(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】自動化植物モニタリングシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20250529BHJP
【FI】
A01G7/00 603
(21)【出願番号】P 2021577387
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 IL2020050729
(87)【国際公開番号】W WO2021005589
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-12
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519388594
【氏名又は名称】アルッガ エー.アイ.ファーミング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトナー,イド
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0015697(US,A1)
【文献】特開2013-150584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0032258(US,A1)
【文献】特表2014-502851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 31/00
A01H 1/02
G06Q 50/02
G01N 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の植物生育区間の動作を管理するための植物管理システムであって、前記1つまたは複数の植物生育区間は前記管理システムのサブスクライバであり、前記管理システムは、
前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物に対する植物特性を指示するデータを記憶するデータベースを含むストレージデバイスであって、前記植物特性は、植物の空間特性および環境特性、ならびに前記植物生育区間における植物の位置を含む、ストレージデバイスと、
1つまたは複数の感知システムから、前記1つまたは複数の感知システムによる個々の植物への巡視を指示する巡視データの一部である感知データが受信されることに応答して、前記植物生育区間における前記個々の植物に対応する、新たなデータベースエントリ記録を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録を更新すること、および、前記植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に関するデータ要求入力に応答してデータ検索記録を作成することを行うように構成されかつ動作可能であるデータベースマネージャを備えるデータ処理ユニットと、を備え、
前記データベースマネージャは、
空間的下位植物レベルにおいて個々の植物について、大量の植物データの迅速な収集と管理を可能とするように構成され、当該収集と管理には、植物データを保存および編成することと、植物データを検索することとが含まれ、前記空間的下位植物レベルは:所定の植物の特定の枝;所定の植物の所定の枝上の特定の葉;所定の植物の所定の枝上の特定の花および/または果実;所定の植物の特定の花の枝および花房;所定の植物の所定の花上の特定の花および/または果実;のうちの1つ以上の特徴を含み、
前記データベースマネージャは、
前記空間的下位植物レベルの特徴に対する巡視中に感知されたそれぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴を前記巡視データにおいて識別するように構成されかつ動作可能である下位植物特徴抽出モジュールであって、前記空間的下位植物特徴が:枝、花房、花部、葉、花、果実のうちの1つ以上についての幾何学的形状、寸法、健康状態、数、温度、のうちの1つまたは複数を含む、下位植物特徴抽出モジュールと、
識別された前記空間的下位植物特徴に対応する植物構造データを生成するように構成されかつ動作可能である植物構造データ生成モジュールと、を備え、
前記データベースマネージャは、前記データベースにおいて前記植物構造データを記憶するために前記新たなデータベースエントリ記録を作成しまたは前記既存のデータベースエントリ記録を更新し、前記データ要求入力において、前記1つまたは複数の個々の植物のそれぞれを識別し、および、対応する前記データ検索記録を作成するために前記データベースに記憶された前記植物構造データを利用するように構成されかつ動作可能であり、
前記植物構造データは、前記データベースエントリ記録および/または前記データ検索記録のコンテンツが前記空間的下位植物特徴の位置および前記個々の植物の実際の構造に適合するこれらの寸法に従って対応する前記個々の植物の構造の仮想表現を含むように構成され、
前記データベースマネージャは、それぞれの個々の植物のそれぞれの下位植物特徴に関連する記憶された前記植物構造データを分析し、かつ、1つまたは複数の下位植物特徴の所定の条件を識別すると、妥当な前記個々の植物への巡視を適用するために対応する動作データを生成するように構成されかつ動作可能である、植物管理システム。
【請求項2】
前記巡視データは、前記植物生育区間における前記1つまたは複数の感知システムによる前記巡視の実行時間を指示する時間データを含むことで、前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物に関する巡視の履歴の記録が可能になる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記巡視データは、前記植物生育区間内の1以上の個々の植物の巡視の実行中における前記植物生育区間にある前記1つまたは複数の感知システムの場所を示す位置データを含むことで、前記植物生育区間における1以上の前記個々の植物について、前記植物の位置に関する特性の記録および/または検索が可能になる、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記巡視データは、それぞれの個々の植物の前記環境特性を指示する環境データを含み、前記データベースエントリ記録および/またはデータ検索記録は、前記個々の植物の一部分の温度を指示する、ならびに/または前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物の近くの温度および/もしくは湿度を指示する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記巡視データは土壌条件データを含み、前記データベースエントリ記録および/またはデータ検索記録は、前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物と関連付けられた栄養および/または含水率を指示する、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
花の前記健康状態は、前記花の授粉および/または剪定状態を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作データは、1つまたは複数の処置システムによって、前記妥当な個々の植物の前記空間的下位植物特徴に適用される1つまたは複数の処置計画を指示する、請求項1から6にいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処置計画は、前記妥当な個々の植物の前記空間的下位植物特徴に授粉、剪定、および/または消毒を適用することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記データベースマネージャは、処置データが前記1つまたは複数の処置システムから受信されることに応答して、データベースエントリ処置記録を作成するように構成されかつ動作可能であり、前記処置データは、前記1つまたは複数の処置システムによって、前記妥当な個々の植物の空間的下位植物特徴に適用された処置を指示するデータを含むことによって、前記データベースエントリ処置記録を記憶しこれを前記空間的下位植物特徴に割り当てる、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記感知データを提供するように構成されかつ動作可能である1つまたは複数の感知システムを備え、それぞれの感知システムは、前記巡視データが前記空間的下位植物特徴の画像データを含むように少なくとも1つの画像センサを含む1つまたは複数のセンサを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の処置計画を適用するように構成されかつ動作可能である1つまたは複数の処置システムを備える、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
中央ステーションが、前記ストレージデバイスおよび前記データベースマネージャを備えており、前記中央ステーションは、通信ネットワークを介して、前記1つもしくは複数の感知システムおよび/または前記1つもしくは複数の処置システムとのデータ通信のためのコンピュータシステムとして構成される、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つもしくは複数の感知システムおよび/または処置システムは、前記データベースマネージャからの動作データに基づいて、前記植物生育区間内を進んで、前記1つまたは複数の巡視を前記植物生育区間における前記1つまたは複数の個々の植物に適用するように構成される1つまたは複数のロボット車両によって移送される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
1つまたは複数の植物生育区間における植物のデータを管理するための方法であって、
前記植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に対する植物特性を指示する巡視データを受信することであって、前記植物特性は、植物の空間特性および環境特性、ならびに前記植物生育区間における植物の位置を含み、前記巡視データは、前記1つまたは複数の植物生育区間における前記1つまたは複数の個々の植物から得られる感知データを含み、当該感知データが:所定の植物の特定の枝;所定の植物の所定の枝上の特定の葉;所定の植物の所定の枝上の特定の花および/または果実;所定の植物の特定の花の枝および花房;所定の植物の所定の花上の特定の花および/または果実;のうちの1つ以上を含む空間的下位レベルの特徴を含む、巡視データを受信することと、
