(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-27
(45)【発行日】2025-06-04
(54)【発明の名称】旅行鞄通し部を有するバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 13/28 20060101AFI20250528BHJP
A45C 3/00 20060101ALI20250528BHJP
【FI】
A45C13/28
A45C3/00 P
(21)【出願番号】P 2024557151
(86)(22)【出願日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 US2023016620
(87)【国際公開番号】W WO2023192318
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-12-05
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515284526
【氏名又は名称】イエティ クーラーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Yeti Coolers,LLC
【住所又は居所原語表記】7601 Southwest Parkway,AustinTX 78735,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】テイバー,カルヴィン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0216197(US,A1)
【文献】国際公開第96/033634(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0025190(KR,A)
【文献】米国特許第9526309(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/28
A45C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、基部と、
収納スペース部であって、該収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成された開口部を有する収納スペース部と、
少なくとも1つのストラップまたは持ち手と、
第1の面と第2の面と上端部とを有する第1のパネルが設けられた前記側壁部の外表面と、
を備えるバッグであって、
前記第1の面と前記第2の面とが前記側壁部の前記外表面に取り付けられており、
前記第1のパネルと前記側壁部によりスリーブが形成され、
前記スリーブは、旅行鞄の持ち手を前記スリーブの下端部から前記スリーブの中を通して、前記スリーブの上端部から出すことができるように構成されており、
前記第1のパネルと前記側壁部の上端部が、磁気開閉具を備えており、
前記磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手を前記スリーブに通すと接続が解除されるように構成されるとともに、前記旅行鞄の持ち手を前記スリーブから抜くと再び接続されるように構成さ
れ、
前記磁気開閉具は、前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料と、これに対応する前記側壁部の対応領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料と、を含み、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石に引き付けられるように構成される、バッグ。
【請求項2】
前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、少なくとも1枚の帯状磁性片である、
請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、2~5枚の帯状磁性片を含む、
請求項1に記載のバッグ。
【請求項4】
前記第1のパネルが、少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片が、前記第1のパネルの両側面間に延在するように前記第1のパネルの前記上端部に設けられ、
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片に埋め込まれている、
請求項1に記載のバッグ。
【請求項5】
前記少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片は、2層の材料層の間に挟み込まれ、
前記2層の材料層によって、前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料が保持されている、
請求項4に記載のバッグ。
【請求項6】
前記側壁部に第2のパネルが設けられ、
前記第2のパネルが、少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片が、前記側壁部の前記対応領域に設けられ、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片に埋め込まれている、
請求項1に記載のバッグ。
【請求項7】
前記磁気開閉具が、前記旅行鞄の持ち手を前記スリーブから抜くと自動的に再び接続されるように構成されている、請求項1に記載のバッグ。
【請求項8】
前記収納スペース部を閉じられるように構成された開閉デバイスをさらに備える、請求項1に記載のバッグ。
【請求項9】
少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、
収納スペース部であって、該収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成された開口部を有する収納スペース部と、
少なくとも1つのストラップまたは持ち手と、
第1のパネルが設けられた前記側壁部の外表面と、
を備えるバッグであって、
前記第1のパネルは、第1の面と第2の面と上端部とを有しており、
前記第1の面と前記第2の面は、前記側壁部の前記外表面に取り付けられ、これによりスリーブを形成しており、
前記スリーブは、旅行鞄の持ち手を前記スリーブの下端部から前記スリーブの中を通して、前記スリーブの上端部から出すことができるように構成されており、
前記スリーブが、1つ以上の物品を中に収容できるように構成されたポケットを備え、
前記スリーブが、磁気開閉具を備えており、
前記磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手を前記スリーブに通すと接続が解除され、かつ前記旅行鞄の持ち手を前記スリーブから抜くと再び接続されるように構成さ
れ、
前記磁気開閉具は、前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料と、これに対応する前記側壁部の対応領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料と、を含み、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石に引き付けられるように構成される、バッグ。
【請求項10】
前記ポケットが、前記第1のパネルに層を取り付けることにより形成され、
前記側壁部に、第2のパネルが設けられる、
請求項9に記載のバッグ。
【請求項11】
前記磁気開閉具が、
前記第2のパネルの上端部に取り付けられる少なくとも1つの第2のパネル側磁石または強磁性材料と、
