(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】三軸加速度センサを搭載した計量装置およびその点検方法
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20250528BHJP
【FI】
G01G23/01 A
(21)【出願番号】P 2023549283
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2021035291
(87)【国際公開番号】W WO2023047564
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 健
(72)【発明者】
【氏名】松田 剛
(72)【発明者】
【氏名】長根 吉一
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-268147(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102778287(CN,A)
【文献】特開2019-045252(JP,A)
【文献】特開2014-038003(JP,A)
【文献】特開2012-208083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量皿と、
前記計量皿に接続された重量センサと、
前記重量センサの水平と平行な面にxとy、前記重量センサの水平に対して垂直な方向にzを設定して、x,y,zの三軸の加速度変化を検出する三軸加速度センサと、
前記重量センサが水平の時の前記三軸加速度センサの前記三軸の基準出力を記憶する記憶部と、
演算処理部と、を備え、
前記演算処理部は、
前記三軸加速度センサの前記三軸の出力が前記基準出力と比較して変化がある場合、前記重量センサ
が水平であることを確認したのちに、前記記憶部に記憶されている前記基準出力を前記三軸加速度センサの現在出力に更新する
ことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、前記変化がある場合、前記重量センサ
が水平であることを確認し、前記更新が完了するまで、前記計量装置が計量モードへ移行することを許可しないことを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、前記三軸加速度センサのxおよび/またはyの出力値について、前記基準出力と比較して変化がある場合、前記計量装置の水平確認の実施を警告することを特徴とする請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記演算処理部は、前記変化を検知した場合、その時の日付時刻を取得して、前回の変化を検知した前回変化日と今回の変化を検知した今回変化日の期間を加速度センサ値変化スパンとして算出するとともに、前記三軸加速度センサのxおよびyの出力値に関し前記前回変化日に更新された前記基準出力と前記今回変化日における現在出力の変化量を算出して、前記加速度センサ値変化スパン,xの前記変化量,およびyの前記変化量,から、前記計量装置の次回の水平確認の実行推奨時期を予測して警告することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の計量装置。
【請求項5】
前記演算処理部は、前記三軸加速度センサの前記三軸の出力を継続的に取得し記憶して、前記三軸の出力が予め記憶された挙動パターンと類似した場合、前記計量装置の水平確認の実施を警告することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の計量装置。
【請求項6】
計量皿と;前記計量皿に接続された重量センサと;前記重量センサの水平と平行な面にxとy、前記重量センサの水平に対して垂直な方向にzを設定して、x,y,zの三軸の加速度変化を検出する三軸加速度センサと;前記重量センサが水平
である時の前記三軸加速度センサの前記三軸の基準出力を記憶する記憶部と;を備えた計量装置を用いて、
(A)前記三軸加速度センサの前記三軸の出力を前記基準出力と比較するステップと;
(B)前記(A)ステップで変化がある場合、前記重量センサ
が水平であることを確認するステップと;
(C)前記(B)ステップで前記重量センサの水平が確認された場合、前記基準出力を前記三軸加速度センサの現在出力に更新するステップと;
を有することを特徴とする、計量装置点検方法。
【請求項7】
(D)前記(B)ステップで前記重量センサ
