(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】機器制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20250528BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20250528BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20250528BHJP
F24H 9/25 20220101ALI20250528BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20250528BHJP
F24H 15/296 20220101ALI20250528BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20250528BHJP
F24H 15/414 20220101ALI20250528BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20250528BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
F24H1/18 A
F24H4/02 C
F24H9/25
F24H15/269
F24H15/296
F24H15/395
F24H15/414
H02J3/14 130
(21)【出願番号】P 2024006029
(22)【出願日】2024-01-18
【審査請求日】2024-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】登立 航
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕平
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-48293(JP,A)
【文献】特開2016-116283(JP,A)
【文献】特開2021-18021(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121447(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/030986(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/14
F24H 1/18
F24H 4/02
F24H 9/25
F24H 15/414
F24H 15/395
F24H 15/269
F24H 15/296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の機器(100)と、
デマンドレスポンスの要請に応じて、前記機器を制御する制御部(49)を有する、サーバ(200)と、
を備え、
前記制御部は、
アグリゲータ(90)から前記要請を受信し、
前記要請に応じて設定された、前記機器の消費電力を調整する第1期間に、第1運転設定により前記機器を制御し、
前記機器から取得した前記機器の運転データ(D1)に基づいて、前記第1期間に前記第1運転設定により前記機器を制御した場合の前記機器の第1消費電力と、前記第1期間に、前記制御部が前記要請を受信していない時の運転設定である第2運転設定により前記機器を制御した場合に予測される前記機器の第2消費電力と、の差分を含む第1情報を出力する、
機器制御システム(1)。
【請求項2】
前記要請は、前記制御部が前記要請を受信していない時よりも前記第1期間における前記機器の消費電力を減少させる第2要請であり、
前記第1運転設定は、前記第2運転設定よりも、前記第1期間における前記機器の消費電力が少なく、
前記差分は、前記第1期間における、前記制御部が前記要請を受信していない時と比較した前記機器の消費電力の減少量である、
請求項1に記載の機器制御システム(1)。
【請求項3】
前記要請は、前記制御部が前記要請を受信していない時よりも前記第1期間における前記機器の消費電力を増加させる第1要請であり、
前記第1運転設定は、前記第2運転設定よりも、前記第1期間における前記機器の消費電力が多く、
前記差分は、前記第1期間における、前記制御部が前記要請を受信していない時と比較した前記機器の消費電力の増加量である、
請求項1に記載の機器制御システム(1)。
【請求項4】
前記第1情報は、前記第2消費電力をさらに含む、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項5】
前記第1情報は、前記第1運転設定の設定内容と、前記第1運転設定の実行有無と、をさらに含む、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項6】
前記制御部は、複数の前記機器ごとに、前記第1情報を出力する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項7】
前記制御部は、複数の前記機器ごとに、前記第1運転設定の設定内容を決定する、
請求項6に記載の機器制御システム(1)。
【請求項8】
前記第1期間は、日毎に設定され、
前記制御部は、前記第1情報を、日毎に出力する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項9】
前記要請は、前記制御部が前記要請を受信していない時よりも前記機器の消費電力を減少させる第2要請であり、
前記第1期間における前記第1運転設定の運転時間である第1運転時間は、前記第1期間における前記第2運転設定の運転時間である第2運転時間よりも短い、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項10】
前記第1情報は、前記第1運転時間と前記第2運転時間との差分をさらに含む、
請求項9に記載の機器制御システム(1)。
【請求項11】
前記要請は、前記制御部が前記要請を受信していない時よりも前記機器の消費電力を減少させる第2要請であり、
前記第1期間における前記第1運転設定の運転能力は、前記第1期間における前記第2運転設定の運転能力よりも低い、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1情報を、前記アグリゲータに出力する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項13】
表示部(130a)、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1情報を、前記表示部に出力する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【請求項14】
