(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20250529BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250529BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20250529BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20250529BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20250529BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250529BHJP
【FI】
H02J7/02 U
H02J7/00 Y
B60L53/68
B60L53/14
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2021010220
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000144544
【氏名又は名称】レシップホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 稔明
(72)【発明者】
【氏名】原 亮平
(72)【発明者】
【氏名】五十川 大舖
(72)【発明者】
【氏名】河合 惇
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-160072(JP,A)
【文献】特開2010-213501(JP,A)
【文献】特開2010-213556(JP,A)
【文献】特開平06-245399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12,7/34-7/36
B60L 53/68,53/14
H01M 10/44,10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信網に接続され表
示部およ
び入力部を有
する端末装置と、
前記端末装置から離れた地点に設けら
れ前記情報通信網に無線通信網を介して接続される充電装置と、
複数の電動車両のそれぞれに搭載され、バッテリの個別情報(以下「バッテリ個別情報」という)を
取得する制御部および当該制御部により取得された前記バッテリの個別情報を近距離無線通信
により前記充電装置に送信
可能な通信部を有し、前記バッテリに設けられる監視装置と、を含み、
前記充電装置は、
前記複数の電動車両のそれぞれの前記監視装置から送信さ
れる複数の前記バッテリ個別情
報および当該充電装置の個別情報(以下「充電装置個別情報」という)を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記充電装置から
送信された複数の前記バッテリ個別情報および
/または前記充電装置個別情
報を前記表
示部に表示
するとともに、
当該端末装置の前記入力部から入力された充電制御情報を前記無線通信網を介して前記充電装置に送信し、
前記充電装置は、前記端末装置から送信された前記充電制御情報に基づいて、前記複数の電動車両のそれぞれに搭載された前記バッテリに対する充電制御を行う、ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記充電装置は、
前記充電装置個別情報および前記監視装置から
受信した前記バッテリ個別情
報に基づいて
前記充電制御の異常の有無
を判定し、
前記充電装置個別情報および前記バッテリ個別情報の少なくと
も一方に
前記充電制御の異常があると判定した場合には、当該
充電制御の異常に関する情報を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記充電装置から受信した前記
充電制御の異常に関する情報を
前記充電装置個別情報および複数の前記バッテリ個別情報とともに前記表
示部に表示する、ことを特徴とする請求項
1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記充電装置から送信された前記充電装置個別情報および複数の前記バッテリ個別情報を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示された当該充電装置個別情報の中の充電制御パラメータおよび/または前記バッテリ個別情報の中のセンサ動作パラメータの変更が可能である、ことを特徴とする請求項1
または2に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリ式フォークリフト等の電動車両に搭載されるバッテリを充電する装置として、例えば、下記特許文献1に開示される充電装置がある。この文献1には、バッテリ充電の進捗状況を6つのLEDランプ(L1~L6)等を有する表示器を備えた充電装置が開示されている。また下記特許文献2には、複数のLEDランプの点滅パターンを様々な態様にすることにより充電の度合いを表示する充電器電池容量表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-6039号公報
【文献】特開2014-85298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの特許文献1,2に開示される先行技術では、表示器や表示装置に設けられたLEDランプの点灯状態でバッテリ充電の進捗状況を表示するため、それにより把握できる情報が少ない。そのため、LEDランプにより表示される充電の進捗状況と実際の充電状態との間に差異が生じ得る。また、このような表示器等を備えた充電装置が屋外に設置されていたり充電装置と照明装置との位置関係が不適切であったりする場合、表示器等を照らす光の入射角度によってはLEDランプの点灯状態を視認し難いことがある。そのため、複数のLEDランプの点滅パターンにより詳細な充電度合いを表示しても、電動車両が稼動する現場では必ずしもそれを把握することができるわけではない。
【0005】
これらの問題は、例えば、LEDランプに代えて屋外対応仕様のドットマトリック方式の液晶表示パネルを充電装置に設けることにより、文字や図形等の多様な表示態様が可能になることから、例えば、バッテリの充電情報や充電装置の情報等をそれに表示することで解決することができる。ところが、たとえ充電装置がそのような液晶表示パネルを備えていたとしても、当該充電装置が設置された現場まで出向かなければ、そのような情報を得ることはできない。また、現場の作業員の目視確認により得られた情報を、逐次、携帯電話等の通信手段を利用して報告させる方法を採ったとしても、手間と時間がかかるうえに通信費が嵩むという新たな問題が生じ得る。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バッテリやその充電装置に関する情報を遠隔でも容易に把握し得る充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された充電システムは、情報通信網に接続され表示部および入力部を有する端末装置と、前記端末装置から離れた地点に設けられ前記情報通信網に無線通信網を介して接続される充電装置と、複数の電動車両のそれぞれに搭載され、バッテリの個別情報(以下「バッテリ個別情報」という)を取得する制御部および当該制御部により取得された前記バッテリの個別情報を近距離無線通信により前記充電装置に送信可能な通信部を有し、前記バッテリに設けられる監視装置と、を含み、前記充電装置は、前記複数の電動車両のそれぞれの前記監視装置から送信される複数の前記バッテリ個別情報および当該充電装置の個別情報(以下「充電装置個別情報」という)を前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記充電装置から送信された複数の前記バッテリ個別情報および/または前記充電装置個別情報を前記表示部に表示するとともに、当該端末装置の前記入力部から入力された充電制御情報を前記無線通信網を介して前記充電装置に送信し、前記充電装置は、前記端末装置から送信された前記充電制御情報に基づいて、前記複数の電動車両のそれぞれに搭載された前記バッテリに対する充電制御を行う、ことを技術的特徴とする。なお、「および/または」は、「および」と「または」のいずれか一方を選択し得る表現である(以下同じ)。
【0008】
請求項1に記載の充電システムの発明では、情報通信網に接続され表示部および入力部を有する端末装置と、端末装置から離れた地点に設けられ情報通信網に無線通信網を介して接続される充電装置と、複数の電動車両のそれぞれに搭載され、バッテリ個別情報を取得する制御部および当該制御部により取得されたバッテリの個別情報を近距離無線通信により充電装置に送信可能な通信部を有し、バッテリに設けられる監視装置と、を含む。そして、充電装置は、複数の電動車両のそれぞれの監視装置から送信される複数のバッテリ個別情報および充電装置個別情報を端末装置に送信する。これに対して、端末装置は、充電装置から送信された複数のバッテリ個別情報および/または充電装置個別情報を表示部に表示するとともに、当該端末装置の入力部から入力された充電制御情報を無線通信網を介して充電装置に送信する。また、充電装置は、端末装置から送信された充電制御情報に基づいて、複数の電動車両のそれぞれに搭載されたバッテリに対する充電制御を行う。これにより、端末装置から離れた地点に設けられた充電装置の充電装置個別情報や監視装置のバッテリ個別情報は、端末装置の表示部に表示される。また、端末装置から充電制御情報が充電装置に送信されることで、充電装置は複数のバッテリの充電制御を行う。
【0011】
さらに、特許請求の範囲の請求項2に記載された充電システムは、請求項1に記載された充電システムにおいて、前記充電装置は、前記充電装置個別情報および前記監視装置から受信した前記バッテリ個別情報に基づいて前記充電制御の異常の有無を判定し、前記充電装置個別情報および前記バッテリ個別情報の少なくとも一方に前記充電制御の異常があると判定した場合には、当該充電制御の異常に関する情報を前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記充電装置から受信した前記充電制御の異常に関する情報を前記充電装置個別情報および複数の前記バッテリ個別情報とともに前記表示部に表示する、ことを技術的特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の充電システムの発明では、充電装置は、充電装置個別情報および監視装置から受信したバッテリ個別情報に基づいて充電制御の異常の有無を判定する。そして、充電装置個別情報およびバッテリ個別情報の少なくとも一方に充電制御の異常があると判定した場合には、当該充電制御の異常に関する情報を端末装置に送信する。これを受信した端末装置は、充電制御の異常に関する情報を充電装置個別情報および複数のバッテリ個別情報とともに表示部に表示する。これにより、端末装置の表示部には、充電装置個別情報、バッテリ個別情報および充電制御の異常に関する情報の3種類の情報が表示される。そのため、充電装置やバッテリに異常がある場合には端末装置の表示出力部に異常に関する情報が表示されるので、監視担当者は充電装置個別情報や複数のバッテリ個別情報のうち、どれが異常なのかを一見して判別することが可能になる。
【0013】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載された充電システムは、請求項1または2に記載された充電システムにおいて、前記端末装置は、前記充電装置から送信された前記充電装置個別情報および複数の前記バッテリ個別情報を前記表示部に表示するとともに、前記表示部に表示された当該充電装置個別情報の中の充電制御パラメータおよび/または前記バッテリ個別情報の中のセンサ動作パラメータの変更が可能である、ことを技術的特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の充電システムの発明では、端末装置は、充電装置から送信された充電装置個別情報および複数のバッテリ個別情報を表示部に表示するとともに、その表示された当該充電装置個別情報の中の充電制御パラメータおよび/またはバッテリ個別情報の中のセンサ動作パラメータの変更が可能である。これにより、端末装置から離れた地点に設けられた充電装置であっても、充電装置個別情報および複数のバッテリ個別情報が表示部に表示され、それらの中の充電制御パラメータやセンサ動作パラメータを遠隔操作によって変更することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、端末装置から離れた地点に設けられた充電装置の充電装置個別情報やそれに充電される複数のバッテリのバッテリ個別情報でも、当該端末装置の表示出力部に表示されるので、当該充電装置が設置された現場に出向くことなく、充電装置個別情報やバッテリ個別情報を把握することが可能になる。また、当該端末装置の操作入力部から、複数のバッテリに対する充電装置の充電動作を制御することが可能になる。したがって、バッテリやその充電装置に関する情報を遠隔でも容易に把握することができる。
【0019】
請求項3の発明では、任意のバッテリや充電装置に異常がある場合には、端末装置の表示出力部に異常に関する情報が表示されるので、例えば、充電装置やバッテリ等の稼動状況を監視する監視担当者が端末装置に表示される充電装置個別情報やバッテリ個別情報を見なくても充電装置やバッテリに異常が生じていることを知ることが可能になる。したがって、バッテリやその充電装置に関する情報を遠隔でも容易に把握することに加えて、任意のバッテリや充電装置に異常が生じていることも遠隔で容易に把握することもできる。
【0020】
請求項4の発明では、端末装置から離れた地点に設けられた充電装置であっても、充電装置や監視装置に対して、充電動作に関与する制御パラメータやバッテリ個別情報の取得に関与するセンサの動作パラメータを遠隔操作によって変更することが可能になる。したがって、バッテリやその充電装置に関する情報を遠隔でも容易に把握することに加えて、充電装置の制御パラメータや監視装置のセンサの動作パラメータを遠隔で変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態~第3実施形態に係る充電システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】本第1実施形態~本第3実施形態の充電システムを構成する充電装置等のブロック図である。
【
図3】本第1実施形態~本第3実施形態の充電システムにより充電され得るバッテリと本システムを構成する電池管理装置(BMU;Battery Management Unit)のブロック図である。
【
図4】本第1実施形態の充電システムの充電装置により実行される処理の流れを示すフローチャートであり、
図4(A)は主制御処理の流れ、
図4(B)は受信制御処理の流れをそれぞれ示す。
【
図5】
図4(A)に表されている個別情報収集処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図4(A)に表されている充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7(A)は、
図5に表されている個別情報取得処理の流れを示すフローチャートである。
図7(B)は、
図6に表されている充電中情報取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本第1実施形態の充電システムの監視端末装置により実行される充電装置コントロール処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図8の充電装置コントロール処理において監視端末装置に表示される充電装置やバッテリの個別情報の表示例を示す説明図である。
【
図10】本発明の本第2実施形態の充電システムの充電装置により実行される主制御処理の流れ理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図10に表されている個別情報収集処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図10に表されている充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】本第2実施形態の充電システムの監視端末装置により実行される充電装置コントロール処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図13の充電装置コントロール処理において監視端末装置に表示される充電装置やバッテリの個別情報の表示例を示す説明図である。
【
図15】本発明の第3実施形態の充電システムの充電装置により実行される処理の流れを示すフローチャートであり、
図15(A)は主制御処理の流れ、
図15(B)は個別情報取得処理の流れをそれぞれ示す。
【
図16】