が水平であることを確認し、前記(C)ステップで前記更新が完了するまで、前記計量装置が計量モードへ移行することを許可しないステップと;を有することを特徴とする、請求項6に記載の計量装置点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三軸加速度センサを搭載した計量装置およびその点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計量装置である天びんは、計量皿に対して垂直な荷重の成分Wvを重量センサで測定し、天びんが設置された場所における重力加速度gを用いて、計量皿に載った物の質量mを、m=Wv/g・・・式(1)から求めている。重力加速度gが働く方向と計量皿に対して垂直な成分Wvの方向が一致する場合は、天びんが測定した質量、即ち計量値mは真の値と言える。一方、重力加速度gが働く方向と計量皿に対して垂直な成分Wvの方向が一致しない場合は、天びんが検出できない成分が発生し、天びんが測定した計量値mは真の値よりも軽くなる。このため、次の2つが生じた場合、計量値mは誤差を含むと言える。
(i)天びんが傾斜して、計量皿に対して垂直な荷重成分Wvが減少した場合
(ii)天びんが設置された場所が変わり、重力加速度gが変化した場合
【0003】
上記(i)に対し、一般的な天びんは、天びんの傾きをユーザーが目視で検出するための水平器(気泡玉)を備えているが、出願人は、三軸加速度センサを計量装置に搭載し、三軸加速度センサの出力値によって、上記(i)および(ii)の問題を天びん自身が検出し、天びん自身で解決(計量値を補正)する技術を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際出願番号PCT/JP2021/30859
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三軸加速度センサを利用して正しい測定(計量値の補正)をするには、三軸加速度センサの精度が重要となる。ところが、三軸加速度センサには、センサ自体のドリフト,取り付け部のゆるみ,または基板の変形などの経時変化が起こり、出力値にズレが生じることが予想される。例えば、ある三軸加速度センサの再現性は10年で±3.5mgもずれることを確認している。
【0006】
本発明は、前記した従来の問題点を解決するためになされたもので、三軸加速度センサを搭載した計量装置において、三軸加速度センサの経時変化を自動で検出し、変化による問題を自動で解決する計量装置および点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の計量装置は、計量皿と、前記計量皿に接続された重量センサと、前記重量センサの水平と平行な面にxとy、前記重量センサの水平に対して垂直な方向にzを設定して、x,y,zの三軸の加速度変化を検出する三軸加速度センサと、前記重量センサが水平の時の前記三軸加速度センサの前記三軸の基準出力を記憶する記憶部と、演算処理部と、を備え、前記演算処理部は、前記三軸加速度センサの前記三軸の出力が前記基準出力と比較して変化がある場合、前記重量センサの水平を確認したのちに、前記記憶部に記憶されている前記基準出力を前記三軸加速度センサの現在出力に更新する ことを特徴とする。
【0008】
上記態様において、前記演算処理部は、前記変化がある場合、前記重量センサの水平が確認され、前記更新が完了するまで、前記計量装置が計量モードへ移行することを許可しないのも好ましい。
【0009】
上記態様において、前記演算処理部は、前記三軸加速度センサのxおよび/またはyの出力値について、前記基準出力と比較して変化がある場合、前記計量装置の水平確認の実施を警告するのも好ましい。
【0010】
上記態様において、前記演算処理部は、前記変化を検知した場合、その時の日付時刻を取得して、前回の変化を検知した前回変化日と今回の変化を検知した今回変化日の期間を加速度センサ値変化スパンとして算出するとともに、前記三軸加速度センサのxおよびyの出力値に関し前記前回変化日に更新された前記基準出力と前記今回変化日における現在出力の変化量を算出して、前記加速度センサ値変化スパン,xの前記変化量,およびyの前記変化量,から、前記計量装置の次回の水平確認の実行推奨時期を予測して警告するのも好ましい。
【0011】
上記態様において、前記演算処理部は、前記三軸加速度センサの前記三軸の出力を継続的に取得し記憶して、前記三軸の出力が予め記憶された挙動パターンと類似した場合、前記計量装置の水平確認の実施を警告するのも好ましい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様の計量装置点検方法は、計量皿と;前記計量皿に接続された重量センサと;前記重量センサの水平と平行な面にxとy、前記重量センサの水平に対して垂直な方向にzを設定して、x,y,zの三軸の加速度変化を検出する三軸加速度センサと;前記重量センサが水平の時の前記三軸加速度センサの前記三軸の基準出力を記憶する記憶部と;を備えた計量装置を用いて、(A)前記三軸加速度センサの前記三軸の出力を前記基準出力と比較するステップと;(B)前記(A)ステップで変化がある場合、前記重量センサの水平を確認するステップと;(C)前記(B)ステップで前記重量センサの水平が確認された場合、前記基準出力を前記三軸加速度センサの現在出力に更新するステップと;を有することを特徴とする。
