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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20250528BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20250528BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20250528BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20250528BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F7/06 101Z
F24F11/52
F24F9/00 C
F24F9/00 M
F24C15/20 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021175441
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023064962
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2024-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 吏津
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-112717(JP,A)
【文献】特開2005-098618(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01757871(EP,A2)
【文献】特開2018-059696(JP,A)
【文献】特開2018-084382(JP,A)
【文献】特開2014-088986(JP,A)
【文献】特開2021-105497(JP,A)
【文献】特開平07-210191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 11/52
F24F 9/00
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、前記本体ケースに設けられるとともに吸気口及び排気口を有する第一の流路と、前記吸気口から気体を吸い込んで前記排気口へ搬送する送風機と、前記吸気口及び前記排気口とは異なる一方の開口部及び他方の開口部を有するとともに前記第一の流路とは異なる第二の流路と、前記第二の流路中の気体を搬送する送風手段とを備え、
前記第二の流路は、前記一方の開口部を、前記吸気口とは異なる位置にて前記本体ケースの外面に配置しており、前記一方の開口部よりも上方側に、前記本体ケースの外部から視認されるように表示装置を設けたことを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記第二の流路の気体の流れの向きを、前記一方の開口部から前記他方の開口部へ向かう一方の向きと前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かう逆向きとで切り替える流向切替手段が設けられていることを特徴とする請求項記載のレンジフード。
【請求項3】
前記表示装置は、表示面の角度を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のレンジフード。
【請求項4】
前記本体ケース周囲の物体の高さを検知する物体高さ検知部と、前記表示面の角度を変化させる角度駆動部とを備え、
前記物体高さ検知部の検知信号に応じて前記角度駆動部を制御するようにしたことを特徴とする請求項3記載のレンジフード。
【請求項5】
前記本体ケースに、前記表示装置を収納するための収納部が設けられていることを特徴とする請求項何れか1項記載のレンジフード。
【請求項6】
前記表示装置は、前記本体ケースの周囲の人によって視認可能な使用状態と、前記収納部に収納された収納状態との間で移動するように設けられていることを特徴とする請求項記載のレンジフード。
【請求項7】
前記収納部が、前記表示装置が嵌り合う窪み状に形成されていることを特徴とする請求項または記載のレンジフード。
【請求項8】
前記他方の開口部が、前記収納部の内面に設けられていることを特徴とする請求項記載のレンジフード。
【請求項9】
前記表示装置が、当該レンジフードを操作するための操作手段を具備していることを特徴とする請求項1~何れか1項記載のレンジフード。
【請求項10】
前記操作手段が、入力される音声により当該レンジフードを操作する音声操作機能を具備していることを特徴とする請求項記載のレンジフード。
【請求項11】