図15(A)に表されているパラメータ更新処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】本第3実施形態の充電システムのBMUにより実行されるアップデート処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】本第3実施形態の充電システムの監視端末装置により実行される充電装置コントロール処理の流れを示すフローチャートである。
【
図19】
図18の充電装置コントロール処理において監視端末装置に表示される充電装置の制御パラメータやBMUの各センサの動作パラメータの表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の充電システムの各実施形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1~
図3に示すように、本第1実施形態に係る充電システム2は、複数台、例えば、3台のバッテリ式フォークリフト(以下「フォークリフト」という)10a,10b,10c(以下「フォークリフト10a等」という)のそれぞれに搭載されたバッテリ20a,20b,20c(以下「バッテリ20a等」という)を充電装置50が充電するものである。本第1実施形態では、バッテリ20a等はそれぞれに対応してフォークリフト10a等に搭載されるBMU30a,30b,30c(以下「BMU30a等」という)により監視されている。
【0024】
なお、フォークリフト10a等は、バッテリ収容室11に収容したバッテリ20a等から供給される電力で駆動する電動車両の一例であり、本第1実施形態の電動車両には、例えば、無人搬送車(AGV;Automated guided vehicle)、電動カートや電動車椅子等が含まれる。以下、フォークリフト10a等、バッテリ20a等やBMU30a等のことをそれぞれ総称して、単に、「フォークリフト10」、「バッテリ20」や「BMU30」と表現する場合がある。
【0025】
本第1実施形態では、BMU30a等と充電装置50の間における情報通信は、後述するように、近距離無線通信による無線通信回線90aを介して行うことができるように構成されている。また、充電装置50は、広域無線通信網による無線通信回線90b(アクセスポイント110)を介して、インターネット100に接続された監視センタ120の監視端末装置121に対して情報通信可能に構成されている。充電装置50と監視センタ120は、地理的に離れた地点にそれぞれ存在する。なお、インターネット100は、データを伝送する広域情報通信回線網の一例であり、クラウドコンピューティングにおいては「クラウド」と呼ばれる場合もある。インターネット100に代えて、通信事業者が提供する閉域通信網、VPN(仮想プライベートネットワークや仮想専用線)、専用線や公衆回線網等であってもよい。
【0026】
このようにクラウドに含まれる(クラウド上の)監視端末装置121は、例えば、ノートタイプのパーソナルコンピュータ(パソコン)であり、表示出力部としてのディスプレィ123と、操作入力部としてのキーボード125を備えている。監視端末装置121は、例えば、回線終端装置122および図略のISP(インターネット接続事業者)を介してインターネット100に接続されている。監視端末装置121は、操作入力部として、マウスやトラックボール等のポインティングデバイスや、タッチペン、スタイラス、指等で触れることにより入力可能なタッチパネルを備えている場合もある。監視端末装置121は、デスクトップタイプやタブレットタイプのパソコンでもよい。なお、監視端末装置121は、バッテリ20a等や充電装置50の稼働状態を目視する担当者(以下「監視担当者」という)Mによって監視されたり操作されたりしている。
【0027】
<充電装置50の構成>
図2に示すように、充電装置50は、交流電源ACから入力された3相交流電力をバッテリ20に適した直流電力に変換して出力するものである。充電装置50は、例えば、主に、整流部52、電圧変換部53、制御部54、表示部58、通信部59a,59b等により構成されており、これらは金属製のハウジング51内に収容されている。ハウジング51には、例えば、3相交流電源ACからの3相交流電力が入力される入力端子、後述の充電ケーブル70の充電装置側ケーブル71が接続される出力端子等が設けられている。
【0028】
整流部52は、例えば、3相交流電源ACから供給される3相200Vの交流電圧の全相(U相,V相,W相)について全波整流可能に複数のダイオードにより構成される半導体モジュールであり、入力側にハウジング51に設けられる入力端子に接続され、出力側に電圧変換部53が接続されている。なお、本第1実施形態では、整流部52の入力側には、後述するゼロクロス検出部57も接続されている。
【0029】
電圧変換部53は、整流部52から出力される直流電圧を降圧するDC-DCコンバータであり、例えば、半導体スイッチング素子とインダクタ等からなる降圧チョッパ回路により構成されている。半導体スイッチング素子には、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)が用いられ、スイッチング周波数(周期)を変化させることによって出力電圧を制御する。電圧変換部53の出力側には、出力電圧に含まれ得るスイッチングノイズやリップル成分を除去可能な平滑コンデンサ55が出力と並列に設けられている。
【0030】
制御部54は、電圧変換部53の出力電圧や出力電流を制御するコントローラであり、例えば、MPU、メモリ(RAM、ROM(EEPROM等))、入出力インタフェース等により構成されるマイコンモジュールである。本第1実施形態では、制御部54には、ゼロクロス検出部57、電圧センサ61,63、電流センサ62,64、加速度センサ65、温度センサ66、湿度センサ67等の各種センサが接続されており、これらから出力される入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流、振動、温度、湿度等の情報が入力される。
【0031】
即ち、これらの情報を制御部54に入力する各種センサは、3相交流電源ACから供給される3相交流電圧の所定の2相間に接続されてゼロクロス点のタイミング情報を出力するゼロクロス検出部57に加えて、電気的な情報を検出して出力する電圧センサ61、電流センサ62、電圧センサ63および電流センサ64や、環境的な情報を検出して出力する加速度センサ65、温度センサ66および湿度センサ67により構成される。なお、ゼロクロス点は、交流電圧の極性が周期的に切り替わる点のことである。
【0032】
より具体的には、電圧センサ61は、電圧変換部53の入力側に並列に接続されて入力電圧情報を出力し、電流センサ62は、同入力側に直列に接続されて入力電流情報を出力する。また電圧センサ63は、電圧変換部53の出力側に並列に接続されて出力電圧情報を出力し、電流センサ64は、同出力側に直列に接続されて出力電流情報を出力する。さらに、加速度センサ65は、ハウジング51内の底部等に取り付けられて装置内の振動情報を出力し、温度センサ66や湿度センサ67は、ハウジング51内の側壁等に取り付けられて装置内の温度情報や湿度情報を出力する。
【0033】
制御部54では、ゼロクロス検出部57や電圧センサ61等から入力される、ゼロクロスタイミングの情報や電圧、電流、温度等の情報等に加えて、本第1実施形態では、充電対象のバッテリ20を監視するBMU30から通信部59aを介して送られてくるバッテリ20の端子間電圧(充電前電圧VBb、充電中電圧VBc)および端子電流(充電中電流IBc)の情報にも基づいて、電圧変換部53のスイッチング素子をオンオフする制御(スイッチング制御)を3相交流電圧に同期させて行っている。つまり、インバータ方式で出力電圧を制御している。なお、このような制御パラメータが多様で制御が複雑な電圧変換部53に代えて、制御パラメータが少なく制御がシンプルな変圧部等を用いたトランス方式を採用してもよい。
【0034】
表示部58は、充電装置50の制御に関する情報等を表示可能な表示パネルであり、制御部54に接続されている。表示部58は、例えば、複数のLEDを備えたLED表示ユニットであったり、ドットマトリクス状の液晶表示パネルを備えた液晶表示ユニットであったりする。液晶表示ユニットの場合には操作用のタッチパネルを兼ね備えている場合もある。本第1実施形態では、例えば、後述の充電制御処理において充電完了情報やエラー情報等を表示する際に表示部58が用いられる。
【0035】
通信部59aは、無線通信回線90aを介してBMU30と情報通信可能な近距離無線通信が可能な無線ユニット(例えば、Bluetooth(登録商標)や ZigBee(登録商標)等の無線規格に準拠したもの)であり、ハウジング51の外に設けられるアンテナを備えている。また、通信部59bは、無線通信回線90bおよびアクセスポイント110を介してクラウドの監視端末装置121と情報通信可能な広域無線通信が可能な無線ユニット(例えば、SIGFOX(登録商標)、LoRa(登録商標)やNB-IoT(Narrow Band-IoT)等のLPWA(Low Power Wide Area)や、移動体通信事業者が提供する第3世代や第4世代移動通信サービスを利用した無線データ通信回線の無線規格に準拠したもの)であり、ハウジング51の外に設けられるアンテナを備えている。
【0036】
本第1実施形態では、通信部59a,59bは制御部54に接続されている。通信部59aは、BMU30から送られてくるバッテリ20の充電情報等を無線通信回線90aを介して受信して制御部54に出力したり、制御部54から送出する制御情報を無線通信回線90aを介してBMU30に送信したりし得るように構成されている。また、通信部59bは、後述するように、BMU30から取得した充電状態等のバッテリ20に関する情報(バッテリ個別情報等)や当該充電装置50に関する情報(充電装置個別情報等)を無線通信回線90bを介してクラウドの監視端末装置121に送信したり、その監視端末装置121から送られてくる充電制御情報を無線通信回線90bを介して受信して制御部54に出力したりし得るように構成されている。
【0037】
このように構成される充電装置50は、ハウジング51に取り付けられた充電ケーブル70を介して出力電力(出力電圧、出力電流)をバッテリ20に出力する。つまり、充電電力(充電電圧、充電電流)をバッテリ20に供給する。ここで、本第1実施形態の充電システム2において用いられる充電ケーブル70の構成について説明する。
【0038】
<充電ケーブル70の構成>
充電ケーブル70は、充電装置側ケーブル71とバッテリ側ケーブル75により構成されている。充電装置側ケーブル71は、充電装置50に接続される電力ケーブルであり、例えば、ケーブル本体72と、ケーブル本体72の一端側に接続される入力コネクタ73と、同他端側に接続される出力コネクタ74とにより構成されている。一端側の入力コネクタ73は、充電装置50の出力端子に電気的に、また同出力端子の周囲に機械的にそれぞれ接続可能に構成されている。また、入力コネクタ73は、ケーブル本体72を介して他端側の出力コネクタ74に電気的に接続されている。
【0039】
バッテリ側ケーブル75は、バッテリ20に接続される電力ケーブルであり、例えば、ケーブル本体76と、ケーブル本体76の一端側に接続される出力コネクタ78と、同他端側に接続される入力コネクタ77とにより構成されている。一端側の出力コネクタ78は、バッテリ20のバッテリ端子に電気的に、また同バッテリ端子の周囲に機械的にそれぞれ接続可能に構成されている。また、出力コネクタ78は、ケーブル本体76を介して他端側の入力コネクタ77に電気的に接続されている。なお、充電装置側ケーブル71の出力コネクタ74とバッテリ側ケーブル75の入力コネクタ77とは、凹部74aと凸部77aの嵌合により機械的に、また図略のピンとレセプタクルにより電気的に、それぞれ接続可能に構成されている。
【0040】
<バッテリ20の構成>
図2および
図3に示すように、バッテリ20は、例えば、フォークリフト10の運転席の下方に設けられたバッテリ収容室11に収容されている。バッテリ収容室11は、上部開口を除いた側面および底面が壁12により区画され、また蓋13として機能する運転席のシート座部により上部開口が閉塞され得るように構成されている。なお、本第1実施形態では、フォークリフト10のバッテリ20には、バッテリ側ケーブル75の出力コネクタ78が常に接続されている。即ち、充電時以外にもバッテリ側ケーブル75がバッテリ20に接続されている。そのため、充電時以外、つまりフォークリフト10の稼働時においては、バッテリ側ケーブル75は、シート座部により閉じられたバッテリ収容室11の収容空間11a内にバッテリ20と一緒に収容されている。
【0041】
バッテリ20は、主に、バッテリケース21とバッテリケース21内に収容されている複数のバッテリセル23とから構成された組電池である。本第1実施形態では、複数のバッテリセル23は、例えば、電気的に直列に接続されて48Vの直流電圧を出力し得るように構成されている。24Vの直流電圧を出力し得るものもある。定格容量は、バッテリセルの単体容量または並列接続数により異なり、例えば、280Ahや450Ah等である。これらのバッテリセル23は、例えば、物理的にはマトリクス状に配置されている。
【0042】
本第1実施形態では、バッテリセル23は、鉛蓄電池(以下「鉛電池」という)で構成されている場合やリチウムイオン二次電池(以下「リチウム電池」という)で構成されている場合等がある。例えば、バッテリセル23が開放タイプ(非密閉タイプ)の鉛電池である場合には、バッテリセル23に注入された電解液を適宜補充する必要がある。そのため、その液量を検出し得る液量センサ38が、複数のバッテリセル23のうち配置上中央付近に位置するバッテリセル23内に設けられている。バッテリセル23が密閉タイプの鉛電池である場合やリチウム電池である場合には、電解液を補充する必要がないのでバッテリセル23には液量センサ38は設けられていない。
【0043】
バッテリケース21には、プラス端子21aとマイナス端子21bが設けられている。プラス端子21aはバッテリセル23の陽極端子に接続され、マイナス端子21bはバッテリセル23の陰極端子に接続されている。これらの端子21a,21bは、出力コネクタ78のカバーで覆われている。本第1実施形態では、出力コネクタ78内には、後述する電圧センサ35や電流センサ36が収容されている。
【0044】
<BMU30の構成>
図3に示すように、BMU30は、例えば、ハウジング31、制御部32、通信部33、各種のセンサ35~38等により構成されている。BMU30は、BMU;Battery Management Unitと呼ばれる場合もある。BMU30は、制御部32および通信部33を収容したハウジング31がバッテリ20のバッテリケース21に取り付けられる。各種のセンサ35~38は、温度センサ37を除いてハウジング31の外に設けられている。
【0045】
制御部32は、例えば、MPU、メモリ(RAM、ROM(EEPROM等))、入出力インタフェース等が同一モジュール内に組み込まれたワンチップマイコンにより構成されている。また通信部33は、充電装置50の通信部59と無線通信可能な近距離無線モジュール(例えば、Bluetooth(登録商標)や ZigBee(登録商標)等の無線規格に準拠したもの)でありアンテナを備えている。制御部32と通信部33は電気的に接続されており、制御部32は、無線通信回線90を介して充電装置50の制御部54と情報通信可能に構成されている。
【0046】
電圧センサ35は、バッテリ20の端子間電圧を計測可能にプラス端子21aとマイナス端子21bの間に接続されている。電流センサ36は、プラス端子21aに流れる電流(端子電流)を計測可能にバッテリセル群23の陽極端子とプラス端子21aの間(またはプラス端子21aに直列)に接続されている。これらのセンサ35,36は、前述したように、出力コネクタ78のカバー内に収容されている。
【0047】
温度センサ37は、バッテリセル23の表面温度や電解液の温度を直接的または間接的に計測可能にハウジング31内において露出するバッテリケース21の壁面に設けられている。また、液量センサ38は、前述したようにバッテリ20のバッテリセル23内に設けられている。さらに、本第1実施形態では、バッテリ収容室11の内外の温度を計測するため、収容空間11a内に温度センサ81が設けられ、収容空間11a外に温度センサ83が設けられている。
【0048】
これらのセンサ35~38,81,83は、いずれもその出力が制御部32に接続されており、電圧情報、電流情報、温度情報、液量情報等が制御部32に入力され得るように構成されている。なお、
図3には図示されていないが、バッテリ収容室11内(収容空間11a)やバッテリ収容室11外の湿度を計測する湿度センサを備えている場合がある。これらの湿度センサを備えている場合には、それらの出力は制御部32に接続されて、湿度情報が制御部32に入力され得るように構成される。
【0049】
このように構成されるBMU30a等は、バッテリ20a等の充電状態、放電状態やメンテナンス状態等の当該バッテリ20a等に関する情報(バッテリ個別情報等)を取得して外部に送信する。また、BMU30a等は、バッテリ20a等または自分に付与されたID(identifier)(以下「バッテリID」という)を、例えば、一定時間ごとに充電装置50等に送信し得るように構成されている。なお、上述したBMU30a等は、バッテリ20a等の外部に設けられる構成を採用しているが、例えば、バッテリ20a等の中に組み込まれ得るようにBMU30a等を構成してもよい。
【0050】
