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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】プログラム、表示方法及び表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20250529BHJP
【FI】
G06Q50/18
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024103733
(22)【出願日】2024-06-27
【審査請求日】2024-11-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519313471
【氏名又は名称】株式会社リセ
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(72)【発明者】
【氏名】寄合 龍太
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-530606(JP,A)
【文献】特許第7498919(JP,B1)
【文献】特許第7549118(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法律文書を所定の観点でチェックした結果をディスプレイに表示させる処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、前記ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれ、
前記第1観点及び前記第2観点の各々が、前記法律文書におけるチェック内容を示し、
前記法律文書を前記第1観点でチェックした第1結果、及び、前記法律文書を前記第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付ける処理と、
前記表示に関する選択に基づいて、前記第1結果及び前記第2結果の少なくとも一方を前記ディスプレイに表示させる処理とを前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記第2観点の登録を受け付ける処理を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記第2観点の登録を受け付ける処理が、
前記ユーザへの質問を前記ディスプレイに表示させる処理と、
前記質問に対する回答を受け付ける処理とを含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記回答に基づいて前記第2結果が出力されるように生成AIモデルへプロンプトを送信する処理を前記コンピュータにさらに実行させる、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第2観点の登録を受け付ける処理を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記第2観点の登録を受け付ける処理が、前記第2観点を示す第2観点情報、及び、前記第2観点を登録する前記ユーザの属性を示す属性情報を受け付ける処理を含み、
前記属性情報が、前記第2結果に対応付けて前記ディスプレイに表示される、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記属性情報が、前記ユーザが所属するグループを示すグループ情報を含む、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2観点として複数の観点が登録されており、
前記複数の観点の各々には、前記属性情報が対応付けられており、
前記プログラムが、前記ユーザの属性に応じて前記複数の観点のうち一部又は全部の観点の採用を前記ユーザへ提案する処理を前記コンピュータにさらに実行させる、請求項4又は請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第2観点として複数の観点が登録されており、
前記複数の観点の各々には、前記属性情報が対応付けられており、
前記プログラムが、複数の前記属性情報の選択を受け付ける処理を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記第2結果が、選択された複数の前記属性情報に対応付けられた1又は複数の観点で前記法律文書をチェックした結果である、請求項4又は請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第2観点として複数の観点が登録されており、
前記プログラムが、前記複数の観点の各々の採用頻度に応じて前記複数の観点のうち一部又は全部の観点の採用を前記ユーザへ提案する処理を前記コンピュータにさらに実行させる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第1結果及び前記第2結果の両方を含む画面を前記ディスプレイが表示する場合に、前記画面において前記第1結果及び前記第2結果が互いに区別可能な態様で表示される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第1結果及び前記第2結果の両方を含む画面を前記ディスプレイが表示する場合に、前記第1結果の表示を先に開始させる処理を前記コンピュータにさらに実行させる、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記ディスプレイが、前記第1結果を含む第1画面、及び、前記第2結果を含む第2画面の一方を表示し、
前記ディスプレイに表示される画面が、前記表示に関する選択に基づいて切り替えられる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
法律文書を所定の観点でチェックした結果をディスプレイに表示する表示方法であって、
前記所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、前記ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれ、
前記第1観点及び前記第2観点の各々が、前記法律文書におけるチェック内容を示し、
前記法律文書を前記第1観点でチェックした第1結果、及び、前記法律文書を前記第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付けることと、
前記表示に関する選択に基づいて、前記第1結果及び前記第2結果の少なくとも一方を前記ディスプレイに表示させることとを含む、表示方法。
【請求項13】
法律文書を所定の観点でチェックした結果を表示する表示システムであって、
前記所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、前記ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれ、
前記第1観点及び前記第2観点の各々が、前記法律文書におけるチェック内容を示し、
前記法律文書を前記第1観点でチェックした第1結果、及び、前記法律文書を前記第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付ける受付部と、
