(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】撮像装置、内視鏡、および、撮像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20250528BHJP
【FI】
A61B1/04 530
(21)【出願番号】P 2024545406
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2022033915
(87)【国際公開番号】W WO2024053097
(87)【国際公開日】2024-03-14
【審査請求日】2024-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 慧一
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳也
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/019671(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/138462(WO,A1)
【文献】特開2013-118337(JP,A)
【文献】特開2017-023234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
G02B 7/02 - 7/16
H05K 1/00 - 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラユニットと、立体回路デバイスと、を有し、
前記カメラユニットは、複数の外部電極を具備し、
前記立体回路デバイスは、
前記カメラユニットの複数の外部電極のうちの複数の周辺電極のそれぞれと、それぞれが半田接合される、N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置された複数の第1のパッドと、
第1端と第2端とを有し、前記複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの前記第1端が接続されており、N回対称位置に配設された複数の第1の導体パターンと、
前記複数の第1の導体パターンの前記第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、
前記カメラユニットの複数の外部電極のうちの中心電極と半田接合される、前記複数の第1のパッドの対称中心に配置された第2のパッドと、
第3端と第4端とを有し、前記第2のパッドと前記第3端が接続されており、前記複数の第1のパッドのうちのダミーパッドが前記第4端と接続されている第2の導体パターンと、
前記第2の導体パターンの少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の導体パターンを覆っていないレジストパターンと、を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記レジストパターンは、それぞれが前記第2の導体パターンと交差する第1のレジストパターンと第2のレジストパターンと、からなり、前記第1のレジストパターンは前記第3端を覆い、前記第2のレジストパターンは前記第4端を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1のレジストパターンおよび前記第2のレジストパターンは、長さが幅の3倍超であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1のレジストパターンは、前記第2のパッドを囲んでいることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記レジストパターンは、前記第2の導体パターンの全体を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
挿入部の先端部に撮像装置を有する内視鏡であって、
前記撮像装置はカメラユニットと、立体回路デバイスと、を有し、
前記カメラユニットは、複数の周辺電極を含む複数の外部電極を有し、
前記立体回路デバイスは、前記複数の周辺電極のそれぞれと、それぞれが半田接合される、N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置された複数の第1のパッドと、
第1端と第2端とを有し、前記複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの前記第1端が接続されており、N回対称位置に配設された複数の第1の導体パターンと、
前記複数の第1の導体パターンの前記第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、
前記カメラユニットの複数の外部電極のうちの中心電極と半田接合される、前記複数の第1のパッドの対称中心に配置された第2のパッドと、
第3端と第4端とを有し、前記第2のパッドと前記第3端が接続されており、前記複数の第1のパッドのうちのダミーパッドが前記第4端と接続されている第2の導体パターンと、
前記第2の導体パターンの少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の導体パターンを覆っていないレジストパターンと、を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項7】
