(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-28
(45)【発行日】2025-06-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 17/931 20200101AFI20250529BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20250529BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20250529BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250529BHJP
【FI】
G01S17/931
G08C17/00 A
G08C19/00 T
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2021037383
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】竹村 到
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149358(JP,A)
【文献】特開2015-041283(JP,A)
【文献】特開昭60-127425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0363215(US,A1)
【文献】特開2020-095009(JP,A)
【文献】特開2020-184129(JP,A)
【文献】特開2006-127240(JP,A)
【文献】特開2020-085872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0156651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
G01S 13/00 - 17/95
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された計測装置による計測データを取得する取得手段と、
前記計測データに基づ
き、道路以外の予め定められた種類の物体
を検出する物体検出手段と、
前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出する抽出手段と、
前記物体検出手段による前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記検出結果と前記事前情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記検出結果と前記事前情報とが一致しない場合、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する送信手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記計測装置は、第1計測装置と第2計測装置とを含み、
前記取得手段は、前記第1計測装置による第1計測データと、前記第2計測装置による第2計測データとを取得し、
前記物体検出手段は、前記第1計測データに基づく前記物体の検出と、前記第2計測データに基づく前記物体の検出とを夫々実行し、
前記送信手段は、前記第1計測データに基づく前記物体の検出結果と、前記第2計測データに基づく前記物体の検出結果とが矛盾する場合、前記物体検出データを前記データ収集装置に送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1計測装置と前記第2計測装置とは共通する計測範囲を有し、
前記計測範囲における前記第1計測データに基づく前記物体の検出結果と、前記計測範囲における前記第2計測データに基づく前記物体の検出結果との矛盾の有無を判定する矛盾判定手段をさらに有する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記比較結果に基づき、前記物体検出手段による前記物体の誤検出の有無を判定し、
前記送信手段は、前記誤検出があったと判定された場合、前記物体検出データを前記データ収集装置に送信する、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記事前情報は、前記
予め定められた種類の物体
ごとの位置及び大きさを少なくとも示す地図情報、前記物体のモデルに関する情報、又は前記物体の制約条件に関する情報である、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記物体検出手段は、前記データ収集装置から指定された前記物体
を検出する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する制御方法であって、
車両に搭載された計測装置による計測データを取得し、
前記計測データに基づ
き、道路以外の予め定められた種類の物体
を検出
し、
前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、
前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記検出結果と前記事前情報とが一致するか否かを判定し、