前記制御部は、前記第1情報を、前記機器を使用するユーザに出力する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の機器制御システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2018-170925号公報)に示されるように、アグリゲータからのデマンドレスポンスの要請に応じて、ユーザが機器の商用電力系統の消費電力を調整し、調整量に応じてユーザがアグリゲータからインセンティブを受け取るシステムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、デマンドレスポンスの要請に応じた機器の消費電力と、デマンドレスポンスの要請を受けなかった場合の機器の消費電力との差分を把握できないため、アグリゲータやユーザは、インセンティブの妥当性を判断できない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の機器制御システムは、1又は複数の機器と、サーバと、を備える。サーバは、制御部を有する。制御部は、デマンドレスポンスの要請に応じて、機器を制御する。制御部は、アグリゲータから要請を受信する。制御部は、第1期間に、第1運転設定により機器を制御する。第1期間は、要請に応じて設定された期間である。第1期間は、機器の消費電力を調整する期間である。制御部は、機器から取得した機器の運転データに基づいて、第1情報を出力する。第1情報は、第1消費電力と第2消費電力との差分を含む。第1消費電力は、第1期間に第1運転設定により機器を制御した場合の機器の消費電力である。第2消費電力は、第1期間に第2運転設定により機器を制御した場合に予測される機器の消費電力である。第2運転設定は、制御部が要請を受信していない時の運転設定である。
【0005】
第1観点の機器制御システムでは、制御部は、機器から取得した機器の運転データに基づいて、第1情報を出力する。第1情報は、第1消費電力と、第2消費電力と、の差分を含む。第1消費電力は、第1期間に第1運転設定により機器を制御した場合の機器の消費電力である。第2消費電力は、第1期間に第2運転設定により機器を制御した場合に予測される機器の消費電力である。第2運転設定は、制御部が要請を受信していない時の運転設定である。そのため、機器制御システムは、デマンドレスポンスの要請に応じた機器の第1消費電力と、デマンドレスポンスの要請を受けなかった場合の機器の第2消費電力との差分を、アグリゲータやユーザに出力することができる。その結果、アグリゲータやユーザは、第1消費電力と第2消費電力との差分を把握し、インセンティブの妥当性を判断することができる。
【0006】
第2観点の機器制御システムは、第1観点の機器制御システムであって、要請は、第2要請である。第2要請は、制御部が要請を受信していない時よりも第1期間における機器の消費電力を減少させる要請である。第1運転設定は、第2運転設定よりも、第1期間における機器の消費電力が少ない。差分は、第1期間における、制御部が要請を受信していない時と比較した機器の消費電力の減少量である。
【0007】
第3観点の機器制御システムは、第1観点の機器制御システムであって、要請は、第1要請である。第1要請は、制御部が要請を受信していない時よりも第1期間における機器の消費電力を増加させる要請である。第1運転設定は、第2運転設定よりも、第1期間における機器の消費電力が多い。差分は、第1期間における、制御部が要請を受信していない時と比較した機器の消費電力の増加量である。
【0008】
第4観点の機器制御システムは、第1観点から第3観点のいずれか1つの機器制御システムであって、第1情報は、第2消費電力をさらに含む。
【0009】
第4観点の機器制御システムは、このような構成により、アグリゲータやユーザに、インセンティブの妥当性を判断するための追加情報を提供することができる。
【0010】
第5観点の機器制御システムは、第1観点から第4観点のいずれか1つの機器制御システムであって、第1情報は、第1運転設定の設定内容と、第1運転設定の実行有無と、をさらに含む。
【0011】
第5観点の機器制御システムは、このような構成により、アグリゲータやユーザに、インセンティブの妥当性を判断するための追加情報を提供することができる。
【0012】
第6観点の機器制御システムは、第1観点から第5観点のいずれか1つの機器制御システムであって、制御部は、複数の機器ごとに、第1情報を出力する。
【0013】
第7観点の機器制御システムは、第6観点の機器制御システムであって、制御部は、複数の機器ごとに、第1運転設定の設定内容を決定する。
【0014】
第8観点の機器制御システムは、第1観点から第7観点のいずれか1つの機器制御システムであって、第1期間は、日毎に設定される。制御部は、第1情報を、日毎に出力する。
【0015】
第9観点の機器制御システムは、第1観点から第8観点のいずれか1つの機器制御システムであって、要請は、第2要請である。第2要請は、制御部が要請を受信していない時よりも機器の消費電力を減少させる要請である。第1期間における第1運転設定の運転時間である第1運転時間は、第1期間における第2運転設定の運転時間である第2運転時間よりも短い。
【0016】
第10観点の機器制御システムは、第10観点の機器制御システムであって、第1情報は、第1運転時間と第2運転時間との差分をさらに含む。
【0017】
第11観点の機器制御システムは、第1観点から第10観点のいずれか1つの機器制御システムであって、要請は、第2要請である。第2要請は、制御部が要請を受信していない時よりも機器の消費電力を減少させる要請である。第1期間における第1運転設定の運転能力は、第1期間における第2運転設定の運転能力よりも低い。
【0018】
第12観点の機器制御システムは、第1観点から第11観点のいずれか1つの機器制御システムであって、制御部は、第1情報を、アグリゲータに出力する。
【0019】
第13観点の機器制御システムは、第1観点から第12観点のいずれか1つの機器制御システムであって、表示部、をさらに備える。制御部は、第1情報を、表示部に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】給湯装置の第2運転設定の設定内容を示す図である。
【
図6】DR要請が上げDR要請である場合の第1運転設定の設定内容を示す図である。
【
図7】DR要請が下げDR要請である場合の第1運転設定の設定内容を示す図である。
【
図8】機器制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】変形例1Dにおける、DR要請が下げDR要請である場合の第1運転設定の設定内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)全体構成
機器制御システム1は、デマンドレスポンスの要請(以下、DR要請と記載することがある。)に応じて、1又は複数の機器を制御する。
【0022】
デマンドレスポンスは、商用電力系統の電力の供給を受けるユーザ(需要家)が、商用電力系統の電力を供給する電力会社等のアグリゲータ90からの要請に応じて、商用電力系統の消費電力を調整することである。アグリゲータ90は、商用電力系統の消費電力の調整量に応じて、ユーザに、デマンドレスポンスの対価である報酬を支払う。
【0023】
図1は、機器制御システム1の概略構成図である。