これに対応する前記側壁部の対応領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料と、を含み、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石に引き付けられるように構成される、
請求項10に記載のバッグ。
【請求項12】
前記第2のパネルの前記上端部に取り付けられる前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石が、少なくとも1枚の帯状磁性片である、
請求項11に記載のバッグ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石が、2~5枚の帯状磁性片を含む、
請求項12に記載のバッグ。
【請求項14】
前記第2のパネルが前記第1のパネルより内側に位置し、前記第2のパネルが、少なくとも1枚の帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の帯状発泡体片が、前記第2のパネルの第1の面と第2の面との間に延在するように前記第2のパネルの前記上端部に設けられ、
前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1枚の帯状発泡体片に埋め込まれている、
請求項11に記載のバッグ。
【請求項15】
前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、少なくとも1枚の帯状磁性片である、
請求項9に記載のバッグ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、2~5枚の帯状磁性片を含む、
請求項15に記載のバッグ。
【請求項17】
前記第1のパネルが、少なくとも1枚の帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の帯状発泡体片が、前記第1のパネルの両側面間に延在するように前記第1のパネルの前記上端部に設けられ、
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、前記少なくとも1枚の帯状発泡体片に埋め込まれている、
請求項9に記載のバッグ。
【請求項18】
前記第2のパネルに発泡体層がさらに設けられ、
前記帯状発泡体片が前記発泡体層上に配置される、
請求項14に記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年3月29日を出願日とする米国仮特許出願第63/325098号の利益と優先権を主張するものであり、この仮出願のすべての内容は、限定されるものではないあらゆる目的で、参照により本明細書に明示的に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、様々な物品の持ち運びまたは運搬に有用な携帯用のバッグまたはパックに関する。
【背景技術】
【0003】
トートバッグやキャリーバッグなどのバッグは、個人が様々な物品を持ち運んだり運搬したりするための手段となり得るものである。このようなバッグは、丈夫な布、革、厚手のキャンバス地、プラスチックなどで作ることができる。また、バッグが、開口部(閉じられない開口部または閉じられる開口部)や、ストラップ(例えば、肩掛けストラップやバッグの側面に取り付けられる持ち手など)を備えている場合もある。このようなバッグは、大きな旅行鞄や車輪付きのコンピュータバッグと一緒に持ち運ぶことも多い。
【発明の概要】
【0004】
本概要は、以下の詳細な説明において詳しく説明する本開示に関するいくつかの一般的概念を、簡略的に紹介するものである。本概要は、本開示の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではない。
【0005】
本開示の複数の態様は、バッグおよびバッグの製造方法に関するものとすることができる。本バッグは、(1)少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、基部と、(2)収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成された開口部を有する収納スペース部と、(3)少なくとも1つのストラップまたは持ち手と、(4)第1の面と第2の面と上端部とを有するパネルが設けられた側壁部の外表面と、を備えることができる。パネルの第1の面と第2の面とを側壁部の外表面に取り付けることができ、パネルと側壁部によりスリーブを形成することができる。スリーブは、旅行鞄の持ち手をスリーブの底部からスリーブの中を通して、スリーブの上端部から出すことができるように構成することができる。また、パネルと側壁部の上端部は、磁気開閉具を備えることができる。磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成することができる。
【0006】
他の態様では、スリーブは、1つ以上の物品を中に収容できるように構成されたポケットを備えることができる。スリーブは、磁気開閉具を備えており、磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上述の概要と以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて検討することにより、より良く理解されるであろう。添付の図面において、同様の参照番号が複数の図にまたがって使用されている場合、かかる同様の参照番号は、そのいずれの図においても同一または同様の要素を指している。
【
図1A】本開示の一態様に係る例示的なバッグの左前方斜視図
【
図1B】本開示の一態様に係る例示的なバッグの右後方斜視図
【
図2A】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの内部を示す図
【
図2B】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの内部を示す図
【
図2C】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの外部を示す図
【
図2D】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの外部を示す図
【
図2E】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの外部を示す図
【
図2F】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの外部を示す図
【
図2G】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの外部を示す図
【
図2H】本開示の一態様に係る例示的なトートバッグの外部を示す図
【
図3A】本開示の他の一態様に係る例示的なトートバッグを旅行鞄の持ち手に取り付けた状態を示す左前方斜視図
【
図3B】本開示の他の一態様に係る例示的なトートバッグを旅行鞄の持ち手に取り付けた状態を示す後面図
【
図4】本発明の一態様に係る、旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の分解図
【
図4A】本発明の複数の態様に係る、スリーブの開閉具に採用可能な磁石の構成を示す図
【
図4B】本発明の複数の態様に係る、スリーブの開閉具に採用可能な磁石の構成を示す図
【
図4C】本発明の複数の態様に係る、スリーブの開閉具に採用可能な磁石の構成を示す図
【