前記表示に関する選択に基づいて、前記第1結果及び前記第2結果の少なくとも一方を表示する表示部とを備える、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、表示方法及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-184251号公報(特許文献1)は、法律文書評価システムを開示する。この法律文書評価システムにおいては、法律文書の評価ルールが予め定められており、評価ルールに基づいて法律文書が評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-184251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている技術においては、法律文書をチェックする観点が予め定められている。したがって、予め想定されていない観点で法律文書をチェックすることができない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書のチェック結果をユーザに通知可能なプログラム、表示方法及び表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従うプログラムは、法律文書を所定の観点でチェックした結果をディスプレイに表示させる処理をコンピュータに実行させる。所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれる。このプログラムは、法律文書を第1観点でチェックした第1結果、及び、法律文書を第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付ける処理と、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方をディスプレイに表示させる処理とをコンピュータに実行させる。
【0007】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方がディスプレイに表示される。したがって、このプログラムによれば、予め登録されている第1観点でチェックされた第1結果、及び、ユーザによって追加で登録された第2観点でチェックされた第2結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイに表示させることができる。その結果、このプログラムによれば、予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書のチェック結果をユーザに認識させることができる。
【0008】
このプログラムは、第2観点の登録を受け付ける処理をコンピュータにさらに実行させてもよく、第2観点の登録を受け付ける処理は、ユーザへの質問をディスプレイに表示させる処理と、質問に対する回答を受け付ける処理とを含んでもよい。
【0009】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、質問に対する回答が受け付けられることにより第2観点の登録が受け付けられる。したがって、このプログラムによれば、質問に対する回答をユーザから受け付けることによって、容易に第2観点の登録を行なうことができる。
【0010】
このプログラムは、回答に基づいて第2結果が出力されるように生成AIモデルへプロンプトを送信する処理をコンピュータにさらに実行させてもよい。
【0011】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、回答に基づいて第2結果が出力されるように生成AIモデルへプロンプトが送信される。したがって、このプログラムによれば、生成AIモデルが第2結果を出力するため、ユーザによって追加で登録された観点が特殊なものであったとしてもある程度高精度な第2結果を得ることができる。
【0012】
このプログラムは、第2観点の登録を受け付ける処理をコンピュータにさらに実行させてもよく、第2観点の登録を受け付ける処理は、第2観点を示す第2観点情報、及び、第2観点を登録するユーザの属性を示す属性情報を受け付ける処理を含んでもよく、属性情報は、第2結果に対応付けてディスプレイに表示されてもよい。
【0013】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、第2結果に対応付けて属性情報がディスプレイに表示される。したがって、このプログラムによれば、ディスプレイに表示されている第2結果が、どのような属性に関係する観点でチェックされた結果を示すかをユーザに容易に認識させることができる。
【0014】
このプログラムにおいては、属性情報が、ユーザが所属するグループを示すグループ情報を含んでもよい。
【0015】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、第2結果に対応付けてグループ情報がディスプレイに表示される。したがって、このプログラムによれば、ディスプレイに表示されている第2結果が、どのようなグループに関係する観点でチェックされた結果かをユーザに容易に認識させることができる。
【0016】
このプログラムにおいては、第2観点として複数の観点が登録されてもよく、複数の観点の各々には、属性情報が対応付けられてもよく、プログラムは、ユーザの属性に応じて複数の観点のうち一部又は全部の観点の採用をユーザへ提案する処理をコンピュータにさらに実行させてもよい。
【0017】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、第2観点として登録されている複数の観点のうち一部又は全部の観点の採用がユーザの属性に応じてユーザへ提案される。したがって、このプログラムによれば、ユーザの属性に合った第2観点の採用をユーザへ提案することができる。
【0018】
このプログラムにおいては、第2観点として複数の観点が登録されてもよく、複数の観点の各々には、属性情報が対応付けられてもよく、プログラムは、複数の属性情報の選択を受け付ける処理をコンピュータにさらに実行させてもよく、第2結果は、選択された複数の属性情報に対応付けられた1又は複数の観点で法律文書をチェックした結果であってもよい。
【0019】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、選択された複数の属性情報に対応付けられた1又は複数の観点で法律文書をチェックした結果が第2結果となる。したがって、このプログラムによれば、複数の属性情報が選択されることで、多様な観点で法律文書をチェックした結果を第2結果として得ることができる。
【0020】
このプログラムにおいては、第2観点として複数の観点が登録されてもよく、プログラムは、複数の観点の各々の採用頻度に応じて複数の観点のうち一部又は全部の観点の採用をユーザへ提案する処理をコンピュータにさらに実行させてもよい。
【0021】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、複数の観点の各々の採用頻度に応じて複数の観点のうち一部又は全部の観点の採用がユーザへ提案される。したがって、このプログラムによれば、ユーザにとって有益である可能性が高い第2観点の採用をユーザへ提案することができる。
【0022】
このプログラムにおいては、第1結果及び第2結果の両方を含む画面をディスプレイが表示する場合に、画面において第1結果及び第2結果が互いに区別可能な態様で表示されてもよい。
【0023】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、第1結果及び第2結果が互いに区別可能な態様で画面に表示される。したがって、このプログラムによれば、第1結果及び第2結果を一覧性が高い状態でユーザに認識させることができる。
