(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】粒子分散液及びその製造方法、含粒子めっき液、含粒子めっき皮膜、並びに、含粒子めっき方法
(51)【国際特許分類】
C23C 18/52 20060101AFI20250529BHJP
C25D 3/12 20060101ALI20250529BHJP
C25D 15/02 20060101ALI20250529BHJP
【FI】
C23C18/52 A
C25D3/12
C25D15/02 J
C25D15/02 H
(21)【出願番号】P 2024552285
(86)(22)【出願日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 JP2024029819
【審査請求日】2024-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2023137481
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024133359
(32)【優先日】2024-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591021028
【氏名又は名称】奥野製薬工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥明
(72)【発明者】
【氏名】岩本 由香
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 竜司
(72)【発明者】
【氏名】村田 俊也
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 竜士
(72)【発明者】
【氏名】広岡 和洋
(72)【発明者】
【氏名】長尾 敏光
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 佳
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-066349(JP,A)
【文献】特開2017-061124(JP,A)
【文献】特開2010-189625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0106833(US,A1)
【文献】米国特許第06306466(US,B1)
【文献】特開2022-164144(JP,A)
【文献】特開2022-045915(JP,A)
【文献】特表2017-521561(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0214924(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101275222(CN,A)
【文献】特開2013-199687(JP,A)
【文献】高性能非イオン界面活性剤 アセチレノール(R),川研ファインケミカル株式会社,2020年10月02日,1-12頁,kawakenfc.co.jp/dcms_media/other/アセチレノール工業用途パンフレット.pdfにて入手
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-18/54
C25D 3/12-3/18
C25D 15/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子、
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1-1及びR
1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示し、R
1-3及びR
1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。m及びnは、同一又は異なって整数を示し、m+n=0~20である。)
で表されるノニオン系界面活性剤A、
下記一般式(4)
【化2】
(式中、R
4-1
は、炭素数5以上30以下の炭化水素基を示す。R
4-2
及びR
4-3
は、同一又は異なって、オキシアルキレン基を示す。p及びqは、同一又は異なって、0以上30以下の整数を示す。)
で表されるノニオン系界面活性剤B、及び、
溶媒を含有する、含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項2】
前記オキシアルキレン基の炭素数は、1以上5以下である、請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項3】
前記含粒子めっき液用粒子分散液中の前記ノニオン系界面活性剤Aの含有量は、1g/L以上100g/L以下である、請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項4】
前記粒子は、含フッ素粒子、及び/又は、フッ素を含まない粒子である、請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項5】
前記含フッ素粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、及び、ポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)から成る群より選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項6】
前記フッ素を含まない粒子は、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリウレタン(PU)、芳香族ポリエーテルケトン、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS
2)、炭化ホウ素(B
4C)、グラフェン、及び、グラファイトからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項7】
前記含粒子めっき液用粒子分散液中の前記粒子の含有量は、10g/L以上1000g/L以下である、請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項8】
更に、両性界面活性剤を含有する、請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項9】
前記含粒子めっき液用粒子分散液中の前記両性界面活性剤の含有量は、1g/L以上100g/L以下である、請求項8に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項10】
更に、カチオン系界面活性剤を含有する、請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項11】
前記含粒子めっき液用粒子分散液中の前記カチオン系界面活性剤の含有量は、1g/L以上100g/L以下である、請求項10に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項12】
前記含粒子めっき液用粒子分散液中の前記ノニオン系界面活性剤Bの含有量は、0.1g/L以上100g/L以下である、請求項
1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液。
【請求項13】
含粒子めっき液用粒子分散液の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化3】
(式中、R
1-1及びR
1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示し、R
1-3及びR