図1に示されるように、機器制御システム1は、給湯装置100(機器)と、サーバ200と、を有する。給湯装置100と、サーバ200とは、ネットワークNW2を介して、通信可能に接続されている。サーバ200は、インターネット等のNW1を介して、アグリゲータ90から、ユーザが使用する給湯装置100に対するDR要請を受信する。サーバ200は、受信したDR要請を、ネットワークNW2を介して、給湯装置100に送信すると共に、受信したDR要請に応じて、給湯装置100を制御する。さらに、サーバ200は、受信したDR要請を、ネットワークNW2を介して、ユーザが所有するスマートフォン91等の携帯情報端末に送信することにより、DR要請をユーザに通知してもよい。
【0024】
(2)詳細構成
(2-1)給湯装置
図2は、給湯装置100の概略構成図である。
図2に示されるように、給湯装置100は、主として、ヒートポンプユニット110と、貯湯ユニット120と、リモートコントローラ130と、制御部190とを備える。貯湯ユニット120には、給湯部140、浴槽150、及び、止水栓160が接続されている。
【0025】
ヒートポンプユニット110は、貯湯ユニット120から供給される湯水を加熱して、加熱された湯水を貯湯ユニット120に供給する。貯湯ユニット120は、ヒートポンプユニット110から供給される加熱された湯水を貯留し、貯留されている湯水と、止水栓160から供給される水とを混合して、給湯部140及び浴槽150に供給する。給湯部140は、例えば、蛇口及びシャワーである。止水栓160は、水道等の外部の給水源に接続されている。止水栓160は、貯湯ユニット120に水を供給するために操作される。
【0026】
ここで、「湯水」とは、湯及び水の少なくとも一方を意味する。そのため、ヒートポンプユニット110によって加熱される前の水も、ヒートポンプユニット110によって加熱された後の水も、湯水と言う。
【0027】
(2-1-1)ヒートポンプユニット
ヒートポンプユニット110は、主として、圧縮機11と、水熱交換器12と、膨張弁13と、空気熱交換器14とを備える。圧縮機11、水熱交換器12、膨張弁13、及び、空気熱交換器14は、冷媒配管によって環状に接続されてヒートポンプサイクルを構成する。圧縮機11の吐出側は、水熱交換器12に接続され、圧縮機11の吸入側は、空気熱交換器14に接続される。膨張弁13の一端は、水熱交換器12に接続され、膨張弁13の他端は、空気熱交換器14に接続される。また、ヒートポンプユニット110は、第1制御装置10を有する。
【0028】
ヒートポンプサイクルを循環する冷媒は、ヒートポンプユニット110から貯湯ユニット120に供給される加熱された湯水の温度よりも高い臨界温度を有する。冷媒の臨界温度は、加熱された湯水の温度よりも10℃以上高いことが好ましい。冷媒は、例えば、R32(臨界温度78.1℃)、HFO-1234yf(臨界温度95.0℃)、及び、R410(臨界温度71.4℃)である。
【0029】
圧縮機11は、モータ11aを駆動することで冷媒を圧縮する圧縮機構を有する。圧縮機11によって圧縮された冷媒は、水熱交換器12に送られる。ヒートポンプユニット110の能力は、モータ11aの運転周波数の制御により調整可能である。
【0030】
水熱交換器12は、圧縮機11によって圧縮された高温の冷媒と、貯湯ユニット120から供給される湯水との間で熱交換を行い、湯水を加熱する。水熱交換器12は、例えば、外管と、外管内部に挿入される内管と、からなる二重管熱交換器である。水熱交換器12は、プレート式の熱交換器等であってもよい。ヒートポンプユニット110の能力は、例えば、単位時間当たりに、水熱交換器12が、貯湯ユニット120から供給される湯水に与える熱量である。
【0031】
膨張弁13は、水熱交換器12を通過して熱交換された冷媒を減圧する。膨張弁13は、例えば、電動膨張弁である。膨張弁13は、キャピラリーチューブ等であってもよい。
【0032】
空気熱交換器14は、膨張弁13を通過して減圧された冷媒と、外気との間の熱交換を行い、冷媒を加熱する。空気熱交換器14には、例えば、外気ファンによって外気が供給される。空気熱交換器14を通過して熱交換された冷媒は、圧縮機11に送られる。
【0033】
(2-1-2)貯湯ユニット
貯湯ユニット120は、主として、貯湯タンク21と、第1排水弁22と、入水弁23と、沸上ポンプ24と、バイパス弁25と、沸上弁26と、第1混合弁27と、第2混合弁28と、減圧弁29と、第1流量センサ30と、湯はり電磁弁31と、第2排水弁32と、第2流量センサ33と、追焚ポンプ34と、追焚熱交換器35とを備える。これらの要素は、湯水が流れる配管L1-L19によって接続されている。貯湯タンク21、及び、配管L10,L13,L14,L16には、温度センサT1-T10が設けられている。また、貯湯ユニット120は、第2制御装置20を有する。
【0034】
貯湯タンク21は、湯水を貯留する。貯湯タンク21には、6つの温度センサT1-T6が設けられている。6つの温度センサT1-T6は、第1湯量温度センサT1、第2湯量温度センサT2、第3湯量温度センサT3、第4湯量温度センサT4、第5湯量温度センサT5、及び、上部温度センサT6から構成される。上部温度センサT6は、貯湯タンク21の上端面近傍に設けられている。第1-第5湯量温度センサT1-T5は、上側から下側に向かって間隔を空けて、貯湯タンク21の側面に設けられている。
【0035】
水の密度が温度に応じて変化することにより、貯湯タンク21内に貯留される湯水は、上側が高温となり下側が低温となる層を形成する。そのため、温度センサT1-T6の出力信号に基づいて、上下方向における貯湯タンク21内の湯水の温度分布を検出することにより、貯湯タンク21内の湯水の量(貯湯量)を取得することができる。貯湯タンク21の貯湯量を取得するために貯湯タンク21に設けられる温度センサの数は、6以外の任意の数であってもよい。
【0036】
入水配管L1の一端は、貯湯タンク21の下端面に接続され、入水配管L1の他端は、ヒートポンプユニット110の水熱交換器12の入口側に接続されている。貯湯タンク21から水熱交換器12に向かって、入水配管L1には、入水弁23、沸上ポンプ24、及び、バイパス弁25が設けられている。入水弁23及びバイパス弁25は、電動三方弁である。
【0037】
第1排水配管L2は、貯湯タンク21と入水弁23との間において、入水配管L1から分岐している。第1排水配管L2には、第1排水弁22が設けられている。第1排水配管L2は、貯湯ユニット120の外部において排水用の配管に接続されている。第1排水弁22は、例えば、貯湯タンク21内の湯水を外部に排出するために操作される。
【0038】
出湯配管L3の一端は、ヒートポンプユニット110の水熱交換器12の出口側に接続され、出湯配管L3の他端は、沸上弁26に接続されている。沸上弁26は、電動三方弁である。
【0039】
第1戻し配管L4の一端は、沸上弁26に接続され、第1戻し配管L4の他端は、貯湯タンク21の上端面に接続されている。
【0040】
第2戻し配管L5の一端は、沸上弁26に接続され、第2戻し配管L5の他端は、貯湯タンク21の下端面に接続されている。
【0041】
バイパス配管L6の一端は、バイパス弁25に接続され、バイパス配管L6の他端は、出湯配管L3に接続されている。
【0042】
第1沸上配管L7の一端は、貯湯タンク21の上端面に接続され、第1沸上配管L7の他端は、第1混合弁27に接続されている。第1混合弁27は、電動三方弁である。
【0043】
