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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20250528BHJP
【FI】
A45D33/00 630Z
A45D33/00 650A
A45D33/00 645Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021211538
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2022103150
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2024-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2020217889
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 智紀
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-312616(JP,A)
【文献】実開平01-137829(JP,U)
【文献】特開平10-033256(JP,A)
【文献】特開2004-081592(JP,A)
【文献】実開昭63-149846(JP,U)
【文献】実開平06-058809(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋と蝶番部を備え、蝶番部により蓋が開閉する化粧料容器であって、
蝶番部が、容器本体側蝶番片と蓋側蝶番片とこれらを連結する蝶番軸を有し
器本体側蝶番片が容器本体と別体に構成されると共に蓋側蝶番片が蓋と別体に構成され
器本体側蝶番片が着脱自在に容器本体に、蝶番軸方向のスライドにより嵌合するほぞ継ぎにより取り付けられ
側蝶番片が着脱自在に蓋に、蝶番軸方向のスライドにより嵌合するほぞ継ぎにより取り付けられ
容器本体側のほぞの形状と蓋側のほぞの形状とが異なる化粧料容器。
【請求項2】
ほぞの形状は、その付け根部分にアールを有する請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
蓋の内面の枠に挿入された鏡が蓋側蝶番片で押さえられることにより着脱自在に取り付けられる請求項1又は2記載の化粧料容器。
【請求項4】
蓋の天板部が、蓋側蝶番片を蓋から外した状態で鏡の背面を露出させる切り欠きを有し、蓋側蝶番片が、該切り欠きに嵌合する突出部を有する請求項3記載の化粧料容器。
【請求項5】
蓋の外面の枠に挿入された化粧板が蓋側蝶番片で押さえられることにより着脱自在に取り付けられる請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項6】
化粧料容器の幅に対して蝶番部の幅が短く、蝶番部が設けられている部分の蓋には化粧板が着脱自在に取り付けられ、蝶番部が設けられていない部分の蓋には化粧板がその下地に貼着されている請求項記載の化粧料容器。
【請求項7】
容器本体の底部開口部が設けられると共に容器本体側蝶番片に突出部が設けられ、容器本体側蝶番片のスライドにより該突出部が該開口部を開閉する請求項1~のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋が蝶番により開閉する化粧料容器に関する。
【0002】
一般にコンパクトと称される、ファンデーション、チーク、アイシャドウ等の化粧料容器として、化粧料を収容する容器本体と蓋とを樹脂製とし、必要に応じて蓋の内面に鏡を貼着し、蓋が蝶番により開閉するものが広く使用されている。このような化粧料容器において蝶番としては、金属製の蝶番軸を容器本体又は蓋の一方に固定し、他方に設けた軸孔に通すものが一般的であるが、容器本体や蓋とは別体のヒンジ部材に金属製又は樹脂製の蝶番軸を設け、ヒンジ部材の蝶番軸を、容器本体と蓋の軸孔に嵌合させるもの(特許文献1)や、容器本体や蓋とは別体のヒンジ部材に軸孔を設け、ヒンジ部の軸孔に容器本体や蓋に設けた蝶番軸を嵌合させるもの(特許文献2)も知られている。
【0003】
一方、近年のゴミの分別収集と資源の再利用の観点から、容器本体と蓋から蝶番軸を分離可能とすること(特許文献3)や、蓋と鏡とを分離可能とすること(特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-346821号公報
【文献】実開昭61-2808号公報
【文献】特開平11-178632号公報
【文献】特開2005-160832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓋が蝶番により開閉する化粧料容器では、蓋の蝶番部分の樹脂の劣化により蓋の開閉に不具合が生じる場合がある。蝶番部分の樹脂には蝶番の開閉により繰り返し応力が加わるためであり、また、化粧料の成分が樹脂の劣化を引き起こすこともあるためである。蝶番部分の樹脂が劣化により割れたり物性が低下したりすることは化粧料容器にとって致命的であり、例えばこの部分の樹脂が劣化により割れた場合、化粧料容器全体を廃棄せざるを得ない。この点は蝶番軸や鏡の分離回収を可能とする化粧料容器(特許文献3、4)でも同様であり、また、蝶番軸と蝶孔の一方が容器本体や蓋と別体のヒンジ部材に設けられている化粧料容器においても、蝶番軸と蝶孔の他方は容器本体又は蓋に形成されているため、蝶番部分の樹脂が劣化すると化粧料容器全体を廃棄せざるを得なくなる(特許文献1、2)。