1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。m及びnは、同一又は異なって整数を示し、m+n=0~20である。)
で表されるノニオン系界面活性剤A
、及び、
下記一般式(4)
【化4】
(式中、R
4-1
は、炭素数5以上30以下の炭化水素基を示す。R
4-2
及びR
4-3
は、同一又は異なって、オキシアルキレン基を示す。p及びqは、同一又は異なって、0以上30以下の整数を示す。)
で表されるノニオン系界面活性剤B
を含有する溶媒に、粒子を分散させる工程を有する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の含粒子めっき液用粒子分散液、及び、めっき液を含む、含粒子めっき液。
【請求項15】
前記含粒子めっき液は、無電解含粒子ニッケル-リンめっき液、又は、電解含粒子ニッケルめっき液である、請求項
14に記載の含粒子めっき液。
【請求項16】
前記含粒子めっき液中の前記含粒子めっき液用粒子分散液の含有量は、1ml/L以上100ml/L以下である、請求項
14に記載の含粒子めっき液。
【請求項17】
請求項
14に記載の含粒子めっき液により形成してなる、含粒子めっき皮膜。
【請求項18】
請求項
14に記載の含粒子めっき液に、被めっき物を浸漬する工程を含む、含粒子めっき方法。
【請求項19】
請求項
17に記載の含粒子めっき皮膜が形成された被めっき物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子分散液及びその製造方法、含粒子めっき液、含粒子めっき皮膜、並びに、含粒子めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、めっき皮膜に様々な粒子を含有させることにより、めっき皮膜に様々な特性が付与され、利用されている。
【0003】
例えば、無電解ニッケル-リン/ポリテトラフルオロエチレン(Ni-P/PTFE)複合めっきは、PTFEの持つ低摩擦性、非粘着性と無電解めっきの持つ均一析出性とを合わせ持つめっき皮膜であり、近年、各分野に応用され始めている。
【0004】
撥水性の強いPTFE粒子を無電解めっき液中で均一に分散させることは非常に困難である。従来、PTFE粒子を無電解めっき液中で均一に分散させる方法として、フッ素系界面活性剤を分散剤として使用する方法が用いられている。
【0005】
しかしながら、近年では、欧州でのフッ素系素材の使用の規制により、フッ素系界面活性剤が、順次使用できなくなっており、フッ素系界面活性剤を用いないPTFE粒子の分散方法が求められている。
【0006】
PTFE微粒子を含有し、フッ素系界面活性剤を用いない無電解複合めっき浴が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、PTFE粒子を分散させるための界面活性剤として、特定の構造の両性界面活性剤が用いられている(特許文献1の請求項1)。
【0007】
しかしながら、特許文献1で用いられている両性界面活性剤は、フッ素粒子の分散剤としては適しておらず、分散性が十分でないという問題がある。
【0008】
また、上述のような含フッ素粒子を用いためっき液だけでなく、フッ素を含まない粒子を用いためっき液においても粒子の分散性はめっき液、及びめっき皮膜の特性に影響を及ぼす。このため、分散性に優れた含粒子めっき液を製造することができる、粒子の分散性に優れた粒子分散液が必要となる。
【0009】
従って、粒子の分散性に優れた粒子分散液、及び、当該粒子分散液を用いた、粒子の分散性に優れる含粒子めっき液の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、粒子の分散性に優れた、粒子分散液及び含粒子めっき液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、粒子、及び、特定の構造を示すノニオン系界面活性剤Aを含有する粒子分散液、及び、当該粒子分散液を含有する含粒子めっき液によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記の粒子分散液及びその製造方法、含粒子めっき液、含粒子めっき皮膜、並びに、含粒子めっき方法に関する。
1.粒子、及び、
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1-1及びR
1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示し、R
1-3及びR
1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。m及びnは、同一又は異なって整数を示し、m+n=0~30である。)
で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有する、粒子分散液。
2.前記オキシアルキレン基の炭素数は、1以上5以下である、項1に記載の粒子分散液。
3.前記ノニオン系界面活性剤Aの含有量は、1g/L以上100g/L以下である、項1又は2に記載の粒子分散液。
4.前記粒子は、含フッ素粒子、及び/又は、フッ素を含まない粒子である、項1~3のいずれかに記載の粒子分散液。
5.前記含フッ素粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、及び、ポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)から成る群より選択される少なくとも1種を含む、項4に記載の粒子分散液。
6.前記フッ素を含まない粒子は、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリウレタン(PU)、芳香族ポリエーテルケトン、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS
2)、炭化ホウ素(B
4C)、グラフェン、及び、グラファイトからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項4又は5に記載の粒子分散液。
7.前記粒子の含有量は、10g/L以上1000g/L以下である、項1~6のいずれかに記載の粒子分散液。
8.更に、両性界面活性剤を含有する、項1~7のいずれかに記載の粒子分散液。
9.前記両性界面活性剤の含有量は、1g/L以上100g/L以下である、項8に記載の粒子分散液。
10.更に、カチオン系界面活性剤を含有する、項1~9のいずれかに記載の粒子分散液。
11.前記カチオン系界面活性剤の含有量は、1g/L以上100g/L以下である、項10に記載の粒子分散液。
12.更に、下記一般式(4)
【化2】
(式中、R
4-1は、炭素数5以上30以下の炭化水素基を示す。R
4-2及びR
4-3は、同一又は異なって、オキシアルキレン基を示す。p及びqは、同一又は異なって、0以上30以下の整数を示す。)
で表されるノニオン系界面活性剤Bを含有する、項1~11のいずれかに記載の粒子分散液。
13.前記ノニオン系界面活性剤Bの含有量は、0.1g/L以上100g/L以下である、項12に記載の粒子分散液。
14.粒子分散液の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化3】
(式中、R
1-1及びR
1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示し、R
1-3及びR
1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。m及びnは、同一又は異なって整数を示し、m+n=0~30である。)
で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒に、粒子を分散させる工程を有する、ことを特徴とする製造方法。