前記表示装置が、前記本体ケースに対し着脱可能に設けられ、当該レンジフードとの通信機能を備えていることを特徴とする請求項110何れか1項記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、キッチンの加熱調理具の上方に設置され、調理により発生する油煙や、廃ガス等をフードに吸い込ませて送風機により排出するようにしたレンジフードがある。このようなレンジフードには、前記フードの外面に、前記送風機をオンオフ操作するための操作スイッチや、照明等が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-180456公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、調理等による油煙や廃ガス等が過剰な場合には、油煙や廃ガス等をフードにより捕集しきれず、この油煙が、上記操作スイッチ、照明、外面パネル等、フードの外装部分を汚してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
本体ケースと、前記本体ケースに設けられるとともに吸気口及び排気口を有する第一の流路と、前記吸気口から気体を吸い込んで前記排気口へ搬送する送風機と、前記吸気口及び前記排気口とは異なる一方の開口部及び他方の開口部を有するとともに前記第一の流路とは異なる第二の流路と、前記第二の流路中の気体を搬送する送風手段とを備え、前記第二の流路は、前記一方の開口部を、前記吸気口とは異なる位置にて前記本体ケースの外面に配置していることを特徴とするレンジフード。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、捕集しきれなかった油煙等が外装部を汚してしまうのを防ぐことがきる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るレンジフードの一例を示す斜視図である。
図2】同レンジフードの一例の断面斜視図である。
図3】同レンジフードの一例について、第二の流路の一方の開口部寄り部分を拡大して示す縦断面図である。
図4】同レンジフードの一例について、第二の流路の他方の開口部寄り部分を拡大して示す縦断面図である。
図5】同レンジフードの縦断面図であり、表示装置を収納する様子を(a)~(c)に順次に示している。
図6】同レンジフードの縦断面図であり、表示装置を着脱する様子を示している。
図7】本発明に係るレンジフードの他例を示す要部断面斜視図である。
図8】本発明に係るレンジフードの他例を示す断面斜視図である。
図9図8に示すレンジフードの他例について、第二の流路の他方の開口部寄り部分を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、本体ケースと、前記本体ケースに設けられるとともに吸気口及び排気口を有する第一の流路と、前記吸気口から気体を吸い込んで前記排気口へ搬送する送風機と、前記吸気口及び前記排気口とは異なる一方の開口部及び他方の開口部を有するとともに前記第一の流路とは異なる第二の流路と、前記第二の流路中の気体を搬送する送風手段とを備え、前記第二の流路は、前記一方の開口部を、前記吸気口とは異なる位置にて前記本体ケースの外面に配置している(図1図9参照)。
この構成によれば、第二の流路の一方の開口部を出入りする気流により外装部分への油煙や埃、結露水等の付着を阻むことができる。
【0009】
第2の特徴は、前記他方の開口部から吸い込んだ気体を前記一方の開口部から吐き出すようにした(図8参照)。
この構成によれば、一方の開口部から吹き出される気体の流れにより、油煙や埃等が外装部分を汚すのを阻むことができる。前記気体の流れは、例えば、エアカーテンと同様の気流にしてもよい。
【0010】
第3の特徴は、前記一方の開口部から吸い込んだ気体を前記他方の開口部から吐き出すようにした(図2参照)。
この構成によれば、第一の流路の吸気口によって捕集しきれなかった油煙等を第二の流路の一方の開口部によって捕集することができる。
【0011】
第4の特徴は、前記第二の流路の気体の流れの向きを、前記一方の開口部から前記他方の開口部へ向かう一方の向きと前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かう逆向きとで切り替える流向切替手段が設けられている(図3参照)。
この構成によれば、必要に応じて、第二の流路の流れの向きを切り替えることができる。
【0012】
第5の特徴として、前記送風手段は、前記第一の流路の気体を搬送する前記送風機を用いて、前記第二の流路の気体を搬送する(図7参照)。
この構成によれば、別途ファンやモータ等を設けることなく、第二の流路の気体を搬送することができる。
【0013】
第6の特徴として、前記送風手段は、前記他方の開口部を前記第一の流路の流路壁に設けている(図7参照)。
