(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】給湯機
(51)【国際特許分類】
F24H 9/20 20220101AFI20250527BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20250527BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20250527BHJP
【FI】
F24H9/20 Z
F24H1/18 D
F24H9/00 E
(21)【出願番号】P 2024509631
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014257
(87)【国際公開番号】W WO2023181326
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】小沼 一聖
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/159217(WO,A1)
【文献】実公昭47-2525(JP,Y1)
【文献】実開昭58-22682(JP,U)
【文献】特開2008-309350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房及び冷房に利用される一次側水が循環する一次側循環経路部と、
前記一次側循環経路部に設けられて前記一次側水を加熱する加熱器と、
給湯に利用される二次側水が循環する二次側循環経路部と、
前記二次側循環経路部に設けられて、前記二次側水を貯留する貯湯タンクと、
前記一次側水と前記二次側水との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記加熱器に設けられて前記加熱器の温度を感知するセンサ部、及び、前記加熱器に電力を供給する電源回路に設けられ、前記センサ部が感知した温度が前記一次側水の最高温度よりも高くなった際に前記電源回路を遮断する端子部を有するサーモスタットと、
前記端子部と前記貯湯タンクとに接する熱伝導部材と、を備える給湯機。
【請求項2】
前記貯湯タンクを囲む断熱材をさらに備え、
前記熱伝導部材は、前記断熱材にインサート成形されている請求項1に記載の給湯機。
【請求項3】
熱伝導部材は、帯状の平板をその長手方向の中途部において屈曲させることで、互いに異なる方向に延びる第一平板部と第二平板部とを有し、
前記第一平板部は、前記貯湯タンクの外面に接触し、
前記第二平板部は、前記端子部に接触している請求項1又は請求項2に記載の給湯機。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、前記端子部のうち前記加熱器側に位置する部位に接触している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ヒートポンプユニットによって加熱された温水を暖房に使用し、さらに、当該温水との間で熱交換された別の水を給湯用の温水として使用する給湯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の給湯機には、ヒートポンプユニットによる水の加熱が不十分である場合に、当該水を追加で加熱する加熱器を備えるものがある。加熱器を備える給湯機では、当該加熱器における空焚きを防ぐために、サーモスタットを利用して加熱器への電力供給を停止することが考えられる。サーモスタットは、加熱器に設けられたセンサ部と、加熱器に電力を供給するための電源回路に設けられ、加熱器への電力の供給を切り替える端子部と、をキャピラリーチューブでつないで構成されている。加熱器が空焚きとなっている際には、センサ部の内部の液体が膨張し、この液体の膨張がキャピラリーチューブを介して端子部に伝わる。そして、液体の膨張によって端子部が電源回路を遮断する。これにより、加熱器への電力供給が停止される。このようにサーモスタットが機能するため、端子部は加熱器の近くに配置される。
【0005】
また、この種の給湯機では、ヒートポンプユニットによって冷却された冷水を冷房に使用することもある。この場合には、加熱器が冷水によって冷却される。その結果として、加熱器の近くに配置された端子部も冷却され、端子部に結露が生じてしまう。端子部に結露が生じると、加熱器の空焚きの際に電源回路が正しく遮断されない可能性があるばかりでなく、漏電が発生して意図しないところに電流が流れてしまう可能性があるため、好ましくない。