前記レジストパターンは、それぞれが前記第2の導体パターンと交差する第1のレジストパターンと第2のレジストパターンと、からなり、前記第1のレジストパターンは前記第3端を覆い、前記第2のレジストパターンは前記第4端を覆っていることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置された複数の第1のパッドと、
第1端と第2端とを有し、前記複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの前記第1端が接続されており、N回対称位置に配置された複数の第1の導体パターンと、
前記複数の第1の導体パターンの前記第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、
前記複数の第1のパッドの対称中心に配置された第2のパッドと、
第3端と第4端とを有し、前記第2のパッドと前記第3端が接続されており、前記複数の第1のパッドのうちのダミーパッドが前記第4端と接続されている第2の導体パターンと、が配設された立体回路デバイスを作製する工程と、
前記第2の導体パターンの少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の導体パターンを覆っていないレジストパターンを、ディスペンサを用いて配設する工程と、
中心電極と複数の周辺電極とを含む複数の外部電極を有するカメラユニットを前記立体回路デバイスに配置する工程と、
前記複数の
周辺電極のそれぞれと前記複数の第1のパッドのそれぞれ、および、前記中心電極と前記第2のパッド、を半田接合するリフロー工程と、を具備することを特徴とする撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記リフロー工程において、半田が、前記第1の導体パターンに広がることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置の製造方法。
【請求項10】
前記レジストパターンは、第1のレジストパターンと第2のレジストパターンとからなり、前記第1のレジストパターンおよび前記第2のレジストパターンのそれぞれが前記第2の導体パターンと交差する細長い形状であり、前記第1のレジストパターンは前記第3端を覆い、前記第2のレジストパターンは前記第4端を覆っていることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体回路デバイスにカメラユニットが収容された撮像装置、立体回路デバイスにカメラユニットが収容された撮像装置を有する内視鏡、立体回路デバイスにカメラユニットが収容された撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの小型化、高機能化のために立体回路デバイス、例えば、成形回路デバイス(MID:Molded Interconnect Device)が用いられている。
【0003】
日本国特開2017-23234号公報には、立体回路デバイスである異形回路基板を用いた内視鏡のカメラユニットが開示されている。カメラユニットは、撮像素子と、電子部品が実装されたフラット配線板(平板配線板)と、異形回路基板(立体配線板)と、を具備している。異形回路基板の複数の側面のそれぞれには、複数のケーブルが接合されている。
【0004】
電子部品を導体パターンのパッドに半田接合するためには、パッド間の短絡防止、および、半田の流れだし防止のため、パッドの周囲を覆うソルダレジストからなるレジストパターンが配設される。
【0005】
国際公開第2009/090896号には、フラット配線板の主面に形成された導電パターンに、細長い絶縁膜(ソルダレジストパターン)を配設した電子デバイスが開示されている。
【0006】
レジストパターンは、スピンコートしたレジスト、または、フィルムレジストを、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることで配設される。レジストパターンは、レジストをスクリーン印刷して配設されることもある。
【0007】
しかし、立体回路デバイスでは、表面にレジストパターンを配設することは容易ではない。すなわち、フラット配線板と異なり、立体回路デバイスの表面に、スピンコート、または、スクリーン印刷を行うことは困難である。また、立体回路デバイスの表面のレジストを、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることも困難である。
【0008】
カメラユニットを立体回路デバイスのパッドに半田接合する際に、パッドの周囲を覆うソルダレジストパターンが配設されていないと、パッドの周囲の導電パターンに半田が流れだし、カメラユニットが所定位置から移動するおそれがあった。カメラユニットの光軸が所定位置からずれると、所望の視野が得られず、撮像装置の性能が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-23234号公報