第2沸上配管L8の一端は、貯湯タンク21の上端面に接続され、第2沸上配管L8の他端は、第2混合弁28に接続されている。第2混合弁28は、電動三方弁である。
【0044】
タンク給水配管L9の一端は、貯湯ユニット120の外部において止水栓160に接続され、タンク給水配管L9の他端は、貯湯タンク21の下端面に接続される。タンク給水配管L9には、減圧弁29が設けられている。減圧弁29は、止水栓160を介して貯湯ユニット120に供給される水の圧力(給水圧)を調整するために操作される。
【0045】
分岐給水配管L10は、減圧弁29と貯湯タンク21との間において、タンク給水配管L9から分岐している。分岐給水配管L10は、第1混合水配管L11と第2混合水配管L12とに分岐している。第1混合水配管L11は、第1混合弁27に接続される。第2混合水配管L12は、第2混合弁28に接続される。分岐給水配管L10には、混合水温度センサT7が設けられている。混合水温度センサT7は、分岐給水配管L10内を流れる湯水の温度を検出する。
【0046】
第1給湯配管L13の一端は、第1混合弁27に接続され、第1給湯配管L13の他端は、給湯部140に接続されている。第1給湯配管L13には、第1流量センサ30が設けられている。第1流量センサ30は、第1給湯配管L13内の湯水の流量を検出する。第1流量センサ30と給湯部140との間において、第1給湯配管L13には、第1給湯温度センサT8が設けられている。第1給湯温度センサT8は、第1給湯配管L13内を流れる湯水の温度を検出する。
【0047】
第2給湯配管L14の一端は、第2混合弁28に接続され、第2給湯配管L14の他端は、浴槽150に接続されている。第2給湯配管L14には、第2混合弁28から浴槽150に向かって、湯はり電磁弁31及び第2流量センサ33が設けられている。第2流量センサ33は、第2給湯配管L14内の湯水の流量を検出する。
【0048】
第2排水配管L15は、湯はり電磁弁31と第2流量センサ33との間において、第2給湯配管L14から分岐している。第2排水配管L15には、第2排水弁32が設けられている。第2排水配管L15は、貯湯ユニット120の外部において排水用の配管に接続されている。第2排水弁32は、例えば、第2給湯配管L14を流れる湯水の量を調整するために、第2給湯配管L14を流れる湯水の一部を外部に排出するために操作される。
【0049】
第1浴槽戻り配管L16の一端は、浴槽150に接続され、第1浴槽戻り配管L16の他端は、追焚熱交換器35の入口側に接続されている。第1浴槽戻り配管L16には、追焚ポンプ34が設けられている。浴槽150と追焚ポンプ34との間において、第1浴槽戻り配管L16には、浴槽戻り温度センサT10が設けられている。浴槽戻り温度センサT10は、第1浴槽戻り配管L16内を流れる湯水の温度を検出する。
【0050】
第2浴槽戻り配管L17の一端は、追焚熱交換器35の出口側に接続され、第2浴槽戻り配管L17の他端は、第2流量センサ33と浴槽150との間において、第2給湯配管L14に接続されている。第2浴槽戻り配管L17と第2給湯配管L14との接続地点と、浴槽150との間において、第2給湯配管L14には、第2給湯温度センサT9が設けられている。第2給湯温度センサT9は、第2給湯配管L14内を流れる湯水の温度を検出する。
【0051】
第1追焚配管L18は、第2混合弁28と湯はり電磁弁31との間において、第2給湯配管L14から分岐している。第1追焚配管L18は、追焚熱交換器35の入口側に接続されている。
【0052】
第2追焚配管L19の一端は、追焚熱交換器35の出口側に接続され、第2追焚配管L19の他端は、入水弁23に接続されている。
【0053】
(2-1-3)リモートコントローラ
リモートコントローラ130は、給湯装置100を制御するためのユーザインターフェースである。リモートコントローラ130は、例えば、台所及び浴室に設置される。
図2に示されるように、リモートコントローラ130は、第1制御装置10及び第2制御装置20と、無線通信又は有線通信により双方向にデータ通信可能に接続されている。第1制御装置10及び第2制御装置20には、給湯装置100の運転を指示するための信号等が、無線通信又は有線通信によりリモートコントローラ130から入力される。リモートコントローラ130の他に、給湯装置100のユーザインターフェースとして、スマートフォン91等の携帯情報端末が用いられてもよい。
【0054】
リモートコントローラ130は、表示部130a及び操作部130bを有する。表示部130aは、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0055】
表示部130aは、給湯装置100の状態に関する情報、及び、給湯装置100の設定に関する情報等を表示する。表示部130aは、例えば、給湯部140及び浴槽150に供給される湯水の温度(給湯温度)の設定値、及び、貯湯タンク21の貯湯量を表示する。表示部130aは、例えば、サーバ200から受信したDR要請、及び、サーバ200から受信した後述する第1情報を表示する。
【0056】
操作部130bは、給湯装置100のユーザが操作するためのボタン、ダイヤル及びキー等を含む。給湯装置100のユーザは、操作部130bを操作して、給湯温度の設定値等の情報を入力する。表示部130aは、操作部130bの機能を兼ね備えるタッチスクリーンでもよい。
【0057】
リモートコントローラ130は、スピーカ及びマイク等をさらに有してもよい。この場合、リモートコントローラ130は、表示部130aに表示される情報をスピーカで報知し、マイクを介して操作部130bによって入力される情報を取得してもよい。
【0058】
(2-1-4)制御部
制御部190は、主として、ヒートポンプユニット110の第1制御装置10と、貯湯ユニット120の第2制御装置20とから構成される。第1制御装置10及び第2制御装置20は、典型的には、制御演算装置及び記憶装置を備えるマイクロコンピュータと、入出力回路とから構成される。制御演算装置は、CPU又はGPU等のプロセッサである。制御演算装置は、記憶装置に記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムに従って、給湯装置100の運転制御を行う。制御演算装置は、制御プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0059】
ただし、制御部190の構成は、上記のものに限られない。例えば、第1制御装置10及び第2制御装置20は、互いに通信を行って協調動作を行ってもよい。また、給湯装置100は、第1制御装置10及び第2制御装置20を備える代わりに、第1制御装置10及び第2制御装置20の両方の機能を有し、かつ、ヒートポンプユニット110及び貯湯ユニット120のいずれか一方に設けられる装置を備えてもよい。このような装置は、給湯装置100の外部に設置され、ヒートポンプユニット110及び貯湯ユニット120とネットワークを介して接続されてもよい。
【0060】
図3は、給湯装置100の機能ブロック図である。
図3に示されるように、制御部190は、温度センサT1-T10、第1流量センサ30、及び、第2流量センサ33からの信号に基づいて、圧縮機11、膨張弁13、入水弁23、沸上ポンプ24、バイパス弁25、沸上弁26、第1混合弁27、第2混合弁28、湯はり電磁弁31、及び、追焚ポンプ34等を制御する。また、制御部190は、サーバ200と通信可能に接続されている。