前記検出結果と前記事前情報とが一致しない場合、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する、
制御方法。
【請求項8】
車両に搭載された計測装置による計測データを取得し、
前記計測データに基づ
き、道路以外の予め定められた種類の物体
を検出
し、
前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、
前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記検出結果と前記事前情報とが一致するか否かを判定し、
前記検出結果と前記事前情報とが一致しない場合、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
請求項
8に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測したデータの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検出空間にレーザ光のパルスを照射し、その反射光のレベルに基づいて、被検出空間内の対象物を検出するレーザレーダ装置が知られている。例えば、特許文献1には、繰り返し出射される光パルスの出射方向(走査方向)を適切に制御することにより周辺空間を走査し、その戻り光を観測することにより、周辺に存在する物体に関する情報である距離、反射率などの情報を表す点群データを生成するライダが開示されている。また、特許文献2には、ライダが出力する点群データに基づき、物体を認識する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-009831号公報
【文献】特開2018-116004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライダなどの計測装置が所定の計測周期に従い生成する計測データをアップロードしてサーバ装置により収集管理する場合には、生成される計測データの容量が大きいため、全ての計測データを送信対象とすると通信負荷やサーバ装置の処理負荷等が過大となる。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、計測したデータのデータ量の削減を好適に実行することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、
車両に搭載された計測装置による計測データを取得する取得手段と、
前記計測データに基づき、道路以外の予め定められた種類の物体を検出する物体検出手段と、
前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出する抽出手段と、
前記物体検出手段による前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記検出結果と前記事前情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記検出結果と前記事前情報とが一致しない場合、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する送信手段と、
を有する情報処理装置である。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、
コンピュータが実行する制御方法であって、
車両に搭載された計測装置による計測データを取得し、
前記計測データに基づき、道路以外の予め定められた種類の物体を検出し、
前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、
前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記検出結果と前記事前情報とが一致するか否かを判定し、
前記検出結果と前記事前情報とが一致しない場合、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する、
制御方法である。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、
車両に搭載された計測装置による計測データを取得し、
前記計測データに基づき、道路以外の予め定められた種類の物体を検出し、
前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、
前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記検出結果と前記事前情報とが一致するか否かを判定し、
前記検出結果と前記事前情報とが一致しない場合、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】情報処理装置が実行するフローチャートの一例である。
【
図4】外界センサであるライダが出射するパルスレーザの光線を示した図である。
【
図5】複数の外界センサを備える車両が走行する道路の俯瞰図である。
【
図6】外界センサを備える車両が走行する道路を側面から観察した図である。
【