【0013】
上記態様において、(D)前記(B)ステップで前記重量センサの水平が確認され、前記(C)ステップで前記更新が完了するまで、前記計量装置が計量モードへ移行することを許可しないステップと;を有するのも好ましい。
【0014】
上記態様において、(E)前記(B)ステップで前記三軸加速度センサのxおよび/またはyの出力値について、前記基準出力と比較して変化がある場合、前記計量装置の水平確認の実施を警告するステップと;を有するのも好ましい。
【0015】
上記態様において、(F)前記(B)ステップで前記変化を検知した場合、その時の日付時刻を取得して、前回の変化を検知した前回変化日と今回の変化を検知した今回変化日の期間を加速度センサ値変化スパンとして算出するとともに、前記三軸加速度センサのxおよびyの出力値に関し前記前回変化日に更新された前記基準出力と前記今回変化日における現在出力の変化量を算出して、前記加速度センサ値変化スパン,xの前記変化量,およびyの前記変化量,から、前記計量装置の次回の水平確認の実行推奨時期を予測して警告するステップと;を有するのも好ましい。
【0016】
上記態様において、(G)前記三軸加速度センサの前記三軸の出力を継続的に取得し記憶して、前記三軸の出力が予め記憶された挙動パターンと類似した場合、前記計量装置の水平確認の実施を警告するステップと;を有するのも好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、三軸加速度センサを搭載した計量装置において、三軸加速度センサの経時変化を自動で検出し、変化による問題を自動で解決する計量装置および計量方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る計量装置の概略斜視図である。
【
図3】三軸加速度センサの各成分の関係を示す図である。
【
図4】実施の形態において好適な三軸加速度センサの取り付け形態を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る計量装置の点検方法のフロー図である
【
図6】加速度センサ点検部による水平確認の警告画面の表示例である。
【
図8】本発明の実施の形態の変形例1に係る計量装置の構成ブロック図である。
【
図9】同変形例1に係る計量装置の点検方法のフロー図である。
【
図10】水平加速度変化通知部による水平確認の警告画面の表示例である。
【
図11】本発明の実施の形態の変形例2に係る計量装置の構成ブロック図である。
【
図12】同変形例2に係る計量装置の点検方法のフロー図である。
【
図13】加速度変化スパン予測部による水平確認の警告画面の表示例である。
【
図14】本発明の実施の形態の変形例3に係る計量装置の構成ブロック図である。
【
図15】加速度時間変化監視部による水平確認の警告画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0020】
1.実施の形態
1-1.計量装置
図1は本発明の実施の形態に係る計量装置の概略斜視図であり、
図2は同計量装置の構成ブロック図である。本形態の計量装置は、電子秤である(以降、天びん1と言う)。
図1から、天びん1は、アジャスタ8、本体ケース10、計量皿11を備える。なお、風防9は必須ではない任意の要素である。
【0021】
計量皿11には、計量物が載置される。計量皿11は、後述する重量センサ12に接続され、本体ケース10の上に配置される。本体ケース10は、重量センサ12を収容するもので、本形態では上ケース10uと下ケース10dの分割構造となっている(後述する
図4参照。但し、分割構造は必須ではない任意の要素である)。本体ケース10の前面には、操作部15、表示部16、水平器19が設けられている。操作部15からは、各操作が行える。表示部16は、タッチパネル式の液晶ディスプレイであって、後述する画面が表示される。操作部15および表示部16は、後述する水平確認完了ボタン17を備える。水平器19は、基準線の中央に気泡が位置しているかをユーザーが目視で確認する、公知のものである。アジャスタ8は、本体ケース10の下面の前方左右二箇所に、左右独立した構造で配置されている(但し、この配置に限定されるものではない)。アジャスタ8の回転部を回すと、アジャスタ8の足コマが上下し、本体ケース10の水平調整が可能である。
【0022】
図2から、天びん1は、重量センサ12、演算処理部13、記憶部14、そして三軸加速度センサ20を備える。これらの要素は、本体ケース10の中に収容されている。
【0023】
