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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20250528BHJP
【FI】
H02K3/04 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021060305
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156555
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】小島 遥華
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸彦
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195481(WO,A1)
【文献】特開2020-061927(JP,A)
【文献】特開2015-119535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と前記固定子に対して回転される回転子とを備えた回転電機であって、
前記固定子は複数のスロットが周方向に離隔して形成されたステータコアと前記スロットにそれぞれ挿入されることにより前記ステータコアに取り付けられる複数のコイルと前記複数のコイルに電源を接続する動力線とを有し、
前記コイルは両端部が前記ステータコアの軸方向における一端面から突出される突出部として設けられ前記スロットに挿入される部分が前記突出部に連続された挿入部として設けられると共に前記突出部が前記挿入部に対して折り曲げられ
前記複数のコイルは複数の一般用コイルと力線用コイルと中性線用コイルとを含み、
前記一般用コイルは一方の前記突出部が他の前記一般用コイルの前記突出部に接続される第1の接続部として設けられ他方の前記突出部が別の他の前記一般用コイル又は前記動力線用コイル又は前記中性線用コイルの前記突出部に接続される第2の接続部として設けられ、
前記動力線用コイルは一方の前記突出部が前記動力線に接続される動力線接続部として設けられ他方の前記突出部が前記一般用コイルの前記突出部に接続される一般用接続部として設けられ、
前記複数の一般用コイルは前記動力線用コイルと同じ長さの一般用コイルを含み、
前記同じ長さの一般用コイルの前記第1の接続部は前記動力線接続部と同じ長さの接続部にされ、
前記同じ長さの一般用コイルの前記第1の接続部に接続される他の前記一般用コイルの前記第1の接続部は前記動力線接続部と異なる長さの接続部にされ、
前記同じ長さの接続部と前記異なる長さの接続部とが折り曲げられた状態で接続され、
前記動力線接続部が前記ステータコアの径方向における外側に折り曲げられた
回転電機。
【請求項2】
前記同じ長さの一般用コイルの前記第2の接続部が前記同じ長さの一般用コイルの前記第1の接続部と同様の形状に折り曲げられ、
前記一般用接続部が前記同じ長さの一般用コイルの前記第1の接続部と同様の形状に折り曲げられた
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記突出部には前記挿入部に対して折り曲げられた第1の折曲部と前記第1の折曲部に対して折り曲げられた第2の折曲部とが設けられ、
前記一般用コイルは前記第2の折曲部同士が同じ長さにされた状態で接続される
請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記動力線は前記動力線接続部が接続されるコイル接続端子部と前記電源に接続される外部接続端子部とを有するバスバーである
請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記複数の一般用コイルは前記動力線用コイルと異なる長さの一般用コイルを含み、
前記異なる長さの一般用コイルの前記第1の接続部は前記異なる長さの接続部にされた