このように充電装置50と監視端末装置121がハードウェア的に構成されることによって、両者間において次に説明するような制御処理が行われる。まず充電装置50の制御部54により実行される制御処理を
図4(A)に基づいて説明する。
図4(A)には主制御処理の流れ、
図4(B)には監視端末装置121から充電制御情報等を受信する受信制御処理の流れがそれぞれ図示されている。これらの制御処理は、充電装置50の制御部54のメモリ(ROM)に記憶された制御プログラムを制御部54のMPUが実行することにより実現される。
【0051】
<充電装置50の主制御処理>
主制御処理を実現する制御プログラムは、例えば、充電装置50が備える図略の充電スイッチがオン操作された直後から制御部54により起動されて一連の情報処理が終了すると、同スイッチがオフされるまで再起動される。また、受信制御処理を実現する制御プログラムは、監視端末装置121が送信する充電制御情報等を受信するために行われるものである。そのため、例えば、主制御処理の個別情報収集処理(S300)が終了した直後に起動されて、所定時間ごと(例えば100ミリ秒ごと)に繰り返し実行される。
【0052】
図4(A)に示すように、主制御処理では、まずステップS100により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部54のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域をクリアしたり同メモリに記憶されているIDリストに対して、後述するように、付加される情報をクリアする。さらに、電圧変換部53、表示部58や通信部59a,59bに初期設定用の制御コマンドを送出する。
【0053】
次のステップS101では状態情報取得処理が行われる。この処理は、充電装置50が備える前述の各センサ61~67から出力される入出力電圧や入出力電流等の状態情報(充電装置個別情報)を制御部54が取得してメモリに記憶するものである。本第1実施形態では、充電装置50の状態情報(充電装置個別情報)は、例えば次の(1)~(7)である。
【0054】
(1) 入力電圧VCi(電圧変換部53の入力電圧)
(2) 入力電流ICi(電圧変換部53の入力電流)
(3) 出力電圧VCo(電圧変換部53の出力電圧)
(4) 出力電流ICo(電圧変換部53の出力電流)
(5) 装置内振動GCi(ハウジング51内の振動)
(6) 装置内温度TCi(ハウジング51内の温度)
(7) 装置内湿度HCi(ハウジング51内の湿度)
【0055】
本第1実施形態では、入力電圧VCiは電圧センサ61、入力電流ICiは電流センサ62、出力電圧VCoは電圧センサ63、出力電流ICoは電流センサ64、装置内振動GCiは加速度センサ65、装置内温度TCiは温度センサ66、装置内湿度HCiは湿度センサ67、によりそれぞれ計測される。
【0056】
これらの充電装置50の状態情報のうち、(1)~(4)の入力電圧VCi、入力電流ICi、出力電圧VCoおよび出力電流ICoは、充電装置50の充電動作前における電気的な状態を表すものであり、また(5)~(7)の装置内振動GCi、装置内温度TCiおよび装置内湿度HCiは、充電装置50の充電開始前における環境的な状態を表すものである。なお、充電装置50の充電動作中や充電動作停止後においても(1)~(7)の状態情報を取得する場合には、当該ステップS101と同様の処理ステップを、例えば、後述する充電制御処理(
図6;S300)の中に追加する必要がある。これについては充電制御処理の説明で述べる。
【0057】
続くステップS200では個別情報収集処理が行われる。この処理は、充電装置50がこれから充電を行う予定のバッテリ20a等のそれぞれの個別情報をBMU30a等から取得したり当該充電装置50の状態情報を電圧センサ61等から取得したりして、充電制御処理を開始する前に監視センタ120の監視端末装置121に送る。これにより、バッテリ20a等の個別情報(バッテリ個別情報)や充電装置50の状態情報(充電装置個別情報)を当該監視端末装置121のディスプレィ123に表示可能にする。
【0058】
これにより、監視センタ120の監視担当者Mは、監視端末装置121を操作することによって、後述するように、例えば、バッテリ20a等の充電を選択的に行い得るように充電装置50を制御することが可能になる。なお、この個別情報収集処理は、サブルーチンとして
図5にその流れが図示されているため、後で
図5を参照しながら説明する。
【0059】
次のステップS300では充電制御処理が行われる。この処理は、監視担当者Mの操作により監視端末装置121から送られてくる充電制御情報に基づいて充電装置50がバッテリ20a等に対する充電制御等を行うものであり、サブルーチンとして
図6にその流れが図示されている。そのため、この処理についても、後で
図6を参照しながら説明する。
【0060】
<充電装置50の受信制御処理>
図4(B)に示す受信制御処理は、監視センタ120の監視端末装置121から送られてくる充電制御情報等を充電装置50が受信するために行われる。前述したように、充電装置50と監視端末装置121の情報通信は、充電装置50の通信部59bにより行われることから、まずステップS901による充電制御情報受信処理により、監視端末装置121から送られてくる充電制御情報を取得する。そして、受信(取得)した充電制御情報を次のステップS903の充電制御情報記憶処理により制御部54のメモリ(受信バッファ)に記憶(格納)する。受信バッファは、例えば、先入先出(FIFO;First In, First Out)方式で使用され、読み出されると削除される。
【0061】
このようにしてメモリの受信バッファに記憶された充電制御情報は、後述の充電制御処理(
図6)で使用される。2つのステップS901,S903により構成される受信制御処理は、少なくとも充電制御処理が実行されている間において、充電制御処理(
図6)と並行して繰り返し実行される。これにより、監視担当者Mの操作に従って監視端末装置121から、適宜送信されてくる充電制御情報の受信を可能にしている。
【0062】
<充電装置50の個別情報収集処理>
続いて、
図5に示す個別情報収集処理の流れを説明する。個別情報収集処理(S200)では、まずステップS201によりバッテリID受信処理が行われる。前述したように、充電可能な状態で待機しているフォークリフト10a等のBMU30a等からは、そのバッテリIDが無線通信回線90aを介して送信されてくる。そのため、この処理では、BMU30a等から送信されてくるバッテリIDを受信することによって、充電装置50に接続されている充電予定のバッテリ20a等を特定する。
【0063】
続くステップS203では、ステップS201により受信したバッテリIDが充電装置50に登録されているID(既登録ID)であるか否かを判定する処理が行われる。例えば、充電装置50の制御部54が有するメモリには、当該充電装置50により充電可能なバッテリ20a等またはそのBMU30a等のバッテリIDを登録したIDリストが記憶されている。そのため、このIDリストと照合して、先に受信したバッテリIDが既登録IDである場合には(S203;Yes)、このバッテリ20a等は当該充電装置50により充電可能であるため、次のステップS205に処理を移行する。
【0064】
これに対して、先に受信したバッテリIDが既登録IDでない場合には(S203;No)、このバッテリ20a等は所定の理由により当該充電装置50では充電することができないため、後述する判定処理(S207)に移行する。所定の理由は、充電装置50とバッテリ20a等の間において、バッテリの種類が不適合である場合(鉛電池用の充電装置50に対してバッテリ20a等がリチウム電池であるとき等)や、バッテリの仕様が不適合である場合(充電装置50の出力電圧がバッテリ20a等の公称電圧に適合しないとき等)等である。
【0065】
ステップS205(S400)では個別情報取得処理が行われる。この処理は、充電装置50がこれから充電を行う可能性のあるバッテリ20a等のバッテリ個別情報をBMU30a等から取得するものであり、サブルーチンとして
図7(A)にその流れが図示されている。
【0066】
図7(A)に示すように、個別情報取得処理(S400)では、まずステップS401によりBMU30a等に対してバッテリ情報を問い合わせる処理が行われる。例えば、問い合わせ対象のバッテリ20a等を特定するバッテリIDとバッテリ情報の問合せコマンドが、無線通信回線90aを介して充電装置50の通信部59aからBMU30a等の通信部33に送信される。これにより、問合せコマンドを受信したBMU30a等は、問い合わせの時点またはその前後の直近数秒以内におけるバッテリ20a等のバッテリ情報を前述の各種のセンサ35~38等から取得し、バッテリ20a等のバッテリ個別情報として充電装置50に送信する。この場合のバッテリ情報は、充電開始前に電圧センサ35等から得られる情報であり、例えば、次の(11)~(15)である。
【0067】
(11)充電前電圧VBb(バッテリ20a等の端子間電圧)
(12)充電前液量LRb(バッテリ20a等の電解液量)
(13)充電前バッテリ温度TBb(バッテリ20a等の温度)
(14)充電前室内温度TRb(バッテリ収容室11内の温度)
(15)充電前室外温度TXb(バッテリ収容室11外の温度)
【0068】
本第1実施形態では、充電前電圧VBbは電圧センサ35、充電前液量LRbは液量センサ38、充電前バッテリ温度TBbは温度センサ37、充電前室内温度TRbは温度センサ81、充電前室外温度TXbは温度センサ83によりそれぞれ計測される。
【0069】
これらのバッテリ情報のうち、(11)~(13)の充電前電圧VBb、充電前液量LRbおよび充電前バッテリ温度TBbは、バッテリ20a等の状態を充電前において把握した静的な情報であり、また(14),(15)の充電前室内温度TRbおよび充電前室外温度TXbは、バッテリ20a等の周囲環境情報である。なお、(14),(15)の温度はバッテリ20自体の情報ではないが、これらはバッテリ20a等の充電条件を左右するものである。そのため、本第1実施形態では(14),(15)もバッテリ情報に含めている。
【0070】
BMU30a等は、制御部32のメモリに次の(16)~(19)の履歴情報を記憶している。そのため、本第1実施形態では、問合せコマンドを受信したBMU30a等は、制御部32のメモリに記憶しているこれらの履歴情報も、バッテリ情報として充電装置50に送信する。
【0071】
(16)使用回数NTu(バッテリ20a等の累積使用回数)
(17)使用時間TMu(バッテリ20a等の累積使用時間)
(18)充電回数NTc(バッテリ20a等の累積充電回数)
(19)充電時間TMc(バッテリ20a等の累積充電時間)
【0072】
使用回数NTuは、バッテリ20a等がこれまでに使用された回数の合計である。例えば、BMU30a等の制御部32は、フォークリフト10a等の運転開始(キースイッチをオン)から運転終了(キースイッチをオフ)までの単位期間を1回としてカウントする。キースイッチのオンオフ情報は、例えば、フォークリフト10a等の車載LAN(例えば、CAN(Controller Area Network))から制御部32が取得する。使用時間TMuは、バッテリ20a等がこれまでに使用された時間の合計である。フォークリフト10a等の運転開始から運転終了までの単位期間の所要時間をすべての単位期間について合計した時間である。
【0073】
充電回数NTcは、バッテリ20a等がこれまでに充電された回数の合計である。また、充電時間TMcは、バッテリ20a等がこれまでに充電された時間の合計である。例えば、制御部32は、電流センサ36により検出される端子電流の方向(極性)に基づいて当該バッテリ20a等の放電や充電を判定することが可能である。そのため、制御部32は、バッテリ20a等の端子電流を監視することによって、充電の開始から終了までの時間(充電時間)を計測したり、充電の開始から終了までの回数、つまり充電回数をカウントしたりする。
【0074】
ステップS403のバッテリ情報受信処理において、充電装置50の通信部59aにより上記(11)~(19)のバッテリ情報が受信されると、充電装置50の制御部54はそれらを取得してステップS405のバッテリ情報記憶処理によりメモリに記憶する。制御部54のメモリには、当該バッテリ20a等のバッテリIDと紐付けられて記憶される。
【0075】
続くステップS407では仕様情報読出処理が行われる。制御部54のメモリには、充電装置50により充電可能なバッテリ20a等のバッテリIDが登録されたIDリストが記憶されており、このIDリストには当該バッテリ20a等の仕様情報として、バッテリ20a等の種類、公称電圧や定格容量等の情報が当該バッテリ20a等のバッテリIDと紐付けられて記憶されている。そのため、この処理では、制御部54のメモリに記憶されている、バッテリ20a等の種類、公称電圧や定格容量等の情報もバッテリ20a等のバッテリ個別情報として、同メモリから読み出される。
【0076】
(20)バッテリ種類
(21)公称電圧
(22)定格容量
【0077】
ステップS407の仕様情報読出処理が完了すると、
図5の充電制御処理に戻ってステップS207により全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得したか否かの判定処理が行われる。即ち、全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報が充電装置50に集められた(蓄積された)か否かの判定が行われる。そして、全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得したとは判定されない場合には(S207;No)、バッテリ個別情報を取得できていないバッテリ20a等が存在するため、ステップS201に処理を戻してバッテリID受信処理等が再度行われる。
【0078】
これに対して、全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得した(充電装置50に蓄積された)と判定された場合には(S207;Yes)、バッテリ20a等の全てについてバッテリ個別情報を取得することができたことになるので、次のステップS209に処理を移行する。なお、予め定められた所定時間を経過しても全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得できない場合には、強制的にステップ209に処理を移行するタイムアウト処理を行ってもよい。
【0079】
次のステップS209では個別情報等送信処理が行われる。この処理は、バッテリ20a等に関する情報(バッテリ個別情報等)として、個別情報取得処理(S205)により取得された当該バッテリ20a等の個別情報(上記(11)~(22))および当該バッテリ20a等のバッテリID(またはIDリスト)と、充電装置50に関する情報(充電装置個別情報等)として、状態情報取得処理(S101)により取得された当該充電装置50の状態情報(上記(1)~(7))および当該充電装置50に紐付けられて付与された充電装置IDと、を通信部59bにより無線通信回線90bを介して監視端末装置121に送信する。
【0080】
これにより、全てのバッテリ20a等の個別情報やこれらに紐付けされたバッテリIDまたはIDリストと、充電装置50の状態情報(充電装置個別情報)とその充電装置IDが監視端末装置121に一時期にまとめて送信される。そのため、当該監視端末装置121では、後述の充電装置コントロール処理において、当該バッテリ20a等の個別情報等を一括して取得(受信)することが可能になる。一連の本個別情報収集処理が終了すると
図4(A)の主制御処理に戻る。
【0081】
<充電装置50の充電制御処理>
続いて、
図6に示す充電制御処理の流れを説明する。
図6に示すように、充電制御処理(S300)では、まずステップS301により充電制御情報を取得する充電制御情報取得処理が行われる。後述するように、監視端末装置121では、充電装置コントロール処理(
図8)において、監視担当者Mにより入力された充電制御情報(充電可能情報や充電不可情報)が送信されて充電装置50に届くためである。
【0082】
監視端末装置121から送信されてくる充電可能情報や充電不可情報は、前述の受信制御処理(
図4(B))によって通信部59bにより受信された後(
図4(B);S901)、制御部54のメモリである受信バッファに格納される(
図4(B);S903)。そのため、ステップS301の充電制御情報取得処理では、制御部54のメモリ(受信バッファ)から充電可能情報等を読み出して取得する。充電可能情報等は、当該処理において読み出されると、その後、制御部54のメモリ(受信バッファ)から削除される。
【0083】
次のステップS302では充電装置50にバッテリ20a等が接続されたか否かを判定する処理が行われる。バッテリ20a等が接続されたと判定した場合には(S302;接続あり)、続くステップS303によりバッテリ識別処理が行われる。これに対し、バッテリ20a等が接続されてないと判定した場合には(S302;接続なし)、当該充電装置50にはバッテリ20a等が接続されるまで本判定処理を繰り返し行う。
【0084】
例えば、バッテリ20a等が充電ケーブル70を介して充電装置50に接続されることにより、充電装置50の電圧センサ63では充電ケーブル70を経由したバッテリ電圧が検出される。そのため、ステップS302の判定処理では、このようなバッテリ電圧の有無を電圧センサ63により検出することによりバッテリ20a等が接続されたか否かの判定が行われる。