【文献】国際公開第2009/090896号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、立体回路デバイスにカメラユニットが配設された高性能な撮像装置、立体回路デバイスにカメラユニットが配設された高性能な撮像装置を有する内視鏡、および、立体回路デバイスにカメラユニットが配設された高性能な撮像装置の製造方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様の撮像装置は、カメラユニットと、立体回路デバイスと、を有する撮像装置であって、前記カメラユニットは、複数の外部電極を有し、前記立体回路デバイスは、前記カメラユニットの前記複数の外部電極のうちの複数の周辺電極のそれぞれと、それぞれが半田接合される、N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置された複数の第1のパッドと、第1端と第2端とを有し、前記複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの前記第1端が接続されており、N回対称位置に配設された複数の第1の導体パターンと、前記複数の第1の導体パターンの前記第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、を具備する。
【0013】
本発明の一態様の内視鏡は、挿入部の先端部に撮像装置を有する内視鏡であって、前記撮像装置はカメラユニットと、立体回路デバイスと、を有し、前記カメラユニットは、複数の周辺電極を含む複数の外部電極を有し、前記立体回路デバイスは、前記複数の周辺電極のそれぞれと、それぞれが半田接合される、N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置された複数の第1のパッドと、第1端と第2端とを有し、前記複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの前記第1端が接続されており、N回対称位置に配設された複数の第1の導体パターンと、前記複数の第1の導体パターンの前記第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、を具備する。
【0014】
本発明の一態様の撮像装置の製造方法は、N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置された複数の第1のパッドと、第1端と第2端とを有し、前記複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの前記第1端が接続されており、N回対称位置に配置された複数の第1の導体パターンと、前記複数の第1の導体パターンの前記第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、前記複数の第1のパッドの対称中心に配置された第2のパッドと、第3端と第4端とを有し、前記第2のパッドと前記第3端が接続されており、前記複数の第1のパッドのうちのダミーパッドが前記第4端と接続されている第2の導体パターンと、が配設された立体回路デバイスを作製する工程と、前記第2の導体パターンの少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の導体パターンを覆っていないレジストパターンを、ディスペンサを用いて配設する工程と、中心電極と複数の周辺電極とを含む複数の外部電極を有するカメラユニットを前記立体回路デバイスに配置する工程と、前記複数の外部電極のそれぞれと前記複数の第1のパッドのそれぞれ、および、前記中心電極と前記第2のパッド、を半田接合するリフロー工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態によれば、立体回路デバイスにカメラユニットが配設された高性能な撮像装置、立体回路デバイスにカメラユニットが配設された高性能な撮像装置を有する内視鏡、および、立体回路デバイスにカメラユニットが配設された高性能な撮像装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】第1実施形態の撮像装置のカメラユニットの底面図である。
【
図5】第1実施形態の立体回路デバイスのキャビティの底面図である。
【
図6】第1実施形態の立体回路デバイスのキャビティの底面図である。
【
図7】第1実施形態の立体回路デバイスのキャビティの底面図である。
【
図8】第1実施形態の撮像装置の製造方法のフローチャートである。
【
図9】第1実施形態の変形例1の立体回路デバイスのキャビティの底面図である。
【
図10】第1実施形態の変形例2の立体回路デバイスのキャビティの底面図である。
【
図11】第1実施形態の変形例3の立体回路デバイスのキャビティの底面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例3の撮像装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
なお、実施形態に基づく図面は、模式的なものである。各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0018】
<第1実施形態>
図1-
図3に本実施形態の撮像装置1を示す。撮像装置1は、成形回路デバイス(MID:Molded Interconnect Device)である立体回路デバイス2と、カメラユニット10と、を有する。
【0019】
立体回路デバイス2は、射出成形された立体成形品の表面に、導体パターンが配設されている3次元(立体)成形回路デバイスである。立体回路デバイス2を用いることで、従来のフラット導体パターン板とは異なり、形状が機能を有し、さらに、傾斜面、垂直面、曲面、および、貫通孔等に導体パターンを形成できる。