請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子と固定子に対して回転される回転子とを有する回転電機についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の固定子として、ステータコアとステータコアに取り付けられる複数のコイルとを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された回転電機の固定子は、複数のスロットを有する固定子鉄心と固定子巻線を構成する複数の導体セグメントとを有している。各導体セグメントは一部がスロットに配置され、固定子鉄心から突出された一部が他の導体セグメントに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-204597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、固定子のコイルには、動力線により電源からの電力が供給される。このため、複数のコイルには、他のコイルに接続される一般用コイルのほか、動力線に接続される動力線用コイルが含まれている。動力線用コイルにおいては一端部が動力線に接続され他端部が一般用コイルに接続され、動力線に接続される一端部は動力線との接続部分の長さに合わせた長さにする必要がある。動力線との接続部分の長さは車種や回転電機の構造等によって異なる場合があるため、動力線用コイルは一般用コイルとは異なる長さのコイルとして設けられる。従って、この場合には、全体の長さが異なる複数の種類のコイルを各別に成形する必要が生じ、回転電機の製造工数及び製造コストが増加してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、回転電機に用いるコイルの種類を削減して製造工数及び製造コストの低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態は、固定子と前記固定子に対して回転される回転子とを備えた回転電機であって、前記固定子は複数のスロットが周方向に離隔して形成されたステータコアと前記スロットにそれぞれ挿入されることにより前記ステータコアに取り付けられる複数のコイルと前記複数のコイルに電源を接続する動力線とを有し、前記コイルは両端部が前記ステータコアの軸方向における一端面から突出される突出部として設けられ前記スロットに挿入される部分が前記突出部に連続された挿入部として設けられると共に前記突出部が前記挿入部に対して折り曲げられ、前記複数のコイルは複数の一般用コイルと力線用コイルと中性線用コイルとを含み、前記一般用コイルは一方の前記突出部が他の前記一般用コイルの前記突出部に接続される第1の接続部として設けられ他方の前記突出部が別の他の前記一般用コイル又は前記動力線用コイル又は前記中性線用コイルの前記突出部に接続される第2の接続部として設けられ、前記動力線用コイルは一方の前記突出部が前記動力線に接続される動力線接続部として設けられ他方の前記突出部が前記一般用コイルの前記突出部に接続される一般用接続部として設けられ、前記複数の一般用コイルは前記動力線用コイルと同じ長さの一般用コイルを含み、前記同じ長さの一般用コイルの前記第1の接続部は前記動力線接続部と同じ長さの接続部にされ、前記同じ長さの一般用コイルの前記第1の接続部に接続される他の前記一般用コイルの前記第1の接続部は前記動力線接続部と異なる長さの接続部にされ、前記同じ長さの接続部と前記異なる長さの接続部とが折り曲げられた状態で接続され、前記動力線接続部が前記ステータコアの径方向における外側に折り曲げられたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動力線接続部の長さに応じて第1の接続部と第2の接続部と一般用接続部の折曲量が変化され、動力線接続部の長さに拘らずコイル同士を接続することが可能になる。従って、動力線用コイルと全ての一般用コイルとを各別の長さのコイルとして設ける必要がなくなり、回転電機に用いるコイルの種類を削減して回転電機の製造工数及び製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図2乃至図10と共に本発明回転電機の実施の形態を示すものであり、本図は車両の概略構成を示す図である。
図2】回転電機の分解斜視図である。
図3】ステータコアの斜視図である。
図4】バスバーユニット及びコイルを示す斜視図である。
図5】一般用コイルの斜視図である。
図6】接続された状態の一般用コイルの斜視図である。
図7】動力線用コイルの動力線接続部等を示す概念図である。
図8】一般用コイルの屈曲状態を示す概念図である。
図9】別の動力線用コイルの動力線接続部等を示す概念図である。