巡視中に感知されたそれぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴を識別するために前記感知データを分析し、かつ、識別された前記空間的下位植物特徴に対応する植物構造データを生成することであって、前記空間的下位植物特徴が:枝、花房、花部、葉、花、果実のうちの1つ以上についての幾何学的形状、寸法、健康状態、数、温度、のうちの1つまたは複数を含む、植物構造データを生成することと、
前記植物構造データを記憶するために、前記植物生育区間における個々の植物に対応する、新たなデータベースエントリ記録を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録を更新することと、を含み、
前記植物構造データは、前記データベースエントリ記録のコンテンツが前記空間的下位植物特徴の位置および前記個々の植物の実際の構造に適合するこれらの寸法に従って対応する前記個々の植物の構造の仮想表現を含むように構成されており、
さらに、それぞれの個々の植物のそれぞれの下位植物特徴に関連する記憶された前記植物構造データを分析し、かつ、1つまたは複数の下位植物特徴の所定の条件を識別すると、妥当な前記個々の植物への巡視を適用するために対応する動作データを生成すること、を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法が、さらに、データ要求に応答して、前記1つまたは複数の植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に対応し、かつ前記1つまたは複数の個々の植物への1つまたは複数の巡視から得られる巡視データから生成される、記憶された前記植物構造データからデータ検索記録を作成することを含む、方法。
【請求項16】
前記巡視データは、前記巡視の実行時間を指示する時間データを含むことで、前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物に関する巡視の履歴の記録および/または検索が可能になる、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記巡視データは、前記巡視の実行場所を指示する位置データを含むことで、前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物の植物位置の記録および/または検索が可能になる、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記巡視データは、それぞれの個々の植物の環境特性を指示する環境データを含むことで、前記個々の植物の一部分の温度、ならびに/または前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物の近くの温度および/もしくは湿度の記録および/または検索が可能になる、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記巡視データは土壌条件データを含むことによって、前記植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物と関連付けられた栄養および/もしくは含水率の記録ならびに/または検索が可能になる、請求項
14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
それぞれの個々の植物の前記空間的下位植物特徴は、花の健康状態を含む、請求項
14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記花の前記健康状態は、前記花の授粉および/または剪定状態を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記動作データは、前記妥当な個々の植物の前記空間的下位植物特徴に適用される1つまたは複数の処置計画を指示する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記処置計画は、前記妥当な個々の植物の前記空間的下位植物特徴に授粉、剪定、および/または消毒を適用することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記感知データは画像データを含む、請求項14から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業の分野におけるものであり、温室における植物などの植物のモニタリング、およびモニタリング中に収集されたデータの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の産業化された農業では、限られた区域内で、資源、特に労働力を減少させてより多くの作物を生産することがますます必要になっており、害虫および病気と闘うことを目的とした化学薬品の使用をさらに減少させることが必要になっている。これには、作物のライフサイクル全体にわたる作物のかなりのモニタリングおよび手入れが必要とされる。例えば、一部の温室の作物において、こういったモニタリングおよび手入れは毎年11か月続く場合がある。
【0003】
植物モニタリング作業は、例えば、植物の生育、果実の発育および産出、ストレス、害虫、病気の検出、過少または過剰施肥および散水などの非生物的ストレスのモニタリングを含む。モニタリングはまた、授粉および剪定など、人間またはロボットによって行われる作業のモニタリングを含むことができる。
【0004】
現在、作物のほとんどのモニタリングは、手動で、または植物の近くに設置された静電センサを使用することによって、またはモニターされる区域における限定数(少数)のサンプルの植物に隣接して静電センサを設置することによって、行われる。
【0005】
農業部門におけるおよび地理的位置における労働力不足により、植物モニタリングは典型的には、仮にあったとしても、ごくわずかな割合のサンプリングに限定される。例えば、散水、施肥、および収量予測を判断するために温室におけるトマト苗の状況をモニターする時、20,000以上の植物を含んでいる1ヘクタール当たり最大10~20の植物がモニターされる。これらの植物のモニタリングが、このような作業を行うために十分に訓練を受けた専門家が必要とされるため高費用であるだけでなく、データを入力し、このデータを分析し、およびこのデータに関する決定を行うのにも費用が掛かる。
【0006】
米国特許出願公開第20170030877号には、作物における植物のセンサデータを取り込みかつ送信するためのマルチセンサデバイスが記載されている。マルチセンサデバイスは、自動化作物モニタリングシステムにおける使用のための、ハンドヘルドデバイスとして使用可能である、またはモバイルプラットフォームに取り付けられ得る。デバイスにおける制御ユニットは、センサを制御するように動作可能であり、通信インターフェースはセンサからのデータを送信するために制御ユニットに接続される。植物データは、さまざまなセンサおよび人間の専門家によるデータを使用して、トレーニングおよびテストの2つの局面で収集される。
【0007】
米国特許出願公開第20170032258号には、作物の健康状態をモニターしかつ評価するためのシステムおよび方法、ならびに個々の植物の迅速な選別を提供できる性能が記載されている。このシステムおよび方法は、自動化構成要素を有し、かつ主として、作物の健康状態に関する情報を提供するための植物による信号の検出および解釈に頼っている。人間の専門家による知識は自動化作物モニタリングシステムおよび方法に取り込まれかつ統合される。予測モデルも開発され、かつ作物における作物の今後の健康状態を予測するために使用可能である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、例えば、植物の健康状態、予測される産出量、授粉および授粉後の準備などの植物の状態をモニターすることを含む、生育および結実の周期の間植物をモニターし、かつ植物に対して行われる処置を追跡するための新規の技法を提供する。
【0009】
本発明の技法によって、有意義で効率的なやり方で、空間的下位植物(spatial sub-plant)レベルにおける個々の植物に至るまで、植物データを保存しかつ編成すること、および植物データの検索を含んで、大量の植物データの迅速な収集および賢明な管理が可能になる。本発明の植物管理システムおよび方法は、適時に必要とされる介入を適用することによることを含んで、空間的下位植物レベルにおけるそれぞれの個々の植物に関する最新の構造化植物データを提供することで、植物のライフサイクルの全ての段階における最適な植物の条件および健康状態を維持することによって、植物データの収集、ならびに植物データの解釈および検索を容易にする。本発明による構造化植物データの管理によって、位置および時間での十分な追跡、および、必要に応じて、より広い植物生育区域における全ての個々の植物の全ての部分および下位部分を治療する一方、時間、尽力、および資源を節約することで、モニタリングの効率および作物収量を高めることが可能になる。
【0010】
レベル、領域、部分、要素、および区分という用語は、本明細書では、下位植物関連の態様を説明するために区別なく使用される。
【0011】
本発明において説明される下位植物レベルは、以下:所与の植物の特定の枝、所与の枝上の特定の葉、所与の枝上の特定の花および/または果実、特定の花の枝/花房、所与の花の枝/花房/花部上の特定の花および/または果実の任意の組み合わせを指す。
【0012】
それぞれの個々の植物に関する最新の構造化植物データはまた、植物、および/または、植物の空間的下位植物レベル/領域/部分に対して行われる治療(ならびにこれらの状況および成功)に関するデータ、ならびに、それぞれの植物および下位植物領域のすぐ近くの環境条件または土壌条件についてのデータを含んでよい。
【0013】
本発明の植物管理システムおよび方法は、自律的であり、人間の注意または介入を必要としない。このシステムおよび方法は、下位植物レベルにおいてそれぞれの植物をモニターし、かつ構造化植物データを提供するために、下位植物レベルにおいてそれぞれの特定の植物に近づくことができるロボットモニタリングデバイスに基づく。
