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  • 特許-変速機リフトアップ機構 図1
  • 特許-変速機リフトアップ機構 図2
  • 特許-変速機リフトアップ機構 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】変速機リフトアップ機構
(51)【国際特許分類】
   B60K 5/12 20060101AFI20250528BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20250528BHJP
   B60K 5/02 20060101ALI20250528BHJP
【FI】
B60K5/12 Z
B60K17/04 N
B60K5/02 E
B60K5/12 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021149840
(22)【出願日】2021-09-15
(65)【公開番号】P2023042627
(43)【公開日】2023-03-28
【審査請求日】2024-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】桜井 透
【審査官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107651(JP,A)
【文献】特開2005-247030(JP,A)
【文献】特開2002-347646(JP,A)
【文献】国際公開第2012/016622(WO,A2)
【文献】特開2016-203963(JP,A)
【文献】特開2019-104431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00-6/12
7/00-8/00
16/00
17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の変速機の車幅方向外側に配置され、車両前後方向を軸方向として車体側部材に回転可能に連結された支持軸と、
前記支持軸から前記支持軸の径方向外側へ延出され、前記変速機に連結された連結部と、
前記支持軸から前記支持軸の径方向外側へ延出され、先端部が前記変速機よりも車両下側に配置されたレバー部と、
を備え、
前記レバー部に車両上側への外力が入力されることで、前記支持軸が回転すると共に、前記連結部によって前記変速機を車両上方側へ持上げる変速機リフトアップ機構。
【請求項2】
前記連結部は、
前記支持軸から延出されたアーム部と、
前記アーム部に接続され且つ車両前後方向を軸方向として前記変速機に回転可能に連結された連結軸と、
を含んで構成されている請求項1に記載の変速機リフトアップ機構。
【請求項3】
前記連結軸は、
前記連結軸の前部を構成し、前記アーム部に接続された前側連結軸部と、
前記連結軸の後部を構成する後側連結軸部と、
前記連結軸の長手方向中間部に形成され、前記前側連結軸部と前記後側連結軸部とを連結し、クランク状に屈曲された屈曲部と、
を含んで構成されており、
前記支持軸から前記後側連結軸部までの距離が、前記支持軸から前記前側連結軸部までの距離よりも長く設定されている請求項2に記載の変速機リフトアップ機構。
【請求項4】
前記支持軸が前記変速機の車両右側に配置されており、
前記支持軸の回転時には、前記連結部によって前記変速機が車両上側かつ車両右側へ持上げられる請求項1~請求項3の何れか1項に記載の変速機リフトアップ機構。
【請求項5】
車両下側から見て、前記レバー部が前記変速機にオーバーラップしない位置に配置されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の変速機リフトアップ機構。
【請求項6】
車両下側から見て、前記レバー部の一部が前記変速機にオーバーラップしている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の変速機リフトアップ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機リフトアップ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(自動車)のトランスミッション(変速機)は、車両の前部の下端部に配置されて、車両の骨格部材によって支持されている。例えば、下記特許文献1に記載のパワーユニットマウント装置では、パワーユニットマウント装置が、車両のクロスメンバに設けられ、トランスミッションを含むパワーユニットを下側から支持している。また、パワーユニットマウント装置は、弾性変形可能に構成されて、パワーユニットがパワーユニットマウント装置によってフローティング状態に支持されている。