この構成によれば、第二の流路側の気体を第一の流路へ合流したり、第一の流路側の気体を第二の流路へ取り込んだりすることが可能になる。
【0014】
第7の特徴として、前記送風手段は、前記送風機とは別体の送風装置を具備している(図2及び図3参照)。
この構成によれば、第二の流路を流れる気体の向きの変更や流量調整を容易にすることができる。
【0015】
第8の特徴として、前記本体ケース周囲の煙の量を検出し、その検出値に応じて前記送風手段による流量を調整する(図1参照)。
この構成によれば、本体ケース周囲の煙の量に応じて第二の流路を流れる気体の流量を適宜に自動調整することができる。
【0016】
第9の特徴として、前記一方の開口部に、流れ方向を変えるルーバーを設けた(図3参照)。
この構成によれば、一方の開口部について、気体の吸い込み方向または吹き出し方向を変えることができる。
【0017】
第10の特徴として、前記本体ケースの周囲の物体を検知する物体検知部と、前記ルーバーを駆動するルーバー駆動源とを備え、前記物体検知部の検知信号に応じて、ルーバー駆動源を制御して、前記ルーバーによる流れ方向を調整するようにした(図1参照)。
この構成によれば、本体ケースの周囲の物体の有無に応じて、一方の開口部における気体の吸い込み方向または吹き出し方向を調整することができる。
【0018】
第11の特徴として、前記第二の流路は、前記他方の開口部から前記一方の開口部へ向かって高くなる傾斜部を有し、前記傾斜部が、前記他方の開口部に隣接している(図4参照)。
この構成によれば、油摘や水滴等の液体が、他方の開口部から侵入して一方の開口部へ流れるのを傾斜部により防ぐことができる。
【0019】
第12の特徴として、前記一方の開口部よりも上方側に、前記本体ケースの外部から視認されるように表示装置を設けた(図1参照)。
この構成によれば、油煙等により表示装置が汚れるのを、一方の開口部を通過する気体の流れにより阻むことができる。また、周囲の油煙等により表示装置の視認性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0020】
第13の特徴として、前記表示装置は、表示面の角度を変更可能に設けられている。
この構成によれば、使用者が視認し易いように、表示装置の表示面を角度調整することができる。
【0021】
第14の特徴として、前記本体ケース周囲の物体の高さを検知する物体高さ検知部と、前記表示面の角度を変化させる角度駆動部とを備え、前記物体高さ検知部の検知信号に応じて前記角度駆動部を制御する(図5参照)。
この構成によれば、例えば、本体ケースの前方に立つ使用者の頭の高さに応じて、表示装置の視認性が良好になるように角度調整することができる。
【0022】
第15の特徴として、前記本体ケースに、前記表示装置を収納するための収納部が設けられている(図2及び図5参照)。
この構成によれば、表示装置を使用しないとき等に収納することができる。
【0023】
第16の特徴として、前記表示装置は、前記本体ケースの周囲の人によって視認可能な使用状態と、前記収納部に収納された収納状態との間で移動するように設けられている(図5参照)。
この構成によれば、表示装置を使用状態と収納状態に変化させることができる。
【0024】
第17の特徴として、前記収納部が、前記表示装置が嵌り合う窪み状に形成されている(図2及び図5参照)。
この構成によれば、表示装置を収納部に収納した際の外観上の体裁を向上することができる。
【0025】
第18の特徴として、前記他方の開口部が、前記収納部の内面に設けられている(図8及び図9参照)。
この構成によれば、他方の開口部を目立たないように設けることができる。
【0026】
第19の特徴として、前記表示装置が、当該レンジフードを操作するための操作手段を具備している。
この構成によれば、当該レンジフードの操作性を向上することができる。
【0027】
第20の特徴として、前記操作手段が、入力される音声により当該レンジフードを操作する音声操作機能を具備している。
この構成によれば、調理中で手が汚れているときでも当該レンジフードを操作することができ、その操作性が良好である。
【0028】
第21の特徴として、前記表示装置が、前記本体ケースに対し着脱可能に設けられ、当該レンジフードとの通信機能を備えている(図6参照)。
この構成によれば、表示装置を外した状態で情報表示や遠隔操作に用いる等、表示装置を効果的に活用することができる
【0029】
第22の特徴として、当該レンジフードの動作音を消去するためのノイズキャンセリング機能を備えている。
【0030】
第23の特徴として、前記本体ケースには、立ち上り面が設けられ、前記他方の開口部が、前記立ち上がり面に設けられている(図9参照)。
この構成によれば、他方の開口部に液体が侵入するのを効果的に防ぐことができる。
【0031】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