図10】別の一般用コイルの屈曲状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の回転電機を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
<車両の概略構成>
先ず、車両の概略構成を説明する(図1参照)。
【0012】
車両100は、例えば、ハイブリッド電気自動車であり、回転電機101とエンジン(内燃機関)102を有している。回転電機101とエンジン102には図示しないトルクコンバーターや摩擦クラッチ等によって変速機103が接続されている。尚、車両100が電気自動車である場合には、エンジン102は設けられていない。
【0013】
変速機103にはデファレンシャル装置104が接続されている。デファレンシャル装置104は、例えば、リアデファレンシャル装置であり、デファレンシャル装置104には図示しない左右の後輪駆動軸が連結され、後輪駆動軸にはそれぞれ後輪105、105が連結されている。回転電機101やエンジン102の駆動力はデファレンシャル装置104及び後輪駆動軸を介して後輪105、105に伝達される。
【0014】
尚、上記では後輪が駆動される2輪駆動(2WD)タイプの車両100の概略構成を説明したが、前輪が駆動される2輪駆動(2WD)タイプや4輪駆動(4WD)タイプの車両の場合には、デファレンシャル装置104に代えて、又はデファレンシャル装置104とともにフロントデファレンシャル装置が設けられる。フロントデファレンシャル装置が設けられる場合にはフロントデファレンシャル装置に図示しない左右の前輪駆動軸が連結され、前輪駆動軸にはそれぞれ前輪106、106が連結される。この場合には、回転電機101やエンジン102の駆動力はフロントデファレンシャル装置及び前輪駆動軸を介して前輪106、106に伝達される。
【0015】
<回転電機の構成>
続いて、図2乃至図4を参照して回転電機101の構成を説明する。
【0016】
回転電機101は、ハウジング1と固定子2と回転子3を有している(図2参照)。回転子3はハウジング1と固定子2に対して回転される。
【0017】
ハウジング1は、一方に開口された箱状のケース体4とケース体4の開口4aを閉塞するカバー体5とを有している。ハウジング1の内部空間は、固定子2が収納される収納空間1aとして形成されている。
【0018】
ケース体4の開口4aと反対側の端部における略中央部には支持孔4bが形成されている。ケース体4の内面側には支持孔4bの周囲に図示しない環状の固定溝が形成されている。
【0019】
カバー体5の略中央部には支持孔4bと同じ方向に貫通された支持孔5aが形成されている。カバー体5には支持孔5aの周囲にケース体4側に開口された図示しない環状の固定溝が形成されている。
【0020】
固定子2は、円筒状のステータコア6と、ステータコア6に取り付けられた複数のコイル7と、ステータコア6に取り付けられたバスバーユニット8とを有している(図2乃至図4参照)。ステータコア6は、例えば、複数の電磁鋼板6aが積層されて形成されている。
【0021】
回転子3は、回転支点となるシャフト3aとシャフト3aに外嵌された円筒状のロータコア3bとを有している(図2参照)。ロータコア3bは、例えば、複数の電磁鋼板が積層されて形成されている。ロータコア3bの内部には、図示しない磁石等の磁性体が配置されている。
【0022】
シャフト3aはベアリング9、9に支持されている。ベアリング9、9はそれぞれケース体4とカバー体5にそれぞれ形成された固定溝に嵌め込まれ外輪が固定されている。ベアリング9、9にはそれぞれシャフト3aの両端寄りの部分が挿通され、シャフト3aの両端部はそれぞれケース体4の支持孔4bとカバー体5の支持孔5aに挿入されて支持されている。ベアリング9、9は、回転子3の荷重を受けてシャフト3aの回転を円滑に行う機能を有している。
【0023】
続いて、図3乃至図5を参照して固定子2の構成を詳述する。上記したように、固定子2はステータコア6と複数のコイル7とバスバーユニット8とを有している。
【0024】
ステータコア6は、円筒状のヨーク部10と、ヨーク部10から径方向における内側に突出された複数のティース部11と、ヨーク部10から径方向における外側に突出された取付部12、12、12とを有している(図3参照)。
【0025】