【0085】
ステップS303では当該充電装置50に接続されているバッテリ20a等の識別が行われる。バッテリ20a等の識別は、例えば、充電開始前において、所定のパターンで経時的に変化する印加電圧や通電電流をバッテリ20a等に加え、当該バッテリ20a等のBMU30a等から送られくるバッテリ端子間電圧や端子電流が同様のパターンで変化する場合に当該バッテリ20a等が充電装置50に接続されていると判定して当該バッテリ20a等を識別する。
【0086】
続くステップS304では充電開始可否判定処理が行われる。この処理では、監視端末装置121から送られてくる充電制御情報、つまり充電制御情報取得処理(S301)で取得した充電可能情報や充電不可情報に基づいて、充電開始の可否判定が行われる。これにより、監視端末装置121により予め設定された充電可能情報や充電不可情報によって、「予約的に」充電装置50の充電動作やバッテリ20a等の充電、つまり充電装置50の充電制御を行うことが可能になる。
【0087】
充電制御情報が充電可能情報であるため充電開始が「可能」であると判定された場合には(S304;可能)、続くステップS308により充電処理が行われる。これに対して、充電制御情報が充電不可情報であるため充電開始が「不可」であると判定された場合には(S304;不可)、当該バッテリ20a等に対する充電は行わない。そのため、この場合にはステップS321に処理を移行する。
【0088】
ステップS321のエラー情報表示処理では、充電装置50の表示部58に該当するエラーの内容が表示される。例えば、この場合には、監視センタ120によって充電不可の判断がされている旨の情報をLEDの発光色もしくは点滅パターンまたは液晶表示パネルによる文字情報により明示する。
【0089】
ステップS308の充電処理では、所定の充電パターンに従ってバッテリ20a等を充電する処理が行われる。所定の充電パターンは、例えば、予め定められた一律の充電パターンであったり、バッテリIDに紐付けられた当該バッテリ20a等のための個別の充電パターンであったりする。これらの充電パターンは制御部54のメモリから読み出されて使用される。
【0090】
そして、この充電処理は、充電が完了するまで行われるが(S315;No)、本第1実施形態では充電中においても、充電継続判定が行われる。即ち、前述した個別情報取得処理(
図5;S205)のように、ステップS309により充電中情報取得処理が行われた後、ステップS313により充電継続判定が行われる。そして、そのまま充電を継続可能であると判定した場合には(S313;可能)、ステップS315に処理を移行して充電が完了したか否かの判定処理が行われる。
【0091】
ステップS309では充電中情報取得処理が行われる。この処理は、充電中のバッテリ20a等の個別情報を充電中情報としてBMU30a等から取得するものであり、サブルーチンとして
図7(B)にその流れが図示されている。そのため、ここからは
図7(B)を主に参照しながら説明する。
【0092】
図7(B)に示すように、充電中情報取得処理では、まずステップS501によりBMU30a等に対してバッテリ情報を問い合わせる処理が行われる。
図7(A)の個別情報取得処理の場合と同様に、当該バッテリ20a等のバッテリIDとバッテリ情報の問合せコマンドが、無線通信回線90aを介して充電装置50の通信部59aからBMU30a等の通信部33に送信される。これにより、問合せコマンドを受信したBMU30a等は、問い合わせの時点またはその前後の直近数秒以内におけるバッテリ20a等のバッテリ情報を前述の各種のセンサ35~38等から取得し、バッテリ20a等の個別情報として充電装置50に送信する。この場合のバッテリ情報は、充電中の電圧センサ35等から得られる情報であり、例えば、次の(23)~(28)である。
【0093】
(23)充電中電圧VBc(バッテリ20a等の充電電圧)
(24)充電中電流IBc(バッテリ20a等の充電電流)
(25)充電中液量LRc(バッテリ20a等の電解液量)
(26)充電中バッテリ温度TBc(バッテリ20a等の温度)
(27)充電中室内温度TRc(バッテリ収容室11内の温度)
(28)充電中室外温度TXc(バッテリ収容室11外の温度)
【0094】
本第1実施形態では、充電中電圧VBcは電圧センサ35、充電中電流IBcは電流センサ36、充電中液量LRcは液量センサ38、充電中バッテリ温度TBcは温度センサ37、充電中室内温度TRcは温度センサ81、充電中室外温度TXcは温度センサ83によりそれぞれ計測される。
【0095】
これら充電中のバッテリ情報(以下「充電中バッテリ情報」という)のうち、(23)~(26)の充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRcおよび充電中バッテリ温度TBcは、バッテリ20a等の状態を充電中において把握した動的な情報であり、また(27),(28)の充電中室内温度TRcおよび充電中室外温度TXcは、バッテリ20a等の周囲環境情報である。なお、(27),(28)の温度は、バッテリ20a等自体の情報ではないが、これらはバッテリ20a等の充電条件を左右するものである。そのため、本第1実施形態では(27),(28)もバッテリ情報に含めている。
【0096】
ステップS503のバッテリ情報受信処理において、充電装置50の通信部59aにより上記(23)~(28)の充電中バッテリ情報が受信されると、充電装置50の制御部54はそれらを取得してステップS505のバッテリ情報記憶処理によりメモリに記憶する。制御部54のメモリには、当該バッテリ20a等のバッテリIDと紐付けられて記憶される。
【0097】
なお、充電中情報取得処理(S500)において、充電装置50の状態情報(充電装置個別情報)を取得する処理(
図4(A);状態情報取得処理(S101))を追加してもよい。例えば、バッテリ情報問合せ処理(S501)の前またはバッテリ情報記憶処理(S505)の後に状態情報取得処理(S101)を追加する。これにより、充電装置50の充電動作中においても前述した(1)~(7)の状態情報(入力電圧VCi、入力電流ICi、出力電圧VCo、出力電流ICo、装置内振動GCi、装置内温度TCi、装置内湿度HCi)を取得することが可能になる。
【0098】
ステップS505のバッテリ情報記憶処理が完了すると、
図6の充電制御処理に戻ってステップS311により再び充電制御情報取得処理が行われる。即ち、監視端末装置121から送られてきた充電可能情報によって充電処理(S308)が開始されてバッテリ20a等が充電装置50により充電されている場合(充電中)に、監視端末装置121から充電装置50に当該バッテリ20a等に対する充電不可情報や充電停止指示情報が送信されることがある。そのため、充電中にも充電制御情報取得処理(S311)により充電制御情報を取得する。
【0099】
この場合の「充電不可情報」は、例えば、後で
図9を参照して説明するように、充電中の当該バッテリ20a等が、充電すべきバッテリではないにもかかわらず監視担当者Mの誤操作により充電「OK」のラジオボタン123gが選択されて「決定」ボタン123iが選択されてしまった場合や、事後的に充電を中止すべき理由が当該バッテリ20a等に生じた場合等に、当該監視担当者Mの操作により監視端末装置121から充電装置50に送信される充電制御情報である。
【0100】
また、「充電停止指示情報」は、例えば、充電装置50において電気的な不具合等の充電動作を継続すべきでない理由が充電中に生じた場合や、そのような理由が充電開始前から生じていたにもかかわらず充電動作を許容する「OK」ボタン123eが誤選択されてさらに「決定」ボタン123iが選択されてしまった場合等に、当該監視担当者Mの操作により監視端末装置121から充電装置50に送信される充電制御情報である。
【0101】
続くステップS313による充電継続判定処理では、充電中情報取得処理(S309)により取得された充電中バッテリ情報や充電制御情報取得処理(S311)により取得された充電制御情報に基づいて充電の継続が可能か否かの判定が行われる。例えば、バッテリ20a等の充電中電圧VBcや充電中電流IBcが所定の充電パターンに従った範囲内の電圧値や電流値である場合には、そのまま充電を継続するため「可能」の判定を行う(S311;可能)。
【0102】
これに対して、バッテリ20a等の充電中電圧VBcや充電中電流IBcが所定の充電パターンに従った範囲外の電圧値や電流値である場合には、充電処理を中止するため「不可」の判定を行う(S313;不可)。また、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRcや充電中室外温度TXcが所定の温度(例えば0℃~40℃)の範囲外である場合にも、バッテリ20a等の性能劣化がさらに進むことを防止するため「不可」の判定を行う。
【0103】
また、ステップS311の充電制御情報取得処理により取得された充電制御情報が「充電不可情報」や「充電停止指示情報」であった場合には、充電を停止(中止)する制御が監視担当者Mによる監視端末装置121の操作により行われている。そのため、このような場合にも充電処理を停止(中止)する「不可」の判定を行う(S313;不可)。
【0104】
ステップS313による充電継続判定処理により「不可」の判定が行われた場合には(S313;不可)、充電処理を中止するとともにエラー情報表示処理(S321)に処理を移行し、そのような判定の根拠になった所定の理由に関する情報をLEDの発光色もしくは点滅パターンまたは液晶表示パネルによる文字情報により表示部58に明示する。
【0105】
ステップS321によりエラー情報表示処理が行われると、次のエラー情報送信処理(S323)により、表示部58に表示したエラー情報を、例えば、所定のエラーコードにエンコードした後、通信部59aにより無線通信回線90aを介してBMU30a等に送信する。これにより、エラーコードを受信したBMU30a等(制御部32)は、例えば、制御部32のメモリに当該エラーコードによるエラー情報を記憶することによって、監視対象のバッテリ20a等に関するエラー履歴を記録したり更新したりすることが可能になる。なお、エラーコードの生成(エンコード)は、エラー情報表示処理(S321)やそれぞれの判定処理(S304,S313)において行ってもよい。
【0106】
充電装置50では、続くステップS325によりエラー情報記憶処理が行われる。この処理では、制御部54がそのメモリに当該エラーコードによるエラー情報をバッテリ20a等のバッテリIDに関連付けて記憶する。これにより、当該バッテリ20a等に関するエラー履歴が記録または更新される。
【0107】
これに対して、ステップS313により「不可」の判定が行われなかった場合、つまり「可能」の判定が行われた場合には(S313;可能)、現在、行われているバッテリ20a等の充電が完了したか否かを判定するため、ステップS315に処理を移行する。
【0108】
ステップS315ではバッテリ20a等の充電が完了したか否かの判定処理が行われる。例えば、充電中情報取得処理(S309)により取得される充電中電圧VBcや充電中電流IBcに基づいて、当該バッテリ20a等の充電完了の判定が行われる。また、充電開始後や所定電圧到達後からの経過時間に基づいて当該バッテリ20a等の充電完了の判定が行われる場合もある。そして、充電が完了していないと判定した場合には(S315;No)、再度、ステップS308による充電処理に戻る。また、充電が完了したと判定した場合には(S315;Yes)、充電を完了した旨を告知し得る充電完了情報を表示部58に表示した後、次のステップS317に処理を移行する。
【0109】
ステップS317の充電完了情報(充電情報)送信処理では、それまで充電を行っていたバッテリ20a等の充電を完了した旨の充電情報が当該バッテリ20a等のバッテリIDと紐付けられて監視端末装置121に送られる。この情報は、例えば、当該バッテリ20a等のバッテリIDとともに通信部59bにより無線通信回線90bを介して監視端末装置121に送信される。これにより、このような充電完了情報を受信した監視端末装置121では、その情報をメモリに記憶したり、後述するような情報をディスプレィ123に表示したりする。
【0110】
ステップS318では、制御部54のメモリに記憶されているIDリストに基づいて、全てのバッテリ20a等について充電を終了(完了)したか否かの充電全終了判定が行われる。例えば、充電完了判定処理(S315)において、充電を完了したバッテリ20a等のバッテリIDにその旨の情報(充電済み情報)を付加する。これにより、ステップS318において、このようなIDリストを参照することでバッテリIDに充電済み情報が付加されているか否かに基づいて充電全終了の判定が可能になる。
【0111】
そして、ステップS318の判定処理によって全て充電を終了したとは判定されない場合には(S318;No)、充電未了のバッテリ20a等が存在するため、ステップS301に処理を戻して充電制御情報取得処理等を再度行う。これに対して、全て充電を終了したと判定された場合には(S318;Yes)、充電未了のバッテリ20a等が存在しないことになるので、次のステップS319に処理を移行する。なお、予め定められた所定時間を経過しても全ての充電を終了できない場合には、強制的にステップS319に処理を移行するタイムアウト処理を行ってもよい。
【0112】
なお、充電装置50の状態情報(充電装置個別情報)を取得する処理(
図4(A);状態情報取得処理(S101))を、前述したステップS315やS318の判定処理の直後に追加してもよい。これにより、充電装置50の充電動作停止後においても、前述した(1)~(7)の状態情報(入力電圧VCi、入力電流ICi、出力電圧VCo、出力電流ICo、装置内振動GCi、装置内温度TCi、装置内湿度HCi)を取得することが可能になる。
【0113】
ステップS319の充電情報記憶処理では、上述した各判定処理(S304,S313)により判定された結果や、前述したバッテリ20a等の個別情報のうち、少なくとも、一旦登録された後は変動することのない上記(20)~(22)の各情報(バッテリ種類、公称電圧、定格容量)と、充電中の上記(23)~(28)の各情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc)とを除いた上記(11)~(19)の情報が、充電された当該バッテリ20a等のバッテリIDに関連付けられて制御部54のメモリに記憶される。また、上記(1)~(7)の各情報(入力電圧VCi、入力電流ICi、出力電圧VCo、出力電流ICo、装置内振動GCi、装置内温度TCi、装置内湿度HCi)を取得している場合には、これらの情報も充電装置50の動作情報(充電動作前、充電動作中や充電動作停止後をそれぞれ表す情報)に関連付けられて制御部54のメモリに記憶される。
【0114】
例えば、上記(11)~(15)の各情報(充電前電圧VBb、充電前液量LRb、充電前バッテリ温度TBb、充電前室内温度TRb、充電前室外温度TXb)については、取得された年月日時分秒の情報とともにメモリに保存される。また、上記(18),(19)の各情報(充電回数NTc、充電時間TMc)については、今回の充電に関して、充電回数NTcが1回加算され、また充電に要した時間が充電時間TMcに加算された情報がメモリに保存される。
【0115】
なお、制御部54のメモリ容量に余裕がある場合には、例えば、当該バッテリ20a等が今回充電されていた最中に取得された上記(23)~(28)の各情報(充電中電圧VBc、充電中電流IBc、充電中液量LRc、充電中バッテリ温度TBc、充電中室内温度TRc、充電中室外温度TXc)についても、充電された当該バッテリ20a等のバッテリIDに関連付けて取得された年月日時分秒の情報とともにメモリに保存してもよい。これにより、例えば、各バッテリ20a等の充電情報を経時的に蓄積することができるので、例えばバッテリ20a等に関する統計処理の元データとしてこれらのデータを活用することが可能になる。
【0116】
<監視端末装置121の充電装置コントロール処理>
次に、
図8に示す充電装置コントロール処理の流れを説明する。監視端末装置121は、バッテリ20a等や充電装置50の稼働状態を監視担当者Mが監視したり操作したりし得る情報端末装置である。充電装置コントロール処理は、例えば、監視端末装置121にインストールされた所定のアプリケーションソフト(例えば、フォークリフトバッテリ管理アプリ)の一機能として提供される。そのため、当該アプリのメイン画面等において、充電装置コントロール処理の対応アイコンが選択されることにより、本充電装置コントロール処理が起動される。
【0117】
図8に示すように、充電装置コントロール処理では、まずステップS1001により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、後で
図9を参照しながら説明するバッテリ20a等の個別情報一覧表に関する表示フォーマットや初期値等が設定される。
【0118】
次のステップS1003では個別情報等受信処理が行われる。前述したように、本第1実施形態では、個別情報収集処理(S200)の個別情報等送信処理(
図5;S209)により、充電装置50から、IDリストに登録された全てのバッテリ20a等に関する個別情報(上記(11)~(22))、バッテリID(またはバッテリID)および充電装置50の状態情報(上記(1)~(7))が送られてくる。そのため、このステップS1003では、充電装置50から無線通信回線90bを介して送信されるこれらの情報を受信する処理が行われる。