【0061】
制御部190は、主として、沸上運転、給湯運転、湯はり運転、及び、追焚運転を行う。また、制御部190は、主として、運転データ送信機能を有する。
【0062】
(2-1-4-1)沸上運転
沸上運転とは、ヒートポンプユニット110により貯湯タンク21内の湯水を加熱する運転である。沸上運転では、沸上ポンプ24を駆動することにより、貯湯タンク21内の湯水が、入水配管L1を介して水熱交換器12に案内されて加熱される。水熱交換器12において加熱された湯水は、出湯配管L3、第1戻し配管L4及び第2戻し配管L5を介して、貯湯タンク21内に戻される。このように、沸上運転では、貯湯タンク21内の湯水を、入水配管L1、出湯配管L3、第1戻し配管L4及び第2戻し配管L5を介して循環させながら、水熱交換器12において加熱する。
【0063】
制御部190は、サーバ200から受信する運転設定に基づいて、圧縮機11、膨張弁13、入水弁23、沸上ポンプ24、バイパス弁25及び沸上弁26を制御することにより沸上運転を行う。制御部190は、圧縮機11のモータ11aの運転周波数、及び、膨張弁13の開度を制御して、ヒートポンプユニット110の能力、及び、水熱交換器12において加熱された湯水の温度(出湯温度)等を調整する。制御部190は、沸上ポンプ24の回転数を制御して、出湯温度、貯湯タンク21の貯湯量、及び、貯湯タンク21に供給される湯水の流量(貯留流量)等を調整する。
【0064】
貯湯タンク21内の湯水を循環させる通常の沸上運転では、制御部190は、入水配管L1が第2追焚配管L19と連通しないように入水弁23を制御し、入水配管L1がバイパス配管L6と連通しないようにバイパス弁25を制御する。制御部190は、後述するように、追焚運転を行う際に入水弁23を制御する。
【0065】
制御部190は、バイパス弁25を制御して、入水配管L1を流れる湯水が水熱交換器12を通過して出湯配管L3に供給される状態と、入水配管L1を流れる湯水が水熱交換器12をバイパスして出湯配管L3に供給される状態と、を切り替えることができる。水熱交換器12をバイパスする状態では、入水配管L1はバイパス配管L6と連通し、貯湯タンク21内の湯水は水熱交換器12において加熱されることなく循環する。
【0066】
制御部190は、沸上弁26を制御して、水熱交換器12から第1戻し配管L4を介して貯湯タンク21に湯水が供給される状態と、水熱交換器12から第2戻し配管L5を介して貯湯タンク21に湯水が供給される状態と、を切り替えることができる。
【0067】
制御部190は、圧縮機11のモータ11aの運転周波数、膨張弁13の開度、沸上ポンプ24の回転数、バイパス弁25及び沸上弁26の状態、及び、貯湯タンク21の温度センサT1-T6の出力信号等に基づいて、出湯温度、貯湯量及び貯留流量を取得してもよい。
【0068】
制御部190は、出湯温度、貯湯量及び貯留流量が所定の目標値になるように、圧縮機11のモータ11aの運転周波数、膨張弁13の開度、沸上ポンプ24の回転数、及び、バイパス弁25及び沸上弁26の状態をフィードバック制御してもよい。
【0069】
給湯装置100は、夜間沸上運転及び昼間沸上運転を実行する。夜間沸上運転とは、夜間時間帯の少なくとも一部の時間帯に実行される沸上運転である。昼間沸上運転とは、昼間時間帯の少なくとも一部の時間帯に実行される沸上運転である。昼間時間帯とは、夜間時間帯以外の時間帯である。本実施形態では、夜間時間帯は、23時から翌日の7時までの時間帯であり、昼間時間帯は、7時から23時までの時間帯であるとする。本実施形態では、夜間沸上運転及び昼間沸上運転は、サーバ200から受信する運転設定に基づいて実行される。
【0070】
本実施形態では、給湯装置100は、商用電力系統の電力を用いて沸上運転を実行する。
【0071】
(2-1-4-2)給湯運転
給湯運転とは、貯湯タンク21内の湯水を給湯部140から出す運転である。給湯運転では、給湯部140が蛇口である場合、蛇口の栓を開くことにより、外部からの水が、給水圧力によりタンク給水配管L9を介して、貯湯タンク21の下部から貯湯タンク21内に供給される。これにより、貯湯タンク21内の上部から、貯湯タンク21内に貯留される高温の湯水が第1沸上配管L7を介して押し出される。
【0072】
そして、貯湯タンク21から第1沸上配管L7を介して高温の湯水が第1混合弁27に供給されると共に、タンク給水配管L9、分岐給水配管L10及び第1混合水配管L11を介して外部からの水が第1混合弁27に供給される。第1混合弁27において、第1沸上配管L7からの高温の湯水が、第1混合水配管L11からの水と混合される。混合された湯水は、第1給湯配管L13を介して給湯部140から出される。
【0073】
制御部190は、ユーザによって給湯部140が開かれて、第1給湯配管L13内の湯水の流量の増加を第1流量センサ30が検出すると、給湯運転を開始する。給湯運転の実行中、制御部190は、給湯部140から出される湯水の温度に応じて、第1混合弁27を制御する。制御部190は、給湯部140から出される湯水の温度として、第1給湯温度センサT8が検出する温度を用いてもよい。
【0074】
制御部190は、混合水温度センサT7及び第1給湯温度センサT8の出力信号等に基づいて、給湯部140から出される湯水の温度が所定の目標値になるように、第1混合弁27における高温の湯水と水との混合比をフィードバック制御してもよい。
【0075】
(2-1-4-3)湯はり運転
湯はり運転とは、貯湯タンク21内の湯水を浴槽150内に供給する運転である。湯はり運転では、湯はり電磁弁31を開くことにより、外部からの水が、給水圧力によりタンク給水配管L9を介して、貯湯タンク21の下部から貯湯タンク21内に供給される。これにより、貯湯タンク21内の上部から、貯湯タンク21内に貯留される高温の湯水が第2沸上配管L8を介して押し出される。
【0076】
そして、貯湯タンク21から第2沸上配管L8を介して高温の湯水が第2混合弁28に供給されると共に、タンク給水配管L9、分岐給水配管L10及び第2混合水配管L12を介して外部からの水が第2混合弁28に供給される。第2混合弁28において、第2沸上配管L8からの高温の湯水が、第2混合水配管L12からの水と混合される。混合された湯水は、第2給湯配管L14を介して浴槽150内に供給される。
【0077】
制御部190は、ユーザによるリモートコントローラ130の操作によって湯はり運転の開始信号を受信すると湯はり電磁弁31を開き、これにより第2給湯配管L14内の湯水の流量の増加を第2流量センサ33が検出すると、湯はり運転を開始する。湯はり運転の実行中、制御部190は、浴槽150内に供給される湯水の温度に応じて、第2混合弁28を制御する。制御部190は、浴槽150内に供給される湯水の温度として、第2給湯温度センサT9が検出する温度を用いてもよい。
【0078】
制御部190は、混合水温度センサT7及び第2給湯温度センサT9の出力信号等に基づいて、浴槽150内に供給される湯水の温度が所定の目標値になるように、第2混合弁28における高温の湯水と水との混合比をフィードバック制御してもよい。
【0079】