15.項1~14のいずれかに記載の粒子分散液、及び、めっき液を含む、含粒子めっき液。
16.前記含粒子めっき液は、無電解含粒子ニッケル-リンめっき液、又は、電解含粒子ニッケルめっき液である、項15に記載の含粒子めっき液。
17.前記粒子分散液の含有量は、1ml/L以上100ml/L以下である、項15又は16に記載の含粒子めっき液。
18.項15~17のいずれかに記載の含粒子めっき液により形成してなる、含粒子めっき皮膜。
19.項15~17のいずれかに記載の含粒子めっき液に、被めっき物を浸漬する工程を含む、含粒子めっき方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粒子分散液は、粒子の分散性に優れている。また、本発明の含粒子めっき液は、上記粒子分散液を含有しており、粒子の分散性に優れている。更に、本発明の粒子分散液の製造方法によれば、上記本発明の粒子分散液を容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.粒子分散液
本発明の粒子分散液は、粒子、及び、後述する一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有する粒子分散液である。上記特徴を有する本発明の粒子分散液は、一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有するので、粒子を粒子分散液中で均一に分散させることができ、特に、撥水性の強い含フッ素粒子を粒子分散液中で均一に分散させることができる。以下、本発明の粒子分散液について詳細に説明する。
【0016】
また、本明細書において「常温」とは、23℃を意味する。
【0017】
(粒子)
粒子としては特に限定されず、公知の粒子を用いることができる。このような粒子としては、含フッ素粒子、フッ素を含まない粒子を用いることができる。これらの粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
含フッ素粒子としては、フッ素を含有するフッ素含有粒子であれば特に限定されず、公知の含フッ素粒子を用いることができる。このような含フッ素粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)等のフッ素樹脂を含有する含フッ素粒子;金属のフッ化物を含有する含フッ素粒子等が挙げられる。これらの中でも、粒子分散液中での含フッ素粒子の分散性がより向上し、粒子の表面電位を良好に制御させることができる点で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有する含フッ素粒子が好ましい。
【0019】
上記含フッ素粒子は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
含フッ素粒子の平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.15μm以上が特に好ましい。また、含フッ素粒子の平均粒子径は、100μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。含フッ素粒子の平均粒子径が上記範囲であることにより、粒子分散液中で含フッ素粒子をより分散させることができ、且つ、含フッ素粒子の表面電位をより好適に制御することができる。
【0021】
粒子分散液中の含フッ素粒子の含有量は、10g/L以上が好ましく、60g/L以上がより好ましく、70g/L以上が更に好ましく、80g/L以上が特に好ましい。また、粒子分散液中の含フッ素粒子の含有量は、1000g/L以下が好ましく、800g/L以下がより好ましく、750g/L以下が更に好ましく、600g/L以下が特に好ましい。
【0022】
フッ素を含まない粒子としては、含フッ素粒子以外の公知の粒子を用いることができる。このようなフッ素を含まない粒子としては、合成樹脂、セラミックス、ガラス、滑石、プラスチック、ダイヤモンド、グラファイト、酸化物、ケイ化物、炭酸塩、カーバイド、硫化物、リン酸エステル、ホウ化物、ケイ酸塩、窒化物、金属等の粒子が挙げられる。
【0023】
上記フッ素を含まない粒子のうち、合成樹脂の粒子としては、より具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリウレタン(PU)、及び、芳香族ポリエーテルケトン等の粒子が挙げられる。また、上記芳香族ポリエーテルケトンとしては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)等が挙げられる。
【0024】
上記フッ素を含まない粒子のうち、合成樹脂以外の粒子としては、より具体的には、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS2)、炭化ホウ素(B4C)、グラフェン、グラファイト等の粒子が挙げられる。
【0025】
上記フッ素を含まない粒子は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
粒子分散液中のフッ素を含まない粒子の含有量は、10g/L以上が好ましく、60g/L以上がより好ましく、70g/L以上が更に好ましく、80g/L以上が特に好ましい。また、粒子分散液中のフッ素を含まない粒子の含有量は、1000g/L以下が好ましく、800g/L以下がより好ましく、750g/L以下が更に好ましく、600g/L以下が特に好ましい。
【0027】
粒子分散液中のフッ素を含まない粒子の平均粒子径は、1nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、1μm以上が更に好ましく、5μm以上が特に好ましい。また、粒子分散液中のフッ素を含まない粒子の平均粒子径は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、30μm以下が特に好ましい。フッ素を含まない粒子の平均粒子径が上記範囲であることにより、粒子分散液中で粒子をより分散させることができ、且つ、粒子の表面電位をより好適に制御することができる。
【0028】
粒子分散液中の粒子の含有量は、10g/L以上が好ましく、60g/L以上がより好ましく、70g/L以上が更に好ましく、80g/L以上が特に好ましい。また、粒子分散液中の粒子の含有量は、1500g/L以下が好ましく、1000g/L以下がより好ましく、800g/L以下が更に好ましく、600g/L以下が特に好ましい。
【0029】
(ノニオン系界面活性剤A)
ノニオン系界面活性剤A(以下、「(A)成分」とも示す。)としては、下記一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤が用いられる。
【0030】
【0031】
上記一般式(1)中、R1-1及びR1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示す。オキシアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。また、オキシアルキレン基の炭素数は、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。オキシアルキレン基の炭素数が上記範囲であることにより、粒子の分散性がより向上する。
【0032】
上記一般式(1)中、m及びnは、同一又は異なって整数を示す。m及びnは、0以上が好ましく、2以上がより好ましい。また、m及びnは、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、5以下が特に好ましい。m及びnが上記範囲であることにより、粒子の分散性がより向上する。
【0033】
上記一般式(1)中、m+nは、0~30である。m+nが30を超えると、粒子の分散性が劣る。m+nは、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