【0119】
続くステップS1005では異常値等検出処理が行われる。この処理は、ステップS1003の個別情報等受信処理により充電装置50から受信された情報のうちのバッテリ個別情報(上記(11)~(22))と充電装置個別情報(上記(1)~(7))に基づいて、バッテリ20a等や充電装置50に発生し得る異常やその他の検出が行われる。検出結果は、各バッテリ20a等のバッテリIDや充電装置50の充電装置IDに紐付けられて監視端末装置121のメモリに記憶される。
【0120】
例えば、バッテリ20a等については、充電前液量LRbが第1所定量未満の場合、充電前バッテリ温度TBb、充電前室内温度TRbや充電前室外温度TXbが所定の第1温度(例えば0℃~40℃)の範囲外の場合、充電すると当該バッテリ20a等の性能劣化に繋がり得るため「異常」が検出される。また、例えば、当該バッテリ20a等の使用回数NTuや充電回数NTcがバッテリ交換を要する所定回数を超えていたり、バッテリ20a等の使用時間TMuや充電時間TMcがバッテリ交換を要する所定時間を超えていたりする場合にも、当該バッテリ20a等はその交換が必要になるため「異常」が検出される。なお、バッテリ20a等の充電前電圧VBbが充電を行う必要のない所定電圧値以上である場合には、その他として「充電不要」が検出される。
【0121】
また、充電装置50については、例えば、入力電圧VCi、入力電流ICi、出力電圧VCoや出力電流ICoがそれぞれの所定電圧値の範囲外である場合には、バッテリ20a等に対して正常な充電動作が行われない可能性や、充電装置50に故障が発生する可能性があり得るため「異常」が検出される。充電装置50の充電動作前であるにもかかわらず、入力電流ICiや出力電流ICoが規定値を超えて流れている場合には「異常」が検出される。また、装置内温度TCi、装置内湿度HCiや装置内振動GCiがそれぞれの所定規定値の範囲外である場合においても、充電装置50が充電動作を行うと故障の発生や不十分な充電に繋がり得るため「異常」が検出される。
【0122】
続くステップS1007では一覧表作成処理が行われる。この処理は、監視端末装置121のディスプレィ123に表示される個別情報一覧表を生成するものであり、IDリストに登録された全てのバッテリ20a等の個別情報(上記(11)~(22))と、充電装置50の状態情報(上記(1)~(7))を表示し得る表が作成される。この一覧表においては、各個別情報の左端に表示されている□印の表示色により、ステップS1005で検出された異常等の有無情報を明示する。例えば、異常等が有る場合には黒色の■印が表示される。
【0123】
また、本第1実施形態では、例えば、バッテリ20については、各バッテリ20a等ごとに個別情報を集約して表示する形式(以下「集約形式」という)を採用している(
図9参照)。図示されていないが、これらのバッテリ個別情報の項目ごとに各バッテリ20a等の同じ種類の情報同士を比較可能に表示する形式の一覧表を作成し得るように構成してもよい。
【0124】
次のステップS1009では一覧表表示処理が行われる。この処理では、例えば、
図9に示すように、ディスプレィ123の画面上側に充電装置50の状態情報(充電装置個別情報)と当該充電装置50の充電装置IDが一覧可能に集められた情報エリア123aが表示され、またその画面左側には、当該充電装置50の運転(つまり充電動作)を許容する「OK」ボタン123eと拒否する「NG」ボタン123fとを含む選択エリア123bが表示される。
【0125】
また、情報エリア123aの画面下側には、バッテリ20a等ごとに集約形式の一覧表が表された情報エリア123cが表示され、その画面左側には当該バッテリ20a等の充電の可否を選択可能なラジオボタン123gを含む選択エリア123dが表示されている。
図9では、1番目のバッテリ#01(バッテリ20a)から3番目のバッテリ#03(バッテリ20c)までのバッテリ個別情報がそれぞれ表される。バッテリ#04以降の個別情報が存在する場合には、画面を上方向にスクロールさせることで表示される。
【0126】
監視端末装置121では、ディスプレィ123に表示される情報エリア123a,123cや選択エリア123b,123dにおいて、例えば、個別情報表示機能、充電制御指示機能、異常等表示機能を備えている。
【0127】
個別情報表示機能は、情報エリア123c,123aにおいて、バッテリ20a等や充電装置50の個別情報を表示する機能である。例えば、
図9に示すように、バッテリ20aについては、そのバッテリIDや上述した(20)~(22)の個別情報に対応するものとして、バッテリIDが「#01」、バッテリ種類が「Pb」、公称電圧が「48V」、定格容量が「280Ah」であることが情報エリア123cの一番上に表示される。バッテリ種類の「Pb」は鉛電池を意味し、リチウム電池の場合には「Li」と表示される。また、その下側において、上記(11)~(19)のバッテリ情報に対応するものとして、充電前端子電圧が「41V」、充電前電解液量が「100%」、充電前バッテリ温度が「30℃」、充電前室内温度が「30℃」、充電前室外温度が「27℃」、使用回数が「123回」、使用時間が「1234時間」、充電回数が「123回」、充電時間が「456時間」、であることが表示される。
【0128】
また、充電装置50については、その充電装置IDや上述した(1)~(7)の状態情報に対応するものとして、情報エリア123aの一番上において、充電装置IDが「#91」であることが表示され、またその下に、入力電圧が「200V」、入力電流が「0.5A」、出力電圧が「48.1V」、出力電流が「0.0A」、装置内温度が「35℃」、装置内湿度が「47%」、装置内振動が「0.4Gal」、であることが表示される。この表示例では、充電開始前であることから、充電装置50の入力電流や出力電流は非常に少ないかゼロである。
【0129】
充電制御指示機能は、充電装置50に対する充電可能情報や充電不可情報を監視担当者Mが監視端末装置121を介して当該充電装置50に出力するものである。本第1実施形態では、充電装置50の運転(充電動作)については、例えば、選択エリア123b内に表示される「OK」ボタン123eまたは「NG」ボタン123fのいずれかを選択した後、「決定」ボタン123iを選択することによって、後述するように充電可能情報や充電不可情報が充電装置50に送信される。例えば、「OK」ボタン123eや「NG」ボタン123fは、ポインティングデバイスやタッチペン等で触れることで選択(キーボード125による選択も含む、以下同じ)されて、文字情報とその背景がネガポジ反転して表示される(例えば「OK」ボタン123e)。なお、「戻る」ボタン123hは、この充電装置コントロール処理を終了して(S1013;Esc)、所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る場合に選択される。
【0130】
また、バッテリ20a等の充電については、選択エリア123d内に表示される2つのラジオボタン123gのいずれかを選択した後、「決定」ボタン123iを選択することにより、後述するように充電可能情報や充電不可情報が送信される。ラジオボタン123gは、未選択の状態は○(白丸)印であり、ポインティングデバイスやタッチペン等で触れることで選択されて○印内に●(黒丸)印が表示される。
図9では、例えば、バッテリID「#01」の選択エリア123dに表示される「OK」に対応するラジオボタン123gが選択され、またバッテリID「#03」の選択エリア123dに表示される「NG」に対応するラジオボタン123gが選択されている。この例では、「OK」のラジオボタン123gが選択されると「OK」の文字色が濃く表示され、また「NG」のラジオボタン123gが選択されると選択エリア123d内の文字情報とその背景がネガポジ反転して表示される。
【0131】
異常等表示機能は、前述の異常値等検出処理(S1005)による検出結果に基づくものであり、例えば、充電装置50の充電装置個別情報やバッテリ20a等のバッテリ個別情報に対応する値が、正常時基準値として予め定められた閾値を超えたり満たなかったりした異常値の場合にその情報を明示するものである。本第1実施形態では、例えば、各個別情報の左端に表示されている□(白四角)印が■(黒四角)印に変化して当該基準値を超えていたり基準値に満たなかったりする情報を表示する。
図9では、バッテリID「#02」の情報エリア123cに表示される各個別情報のうち、充電前端子電圧「46V」の左側に表示される■印が充電時の正常時基準値を超えていること、つまり「充電不要」であることを明示している。また、バッテリID「#03」の充電回数「1001回」の左側に表示される■印は、許容回数1000回を超えていることを明示している。
【0132】
このような充電制御情報(充電可能情報や充電不可情報)の入力は、ステップS1011の充電制御情報入力処理により受け付けられて、「決定」ボタン123iの選択により充電制御情報の入力が確定する。「決定」ボタン123iの選択があるか否かの判定はステップS1013の入力確定判定処理により行われる。即ち、「決定」ボタン123iが選択されるまで(S1013;No)、充電制御情報の入力を受け付ける(S1011)。そして、「決定」ボタン123iが選択されたと判定された場合には(S1013;Yes)、入力が確定した充電制御情報に基づいて充電装置50に送信する送信データとして作成した後(S1015)、当該送信データを送信する(S1017)。
【0133】
これにより、監視端末装置121から送信された送信データは、回線終端装置122、インターネット100やアクセスポイント110を経由した後、無線通信回線90bを介して充電装置50に届くことによって、前述したような充電装置50によるバッテリ20a等の充電制御が行われる。つまり、バッテリ20a等に対する充電装置50の充電動作を監視端末装置121から遠隔で制御することが可能になる。
【0134】
ステップS1017による充電制御情報送信処理が終了すると、一連の本充電装置コントロール処理を終了して所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る。なお、ステップS1013による入力確定判定処理において、「戻る」ボタン123hが選択されたり、キーボード125の「Esc」キーが押下されたりしたと判定された場合には(S1013;Esc)も、本充電装置コントロール処理を終了して、所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る。
【0135】
以上説明したように、本第1実施形態の充電システム2では、ディスプレィ123およびキーボード125を有しインターネット100に接続される監視端末装置121と、監視端末装置121から離れた地点に設けられて当該監視端末装置121に対して情報通信可能にインターネット100に無線通信回線90bを介して接続される充電装置50と、充電装置50に充電される複数のバッテリ20a等のそれぞれに対応して設けられて、対応するバッテリ個別情報を無線通信回線90aを介して充電装置50に送信する複数のBMU30a等と、を含む。
【0136】
そして、充電装置50は、BMU30a等から送信されてくるバッテリ個別情報(上記(11)~(22))を複数のバッテリ20a等のそれぞれについて受信して蓄積する。また、充電装置50は、その蓄積された複数のバッテリ20a等に対応するバッテリ個別情報(上記(11)~(22))および充電装置個別情報(上記(1)~(7))を監視端末装置121に送信する。これに対して、監視端末装置121は、充電装置50から受信したバッテリ個別情報(上記(11)~(22))および充電装置個別情報(上記(1)~(7))をディスプレィ123に表示したり、ポインティングデバイス等から入力された充電制御情報に基づいて複数のバッテリ20a等に対する充電装置50の充電動作を制御したりする。
【0137】
これにより、監視端末装置121から離れた地点に設けられた充電装置50の充電装置個別情報やそれに充電される複数のバッテリ20a等のバッテリ個別情報であっても、当該監視端末装置121のディスプレィ123に表示されるので、監視担当者Mは、当該充電装置50が設置された現場に出向くことなく、充電装置個別情報やバッテリ個別情報を把握することが可能になる。また、当該監視端末装置121のポインティングデバイス等から、複数のバッテリ20a等に対する充電装置50の充電動作を「予約的に」制御することが可能になる。したがって、監視担当者Mは、バッテリ20a等やその充電装置50に関する情報を遠隔でも容易に把握することができる。
【0138】
また、このような複数のバッテリ20a等のバッテリ個別情報(上記(11)~(22))は、充電装置50に集められた(蓄積された)後、監視センタ120の監視端末装置121に対して、無線通信回線90bを介して送信される。そのため、無線通信回線90bの利用について通信費用が必要になる場合には、それぞれのBMU30a等が無線通信回線90bを介して個々にバッテリ個別情報を監視端末装置121に送信するシステム構成に比べて、回線開通時の初期費用や運用時の通信費用を大幅に低減することが可能になる。
【0139】
さらに、このような充電装置個別情報やバッテリ個別情報に基づいて、充電装置50、バッテリ20a等やBMU30a等に故障等の不具合の発生も把握することが可能になり、また故障等の発生原因についても把握できる場合がある。そのため、従来では、充電装置50が設置されている現場に出向かないと把握できなかった故障等の発生原因について遠隔で解明することが可能になるので、例えば、サービスマンによる迅速かつ的確な故障対応を提供することができる。
【0140】
また、本第1実施形態の充電システム2では、BMU30a等から送られてくるバッテリ20a等のバッテリ個別情報(上記(11)~(22))に基づいてバッテリ20a等の異常の有無を監視端末装置121が検出したり、充電装置50の状態情報(上記(1)~(7))に基づいて当該充電装置50の異常の有無を監視端末装置121が検出したりして、その検出結果をディスプレィ123に表示される一覧表において出力するように充電装置コントロール処理(
図8)のアルゴリズムを構成した(S1005,S1009)。これにより、バッテリ20a等や当該充電装置50の異常診断が監視センタ120の監視端末装置121により行われるとともにその結果がディスプレィ123に表示されるので、監視担当者Mは、充電しても問題のない(充電可能な)バッテリ20と充電が望ましくない(充電不能な)バッテリ20とを一見して判別することが可能になる。したがって、監視担当者Mは、バッテリ20a等やその充電装置50に関する情報として遠隔診断の結果情報を容易に把握することができる。
【0141】
[第2実施形態]
次に、本発明の充電システムの第2実施形態について
図10~
図14を参照して説明する。上述したように、第1実施形態の充電システム2では、監視センタ120の監視端末装置121において、バッテリ個別情報(上記(11)~(22))や充電装置個別情報(上記(1)~(7))をディスプレィ123に表示したり、またキーボード125やポインティングデバイス等から入力された充電制御情報に基づいて複数のバッテリ20a等に対する充電装置50の充電動作を「予約的に」制御したりし得るように構成した。
【0142】
しかし、充電ケーブル70を介して充電装置50に接続されているバッテリ20a等に対しては、充電の開始指示や停止指示を監視端末装置121から送信して遠隔でも充電装置50をリアルタイムに操作した方が都合のよい場合がある。例えば、フォークリフト10a等を運転する作業員が当該充電装置50の操作に不慣れな場合や、フォークリフト10a等が稼動する現場の電力供給の都合によりバッテリ20a等の充電スケジュールが綿密であり当該現場の作業員ではその対応が難しい場合等である。
【0143】
そこで、本第2実施形態に係る充電システム2’では、監視端末装置121’を操作する監視担当者Mが、充電装置50’による充電開始や充電停止をリアルタイムに遠隔で制御し得るように構成した。なお、充電システム2’のシステム構成やフォークリフト10、バッテリ20、BMU30や充電装置50’の各ハードウェア構成は、第1実施形態の充電システム2(
図1~
図3)と同様であるので図示を省略する。また、
図10~
図14においては、第1実施形態の充電システム2と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0144】
<充電装置50’の主制御処理>
図10に示すように、本第2実施形態の充電装置50’で行われる主制御処理では、まずステップS100により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部54のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域をクリアしたり後述の判定結果フラグを「充電不可」を意味するオフにセットしたする。この判定結果フラグは、例えば、バッテリ20a等のバッテリIDごとに関連付けされた各ビットと、充電装置50’の充電装置IDに関連付けされた1ビットと、の集まり(複数ビット)で構成されている。ここでは全ビットがオフにセットされる。
【0145】
