(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】化合物を分離するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 7/02 20060101AFI20250528BHJP
C07C 9/04 20060101ALI20250528BHJP
C07C 7/09 20060101ALI20250528BHJP
【FI】
B01D7/02
C07C9/04
C07C7/09
(21)【出願番号】P 2022559539
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 US2021024292
(87)【国際公開番号】W WO2021202262
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-10-16
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522383171
【氏名又は名称】サステイナブル・エナジー・ソリューションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,ラリー
(72)【発明者】
【氏名】バート,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】フランクマン,デイブ
(72)【発明者】
【氏名】ホーガー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マンスフィールド,エリック
(72)【発明者】
【氏名】チェンバレン,スカイラー
(72)【発明者】
【氏名】スティット,カイラー
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-504737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0281916(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0209729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159943(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362251(US,A1)
【文献】特表2001-500422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01B 1/00-1/08
B01D 1/00-8/00
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素から凝華可能な化合物を連続的に分離するための方法であって、
上部チャンバと下部チャンバとを備える容器を用意することと、
供給流体流を前記上部チャンバに入れることであって、前記供給流体流が炭化水素と凝華可能な化合物とを含むことと、
前記上部チャンバで前記供給流体流を冷却し、前記供給
流体流から前記凝華可能な化合物の一部分を凝華して、固体の凝華可能な化合物の雪及び製品ガス流を形成することと、
前記固体の凝華可能な化合物の雪を前記下部チャンバに集めることと、
前記固体の凝華可能な化合物の雪の下部を溶かして液体の凝華可能な化合物流を形成し、前記固体の凝華可能な化合物の雪の上部が、前記上部チャンバと前記液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として留まるように溶かすことと、
前記固体の凝華可能な化合物の雪の生成速度に一致する速度で前記液体の凝華可能な化合物流を取り出し、それによって前記絶縁障壁を維持することと、
前記上部チャンバから前記製品ガス流を取り出すことと
を含む、
方法。
【請求項2】
前記凝華可能な化合物が、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される、
請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記炭化水素が、メタン、エタン、プロパン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、
請求項1に記載の
方法。
【請求項4】
前記供給流体流を冷却することが、低温液体流を前記上部チャンバ内で減圧沸騰させ、前記上部チャンバの温度を下げることであって、前記低温液体流が前記炭化水素を含むことを含む、
請求項1に記載の
方法。
【請求項5】