【0034】
上記一般式(1)中、R1-3及びR1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。上記炭素数が1未満又は11以上であると、粒子の分散性が劣る。R1-3及びR1-4の炭素数は、同一又は異なって、2以上が好ましい。また、R1-3及びR1-4の炭素数は、同一又は異なって、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。また、R1-3及びR1-4はアルキル基であることが好ましい。
【0035】
上記(A)成分としては、下記一般式(1-2)で表されるノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0036】
【0037】
上記一般式(1-2)中、m、n、m+nは、上記一般式(1)で説明したものと同じである。
【0038】
上記(A)成分としては、より具体的には、ポリオキシエチレン(C0)アセチレニック・グリコールエーテル、ポリオキシエチレン(C1.3)アセチレニック・グリコールエーテル(m+n=2の化合物と、m+n=0の化合物とを、混合比65%:35%で混合した混合物)、ポリオキシエチレン(C4)アセチレニック・グリコールエーテル、ポリオキシエチレン(C6)アセチレニック・グリコールエーテル、ポリオキシエチレン(C10)アセチレニック・グリコールエーテル、ポリオキシエチレン(C20)アセチレニック・グリコールエーテル等が挙げられる。
【0039】
上記(A)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
粒子分散液中の(A)成分の含有量は、1g/L以上が好ましく、5g/L以上がより好ましく、10g/L以上が更に好ましく、15g/L以上が特に好ましい。また、粒子分散液中の(A)成分の含有量は、100g/L以下が好ましく、80g/L以下がより好ましく、60g/L以下が更に好ましく、50g/L以下が特に好ましい。(A)成分の含有量の下限が上記範囲であることにより、粒子の分散性がより向上する。また、(A)成分の含有量の上限が上記範囲であることにより、ニッケル-リンめっき液等のニッケルめっき液中での粒子の分散性がより向上する。
【0041】
((B)両性界面活性剤)
本発明の粒子分散液は、更に、(B)両性界面活性剤(以下、「(B)成分」とも示す。)を含んでいてもよい。粒子分散液が(B)成分を含有することにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。
【0042】
(B)両性界面活性剤としては特に限定されず、公知の両性界面活性剤を用いることができる。このような両性界面活性剤としては、下記一般式(2)で表される両性界面活性剤が好ましい。
【0043】
【0044】
上記一般式(2)中、R2-1は、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、R2-1の炭素数は、5以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。また、R2-1の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。
【0045】
上記一般式(2)中、R2-2、及び、R2-3は、同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基が好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。また、R2-2、及び、R2-3の炭素数は、同一又は異なって、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1が更に好ましい。
【0046】
上記一般式(2)中、R2-4は、炭素数1以上10以下の炭化水素基が好ましく、炭素数1以上10以下のアルキレン基がより好ましい。また、R2-4の炭素数は、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1が更に好ましい。
【0047】
上記(B)成分としては、より具体的には、ヤシ油ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。これらの中でも、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる点で、ヤシ油ジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0048】
上記(B)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
粒子分散液中の(B)成分の含有量は、1g/L以上が好ましく、2g/L以上がより好ましく、5g/L以上が更に好ましく、7g/L以上が特に好ましい。また、粒子分散液中の(B)成分の含有量は、100g/L以下が好ましく、80g/L以下がより好ましく、70g/L以下が更に好ましく、60g/L以下が特に好ましい。(B)成分の含有量の下限が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。また、(B)成分の含有量の上限が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。
【0050】
((C)カチオン系界面活性剤)
本発明の粒子分散液は、更に、(C)カチオン系界面活性剤(以下、「(C)成分」とも示す。)を含んでいてもよい。粒子分散液が(C)成分を含有することにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。
【0051】
(C)カチオン系界面活性剤としては特に限定されず、公知のカチオン系界面活性剤を用いることができる。このようなカチオン系界面活性剤としては、下記一般式(3-1)、及び、(3-2)で表されるカチオン系界面活性剤が好ましい。
【0052】
【0053】
【0054】
上記一般式(3-1)中、R3-1-1は、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、R3-1-1の炭素数は、5以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。また、R3-1-1の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。
【0055】
上記一般式(3-1)中、R3-1-2、R3-1-3、及び、R3-1-4は、同一又は異なって、炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。R3-1-2、R3-1-3、及び、R3-1-4の炭素数は、同一又は異なって、7以下が好ましく、3以下がより好ましく、1が更に好ましい。
【0056】
上記一般式(3-1)中、Xは、ハロゲン元素、硫酸塩基等を示す。ハロゲン元素としては、塩素、臭素等が挙げられ、塩素が好ましい。また、硫酸塩基としては、硫酸アルキル基が好ましく、硫酸メチル基がより好ましい。Xを上述の基とすることで、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。
【0057】
上記一般式(3-2)中、R3-2-1は、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、R3-2-1の炭素数は、5以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。また、R3-2-1の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。
【0058】