また、制御部190は、湯はり運転の実行中、ユーザによるリモートコントローラ130の操作によって湯はり運転の終了信号を受信するか、又は、浴槽150に設けられる水位センサ(図示せず)により検出される浴槽150内の水位が所定の目標値になると、湯はり電磁弁31を閉じて湯はり運転を終了してもよい。
【0080】
(2-1-4-4)追焚運転
追焚運転とは、浴槽150内の湯水を追焚熱交換器35において加熱して、浴槽150内に戻す運転である。追焚運転では、追焚ポンプ34を駆動することにより、浴槽150内の湯水の一部が、第1浴槽戻り配管L16を介して追焚熱交換器35に案内されて加熱される。追焚熱交換器35において加熱された湯水は、第2浴槽戻り配管L17及び第2給湯配管L14を介して、浴槽150内に戻される。このように、追焚運転では、浴槽150内の湯水を、第1浴槽戻り配管L16、第2浴槽戻り配管L17及び第2給湯配管L14を介して循環させながら、追焚熱交換器35において加熱する。
【0081】
追焚熱交換器35は、貯湯タンク21から第2給湯配管L14及び第1追焚配管L18を介して供給される高温の湯水と、浴槽150内から第1浴槽戻り配管L16を介して供給される低温の湯水との間で熱交換を行う。これにより、追焚熱交換器35は、浴槽150内から第1浴槽戻り配管L16を介して供給される湯水を加熱する。第1追焚配管L18を介して追焚熱交換器35に供給される高温の湯水は、熱交換された後、第2追焚配管L19及び入水弁23を介して入水配管L1に供給される。追焚熱交換器35は、例えば、高温の湯水と低温の湯水とが反対方向に流れて熱交換が行われる、向流式の熱交換器等であってもよい。
【0082】
制御部190は、ユーザによるリモートコントローラ130の操作によって追焚運転の開始信号を受信すると、入水弁23を制御して入水配管L1と第2追焚配管L19とを連通させ、沸上ポンプ24及び追焚ポンプ34を駆動させて、追焚運転を開始する。追焚運転の実行中、制御部190は、浴槽150内の湯水の温度、及び、追焚熱交換器35から浴槽150内に戻される湯水の温度に応じて、沸上ポンプ24及び追焚ポンプ34の回転数を制御する。制御部190は、浴槽150内の湯水の温度として、浴槽戻り温度センサT10が検出する温度を用い、追焚熱交換器35から浴槽150内に戻される湯水の温度として、第2給湯温度センサT9が検出する温度を用いてもよい。
【0083】
制御部190は、第2給湯温度センサT9及び浴槽戻り温度センサT10の出力信号等に基づいて、浴槽150内の湯水の温度が所定の目標値になるように、沸上ポンプ24及び追焚ポンプ34の回転数をフィードバック制御してもよい。
【0084】
また、制御部190は、追焚運転の実行中、ユーザによるリモートコントローラ130の操作によって追焚運転の終了信号を受信するか、又は、浴槽150内の湯水の温度が所定の目標値になると、第2追焚配管L19が入水配管L1と連通しないように入水弁23を制御し、追焚ポンプ34を停止させて追焚運転を終了してもよい。
【0085】
(2-1-4-5)運転データ送信機能
制御部190は、定期的に(例えば、30秒毎に)、給湯装置100の運転データD1を、サーバ200に送信する。
【0086】
サーバ200に送信する運転データD1は、温度センサT1-T10の計測値、第1流量センサ30の計測値、第2流量センサ33の計測値、圧縮機11のモータ11aの運転周波数、膨張弁13の開度、入水弁23の状態、沸上ポンプ24の回転数、バイパス弁25の状態、沸上弁26の状態、第1混合弁27の開度、第2混合弁28の開度、湯はり電磁弁31の状態、及び、追焚ポンプ34の回転数等を含む。
【0087】
(2-2)サーバ
サーバ200は、クラウド上に設置されるコンピュータである。
図4は、サーバ200の制御ブロック図である。
図4に示すように、サーバ200は、主として、記憶部41と、入力部42と、表示部43と、通信部44と、制御部49と、を有する。
【0088】
記憶部41は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部41は、制御部49が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部41は、特に、給湯装置100のから送信される運転データD1を記憶する。入力部42は、キーボード、及びマウスである。サーバ200に対する各種指令や、各種情報は、入力部42を用いて入力することができる。表示部43は、モニターである。表示部43には、記憶部41に記憶された各種データ等を表示することができる。通信部44は、ネットワークNW1,NW2を介して、アグリゲータ90、給湯装置100等と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。
【0089】
(2-2-1)制御部
制御部49は、CPUおよびGPU等のプロセッサである。制御部49は、記憶部41に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、サーバ200の様々な機能を実現する。また、制御部49は、プログラムに従って、演算結果を記憶部41に書き込んだり、記憶部41に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0090】
図4に示すように、制御部49は、機能ブロックとして、取得部491と、運転制御部492と、算出部493、出力部494と、を有する。
【0091】
(2-2-1-1)取得部
取得部491は、ネットワークNW1を介して、アグリゲータ90から、給湯装置100に対するDR要請を受信する。DR要請は、第1期間を含む。第1期間は、DR要請に応じて設定された期間である。また、第1期間は、給湯装置100の消費電力を調整する期間である。
【0092】
DR要請は、第1要請と、第2要請とを有する。
【0093】
第1要請は、DR要請を受信していない時よりも第1期間における給湯装置100の消費電力を増加させる要請である。アグリゲータ90は、商用電力系統の電力が余ると予測される第1期間が到来する前に、サーバ200に対してデマンドレスポンスの第1要請を行う。以下、第1要請を、上げDR要請と記載することがある。
【0094】
第2要請は、DR要請を受信していない時よりも第1期間における給湯装置100の消費電力を減少させる要請である。アグリゲータ90は、商用電力系統の電力が逼迫すると予測される第1期間が到来する前に、サーバ200に対してデマンドレスポンスの第2要請を行う。以下、第2要請を、下げDR要請と記載することがある。
【0095】
本実施形態では、サーバ200は、DR要請を、給湯装置100の沸上運転における夜間時間帯の直前に受信するとする。また、第1期間は、当該夜間時間帯に続く昼間時間帯における11時から15時までの時間帯であるとする。
【0096】
また、取得部491は、ネットワークNW2を介して、給湯装置100から、定期的に(例えば、30秒毎に)運転データD1を取得する。
【0097】
(2-2-1-2)運転制御部
運転制御部492は、給湯装置100の運転設定を給湯装置100に送信することにより、給湯装置100を制御する。本実施形態では、給湯装置100の運転設定は、給湯装置100の沸上運転の運転設定である。
【0098】
運転設定は、第1運転設定及び第2運転設定を有する。
【0099】
運転制御部492は、アグリゲータ90からDR要請を受信していない場合、第2運転設定により、給湯装置100を制御する。