計量皿11と重量センサ12は、ロバーバル機構(図示略)で接続されている。ロバーバル機構は、計量皿11が受けた荷重を重量センサ12に伝達するための構造であり、矩形の金属ブロックにより形成され、計量皿11からの荷重を受ける浮き部と,本体ケース10に固定される固定部と,浮き部と固定部を接続する上下の副桿と,浮き部に作用した荷重を重量センサ12に伝達する荷重伝達部を備える、公知のものである。前述したように、一般的に、天びんは、計量皿に対して垂直な荷重成分Wvを測定し、天びんが設置された場所における重力加速度gを用いて、式(1)から、計量物の計量値mを求める。この原理を利用するために、前提として、重量センサ12は、天びん1の組み立て時に、水平が確保されている台の上で、本体ケース10に対して、例えば別の水平器などを用いながら、重量センサ12が水平を保つように取り付けられる(例えば、ロバーバル機構の備える平面が水平を保つように取り付けられる)。計量皿11は、ロバーバル機構から突出する皿ボス(図示略)によって、重量センサ12の水平に対して垂直の方向から下方支持され、計量皿11の水平が重量センサ12の水平に一致するように取り付けられる。
【0024】
三軸加速度センサ20(以下、加速度センサ20と言う。)は、バネと重りが一体化したセンサとセンサに加速度が加わったときの変位を捉える要素を備えたICモジュールである。
図3は、ある仮想面vp上に加速度センサ20を搭載した時の、検出する傾斜角θと重力加速度gの各成分の関係を示す図である。加速度センサ20は、仮想面vpの直交三軸方向の加速度を検出する。加速度センサのx,yは仮想面vpにあり、zは仮想面vpと垂直な方向にある。加速度センサ20に対する重力加速度gの各成分を“gx,gy,gz”と表記する。gx,gy成分は仮想面vpにあり、仮想面vpと垂直な方向にgz成分がある。傾斜角θは、重力加速度gの方向とgz成分の方向とのなす角となる。
【0025】
天びん1において、加速度センサ20を配置する仮想面vpは、重量センサ12の水平と平行に設定される。仮想面vpは、重量センサ12と干渉しない位置であれば、本体ケース10内の任意の位置に設定されてよいが、例えば
図4のように設定するのが好ましい。
図4のパターン1は、加速度センサ20が本体ケース10の下ケース10dに取り付けられる例である。加速度センサ20は、センサ設置板21に載せられ、下ケース10dのケース内面に、例えばネジ固定される。センサ設置板21は面一の平面を備えるものであり、センサ設置板21が仮想面vpとなる。
図4のパターン2は、加速度センサ20が上ケース10uに取り付けられる例である。同様に、加速度センサ20は、センサ設置板21に載せられ、上ケース10uのケース内面にネジ固定され、センサ設置板21が仮想面vpとなる。いずれにおいても、加速度センサ20は、天びん1の組み立て時に、水平が確保されている台の上で、例えば別の水平器などを用いながら、センサ設置板21が水平を保つように本体ケース10に固定され、加速度センサ20の水平と重量センサ12の水平が一致するように取り付けられる。すなわち、水平器19で本体ケース10(天びん1)の水平が確認されれば、重量センサ12と加速度センサ20も水平状態にあるように構成されている。後述する計量値補正部132において、重量センサ12が受ける荷重の傾斜による変化分を検知して補正するため、加速度センサ20の水平と重量センサ12の水平を一致させて両者の傾斜角の原点を一致させることが重要である。
【0026】
重量センサ12には、電磁平衡式、歪ゲージ式、または静電容量式等が用いられる。重量センサ12が検出した荷重はA/D変換されて演算処理部13に入力し、計量値mに変換される。
【0027】
演算処理部13は、例えばCPU,ROM,RAM等を集積回路に実装したマイクロコントローラである。演算処理部13は、
図2に示すように、日常点検部131、計量値補正部132、そして加速度センサ点検部133を備える。機能部131,132,および133は、例えば、CPUが記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0028】
日常点検部131は、ユーザーに天びんの日常点検を実施するよう促す日常点検アプリケーションプログラムを実行する。天びんの日常点検では、(1)水平確認,(2)汚れ・異物の確認,(3)分銅による計量値の確認,などが推奨される。日常点検部131は、表示部16に、日常点検に係る項目(1)~(3)のチェックを誘導する画面を表示して、日常点検を誘導する。ユーザーは、アジャスタ8を調整し、水平器19の気泡が中心にくるよう調整すると、水平確認完了ボタン17を押す。但し、ユーザーの便宜のために、この作業はスキップすることも可能となっている。日常点検アプリケーションは公知のものでよいため、詳細は割愛する。
【0029】
計量値補正部132は、加速度センサ20の現在出力“Xout(1),Yout(1),Zout(1)”の各成分を、後述する基準出力“Xout(0),Yout(0),Zout(0)”と比較する。そして、比較の結果が、パターン(1):zのみが変化,パターン(2):xおよび/またはyが変化,パターン(3):zとxおよび/またはyが変化,の、どの変化に当たるかを判断し、それぞれのパターンに応じて、次の補正式を使って、重量センサ12が検出した計量値mを、補正計量値m´に補正する。この補正は特許文献1(国際出願番号PCT/JP2021/30859)を引用することができる。