前記製品ガス流の一部分を冷凍ループに通して、前記低温液体流を生成することをさらに含む、
請求項4に記載の
方法。
【請求項6】
溶かすことが、温かい液体の凝華可能な化合物流を前記下部チャンバ内に噴射することを含む、
請求項1に記載の
方法。
【請求項7】
溶かすことが、前記下部チャンバを加熱要素で加熱することを含む、
請求項1に記載の
方法。
【請求項8】
成分を連続的に分離するための方法であって、
上部チャンバと下部チャンバとを備える容器を用意することと、
供給流体流を前記上部チャンバに入れることであって、前記供給流体流がメタンと二酸化炭素とを含むことと、
低温液体流を前記上部チャンバ内で減圧沸騰させ、それによって前記上部チャンバの温度を下げることであって、前記低温液体流がメタンを含むことと、
前記供給
流体流から前記二酸化炭素を凝華して、固体の二酸化炭素の雪及び製品ガス流を形成することと、
前記固体の二酸化炭素の雪を前記下部チャンバ内に集めることと、
前記固体の二酸化炭素の雪の下部を溶かして、液体の二酸化炭素流を形成し、前記固体の二酸化炭素の雪の上部が、前記上部チャンバと前記液体の二酸化炭素流との間の絶縁障壁として留まるように溶かすことと、
前記固体の二酸化炭素の雪の生成速度に一致する速度で前記液体の二酸化炭素流を取り出し、前記絶縁障壁を維持することと、
前記上部チャンバから前記製品ガス流を取り出すことと
を含む、
方法。
【請求項9】
前記供給流体流が、少なくとも20重量%の二酸化炭素を含み、少なくとも2.5MPa(25bar)であり、-55℃より低温である、
請求項8に記載の
方法。
【請求項10】
前記
供給流体流がC2+天然ガス成分を含む、
請求項8に記載の
方法。
【請求項11】
前記
低温液体流が、3重量%以下の二酸化炭素を含み、少なくとも5.0MPa(50bar)であり、-102℃より低温である、
請求項8に記載の
方法。
【請求項12】
前記製品ガス流の一部分を冷凍ループに通して、前記低温液体流を生成することをさらに含む、
請求項8に記載の
方法。
【請求項13】
溶かすことが、温かい液体の二酸化炭素流を前記下部チャンバ内に噴射することを含む、
請求項8に記載の
方法。
【請求項14】
溶かすことが、前記下部チャンバを加熱要素で加熱することを含む、
請求項8に記載の
方法。
【請求項15】
成分を連続的に分離するためのシステムであって、
上部チャンバと下部チャンバとを備える容器を備え、
前記上部チャンバが、供給ガス入口、冷却源、及び製品ガス出口を備え、
前記下部チャンバが、製品液体出口及び熱源を備え、
前記供給
ガス入口が、供給ガス流が前記供給ガス入口を通って前記上部チャンバに入るように構成され、前記供給
ガス流が、炭化水素と凝華可能な化合物とを含み、
前記冷却源が前記供給ガス流を冷却し、前記供給ガス流から前記凝華可能な化合物の一部分を凝華して、固体の凝華可能な雪及び製品ガス流を形成し、前記固体の凝華可能な化合物の雪が前記下部チャンバに落ち、
熱源が、前記下部チャンバ内の前記固体の凝華可能な化合物の雪の下部を溶かして液体の凝華可能な化合物流を形成し、前記固体の凝華可能な化合物の雪の上部が、前記上部チャンバと前記液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として留まるように溶かし、
前記製品液体出口が、前記固体の凝華可能な化合物の雪の生成速度に一致する速度で前記液体の凝華可能な化合物流を取り出し、前記絶縁障壁を維持するように構成され、
前記製品ガス出口が、前記上部チャンバから前記製品ガス流を取り出すように構成された、
システム。
【請求項16】
前記製品ガス流の一部分を受け入れ、冷却し、圧縮して、低温液体流を形成するように構成された冷凍ループをさらに備え、
前記冷却源が、前記低温液体流を前記上部チャンバ内で減圧沸騰させた結果である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記熱源が、前記下部チャンバの壁にはめ込まれた、又は取り付けられた誘導抵抗加熱器である、
請求項15に記載の
システム。
【請求項18】
前記熱源が間接接触式熱交換器である、
請求項15に記載の
システム。
【請求項19】
前記下部チャンバが、前記固体が溶けると前記固体を前記製品液体出口の方へ搬送するように構成されたオーガを備える、
請求項15に記載の
システム。
【請求項20】
前記凝華可能な化合物が、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される、