【0100】
図5は、給湯装置100の沸上運転の第2運転設定の設定内容を示す図である。
図5では、棒グラフは消費電力P1を表し、実線の折れ線グラフG3は貯湯タンク21の貯湯量を表す。
図5に示されるように、第2運転設定では、23時から翌日の5時まで夜間沸上運転が実行され、11時から13時まで昼間沸上運転が実行される。
【0101】
運転制御部492は、アグリゲータ90からDR要請を受信した場合、DR要請に応じて給湯装置100の第1運転設定の設定内容を決定し、第1運転設定により給湯装置100を制御する。言い換えると、運転制御部492は、第1期間に、第1運転設定により給湯装置100を制御する。
【0102】
図6は、DR要請が上げDR要請である場合の第1運転設定の設定内容を示す図である。
図6に示されるように、第1運転設定では、第2運転設定よりも第1期間における給湯装置100の消費電力を増加させるため、第2運転設定では4時から5時まで実行する夜間沸上運転が、13時から14時まで実行する昼間沸上運転に変更され、第2運転設定では23時から24時まで実行する夜間沸上運転が、14時から15時まで実行する昼間沸上運転に変更されている。
図6では、実線の折れ線グラフG1は、第1運転設定による貯湯タンク21の貯湯量を表し、破線の折れ線グラフG3は、第2運転設定による貯湯タンク21の貯湯量を表す。この場合、第1運転設定は、第2運転設定よりも、第1期間における給湯装置100の消費電力が多い。
【0103】
図7は、DR要請が下げDR要請である場合の第1運転設定の設定内容を示す図である。
図7に示されるように、第1運転設定では、第2運転設定よりも第1期間における給湯装置100の消費電力を減少させるため、第2運転設定では11時から13時まで実行する昼間沸上運転が、5時から7時まで実行する夜間沸上運転に変更されている。言い換えると、第1運転設定では、給湯装置100は、第1期間に、沸上運転を実行しない。
図7では、実線の折れ線グラフG2は、第1運転設定による貯湯タンク21の貯湯量を表し、破線の折れ線グラフG3は、第2運転設定による貯湯タンク21の貯湯量を表す。第1運転設定は、第2運転設定よりも、第1期間における給湯装置100の消費電力が少ない。
【0104】
(2-2-1-3)算出部
算出部493は、給湯装置100から取得した給湯装置100の運転データD1に基づいて、第1情報を算出する。第1情報は、第1消費電力と第2消費電力との差分を含む。
【0105】
第1消費電力は、第1期間に第1運転設定により給湯装置100を制御した場合の給湯装置100の消費電力である。算出部493は、例えば、第1期間の経過後、第1期間における運転データD1に含まれる、圧縮機11のモータ11aの運転周波数、および沸上ポンプ24の回転数等に基づいて、所定の数式により、第1消費電力を算出する。
【0106】
第2消費電力は、第1期間に第2運転設定により給湯装置100を制御した場合に予測される給湯装置100の消費電力である。算出部493は、例えば、第1期間の経過後、DR要請を受信していない日の第1期間と同じ時間帯における運転データD1に基づいて、所定の数式により、第1期間における第2消費電力を予測する。
【0107】
DR要請が上げDRである場合、第1消費電力と、第2消費電力と、の差分は、第1期間における、DR要請を受信していない時と比較した給湯装置100の消費電力の増加量である。
【0108】
DR要請が下げDRである場合、第1消費電力と、第2消費電力と、の差分は、第1期間における、DR要請を受信していない時と比較した給湯装置100の消費電力の減少量である。
【0109】
第1情報は、予測した第2消費電力をさらに含んでもよい。また、第1情報は、第1運転設定の設定内容と、第1運転設定の実行有無と、をさらに含んでもよい。
【0110】
(2-2-1-4)出力部
出力部494は、算出部493により算出した第1情報を出力する。本実施形態では、出力部494は、第1情報を給湯装置100に送信することにより、第1情報を給湯装置100の表示部130aに表示(出力)する。出力部494は、第1情報をユーザが所有するスマートフォン91等の携帯情報端末に送信することにより、第1情報を携帯情報端末の画面に表示してもよい。出力部494は、第1情報をアグリゲータ90に送信することにより、第1情報をアグリゲータ90に出力してもよい。
【0111】
また、出力部494は、取得部491により受信したDR要請を給湯装置100に送信することにより、DR要請を給湯装置100の表示部130aに表示する。出力部494は、DR要請をユーザが所有するスマートフォン91等の携帯情報端末に送信することにより、DR要請をユーザに通知してもよい。
【0112】
(3)処理
機器制御システム1の処理の一例を、
図8のフローチャートを用いて説明する。前提として、サーバ200は、給湯装置100から、定期的に運転データD1を取得している。また、サーバ200は、第2運転設定により、給湯装置100を制御している。
【0113】
ステップS1に示すように、サーバ200は、アグリゲータ90から、給湯装置100に対するDR要請を受信する。
【0114】
ステップS1を終えると、ステップS2に示すように、サーバ200は、受信したDR要請に応じて、給湯装置100の第1運転設定の設定内容を決定し、第1運転設定により給湯装置100を制御する。
【0115】
ステップS2を終えると、ステップS3に示すように、サーバ200は、第1期間の経過後、第1消費電力と第2消費電力との差分を算出する。
【0116】
ステップS3を終えると、ステップS4に示すように、サーバ200は、第1消費電力と第2消費電力との差分を含む第1情報を、給湯装置100の表示部130aに表示する。
【0117】
(4)特徴
(4-1)
従来、アグリゲータからのDR要請に応じて、ユーザが機器の商用電力系統の消費電力を調整し、調整量に応じてユーザがアグリゲータからインセンティブを受け取るシステムが知られている。
【0118】
しかし、DR要請に応じた機器の消費電力と、DR要請を受けなかった場合の機器の消費電力との差分を把握できないため、アグリゲータやユーザは、インセンティブの妥当性を判断できない、という課題がある。
【0119】
本実施形態の機器制御システム1は、給湯装置100と、サーバ200と、を備える。サーバ200は、制御部49を有する。制御部49は、DR要請に応じて、給湯装置100を制御する。制御部49は、アグリゲータ90からDR要請を受信する。制御部49は、第1期間に、第1運転設定により給湯装置100を制御する。第1期間は、DR要請に応じて設定された期間である。第1期間は、給湯装置100の消費電力を調整する期間である。制御部49は、給湯装置100から取得した給湯装置100の運転データD1に基づいて、第1情報を出力する。第1情報は、第1消費電力と第2消費電力との差分を含む。第1消費電力は、第1期間に第1運転設定により給湯装置100を制御した場合の給湯装置100の消費電力である。第2消費電力は、第1期間に第2運転設定により給湯装置100を制御した場合に予測される給湯装置100の消費電力である。第2運転設定は、制御部49がDR要請を受信していない時の運転設定である。
【0120】