図5A】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図5B1】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図5B2】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図5C】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図5D1】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図5D2】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図5E】旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)の一態様の細部を示す模式図
【
図6B】
図6Aに示すバッグの、開位置にあるときのスリーブの上端部の拡大図
【
図7A】本発明の複数の態様に係るダッフルバッグを示す図
【
図7B】
図7Aに示すダッフルバッグの、開位置にあるときのスリーブの上端部の拡大図
【
図8A】本発明の複数の態様に係るトートバッグを示す図
【
図8B】
図8Aに示すトートバッグの、開位置にあるときのスリーブの上端部の拡大図
【
図9】本発明の複数の態様で用いる、不織布に封入した磁石を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の種々の例および構成要素の説明を行う。添付の図面は、本開示の一部を構成し、本開示の態様を実施することができる様々な構造および環境の例を例示的に示すものである。ただし、他の構造や環境を利用することもできること、ならびに、本開示の範囲から逸脱しない範囲で、本明細書において具体的に説明した構造および方法に、構造的な変更および機能的な変更を加えることができることを理解されたい。
【0009】
また、本明細書においては、「前(front)」、「前面(frontside)」、「後(back)」、「後面(backside)」、「上(top)」、「基部(base)」、「底(bottom)」、「側面(side)」、「反対側(opposite)」、「前方(forward)」、「後方(rearward)」などの用語を、様々な例示的な特徴および要素を説明するために使用している場合があるが、本明細書ではこれらの用語を便宜的に(例えば、図示の例示的な向き、通常の使用での向き、またはその両方に基づいて)使用している。本明細書のいかなる箇所も、特許請求の範囲内にあたるものとするための要件として、構造体を特定の3次元(空間的)方向に向けることを要求していると解釈すべきではない。
【0010】
図1Aおよび
図1Bは、様々な物品の持ち運びや収容をするように構成することが可能な例示的なバッグ200を示している。なお、このバッグは、バッグの一例に過ぎず、多くの配置変更や変更を施すことができる。変更点の例としては、内ポケットや外ポケットの数や位置、バッグやポケットの開閉具(例えば、スナップやジッパー)、持ち手やストラップの位置や数などの特徴が挙げられる。
【0011】
バッグは、概して、外側シェル216と、肩掛けストラップ218および/または手持ちストラップ210と、基部215と、開口部250と、収納スペース部204とを備えることができる。
図1Aおよび
図1Bに示しているように、外側シェル216により、所望の内容物をバッグの中に収めるための収納スペース部204が形成されている。開口部250は、収納スペース部204へのアクセスを可能にするように構成されている。外側シェルは、少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、基部とを有している。基部215は、収納スペース部204に内容物が入ってるかどうかに関わらず、トートバッグを立位に保てるように構成することができる。基部215は、硬質、半硬質、または軟質とすることができ、長円形、楕円形、長方形、円形、正方形などの形状となるように構成することができる。また、
図1Aおよび
図1Bに示しているように、トートバッグは、トートバッグの持ち運び、保持、もしくは固定を行うため、またはトートバッグに他の物品を固定するための様々な持ち手およびストラップ(例えば、ストラップ218、210)を備えることもできる。さらに、
図1Aに示しているように、ストラップ218は、ストラップ210よりも長尺となるように形成して、トートバッグ200をユーザの肩に掛けて持ち運ぶための肩掛けストラップとして構成することができる。一方、ストラップ210は、ストラップ218よりも短尺となるように形成して、トートバッグ200を手に持って持ち運ぶように構成することができる。ただし、長さや大きさの異なる任意の数の持ち手を設けることが企図されている。外側シェル216の前面外側には、ポケットを設けなくてもよく、1つ以上のポケットを設けることもできる。
図1Aに、外側シェル216の前面外側に取り付けたポケット212を示している。このようなポケットは、ジッパー、ベルクロ(登録商標)、スナップ、ボタン、戻り止め、クランプ、または磁石、およびそれらの任意の組み合わせなどの開閉具を有することができる。図示のように、このようなポケットは、開口部(例えば、縦方向ジッパーを有する開口部)が縦方向に延びる向きとすることができる。さらに、このようなポケットを、開口部が横または斜めの方向に延びる向きとすることもできる。
図1Bには、外側シェル216の後面外側の、後部上端のすぐ下の位置に設けられたポケット270を示している。このようなポケットは、ジッパー、「ベルクロ」、スナップ、ボタン、戻り止め、クランプ、または磁石、およびそれらの任意の組み合わせなどの開閉具を有することができる。また、外側シェル216の後面外側の他の位置に、他のポケットを設けることもできる。
【0012】
バッグは、任意の適切な開閉デバイス(例えば、防水ジッパーなどのジッパー)で開口部250を閉じられるように構成することができる。例えば、防水ジッパーの場合、バッグを実質的に耐水とすることができ、バッグが濡れた状態でも長時間、所望の内容物を乾いた状態に保つものとすることができる。また、開口部が、防水ジッパーに加えて、様々な封止デバイスを備え得ることも企図されており、例えば、磁石、「ベルクロ」、ボタン、スナップ、バックル、ジッパー、余分な材料を複数回折り畳んで形成した封止部(例えば、開口部を巻き閉じる構成の封止部)、封止材、金属製またはプラスチック製のクランプ、およびそれらの組み合わせを利用して、開口部を封止することができる。開閉具については、例えば、米国特許出願第17/388817号(出願日:2021年7月29日)および米国特許出願第17/537285号(出願日:2021年11月29日)に記載、説明されており、これらのすべての開示内容は、限定されるものではないあらゆる目的で、参照により本明細書に援用するものとする。また、一つの例として、収納スペース部204の内部に水を保持できるようにバッグを設計して、バッグを外側から内側に向かって「耐水(water resistant)」となるように構成することもできる。換言すれば、外側シェル216の内部が「水密(water tight)」となるようにバッグを形成して、水などの液体運搬用にバッグを構成することができる。他の例では、バッグの収納スペース部が排水穴(図示せず)を備えるように構成することもできる。その場合、排水穴は外側シェルを貫通し、排水穴から収納スペース部の流体を排出できるように構成される。かかる構成により、ホースや電動洗浄機などの洗浄デバイスにより、バッグの収納スペース部の洗浄やすすぎを容易に行うことや、バッグから水を排水することをユーザが行うことができる。また、内容物が水に触れないような防水性または耐水性を備えるようにバッグを構成することも企図されている。