請求項1に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]本出願は、2020年3月30日出願の米国特許出願第16/834,927号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[0002]本明細書で説明される方法及びプロセスは、全体として流体分離に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]流体成分の分離は、エネルギー集約的であるか又は複雑であることが多い。成分を分離することはできるが、必要とする純度が高いほど、典型的には、より多くの装置の操作が必要になる。従来の流体分離技術に代わるものが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]第1の態様では、本開示は、炭化水素から凝華可能な化合物を連続的に分離するための方法を提供する。上部チャンバと下部チャンバとを有する容器が用意される。供給流体流が上部チャンバに入れられる。供給流体流は、炭化水素と凝華可能な化合物とからなる。供給流体流は上部チャンバ内で冷却され、それによって、供給液体流から凝華可能な化合物の一部分を凝華して、固体の凝華可能な化合物の雪及び製品ガス流を形成する。固体の凝華可能な化合物の雪が下部チャンバに集められる。固体の凝華可能な化合物の雪の下部が溶かされて液体の凝華可能な化合物流を形成するが、それは、固体の凝華可能な化合物の雪の上部が、上部チャンバと液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として留まるように溶かされる。液体の凝華可能な化合物流は、固体の凝華可能な化合物の雪の生成速度に一致する速度で取り出され、それによって絶縁障壁を維持する。製品ガス流は上部チャンバからを取り出される。
【0005】
[0005]第2の態様では、本開示は、成分を連続的に分離するための方法を提供する。上部チャンバと下部チャンバとを有する容器が用意される。供給流体流は上部チャンバに入れられる。供給流体流はメタンと二酸化炭素とからなる。低温液体流が上部チャンバ内で減圧沸騰させられて、それによって上部チャンバの温度を下げる。低温液体流はメタンからなる。二酸化炭素は供給流体流から凝華されて、固体の二酸化炭素の雪及び製品ガス流を形成する。固体の二酸化炭素の雪は下部チャンバ内に集められる。固体の二酸化炭素の雪の下部が溶かされて液体の二酸化炭素流を形成するが、それは、固体の二酸化炭素の雪の上部が、上部チャンバと液体の二酸化炭素流との間の絶縁障壁として留まるよう溶かされる。液体の二酸化炭素流は、固体の二酸化炭素の雪の生成速度に一致する速度で取り出され、それによって絶縁障壁を維持する。製品ガス流は上部チャンバから取り出される。
【0006】
[0006]第3の態様では、本開示は、成分を連続的に分離するためのシステムを提供する。容器は、上部チャンバと下部チャンバとからなる。上部チャンバは、供給ガス入口、冷却源、及び製品ガス出口からなる。下部チャンバは、製品液体出口と熱源とからなる。供給流体入口は、供給ガス流が供給ガス入口を通って上部チャンバに入るように構成される。供給流体流は、炭化水素と凝華可能な化合物とからなる。冷却源は供給ガス流を冷却し、それによって、供給ガス流から凝華可能な化合物の一部分を凝華して、固体の凝華可能な雪及び製品ガス流を形成する。固体の凝華可能な化合物の雪は下部チャンバに落ちる。熱源は、下部チャンバ内の固体の凝華可能な化合物の雪の下部を溶かして液体の凝華可能な化合物流を形成するが、それは、固体の凝華可能な化合物の雪の上部が、上部チャンバと液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として留まるように溶かす。製品液体出口は、固体の凝華可能な化合物の雪の生成速度に一致する速度で液体の凝華可能な化合物流を取り出し、それによって絶縁障壁を維持するように構成される。製品ガス出口は、上部チャンバから製品ガス流を取り出すように構成される。
【0007】
[0007]さらなる態様及び実施形態は、上記の図面、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲に記載される。
【0008】
[0008]以下の図面は、本明細書で説明される特定の実施形態を説明するために提供される。これらの図面は単なる例示であり、特許請求される発明の範囲を限定することを意図したものではなく、特許請求される発明のあらゆる潜在的な特徴又は実施形態を示すことを意図したものではない。図面は必ずしも原寸に比例して描かれたものではない。いくつかの例では、図面の特定の要素は、説明のために図面の他の要素に対して拡大されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]化合物を分離するための方法を示すフロー図である。