複数のティース部11は周方向に等間隔に離隔して位置されている。周方向において隣り合うティース部11、11の間の空間は、コイル7が挿入されるスロット13として形成されている。スロット13はステータコア6の軸方向及び径方向における内方に開口されている。
【0026】
取付部12、12、12にはそれぞれ取付孔12a、12a、12aが形成されている。ステータコア6は、取付孔12aに挿通される図示しない締結具によってハウジング1に取り付けられる。
【0027】
複数のコイル7はそれぞれ一部がスロット13に挿入されてステータコア6に取り付けられている(図4参照)。尚、図4には一部のコイル7、7、・・・のみを示す。コイル7は、それぞれU相コイル又はV相コイル又はW相コイルとして機能する。コイル7は、例えば、セグメント導体であり、同相のコイル7が接続されて各相が構成される。コイル7の構成は後に詳述する。
【0028】
複数のコイル7は、複数の一般用コイル20と、複数の動力線用コイル30と、複数の中性線用コイル40とを含んでいる(図4参照)。一般用コイル20と動力線用コイル30と中性線用コイル40はそれぞれ相ごとに複数が設けられている。
【0029】
バスバーユニット8は、保持部材14とバスバー15、15、15と中性線バスバー16とを有している。
【0030】
保持部材14は、ステータコア6の外周に沿う円弧状に形成されている。保持部材14は、図示しない取付部材によりステータコア6に取り付けられることでステータコア6の軸方向における一方の端面に隣接する状態で配置されている。
【0031】
バスバー15、15、15は、コイル7に図示しない電源を接続する動力線として機能する。バスバー15は相ごとにそれぞれ設けられ、U相又はV相又はW相のコイル7に電力を供給する。尚、電源に接続された接続線が動力線として設けられ、接続線がコイル7に接続されてもよい。
【0032】
バスバー15は、保持部材14に内部において保持された被保持部15aと、被保持部15aに連続され保持部材14からステータコア6の軸方向における一方に突出されたコイル接続端子部15bと、被保持部15aに連続され保持部材14からステータコア6の反対側に突出された外部接続端子部15cとを有している。コイル接続端子部15bにはU相又はV相又はW相の動力線用コイル30が溶接等によって接続されている。外部接続端子部15cは、図示しない電源の端子台に固定されて電源に接続される。
【0033】
中性線バスバー16は、中性点を形成する。中性線バスバー16は、保持部材14に内部において保持された被保持部16aと、被保持部16aからステータコア6の軸方向における一方に突出されたコイル接続端子部16b、16b、16bとを有している。コイル接続端子部16b、16b、16bにはそれぞれU相又はV相又はW相の中性線用コイル40が溶接等によって接続されている。尚、図4にはコイル接続端子部16bに接続された中性線用コイル40を1本のみ示している。
【0034】
続いて、図4乃至図6を参照してコイル7の構成を説明する。
【0035】
コイル7は所定の長さに切断された平角線が所定の形状に折り曲げられて成形されている。
【0036】
コイル7は略U字状に屈曲された状態で一部がスロット13に挿入される。屈曲された状態のコイル7は、両端部がステータコア6から突出される突出部50、50として設けられ、スロット13に挿入される部分が挿入部60、60として設けられ、挿入部60、60を接続する部分が中間部70として設けられている。
【0037】
コイル7はステータコア6の軸方向における一方からスロット13に挿入される。コイル7は挿入部60、60がそれぞれ異なるスロット13、13に挿入されている。一つのスロット13には複数の挿入部60がステータコア6の径方向に並んだ状態で位置されている。突出部50、50はコイル7の挿入方向においてステータコア6から突出され、中間部70は突出部50と反対側においてステータコア6から突出されている。
【0038】
コイル7がスロット13に挿入された状態において、コイル7の各突出部50は折曲加工されて他のコイル7やバスバー15や中性線バスバー16に接続される。
【0039】
以下に、図4を参照して動力線用コイル30と中性線用コイル40のそれぞれの接続状態を説明する。
【0040】
動力線用コイル30の突出部50、50はそれぞれ動力線接続部31と一般用接続部32として設けられている。
【0041】