【0013】
外側シェルと内側ライナーは、抗菌性または抗真菌性の素材で製造することができる。また、バッグ内に収納している内容物を実質的に乾いた状態に保つため、耐水性または防水性のある材料でバッグを製造することもできる。ある特定の例では、外側シェル216を、両面ラミネート加工を施したTPUナイロン生地で構成することができる。外側シェル216の基材にナイロン生地を用いて、ナイロン生地の両面をTPUラミネートでコーティングすることができる。特定の例を1つ挙げれば、厚さ0.1~1.0ミリメートルで、防水性があり、すべての食品医薬品局(Food and Drug Administration)要件を満たす抗菌添加剤を含むTPUナイロン生地が使用される。具体的な例としては、ナイロンは、TPU加工を施した840dナイロンとすることができる。また、これに代えて、様々な材料またはポリマーを、外側シェル216の製造に用いる材料として用いることができ、例えば、PVC、TPUコーティングを施したナイロン、コーティングを施した生地、およびポリエステルなどの、溶接可能な防水性生地を用いることができる。いくつかの態様では、バッグの保管や持ち運びを容易に行うことができるように、略折り畳み式のバックとすることができる。また、外側シェルと内側ライナーの間に断熱材を入れて、バッグに断熱性を持たせることができることも企図されている。これについては、例えば、米国特許出願第17/388817号(出願日:2021年7月29日)および米国特許出願第17/537285号(出願日:2021年11月29日)に図示、説明されており、これらのすべての開示内容は、限定されるものではないあらゆる目的で、参照により本明細書に援用するものとする。
【0014】
また、
図1Bには、外側シェル216の後面外側に取り付けられた旅行鞄通し部(スリーブ)280も図示されている。スリーブ280は、旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手をスリーブ280に通したり、スリーブ280から抜いたりすることによって、バッグを旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手に取り付けたり、持ち手から外したりすることを可能にするものである。例えば、機内(車内)持ち込みや預け入れを行う車輪付きの旅行鞄の持ち手にスリーブ280を被せて摺動させることにより、旅行鞄の上にバッグをバランスよく置いた状態を保つことができる。旅行鞄は、例えば、車輪付きのスーツケース、ダッフルバッグ、車輪付きのコンピュータバッグなどである。スリーブ280には、磁気開閉具(後述)が内蔵されている。磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成されている。
【0015】
図2A~
図2Fは、
図1Aおよび
図1Bに示す例示的なバッグ200に搭載可能な特徴を図示している。
図2Aは、例示的なバッグ内部の後側を示している。図示のバッグ内部の後側には、2つの内ポケット242、244が取り付けられ、液体容器290用のエリア246が2つ設けられている。
図2Bは、例示的なバッグ内部の前側を示している。図示のバッグ内部の前側には、2つの内ポケット260と、ジッパー付きポケット248と、2つのボトルポケット246とが設けられている。
図2Cは、前ポケット212を示している。前ポケット212は、
図2Dに示しているように、外側シェル216の前面外側に取り付けられるように構成されている。このようなポケット212は、ジッパー、「ベルクロ」、スナップ、ボタン、または磁石、およびそれらの任意の組み合わせなどの開閉具を有することができる。また、偏った閉じ方でもポケット212を閉じられるように、ポケット212を形成する材料にある程度の弾力性を持たせることも企図されている。図示のように、このようなポケット212は、開口部(例えば、縦方向ジッパーを有する開口部)が縦方向に延びる向きとすることができる。さらに、このようなポケット212を、開口部が横または斜めの方向に延びる向きとすることもできる。
図2Dは、ポケット212を有するバッグ200の前面を示している。
図2Eは、バッグ200の側面図である。
図2Fには、外側シェル216の後面外側の、後部上端のすぐ下の位置に設けられたポケット270を示している。このようなポケットは、ジッパー、「ベルクロ」、スナップ、ボタン、または磁石、およびそれらの任意の組み合わせなどの開閉具を有することができる。また、偏った閉じ方でもポケットを閉じられるように、ポケットを形成する材料にある程度の弾力性を持たせることも企図されている。また、外側シェル216の後面外側の他の位置に、他のポケットを設けることもできる。
図2Gは、開閉デバイスを有する開口部250を有するバッグの上部を示している。
図2Hは、バッグの底部215を示している。
【0016】
また、
図2Fには、外側シェル216の後面外側に取り付けられた旅行鞄通し部(スリーブ)280も図示されている。スリーブ280は、旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手600をスリーブ280に通したり、スリーブ280から抜いたりすることによって、バッグを旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手600に取り付けたり、持ち手600から外したりすることを可能にするものである。スリーブ280には、磁気開閉具(後述)が内蔵されている。磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成されている。
【0017】
旅行鞄通し部(スリーブ)には、車輪付きの旅行鞄やコンピュータバッグに通常見られる様々な幅の旅行鞄の持ち手に適合するように変更を加えることができる。一般に、このような持ち手は、持ち手を使用して旅行鞄を引くするときに、旅行鞄から引き出され(例えば、引き伸ばされ)、持ち手を使用しないときには旅行鞄の中に押し戻される。
【0018】
図3Aおよび
図3Bは、様々な物品の持ち運びや収容をするように構成することが可能な他の例示的なバッグ300を示している。バッグは、概して、外側シェル316と、ストラップ310と、側面持ち手352と、基部315と、開口部350と、収納スペース部304とを備えることができる。
図3Aおよび
図3Bに示しているように、外側シェル316により、所望の内容物をバッグの中に収めるための収納スペース部304が形成されている。半硬質の基部315は、収納スペース部304に内容物が入ってるかどうかに関わらず、バッグを立位に保てるように構成することができる。半硬質の基部315は、長円形、楕円形、長方形、円形、正方形などの形状となるように構成することができる。また、バッグは、バッグの持ち運び、保持、もしくは固定を行うため、またはバッグに他の物品を固定するための様々な持ち手およびストラップ(例えば、ストラップ310、持ち手352)を備えることもできる。持ち手352の下方のループ314は、美観上設けることができ、かつ/または、バッグを縛ったり、鍵や栓抜きの付いたカラビナなどの小型の装備品をバッグにクリップ留めしたりするために使用することができる。ただし、長さや大きさの異なる任意の数のストラップや持ち手を設けることが企図されている。外側シェル316の前面外側には、ポケットを設けなくてもよく、1つ以上のポケットを設けることもできる。
