(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-26
(45)【発行日】2025-06-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/30 20250101AFI20250527BHJP
B05C 9/10 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
G08G5/30
B05C9/10
(21)【出願番号】P 2025027686
(22)【出願日】2025-02-25
(62)【分割の表示】P 2024229680の分割
【原出願日】2024-12-26
【審査請求日】2025-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/191144(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0327290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/30
B05C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を格納する格納部に格納されている移動体の移動計画を取得し、取得した前記移動計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得する取得部と、
前記移動計画及び前記天候情報に基づいて、前記移動計画に基づいて前記移動体が移動した場合における前記移動体のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記影響度に基づいて前記移動体のボディに前記移動体のボディを保護するための薬剤を塗布するかを判定する判定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、天候の種別と、当該天候の種別の天候において移動体が移動した場合における移動体
のボディの劣化への影響度とを関連付けた情報である天候別影響度情報を参照し、取得した前記天候情報が示す天候において前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が移動した場合の前記影響度を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記天候別影響度情報を参照し、前記移動計画が示す複数の飛行時刻それぞれにおける天候に対応する影響度を特定し、特定した影響度の合計に基づいて、前記天候情報が示す天候において前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が移動した場合の影響度を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、場所種別と、当該場所種別の場所を移動体が移動した場合における移動体
のボディの劣化への影響度とを関連付けた情報を参照し、前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が移動した場合の影響度を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移動体は飛行体であり、
前記特定部は、場所種別と、移動体の地表面又は海面からの飛行高度と、当該場所種別の場所を当該飛行高度で移動体が飛行した場合における移動体
のボディの劣化への影響度とを関連付けた情報である場所別影響度情報を参照し、前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が飛行した場合の影響度を特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記場所別影響度情報を参照し、前記移動計画が示す複数の位置それぞれについて、当該位置に対応する場所種別と、飛行高度とに関連付けられている影響度を特定し、特定した影響度の合計に基づいて、前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が飛行した場合の影響度を特定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記移動計画に基づいて前記移動体が移動した場合における、前記移動体
のボディの劣化の原因となる複数の劣化要素それぞれの前記影響度を特定し、
前記判定部は、前記特定部が特定した複数の劣化要素それぞれの影響度に基づいて、前記移動体のボディに薬剤を塗布するかを判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
移動体を格納する格納部に格納されている移動体の移動計画を取得し、取得した前記移動計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得するステップと、
前記移動計画及び前記天候情報に基づいて、前記移動計画に基づいて前記移動体が移動した場合における前記移動体のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度を特定するステップと、