次のステップS101では状態情報取得処理が行われる。この処理は、充電装置50’が備える前述の各センサ61~67から出力される充電装置個別情報(本第1実施形態の(1)~(7)と同じ)をメモリに記憶する。
【0146】
続くステップS600では個別情報収集処理が行われる。この処理は、個別情報取得処理(S605(S400))により取得されたバッテリ情報(本第1実施形態の(11)~(19)と同じ)に基づいて異常有無判定処理(S607)を行うとともに、それに関連した各処理(S609,S613)が含まれる点で第1実施形態の個別情報収集処理(S200)と異なる。
【0147】
次のステップS300’では充電制御処理が行われる。本第2実施形態では、充電ケーブル70を介して充電装置50’に接続されているバッテリ20a等に対して充電を行うことから、ステップS300’の充電制御処理では、まず最初に当該充電装置50’にバッテリ20a等が接続されているか否かを判定し(S302)、接続されている場合にはその情報を監視センタ120の監視端末装置121’に送信した後(S305)、監視端末装置121’から充電制御情報を取得する処理(S306)が行われる点で第1実施形態の充電制御処理(S300)と異なる。充電制御処理(S300’)については後述する。
【0148】
<充電装置50’の受信制御処理>
充電装置50’により行われる受信制御処理は、第1実施形態の受信制御処理(
図4(B)と同様であるため、説明を省略する。
<充電装置50’の個別情報収集処理>
図11に示すように、充電装置50’により行われる個別情報収集処理(S600)では、まずステップS601によりバッテリID受信処理が行われた後、次のS603により既登録IDであるか否かが判定され、制御部54のメモリに記憶されたIDリストに登録されているバッテリIDである場合には(S603;Yes)、ステップS605の個別情報取得処理が行われる。また、そのバッテリIDがIDリストに登録されていない場合には(S603;No)、IDリストに登録されているバッテリIDを有する全てのBMU30a等についてバッテリ情報(上記(11)~(19))が取得されたか否かを判定する処理(S611)に移行する。これらの各処理(S601,S603,S605)は、第1実施形態の個別情報収集処理のステップS201,S203,S205の各処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0149】
ステップS607では、個別情報取得処理(S605(S400))により取得されたバッテリ情報(上記(11)~(19))に基づいて充電装置50’が充電を行う可能性のあるバッテリ20a等の異常の有無を判定する処理が行われる。また、この処理では、状態情報取得処理(S101)により取得された状態情報(上記(1)~(7))に基づいて当該充電装置50’の異常有無の判定も行われる。なお、上記(11)~(19)に関する例示やそれらに基づく判定例、また上記(1)~(7)に関する例示やそれらに基づく判定例については、第1実施形態で説明した充電装置コントロール処理(
図8)における異常値等検出処理(S1005)の場合と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0150】
そして、ステップS607による異常有無判定処理により「異常」と判定された場合には(S607;有り)、当該バッテリ20a等に対しては充電装置50’により充電を行うことは望ましくないため、後述する判定処理(S611)に移行する。これに対して、ステップS607により「無し」と判定された場合には(S607;無し)、続くステップS609により判定結果記憶処理が行われる。
【0151】
ステップS609の判定結果記憶処理では、制御部54のメモリ(RAM)に記憶されている判定結果フラグをオンにセットする。判定結果フラグは、前述した所定の初期化処理(S100)において全ビットがオフ(充電不可)に設定されている。そのため、この判定結果記憶処理(S609)では、ステップS607の判定処理により「無し」と判定されたバッテリ20a等や当該充電装置50’に対応する判定結果フラグ(ビット)のみがオンにセットされて「充電可能」の判定結果情報(充電可能情報)が記憶される。
【0152】
なお、前述の判定処理により既登録IDでないと判定されたり(S603;No)、異常あり(S607;有り)と判定されたりしたバッテリ20a等については、ステップS609の判定結果記憶処理が行われない。そのため、これらのバッテリ20a等に関連付けられている判定結果フラグ(ビット)は「充電不可」を意味するオフに設定されたままメモリに保持されることから、判定結果情報としては「充電不可」の情報(充電不可情報)が記憶される。
【0153】
続くステップS611では、制御部54のメモリに記憶されているIDリスト(当該充電装置50’により充電可能なバッテリ20a等またはそのBMU30a等のバッテリIDを登録した情報)に基づいて、全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報(第1実施形態の(11)~(22)と同じ)を取得したか否かの判定が行われる。例えば、バッテリ個別情報を既に取得したバッテリ20a等のバッテリIDにはその旨の情報(取得済み情報)を付加することにより、当該付加情報の有無に基づいてバッテリ個別情報を取得済みか否かの判定を行う。
【0154】
ステップS611の判定処理によって全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得したとは判定されない場合には(S611;No)、バッテリ個別情報を取得できていないバッテリ20a等が存在するため、ステップS601に処理を戻してバッテリID受信処理等が再度行われる。これに対して、全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得したと判定された場合には(S611;Yes)、バッテリ20a等の全てについてバッテリ個別情報を取得することができたことになるので、次のステップS613に処理を移行する。なお、予め定められた所定時間を経過しても全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報を取得できない場合には、強制的にステップS613に処理を移行するタイムアウト処理を行ってもよい。
【0155】
ステップS613では判定結果等送信処理が行われる。この処理は、前述の異常有無判定処理(S607)による判定結果情報(判定結果フラグ)と、バッテリ20に関する情報(バッテリ個別情報等)として、前述の個別情報取得処理(S605(S400))により取得された当該バッテリ20a等の個別情報(上記(11)~(22))および当該バッテリ20a等のバッテリID(またはIDリスト)と、充電装置50’に関する情報(充電装置個別情報等)として、状態情報取得処理(S101)により取得された当該充電装置50’の状態情報(上記(1)~(7))および当該充電装置50’に紐付けられて付与された充電装置IDと、を通信部59bにより無線通信回線90bを介して監視端末装置121’に送信する。
【0156】
これにより、判定結果情報(判定結果フラグ)と、全てのバッテリ20a等のバッテリ個別情報やこれらに紐付けされたバッテリIDまたはIDリストと、充電装置50’の状態情報(充電装置個別情報)とその充電装置IDと、が監視端末装置121’に一時期にまとめて送信される。そのため、当該監視端末装置121’では、後述の充電装置コントロール処理において、当該バッテリ20a等の個別情報等を一括して取得(受信)することが可能になる。一連の本個別情報収集処理が終了すると
図10の主制御処理に戻る。
【0157】
<充電装置50’の充電制御処理>
図12に示すように、充電装置50’により行われる充電制御処理(S300’)では、まずステップS302により当該充電装置50’にバッテリ20a等が接続されているか否かが判定されてバッテリ20a等が接続されるまで(S302;Yes)、この判定処理が繰り返し行われる(S302;No)。そして、バッテリ20a等が充電装置50’に接続されると、ステップS303のバッテリ識別処理が行われる。これらの各処理(S302,S303)は、第1実施形態の充電制御処理のステップS302,S303の各処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0158】
ステップS303のバッテリ識別処理によって、充電ケーブル70で接続された任意のバッテリ20(例えば、バッテリ20a)が識別されてバッテリIDの情報が得られると、充電装置50’によりバッテリ20aに充電することが可能になる。そのため、次のステップS305によって、監視センタ120の監視端末装置121’に対して充電の準備が完了した旨の充電準備完了情報(充電情報)を送信する充電準備完了情報送信処理が行われる。後述するように、監視端末装置121’の充電装置コントロール処理(
図13)では、この充電情報を受信すると(S1209)、ディスプレィ123に当該バッテリ20aの充電準備が整った情報が表示されるため、監視担当者Mはそのバッテリ20aに対する充電開始の指示が可能になる。
【0159】
続くステップS306では充電制御情報取得処理が行われる。この処理は、監視端末装置121’から送信されてくる充電制御情報、即ち充電の準備が完了した当該バッテリ20aに対する充電開始指示情報等の取得が行われる。そして、次のステップS307の充電開始判定処理により、ステップS306で取得した充電情報が充電開始指示情報であるか否かが判定される。本第2実施形態では、これらの充電制御情報取得処理(S306)と充電開始判定処理(S307)が充電開始指示情報が取得されるまで(S307;可能)、または予め定められた所定時間が経過するまで(S307;Time's UP)、繰り返し行われる(S307;不可)。
【0160】
ステップS307の判定処理により所定時間が経過したと判定された場合には(S307;Time's UP)、所定時間内に充電開始指示がなかった旨の情報をLEDの発光色もしくは点滅パターンまたは液晶表示パネルによる文字情報により充電装置50’の表示部58に明示する。また、第1実施形態の場合と同様に、エラー情報表示処理(S321)やエラー情報記憶処理(S325)を実行した後、ステップS318の判定処理に移行する。
【0161】
ステップS307の判定処理により充電開始指示情報であると判定された場合には(S307;可能)、次のステップS308により充電処理が行われる。この充電処理(S308)を含めて、この後に行われる各処理(S309(S500),S311,S313,S315,S317,S318,S319,S321,S323,S325)は、第1実施形態の充電制御処理(
図6)とほぼ同様である。第1実施形態との相違点は、ステップS311により取得される充電制御情報に含まれる充電停止指示情報には、後述するように監視担当者Mの操作によるラジオボタン123gの選択により充電の停止を指示する場合が含まれる点である。
【0162】
<監視端末装置121’の充電装置コントロール処理>
図13に示すように、本第2実施形態の監視端末装置121’で行われる充電装置コントロール処理では、まずステップS1201により所定の初期化処理が行われた後、次のステップS1203により判定結果等受信処理が行われる。前述したように、本第2実施形態では、個別情報収集処理の判定結果等送信処理(
図11;S613)により、充電装置50’から、判定結果情報(判定結果フラグ)と、IDリストに登録された全てのバッテリ20a等に関するバッテリ個別情報(上記(11)~(22))および当該バッテリ20a等のバッテリID(またはIDリスト)と、当該充電装置50’の状態情報(上記(1)~(7))および当該充電装置50’の充電装置IDと、が送られてくる。そのため、このステップS1203では、充電装置50’から無線通信回線90bを介して送信されるこれらの情報を受信する処理が行われる。
【0163】
続くステップS1205では、次のステップS1207によりディスプレィ123に表示する個別情報一覧表が生成される。この一覧表は、S1203により受信したバッテリ20a等のバッテリ個別情報(上記(11)~(22))と充電装置50’の充電装置個別情報(上記(1)~(7))を表示し得る表が作成される。この一覧表においては、各個別情報の左端に表示されている□印の表示色により、判定結果情報(判定結果フラグ)に基づく異常情報を明示する。例えば、異常等が有る場合には黒色の■印が表示される。なお、ディスプレィ123の情報エリア123a,123cに表示されている情報は、第1実施形態の場合(
図9)と同様である。そのため、ここでは、第1実施形態の場合との相違点を中心に説明する。
【0164】
本第2実施形態では、監視端末装置121’を操作する監視担当者Mが、充電装置50’による充電開始や充電停止をリアルタイムに遠隔で制御することが可能である。そのため、充電開始や充電停止を指示する情報として、充電開始指示情報と充電停止指示情報が監視担当者Mの操作により監視端末装置121’に入力可能に構成される。これらの入力は選択エリア123dにおいて行われる。
【0165】
例えば、ステップS1209の充電情報受信処理により、充電装置50’から送信されてくる充電の準備が完了した旨の充電準備完了情報(
図12;S305)を受信して取得した場合には、ステップS1207により表示した一覧表を更新して(S1211)、監視担当者Mにその旨を視認可能に表示する。本第2実施形態では、例えば、充電の準備が整ったバッテリ20については、その充電の開始や停止を選択可能な選択エリア123dに表示される「充電」の文字色を黒色に変更する。
【0166】
図14に示すディスプレィ123の画面表示の例では、1番目のバッテリ「#01」(バッテリ20a)の選択エリア123dでは「充電」の文字色が黒色で表示されているのに対して、2番目のバッテリ「#02」(バッテリ20b)の選択エリア123dで「充電」の文字色が薄灰色で表示されている。これは、バッテリID「#01」のバッテリ20aは充電準備が完了しているのに対して、バッテリID「#02」のバッテリ20bはそれが完了していない(バッテリ20bは充電装置50’に接続されていない)ことを表している。
【0167】
また、選択エリア123dにおいて、ラジオボタン123gが選択された場合には、選択されたラジオボタン123gに対応する「開始」または「停止」の文字色が他よりも濃く表示される。例えば、バッテリID「#01」のバッテリ20aのラジオボタン123gは、「開始」の方が「停止」よりも文字色が濃いことから、ラジオボタン123gにより「開始」が選択されていることを表している。
【0168】
さらに、ステップS1209の充電情報受信処理により、充電装置50’から送信されてくる充電が完了した旨の充電完了情報(
図12;S317)を受信して取得した場合にも、ステップS1207により表示した一覧表を更新して(S1211)、監視担当者Mにその旨を視認可能に表示する。例えば、バッテリID「#01」のバッテリ20aの充電が完了した場合には、「開始」および「停止」の文字色が薄く表示されて「終了」文字色が濃く表示される。
【0169】
なお、第2実施形態においても、監視端末装置121’は第1実施形態で説明した3つの機能(個別情報表示機能、充電制御指示機能、異常等表示機能)を備えている。そのため、個別情報表示機能として、第1実施形態と同様に、ディスプレィ123に表示される情報エリア123a,123c等において、バッテリ20a等のバッテリ個別情報(上記(11)~(22)に対応するもの)とそれらのバッテリID、また充電装置50’の充電装置個別情報(上記(1)~(7)に対応するもの)とその充電装置IDを出力し得る。
【0170】
また、充電制御指示機能として、前述したように、選択エリア123dに表示されるラジオボタン123gと「決定」ボタン123iを監視担当者Mが選択することによって充電装置50’に対する充電開始指示情報や充電停止指示情報を監視端末装置121’を介して当該充電装置50’に出力し得る。
【0171】
さらに、異常等表示機能として、充電装置50’から送信されてくる判定結果情報(判定結果フラグ)に基づいて、第1実施形態と同様に、例えば、情報エリア123a,123cにおいて、正常時基準値を超えていたり正常時基準値に満たなかったりする情報に対しては、各個別情報の左端に■(黒四角)印を表示して異常値であることを表す。これにより、充電装置50’の充電装置個別情報やバッテリ20a等のバッテリ個別情報に対応する値が、正常時基準値として予め定められた閾値を超えたり満たなかったりした異常値の場合にその情報を明示し得る。
【0172】
また、本第2実施形態では、このような各個別情報の左端の表示に加えて、充電を禁止するバッテリ20については、選択エリア123d内に「充電不可」という文字情報をネガポジ反転させて表示させるとともに、充電の開始指示を不能にする機能を備えている(
図14に示すバッテリID「#03」のバッテリ20c)。充電を禁止する条件は、例えば、累積された、使用回数、使用時間、充電回数や充電時間のいずれかが上限値に到達していること等である。
図14に示す表示例では、バッテリ20cは、その累積充電回数が許容回数の上限値(例えば1000回)を超えていることから、選択エリア123d内に「充電不可」が表示されている。
【0173】
なお、送信データ生成処理(S1217)や充電制御情報送信処理(S1219)は、第1実施形態の充電装置コントロール処理(
