(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20250528BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20250528BHJP
【FI】
H04N23/60 500
B65G1/04 555Z
(21)【出願番号】P 2024090478
(22)【出願日】2024-06-04
【審査請求日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2023-0161844
(32)【優先日】2023-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】524123861
【氏名又は名称】カントプス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,ハク ソ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨル クォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン イク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドク ハ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ユン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ソン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】イ,セ フン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン キル
(72)【発明者】
【氏名】キム,モ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】カン,テ ミン
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-202464(JP,A)
【文献】特開2000-29524(JP,A)
【文献】特開2018-41409(JP,A)
【文献】特開2018-49943(JP,A)
【文献】特表2021-514916(JP,A)
【文献】国際公開第2010/100834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場の天井に予め設定された経路に沿って設置されるレールと、前記レールの一側に多数個が予め設定された間隔で取付された位置表示部と、前記レールに沿って走行可能に設置される搬送台車及び前記搬送台車の一側に設置されて前記レールの中、前記搬送台車と対応される前記レールの一側及び前記位置表示部を撮像してイメージを取得する撮像部を含む天井型自動搬送システム用搬送台車の位置認識方法において、
前記撮像部で前記搬送台車が走行する直前に前記レールの一側を撮像した第1イメージと、走行した前記搬送台車の現在位置で前記レールの一側を撮像した第2イメージを取得するイメージ取得段階と、
前記第1イメージの中、前記位置表示部が検出される場合、予め保存された位置データで検出された前記位置表示部に対応される位置情報を取得する基準位置情報取得段階と、
前記第1イメージの中、任意のパターンを特徴点に設定する特徴点設定段階と、
前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置情報と、前記第1イメージと前記第2イメージを比較して検出した特徴点の移動変位による移動量に基づいて前記搬送台車の現在位置情報を算出する位置情報算出段階と、
を含むことを特徴とする天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法。
【請求項2】
前記位置情報算出段階は
前記第1イメージと前記第2イメージを比較して前記特徴点の移動変位を検出する移動変位検出段階と、
検出された前記特徴点の移動変位によって前記第1イメージ上の前記特徴点の位置から前記第2イメージ上の前記特徴点の位置までのX軸及びY軸画素数を計測する画素数計測段階と、
計測された前記X軸及びY軸画素数に基づいて前記搬送台車の移動量を算出する移動量算出段階と、
前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置情報に算出された前記搬送台車の移動量を合算して前記搬送台車の現在位置情報を取得する位置情報取得段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法。