特定した前記影響度に基づいて前記移動体のボディに前記移動体のボディを保護するための薬剤を塗布するかを判定するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律飛行が可能な飛行体等を用いた構造物等の点検等が実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行体を海上や海の近郊で使用する場合において、人によるメンテナンスを長期にわたって行うことができないことがある。この場合、海水が飛行体に付着することにより飛行体が腐食したり、飛行体が有するカメラのレンズに汚れが付着したりして、飛行体が劣化してしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、人手を介さずに移動体の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、情報処理装置である。この情報処理装置は、移動体を格納する格納部に格納されている移動体の移動計画を取得し、取得した前記移動計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得する取得部と、前記移動計画及び前記天候情報に基づいて、前記移動計画に基づいて前記移動体が移動した場合における前記移動体のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記影響度に基づいて前記移動体のボディに前記移動体のボディを保護するための薬剤を塗布するかを判定する判定部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、天候の種別と、当該天候の種別の天候において移動体が移動した場合における移動体の劣化への影響度とを関連付けた情報である天候別影響度情報を参照し、取得した前記天候情報が示す天候において前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が移動した場合の前記影響度を特定してもよい。
【0008】
前記特定部は、前記天候別影響度情報を参照し、前記移動計画が示す複数の飛行時刻それぞれにおける天候に対応する影響度を特定し、特定した影響度の合計に基づいて、前記天候情報が示す天候において前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が移動した場合の影響度を特定してもよい。
【0009】
前記特定部は、場所種別と、当該場所種別の場所を移動体が移動した場合における移動体の劣化への影響度とを関連付けた情報を参照し、前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が移動した場合の影響度を特定してもよい。
【0010】
前記移動体は飛行体であり、前記特定部は、場所種別と、移動体の地表面又は海面からの飛行高度と、当該場所種別の場所を当該飛行高度で移動体が飛行した場合における移動体の劣化への影響度とを関連付けた情報である場所別影響度情報を参照し、前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が飛行した場合の影響度を特定してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記場所別影響度情報を参照し、前記移動計画が示す複数の位置それぞれについて、当該位置に対応する場所種別と、飛行高度とに関連付けられている影響度を特定し、特定した影響度の合計に基づいて、前記移動計画が示す複数の位置を前記移動体が飛行した場合の影響度を特定してもよい。
【0012】
前記特定部は、前記移動計画に基づいて前記移動体が移動した場合における、前記移動体の劣化の原因となる複数の劣化要素それぞれの前記影響度を特定し、前記判定部は、前記特定部が特定した複数の劣化要素それぞれの影響度に基づいて、前記移動体のボディに薬剤を塗布するかを判定してもよい。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
本発明の第2の態様は、情報処理方法である。この情報処理方法は、コンピュータが実行する、移動体を格納する格納部に格納されている移動体の移動計画を取得し、取得した前記移動計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得するステップと、前記移動計画及び前記天候情報に基づいて、前記移動計画に基づいて前記移動体が移動した場合における前記移動体のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度を特定するステップと、特定した前記影響度に基づいて前記移動体のボディに前記移動体のボディを保護するための薬剤を塗布するかを判定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、人手を介さずに移動体の劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】天候情報に基づいて飛行体の劣化への影響度を算出した例を示す図である。
【
図6】飛行計画に基づいて飛行体の劣化への影響度を算出した例を示す図である。
【
図7】塗布制御装置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[塗布制御装置1の概要]
図1は、塗布制御装置1の概要を示す図である。塗布制御装置1は、飛行体2を格納する格納施設3、又は格納施設3の近傍に設けられており、飛行体2に薬剤を塗布するためのコンピュータである。飛行体2は、例えば自律して飛行可能なドローンである。格納施設3は、例えば飛行体2が待機する待機場所としてのドローンポートであり、待機中の飛行体2に対して薬剤を塗布する塗布装置4が設けられている。塗布装置4は、塗布制御装置1の制御に応じて、格納施設3に格納されている飛行体2に対し、コーティング剤や撥水剤といった飛行体2のボディを保護するための薬剤を塗布する。