【0024】
このプログラムは、第1結果及び第2結果の両方を含む画面をディスプレイが表示する場合に、第1結果の表示を先に開始させる処理をコンピュータにさらに実行させてもよい。
【0025】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、第2結果と比較して、第1結果の表示が先に開始される。したがって、このプログラムによれば、第1結果の準備に要する時間と比較して第2結果の準備に要する時間が長いとしても、第1結果及び第2結果の表示が同時に開始される場合と比較して、ユーザに何ら結果が表示されない時間を短縮することができる。
【0026】
このプログラムにおいては、ディスプレイが、第1結果を含む第1画面、及び、第2結果を含む第2画面の一方を表示してもよく、ディスプレイに表示される画面が、表示に関する選択に基づいて切り替えられてもよい。
【0027】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、ディスプレイに第1画面が表示されるか第2画面が表示されるかが、表示に関する選択に基づいて切り替えられる。したがって、このプログラムによれば、第1結果及び第2結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイに適宜表示させることができる。
【0028】
本発明の他の局面に従う表示方法は、法律文書を所定の観点でチェックした結果をディスプレイに表示する。所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれる。この表示方法は、法律文書を第1観点でチェックした第1結果、及び、法律文書を第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付けることと、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方をディスプレイに表示させることとを含む。
【0029】
この表示方法においては、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方がディスプレイに表示される。したがって、この表示方法によれば、予め登録されている第1観点でチェックされた第1結果、及び、ユーザによって追加で登録された第2観点でチェックされた第2結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイに表示させることができる。その結果、この表示方法によれば、予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書のチェック結果をユーザに認識させることができる。
【0030】
本発明の他の局面に従う表示システムは、法律文書を所定の観点でチェックした結果を表示する。所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれる。この表示システムは、受付部と、表示部とを備える。受付部は、法律文書を第1観点でチェックした第1結果、及び、法律文書を第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付ける。表示部は、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方を表示する。
【0031】
この表示システムにおいては、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方がディスプレイに表示される。したがって、この表示システムによれば、予め登録されている第1観点でチェックされた第1結果、及び、ユーザによって追加で登録された第2観点でチェックされた第2結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイに表示させることができる。その結果、この表示システムによれば、予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書のチェック結果をユーザに認識させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書のチェック結果をユーザに通知可能なプログラム、表示方法及び表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】法律文書チェックシステムの構成を模式的に示す図である。
図2】法律文書チェックサーバのハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
図3】第1観点DBの一例の一部を模式的に示す図である。
図4】ユーザ端末において表示される質問画面の一例を模式的に示す図である。
図5】第2観点DBの一例の一部を模式的に示す図である。
図6】ユーザ端末のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
図7】法律文書チェックシステムにおける第2観点の登録手順を示すフローチャートである。
図8】契約書のチェック結果の表示手順を示すフローチャートである。
図9図8のステップS330においてユーザ端末のディスプレイに表示される画面の一例を模式的に示す図である。
図10図8のステップS350においてユーザ端末のディスプレイに表示される画面の一例を模式的に示す図である。
図11】契約書のチェックに用いる第2観点の変更手順を示すフローチャートである。
図12】特定のグループの選択画面を含む画面の一例を模式的に示す図である。
図13】第2観点DBに登録された第2観点の編集手順を示すフローチャートである。
図14】第2観点DBに登録されている第2観点の一覧を示す画面である。
図15】他の実施の形態におけるチェック結果の表示画面の一例を模式的に示す図である。
図16】第2観点によるチェック結果において改善余地ありとされた箇所にアイコンが付された画面の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0035】
[1.概要]
図1は、本実施の形態1に従う法律文書チェックシステム10の構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、法律文書チェックシステム10は、法律文書チェックサーバ100と、ユーザ端末200と、AIチャットボットサーバ300とを含んでいる。法律文書チェックサーバ100及びAIチャットボットサーバ300の各々は、例えば、汎用コンピュータによって実現される。また、ユーザ端末200は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット又はスマートフォンによって実現される。法律文書チェックシステム10においては、法律文書チェックサーバ100、ユーザ端末200及びAIチャットボットサーバ300が、インターネットN1を通じて互いに通信する。
【0036】
AIチャットボットサーバ300は、生成AIモデル310を提供する。生成AIモデル310は、例えば、インターネットN1を介して様々なサイトから定期的に取得された情報を用いた学習を通じて生成されている。生成AIモデル310は、例えば、自然文の入力を受け付け、世間の常識知に基づいて当該自然文に応じた種々の回答を生成するように構成されている。生成AIモデル310の例としては、例えば、ChatGPT及びMarvinが挙げられる。