【請求項3】
前記位置情報算出段階は
前記搬送台車の現在位置情報を利用して前記位置表示部と前記位置表示部との間の距離を算出する間隔算出段階、及び
前記間隔算出段階で算出された前記位置表示部と前記位置表示部との間の距離と、予め保存された前記位置表示部と前記位置表示部との間の実際の距離を比較して、その差に基づいて前記搬送台車の移動量に対する補正値を算出する補正値算出段階をさらに含み、
前記補正値が算出された後、前記移動量算出段階が行われる場合、算出された前記搬送台車の移動量に前記補正値を反映することを特徴とする請求項2に記載の天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法。
【請求項4】
作業現場の天井に予め設定された経路に沿って設置されて上部と下部に長さ方向に沿って第1水平線と第2水平線が互いに平行するように表示されると共に、前記第1水平線と前記第2水平線を対角線で連結する位置認識ラインが表示されたレールと、前記レールの一側に多数個が予め設定された間隔で取付された位置表示部と、前記レールに沿って走行可能に設置される搬送台車及び前記搬送台車の一側に設置されて前記位置表示部を検出すると共に、前記レールの中前記搬送台車と対応される前記レールの一側をラインスキャンしてイメージを取得する撮像部と、を含む天井型自動搬送システム用搬送台車の位置認識方法において、
前記搬送台車の現在位置で前記レールの一側をラインスキャンしてイメージを取得するイメージ取得段階と、
前記撮像部により前記位置表示部が検出される場合、予め保存された位置データで検出された前記位置表示部に対応される位置情報を取得する基準位置情報取得段階と、
前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置表示部の位置情報と、前記イメージを分析して算出された前記搬送台車の移動量に基づいて前記搬送台車の現在位置情報を取得する位置情報算出段階と、を含み、
前記位置情報算出段階は、
前記イメージで垂直の前記撮像部のスキャンラインと、前記第1及び第2水平線及び前記位置認識ラインがそれぞれ交差する交差点P1、P2、P3を検出する交差点検出段階と、
前記P2から前記P3までの高さまたは前記P3から前記P1までの高さの中の何れかの1つをhに設定して、それを下記の[数式]に代入して前記搬送台車の実際移動量(M’’)を算出する移動量算出段階と、
前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置表示部の位置情報に算出された前記搬送台車の実際移動量を合算して前記搬送台車の現在位置情報を取得する位置情報取得段階と、を含むことを特徴とする天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法。
【数1】
(ここで、Dは位置認識ラインが第1水平線と交差される第1地点と位置認識ラインが第2水平線と交差される第2地点との間のX軸距離であり、Hは第1及び第2水平線の間の間隔である。)
【請求項5】
前記移動変位検出段階で検出された前記特徴点の移動変位が予め設定された基準範囲を外れる場合、異常徴候と判断し、異常徴候信号と共に前記搬送台車の現在位置情報を予め設定された対象端末機に伝送する異常徴候感知段階をさらに含むことを特徴とする請求項2記載の天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法。
【請求項6】
前記基準位置情報取得段階で前記位置表示部が検出される場合、前記搬送台車の移動量を初期化する初期化段階をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れかの一項に記載の天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法に関し、より詳細には、高所作業が不要で、作業時間と所要費用を削減でき、ライン稼動中に搬送台車の現在位置を正確且つ迅速に認識でき、故障診断位置を精密に把握できる天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体やOLEDの生産ラインではウエハーなど多様な移送対象物を移送するための搬送帯車として、OHT(Overhead Hoist Transport)が多く使われている。OHTは、移送命令によって目的地まで生産ライン天井に設置されたレールに沿って移動し、各生産装備とのハンドオフ(Hand off、OHTと生産装備の中の何れかの一方から他方へ物流を移す作業)を通じて対象物を移動している。
【0003】