レンジフード1は、本体ケース10と、この本体ケース10に設けられるとともに吸気口21及び排気口22を有する第一の流路20と、吸気口21から気体を吸い込んで排気口22へ搬送する送風機30と、吸気口21及び排気口22とは異なる一方の開口部41及び他方の開口部42を有するとともに第一の流路20とは異なる第二の流路40と、第二の流路40中の気体を搬送する送風手段50と、本体ケース10の周囲の煙の量を検出する煙センサ61と、本体ケース10の周囲の物体を検知する物体検知部62と、本体ケース10上面の前端側に位置する表示ユニット70と、制御部80とを具備している(図1及び図2参照)。
このレンジフード1は、例えば、コンロ等の調理器具の上方側に、第一の流路20の吸気口21を下方へ向けるようにして配設されえる。
【0033】
なお、図2に示す一例では、一方の開口部41から吸い込んだ気体を他方の開口部42へ吐き出す様子を、二点鎖線で示しているが、この流れの向きは、後述する流向切替手段により、逆向きに切り替えることができる。
【0034】
本体ケース10は、第一の流路20、送風機30及び第二の流路40を内在する中空箱状に構成され、その外表面に、吸気口21、排気口22、一方の開口部41等を開口している。
図示例の本体ケース10は、下方を開口したフード部11と、フード部11内の下端側に設けられた整流板12と、フード部11の後半部側(異なる表現をすれば後側)に設けられ上方へ突出するファン収納部13とを具備して構成される。
【0035】
フード部11は、下向きの開口を有する扁平凹状に形成される(図2参照)。
このフード部11の内部(詳細には、上壁部11a内)には、フード部11内の空間からフード部11の前面へ連通するように、後述する第二の流路40が形成され、第二の流路40よりも後側には、第一の流路20の一部となる貫通孔23が設けられる。
そして、フード部11の上壁部11aにおいて、貫通孔23よりも前側には、表示装置71を収納するための窪み状の収納部11cが設けられている。
【0036】
収納部11cは、前端が前方へ開口した平面視矩形状の凹部であり、表示装置71を嵌め合わせて収納可能なように大きさ及び深さが設定されている。
【0037】
整流板12は、平面視略矩形板状に形成され、フード部11の上壁部11aとの間に間隔を置くとともに、フード部11の内側の側面11eとの間にも間隔を置くようにして、フード部11の下向きの開口内に吊持されている。
この整流板12の外縁と、フード部11の内側の側面11eとの間は、第一の流路20を構成する吸気口21となる。この吸気口21に吸い込まれる空気は、整流板12及びフード部11により流路断面積が狭められ、流速を増す。
【0038】
ファン収納部13は、下方を開口して貫通孔23に連通した箱状に形成される。このファン収納部13内には、送風機30が設けられる。
また、ファン収納部13の上壁面には、排気口22が開孔している。
【0039】
第一の流路20は、整流板12周囲の吸気口21から流入する気体を、フード部11の上壁部11aと整流板12の間、貫通孔23、及びファンケース31内等に通過させて、排気口22から排出するようにした流路である。
【0040】
送風機30は、ファンケース31内で羽根車32を駆動回転させて、下方の貫通孔23側の気体を上方の排気口22へ向かって強制搬送するように構成される。この送風機30には、例えば、多翼ファンやプロペラファン等の周知の構造を適用することが可能である。
【0041】
また、第二の流路40は、一方の開口部41と他方の開口部42の間に、第一の流路20とは異なる独立した流路を構成している。
【0042】
一方の開口部41は、第一の流路20の吸気口21とは異なる位置にて本体ケース10の外面に配置され、図示例によれば、フード部11の前面(詳細には、フード部11を構成する前壁部11bの前端面)に、水平方向へ連続する長尺スリット状に設けられる(図1参照)。
他方の開口部42は、貫通孔23の鉛直状の内側面に、水平方向へ連続する長尺スリット状に設けられる。
【0043】
第二の流路40は、一方の開口部41から前壁部11b内へ入り、後方斜め上へ向かい、後方へ水平状に向かい、後方斜め上へ向かい、後方斜め下側へ向かう傾斜部43を通過して、他方の開口部42を抜けて第一の流路20に入るように形成される。
【0044】
一方の開口部41には、流れ方向を変えるルーバー45が設けられる。
このルーバー45は、一方の開口部41の開口幅方向へわたって長尺な板状に形成され、角度を調整できるように、フード部11に軸支されている。
【0045】
フード部11の前壁部11b内には、ルーバー45を回転駆動して流れ方向を調整するルーバー駆動源46が設けられる(図1参照)。このルーバー駆動源46は、電動モータとギヤ等により構成され、その出力軸をルーバー45の回転軸に接続している。