上記一般式(3-2)中、R3-2-2、及び、R3-2-3は、同一又は異なって、炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。R3-2-2、及び、R3-2-3の炭素数は、同一又は異なって、1以上5以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。R3-2-2、及び、R3-2-3は、末端に水酸基を有していてもよい。
【0059】
上記一般式(3-2)中、Xは、ハロゲン元素、硫酸塩基等を示す。ハロゲン元素としては、塩素、臭素等が挙げられ、塩素が好ましい。また、硫酸塩基としては、硫酸アルキル基が好ましく、硫酸メチル基がより好ましい。Xを上述の基とすることで、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。
【0060】
上記(C)成分としては、より具体的には、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ヤシアルキルトリメチルアンモニウム、硫酸メチルヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジオレイルジメチルアンモニウム、塩化ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、硫酸メチルジデシルジメチルアンモニウム、1-メチル-1-ヒドロキシエチル-2-牛脂アルキル-イミダゾリウムクロリド等が挙げられる。これらの中でも、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる点で、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0061】
上記(C)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
粒子分散液中の(C)成分の含有量は、1g/L以上が好ましく、2g/L以上がより好ましく、5g/L以上が更に好ましく、10g/L以上が特に好ましい。また、粒子分散液中の(C)成分の含有量は、100g/L以下が好ましく、80g/L以下がより好ましく、70g/L以下が更に好ましく、60g/L以下が特に好ましい。(C)成分の含有量の下限が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。また、(C)成分の含有量の上限が上記範囲であることにより、粒子の分散性がより向上する。
【0063】
((D)ノニオン系界面活性剤B)
本発明の粒子分散液は、更に、ノニオン系界面活性剤B(以下、「(D)成分」とも示す。)を含んでいてもよい。粒子分散液が(D)成分を含有することにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。
【0064】
(D)ノニオン系界面活性剤Bとしては、上述のノニオン系界面活性剤A以外の界面活性剤であれば特に限定されず、公知のノニオン系界面活性剤を用いることができる。このようなノニオン系界面活性剤としては、下記一般式(4)で表されるノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0065】
【0066】
上記一般式(4)中、R4-1は、炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、R4-1の炭素数は、5以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。また、R4-1の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。
【0067】
上記一般式(4)中、R4-2、及び、R4-3は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示す。オキシアルキレン基の炭素数としては、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。また、オキシアルキレン基の炭素数としては、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。オキシアルキレン基の炭素数が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。
【0068】
上記一般式(4)中、p及びqは、同一又は異なって整数を示す。p及びqは、0以上が好ましく、2以上がより好ましい。また、p及びqは、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、5以下が特に好ましい。p及びqが上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。
【0069】
上記一般式(4)中、p+qは0以上が好ましい。また、p+qは30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。なお、p及びqが整数であるので、p+qも整数となる。
【0070】
上記(D)成分としては、より具体的には、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンアルキル(ヤシ)アミン、ポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン等が挙げられる。これらの中でも、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる点で、ポリオキシエチレンステアリルアミンが好ましい。
【0071】
上記(D)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
粒子分散液中の(D)成分の含有量は、0.1g/L以上が好ましく、5g/L以上がより好ましく、10g/L以上が更に好ましい。また、粒子分散液中の(D)成分の含有量は、100g/L以下が好ましく、70g/L以下がより好ましく、50g/L以下が更に好ましく、40g/L以下が特に好ましい。(D)成分の含有量の下限が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液が、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。また、(D)成分の含有量の上限が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液を含む含粒子めっき液で形成される含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。
【0073】
(その他の成分)
本発明の粒子分散液は、上記(A)成分~(D)成分以外の、めっき液の成分として用いられる酸又はその塩類を含有していてもよい。このような酸又はその塩類としては、例えば、リンゴ酸、コハク酸等の錯化剤成分、又は、これらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);次亜リン酸、又は、その塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);硫酸、亜リン酸、又は、これらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)を好適に用いることができる。
【0074】
上記酸又はその塩類は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
粒子分散液中の上記酸又はその塩類の含有量は、1g/L以上が好ましく、10g/L以上がより好ましく、30g/L以上が更に好ましく、50g/L以上が特に好ましい。含有量の下限が上記範囲であることにより、本発明の粒子分散液の分散性がより向上する。また、粒子分散液中の上記酸又はその塩類の含有量は、500g/L以下が好ましく、250g/L以下がより好ましく、200g/L以下が更に好ましく、150g/L以下が特に好ましい。