動力線接続部31は、挿入部60に対してステータコア6の径方向における外側に折り曲げられてバスバー15のコイル接続端子部15bに接続されている。一般用接続部32は挿入部60に対して折り曲げられ、一般用コイル20の一方の突出部50に接続されている。
【0042】
中性線用コイル40の突出部50、50はそれぞれ中性線接続部41と一般用接続部42として設けられている。
【0043】
中性線接続部41は、挿入部60に対してステータコア6の径方向における外側に折り曲げられて中性線バスバー16のコイル接続端子部16bに接続されている。一般用接続部42は挿入部60に対して折り曲げられ、一般用コイル20の一方の突出部50に接続されている。
【0044】
次に、図5及び図6を参照して一般用コイル20の接続状態を説明する。図5及び図6には、例として、折り曲げ方の異なる一般用コイル20Aと一般用コイル20Bを示している。一般用コイル20Aと一般用コイル20Bは、例えば、それぞれの挿入部60、60が挿入されるスロット13、13におけるピッチの違いに応じて異なる折り曲げ方で成形されている。尚、一般用コイル20、・・・は長さ(全長)が異なる複数の種類が用いられていてもよく、図5及び図6には、例として、長さの異なる一般用コイル20Aと一般用コイル20Bを示している。
【0045】
一般用コイル20(20A、20B)の突出部50、50はそれぞれ第1の接続部21と第2の接続部22として設けられている。尚、図5では、一般用コイル20Aの第1の接続部21と第2の接続部22をそれぞれ第1の接続部21Aと第2の接続部22Aとして示し、一般用コイル20Bの第1の接続部21と第2の接続部22をそれぞれ第1の接続部21Bと第2の接続部22Bとして示している。
【0046】
第1の接続部21と第2の接続部22は挿入部60に対して同じ方向又は互いに近付く方向へ折り曲げられている。突出部50は、挿入部60に連続され挿入部60に対して折り曲げられた第1の折曲部51と、第1の折曲部51に連続され第1の折曲部51に対して第1の折曲部51の折り曲げ方向に対して反対方向に折り曲げられた第2の折曲部52とを有している。
【0047】
第1の接続部21と第2の接続部22はそれぞれ他のコイル7に接続されている。例えば、一般用コイル20Aの第1の接続部21Aは第2の折曲部52が一般用コイル20Bにおける第1の接続部21Bの第2の折曲部52に接続されている(図6参照)。第2の接続部22Aと第2の接続部22Bはそれぞれ第2の折曲部52、52が他の一般用コイル20又は動力線用コイル30又は中性線用コイル40の突出部50、50における先端部に接続される。
【0048】
続いて、図7乃至図10を参照して一般用コイル20における突出部50、50の折曲状態を詳述する。
【0049】
回転電機101において、バスバー15に接続される動力線接続部31の長さは、車種や回転電機101の構造等によって異なる場合がある。回転電機101では、少なくとも一つの一般用コイル20と動力線用コイル30が同じ長さにされ、一般用コイル20の第1の接続部21と第2の接続部22及び動力線用コイル30の一般用接続部32が、動力線接続部31の長さに応じた折曲量で挿入部60に対して折り曲げられている。
【0050】
図7乃至図10に示す構成では、一般用コイル20Aと動力線用コイル30が同じ長さ(全長)にされるとともに一般用コイル20Aの一方の突出部50が動力線用コイル30の動力線接続部31と同じ長さにされている例を説明する。尚、図7乃至図10では一般用コイル20Aの突出部50と挿入部60をそれぞれ突出部50Aと挿入部60Aとして示し、一般用コイル20Bの突出部50と挿入部60をそれぞれ突出部50Bと挿入部60Bとして示している。また、突出部50Aの第1の折曲部51と第2の折曲部52をそれぞれ第1の折曲部51Aと第2の折曲部52Aとし、突出部50Bの第1の折曲部51と第2の折曲部52をそれぞれ第1の折曲部51Bと第2の折曲部52Bとして示している。
【0051】
先ず、図7及び図8を参照して動力線接続部31が長い場合の一般用コイル20Aの突出部50Aと一般用コイル20Bの突出部50Bの折曲状態を説明する。
【0052】