通常、生産ラインでは、多数の生産装備が備えられているところ、それに対応するために多数のOHT(以下、「搬送台車」という)がレールに沿って移動しながらハンドオフ過程を反復的に行うが、一般に安定したハンドオフ動作を行なうために、搬送台車がレール上、作業する位置に停車した後、ハンドオフ作業が行われる。この時、搬送台車と対象装備間で円滑且つ正確なハンドオフ動作が行われるためには、搬送台車が作業する位置に正確に停車する必要があり、そのため従来では、レールの作業位置にQRコード(登録商標)、バーコード、タグなどのような位置表示部を設けて、搬送台車に表示部リーダー器を装着し、位置表示部を認識することで搬送台車を停車させている。
【0004】
ここで、工場の規模や装備の数によって相違するが、一般に生産ラインには数千個ないし数万個以上の位置表示部を決まった位置に設けねばならないが、工程設計時に位置表示部の位置を設計するのに多くの時間が必要になり、工程のレイアウト変更、設備の位置変更などにより位置表示部の位置変更が要求される場合に既存の位置表示部を取り外して、再取付することにも相当な時間が必要になって、生産ラインの生産効率に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
それだけではなく、レールが設置された天井の高さは、通常3m以上であり、前述した位置表示部の再設置作業も高い位置で行われるので、作業者の安全性確保にも多くの費用が追加されるという問題があった。
【0006】
一方、作業の効率性を重視する半導体ライン現場で、故障を予め診断し、事故を予防する試みが増えている。その一環として、搬送台車に各種装置(振動センサー、騷音センサー、カメラなど)を装着して移動しながら故障分析用データを収集する。しかしながら、ライン稼動中に位置表示部と位置表示部との間の位置情報、すなわち、隣り合うノード間領域で搬送台車の現在位置情報を正確に認識できないため、収集されたデータを利用して故障診断をしても、その故障位置を精密に確認することは困難であった。
【0007】
加速度センサーを利用して搬送台車の現在位置を判断する方法が提案されてもいるが、基本的に加速度センサーにはノイズが多くて位置誤差が大きく半導体生産ラインなどのように数mm以下の精度が求めあれるOHTシステムに適用することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第2021-0091548号公報
【文献】韓国公開特許第2022-0094915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、搬送台車の正確な位置情報をリアルタイムで取得し、それを通じて作業位置を決定することによって、工程設計時に半導体工場ごとに同じ方式で位置表示部を設置して工程設計時間とそれによる所要費用を大幅に削減でき、工程のレイアウト変更、設備の位置変更など作業環境が変更されても、位置表示部を再取付する作業を要せず、位置表示部再取付作業にともなう高所作業が要らないので、それによる作業時間と所要費用を大きく削減でき、事後管理を画期的に改善すると共に物流搬送の効率性を大きく向上させることのできる天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、搬送台車走行中にレールの損傷、破損または変形など異常発生時または異常徴候時に、それを異常徴候信号と共に異常徴候発生位置を予め設定された端末機に伝送してリアルタイムでレールの異常状態を検出できる天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法は、作業現場の天井に予め設定された経路に沿って設置されるレールと、前記レールの一側に多数個が予め設定された間隔で取付された位置表示部と、前記レールに沿って走行可能に設置される搬送台車及び前記搬送台車の一側に設置されて前記レール中に前記搬送台車と対応される前記レールの一側及び前記位置表示部を撮像してイメージを取得する撮像部を含む天井型自動搬送システム用搬送台車の位置認識方法において、前記撮像部で前記搬送台車が走行する直前に前記レールの一側を撮像した第1イメージと、走行した前記搬送台車の現在位置で前記レールの一側を撮像した第2イメージを取得するイメージ取得段階と、前記第1イメージの中の前記位置表示部が検出される場合、予め保存された位置データから検出された前記位置表示部に対応される位置情報を取得する基準位置情報取得段階と、前記第1イメージの中の任意のパターンを特徴点に設定する特徴点設定段階と、前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置情報と、前記第1イメージと前記第2イメージを比較して検出した特徴点の移動変位による移動量に基づいて前記搬送台車の現在位置情報を算出する位置情報算出段階を含むことを特徴とする。