図8)における送信データ生成処理(S1015)や充電制御情報送信処理(S1017)と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
【0174】
このような一覧表示の更新や充電制御情報の入力を制御する各処理(S1209,S1211,S1213,S1215,S1217,S1219)は、情報エリア123aに表示された全てのバッテリ20a等の充電が完了するまで繰り返し行われ(S1221;No)、全てのバッテリ20a等の充電が完了した場合には(S1221;Yes)一連の本充電装置コントロール処理を終了して所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る。ステップS1215による入力確定判定処理において、「戻る」ボタン123hが選択されたり、キーボード125の「Esc」キーが押下されたりしたと判定された場合にも(S1215;Esc)、本充電装置コントロール処理を終了して、所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る。
【0175】
監視端末装置121’から送信された送信データは、回線終端装置122、インターネット100やアクセスポイント110を経由した後、無線通信回線90bを介して充電装置50’に届くことによって、前述したような充電装置50’によるバッテリ20a等の充電制御が行われる。つまり、バッテリ20a等に対する充電装置50’の充電動作を監視端末装置121’から遠隔でリアルタイムに制御することが可能になる。
【0176】
以上説明したように、本第2実施形態の充電システム2’では、複数のバッテリ20a等のうちの任意のバッテリ20aが充電装置50’に対して充電ケーブル70を介して接続されている場合には、監視センタ120の監視端末装置121’は、ポインティングデバイス等から入力された制御情報に基づいて当該バッテリ20aに対する充電装置50’の充電開始と充電停止(充電終了)を制御する。これにより、監視端末装置121’から離れた地点に設けられた充電装置50’であっても当該バッテリ20aに対する充電開始と充電停止(充電終了)を遠隔でありながらリアルタイムに操作することが可能になる。
【0177】
したがって、バッテリ20a等やその充電装置50’に関する情報を遠隔でも容易に把握することに加えて、バッテリ20a等の充電開始や充電終了(充電停止)を遠隔で操作することができる。また、バッテリ20a等の充電開始や充電終了(充電停止)を遠隔で操作することにより、フォークリフト10a等が稼動する現場の電力需要を時間的にシフトさせることが可能になるので、当該現場の電力需要の時間点を時間的にずらしたり(ピークシフト)や電力需要の最大値を抑えたり(ピークカット)することが可能になる。
【0178】
また、本第2実施形態の充電システム2’では、充電装置50’は、BMU30a等から送信されてくるバッテリ個別情報や充電装置個別情報に基づいて、任意のバッテリ20aおよび充電装置50’について異常の有無をそれぞれ判定する。そして、当該バッテリ20aや充電装置50’に異常があると判定した場合には、当該異常に関する情報を監視端末装置121’に送信する。これを受信した監視端末装置121’は異常に関する情報をディスプレィ123に表示する。
【0179】
これにより、当該バッテリ20aや充電装置50’に異常がある場合には、監視端末装置121’のディスプレィ123に異常に関する情報が表示されるので、例えば、充電装置50’やバッテリ20a等の稼動状況を監視する監視担当者Mが、ディスプレィ123に表示される充電装置個別情報やバッテリ個別情報を見なくても充電装置50’やバッテリ20a等に異常が生じていることを知ることが可能になる。したがって、バッテリ20a等やその充電装置50’に関する情報を遠隔でも容易に把握することに加えて、任意のバッテリ20aや充電装置50’に異常が生じていることも遠隔で容易に把握することもできる。
【0180】
さらに、本第2実施形態の充電システム2’では、BMU30a等から送られてくるバッテリ20a等のバッテリ情報(上記(11)~(19))に基づいてバッテリ20a等の異常の有無を充電装置50’が判定したり、充電装置50’の状態情報(上記(1)~(7))に基づいて異常の有無を当該充電装置50’が判定したりするように個別情報収集処理(S600)のアルゴリズムを構成した。これにより、バッテリ20a等や当該充電装置50’の異常診断を監視センタ120の監視端末装置121’ではなく、充電装置50’で行うことが可能(ローカル診断が可能)になる。例えば、充電装置50’が複数台設置されているフォークリフト10a等の運用現場においては、このような異常診断を複数の充電装置50’により分散処理させることが可能になる。したがって、第1実施形態のようにこのような異常診断処理(
図8;S1005)を1台の監視端末装置121’に行わせる場合に比べて、第2実施形態では異常診断による負荷分散が可能になるので、監視端末装置121’による情報処理の負荷を軽減させることができる。
【0181】
なお、上述した第2実施形態では、バッテリ個別情報や充電装置個別情報として、「充電前」のバッテリ20a等のバッテリ個別情報(上記(11)~(22))や充電装置50’の充電装置個別情報(上記(1)~(7))を、監視端末装置121’のディスプレィ123に表示される一覧表において出力するように充電装置コントロール処理(
図13)のアルゴリズムを構成した。しかしこれらの情報のうち、バッテリ20a等の充電中に変動し得る情報、つまり充電中情報取得処理(S500)により得られる充電中バッテリ情報(第1実施形態の(23)~(28)と同じ)を、監視端末装置121’のディスプレィ123に表示される一覧表において出力するように充電制御処理(
図12)および充電装置コントロール処理(
図13)のアルゴリズムを構成してもよい。
【0182】
この場合には、充電装置50’により実行される充電制御処理(
図12)において、充電中情報取得処理(S309)と充電制御情報取得処理(S311)の間に、充電中バッテリ情報(上記(23)~(28))を監視端末装置121’に送信する充電中情報送信処理(S310)を追加する。また、監視端末装置121’により実行される充電装置コントロール処理(
図13)の充電情報受信処理(S1209)によって、この充電中情報送信処理(S310)により送信された充電中情報を充電情報として受信する。これにより、充電装置コントロール処理(
図13)の一覧表更新処理(S1211)が行われるごとに最新の充電中バッテリ情報(上記(23)~(28))が監視端末装置121’のディスプレィ123に表示される。つまり、充電中におけるバッテリ20a等の上記(23)~(28)の最新情報を監視担当者Mは、ほぼリアルタイムに把握することが可能になる。
【0183】
なお、充電制御処理(
図12)の充電中情報取得処理(S309(S500))において、バッテリ情報問合せ処理(
図7(B);S501)の前またはバッテリ情報記憶処理(
図7(B);S505)の後に状態情報取得処理(S101)を追加し、かつそれにより得られた充電動作中の上記(1)~(7)の状態情報も、先に追加した充電中情報送信処理(S310)により送信可能に充電制御処理(
図12)のアルゴリズムを構成する。これにより、充電装置コントロール処理(
図13)の一覧表更新処理(S1211)が行われるごとに充電動作中の充電装置50’の上記(1)~(7)の状態情報も最新のものが監視端末装置121’のディスプレィ123に表示される。つまり、充電中における充電装置50’の上記(1)~(7)の最新情報を監視担当者Mは、ほぼリアルタイムに把握することが可能になる。
【0184】
なお、上述した第1,2実施形態では、監視端末装置121,121’のディスプレィ123において、情報エリア123aに充電装置個別情報を表示し、また情報エリア123cにバッテリ個別情報を表示する場合を例示して説明したが、必要に応じてこれらの個別情報のうち一方だけをディスプレィ123に表示し得るように監視端末装置121’により実行される充電装置コントロール処理(
図8、
図13)のアルゴリズムを構成してもよい。
【0185】
また、上述した第1,2実施形態では、充電装置50,50’に設けられた表示部58に充電完了情報やエラー情報等を表示して現場の作業員等にそれらの情報を告知し得るように構成したが、例えば、当該作業員等に対する視認性の高い大型のLEDパネル等を表示部58に代えてまたは表示部58に加えて設けてもよい。また、監視端末装置121,121’から充電装置50,50’に対して任意の文字列を送信し、その文字列をこのようなLEDパネル等や表示部58に表示し得るように構成してもよい。これにより、現場の作業員等に対して、例えば、注意喚起を促したり安全管理を心がけたりを勧めるメッセージ等を明示することが可能になる。また、音響出力が可能な装置を表示部58に代えてまたは表示部58に加えて設けてもよい。これにより、当該装置により所定音が鳴動し得るように充電装置50,50’を構成することによって、当該作業員等に注意喚起を行うことが可能になる。
【0186】
[第3実施形態]
続いて、本発明の充電システムの第3実施形態について
図15~
図19を参照して説明する。上述したように、第1,2実施形態の充電システム2,2’では、監視センタ120の監視端末装置121,121’において、バッテリ個別情報(上記(11)~(22))や充電装置個別情報(上記(1)~(7))をディスプレィ123に表示したり、またキーボード125やポインティングデバイス等から入力された充電制御情報に基づいて複数のバッテリ20a等に対する充電装置50,50’の充電動作を制御したりし得るように構成した。
【0187】
しかし、充電装置50やBMU30a等のメンテナンス作業においては、充電装置50の制御部54やBMU30a等の制御部32に設定されている制御パラメータや動作パラメータを、現場作業ではなく監視センタ120から遠隔操作の作業によって変更(更新)した方が都合のよい場合がある。例えば、現場の作業員がこのような制御パラメータ等の変更作業に不慣れな場合や、作業工数の不足により当該現場の作業員ではこのような制御パラメータ等、手間のかかる作業の対応が難しい場合等である。
【0188】
そこで、本第3実施形態に係る充電システム2”では、例えば、充電装置50”の起動直後から約10分間に可能な始動時メンテナンスの期間において、監視端末装置121”を操作する監視担当者Mが、充電装置50”やBMU30”の制御パラメータや動作パラメータの更新作業を遠隔で行い得るように構成した。なお、充電システム2”のシステム構成やフォークリフト10、バッテリ20、BMU30”や充電装置50”の各ハードウェア構成は、第1実施形態の充電システム2(
図1~
図3)と同様であるので図示を省略する。また、
図15~
図19においては、第1実施形態の充電システム2や第2実施形態の充電システム2’と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0189】
<充電装置50”の主制御処理>
図15に示すように、本第3実施形態の充電装置50”で行われる主制御処理では、まずステップS100により所定の初期化処理が行わた後、ステップS101により状態情報取得処理が行われる。ここまでは第1実施形態と同じである。そして、ステップS103により装置情報取得処理が行われる。この処理では、当該充電装置50”の制御部54が行う充電制御において必要な制御パラメータの情報を取得する。
【0190】
制御パラメータの情報は、充電制御の方式により異なり、例えば、バッテリ20のバッテリセル23が鉛電池で構成されている場合には準定電圧充電方式で充電が行われるため、例えば、充電終止電圧値が所定値に設定されている。また急速充電の場合には、急速充電用の充電電流値および充電タイマ値がそれぞれ所定値に設定されている。また、これらの電圧や電流の所定値に対して温度補正を行う必要がある場合には温度補正値も設定されている。なお、バッテリ20のバッテリセル23がリチウム電池で構成されている場合には、例えば、定電流定電圧充電方式で充電が行われ、制御パラメータとして、充電電流値や充電終止電圧値等が設定される。
【0191】
ステップS200’の個別情報収集処理は、
図5に示す第1実施形態の個別情報収集処理(S200)とほぼ同じであるが、同図に表されている個別情報取得処理(S205(S400))が
図15(B)に示す個別情報取得処理(S400’)と入れ替わる点が異なる。そのため、ステップS200’の個別情報収集処理については、
図15(B)に示す個別情報取得処理(S400’)について説明し、他の処理については説明を省略する。
【0192】
なお、主制御処理の装置情報取得処理(S103)により取得される充電装置50”の制御パラメータの情報と、これから説明する個別情報取得処理(S400’)のBMU情報取得処理(S409)により取得されるBMU30”a等の動作パラメータの情報とは、個別情報収集処理(S200’)の個別情報等送信処理(S209)によって、バッテリ個別情報や充電装置個別情報と共に監視端末装置121”に送信される。
【0193】
<充電装置50”の個別情報取得処理>
図15(B)に示すように、個別情報取得処理(S400’)では、ステップS407の後にBMU情報取得処理が加えられている点だけが、
図7(A)に示す個別情報取得処理(S400)と異なる。即ち、まずステップS401によりBMU30”a等に対してバッテリ情報を問い合わせる処理が行われ、ステップS403によりバッテリ情報(本第1実施形態の(11)~(19)と同じ)を受信した後、それらを制御部54のメモリに記憶する。また、ステップS407により仕様情報(本第1実施形態の(20)~(22)と同じ)を制御部54のメモリに記憶されたIDリストから読み出す。これにより、バッテリ20a等のバッテリ個別情報(本第1実施形態の(11)~(22)と同じ)を取得している。
【0194】
本第3実施形態の個別情報取得処理(S400’)では、これに加えて、ステップS409によりBMU情報取得処理が行われる。この処理では、BMU30”a等が有するセンサであって監視対象のバッテリ20a等のバッテリ個別情報の取得に関与するセンサ、つまりセンサ35~38,81,83の動作に必要な動作パラメータの情報を取得する。
【0195】
具体的には、例えば、ステップS409のBMU情報取得処理により無線通信回線90aを介して予め定められた所定のコマンド(パラメータ情報要求コマンド)がBMU30”a等に送信されると、該当するBMU30”a等の通信部33が受信した後、そのパラメータ情報要求コマンドを当該BMU30”a等の制御部32が取得する。そして、そのコマンドを解析した当該制御部32が、メモリ(EPROM等)から各センサ35~38,81,83の各動作パラメータを読み出した後、当該充電装置50”に対して返信(送信)する。これにより、充電装置50”の制御部54は、BMU30”a等が有するセンサ35~38,81,83の動作パラメータの情報を取得することが可能になる。
【0196】
次のステップS690では、更新パラメータ情報を受信したか否かの判定処理が行われる。この処理は、後述するように、監視端末装置121”により実行される充電装置コントロール処理において、監視端末装置121”から充電装置50”に送信される更新パラメータ情報が届いているか否かを判定するものである。「更新パラメータ情報」は、例えば、監視担当者Mが監視センタ120の監視端末装置121”を操作することにより、充電装置50”の制御パラメータやBMU30”a等の動作パラメータを変更した場合に当該監視端末装置121”から送信される。
【0197】
このため、ステップS690の判定処理では、所定時間(例えば約10分間)内に更新パラメータ情報が充電装置50”に届くと続くステップS700のパラメータ更新処理に移行し(S690;Yes)、届かないと(S690;No)、再度、受信し、所定時間を経過しても更新パラメータ情報が届かない場合には(S690;Time's Up)、ステップS700のパラメータ更新処理をスキップして、ステップS300の充電制御処理に移行する。つまり、本第3実施形態の充電装置50”では、電源が投入されて本主制御処理が起動してから、約10分以内に更新パラメータ情報を受信できない場合には、制御パラメータ等を更新することなく、
図6の充電制御処理(S300)を実行し得るように本主制御処理のアルゴリズムが構成されている。
【0198】
なお、例えば、パラメータ更新なしの情報を監視端末装置121”が充電装置50”に送信しそれを充電装置50”が受信した場合には、このような所定時間の経過を待つことなく、
図6の充電制御処理(S300)を実行し得るように本主制御処理や後述する充電装置コントロール処理のアルゴリズムを構成してもよい。
<充電装置50”の受信制御処理>
充電装置50”により行われる受信制御処理は、第1実施形態の受信制御処理(
図4(B)と同様であるため、説明を省略する。
<充電装置50”のパラメータ更新処理>
図16に示すように、充電装置50”により行われるパラメータ更新処理(S700)では、まずステップS701により充電装置更新情報取得処理が行われる。本パラメータ更新処理が実行される場合には、前述したように、当該充電装置50”は、監視端末装置121”から送信された更新パラメータ情報を受信している(S690;Yes)。そのため、このステップS701では、受信された更新パラメータ情報から充電装置更新情報を取得する処理が行われる。充電装置更新情報には、後述するように、パラメータを更新すべき対象となる充電装置50”の充電装置IDが含まれている。