【0020】
立体回路デバイス2は複雑な3次元構造を有する。具体的には、立体回路デバイス2は、凸領域3と、組付け領域4と、を有する。凸領域3は、カメラユニット10が収容される穴であるキャビティH10を構成している。
【0021】
キャビティH10の底面H10SBには、複数の第1のパッド61が配設されている。立体回路デバイス2は、第1のパッド61の下に、底面H10SBの反対側の面40SAに至る貫通電極80を有する。面40SAには、貫通電極80と接続された導体パターン40が配設され、導体パターン40には電子部品、例えば、チップコンデンサ30が表面実装されている。図示しないが、導体パターン40のパッド49には、信号ケーブルが接合される。
【0022】
図3に示すように、キャビティH10に収容されたカメラユニット10とキャビティH10の壁面と隙間には、封止樹脂20が充填されている。カメラユニット10は、イメージャー11と光学ユニット12とを含む。光学ユニット12は、複数のレンズ等を含む。イメージャー11は、光学ユニット12が集光した被写体像を電気信号に変換するCCD、CMOS等である。
【0023】
図4に示すように、カメラユニット10(イメージャー11)は、電気信号を送受信する複数の外部電極19を底面10SBに有する。外部電極19は、中心電極19Aと、中心電極19Aを囲む8個の周辺電極19Bとを含む。格子状に配置されている複数の外部電極19には、それぞれに半田バンプ18が配設され、ボールグリッドアレイを構成している。
【0024】
図5に示すように、立体回路デバイス2の底面H10SBには、カメラユニット10の外部電極19と半田バンプ18によって接合されるパッド60が配設されている。パッド60は、周辺電極19Bと接合される第1のパッド61と、中心電極19Aと接合される第2のパッド61Aとからなる。
【0025】
第1のパッド61は、第1端71Aと第2端71Bとを有する第1の導体パターン71の第1端71Aと接続されている。複数の細長い第1の導体パターン71は、第2のパッド61Aを中心に、外側に向かって放射状に配置されている。第1の導体パターン71の第2端71Bは、貫通電極80の上に配設されたランド62と接続されている。複数の第1のパッド61の間隔に比べて、複数のランド62の間隔は、長い。このため、撮像装置1は、電気信号のクロストークが抑制されている。
【0026】
また、底面H10SBには、カメラユニット10の外部電極19のうちの中心電極19Aと接合される第2のパッド61Aが配設されている。第2のパッド61Aは、第3端72Cと第4端73Dとを有する第2の導体パターン72の第3端72Cと接続されている。第2の導体パターン72の第4端72Dは、複数の第1のパッド61のうちのダミーパッド61Dと接続されている。
【0027】
ダミーパッド61Dは、複数の第1のパッド61を4回対称位置に配置するための導体パターンである。ダミーパッド61Dは、貫通電極80と接続されていなくてもよい。また、ダミーパッド61Dと接続されている貫通電極80と接続されている周辺電極19Bは、カメラユニット10の内部回路と接続されていなくてもよい。ダミーパッド61Dは、第2のパッド61Aと等電位、例えば、設置電位でもよい。
【0028】
立体回路デバイス2は、第2の導体パターン72の少なくとも一部を覆い、複数の第1の導体パターン71を覆っていないレジストパターン90と、を底面H10SBに具備する。レジストパターン90は、それぞれが第2の導体パターン72と交差する第1のレジストパターン91と第2のレジストパターン92と、からなる。第1のレジストパターン91は第2の導体パターン72の第3端72Cを覆い、第2のレジストパターン92は第2の導体パターン72の第4端72Dを覆っている。
【0029】
図6に示すように、複数の第1のパッド61は、光軸位置にある第2のパッド61Aを中心Oとして、4回対称位置に配置されている。言い替えれば、複数の第1のパッド61は中心Oに対して90度回転すると重畳する位置に配置されている。同じように複数の第1の導体パターン71は、第1のパッド61を中心Oとして、4回対称位置に配置されている。
【0030】
図7に示すように、複数の第1の導体パターン71は、その長さL71が同じであり、幅W71も略同じである。
【0031】
図4に示したカメラユニット10の底面10SBは、リフロー工程よりも前にキャビティH10の底面10SBに固定されていない。固定されていないカメラユニット10は、外部電極19の半田バンプ18が溶融すると、半田が流れ出す方向に移動し、表面張力により流れ出し方向に接続部材を動かしてしまう。このため、複数のパッド60は周囲をソルダレジストで囲み、半田の流れ出しを抑制することが好ましい。しかし、立体回路デバイス2の小さい面に、複数のパッド60の周囲を覆うレジストパターンを配設するのは困難である。
【0032】
しかし、撮像装置1では、パッド60は、第1の導体パターン71とだけつながっているため、半田18は、第1の導体パターン71に流れ出す。ダミーパッド61Dと接合される周辺電極19Bの半田18は、第2のレジストパターン92があるため溶融するときに、第1の導体パターン71にしか流れ出さない。また、第1のレジストパターン91によって、第2のパッド61Aと接合される中心電極19Aの半田18は、溶融するときに、周囲に流れ出さない。
【0033】