【
図2】[0010]化合物を分離するための方法を示すフロー図である。
【
図3】[0011]化合物を分離するための方法を示すフロー図である。
【
図4】[0012]化合物を分離するためのシステムの等角切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]以下の説明は、本明細書に開示される本発明の様々な態様及び実施形態を示す。いかなる特定の実施形態も、本発明の範囲を規定することを意図していない。むしろ、これらの実施形態は、特許請求される発明の範囲内に含まれる様々な構成要素及び方法の非限定的な例を提供する。本説明は、当業者の観点から読まれるべきものである。したがって、当業者によく知られている情報は必ずしも含まれていない。
定義
[0014]以下の用語及び語句は、本明細書に別段の定めがない限り、以下に示される意味を有する。本開示は、本明細書で明示的に定義されていない他の用語及び語句を用いることがある。そのような他の用語及び語句は、当業者にとって本開示の文脈内で有するであろう意味を有するものとする。いくつかの例では、用語又は語句は、単数形又は複数形で定義されることがある。このような例では、いかなる単数形の用語も、反対のことが明示的に示されていない限り、その複数形の対応するものを含むことができ、複数形の用語も、その単数形の対応するものを含むことが理解される。
【0011】
[0015]本明細書で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかに指示しない限り、複数の場合を含む。例えば、「置換基」への言及は、単一の置換基及び2つ以上の置換基などを包含する。
【0012】
[0016]本明細書で使用するとき、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「などの(such as)、又は「含む(including)」は、より一般的な主題をさらに明確にする例を紹介することを意図している。特に明記されない限り、このような例は、本開示において例示される実施形態を理解するための助けとしてのみ提示され、いかなる態様においても限定することを意図していない。また、これらの語句は、開示される実施形態に対するいかなる種類の優先度も示すものではない。
【0013】
[0017]本明細書で使用するとき、「C1」はメタンを指し、「C2」はエタンを指し、「C3」はプロパンを指し、「C3+」炭化水素は3つ以上の炭素原子を有する炭化水素を指す。
【0014】
[0018]本明細書で使用するとき、「天然ガス」は、主にメタンを含むガスを指し、エタン、プロパン、ブタン、水、及び二酸化炭素など他の成分を有する場合がある。
【0015】
[0019]本明細書で使用するとき、「凝華物」は、気体から固体への直接相変化を受ける化合物を指す。「凝華可能」とは、容器内の圧力及び温度条件で、化合物が凝華することができることを意味する。好ましい実施形態では、「凝華可能な化合物」は、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、及びそれらの組合せを含む。
【0016】
[0020]成分の分離は、混和性のある成分や沸点が近い成分が存在することによって複雑になることが多い。例えば、プロパンは水にある程度溶解し、ヘプタンは沸点が水とほぼ同じである。二酸化炭素と水が混入した炭化水素の流れは、全体的な複雑さを増す。本発明は、天然ガスなどの炭化水素から二酸化炭素などの凝華可能な化合物を分離するための方法及びシステムを開示する。本発明の一実施形態では、炭化水素と凝華可能な化合物とを含む供給液体又はガス流が、容器の上部チャンバに入れられる。供給流が液体である例では、供給流を上部チャンバに入れると、この流れは減圧沸騰させられて気体になる。主に炭化水素からなる第2の流れは、容器内で減圧沸騰させられる。一方又は両方の流れの減圧沸騰は上部チャンバを冷却し、その結果、凝華可能な化合物は冷却され、直接、固体の雪に凝華する。この固体の雪は容器の下部チャンバに集まり、ここで溶かされる。加熱要素、又は加熱された液体の凝華可能な化合物流の再注入によって、溶解は下部チャンバの底部で生じる。雪は、固体の雪の上部が固体として留まる速度で溶かされ、上部チャンバと生じた液体との間に絶縁障壁を提供する。この液体は、同様に、絶縁障壁を維持する速度で取り出される。上部チャンバで形成されたガスもまた、容器から取り出される。このプロセスによって、単一の容器で、天然ガスなどの炭化水素から二酸化炭素などの化合物を取り出すことができる。これにより、固体を処理する問題が取り除かれる。さらに、化合物の雪が下りてきて固体から液体に溶ける際に、雪の空隙に捕捉されたいかなる炭化水素も、空隙が崩壊すると排出され、それによって炭化水素は、生じた液体から追い出されて上に上がって上部チャンバに入り、その結果、分離純度が高くなる。