【0037】
法律文書チェックシステム10は、多様な観点で法律文書をチェックするように構成されている。法律文書には、例えば、契約書、規則及び通知書が含まれる。契約書とは、契約効果を発揮する文書のことをいう。契約書の例としては、秘密保持契約書、売買契約書、及び、不動産賃貸借に関する契約書が挙げられる。規則とは、人がある行為をするにあたって守らなければならない定めを示す文書のことをいう。規則の例としては、就業規則が挙げられる。通知書とは、何らかの事項を受取人へ通知するための文書のことをいう。通知書の例としては、プライバシー等のポリシー宣言の文書が挙げられる。以下では、チェック対象の法律文書が契約書である例について説明する。
【0038】
法律文書チェックサーバ100においては、例えば、チェック対象の契約書の類型毎に、チェックする観点が予め登録されている。チェックする観点とは、例えば、契約書においてチェックする内容のことをいう。ユーザによる登録に拘わらず法律文書チェックサーバ100において予め登録されている観点を以下では「第1観点」とも称する。例えば、秘密保持契約書に関する第1観点の一例としては、「受領者の責めなく公知となった情報が秘密情報の例外事由となっているか」といったものが挙げられる。
【0039】
法律文書チェックサーバ100においては、多くのユーザにとってチェックが必要な複数の観点が第1観点として登録されている。チェック対象の契約書がユーザ端末200から法律文書チェックサーバ100へ送信されると、法律文書チェックサーバ100においては、予め登録されている第1観点での契約書のチェックが行なわれる。第1観点でのチェック結果は、法律文書チェックサーバ100からユーザ端末200へ送信され、ユーザ端末200において表示される。これにより、ユーザは、第1観点での契約書のチェック結果を認識することができる。
【0040】
一方、ユーザによっては、第1観点以外の観点による契約書のチェックを所望する場合がある。法律文書チェックシステム10においては、ユーザによる観点の追加が可能となっている。ユーザによって追加で登録される観点を以下では「第2観点」とも称する。法律文書チェックシステム10においては、第2観点による契約書のチェックが、生成AIモデル310によって行なわれる。すなわち、第2観点での契約書のチェックを指示するプロンプトが法律文書チェックサーバ100からAIチャットボットサーバ300へ送信され、生成AIモデル310において第2観点での契約書のチェックが行なわれる。法律文書チェックシステム10によれば、生成AIモデル310が第2観点でのチェックを行なうため、ユーザによって追加で登録された観点が特殊なものであったとしてもある程度高精度なチェック結果を得ることができる。
【0041】
第2観点でのチェック結果は、AIチャットボットサーバ300から法律文書チェックサーバ100へ送信され、その後、法律文書チェックサーバ100からユーザ端末200へ送信される。ユーザ端末200へ送信されたチェック結果は、ユーザ端末200において表示される。これにより、ユーザは、第2観点での契約書のチェック結果を認識することができる。以下、法律文書チェックシステム10の各構成及び動作について詳細に説明する。
【0042】
[2.構成]
<2-1.法律文書チェックサーバの構成>
図2は、法律文書チェックサーバ100のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。図2に示されるように、法律文書チェックサーバ100は、制御部110と、通信I/F(interface)130と、記憶部120とを含んでいる。各構成は、バスを通じて電気的に接続されている。
【0043】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)112、RAM(Random Access Memory)114及びROM(Read Only Memory)116等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なうように構成されている。
【0044】
通信I/F130は、インターネットN1を通じて、ユーザ端末200及びAIチャットボットサーバ300(図1)と通信するように構成されている。通信I/F130は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0045】
記憶部120は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置で構成される。記憶部120は、例えば、制御プログラム121、第1観点DB(database)122、質問画面データ124、第2観点DB125及びプロンプト雛形データ126を記憶している。制御プログラム121がCPU112によって実行されることによって、法律文書チェックサーバ100における各種機能が実現される。なお、第1観点DB122において管理されている情報と第2観点DB125において管理されている情報とは、必ずしも別々のデータベースで管理される必要はなく、1つのデータベースで管理されてもよい。
【0046】
図3は、第1観点DB122の一例の一部を模式的に示す図である。図3に示されるように、第1観点DB122においては、「第1観点」及び「評価コメント」が互いに対応付けられて管理されている。複数の「第1観点」の各々には「評価コメント」が対応付けられている。「評価コメント」は、「第1観点」でチェックが行なわれた結果、問題が検出された場合に、ユーザ端末200において表示されるメッセージを示す。なお、各第1観点での契約書のチェックは、制御プログラム121がCPU112によって実行されることにより行なわれる。
【0047】
再び図2を参照して、質問画面データ124は、第2観点の登録に用いられる。法律文書チェックシステム10(図1参照)においては、ユーザ端末200に表示される質問にユーザが回答することによって第2観点の登録が行なわれる。質問画面データ124が法律文書チェックサーバ100からユーザ端末200へ送信され、ユーザ端末200において質問画面が表示される。質問画面データ124等の画面データは、ユーザ端末200において画面を表示させるためのデータであり、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)ファイルによって構成される。
【0048】
図4は、ユーザ端末200において表示される質問画面の一例(画面IM1)を模式的に示す図である。図4に示されるように、画面IM1には、契約の類型を選択させる質問、契約におけるユーザの立場を選択させる質問、グループを選択させる質問、希望するチェック(確認)事項に関する質問、チェック結果がどのような場合に対応が必要かに関する質問、対応が必要な場合にどのような対応を行なうべきかに関する質問が含まれている。グループの例としては、例えば、ユーザが所属する部署、ユーザの役職、ユーザが参加しているプロジェクト、及び、ユーザ個人が挙げられる。これらの質問に対する回答に基づいて第2観点の登録が行なわれる。
【0049】
図5は、第2観点DB125の一例の一部を模式的に示す図である。図5に示されるように、第2観点DB125においては、「グループ」、「契約類型」、「立場」、「第2観点」、「対応が必要な場合」、「するべき対応」及び「作成者」が互いに対応付けられている。すなわち、第2観点DB125においては、質問画面データ124に含まれる質問に対する回答が管理されている。なお、「第2観点」は、質問画面データ124に含まれる質問のうち、希望するチェック事項に関する質問(図4の質問4)に対する回答に対応している。