【0014】
必要に応じた多くの植物の巡視が過不足なく計画可能であり、かつ最適な条件で植物を維持するように動作可能である。植物管理システムは、生育区域における植物およびこの下位部分の、事前に計画された監視路または現場の監視路両方を提供し、例えば、温室への入口近くの害虫または田畑の端の害虫の存在など、例えば、特定の問題を引き起こしやすい特定の区域における植物の部分および下位部分に対する走査を最適化可能である。
【0015】
この目的に向けて、田畑/果樹園/温室の指定された区域において自律的に駆動し、かつ必要な植物または全ての植物に及ぶことができるデータ収集センサが、モバイルプラットフォーム上に設置可能である。センサは、必要とされる全てのデータが収集可能であるようにモバイルプラットフォーム上に設置され、センサの場所によって、これらセンサは、植物の必要とされる部位および要素からデータを取得することができる。他のセンサに隣接する画像センサは、下位植物要素の発育を判断し、かつ他のセンサの読み取り値を特定の植物および特定の下位植物要素に関連付けることができる。
【0016】
それ故に、構造化植物データを含むデータベースは、構築され、かつ植物およびこれらの下位植物要素をセンサ読み取り値および読み取りのタイミングと関連付ける。さらに、授粉、剪定、および殺虫剤による治療などの処置が行われる場合、植物管理システムは、行われる作業、および、作業が行われた下位植物要素の厳密な位置およびタイミングを記録し、かつこれら全てをデータベースに保存することができる。データベースは、植物生育区間/区域における各複数の植物に対応する複数のデータベースエントリ記録を有する。そうは言っても、植物生育区間におけるそれぞれの植物は、植物に関連するデータが初めて収集される時に作成され、かつ植物に関連するさらなるデータが収集される時はいつでも(データを加えかつ先のデータを保持して)更新されるデータベースエントリ記録を有する。
【0017】
よって、本発明の第1の広範な態様によると、1つまたは複数の植物生育区間の動作を管理するための植物管理システムであって、該1つまたは複数の植物生育区間は該管理システムのサブスクライバであり、該管理システムは、
植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物に対する植物特性を指示するデータを記憶するデータベースを含むストレージデバイスであって、植物特性は、植物の空間特性および環境特性、ならびに植物生育区間における植物の位置を含む、ストレージデバイスと、
1つまたは複数の感知システムから、上記の1つまたは複数の感知システムによる個々の植物への巡視を指示する巡視データの一部である感知データが受信されることに応答して、植物生育区間における個々の植物に対応する、新たなデータベースエントリ記録を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録を更新すること、および、植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に関するデータ要求入力に応答してデータ検索記録を作成することを行うように構成されかつ動作可能であるデータベースマネージャを備えるデータ処理ユニットであって、
上記のデータベースマネージャは、巡視中に感知されたそれぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴を巡視データにおいて識別するように構成されかつ動作可能である下位植物特徴抽出モジュール、および識別された空間的下位植物特徴に対応する植物構造データを生成するように構成されかつ動作可能である植物構造データ生成モジュールを備え、
データベースマネージャは、データベースにおいて上記の植物構造データを記憶するために新たなデータベースエントリ記録を作成しまたは既存のデータベースエントリ記録を更新し、データ要求入力において、上記の1つまたは複数の個々の植物のそれぞれを識別し、および、対応するデータ検索記録を作成するためにデータベースに記憶された植物構造データを利用するように構成されかつ動作可能であり、
上記の植物構造データは、データベースエントリ記録および/またはデータ検索記録のコンテンツが空間的下位植物特徴の位置および個々の植物の実際の構造に適合するこれらの寸法に従って対応する個々の植物の構造の仮想表現を含むように構成される、データ処理ユニットと、を備える、植物管理システムが提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、巡視データは、植物生育区間における1つまたは複数の感知システムによる上記の巡視の実行時間を指示する時間データを含むことで、植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物に関する巡視の履歴の記録が可能になる。
【0019】
いくつかの実施形態では、巡視データは、植物生育区間における1つまたは複数の感知システムによる上記の巡視の実行場所を指示する位置データを含むことで、植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物の植物位置の記録および/または検索が可能になる。
【0020】
いくつかの実施形態では、巡視データは、それぞれの個々の植物の上記の環境特性を指示する環境データを含み、上記のデータベースエントリ記録および/またはデータ検索記録は、個々の植物の一部分の温度を指示する、ならびに/または植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物の近くの温度および/もしくは湿度を指示する。
【0021】
いくつかの実施形態では、巡視データは土壌条件データを含み、上記のデータベースエントリ記録および/またはデータ検索記録は、植物生育区間におけるそれぞれの個々の植物と関連付けられた栄養および/または含水率を指示する。
【0022】
いくつかの実施形態では、それぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴は、以下:幾何学的形状、寸法、健康状態、枝の数および/もしくは温度、花房、花部、葉、花、ならびに/または果実のうちの1つまたは複数を含む。花の健康状態は、花の授粉および/または剪定状態を含んでよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、データベースマネージャは、それぞれの個々の植物のそれぞれの下位植物特徴に関連する上記の記憶された植物構造データを分析し、かつ、1つまたは複数の下位植物特徴の所定の条件を識別すると、妥当な個々の植物への巡視を適用するために対応する動作データを生成するようにさらに構成されかつ動作可能である。動作データは、1つまたは複数の治療システムによって、妥当な個々の植物の上記の空間的下位植物特徴に適用される1つまたは複数の治療計画を指示し得る。治療計画は、妥当な個々の植物の上記の空間的下位植物特徴に授粉、剪定、および/または消毒を適用することを含んでよい。データベースマネージャは、治療データが1つまたは複数の治療システムから受信されることに応答して、データベースエントリ治療記録を作成するように構成されかつ動作可能であってよく、この治療データは、上記の1つまたは複数の治療システムによって、妥当な個々の植物の空間的下位植物特徴に適用された治療を指示するデータを含むことによって、上記のデータベースエントリ治療記録を記憶しこれを上記の空間的下位植物特徴に割り当てる。
【0024】
いくつかの実施形態では、システムは、上記の感知データを提供するように構成されかつ動作可能である1つまたは複数の感知システムを備え、それぞれの感知システムは、上記の巡視データが上記の空間的下位植物特徴の画像データを含むように、少なくとも1つの画像センサを含む1つまたは複数のセンサを備える。システムは、上記の1つまたは複数の治療計画を適用するように構成されかつ動作可能である1つまたは複数の治療システムを備えてよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、システムは、上記のストレージデバイスおよび上記のデータベースマネージャを備える中央ステーションを備え、中央ステーションは、通信ネットワークを介して、1つもしくは複数の感知システムおよび/または1つもしくは複数の治療システムとのデータ通信のためのコンピュータシステムとして構成される。1つもしくは複数の感知システムおよび/または治療システムは、上記のデータベースマネージャからの動作データに基づいて、植物生育区間内を進んで、上記の1つまたは複数の巡視を植物生育区間における上記の1つまたは複数の個々の植物に適用するように構成される1つまたは複数のロボット車両によって移送されてよい。
【0026】
本発明の別の広範な態様によると、1つまたは複数の植物生育区間における植物のデータを管理するための方法であって、
植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に対する植物特性を指示する巡視データを受信することであって、植物特性は、植物の空間特性および環境特性、ならびに植物生育区間における植物の位置を含み、巡視データは、1つまたは複数の植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物から得られる感知データを含む、巡視データを受信することと、
巡視中に感知されたそれぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴を識別するために感知データを分析し、かつ、識別された空間的下位植物特徴に対応する植物構造データを生成することと、
上記の植物構造データを記憶するために、植物生育区間における個々の植物に対応する、新たなデータベースエントリ記録を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録を更新することと、を含み、
上記の植物構造データは、データベースエントリ記録のコンテンツが空間的下位植物特徴の位置および個々の植物の実際の構造に適合するこれらの寸法に従って対応する個々の植物の構造の仮想表現を含むように構成される、方法が提供される。
【0027】