【0017】
[0021]次に、
図1を参照すると、
図1は、本発明の一実施形態に使用することができる、化合物を分離するための方法を示すフロー図である。容器100は、上部チャンバ10と下部チャンバ12とからなる。下部チャンバ12の下部には誘導加熱器14が取り付けられている。上部チャンバは、0.6MPa(6bar)の圧力に保たれる。供給流体流30は天然ガス流であり、少なくとも20重量%の二酸化炭素を含む。供給流体流30は、少なくとも2.5MPa(25bar)の圧力及び-55℃未満の温度である。低温液体流38は、3重量%以下の二酸化炭素を有する天然ガス流であり、5.0MPa(50bar)の圧力及び-102℃以下の温度である。言い換えれば、低温液体流38は、天然ガスのパイプライン輸送のための規格を満たす。供給流体流30は、上部チャンバ10に入れられ、そこで供給流体流30内に存在するいかなる液体も減圧沸騰させられて蒸気になる。同時に、低温液体流38が上部チャンバ10内で減圧沸騰させられて、さらなる蒸気が生じる。この気化には熱が必要であり、この熱は蒸気から吸収され、二酸化炭素の凝華をもたらして上部チャンバ10内に固体の二酸化炭素の雪31を形成する。この固体の二酸化炭素の雪31は、上部チャンバ10から下部チャンバ12の頂部33に落ちる。
【0018】
[0022]誘導加熱器14は、下部チャンバ12の下部35を温める。これは、下部35にある固体の二酸化炭素の雪を溶かし、液体の二酸化炭素流34を形成する。この熱は、上部チャンバ10と液体の二酸化炭素流との間の絶縁障壁として上部33に沈降した固体の二酸化炭素の雪を残しながら、下部35のみを溶かすのに十分低く保たれる。「絶縁」という用語は、第1に、熱が上部チャンバ10に戻るように伝播しないこと、第2に、上部チャンバ10の蒸気が液体の二酸化炭素流34から物理的に分離されて、液体が蒸気に戻る気化を防止することを意味する。液体の二酸化炭素流34は、固体の二酸化炭素の雪31の生成速度に一致する速度で取り出され、上部33の絶縁障壁を維持する。
【0019】
[0023]凝華しなかった蒸気は、製品ガス流32として上部チャンバ10を出る。製品ガス流の一部分36は冷凍ループ16に通され、そこで製品ガス流は加圧され冷却されて低温液体流38を生成する。製品ガス流の残り40は、残りの二酸化炭素を取り出すためにさらに処理することができる製品流、又はさらに処理することなく天然ガス流として使用することができる製品流である。
【0020】
[0024]この実施形態では、下部35の周囲の表面積が十分であるならば、誘導加熱器14の使用が必要でない場合がある。下部チャンバ12の下部からいくらか断熱材を除去するだけで、固体の二酸化炭素の雪を溶かすのに十分な熱を周囲空気から供給することができる場合がある。
【0021】
[0025]次に、
図2を参照すると、
図2は、本発明の一実施形態に使用することができる、化合物を分離するための方法を示すフロー図である。容器200は、上部チャンバ10と下部チャンバ12とからなる。上部チャンバは、振動器を備えた間接接触式熱交換器15を含む。凝華可能な化合物と炭化水素とからなる供給ガス流30が上部チャンバ10に入れられる。凝華可能な化合物は、熱交換器15で凝華し、熱交換器15を振動することによって、固体が剥がれて固体の凝華可能な化合物の雪31となり、上部チャンバ10から下部チャンバ12の上部33に落ちる。
【0022】
[0026]凝華可能な化合物からなる温かい液体流42が、下部セクション12の下部35に送り込まれ、下部35にある固体の凝華可能な化合物の雪を溶かし、液体の凝華可能な化合物流34を形成する。温かい液体流42の温度及び流量は、上部チャンバ10と液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として上部33に沈降した固体の凝華可能な化合物の雪を残しながら、下部35のみを溶かすのに十分低く保たれる。「絶縁」という用語は、第1に、熱が上部チャンバ10に戻るように伝播しないこと、第2に、上部チャンバ10の蒸気が液体の凝華可能な化合物流34から物理的に分離されて、液体が蒸気に戻る気化を防止することを意味する。液体の凝華可能な化合物流34は、固体の凝華可能な化合物流31の生成速度に一致する速度で取り出され、上部33の絶縁障壁を維持する。
【0023】