【0006】
蝶番部分以外の容器本体や蓋に損傷がなくても化粧料容器全体を廃棄せざるを得ないことは、当該化粧料容器を気に入っていたユーザーにとっては非常に残念なことであり、資源の有効利用や樹脂の廃棄量の削減の観点からも好ましくない。
【0007】
一方、ユーザーが容器本体や蓋のデザインや加飾を変えたい場合や、ユーザーが使用したい化粧料のレフィルやアプリケーター等が寸法的に容器本体に入らない場合に、蝶番部分に不具合はなくても、蝶番部分も含めた化粧料容器全体が廃棄される場合がある。このように、蝶番部分に不具合がない場合に化粧料容器全体が廃棄されることも資源の有効利用や樹脂の廃棄量の削減の観点から好ましくない。
【0008】
これに対し、本発明は、蓋が蝶番により開閉する化粧料容器の蝶番軸や軸孔に不具合が生じても、化粧料容器の容器本体及び蓋の少なくとも一方は引き続き使用可能とし、また、蝶番部分に不具合が無く、容器本体や蓋の変更がユーザーに望まれた場合に、蝶番部分は引き続き使用可能とすることに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、化粧料容器の蝶番部を少なくとも容器本体又は蓋と別体とし、蝶番部と別体に構成した容器本体又は蓋は着脱自在に蝶番部に取り付けられるようにすることにより、蝶番部に不具合が生じても、蝶番部と着脱自在の容器本体又は蓋は引き続き使用が可能となり、また、蝶番部に不具合はなく、容器本体や蓋の変更が望まれる場合に、蝶番部の継続的な使用が可能となることを想到し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、容器本体と蓋と蝶番部を備え、蝶番部により蓋が開閉する化粧料容器であって、
蝶番部が、容器本体側蝶番片と蓋側蝶番片とこれらを連結する蝶番軸を有し、
少なくとも、容器本体側蝶番片が容器本体と別体に構成されるか、又は蓋側蝶番片が蓋と別体に構成され、
別体に構成された容器本体側蝶番片が着脱自在に容器本体に取り付けられ、
別体に構成された蓋側蝶番片が着脱自在に蓋に取り付けられる化粧料容器を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料容器によれば、蝶番部が、容器本体側蝶番片と蓋側蝶番片とこれらを連結する蝶番軸を有し、蓋と容器本体の少なくとも一方が蝶番部と別体に構成され、好ましくは蓋と容器本体の双方が蝶番部と別体に構成される。そして、蝶番部と別体に構成された蓋と容器本体はそれぞれ蝶番部と着脱自在である。したがって、蝶番部の蝶番片又は蝶番軸のいずれかに物性の低下や割れが生じ、蝶番部の開閉機能に不具合が生じた場合には、化粧料容器全体を廃棄することなく、蝶番部と別体の容器本体又は蓋は継続使用することができ、好ましくは蝶番部だけを交換することができる。よって、容器本体や蓋を気に入っていたユーザーは引き続きそれらを使用することができ、樹脂の廃棄量を削減し、資源を有効利用することができる。一方、蓋又は容器本体が破損したが、蝶番部に不具合がない場合には、蓋又は容器本体を取り替えて蝶番部は引き続き使用することができるので、この場合も樹脂の廃棄量を削減し、資源を有効利用することができる。また、蝶番部は樹脂と金属の複合材料であるため、蝶番部を廃棄するときに樹脂と金属の分別がしにくいが、蝶番部を使用し続けることで、分別されずに廃棄される材料を低減することができる。
【0012】
さらに、本発明によれば蓋と容器本体が蝶番部と着脱自在であるため、蓋、容器本体及び蝶番部の組み合わせによりデザインの自由度が高まり、ユーザーによるカスタマイズも可能となる。そして、容器本体や蓋をユーザーの要望等により変更した場合にも蝶番部は引き続き使用することができるので、この場合にも樹脂の廃棄量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、化粧料容器1Aの分解斜視図である。
図2図2は、化粧料容器1Aの容器本体と容器本体側蝶番片との嵌合途中の斜視図である。
図3図3は、化粧料容器1Aの蓋と蓋側蝶番片との嵌合途中の斜視図である。
図4A図4Aは、蓋が開いた状態の化粧料容器1Aの斜視図である。
図4B図4Bは、蓋が開いた状態の化粧料容器1Aの斜視図である。
図4C図4Cは、蓋が閉じた状態の化粧料容器1Aの斜視図である。
図5図5は、蓋が閉じた状態の化粧料容器1Aの図4Cのx―x断面図である。
図6図6は、蓋が閉じた状態の化粧料容器1Aの図4Cのy―y断面図である。
図7A図7Aは、蓋が開いた化粧料容器1Bを背面側からみた斜視図である。
図7B図7Bは、蓋が閉じた化粧料容器1Bを背面側からみた斜視図である。
図8図8は、化粧料容器1Cの分解斜視図である。