これにより、走行振動などがパワーユニットに入力されことを、パワーユニットマウント装置によって抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-54172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、トランスミッションをより車両下側に配置することで、車両の重心が下がるため、車両の走行性能等を向上することができる。一方、トランスミッションをより車両下側に配置すると、トランスミッションが路面に接近する傾向になる。このため、例えば、車両が比較的遅い走行速度で凹凸路面を走行したときに、トランスミッションが路面に接地する可能性がある。具体的には、工事中の路面における凸部を低速度で乗り越えたときに、トランスミッションが路面に接地する虞がある。このため、車両では、トランスミッションに対する保護性能を向上できる構造にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、変速機に対する保護性能を向上することができる変速機リフトアップ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両の変速機の車幅方向外側に配置され、車両前後方向を軸方向として車体側部材に回転可能に連結された支持軸と、前記支持軸から前記支持軸の径方向外側へ延出され、前記変速機に連結された連結部と、前記支持軸から前記支持軸の径方向外側へ延出され、先端部が前記変速機よりも車両下側に配置されたレバー部と、を備え、前記レバー部に車両上側への外力が入力されることで、前記支持軸が回転すると共に、前記連結部によって前記変速機を車両上方側へ持上げる変速機リフトアップ機構である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連結部は、前記支持軸から延出されたアーム部と、前記アーム部に接続され且つ車両前後方向を軸方向として前記変速機に回転可能に連結された連結軸と、を含んで構成されている変速機リフトアップ機構である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連結軸は、前記連結軸の前部を構成し、前記アーム部に接続された前側連結軸部と、前記連結軸の後部を構成する後側連結軸部と、前記連結軸の長手方向中間部に形成され、前記前側連結軸部と前記後側連結軸部とを連結し、クランク状に屈曲された屈曲部と、を含んで構成されており、前記支持軸から前記後側連結軸部までの距離が、前記支持軸から前記前側連結軸部までの距離よりも長く設定されている変速機リフトアップ機構である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記支持軸が前記変速機の車両右側に配置されており、前記支持軸の回転時には、前記連結部によって前記変速機が車両上側かつ車両右側へ持上げられる変速機リフトアップ機構である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両下側から見て、前記レバー部が前記変速機にオーバーラップしない位置に配置されている変速機リフトアップ機構である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両下側から見て、前記レバー部の一部が前記変速機にオーバーラップしている変速機リフトアップ機構である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、変速機に対する保護性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る変速機リフトアップ機構が適用された車両の前部の下部を示す下側から見た下面図である。
図2図1に示される変速機リフトアップ機構の周辺を拡大して示す下面図である。
図3図2に示される変速機リフトアップ機構の周辺を示す後側から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る変速機リフトアップ機構40(以下、単にリフトアップ機構40という)について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、リフトアップ機構40が適用された車両(自動車)Vの車両前側を示し、矢印UPは車両上側を示し、矢印RHは車両右側(車幅方向一方側)を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向、車両左右方向を示すものとする。
【0015】
リフトアップ機構40は、車両Vの前部における下端部に設けられている。リフトアップ機構40は、車両Vのトランスミッション24を持上げて、トランスミッション24の路面等への接地を抑制する機構として構成されている。以下、先に車両Vの前部の下部構造について説明し、次いで、リフトアップ機構40について説明する。