【0012】
前記位置情報算出段階は、前記第1イメージと前記第2イメージを比較して前記特徴点の移動変位を検出する移動変位検出段階と、検出された前記特徴点の移動変位によって前記第1イメージ上の前記特徴点の位置から前記第2イメージ上の前記特徴点の位置までのX軸及びY軸画素数を計測する画素数計測段階と、計測された前記X軸及びY軸画素数に基づいて前記搬送台車の移動量を算出する移動量算出段階と、前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置情報に算出された前記搬送台車の移動量を合算して前記搬送台車の現在位置情報を取得する位置情報取得段階を含むことが好ましい。
【0013】
前記位置情報算出段階は、前記搬送台車の現在位置情報を利用して前記位置表示部と前記位置表示部との間の距離を算出する間隔算出段階及び前記間隔算出段階で算出された前記位置表示部と前記位置表示部との間の距離と、予め保存された前記位置表示部と前記位置表示部との間の実際の距離を比較して、その差の値に基づいて前記搬送台車の移動量に対する補正値を算出する補正値算出段階をさらに含み、前記補正値が算出された後、前記移動量算出段階が行われる場合、算出された前記搬送台車の移動量に前記補正値を反映することができる。
【0014】
本発明による他の天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法は、作業現場の天井に予め設定された経路に沿って設置されて、上部と下部に長さ方向に沿って第1水平線と第2水平線が互いに平行するように表示されると共に、前記第1水平線と前記第2水平線を対角線で連結する位置認識ラインが表示されたレールと、前記レールの一側に多数個が予め設定された間隔で取付された位置表示部と、前記レールに沿って走行可能に設置される搬送台車及び前記搬送台車の一側に設置されて前記位置表示部を検出すると共に、前記レール中に前記搬送台車と対応される前記レールの一側をラインスキャンしてイメージを取得する撮像部を含む天井型自動搬送システム用搬送台車の位置認識方法において、前記搬送台車の現在位置で前記レールの一側をラインスキャンしたイメージを取得するイメージ取得段階と、前記撮像部により前記位置表示部が検出される場合、予め保存された位置データで検出された前記位置表示部に対応される位置情報を取得する基準位置情報取得段階と、前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置表示部の位置情報と、前記イメージを分析して算出された前記搬送台車の移動量に基づいて前記搬送台車の現在位置情報を取得する位置情報算出段階を含むが、前記位置情報算出段階は前記イメージで垂直の前記撮像部のスキャンラインと、前記第1及び第2水平線及び前記位置認識ラインがそれぞれ交差する交差点P1、P2、P3を検出する交差点検出段階と、前記P2から前記P3までの高さまたは前記P3から前記P1までの高さの中の何れかの1つをhに設定して、これを下の[数式]に代入して前記搬送台車の実際移動量(M’’)を算出する移動量算出段階と、前記基準位置情報取得段階で取得した前記位置表示部の位置情報に算出された前記搬送台車の実際の移動量を合算して前記搬送台車の現在位置情報を取得する位置情報取得段階を含むことを特徴とする。
【0015】
【数1】
(ここで、Dは位置認識ラインが第1水平線と交差される第1地点と位置認識ラインが第2水平線と交差される第2地点との間のX軸距離であり、Hは第1及び第2水平線間の間隔である。)
【0016】
前記移動変位検出段階で検出された前記特徴点の移動変位が予め設定された基準範囲を外れる場合、異常徴候と判断し、異常徴候信号と共に前記搬送台車の現在位置情報を予め設定された対象端末機に伝送する異常徴候感知段階をさらに含むことができる。
【0017】
前記基準位置情報取得段階で前記位置表示部が検出される場合、前記搬送台車の移動量を初期化する初期化段階をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、搬送台車の正確な位置情報をリアルタイムで取得し、それを通じて作業位置を決定することによって、工程設計時に半導体工場ごとに同じ方式で位置表示部を設置して、工程設計時間とそれによる所要費用を大幅に削減できるだけではなく、工程のレイアウト変更、設備の位置変更など作業環境が変更されても位置表示部を再取付する作業を要せず、位置表示部再取付作業による高所作業が不要であり、それによる作業時間と所要費用も大きく削減でき、事後管理を画期的に改善すると共に物流搬送の効率性を大きく向上できる。また、本発明は搬送台車走行中にレールの損傷、破損または変形など異常発生時または異常徴候時に、それを異常徴候信号と共に異常徴候発生位置を予め設定された端末機に伝送してリアルタイムでレールの異常状態を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例による天井型自動搬送システムを概略的に図示する図面である。