図7は動力線用コイル30の動力線接続部31と一般用コイル20Bの一方の突出部50Bを示している。尚、図7に示す一般用コイル20Bは動力線用コイル30に接続されるコイル7ではないが、図8との比較において理解を容易にするために、図8に示す一般用コイル20Bと同様に一般用コイル20Bを示している。図7に示す例では動力線接続部31が一般用コイル20Bの突出部50Bより長くされている。動力線接続部31はバスバー15のコイル接続端子部15bとの接続に必要な長さに形成され、所定の形状に折り曲げられて先端部がコイル接続端子部15bに接続される。動力線用コイル30の図示しない一般用接続部32は、例えば、動力線接続部31の長さと同じ長さにされ、後述する突出部50Aと同様の形状に折り曲げられて先端部が一般用コイル20に接続されている。
【0053】
図8は一般用コイル20Aの突出部50Aと一般用コイル20Bの突出部50Bが接続されている状態を示している。上記したように、一般用コイル20Aと動力線用コイル30は同じ長さにされ、例えば、突出部50Aは長さが長くされた動力線接続部31の長さと同じ長さにされ一般用コイル20Bの突出部50Bよりも長くされている。
【0054】
突出部50Aと突出部50Bは互いに近付く方向へ折り曲げられ、突出部50Aの第2の折曲部52Aと突出部50Bの第2の折曲部52Bが溶接等により接合されることで、一般用コイル20Aと一般用コイル20Bが接続されている。
【0055】
突出部50Aの第1の折曲部51Aの折曲量は、突出部50Bの第1の折曲部51Bの折曲量より大きくされている。これにより、一般用コイル20Aと一般用コイル20Bの接続位置は突出部50Bに寄った位置になるため、接続された状態において突出部50Aと突出部50Bのステータコア6からの軸方向における突出量を小さくしたうえで二つの突出部50、50を適正に接続することができる。
【0056】
また、突出部50Aの第2の折曲部52Aと突出部50Bの第2の折曲部52Bは同じ長さにされている。これにより、同じ長さにされた第2の折曲部52A、52Bが接続されるため、第2の折曲部52A、52B同士の全体を重ねて一方の第2の折曲部52が他方の第2の折曲部52から突出されない状態で接続することが可能になり、接続された状態において第2の折曲部52A、52Bのステータコア6からの軸方向における突出量を一層小さくすることができる。
【0057】
尚、一般用コイル20Aの図示しない他方の突出部50Aと一般用コイル20Bの図示しない他方の突出部50Bは、それぞれ図示した突出部50Aと突出部50Bと同様の形状に折り曲げられて他の一般用コイル20又は動力線用コイル30又は中性線用コイル40の先端部に接続されている。
【0058】
次に、図9及び図10を参照して動力線接続部31が短い場合の一般用コイル20Aの突出部50Aと一般用コイル20Bの突出部50Bの折曲状態を説明する。
【0059】
図9は動力線用コイル30の動力線接続部31と、一般用コイル20Bの一方の突出部50Bを示している。尚、図9に示す一般用コイル20Bは動力線用コイル30に接続されるコイル7ではないが、図10との比較において理解を容易にするために、図10に示す一般用コイル20Bと同様に一般用コイル20Bを示している。図9に示す例では動力線接続部31が一般用コイル20Bの突出部50Bより短くされている。動力線接続部31はコイル接続端子部15bとの接続に必要な長さに形成され、所定の形状に折り曲げられて先端部がコイル接続端子部15bに接続される。動力線用コイル30の図示しない一般用接続部32は、例えば、動力線接続部31の長さと同じ長さにされ、後述する突出部50Aと同様の形状に折り曲げられて先端部が一般用コイル20に接続されている。
【0060】
図10は一般用コイル20Aの突出部50Aと一般用コイル20Bの突出部50Bが接続されている状態を示している。上記したように、一般用コイル20Aと動力線用コイル30は同じ長さにされ、例えば、突出部50Aは長さが短くされた動力線接続部31の長さと同じ長さにされ一般用コイル20Bの突出部50Bよりも短くされている。
【0061】
突出部50Aと突出部50Bは互いに近付く方向へ折り曲げられ、突出部50Aの第2の折曲部52Aと突出部50Bの第2の折曲部52Bが溶接等により接合されることで、一般用コイル20Aと一般用コイル20Bが接続されている。
【0062】
突出部50Aの第1の折曲部51Aの折曲量は、突出部50Bの第1の折曲部51Bの折曲量より小さくされている。これにより、一般用コイル20Aと一般用コイル20Bの接続位置は突出部50Aに寄った位置になるため、接続された状態において突出部50Aと突出部50Bのステータコア6からの軸方向における突出量を小さくしたうえで二つの突出部50、50を適正に接続することができる。