制御部80とは、物体検知部62等の検知信号や、表示装置71による操作信号等に応じて、ルーバー駆動源46を制御し、その出力軸を適宜角度回転させて、ルーバー45による流れ方向を調整する。
【0046】
さらに、フード部11の前壁部11b内には、表示装置71の表示面の角度を変化させるように、表示装置71を回動する角度駆動部73が設けられる。
【0047】
また、他方の開口部42は、第一の流路20の鉛直状の流路壁(図示例によれば、貫通孔23の内側面)に位置し、水平方向へ連続するスリット状に開口している。
【0048】
傾斜部43は、他方の開口部42から一方の開口部41へ向かって高くなる傾斜状の通路である。この傾斜部43は、他方の開口部42に接続されている。
この傾斜部43は、貫通孔23側の液体(例えば、油滴や水滴等)が、他方の開口部42へ侵入し他方の開口部42側へ流れるのを阻む。
特に、他方の開口部42を吸入口として用いた場合であっても、貫通孔23の内側面を伝ってきた液体が他方の開口部42へ侵入するのを、傾斜部43によって防ぐことができる。
【0049】
送風手段50は、第二の流路40の流路中における一方の開口部41寄りに、送風機30とは別体の送風装置51を設けて構成される。
図示例の送風装置51は、一方の開口部41の開口幅方向を軸方向にして回転する回転羽根と、この回転羽根を筒状に覆うとともに第二の流路40に連通したファン室と、この回転羽根を駆動回転する回転駆動源(例えば、図示しない電動モータ等)とを具備し、軸方向に対する交差方向へ気体を強制搬送するものである。
この送風装置51には、一般的な横流送風機(貫流送風機、クロスフローファン、ラインフローファン等と呼称される場合もある)の構造を適用することが可能である。
なお、送風装置51の他例としては、プロペラファンや軸流ファン等、図示例以外の送風機を用いることも可能である。
【0050】
この送風装置51は、前記回転駆動源の回転方向が制御部80により制御されることで、第二の流路40の気体の流れの向きを、一方の開口部41から他方の開口部42へ向かう一方の向きと他方の開口部42から一方の開口部41へ向かう逆向きとで切り替える流向切替手段として機能する。
【0051】
煙センサ61は、図示例によればフード部11の前端面に設けられ、本体ケース10周囲の煙量を検出し、その検出信号を制御部80へ送信する。
この煙センサ61には、例えば、煙による散乱光を光センサにより感知する態様等、一般的な火災報知器に用いられる煙センサの構造を適用することが可能である。
この煙センサ61の設置箇所は、本体ケース10の側面や上面等、図示例以外の部位とすることも可能である。
【0052】
物体検知部62は、図示例によればフード部11の前端面に設けられ、人等の本体周囲の物体を検知し、その検知信号を制御部80へ送信する。
この物体検知部62は、例えば、焦電型赤外線センサ等の周知の非接触式センサを用いればよい。
【0053】
表示ユニット70は、本体ケース10の外部から視認されるように、一方の開口部41よりも上方側に設けられた表示装置71と、この表示装置71を角度変更可能、収納可能かつ着脱可能に保持する保持機構72とを具備して構成される。
この表示ユニット70は、表示装置71を、本体ケース10の周囲の人によって視認可能な使用状態(図5(a)参照)と、収納部11cに収納された収納状態(図5(c)参照)との間で移動可能にしている。
【0054】
表示装置71は、タッチパネルディスプレイ、CPU、記憶装置、マイク、スピーカ、無線送受信機、前記タッチパネルディスプレイ前方の物体を撮像するカメラ等を具備した矩形板状の端末(例えば、PC端末など)であり、制御部80との相互通信機能、Wi-Fi等を介してインターネット回線に接続する機能等を有する。
この表示装置71は、例えば、汎用のタブレットパソコンに、所定のプログラム(アプリ)をインストールして構成することが可能である。
この表示装置71の機能の詳細については、後に詳述する。
【0055】
保持機構72は、表示装置71を着脱可能に嵌め合わせる枠体72a、この枠体72aを収納可能に支持するレール部72b等から構成される(図3参照)。
【0056】
枠体72aは、表示装置71の表示面が前方斜め下方へ向くように支持するとともに、この表示装置71を着脱可能に保持する構成であればよい。
図示例の枠体72aは、表示装置71の三辺に沿う平面視凹枠状に形成され、図6に示すように、表示装置71の前方側からの抜き差しを可能にしている。
レール部72bは、収納部11cの左右両側面に、それぞれ前後方向へわたる凹状に形成される。
【0057】
枠体72aをレール部72bに対し回転可能かつスライド可能にする手段は、例えば、左右の各レール部72bにスライド可能に支持基体(図示せず)を嵌め合わせ、この支持基体に枠体72aを回転可能に枢支するとともに、同支持基体に、枠体72aを所定角度回動する角度駆動部73を設けた構成とすればよい。角度駆動部73は、電動モータとギヤ等により構成され、その出力軸が枠体72aの回転軸に接続される。