【0006】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、サーモスタットの端子部に結露が生じることを抑制できる給湯機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る給湯機の一つの態様は、暖房及び冷房に利用される一次側水が循環する一次側循環経路部と、前記一次側循環経路部に設けられて前記一次側水を加熱する加熱器と、給湯に利用される二次側水が循環する二次側循環経路部と、前記二次側循環経路部に設けられて、前記二次側水を貯留する貯湯タンクと、前記一次側水と前記二次側水との間で熱交換を行う熱交換器と、前記加熱器に設けられて前記加熱器の温度を感知するセンサ部、及び、前記加熱器に電力を供給する電源回路に設けられ、前記センサ部が感知した温度が前記一次側水の最高温度よりも高くなった際に前記電源回路を遮断する端子部を有するサーモスタットと、前記端子部と前記貯湯タンクとに接する熱伝導部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、サーモスタットの端子部に結露が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態における給湯機の回路構成図である。
【
図2】実施の形態における給湯機の外観を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態における給湯機の内部構造を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態における給湯機の一部の内部構造を示す斜視図であって、
図3における部分拡大図である。
【
図6】実施の形態における加熱器とサーモスタットとを分離した状態を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態における加熱器の内部構造を示す断面図である。
【
図8】実施の形態におけるサーモスタット及び電源回路を示す回路図である。
【
図9】実施の形態における貯湯タンクに断熱材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態における貯湯タンクから断熱材を分離した状態を示す分解斜視図である。
【
図11】実施の形態における貯湯タンクから断熱材を分離した状態を示す分解斜視図であって、
図10と異なる方向から見た斜視図である。
【
図12】実施の形態における給湯機の一部の内部構造を示す断面図であって、
図4における部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。
【0011】
また、図面には、適宜、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸は、水平方向のうちの一方向を示している。Y軸は、水平方向のうちの他の一方向を示している。Z軸は、鉛直方向を示している。以下の説明においては、X軸に沿った水平方向を“第一水平方向X”と呼び、Y軸に沿った水平方向を“第二水平方向Y”と呼び、Z軸に沿った鉛直方向を“鉛直方向Z”と呼ぶ。第一水平方向X、第二水平方向Y、および鉛直方向Zは、互いに直交する方向である。以下の説明においては、鉛直方向ZのうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を上側とし、鉛直方向ZのうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を下側とする。また、以下の説明においては、第一水平方向XのうちX軸の矢印が向く側(+X側)を“第一水平方向Xの一方側”と呼び、第一水平方向XのうちX軸の矢印が向く側と逆側(-X側)を“第一水平方向Xの他方側”と呼ぶ。また、第二水平方向YのうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を“第二水平方向Yの一方側”と呼び、第二水平方向YのうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を“第二水平方向Yの他方側”と呼ぶ。
【0012】
図1は、実施の形態における給湯機1の回路構成図である。
図1に示すように、給湯機1は、空調回路10と、給湯回路20と、第一熱交換器30と、を備える。空調回路10は、図示しない空気調和機が暖房運転及び冷房運転するための回路である。給湯回路20は、温めた温水を外部に供給するための回路である。