【
図2】本発明の一実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を順に図示する順序図である。
【
図3】本発明の一実施例による移動方向検出段階を示す図面である。
【
図4】本発明の一実施例による画素数計測段階を示す図面である。
【
図5】本発明の他の実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を順に図示する順序図である。
【
図6】本発明の他の実施例による第1及び第2水平線及び位置認識ラインが表示されたレールの一側を図示する図面である。
【
図7】本発明の一実施例による交差点P1、P2、P3を図示する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付図面を参照して、本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例による天井型自動搬送システムを概略的に図示する図面である。本発明の一実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を説明することに先立って、本実施例による天井型自動搬送システム(1)の基本的な構造は、作業現場で特定の装備とハンドオフ(Handoff)して物流を移送する物流搬送装置に関し、作業現場の天井に予め設定された経路に沿って設置されるレール(10)と、レール(10)に沿って予め設定された間隔で取付された位置表示部(B)と、レール(10)に沿って走行する搬送台車(20)及び搬送台車(20)の一側に設置される撮像部(30)及びイメージを分析して搬送台車(20)の現在位置を認識する分析部(40)を含んで構成される。
【0022】
位置表示部(B)はバーコード、RFタグまたはQRコード(登録商標)などが使われることができ、取付された各位置表示部(B)には固有識別番号が保存されており、識別番号による位置情報は搬送台車または外部サーバーに予め保存される。
そして、本実施例による撮像部(30)は搬送台車(20)の一側に設置されて搬送台車(20)と共に走行し、搬送台車(20)走行過程でレール(10)の一側を撮像して、それに対するイメージを取得する役割を果たす。このような撮像部(30)は、コードリーダー、光学センサー、イメージセンサーなどが使われる。これらの中、コードリーダー及び光学センサーなどのように2種の装備を含んで構成される。分析部(40)は、撮像部(30)で取得したイメージを分析して搬送台車(20)の現在位置を認識する。下記では前述した天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を順に図示する順序図であり、
図3は本発明の一実施例による移動方向検出原理を概略的に図示する図面であり、
図4は本発明の一実施例による画素数計測原理を概略的に図示する図面である。
【0024】
図2に示すように、本発明の一実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法は、イメージ取得段階(S10)と、基準位置情報取得段階(S20)と、特徴点設定段階(S30)と、移動変位検出段階及び位置情報算出段階(S40)を含んでなる。
【0025】
イメージ取得(S10)
撮像部(30)は搬送台車(20)の一側に設置されて、レール(10)の一側の中搬送台車(20)と対応される一側を撮像する役割を果たすが、搬送台車(20)がレール(10)に沿って走行する直前にレール(10)を撮像して第1イメージを取得する。以後、搬送台車(20)がレール(10)に沿って走行する過程で、またレール(10)を撮像して第2イメージを取得して、このように取得した多数のイメージを分析部(40)に伝達する。
【0026】
基準位置情報取得(S20)
分析部(40)では、搬送台車(20)の位置情報を分析することに先立って、第1イメージ内の位置表示部(B)が検出されたかどうかを判断する。搬送台車(20)の現在リアルタイム位置を算出しようとする場合、基準となる位置情報を取得するためのもので、第1イメージ内の位置表示部が検出されれば、固有識別番号を判読し、搬送台車またはサーバーに予め保存された位置データの中、判読された識別番号と対応される位置情報を取得して、その基準位置を設定する。