【0030】
パターン(1)が生じた場合:天びん1の設置場所が変化したと検出し、式(1)で計量値の補正を行う。
パターン(2)が生じた場合:天びん1に傾きが生じたと検出し、式(2)を使用して計量値の補正を行う。
パターン(3)が生じた場合:天びん1に、傾きと重力加速度の両方の変化が生じたと検出し、式(3)で計量値の補正を行う。
但し、
m´:補正計量値
Wv:計量皿に対して垂直な荷重成分
glocal:現地の重力加速度。天びん1を工場からの出荷や施設の移動などにより移動した場合の、天びんの移動後の値
m:式(1)で重量センサが検出する計量値
g:式(1)で用いられる重力加速度
θ:重力加速度の方向と三軸加速度センサが検出するz軸とのなす角
gx(θ):三軸加速度センサが検出するxの出力の値
gy(θ):三軸加速度センサが検出するyの出力の値
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
加速度センサ点検部133の機能は、後述する“1-2.点検方法”において説明する。
【0035】
記憶部14は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、またはメモリーカード等の記憶媒体である。記憶部14には、演算処理部13の演算のための各種プログラム、日常点検アプリケーションを実行するためのプログラム、後述する加速度センサ20を点検するためのプログラム、および点検のための各閾値が記憶されている。また、記憶部14は、計量値補正部132の補正および加速度センサ点検部133の点検のために、加速度センサ20の基準出力を記憶する。加速度センサ20の基準出力は、天びん1が水平であることが確認されたときの、すなわち重量センサ12が水平である時の、加速度センサ20の三軸の出力(以降、“Xout(0),Yout(0),Zout(0)”とも表記する)である。デフォルトの基準出力は、工場において、天びん1の組み立て工程において、天びん1(重量センサ12)が水平な状態で測定された基準出力“Xout(0),Yout(0),Zout(0)”であり、これが記憶部14に記憶される。以降の基準出力は、加速度センサ点検部133により更新されることがある(後述する)。
【0036】
1-2.点検方法
図5は、実施の形態に係る計量装置の点検方法のフロー図である。本フローは、天びん1の電源が入れられた時、または天びん1が一定時間未使用であった時など、天びん1が計量モードに移る前に、自動で開始される。
【0037】
フローが開始されると、まず、ステップS101で、日常点検部131が機能して、日常点検を開始し、ユーザーに水平確認の実施を誘導する。
【0038】
次にステップS102に移行して、加速度センサ点検部133が機能する。加速度センサ点検部133は、水平確認が実施されたか否かを判断する。加速度センサ点検部133は、水平確認完了ボタン17が押された場合、水平確認が実施されたと認識する。水平確認完了ボタン17が押されず作業がスキップされた場合、水平確認が実施されなかったと認識する。
【0039】
ステップS102で水平確認が実施されれば(YES)、天びん1の水平と重量センサ12および加速度センサ20の水平は一致するように構成されていることから、重量センサ12(加速度センサ20)も水平であると仮定できることとなる。よって、加速度センサ点検部133は、加速度センサ20の出力値を信用してよいとして、天びん1が計量モードへ移行することを許可する(ステップS103)。以降の計量では、計量値補正部132が、加速度センサ20の出力値を利用して、重量センサ12が検出した計量値mを補正計量値m´に補正する。
【0040】
一方、ステップS102で水平確認が実施されなかった場合(NO)、重量センサ12(加速度センサ20)の水平が確認できないため、このままでは、計量値補正部132は、加速度センサ20の出力値に加速度センサ20の傾斜による誤差と加速度センサ20の経時変化による誤差が含まれていたとしても、両者を識別も排除もできないため、誤った補正をしてしまう。これを防ぐために、加速度センサ点検部133はステップS104に移行する。
【0041】
ステップS104に移行すると、加速度センサ点検部133は、加速度センサ20の現在出力“Xout(1),Yout(1),Zout(1)”を取得する。
【0042】
次にステップS105に移行して、加速度センサ点検部133は、記憶部14に記憶されている基準出力を読み出して、現在出力“Xout(1),Yout(1),Zout(1)”と基準出力“Xout(0),Yout(0),Zout(0)”を比較する。
【0043】
次にステップS106に移行して、加速度センサ点検部133は、基準出力と現在出力に変化があるか判断する。変化がある/変化がないは、数値が一致する場合の他に、出力差について天びん1の提供するスペックに応じて計量誤差に影響しない程度の許容閾値を設定して判断されてよい。