図9図9は、化粧料容器1Dの分解斜視図である。
図10図10は、化粧料容器1Dにおいて、蓋に鏡を装着している状態の斜視図である。
図11図11は、化粧料容器1Dにおいて、鏡を装着した蓋に蓋側蝶番片を嵌めている途中の斜視図である。
図12図12は、化粧料容器1Dから蓋を取り外している途中の斜視図である。
図13図13は、化粧料容器1Eの蓋と化粧板の斜視図である。
図14図14は、化粧料容器1Eにおいて蓋を蓋側蝶番片から外した状態の斜視図である。
図15図15は、化粧料容器1Eにおいて蓋と化粧板を外した状態の斜視図である。
図16図16は、化粧料容器1Fの分解斜視図である。
図17A図17Aは、化粧料容器1Fを正面側からみた斜視図である。
図17B図17Bは、化粧料容器1Fを背面側からみた斜視図である。
図18図18は、化粧料容器1Gの分解斜視図である。
図19図19は、化粧料容器1Gを背面側からみた斜視図である。
図20A図20Aは、化粧用容器1Hを側面側から見た分解斜視図である。
図20B図20Bは、化粧用容器1Hを背面側から見た分解斜視図である。
図21図21は、化粧料容器1Hの蓋の斜視図である。
図22図22は、化粧料容器1Hの容器本体の、容器本体側蝶番片をスライドさせた状態の斜視図である。
図23図23は、蓋が閉じた状態の化粧料容器1Hの斜視図である。
図24図24は、化粧料容器1Iの分解斜視図である。
図25A図25Aは、化粧料容器1Iの蓋が閉じた状態の斜視図である。
図25B図25Bは、化粧料容器1Iの蓋が開いた状態の部分斜視図である。
図26図26は、化粧料容器1Jの分解斜視図である。
図27図27は、化粧料容器1Jの蓋と化粧板の斜視図である。
図28図28は、蓋が閉じた状態の化粧料容器1Jの斜視図である。
図29A図29Aは、化粧料容器1Kの正面側分解斜視図である。
図29B図29Bは、化粧料容器1Kの背面側分解斜視図である。
図30図30は、蓋が開いた状態の化粧料容器1Kの斜視図である。
図31図31は、化粧料容器1Lの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一の符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0015】
<基本構成>
図1は、本発明の一実施例の化粧料容器1Aの分解斜視図であり、図4Aは、蓋が開いた状態の化粧料容器1Aを斜め前方から見た斜視図であり、図4Bは、蓋が開いた状態の化粧料容器1Aを斜め後方から見た斜視図であり、図4Cは、蓋が閉じた状態の化粧料容器1Aを斜め後方から見た斜視図である。
【0016】
この化粧料容器1Aは、容器本体10、蓋20、及び蓋20の開閉機能を担う蝶番部2で形成されている。
【0017】
容器本体10の内部には、ファンデーション、チーク、アイシャドウ等の化粧料を収容する化粧料収容部11、及びパフ、スポンジ、ブラシ、チップ等を収容する化粧用具収容部12が形成されている。化粧料は化粧料収容部11に直接充填されてもよく、化粧料が充填された中皿(図示せず)が化粧料収容部11に接着等により固定されてもよく、中皿がレフィルとして交換可能に化粧料収容部11に嵌め込まれても良い。また、本発明において、容器本体10の内部の化粧用具収容部12は省略されてもよく、化粧料収容部11の上に化粧用具収容部が重なるように形成されてもよい。
【0018】
蓋20は蝶番部2によって容器本体10に対して開閉される。蓋20の前面中央には下向きに突出した係合用突起21が設けられている。一方、容器本体10の前面中央には、蓋20に設けられた係合用突起21と係合する係合部14が設けられている。係合部14は容器本体内部側に押し込まれることにより蓋20の係合用突起21との係合を解除する。
【0019】
蓋20の内面には必要に応じて鏡22が設けられる。本実施例において鏡22は蓋20の内面に貼着されているが、本発明においては後述するように鏡22を着脱自在とすることができる。
【0020】
容器本体10や蓋20の形成材料としては、例えば、アクリロニトリル-スチレン(AS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の樹脂材料を使用することができ、化粧板として木、陶器、金属等を組み合わせることもできる。
【0021】
また、容器本体10や蓋20の全体を金属により形成してもよい。この場合、蓋20を金属で形成し、その内面を鏡面とすることが好ましい。これにより、蓋に鏡を取り付けることが不要となり、化粧料容器の廃棄時に蓋と鏡とを分別することも不要となる。
【0022】
<蝶番部>
蝶番部2は、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50とこれらを連結する蝶番軸3を有する(図1)。本実施例の化粧料容器1Aにおいて、容器本体側蝶番片40は、その背面の中央部に蝶番軸3の軸方向に伸びた切り欠き部41を有し、蓋側蝶番片50は、容器本体側蝶番片40の切り欠き部41に嵌まる凸条部51を有する。蝶番軸3は、容器本体側蝶番片40の軸孔42を通して蓋側蝶番片50の凸条部51の打ち込み位置52に打ち込まれ、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50を連結する。これにより、蓋側蝶番片50は容器本体側蝶番片40に対し蝶番軸3を中心軸として回動し、蝶番部2が図4A及び図4Bに示したように開いた状態や、図4Cに示したように閉じた状態をとることが可能となる。