本発明の別の広範な態様によると、1つまたは複数の植物生育区間における植物のデータを管理するための方法であって、データ要求に応答して、1つまたは複数の植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に対応し、かつ1つまたは複数の個々の植物への1つまたは複数の巡視から得られる巡視データから生成される、記憶された植物構造データからデータ検索記録を作成することであって、記憶された植物構造データおよび/またはデータ検索記録のコンテンツは、空間的下位植物特徴の位置および1つまたは複数の個々の植物の実際の構造に適合するこれらの寸法による1つまたは複数の個々の植物の仮想表現を含む、データ検索記録を作成することを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書に開示される主題をより良く理解してもらい、かつ該主題が実際にどのように実行され得るのかを例示するために、ここで、添付の図面を参照しながら、非限定的な例のみによる実施形態について説明する。
【0029】
【
図1】
図1は、本発明による、植物モニタリングおよび管理システムの例示の実施形態をブロック図によって示す図である。
【
図2】
図2は、本発明による植物データベースの非限定的な例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明による植物データベースにおける植物レベルおよびこの下位植物レベルのエントリの非限定的な例を示す図である。
【
図4】
図4A-4Cは、本発明による、異なる角度からの植物の復元を可能にするように、感知データを得、かつこの感知データをデータベースに保存する非限定的な例を示す図である。
【
図5】
図5A-5Bは、本発明による、植物への2回の巡視後の特定の植物の2つのデータベースエントリ記録の非限定的な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の原理に従って、1つまたは複数の植物生育区間/区域、例えば、温室の動作を管理するための植物管理システム100の例示の実施形態をブロック図によって示す
図1を参照する。植物管理システム100は、所定の位置に物理的に位置する中央ステーションとして、または、クラウドまたはサービスサーバに位置するサービスとして構成可能である。両方のケースでは、植物管理システム100には、有線接続または無線接続のどちらかのネットワーク接続を介してアクセス可能であり、(全て本明細書では区別なく使用される、植物生育区間/区域である)1つまたは複数の温室は、以下にさらに例示される1つまたは複数の植物感知システムおよび/または治療システム200が、サブスクライブされた温室に位置し、および植物データを収集するまたは植物治療を適用するように、および、それぞれの温室におけるそれぞれの植物に関連する植物データを管理システム100と交換するように構成されかつ動作可能であるような、管理システムのサブスクライバである。理解されるように、植物感知システムおよび/または治療システム200は、必ずしも管理システム100の一部であるわけではないが、いくつかの例示の実施形態では、植物感知システムおよび/または治療システム200のうちの1つまたは複数は、管理システム100の不可欠な部分であり得る。
【0031】
図示されるように、管理システム100は、植物データベース108、および、ストレージデバイス106において植物データベース108に接続されるデータベースマネージャ102を含むデータ処理ユニット101を含むストレージデバイス106を含む。植物データベース108は、温室におけるそれぞれの個々の植物に対する植物特性110を指示するデータを記憶するように構成され、植物特性データ110は、植物の空間および環境特性データ、ならびに温室における植物の位置を含む。植物特性110は、データベースマネージャ102によって生成されるデータベースエントリ記録のデータによって構築される。
【0032】
データベースマネージャ102は、少なくとも2つの主要機能を実行するように構成されかつ動作可能である。第1の機能は、植物105の感知データ112が1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システム200から受信されることに応答して、データベースエントリ記録124を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録を更新することであり、この場合、感知データ112は温室における1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムによる巡視を指示する巡視データ114の一部として含まれる。第2の機能は、植物生育区域/温室における、植物105などの1つまたは複数の個々の植物に関するデータ要求116に応答して、データ検索記録126を作成することである。それ故に、データベースマネージャ102は、基本的にソフトウェアベースのものであり、データを処理しかつ分析するように構成される専用ハードウェア構成要素を含んでもよい。データベースマネージャ102は、植物特徴抽出モジュール120および植物構造データ生成モジュール122を含む。植物特徴抽出モジュール120は、巡視データ114において、対応する巡視の間に感知されたそれぞれの個々の植物105の空間的下位植物特徴を識別するように構成されかつ動作可能である。植物構造データ生成モジュール122は、植物特徴抽出モジュール120によって識別された空間的下位植物特徴に対応する植物構造データを生成するように構成されかつ動作可能である。植物構造データ生成モジュール122によって生成された植物構造データに基づいて、データベースマネージャ102は、データベース108における個々の植物データベースエントリ記録124として植物構造データ生成モジュール122によって生成された、下位植物構造データを含む、個々の植物の構造データを記憶するために、新たなデータベースエントリ記録124を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録124を更新する。データベースマネージャ102はまた、データベース要求116から、1つまたは複数の個々の植物のそれぞれの識別子を抽出し、かつ対応するデータ検索記録126を作成するためにデータベース108における記憶された植物特性データ110を利用するように構成されかつ動作可能である。1つの例では、巡視データは、植物および/もしくは下位植物特徴ならびに/または要素の画像または複数の画像を含み、データベースマネージャ102、具体的には、植物特徴抽出モジュール120は、空間的下位植物特徴を抽出するために画像データを分析する。データベースマネージャ102は、感知データの分析のために機械学習技法を利用してよい。
【0033】
それ故に、植物特性110下で記憶された、下位植物構造データを含む植物構造データは、データベースエントリ記録124のコンテンツが、対応する個々の植物105の実際の構造に適合する空間的下位植物特徴の位置および寸法による植物構造の仮想表現を含む。それぞれの個々の植物105は、データベースエントリ記録として表現される。すなわち、データベースの「エントリ」は「植物」である。
【0034】
上記のように、それぞれの巡視データ114は、個々の植物を巡視した感知システムまたは治療システム200によって個々の植物105上で得られた感知データ112を含む。さらに、巡視データ114は、温室における1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムによる巡視の実行時間を指示する時間データを含むことができることで、温室におけるそれぞれの個々の植物に関する巡視の履歴の記録が可能になる。この時間データはまた、データベースエントリを最新になるように保持することによってデータベースエントリを管理するのに役立ち得る。例えば、これによって、任意の新たに収集されたおよび/もしくは分析された下位植物特徴ならびに/または要素に関連した植物構造データを上書きすることが可能になる。時間データは、巡視を実行する感知および/または治療システムにおいて統合される任意の既知の時計/時間機構によって提供可能である。
【0035】
さらに、巡視データ114は、温室における1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムによる巡視の実行場所を指示する位置データを含むことができることで、温室におけるそれぞれの個々の植物および/もしくは下位植物特徴ならびに/または要素の植物の位置の記録が可能になり、かつ、以下にさらに詳述されるように、植物の実際の構造を反映するやり方で、個々の植物および/もしくは下位植物特徴ならびに/または要素の保存、さらにまた検索が可能になる。位置データは、巡視を実行する感知および/または治療システムに統合される、GPSなどの任意の既知の位置判定デバイスまたはサービスによって提供可能である。
【0036】
さらに、巡視データ114は、それぞれの個々の植物の環境特性を指示する環境データを含むことができ、環境データは、以下:温度、相対湿度、二酸化炭素濃度、および採光条件のうちの1つまたは複数を含む。環境データは下位植物レベルで生成されてよい。また、巡視データ114は、植物が植えられる土壌の土壌条件データを含むことができ、土壌条件データは、個々の植物の栄養および/または含水率を含むことができる。温度、湿度、光、および/または土壌条件を提供するための適したセンサは、巡視を実行する感知および/または治療システムにおいて統合可能である。
【0037】
それ故に、データベースマネージャ102は、時間、位置、環境、および/または土壌データを巡視データ114から認識または抽出し、かつ、以下の特定の巡視中の、個々の植物またはこの下位植物部分の温度、個々の植物の近くの温度および/または湿度および/または光、個々の植物と関連付けられた栄養および/または含水率のうちの少なくとも1つまたは複数を指示する1つまたは複数のデータベースエントリ記録124を生成するように構成されかつ動作可能である。時間、位置、温度、湿度、光、栄養、および含水率データは、妥当な巡視の対象であった特定の植物および/または下位植物部分に対して、記録、登録、および/または割り当て可能である。
【0038】