図7】変形例において情報処理装置が実行するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、情報処理装置は、計測装置による計測データを取得する取得手段と、前記計測データに基づく物体の検出に関する処理を行う物体検出手段と、前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出する抽出手段と、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する送信手段と、を有する。情報処理装置は、この態様により、データ収集装置に送信するデータを、検出された物体に対応するデータに限定し、送信データ量を好適に削減することができる。
【0011】
上記情報処理装置の一態様では、前記計測装置は、第1計測装置と第2計測装置とを含み、前記取得手段は、前記第1計測装置による第1計測データと、前記第2計測装置による第2計測データとを取得し、前記物体検出手段は、前記第1計測データに基づく前記物体の検出と、前記第2計測データに基づく前記物体の検出とを夫々実行し、前記送信手段は、前記第1計測データに基づく前記物体の検出結果と、前記第2計測データに基づく前記物体の検出結果とが矛盾する場合、前記物体検出データを前記データ収集装置に送信する。この態様により、情報処理装置は、データ収集装置に送信するデータを、物体の検出結果に矛盾が生じたデータに限定し、送信データ量を好適に削減することができる。
【0012】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記第1計測装置と前記第2計測装置とは共通する計測範囲を有し、情報処理装置は、前記計測範囲における前記第1計測データに基づく前記物体の検出結果と、前記計測範囲における前記第2計測データに基づく前記物体の検出結果との矛盾の有無を判定する矛盾判定手段をさらに有する。この態様により、情報処理装置は、複数の計測センサを用いた場合の物体の検出結果の矛盾の有無を好適に判定することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、前記物体検出手段による前記物体の検出結果と、前記物体に関する事前情報との比較結果に基づき、前記物体検出手段による前記物体の誤検出の有無を判定する誤検出判定手段をさらに有し、前記抽出手段は、前記誤検出があったと判定された場合に、前記データを抽出する。この態様により、情報処理装置は、データ収集装置に送信するデータを、物体の誤検出が生じたデータに限定し、送信データ量を好適に削減することができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記事前情報は、前記物体に関する情報を含む地図情報、前記物体のモデルに関する情報、又は前記物体の制約条件に関する情報である。このような事前情報を用いることで、情報処理装置は、物体の誤検出の有無を好適に判定することができる。
【0015】
上記情報処理装置の好適な例では、前記計測装置は車両に搭載され、前記物体検出手段は、道路以外の物体を対象として前記物体の検出に関する処理を行う。上記情報処理装置の他の好適な例では、前記物体検出手段は、前記データ収集装置から指定された物体を対象として前記物体の検出に関する処理を行う。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態によれば、コンピュータが実行する制御方法であって、計測装置による計測データを取得し、前記計測データに基づく物体の検出に関する処理を行い、前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する。コンピュータは、この制御方法を実行することで、データ収集装置に送信するデータを、検出された物体に対応するデータに限定し、送信データ量を好適に削減することができる。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態によれば、プログラムは、計測装置による計測データを取得し、前記計測データに基づく物体の検出に関する処理を行い、前記計測データから、検出された前記物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、前記物体検出データをデータ収集装置に送信する処理をコンピュータに実行させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、データ収集装置に送信するデータを、検出された物体に対応するデータに限定し、送信データ量を好適に削減することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0019】
(1)
データ収集システムの概要
図1は、第1実施例に係るデータ収集システムの概略構成である。データ収集システムは、センサ群2が生成するデータに関する処理を行う情報処理装置1と、データの収集及び管理を行うサーバ装置であるデータ収集装置5とを有する。
【0020】
情報処理装置1は、センサ群2と電気的に接続し、センサ群2が出力するデータの圧縮(データの選別を含む)を行い、圧縮したデータをアップロード情報「Iu」としてデータ収集装置5に送信する。情報処理装置1は、例えば、車両、船舶、自走式ロボット、ドローンなどの移動体又は当該移動体を制御するコンピュータである。情報処理装置1は、例えば、車両や船舶などの移動体に搭載されるナビゲーション装置であってもよく、当該移動体に内蔵された電子制御装置であってもよい。
【0021】