機器制御システム1では、制御部49は、給湯装置100から取得した機器の運転データD1に基づいて、第1情報を出力する。第1情報は、第1消費電力と第2消費電力との差分を含む。第1消費電力は、第1期間に第1運転設定により給湯装置100を制御した場合の給湯装置100の消費電力である。第2消費電力は、第1期間に第2運転設定により給湯装置100を制御した場合に予測される給湯装置100の消費電力である。第2運転設定は、制御部49がDR要請を受信していない時の運転設定である。
【0121】
そのため、機器制御システム1は、DR要請に応じた給湯装置100の第1消費電力と、DR要請を受けなかった場合の給湯装置100の第2消費電力との差分を、アグリゲータ90やユーザに出力することができる。その結果、アグリゲータ90やユーザは、第1消費電力と第2消費電力との差分を把握し、インセンティブの妥当性を判断することができる。
【0122】
(4-2)
本実施形態の機器制御システム1では、DR要請は、第2要請である。第2要請は、制御部49がDR要請を受信していない時よりも第1期間における給湯装置100の消費電力を減少させる要請である。第1運転設定は、第2運転設定よりも、第1期間における給湯装置100の消費電力が少ない。差分は、第1期間における、制御部49がDR要請を受信していない時と比較した給湯装置100の消費電力の減少量である。
【0123】
(4-3)
本実施形態の機器制御システム1では、DR要請は、第1要請である。第1要請は、制御部49がDR要請を受信していない時よりも第1期間における給湯装置100の消費電力を増加させる要請である。第1運転設定は、第2運転設定よりも、第1期間における給湯装置100の消費電力が多い。差分は、第1期間における、制御部49がDR要請を受信していない時と比較した給湯装置100の消費電力の増加量である。
【0124】
(4-4)
本実施形態の機器制御システム1では、第1情報は、第2消費電力をさらに含む。その結果、機器制御システム1は、アグリゲータ90やユーザに、インセンティブの妥当性を判断するための追加情報を提供することができる。
【0125】
(4-5)
本実施形態の機器制御システム1では、第1情報は、第1運転設定の設定内容と、第1運転設定の実行有無と、をさらに含む。その結果、機器制御システム1は、アグリゲータ90やユーザに、インセンティブの妥当性を判断するための追加情報を提供することができる。
【0126】
(4-6)
本実施形態の機器制御システム1では、制御部49は、第1情報を、アグリゲータ90に出力する。
【0127】
(4-7)
本実施形態の機器制御システム1は、表示部130a、をさらに備える。制御部49は、第1情報を、表示部130aに出力する。
【0128】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、機器制御システム1は、DR要請に応じて制御する機器として、1台の給湯装置100を有していた。しかし、DR要請に応じて制御する機器は、空気調和機等、給湯装置100以外の機器であってもよい。
【0129】
また、機器制御システム1は、DR要請に応じて、複数の機器を制御してもよい。このとき、制御部49は、DR要請に応じて、複数の機器ごとに、第1運転設定の設定内容を決定し、第1情報を出力する。
【0130】
(5-2)変形例1B
本実施形態では、第1期間は、ある特定の1日における期間として設定された。しかし、第1期間は、日毎に設定されてもよい。このとき、制御部49は、第1情報を、日毎に出力してもよい。
【0131】
(5-3)変形例1C
本実施形態における、DR要請が下げDR要請である場合の第1運転設定では、給湯装置100は、第1期間に、沸上運転を実行しなかった。しかし、給湯装置100は、第1期間に、太陽光発電装置による余剰電力により、沸上運転を実行してもよい。余剰電力により沸上運転が実行されるため、給湯装置100は、商用電力系統の電力を消費しないことになる。
【0132】
太陽光発電装置は、給湯装置100が設置される施設の屋根等に設置される。太陽光発電装置は、第1制御装置10及び第2制御装置20と、無線通信又は有線通信により双方向にデータ通信可能に接続される。給湯装置100、及び、施設で使用される他の電機機器は、太陽光発電装置によって発電された電力により運転可能である。
【0133】
(5-4)変形例1D
本実施形態における、DR要請が下げDR要請である場合の第1運転設定では、給湯装置100は、第1期間に、沸上運転を実行しなかった。しかし、給湯装置100は、第1期間の一部の時間帯に、沸上運転を実行してもよい。
【0134】
図9は、本変形例における、DR要請が下げDR要請である場合の第1運転設定の設定内容を示す図である。
図9では、
図7と異なり、給湯装置100は、11時から12時まで昼間沸上運転を実行する。第1期間における第1運転設定の運転時間である第1運転時間(
図9では1時間)は、第1期間における第2運転設定の運転時間である第2運転時間(
図9では2時間)よりも短いため、第1運転設定では、第2運転設定よりも第1期間における給湯装置100の消費電力が減少する。このとき、第1情報は、第1運転時間と第2運転時間との差分(
図9では1時間)をさらに含んでもよい。
【0135】
(5-5)変形例1E
本実施形態では、DR要請が下げDR要請である場合、第1期間における第1運転設定の運転時間である第1運転時間は、第1期間における第2運転設定の運転時間である第2運転時間よりも短かった。
【0136】
しかし、例えば、第1期間における第1運転時間と、第1期間における第2運転時間は同じとし、第1期間における第1運転設定の沸上運転の運転能力を、第1期間における第2運転設定の沸上運転の運転能力よりも低くしてもよい。
【0137】
例えば、第1期間における第1運転設定の沸上運転では、第1期間における第2運転設定の沸上運転よりも、圧縮機11のモータ11aの運転周波数の上限を低くする。また、例えば、第1期間における第1運転設定の沸上運転では、第1期間における第2運転設定の沸上運転よりも、出湯温度を低くする。
【0138】
(5-6)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0139】
1 機器制御システム
49 制御部
90 アグリゲータ
100 給湯装置(機器)
130a 表示部
200 サーバ
D1 運転データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【要約】
【課題】DR要請に応じた機器の消費電力と、DR要請を受けなかった場合の機器の消費電力との差分を把握できないため、アグリゲータやユーザは、インセンティブの妥当性を判断できない、という課題がある。
【解決手段】機器制御システムは、給湯装置100と、サーバ200と、を備える。サーバ200は、DR要請に応じて、給湯装置100を制御する。サーバ200は、DR要請に応じて設定された第1期間に、第1運転設定により給湯装置100を制御する。サーバ200は、給湯装置100の運転データD1に基づいて、第1情報を出力する。第1情報は、第1期間に第1運転設定により給湯装置100を制御した場合の給湯装置100の消費電力と、第1期間に第2運転設定により給湯装置100を制御した場合に予測される給湯装置100の消費電力との差分を含む。第2運転設定は、DR要請を受信していない時の運転設定である。
【選択図】
図4