データ処理ユニット101は、一般に、自己作動式であり、かつ、この入力:感知データ112およびデータ要求116を含む巡視データ114、および、この出力:データベースエントリ記録124およびデータ検索記録126を、自律的にかつ人間の介入なく管理するような自動および自律システムである。いくつかの例示の実施形態では、データ要求入力116は、個々の植物または下位植物部分のテキストまたは図形表現のどちらかで、ひいては、個々の植物または個々の植物の下位植物部分のデータを、監視する人間が観察すること、および/または個々の植物または個々の植物の下位植物部分にモニタリングおよび/または治療の巡視を適用することを可能にするように温室を監視する人間によって入力可能である。いくつかの例示の実施形態では、管理システムは、ユーザによって入力されたデータ要求の結果として、下位植物特徴がそれらの値とともに示された、植物の部分の植物の3次元図形表現を作成するように構成されかつ動作可能である。例えば、ユーザは、テキスト様式または図形様式のどちらかで、農業地帯における特定の植物における1つまたは複数の花の枝上の1つまたは複数の花の授粉状況を表示するために、データ要求入力を通して管理システムに問合せ可能であり、管理システムは、データベース108に保存されるような植物特性110に基づいてデータ検索記録を生成し、かつ要求された情報をユーザに表示する。
【0039】
いくつかの例示の実施形態では、データ要求116は、データベース108に保存された植物特性110に関して組み込まれたアルゴリズムに従って行われる分析に基づいて、または植物の周期的なモニタリングおよび/または治療に関連する組み込まれたアルゴリズムに基づいて、データベースマネージャモジュール102によって生成される。それ故に、データベースマネージャモジュール102は、それぞれの個々の植物のそれぞれの下位植物部分/特徴に関連する記憶された植物構造データを分析し、かつ、1つまたは複数の植物および/または下位植物特徴の所定の条件を識別すると、妥当な個々の植物への巡視を適用するために対応する動作データを生成するように構成されかつ動作可能である。動作データは、1つまたは複数の治療システムによって、妥当な個々の植物の空間的下位植物特徴に適用される1つまたは複数の治療計画を指示する。いくつかの例示の実施形態では、治療計画は、妥当な個々の植物の植物および/または空間的下位植物特徴に授粉および/または剪定および/または消毒を適用することを含む。
【0040】
データベース108に保存される植物特性110はまた、集合的な下位植物特徴に基づくマクロ式に、特定の個々の植物に言及することなく、分析されてもよい。例えば、植物生育区間における花の数およびこれらの状況の分析がある。
【0041】
上述されるように、データベースマネージャ102は、受信されるそれぞれの巡視データを分析するように構成されかつ動作可能である。植物特徴抽出モジュール120は、対応する巡視中に感知されたそれぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴を識別する。植物構造データ生成モジュール122は、下位植物構造データを含む、個々の植物構造データの新たなデータベースエントリ記録124を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録124を更新するために使用される植物構造データを生成するように構成されかつ動作可能である。識別される空間的下位植物特徴は、とりわけ、以下:幾何学的形状、寸法、健康状態、枝の数および/もしくは温度、花房、花部、葉、花、ならびに/また果実のうちの1つまたは複数を含む。花の健康状態は、花の授粉および/または剪定状態を指すことができる。それぞれの巡視後のデータベースエントリ記録124を更新することによって、下位植物特徴レベルにおける植物の状況および進化の履歴は、所与の植物に対するそれぞれのデータベースエントリ記録内に生成される。
【0042】
上述されるように、管理システム100は、1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムと通信して、受信感知データの分析に基づいて、または人間の監視者または自動もしくはコンピュータ要求によって提供される要求データに基づいて、例えば、データ検索記録の形式で、これらシステムから感知データを受信しかつこれらシステムに動作データを送ることができる。この目的に向けて、管理システム100によって提供されるデータ検索記録は、個々の植物の全体としてまたは下位植物レベルでの点検および/または治療の適用のためにこれらのシステムを動作させるために感知システムおよび/または治療システムに対する動作データの形式におけるものとすることができる。感知システムおよび/または治療システムは、例えば、本発明の譲受人に付与される、国際公開第18203337号パンフレットに記載される感知システムおよび/または治療システムとすることができる。いくつかの例示の実施形態では、さらに後述されるように、管理システム100は、植物、具体的には下位植物要素に対する治療を感知するおよび/または適用するために適応される1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムを含む。
【0043】
本発明は、1つまたは複数の植物生育区間における植物データを管理するための方法も提供する。方法は、本明細書に説明されるシステムによって、または後述されるステップを行うことが可能な他のシステムによって実行可能である。1つの方法では、ステップは、植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に対する植物特性を指示する巡視データを受信することを含み、植物特性は、植物の空間特性および環境特性、ならびに植物生育区間における植物の位置を含む。巡視データは、1つまたは複数の植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物から得られる感知データ、巡視中に感知されるそれぞれの個々の植物の空間的下位植物特徴を識別するために感知データを分析し、かつ識別された空間的下位植物特徴に対応する植物構造データを生成することと、植物構造データを記憶するために、植物生育区間における個々の植物に対応する、新たなデータベースエントリ記録を作成するまたは既存のデータベースエントリ記録を更新することとを含む。
【0044】
第2の方法では、ステップは、1つまたは複数の植物生育区間における1つまたは複数の個々の植物に対応し、かつ1つまたは複数の個々の植物への1つまたは複数の巡視から得られる巡視データから生成される、記憶された植物構造データからデータ検索記録を作成することを含む。
【0045】
上述されるように、記憶された植物構造データ、および/またはデータエントリ記録、および/またはデータ検索記録のコンテンツは、空間的下位植物特徴の位置および1つまたは複数の個々の植物の実際の構造に適合するこれらの寸法による1つまたは複数の個々の植物の仮想表現を含む。このように、データベース108など、植物をこのエントリとして有する植物データベースが作成され、この植物データベースは、植物の空間特徴および/または下位特徴の関連で植物の実際の構造を仮想的に反映して、データ記録、検索、および分析を効果的で効率的なやり方で可能にする。
【0046】
巡視および受信された感知データに基づいて管理システム100によってビルトされかつこれに含まれるデータベース108の一般的な構造の非限定的な例を示す
図2を参照する。示されるように、例示されたデータベースの一般的な構造は、中央ステーションまたはサーバに保存されるのに適しており、そのように、1つまたは複数の国における1または複数の農家(個人/企業など)に属する1つまたは複数の植物生育用地/温室から取得されかつデータベースに転送される植物データを管理するために使用可能である。それぞれの用地では、収集された植物データは、用地におけるそれぞれの植物の植物特性に言及する。したがって、それぞれの用地は、例えば、それぞれの列が識別される(番号付けされる、または例えば、列の座標または始まりを使用する)複数の植物列によって提示可能であり、列の特定の座標は、さらには番号(例えば、列11における南から5番目)または物理的な座標のどちらかによって指示されることも可能である。また、それぞれの列について、植物/作物のタイプおよび品種、さらにまた、列における物理的な座標または植物の順序(番号)としてのそれぞれの植物の位置、個々の植物の植え付け日など、列における植物の一般的な特性は、データベースに含まれ得る。列の経路における障害物はまた、適したセンサによって識別可能であり、かつ妥当な列に対するデータベースにおいて指示可能である。列、例えば障害物に関する情報が、例えば温室内で走行しかつ1つまたは複数の感知システムを移送する移動体から受信される入力に基づいて動的に更新されてよいことは留意されるべきである。
【0047】
データベースは、温室での列における植物ごとに取得されるデータを含む。個々の植物データは、上記のように、感知システムおよび/または治療システムの特定の巡視に関連している可能性があり、この場合、それぞれの個々の植物に対するそれぞれの巡視は、それぞれの巡視の日付け、時間、および継続時間によって識別可能である。それぞれの特定の巡視において、個々の植物の感知データは、上述されるように、データベースに記録されかつ保存される。データベースは、列/温室におけるそれぞれの個々の植物の植物特性を指示するデータを記憶する。感知データは、データベースマネージャによって分析されかつ処理され、下位植物特徴は判断され、植物構造データを反映するそれぞれの植物の特性はデータベースエントリ記録として表現される。植物構造データは、全体的な植物特性、下位植物空間特性、植物(および下位植物)環境特性、および温室における植物の位置などの植物特性を含むことができる。植物治療システムが使用され、かつ管理システムによる植物特性に関する分析が、植物治療システムを利用することが適切であることを指示した場合、データベースにおける個々の植物データはまた、個々の植物への植物治療システムの巡視によって更新可能である。治療の巡視のデータは、何の治療/処置が行われたか、処置/治療の性質、時間、および継続時間を含むことができる。データおよび処置データは、このようなデータ収集/治療を収集する/行う感知/治療システムの識別/通し番号を含むことができる。
【0048】
ここで、下位植物特徴/要素を含む、データベースエントリ記録としてデータベースに保存されるような個々の植物の植物構造および特性データの非限定的な例を示す