センサ群2は、外界センサ3と、内界センサ4とを含む。外界センサ3は、情報処理装置1又は情報処理装置1を搭載する移動体の外界をセンシングする1又は複数のセンサである。外界センサ3は、例えば、ライダなどの測域センサ、カメラ、超音波センサなどである。内界センサ4は、情報処理装置1又は情報処理装置1を搭載する移動体の内界をセンシングする1又は複数のセンサである。内界センサ4は、例えば、角速度センサ、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、加速度センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、その他の自律測位装置などである。このように、センサ群2は、自己位置推定、障害物検知、人物検知などに用いられる種々のセンサを含んでいる。なお、センサ群2の少なくとも一部のセンサは、情報処理装置1に内蔵されたセンサであってもよい。
【0022】
データ収集装置5は、ライダによる計測データを収集する装置であり、情報処理装置1からアップロード情報Iuを受信し、受信したアップロード情報Iuを記憶する。なお、
図1では、情報処理装置1及びセンサ群2の組が1組のみ図示されているが、これに代えて、複数の情報処理装置1及びセンサ群2の組が存在してもよい。この場合、データ収集装置5は、各情報処理装置1からアップロード情報Iuを受信する。データ収集装置5は、例えば、情報処理装置1から受信したアップロード情報Iuを、深層学習などの機械学習に基づく物体認識モデルの訓練用データとして用いる。なお、アップロード情報Iuには、外界センサ3が出力する計測データの他、情報処理装置1が推定した計測時の自己位置(即ち計測位置)の情報及び計測時刻の情報などが含まれてもよい。
【0023】
(2)
情報処理装置の構成
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、主に、インターフェース11と、メモリ12と、コントローラ13と、を有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0024】
インターフェース11は、情報処理装置1と外部装置とのデータの授受に関するインターフェース動作を行う。本実施例では、インターフェース11は、センサ群2から出力データを取得し、コントローラ13へ供給する。また、インターフェース11は、コントローラ13の制御に基づき、コントローラ13が生成したアップロード情報Iuを、データ収集装置5へ送信する。また、インターフェース11は、情報処理装置1が車両などの移動体に搭載されている場合には、コントローラ13が生成した移動体の制御に関する信号を、移動体の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)へ供給してもよい。インターフェース11は、無線通信を行うためのネットワークアダプタなどのワイヤレスインターフェースであってもよく、ケーブル等により外部装置と接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。また、インターフェース11は、入力装置、表示装置、音出力装置等の種々の周辺装置とのインターフェース動作を行ってもよい。
【0025】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。メモリ12は、コントローラ13が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、コントローラ13が実行するプログラムは、メモリ12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0026】
また、メモリ12には、コントローラ13が実行する処理に関連する種々の情報が記憶されている。例えば、メモリ12は、物体認識情報I1を記憶している。
【0027】
物体認識情報I1は、外界センサ3が出力する計測データに基づき物体を認識(検出)するために必要な情報である。例えば、物体認識情報I1は、外界センサ3が出力する計測データを入力した場合に当該計測データに含まれる物体の有無(及び物体の種類)を推論する推論モデルのパラメータであってもよい。このような推論モデルは、例えばカメラの画像を入力データとする場合には、セマンティックセグメンテーションやインスタンスセグメンテーションなどの認識技術において用いられる深層学習モデルなどの任意の機械学習モデルであってもよい。上記の推論モデルに入力されるデータは、カメラが出力する画像に限らず、ライダが出力する計測1周期分の点群データであってもよく、他の外界センサが出力するデータであってもよい。なお、ライダの計測1周期分の点群データは、計測方向を画素位置、計測方向ごとのデータを画素データとした場合、画像データとみなすことができるため、カメラの画像と同様に推論モデルの学習を行うことが可能である。また、推論モデルは、外界センサの種類ごとに設けられてもよい。この場合、推論モデルは、対象となる外界センサが出力するデータを訓練用データ(学習データ)として用いて予め学習が行われ、学習により得られた各推論モデルのパラメータが物体認識情報I1として記憶される。
【0028】
コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などの1又は複数のプロセッサを含み、情報処理装置1の全体を制御する。この場合、コントローラ13は、メモリ12等に記憶されたプログラムを実行することで、後述する種々の処理を実行する。
【0029】