すでに説明したように、複数の第1の導体パターン71は、第2のパッド61Aを中心Oとして、4回対称位置に配置されている。このため、中心Oに対して等方に配置されている複数の半田18は、溶融すると、中心Oに対して等方に配置されている複数の第1の導体パターン71に流れ出す。複数の溶融した半田18が中心Oに対して対称に移動するため、撮像装置1は、半田18の表面張力で引っ張られる。撮像装置1は、周辺電極19Bが、第1のパッド61の位置に、中心電極19Aが第2のパッド61Aの位置に、いわゆるセルフアライメント効果によって配置される。
【0034】
なお、複数の第1の導体パターン71、および、複数の第1の導体パターン71は、第2のパッド61Aを中心Oとして、N回対称位置(Nは、2以上の自然数)に配置されていていればよい。
【0035】
本実施形態では、カメラユニット10は、立体回路デバイス2のキャビティH10に収容されている。立体回路デバイスのキャビティに収容されるカメラユニットの下面の外部電極と、キャビティの底面のパッドと、を半田接合するためのレジストパターンの配設は容易ではない。半田リフロー工程の前に、カメラユニットの小さな下面をキャビティの底面の所定位置に固定することは困難である。このため、リフロー工程において半田が溶融しパッドの周囲の導体パターンに流れ出すことで、カメラユニットが所定位置から移動することがある。カメラユニットの光軸が所定位置からずれると、所望の視野が得られず、撮像装置の特性が劣化するおそれがあった。
【0036】
特に、撮像装置1は小型のため、キャビティH10は底面H10SBの面積が、例えば、4mm2であり、5mm2未満である。さらに、キャビティH10は、撮像装置1の小型化のため、壁面は底面H10SBに対して略垂直である。キャビティH10の壁面は傾斜していることもあるが、壁面の傾斜角度はわずか数度である。このため、底面H10SBにレジストパターンを配設するのは更に困難である。
【0037】
しかし、立体回路デバイス2は、半田溶融時(リフロー工程)において、キャビティH10に収容されるカメラユニット10の位置ずれ(光軸位置、および、回転)が生じない。撮像装置1は、カメラユニット10の中心(光軸)Oが位置ずれすることがなく、所望の視野が得られるため、高性能である。
【0038】
なお、複数の第1のパッド61および複数の第1の導体パターン71は、第2のパッド61Aを中心Oとして、N回対称位置(Nは2以上の自然数)に配置されていてもよい。
【0039】
半田の流れ出す複数の第1の導体パターン71は、長さL71および幅W71が略同じであることが、カメラユニット10の位置ずれが生じないために好ましい。なお、略同じとは、例えば、第1の導体パターン71のそれぞれの長さが、複数の第1の導体パターン71の長さの平均値の85%超115%未満の状態である。
【0040】
後述するように、レジストパターン90は、ディスペンサを用いることによって配設される。このため、レジストパターン90は細長い形状である。例えば、
図7に示すように、第1のレジストパターン91の長さL90は、幅W90の3倍超である。
【0041】
なお、レジストパターン90が、ディスペンサを用いて配設されていることは、完成品である撮像装置1の状態では、直接的に特定することは不可能である。
【0042】
レジストパターン90は、全てのパッド60の周囲を覆うレジストパターンの配設が困難な底面H10SBにも容易に配設できる。さらに、全てのパッド60の周囲を覆うレジストパターンに比べて、レジストパターン90は、使用するレジスト量が少なく安価であり、かつ、レジスト配設のタクトタイムを低減できる。
【0043】
<撮像装置の製造方法>
図8のフローチャートにそって撮像装置1の製造方法を説明する。
【0044】
<ステップS10>立体回路デバイス作製工程
射出成形によって成形体が作製される。すなわち、立体回路デバイス2の形状を含む金型(不図示)に、MID樹脂が注入される。成形体の表面に、レーザーを照射することよって、無電解めっきの触媒活性を有する領域が形成される。さらに、キャビティH10の底面H10SBに貫通孔が形成され、貫通孔に導体が充填される。その後、無電解めっき処理を行うことによって、成型体は、表面に導体が配設された立体回路デバイス(立体回路デバイス2)となる。導体は、例えば、銅層に、ニッケル/金からなるバリア層が配設されている。
【0045】
すなわち、カメラユニットの複数の外部電極のうちの複数の周辺電極のそれぞれと、それぞれが半田接合される、4回対称位置に配置された複数の第1のパッドと、第1端と第2端とを有し、複数の第1のパッドのそれぞれと、それぞれの第1端が接続されており、4回対称位置に配置された複数の第1の導体パターンと、複数の第1の導体パターンの第2端のそれぞれと、それぞれが接続されている複数のランドと、カメラユニットの複数の外部電極のうちの中心電極と半田接合される、複数の第1のパッドの対称中心に配置された第2のパッドと、第3端と第4端とを有し、第2のパッドと第3端が接続されており、複数の第1のパッドのうちのダミーパッドが第4端と接続されている第2の導体パターンと、が、カメラユニットが収容されるキャビティの底面に配設された立体回路デバイスが作製される。
【0046】
<ステップS20>ソルダレジスト配設工程
ディスペンサを用いることで、キャビティH10の底面H10SBに細長いレジストパターン90が配設される。
【0047】
言い替えれば、第2の導体パターン72の少なくとも一部を覆い、複数の第1の導体パターン71を覆っていないレジストパターン90が、ディスペンサを用いて底面H10SBに配設される。