【0013】
空調回路10は、一次側循環経路部11と、一次側ポンプ12と、加熱器13と、流出配管14と、三方弁15と、流入配管16と、を備える。
一次側循環経路部11には、暖房及び冷房に利用される一次側水W1が循環する。一次側ポンプ12は、一次側循環経路部11に設けられ、一次側循環経路部11において一次側水W1を循環させる。一次側循環経路部11を流れる一次側水W1は、後述する二次側循環経路部21を流れる二次側水W2と同じ種類の水であってもよいし、異なる水であってもよい。また、一次側循環経路部11を流れる液体は、水以外であってもよい。加熱器13は、一次側循環経路部11に設けられ、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1を加熱する。加熱器13による一次側水W1の加熱は、加熱器13に電力が供給されることで行われる。
【0014】
流出配管14は、一次側循環経路部11に接続され、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1を空気調和機に向けて流出させるための配管である。一次側循環経路部11と流出配管14との接続部分は、一次側循環経路部11のうち加熱器13の下流側に位置する。
三方弁15は、一次側循環経路部11と流出配管14との接続部分に設けられている。三方弁15は、加熱器13から流れて三方弁15に到達した一次側水W1が流れる方向を切り替える。具体的に、三方弁15は、加熱器13側から三方弁15に到達した一次側水W1を、引き続き一次側循環経路部11のみに流すか、流出配管14のみに流すか、一次側循環経路部11及び流出配管14の両方に分けて流すか、を選択する。
【0015】
流入配管16は、一次側循環経路部11に接続され、空気調和機からの一次側水W1を一次側循環経路部11に流入させるための配管である。流入配管16は、一次側循環経路部11のうち三方弁15を設けた位置よりも下流側に離れた部分に接続されている。
【0016】
給湯回路20は、二次側循環経路部21と、二次側ポンプ22と、貯湯タンク23と、給湯配管24と、給水配管25と、を有する。
二次側循環経路部21には、給湯に利用される二次側水W2が循環する。二次側ポンプ22は、二次側循環経路部21において二次側水W2を循環させる。
貯湯タンク23は、二次側循環経路部21に設けられ、二次側水W2を貯留する。貯湯タンク23は、鉛直方向Zに延びる円筒状である。二次側循環経路部21は、貯湯タンク23の下側部分に接続されている。すなわち、二次側水W2は、二次側循環経路部21から貯湯タンク23の下側部分に流入し、貯湯タンク23の下側部分から二次側循環経路部21に流出する。貯湯タンク23に貯留される二次側水W2は、主に後述する第一熱交換器30において温められた温水である。
【0017】
給湯配管24は、貯湯タンク23に貯留された二次側水W2を貯湯タンク23の外部に吐出させるための配管である。給湯配管24から貯湯タンク23の外部に吐出される二次側水W2は、第一熱交換器30において温められた温水である。給湯配管24から外部に吐出される二次側水W2は、例えばシャワーなどに使用される。貯湯タンク23の内部に開口する給湯配管24の吐出口は、貯湯タンク23の上側部分に位置している。これにより、貯湯タンク23に貯留された二次側水W2のうち比較的温度が高い温水を外部に供給することができる。
貯湯タンク23を構成する材料は、金属であってもよいし、樹脂であってもよいし、無機固体材料であってもよい。
【0018】
給水配管25は、貯湯タンク23の内部に二次側水W2としての水を二次側循環経路部21に供給するための配管である。貯湯タンク23の内部に開口する給水配管25の給水口は、貯湯タンク23の下側部分に位置している。すなわち、二次側水W2は、給水配管25から貯湯タンク23の下側部分に給水される。給水配管25は、図示しない水道管に接続されている。これにより、貯湯タンク23には、給水配管25から、二次側水W2として水道水が給水される。給水配管25から貯湯タンク23に供給される水道水の温度は、第一熱交換器30において温められた温水の温度よりも低い。給水配管25から貯湯タンク23への水道水の供給量は、貯湯タンク23から給湯配管24を通して外部に吐出される吐出量に対応する。すなわち、貯湯タンク23から外部に吐出された温水と同等の量の水道水が、貯湯タンク23に供給される。
【0019】