【0050】
再び図2を参照して、上述のように、第2観点による契約書のチェックは、生成AIモデル310(図1参照)によって行なわれる。生成AIモデル310へ送信されるプロンプトは、プロンプト雛形データ126を用いることによって生成される。具体的には、プロンプト雛形データ126が示すプロンプトの雛形に、チェックを行なう第2観点を示すデータ(第2観点DB125において管理されるデータ)が組み込まれることによって、プロンプトが生成される。
【0051】
プロンプト雛形データ126には、例えば、チェック対象の契約書において所定のチェック等(例えば、図4の質問4に対する回答に関するチェック)を行なうこと、及び、所定のチェック等の結果(評価コメントを含む。)を法律文書チェックサーバ100へ送信することを指示する指示文、並びに、チェック対象の契約書に含まれる一部又は全部の文言が含まれている。例えば、プロンプト雛形データ126に図4の各質問に対する回答が埋め込まれたプロンプトが法律文書チェックサーバ100から生成AIモデル310へ送信されることによって、第2観点による契約書のチェックが行なわれ、チェック結果が法律文書チェックサーバ100へ送信される。
【0052】
<2-2.ユーザ端末の構成>
図6は、ユーザ端末200のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。図6に示されるように、ユーザ端末200は、制御部210と、通信I/F230と、操作部240と、ディスプレイ250と、記憶部220とを含んでいる。ユーザ端末200において、各構成はバスを通じて電気的に接続されている。
【0053】
制御部210は、CPU、RAM及びROM等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なうように構成されている。通信I/F230は、インターネットN1を通じて、法律文書チェックサーバ100及びAIチャットボットサーバ300と通信するように構成されている。通信I/F230は、例えば、有線LANモジュール又は無線LANモジュールで構成される。
【0054】
操作部240は、ユーザからの入力を受け付けるように構成されている。操作部240は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。質問への回答(第2観点の登録)、及び、チェック対象の契約書のアップロードの各々は、例えば、操作部240を介して行なわれる。
【0055】
ディスプレイ250は、画像を表示するように構成されている。ディスプレイ250は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等のモニタで構成される。ディスプレイ250は、例えば、第2観点を登録するための質問、契約書の第1観点によるチェック結果、及び、契約書の第2観点によるチェック結果を表示する。
【0056】
記憶部220は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部220は、例えば、制御プログラム222を記憶している。制御プログラム222が制御部210のCPUによって実行されることにより、ユーザ端末200における各種機能が実現される。
【0057】
[3.動作]
<3-1.第2観点の追加登録動作>
図7は、法律文書チェックシステム10における第2観点の登録手順を示すフローチャートである。図7を参照して、左側に示されるフローチャートはユーザ端末200の制御部210によって実行され、右側に示されるフローチャートは法律文書チェックサーバ100の制御部110によって実行される。
【0058】
図7の左側のフローチャートを参照して、ユーザ端末200の制御部210は、操作部240を介して第2観点の追加登録指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS100)。例えば、第2観点の追加登録指示を行なうためのボタンがディスプレイ250に表示され、制御部210は、当該ボタンが押下されたか否かを判定する。第2観点の追加登録指示が受け付けられていないと判定されると(ステップS100においてNO)、制御部210は、追加登録指示を受け付けるまで待機する。
【0059】
一方、第2観点の追加登録指示が受け付けられたと判定されると(ステップS100においてYES)、制御部210は、第2観点の追加登録を要求するコマンド(以下、単に「追加登録要求コマンド」とも称する。)を法律文書チェックサーバ100へ送信するように通信I/F230を制御する(ステップS110)。その後、制御部210は、法律文書チェックサーバ100から質問画面データ124を受信したか否かを判定する(ステップS120)。質問画面データ124を受信していないと判定されると(ステップS120においてNO)、制御部210は、質問画面データ124を受信するまで待機する。
【0060】
一方、質問画面データ124を受信したと判定されると(ステップS120においてYES)、制御部210は、質問画面データ124が示す質問画面を表示するようにディスプレイ250を制御する(ステップS130)。例えば、ディスプレイ250には、図4に示される画面IM1が表示される。
【0061】
ディスプレイ250に質問画面が表示されると、制御部210は、各質問に対する回答の入力が完了したか否かを判定する(ステップS140)。例えば、質問画面に完了ボタンが含まれ、制御部210は、当該完了ボタンが押下されたか否かを判定する。各質問に対する回答の入力が完了していないと判定されると(ステップS140においてNO)、制御部210は、各質問に対する回答の入力が完了するまで待機する。
【0062】
一方、各質問に対する回答の入力が完了したと判定されると(ステップS140においてYES)、制御部210は、入力された回答を示す回答データ(以下、単に「回答データ」とも称する。)を法律文書チェックサーバ100へ送信するように通信I/F230を制御する(ステップS150)。
【0063】
図7の右側のフローチャートを参照して、法律文書チェックサーバ100の制御部110は、ユーザ端末200から追加登録要求コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS200)。追加登録要求コマンドを受信していないと判定されると(ステップS200においてNO)、制御部110は、追加登録要求コマンドを受信するまで待機する。
【0064】
一方、追加登録要求コマンドを受信したと判定されると(ステップS200においてYES)、制御部110は、質問画面データ124をユーザ端末200へ送信するように通信I/F130を制御する(ステップS210)。その後、制御部110は、ユーザ端末200から回答データを受信したか否かを判定する(ステップS220)。回答データを受信していないと判定されると(ステップS220においてNO)、制御部110は、回答データを受信するまで待機する。
【0065】
一方、回答データを受信したと判定されると(ステップS220においてYES)、制御部110は、回答データが示す内容が第2観点DB125に反映されるように第2観点DB125を更新する(ステップS230)。これにより、第2観点DB125において、新たな第2観点が登録される。
【0066】
このように、法律文書チェックシステム10においては、質問に対する回答が受け付けられることにより第2観点の登録が行なわれる。したがって、法律文書チェックシステム10によれば、質問に対する回答をユーザから受け付けることによって、容易に第2観点の登録を行なうことができる。
