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  • 特許-自動車用スライドドアの駆動装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】自動車用スライドドアの駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/662 20150101AFI20250528BHJP
【FI】
E05F15/662
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023536835
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 DE2021100521
(87)【国際公開番号】W WO2022127964
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】102020134107.5
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ミッテルバッハ, シュテファン
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02439369(EP,A2)
【文献】実開平04-041081(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00950788(EP,A2)
【文献】特開2005-273308(JP,A)
【文献】特開2015-132104(JP,A)
【文献】実開昭62-082678(JP,U)
【文献】米国特許第07331141(US,B2)
【文献】特開2000-356068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ケーブル(9)と、前記駆動ケーブル(9)を偏向させる為のケーブル偏向体(1)と、前記ケーブル偏向体(1)の一部を形成する軸受手段(4)とを備えた自動車用スライドドアの駆動装置であって、
前記スライドドアは、前記駆動ケーブル(9)により前記自動車の本体に対して移動可能であり、
前記ケーブル偏向体(1)は、前記ケーブル偏向体(1)内に回転自在に装着された偏向ホィール(5)を有し、前記偏向ホィール(5)の調整手段として、前記ケーブル偏向体(1)を前記自動車に固着する固着手段(7)を用いることができ、
前記固着手段(7)は、前記軸受手段(4)又は前記偏向ホィール(5)の位置を固定することにより、前記駆動ケーブル(9)の引張応力を変化させる、スライドドアの駆動装置。
【請求項2】
前記偏向ホィール(5)は、別個の軸受手段(4)内に収容される、請求項1に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項3】
前記固着手段(7)は固着ネジであり、前記軸受手段(4)は、前記固着ネジによって前記自動車に固定される、請求項1又は2に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項4】
前記軸受手段(4)は、前記ケーブル偏向体(1)内に配置される偏心器(6)によって位置決め可能である、請求項3に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項5】
前記偏心器(6)は、前記固着ネジによって固定可能である、請求項4に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項6】
前記偏心器(6)を前記軸受手段(4)に形状嵌合して係合させることができ、ロック手段を生成することができる、請求項4又は5に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項7】
ラッチ外形(13,15)が、前記偏心器(6)と前記軸受手段(4)との間に配置される、請求項4~6のいずれか一項に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項8】
前記ラッチ外形(13,15)は、前記偏心器(6)の領域において前記偏心器(6)に周方向に配置される、請求項7に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項9】