【0023】
この場合、蝶番軸3の軸径に対して軸孔42の孔径を小さくし、打ち込み位置52における軸孔の孔径をさらに小さくすることで蝶番部2の開閉時に蝶番軸3と容器本体側蝶番片40の軸孔42に適度な摩擦が生じ、蝶番部2はフリーストップ機能を有することができる。
【0024】
ここで、フリーストップ機能とは、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50の開き角を任意の角度で保持できる機能をいう。フリーストップ機能は、蝶番軸3と軸孔42の摩擦力により得ることができる。フリーストップ機能を得るために、蝶番軸3として、螺旋状の割溝又は軸方向のスリットを有するものを使用しても良く、金属板を円筒状に丸めたスパイロールピンを使用してもよい。なお、本実施例では、化粧料容器1Aの側面に軸孔が開口している蝶番片が容器本体側蝶番片40であり、容器本体側蝶番片40の軸孔42を通して蓋側蝶番片50の打ち込み位置52の軸孔に蝶番軸3を打ち込み、蝶番軸3を蓋側蝶番片50に固定し、蝶番軸3と容器本体側蝶番片40の軸孔42との摩擦でフリーストップ機能を得るが、蝶番軸3を容器本体側蝶番片40の軸孔42に打ち込み、蝶番軸3を容器本体側蝶番片40に固定し、蝶番軸3と蓋側蝶番片50の軸孔との摩擦でフリーストップ機能を得ても良い。さらに、化粧料容器の側面に軸孔が開口している蝶番片を蓋側蝶番片50としてもよく(図7A)、その場合、蝶番軸3が打ち込まれる蝶番片を容器本体側蝶番片40としてもよい。本発明において蝶番軸3自体の構成や蝶番軸3の取り付け方は、公知の蝶番部のピン打ち方法や挿通方法等をそのまま利用することができる。
【0025】
フリーストップ機能を有する蝶番部2には蝶番部の開閉時の度に応力がかかり、なかでも、蝶番軸を支持する蝶番片(即ち、金属ピンが打ち込まれた蝶番片)には大きな負荷がかかるので、蝶番片を構成する樹脂には物性の劣化や割れが生じやすい。特に、化粧料の成分に樹脂の劣化を促進する紫外線吸収剤等が含まれていると、この傾向が大きい。そのため、蝶番部2の容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50の形成材料としては、上述した容器本体10や蓋20の形成材料と同様としてもよいが、化粧料に対する耐薬品性に優れ、応力が繰り返しかかっても劣化し難い耐久性の高い樹脂を使用することが好ましく、例えば、耐薬品グレードの高いABS樹脂等を使用することができる。しかしながら、このように耐薬品性、耐久性に優れた樹脂は成形性が劣り、蓋や容器本体に意匠性の高い加工をすることが難しい場合がある。これに対して本発明においては蝶番部2に限定してこのような樹脂を使用することができるので、化粧料容器全体としての意匠性を高め、かつ蝶番部の耐薬品性、耐久性を高めることができる。また、仮に蝶番部2でフリーストップ機能に不具合が生じても、蝶番部2だけを交換することができる。
【0026】
<容器本体側蝶番片と容器本体の取り付け構造、又は蓋側蝶番片と蓋の取り付け構造>
本実施例において容器本体側蝶番片40は着脱自在に容器本体10に取り付けられ、蓋側蝶番片50は着脱自在に蓋20に取り付けられる。より具体的には、図2に示したように容器本体10の背面側端部に容器本体10の略全幅の長さに形成されたレール状のほぞ13と容器本体側蝶番片40のほぞ溝43とがスライドにより嵌合し、同様に、図3に示したように蓋20の背面側端部に蓋20の略全幅の長さに形成されたレール状のほぞ23と蓋側蝶番片50のほぞ溝53とがスライドにより嵌合する。このように容器本体又は蓋の略全幅の長さのレール状のほぞ13、23とほぞ溝43、53を嵌合させるほぞ継ぎにより、これらの取り付けのために治具を格別使用することなく、容器本体10と容器本体側蝶番片40とを着脱自在かつ強固に取り付け、また、蓋20と蓋側蝶番片50も着脱自在かつ強固に取り付けることができる。
【0027】
なお、容器本体側蝶番片40が容器本体10に取り付けられた状態で、容器本体10の下面と容器本体側蝶番片40の下面は面一であり、蓋側蝶番片50が蓋20に取り付けられた状態で、蓋20の上面と蓋側蝶番片50の上面は面一であり、化粧料容器として使いやすい形状となっている。
【0028】
図5は、蓋20が閉じた状態(図4C)の化粧料容器1Aの部分断面図(x―x断面図)である。このようにほぞ13、23は断面が略鳩尾型の蟻ほぞとすることが好ましく、特に、同図の蓋20のほぞ23のように、蟻ほぞの付け根部分にアールを持たせた形状とすることが、ほぞ23が折れにくくなり、ほぞとほぞ溝の嵌合強度を向上させる点から好ましい。即ち、化粧料容器1Aの開閉の際には蓋20と蓋側蝶番片50とを接続するほぞ23の根元に最も応力がかかるため、この部分を幅広としたり、ほぞ23にアールを持たせたりして破損を防ぐことが好ましい。また、容器本体のほぞ13と蓋のほぞ23との形状を異ならせることが、容器本体10と容器本体側蝶番片40とを間違いなく嵌合させ、蓋20と蓋側蝶番片50とを間違いなく嵌合させる点から好ましい。