【0063】
また、突出部50Aの第2の折曲部52Aと突出部50Bの第2の折曲部52Bは同じ長さにされている。これにより、同じ長さにされた第2の折曲部52A、52Bが接続されるため、第2の折曲部52A、52B同士の全体を重ねて一方の第2の折曲部52が他方の第2の折曲部52から突出されない状態で接続することが可能になり、接続された状態において第2の折曲部52A、52Bのステータコア6からの軸方向における突出量を一層小さくすることができる。
【0064】
尚、一般用コイル20Aの図示しない他方の突出部50Aと一般用コイル20Bの図示しない他方の突出部50Bは、それぞれ図示した突出部50Aと突出部50Bと同様の形状に折り曲げられて他の一般用コイル20又は動力線用コイル30又は中性線用コイル40の先端部に接続されている。
【0065】
<まとめ>
上記のように回転電機101においては、一般用コイル20の少なくとも一つと動力線用コイル30が同じ長さにされ、第1の接続部21(突出部50)と第2の接続部22(突出部50)と一般用接続部32が動力線接続部31の長さに応じた折曲量で挿入部60に対して折り曲げられた状態で他のコイル7に接続されている。
【0066】
これにより、動力線接続部31の長さに応じて第1の接続部21と第2の接続部22と一般用接続部32の折曲量が変化され、動力線接続部31の長さに拘らずコイル7同士を接続することが可能になる。従って、動力線用コイル30と全ての一般用コイル20とを各別の長さのコイル7として設ける必要がなくなり、回転電機101に用いるコイル7の種類を削減して回転電機101の製造工数及び製造コストの低減を図ることができる。
【0067】
また、回転電機101においては、第1の接続部21と動力線接続部31が同じ長さにされている。これにより、第1の接続部21の長さが動力線接続部31の長さに応じて定められるため、第1の接続部21の折曲量を定め易くなり、回転電機101の設計を容易に行うことができる。
【0068】
さらに、回転電機101においては、動力線接続部31の長さが長いほど第1の接続部21の折曲量が大きくされている。これにより、動力線接続部31の長さが長いほど第1の接続部21が大きく折り曲げられるため、動力線接続部31の長さに拘らず一般用コイル20を他のコイル7に適正に接続することができる。
【0069】
さらにまた、回転電機101においては、一般用コイル20同士の間で接続される二つの突出部50、50において一方の突出部50(突出部50A)と他方の突出部50(突出部50B)の長さが異なり、一方の突出部50と他方の突出部50のうち長い方の突出部50の折曲量が短い方の突出部50の折曲量より大きくされている。これにより、一方の突出部50と他方の突出部50との接続位置が短い方の突出部50に寄った位置になるため、接続された状態において一方の突出部50と他方の突出部50のステータコア6からの突出量を小さくすることが可能になり、回転電機101の小型化を図ることができる。
【0070】
加えて、回転電機101においては、突出部50には挿入部60に対して折り曲げられた第1の折曲部51と第1の折曲部51に対して折り曲げられた第2の折曲部52とが設けられ、一般用コイル20、20は第2の折曲部52、52同士が同じ長さにされた状態で接続される。これにより、同じ長さにされた第2の折曲部52、52が接続されるため、第2の折曲部52、52同士の全体を重ねて一方の第2の折曲部52が他方の第2の折曲部52から突出されない状態で接続することが可能になり、接続された状態において一方の突出部50と他方の突出部50のステータコア6からの突出量を一層小さくして回転電機101の一層の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ハウジング
2 固定子
3 回転子
6 ステータコア
7 コイル
13 スロット
15 バスバー
20、20A、20B 一般用コイル
21、21A、21B 第1の接続部
22、22A、22B 第2の接続部
30 動力線用コイル
31 動力線接続部
32 一般用接続部
50、50A、50B 突出部
51、51A、51B 第1の折曲部
52、52A、52B 第2の折曲部
60 挿入部
101 回転電機
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10