【0016】
(車両Vの下部構造について)
図1には、車両Vの前部における下部が、下側から見た下面図にて示されている。この図に示されるように、車両Vの下部構造は、車両Vの骨格部材を構成する左右一対のフロントサイドフレーム10と、左右一対のフロアサイドフレーム14と、左右一対のフロアサイドフレームインナ16と、車体側部材としての前側クロスメンバ18と、トランスミッションクロスメンバ22と、を含んで構成されている。
【0017】
左右一対のフロントサイドフレーム10は、車両Vの前部の車幅方向両側部において前後方向に延在されており、フロントサイドフレーム10の車幅方向外側に前輪12が配置されている。左右一対のフロアサイドフレーム14は、フロントサイドフレーム10の後側において前後方向に延在されており、フロアサイドフレーム14の前端部がフロントサイドフレーム10の後端部に接続されている。左右一対のフロアサイドフレームインナ16は、フロントサイドフレーム10の後部の車幅方向内側において前後方向に延在されており、フロアサイドフレームインナ16の前端部が、車幅方向外側へ屈曲されてフロントサイドフレーム10に接続されている。
【0018】
前側クロスメンバ18は、左右一対のフロントサイドフレーム10の前部の間に配置されて、下側から見て後側へ開放された略U字形状に形成されて、フロントサイドフレーム10に架け渡されている。前側クロスメンバ18は、複数のメンバ部材によって構成されており、前側クロスメンバ18には、前輪12を架橋するサスペンションを構成するロアアーム20が連結されている。トランスミッションクロスメンバ22は、前側クロスメンバ18の後側において左右方向に延在されており、トランスミッションクロスメンバ22の長手方向両端部が、フロアサイドフレームインナ16に接続されている。
【0019】
また、車両Vの前部の車幅方向中央部には、変速機としてのトランスミッション24及びエンジン26を含むパワーユニット28が設けられている。パワーユニット28は、前側クロスメンバ18及びトランスミッションクロスメンバ22の上側に配置され、前側クロスメンバ18及びトランスミッションクロスメンバ22に設けられたマウント装置30によって前側クロスメンバ18及びトランスミッションクロスメンバ22に連結されている。マウント装置30は、弾性変形可能に構成されており、パワーユニット28が、マウント装置30によって車両Vの骨格部材にフローティング状態で支持されている。トランスミッション24の下端部には、オイルパン24Aが設けられており、オイルパン24Aは、上側へ開放された比較的底の浅い略矩形箱状に形成されている。また、トランスミッション24の後端部には、プロペラシャフト32の前端部が連結されており、プロペラシャフト32が、トランスミッション24から後側へ延出している。
【0020】
(リフトアップ機構40について)
図2及び図3に示されるように、リフトアップ機構40は、リフトアップ部材42を主要部として構成されている。リフトアップ部材42は、トランスミッション24の右側に配置されている。リフトアップ部材42は、支持軸44と、連結部46と、レバー部としての押上げレバー52と、を含んで構成されている。
【0021】
支持軸44は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。支持軸44は、トランスミッション24の右側で且つ前側クロスメンバ18の下側に配置されており、支持軸44の前後方向両端部が、前側クロスメンバ18に設けられた軸受60によって回転可能に支持されている。これにより、支持軸44が、前側クロスメンバ18に前後方向を軸方向として回転可能に連結されている。
【0022】
連結部46は、一対のアーム部48と、連結軸50と、を含んで構成されている。一対のアーム部48は、略円柱状に形成されている。そして、アーム部48の長手方向一端部が、支持軸44の前後方向外側部分に接続されて、アーム部48が支持軸44の径方向外側へ延出している。具体的には、アーム部48が、後側から見て、車幅方向中央側(左側)へ向かうに従い上側へ傾斜する方向に延在されている。一対のアーム部48は、前後方向に並んで配置されている。
【0023】
連結軸50は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。連結軸50は支持軸44の右側に配置され、前後方向において連結軸50の前端が支持軸44の前端と略一致する位置に配置されており、連結軸50の後部が、支持軸44よりも後側に配置されている。すなわち、連結軸50の前後長が、支持軸44の前後長よりも長く設定されている。連結軸50の後端側部分には、略クランク状に屈曲された屈曲部50Aが形成されている。連結軸50における屈曲部50Aよりも前側部分は、前側連結軸部50Bとして構成され、連結軸50における屈曲部50Aよりも後側部分は、後側連結軸部50Cとして構成されており、下側から見て、後側連結軸部50Cが前側連結軸部50Bよりも車幅方向中央側(左側)に配置されている。