【0020】
塗布制御装置1は、格納施設3に格納されている飛行体2の移動計画を取得する(
図1における(1))。塗布制御装置1は、移動計画を取得すると、当該移動計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得する(
図1における(2))。
【0021】
塗布制御装置1は、取得した移動計画及び天候情報に基づいて、飛行体2に薬剤を塗布するかを判定する(
図1における(3))。塗布制御装置1は、飛行体2に薬剤を塗布すると判定すると、塗布装置4に、飛行体2に薬剤を塗布させる塗布指示情報を送信することにより、塗布装置4による飛行体2への薬剤の塗布を制御する(
図1における(4))。このようにすることで、塗布制御装置1は、飛行体2への薬剤の塗布を自動的に行うことができるので、人手を介さずに飛行体2の劣化を抑制することができる。
【0022】
[塗布制御装置1の機能構成]
続いて、塗布制御装置1の機能構成について説明する。
図2は、塗布制御装置1の機能構成を示す図である。塗布制御装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0023】
通信部11は、携帯電話回線やインターネット等の通信ネットワークを介して飛行体2等とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、及びSSD(Solid State Drive)等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、取得部131、判定部132、及び塗布制御部133として機能させるプログラムを記憶する。
【0024】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、判定部132、及び塗布制御部133として機能する。
【0025】
取得部131は、飛行体2を格納する格納部としての格納施設3に格納されている飛行体2の移動計画としての、飛行体2の飛行計画を取得し、取得した飛行計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得する。例えば、取得部131は、通信部11を介して、飛行体2の飛行を管理する飛行管理装置(不図示)にアクセスし、格納施設3に格納されている飛行体2の飛行計画を取得する。取得部131は、通信部11を介して、飛行体2にアクセスし、飛行体2が記憶している飛行体2の飛行計画を取得してもよい。
【0026】
取得部131は、飛行体2の飛行計画を取得すると、当該飛行計画が示す飛行体2が飛行する日時と、飛行体2の飛行場所とを特定する。飛行計画は、例えば、飛行体2が飛行する飛行ルートを示す複数の位置それぞれに対応する飛行日時と、当該位置の高度及び緯度経度を示す三次元位置情報とを関連付けた飛行経路情報を含んでいる。
【0027】
取得部131は、通信部11を介して、複数のエリアにおける天候の予報を天候情報として提供する天候サーバ(不図示)にアクセスし、飛行計画が示す飛行体2が飛行する日時及び飛行体2の飛行場所に対応する天候情報を取得する。
【0028】
また、取得部131は、格納施設3又は格納施設3の近傍に設けられている、格納施設の周辺の天候を観測する観測装置(不図示)から、飛行計画が示す飛行体2の飛行開始場所である格納施設3の周辺における天候の観測結果を天候情報として取得する。
【0029】
判定部132は、取得部131が取得した飛行計画及び天候情報に基づいて、飛行体2に、飛行体2のボディを保護するための薬剤を塗布するかを判定する。例えば、判定部132は、飛行計画及び天候情報に基づいて、飛行体2が飛行計画にしたがって移動することによる、飛行体2のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度を特定し、特定した影響度に基づいて飛行体2に薬剤を塗布するかを判定する。
【0030】
具体的には、判定部132は、複数の天候種別それぞれの天候で飛行体が飛行した場合における当該飛行の飛行体の劣化に対する影響度を示す天候別影響度情報と、複数の場所種別それぞれを飛行体が飛行した場合における当該飛行の飛行体の劣化に対する影響度を示す場所別影響度情報とを参照し、飛行体2が飛行計画に従って、取得した天候情報が示す天候で飛行した場合の飛行体2の劣化に対する影響度を算出する。
【0031】
図3は、天候別影響度情報の一例を示す図である。
図3に示すように、天候別影響度情報は、天候種別と、当該天候種別の天候において飛行体が飛行した場合における飛行体の劣化への影響度とを関連付けた情報である。影響度は、例えば、塩害、さび、砂埃といった複数の要素それぞれに対して設けられている。
図3に示す例では、一つの天候種別に対して、一つの要素に対応する影響度が関連付けられているが、一つの天候種別に対して、複数の要素それぞれに対応する影響度が関連付けられていてもよい。
【0032】
図4は、場所別影響度情報の一例を示す図である。
図4に示すように、場所別影響度情報は、場所種別と、飛行体の地表面又は海面からの飛行高度と、当該場所種別の場所を当該飛行高度で飛行した場合における飛行体の劣化への影響度とを関連付けた情報である。
【0033】
判定部132は、天候別影響度情報を参照し、取得した天候情報が示す天候において飛行計画に含まれる飛行経路情報が示す複数の位置を飛行した場合に、飛行体2に対して天候が及ぼす劣化への影響度を算出する。例えば、飛行体2が、午前9時から午前10時まで飛行する場合、天候情報に基づいて、10分毎の飛行体2の劣化への影響度を算出し、算出した影響度を合計することにより、飛行体2に対して天候が及ぼす劣化への影響度を算出する。