【0044】
ステップS106で変化がない場合(NO)、加速度センサ点検部133は、重量センサ12(加速度センサ20)の水平を確認できなかったが、加速度センサ20の現在の出力値が基準出力(傾斜角θ=0)と比較して問題ないため、重量センサ12(加速度センサ20)も水平であると仮定できることとなる。よって、加速度センサ点検部133は、加速度センサ20の出力値を信用することができると判断し、天びん1が計量モードへ移行することを許可する(ステップS103)。
【0045】
一方、ステップS106で変化がある場合(YES)は、ステップS107に移行する。ステップS107で、加速度センサ点検部133は、加速度センサ20の出力値が基準出力(傾斜角θ=0)と比較して異常であるため、加速度センサ20の出力値を信用することができないと判断する。しかしこの時点では、加速度センサ点検部133は、加速度センサ20の傾斜による誤差か加速度センサ20の経時変化による誤差か両者を識別できない。そこで、加速度センサ点検部133は、この時の現在出力を記録のために記憶部14に保存し、日常点検部131による水平確認とは別に、表示部16に、ユーザーに水平確認の実施を警告する画面を表示する。
図6は、加速度センサ点検部による水平確認の警告画面の表示例である。警告画面では、加速度センサの出力値に異常があるため、天びんの水平を確認しなければ、計量値の補正が正しく機能しないという旨を記載して、加速度センサを根拠にした説明をするのが好ましい。その際、加速度センサの数値も提示するとなお好ましい。この際、加速度センサ点検部133は、水平確認完了ボタン17が押され、後述するステップS108の更新が完了するまで、計量モードへ移行することを許可しない。
【0046】
水平確認完了ボタン17が押されると、フローはステップS108に移行する。加速度センサ点検部133は、ステップS107で重量センサ12(加速度センサ20)の水平が確認できたため、残った変化分が加速度センサ20の経時変化であると判別できる。そこで、加速度センサ点検部133は、ステップS108で、加速度センサ20の基準出力を、改めて取得した現在出力に更新する。具体的に、加速度センサ点検部133は、記憶部14に記憶している基準出力“Xout(0),Yout(0),Zout(0)”を、ステップS108で取得した現在出力“Xout(1),Yout(1),Zout(1)”の値に上書きする(以降、上書きされた基準出力を、更新基準出力“Xout(00),Yout(00),Zout(00)”と表記する場合がある。)。基準出力を更新すると、加速度センサ点検部133は、天びん1が計量モードへ移行することを許可する(ステップS103)。
【0047】
以降の計量では、計量値補正部132が、加速度センサ20の出力値を利用して、重量センサ12が検出した計量値mを補正計量値m´に補正する。ここで、ステップS108を経て、基準出力は更新基準出力“Xout(00),Yout(00),Zout(00)”に更新されているため、計量値補正部132は、現在出力“Xout(1),Yout(1),Zout(1)”の各成分を、更新基準出力“Xout(00),Yout(00),Zout(00)”と比較して、パターン(1)~(3)を識別し、各補正をする。このように、加速度センサ点検部133により、加速度センサ20の出力に変化がある場合、重量センサ12(加速度センサ20)の水平が確認されたのちに、加速度センサ20の基準出力が更新されることで、経時変化の影響分が適切に排除され、計量値補正部132の補正が引き続き正しく機能する。
【0048】
図7は、本フローによる点検方法を実施した例である。例として、質量が10000.00gの計量物の測定を行う。1月1日、ユーザーによる水平確認が実施されたものとする(
図5のS102:YES)。この場合、天びん1の水平が確保され、重量センサ12(加速度センサ20)の水平も確認された状態であるため、天びん1に傾斜(傾斜角θ=0.1°)が生じても、加速度センサ20の傾斜(傾斜角θ=0.1°)が一致し、計量値補正部132が正しく機能して補正計量値m´=10000.00gが測定される(
図7の※1)。
【0049】
しかしその後、7月1日までの半年間、水平確認が実施されなかったものとする(
図5のS102:NO)。この間、重量センサ12(加速度センサ20)の水平が確認できていない状態であり、水平器19で天びん1の水平が確保されているものの(傾斜角θ=0°)、加速度センサ20にだけ経時変化によるズレが生じている(傾斜角=0.18°)ことが起こり得る(
図7の※2)。このままでは、天びん1は実際は水平にも関わらず、加速度センサ20のズレにより、計量値補正部132は、誤った補正計量値m´=10000.05gを測定してしまう(
図7の※3)。
【0050】
これに対し、加速度センサ点検部133が機能すれば、加速度センサ20の経時変化が検出され(
図5のS104~S107)、加速度センサ20に経時変化がある場合には水平が更新され(