第一熱交換器30は、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1と、二次側循環経路部21を流れる二次側水W2との間で熱交換を行う熱交換器である。具体的に、第一熱交換器30においては、温度が高い一次側水W1の熱が、温度が低い二次側水W2に伝わることで、二次側水W2が加熱される。第一熱交換器30は、例えば、プレート式の熱交換器である。第一熱交換器30の種類は、特に限定されず、プレート式以外の方式の熱交換器であってもよい。
第一熱交換器30は、一次側循環経路部11のうち三方弁15を設けた位置よりも下流側、かつ、流入配管16との接続部分よりも上流側に位置している。このため、流入配管16から一次側循環経路部11に流入した一次側水W1が、後述する第二熱交換器43及び加熱器13を通過する前に第一熱交換器30に到達することはない。
【0020】
給湯機1は、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1を加熱及び冷却する加熱冷却回路40を、さらに備える。本実施の形態において、加熱冷却回路40は、冷媒循環経路部41と、室外機42と、第二熱交換器43と、を有する。
【0021】
冷媒循環経路部41には、冷媒Rが循環する。冷媒循環経路部41を流れる冷媒Rとしては、例えば、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が低いフッ素系冷媒、または炭化水素系冷媒などが挙げられる。冷媒循環経路部41は、冷媒Rが室外機42と第二熱交換器43との間で循環するように構成されている。冷媒循環経路部41を流れる冷媒Rは、室外機42において図示しない圧縮機及び熱交換器を通過することで、加熱又は冷却される。
【0022】
第二熱交換器43は、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1と、冷媒循環経路部41を流れる冷媒Rとの間で熱交換を行う熱交換器である。第二熱交換器43は、例えば、プレート式の熱交換器である。第二熱交換器43の種類は、特に限定されず、プレート式以外の方式の熱交換器であってもよい。第二熱交換器43は、一次側循環経路部11において加熱器13よりも上流側に位置している。
【0023】
冷媒循環経路部41を流れる冷媒Rが室外機42において加熱されている場合、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1は、第二熱交換器43おいて冷媒Rから熱を吸収する。これにより、第二熱交換器43を通過する一次側水W1が温められて温水となる。一方、冷媒循環経路部41を流れる冷媒Rが室外機42において冷却されている場合、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1は、第二熱交換器43おいて冷媒Rから熱を奪われる。これにより、第二熱交換器43を通過する一次側水W1が冷やされて冷水となる。
【0024】
次に、
図1に示す給湯機1の動作について説明する。
はじめに、給湯回路20の二次側水W2を温める場合の給湯機1の動作について説明する。二次側水W2を温める場合には、室外機42において冷媒Rが加熱され、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1が、第二熱交換器43おいて冷媒Rによって温められる。第二熱交換器43において温められた一次側水W1は、加熱器13を通過する。加熱器13では、第二熱交換器43において温められた一次側水W1の温度が低い場合に、一次側水W1をさらに加熱する。加熱器13を通過した一次側水W1は、三方弁15を介して第一熱交換器30に到達する。第一熱交換器30では、二次側循環経路部21を流れる二次側水W2が、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1によって温められる。温められた二次側水W2は、貯湯タンク23に貯留される。
【0025】
上記した二次側水W2の加熱に際して、空調回路10の流出配管14及び流入配管16に接続された空気調和機が運転していない状態では、加熱器13を通過した一次側水W1は、三方弁15から全て第一熱交換器30に向けて流れる。一方、空気調和機が暖房運転している状態では、加熱器13を通過した一次側水W1の一部が三方弁15から流出配管14を通して空気調和機に向けて流れ、一次側水W1の残部が三方弁15から第一熱交換器30に向けて流れる。また、空気調和機が暖房運転している状態では、流出配管14を通して空気調和機に向けて流れた一次側水W1が、流入配管16を通して一次側循環経路部11に戻る。空気調和機が暖房運転していることで、流入配管16を流れる一次側水W1の温度は、流出配管14における一次側水W1の温度よりも下がる。ただし、流入配管16から一次側循環経路部11に戻った温度の低い一次側水W1は、第一熱交換器30を通らずに、第二熱交換器43に戻る。これにより、流入配管16を流れる一次側水W1に起因して、第一熱交換器30において二次側水W2を加熱する効率が低下することを防ぐことができる。