【0034】
図5は、天候情報に基づいて飛行体2の劣化への影響度を算出した例を示す図である。
図5に示すように、午前9時から午前10時までの10分毎の天候に基づいて、飛行体2の劣化への影響度として、さびによる影響度が9と算出されていることが確認できる。
【0035】
同様に、判定部132は、場所別影響度情報を参照し、飛行計画に含まれる飛行経路情報が示す複数の位置を飛行した場合に、飛行体2に対して飛行場所が及ぼす劣化への影響度を算出する。例えば、判定部132は、複数の位置それぞれの場所種別を示す地図情報を参照し、飛行経路情報が示す複数の位置に対応する場所種別を特定する。そして、判定部132は、飛行経路情報が示す複数の位置のそれぞれに対し、対応する場所種別と、飛行高度とに関連付けられている影響度を特定する。
【0036】
例えば、飛行体2が、午前9時から午前10時まで飛行する場合、判定部132は、飛行経路情報が示す複数の位置のそれぞれについて、当該位置に対応する場所種別と、飛行高度に関連付けられている影響度を算出し、複数の位置のそれぞれの影響度を合計することにより、飛行体2に対して飛行場所が及ぼす劣化への影響度を算出する。例えば、判定部132は、10分毎の飛行体2の劣化への影響度を算出し、算出した影響度を合計することにより、飛行体2に対して飛行場所が及ぼす劣化への影響度を算出する。
【0037】
図6は、飛行計画に基づいて飛行体2の劣化への影響度を算出した例を示す図である。
図6に示すように、午前9時から午前10時までの10分毎の飛行位置に対応する場所種別及び高度に基づいて、飛行体2の劣化への影響度として、塩害による影響度が9、さびによる影響度が9、砂埃による影響度が8と算出されていることが確認できる。
【0038】
判定部132は、算出した、飛行体2に対して天候が及ぼす劣化への影響度と、飛行体2に対して飛行場所が及ぼす劣化への影響度とを合計することにより、飛行体2が飛行計画に従って、取得した天候情報が示す天候で飛行した場合の飛行体の劣化の影響度を算出する。例えば、判定部132は、
図5に示す例において算出された影響度と、
図6に示す例において算出された影響度を合計することにより、飛行体2の劣化への影響度として、塩害による影響度が9、さびによる影響度が18、砂埃による影響度が8と算出する。
【0039】
そして、判定部132は、算出した影響度が、飛行体への薬剤の塗布を行うか否かを決定するための所定の閾値を超えると判定すると、飛行体2に、飛行体2のボディを保護するための薬剤を塗布すると判定する。例えば、所定の閾値が10である場合、さびによる影響度が18であり、所定の閾値を超えることから、判定部132は、飛行体2に、飛行体2のボディを保護するための薬剤を塗布すると判定する。
【0040】
塗布制御部133は、判定部132が飛行体2に薬剤を塗布すると判定すると、薬剤を塗布する塗布装置4に、飛行体2に薬剤を塗布させる。具体的にはまず、塗布制御部133は、飛行体2に塗布可能な複数の薬剤の中から、飛行体2に塗布する薬剤を選択する。
【0041】
記憶部12には、複数の薬剤それぞれの薬剤識別情報としての薬剤名と、天候条件及び場所種別に対応する、飛行体2の劣化の原因となる劣化要素が関連付けられている。塗布制御部133は、天候情報が示す天候状況が満たしている天候条件と、飛行計画に基づく飛行体2が飛行する場所の場所種別とを特定し、特定した天候条件及び場所種別に対応する劣化要素に関連付けられている薬剤を、飛行体2に塗布する薬剤として選択する。
【0042】
例えば、塗布制御部133は、判定部132により特定された、取得部131が取得した天候情報が示す天候条件において飛行体2が飛行計画にしたがって移動することによる、複数の劣化要素それぞれの影響度のうち、最も高い影響度の劣化要素に関連付けられている薬剤を、飛行体2に塗布する薬剤として選択する。
【0043】
また、塗布制御部133は、判定部132により特定された、飛行体2が飛行計画にしたがって移動することに伴って飛行体2のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度に基づいて薬剤の塗布量を制御する。例えば、記憶部12に、複数の劣化要素それぞれの影響度の範囲と、薬剤の塗布量とを関連付けて塗布量情報として記憶させておく。塗布制御部133は、塗布量情報を参照し、判定部132により特定された複数の劣化要素それぞれの影響度のうち、最も高い影響度の劣化要素を特定し、当該劣化要素に関連付けられている薬剤の塗布量であって、当該最も高い影響度を含む範囲に関連付けられている塗布量を、飛行体2に塗布する薬剤の塗布量として特定する。そして、塗布制御部133は、塗布装置4に、選択した薬剤を、特定した塗布量だけ飛行体2に塗布させる。
【0044】
なお、塗布装置4は、飛行体2の水による洗浄が可能であってもよい。この場合、塗布制御部133は、判定部132が飛行体2に薬剤を塗布すると判定すると、塗布装置4により薬剤を飛行体2に塗布する前に、塗布装置4に飛行体2を洗浄させるようにしてもよい。
【0045】
また、取得部131は、飛行体2を撮像した撮像画像を取得してもよい。そして、塗布制御部133は、取得部131が取得した撮像画像に基づいて、飛行体2が汚れているか否かを判定してもよい。そして、塗布制御部133は、飛行体2が汚れていると判定すると、塗布装置4により薬剤を飛行体2に塗布する前に、塗布装置4に飛行体2を洗浄させるようにしてもよい。このようにすることで、塗布制御装置1は、飛行体2に付着している汚れを落としたうえで薬剤を飛行体2に塗布させることができるので、薬剤の塗布効果を高めることができる。