また、コントローラ13は、機能的には、自己位置推定部14と、物体検出部15と、アップロード部16とを有する。
【0030】
自己位置推定部14は、センサ群2が生成したデータに基づき、自己位置推定を行い、情報処理装置1の位置(Yaw、Roll、Pitchなどの姿勢を含む。以下同じ。)を示す位置情報を生成する。この場合、自己位置推定部14は、任意の自己位置推定手法により位置情報を生成してもよい。例えば、自己位置推定部14は、センサ群2に含まれるGNSS受信機等の出力に基づき位置情報を生成してもよい。他の例では、自己位置推定部14は、外界センサ3の計測データと地図データとを用いた自己位置推定手法を実行することで、位置情報を生成してもよい。このような自己位置推定手法として、例えば、ランドマークの計測データとランドマークの地図データとの照合結果に基づく自己位置推定手法、ボクセルデータを用いたNDT(Normal Distribution Transform)マッチングに基づく自己位置推定手法などが存在する。及び、自身の
【0031】
物体検出部15は、外界センサ3が出力する計測データと、物体認識情報I1に基づき、外界センサ3の計測範囲内に存在する物体の検出を行う。この場合、検出対象となる物体(「検出対象物体」とも呼ぶ。)は、予め定められた種類の物体であり、例えば外界センサ3が車両に搭載される場合には、道路以外の物体(静止物に限定されてもよい)などである。なお、物体検出部15は、データ収集装置5から検出対象物体を指定する情報を受信し、当該情報に基づき検出対象物体を決定してもよい。そして、物体検出部15は、検出対象物体を検出した場合、検出対象物体に対応する計測データ(「物体検出データ」とも呼ぶ。)を、物体検出に用いた計測データから抽出し、抽出した物体検出データをアップロード部16に供給する。物体検出データは、例えば、ライダから得られた点群データを用いて検出対象物体の検出を行った場合には、検出対象物体の被計測位置を表すデータである。また、物体検出データは、カメラ等から得られた画像を用いて検出対象物体の検出を行った場合には、検出対象物体を含む画像全体、又は、検出対象物体を含む最小の領域(例えばバウンディングボックス)を切り取った画像である。
【0032】
アップロード部16は、物体検出データを含むアップロード情報Iuを、インターフェース11を介してデータ収集装置5に送信する。この場合、例えば、アップロード部16は、計測周期に従い生成される物体検出データを逐次的にデータ収集装置5に送信してもよく、所定時間間隔ごとにまとめてデータ収集装置5に送信してよい。また、アップロード部16は、好適には、物体検出データと共に、自己位置推定部14が生成する計測位置の情報及び対応する外界センサ3の種別を示す情報をアップロード情報Iuに含めてもよい。また、アップロード部16は、任意の可逆圧縮又は非可逆圧縮によりアップロード情報Iuを圧縮し、圧縮後のアップロード情報Iuをデータ収集装置5に送信してもよい。
【0033】
そして、コントローラ13は、「取得手段」、「物体検出手段」、「矛盾判定手段」、「誤検出判定手段」、「抽出手段」、「送信手段」及びプログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
【0034】
なお、コントローラ13が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、コントローラ13が実行する処理は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、コントローラ13が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。
【0035】
(3)
処理フロー
図3は、第1実施例において情報処理装置1が実行するフローチャートの一例である。情報処理装置1は、
図3のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0036】
まず、情報処理装置1の物体検出部15は、インターフェース11を介し、外界センサ3が生成する計測データを取得する(ステップS11)。この場合、物体検出部15は、使用する外界センサ3が走査等を行う場合には1周期分の計測により得られるデータを取得する。
【0037】
次に、物体検出部15は、ステップS11で取得した計測データに基づき物体の検出を行う(ステップS12)。この場合、物体検出部15は、例えば、物体認識情報I1を参照することで構成した推論器に計測データを入力することで、検出対象物体の検出結果を取得する。
【0038】
そして、物体検出部15は、検出対象物体を検出したか否か判定する(ステップS13)。そして、検出対象物体を検出した場合(ステップS13;Yes)、検出した物体に対応する物体検出データを、ステップS11で取得した計測データから抽出する。そして、アップロード部16は、物体検出データを含むアップロード情報Iuを、データ収集装置5に送信する(ステップS14)。データ収集装置5に送信されたアップロード情報Iuは、例えば、深層学習などの機械学習に基づく物体認識モデルの訓練用データとして好適に用いられる。なお、アップロード部16は、ステップS13で検出された検出対象物体の物体検出データを逐次的に送信する代わりに、複数の計測タイミングで検出された検出対象物体の物体検出データをまとめて送信してもよい。
【0039】