【0067】
<3-2.チェック結果の表示動作>
図8は、契約書のチェック結果の表示手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、チェック対象の契約書がユーザ端末200から法律文書チェックサーバ100へ送信された状態で、ユーザから契約書のチェック指示が受け付けられた場合に、法律文書チェックサーバ100の制御部110によって実行される。
【0068】
法律文書チェックシステム10においては、例えば、第2観点DB125に登録されている複数の第2観点のうち、特定のグループに対応付けられている第2観点での契約書のチェックが行なわれ、特定のグループ以外のグループに対応付けられている第2観点での契約書のチェックが行なわれない。特定のグループは、ユーザによって選択されてもよいし、制御部110によって自動的に選択されてもよい。
【0069】
制御部110は、例えば、契約書のチェック指示を行なうユーザの属性(例えば、ユーザが所属するグループ)に応じて特定のグループの採用をユーザへ提案してもよい。制御部110は、例えば、契約書のチェック指示を行なうユーザが所属するグループを特定のグループとして採用するようにユーザへ提案してもよい。
【0070】
また、制御部110は、例えば、契約書のチェック指示を行なうユーザの属性に応じて特定のグループを自動的に選択してもよい。制御部110は、例えば、契約書のチェック指示を行なうユーザが所属するグループを特定のグループとして自動的に選択してもよい。制御部110は、例えば、採用頻度が高いグループを特定のグループとして自動的に選択してもよい。
【0071】
図8を参照して、法律文書チェックサーバ100の制御部110は、第2観点DB125を参照し、かつ、プロンプト雛形データ126を用いることによってプロンプトを生成する(ステップS300)。制御部110は、例えば、特定のグループに対応付けられている第2観点での契約書のチェック結果を法律文書チェックサーバ100へ返すように生成AIモデル310へ指示するプロンプトを生成する。ステップS300において生成されるプロンプトの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。制御部110は、生成されたプロンプトをAIチャットボットサーバ300(生成AIモデル310)へ送信するように通信I/F130を制御する(ステップS310)。
【0072】
制御部110は、契約書の第1観点でのチェックを実行する(ステップS320)。制御部110は、例えば、チェック対象の契約書の類型に対応付けられている複数の第1観点の各々での契約書のチェックを実行する。第1観点での契約書のチェックには、公知の種々の方法を用いることができる。制御部110は、第1観点でのチェック結果を含む画面データをユーザ端末200へ送信するように通信I/F130を制御する(ステップS330)。
【0073】
図9は、図8のステップS330においてユーザ端末200のディスプレイ250に表示される画面の一例を模式的に示す図である。図9を参照して、ディスプレイ250には、画面IM2が表示されている。画面IM2においては、左側に契約書CT1が表示されており、右側に契約書CT1のチェック結果が表示されている。契約書CT1は、チェック対象の契約書である。チェック結果には、複数の評価コメントCM1、及び、件数情報IF1が含まれている。複数の評価コメントCM1の各々は、第1観点でのチェックが行なわれた結果、改善の余地があると判定された第1観点に対応付けられた評価コメントである。評価コメントCM1は、関係する条文に対応付けて表示される。件数情報IF1は、第1観点でのチェックの結果、改善の余地があると判定された第1観点の件数を示す。契約書CT1においては、第1観点でのチェックの結果、改善の余地があると判定された箇所にハイライトHL1が付されている。これにより、ユーザは、契約書CT1のうち改善の余地がある箇所を容易に認識することができる。
【0074】
画面IM2には、さらに、トグルTG1,TG2が表示されている。トグルTG1は第1観点によるチェック結果を表示するか否かを切り替えるために用いられ、トグルTG2は第2観点によるチェック結果を表示するか否かを切り替えるために用いられる。図8のステップS330の段階においては、トグルTG1がオン状態であり、トグルTG2がオフ状態である。すなわち、第1観点によるチェック結果が表示され、第2観点によるチェック結果が表示されないようになっている。
【0075】
画面IM2には、さらにボタンBT1及びアイコンIC1,IC2が表示されている。ボタンBT1は、契約書のチェック指示を受け付けるように構成されている。例えば、ボタンBT1が押下されることによって、図8のフローチャートに示される処理が開始される。また、詳細については後述するが、アイコンIC1は、上述の特定のグループの選択に用いられる。アイコンIC2は、第2観点での契約書のチェックが現在実行中であることを示している。
【0076】
再び図8を参照して、ステップS330において、第1観点でのチェック結果を含む画面データがユーザ端末200へ送信されると、制御部110は、第2観点でのチェック結果が生成AIモデル310から受信されたか否かを判定する(ステップS340)。第2観点でのチェック結果が生成AIモデル310から受信されていないと判定されると(ステップS340においてNO)、制御部110は、第2観点でのチェック結果が生成AIモデル310から受信されるまで待機する。
【0077】
一方、第2観点でのチェック結果が生成AIモデル310から受信されたと判定されると(ステップS340においてYES)、制御部110は、第2観点でのチェック結果を含む画面データをユーザ端末200へ送信するように通信I/F130を制御する(ステップS350)。これにより、ディスプレイ250に表示される画面が更新され、第1観点でのチェック結果、及び、第2観点でのチェック結果の両方がディスプレイ250に表示される。
【0078】
図10は、図8のステップS350においてユーザ端末200のディスプレイ250に表示される画面の一例を模式的に示す図である。図10を参照して、ディスプレイ250には、画面IM3が表示されている。画面IM3においては、画面IM2(図9参照)から表示内容が更新され、トグルTG2がオン状態に切り替わり、アイコンIC2が消えている。
【0079】
また、画面IM3においては、チェック結果に複数の評価コメントCM2、及び、件数情報IF2が追加されている。複数の評価コメントCM2の各々は、生成AIモデル310によって生成されたコメントである。評価コメントCM2は、関係する条文に対応付けて表示される。各評価コメントCM2がどの条文に関係するかは、生成AIモデル310によるチェック結果に含まれている。件数情報IF2は、第2観点でのチェックの結果、改善の余地があると判定された第2観点の件数を示す。契約書CT1においては、第1観点でのチェックの結果改善の余地があると判定された箇所にハイライトHL1が付され、第2観点でのチェックの結果改善の余地があると判定された箇所にハイライトHL2が付されている。ハイライトHL1,HL2は、互いに区別可能であり、例えば、互いに異なる色で表示される。
【0080】
また、画面IM3には、属性情報IF3が表示されている。属性情報IF3は、どのグループに対応付けられている第2観点でのチェックが行なわれたかを示している。これにより、ディスプレイ250に表示されている第2観点でのチェック結果が、どのような属性(例えば、グループ)に関係する観点でチェックされた結果を示すかをユーザに容易に認識させることができる。