前記偏心器(6)は、締付けスリーブ(14)によって固定可能である、請求項4~8のいずれか一項に記載のスライドドアの駆動装置。
【請求項10】
前記偏心器(6)は、係合外形(12)、特に、工具の為の係合外形を有する、請求項4~9のいずれか一項に記載のスライドドアの駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、自動車用スライドドアの駆動装置に関するが、これは、電気駆動ユニットと、駆動ケーブルと、駆動ケーブル用ガイドであって、スライドドアが、駆動ケーブルによって本体に対して移動可能な駆動ケーブル用ガイドと、ケーブル偏向体内に回転可能に装着された偏向ホイールを有するケーブル偏向体と、を備える。
【0002】
[0002]たとえば、自動車用スライドドアの操作を容易にするために、特に子供の操作を容易にするために、スライドドアには駆動装置が装備されているので、スライドドアを開閉するためには初期化のみが行われなければならない。この場合、初期化は、無線遠隔制御またはプッシュボタンまたはスイッチによって行うことができる。その後、ほとんどの場合、スライドドアは電気駆動装置によって開閉される。スライドドアは、通常、自動車に沿ってガイドレール内をスライドし、本体に対して移動する。
【0003】
[0003]スライドドアはまた、トランスポータのような大きな開口部を解放して閉鎖するので、対応する動力を有する対応する駆動装置が設けられなければならず、加えて、スライドドアを駆動する手段が、対応してこの力を伝達できることが確保されなければならない。一方で、力の伝達および提供が重要である場合には、他方で、力の伝達手段の誘導および自動車への設置も、スライドドアの恒久的な機能にとって重要な構成部品である。これらの要求を満たすために、種々の駆動システムおよび組立設計が知られるようになった。
【0004】
[0004]たとえば、DE 10 2006 046 602 A1は、駆動ケーブルによってガイドトラックに沿って移動可能である自動車用スライドドアの駆動装置を開示している。駆動ケーブルは、電気モータ伝達ユニットおよびケーブルドラムによって巻かれ、かつ巻き戻される。この場合、駆動ケーブルの各端部は、スライドドアを開閉方向に引っ張る。両方向の運動に適切な力を加えることを可能にするために、駆動ケーブルは偏向装置上を案内される。それぞれの駆動ケーブルは、偏向装置で偏向され、その後、ガイドトラックに突っ込まれる。駆動ユニットおよび駆動ユニットのそれぞれの端部に置かれた偏向装置は、スライドドアを移動させるために必要な力を提供するとともに、信頼性のある偏向が可能になるように、単一のアセンブリとして設計される。
【0005】
[0005]スライドドアの移動に必要な力の確実な偏向を可能にするために、自動車用スライドドアの駆動は、DE 10 2015115 222 A1から公知であり、これは、電気駆動ユニットと、駆動ケーブルと、駆動ケーブル用のガイドとを備え、駆動ユニットと駆動ケーブルとガイドは、自動車の本体内に収容されて固定され、スライドドアは駆動ケーブルによって本体に対して移動可能である。この場合、駆動装置は、駆動ケーブルのケーブル偏向体がモジュール式の設計であり、駆動ケーブルがモジュール式ケーブル偏向体を介して偏向可能であることを特徴とする。ケーブル偏向体においては、偏向ローラがベースプレートのシャフト内に収容されて固定されている。
【0006】
[0006]大型ドアの場合には、スライドドアの移動経路である距離も長くなることがあるので、スライドドアの実施形態および幅またはサイズに応じて、少なくとも1つの偏向装置を駆動ユニットから離れた位置に装着する必要がある。スライドドアを引っ掛かることなく確実に且つ何よりも確実に移動させることができるようにするためには、駆動ケーブルに基本的な張力を与えなければならず、また、駆動ケーブルにおけるこの張力を自動車の全耐用年数にわたって確保することが必要である。
【0007】
[0007]スライドドア駆動装置の開発に伴う1つの問題は、一方では十分な力が提供されなければならず、他方では、その力が移動されるスライドドアに向かって適切に伝達されなければならないということである。ここで重要なことは、駆動ケーブルに十分な引張応力があり、この引張力を自動車の耐用年数にわたって確保できることである。特に、駆動ケーブルのガイドの構成部品の摩耗およびケーブルの偏向は、駆動ケーブルの引張応力を減少させることがあり、その結果、スライドドアの不連続な移動が生じ得る。ここから発明が始まる。