一方、物体検出部15は、ステップS13において、検出対象物体を検出しなかった場合(ステップS13;No)、ステップS11で取得した計測データを破棄する(ステップS15)。
【0040】
このように、第1実施例に係る情報処理装置1は、データ収集装置5にとって有用なデータを、効率的にデータ収集装置5に送信することができる。
【0041】
(4)
具体例
図4は、外界センサ3であるライダが出射するパルスレーザの光線を示した図である。
図4の例では、ライダは、車両の前方方向を含む予め定められた所定の角度範囲(この例では約210°)を対象に、パルス周期により定まる所定の角度分解能により、パルスレーザを出射している。なお、ライダは、水平方向に加えて垂直方向においても所定の角度範囲を対象にパルスレーザを出射していることにより、又は、水平方向に対して走査面が傾けられていることにより、路面に対してもパルスレーザを照射するものとする。
【0042】
この場合、ライダが出射するパルスレーザは、白線51a~51c、道路標識52、電柱53、建物54、前方車両55を含む各物体に照射され、その反射光がライダによって受光される。この場合、情報処理装置1は、反射光の受光信号に基づき生成された点群データをライダ30から受信し(
図3のステップS11参照)、検出対象物体の検出を行う(
図3のステップS12参照)。ここでは、例えば、検出対象物体は、道路(白線を含む)以外の全ての物体であるものとする。そして、情報処理装置1は、道路標識52、電柱53、建物54、前方車両55を検出対象物体として検出し(ステップS13参照)、道路標識52、電柱53、建物54、前方車両55に夫々属すると判定したデータを、物体検出データとして抽出する。そして、情報処理装置1は、抽出した物体検出データを含むアップロード情報Iuをデータ収集装置5へ送信する(ステップS14参照)。この場合、情報処理装置1は、好適には、検出した物体毎の物体検出データと検出した物体の種類の情報とを関連付けたアップロード情報Iuを、データ収集装置5に送信するとよい。
【0043】
(5)変形例
情報処理装置1は、複数の外界センサ3が出力する計測データに基づき外界センサ3ごとの物体検出結果の矛盾の判定を行い、矛盾があった計測データに関する物体検出データをデータ収集装置5へ送信してもよい。また、これに加えて、又はこれに代えて、情報処理装置1は、物体検出結果と物体に関する事前情報とを比較することで物体の誤検出があったか否か判定し、誤検出があった計測データに関する物体検出データをデータ収集装置5へ送信してもよい。これらの態様によれば、情報処理装置1は、物体検出処理の精度向上のための解析対象として重要なデータを、好適にデータ収集装置5に供給することができる。
【0044】
図5は、外界センサ3A、3Bを備える車両が走行する道路の俯瞰図である。
図5では、外界センサ3Aの計測範囲「FOV1」、外界センサ3Bの計測範囲「FOV2」及び外界センサ3A、3Bにおいて共通の(重複する)共通計測範囲「FOV12」が夫々明示されている。共通計測範囲FOV12には、前方車両56が存在している。外界センサ3A、3Bは、異なる種類の外界センサ(例えばライダとカメラ)の組み合わせであってもよく、同一種類の外界センサ(例えば両方ともライダ)であってもよい。ここで、検出対象物体は、車両を含むものとする。
【0045】
この場合、情報処理装置1は、共通計測範囲FOV12に属する外界センサ3A、3Bの各計測データに基づき、検出対象物体の検出を行う。そして、情報処理装置1は、外界センサ3Aの共通計測範囲FOV12内の計測データ(「第1計測データ」とも呼ぶ。)に基づく検出対象物体の検出結果と、外界センサ3Bの共通計測範囲FOV12内のデータ(「第2計測データ」とも呼ぶ。)に基づく検出対象物体の検出結果とが矛盾するか否か判定する。そして、情報処理装置1は、これらの検出結果が異なる場合、第1計測データ及び第2計測データから夫々抽出した物体検出データを含むアップロード情報Iuをデータ収集装置5に送信する。この場合、情報処理装置1は、例えば、第1計測データに基づき検出した検出対象物体の種類及び数が第2計測データに基づき検出した検出対象物体の種類及び数と一致しない場合、検出結果が矛盾すると判定する。例えば、情報処理装置1は、第1計測データに基づき前方車両56を検出したが、第2計測データに基づき前方車両56を検出できなかった場合、これらの検出結果が矛盾すると判定し、検出に用いた第1計測データ及び第2計測データに基づくアップロード情報Iuをデータ収集装置5に送信する。この場合、情報処理装置1は、第1計測データ及び第2計測データから、夫々、検出した検出対象物体に対応する物体検出データ(検出対象物体を検出できなかった場合には全てのデータ)を抽出し、抽出したデータを含むアップロード情報Iuをデータ収集装置5に送信する。
【0046】
図6は、外界センサ3を備える車両が走行する道路を側面から観察した図である。
図6の例では、情報処理装置1は、外界センサ3が出力する計測データに基づき、案内物57、信号機58及び前方車両59を検出対象物体として検出する。この場合、情報処理装置1は、メモリ12に予め記憶された検出対象物体に関する事前情報に基づき、検出結果の誤り判定を行う。事前情報は、検出対象物体をモデル化したモデル情報であってもよく、検出対象物体に関する制約条件であってもよく、検出対象物体に関する情報(位置情報、種別情報、外観情報等)を含む地図情報であってもよい。
【0047】