【0058】
制御部80は、例えば、マイコンや、記憶装置、無線モジュール等を具備した電気回路である。
この制御部80は、フード部11の前壁部11bに形成された凹状の機器収納室11d内に装着され、図示例によれば、照明装置(例えばLED等)と一体的に構成される(図3参照)。
前記照明装置は、表示装置71を視る使用者等が眩しくないように、その照射方向を下方斜め後方へ向けている。
なお、図示例以外の他例としては、この制御部80を前記照明装置とは別の構成にしたり、機器収納室11d以外の箇所に設けたりしてもよい。
【0059】
制御部80は、煙センサ61や、物体検知部62、表示装置71等から入力する信号に応じて、以下に説明するように、送風機30、送風装置51、ルーバー45等を制御する。
【0060】
詳細に説明すれば、制御部80は、煙センサ61により本体ケース10周囲の煙の量を検出すると、その検出値に応じて送風装置51の回転数を制御して、第二の流路40を流れる気体の流量を調整する。
例えば、制御部80は、煙の検出量が所定値以上である場合に、送風装置51の回転数を大きくし、煙の検出量が所定値未満である場合には、送風装置51の回転数を小さくする。
【0061】
また、制御部80は、送風装置51と協働して、上述した流向切替手段として機能する。具体的に説明すれば、制御部80は、表示装置71による操作や、図示しない操作スイッチの操作により、流れの向きを切り替える指令信号を受けると、送風装置51の回転方向を切り替えて、第二の流路40内の気体の流れの向きを切り替える。
【0062】
また、制御部80は、物体検知部62の検知信号に応じて、ルーバー駆動源46を制御する。
例えば、一方の開口部41から気体を吹き出している際に、物体検知部62によって本体ケース10の前方の人を検知した場合、制御部80は、ルーバー駆動源46の制御によりルーバー45を適宜角度回転させ、一方の開口部41による吹き出し方向を斜め上方向きにし、一方の開口部41から吹き出される気体が、本体ケース10前方の人に直接吹き付けられないようにする。このため、本体ケース10前方の使用者等に不快感を与えるのを防ぐことができる。
【0063】
また、制御部80と表示装置71は、相互通信機能(例えば、Bluetooth (登録商標)等の近距離無線通信手段)を有する。
【0064】
例えば、表示装置71は、当該レンジフード1を操作するための操作手段として機能する。この操作手段は、入力される音声により当該レンジフード1を操作する音声操作機能や、タッチパネルディスプレイへのタッチ操作によりレンジフード1を操作する機能などを有する。
前者の音声操作機能について詳述すれば、表示装置71は、内蔵するマイクに音声の入力があった場合に、この入力された音声中に操作指令があるか否かを解析し、操作指令がある場合には、この操作指令に基づく操作信号を、制御部80へ送信する。
一方、制御部80は、前記操作信号を受信すると、その操作信号に含まれる指令に応じて、送風機30や、送風装置51、ルーバー駆動源46等を適宜に制御する。
【0065】
また、制御部80から表示装置71へ送信信号に基づき、表示装置71は、当該レンジフード1の制御状態や、煙センサ61の検知に基づく煙の発生状況等を表示する。
さらに、表示装置71は、例えば、上述した音声操作やタッチ操作に応じて、当該レンジフード1の操作方法や、レンジフード1の下方で行う調理のためのレシピ等、予め記憶装置に記憶した情報や、インターネット回線を通じて得た情報等を表示する。
【0066】
また、表示装置71は、本体ケース10の周囲の物体(人等)の高さを検知する物体高さ検知部としても機能させることができる。
例えば、物体検知部62の検知信号がある場合に、表示装置71の内蔵カメラにより、タッチパネルディスプレイ前方の物体を撮像し、この撮像データと、予め取得した初期画像(タッチパネルディスプレイ前方に物体がない状態の画像)との差分データより、前記物体の高さを推定すればよい。なお、物体高さ検知部の他例としては、本体ケース10に設けられるセンサ等により、前記物体の高さを測量するようにしてもよい。
【0067】
そして、表示装置71は、前記物体高さ検知部の検知信号に応じて角度駆動部73を制御する。具体的に説明すれば、表示装置71は、前記物体の高さが比較的高い場合は、角度駆動部73の出力軸を一方向に回転させて、表示装置71の表示面の角度を鉛直に近い所定角度にする。また、表示装置71は、前記物体の高さが比較的低い場合は、角度駆動部73の出力軸を逆方向に回転させて、表示装置71の表示面の角度を水平に近い所定角度にする。
【0068】
なお、前述した表示装置71の自動角度調整機能に加えて、表示装置71に対する所定の操作(タッチ操作や、音声操作等)により、角度駆動部73を作動させて、表示装置71の表示面が、予め設定登録された角度に変化するようにしてもよい。
【0069】