【0008】
【概要】
【0009】
[0008]本発明の目的は、改良されたスライドドア駆動装置を提供することである。また、本発明の目的は、自動車の使用寿命にわたってスライドドアを確実かつ円滑に移動させることができる自動車用スライドドア駆動装置を提供することにある。さらに、スライドドアを駆動するための構造的に単純で費用効果的な可能性が提供される。
【0010】
[0009]この目的は、独立請求項1の特徴によって達成される検出装置である。有利な実施形態は、従属クレームに明記されている。ただし、以下に説明する実施形態は限定的なものではないことに留意されたい。むしろ、明細書、従属クレーム及び図面に記載された特徴の任意の可能な変形が可能である。
【0011】
[0010]請求項1によると、本発明の目的は自動車用スライドドアの駆動装置を提供することにより達成されるが、この駆動装置は、電気駆動ユニットと、駆動ケーブルと、駆動ケーブル用ガイドであって、スライドドアが駆動ケーブルによって本体に対して移動可能な駆動ケーブル用ガイドと、ケーブル偏向体に回転可能に装着された偏向ホィールを有するケーブル偏向体と、ケーブル偏向体の為の固着手段であって、偏向ホィールの為の調整手段として使用されることが可能な固着手段と、備える。スライドドアの駆動ユニットの本発明による設計により、駆動ケーブルの引張応力を調整することができる改良されたスライドドア駆動を提供することが可能になる。
【0012】
[0011]引張応力を調整する手段としてケーブル偏向体を使用する可能性の結果として、駆動ケーブル内の引張応力はまた、衝撃、摩耗または増大した公差の場合に調整可能であるように設計することができる。従って、駆動ケーブルの引張応力の経年変化に関連した又は公差に関連した低減を排除することができる。特に、固着手段自体がケーブル張力の調整手段の一部であるので、これは最も単純な構造手段を用いて可能である。この場合、固着手段は、一方ではケーブル偏向体を本体に固着することができ、他方では固着手段によって駆動ケーブルの引張応力を変化させることができるように設計されている。これはまた、調整手段によって駆動装置の設置公差を排除ことができるので有利である。
【0013】
[0012]本発明によれば、自動車用スライドドアの駆動装置は、スライドドアが自動車の本体に沿って相対的にガイドトラック内を移動するように、駆動ケーブルを案内し、巻回し、駆動することができる電動駆動装置と考えられる。好ましくは、スライドドアの移動に必要な力を与えることができるように、駆動装置は伝達装置を備え、より好ましくは遊星変速機を備えている。
【0014】
[0013]さらに、遊星変速機の使用は、電気駆動装置をケーブルから、したがってスライドドアから分離する可能性を提供する。これは、例えば、停電時にスライドドアを手動で移動させる必要がある場合、または手動で移動させなければならない場合に有利である。有利には、電気エネルギが自動車内で利用可能であるので、電気モータの形態の電気駆動装置が好都合である。
【0015】
[0014]駆動手段としては、駆動ケーブルが用いられる。駆動ケーブルは、容易に偏向することができ、たとえば、偏向装置の方向に本体を通して案内管内を案内することができるという利点を提供する。さらに、ガイドまたは駆動ケーブルの使用は、スライドドアの異なる設計およびサイズに電気駆動ユニットを適応させるために、費用効果的な設計解決策を提供する。たとえば、駆動装置が使用され、駆動装置が異なる幅、すなわち自動車の異なるサイズの開口部のドアに対して実施される場合、ケーブルのガイドの一部のみを交換し、ケーブルの長さを適合させなければならない。従って、駆動ユニットを異なる要件に適応させることは容易である。
【0016】
[0015]ケーブル偏向体において、駆動ケーブルは、駆動されるドアへの連結を確立することができるように偏向される。ここで、スライドドア駆動装置は、自動車の本体に装着された固定されており、スライドドア駆動装置のケーブル端部は、自動車に移動可能に装着されたスライドドアに連結可能なように本体から出ているものと仮定する。この実施形態において、ケーブル偏向体または駆動装置から離間したケーブル偏向体は、本体内に装着されて固定されている。実施形態に応じて、駆動装置から離間した別個のケーブル偏向体を設けることができるが、本体の構造設計に応じて、駆動装置から離間した2つのケーブル偏向体を自動車に設けることもできる。スライドドア駆動装置は、自動車の本体に装着されることが好ましい。もちろん、スライドドアの電気的な変位または移動を可能にするために、スライドドア駆動装置をスライドドアに装着し、駆動ケーブルのケーブル端部を本体に連結することも可能である。