【0199】
このため、次のステップS703の判定処理により、充電装置更新情報に含まれている充電装置IDが当該充電装置50”の充電装置IDであるか否かを判定する。つまり、当該充電装置50”がパラメータの更新対象であるか否かについて判定される。そして、更新対象であると判定された場合には(S703;Yes)、続くステップS705により当該充電装置50”の動作モードをパラメータ更新モードに移行させる処理が行われる。これに対して、更新対象でないと判定された場合には(S703;No)、ステップS713に処理を移行して、今度はBMU更新情報を取得する処理を行う。これについては後述する。
【0200】
当該充電装置50”の動作モードがパラメータ更新モードに移行すると、次にステップS707により更新パラメータ取得処理が行われる。つまり、更新するパラメータの情報を受信済みの更新パラメータ情報から取得する。そして、その情報に基づいて次のステップS709により制御部54のメモリ(例えばEEPROM)に書き込む処理が行われる。例えば、更新パラメータ情報から取得されたパラメータ情報が制御パラメータとして充電終止電圧値を変更する情報でありその変更値が例えば49.5Vである場合には、その充電終止電圧値の制御パラメータとして49.5Vの情報を書き込む処理が行われる。
【0201】
これにより、当該充電装置50”の制御パラメータの更新が完了するため、続くステップS711では通常モードに移行する処理が行われて、当該充電装置50”は更新された制御パラメータを用いて充電制御情報取得処理等が可能になる。
【0202】
ステップS713ではBMU更新情報を取得する処理が行われる。この処理では、受信された更新パラメータ情報からBMU更新情報を取得する処理が行われる。BMU更新情報には、後述するように、パラメータを更新すべき対象となるBMU30”a等のバッテリIDが含まれている。BMU更新情報には、更新対象のBMU30”a等のバッテリIDが複数含まれている場合がある。そのため、後述するステップS731の判定処理によって更新対象のBMU30”a等がすべて更新を完了したか否かが判定される。
【0203】
次のステップS715ではBMU更新情報に更新対象のBMU30”a等のバッテリIDが含まれていたか否かを判定する処理が行われる。つまり、BMU更新情報にバッテリIDが含まれていない場合には更新対象のBMU30”a等は存在しないことになる。そのため、このような場合には(S715;No)、本パラメータ更新処理を終えて
図15(A)の主制御処理に戻る。これに対して、BMU更新情報にバッテリIDが含まれている場合には(S715;Yes)、ステップS717に処理を移行する。
【0204】
ステップS717では更新パラメータ取得処理が行われる。つまり、更新するパラメータの情報を受信済みの更新パラメータ情報から取得する。そして、その情報に基づいて次のステップS719によりそのバッテリIDを有するBMU30”a等に「パラメータ更新モードコマンド」を送信する処理が行われる。例えば、BMU更新情報に含まれるバッテリIDが「#02」であった場合にはフォークリフト10bに搭載されたバッテリ20bを監視するBMU30”bに対して無線通信回線90aを介して「パラメータ更新モードコマンド」を送信する。ここからは、BMU30”により実行されるアップデート処理についても交えながら説明する。
【0205】
<BMU30”のアップデート処理>
図17に示すように、BMU30”では、コマンド受信処理(S2101)とコマンド受信判定処理(S2103)により、常時、コマンドの待ち受け状態になっている。そのため、例えば、充電装置50”からBMU30”bに対して「パラメータ更新モードコマンド」が送信されると、当該コマンドを受信したBMU30”bの制御部32は、まずステップS2105によりコマンドを解析してそのコマンドに対応したモードを判定する処理を行う。そして、該当するモードに処理を振り分ける。例えば、受信したコマンドがパラメータ更新モードであると判定された場合には(S2105;パラメータ更新モード)、ステップS2107に処理を移行し、また受信したコマンドが他の○○モードであると判定された場合には(S2105;他の○○モード)、ステップS2108に処理を移行する。
【0206】
充電装置50”からBMU30”bに送信されたコマンドが「パラメータ更新モードコマンド」である場合には、当該BMU30”bの制御部32は、移行先のパラメータ更新モード移行処理(S2107)により当該BMU30”bの動作モードを変更してパラメータ更新モードに移行した後、続くステップS2109により、移行後のモード情報であるパラメータ更新モードのモード情報を当該充電装置50”に対して送信する(S2109)。
【0207】
その後、充電装置50”から送信されてくる更新するパラメータの情報をステップS2111により受信すると、更新するパラメータの情報に基づいて次のステップS2113により制御部32のメモリ(例えばEEPROM)に書き込む処理が行われる。例えば、更新するパラメータの情報がバッテリ収容室11外の温度を計測する温度センサ83の動作パラメータとして温度補正値を変更する情報でありその変更値が例えば+0.5℃である場合には、温度センサ83の温度情報を補正する動作パラメータとして+0.5℃の情報を書き込む処理が行われる。
【0208】
これにより、当該BMU30”bの動作パラメータの更新が完了するため、続くステップS2115によりBMU30”bから充電装置50”に対して更新完了情報を送信する処理が行われ、その後、ステップS2117により通常モードに移行する処理が行われて、当該BMU30”bのアップデート処理が完了する。これ以後は、当該BMU30”bでは、更新された動作パラメータを用いられるので、温度センサ83により計測されたバッテリ収容室11外温度の計測値が動作パラメータの補正値で補正される。
【0209】
<充電装置50”のパラメータ更新処理(続き)>
ここで
図16に戻ってパラメータ更新処理の続きについて説明する。BMU30”bのステップS2109により(
図17参照)、パラメータ更新モードに移行後のモード情報が当該BMU30”bから充電装置50”に対して送信されると、充電装置50”ではステップS721により当該モード情報を受信し(S721)、続くステップS723により当該モード情報がパラメータ更新モードであるか否かを判定する処理が行われる。そして、当該モード情報がパラメータ更新モードであると判定したか(S723;Yes)、または予め定められた所定時間が経過するまで(S723;Time's UP)、ステップS721によるモード情報受信処理が繰り返し行われる(S723;No)。
【0210】
当該モード情報がパラメータ更新モードであると判定された場合には、パラメータの更新対象であるBMU30”bは更新するパラメータの情報を待っているので(
図17;S2111)、次のステップS725のパラメータ情報送信処理により更新するパラメータの情報を当該BMU30”bに対して送信する。当該BMU30”bでは、前述したように、パラメータの更新が完了すると、パラメータの更新を完了した旨の情報(更新完了情報)を充電装置50”に対して送信するため(
図17;S2115)、当該充電装置50”ではステップS727の更新情報受信処理により更新完了情報を受信するまで(S729;Yes)、更新情報受信処理が繰り返し行われる(S729;No)。
【0211】
そして、ステップS731により、BMU更新情報に含まれている更新対象のBMU30”a等の更新が全て完了したか否かの判定処理が行われ、全て更新完了していると判定された場合には(S731;Yes)、一連の本パラメータ更新処理を終了して
図15(A)の主制御処理に戻る。これに対して、ステップS731により全て更新完了していると判定されない場合、つまりまだ更新対象のBMU30”a等が残っている場合には(S731;No)、ステップS715に処理に移行して、残りのBMU30”a等に対してパラメータの更新を進める各処理を行う。
【0212】
<監視端末装置121”の充電装置コントロール処理>
本第3実施形態の監視端末装置121”により行われる充電装置コントロール処理は、第1実施形態や第2実施形態の監視端末装置121,121’により行われた充電装置コントロール処理に比べて個別情報一覧表の他に、充電装置50”の制御パラメータやBMU30”a等の動作パラメータの一覧表(パラメータ一覧表)が表示される点が異なる。そのため、ここでは個別情報一覧表の他に表示されるパラメータ一覧表について説明する。したがって、第1実施形態の個別情報一覧表(
図9)と同様のものが表示される第3実施形態の個別情報一覧表については図示および説明を省略する。
【0213】
図18に示すように、本第3実施形態の監視端末装置121”で行われる充電装置コントロール処理では、まずステップS1401により所定の初期化処理が行われる。この処理は、パラメータ一覧表に関する表示フォーマットや初期値等が設定される点の除いて、第1実施形態の充電装置コントロール処理により行われる初期化処理(S1001)と同様である。
【0214】
次のステップS1403では個別情報等受信処理が行われる。前述したように、本第3実施形態では、主制御処理(
図15(A))において充電装置50”の装置情報を取得する処理(S103)が行われ、また個別情報収集処理(S200’)の個別情報取得処理(
図15(B))においてBMU30”a等の情報を取得する処理(S409)が行われる。そのため、これらの処理により取得された「充電装置50”の制御パラメータの情報」と「BMU30”a等の動作パラメータの情報」は、個別情報収集処理(S200’)の個別情報等送信処理(S209)によって、バッテリ個別情報や充電装置個別情報と共に監視端末装置121”に送信される。そのため、ステップS1403の個別情報等受信処理では、バッテリ個別情報や充電装置個別情報に加えて、「充電装置50”の制御パラメータの情報」と「BMU30”a等の動作パラメータの情報」も充電装置50”から受信する。
【0215】
続くステップS1405では一覧表生成処理が行われる。この処理では、バッテリ個別情報(上記(11)~(22))や充電装置個別情報(上記(1)~(7))については、第1実施形態で説明した個別情報一覧表と同様のものが作成されて、次のステップS1407によりそれがディスプレィ123に表示される(
図9)。これに対して、「充電装置50”の制御パラメータの情報」と「BMU30”a等の動作パラメータの情報」については、それぞれのパラメータを集めた一覧表、つまりパラメータ一覧表が作成されて、次のステップS1407によりそれがディスプレィ123に表示される(
図19)。
【0216】
即ち、
図19に示すディスプレィ123の画面表示の例に表されているように、ディスプレィ123の画面上側に充電装置50”の制御パラメータとして、現在、充電装置50”に設定されているものが情報エリア123jに表示される。例えば、充電装置ID「#91」の当該充電装置50”は、準定電圧充電の充電終止電圧値が「49.0V」、急速充電用の充電タイマ値が「30分」、急速充電用の充電電流値が「560A」、温度補正値が「+0.3℃」にそれぞれ設定されている。これらの各値は、例えば、ポインティングデバイスやタッチペン等によって、「▲」印の「増加」ボタン123mに触れることにより増やしたり、「▼」印の「減少」ボタン123nに触れることにより減らしたりし得るように構成されている。
【0217】
また、情報エリア123jの画面下側にBMU30”a等の動作パラメータとして、現在、BMU30”a等に設定されているものが情報エリア123kに表示される。例えば、バッテリID「#01」のバッテリ20aに対応して監視するBMU30”aは、電圧センサ35の電圧補正値が「+0.2V」、電流センサ36の電流補正値が「-0.5A」、液量センサ38の液量補正値が「+0%」、温度センサ37のバッテリ温度補正値が「+0.0℃」、温度センサ81の収容室内温度補正値が「-0.2℃」、温度センサ83の収容室外温度補正値が「+0.5℃」にそれぞれ設定されている。これらの各値も、例えば、ポインティングデバイスやタッチペン等によって、「▲」印の「増加」ボタン123mに触れることにより増やしたり、「▼」印の「減少」ボタン123nに触れることにより減らしたりし得るように構成されている。
【0218】
なお、「増加」ボタン123mや「減少」ボタン123nにより変更した制御パラメータや動作パラメータの各値は、「決定」ボタン123iを選択することによって、後述するように更新パラメータ情報として充電装置50”に送信される。なお、「戻る」ボタン123hは、この充電装置コントロール処理を終了して(S1411;Esc)、所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る場合に選択される。
【0219】
このような更新パラメータ情報の入力は、ステップS1409の更新パラメータ情報入力処理により受け付けられて、「決定」ボタン123iの選択により更新パラメータ情報の入力が確定する。「決定」ボタン123iの選択があるか否かの判定はステップS1411の入力確定判定処理により行われる。即ち、「決定」ボタン123iが選択されるまで(S1411;No)、更新パラメータ情報の入力を受け付ける(S1409)。そして、「決定」ボタン123iが選択されたと判定された場合には(S1411;Yes)、入力が確定した更新パラメータ情報に基づいて充電装置50”に送信する送信データとして作成した後(S1413)、当該送信データを送信する(S1415)。
【0220】
これにより、監視端末装置121”から送信された送信データは、回線終端装置122、インターネット100やアクセスポイント110を経由した後、無線通信回線90bを介して充電装置50”に届くことによって、前述したような充電装置50”により制御パラメータやBMU30”a等による動作パラメータの更新処理がが行われる。つまり、充電装置50”の制御パラメータやBMU30”a等の動作パラメータのそれぞれの更新をを監視端末装置121”から遠隔で制御することが可能になる。
【0221】
ステップS1415による更新パラメータ情報送信処理が終了すると、一連の本充電装置コントロール処理を終了して所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る。なお、ステップS1411による入力確定判定処理において、「戻る」ボタン123hが選択されたり、キーボード125の「Esc」キーが押下されたりしたと判定された場合には(S1411;Esc)も、本充電装置コントロール処理を終了して、所定のアプリケーションソフトのメイン画面等に戻る。
【0222】
なお、上述した第3実施形態では、監視端末装置121”により更新する情報として、充電装置50”やBMU30”a等の制御パラメータや動作パラメータを例示して説明したが、これに限られることはなく、例えば、充電装置50”やBMU30”a等が有するEEPROMに記憶されている定数や変数等を監視端末装置121”により更新してもよい。
【0223】
以上説明したように、本第3実施形態の充電システム2”では、監視センタ120の監視端末装置121”は、ポインティングデバイス等から入力された制御情報に基づいて、充電装置50”による充電動作に関与する制御パラメータを変更する。また監視端末装置121”は、ポインティングデバイス等から入力された制御情報に基づいて、複数のバッテリ20a等の任意のバッテリ20aに対応するBMU30”aが有する電圧センサ35等(バッテリ個別情報の取得に関与するもの)の動作パラメータを変更する。これにより、監視端末装置121”から離れた地点に設けられた充電装置50”であっても、充電装置50”やBMU30”a等に対して、充電動作に関与する制御パラメータや電圧センサ35等の動作パラメータを遠隔操作によって変更(更新)することが可能になる。
【0224】
したがって、バッテリ20a等やその充電装置50”に関する情報を遠隔でも容易に把握することに加えて、充電装置50”の制御パラメータやBMU30”a等の電圧センサ35等の動作パラメータを遠隔で変更(更新)することができる。また、例えば、現場の作業員がこのような制御パラメータ等の変更作業に不慣れな場合に生じ得る制御パラメータ等の変更ミス等の発生も防ぐことが可能になる。さらに、現場の作業工数が不足する場合においても充電装置50”の制御パラメータ等を更新することができる。
【0225】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。
【符号の説明】
【0226】
2,2’,2”…充電システム
10,10a,10b,10c…フォークリフト(電動車両)
20,20a,20b,20c…バッテリ
30,30”,30a,30”a,30b,30”b,30c…BMU(監視装置)
32…制御部
33…通信部
50,50’,50”…充電装置
61,63…電圧センサ
62,64…電流センサ
65…加速度センサ
66,79,81,83…温度センサ
67…湿度センサ
70…充電ケーブル
90a…無線通信回線(無線通信網)
90b…無線通信回線(近距離無線通信回線)
100…インターネット(情報通信網)
120…監視センタ
121,121’,121”…監視端末装置(端末装置)
123…ディスプレィ(表示部)
125…キーボード(入力部)
AC…交流電源
M…監視担当者