さらに、表示装置71は、予めインストールされたプログラムにより動作することで、レンジフード1の動作音を消去するためのノイズキャンセリング機能を発揮する。
このノイズキャンセリング機能について説明すれば、表示装置71は、内蔵マイクにより当該レンジフード1が発生する騒音(例えばファン音等)を収録し、この騒音に対する逆位相の音を生成してスピーカから発する。
なお、このノイズキャンセリング機能の他例としては、表示装置71以外の部位に、マイク、専用回路及びスピーカ等を設けた構成とすることも可能である。
【0070】
よって、上記構成のレンジフード1によれば、第二の流路40の一方の開口部41を通過する気流により外装部分が、油煙や廃ガスにより汚れたり、外装部分に埃、結露水等が付着したりするのを阻むことができる。
詳細に説明すれば、例えば、一方の開口部41から吸い込んだ気体を他方の開口部42から吐き出すようにした場合には、第一の流路20の吸気口21のみでは捕集しきれない過剰な油煙や廃ガス等を、第二の流路40の一方の開口部41に吸い込ませて、第一の流路20中の気体と合流して排気口22へ排出することができる。
このため、本体ケース10の外装部分、例えば、表示装置71や、操作スイッチ、照明、外面パネル等が油煙や廃ガス等により汚れるのを防ぐことができる。
【0071】
また、上記流向切替手段により第二の流路40内の気体の流れの向きを逆向きにした場合、第一の流路20を流れる気体の一部を他方の開口部42から吸い込んで、一方の開口部41から吹き出すことができ、この気流によって表示装置71等の外装部分の結露を防いだり、この気流をエアカーテンのように作用させて、浮遊する埃等が前記外装部分に付着するのを阻んだりすることができる。
【0072】
なお、一方の開口部41から吹き出させる気流により、表示装置71の表示面の汚れ等を効果的に防ぐには、ルーバー45の角度調整により、一方の開口部41の吹き出し方向を表示装置71の表示面に沿う方向(図示例によれば、前記表示面に略平行する前方斜め上方)にするのが好ましい。
【0073】
また、表示装置71を使用しないときには、この表示装置71を本体ケース10上面の収納部11cに収納して、当該レンジフード1全体の見栄えを向上することができる。
以下に表示装置71の収納手順について詳細に説明する。
先ず、使用者は、図5(a)に示す使用状態において、表示装置71に対する操作により、角度駆動部73を作動させ、表示装置71を図5(b)に示す水平状態に回動する。
次に、使用者は、表示装置71を押すようにして、表示装置71を後方(図5中の右方向)へスライドさせ、収納部11cに収める。
この収納状態によれば、表示面が下方を向いて収納部11c内の上面に重なり合うため、該表示面が埃等により汚れるのを防ぐことができ、その上、外観上の体裁も良好である。
【0074】
次に、本願発明に係る他の実施態様について説明する。
以下の実施態様は、上記レンジフード1に対しその一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、同様の部分に同一の符号を付けて、重複する説明を省略する。
【0075】
<第二の実施態様>
図7に要部を示すレンジフード2は、上記レンジフード1から送風装置51を省いて、上記レンジフード1のものとは異なる送風手段50’により、第二の流路40の気体を強制搬送するものである。
このレンジフード2の送風手段50’は、第二の流路40の他方の開口部42を第一の流路20の流路壁(図示例によれば貫通孔23の内側面)に設け、第一の流路20の送風機30による気体の流れを利用している。
【0076】
すなわち、送風機30の駆動により、第一の流路20中に吸気口21から排気口22へ向かう気体の流れが形成されると、この気体の流れに誘引されるようにして、第二の流路40内の空気が一方の開口部41から他方の開口部42へ流れる。これらの作用は、一般的な空気エゼクタ等の動作原理と略同様である。
【0077】
よって、図7に示すレンジフード2によれば、別途ファンやモータ等を設けることなく、第二の流路の気体を強制搬送する送風手段を構成することができる。
【0078】
なお、上述した送風手段の更に他例としては、第二の流路40内に図示しないファンを設け、このファンを送風機30の軸動力によりを回転する態様等とすることも可能である。
【0079】
<第三の実施態様>
図8図9に要部を示すレンジフード3は、上記レンジフード1について、第二の流路40を第二の流路40’に置換したものである。
第二の流路40’は、一方の開口部41から前壁部11b内へ入り、後方斜め上へ向かい、後方へ水平状に向かい、後端側で上方を回るようにしてUターンして、他方の開口部42’から外部へ抜ける。
【0080】
他方の開口部42’は、収納部11cの内側面である立ち上がり面11c1に位置し、図示例によれば、水平方向に間隔を置いて複数設けられる。