図3Aに、外側シェル316の前面外側に取り付けたポケット312を示している。このようなポケットは、ジッパー、「ベルクロ」、スナップ、ボタン、または磁石、およびそれらの任意の組み合わせなどの開閉具を有することができる。また、偏った閉じ方でもポケットを閉じられるように、ポケットを形成する材料にある程度の弾力性を持たせることも企図されている。図示のように、このようなポケットは、開口部(例えば、横方向ジッパーを有する開口部)が横方向に延びる向きとすることができる。さらに、このようなポケットを、開口部が縦または斜めの方向に延びる向きとすることもできる。
【0019】
図3Bには、外側シェル316の後面外側に取り付けられた旅行鞄通し部(スリーブ)380が図示されている。旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手600をスリーブ380に通したり、スリーブ380から抜いたりすることによって、バッグを旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手600に取り付けたり、持ち手から外したりすることができる。
図2Fと同様、スリーブ380にも、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成された磁気開閉具(後述)が内蔵されている。
【0020】
図4は、旅行鞄通し部(スリーブ)480の例示的な構成を示す分解図である。内側パネル412は、バッグ400の後面に取り付けることができる。内側パネル412の底面と両側面とを取り付けることにより、ポケット414を形成することができる。内側パネル412は、幅が高さよりも長い略長方形とされるが、任意の適切なサイズおよび形状とすることができる。
【0021】
外側パネル410は、スリーブの外側部分を形成している。外側パネル410の各側面を内側パネル412の対応する側面に取り付けることにより、スリーブ480を形成することができる。また、これに代えて、例えば、内側パネル412の幅が外側パネル410の幅に比べて狭い場合などには、外側パネル410の側面をバッグ400の後面に直接取り付けることもできる。内側パネル412と外側パネル410は、バッグと同じ材料で作られてもよく、異なる材料で作ることもできる。例えば、内側パネル412および外側パネル410を、生地、キャンバス地、または防水ゴム系素材で作ることができる。内側パネル412および外側パネル410は、紐(strand)で補強することができる。
【0022】
旅行鞄の持ち手用のスリーブは、旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手600をスリーブ480に通したり、スリーブ480から抜いたりすることによって、バッグを旅行鞄(例えば、スーツケース)の持ち手600に取り付けたり、持ち手600から外したりすることを可能にするものである。持ち手600が存在する時には、ポケット414は押し潰された状態となる。ポケットが押し潰された状態となることにより、ポケットの内容物が固定され、例えば、内容物が滑り落ちにくくなったり、何者かが中に手を入れて内容物を取り出すことが簡単にはできないようにしたりすることができる。ポケット414は、スリーブ480に隠れた状態とされる。
【0023】
スリーブ480には、磁気開閉具420、422が内蔵されている。磁気開閉具420、422は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと、磁気開閉具420、422の磁力を上回る力が加わって接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと、磁力によって再び接続されるように構成されている。少なくとも1つの磁石または強磁性材料を、各パネル410、412の上端縁に沿った位置、または各パネル410、412の上端縁のすぐ下の位置に配置することができる。なお、説明を簡単にするため、磁気開閉具420、422を磁石として説明しているが、任意の態様で任意の強磁性材料を用いることが企図されている。適切な磁石としては、平板型磁石、棒磁石、円板型磁石などが挙げられる。外側パネル410上の磁石と、内側パネル412上の磁石とは対応するように設けられ、外側パネル410と内側パネル412の間が上端で閉じられるように、位置合わせされる。例えば、パネル間で対応する磁石を、各パネルに2~10個設けることができる。
【0024】
特定の例では、磁石または強磁性材料は、外側パネル(第1のパネル)410および内側パネル(第2のパネル)412に恒久的に固定することができる。かかる固定は、接着剤、溶接(例えば、RF溶接)、縫合、成形(インモールド成形)などのうちの1つ以上によって行うことができる。これらの接続方法は、単独で用いることができるほか、組み合わせて用いることもできる。また、パネル形成材料などの適切な材料で1つ以上の収容ポケットを形成し、本明細書に記載の接続方法を単独またはこの収容ポケットと組み合わせて用いて、磁石をパネルに固定することができることも企図されている。また、面ファスナ、留め具、ねじ、摩擦嵌合、玉継ぎ手などの他の非恒久的な接続を用いて、磁石または強磁性材料を第1のパネル410および第2のパネル412に固定することも企図されている。
【0025】
また、これに代えて、一方または両方のパネルが、パネルの両側面間に延在する帯状磁性片または帯状強磁性片を有し、他方または両方のパネルが、少なくとも1つの磁石または強磁性材料、または挟み込みまたは埋め込みにより帯状磁性片内に設けられた複数の磁石または強磁性材料、または挟み込みまたは埋め込みにより帯状片内に設けられた磁性粒子または強磁性粒子を有する構成とすることもできる。
図4A~
図4Cは、これに代わる例示的な帯状磁性片422の構成を示している。
図4Aは、パネル間で対応する長尺の帯状磁性片を、各パネルに1枚ずつ計2枚設けることができることを示している。一例では、
図4Aに示す2枚の帯状片422は、各パネルの長さに沿って、または各パネルの長さに一部沿って延在することができる。
図4Bは、比較的長尺の帯状磁性片422を、第1のパネルと第2のパネルのうちの一方に設けて、比較的短尺の帯状磁性片422を、反対側のパネルに2枚設けることができることを示している。
図4Cは、比較的短尺の帯状磁性片422を、第1のパネルまたは第2のパネルのそれぞれに2枚ずつ設けることができることを示している。この配置では、帯状磁性片422の形状や大きさは、互いに対応させることができる。上記の例では、磁石を長方形とすることができる。ただし、任意の形状の磁石が企図されている。例えば、正方形、円形、ボタン型、または長円形の磁石とすることができる。例えば、
図4Bおよび
図4Cに示す短尺の磁石を、円形磁石または長円形磁石に置き換えることができる。
【0026】
図5Aと模式図である
図5B1~
図5Eは、スリーブに隠れた隠しポケットを有する旅行鞄持ち手通し部(スリーブ)を有するバッグの細部を示す図である。
図5Aには、
図4に示すバッグと同様のバッグ500が示されており、バッグ500には、旅行鞄通し部(スリーブ)580が取り付けられている。
図5B1は、外側パネル(第1のパネル)510と内側パネル(第2のパネル)512の側面図である。
図5B2は、外側パネル(第1のパネル)510と内側パネル(第2のパネル)512の分解側面図である。
【0027】
第2のパネル512の底面と両側面とをバッグの後面に取り付けることにより、ポケット514を形成することができる。かかるポケット514は、隠れて見えない構成とすることができ、内側パネル512を利用して、ポケット514の内壁部が画成される。ポケット514は、ジッパー、「ベルクロ」、スナップ、ボタン、または磁石、およびそれらの任意の組み合わせなどの開閉具を備えることができる。また、偏った閉じ方でもポケット514を閉じられるように、ポケット514を形成する材料にある程度の弾力性を持たせることも企図されている。