【0017】
[0016]ケーブル偏向体は、偏向ホイールを担持し、偏向ホイールを本体またはスライドドアに対してしっかりと保持する。この場合、駆動ケーブル内の引張応力は、本発明による偏向ホイールの調整可能な装着によって調整することができる。
【0018】
[0017]ここで、偏向ホイールが別個の軸受手段に収容されていると有利である。ケーブル偏向体における偏向ホイールの別個の装着は、ケーブル偏向体における軸受手段を移動させる可能性を提供する。ケーブル偏向体は、偏向ホイールが保持されている少なくとも1つのベースプレートを有することが好ましい。偏向ホイールが別個の軸受手段に取り付けられかつ回転可能に受容されている場合、ベースプレートに対して軸受手段を変位させることが可能である。この目的のために、軸受手段は、ケーブル偏向体に変位可能に収容可能である。もちろん、ケーブル偏向体によって旋回可能な調整機能を設けることも考えられ、そのために、たとえば、偏向ホイールを装着するためのシャフトをベースプレートの溝内に案内することができる。たとえば、ベースプレートに2つの隆起部が設けられ、その結果、隆起部が偏向ホイールのシャフトを装着可能な開口部を有する場合、隆起部にスロットを形成することによって、ケーブル偏向体における軸受手段の変位可能性を実現することが可能である。したがって、軸受手段は、ケーブル偏向体のベースプレートに対してケーブル偏向体に調整可能に受け入れることができる。この場合、スロットの外形に応じて、直線的であるが湾曲した軸受手段の変位を可能にすることができる。
【0019】
[0018]本発明の有利な開発においては、ベアリング手段は、固定ネジによって自動車に固定することができる。軸受手段はケーブル偏向体の一部を形成し、軸受手段は偏向ホイールを支持または装着する。この場合、本発明によれば、軸受手段自体を固着ネジによって固定することができるので、一方でケーブル偏向体を固定すると同時に、固着ネジによって軸受手段を本体に対して固定することができる。このように、固着ネジは二重の機能を有している。一方では、ケーブル偏向体は、固着ネジによって全体として自動車に固着され、他方では、固着ネジは、軸受手段又は偏向ホイールの位置を固定するための確保手段として機能する。この場合、固着ネジは、ケーブル偏向体のための別の固着ネジの方向にケーブル偏向体内に有利に挿入することができる。換言すれば、全ての固着ネジに対して一つの組立方向からの固着を構造的に実現することができる。これは、特に一連の組立において利点を提供する。
【0020】
[0019]データメモリ軸受手段を偏心器によって位置決めすることができる場合、本発明の更なる実施形態が得られる。偏心器を用いることにより、軸受手段を無段階に調整できるように設計することができる。偏心器によって、軸受手段は、ベースプレート内で、またはベースプレートに対して変位可能である。この場合、偏心器が捩れたり、調整されたりしたときに、軸受手段がベースプレートに対して変位するように偏心器をケーブル偏向体内に配置することにより、駆動ケーブルの引張応力を変化させることができる。
【0021】
[0020]偏心器が固着ネジによって固定可能である場合、本発明の更に有利な実施形態を達成することができる。偏心器を軸受手段の固着ネジで直接固着することにより、最小の数の構成部品で偏向ホィールの調整が可能となる。このようにして、固着ネジは軸受手段の位置を確保すると同時に、偏心器が軸受手段に固定される。これにより、偏心器、軸受手段およびケーブル偏向体のベースプレートが固着ネジにより自動車に固着・固定される。したがって、ケーブル偏向体における偏向ホイールの調整手段を提供するためには、できるだけ少ない数の部品が必要とされる。
【0022】
[0021]偏心器が、ロック手段を生成することができるように、形状適合方式で軸受手段と係合することができる場合には、本発明の更に有利な実施形態を達成することができる。本実施形態において、偏心器は、偏心器と軸受手段との間の形状適合接続が可能になるように、軸受手段に対して配向される。この場合、偏心器は、たとえば、軸受手段の開口部に挿入することができ、偏心器の配向に応じて軸受手段の位置を調整することができる。
【0023】