【0029】
なお、嵌合させた容器本体10と容器本体側蝶番片40とが意図せず外れてしまうことを防止し、また、嵌合させた蓋20と蓋側蝶番片50とが意図せず外れてしまうことを防止するため、図1に示したように、容器本体側蝶番片40のほぞ溝43の一方の端部43a及び蓋側蝶番片50のほぞ溝53の一方の端部53aを閉じ、これらほぞ溝43、53の他方の端部に、図6に示したように微小突起44、54を設け、微小突起44、54をほぞ13、23のストッパーとすることができる。ここで、図6は、化粧料容器1Aが閉じた状態(図4C)のy-y断面図である。
【0030】
あるいは、容器本体10のほぞ13と容器本体側蝶番片40のほぞ溝43とがスライドにより嵌まりきったところでこれらの嵌合がきつくなり、容器本体10と容器本体側蝶番片40とが固定されるようにしてもよく、同様に、蓋20のほぞ23と蓋側蝶番片50のほぞ溝53とがスライドにより嵌まりきったところでこれらの嵌合がきつくなり、蓋20と蓋側蝶番片50とが固定されるようにしてもよい。
【0031】
<化粧料容器の組立方法>
化粧料容器1Aの組み立て方法としては、まず、図2に示したように容器本体10のほぞ13に対して容器本体側蝶番片40のほぞ溝43を矢印方向にスライドさせて嵌合させると共に、図3に示したように、蓋20のほぞ23に対して蓋側蝶番片50のほぞ溝53を矢印方向にスライドさせて嵌合させる。そして、容器本体側蝶番片40の切り欠き部41と蓋側蝶番片50の凸条部51とを合わせ、容器本体側蝶番片40の軸孔42と蓋側蝶番片50の打ち込み位置52の軸孔とを合わせ、化粧料容器1Aの外側から蝶番軸3を打ち込むことにより容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50とを連結する。こうして、容器本体側蝶番片40が容器本体10に着脱自在に取り付けられ、蓋体側蝶番片50が蓋20に着脱自在に取り付けられ、蝶番部2がフリーストップ機能を有する化粧料容器1Aを得ることができる。
【0032】
あるいは、まず、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50とを蝶番軸3で連結させて蝶番部2を組み立て、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50とを回動可能とした後、その蝶番部2の容器本体側蝶番片40のほぞ溝43と容器本体10のほぞ13とを嵌合させると共に、その蝶番部2の蓋側蝶番片50のほぞ溝53と蓋20のほぞ23とを嵌合させてもよい。これにより、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50との組み立て時の位置合わせが容易になり、また、蝶番軸3の打ち込み時の衝撃が容器本体10や蓋20に加わることを防止することができる。
【0033】
なお、組み立て後、蝶番部2又は後述するように蓋20若しくは蓋の化粧板28等を交換する場合には、まず、蓋20と蝶番部2の蓋側蝶番片50とを外すことが好ましい。
【0034】
<変形態様>
本発明の化粧料容器は種々の態様をとることができる。
(1)蝶番部
蝶番部2における容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50との連結態様に関し、本発明においては、蓋側蝶番片50に蝶番軸3が固定されることに限られず、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50のいずれか一方に蝶番軸3が固定され、他方に軸孔が形成されるようにすればよい。例えば、図7A図7Bに示す化粧料容器1Bは、蓋側蝶番片50の中央部に切り欠き部55が形成されると共に、この切り欠き部55に嵌まる凸条部45が容器本体側蝶番片40に形成され、蓋体側蝶番片50の側面の軸孔56を通して蝶番軸3が容器本体側蝶番片40の凸条部45に打ち込まれたものである。
【0035】
また、双方の蝶番片40、50に軸孔が形成され、それらの軸孔で蝶番軸3が摺動するようにしてもよい。但し、フリーストップ機能を効果的に得るためには、一方の蝶番片の軸孔を通して他方の蝶番片に蝶番軸を打ち込むことが好ましい。
【0036】
いずれにしても、本実施例の化粧料容器1Aにおいて容器本体10や蓋20に蝶番軸3が打ち込まれることはない。軸孔42、56が形成されるのも容器本体側蝶番片40や蓋側蝶番片50であって、容器本体10や蓋20には軸孔は形成されない。したがって、蝶番部2の開閉により繰り返し加わる応力などに起因して容器本体10や蓋20に割れが生じることが防止される。また、蝶番軸3を固定する樹脂に割れが生じたり、蝶番軸3を通す軸孔42部分の樹脂が劣化したりして蝶番部2でフリーストップ機能が無くなる等の不具合が生じても、蝶番部2だけを交換すればよく、容器本体10や蓋20といった樹脂量の多い部材は引き続き使用することが可能となる。
【0037】