【0076】
(溶媒)
本発明の粒子分散液は、溶媒中に上述の各成分を含有している構成であることが好ましい。
【0077】
溶媒としては、上述の各成分を含有することができれば特に限定されず、水、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、安全性が高い点で、水が好ましい。
【0078】
なお、本発明の粒子分散液は、溶媒中に粒子を含有し、且つ、上述の各成分のうち一部の成分を含有している構成であってもよい。すなわち、上述の(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び、(D)成分の各成分は、粒子分散液が含有する場合と含有しない場合の両方において、後述する含粒子めっき液中に別途添加することにより、本発明の粒子分散液が含有する構成としてもよい。上記観点から、本発明の粒子分散液は、粒子と、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び、(D)成分からなる群より選択される少なくとも1種とを含有する粒子分散液であってもよい。
【0079】
(粒子分散液の特性)
本発明の粒子分散液は、中性又はアルカリ性であることが好ましい。本発明の粒子分散液は、pHが、5以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。また、pHが、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。粒子分散液のpHが上記範囲であることにより、粒子の分散性がより向上し、粒子の表面電位をより良好に制御することができる。
【0080】
2.粒子分散液の製造方法
上記本発明の粒子分散液の製造方法は特に限定されず、例えば、
下記一般式(1)
【化10】
(式中、R
1-1及びR
1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示し、R
1-3及びR
1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。m及びnは、同一又は異なって整数を示し、m+n=0~30である。)
で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒に、粒子を分散させる工程を有する製造方法により製造することができる。以下、上記製造方法について例示的に説明する。
【0081】
上記一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤Aは、上述の本発明の粒子分散液において説明したノニオン系界面活性剤Aと同一である。
【0082】
上記工程では、上記ノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒に、粒子を分散させる。粒子は、上述の本発明の粒子分散液において説明した粒子と同一である。
【0083】
上記工程において、ノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒に粒子を分散させる方法としては特に限定されず、従来公知の方法により分散させることができる。このような方法としては、例えば、ノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒を、ホモジナイザー等の撹拌機で撹拌しながら、粒子を添加する方法が挙げられる。
【0084】
上記工程における、ノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒の温度は特に制限されない。一般的には、20℃以上40℃以下の範囲であり、粒子の分散性がより向上する観点から、25℃以上30℃以下が好ましい。
【0085】
本発明の製造方法では、上記一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有する溶媒に、粒子を分散させる。すなわち、先に溶媒にノニオン系界面活性剤Aを添加し、次いで、粒子を添加する。先に溶媒に粒子を分散させると、粒子が凝集し、粒子の分散性が劣る。
【0086】
以上説明した製造方法により、粒子分散液を製造することができる。
【0087】
3.含粒子めっき液
本発明の含粒子めっき液は、粒子分散液、及び、めっき液を含む含粒子めっき液である。
【0088】
本発明の含粒子めっき液は、無電解めっき、電解めっきのいずれに用いられてもよい。すなわち、本発明の含粒子めっき液は、無電解含粒子めっき液、又は、電解含粒子めっき液として用いることができる。
【0089】
なお、上記本発明の粒子分散液において説明した(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び、(D)成分の各成分は、粒子分散液が含有する場合と含有しない場合の両方において、含粒子めっき液中に別途添加することにより、本発明の含粒子めっき液が含有する構成としてもよい。
【0090】
粒子分散液は、上述の本発明の粒子分散液であり、配合、製造方法等は上記説明した本発明の粒子分散液と同一である。
【0091】
含粒子めっき液中の粒子分散液の含有量は、1ml/L以上が好ましく、5ml/L以上がより好ましく、10ml/L以上が更に好ましい。また、含粒子めっき液中の粒子分散液の含有量は、100ml/L以下が好ましく、90ml/L以下がより好ましく、80ml/L以下が更に好ましい。粒子分散液の含有量の下限が上記範囲であることにより、含粒子めっき皮膜中に、粒子をより均一に分散させることができる。また、粒子分散液の含有量の上限が上記範囲であることにより、含粒子めっき皮膜をより形成し易くなる。
【0092】
本発明の含粒子めっき液に含まれるめっき液としては特に限定されず、公知のめっき液を用いることができる。このようなめっき液としては、無電解めっき液、及び、電解めっき液が挙げられる。本発明の含粒子めっき液に含まれるめっき液として無電解めっき液を用いた場合、本発明の含粒子めっき液は、無電解含粒子めっき液となる。また、本発明の含粒子めっき液に含まれるめっき液として電解めっき液を用いた場合、本発明の含粒子めっき液は、電解含粒子めっき液となる。
【0093】
電解めっき液としては特に限定されず、電解ニッケル-リンめっき液、電解ニッケル-ホウ素めっき液等の電解ニッケルめっき液;電解銅めっき液;電解金めっき液;電解銀めっき液等が挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき液が好適に用いられる。すなわち、本発明の含粒子めっき液は、電解含粒子ニッケルめっき液であることが好ましい。
【0094】
無電解めっき液としては特に限定されず、例えば、無電解ニッケル-リンめっき液、無電解ニッケル-ホウ素めっき液等の無電解ニッケルめっき液;無電解銅めっき液;無電解金めっき液;無電解銀めっき液等が挙げられる。これらの中でも、無電解ニッケル-リンめっき液、無電解ニッケル-ホウ素めっき液等の無電解ニッケルめっき液が好適に用いられ、無電解ニッケル-リンめっき液がより好適に用いられる。すなわち、本発明の含粒子めっき液は、無電解含粒子ニッケルめっき液であることが好ましく、無電解含粒子ニッケル-リンめっき液であることがより好ましい。
【0095】
以下、例示的に、無電解ニッケル-リン(Ni-P)めっき液に含まれる各成分について説明する。
【0096】
(水溶性ニッケル化合物)
無電解Ni-Pめっき液は、水溶性ニッケル化合物を含むことが好ましい。
【0097】