【0027】
特徴点設定(S30)
また、分析部は撮像部(30)から伝達されたイメージの中、第1イメージで特定領域や特定位置を特徴点(T)に設定する。本実施例では、
図3に示すように、説明の便宜のために、ある1つの画素を特徴点(T)に図示するが、本発明は必ずしもこれに限定されるのではなく、特定パターンも特徴点(T)として設定できる。
【0028】
位置情報算出(S40)
特徴点を設定した後、分析部(40)は搬送台車(20)の位置情報を算出する。本実施例による位置情報算出段階(S40)は移動変位検出段階(S41)と、画素数計測段階(S42)と、移動量算出段階(S43)と、位置情報取得段階(S44)からなる。まず、移動変位検出段階(S41)では、
図3に示すように、第1イメージと第2イメージ上の特徴点位置を比較して特徴点(T)の移動方向を検出する。特徴点(T)の移動方向が検出されれば、画素数計測段階(S42)では、
図4のように、特徴点(T)の初期位置から移動した特徴点(T)の現在位置まで、すなわち、第1イメージ上の特徴点(T)位置と第2イメージ上の特徴点位置との間、X、Y軸画素個数(△x、△y)を計測する。
【0029】
次に、計測されたX、Y軸の画素個数を予め設定された下記の数式1に代入して搬送台車(20)の実際の移動量を算出する。
【数2】
(ここで、△xは特徴点がX軸方向に移動した画素個数であり、△yは特徴点がY軸方向に移動した画素個数であり、dは予め設定された画素当たりの実際の距離である。)
【0030】
このように、搬送台車(20)の実際の移動量が算出されれば、前記で位置表示部(B)を通じて取得した基準位置に算出された搬送台車(20)の実際の移動量を合算することによって、搬送台車(20)の現在位置情報を取得する。(S44)
【0031】
一方、本実施例による位置情報算出段階(S40)では、搬送台車(20)の現在位置情報を利用して位置表示部(B)と位置表示部(B)との間の距離を算出する間隔算出段階(S45)と、予め保存された位置表示部(B)と位置表示部(B)との間の実際の距離と、前記で算出された位置表示部(B)と位置表示部(B)との間の測定距離を比較して、その差の値に基づいて搬送台車(20)の移動量に対する補正値を算出する補正値算出段階(S46)をさらに含む。
【0032】
すなわち、本実施例では、間隔算出段階(S45)を経て補正値算出段階(S46)で取得した補正値を利用して、次の移動量算出段階(S43)で算出された搬送台車(20)の移動量に補正値を反映することによって、実際撮像部(30)の設置角度がずれるなど、いろいろな環境要因による誤差を周期的に補正して搬送台車(20)の位置情報をさらに正確に把握する。
【0033】
一方、本発明では、移動変位検出段階(S41)で検出される特徴点の移動変位が予め設定された基準範囲を外れる場合、すなわち、基準値を超過する振動や不連続/非正常回転角を示す場合、それをレール(10)のクラック、断絶、変形などのような異常徴候に判断し、異常徴候信号を発生すると同時に、前記のような方式で搬送台車(20)の現在位置情報を取得した後、それを予め設定された対象端末機に伝送することによって、レール(10)の異常徴候や異常状態をリアルタイムで監視できる追加の特徴を有する。
【0034】
図5は本発明の他の実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を順に図示する順序図であり、
図6は本発明の他の実施例による第1及び第2水平線及び位置認識ラインが表示されたレールの一側を図示する図面であり、
図7は本発明の一実施例による交差点P1、P2、P3を図示する図面である。
【0035】
図5ないし
図7実施例では、精度を向上させると共に演算速度を増大させて、さらに迅速に位置情報を取得する。本実施例は、前の実施例とは違って撮像部(30)でラインスキャンカメラとバーコードリーダーが共に使われ、
図6に示すように、レール(10)には上部と下部に長さ方向に沿って第1水平線(L1)及び第2水平線(L2)が互いに平行するように表示されると共に第1水平線(L1)と第2水平線(L2)を対角線で連結する位置認識ライン(L3)が表示される。
【0036】
本発明の他の実施例による天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法は、
図5に示すように、イメージ取得段階(S10’)と、基準位置情報取得段階(S20’)と、位置情報算出段階(S30’)からなる。イメージ取得段階(S10’)では、搬送台車(20)の現在位置で撮像部(30)がレール(10)の一側をラインスキャンしたイメージを取得する。この時、撮像部(30)は、前述したように、ラインスキャンカメラが使われるところ、撮像部(30)のスキャンラインと対応される形態のイメージ、すなわち、垂直線形態のイメージを取得する。