なお、蝶番部2の開閉機能等に不具合が生じた場合には、既存の蝶番部2の容器本体側蝶番片40と容器本体10とを取り外すと共に、蓋体側蝶番片50と蓋20とを取り外し、新たな蝶番部を取り付ければよい。
【0038】
また、本発明において蝶番部2の構成は蝶番軸として金属ピンを使用するものに限られず、例えば特開2019―37706号公報の記載に準じて蝶番軸3を容器本体側蝶番片40又は蓋側蝶番片50と一体に樹脂成形してもよい。
【0039】
蝶番部全体を金属製のトルクヒンジで形成してもよい。この場合、トルクの強さは蓋20の重さや蓋20の開閉に要する力や、フリーストップ機能の現れ方等に応じて適宜定めることができ、例えば、トルクが0.1~2.0N・mのものを選択することができる。
【0040】
(2)容器本体側蝶番片と容器本体との取付態様、又は蓋側蝶番片と蓋との取付態様
容器本体側蝶番片40と容器本体10との取付態様、又は蓋側蝶番片50と蓋20との取付態様に関し、上述の化粧料容器1Aでは、ほぞ13、23とほぞ溝43、53とをスライドにより嵌合させたが、本発明はこれに限られない。例えば、図8に示す化粧料容器1Cのように、化粧料容器1Cの幅方向の一部に短尺のほぞ13’、23’とそれに対応するほぞ溝(図示せず)を設け、これらを押し込みにより着脱自在に嵌合又は圧入させても良い。
【0041】
また、容器本体側蝶番片40と容器本体10との取り付け、又は蓋側蝶番片50と蓋20との取り付けを、これらの接合部分同士の嵌合又は圧入による場合に、粘着剤や磁石を併用してもよい。
【0042】
(3)鏡
図9に示す化粧料容器1Dは、図1に示した化粧料容器1Aに対し、蓋20の内面側の縁に断面L字型の鏡用枠25をコ字状に設けることにより蓋20に対して鏡22を着脱自在としたものである。鏡用枠25の係合用突起21寄り部分には、指先が通る幅のスリット26が設けられている。
【0043】
この化粧料容器1Dの製造時に蓋20に鏡22を取り付ける場合、まず、図10に示すように蓋20と蓋側蝶番片50とを外した状態で、鏡用枠25とほぞ23との間に鏡22を挿入する。次に図11に示すように蓋20のほぞ23と蓋側蝶番片50のほぞ溝53とをスライドさせて嵌め合わせることにより蓋側蝶番片50で鏡22が鏡用枠25内から滑り出ることを押さえ、蓋20の内面に鏡22を固定する。
【0044】
化粧料容器1Dを廃棄する場合に鏡22を分別するとき、又は鏡22の汚れ、損傷等により鏡22を交換するときには、まず、図12に示すように化粧料容器1Dから蓋20をスライドさせて取り外し、次に、スリット26に指をかけて鏡22を鏡用枠25内から押し出すことにより鏡22を取り出す。その後、鏡22を交換する場合には、図10及び図11に示したのと同様の手順で新たな鏡を鏡用枠内25に挿入する。なお、鏡22の交換を安全に行えるように、鏡22としては、その端部に糸面磨き加工又は幅広面磨き加工が施されているものが好ましい。
【0045】
(4)蓋の化粧板
図13に示す化粧料容器1Eは、図1に示した化粧料容器1Aにおいて、蓋20の外表面の縁に断面L字型の化粧板用枠27をコ字状に設けることにより、蓋20に対して化粧板28を蓋側蝶番片50との嵌合部側から着脱自在とし、化粧板28の交換を可能としたものである。化粧指板28は化粧用枠27に嵌めた状態で蓋の天面が面一となり、美しい外観となるように、化粧用枠27との嵌合部分に段差が設けられている。
【0046】
この化粧料容器1Eにおいて化粧板28を交換する場合、図14に示したように化粧料容器1Eの蓋20と蓋側蝶番片50との嵌合を外し、図15に示すように化粧板28を蓋20の化粧板用枠27内から引き出し、別の化粧板28’を化粧板用枠27内に挿入し、蓋側蝶番片50を嵌めて化粧板28’を固定する。
【0047】
この化粧料容器1Eによれば、図柄、色、質感等の異なる複数の化粧板を用意しておくことにより、ユーザーは好みの図柄の化粧板を取り付けることができる。言い換えると、従来の化粧料容器でユーザーが図柄などに飽きてきたときに、ユーザーは諦めて使い続けるか、廃棄して新しいものを購入していたが、この化粧料容器1Eによれば化粧料容器自体を廃棄しなくても化粧板を付け替えることで引き続き化粧料容器を使い続けることができる。
【0048】
(5)天板部及び底板部
図16に示した化粧料容器1Fは、図1に示した化粧料容器1Aに対し、蓋20の天板部24を蓋側蝶番片50側に延設し、図17A及び図17Bに示したように、蓋側蝶番片50の上面に蓋20の天板部24が被さるようにしたものである。これにより、化粧料容器1Fのデザインに一体感をもたせることができる。また、図1に示した化粧料容器1Aでは、化粧料が付着した指で化粧料容器1Aの天面が触られることにより、蓋20と蓋側蝶番片50との間隙内部へ化粧料が浸入する場合があるが、図17A及び図17Bに示したように蓋20と蓋側蝶番片50との間隙が天板部24で覆われていると、このような化粧料の浸入を防止することができる。よって、間隙内に浸入した化粧料によってほぞ23を形成する樹脂が劣化し、ほぞ23の強度が低下することを防止できる。
【0049】
この化粧料容器1Fでは、容器本体10の底板部15も容器本体側蝶番片40側に延設し、容器本体側蝶番片40の下面が容器本体10の底板部15で覆われるようにして一体感を強めている。