図3を参照する。図に示されるように、植物構造は、データベースエントリ記録のコンテンツが、空間的下位植物特徴の位置および植物の実際の構造に適合するこれらの寸法に従った植物構造の仮想表現を含むように構成される。植物全体としてのそれぞれの個々の植物に関して収集可能であるデータ、および下位植物特徴/特性に関するデータについての非限定的な詳細は、図に示されている。植物、例えば、植物Xごとに記録された一般的な植物データ/特性は、植物品種、植え付け日、土壌のタイプ、栽培方法(例えば、温室の遮蔽物、果樹園における木の保護など)、散水方法および施肥方法などの他の農業パラメータであり得る。これらの一般的な植物データ/特性の少なくともいくつかは、人間のユーザ/監視者によって提供可能である。植物または下位植物要素の近所の環境条件はまた、とりわけ、温室の作物において重要である、温度、相対湿度、採光条件、および空気中の二酸化炭素含有量を含んで、記録可能である。植物のすぐ近くの土壌条件は、感知システムの特定のセンサによって記録可能である。上記のように、植物データは、巡視のタイプおよび日付、感知/治療システムの巡視、ならびに巡視で取られる処置およびこの結果を含む巡視エントリを含むことができる。特定の枝、花、または茎/幹などの下位植物特徴/要素に対する、または植物全体に対する処置が行われ得る。このような処置の結果は、ひいては、該当する場合、植物ごとにまたは下位植物特徴/要素ごとに記録可能である。理解されるように、データベース構造は植物構造を模倣し、植物の複製は、植物およびこの下位植物特徴/要素の一部分ごとの全ての関連のあるデータおよび処置を記録するためにデータベースに構築される。植物ごとのデータベースエントリ記録およびデータ検索記録は、それぞれの植物がこの物理的構造の特有の仮想表現を有することになるため、特有である。データベースは全ての下位植物特徴を含み、それぞれの下位植物特徴はこの下位要素を有することができる。例えば、図に示されるように、主茎は3つの枝を有し、それぞれの枝は、異なるタイプのものであり、かつ、例えば、最初に出現しかつシステムによって記録された時、主茎におけるこの場所、特定の時点において有する下位要素の数、および治療手順がこの下位植物部位に適用されたか否かを含む異なる特性を有することができる。例示された主茎は3つの枝を有し、2つの枝は葉の枝であり、3番目の枝は花の枝である。特定の時点における花の枝は、特定の巡視で記録されるように、記録されるこれらの状況による2つの花を有する。
【0049】
1つの例では、特定の植物に対するデータベースエントリは、以下:
レベルI:主幹/茎で、それぞれの主幹/茎に対するタグの例:(連続した巡視を通して得られる)寸法(長さ、厚さ)、着色、生育率などの物理的特性、
レベルII:主枝で、それぞれの主枝に対するタグの例:レベルIの物体に沿った距離、生成日、データ更新日、寸法(長さ、厚さ)などの物理的特性、
レベルIII:派生した枝で、それぞれの派生した枝に対するタグの例:レベルIIの物体に沿った場所、生成日、データ更新日、寸法(長さ、厚さ)などの物理的特性、
レベルIV:花の枝/花房/花部で、それぞれの花の枝に対するタグの例:レベルIの物体に沿った距離またはレベルIIの物体に対する場所、生成日、データ更新日、寸法(長さ、厚さ)などの物理的特性、(個々の花およびこれらの枝への連結の収集されたデータから推定される)花の数、
レベルV(a):個々の花で、それぞれの花に対するタグの例:レベルIVの物体に対する場所、生成日、データ更新日、直径などの物理的特性、状況(例えば、芽、開花、実止まり、果実サイズ、形状、色、果実の成熟段階)、
レベルV(b):個々の葉で、それぞれの葉に対するタグの例:レベルI、II、III、またはV(a)の物体に対する場所、生成日、データ更新日、区域などの物理的特性、ストレス(例えば、害虫および/または病気の存在)、
のようなレベルを有するとして説明可能である。
【0050】
レベルへの分類が厳密な構造ではなく、すなわち、必ずしもこの順序であるわけではなく、さまざまな形式を取ることができ、例えば、レベルV(b)の葉はレベルIVの花の枝に、またはレベルIIIの派生した枝に、または、ことによると、レベルIIの主枝にさえも接続可能であることは留意されたい。
【0051】
上記のように、特定の巡視による植物データは、例えば、環境条件および土壌条件を含んで、データベース記録において更新可能である。さらに、異なる下位植物要素の近くで異なる可能性がある、温度、相対湿度、二酸化炭素濃度、および採光を含む下位植物環境特性を登録することが可能である。例えば、より下でより内側の植物の部位は採光が少ない可能性があり、より高い植物の部位は全く異なる温度および採光条件を有する可能性がある。異なる上記のパラメータは、以下にさらに例示されるように、感知システムの異なる高さに設置される、または移動可能であり、かつ異なる下位植物部位に達することができるロボットアーム上に設置されるセンサを使用して測定可能である。
【0052】
下位植物特徴は進化する可能性があり、それぞれの下位植物特徴に関連するデータベースエントリ記録は更新され得、例えば、モニターされる花は、芽から始まって成熟した花になるまで段階的に進化することができ、その後、花は、(専用授粉システムによって行われるまたは自然になされるかどうかにかかわらず)授粉され得、さらにまた、花が果実になると、管理システムは成熟および収穫まで果実発育をモニターする。
【0053】
よって、データベースは、例えば、果実が収穫される、または花および/または枝が剪定される時に、植物の全ての部位で、これらが(植物に特徴を加えるように)出現するまたはこれらが消滅することを含んでいる。したがって、データベースエントリは、データベースにおいて加えられ得るまたは現在の植物状況から除去され得る。さらに、エントリの履歴は将来の参照および分析のために保持可能であることで、現在または過去において、特定の時点における植物構造を反映するデータ検索記録を生成することができるようにする。
【0054】
上述されるように、管理システム100は、個々の植物または下位植物特徴/要素を巡視し、かつ管理システムからの動作データに基づいてその巡視に対する感知データを提供するように構成されかつ動作可能である1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムと通信してまたはこれを含んでよい。感知システムおよび/または治療システムは、妥当な植物または下位植物部位/要素への巡視を適用するために植物生育区域/温室を進む移動体として構成可能である。そのように、感知システムおよび/または治療システムは、温室内を進むように構成される1つまたは複数のロボット車両によって移送可能である。以降、このような感知システムおよび/または治療システムのさまざまな非限定的な例について説明する。
【0055】
感知システムは、開花、授粉、および結実の段階、害虫および病気などのストレスを含む全生育段階の間の植物をモニターするように構成されかつ動作可能であり、植物生育段階のうちの1つまたは複数に関連する植物の所定の条件が識別されると、管理システムは対応する治療を適用するために植物治療システムのための動作データを生成することができる。上述されるように、治療は、データベースの分析によってまたはユーザ入力によって判断される命令/計画に基づいて適用されてよい。いくつかの実施形態では、以下にさらに詳述されるように、管理システム100は、感知システムの適したセンサによって植物の健康状態をモニターすることができ、植物が特定の問題(病気/条件/害虫など)に見舞われていることを識別すると、管理システムは、適用されると問題に対処することができる、少なくとも1つの治療システムを動作させて、適した薬品/薬物/殺虫剤/益虫/採光/温風、または任意の他の治療を加えることなどによって、植物もしくはこの一部分、またはこの周辺に対応する治療を適用する。
【0056】
いくつかの実施形態では、さらなる制御システムが、感知システムおよび/または治療システムならびに管理システム100と通信するように利用可能であることで、制御システムが、例えば、検知データの分析の少なくとも一部を行う、または感知システムのナビゲーションおよび/またはデータ収集を制御するように構成可能であることは留意されたい。いくつかの実施形態では、制御システムおよび管理システムは、本明細書では、感知データを受信しかつ分析することに関して、および1つまたは複数の感知システムおよび/または治療システムへの動作データの生成に関して区別なく使用される。いくつかの実施形態では、感知システムおよび/または治療システムのそれぞれまたは少なくともいくつかは、管理システム100と通信するこれら自体の制御システムを有する。
【0057】
感知システムは、1つまたは複数のセンサによって植物の状態をモニターし、対応する感知データを生成し、感知データを管理システム100に、例えば、データベースマネージャに、またはこれらの間に接続される制御システムに送る。さらに、フィードバックシステムが、管理システム100、制御システム、または治療システムに含まれ得、該フィードバックシステムは、例えば、画像センサによって、治療プロセス中の植物状態に関するフィードバックデータの取得を可能にする。管理/制御システムは、感知データおよび/またはフィードバックデータを受信し、かつ植物の少なくとも一部分の状態を判断するために感知信号/フィードバック信号を処理する。治療が行われるべきであると判断される場合、制御システムは、動作データを生成し、かつこれを送って対応する治療を植物の少なくとも一部分に適用することによって、少なくとも1つの植物治療システムを動作させる。
【0058】