[0027]凝華しなかった蒸気は、製品ガス流32として上部チャンバ10を出る。製品ガス流36の一部分は冷凍ループ16に通され、そこで製品ガス流は加圧され冷却されて低温液体流38を生成する。製品ガス流の残り40は製品流である。
【0024】
[0028]次に、
図3を参照すると、
図3は、本発明の一実施形態に使用することができる、化合物を分離するための方法を示すフロー図である。容器300は、上部チャンバ10と下部チャンバ12とからなる。下部チャンバ12にはオーガ(auger)18が取り付けられている。凝華可能な化合物と炭化水素とからなる供給流体流30が上部チャンバ10に入れられ、そこで供給流体流30内に存在するいかなる液体も減圧沸騰させられて蒸気になる。同時に、低温液体流38が上部チャンバ10内で減圧沸騰させられて、さらなる蒸気が生じる。この気化には熱が必要であり、この熱は蒸気から吸収され、凝華可能な化合物の凝華をもたらして上部チャンバ10内に固体の凝華可能な化合物の雪31を形成する。この固体の凝華可能な化合物の雪31は、上部チャンバ10から下部チャンバ12の頂部33に落ちる。
【0025】
[0029]凝華可能な化合物からなる温かい液体流42が、下部セクション12の下部35に送り込まれ、下部35にある固体の凝華可能な化合物の雪を溶かし、液体の凝華可能な化合物流34を形成する。温かい液体流42の温度及び流量は、上部チャンバ10と液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として上部33に沈降した固体の凝華可能な化合物の雪を残しながら、下部35のみを溶かすのに十分低く保たれる。「絶縁」という用語は、第1に、熱が上部チャンバ10に戻るように伝播しないこと、第2に、上部チャンバ10の蒸気が液体の凝華可能な化合物流34から物理的に分離されて、液体が蒸気に戻る気化を防止することを意味する。液体の凝華可能な化合物流34は、固体の凝華可能な化合物流31の生成速度に一致する速度で取り出され、上部33の絶縁障壁を維持する。固体の凝華可能な化合物は、オーガ18によって上部33から下部35に搬送される。
【0026】
[0030]凝華しなかった蒸気は、製品ガス流32として上部チャンバ10を出る。製品ガス流36の一部分は冷凍ループ16に通され、そこで製品ガス流は加圧され冷却されて低温液体流38を生成する。
【0027】
[0031]次に、
図4を参照すると、
図4は、本発明の一実施形態に使用することができる、化合物を分離するためのシステムの等角切断図である。容器400は、上部チャンバ10と下部チャンバ12とからなる。上部チャンバは、供給ガス入口、冷却源、及び製品ガス出口を有する。下部チャンバは、製品液体出口と熱源14とを有する。
【0028】
[0032]供給流体入口は、供給ガス流が供給ガス入口を通って上部チャンバに入るように構成される。供給流体流は、炭化水素と凝華可能な化合物とからなる。冷却源は、供給流体流を冷却する。この実施形態では、冷却源は、上部チャンバ10内で減圧沸騰させられる低温液体流である。この気化には熱が必要であり、この熱は供給流体流から吸収され、凝華可能な化合物の凝華をもたらして上部チャンバ10内に固体の凝華可能な化合物の雪及び製品ガス流が形成される。この固体の凝華可能な化合物の雪は、下部チャンバ12に落ちて絶縁障壁33を形成する。
【0029】
[0033]この実施形態では、熱源14は、下部チャンバ12の下部35の周りに巻かれた一組の加熱コイルである。熱源14は、下部チャンバ内の固体の凝華可能な化合物の雪の下部を溶かして液体の凝華可能な化合物流を形成するが、それは、固体の凝華可能な化合物の雪の上部が、上部チャンバと液体の凝華可能な化合物流との間の絶縁障壁として留まるように溶かす。製品液体出口は、固体の凝華可能な化合物の雪の生成速度に一致する速度で液体の凝華可能な化合物流を取り出し、それによって絶縁障壁を維持するように構成される。製品ガス出口は、上部チャンバから製品ガス流を取り出すように構成される。
【0030】
[0034]いくつかの実施形態では、固体は、絶縁障壁33として集まると架橋現象が生じることがある。壁を加熱することは必ずしも必要ではないが、いくつかの実施形態では、加熱は架橋を防いで適切な絶縁障壁33をもたらす。
【0031】
[0035]いくつかの実施形態では、凝華可能な化合物は、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0032】
[0036]本発明は、様々な特定の好ましい実施形態及び技法を参照して説明されてきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲内に留まりながら、多くの変形及び変更を行うことができることは理解される。