁1の排出口15から上面13a上に落ちた電解液Lは、外側(側壁部17側)に向かって流れ、側壁部17の外側面17aを伝ってこの圧力調整弁1から下方に落下する。段差部16よりも外側(側壁部17側)に位置する上壁部13の上面13aに流路13fが形成されている場合は、上方の圧力調整弁1の排出口15から上面13a上に落ちた電解液Lは、流路13fによって外側(側壁部17側)に向かうように案内される。このため、上面13a上に落ちてきた電解液Lを、より確実に側壁部17の外側面17aを伝って下方に落下させることができる。
【0049】
この側壁部17の外側面17aを伝って下方に落下した電解液Lは、下方に位置する蓄電モジュール2の圧力調整弁1の側壁部17の外側面17aに落ち、圧力調整弁1の内側に電解液Lが付着することが抑制される。また、側壁部17の外側面17aを伝って下方に落下した電解液Lが、下方に位置する蓄電モジュール2の圧力調整弁1の上壁部13の上面13aに落ちたとしても、この上壁部13の段差部16が上述の作用と同様に作用し、電解液Lを外側の側壁部17の外側面17aを伝って下方に落下させるようにできる。
【0050】
このように、圧力調整弁1の排出口15及び段差部16は、圧力調整弁1外に出た電解液Lを、外側の側壁部17の外側面17aを伝って下方に落下させるので、圧力調整弁1外に出た電解液Lが、下方に位置する圧力調整弁1の内側の部分に付着することを抑制することができる。これにより、圧力調整弁1外に出た電解液Lや下方に位置する圧力調整弁1に付着した電解液Lを介した蓄電モジュール2間の短絡の発生を抑制することができる。なお、排出口15が端14c側に設けられており、段差部16が端13c側に設けられている場合も、上述と同様に圧力調整弁1は作用する。また、排出口15が端14b側及び端14c側に設けられており、段差部16が端13b側及び端13c側に設けられている場合も、上述と同様に圧力調整弁1は作用する。
【0051】
図14は、
図13に示す下方の蓄電モジュール2に取り付けられた圧力調整弁1を側面側から見た図である。
図14に示すように、圧力調整弁1において、蓋体30の上面部33aは、筐体10の上壁部13の上面13aよりも上側に突出している。このため、上方の圧力調整弁1の排出口15から下方の圧力調整弁1の上壁部13の上面13aに落ちた電解液Lが前側に向かった場合、電解液Lは蓋体30の上部35に当たり、上面13a上を前側に向かう電解液Lの流れは、蓋体30の上部35に堰き止められる。このように、蓋体30によっても、上面13a上に落ちた電解液Lの流れは制御され、上面13a上に落ちた電解液Lが前側に向かうことが抑制される。このため、上面13a上に落ちた電解液Lが蓋体30を超えて前面31側に流れることを抑制でき、上面13a上に落ちた電解液Lが蓋体30の前面31に付着することを抑制できる。したがって、更に下方に位置する圧力調整弁1の前面31に電解液Lが落ちることを抑制できる。これにより、圧力調整弁1外に出た電解液Lや下方に位置する圧力調整弁1に付着した電解液Lを介した蓄電モジュール2間の短絡の発生を抑制することができる。
【0052】
また、
図14に示すように、圧力調整弁1において、蓋体30の上面部33aは、筐体10の上壁部13の段差部16よりも上側に突出している。このため、たとえ上方の圧力調整弁1の排出口15から落ちた電解液Lが下方の圧力調整弁1の段差部16上に付着したとしても、同様に、段差部16上を前側に向かう電解液Lの流れは、蓋体30の上部35に堰き止められる。このように、段差部16上に落ちた電解液Lの流れも蓋体30によって制御でき、段差部16上に落ちた電解液Lが蓋体30を超えて前面31側に向かうことが抑制できる。
【0053】
上述のように、本発明の実施の形態に係る圧力調整弁1によれば、圧力調整弁1から出た電解液Lによる蓄電モジュール2間の短絡の発生を抑制することができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る圧力調整弁1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0055】
1…圧力調整弁、2…蓄電モジュール、3…蓄電装置、4…導電板、10…筐体、11…開口部、11a…開口、12…連通路、12a…弁体収容部、12b…貫通孔、13…上壁部、13a…上面、13b,13c…端、13d…前縁、13e…後縁、13f…流路、14…下壁部、14a…内面、14b,14c…端、14d…前縁、14e…流路、15…排出口、16…段差部、17,18…側壁部、17a…外側面、19…中実部、19a…前面、19b…後面、19c…突出部、20…弁体、30…蓋体、31…前面、32…後面、32a…段差部、33…周面、33a…上面部、33b…下面部、33c,33d…側面部、34…突起部、35…上部、101…バイポーラ電極、102…集電体、103…正極、104…負極、105…セパレータ、106…シール部材、107…枠体、L…電解液(電解液の流れ)、V…内部空間、α,β…角度