制御システムは、別個の要素として構成可能である、または他のやり方においても構成可能である。例えば、制御システムは、感知システムまたは治療システムまたは管理システムのいずれかの不可欠な部分であり得る、またはこれらの間で分散され得る。さらに、制御システムまたはこの一部が、有線または無線ネットワークかどうかにかかわらず、ネットワークを介して他の要素と通信する外部サーバ上で実行可能であることは留意されたい。制御システムはまた、オプションとして、植物生育区域のモニタリングを管理するために必要とされる分析の一部または全てを行うリモート処理および分析システムに接続可能である。感知システムおよび/または治療システムの一部を形成する時、制御システムは、ネットワークを介した管理システムとの一定の通信の必要なく、処理および分析をリアルタイムで行うことを可能にするために、データベース108のスナップショットを保持してよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、必要とされる治療にまたは一般に利用可能な治療システムがない時、制御システムは、栽培者/農家/ユーザに治療を提案することができる。治療が適した治療システムまたは人間によって行われると、制御システムは、ユーザに治療データ(治療がなされた時、何の治療が誰によってどの植物または下位植物要素に対して行われたか、および、このような治療の結果)を入力させることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、治療システムは、植物の少なくとも1つの部分における振動パターン/プロファイルを制御可能に誘導することによって植物の少なくとも1つの部分に治療を適用するように構成されかつ動作可能である。振動パターンは、例えば、制御システムを介して、振動パターンのプロファイルのパラメータを制御することによって適用される所望の種類の治療に画定される。治療システムは、植物の少なくとも1つの部分における1つまたは複数の領域に振動パターンを適用することによって、最小エネルギーおよび/または最短時間で必要とされる治療を実現するように構成可能である。植物の少なくとも1つの部分の1つまたは複数の領域において誘導される振動パターン/プロファイルは、接触式または非接触式に適用可能である。
【0061】
治療システムは、1つまたは複数の治療経路を含むことができ、少なくとも1つの治療デバイスはこれら治療経路のうちの1つまたは複数と関連付けられている。1つまたは複数の治療経路は、植物治療デバイスが植物に治療を適用するために使用する/必要とする経路を含む。治療経路は、植物治療装置またはシステムの内部を形成可能である、または場合によって、該システムに外付けされ得る。治療経路は、1つまたは複数の植物治療デバイスに対する入口部、中間部、または出口部とすることができる。いくつかの実施形態では、複数の植物治療デバイスが単一の共通治療経路と関連付け可能であることは留意されるべきである。いくつかの実施形態では、単一の植物治療デバイスは複数の治療経路と関連付け可能である。例えば、治療経路は、植物治療デバイスが治療を適用するために利用する気相、液相、またはエーロゾル相のいずれかにおいて流体の流れを提供するように構成されかつ動作可能である流体流路を含むことができる。1つの特定の例では、流体流路は、植物の少なくとも一部分の1つまたは複数の領域の方に、気流を発生させるまたは空気を吹き込むために植物治療デバイスによって利用される。治療経路は、不必要な花の剪定を提供し、植物の一部分に殺虫剤または任意の他の病気治療を適用し、または、治療される植物の一部分の近くの環境条件を変更するためにある特定の相対湿度を有する空気を提供する、もしくは植物の一部分に向けた施肥を提供することができる。
【0062】
感知システムでは、検査中の植物の一部分の特性および/または状態を指示する信号を感知可能である1つまたは複数のセンサが含まれ得る。該センサは、植物の少なくとも一部分の画像データを指示する感知信号を提供するように構成されかつ動作可能である少なくとも1つの光学センサを含むことができる。光学センサは、検査中の植物の一部分の方を直接指し示すカメラであり得る、または(例えば、センサ自体が植物の一部分との直接的な見通し線がない間に光ファイバーを利用することによって)植物の一部分の方を指し示すアパーチャを有し得るまたはこれと関連付け可能である、または植物の一部分などを含む視界を有することができる。画像データは、識別によって適した治療システムによる対応する治療がもたらされる下位植物部分のさまざまな状態を指示することができる。例えば、画像データは、植物の病気、1つまたは複数の花の授粉の準備、既に授粉させた花の存在、治療デバイスと植物の少なくとも1つの部分との間の距離、花における治療中に生じる振動パターンなどについて教示することができる。
【0063】
いくつかの種類の感知システムおよび/または治療システムは、感知データを提供するためにまたは必要とされる治療を適用するために使用可能である。
【0064】
データベースエントリ記録を構造化することを可能にするために感知データを提供するための感知デバイスの非限定的な例は、以下を含む。
- 本発明の譲受人に付与される国際公開第18203337号パンフレットおよびPCT出願第PCT/IL2018/051201号に記載される感知デバイス/システム。
- 下位植物レベルにおける植物の画像を提供する光学センサ。該光学センサは、植物および下位植物特徴/要素/下位要素の3次元復元を可能にするためにさまざまな角度からの植物画像を提供するように構成可能である。これは、例えば、植物近辺のそれぞれの必要とされる位置に光学センサをもたらすことができるような1つまたは複数の高さで少なくとも1つの光学センサが取り付けられる制御可能なアーム/棒を使用することによって実現可能である。光学センサは、さらに後述されるように、植物構造、寸法、および条件を指示する画像を提供可能である。
- 超音波センサなどの距離センサは、複数の下位植物特徴/要素の相対的な寸法を指示するデータを提供するために使用可能である。距離センサは、深度センサ、例えば、物体の距離を、2つのカメラの間のこれらの外観の相違によって識別できる一対の固定された空間的に分離したカメラとすることができる。深度センサはレーザレーダ(LIDAR)に基づくことができる。
- 植物または下位植物特徴/要素の位置を指示する位置データを提供する位置センサ。位置は、GPS、またはグローバルビーコンまたはローカルビーコンに基づく他の空間センサに基づくことができる、またはグループ/列内の植物の位置を検出することによって、例えば、列の始まりから植物を数えることによって、個々の植物の検出が行われ得る間に、植物ごとの記号/番号/バーコードまたは植物の列またはグループごとの記号など、特別に設置された位置の指標を検出する光学センサによるものとすることができる。下位植物特徴は、上述される光学センサおよび/または深度センサによって地面からのこの高さまたは別の植物特徴からの距離を検出することによって、位置が特定され得る。
- 植物または下位植物特徴/要素の近くの温度、採光、二酸化炭素濃度、および/もしくは湿度、または特定の下位植物特徴/要素の温度を指示するデータを提供可能である環境センサ。特定の下位植物要素の温度は、例えば、IR検出器の使用によって検出可能である。
【0065】
管理システムからの動作データに基づいて治療を適用するための治療デバイスの非限定的な例は、
- 本発明の譲受人に付与される国際公開第18203337号パンフレットおよび国際公開第2020/095290号パンフレットに記載される治療デバイス/システムと、
- 振動によって花を授粉させるまたは剪定するためのデバイスと、
- 熱またはレーザによって花または枝を剪定するためのデバイスと、
- 花粉または殺虫剤を噴霧するためのデバイスと、
- 植物ホルモンを噴霧するためのデバイスと、
- 益虫を散在させるためのデバイスと、
を含む。
【0066】
データベース108の全体的なまたは部分的なスナップショット/コピーは、システムの特定の処置に関係がある処理および分析を可能にするために自律感知および/または処理システムにダウンロードされてよい。これは、データベースへの接続がアクセス不可能である際にシステムを動作させることを可能にすること、またエネルギーが多くなりかつ時間効率が良くなり得るデータの局所分析を可能にすることのどちらかを行うために行われる。
【0067】
感知システム内に位置するデータベースマネージャまたはローカル制御システムにおけるアリゴリズムを利用して、データベースにおける植物の感知データおよび復元を得る非限定的な例は、
図4A~
図4Cに挙げられている。
図4Aにおいて、下位植物主茎特徴902および枝904を有する植物900の一例が示されている。枝904上に、4つの下位要素:2つの葉906および908、ならびに2つの花912および914がある。この植物は、
図4Aに見られるように、日付Y1にユニットX1によって巡視され、かつ説明されるやり方で記録された。日付Y2に同じユニットX1または別のユニットX2によるさらなる後の巡視において、植物は変化していた(
図4Bを参照)。葉908はもはや存在していないため、そのデータエントリは「除去」とマークされ、花914には授粉が行われ、着果および果実918が可視であるため、花のエントリ914は除去され、かつ果実のエントリ918と置き換えられ得る、または、花のエントリ914はこれが果実のエントリ918に変化したことを示すように更新され得る。さらに、枝904は長くなったため、この長さのエントリは更新され、かつ、さらなる花のエントリ916が下位要素として枝904に追加される。
【0068】
任意の植物または木の3次元構造により、下位植物特徴の識別およびモニタリングは些細なことではない。画像分析では、例えば、植物のさまざまな部位を検出しかつこれらの間のつながり、例えば、どの花がどの枝に属するのかを理解するために画像分析アリゴリズムをトレーニングすることによって、植物のさまざまな部位を検出することができるが、いくつかの要素は視界から遮られる可能性がある。これらの場合、画像化、LIDAR、および/または深度画像化(視界の物体の深度を検出する2つのオフセットカメラおよびアルゴリズム)は十分ではない場合がある。超音波反射分析などの追加の感知要素は使用可能である。超音波は、植物の外部を部分的に透過し内部に達することができ、これらの部位からの反射はまた、分析可能であり、植物の完全な3次元構造は回復され得る。
【0069】
植物を画像化する時、下位植物特徴全ての復元の主な問題点は、センサが類別可能ではないような、画像センサに対する角度にある障害物および要素である。この目的に向けて、感知システムは、異なる高さおよび場所で複数の画像センサを利用してよく、システムは、少なくとも植物の列に沿って移動するように可動であるため、さまざまな角度から植物を見ることができる。これによって、感知システムは、下位植物特徴をさまざまな角度で見ること、およびこれらを見つけることが可能になる。植物の近くを移動する時、感知システムは、特定のシステムの場所より前の可視ではない特徴を発見するまで、植物を絶えず画像化することができる。新たな特徴が発見される、または既存の登録済みの特徴が最初に新たな巡視で見られると、特徴は画像化されかつ更新され得る。同移動はまた、下位植物特徴を見て特徴付けるための最も良い角度を選定可能にする。例えば、葉、花、下位の枝などのいくつかの下位要素を有する水平な枝は、正面から見られる時、評価することが困難である。枝がこの下位要素によって検出される場合、システムの移動、特にこのサイズ/長さ、この下位要素の空間的な分離に沿って追跡可能であり、これらのパラメータが特定の既定の閾値、または(システムの移動/場所に対して、または相対的に互いの間の、すなわち、2つのこのようなパラメータの割合の)相対的な閾値に達する際、これが測定するための正確な位置であり、特徴の特性がデータベースにおいて更新可能であることを意味する。