【0081】
また、画面IM3においては、第1観点でのチェック結果及び第2観点でのチェック結果が互いに区別可能な態様で同一の画面上に表示されている。例えば、評価コメントCM1,CM2の各々において、いずれの観点でチェックされた結果であるかが明記されている。法律文書チェックシステム10によれば、第1観点でのチェック結果及び第2観点でのチェック結果を一覧性が高い状態でユーザに認識させることができる。
【0082】
画面IM3が表示された状態でトグルTG1,TG2が操作されることによって、画面IM3に表示されるチェック結果が切り替えられる。すなわち、トグルTG1,TG2の両方がオン状態にされれば、画面IM3に第1観点でのチェック結果及び第2観点でのチェック結果の両方が表示される。トグルTG1がオン状態とされ、トグルTG2がオフ状態とされると、画面IM3に第1観点でのチェック結果のみが表示される。トグルTG1がオフ状態とされ、トグルTG2がオン状態とされると、画面IM3に第2観点でのチェック結果のみが表示される。
【0083】
このように、法律文書チェックシステム10においては、表示に関するユーザの選択に基づいて、第1観点でのチェック結果及び第2観点でのチェック結果の少なくとも一方がユーザ端末200のディスプレイ250に表示される。したがって、法律文書チェックシステム10によれば、予め登録されている第1観点でのチェック結果、及び、ユーザによって追加で登録された第2観点でのチェック結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイ250に表示させることができる。その結果、法律文書チェックシステム10によれば、予め想定されていない観点を含む多様な観点での契約書のチェック結果をユーザに認識させることができる。
【0084】
また、法律文書チェックシステム10においては、第2観点でのチェック結果と比較して、第1観点でのチェック結果の表示が先に開始される。したがって、法律文書チェックシステム10によれば、第1観点でのチェック結果の準備に要する時間と比較して第2観点でのチェック結果の準備に要する時間が長いとしても、第1観点でのチェック結果及び第2観点でのチェック結果の表示が同時に開始される場合と比較して、ユーザに何ら結果が提示されない時間を短縮することができる。
【0085】
<3-3.チェックに用いる第2観点の変更動作>
図11は、契約書のチェックに用いる第2観点の変更手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、ユーザ端末200の制御部210によって所定周期で実行される。
【0086】
図11を参照して、ユーザ端末200の制御部210は、属性(例えば、グループ)の変更指示をユーザから受け付けたか否かを判定する(ステップS400)。例えば、ユーザ端末200のディスプレイ250に上述の特定のグループの選択画面が表示され、当該選択画面を介して特定のグループの変更が行なわれたか否かが判定される。
【0087】
図12は、特定のグループの選択画面を含む画面の一例を模式的に示す図である。図12に示されるように、ディスプレイ250には、画面IM4が表示されている。画面IM4においては、ポップアップ画面PU1が表示されている。ポップアップ画面PU1は、例えば、アイコンIC1が押下されるのに応じて表示される。ポップアップ画面PU1には、複数の選択肢が表示されており、各選択肢は属性(例えば、グループ)に対応付けられている。ユーザは、複数の選択肢から一又は複数の選択肢を選択することができる。例えば、ポップアップ画面PU1において選択された選択肢が上述の特定のグループとなる。例えば、デフォルト状態においては、ユーザが関係する全グループが選択されている。
【0088】
再び図11を参照して、属性の変更指示が受信されていないと判定されると(ステップS400においてNO)、制御部210は、属性の変更指示が受信されるまで待機する。一方、属性の変更指示が受信されたと判定されると(ステップS400においてYES)、制制御部210は、変更後の属性に対応付けられた第2観点でのチェック結果を表示するようにディスプレイ250を制御する(ステップS410)。これにより、ディスプレイ250に表示される画面において、第2観点でのチェック結果が更新される。
【0089】
このように、法律文書チェックシステム10においては、例えば、ポップアップ画面PU1において複数の属性が選択された場合に、選択された複数の属性に対応付けられた1又は複数の第2観点で契約書のチェックが行なわれる。したがって、法律文書チェックシステム10によれば、複数の属性が選択されることで、多様な観点で契約書をチェックすることができる。
【0090】
<3-4.第2観点の編集動作>
図13は、第2観点DB125に登録された第2観点の編集手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、法律文書チェックサーバ100の制御部110によって所定周期で実行される。
【0091】
図13を参照して、法律文書チェックサーバ100の制御部110は、第2観点DB125に登録された第2観点の編集指示をユーザ端末200から受信したか否かを判定する(ステップS500)。例えば、ユーザ端末200のディスプレイ250に第2観点の編集指示ボタンが表示され、当該編集指示ボタンが押下されると、第2観点の編集指示がユーザ端末200から法律文書チェックサーバ100へ送信される。
【0092】
再び図10を参照して、例えば、評価コメントCM2に含まれる「第2観点を編集する」というリンクが編集指示ボタンの一例である。例えば、「第2観点を編集する」というリンクが押下されると、このリンクに対応付けられた第2観点の編集指示がユーザ端末200から法律文書チェックサーバ100へ送信される。
【0093】
図14は、第2観点DB125に登録されている第2観点の一覧を示す画面である。図14を参照して、画面IM5においては、各第2観点に編集ボタンが割り当てられている。例えば、この編集ボタンが押下されると、編集ボタンに対応付けられた第2観点の編集指示がユーザ端末200から法律文書チェックサーバ100へ送信される。
【0094】
再び図13を参照して、ステップS500において、編集指示を受信していないと判定されると(ステップS500においてNO)、制御部110は、編集指示を受信するまで待機する。一方、編集指示を受信したと判定されると(ステップS500においてYES)、制御部110は、編集用画面データをユーザ端末200へ送信するように通信I/F130を制御する(ステップS510)。これにより、編集用画面データが示す画面(以下、「編集用画面」とも称する。)がユーザ端末200のディスプレイ250に表示される。編集用画面においては、第2観点の登録時にユーザに対して提示された質問に対する回答が編集可能となっている。
【0095】
その後、制御部110は、第2観点の編集が完了したか否かを判定する(ステップS520)。制御部110は、例えば、編集後の回答をユーザ端末200から受信することによって第2観点の編集が完了したと判定する。第2観点の編集が完了していないと判定されると(ステップS520においてNO)、制御部110は、第2観点の編集が完了するまで待機する。一方、第2観点の編集が完了したと判定されると(ステップS520においてYES)、制御部110は、編集後の回答が反映されるように第2観点DB125を更新する(ステップS530)。第2観点DB125の更新後に、再び第2観点でのチェックが自動的に行なわれてもよいし、ボタンBT1(図10参照)が押下されるのに応じて第2観点でのチェックが行なわれてもよい。