【0026】
次に、空気調和機が冷房運転する際の給湯機1の動作について説明する。空気調和機が冷房運転する場合には、室外機42において冷媒Rが冷却され、一次側循環経路部11を流れる一次側水W1が、第二熱交換器43おいて冷媒Rによって冷やされる。第二熱交換器43において冷やされた一次側水W1は、加熱器13を通過して三方弁15に到達する。一次側水W1は、三方弁15から流出配管14にのみ流れ、第一熱交換器30に向けて流れない。流出配管14から空気調和機に供給された冷たい一次側水W1は、空気調和機の冷房運転に使用され、流出配管14を通して第一熱交換器30よりも下流側において一次側循環経路部11に戻る。これにより、冷たい一次側水W1が第一熱交換器30を通ることはなく、二次側水W2が第一熱交換器30において一次側水W1によって冷却されることもない。
【0027】
図2は、給湯機1の外観を示す斜視図である。
図3は、給湯機1の内部構造を示す斜視図である。
図4は、給湯機1の断面図である。
図2から
図4に示すように、給湯機1は、筐体50と、サーモスタット60と、熱伝導部材70と、断熱材80と、を有する。筐体50の内部には、
図1にも示した一次側循環経路部11、一次側ポンプ12、加熱器13、三方弁15、二次側循環経路部21、二次側ポンプ22、貯湯タンク23などが配置される。また、筐体50の内部には、電気品箱90も配置される。電気品箱90は、給湯機1の各部に電力を供給する回路、及び、給湯機1の各部の動作を制御する回路を含む。
【0028】
本実施の形態において、概ね円筒状に形成された貯湯タンク23は、筐体50の内部において、貯湯タンク23の軸方向が鉛直方向Zに延びるように配置されている。また、加熱器13及び電気品箱90は、筐体50の内部において、貯湯タンク23に対して第一水平方向Xの一方側(+X側)に隣り合わせて配置されている。また、電気品箱90は、筐体50の内部において、加熱器13の上側(+Z側)に配置されている。
【0029】
図5は、給湯機1の一部の内部構造を示す斜視図であって、
図3における部分拡大図である。
図6は、加熱器13とサーモスタット60とを分離した状態を示す斜視図である。
図7は、加熱器13の内部構造を示す断面図である。
図5から
図7に示すサーモスタット60は、加熱器13の空焚きを防ぐためのものである。サーモスタット60は、センサ部61と、端子部62と、を有する。センサ部61は、加熱器13に設けられて加熱器13の温度を感知する。センサ部61は、一次側水W1が通る加熱器13のケース131内に設置される。具体的に、センサ部61は、ケース131内に配置された加熱器13の発熱部132の近くに配置される。発熱部132は、電力が供給されることで発熱し、ケース131内を通る一次側水W1を加熱する。
【0030】
図8は、サーモスタット60及び電源回路100を示す回路図である。
図8に示すように、サーモスタット60の端子部62は、電源回路100に設けられる。電源回路100は、一次側水W1の加熱に要する電力を加熱器13に供給する回路である。電源回路100は、ブレーカー110から端子部62及び制御コンタクタ120を通して加熱器13に電力を供給する回路であってよい。なお、制御コンタクタ120は、加熱器13の動作を制御する回路である。ブレーカー110及び制御コンタクタ120は、
図3及び
図4に示した電気品箱90内に配置されている。端子部62は、センサ部61が感知した温度が一次側水W1の最高温度よりも高くなった際に電源回路100を遮断する。一次側水W1の最高温度は、例えば一次側水W1の沸点であってよい。端子部62は、例えば加熱器13への電力の供給を切り替える物理スイッチ64を含む。
【0031】
図6及び
図8に示すように、本実施の形態のサーモスタット60は、センサ部61と端子部62とをキャピラリーチューブ63によってつないで構成されている。センサ部61及びこれに繋がるキャピラリーチューブ63の内部には図示しない液体が充填されている。加熱器13の空焚きなどによってセンサ部61が加熱された際には、センサ部61の内部の液体が膨張し、この液体の膨張がキャピラリーチューブ63を介して端子部62に伝わる。そして、液体の膨張によって端子部62が電源回路100を遮断する。