図5のS108)、更新基準出力が傾斜角0°のときの出力値とされる(
図7の※4)。加速度センサ20の基準出力が更新されたことで、計量値補正部132は、正しい補正計量値m´=10000.00gを測定することができる(
図7の※5)。
【0051】
1-3. 効果
以上、本形態の天びん1によれば、三軸加速度センサ20を搭載した天びん1において、加速度センサ20の経時変化を検出することができる。そして、加速度センサ20の出力に変化がある場合、重量センサ12(加速度センサ20)の水平が確認できたときに加速度センサ20の水平を更新することで、加速度センサ20の経時変化によるズレを修正し、継続的に正しい計量を行うことができる。
【0052】
2. 変形例
次に、上述の実施の形態に適用できる好適な変形例について述べる。
【0053】
2-1.変形例1
図8は本発明の実施の形態の変形例1に係る計量装置の構成ブロック図、
図9は同変形例1に係る計量装置の点検方法のフロー図である。
【0054】
変形例1の天びん1は、演算処理部13に、さらに水平加速度変化検知部135を備える(
図8)。水平加速度変化検知部135は、実施の形態で日常点検(の水平確認)が実施されたとしても、加速度センサ20のx成分および/またはy成分について、変化があるかを念のためにチェックする。水平加速度変化検知部135は、現在出力と基準出力を比較し、変化があるか判断する。変化がある/変化がないは、数値が一致する場合の他に、出力差についてステップS106で使用される許容閾値と同等または許容閾値より緩い水平検知閾値を基準にして判断されてよい。
図9に示すように、水平加速度変化検知部135は、実施の形態(
図5)のステップS102に代えて、ステップS109~S111で機能する。
【0055】
水平加速度変化検知部135でxおよび/またはyに変化が検知されなかった場合(S109:NO)は、加速度センサ20の出力値を信用してよいとして、天びん1は計量モードへ移行することを許可される(ステップS103)。
【0056】
一方、水平加速度変化検知部135でxおよび/またはyに変化が検知された場合(S109:YES)は、日常点検でユーザーによる目視確認があったとしても、実際には天びん1が(提供するスペックを保てないほどに)傾斜しているため、水平加速度変化検知部135は、ステップS110に移行して、表示部16に、ユーザーに水平確認の実施を警告する画面を表示する。
図10は、水平加速度変化検知部135による水平確認の警告画面の表示例である。この警告画面では、加速度センサの水平成分に変化があるため、天びんが傾斜しているおそれがあり、計量値の補正が正しく機能しないおそれがあるから、再度の水平確認の実行を推奨するという旨を記載して、加速度センサを根拠にした説明をするのが好ましい。その際、加速度センサの数値も提示するとなお好ましい。
【0057】
加速度センサ点検部133は、水平加速度変化検知部135での警告(S110)の後、水平確認が実施されたか否かを判断する(S111)。水平確認が実施されれば(S111:YES)、天びん1が計量モードへ移行することを許可する(ステップS103)。水平確認が実施されなかった場合(S111:NO)、フローをステップS104に移行させて、加速度センサ点検部133による水平チェック、すなわち場合によっては水平の更新が行われるようにする。
【0058】
2-2.変形例2
図11は、本発明の実施の形態の変形例2に係る計量装置の構成ブロック図、
図12は同変形例2に係る計量装置の点検方法のフロー図である。
【0059】
変形例2の天びん1は、演算処理部13に、さらに加速度変化スパン予測部136と、必要に応じて通信部18を備える。加速度変化スパン予測部136は、
図12に示すように、実施の形態で変化を検知した(
図5のステップS106:YES)後に、ステップS111として機能する。通信部18は、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェースカード、LANカード等の通信制御装置であり、天びん1と外部装置(図示せず)との有線または無線の通信を可能にする。
【0060】
加速度変化スパン予測部136は、加速度センサ点検部133が変化を検知した時に、演算処理部13のCPUクロックからその時の日付時刻を取得して、前回変化日と今回変化日の期間(以下、「加速度センサ値変化スパン」と言う。)を算出するとともに、加速度センサ20のxおよびyの出力値に関し前回変化日の更新基準出力と今回変化日における現在出力の変化量を算出する。加速度センサ値変化スパン,xの変化量,およびyの変化量は、天びん1のログの一つとして記憶部14に記憶され、USB等で接続された外部装置や通信部18で接続された外部装置(管理サーバ等)に出力可能である。そして、加速度変化スパン予測部136は、例えば次のように、次回の水平確認の実行推奨時期を予測する。
【0061】