【0028】
図5B1および
図5B2は、持ち手530をスリーブに挿し込んでスリーブを貫通させた状態を示している。外側パネル510の上端またはその近傍には磁石520が取り付けられ、内側パネル512の上端またはその近傍には磁石522が取り付けられている。持ち手が存在しない時には、磁石520と磁石522は、互いの位置が合った状態で接続されている。そして、スリーブの下端部から持ち手530が挿し込まれて、パネル510とパネル512の間に持ち手が押し込まれると、持ち手の力により磁石の接続が解除される。また、持ち手を下に引き抜くと、磁石が再び接続されてスリーブの上端部が閉じる。
【0029】
図5Cは、発泡体層540で形成することが可能な外側パネル510を示している。発泡体層540は、バッグにおいて旅行鞄が通る箇所にクッション性と衝撃吸収性を与えて、バッグ内の内容物を保護することができる。発泡体層540の上端部は、2層の材料層542の間に挟み込むことができる。2層の材料層によって、少なくとも1つのパネル側磁石520または強磁性材料を保持することができる。磁石520は、発泡体パネル540の上端またはその近傍に配置される。磁石520は発泡体に埋め込むことができるほか、発泡体パネルに取り付けることもできる。材料層は、縫合や接着剤などの適切な手段により発泡体に取り付けられる。
【0030】
図5D1および
図5D2は、内側パネル512の上端またはその近傍に配置される発泡体層544を示している。磁石522は、発泡体層544に設けられている。磁石520は、発泡体への埋め込みや発泡体層への取り付けにより設けることができ、本明細書に記載のいずれかの方法により発泡体層544に固定することができる。磁石522の上を、膜または生地の層546で覆うこともできる。膜や生地の層は、溶接、縫合、接着剤などの適切な手段により発泡体に取り付けられる。
【0031】
また、面ファスナ、留め具、ねじ、摩擦嵌合、玉継ぎ手などの他の非恒久的な接続を用いて、パネル同士を固定することも企図されている。このような非恒久的な接続は、組み合わせて用いることができ、さらに、本明細書に記載の磁気接続やその変化形と組み合わせて用いることもできる。
【0032】
また、
図5A~
図5Eに関する説明で述べた例において、一方または両方のパネルが、パネルの両側面間に延在する帯状磁性片または帯状強磁性片を有し、他方または両方のパネルが、少なくとも1つの磁石または強磁性材料、または挟み込みまたは埋め込みにより帯状磁性片内に設けられた複数の磁石または強磁性材料、または挟み込みまたは埋め込みにより帯状片内に設けられた磁性粒子または強磁性粒子を有する構成とすることもできることも企図されている。
【0033】
また、内側パネル412、512は、必ずしも別体の構造体とする必要はなく、バッグ自体の一部とすることができることも企図されている。
【0034】
この例では、バッグは、少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、基部と、開口部を有する収納スペース部と、を備えることができる。開口部は、収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成することができる。バッグは、少なくとも1つのストラップまたは持ち手を備えることができる。そして、側壁部の外表面には、第1の面と第2の面と上端部とを有するパネルを設けることができる。パネルの第1の面と第2の面を側壁部の外表面に取り付けることにより、パネルと側壁部でスリーブを形成することができる。スリーブは、旅行鞄の持ち手をスリーブの下端部からスリーブの中を通して、スリーブの上端部から出すことができるように構成することができる。そして、パネルと側壁部の上端部により、一体として、磁気開閉具を形成することができる。磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成されている。
【0035】
磁気開閉具は、パネルの上端部に取り付けられる少なくとも1つのパネル側磁石または強磁性材料と、これに対応する側壁部の領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料とを含むことができ、少なくとも1つの側壁部側磁石を、少なくとも1つのパネル側磁石に引き付けられるように構成することができる。パネルの上端部に取り付けられる少なくとも1つのパネル側磁石は、少なくとも1枚の帯状磁性片とすることができ、2~5枚の帯状磁性片を含むことができる。
【0036】
また、パネルは、少なくとも1枚のパネル側帯状発泡体片を備えることもできる。パネル側帯状発泡体片は、パネルの両側面間に延在するようにパネルの上端部に設けることができる。また、少なくとも1つのパネル側磁石または強磁性材料を、少なくとも1枚のパネル側帯状発泡体片に埋め込むこともできる。少なくとも1枚のパネル側帯状発泡体片は、2層の材料層の間に挟み込むことができ、2層の材料層によって、少なくとも1つのパネル側磁石または強磁性材料を保持することができる。
【0037】
側壁部は、少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片を備えることもできる。側壁部側帯状発泡体片は、側壁部の対応する領域に設けることができ、少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料を、少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片に埋め込むことができる。磁気開閉具は、持ち手をスリーブから抜くと、磁力によって自動的に再び接続されるように構成されている。また、収納スペース部を閉じられるように構成された開閉デバイスを設けることもできる。
【0038】
また、内側パネルをバッグ自体の一部とした他の例では、バッグは、少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、開口部を有する収納スペース部と、を備えることができる。開口部は、収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成することができ、バッグは、少なくとも1つのストラップまたは持ち手を備えることができる。そして、バッグの側壁部の外表面には、第1のパネルを設けることができる。第1のパネルは、第1の面と第2の面と上端部とを有することができ、第1のパネルの第1の面と第2の面を側壁部の外表面に取り付けることにより、スリーブを形成することができる。スリーブは、旅行鞄の持ち手をスリーブの下端部からスリーブの中を通して、スリーブの上端部から出すことができるように構成することができる。スリーブは、1つ以上の物品を中に収容できるように構成されたポケットを備えることができる。そして、スリーブは、磁気開閉具を備えることができる。磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手をスリーブに通すと接続が解除され、かつ旅行鞄の持ち手をスリーブから抜くと再び接続されるように構成されている。
【0039】
一例では、第1のパネルに層を取り付けることにより、ポケットを形成することができ、磁気開閉具は、第1のパネルの上端部に取り付けられる少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料と、これに対応する側壁部の領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料とを含むことができ、少なくとも1つの側壁部側磁石を、少なくとも1つの第1のパネル側磁石に引き付けられるように構成することができる。第1のパネルの上端部に取り付けられる少なくとも1つの第1のパネル側磁石は、少なくとも1枚の帯状磁性片とすることができ、少なくとも1つの第2のパネル側磁石は、2~5枚の帯状磁性片を含むことができる。また、第1のパネルは、少なくとも1枚の帯状発泡体片を備えることもできる。帯状発泡体片は、第2のパネルの第1の面と第2の面との間に延在するように第1のパネルの上端部に設けることができる。また、少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料を、少なくとも1枚の帯状発泡体片に埋め込むこともできる。