【0032】
サーモスタット60においては、センサ部61の内部における液体の膨張に対する端子部62の応答が低下しないように、端子部62がセンサ部61の近くに配置されることが好ましい。このため、端子部62はセンサ部61が挿入された加熱器13の近くに配置される。
図5に示すように、端子部62は、加熱器13に対して第二水平方向Yの一方側(+Y側)に隣り合わせて配置される。本実施の形態において、端子部62は、加熱器13を筐体50に取り付けるための取付部材51に固定されている。すなわち、端子部62は、取付部材51を介して加熱器13に固定されている。また、
図4に示すように、端子部62は、加熱器13と同様に、貯湯タンク23に対して第一水平方向Xの一方側(+X側)に隣り合わせて配置される。
【0033】
図5及び
図6に示すように、本実施の形態の端子部62は、上面621と、対向面622と、反対面623と、を有する。端子部62の上面621は、上側(+Z側)に向く面である。対向面622は、加熱器13に対向するように第二水平方向Yの他方側(-Y側)に向く面である。反対面623は、第二水平方向Yにおいて対向面622と反対側に向く面、すなわち第二水平方向Yの一方側(+Y側)に向く面である。端子部62の上面621は、第二水平方向Yにおいて対向面622と反対面623との間に位置する。
【0034】
図9は、貯湯タンク23に断熱材80を取り付けた状態を示す斜視図である。
図10は、貯湯タンク23から断熱材80を分離した状態を示す分解斜視図である。
図11は、貯湯タンク23から断熱材80を分離した状態を示す分解斜視図であって、
図10と異なる方向から見た斜視図である。
図4及び
図9から
図11に示すように、断熱材80は、貯湯タンク23を囲み、貯湯タンク23の内外で熱が伝わりにくくするものである。断熱材80は、例えば発泡スチロールなどの成形による製造が可能な発泡プラスチックであってよい。
貯湯タンク23の外面に対向する断熱材80の対向面81は、貯湯タンク23の外面に面接触するように形成されている。本実施の形態において、断熱材80の対向面81は、概ね円筒状に形成された貯湯タンク23の外周面に対応する凹状に湾曲した形状に形成されている。本実施の形態において、貯湯タンク23を囲む断熱材80は、2つの部材によって構成されている。断熱材80を構成する部材の数は、特に限定されず、例えば1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
加熱器13、サーモスタット60などは、上記した断熱材80の外側に配置されている。
【0035】
図12は、給湯機1の一部の内部構造を示す断面図であって、
図4における部分拡大図である。
図5及び
図12に示すように、熱伝導部材70は、サーモスタット60の端子部62と貯湯タンク23とに接する。熱伝導部材70は、熱伝導率が高い材料によって構成されていればよい。熱伝導部材70は、例えば銅やアルミニウム、鉄などの金属によって構成されてよい。
図11及び
図12に示すように、本実施の形態における熱伝導部材70は、帯状の平板によって構成されている。また、熱伝導部材70は、当該平板をその長手方向の中途部において屈曲させて構成されている。これにより、熱伝導部材70は、互いに異なる方向に延びる第一平板部71と、第二平板部72と、を有する。本実施の形態において、帯状の平板からなる熱伝導部材70は、その長手方向の中途部において概ね90度屈曲している。
【0036】
図12に示すように、第一平板部71は、貯湯タンク23の外面に接触する。具体的に、第一平板部71は、鉛直方向Zすなわち貯湯タンク23の軸方向に延びる。また、第一平板部71の厚さ方向は、鉛直方向Zに直交する第一水平方向Xに向いている。そして、第一平板部71は、貯湯タンク23の外周面に接触する。このため、貯湯タンク23の外周面に対する第一平板部71の接触面積を極力増やすことができ、かつ、第一平板部71を貯湯タンク23の極力近くに配置することができる。これにより、第一平板部71が貯湯タンク23と熱的に接続される。
【0037】
第二平板部72は、鉛直方向Zに延びる第一平板部71の長手方向の端部から、第一水平方向Xの一方側に延びている。図示例において、第二平板部72は第一平板部71の上端部から延びているが、例えば第一平板部71の下端部から延びていてもよい。
図5及び