水溶性ニッケル化合物は特に限定されず、無電解Ni-Pめっき浴に用いられる公知のニッケル化合物を用いることができる。水溶性ニッケル化合物は、好ましくは、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、炭酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩;酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩等、並びに、それらの水和物等である。
【0098】
水溶性ニッケル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
無電解Ni-Pめっき液における水溶性ニッケル化合物の濃度は特に制限されず、適宜調整することができる。水溶性ニッケル化合物の濃度は、好ましくは、ニッケル金属として、例えば、0.01g/L以上、より好ましくは、0.5g/L以上、更に好ましくは、1g/L以上とすることができる。また、水溶性ニッケル化合物の濃度は、好ましくは、ニッケル金属として、例えば、100g/L以下、より好ましくは、50g/L以下、更に好ましくは、10g/L以下とすることができる。水溶性ニッケル化合物の濃度が、ニッケル金属として、0.01g/L未満であると析出速度が遅くなる場合があり、100g/Lを超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0100】
(還元剤)
還元剤は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0101】
還元剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
無電解Ni-Pめっき液における還元剤(次亜リン酸、次亜リン酸塩、及びその水和物等)の濃度は、好ましくは、15g/L以上であり、より好ましくは、20g/L以上である。また、上記濃度は、好ましくは、80g/L以下であり、より好ましくは、60g/L以下である。還元剤の濃度が、15g/L未満、80g/L超であると無電解Ni-Pめっきの密着性が低下する場合があるため、上記範囲とすることが好ましい。
【0103】
(錯化剤)
無電解Ni-Pめっき液は、好ましくは、錯化剤として、グリシン、グルコン酸塩等を含む。グルコン酸塩は、好ましくは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が好ましい。
【0104】
他の錯化剤としては、好ましくは、ギ酸、酢酸等のモノカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);アラニン、アルギニン等のアミノ酸等が好ましい。
【0105】
錯化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0106】
無電解Ni-Pめっき液における錯化剤の濃度は特に限定的ではなく、適宜調整することができる。無電解Ni-Pめっき浴は、錯化剤を、好ましくは、1g/L以上含み、より好ましくは、2g/L以上含み、更に好ましくは、5g/L以上含む。また、無電解Ni-Pめっき浴は、錯化剤を、好ましくは100g/L以下含み、より好ましくは、50g/L以下含み、更に好ましくは、30g/L以下含む。錯化剤の濃度が、1g/L未満であると浴安定性が低下する場合があり、100g/Lを超えると析出速度が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0107】
(安定剤、pH調整剤、界面活性剤等)
上記無電解Ni-Pめっき液は、上述の成分の他、必要に応じて、無電解Ni-Pめっき液に用いられる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、安定剤、pH調整剤、界面活性剤等である。
【0108】
安定剤としては、例えば、鉛化合物(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等)、カドミウム化合物(例えば、硝酸カドミウム、酢酸カドミウム等)、タリウム化合物(例えば、硫酸タリウム、硝酸タリウム、等)、アンチモン化合物(例えば、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム等)、テルル化合物(例えば、テルル酸、塩化テルル等)、クロム化合物(例えば、酸化クロム、硫酸クロム等)、鉄化合物(例えば、硫酸鉄、塩化鉄等)、マンガン化合物(例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン等)、ビスマス化合物(例えば、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等)、スズ化合物(例えば、硫酸スズ、塩化スズ等)、セレン化合物(例えば、セレン酸、亜セレン酸等)、シアン化物(例えば、メチルシアニド、イソプロピルシアニド等)等が挙げられる。
【0109】
安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
無電解Ni-Pめっき液における安定剤の濃度としては、特に限定的ではなく、例えば、0.1mg/L以上500mg/L以下程度とすることができる。無電解Ni-Pめっき液の安定性を向上させる目的で、安定剤の濃度を0.1mg/L程度以上とすることが好ましい。安定剤の濃度が500mg/Lを超えると、めっき皮膜が形成されない箇所(未析出箇所)が発生する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0111】
pH調整剤は、好ましくは、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリを用いる。
【0112】
無電解Ni-Pめっき液のpHは、好ましくは、3以上であり、より好ましくは、4以上である。また、無電解Ni-Pめっき液のpHは、好ましくは、12以下であり、より好ましくは、9以下である。めっき浴のpHは上記したpH調整剤を用いて調整することができる。pHが、3未満であると未析出が発生する場合があり、12を超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0113】
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性等の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ塩、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。界面活性剤を2種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
【0114】
無電解Ni-Pめっき液における界面活性剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば0.01mg/L以上1000mg/L以下程度とすることができる。無電解Ni-Pめっき浴のピット防止の効果をより一層向上させる目的で、界面活性剤の濃度を0.01mg/L程度以上とすることが好ましい。また、界面活性剤の濃度が1000mg/L以下であると、発泡による析出性の低下がより一層抑制される。
【0115】
4.含粒子めっき液の製造方法
含粒子めっき液の製造方法としては、特に限定されず、例えば、上記粒子分散液、及び、上記めっき液を混合し、撹拌することにより製造することができる。
【0116】
粒子分散液、及び、めっき液の混合比は、含粒子めっき液中の粒子分散液の含有量が、上述の含粒子めっき液において説明した量となる混合比とすればよい。
【0117】
混合の際の粒子分散液、及び、めっき液の液温は特に限定されず、常温程度の温度で混合すればよい。
【0118】
粒子分散液、及び、めっき液を混合後、撹拌機での撹拌等の公知の撹拌方法により撹拌することが好ましい。
【0119】
以上説明した製造方法により、含粒子めっき液が製造される。