【0050】
図18及び図19に示す化粧料容器1Gのように、蓋20の天板部24を蓋側蝶番片50の背面上に延設してもよい。
【0051】
図20A及び図20Bに示す化粧料容器1Hは、上述の化粧料容器1D(図9)と同様に蓋20に鏡22を着脱自在に取り付けられるように、蓋20の内側の縁に鏡用枠25を有するが、この鏡用枠25にはスリット26は設けられていない。
【0052】
一方、この化粧料容器1Hの蓋20は天板部に切り欠き29を有し、蓋側蝶番片50は、天板部の切り欠き29に対応した突出部57を有する。この蓋20の切り欠き29と蓋側蝶番片50の突出部57は、蓋20のほぞ23と蓋側蝶番片50のほぞ溝53とが嵌合した状態では図23に示すように嵌合し、これらは面一となって化粧料容器1Hの天面を形成する。
【0053】
なお、切り欠き29及び突出部57の形状は、化粧料容器1Hのデザインに応じて適宜定めることができる。例えば、図23に破線で示したように、切り欠き29及び突出部57を湾曲した形状としてもよい。
【0054】
この化粧料容器1Hにおいて鏡22の分別廃棄又は交換のために鏡22を外す場合には、まず蓋20と蓋側蝶番片50との嵌合を外すことで図21に示すように蓋20を取り出す。蓋20を蓋側蝶番片50から外した状態で、蓋20の天板部の切り欠き29には鏡22の背面22bが露出する。したがって、この切り欠き29部分で鏡22を摘まむことによって容易に鏡22を蓋20から引き出すことができ、また、鏡の端面で指を痛める虞が低下する。
【0055】
一方、化粧料容器1Hの化粧料収容部11には化粧料60が充填されたレフィル61が嵌められ、接着剤または両面テープにより固定される。また、図20Aに示すように、化粧料容器1Hの容器本体10は化粧料収容部11の底部に開口部16を有し、容器本体側蝶番片40は、容器本体10と容器本体側蝶番編40とを嵌合させた状態で開口部16を塞ぎ、化粧料収容部11の底面の一部を構成する突出部46を有する。そこで、化粧料60のレフィル61を交換する場合には、図22に示すように容器本体10と容器本体側蝶番片40とをスライドさせて化粧料収容部11の開口部16を開口させ、この開口部16を通してレフィル61を容器本体10の外から指先で押し上げてレフィル61を取り出す。こうして容易にレフィル61を交換することができる。なお、一般にレフィルを収容する化粧料収容部の底部にはレフィル取り出し用のピン孔が形成されている。そこでレフィルの交換時には、ピン孔を通るピン等の治具を用意し、ピン孔にピンを挿入し、ピンに力を込めてレフィルの底を押し上げることで、化粧料収容部に接着されているレフィルを脱着する。このピンによるレフィルの押し上げには相当の力が必要とされる。これに対して、この化粧料容器1Hによればピンを用意する必要もなく、指先で容易にレフィルを取り出すことができる。
【0056】
(6)蝶番部の幅と取り付け位置
図1に示した化粧用容器1Aは、蝶番部2が化粧料容器の全幅にわたって設けられているのに対し、図24に示す化粧料容器1Iは化粧料容器の幅方向の一部に蝶番部2を着脱自在に設けたものである。化粧料容器が幅広の場合には、化粧料容器の全幅L1よりも短尺の長さL2の蝶番部を設けることが好ましい。蝶番部2の幅L2を短尺にすることで、容器本体10と容器本体側蝶番片40とをスライドにより嵌合させ、また、蓋20と蓋側蝶番片50とをスライドにより嵌合させる場合に、これらに無理な力がかかり難くなり、破損の虞を低減させることができる。この効果は化粧料容器の幅が大きいほど顕著となる。従って、一般に、チーク、アイシャドウ等に比して幅広であるファンデーションの化粧料容器において大きな効果がある。
【0057】
また、化粧料容器の幅に対して蝶番部の幅を短尺にできるということは、ファンデーション、チーク、アイシャドウ等の各種化粧料容器の製造にあたり、容器本体や蓋はそれぞれの化粧料の種類に適した大きさや形状とするが、蝶番部としては一種類のものを使用できることを意味する。したがって、この化粧料容器1Iによれば、蝶番部によって開閉する化粧料容器全般の製造コストを下げることができる。
【0058】
化粧料容器の幅方向の一部に蝶番部2を設けるにあたり、蝶番部2は図24に示したように化粧料容器1Iの一方の側面(紙面右側)に寄せてもよい。
【0059】
化粧料容器1Iの組立方法としては、予め、容器本体側蝶番片40と蓋側蝶番片50とを蝶番軸3a、3bで連結させて蝶番部2を組み立てた後、容器本体側蝶番片40と容器本体10とを嵌合させると共に、蓋側蝶番片50と蓋20とを嵌合させることが好ましい。この場合、化粧料容器1Iの側面に寄せた方の蝶番軸3aの軸孔42aは、図25Aに示すように容器本体側蝶番片40の端面に露出するが、もう一方の軸孔は、図25Bに示すように容器本体10で覆われることにより露出しない。ここで、図25Aは、化粧料容器1Iの蓋20が閉じた状態の背面側の斜視図であり、図25Bは化粧料容器1Iの蓋20が開いた状態の背面側の部分斜視図である。
【0060】