[0022]偏心器と軸受手段との間に形状嵌合接続がある場合、この形状嵌合接続を使用して、調整時に偏心器の位置を確保することができる。ケーブル偏向体が自動車に装着されている場合、たとえば、ベースプレートが更に2本の固着ネジによって本体に固着されている場合、軸受手段、すなわち、偏向ホイールのレセプタクルは、偏心器によってベースプレートに対して調整可能である。これにより、駆動ケーブルの引張応力を設定することができる。ベースプレートが自動車に装着されているこの位置で、偏心器が調整されて軸受手段が整列された場合には、偏心器と軸受手段との間の形状適合接続によって偏心器の位置の予備的固定を達成することができる。この場合、偏心器の調整位置を調整して保持するための確保手段として、形状嵌合接続を用いることができる。
【0024】
[0023]形状嵌合接続の有利な実施形態では、ラッチ外形が偏心器と軸受手段との間に配置される。ラッチ外形は、たとえば、歯付きプロファイルから形成することができ、偏心器と軸受手段との間のラッチを可能にする。偏心器が調整され、偏向ホイール用の軸受手段がこのように調整された場合には、工具、例えば六角キーによって、ラッチ外形が偏心器と軸受手段との間にラッチして偏心器を所定位置に保持することができる。従って、ラッチ外形は、ケーブル偏向体の調整及び装着の間、確保手段を提供する。
【0025】
[0024]有利な方式において、ラッチ外形は、少なくともIn領域の偏心器上に周方向に配置することができる。ラッチ外形、特に歯形のラッチ外形を配置することにより、偏心器の軸受手段との係合における確実なロックを行うことができる。この場合、偏心器は、駆動ケーブル上の引張応力の調整中に調整することができ、偏心器は、軸受手段の対応する外形に係合し、ラッチ外形によって調整位置に残る。偏心器の全調整範囲にわたる偏心器の信頼できる調整は、周辺または少なくとも領域的に周辺のラッチ外形によって確実にすることができる。
【0026】
[0025]追加的な確保の結果、本発明によれば、偏心器を締付けスリーブによってケーブル偏向内に固定することができる。偏心器は、最適な引張応力が駆動ケーブルに存在するような方法で、工具によってケーブル偏向体の組立中に調整することができる。たとえば、ラッチ外形によって、この位置は最終組立中に確実に維持することができる。軸受手段を固定する際の更なる信頼性を達成するために、本発明によれば、偏心器をその位置に締付けスリーブによって固定することが提案される。この場合、締付けスリーブは、たとえば、偏心器の固着開口部に係合して、ケーブル偏向体の装着中及び固着ネジによるケーブル偏向体の固着中に偏心器の位置を締付けることができる。したがって、偏心器は、固着手段およびラッチ外形によって、更には締付けスリーブによって、その位置に固定される。そのため、偏心器の位置を3重に確保することができる。これにより、スライドドア操作中における偏心器の調整を確実に防止することができる。
【0027】
[0026]偏心器が係合外形、特に工具の係合外形を有する場合には、本発明の構造的に単純な解決策が可能である。偏心器に係合外形を設けることにより、軸受手段を容易に調整することができる。ここで、偏心器は、一方に、固着手段をねじ込むことができる貫通孔を有すると考えられる。さらに、貫通孔は、工具が係合することができる外形を有することができる。最も単純な場合、これは六角形を形成する窪み、または工具が係合できる隆起部である。工具は、たとえば、レンチまたはラチェットナットとすることができる。その結果、偏心器は容易に調整可能であると同時に、偏心器および固着手段を同一方向から調整または装着することができるという利点が達成される。本発明による設計は、駆動ケーブル内の現在の張力に対して駆動ケーブルを適応させることを可能にし、可能な限り最小の構造手段で、部分的に既存の固着手段で作業することを可能にする。
【0028】
[0027]以下、添付図面を参照しながら、好適な実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本実施形態は本発明を限定するものではなく、単に有利な実施形態であるという原則が適用される。示された特徴は、個別に、又はクレームと同様に明細書の更なる特徴と組み合わせて、個別に又は組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明に従って設計された、スライドドアの駆動装置のケーブル偏向体の三次元図である。