【0120】
5.含粒子めっき皮膜
本発明の含粒子めっき皮膜は、上記含粒子めっき液により形成してなる含粒子めっき皮膜である。含粒子めっき液としては、上述の本発明の含粒子めっき液を用いることができる。
【0121】
6.含粒子めっき方法
本発明の含粒子めっき方法は、上記含粒子めっき液に、被めっき物を浸漬する工程を含むめっき方法である。含粒子めっき液としては、上述の本発明の含粒子めっき液を用いることができる。
【0122】
被めっき物としては特に限定されず、粒子の持つ特性、例えば、粒子の持つ低摩擦性、非粘着性等が要求される含粒子めっき皮膜を形成することが必要な各種の物質が挙げられる。
【実施例】
【0123】
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0124】
なお、実施例及び比較例で用いた原料は以下の通りである。
【0125】
含フッ素粒子
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子:平均粒子径0.2μm
フッ素を含まない粒子
・ポリエチレン(PE)粒子:平均粒子径10μm
【0126】
(A)ノニオン系界面活性剤A
下記一般式(1)及び表1で表されるノニオン系界面活性剤Aを用いた。
【化11】
【0127】
【0128】
(B)両性界面活性剤
・B-1:ヤシ油ジメチルアミノ酢酸ベタイン
・B-2:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
・B-3:ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
【0129】
(C)カチオン系界面活性剤
・C-1:塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
・C-2:塩化ステアリルトリメチルアンモニウム
・C-3:塩化ジデシルジメチルアンモニウム
・C-4:1-メチル-1-ヒドロキシエチル-2-牛脂アルキル-イミダゾリウムクロリド
【0130】
(D)両性界面活性剤
・D-1:ポリオキシエチレンステアリルアミン
・D-2:ポリオキシエチレンラウリルアミン
・D-3:ポリオキシエチレンオレイルアミン
【0131】
(実施例及び比較例)
含フッ素粒子分散液の製造
溶媒としての水に、上述した原料を、それぞれ表2~6、8に示す配合量で順次添加して撹拌した。次いで、PTFEを表2~6及び8に示す配合量で添加して25℃で60分間ホモジナイザーを用いて撹拌し、含フッ素粒子分散液を製造した。
【0132】
フッ素を含まない粒子の粒子分散液の製造
溶媒としての水に、上述した原料を、それぞれ表7に示す配合量で順次添加して撹拌した。次いで、PEを100g/L添加して25℃で60分間ホモジナイザーを用いて撹拌し、フッ素を含まない粒子の粒子分散液を製造した。
【0133】
無電解ニッケル-リンめっき液の調製
下記原料を水に順次添加して撹拌することにより、無電解ニッケル-リンめっき液を調製した。
・硫酸ニッケル・6H2O:25g/L
・リンゴ酸:15g/L
・コハク酸:5g/L
・次亜リン酸ナトリウム:25g/L
・安定剤:適量
・アンモニア水(pH調整剤):pH4.75に調整
【0134】
電解ニッケルめっき液の調製
下記原料を水に順次添加して撹拌することにより、電解ニッケルめっき液を調製した。・硫酸ニッケル・6H2O:280g/L
・塩化ニッケル・6H2O:45g/L
・ホウ酸:40g/L
【0135】
含粒子めっき液の製造
無電解ニッケル-リンめっき液、又は、電解ニッケルめっき液と、粒子分散液とを混合し、撹拌して含粒子めっき液を製造した。含粒子めっき液中の粒子分散液の含有量は25ml/Lであった。また、一部の実施例では、上述の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分を、含粒子めっき液に添加した。
【0136】
無電解含粒子めっき皮膜の形成
含粒子めっき液を用いて、下記条件により無電解含粒子めっき皮膜を形成した。
・浴温:90℃
・pH:4.75
・めっき時間:60分
・めっき皮膜の膜厚(狙い):10~12μm
・被めっき物(試験片):Fe板、2.5×5cm(0.25dm2)
・浴負荷:0.50dm2/L
【0137】
電解含粒子めっき皮膜の形成
含粒子めっき液を用いて、下記条件により電解含粒子めっき皮膜を形成した。
・浴温:50℃
・pH:4.20
・めっき時間:50分
・めっき皮膜の膜厚(狙い):20μm
・被めっき物(試験片):真鍮板、2.5×5cm(0.25dm2)
・電流密度:2A/dm2
【0138】
(評価方法)
実施例及び比較例について、下記評価を行った。
【0139】
粒子分散液の分散性
製造直後の粒子分散液の分散性を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
〇:分散状態が良好である
△:若干凝集し、不分散である
×:凝集しており、不分散の程度が酷い
【0140】
析出速度
めっき前後の試験片の重量差を測定し、下記式に従って算出した。なお、下記式では、密度を7.0g/cm3として算出した。
析出速度(μm/h)=重量差(mg)×0.057
【0141】
含粒子めっき皮膜中の粒子の分散性
含粒子めっき皮膜の表面を新型走査電子顕微鏡(汎用FE-SEM:日本電子製JSM-IT700HR)の反射電子組成像にて観察し、PTFE又はPEの凝集を確認して、下記評価基準に従って評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
〇:分散状態が良好である
△:若干凝集し、不分散である
×:凝集しており、不分散の程度が酷い
【0142】
含粒子めっき皮膜外観
含粒子めっき皮膜の光沢性、ピットを目視にて観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
〇:良好
△:外観ムラあり
×:外観ムラが非常に多い
【0143】
含フッ素粒子の共析率
SUS板にストライクNiめっきを施し、Ni-P/PTFEめっき後に皮膜を30%硝酸で溶解させて溶解液をろ過した。濾別されたPTFE粒子およびめっき皮膜の重量から、下記式によりPTFE共析率を算出した。
【0144】
【0145】
算出したPTFE共析率を下記評価基準に従って評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
〇:共析率20vol.%超
△:共析率5~20vol.%
×:共析率5vol.%未満
【0146】
フッ素を含まない粒子の共析率
含粒子めっき皮膜の断面を新型走査電子顕微鏡(汎用FE-SEM:日本電子製JSM-IT700HR)の反射電子組成像にて観察し、PEの含有量を確認してPE粒子およびめっき皮膜の重量から、下記式によりPE共析率を算出した。
【0147】
【0148】
算出したPE共析率を下記評価基準に従って評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
〇:共析率20vol.%超
△:共析率5~20vol.%
×:共析率5vol.%未満
【0149】
結果を表2~表8に示す。なお、表中の配合量の単位はg/Lである。
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【要約】
本発明は、粒子の分散性に優れた、粒子分散液及び含粒子めっき液を提供する。
本発明は、粒子、及び、
下記一般式(1)
(式中、R
1-1及びR
1-2は同一又は異なって、オキシアルキレン基を示し、R
1-3及びR
1-4は同一又は異なって、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。m及びnは、同一又は異なって整数を示し、m+n=0~30である。)
で表されるノニオン系界面活性剤Aを含有する、粒子分散液を提供する。