図26に示す化粧料容器1Jは、図24に示した化粧料容器1Iに対し、蓋側蝶番片50に対応する幅の化粧板28Aを、図15に示した化粧料容器1Eと同様に交換可能としたものである。したがって、この化粧料容器1Jの蓋20の縁にはコ字状に化粧板28Aを保持するための断面L字型の化粧板用枠27が設けられており、図27に矢印で示すように化粧板28Aをスライドさせて化粧板用枠27から引き出し、他の化粧板を挿入することで化粧板の交換を行うことができる。化粧板28Aを挿入した後は蓋側蝶番片50を蓋20に嵌合する。この場合、蓋側蝶番片50は化粧板28Aの押さえとしても機能する。
【0061】
一方、蓋20の全幅のうち蝶番部2が設けられない部分には、固定的に蓋20の天面をなす化粧板28Bがその下地に貼着されている。
【0062】
図28は、容器本体10、蓋20、及び蝶番部2を組み上げた化粧料容器1Jの蓋を閉じた状態の斜視図である。
【0063】
この化粧料容器1Jにおいても、図柄、色、質感等が異なる化粧板28Aを複数種用意しておくことにより、この化粧板28Aと、固定的に設けられている化粧板28Bとでデザインを多様化し、種々の消費者ニーズに応える事が可能となる。
【0064】
図29A図29B及び図30に示す化粧料容器1Kは、図24に示した化粧料容器1Iに対し、蝶番部2を化粧料容器の幅方向の中央部に取り付けたものである。この場合、蓋20と蓋側蝶番片50との取り付けは、レール状のほぞとほぞ溝をスライドさせて嵌合させるのではなく、図8に示した化粧料容器1Cと同様に、短尺のほぞ23’とそれに嵌合するほぞ溝53’との押し込みによる嵌合又は圧入とすることが好ましい。この場合、ほぞ23’とそれに嵌合するほぞ溝53’の個数は、蓋20と蓋側蝶番片50が不用意に外れなければ複数でも単数でもよい。複数とすることにより蓋20と蓋側蝶番片50との嵌合に要する力を分散させることができる。一方、多すぎると1個あたりのほぞ23’が細くなるので十分な接合強度を得にくくなる。同様に、容器本体10と容器本体側蝶番片40との取り付けも短尺のほぞ13’とそれに嵌合するほぞ溝43’とを押し込みによる嵌合又は圧入とする。これらは着脱自在とすることが好ましい。
【0065】
(その他)
本発明においては、必要に応じて、容器本体側蝶番片と容器本体を一体に構成し、蓋側蝶番片と蓋を別体に構成し、別体に構成した蓋側蝶番片と蓋とを着脱自在としてもよい。また、蓋側蝶番片と蓋とを一体に構成し、容器本体側蝶番片と容器本体を別体に構成し、別体に構成した容器本体側蝶番片と容器本体とを着脱自在としてもよい。
【0066】
例えば、図31は、蓋側蝶番片50と蓋20とを一体に構成し、別体に構成した容器本体側蝶番片40と容器本体10とを着脱自在とした実施例の化粧料容器1Lの分解斜視図である。この化粧料容器1Lは、蓋側蝶番片50と蓋20とが一体であり、蓋20に蓋側蝶番片50の機能を持たせている以外は図1に示した化粧料容器1Aと同様に構成されている。
【0067】
この化粧料容器1Lによれば、図1に示した化粧料容器1Aに比してより簡便に組み立てることが可能となる。鏡22として樹脂ミラーを設け、蓋20における鏡22の交換の要請が低い場合等においては、より簡便に組み立てられることが好ましい。
【0068】
本発明において、上述した蓋20、容器本体10、蓋側蝶番片50及び容器本体側蝶番片40の変形態様は適宜組み合わせることができる。
【0069】
上述した化粧料容器の外形は矩形であるが、円形としてもよい。
【0070】
蓋20の天板部のデザイン、蓋20の化粧板28、28A、28Bの素材や図柄等も適宜変更することができる。蝶番部2を樹脂とし、容器本体10や蓋20に木、陶器、金属等を使用するなどのように異質材を組み合わせることもできる。したがって、本発明によれば、蝶番部2に不具合があった場合に蝶番部2を交換することは勿論、化粧料容器のユーザーの加飾の好みの変化や、別のデザインの化粧料容器を使いたいという願望等にも対応することができ、また、化粧料容器の部分的な汚れに対し、その部分の部材を交換することで対応することもできる。さらに、そのような加飾、デザイン等の変更を化粧料容器のユーザーが自ら行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L 化粧料容器
2 蝶番部
3、3a、3b 蝶番軸
10 容器本体
11 化粧料収容部
12 化粧用具収容部
13、13’ ほぞ
14 係合部
15 底板部
16 開口部
20 蓋
21 係合用突起
22 鏡
22b 鏡の背面
23、23’ ほぞ
24 天板部
25 鏡用枠
26 スリット
27 化粧板用枠
28、28’、28A、28B 化粧板
29 切り欠き
30 軸孔
40 容器本体側蝶番片
41 切り欠き部
42、42a 軸孔
43、43’ ほぞ溝
43a 端部
44 微小突起
45 凸条部
46 突出部
50 蓋側蝶番片
51 凸条部
52 打ち込み位置
53、53’ ほぞ溝
53a 端部
54 微小突起
55 切り欠き部
56 軸孔
57 突出部
60 化粧料
61 レフィル
L1 全幅
L2 蝶番部の幅
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29A
図29B
図30
図31