【0096】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う法律文書チェックシステム10においては、表示に関するユーザの選択に基づいて、第1観点によるチェック結果及び第2観点によるチェック結果の少なくとも一方がユーザ端末200のディスプレイ250に表示される。したがって、法律文書チェックシステム10によれば、予め登録されている第1観点でのチェック結果、及び、ユーザによって追加で登録された第2観点でのチェック結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイ250に表示させることができる。その結果、法律文書チェックシステム10によれば、予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書(例えば、契約書)のチェック結果をユーザに認識させることができる。
【0097】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の例について説明する。
【0098】
<5-1>
上記実施の形態においては、第1観点でのチェック結果と、第2観点でのチェック結果とが同一の画面に表示された。しかしながら、第1観点でのチェック結果と、第2観点でのチェック結果とは、必ずしも同一の画面に表示されなくてもよい。
【0099】
図15は、他の実施の形態におけるチェック結果の表示画面の一例を模式的に示す図である。図15に示されるように、ディスプレイ250には、画面IM6が表示されている。画面IM6には、ボタンBT2,BT3が表示されている。この例においては、ボタンBT2が押下されることによって第1観点によるチェック結果がディスプレイ250に表示され、ボタンBT3が押下されることによって第2観点によるチェック結果がディスプレイ250に表示される。この例においては、ディスプレイ250に第1観点のチェック結果が表示されるか第2観点のチェック結果が表示されるかが、表示に関するユーザの選択に基づいて切り替えられる。したがって、この例によれば、第1観点によるチェック結果及び第2観点によるチェック結果のうちユーザが所望する結果をディスプレイ250に適宜表示させることができる。
【0100】
<5-2>
上記実施の形態においては、チェック結果の表示画面に含まれる契約書CT1において、第1観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所にハイライトHL1が付され、第2観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所にハイライトHL2が付された。しかしながら、第1観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所と、第2観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所とを互いに区別可能に表示する方法はこれに限定されない。例えば、一方のチェック結果において改善余地ありと判定された箇所にハイライト以外のアイコンが付されてもよい。
【0101】
図16は、第2観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所にアイコンが付された画面の例を模式的に示す図である。図16に示されるように、ディスプレイ250には、画面IM7が表示されている。画面IM7においては、第1観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所にハイライトHL1が付され、第2観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所にアイコンIC3が付されている。例えばこのような方法で、第1観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所と、第2観点によるチェック結果において改善余地ありと判定された箇所とが互いに区別可能に表示されてもよい。
【0102】
<5-3>
上記実施の形態においては、第2観点の登録時に属性情報の入力が求められた。しかしながら、第2観点の登録時に、必ずしも属性情報の入力が求められなくてもよい。
【0103】
<5-4>
上記実施の形態においては、第2観点でのチェック結果と比較して、第1観点でのチェック結果の表示が先に開始された。しかしながら、必ずしも、第2観点でのチェック結果と比較して、第1観点でのチェック結果の表示が先に開始されなくてもよい。例えば、第1観点でのチェック結果の表示と、第2観点でのチェック結果の表示とが同時に開始されてもよい。
【0104】
<5-5>
上記実施の形態においては、AIチャットボットサーバ300へ送信されるプロンプトPT1に契約書の本体が含まれた。しかしながら、契約書の本体は、必ずしもプロンプトPT1に含まれなくてもよい。契約書の本体は、例えば、プロンプトとは別にAIチャットボットサーバ300へ送信されてもよい。
【0105】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0106】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。例えば、いずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成と、他のいずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成とが組み合わされてもよい。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 法律文書チェックシステム、100 法律文書チェックサーバ、110,210 制御部、112 CPU、114 RAM、116 ROM、120,220 記憶部、121,222 制御プログラム、122 第1観点DB、124 質問画面データ、125 第2観点DB、126 プロンプト雛形データ、130,230 通信I/F、200 ユーザ端末、240 操作部、250 ディスプレイ、300 AIチャットボットサーバ、310 生成AIモデル、BT1-BT3 ボタン、CM1,CM2 評価コメント、CT1 契約書、HL1,HL2 ハイライト、IC1-IC3 アイコン、IF1,IF2 件数情報、IF3 属性情報、IM1-IM7 画面、N1 インターネット、PT1 プロンプト、PU1 ポップアップ画面、TG1,TG2 トグル。

【要約】
【課題】予め想定されていない観点を含む多様な観点での法律文書のチェック結果をユーザに通知可能なプログラム、表示方法及び表示システムを提供する。
【解決手段】プログラムは、法律文書を所定の観点でチェックした結果をディスプレイに表示させる処理をコンピュータに実行させる。所定の観点には、ユーザによる登録に拘わらず予め登録されている第1観点と、ユーザによって追加で登録される第2観点とが含まれる。このプログラムは、法律文書を第1観点でチェックした第1結果、及び、法律文書を第2観点でチェックした第2結果の表示に関する選択を受け付ける処理と、表示に関する選択に基づいて、第1結果及び第2結果の少なくとも一方をディスプレイに表示させる処理とをコンピュータに実行させる。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16