なお、他方の開口部42’の他例としては、単数とし、上記他方の開口部42と同様に、水平方向へ長尺なスリット状に形成することも可能である。
【0081】
図8図9に示すレンジフード3によれば、送風装置51を一方向へ回転させて、他方の開口部42’から外気を吸い込ませると、この外気が一方の開口部41から吹き出す。
したがって、一方の開口部41から吹き出される外気をエアカーテンのように作用させて、浮遊する埃等が前記外装部分に付着したり、油煙や廃ガス等が前記外装部分を汚したりするのを防ぐことができる。
また、第二の流路40’内の気体の流れの向きは、上述した流向切替手段により逆向きにすることが可能である。
【0082】
<その他の変形例>
上記レンジフード1,2によれば、特に好ましい一例として、傾斜部43を他方の開口部42に隣接するように設けたが、他例としては、第二の流路40中の中央寄りや前寄りに、一方の開口部41へ向かって高くなる傾斜部を設けるようにしてもよい。
【0083】
また、上記レンジフード1~3によれば、表示装置71を回動及びスライドにより収納部11cに収納されるようにしたが、他例としては、表示装置71が、図5(a)に示す使用状態から後方(図5によれば時計回り)に回動して、収納部11cに嵌り合って収納されるようにすることも可能である。
【0084】
また、上記レンジフード3によれば、他方の開口部42’を収納部11cの内側面である立ち上がり面11c1に設けたが、この立ち上がり面11c1は、本体ケース10において立ち上がっている部分であれば、図示例以外の部分とすることが可能である。このようにした場合も、他方の開口部42’に液体が侵入するのを阻むという作用効果を得ることができる。
【0085】
また、上記レンジフード1~3に付加する構成として、一方の開口部41や、他方の開口部42,42’に、虫等の侵入を防ぐ網目状シートを設けるようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施態様によれば、好ましい一例として、一方の開口部41の位置をフード部11の前面としが、他例としては、一方の開口部41を、フード部11の側面や後面等、図示例以外の箇所に設けることが可能である。
【0087】
また、上記実施態様によれば、好ましい一例として、表示装置71の位置をフード部11の前面側としたが、他例としては、表示装置71を、側面側や後面側等、図示例以外の箇所に設けることも可能である。さらに他例としては、表示装置71を、前面側と側面側等、複数の箇所に設けることも可能である。
【0088】
また、上記表示装置71は、一般的なタッチパネルディスプレイを搭載するものとしたが、このタッチパネルディスプレイを、ホログラムタッチパネル等の非接触タッチパネルとすることも可能である。
【0089】
また、上記表示装置71は、上述したように汎用のタブレットパソコン等を用いればよいが、他例としては、当該レンジフード1の専用のタブレットパソコンや、スマートフォン、その他の携帯端末等とすることも可能である。
【0090】
また、表示装置71は、センサ類(及びその他の特別な機能)を持たない、シンプルな表記機能のみを有する表示装置を適用可能である。この場合、前記センサ類等は、必要であれば、別途、本体ケース10の適宜箇所に設ければよい。
【0091】
また、上記実施態様によれば、本体ケース10に煙センサ61及び物体検知部62を設けたが、これら煙センサ61と物体検知部62のうちの一方または双方を表示装置71に設けることも可能である。この場合、表示装置71は、予めインストールされたプログラムにより機能することで、内蔵カメラにより本体ケース10前方を撮像し、その撮像データを画像処理することで、煙や物体等を認知する。
【0092】
また、上記実施態様では、フード部11の上方側に、メイン流路となる第一の流路20の送風機30及びファン収納部13等を設けたが、本願発明は、フード部内にメイン流路の送風機を有するレンジフードにも適用可能である。
【0093】
また、本願発明は、上記実施態様と同タイプのレンジフードに適用可能なのは勿論のこと、平型レンジフードや、浅型レンジフード、スクエアタイプのレンジフード、ブーツ型レンジフード等、あらゆるタイプのレンジフードに適用可能である。
【0094】
本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0095】
1,2,3:レンジフード
10:本体ケース
11:フード部
11c:収納部
20:第一の流路
21:吸気口
22:排気口
30:送風機
40,40’:第二の流路
41:一方の開口部
42:他方の開口部
43:傾斜部
45:ルーバー
46:ルーバー駆動源
50,50’:送風手段
51:送風装置
61:煙センサ
62:物体検知部
70:表示ユニット
71:表示装置
72:保持機構
73:角度駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9