加速度変化スパン予測部136は、統計的な予測を行う。例えば、これまでの、xおよび/またはyの変化量と時間を変数とした回帰分析を行って、回帰直線から、xおよび/またはyの変化量がステップS106の許容閾値を超過する時を、次回の水平確認の実行推奨時期として算出する。または、これまでに算出された加速度センサ値変化スパンの平均期間を算出し、平均期間を超過する時を、次回の水平確認の実行推奨時期として算出する。
【0062】
或いは、加速度変化スパン予測部136は、機械学習的な予測を行う。例えば、“加速度センサ経時変化予測モデル”に基づき、次回の水平確認の実行推奨時期を予測してもよい。加速度センサ経時変化予測モデルは、加速度センサを搭載した天びん(複数)から収集されたビックデータから、加速度センサ値変化スパン,xの変化量,およびyの変化量を抽出して、これらを学習データとして機械学習を行い生成されたものであり、非線形ユニットの1つまたは複数の層を使用するニューラルネットワークにより実現され、図示しない管理サーバに保存されている。この場合、加速度変化スパン予測部136は、通信部18を介して、加速度センサ経時変化予測モデルに、天びん1の現在の情報(xの変化量,yの変化量,許容閾値)を入力し、加速度センサ経時変化予測モデルから、加速度センサ値変化スパンの出力を得て、その期間に基づき、次回の水平確認の実行推奨時期を算出する。
【0063】
そして、加速度変化スパン予測部136は、表示部16に、ユーザーに水平確認の実行推奨時期を警告する画面を表示する。
図13は、加速度変化スパン予測部136による水平確認の警告画面の表示例である。警告画面では、加速度センサの経時変化期間はどのぐらいで、加速度センサの経時変化を修正するために、次回は●年●月●日頃、水平確認の実行を推奨するという旨を記載して、加速度センサを根拠にした説明をするのが好ましい。その際、加速度センサの数値も提示するとなお好ましい。また、警告画面は、
図12のステップS111で表示されてもよいし、日常点検時(
図12のステップS101)に表示されてもよい。
2-3.変形例3
図14は、本発明の実施の形態の変形例3に係る計量装置の構成ブロック図である。
【0064】
変形例3の天びん1は、演算処理部13に、さらに加速度時間変化監視部137を備える。加速度時間変化監視部137は、実施の形態において、継続的に、加速度センサ20の三軸の出力“Xout,Yout,Zout”を検出し記録して、モニタリングを行う(例えば、1秒間に1回、現在出力を取得する)。そして、加速度時間変化監視部137は、加速度センサ20の三軸の出力が所定の挙動を示した場合、ユーザーに水平確認の実施を警告する。
【0065】
加速度時間変化監視部137は、主として“振動”の挙動を検出する。天びん1が振動を受けた場合、天びん1に傾きが生じることが多いため、水平確認が強く推奨される。例えば地震による振動があった場合、加速度センサ20の三軸の出力は一定時間急激に変動し続ける挙動を示す。天びん1に物がぶつかった場合、加速度センサ20の三軸の出力は瞬間的に大きく変動した後、安定した値に戻る挙動を示す。記憶部14にはこれらの振動の典型的な挙動パターンが予め記憶されており、加速度時間変化監視部137は、これらの挙動パターンとの相関性を常に監視する。加速度時間変化監視部137は、加速度センサ20の三軸の時間変化が挙動パターンと類似した場合、
図15に示すような警告画面を表示部16に表示する。警告画面では、加速度センサの出力値から天びんが振動を受けた可能性が高いため、計量値の補正が正しく機能しないおそれがあるから、水平確認の実行を推奨するという旨を記載して、加速度センサを根拠にした説明をするのが好ましい。その際、加速度センサの数値も提示するとなお好ましい。警告画面は、加速度時間変化監視部137が振動を検出した時点で表示されるのが好ましい。
【0066】
変形例1、2、3のいずれも、天びんに加速度センサを搭載したことにより実現でき、かつ、加速度センサの出力を根拠にして、水平確認の時期や必要性をユーザーに警告することができるため、好適である。また、水平確認を実施したほうが良いタイミングでユーザーを誘導することができるから、加速度センサ20の出力値に天びんの傾斜による誤差が含まれている状態を減らすことができ、結果として、加速度センサ点検部133による加速度センサ20の経時変化の検知の確度を向上させることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施の形態およびその変形例について述べたが、これらは本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 天びん
10 本体ケース
11 計量皿
12 重量センサ
13 演算処理部
14 記憶部
15 操作部
16 表示部
17 水平確認完了ボタン
18 通信部
19 水平器
20 三軸加速度センサ
131 日常点検部
132 計量値補正部
133 加速度センサ点検部
135 水平加速度変化検知部
136 加速度変化スパン予測部
137 加速度時間変化監視部