例えば、情報処理装置1は、車両は道路に接しているという車両の制約条件が事前情報として含まれている場合、外界センサ3の計測データに基づき検出した前方車両59の位置が道路に接しているか否か判定する。この場合、例えば、情報処理装置1は、外界センサ3の計測データから道路のデータと前方車両59のデータとを夫々特定し、特定したデータ間の距離(例えば高さ方向における各重心位置間の距離)が所定距離以内であるか否か判定する。そして、外界センサ3は、上述のデータ間の距離が所定距離より長い場合、上述の制約条件に反すると判定し、誤検出が発生したと判定する。よって、外界センサ3は、この場合、前方車両59に対応する物体検出データを含むアップロード情報Iuを、データ収集装置5に送信する。制約条件は、車両が道路面に接しているという条件に限らず、車両のサイズ等の種々の条件であってもよい。なお、事前情報には、検出対象物体の種類ごとに夫々適切な制約条件が登録されている。
【0048】
他の例では、情報処理装置1は、案内物57及び信号機58に関する情報を含む地図情報をメモリ12に記憶している場合、外界センサ3の計測データに基づき検出した案内物57及び信号機58の位置及び大きさ等が地図情報に記録された案内物57及び信号機58の位置及び大きさ等と一致するか否か判定する。この場合、情報処理装置1は、カメラやライダの出力等に基づき物体の位置及び大きさ等を推定する任意の物体認識技術を適用して上述の推定を行ってもよい。例えば、情報処理装置1は、自己位置推定結果に基づく地図上の位置と外界センサ3の計測データが示す情報処理装置1に対する相対位置とに基づき、案内物57及び信号機58の各々の地図上の位置を推定する。また、情報処理装置1は、案内物57及び信号機58の夫々に該当する計測データに基づき、案内物57及び信号機58の各々の大きさ等を推定する。そして、情報処理装置1は、計測データに基づく案内物57及び信号機58の検出結果と、予めメモリ12に記憶した地図情報に含まれる案内物57及び信号機58の事前情報とが一致しない場合、誤検出が発生したと判定する。よって、この場合、情報処理装置1は、案内物57及び信号機58に対応する物体検出データを含むアップロード情報Iuを、データ収集装置5に送信する。
【0049】
さらに別の例では、情報処理装置1は、事前情報として検出対象物体のモデル情報がメモリ12等に記憶されていた場合には、モデル情報が示す検出対象物体の3次元形状と検出結果に基づく3次元形状との3次元マッチング(照合)処理を行う。そして、情報処理装置1は、3次元マッチングによるマッチングの度合いが所定の閾値未満の場合に、誤検出が発生したと判定し、対応する物体検出データを含むアップロード情報Iuを、データ収集装置5に送信する。
【0050】
図7は、変形例における情報処理装置1の処理手順を示すフローチャートの一例である。情報処理装置1は、
図7に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0051】
まず、情報処理装置1の物体検出部15は、インターフェース11を介し、外界センサ3が生成する計測データを取得する(ステップS21)。次に、物体検出部15は、ステップS21で取得した計測データに基づき物体の検出を行う(ステップS22)。そして、物体検出部15は、検出対象物体を検出したか否か判定する(ステップS23)。
【0052】
そして、検出対象物体を検出した場合(ステップS23;Yes)、検出結果に矛盾又は誤検出が存在したか否か判定する(ステップS24)。この場合、物体検出部15は、複数の外界センサ3で共通する計測範囲が存在する場合には、夫々の外界センサ3の計測データに基づく検出結果の矛盾の有無を判定する。また、物体検出部15は、メモリ12等に検出対象物体に関する事前情報が記憶されている場合には、検出結果と事前情報とを比較して誤検出の有無を判定する。
【0053】
そして、検出結果に矛盾又は誤検出があった場合(ステップS24;Yes)、アップロード部16は、矛盾又は誤検出に関する計測データを含むアップロード情報Iuをデータ収集装置5に送信する(ステップS25)。一方、検出結果に矛盾及び誤検出が存在しない場合(ステップS24;No)、アップロード部16は、対象の計測データを破棄する(ステップS26)。
【0054】
以上のように、変形例に係る情報処理装置1は、物体検出処理の精度向上のための解析対象として重要なデータを限定的に含むアップロード情報Iuをデータ収集装置5に効率的に供給することができ、送信するデータ量を好適に削減することができる。
【0055】
以上説明したように、実施例に係る情報処理装置1のコントローラ13は、外界センサ3による計測データを取得し、計測データに基づく物体の検出に関する処理を行う。そして、コントローラ13は、計測データのうち、検出された物体に対応するデータである物体検出データを抽出し、抽出した物体検出データを、データ収集装置5に送信する。これにより、情報処理装置1は、データ収集装置5にとって有用なデータを、効率的にデータ収集装置5に送信することができる。
【0056】
なお、上述した実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるコントローラ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0057】
以上、実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理装置
2 センサ群
3 外界センサ
4 内界センサ
5 データ収集装置