【0037】
基準位置情報取得段階(S20’)は、ラインスキャンカメラと共に備えられたバーコードリーダーで位置表示部(B)を検出する場合、固有識別番号を判読して、搬送台車またはサーバーに予め保存された位置データの中、判読された識別番号と対応される位置情報を取得して、その基準位置を設定すると共に、既算出された搬送台車(20)の移動量を初期化する。このように、各位置表示部(B)を検出する時毎に、搬送台車(20)の移動量を初期化して、予め保存された位置表示部(B)による位置情報を基準に搬送台車(20)の移動量を再算出することによって、搬送台車(20)の移動量誤差が累積されることを防止し、さらに正確な搬送台車(20)の移動量を算出する。
【0038】
一方、本実施例では、ラインスキャンカメラと共に、別途のバーコードリーダーを備えて、バーコードリーダーを通じて位置表示部を検出すると説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるのではなく、バーコードリーダーを省略し、ラインスキャンカメラで取得した垂直線形態のイメージを累積して位置表示部を検出することもできる。
【0039】
本実施例の位置情報算出段階(S30’)では、前実施例とは違って、交差点検出段階(S31’)と、移動量算出段階(S32’)及び位置情報取得段階(S33’)からなる。交差点検出段階(S31’)は、
図7に示すように、イメージ取得段階(S10’)で取得したイメージ、すなわち、撮像部(30)のスキャンラインと、第1及び第2水平線(L1、L2)及び位置認識ライン(L3)がそれぞれ交差する交差点P1、P2、P3を検出する。
【0040】
本実施例の移動量算出段階(S32’)では、交差点P1、P2、P3の情報だけを利用して特徴点であるP3の位置を検出することによって、搬送台車(20)の現在位置を認識する。これを下記で説明する。まず、交差点検出段階で検出された各交差点の中、P2とP3の実際の高さの値(h)を算出する。P2とP3の実際の高さの値(h)は下の数式で算出できる。
【0041】
【数3】
(ここで、xはP1とP2との間の画素数であり、yはP2とP3との間の画素数であり、Hは第1水平線(L1)と第2水平線(L2)との間隔距離である。)
【0042】
この時、第1及び第2水平線(L1、L2)間の間隔距離(H)の値をはじめとして、位置認識ライン(L3)が第1水平線(L1)と交差される第1地点と位置認識ライン(L3)が第2水平線(L2)と交差される第2地点間のX軸距離(D)の値はレール(10)に第1及び第2水平線(L1、L2)及び位置認識ライン(L3)が表示された時点で固定される固定値であるので、この値は予め保存される。このように、P2とP3との実際の高さの値(h)が算出されれば、それを下の[数式3]に代入して、搬送台車(20)の実際移動量(M’’)を算出する。
【0043】
【数4】
(ここで、Dは位置認識ライン(L3)が第1水平線(L1)と交差される第1地点と位置認識ライン(L3)が第2水平線(L2)と交差される第2地点との間のX軸距離であり、Hは第1及び第2水平線(L1、L2)間の間隔である。)
【0044】
最後に、位置情報取得段階(S33’)では、基準位置情報取得段階(S20’)で取得した位置情報に搬送台車(20)の実際移動量(M’’)を合算して搬送台車(20)の現在位置情報を取得する。本発明を好ましい実施例と関連して説明したが、発明の要旨と範囲から逸することなく、多様な修正や変形をすることは可能である。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明に属する修正や変形を含む。
【符号の説明】
【0045】
10 レール
20 搬送台車
30 撮像部
40 分析部
L1 第1水平線
L2 第2水平線
L3 位置認識ライン
B 位置表示部
【要約】
【課題】搬送台車の正確な位置情報をリアルタイムで取得できる天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法を提供する。
【解決手段】本発明の天井型自動搬送システムの搬送台車位置認識方法は、撮像部で搬送台車が走行する直前に前記レールを撮像した第1イメージと、走行した搬送台車の現在位置でレールを撮像した第2イメージを取得するイメージ取得段階と、第1イメージの中、任意のパターンを特徴点に設定する特徴点設定段階と、基準位置情報取得段階で取得した位置情報と、第1イメージと第2イメージを比較して検出した特徴点の移動変位による移動量に基づいて搬送台車の現在位置情報を算出する位置情報算出段階と、を含む。
【選択図】
図2