【0048】
<ステップS30>カメラユニット配置工程
例えば、複数の光学ウエハに撮像素子チップが接着された積層ウエハを切断することによって、ウエハレベルカメラであるカメラユニット10が作製される。カメラユニット10の外部電極19には、半田バンプ18が配設される。半田バンプ18に替えて半田ペーストが外部電極19に配設されてもよい。
【0049】
立体回路デバイス作製(S10)、ソルダレジスト配設(S20)よりも前に、カメラユニット10が作製されていてもよいことは言うまでも無い。
【0050】
そして、複数の外部電極19のそれぞれが半田バンプ18を有するカメラユニット10が、立体回路デバイス2のキャビティH10の中に収容される。カメラユニット10は、外部電極19(半田バンプ18)の位置が、底面H10SBのパッド60と当接する位置に配置される。
【0051】
<ステップS40>リフロー工程
例えば、リフロー炉を用いて、半田バンプ18が溶融する温度まで立体回路デバイス2が加熱される。半田18は、第1の導体パターン71に広がる。立体回路デバイス2が室温に戻ると、カメラユニット10の外部電極19は、立体回路デバイス2のパッド60に半田接合される。
【0052】
<ステップS50>樹脂封止工程
リフロー工程の後に、キャビティとカメラユニットとの間に封止樹脂20を注入し硬化させることで、撮像装置1が完成する。
【0053】
立体回路デバイス2のキャビティH10の底面H10SBに、パッドを囲むレジストパターンを配設することは容易ではない。しかし、ディスペンサを用いて線状のレジストパターン90を、第2の導体パターン72にだけに配設することで、複数の半田18が第1の導体パターン71に流れ出す方向は、中心電極19Aを中心に等方的である。このため、撮像装置1は、キャビティH10に収容されるカメラユニット10の位置ずれが生じることはない。本製造方法によれば、高性能な撮像装置を製造できる。
【0054】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例の撮像装置1A-1Dは、第1実施形態の撮像装置1と類似し同じ効果を有する。このため、以下の説明においては、撮像装置1と同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0055】
<変形例1>
図9に示すように本変形例の撮像装置1Aでは、レジストパターン90Aの第1のレジストパターン91Aは、第2のパッド61Aを囲んでいるリング状である。
【0056】
<変形例2>
図10に示すように本変形例の撮像装置1Bでは、レジストパターン90Bは、第2の導体パターン72の全体を覆っている。
【0057】
<変形例3>
図11に示す本変形例の撮像装置1Cでは、カメラユニットは中心電極を有していない。このため、立体回路デバイス2Cは、底面H10SBには、4回対称位置に配置された複数の第1のパッド61と、4回対称位置に配設された複数の細長い第1の導体パターン71と、複数の第1の導体パターン71と、それぞれが接続されている複数のランド62と、を具備する。
【0058】
<変形例4>
図12に示す本変形例の撮像装置1Dでは、立体回路デバイス2Dはキャビティを有していない。カメラユニット10は立体回路デバイス2Dの面40SBに表面実装されている。立体回路デバイス2Dは、面40SBから面40SAに至る貫通電極(不図示)を有する
。
【0059】
<第2実施形態>
図13に示す本実施形態の内視鏡9は、撮像装置1(1A-1D)が配設されている硬性先端部9Aと、硬性
の先端部9Aの基端に連設された湾曲自在な湾曲部9Bと、湾曲部9Bの基端に連設された細長い軟性部9Cとを有する。湾曲部9Bは、操作部
9Dの操作によって湾曲する。硬性先端部9A、湾曲部9Bおよび軟性部9Cは、体内に挿入される挿入部である。操作部
9Dから延設されているユニバーサルコード9Eは、図示しないプロセッサ等に接続される。
【0060】
内視鏡9は、撮像装置1(1A-1D)を有するため、高性能である。
【0061】
なお、内視鏡9は医療用の軟性鏡であるが、別の実施形態の内視鏡は、工業用の内視鏡であってもよいし、軟性部9Cに替えて硬性の直管を有する硬性鏡であってもよい。
【0062】
また、立体回路デバイスは、MIDに限定されることはない、例えば、3Dプリンタによる加工または切削加工によって立体回路デバイスを作成してもよい。立体回路デバイスの材質も樹脂には限定されず、セラミックまたはガラスエポキシを用いても良い。
【0063】
本発明は上述した実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0064】
1、1A-1D・・・撮像装置
2、2D・・・立体回路デバイス
9・・・内視鏡
10・・・カメラユニット
10SB・・・底面
11・・・イメージャー
12・・・光学ユニット
18・・・半田バンプ
19・・・外部電極
19A・・・中心電極
19B・・・周辺電極
20・・・封止樹脂
30・・・チップコンデンサ
40・・・導体パターン
60・・・パッド
61・・・第1のパッド
61A・・・第2のパッド
61D・・・ダミーパッド
62・・・ランド
71・・・第1の導体パターン
72・・・第2の導体パターン
80・・・貫通電極
90・・・レジストパターン
91・・・第1のレジストパターン
92・・・第2のレジストパターン
H10・・・キャビティ
H10SB・・・底面