【0070】
図4Bおよび
図4Cの記載される例では、同じ植物900は2つの異なる角度で描かれており、ここで、枝904は
図9Bの側部および
図4Cの正面から見られる。見られる時、
図4Cに見られるように、枝の長さを測定することは困難であり、いくつかの下位要素、例えば、果実918が遮られている。システムが植物900の隣の列に沿って移動している時、該下位要素をさまざまな角度から見ることになる。枝904およびこの下位要素を検出する時、垂直軸(920)および水平軸(922)両方における枝の長さは測定可能であり、枝を十分に評価するための場所は、軸のうちの少なくとも1つ、この場合水平軸(922)において最大である。別々に、または下位要素の間の距離、例えば、花912および916の間の水平距離、または枝の全ての下位要素の間の平均水平距離の最大値と組み合わせて、同じことが行われ得る。異なる角度または異なる高さにおける複数のカメラの場合、枝が、同じ高さに設置された2つの異なるカメラによって見られるが2つの異なる角度で植物を形成する時、説明されるようにシステムの一箇所で水平距離を比較することによって、同じことが行われ得る。枝を見る2つのカメラが垂直に分離される場合、恐らく、垂直距離/長さは、枝パラメータを測定しかつデータベースを更新する前に最適化される、より重大なパラメータである。
【0071】
さらに、別の問題点は、移動している間、植物およびこの下位要素からの感知システムとこのカメラとの間の距離は、絶えず変化している。したがって、枝に対する角度は最大水平長を有する側面視に近づいている場合があるが、総距離は増大し得るため、測定される全てのパラメータは低減する。この場合、水平長対垂直長などの2つのパラメータの割合は、最大化されるべきである。
【0072】
植物構造の再現は以下のようになり得る。(上に説明されるように)センサを使用して全ての植物下位特徴を検出する以外に、植物を再現するために、それぞれの要素とこの下位要素との間を連結することが必要である。例えば、(画像センサ、LIDAR、またはこのような要素を検出するためにトレーニングされたその他によって)枝およびこの下位の枝が検出されると、感知システムが、画像化/検出される特定の植物に隣接する植物列に沿って移動している間、画像のセットはさまざまな角度でキャプチャされ、システムが移動しており異なるカメラ/センサが異なる場所/角度にある間、下位要素とこの親要素との物理的な近さは、全ての画像において観測されるはずであり、または少なくとも、画像化のいずれの角度でも矛盾しないはずである。例えば、枝904と主茎902との間の物理的接続に関して参照されたい。
図4Bおよび
図4Cに見られるような両方の角度で、枝904は茎902と接触している。しかしながら、葉906は、
図4Cにおいて主茎と接触しているように見えるが、
図4Bではそのようには見えない。したがって、枝904が茎902の下位要素であり、葉906が枝904の下位要素であることが結論付けられる。
【0073】
構造は複雑であるため、植物の復元を徹底するために、スケジュールされた日常の巡視は、植物およびこの下位植物特徴の小さな変化を検出しかつこれらを追跡するために必要である場合がある。
【0074】
場合によっては、特に、大きな植物/木の場合の特徴の密集状態および視界の妨げにより、全ての下位植物特徴を含む完全な3次元構造を構築することは困難である場合がある。この場合、別のオプションは、単位体積または単位面積当たりの特徴の密集状態をマッピングすることである。例えば、感知画像デバイスから花およびこれらの距離を検出することによって、それぞれの花が特定の枝または下位の枝に直接接続され得ない場合でも、花の構造および植物に対するこれらの位置の3次元復元が行われ得る。同じことが枝、果実などに対して行われ得る。
【0075】
それ故に、植物ごとのデータベース構造は、植物、下位植物特徴、およびこれらの下位要素の特性を有することになる。
【0076】
植物に対する巡視、処置、およびデータベース更新は、以下のように行われ得る。
1.特定の植物に到達する-植物の識別は、例えば、最後の巡視からデータベースに保存されるような植物の位置データまたは植物の下位植物特徴に基づく。
2.巡視を行う自律ユニットおよび巡視日を含む新たな巡視のエントリをデータベースに追加する。
3.環境および土壌条件、幾何学パラメータ(枝の長さ、葉/花の数など)、ならびに/または状態(果実の熟成度/色)など、植物特性および下位植物特徴を更新する。
4.新たな茎/枝/花/果実など、およびこれらの特性といった、植物データベースにおける下位植物のエントリの追加。
5.害虫/病気の存在などの植物および下位植物のストレス状態を追加/更新する。
6.ストレスの検出に応答した処置、例えば、害虫が認識されかつ治療された植物または植物の部位上に殺虫剤を噴霧すること、または、授粉、剪定、もしくはユーザまたは自動化計画によって既定される他の治療などの計画された処置などの新たな処置のエントリを追加する。
7.ストレスが検出されかつ治療された以前の巡視の後の害虫/病気の状態をチェックすることなど、データのエントリまたは以前の処置のエントリを更新する。
【0077】
場合によっては、データベースはわずかに異なる構造を有することができる。例えば、田畑の作物において、単位面積当たり多数の植物があり、時には、ありとあらゆる植物に関する個々のデータを収集することが困難である場合、主なデータエントリは、特定の植物ではなくこの田畑における単位面積のものであり得る。下位エントリは、植物のエントリ、例えば、植え付け日、タイプ/品種、土壌および環境情報のみならず他の治療データと同様であり得、下位植物特徴は、単位面積の特徴、例えば、区域における植物の平均の高さ、および、植物の色、葉、果実/花の数、ストレス状態、および巡視のエントリなどの他の特徴と置き換えられる。
【0078】
それぞれの植物データベースエントリ記録について、データベースは、温室/果樹園/田畑における植物のそれぞれの位置に関する情報を記憶する。これは、(1)特定の植物に戻りかつこの発育をモニターする、またはストレスの検出または授粉および剪定といった必要とされる処置の後に必要とされる治療を行うことができるように、自律システムおよび/または人間に植物処置情報を提供し、自律システムまたは人間によってかどうかにかかわらず、(2)巡視を行う時の座標を提供することで、植物および下位植物特徴の発育の記録を付けるために植物特性が正確な植物に向けて更新され、かつ植物の全構造を構成後、同植物を定期的に巡視する時にこの特徴を見て追跡するのに役立ち得るようにするために必要とされる。
【0079】
植物の位置は些細なことではない。温室のトマトのような場合、(葉および果実の花房を有する)植物の活性部分は、活性部分が植栽用地から間隔を、時には何十メートルもあけて分離されるように時々移動させてよい。このような場合、バーコードまたはRFIDなどの記号で個別に植物にマークすることは有用であり得る。ある列の1つの植物のみにマークし、かつカメラなどのセンサを使用して、マークされた植物に対する異なる植物を数えることができる。植物を定期的に、例えば、毎日または一日おきに巡視する時、巡視の間の変化は小さいものであり、システムが、巡視の間の画像または他のセンサデータを比較することによって植物を認識するのに役立つ可能性があり、アルゴリズムによって同じ植物が巡視されたことを保証することができる。これらの方法は、植物に対して更新されたデータエントリのみならず、除去または追加されたデータエントリが正確であることを確実にする。
【0080】
したがって、果樹園または温室において、植物/木は、絶対の座標(すなわち、GPS座標を使用して)、または、モニターされる、例えば、列番号、さらには列における植物番号を有する区域に対する座標を有することができる。これらの方法は、(トマト温室におけるように)植物があちこち移動させられない、または植物が追加/除去されない限りにおいて、ほとんどのケースを包含することができる。1つのロバストな方法は、1つの列の標示(例えば、全ての列が順に番号が付けられる列番号)を含むことができ、それぞれの列において、1つの植物がマークされる。この場合、温室のトマトの場合など、植物が移動させられる場合でも、全ての植物は第1の列に対するこれらの列番号、および標示される単一の植物に対する列におけるこれらの番号によって精確に識別可能である。
【0081】
図5A~
図5Bは、2回の巡視の後の特定の植物のデータベースエントリ記録を示す。
図5Aは、生育区域/田畑/温室の列番号19における植物番号23のように、2019年3月1日に植え付けられた植物Zのデータベースエントリ記録を示す。2019年6月1日に行われた巡視において、示されるように、植物近辺の環境条件(温度および湿度)、茎、葉の枝LB1、および花の枝FB1の寸法ならびに状態が詳述される。花の枝FB1は、1つが授粉の準備ができており(花F1)、1つがつぼみである(花F2)2つの花を有する。その巡視では、管理システムは、処置m下に示されるように、花F1を授粉させるための動作データを生成する。いくつかの実施形態では、授粉システムは、巡視を行う感知システムにおいて統合され、花F1を即座に授粉させ、この事実はさらにまた、処置mのメニューにも記録される。
図5Bに見られるように、2019年6月3日に行われたその後の巡視では、茎、葉の枝LB1、および花の枝FB1の寸法および状態の変化は検出かつ記録され、植物近辺の環境条件(温度および湿度)は更新される。花F1は点検され、この状況は、以前の巡視において実行された授粉の処置を考慮して、授粉の成功を検出すると「授粉済み」に更新される。第2の花F2は点検され、この状況は「授粉の準備ができている」に更新されるため、管理システムは、処置n下に指示されるように、花F2を授粉させるための動作データを生成する。さらにまた、授粉システムは、感知システムと統合されるか否かにかかわらず、花F2の授粉を行うことが要求され、感知システムはその後、授粉の終わりにまたは後続の巡視中に、花F2の状況を点検し、かつ、この状況を、授粉の成功が検出される場合は「授粉済み」に、または「さらなる授粉が必要」に更新する。