【0040】
図6Aは、スリーブを有している補助バッグの設計を示している。例えば、旅行鞄の持ち手を、スリーブの下端部64から差し込んで、スリーブの中を通し、スリーブの上端部62から出すことができる。
図6Bは、開位置にあるときの、磁石66が設けられているスリーブの上端部62の拡大図を示している。
図7Aは、下端部74と上端部72とを持つ同様のスリーブを有しているダッフルバッグの設計を示している。
図7Bは、開位置にあるときの、スリーブの上端部72の拡大図を示している。
図8Aは、下端部84と上端部82とを持つ同様のスリーブを有しているトートバッグの設計を示している。
図8Bは、開位置にあるときの、磁石86が設けられているスリーブの上端部82の拡大図を示している。
【0041】
本明細書に記載のいずれの態様においても、磁石の強度は、非使用時に通し部(スリーブ)を閉じた状態に保つことができ、かつ持ち手(例えば、旅行鞄の持ち手)を比較的簡単に挿入することができる強度とする必要がある。例えば、電話などの物品を通し部(スリーブ)にうっかり差し込んでしまえば、その物品を紛失してしまう恐れがあるが、このようなうっかり差し込みが起こらないような十分な強度と適切な配置で磁石を設けることができる。例えば、通し部(スリーブ)の端だけに磁石を配置しても、真ん中からうっかり物品を差し込んでしまうことを防ぐことはできない。さらに、磁石の強度が十分でない場合も、思わず物品を磁石の間に押し込んでしまう可能性があり、そうなれば、スリーブから物品が落ちて、物品を紛失したり破損したりしてしまう恐れがある。磁石の強度は、思わず物品を差し込んでしまったとしても、そのことに気付かせるだけの十分な強さとする必要がある。
【0042】
任意の形、大きさ、強度の任意の適切な磁石を使用することができる。希土類磁石やネオジム磁石は、通常の磁石やフェライト磁石の約2~7倍の強度がある。ネオジム磁石はすべて、その材質によってグレード分けされている。一般に、グレードが高い(「N」に続く数字が大きい)磁石ほど強度が強い。現在入手可能なネオジム磁石の中で、最もグレードが高いネオジム磁石はN52で、最もグレードが低いネオジム磁石はN35である。本開示で用いるのに適した磁石は、例えばN45である。円板型磁石の場合、任意の適切な半径とすることができる。長方形の磁石の場合、任意の適切な長さとすることができ、例えば、1~5cmの長さ、例えば、1.5cmの長さまたは2.5cmの長さとすることができる。例示的な磁石としては、長さ約2cmの長方形のN45ニッケル磁石を挙げることができる。
【0043】
「+」や「-」の記号が付いた縫い付け用の磁石の対も販売されている。縫い付け用の磁石は、完成品では見えなくなるように生地の裾や折り返しに縫い付けることができる。プラスチックカバーに封入されたマグネットも販売されている。このプラスチックカバーは、磁石を生地に縫い付けるためのものである。
【0044】
図9は、封入または縫い付けにより、磁石610を帯状片612に設けた状態を示している。帯状片612は、織布もしくは不織布、またはプラスチックなどの他の任意の適切な材料とすることができる。第1の帯状片612の上に、磁石610が配置される。そして、第1の帯状片612の上に、第2の帯状片614が配置される。次に、縫合、接着剤、ステープル留めなどの任意の適切な手段で、第2の帯状片が第1の帯状片に取り付けられる。例えば、
図9では、磁石610の周囲を縫い目616で縫合することによって、第2の帯状片614を第1の帯状片に取り付けている。取り付けていない帯状片614の残りの部分は、取り付けない状態のまま残すことができるほか、切り取ったり、接着または縫い付けによって帯状片612に取り付けたりすることができる。帯状片612には、その長さ方向に沿って1つまたは複数の磁石を設けることができる。例えば、帯状片は、1個、2個、3個、4個、または5個の磁石を含むことができる。その後、帯状片は、上述したようなスリーブ(通し部)の上端部に縫い付けられる。そして、これに対応する帯状片を、帯状片の磁石の位置を合わせてバッグに縫い付けて、磁石が引き合うことによってスリーブ(通し部)の上端部を閉じるようにすることができる。
【0045】
一部の磁石、特に角や鋭利な縁がある磁石は、挟み込みを起こして、いずれ帯状生地片を破損させてしまう可能性があり、特に、生地片に薄い生地や質の悪い生地を使用した場合はその可能性が高くなる。バッグをより長持ちさせるためには、磁石を封入する生地に、より質や耐久性の高い生地を使う必要がある。また、同様に、磁石の封入に用いる糸の品質や縫い方も、バッグの寿命に影響を与える可能性がある。
【0046】
磁石は、帯状磁石や磁気テープとすることもでき、所望の長さに切断して用いることができる。ただし、このような帯状磁石または磁気テープは、薄くて柔軟性があるものの、通常、強い磁力を有していない。帯状磁石の例として、強磁性粉末とゴムで作られた帯状磁石が挙げられる。
【0047】
隙間ができないよう、十分な数の磁石対を用いる必要がある。例えば、通し部(スリーブ)の中央に1対の磁石のみを使用するだけでは、磁石とスリーブの縁の間に隙間ができる可能性がある。このような隙間を防ぐため、開口部に沿って十分な数の磁石対を設けることにより、面が揃っているように見える状態を維持する必要がある。例えば、少なくとも2対、少なくとも3対、または少なくとも4対以上の磁石対を使用することができる。
【0048】
以上、様々な例を参照しながら、上記の説明と添付図面を通して本開示を説明してきたが、上述の本開示の説明の目的は、本開示に関する様々な特徴や概念の例を示すことであって、本開示の範囲を限定することが目的ではない。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、上述の例に数多くの変形および変更を加えることができることを認識するであろう。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、基部と、
収納スペース部であって、該収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成された開口部を有する収納スペース部と、
少なくとも1つのストラップまたは持ち手と、
第1の面と第2の面と上端部とを有する第1のパネルが設けられた前記側壁部の外表面と、
を備えるバッグであって、
前記第1の面と前記第2の面とが前記側壁部の前記外表面に取り付けられており、
前記第1のパネルと前記側壁部によりスリーブが形成され、
前記スリーブは、旅行鞄の持ち手を前記スリーブの下端部から前記スリーブの中を通して、前記スリーブの上端部から出すことができるように構成されており、
前記第1のパネルと前記側壁部の上端部が、磁気開閉具を備えており、
前記磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手を前記スリーブに通すと接続が解除されるように構成されるとともに、前記旅行鞄の持ち手を前記スリーブから抜くと再び接続されるように構成されている、バッグ。
実施形態2
前記磁気開閉具が、
前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料と、