【0046】
[塗布制御装置1における処理の流れ]
続いて、塗布制御装置1における処理の流れについて説明する。
図7は、塗布制御装置1に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
まず、取得部131は、飛行体2を格納する格納部としての格納施設3に格納されている飛行体2の飛行計画を取得する(S1)。
続いて、取得部131は、取得した飛行計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得する(S2)。
【0048】
続いて、判定部132は、取得された飛行計画及び天候情報に基づいて、飛行体2が飛行計画にしたがって移動することによる、飛行体2のボディの劣化の原因となる複数の劣化要素それぞれの影響度を特定する(S3)。
【0049】
続いて、判定部132は、特定された影響度が、飛行体2への薬剤の塗布を行うか否かを決定するための所定の閾値を超えるか否かを判定する(S4)。判定部132は、特定された影響度が所定の閾値を超えると判定すると(S4のYES)、S5に処理を移し、特定された影響度が所定の閾値以下であると判定すると(S4のNO)、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0050】
続いて、塗布制御部133は、判定部132により特定された複数の劣化要素それぞれの影響度に基づいて、飛行体2に塗布可能な複数の薬剤の中から、飛行体2に塗布する薬剤を選択する(S5)。
【0051】
続いて、塗布制御部133は、判定部132により特定された複数の劣化要素それぞれの影響度のうち、最も高い影響度に基づいて、飛行体2に塗布する薬剤の塗布量を特定する(S6)。そして、塗布制御部133は、塗布装置4に、選択した薬剤を、特定した塗布量だけ飛行体2に塗布させる薬剤の塗布制御を行う(S7)。
【0052】
[変形例]
上述の実施の形態において、判定部132は、移動計画に基づいて、飛行体2に薬剤を塗布するかを判定したが、これに限らない。判定部132は、飛行体2への薬剤の塗布履歴にさらに基づいて、飛行体2に薬剤を塗布するかを判定してもよい。
【0053】
この場合、塗布制御部133は、塗布装置4による飛行体2への薬剤の塗布が終了すると、塗布した薬剤を識別する薬剤識別情報と、薬剤を塗布した日付と、薬剤の塗布量とを関連付けて塗布履歴情報として記憶部12に記憶させる。
【0054】
判定部132は、記憶部12に記憶されている塗布履歴情報が示す塗布履歴にさらに基づいて、飛行体2に薬剤を塗布するかを判定する。判定部132は、塗布履歴情報が示す塗布履歴と、取得部131が取得した移動計画と天候情報とに基づいて、飛行体2に薬剤を塗布するかを判定する。
【0055】
例えば、判定部132は、塗布履歴に含まれる薬剤を塗布した日時からの経過時間に基づいて、塗布による耐久効果の劣化度を特定する。例えば、複数の薬剤それぞれについて、塗布した日時からの経過時間の入力に対して劣化度を出力する関数を設けておく。
【0056】
判定部132は、塗布履歴に基づいて、最後に飛行体2に塗布された薬剤を特定するとともに、当該薬剤が塗布されてからの経過時間を特定する。判定部132は、特定した薬剤に対応する関数に対して経過時間を入力することにより、劣化度を取得する。そして、判定部132は、飛行体2に対して飛行場所が及ぼす劣化への影響度が第1の閾値を超えるとともに、取得した劣化度が第2の閾値を超える場合に、飛行体2に薬剤を塗布すると判定する。このようにすることで、塗布制御装置1は、薬剤を塗布してからの劣化を考慮して、薬剤の塗布を制御することができる。
【0057】
また、上述の実施の形態では、飛行体2に薬剤を塗布する例について説明したが、塗布制御装置1は、自律移動可能な移動体に対する薬剤の塗布を制御してもよい。自立可能な移動体は、例えば、自律走行可能な自動車や自律移動が可能なロボットであってもよい。
【0058】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、塗布制御装置1は、飛行体2を格納する格納施設3に格納されている飛行体2の飛行計画と、当該飛行計画に対応する天候状況を示す天候情報とに基づいて、飛行体2に、飛行体2のボディを保護するための薬剤を塗布するかを判定し、薬剤を塗布すると判定すると、薬剤を塗布する塗布装置4に、飛行体2に薬剤を塗布させる。このようにすることで、塗布制御装置1は、人手を介さずに飛行体2の劣化を抑制することができる。
【0059】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0061】
1 飛行制御装置
2 飛行体
3 格納施設
4 塗布装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 判定部
133 塗布制御部
【要約】
【課題】人手を介さずに移動体の劣化を抑制する。
【解決手段】塗布制御装置1は、移動体を格納する格納部に格納されている飛行体2の移動計画を取得し、取得した移動計画に対応する天候状況を示す天候情報を取得する取得部131と、移動計画及び天候情報に基づいて、移動計画に基づいて飛行体2が移動した場合における飛行体2のボディの劣化の原因となる劣化要素の影響度を特定し、特定した影響度に基づいて飛行体2のボディに薬剤を塗布するかを判定する判定部132と、を有する。
【選択図】
図2