図2図2は、締付けスリーブおよび固着手段を備える偏心器の領域における軸受手段の別個の図である。
図3図3は、軸受手段および偏心器の別個の図であり、軸受手段の背面図は、偏心器および締付けスリーブを含む。
【発明の詳細な説明】
【0030】
[0029]図1は、ケーブル偏向体1と、上部2と、ベースプレート3と、軸受手段4と、軸受手段4に回転可能に受け入れられた偏向ホイール5と、偏心器6と、2つの固着手段7、8とを示す。ケーブル偏向体1は、自動車の本体の取り外された構造ユニットとして示され、駆動ケーブル9のプロファイルは、一点鎖線として、また図1の実施例として示されている。駆動ケーブル9によって、引張力Fが偏向ホイール5に導入され、従って、軸受手段4に導入される。引張力Fは反力Gを相殺し、力F、Gは偏心器6の調整によって調整することができる。
【0031】
[0030]実施例から明らかなように、偏心器6は、軸受手段4の内部10に収容されている。偏心器は孔、特に貫通孔11を有し、これは図3でより明確に見ることができる。偏心器6の貫通孔11に対応して、偏心器には係合手段12が形成され、この係合手段12は、本実施形態では、偏心器6内の六角形の窪みとして設計されている。係合手段12と孔11は、共通の中心軸Mを有する。
【0032】
[0031]ケーブル偏向体1が自動車に装着されている場合には、ベースプレート3は、まず固着ネジ8によって本体に固着することができる。その後、ベースプレート3は、固定された方法で本体上に載置される。ここで、駆動ケーブル9の引張応力Fを所望の大きさに調整するために、偏心器6によって軸受手段4を矢印P方向に変位させることができ、駆動ケーブル9の引張応力Fを調整することができる。この目的のために、工具が偏心器6の係合外形12に係合し、たとえば、偏心器を矢印P1の方向に回転させることができる。この場合、引張応力Fの調整後に偏心器6が自動的に再調整されるのを、偏心器6と同様に、軸受手段4上のラッチ外形13が防止する。
【0033】
[0032]図2は、偏心器6の領域における軸受手段4の拡大図である。締付けスリーブ14が孔11内に挿入され、締付けスリーブ14が係合外形12と反対の側面で貫通孔11内に挿入されていることが分かる。偏心器が工具の助けを借りて位置決めされると、ラッチ外形13は偏心器6をその設定位置に保持する。そして、軸受手段4も固着ネジ7により車両本体に固着されている場合には、軸受手段4と偏心器6とが車両本体に対して押し込まれる。好ましくは、カバー(図示せず)が軸受手段4および偏心器6と重なり、その結果、軸受手段4および偏心器6が固着ネジ7によって本体に押り込まれる。固着ネジ7と偏心器6と軸受手段4との間に力嵌合接続が行われる。固着手段7が螺合されると、同時に締付けスリーブ14が貫通孔11内に押し込まれるので、偏心器6を更に固定することができる。したがって、締付けスリーブ14は、ケーブル偏向体を装着する際に、更なる確保手段として働く。
【0034】
[0033]図3は、偏心器6のレセプタクルの領域における軸受手段4の更なる拡大を示す。この場合、軸受手段4の開口部の内部10を明確に見ることができ、同様に軸受手段4の内部10の一部の領域に取り付けられたラッチ外形13を見ることができる。偏心器6上のラッチ外形15は、軸受手段の内部10内のラッチ外形13と相互作用して、軸受手段4と偏心器6との間の形状適合接続を達成することができる。
【0035】
[0034]本発明を更に説明するために、図3は、図2からの矢印IIIの方向からの図を示す。締付けスリーブ14の位置を見ることができ、締付けスリーブ14は、偏心器6の中心線Mを中心に対称に延びる。固着手段7の締める間、締付けスリーブは偏心器6に矢印P2の方向に押し込まれる。締付けスリーブ14は更に偏心器6の位置を固定し、従って駆動ケーブル9内の引張応力Fを維持するための確保手段を形成する。本発明に係る設計及び軸受手段4と偏心器6との相互作用により、駆動ケーブル9における引張応力Fの調整を最小限の構造的手段で達成することができる。
【0036】
【符合の説明】
【0037】
1…ケーブル偏向体、
2…上部、
3…ベースプレート、
4…軸受手段、
5…偏向ホィール、
6…偏心器、
7,8…固着手段、
9…駆動ケーブル、
10…内部、
11…孔、
12…係合手段、
13,15…ラッチ外形、
14…締付けスリーブ、
F…張力、
G…反力、
M…中心軸、
P、P1、P2…矢印。
【0038】
図1
図2
図3