【0024】
そして、アーム部48の長手方向他端部が、前側連結軸部50Bに接続されている。また、前側連結軸部50Bは、トランスミッション24の右側に近接して配置され、前側連結軸部50Bの前端部が、トランスミッション24の外周部に設けられた軸受62に回転可能に支持され、前側連結軸部50Bの後端部が、トランスミッション24の外周部に設けられた軸受64に回転可能に支持されている。これにより、連結軸50が前後方向を軸方向としてトランスミッション24に回転可能に連結されている。後側連結軸部50Cは、トランスミッション24の後端部の右側に近接して配置されており、後側連結軸部50Cの前後方向中間部が、トランスミッション24の外周部に設けられた軸受66によって回転可能に支持されている。そして、支持軸44の軸心から後側連結軸部50Cの軸心までの距離R1が、支持軸44の軸心から前側連結軸部50Bの軸心までの距離R2よりも長く設定されている。
【0025】
押上げレバー52は、前後方向を長手方向とする略矩形プレート状に形成されている。押上げレバー52の右端部は、支持軸44に接続されており、押上げレバー52が、支持軸44の径方向外側へ延出している。具体的には、押上げレバー52が、後側から見て、車幅方向中央側(左側)へ向かうに従い下側へ傾斜する方向に延在されている。押上げレバー52の先端部は、トランスミッション24よりも下側に配置されている。これにより、押上げレバー52に上方側への外力F(図3参照)が作用したときには、リフトアップ部材42が、後側から見て、支持軸44を中心に時計回り(図3の矢印A方向側)に回転するように構成されている。また、本実施の形態では、下側から見て、押上げレバー52とトランスミッション24とがオーバーラップしないように、押上げレバー52の支持軸44からの延出長さが設定されている。
【0026】
(作用効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果を説明する。
【0027】
車両Vでは、トランスミッション24が車両Vの前部の下端部に配置されている。このため、例えば、車両Vが、工事中などの凹凸状の路面を低速度で走行し、前輪12が路面の凸部を乗り越えたときには、当該凸部がトランスミッション24に接近して、トランスミッション24が路面の凸部に接地する可能性がある。この場合には、凸部からトランスミッション24に上方側への衝突力が直接入力されるため、トランスミッション24に対する保護性能が低下する虞がある。
【0028】
ここで、車両Vでは、リフトアップ部材42が、トランスミッション24の右側に設けられている。リフトアップ部材42は、前後方向を軸方向として車両Vの前側クロスメンバ18に回転可能に連結された支持軸44と、支持軸44から延出されてトランスミッション24に連結された連結部46と、支持軸44から延出された押上げレバー52と、を含んで構成されている。そして、押上げレバー52の先端部が、トランスミッション24よりも下側に配置されている。これにより、路面の凸部がトランスミッション24に接近するときには、押上げレバー52が、トランスミッション24よりも先に凸部に接地される。
【0029】
押上げレバー52が路面の凸部に接地すると、上方側への外力Fが押上げレバー52に入力される。これにより、リフトアップ部材42が、後側から見て支持軸44を中心として時計回り(図3の矢印A方向側)に回転する。このため、トランスミッション24が連結部46によって上方側へ持上げられる。詳しくは、トランスミッション24が上側且つ右側(車幅方向外側)へ変位する。すなわち、トランスミッション24が路面から離間する方向へ変位する。その結果、トランスミッション24(パワーユニット28)を車両Vにおいて比較的低い位置に配置しても、トランスミッション24が路面に接地することを抑制できる。したがって、トランスミッション24に対する保護性能を向上することができる。また、車両Vにおいてトランスミッション24(パワーユニット28)を比較的低い位置に配置することで、車両Vの重心位置を低くすることができると共に、車両Vの走行性能を向上することができる。
【0030】
また、リフトアップ部材42の連結部46は、支持軸44から延出された一対のアーム部48と、アーム部48に接続され且つ前後方向を軸方向としてトランスミッション24に回転可能に連結された連結軸50と、を含んで構成されている。これにより、簡易な構成でリフトアップ部材42とトランスミッション24とを連結し、リフトアップ部材42の作動時にトランスミッション24を持上げることができる。