図12に示すように、第二平板部72は、サーモスタット60の端子部62に接触する。具体的に、第二平板部72の厚さ方向は、鉛直方向Zに向いている。そして、第二平板部72は、端子部62の上面621に面接触する。また、第二平板部72は、端子部62の上面621のうち、第二水平方向Yにおいて反対面623よりも加熱器13に近い領域に接触している。すなわち、第二平板部72は、端子部62のうち加熱器13側に位置する部位に接触している。
【0038】
図12に示すように、貯湯タンク23は断熱材80によって囲まれ、サーモスタット60は断熱材80の外側に配置される。すなわち、貯湯タンク23とサーモスタット60の端子部62との間には断熱材80が介在している。このため、熱伝導部材70は、断熱材80を貫通するように配置される。具体的には、熱伝導部材70の第二平板部72が断熱材80を貫通する。また、熱伝導部材70の第一平板部71は、貯湯タンク23の外面に対向する断熱材80の対向面81に沿うように配置される。
本実施の形態では、上記した熱伝導部材70が、断熱材80にインサート成形される。なお、熱伝導部材70は、例えば成形された後の断熱材80に取り付けられてもよい。
【0039】
本実施の形態によれば、加熱器13の近くに配置されたサーモスタット60の端子部62と貯湯タンク23とが、熱伝導部材70によって熱的に接続される。すなわち、温水である二次側水W2が貯留された貯湯タンク23の熱が、熱伝導部材70を通してサーモスタット60の端子部62に伝わる。このため、冷房のために冷却された一次側水W1が加熱器13を通ることで加熱器13が冷却されても、サーモスタット60の端子部62が冷却されることを抑制できる。したがって、サーモスタット60の端子部62に結露が生じることを抑制することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部材70が、貯湯タンク23を囲む断熱材80にインサート成形されている。これにより、貯湯タンク23の外面に対する熱伝導部材70の位置決めを容易かつ正しく行うことができる。熱伝導部材70を熱伝導部材70に対して正しく位置決めできることで、熱伝導部材70を確実に貯湯タンク23の外面に接触させることができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部材70は、帯状の平板を屈曲させることで、互いに異なる方向に延びる第一平板部71と第二平板部72とを有する。そして、第一平板部71には貯湯タンク23の外面が接触し、第二平板部72にはサーモスタット60の端子部62が接触する。このため、熱伝導部材70が接触する貯湯タンク23の面、及び、端子部62の面が互いに異なる方向に向いていても、熱伝導部材70を貯湯タンク23及び端子部62の各面に面接触させることができる。したがって、貯湯タンク23の熱を効率よく端子部62に伝えることができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、熱伝導部材70は、端子部62のうち加熱器13側に位置する部位に接触している。これにより、端子部62が加熱器13側から受ける熱の影響を小さく抑えることができる。以下、この点について説明する。
加熱器13側に位置する端子部62の部位は、反対面623など加熱器13から離れた端子部62の部位と比較して、加熱器13から熱的な影響を受けやすい。このため、加熱器13が冷たい一次側水W1によって冷却された場合には、加熱器13側に位置する端子部62の部位は、他の部位よりも冷却されやすい。これに対し、熱伝導部材70が加熱器13側に位置する端子部62の部位に接触していることで、当該端子部62の部位が冷却されることを効果的に抑制できる。したがって、加熱器13の冷却に伴う端子部62の結露の発生を効果的に抑制できる。
【0043】
以上に本開示における実施の形態について説明したが、本開示は上述した各実施の形態の構成のみに限定されず、以下の構成および方法を採用することもできる。
【0044】
一次側循環経路部を流れる液体は、特に限定されず、水以外であってもよい。すなわち、一次側循環経路部を流れる液体は、一次側液体と呼ばれてもよい。
【0045】
以上、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…給湯機、11…一次側循環経路部、13…加熱器、21…二次側循環経路部、23…貯湯タンク、60…サーモスタット、61…センサ部、62…端子部、70…熱伝導部材、71…第一平板部、72…第二平板部、80…断熱材、W1…一次側水、W2…二次側水