これに対応する前記側壁部の対応領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料と、を含み、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石に引き付けられるように構成される、実施形態1に記載のバッグ。
実施形態3
前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、少なくとも1枚の帯状磁性片である、実施形態2に記載のバッグ。
実施形態4
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、2~5枚の帯状磁性片を含む、実施形態2に記載のバッグ。
実施形態5
前記第1のパネルが、少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片が、前記第1のパネルの両側面間に延在するように前記第1のパネルの前記上端部に設けられ、
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片に埋め込まれている、実施形態2に記載のバッグ。
実施形態6
前記少なくとも1枚の第1のパネル側帯状発泡体片は、2層の材料層の間に挟み込まれ、
前記2層の材料層によって、前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料が保持されている、実施形態5に記載のバッグ。
実施形態7
前記側壁部に第2のパネルが設けられ、
前記第2のパネルが、少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片が、前記側壁部の前記対応領域に設けられ、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1枚の側壁部側帯状発泡体片に埋め込まれている、実施形態2に記載のバッグ。
実施形態8
前記磁気開閉具が、前記旅行鞄の持ち手を前記スリーブから抜くと自動的に再び接続されるように構成されている、実施形態1に記載のバッグ。
実施形態9
前記収納スペース部を閉じられるように構成された開閉デバイスをさらに備える、実施形態1に記載のバッグ。
実施形態10
少なくとも2つの側面と、前部と、側壁部を画成する後部と、
収納スペース部であって、該収納スペース部へのアクセスを可能にするように構成された開口部を有する収納スペース部と、
少なくとも1つのストラップまたは持ち手と、
第1のパネルが設けられた前記側壁部の外表面と、
を備えるバッグであって、
前記第1のパネルは、第1の面と第2の面と上端部とを有しており、
前記第1の面と前記第2の面は、前記側壁部の前記外表面に取り付けられ、これによりスリーブを形成しており、
前記スリーブは、旅行鞄の持ち手を前記スリーブの下端部から前記スリーブの中を通して、前記スリーブの上端部から出すことができるように構成されており、
前記スリーブが、1つ以上の物品を中に収容できるように構成されたポケットを備え、
前記スリーブが、磁気開閉具を備えており、
前記磁気開閉具は、旅行鞄の持ち手を前記スリーブに通すと接続が解除され、かつ前記旅行鞄の持ち手を前記スリーブから抜くと再び接続されるように構成されている、バッグ。
実施形態11
前記ポケットが、前記第1のパネルに層を取り付けることにより形成され、
前記側壁部に、第2のパネルが設けられる、実施形態10に記載のバッグ。
実施形態12
前記磁気開閉具が、
前記第2のパネルの上端部に取り付けられる少なくとも1つの第2のパネル側磁石または強磁性材料と、
これに対応する前記側壁部の対応領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料と、を含み、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石に引き付けられるように構成される、実施形態11に記載のバッグ。
実施形態13
前記第2のパネルの前記上端部に取り付けられる前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石が、少なくとも1枚の帯状磁性片である、実施形態12に記載のバッグ。
実施形態14
前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石が、2~5枚の帯状磁性片を含む、実施形態13に記載のバッグ。
実施形態15
前記第2のパネルが前記第1のパネルより内側に位置し、前記第2のパネルが、少なくとも1枚の帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の帯状発泡体片が、前記第2のパネルの第1の面と第2の面との間に延在するように前記第2のパネルの前記上端部に設けられ、
前記少なくとも1つの第2のパネル側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1枚の帯状発泡体片に埋め込まれている、実施形態12に記載のバッグ。
実施形態16
前記磁気開閉具が、
前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる少なくとも1つの第1のパネル側磁石または強磁性材料と、
これに対応する前記側壁部の対応領域に取り付けられる少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料と、を含み、
前記少なくとも1つの側壁部側磁石または強磁性材料が、前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石に引き付けられるように構成される、実施形態10に記載のバッグ。
実施形態17
前記第1のパネルの前記上端部に取り付けられる前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、少なくとも1枚の帯状磁性片である、実施形態16に記載のバッグ。
実施形態18
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、2~5枚の帯状磁性片を含む、実施形態17に記載のバッグ。
実施形態19
前記第1のパネルが、少なくとも1枚の帯状発泡体片を備え、
前記少なくとも1枚の帯状発泡体片が、前記第1のパネルの両側面間に延在するように前記第1のパネルの前記上端部に設けられ、
前記少なくとも1つの第1のパネル側磁石が、前記少なくとも1枚の帯状発泡体片に埋め込まれている、実施形態16に記載のバッグ。
実施形態20
前記第2のパネルに発泡体層がさらに設けられ、
前記帯状発泡体片が前記発泡体層上に配置される、実施形態15に記載のバッグ。
【符号の説明】
【0049】
66、86、520、522、610 磁石
62、72、82 スリーブの上端部
64、74、84 スリーブの下端部
200、300、400、500 バッグ
204、304 収納スペース部
210、218、310 ストラップ
212、242、244、246、248、260、270、312、414、514 ポケット
215、315 バッグの基部、底部
216、316 外側シェル
250、350 バッグの開口部
280、380、480、580 スリーブ、旅行鞄通し部、旅行鞄持ち手通し部
290 液体容器
314 ループ
352、530 バッグの持ち手
410、510 第1のパネル、外側パネル
412、512 第2のパネル、内側パネル
420 磁気開閉具
422 帯状磁性片
540、544 発泡体層
542 材料層
546 膜または生地の層
600 旅行鞄の持ち手
612 第1の帯状片
614 第2の帯状片
616 縫い目