【0031】
また、連結軸50は、前側連結軸部50Bと、後側連結軸部50Cと、前側連結軸部50B及び後側連結軸部50Cを連結する屈曲部50Aと、を有している。そして、支持軸44から後側連結軸部50Cまでの距離R1が、支持軸44から前側連結軸部50Bまでの距離R2よりも長く設定されている。このため、連結軸50を前側連結軸部50Bのみで構成する場合と比べて、支持軸44から連結軸50までの距離を長く設定することができると共に、トランスミッション24の前後方向の全体に亘って連結軸50とトランスミッション24とを連結することができる。したがって、押上げレバー52に入力された外力Fによって、トランスミッション24を良好に持上げることができる。
【0032】
また、リフトアップ部材42は、トランスミッション24の右側に配置されている。具体的には、支持軸44がトランスミッション24の右側に配置されており、押上げレバー52に上方側への外力Fが入力されたときには、連結部46によってトランスミッション24が上側且つ右側へ持上げられる。これにより、トランスミッション24に連結されるプロペラシャフト32の回転への影響を抑制しつつ、リフトアップ部材42によってトランスミッション24を持上げることができる。
【0033】
すなわち、トランスミッション24に連結されたプロペラシャフト32は、後側から見て、自身の軸心回りに反時計回り(図3の矢印B方向側)に回転する。このため、仮に、リフトアップ部材42をトランスミッション24に対して左側に配置した場合には、リフトアップ部材42によってトランスミッション24を持上げる方向と、プロペラシャフト32の回転方向と、が略逆方向になる。このため、リフトアップ部材42によるトランスミッション24の持上動作が、プロペラシャフト32の回転に影響を与える可能性がある。これに対して、本実施の形態では、リフトアップ部材42が、トランスミッション24の右側に配置されている。このため、リフトアップ部材42によってトランスミッション24を持上げる方向と、プロペラシャフト32の回転方向と、を略同方向にすることができる。したがって、プロペラシャフト32の回転への影響を抑制しつつ、リフトアップ部材42によってトランスミッション24を持上げることができる。
【0034】
また、押上げレバー52は、下側から見てトランスミッション24とオーバーラップしない位置に配置されている。これにより、押上げレバー52の支持軸44からの延出長さを比較的短くすることができる。したがって、リフトアップ部材42の軽量化に寄与することができると共に、車両Vの全体の軽量化に寄与することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、リフトアップ部材42の押上げレバー52が下側から見てトランスミッション24とオーバーラップしない位置に配置されている。これに代えて、押上げレバー52の先端部を、本実施の形態と比べて左側へ延ばして、下側から見て押上げレバー52の先端部(一部)をトランスミッション24とオーバーラップする位置に配置してもよい。これにより、押上げレバー52を、トランスミッション24の一部を下側から覆うカバー部材として機能させることができる。よって、トランスミッション24に対する保護性能を一層向上することができる。また、支持軸44から押上げレバー52の先端部までの長さを本実施形態よりも長くすることができる。これにより、例えば、外力Fが押上げレバー52の先端部に作用したときには、てこの原理によって、トランスミッション24をリフトアップ部材42により容易に持上げることができる。
【0036】
また、本実施の形態では、リフトアップ部材42の連結軸50が、前側連結軸部50Bと、後側連結軸部50Cと、前側連結軸部50B及び後側連結軸部50Cを連結する屈曲部50Aと、を含んで構成されているが、連結軸50を前側連結軸部50Bのみで構成してもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、上述のように、プロペラシャフト32の回転への影響を抑制するという観点からリフトアップ部材42をトランスミッション24の右側に配置しているが、リフトアップ部材42をトランスミッション24の左側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0038】
18 前側クロスメンバ(車体側部材)
24 トランスミッション(変速機)
40 変速機リフトアップ機構
44 支持軸
46 連結部
48 アーム部
50 連結軸
50A 屈曲部
50B 前側連結軸部
50C 後側連結軸部
52 押上げレバー(レバー部)
R1 支持軸から後側連結軸部までの距離
R2 支持軸から前側連結軸部までの距離
V 車両
図1
図2
図3